勇者「召喚石を集めて仲間を召喚しろだと?」 (6)

~ウィニペグ城~

王様「そうじゃ。お主には剣も盾も生活必需品も金も与えん。召喚石5000個を与える」

ガラガラガラ

虹色のダイヤモンドが、台車に山積みにされてやってきた。
くれるっつったって、どこにしまえばいいんだ。王様もつくづく能無しというか、常識外れのお方だ。
俺は目の前にぶちまけられた召喚石の一つを拾い上げた。

勇者「これで、仲間を集めろってことですか」

王様「ウム、ただし食費はお主が持て。10人の英雄を養う覚悟がお主にはあるか」

勇者「英雄っても……ねぇ。あまり実感が湧きませんよ。本当に人間が出てくるんですか?」

王様「なら試しに、10連ガチャを引いてみるがよかろう。3000個で引ける」

勇者「この石ころを少しでも減らせるなら、万々歳ですよ」

トゥイーン

戦士「よう! 俺は戦士ってんだ! 一緒に戦場を駆け巡ろうぜ!」

僧侶「あ、あああ、あの……回復なら任せてくくくください……」

魔法使い「私にあまり関わらないで。不快だから」

騎士「我が名はサーマーン。第27代ウィニペグ王に仕えた誇り高き騎士。そなたの盾となること、光栄に思う」

盗賊「オイラは盗賊っつーんだ、素早さとスリなら誰にも負けないぜ」

狩人「僕の矢は全てを貫く!」

猫耳女「アタシは獣人代表ニャ! お調子者とか言われてるけど、体術には自信があるニャよ!」

犬「ワンワン」

馬「ヒヒ―ン」

プリン「プリン……だぜ……」

勇者「……これで全員か」

勇者「どう扱えばいいんだっつーの」


王様「戦闘力の高いキャラを五体メインに据え、残りを控えにすればよい」

勇者「いや……見ただけでは強い奴が誰かなんて、分かるはずないですよ」

王様「仕方がないのう、仕事をやるから10人のキャラを上手く回して魔物を退治してみなさい」

王様から下されたのは、北の洞窟に住まう大蛇の討伐依頼だった。
夜な夜な、近くの村に忍び込んでは畑の大根や人参を食い荒らしているのだという。
もし大蛇が人肉の味を知れば、どんな悲劇が待ち受けているか恐ろしくてたまったものではない。

王様「そこで、お主らに退治してもらいたいってわけ」

勇者「ちょっと待ってください、俺は別に何でも屋なんかじゃあ……」

戦士「やるッ!!!! やるぜッ!!! はやく魔物と闘わせてくれえッ!!!!」

盗賊「オイラもやりたい! ついでに洞窟の財宝もかっさらってやらあ!」

勇者「お、お前ら……!」

騎士「フン……くだらんな。私は行かぬぞ。貴様ら低俗な戦士とは違う」

魔法使い「私もやめておくわ。面倒だから。魔法の研究をしている方が楽しいもの」

王様「さっそく、意見が二つに割れたようじゃな……。勇者、お主ならどう裁く」

勇者「僧侶、狩人、猫耳、犬、馬、プリン。お前らはどう思う」

僧侶「わたくしは、勇者様の決断に従いますわ」

狩人「僕もそこまで……ちょっと試してみたい気もするけど」

猫耳「アタシは断然、受けて立つのニャ! 大蛇なんで細切れにしてやるのニャー!」

犬「わん」

馬「ひん」

プリン「オイ……風が囁いているぜ……汝、巨悪を滅すまで故郷へは還ることあたはず、と……」

勇者「どうやら、多数決で洞窟に行くことが決まったみたいだな」

戦士「うぇーーーーーーーーーーーーい!!!」

盗賊「やったぜーーーーーーーーーーい!!!」

騎士「……チッ」

魔法使い「これだから脳筋は……呆れるわね」

勇者「早くもパーティー内で確執が生まれ始めてるよ……」

王様「私情に囚われず、常に公正な判断を下してゆけ。お主は正義の心を持った勇者なのじゃから」

勇者「はあ……」

王様「では、良い報告を待っているぞ」

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