【ミリマス】恵美「ささえる人の歌」 (20)

「もしもし、アタシ。恵美だよ。元気?」

「えっ……うわっ、恵美? 久しぶりー!」

「だね。久しぶり。今何してるの?」

「私? あいかわらずだよー。そっちは武道館だったんだよね。見に行ったよー」

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「嘘! 教えてくれたらチケットあげたのに」

「ギリギリまで行けるかどうかわからなかったしね。結局2日目と3日目しか行けなかったし」

「あはは……見られてたんだ……」

「もち! ばっちり!」

「うわー……恥ずかしい……」

「最高だったよ……うん。最高だった」

「なんで2回言ったの。ひゃー、見られてたかー」

「うんうん。琴葉も幸せだったと思う。私、もらい泣きしちゃった」

「あんたは割と涙もろいでしょ……」

「それは恵美もでしょ」

「まあねー。そっちはどう? 頑張ってる……のは知ってるよ。この前も聞いた」

「……あれねー。嬉しいけどそろそろ主演させてほしいよね……私の力不足なんだからしょうがないけど」

「大丈夫大丈夫。あんたが頑張ってるのは私がよく知ってるから」

「恵美……ありがと……」

「あーもう! 電話越しに泣かない! ほんとに、涙もろいよね……」

「涙もろくなったのは恵美と会ってからだよ……」

「知ってる。大丈夫? ちゃんとご飯とか作ってる? 自炊しなきゃ女子力落ちるぞー?」

「大丈夫……食べてる」

「野菜も?」

「野菜も……」

「もー。あんまり心配かけないでよねー。アタシの方が年下なんだから」

「うん……ごめん……」

「いいっていいって」

「恵美……」

「ん?」

「恵美は? 恵美はどうなの?」

「え……?」

「辛いこととか、苦しいこととかなかった……?」

「え? うん……あの、アタシね……」


「うん」

「やっぱり……みんなで歌いたかった……5人で、全員で歌いたかった……琴葉1人置いて、武道館で歌って……後悔はしてない、つもりだけど……やっぱり……みんなで同じステージに立ちたかった……」

「……うん」

「……優しいね、恵美は」

「そんな、そんなんじゃない。アタシが、アタシがあの子と一緒に歌いたかっただけだよ……そんな、優しくなんて……」

「……あのね。人生って意外と長いんだ。だから、恵美の思うように生きてもいいと思う。恵美が本当にそう思うなら、武道館じゃなくて、小さなライブハウスとかで……琴葉と歌うのも全然ありだと思うんだ……ごめんね。こんな話して」

「ううん。ありがと……あんたがいうと、説得力あるね」

「伊達に恵美の倍長生きしてませんって」

「あはは。そうだね……ごめんね。話聞いてもらって」

「いいのいいの。恵美、たまにはうちに遊びおいで。恵美が来るなら予定開けとくから」

「……うん。そうだね」

「恵美の好きなドリア焼いて待っとくからさ」

「あっはは。アタシのイメージよ……そうだね。今度。遊びに行こ。カラオケ行きたいな。アタシ」

「いいねいいね。じゃあ今日はもう遅いから。ちゃんと目元冷やして寝ること」

「わかってるって……あっ、そうだ。アタシ、どうしても今日いいたいことがあって電話したんだった」

「うん?」




「……ハッピーバースデー! ゆきよ! これからもよろしく!」




「……うん。ありがとう。私こそよろしくね。恵美」


終わりです
ゆきよさん誕生日おめでとうございます
今年も一年。ゆきよさんが幸せでありますように
タイトルはback numberの曲からいただきました
名曲なので機会があれば聞いて頂けると幸いです

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