比企谷八幡二十歳「レンタル彼氏?」 (435)

大学生活にも慣れて時間を作れるようになり、楽して稼げるバイトないかなーとか考えてたら良さげなやつ見つけた。


彼女いない歴=年齢な男に需要があるかは分からんが、応募してみる価値はあるかと思って必要なプロフィールを記入して返事を待つ事にした

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1494018012

そして一週間後、直接面接するから指定した場所に来いとの旨が書かれたメールが届いた。


東京で面接するらしい、千葉県在住だから行けなくもない、ダメ元だから面接で落ちても仕方ない。


面接会場の場所を詳しく把握しながら細かな日取りを返信した。

時は平成

俺二十歳

場所は東京

なんか知らんが意外にも受かっちまった

面接の内容として、女性の面接官を本当の彼女としてあれこれしてみろと言われてしてみた。

女性の扱い方とか色々結構怒られたけどギリギリセーフらしかった。


ネットに掲載する写真を撮られて名前を決めて、いつなら都合がつくかを記入してその日は帰る事になった。

俺を呼び出したい客の情報は、運営を通じて連絡が来るそうだ。

取り分は半分、例えば一万円のコースなら五千円が俺の取り分となるらしい。


チップはキャストの総取りでいいらしい


デート代も客が全額負担らしく、今更イケナイバイトな感じがしてきた。

レンタル彼氏なんて登録したことすら忘れた頃、運営からメールが来た。

どうやら千葉市内の客で俺に白羽の矢が立ったらしい


夕方に駅前で待ち合わせと書いてある


俺からでは分からないので相手から声を掛けてくるそうだ


一応清潔感を心掛けた身だしなみをして駅へと向かった

待ち合わせの30分前、駅前でも比較的見つけやすいであろう場所で待っている。


そういえば千葉県内の他のレンタル彼氏達の中には、芸能人みたいな王子様系イケメンとかいたのに本当に俺でいいのか?

俺だって見た目は悪いつもりはないが芸能人級に適うほど身の程を知らないわけがない


イケメン過ぎたら緊張するとかそんな理由なんだろうか


「ほ、本当に来たんだな」


あれ?聞き覚えのある声がするぞ?


「随分ひねくれたアルバイトをしているな、比企谷」


聞き覚えのある声の主は平塚先生だった

八幡「えっとですね、楽して稼ぎたくてつい応募したら受かっちゃったと言いますか…」


殴られそうなので弁明にならない弁明をしてしまう


静「何故志望動機を話し出すんだ?」


八幡「はい?」


静「ほら、先払いなんだろう?」


レンタル彼氏の料金丁度の二万四千円を渡される

八幡「あの、怒らないんですか?」


静「何を言っている、君は遅刻もしていないし分かりにくい場所で待っていたわけでもないのに怒る理由があるのか?」


ああ、この人単に俺と遊びたいだけだ


八幡「愚問でした」


静「もう君も成人しているよな、酒でも飲もうか」


高校生の頃、ラーメン屋に連れて行かれるように居酒屋へと連れて行かれた

静「酒は飲んだことはあるのか?」


八幡「はい、何回かは」

酒は強くもなく弱くもない


静「ならとりあえずビール二つだな、あと漬け物盛り合わせと枝豆」


ビールは好きでもないし嫌いでもない
まさか先生とこんな形で酒を飲みに行くとは思わなかったが


八幡「先生」


静「君は彼女を先生呼ばわりするのか?」


結構シチュエーションにうるさいタイプなのか


八幡「静…さん」


静「何かね」


八幡「普段からこういうのは利用されるんですか?」


婚活を諦めたのだろうか

静「興味はあった、だが知らん男とサシで飲みに行くのはハードルが高かった」


そこは婚活で鍛えられただろうに…いやそこまで中々漕ぎ着けられなかったのか


八幡「だけどたまたま俺の情報が掲載されてるサイトを見て連絡したと」

静「そんなところだ」


八幡「別に直接呼び出せるんだから俺のバイト通す必要ないでしょ」


静「卒業したとは言え生徒を一人だけ無闇に呼ぶのは気が引けてな」

たしかに卒業してからは一回も連絡は来なかった

先生的には在学中に無闇に呼んでたのはセーフですかそうですか

静「それにしても比企谷」

運ばれてきたビールを煽りながら先生が舐め回すように俺を見る


八幡「なんすか?」


静「きちんと身なりに気を使っているじゃないか」


安くはない金を受け取るんだからこのくらいはする


八幡「彼氏ですから」


静「わはは、良い男だな」


タッチパネルで追加の注文を入力しながら先生が笑う


八幡「静さんも綺麗ですよ」

ピタッ


とタッチパネルを押す指が止まる


静「比企谷…」


え、ちょっとこの人ガチで照れてるんですけど

八幡「から揚げ頼みました?」


フラグを折るべく話題を逸らす


静「あ、ああ頼んである」


八幡「よかったです」


静「…」


ぶっちゃけると照れてる先生を可愛く思ってしまった

そこからは普通な感じで盛り上がり、二軒目も先生のお気に入りの店で飲むことになった

八幡「ほどほどにしてくださいよ」


二軒目は先生がいきなりワインとか飲みだした


静「らいじょぶらぁ」


いや絶対ヤバいからねその呂律


八幡「でもワインもチーズもうまいですよね」



大人なだけあって良い店を知っているんだろう


静「ひっく」


八幡「静さん?」


静「すー…」


なんてこった!先生が潰れちゃった!

最後の気力を振り絞ってくれたのか、フラフラしながら財布を出して支払いをしてくれて店を出た

建て替えるつもりだったが助かったようだ


先生に肩を貸して夜の千葉を歩く

八幡「水飲みますか?」

静「すう…すう…」


肩を貸しているにしても寝息を立てられる器用さに感心してしまった


八幡「ふう、仕方ないか」


幸い先生の家は知っているので送る事にした

八幡「あー疲れた」


初レンタル彼氏は何とも言えない感じで終わりそうだな


静「んー…」


八幡「もう家ですよ」


静「ん」


本当に分かっているのか、短く返事をする先生


もう家は見えている、ラストスパートだ

静「ぐおー」


いびきがオッサン過ぎだろ


八幡「静さん、帰りますからね」


一応帰る旨を伝えてみる

静「ぐおー」


物騒な世間だから念を入れておくか


八幡「家の鍵貸して下さい、鍵掛けたらドアの新聞受けに入れときますんで」


静「むにゃむにゃ…」


完全に夢の世界に旅立ってやがる


八幡「困ったな…」


静「んん…」


八幡「おおっ!?」


寝ぼけたのか腰に抱きつかれる

静「うへへ…」


なんかオッサンくさい笑い方で幸せそうな顔をして頬ずりしてくるんですけど


八幡「静さん起きて下さいってば」


静「や!」


子供か

八幡「子供か」


思わず脳内と言葉がシンクロする


静「比企谷はいい匂いがするなぁ」


酔いが醒めてきたみたいだ


八幡「はいはい鍵貸して下さい」


静「やだ」


やだじゃねえよ

八幡「追加料金取りますよ」


静「私は一向に構わん!」


なんか烈海王みたいなこと言い出した


八幡「酔った勢いで散財し過ぎたら後悔しますよ」


諭してみる


静「君が帰った方が後悔する」


八幡「え…」


不覚にもドキッとする


静「なあ比企谷」


八幡「えっ」


いきなり押し倒される


静「ん…」


八幡「っ!?」


キスされた、しかも舌まで入れてきている


静「ん…ん…」


執拗に舌を絡めて、逃げられないように両手首を掴まれている


静「っはぁ…私だって女なんだ」


八幡「え、っんぅ!?」

何も言わせる気はないのか、またキスで口を塞がれる

抵抗もできずにひたすら口を好き放題犯される


静「君も男だな、硬くなってるぞ」


男の本能には逆らえない

八幡「静さんがずっと


静「先生と呼べ、その方が燃える」


言葉を遮って要求される

八幡「せ、先生…?」


静「ああ…この状況で先生呼びはゾクゾクするな」


何かに目覚めたらしい


静「私に任せてくれ、君は何もしなくていい」


言いながら裸になる先生

こんな女の顔をした先生は見たことがない、艶めかしく微笑みながら俺の服も脱がしていく


抵抗することを忘れて期待してしまっている自分がいた


静「今日は一晩中君を犯すからな」


耳元で囁かれた言葉はどんな言葉よりも甘美なものだった

静「もう入る…んっ…あっ…」


俺はレンタル彼氏のバイトで童貞を失った


八幡「ぁう…」


騎乗位で容赦なく俺の上で跳ねる先生、そのたびに揺れる胸が俺の興奮を掻き立てる


静「あっあんっああああっ!」


もっと快楽が欲しくて俺も先生も一心不乱に腰を振る


八幡「っ…ふっ…」


静「あっああっ!」



八幡「先生、もう…」


射精が近いことが分かったので先生に降りてもらうよう促す


静「ああああっ!」


降りるどころか更にピストンを早められる、マズいこのままだと


八幡「先生!ヤバいです!」


静「あっあっあっあっ!あぁあああぁああっ!」

先生が絶頂したタイミングと俺が先生の膣内で射精したタイミングはほぼ同時だった

静「はあはあ…」


俺に被さるように抱きつく先生


八幡「中に出しちまった…」


しかもまだ先生と繋がったままだ


静「あっあっあっ…」


八幡「先生、まだイッたばっかり…くぅあぁ!?」


この後本当に一晩中一回も抜かずに八回も先生の中に出した

静「いやぁやはり若い男はタフだな」


一晩中セックスをしたとは思えないほど活き活きした表情で先生は言う


八幡「その、子供とか出来たらマズいんじゃ…」

静「ん?安全日だしアフターピルも飲むから大丈夫だ」


意外と抜け目ないな


八幡「ならいいですけど」


静「やはり本物の男は違うな」


八幡「本物?」


静「ああ、君が私の初体験の相手だ」


八幡「え?でもあんなに喘いでたのに…」


静「大人のオモチャで開発してな」


引き出しからけっこうな数の大人のオモチャが出てきた



八幡「…」


静「昨日から今日にかけてありがとう、追加料金だ」


そう言って三万円を渡される


八幡「ありがとうございます」


静「また頼むよ」


静さんは少し寂しそうに言った

運営の取り分の送金を済ませてからはひたすら眠り、目覚めたのは夕方だった


八幡「腹減ったな」


小町はバイトか部活だから食えそうな物を物色する


八幡「なんもねえ」


そういえば近所の弁当屋が宅配サービスしてたな、頼んでみるか。

から揚げ弁当大盛を頼んで待つ、引きこもりを助長させちゃうんじゃないのかこの素敵なサービス

八幡「しかも収入源はヒモみたいだしな」


ワーオ、クソ野郎だな俺

そんなことを考えてたらピンポーンとインターホンが鳴った

平八「ワシが男塾塾長、江田島平八である!」くわっ

八幡「ひぃ」

八幡「はーい」


愛しのから揚げ弁当大盛が来たのでドアを開けると


結衣「ヒッキー久しぶり」

八幡「チェンジ」


招かれざる客が来たので18禁のデリバリーの常套句を口走る


結衣「チェンジってなんだし、430円払えし」


から揚げ弁当大盛はちゃんと来たようだ

いらないオマケ付きで


八幡「なんだ、弁当屋でバイトか?」


結衣「うん、料理の勉強にもなるしさ」


八幡「…食えるもんに430円請求してるんだろうな?」


から揚げ弁当大盛食ったら死んでたなんてシャレにならん


結衣「あたしが作ったんじゃないからね?」


八幡「ほっ…」


結衣「マジで安心すんなし!」


安心するに決まってんだろこちとらお前の作った物質に悶絶させられてんだぞ

八幡「おっと、430円だな」


財布から千円札を取り出して渡す


結衣「あれ?ヒッキーお金持ちだね」


八幡「人の財布の中身見てんじゃねえよ」


結衣「ごめん、見えちゃって」


不可抗力か、恩師を抱いて稼いだ金だからどうも後ろめたい


八幡「お釣り」


結衣「はい、570円」


八幡「ん、よく計算できたな」


結衣「えへへ」


馬鹿にしたのに照れてやがる

結衣「ありがとうございました」

礼儀正しくお辞儀をして去る由比ヶ浜


八幡「サンキュー」


結衣「また注文してね!」


八幡「はいはい」


もう二度と利用する事はないだろうな

から揚げ弁当大盛を食い終わると手持ち無沙汰になる


適当にジャンプ読んだりしているとまたチャイムが鳴った


八幡「佐川かヤマトか」

ネット通販とかしてないのにな、小町か?


八幡「はーい」


ドアを開けると


結衣「やっはろーヒッキー」

私服に着替えた由比ヶ浜がいた

八幡「チェンジ」


結衣「だからチェンジってなんだし」

バイトのまかないだというから揚げ弁当大盛を何故か俺の家で頬張る由比ヶ浜、それを超嫌そうな顔をして見つめる俺


お構いなしに飲み物を要求する由比ヶ浜、超嫌そうな顔で麦茶を出してしまった俺


何で麦茶出してんだよ俺!バカじゃねぇの俺!?

結衣「ごちそうさま、おいしかったー」


八幡「さいですか」


金銭的な損失は皆無だが精神的な損失は甚大だ、さっさと人の家をイートイン代わりに使うアホを排除しないとな


八幡「じゃあ帰れ」


結衣「えー、せっかく久しぶりに会ったのにヒドくない?」


てめぇも大概だろうが


八幡「大方俺が買ったから揚げ弁当大盛を見て食いたくなって、バイトを上がる時に同じもん頼んだけど我慢できなくなって俺んちに来たんだろ?」


結衣「お弁当はついで、ヒッキーと話したくてさ」

何の邪気もなくさらっと言われて戸惑ってしまった

八幡「…」


結衣「どっか行こうよ」

八幡「は?」


結衣「飲みに行こうよ」


酔っ払いに喰われたばっかだから嫌だ


八幡「俺から集る気か?」

昨日は恩師から料金飲食代含めて七万以上集ってるけどな俺


結衣「割り勘に決まってんじゃん」


八幡「ん?」


結衣「え?」


こいつの狙いが分からない

八幡「俺の財布の中身見て奢らせようとか思ったんじゃねえの?」


結衣「何言ってんの?久しぶりに会えたから一緒に遊びたいだけだよ?」

あれ?こいつまともじゃね?

八幡「飲みに行くっつったって店の当てはあんのか?」


昨日先生に連れて行ってもらった店に今日別の女を連れ込める神経はない


結衣「うーん、チェーンの居酒屋とかかな」


八幡「和○は行かんぞ」

結衣「○民はあたしもちょっとね」


ブラック企業滅ぶべし


八幡「んじゃ適当に歩いて決めるか」


結衣「やったー!」

結局某チェーン居酒屋の白木○に決まった


八幡「乾杯」


結衣「カンパーイ」


八幡「ふう、今更だけど飯食って来るのも変な話だよな」


結衣「お酒メインだからいいかなって」


八幡「適当につまめるやつ頼むか」

タッチパネルってコミュ障にとって最高の設備だと思う


結衣「なんこつ唐揚げあったよね?」


八幡「おう、フライドポテトいるか?」


結衣「うん」


八幡「だし巻きいいな」

結衣「あ、シーザーサラダもお願い」


八幡「あいよ」


ざっと好きなものを頼んだのでお通しを食べながら酒を飲む


結衣「やっぱあたしたちってカップルとかに見られるのかな?」



八幡「さあな」


結衣「…ヒッキーすごく冷静じゃない?」


八幡「それの何が悪い」

結衣「変だよ、ちょっとくらい嫌がるとか照れるとかするじゃん」


そういえばフラットな気持ちで答えてたな


結衣「あたしなんか顔真っ赤にして聞いたのになんか嫌だ」


八幡「ん?赤いのは酔ってるからじゃねぇの?」

酒弱いのかとか思ってたのに


結衣「カシオレちょっと飲んだくらいで酔わないし!」


八幡「そうか」


結衣「それよりヒッキー、もしかして彼女出来たの?」


レンタル彼氏ならしてますが


八幡「いねえよ」


結衣「…怪しい」


八幡「挙動不審なのはいつもの事だろ」


結衣「挙動不審じゃなくなってるからおかしいの!」


えらい言われようだな


八幡「俺挙動不審と思われてたのか」


結衣「そうだよ、でも今日一緒にいてもすごく落ち着いてるもん」


八幡「男子三日会わざれば刮目せよって奴だな」

結衣「どういう意味?」

料理が来たので手始めにサラダを食べながら説明する


八幡「お前が俺と会わない内にだって色々あって、何かしら変化しててもおかしくないってこった」

けっこう意訳してるが


結衣「…」


八幡「説明が分からないか?」


もっと噛み砕くとなると何を例えたらいいやら


結衣「説明は分かったよ」


八幡「ならよかった」


結衣「じゃあさ、前まで彼女とかいたの?」


八幡「…え?」


レンタル彼氏はどう答えればいいのか分からずフリーズする


結衣「そっか…いたんだね」

話があらぬ方向に行っている


八幡「いや、そういうわけじゃ…」


あくまでも商売としての彼氏だからはいもいいえも言えない気持ちはある

結衣「別にいいじゃん隠さなくて」


言葉とは裏腹に表情が曇っている


八幡「…」


恐らく由比ヶ浜は俺の沈黙を誤解したまま受け取る、それでも弁解する言葉が出てこない


由比ヶ浜の中で解は出ている、事実とは誤りがあってもそれは由比ヶ浜の出した答えで、真実を答えられる俺が沈黙でしか答えない、ならば誤解は真実よりも遥かに現実味を帯びてしまう。


今さら誤解を解く事を怠った事を後悔した

結衣「それで、どんな人だったの?」

明らかな作り笑いで由比ヶ浜が聞く


八幡「…年上の、社会人だった」


たしかに俺は彼氏だった、恋ではなく金で彼女とデートをして恋ではなく金で彼女を抱いて、時間が来たから別れた。

恋ではなく金で彼氏をした


結衣「ヒッキー専業主夫したがってたもんね」


八幡「まあな」


結衣「なんで別れちゃったの?」


八幡「割り切ってたんだよ、お互いにな」


まさに金の切れ目が縁の切れ目の関係だった


結衣「え?人妻とか?」

八幡「違う、結婚はしたがってた」


今も結婚したがってるんだろうな


結衣「ああ、ヒッキーが学生だから怖くなったんだね」


在学生は怖いだろうが卒業生ならイケるんだけどな


八幡「多分な」


結衣「やっぱりショックだった?」


八幡「そうでもなかった」


コースと延長で時間分かってたしな


結衣「強がってない?」

八幡「弱音はすぐ吐くタチでな」

結衣「それは嘘だよ」


八幡「?」


たしかによく嘘はつくが今回はノンフィクションだぞ?言い回しが紛らわしいだけで


結衣「ヒッキーって一番辛いとこは絶対見せないもん、平気なように見せて知らないとこで落ち込むでしょ?」


さらにいただきました珍回答

八幡「いやいやマジで平気だって」


結衣「ホント素直じゃないよね」


とか言いながら対面していたのに隣にべったりくっついてきた

八幡「なんだいきなり」

結衣「あたしも彼氏いなくてさ、っていうかいたことないんだけど」


男いたら俺とサシで飲みに誘いはしないだろうよ

八幡「そうか」


結衣「だから、さ…あ、あたしが失恋中のヒッキーを慰めてあげよっかなーって…ね?」


今にもパニック寸前の奴が何言ってんだ


八幡「顔赤いぞ」


結衣「いちいち言うなし!」


お、さらに赤くなった

八幡「大体俺を慰めるって、お前がわざわざ慰める意味あるか?」


さっきまで人の家でから揚げ弁当大盛食ってた奴の行動じゃねえよ


結衣「いいから大人しくしろし」


そう言って由比ヶ浜は俺の頭をなで始めた


八幡「…」


結衣「早く元気出しなよ、次の彼女は絶対うまく行くって」


根拠のない保証ほど困るものはないんだが

獲物を狙う野犬のようにも見えなくもない

>結衣「いいから大人しくしろし」

>結衣「早く〇〇〇出しなよ、〇〇〇〇〇〇絶対うまく行くって」

あかん八幡犯される

八幡「なんなんだ全く…」

結衣「気にしないの、あたしが好きでやってるだけだし」


酔狂な奴だな


八幡「酔ってんだろお前」


結衣「ちょっとね」


じゃないとこんなこっぱずかしい事しねぇな


八幡「人の頭なでる前に料理食おうぜ」


結衣「そうだね」


注文した料理を平らげる前に四杯ずつ酒も楽しんだ

八幡「ちょっと飲み過ぎたか」


足元がふらつくのが分かる


結衣「ほらヒッキーしっかり歩く」


意外と由比ヶ浜って酒強いんだな


八幡「お前は大丈夫なのか?」


由比ヶ浜「あたしはカルーアとカシオレだけだし」


女子か

ああ女子だった


八幡「鏡月って回るな」

水割りでもこうなるしな

結衣「ビールとかワインとか色々飲むからだよ」

チャンポンって怖いな


八幡「ちょっとそこのベンチ座っていいか?」

このまま歩いたらこける

結衣「うん、ちょっと危ないもんね」


八幡「すまんな」

結衣「はいお水」


すぐそこの自販機で買ってくれたみたいだ


八幡「いくらだ?」


結衣「いいよこのくらい」


酔っ払いに親切な奴だ


八幡「サンキュー」


一気にペットボトルの半分くらい飲む

うめぇ


八幡「あー…」


結衣「大丈夫?」


八幡「大丈夫だ、問題ない」


一番いいのを頼む

結衣「…」


由比ヶ浜が俺を見つめる

八幡「…」


どうやら俺は完全に出来上がっているようだ


結衣「すー…はー…」


何で深呼吸してるんだろうこいつ


八幡「由比ヶ浜?」


結衣「えいっ」


八幡「んぁ…?」


いきなりキスされた


結衣「…前の彼女ともこんなことしてたの?」


頭が働かない


八幡「あー…」


結衣「っ…」


一瞬悔しそうな顔をしたと思ったら次のキスは舌を入れられた


結衣「ん…ふっ…」


八幡「…」


頭がボーっとして何も考えられない


結衣「ぷはっ…ヒッキー、ホテル行こ?」


八幡「…」


由比ヶ浜がとんでもない事を言い出したのに反応ができない


結衣「ほら行くよヒッキー」


腕を掴まれてそのまま近くのラブホテルへと連れて行かれる

フロントから鍵を受け取り部屋へ入る

結衣「うわあ…こんな風になってるんだ」


八幡「…」


広いし薄暗いしたしかにムードがある


結衣「先にお風呂入りなよ」

酔い醒ましにちょうどいいか

八幡「…」


結衣「へぇ…ふぅん…」

由比ヶ浜はラブホテルの内装に夢中のようだ

風呂に入り、入れ替わりに由比ヶ浜が入る


八幡「はあ…」


少しは酒が抜けたがまだふらつく、ベッドに寝転がってさらに酒が抜けるのを待つ

結衣「こらヒッキー!起きろし!」


怒鳴り声ではっとする


八幡「あ…?」


どうやら寝ていたようだ

結衣「っていうか何で服着てるの?」


そういう由比ヶ浜は全裸だ


八幡「おま…何で裸」


結衣「いいから脱げし」

由比ヶ浜に全裸にされる俺


八幡「あれ?」


ああそうか、酔っ払って由比ヶ浜にホテルに連れ込まれて風呂入って…寝てたのか


結衣「ヒッキー…」


抱きつかれてディープキスされる


八幡「む…」


結衣「ふっ…んっ…」


先生よりも貪るように口内を舐め回される

結衣「ちゅっ…ちゅばっ…」


キスはそこそこに全身を満遍なく吸ってくる


特に首筋は強く吸われた


結衣「く、口でしてもらったりした?」


八幡「いや…」


そういえばフェラは未経験だな


結衣「そうなんだ」


嬉しそうに硬くなったモノをしゃぶりだす由比ヶ浜


八幡「っ…」


結衣「ん…ん…」


気持ちいいというよりも征服感があって興奮する

八幡「ぅっ…ぁぅっ…」

由比ヶ浜はしゃぶるのをやめ


結衣「あたしの胸吸って?」


言われるがまま由比ヶ浜の胸にむしゃぶりついた

結衣「あんっ…やっ…」

乳首を舌で転がしながら由比ヶ浜の割れ目をなぞる


結衣「あっ…んん…」


身をよじらせ悶える由比ヶ浜


じっくり時間を掛けて由比ヶ浜の割れ目を濡らしていく

そろそろいいか

八幡「入れるぞ」


結衣「うん…来て」


対面座位で由比ヶ浜の処女を奪った


開発してしまった先生と違い、由比ヶ浜の体重を利用しないと入らないくらいキツい


結衣「っ…」


破瓜の痛みに健気に耐える由比ヶ浜


八幡「ふっ!ふっ!」


容赦なく腰を打ちつける

結衣「いっ…ん゛っ…」

痛みに耐えながら声を押し殺している様にさらにピストンを早める


八幡「もう…出るからなっ…うっ…」

十分に濡れていてキツい由比ヶ浜の中で俺は射精した

八幡「はあはあ…」


結衣「い、痛い…」


八幡「大丈夫か?」


出したばかりの倦怠感を無理矢理振り切り由比ヶ浜を気遣う


結衣「うん、ヒッキーだから我慢できた」


八幡「そうか」


結衣「ヒッキー気持ちよさそうだったね」


八幡「気持ちよかったからな」


結衣「えへへ…」


ティッシュで中に出した精子と血を拭いた後はしばらく由比ヶ浜と無言で手をつなぎながら抱き合っていた

朝が来た

由比ヶ浜と風呂に入る


結衣「…」


八幡「…」


お互いに無言のまま体を洗い湯船に浸かる


結衣「…また飲みに行こうね」

八幡「ああ」


今回に関しては由比ヶ浜の方から酔った俺をホテルへ誘ってきた


酔っていた事も手伝って由比ヶ浜を抱いた


そして由比ヶ浜は『また』飲みに行こうと言った

結衣「連絡先変わってないよね?」

八幡「ああ」

結衣「また連絡するね」

こいつ都合のいい女ポジションに収まろうとしてね?


八幡「本当にそれでいいのか?」


結衣「だってヒッキーの一番はまだ元カノでしょ?」


一番もへったくれもないんだが


八幡「別にそういうわけじゃない」


結衣「いいよ気を遣わなくてもさ、いきなり忘れる方がおかしいもん」


八幡「…」


結衣「のぼせちゃうから上がろっか」


八幡「そうだな」


ホテルを出て二人で近くの喫茶店で朝食を食べて解散した


太陽が黄色かった

家に帰ってすぐに眠り、昼過ぎに目が覚めた。

レンタル彼氏の出勤の連絡はない


冷蔵庫をチェックすると小町が買っておいてくれたのか食料品が十分あった


今日は平和に大学をサボって平和に引きこもろう

家から一歩も出ない事を決意した

買い置きのどん兵衛を食ってひたすらダラダラしていると夕方になった


小町「ただいまー」


小町が帰ってきた


八幡「おかえり」


小町「お兄ちゃん昨日と一昨日夜いなかったけどどしたの?」


八幡「ちょっとな」


先生と由比ヶ浜を抱いてましたとか言えない


小町「もう、買い物大変だったんだからね」

八幡「すまん」


小町「まあいいや、今日は夜出ないの?」


八幡「家から出ないぞ」

小町「まったくお兄ちゃんは…」


柄にもないことし過ぎて疲れてるからな

リビングで兄妹仲良くダラダラと過ごす

えもいわれぬ安心感


これが本来の俺のベストスタイルであって女を抱くのは色々疲れる


あれはあれでいいものではあるが


小町「お腹空いたね」


八幡「あー」


小町「近所のお弁当屋さんって宅配してたよね」

マズい、いやから揚げ弁当大盛はうまいが由比ヶ浜と会うのがマズい


何がマズいって気マズい

八幡「昨日から揚げ弁当大盛食ったから別のがいい」


小町「あれ?昨日出掛けてたのにお弁当屋さん頼んだの?」


八幡「食ってから出掛けた」


小町「ああそういうこと」


八幡「ココイチがいい」

小町「カレーいいね」


ひとまず難を逃れたようだ

カレーを食って一段落する


八幡「たまにはいいな」

小町「ね」


小町がゴミを捨ててくれるので、引き続きダラダラする


小町「ん?お兄ちゃーん?」


八幡「どうした?」


小町「お兄ちゃん昨日お弁当二個も食べたの?」

八幡「え?」


オーマイガッ!


小町「お弁当のゴミ二個あるじゃん」


八幡「あー、ちょっとな」


言い訳が思いつかず濁すしかない


小町「誰かと一緒に食べてたの?」


八幡「そんなところだ」

小町「ふーん?」


普通なら根掘り葉掘り聞かれる事でもないだろうが、友達のいない俺がこの家で誰かと食事をする異常さは小町が気付かないハズがない


小町「…怪しい」


小町の厄介な勘の鋭さが俺に牙を向けてくるのが分かった

八幡「由比ヶ浜だよ、あいつと食った」

どうせ話すまで粘られるだろうからさっさと白状する


小町「結衣さんと!?いつの間にそんな仲に!?」


食いつき良すぎませんかね小町さん、井上公造かと思ったわ


八幡「さっき頼もうとした弁当屋でバイトしてるらしくてな、配達に来たんだよ」


小町「結衣さん一途だねぇ」


八幡「バイト終わった後にわざわざこの家に来て飯食いやがった、だから弁当のガラが二つってわけだ」


そして真実はいつも一つだが必要のない細部を話さなければ隠したい部分の迷宮入りはさせることが可能


小町「それって夜お兄ちゃんがいなかったことと関係あるの?」


もうやだこの妹

八幡「ある、飯食った後に二人で酒を飲みに行ってな」


小町「おー!何か大人!」

八幡「大したことじゃねえよ」

小町は高校生だから十八禁の内容は話したくはないが…


小町「まさか朝帰りしたのって…」


そう言いながら俺の頭を嗅ぎだした


小町「お兄ちゃんのバカ!」


シャンプーの匂いであっさりバレた

小町に正座をさせられる

八幡「…」


小町「あのねお兄ちゃん、酔った勢いでもやっちゃいけない事ってあるよね?」


すみませんこれ初犯じゃなくて二回目なんです


八幡「…」


言い訳や弁解は余計話がややこしくなるから黙っておく


小町「そりゃ結衣さんだってお兄ちゃんだから体を許したんだろうけどさ」


むしろあいつからホテルに誘ってきた感じだけどな


小町「下手したらもう小町叔母さんになっちゃうし、付き合ってもない内からはよくないんじゃないの?」


二時間程小町の説教を受けた

ガハマの原作での所業

・犬のリードを離し事故の原因を作り八幡を大怪我させる
・犬を庇った八幡に一年間も直接お礼を言いに来ない
・御礼と称して木炭クッキーを渡すなど人の常識としてあり得ない事をやる
・面識が殆どない八幡に「ヒッキー」と失礼な渾名を付けてキモいなどの暴言を吐く
・事故の事がバレても謝るでもなく落ち込むだけ、終いには「馬鹿」と吐き捨てる自己中ぶり
・夏祭りの時も八幡が居た堪れなくなってるのにそれに気付かない
・文化祭の時もクラスの手伝いばかりで奉仕部は放置してたくせに雪乃を責め八幡に責任を背負わせる
・修学旅行の依頼の件で戸部の依頼を強引に押し切り厄介事を奉仕部に持ち込む
・アニメ2期の冒頭で事情を知っていてクラスの連中と一緒に八幡の事を笑っていた
・空気読めるとか説明されてる割にはクッキーや夏祭りの件の様に八幡を困らせてばかり
・加えて八幡と雪乃が進展するのを邪魔して自分の恋愛感情を八幡の気持ちも考えずに押し付けてばかり
・材木座の事も汚物の様に扱って、依頼も殆ど放置の無責任ぶり
・優しいと言ってもそれは自分が都合がいい時だけ、都合が悪くなれば手の平返して保身を優先する上っ面の偽善
・11巻で雪乃に弱みに付け込んで八幡への恋愛感情を封じる提案をする

普通の神経を持った人なら嫌いになって当然じゃないですかね
これほど「ガイジ」という言葉が似合う糞女いなくね性根が何もかも腐り切ってる

小町「まったくもうお兄ちゃんは…」

説教が終わり解放される

八幡「…」


しかし二時間に及ぶ正座でまともに立ち上がれなくなってしまった


小町「どうしたのお兄ちゃん?」


八幡「足が痺れて立てない」


小町「手貸したげる」


小町に手伝ってもらって何とか立ち上がる


八幡「うおぁあああ!」

足に流れる血が足りずに転びそうになる


小町「お兄ちゃん!」


小町もろとも床に転がる

八幡「いてえ」


小町「…」


転んだせいで目を見開いた小町が俺を凝視したまま硬直している

ん?何やら柔らかい感触が


八幡「あ」


小町の小さい胸を鷲掴みにしていた


小町「なななななな…」

八幡「悪くない形だな、うん」

プツンと音がして


小町「お兄ちゃんのバカ!」


バチンと強烈なビンタを喰らった


八幡「ぐへっ!」


小町「…」


怒っているはずなのに小町は俺の胸に顔をうずめてきた

小町「お兄ちゃんっていい匂いするよね」


知らんがな


八幡「いや洗剤とか同じだろ」


小町「ううん、お兄ちゃんはお兄ちゃんの匂いがするよ」


自分の匂いは分からないが、小町からは普段と同じ洗剤と普段と同じシャンプーの匂いしかしない

小町「兄妹なんだけどなーいい匂いだなー」


俺の胸に顔をうずめたまま深呼吸をしだした

過呼吸起こすぞ


小町「小町ね、お兄ちゃんの匂いが好きだからお兄ちゃんのシャツとか着てるんだよね」



八幡「そうなのか」


イマイチ俺の匂いというものが分からないが、好きなら好きでいいだろう

小町「他の男の人の匂いはあんまり好き嫌いないんだけどね、クサイのはヤダけど」


八幡「よしよし」


甘えてきた妹をあやすのは嫌いではない

小町「結衣さんと付き合うの?」


八幡「分からん」


たしかに由比ヶ浜を抱いたがそれとこれとは話は別だ


小町「ふーん、ヤリ捨てってこと?」


八幡「人聞き悪いな」


襲った襲われたよりもそこは悩みの種ではある

ガハマの原作での所業

・犬のリードを離し事故の原因を作り八幡を大怪我させる
・犬を庇った八幡に一年間も直接お礼を言いに来ない
・御礼と称して木炭クッキーを渡すなど人の常識としてあり得ない事をやる
・面識が殆どない八幡に「ヒッキー」と失礼な渾名を付けてキモいなどの暴言を吐く
・事故の事がバレても謝るでもなく落ち込むだけ、終いには「馬鹿」と吐き捨てる自己中ぶり
・夏祭りの時も八幡が居た堪れなくなってるのにそれに気付かない
・文化祭の時もクラスの手伝いばかりで奉仕部は放置してたくせに雪乃を責め八幡に責任を背負わせる
・修学旅行の依頼の件で戸部の依頼を強引に押し切り厄介事を奉仕部に持ち込む
・アニメ2期の冒頭で事情を知っていてクラスの連中と一緒に八幡の事を笑っていた
・空気読めるとか説明されてる割にはクッキーや夏祭りの件の様に八幡を困らせてばかり
・加えて八幡と雪乃が進展するのを邪魔して自分の恋愛感情を八幡の気持ちも考えずに押し付けてばかり
・材木座の事も汚物の様に扱って、依頼も殆ど放置の無責任ぶり
・優しいと言ってもそれは自分が都合がいい時だけ、都合が悪くなれば手の平返して保身を優先する上っ面の偽善
・11巻で雪乃に弱みに付け込んで八幡への恋愛感情を封じる提案をする

普通の神経を持った人なら嫌いになって当然じゃないですかね
これほど「ガイジ」という言葉が似合う糞女いなくね性根が何もかも腐り切ってる

小町「どこのホテルのか知らないけどこのシャンプーもいい匂いする」


ひたすら匂いを嗅がれる

八幡「駅前からすぐのラブホテルのな、名前忘れたけど」


小町「くんくん…」


犬かこいつは


小町「隙あり」


八幡「!?」


小町はたった今とんでもない事をしでかした


小町「結衣さん結構独占欲強いんだね、首筋にキスマーク付けてる」


八幡「おま…今…」


軽くではあるがマウストゥマウスをかましやがった


小町「ちょっと妬いちゃった」


そう言った小町は妹ではなくメスの顔をしていた

小町「あはは、そんなんだからお兄ちゃんは結衣さんに連れ込まれちゃうんだよ?」


八幡「…」


妹に唇を奪われた事実に頭の処理が追いつかない

小町「本当に無防備だね、もっとスゴいコトしちゃうよ?」


また唇を奪われた、今度は舌を拙く絡めて


小町「ん…はむ…」


俺の首に手を回して逃げられないようにして貪ってくる

小町「むぅ…ん…はあ…」

苦しくなったのかキスから解放される


八幡「兄妹でこんな事おかしいだろ!」


小町「小町はお兄ちゃん以外でこういうことしたい人いないよ」


完全にスイッチが入っている


八幡「お前…」


小町「もっと結衣さんと綺麗な恋愛してくれてたら応援できたのに、そんな爛れた関係になってたら小町でもよくない?」

八幡「いいわけないだろ」


小町「小町の気持ちも考えないお兄ちゃんの気持ちなんか知らない」

その言葉の意味は、どう考えても兄である俺に対して兄以上の気持ちを抱いていた事になる


小町「女の体で遊びたいなら小町の体で遊べばいいんだよ!小町はそれで幸せだから!お兄ちゃんも遊べるなら幸せでしょ!?」


恐らく小町は、俺に気持ちをぶちまけたかったんだろう


抑えていた分怒気にも似た感情だ


小町「小町のことも…ちゃんと見てよ…」

俺は今まで妹を妹として見てきた

妹の下着姿を見ても何とも思わなかったし、抱きつかれようが胸を揉もうが一切妹に女を意識しなかった

しかし、この状況でメスの顔のままに涙を流している妹の顔にとてつもない劣情を催してしまった

八幡「どうなっても知らんぞ」


小町「うん…来て、お兄ちゃん」


もう妹ではなく、もう兄ではなく、オスとメスが獣のように交わるのだ


八幡「小町…」


小町「お兄ちゃん…」


お互い裸になり、幼さの残った妹の体を愛撫する

小町「ひゃうっ…」


八幡「できるだけ優しくしてやるからな」


耳元で囁く


小町「ふ…あ…」


感じやすいタイプなのか小町の割れ目はすぐに愛液で濡れてきた


八幡「エロ妹め」


小町「言わないでよ…あんっ…」


膣内に指を入れずに満遍なく小町の秘部をなぞる

小町「っ…んっ…あああ…」


どうやら淫乱の素質があるようだ、もう絶頂を迎える寸前になっている


八幡「…」


小町「え…」


少し意地悪をしたくなり、イク寸前まで愛撫して止める


小町「やぁ…イカせて…」


何回も何回も寸止めを繰り返す

小町「はあ…はあ…本…当…に…イカ…せ…て…」

愛液が溢れてきたのにイク事ができない、イカせて欲しいと懇願する小町に対して優しい俺は


八幡「分かった」


小町「っーーーーー!」

思い切り小町の秘部をなぞった


小町「かひゅっ…あああああ!?」


イッタ直後に更に手を早める


小町「っーーー!」


とうとう小町は潮を噴いた

小町「っ…はっ…はっ…」

焦らした分絶頂も大きかったのか、声にならない嬌声を上げて虚ろな目をしている


八幡「入れるぞ小町」


小町「ちょっ…待って…い゛っ…!あ゛あ゛っ!?」


問答無用で小町の秘部に俺のペニスを一気に突き刺す


八幡「おっ…キツいな…」


小町「ぐっ…う゛っ…」

妹の処女を散らして快楽を得る為に腰を振る

八幡「ふっ…ふっ…ふっ…」


小町「っ…ん゛っ…」


痛みに耐えながらも俺の首に腕を回す小町


八幡「イク…」


中出しはマズいのでペニスを引き抜こうとしたが

小町「…中に出して」


小町が俺の腰に足を回して無理矢理中出しをするしかなくなる


八幡「うっ…あああ!」


実の妹に中出しをしてしまった

小町「ん…」


中に出しきっても小町は俺を解放せずにキスをしてくる


八幡「…」


とうとう妹に手を出してしまった


背徳感と言葉にできない快感にも似た感情が俺を支配する


小町「お兄ちゃんのケダモノ」


八幡「うるせえ」


いつもの兄妹に戻ろう


そして二度と小町を抱く事はないように


小町「溜まったらまたシようね」


あの快楽をもう一度味わえるならば俺は…


八幡「…気が向いたらな」


妹をセフレ同然にできることは、俺を狂わせるのに充分な誘惑だった

妹と風呂に入ってから自室に戻りスマホをチェックしてみるとレンタル彼氏のバイトの辞令メールが来ていた


また先生だろうか
今度はららぽーとで待ち合わせとなっていた


八幡「金あるな先生」


明日のデート用の服を用意して寝た

余裕をもって30分前に到着

遅刻は公共交通機関の遅れ以外はよろしくないので早めに待っておく


八幡「…」


レンタル彼氏って意外と需要があるんだな

俺みたいなのでも指名もらえるし、何より割もいいときてるもんな


世の中色んな商売があるんだな


「あ、いたいた」


本当に世間は狭い


先生よりも金があって男にも困る筈のない嫌がらせマシーンが俺を指名しやがったようだ


八幡「…雪ノ下さん」


陽乃「ひゃっはろー」


相変わらずの完璧な立ち居振る舞いで意地の悪い笑顔を浮かべている


もうこのバイト辞めようかな

陽乃「はい、先払いなんだよね?」


そう言って封筒を俺に手渡す


八幡「何とお呼びすればいいですか?」


陽乃「シンプルに陽乃でお願い」


レンタル彼氏として必要な確認事項を聞きながら封筒の金を数えるが明らかに多い、ていうか料金の三倍はあるんだけどなんだこれ


八幡「多すぎますけど」

陽乃「あたしからの気持ちだからね」


レンタル彼氏の規定上は料金の半分を振り込みさえすれば後の金は取り分となるが、ちょっと遠慮してしまう金額だ


八幡「受け取れませんよこんな大金」


陽乃「次指名する時、逃げられない為にちょっと色付けたんだよね」


先を読んでけつかる

八幡「どんな感じのデートにしたいですか?」


金を受け取った以上プロとして要望を聞く

本当はそういう事を聞かずに察知してさり気なくエスコートするのが理想だが

金持ちのデートの知識や経験があるはずもないので仕方ない


陽乃「大阪行きたい」


八幡「は?」


大阪ってあの大阪だよな?


陽乃「本場のたこ焼きが食べたくなっちゃってね」

銀だこで我慢しろよピュアセレブ

八幡「今からですか?」

陽乃「うん、新幹線ですぐだし」

もしこの人がレンタル彼氏を利用するとして、いきなり関東から関西に行きたいとか思ってるのを察知できる奴は、別の商売で雪ノ下さん並みのセレブの仲間入りを果たすだろう


陽乃「えっとね、大阪駅と難波駅をブラブラしたいな」


八幡「俺でも知ってる定番スポットですね」


陽乃「じゃあレッツゴー」


これが終わったらすぐバイト辞めよう

新幹線のグリーン車へ乗り込んですぐのこと


陽乃「…」


八幡「…」


真剣に大阪のガイドブックを読んでいる雪ノ下さんとグリーン車の快適さを堪能する俺がいた



陽乃「ねえ八幡」


八幡「はい陽乃さん」


雪ノ下さんを名前で呼ぶだけで鳥肌が立つが、表情を崩さず返事をする


陽乃「焼き肉は好き?」


草食系男子(妹と恩師と元クラスメートは喰う)でも焼き肉は好きだ


八幡「はい、好きです」

陽乃「そう、じゃあ焼き肉の本場の鶴橋ってとこも行こっか」


八幡「えっ?」


今日中に帰れるのか?


陽乃「551どのくらい買って帰ろうかなー」


嫌がらせマシーンは今日もフル稼働なようだ

陽乃「zzzzz…」


八幡「…」


ひとしきりガイドブックを読んだら寝てしまった、俺にもたれかかって


陽乃「zzzzz」


八幡「…」


無防備な雪ノ下さんの寝顔はこの世のものとは思えないくらい綺麗だ

あと超いい匂いがする


チンコ勃ちそう


まあこんな上玉抱くチャンスなんてないだろうから大阪を目一杯楽しもう

陽乃「イクジナシ…」


八幡「?」


陽乃「zzzzz」


寝言か、嫌がらせマシーンのくせに可愛いとこあるんだな

およそ三時間ちょっとで新大阪駅へと到着した


陽乃「んー…」


背伸びをして巨乳を強調している様にまた勃起しそうになったのを理性で抑える


八幡「着きましたね陽乃さん」


陽乃「速いよね新幹線」

雪ノ下さんが寝ている隙に俺もガイドブックを読んだが、大阪駅周辺はキタ、難波駅周辺はミナミと言うらしい


八幡「一駅で大阪駅に行けるみたいですね」


便利なもんだ


陽乃「たこ焼き食べよ」

八幡「どこがいいですかね」


陽乃「何軒か見てみようよ」


こうして大阪をブラブラする事になった

八幡「…」


ひとしきりガイドブックを読んだら寝てしまった、俺にもたれかかって


陽乃「zzzzz」


八幡「…」


無防備な雪ノ下さんの寝顔はこの世のものとは思えないくらい綺麗だ

あと超いい匂いがする


チンコ勃ちそう


まあこんな上玉抱くチャンスなんてないだろうから大阪を目一杯楽しもう

陽乃「イクジナシ…」


八幡「?」


陽乃「zzzzz」


寝言か、嫌がらせマシーンのくせに可愛いとこあるんだな

東通りでカウンターのあるたこ焼き店があったので一軒目はそこで食べる事になった


陽乃「おー、アツアツだね」


八幡「うまいです」


さすが本場なだけあってベストなたこ焼きが食べられる


陽乃「お酒飲む?」


八幡「まだ昼ですよ」


陽乃「昼から飲むなんて贅沢で楽しいじゃない」

そう言いながら生ビールを二つ注文する


八幡「大阪LOVERはわがままジュリエットだったんですね」


陽乃「うれしい!たのしい!大好き!だからついね」


Marionetteをいびるのがだろうな

まさに暴威


陽乃「これ飲んだらどこ行こうかなぁ」


八幡「大阪と言えばあれでしょ」


陽乃「あれだね」

八幡「串カツですよね」

陽乃「北新地にいいお店があるみたいだよ」


ガイドブックによると高級志向のエリアらしい


らしいというのもガイドブックの参考予算額が高かったからなので実際はあまり分かってない


陽乃「お会計お願いします」


支払いをしてもらい店を出て北新地に向かう

類は友を呼ぶという言葉がある


ヤンキーはヤンキーとツッパっていくし


ぼっちはぼっちを哀れみ合ったりしていて


ロックな奴らはロックな奴らと連むようになる


北新地という土地は雪ノ下さんのようなセレブの巣窟だった


類として友に呼ばれない迷える子羊は居心地が悪い


陽乃「なんで緊張してるの?」


八幡「住む世界が違いすぎて…」


串カツって多分庶民の食べ物なのにこの店はアホなのか一本二百円からスタートしてるもん


会計エライ額になんだろこれ


あ、でも寿司も元は庶民の食べ物だったから高くなっても不思議はないか?

いややっぱりあるな

八幡「うまいですね」


陽乃「お店の雰囲気もいいし関東にも出店しないかな」


値段が値段なだけに品の良さとソースのパンチの強さが素晴らしいバランスで共存している


金持ちは普段からこんなもの食ってんのか、そりゃ喧嘩しないわ


陽乃「そういえば、関西のうどんって色が薄いんだよね」


八幡「あ、聞いたことあります」


うどんとそばの人気も関東と逆らしい


陽乃「うーん、ここ出たらミナミ行こうか?」


八幡「そうしましょう」

ミナミに到着

もう夕方になろうとしていた


八幡「ここが竹内力が住んでたミナミですか」


陽乃「いや別に住んではないんじゃないかな?」

八幡「え?そうなんですか?」


陽乃「意外と八幡って天然?」


八幡「天然?俺が?」


捻転のが近い気がする


陽乃「可愛いとこあるんだね」


心なしか雪ノ下さんの目が光ったような気がする

八幡「たこ焼きと串カツの次は何にしますか?」

陽乃「お土産ターイム」

八幡「わーわー」


551とか食べたいしお土産にしたいよね

道頓堀にお土産屋があったので見てみる

陽乃「551は商店街にあるはずだから後ね、好きなの選んでよ」


八幡「陽乃さんは?」


陽乃「あたしは551だけで十分だから」


気を遣ってくれたらしい、嫌がらせマシーンのはずなのにバグったようだ

陽乃「送れるから荷物の心配もないからね」


八幡「ありがとうございます」


無難そうな土産を数種類買って送っておいた


便利な世の中だ

テスト

酉忘れたから今度からこれで行くわ

土産を送って商店街の551で豚まんを買った後、俺のスマホに着信が入った


小町からだ


八幡「…」


陽乃「あれ、妹ちゃんから?出てあげなよ」


八幡「いいんですか?」

陽乃「いきなり大阪に連れ出したからね、ビックリさせちゃうだろうからさ」


遠慮なく電話に出る


八幡「もしもし?」


小町『もしもしお兄ちゃん?今日何時くらいに帰る?』


八幡「最終に間に合ったら0時ちょい前にそっちに着くよ」


陽乃(千葉に戻る時にそのフレーズ使うのかぁ…)

小町『最終?お兄ちゃん東京にでも行ってるの?』


八幡「大阪なう」


小町『はあ!?』


めっちゃ驚いてる

なんとなくレンタル彼氏の話は伏せつつ陽乃さんと大阪に来ていることを説明する


八幡「というわけなんだなこれが」


小町『陽乃さんに代わって』


八幡「ちょっと待ってろ」

レンタル彼氏を伏せた説明をしたので察してくれているのか頷きながら陽乃さんが電話を代わる


陽乃「はいはーい♪お義姉ちゃんだよー♪」


小町『どうもです、いきなり悪いんですけど小町はもうお姉ちゃんがいらなくなりましたんで』


陽乃「ん?どういう意味かな?」

八幡(何話してんだろう)


小町『今すぐ大阪から帰って来て下さい』


陽乃「まだ焼き肉とか予定あるからなぁ」


小町『それならお兄ちゃんだけでも帰らせて下さい』


陽乃「えー、でも八幡あたしの彼氏だし」


小町『は?』


えげつない爆弾発言を投下してくれやがったぞこの嫌がらせマシーン


すかさずスマホを奪い取って通話を切る

すぐに小町から着信が来るが無視を決め込む


八幡「なにとんでもない事言ってくれてるんですか陽乃さん」


陽乃「え?そこまでとんでもない事かな?」


このアマ…いや、これに関しては妹と肉体関係のある俺が異常であって陽乃さんからすればちょっとからかう程度の感覚なのか


陽乃「妹ちゃん相手なのになんか彼女に浮気がバレたみたいになってない?」


八幡「陽乃さんと俺が釣り合うわけがないから慌てたんです」


努めて平静を保ちながら言う

陽乃「…」


八幡「…」


しばし沈黙、目と目でさぐり合う

陽乃さんは真実を


俺は嘘を真実と思わせられたかをさぐり合う


陽乃「まあいいや、デートの続きしよっか」


八幡「そうしましょう」

俺は一つミスをした


俺の嘘は通用していた


普通は妹と肉体関係を持つなど選択肢に上がらないから


妹が兄に対して兄以上の気持ちを抱くとは思うはずがないから


電話を代わらせて判断材料を増やしたところでそれは絶対に揺らがない常識だから


俺のミスは単純明快


陽乃さんのデートの再開の提案に目に見えて安堵をしてしまった


安堵で出たため息を陽乃さんが見逃すハズがなかった


恐ろしく頭の良い陽乃さんに、僅かな疑念と情報から答えに辿り着くのに十分な時間を与えてしまった

鶴橋で焼き肉を食べた後

もう新大阪へ向かわないと間に合わない時間になった


八幡「そろそろ帰りますか」


陽乃「どっちなのかな?」


八幡「はい?」


質問の意図が読めずに聞き返す


陽乃「さっきの妹ちゃんの電話の意味、八幡に本命の彼女がいて、それを知ってるから妹ちゃんが驚いたのか」


時が止まる


陽乃「妹ちゃんが八幡を大好き過ぎて束縛するようになっちゃったのか」

時は刻一刻と過ぎている
なのに時は止まったままだ


陽乃「はたまた両方、もしかしてそれ以上なのかな?」


人間図星を突かれると動けなくなることを身をもって思い知る


陽乃「…ふぅん、悪い男になっちゃって、お姉ちゃん悲しいな」


嫌な汗が流れる

八幡「そんなんじゃ」


陽乃「そんなんじゃなかったらそこまで固まらないよね♪」


笑顔だが目と声が笑っていない


八幡「…」


陽乃「で?何人抱いたの?」


八幡「さ、三人です」


観念して正直に話すことにした


陽乃「妹ちゃんも含めて?」


八幡「はい」


陽乃「鬼畜だね」


八幡「…」


陽乃「その三人とどんな感じだったか教えてよ」


俺の時間は止まっているが実際は一秒たりとも止まったりなんかしない


このやり取りで今日中に千葉に帰る方法を失ってしまった


諦めて洗いざらい話すためにミナミのバーで飲む事になった

順を追って説明すると、陽乃さんはいつもの感じに戻っていた


陽乃「酔っ払い相手と酔った勢いと素面相手全部体験してるんだね」


八幡「言われてみればそうですね」


陽乃「で?どれが一番良かったの?」


八幡「選べませんよそんなの」


そんな余裕なかったしな

陽乃「贅沢な話だね」


八幡「陽乃さんこそいくらでもいるでしょう?」

陽乃「何言ってるの?いないよ?」


八幡「またまた」


百人斬りとかしてそうだし


陽乃「あたしってそんなに軽い女に見えるの?」


八幡「軽くは見えませんけど経験豊富には見えます」


陽乃「それ結構傷つくんだけど」


八幡「すみません」


嫌がらせマシーンにダメージを与えられたらしい


陽乃「店出よっか」


八幡「そこまでショックでしたか?すみません」

陽乃「ショックはショックだけど一晩中飲むのもなんだからどっか泊まろうって言ってるんだよ」

八幡「そういう事ですか」


会計を済ませ宿泊施設を探すべく店を出る

スマホで調べるとすぐ近くに部屋が空いているホテルがあったのでチェックインする


陽乃「ふう、ちょっと一休み」


ベッドに腰掛けて陽乃さんがいう


八幡「まさか生まれて初めての大阪で陽乃さんとお泊まりするとは思いませんでした」


陽乃「嫌だった?」


意外にも気にするのかそんなこと


八幡「新鮮だし、一回くらいなら楽しいです」


食い倒れの街と呼ばれるだけあって、比較的安価で質の良いものが食べられるのは魅力的だと思う

陽乃「たまには思い切り羽目外したくてさ」


八幡「…なるほど」


普段の振る舞いは魔王だが本来の立場的には囚われの姫君に近いのか

しがらみやらなんやらエグそうだもんなハイソサエティー


八幡「大阪は楽しめましたか?」


彼氏としてというよりかは、魔王の配下みたいな心境で聞いてみる


陽乃「うん、楽しかった」


仮面の外れた優しい笑顔で答える陽乃さん


八幡「寝ますか」


陽乃「そうしよっか」


歯を磨いておねんねすることにした

チェックインした部屋はツインベッドなのでちゃんと別々に寝られるようになっている


陽乃「ねえ八幡」


八幡「はい」


陽乃「そっち行っていい?」


八幡「いいですよ」


今は彼氏なので彼女の言うことは聞けるものなら聞いてあげるのが彼氏というものだろう


陽乃「ありがと」


俺のベッドに入る陽乃さん


八幡「…」


陽乃「あの…ね?頭撫でてくれない?」


八幡「…へ?」


予想外な事を言い出した

陽乃「ほとんど誰かに甘えたことないからさ」


長女としても囚われの姫君としても色々と我慢を強いられてきたのだろう

八幡「よしよし」


陽乃「えへへ…」


気持ちよさそうに頭を撫でられる

八幡「…」

魔王の面影はどこへやら、いたいけな少女のような柔らかい表情で俺に甘えている


陽乃「んー」


頭を擦り付けてくる

いい匂いがする


八幡「たまには誰かに甘えないとですよね」


陽乃「うん、もっと撫でて」


庇護欲と言えばいいのだろうか、いかがわしい気持ちを抱かずに一晩中陽乃さんをあやしていた


八幡「…ん?」

パッと目が覚める

いつの間にか寝てしまったようだ

陽乃「おはよう」


八幡「おはようございます」


いつもの陽乃さんに戻っている

マジで可愛かったなあの陽乃さん


陽乃「…」


八幡「どうしました?」

陽乃さんがこちらを見つめている


陽乃「なんかすごく恥ずかしい…」


あ、今もめちゃくちゃ可愛いわ

陽乃「うー…」


可愛くモジモジすんなフォーリンラブしちゃうだろ


八幡「陽乃さん、そろそろ帰りますか?」


陽乃「うん…」


千葉に戻るまで陽乃さんはずっとそわそわしていた


千葉に戻ってすぐのこと

八幡「着きましたね」


陽乃「え?う、うんそだね」


何かよそよそしい、多分陽乃さんとは二回目のレンタル彼氏の仕事はないだろうな


八幡「大阪楽しかったです、ありがとうございます」


陽乃「…本当に?」


八幡「はい、次はもう少し準備してから行きたいですけどね」

楽しかったのは嘘も偽りも一切ない

急だったから焦ったが、それ以上に新鮮な事ばかりで良かった


貴重な経験でもあるし、金払いもいいとなれば素晴らしい


陽乃「あはは、大阪まで着いてきてくれてありがとう、またね」


八幡「はい、また」


雪ノ下さんはいつものように去っていった


運営への振り込みを済ませて家に帰った

家に帰ると小町が玄関で仁王立ちしていた


八幡「ただいま、大阪土産送ったけど届いてるか?」


小町「お兄ちゃん、陽乃さんと何してんの?」


わかってはいたが土産ではごまかせないか


八幡「旅行になるな」


小町「何で?」


八幡「…」


レンタル彼氏としてってのは言い辛い、答えに窮する


小町「お兄ちゃんモテるねー、結衣さんに小町に陽乃さんにまで手を出しちゃうなんて」


その前には先生もいるし、雪ノ下さんに関しては手を出していない、出してないことの弁解は難しいが


八幡「何でこうなっちまったのやら」



小町「お兄ちゃんがだらしないからだよ、ちゃんと一人に決めないと刺されるよ?っていうかすでに小町もお兄ちゃん刺したいし」


目が据わってる、ガチで刺すやつだこいつ


八幡「…」


恐怖で動けないでいると

小町「今日は小町がお兄ちゃん独り占めするからね」


そう言うと妹に押し倒され、ひたすら妹に体を貪られた

小町を抱いた…抱かれたの方が正しいだろうか


行為の後風呂に入り添い寝をして寝付いた小町を確認して外へ出る


一度一線を越えると抵抗がない、俺も壊れてしまったようだ


少し一人になりたくなって当てもなく千葉を歩いてみる


静かに酒でも飲もうとふと目に付いたバーへ入る

オーセンティックな落ち着いたバーだ、年齢層は高めでハタチの坊やにはそぐわない


八幡「ビールを下さい」

長居はせずに数杯飲んで帰るので無難な酒を注文する


すぐにビールが出てくると半分くらい飲む


八幡「ふう…」


バーテンもあまり話し掛けるタイプではないようで、淡々と仕事をしている


気に入ったので通おうか考えていると


カランカランと店の入り口のドアが開く
バーテンは淡々と事務的にいらっしゃいませと俺から二席離れたカウンターへ手招く


沙希「…」


川島か、久しぶりに見たな

だからといって話す用事もないから知らんぷりを決め込む


沙希「テキーラサンライズで」


かしこまりましたとバーテンは慣れた手つきで注文通りに提供する


沙希「あんたもお酒飲むんだ」


八幡「…」


沙希「ちょっと」


八幡「え?あ、俺?」


まさか俺に話しかけてくるとは思わず焦る


八幡「大して飲めないけどな」


沙希「ふうん」


知り合い同士だと察したバーテンから席の移動を促される

川なんとかさんの隣りに座り話を続ける


沙希「良さげなお店だね、ここにはよく来るの?」


八幡「初めて来た、今のお前みたいに良さげだと思ってな」


沙希「そう」


八幡「…ん?ちょっと待て、お前は何でこの店に入った?」


店に入ってから良さげだと思うということは、こいつも一見って事になる

沙希「さっきあんたを見かけて声掛けようか迷ってたらこのお店に入ったからあたしも入った」


八幡「なんで?俺のこと好きなの?」


沙希「うん…あ」
八幡「おいおい冗談に決まって…え?」


沙希「…あんたが好きだからあんたを追い掛けてこのお店に入った」


八幡「!?」


俺っていつ川なんとかさんとフラグ建てたっけ!?

八幡「そんなお前に好かれるような事したか?」

沙希「が、学費の件とか色々あったでしょ」


八幡「ああ、スカラシップか」

沙希「あれで気になってて、由比ヶ浜とか雪ノ下とかと仲良さそうにしてるの見てて、嫉妬してるうちに本気で好きになってた」


もう三年位は経つんだけどな


沙希「結局あんたらどうにもならなくて安心してたけど、進学先違うから会いたくても会えないし何してるかなんか分からないし、やっと見掛けたと思ったらお酒飲んでるし…」


八幡「す、すまん」


沙希「謝らなくていい、あたしに度胸がなかったから三年掛かったんだから」


八幡「開き直ってね?」

沙希「もう開き直るしかないでしょ、あんたが好きなんだから」

心なしかバーテンがニヤニヤしている


八幡「いきなりそんな事言われてもな」


沙希「分かってる、今はとにかく連絡先教えて」

八幡「いいけど」


八幡は川なんとかさんの連絡先をゲットした


沙希「えへへ…」


すげぇゴキゲンになってる


八幡「まさか一見で入ったバーで告白されるとはな」


沙希「勢いで言ったから今になって恥ずかしくなってきた」


八幡「俺まで恥ずかしくなるだろ言うな」


沙希「あはは、一緒にご飯とか行こうね」


八幡「お前に惚れるかは知らんぞ」


沙希「好きにさせる」


八幡「…乾杯」


沙希「乾杯」


カチンとグラスを鳴らして他愛のない話で盛り上がった

数杯飲んで帰るつもりだったので切り上げる


八幡「そろそろ帰るわ」

沙希「予定とかあるの?」


八幡「元々長居する気がなかっただけだ」


沙希「…もう一軒行かない?」


時計を見るとまだ開いている店がある時間だった

会計を済ませて店を出る

釣銭を受け取る際にぼそりと『プレイボーイですね』って言われたんだけど誤解だからな?


直接バーテンに弁明する時間的余裕がなかったのが惜しい


沙希「どこ行く?」


八幡「飯は食ったか?」

沙希「まだ」


八幡「俺も」


バーで出された簡単なナッツ類だけでは物足りない


八幡「…」


そういえば肉バルってのが最近流行りらしい


近くにあったはず
レンタル彼氏でのデートコースの引き出しとして行ってみるか


沙希「比企谷?」

八幡「ああすまん、行ってみたい店があってな」


沙希「ふぅん」


八幡「一人だと行きづらいからちょうどよかった」


沙希「どんなお店?」


八幡「そりゃ着いてからのお楽しみだ。ってか俺も楽しみだ」


千葉駅からほど近い肉バルへと向かう事になった

肉バルとやらに到着
席へと案内される


沙希「おしゃれなお店」

八幡「だから入り辛かったんだよ」


沙希「なるほどね」


八幡「飲み物は?」


沙希「ウーロン茶でいい」

八幡「俺も」


飲み物と目に付いた合鴨のカルパッチョと鶏のもも肉の燻製を頼んでおく

八幡「ほい取り皿と箸」

沙希「ありがとう」


職業病と言えるのかは分からんが気配りが少しは身に付いた気がする


飲み物と同じタイミングで合鴨と燻製が来る


沙希「お疲れ様」


八幡「お疲れ」


軽く乾杯をして酒と肉を楽しむ


沙希「合鴨もカルパッチョもおいしい」


八幡「ハラミも気になるな」


沙希「あたしは唐揚げ」

八幡「すみません注文お願いします」


気になったメニューとハンバーグを頼む


沙希「…」

八幡「どうした?」


沙希「あんたがこういうとこ慣れてるみたいだから」


数えるほどだが似たようなおシャンティーなとこ行ってるしな
大阪とかでも経験値は稼いでいる


八幡「まあ何回かはな」

沙希「先生と?」


ギクッ

と本当に音が出るんじゃないかというくらいギクッとした


八幡「知ってたのか?」

沙希「高校の頃に由比ヶ浜から聞いた、たまに合コン失敗した先生の愚痴に付き合わされてるって」


その程度の認識か、ホッとした


八幡「ヤケ酒も付き合わされるようになってな」

金と身体を絡めてな

沙希「へえ、そうなんだ」


少し不機嫌な顔になった

八幡「妬いてんの?」


沙希「…うん」


意外と素直だなこいつ


八幡「可愛いな」


沙希「本当に思ってる?」


八幡「今のは誰が聞いても可愛いだろ」


沙希「他はどうでもいい、あんたは本気でそう思ってくれたの?」


八幡「もちろん」


沙希「そう…」


機嫌が良くなった

和やかに話が弾んだ


沙希「ここの料理作れるかな」


八幡「たしかにうまいから作れるなら食いたいな」


沙希「鴨は肉が手に入りづらいからあれだけどハンバーグとか唐揚げなら大体は再現できるかも」

八幡「マジか、弟妹に作ってるからか?」


沙希「まあね、今は一人暮らしだからたまにしかそんなの作らないけど」

八幡「ん?一人暮らししてんのお前?」


沙希「バイト詰め込んだらなんとかやっていけるから」


八幡「なるほどな」


沙希「お金掛かる趣味もないし、あんたのおかげでやってけてるのもあるけどね」

意外と奉仕部って役に立ってたんだな、今の方がクソだ


八幡「元の成績がいいからだろ」


沙希「それでもあんたには感謝してる」


まっすぐに感謝されるような男じゃないんだがな

沙希「…感謝はしてるけど、なんであの二人のどっちかと付き合ったりしなかったの?」


八幡「いきなりだな」


沙希「どうしても気になって」


八幡「人を好きになるってのが分からなくなっててな」


沙希「…」


八幡「こじらせてここまで来ちまった、自分の気持ちと向き合うとか都市伝説なんじゃないかって思っててな」


間違いなく二人を特別に思ってはいたが惚れているのか憧れているのか、はたまた別の理由で眩しく感じていたのか区別がつかなかった


そして今も分からないままだ


沙希「あいつらの気持ちに気付いて逃げてるよねそれ」


八幡「あいつらの気持ちを確認する意志がなかったし、あいつらも伝える意志がなかったもんでな」


沙希「後悔してないの?」


八幡「それすらも分からん」

根本的な部分をうやむやにしたからか俺的には何一つ始まっていないわけだしな

沙希「面倒くさい奴」


八幡「冷めただろ?」


沙希「この程度で冷めてたら何年も好きでいられるわけないでしょ」


八幡「…」


一途な気持ちを向けられても応える気はない


沙希「あんた相手だと手順がいるのはよく分かった」


八幡「その手順とやらでお前を好きになるかは分からんぞ」


沙希「何もできなかった高校の頃よりもマシにする、すごく後悔してたしね」


もういいや、今の状況全部ぶっちゃけよう

沙希「…」


八幡「ロクな男じゃないんだよ俺は」


人に尽くすタイプなら尽くし甲斐のある相手に尽くした方が幸せだろう

誠意を見せる気が無いことを端から言えば川崎も諦めるだろう


沙希「すごく…ショックだよ」


八幡「だろうな、こんなクズ野郎に狂うのはオススメしないぞ」


沙希「たしかにあんたの言うとおりだよね」


八幡「だろ?やめとけやめとけ、地雷物件だぞ?」


沙希「でも好きだよ」


八幡「はあ?」

沙希「あんたの妹だけは気持ち悪いけど、他の連中の気持ちは分からなくもない」


八幡「俺もクソキモイだろうが」


沙希「惚れた弱みで許してあげる」


八幡「アホかお前」


沙希「話がぶっ飛び過ぎて逆に腹が決まった、絶対あたしを好きにさせる」

こいつも大概ヤバい奴なんじゃないのか?


沙希「最後にあたしのとこに戻って来てくれたらあたしの勝ちだから、もうそれでいい」

八幡「お前男運ないんじゃね?」


沙希「あんたも女運悪くない?」


八幡「お前はいい女だからそりゃないな」


沙希「そういうとこが女を狂わせるんじゃないの?」


八幡「え?何で?」


沙希「…ほんっとにあんたは」


俺が何か言っても物事は好転する事がなかったと言っても過言ではない


八幡「大した事言ってないだろ」


悪化は数え切れないくらいあった


沙希「好きな男にいい女なんて言われたら舞い上がるでしょ」


だから影に徹して生きてきた


八幡「今まで好きな子にいい男なんて言われなかったもんでな」


誰に見向きもされずにひねくれて腐って惨めな人生だった


沙希「これからあたしを好きになっていい男になったら嫌ってほど言ってあげる」


いつからか何かに真剣に向き合う事を恐れていた

八幡「可能性はかなり低いぞ、どっちもな」


沙希「ゼロよりマシ」


そんな俺に川崎は真っ直ぐに気持ちを伝えてきた

八幡「…」


沙希「あんた以外考えられないから」

八幡「重い女だな」


真っ直ぐな気持ちに対してすらひねくれた返し方しかできない自分が嫌いだ


沙希「この重さであんたを尻に敷いてあげる」


八幡「マジかよ」


いやいや真っ直ぐにも程があんだろこいつ


沙希「あんな事聞いて動揺すると思った?甘いよ」


八幡「だな」


沙希「しかもいい女とか言ってくれたからね」


本当に俺には勿体ないいい女だなこいつは

八幡「そろそろ帰るか」

沙希「そうしよっか」


こんないい女に金を出させる訳にはいかないので全額出そうとしたら


沙希「まともに稼いだお金なら奢らせてあげる」


とか言われたのでとりあえずレンタル彼氏を廃業する事にした

もう朝の近い時間帯、何事もなく川崎を送り、家に帰って小町が寝たままなのを確かめて仮眠を取る


起きたのは昼過ぎだった


八幡「小町は学校か」


レンタル彼氏を辞める事を伝える為に東京の運営事務所に電話を掛ける


八幡「もしもし、お疲れ様です比企谷です、実は…」


辞めたいんですけど

この言葉を伝える前に指名が入っていると言われた


八幡「辞めたいんですけど」


それなら最後に一仕事してから辞めろと押し切られ
なし崩し的にレンタル彼氏の仕事を一つだけ受けることになった


後になって俺はこの最後の仕事を何としてでも断れば良かったと後悔する事になる

少ないとは言え依頼の中で初めて依頼者の家に向かう


運営からメールで送られた住所を見てもピンと来なかったが嫌な予感と胸騒ぎがした


八幡「マジかよ」


見事嫌な予感は的中してくれた


依頼者の住所は雪ノ下の住む高層マンション、雪ノ下の住む号室だった


昔に行ったのは行ったが、住所までは覚えてなかったので、地図アプリを見ながらキョロキョロ見回って進んだのも気付くのが遅れた原因だった


マンションのオートロックの扉の前でバックレるかどうか思案していると


雪乃「いらっしゃい比企谷君、久しぶりね」


扉の向こうから雪ノ下が出てきた


八幡「キャンセル料俺が払うからキャンセルしてくれない?」


雪乃「絶対に嫌よ」


後光でも差すんじゃないかってくらいの眩しい笑顔で切り捨てられた


雪乃「はい比企谷君、先払いなのよね?」


この辺はあの姉あってこの妹ありなのか、料金を大幅に上回る現金を渡してきた


八幡「…どうも」


断っても押し切られるのが分かったので受け取る

雪乃「ふふふ、これであなたは私のものなのよね、部屋に入ってちょうだい?あ・な・た?」


結局最後の仕事を遂行する羽目になった

昔よりもパンさんのグッズが増えている以外特に何も変わらないようだ


八幡「それで雪ノ下」


雪乃「苗字は不躾じゃないかしら?」


八幡「ああすまん、雪乃」


雪乃「何かしらあなた?」


八幡「どうやって知った?」


雪乃「テレビを見ているときに特集があったの、何の気なしに調べてみたらあなたが掲載されているホームページを見てすぐに手配したわ」


恨むぜ○ジテレビ

いやフ○テレビかどうかは知らんけどキッカケはフジ○レビとか言ってたしフジテ○ビの仕業だろう多分

フジテレ○の馬鹿野郎め

八幡「他にめちゃめちゃイケてるレンタル彼氏とかいただろ」


一応弁解すると良かれと思って言っている


雪乃「あなただから呼んだのよ、言わせないで頂戴」



八幡「何じゃそりゃ」


雪乃「あ、あなたが彼氏だったらどんな感じなのか興味が湧いたのよ…」

八幡「お、おう」


金持ちの道楽は分からん

雪乃「お茶を淹れるわ、少し待ってて」


姉妹揃って好みというか趣味というか、嗜好が分からん


雪乃「今日はキームンにしたの」


八幡「ほーん」


キームンとやらが何かは知らんがとりあえず高い紅茶なのは分かった


雪乃「中国の紅茶で品のある味わいが特徴よ、お茶請けもあるから一緒にどうぞ」


八幡「いただきます」


雪乃「…」


何かめっちゃ見てくるんですけど


八幡「うまいな…!」


雪乃「!」


雪…雪乃の表情が明るくなる


雪乃「そうでしょう?私も好きなのよ」


八幡「あんまり分からんけどうまいのだけは分かる」


雪乃「ふふふ、おかわりもあるわ」


こんなお高い午後の紅茶があるだろうか?

奉仕部の時は放課後ティータイムだからノーカンね

八幡「うまかった、ごちそうさま」


雪乃「淹れた甲斐があったわ、お粗末様」


八幡「片付けは俺がやるわ」


食器を下げようとする雪乃を止めようとしたが


雪乃「いいのよ、私が呼んだのは彼氏であってお手伝いさんではないもの」


あっさりフラれた


八幡「金もらってうまいもんもらって悪いだろ」

雪乃「私って意外と尽くすタイプなのかも知れないわね」


鼻歌混じりに食器を洗う雪乃は本当に楽しそうだった

雪乃が食器を洗い終わりさっきまで対面のソファに座ってていたが

今度は俺の隣に密着する形で腰掛ける


八幡「どうした?」


雪乃「甘えたいのよ、あなたは私の彼氏でしょう?」


八幡「そうだな」


そのまま腕を組みながら頭を俺の方に預ける


トゲのない雪乃の破壊力に内心動揺しつつも彼氏を貫けている

雪乃「…」

八幡「…」

かれこれ一時間はこうしているだろうか


予約のコースを延長しても更に二日間楽勝で俺をレンタル出来るだけの金を受け取っている


雪乃「あなたの大学生活は順調かしら?」


不意に雪乃が口を開いた

八幡「単位は大体揃えたぞ」


雪乃「私だって取得出来る分は全て取得したわよ。そうじゃなくて、私のいない学生生活はどうだったかと聞いているの」

八幡「…」


高校を卒業してから、雪ノ下とも由比ヶ浜とも関わらずにキャンパスライフを送ってきた


寂寥感はあった


大学でも友達らしい友達を作らずに、楽に単位をくれる教授をこの腐った目で見抜き、必要最低限の回数の授業に出席して使える時間を生み出しては引きこもっていた


八幡「楽だったな」


雪乃「楽しかったかしら?」


八幡「それはNOだ」


楽だった



楽しかった



全く違う


何もない生活の中で刺激が欲しくてバイトなんか探したのかもな


雪乃「そう、私は寂しかったわ」


八幡「なんだよ、雪ノ下ともあろう者が」


雪乃「あなたと会う前は一人でも何ともなかったの。あなたと出会ってあなたと違う大学に進学して…」

少しだけ俺の腕を掴む雪乃の力が強くなる


雪乃「あなたのいない生活がとても空虚な事に気がついたのよ」

俺は今雪ノ下雪乃の彼氏だ

八幡「可愛いぞ雪乃」


雪乃「私が可愛いのは知っているのだけれど」


この辺は相変わらず可愛くない奴だ


八幡「さいですか」


雪乃「なのにあなたに言われると全く違う意味の嬉しい言葉に聞こえるわね」


前言撤回


クッソ可愛いわこいつ
なんだこの天使…は戸塚だった

そうだあれだ女神だ、女神がおる

雪乃「あなたがいるだけで幸せだわ、うふふ」


八幡「大学、辛いのか?」


あまりの変わりぶりに少し心配になる


雪乃「誰に何をされたというわけではないの、あなたに会いたくて仕方がなかっただけなのよ」


八幡「そうか」


孤独は人を強くしているが弱くもしている

雪乃なりに孤独と向き合った末の決断なんだろう

雪乃「…由比ヶ浜さんは元気にしているかしら」

由比ヶ浜とはあんな事やこんな事があったので意識的に避けていた話題が出た


八幡「さあな」


雪乃「お弁当屋さんでアルバイトしているそうね」


知ってるけどな


八幡「そうらしいな」


雪乃「ほんの数日前にあなたの家にお弁当を配達したそうね?」


八幡「…え?」

雪乃「由比ヶ浜さんから連絡が来て話してくれたわ、全部ね」


一気に緊張が走る


雪乃「お酒に任せてあなたを襲うなんて、はしたないわよね」


雪ノ下は何も変わっていない

そばにいる体温も

腕を絡める力も

声色も

抑揚も何一つとして変化は感じられない


雪乃「ねえあなた」


雪ノ下は俺の耳元で囁く

雪乃「由比ヶ浜さんとのセックスは気持ちよかったのかしら?」

八幡「…」

言葉が出ない
知られたくない事がバレてしまった

恐怖に近い感情が渦巻いては焦りを煽り立てる


雪乃「仕方ないわ、あなたは由比ヶ浜さんに犯された側だものね」


こいつの意図が読めない悋気なのか?

あるいは嘲笑か?


雪乃「ある意味では由比ヶ浜さんにも感謝しているのよ」


感謝?


八幡「どういうことだ?」

雪乃「あなたへの気持ちを素直に伝えようと思えたもの、感謝の一つもするわよ、彼女とは友人でもあるのだから」


由比ヶ浜との事を知っている雪ノ下雪乃に変化は感じられない

雪乃「だけれど、私よりも優位に立っている気になっているのが腹立たしかったわ」


そういえば負けず嫌いだったなこいつ


雪乃「テレビを見ていたのは幸運だったわ、まさかあなたがお金で独り占め出来るだなんて思わなかったもの」


八幡「金の切れ目が縁の切れ目だがな」


雪乃「あなた私からいくら受け取ったの?」


八幡「エグい金額だな」

コースの料金よりもチップの方が遥かに多い金額だ


雪乃「私からすれば端金だけれど、由比ヶ浜さんには不可能な金額よね」

こんな稼ぎ方してる俺が言うのはあれだが、親の金だろうに


八幡「あいつは普通にバイトしてるからな」


雪乃「投資を始めたのよ」


八幡「?」


雪乃「才能に恵まれたようで、株式や為替で簡単に一財産作れたわ」


マジかこいつ

八幡「羨ましい話だな」

つくづく住む世界の違いを思い知らされる


雪乃「それでもお金であなたの気持ちを買えるわけではないことは分かっているの」


八幡「てっきり世界の半分やるから結婚しろとか言い出すんじゃないかって思ったぞ」


魔王か

あ、魔王はこいつの姉貴だった


雪乃「私なら経済力があるから今すぐでも専業主夫になれるって言いたかっただけよ」


八幡「由比ヶ浜に仕返しのつもりか?」


雪乃「All's fair in love and war.」


八幡「は?」


雪乃「恋愛と戦争は何をしても正当化されるという意味で、イギリスのことわざよ」


八幡「イギリスやべえな、恋愛と戦争一緒くたかよ」


雪乃「ただの共通点だとは思うのだけれど、由比ヶ浜さんも手段を選ばないから私もなりふり構っていられないの」

八幡「だからって俺からすれば大金をPON☆って渡すのかよ」


雪乃「あなたがお金で時間を切り売りしているなら、それを利用しない手はないでしょう?」


兵法かよ

やっぱり恋愛と戦争って一緒くたなんじゃねえか?


雪乃「おまけに彼氏でいてもらえるのだから願ったり叶ったりよ」


八幡「おあつらえ向きってか」


雪乃「後はあなたの気持ちを私に向けるだけなのだけれど、これが一番難しいのよね」


こじらせてるからな俺

雪乃「ところで興味本位ではあるのだけれど」


八幡「なんだ?」


雪乃「どんな客があなたを指名しているのかしら?」


八幡「守秘義務があって言えない」


雪ノ下姉妹が揃って指名が被ってるとか守秘義務が無くても言えない


雪乃「当たり障りのない範囲で教えて頂戴」


八幡「あー、俺に人気がないからあれだけど年齢層としては20代から30代だな」


雪乃「年齢が近いのね…」

まあ顔見知りしか指名ないし


八幡「お前も20代だしな」


雪乃「少し妬けるわね」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年05月29日 (月) 18:44:09   ID: A9jsv1wb

ヨスガったw

2 :  SS好きの774さん   2017年05月30日 (火) 07:05:27   ID: ZhhIHBZ-

勃った!

3 :  SS好きの774さん   2017年05月30日 (火) 22:14:36   ID: msCep8s0

これはひどい

4 :  SS好きの774さん   2017年06月11日 (日) 13:40:04   ID: 5pjk-Xyt

続きはよ

5 :  SS好きの774さん   2017年09月20日 (水) 02:19:56   ID: AfDbmF05

更新…だと?

6 :  SS好きの774さん   2017年10月18日 (水) 19:07:15   ID: P9EuCbLT

更新してた!?

7 :  SS好きの774さん   2017年11月16日 (木) 10:07:36   ID: 9kq2jL-l

サキサキ来たぁ!

8 :  SS好きの774さん   2017年12月20日 (水) 20:15:03   ID: KxhTACRP

まさかのサキサキ大勝利

9 :  SS好きの774さん   2017年12月24日 (日) 20:45:19   ID: y20D0Ycg

少しずつでもいい、頑張って

10 :  SS好きの774さん   2017年12月25日 (月) 00:49:53   ID: jluWzZ2Y

サキサキ可愛すぎて辛いんだが

11 :  SS好きの774さん   2018年03月09日 (金) 15:47:23   ID: PpDxLTFD

続きはよw

12 :  SS好きの774さん   2018年09月03日 (月) 12:51:30   ID: UZo5s5bD

続き下さい

13 :  SS好きの774さん   2021年10月23日 (土) 11:05:42   ID: S:kzBT0A

重婚okはカナダだっけ?
全員揃って亡命しないと、比企谷家、雪ノ下家、由比ヶ浜家、平塚家の両親や世間から何されるかわからんぞ。

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