【モバマス】P「眼鏡は鏡じゃありません」 (31)


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どうかご了承ください。

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○-

私には、尊敬している人がいる。

その人の名前は荒木 比奈。

今をときめくアイドルだ。


デビュー当初はインパクトやわかりやすい華やかさに欠ける、という評価をされていて、いまひとつパッとしないとまで言われていた。

だけど、ユニークさの光るキャラクターや、地道な努力によって徐々に確実に身につけた実力を武器に、少しずつ活躍する舞台を広げていった。

今となっては、押しも押されぬ人気アイドルだと言って言葉が過ぎることはないだろう。


そんな憧れの彼女の隣に立てるのは、私にとって本当に嬉しいことだ。
直接にそれを伝えたことはないけれど。


-○

尊敬する人を聞かれたとき、私にはこう答えると決めている人がいる。

それは上条 春菜、という名前のアイドルだ。


詳しくは聞いていないが、彼女は一度はオーディションで落選し、あわやアイドルになれないところだったらしい。

落とすと決めた審査員は、きっと後悔しているだろう。

彼女は真面目で誠実で、たゆまぬ努力を続けられる人だった。

その地道な歩みの成果である確かな実力とキラリ光る個性を発揮して、今や各所で話題が尽きない人気者だ。


そんな眩しい彼女の隣に立てていることは、素直に光栄だとさえ思う。
気恥ずかしいので、直接言うことはないけれど。


○-

隣に立てている、というのは、私もまたアイドルだからだ。と言っても、彼女ほどの人気はまだ得られていないけれど。


私と彼女が初めて会ったのは、『ブルーナポレオン』という五人組ユニットが結成されたときだった。

松本 紗理奈さん、川島 瑞樹さん、佐々木 千枝ちゃん。それに加えて、私と彼女。

顔合わせのために集められた談話スペースでパッと見るなり、彼女は私の目を引いた。

アイドルはみんなおしゃれで、普段からキラキラしていて、眩しくて。

私にはそんな先入観があった。

だけど、彼女が着用していたのは、上下共に緑色のジャージだった。

どこまでも自然体でソファに座って漫画雑誌を読んでいた彼女に、衝撃を受けたものだ。


「……あの、『ブルーナポレオン』の集合って、ここで合ってますよね?」

「ん? ええ、そうっスよ。どうぞどうぞ、座ってください」

「あ、すみません。……あの、私、上条 春菜っていいます。これから、よろしくお願いしますね」

「ああ、こちらこそ。荒木比奈っス。よろしくお願いしまス」


-○

隣に立ってる、というのは、私もアイドルをやっているからだ。彼女ほどの知名度はないだろうが、デビュー時期が近かったこともあって、ありがたいことに同じユニットに割り振られたりもした。

彼女との初対面は、デビューまもない時期の、五人組ユニットの顔合わせ。

集合場所に一番に到着して、時間潰しに漫画雑誌に目を通していた私に、彼女は丁寧に話しかけてきた。

初見での印象は、ああ、やっぱり可愛い人だな、みたいなものだった。会う前に写真で見ていたけれど、改めて実感した。
可愛らしい服に、整った目鼻立ち。少し気後れしそうだった。

だけど少しだけ、親近感を持ったのを覚えている。

私と同じで、彼女もメガネをかけていたから。


「そのメガネ、おしゃれっスねぇ。どこで買ったんスか?」

「ありがとうございます! お気に入りなんです、これ。キクタってところのですよ」

「へー。今度買うときはそこ行ってみまスかね」

「アフターサービスがしっかりしてますし、品揃えも豊富なのでオススメですよ!」


○-

そこでの出会いをきっかけに、私たちの距離は近づいた。

お仕事でコンビのように扱われることも少なくなかったし、プライベートでの交流もするようになった。

いい意味で力の抜けている彼女と一緒にいるのはとても楽で、それでいて楽しくて。

たぶんフィーリングが合う、というのはこういうことを言うんだろうなと思った。


-○

どことなく似ている私と彼女。

それはたぶんお互いメガネをかけているという表向きの共通点だけじゃなくて。考え方とか、感じ方とか。そういう根本の部分にも、近いものがあるんじゃないかと思う。

私はそれを、ことあるごとに感じていた。

仕事に取り組むとき。
オフに一緒に遊びに行くとき。

何気ない会話をしているときも。


○-

似ている感性。
それは、アイドルというものに取り組む姿勢でも強く感じた。


私はスカウトではなく、オーディションによって今の事務所に所属することになった。

恥ずかしい話ながら、実は一度は落選してしまっている。

自分らしさというものをまるでアピールできなくて、まともに話すことさえできなくて。

面談では審査員さんたちのお眼鏡にかなわなかったのも当然な受け答えしかできなかった。

当時の私は、自分の良いところなんてものに自信がなかったから。
胸を張って長所と言えることもなかった。

たまたま良い機会に恵まれて拾ってはもらえたけれど、その後ろめたさはしばらく取れなかった。


-○

私は、自分に自信がなかった。

驚くことに今いる芸能事務所にスカウトされた私だけど、されたその時は詐欺か何かかとさえ思った。

日陰者で、眩しい場所は避けて通るぐらいだったから。
たぶん、アイドルなんてものとは一番遠いタイプの人間だったんじゃないかとさえ思う。

それでもスカウトを受け入れたのは、やっぱり憧れがあったからだ。

だけど、いざ所属してみれば周りはみんな可愛くて。
なんとも場違いなところに来てしまったものだと思った。

見た目もそうだけど、運動なんかも得意ではなかった。


周りに対して羨望や憧憬の視線を向けたことは、両手でも数えきれないぐらいある。


○-

間違っていたら非常に失礼だけど、私が尊敬する彼女も、たぶん私と同じような気持ちを持っていたんじゃないかと思う。

私とは違って、彼女にはスカウトされたという事実があるし、顔も愛らしくて、落ち着きもあって。

こんなマイナスの感情は似合わないと思う。

だけど、彼女が私と同じように後ろ向きのモヤモヤを抱えていた理由はわかる。


最近は多少風潮も変わりつつあるけれど。
メガネをかけている人は、やっぱり野暮ったかったり、地味に見られることが多いものなのだ。

きっと、そのあたりのことは彼女だって気になっていたんだろう。


-○

誤解だったら謝らないといけないけれど、私の尊敬する彼女もまた、私と同じような不安めいたものを抱いていたんじゃないかと思う。

私とは違って、彼女はオーディションを乗り越えたという実績があって、美人で、大人びていて。

そんなものを持つ理由がないように見える。

だけど、彼女の気持ちは私にはわかる。


人を見た目で判断するな、みたいな。
聞こえのいい言葉はよく飛び交うけれど。

実際はそんなの理想論。

メガネをかけてるってだけで、お堅いって思われたり、大人しそうに見られたりすることは間違いなくある。

彼女も私と同じような経験はあるんじゃないだろうか。


○-

それはともかくとして、自分に自信がなかった私にアイドルとして胸を張るためのきっかけをくれたのは、他ならぬプロデューサーだった。

はじめてオーディションを受けたとき、私は周りの目を気にして、周りにメガネをかけていた人がいないのを気にして。

……胸を張ってメガネをかけていられなくて。

メガネを外して臨んだ。

当落は先に言ったとおり。

残念な結果に終わったその帰り道、私はたまたまプロデューサーと出会った。

あの人は、私の言い訳めいた言葉にそっと耳を傾けて、それからこう言ってくれた。

「メガネの君を採用」、と。


その日から、私にとってのメガネは、野暮ったさや地味さを表す象徴ではなくて、『私が私らしくあるための拠り所』になった。


-○

それはそれとして、アイドルらしさに自信がない私がしっかりと自分の両足で舞台に立てるようになったのは、担当プロデューサーの言葉によるところが大きい。

周りのアイドルたちと比べてしまって、自分の容姿にコンプレックスを持っていた私。
表舞台に出るのには引け目があった。

彼はそんな風にうだうだと後ろ向きな私を、

「アイドルとして推せるビジュアルだ!」

と有無を言わさずに化粧台の前に座らせた。

プロのスタッフさんの魔法のようなメイクの後、仕上げにプロデューサーは私からメガネを取り上げた。

鏡を見たとき、心から驚いた。そこに映っていた自分は、今までの自分よりも明らかに可愛いかった。……はず。たぶん。


その日以降、私はアイドル活動をしているときはメガネを外すようになった。


○-

私は、アイドルとして。
新しい自分として前へ進むために、メガネは外さないことにした。

メガネが呼ぶマイナスイメージなんてものともしない、むしろそんなイメージを覆すような、凄いアイドルになりたい。

そう思った。

私にとっては、メガネがそれくらい大事だったから。

何を言ってるんだと思われるかもしれないけれど、メガネは私の世界を一度大きく変えてくれたから。

はじめてメガネをかけた日のことは、今だってよく覚えてる。

ずっとずっと、ぼんやりとして輪郭がはっきりしなかった私の世界を、パッとクリアに照らしてくれた。

その変化は、本当に大きくて。

『ちゃんと見えない』ということが怖くて、引っ込み思案だった私。

そんな私を、玉砕覚悟だったとはいえアイドルのオーディションに応募できるようになるまで変えてくれて、合格のきっかけまで作ってくれた。

本当に大事な存在だった。


-○

私は、アイドルであるために。
遠ざかっていた眩しい世界に足を踏み入れるために、メガネを外すことに決めた。

新しい姿なら、私でもやっていけるんじゃないかと思えたから。

小さい頃からマンガやアニメが好きで、それが原因か視力は落ち、ずっとメガネ姿だった。

自分を見るたびに地味だな、とため息をついていたけれど、それでも憧れは捨てられなかったんだ。

大好きなマンガやアニメに登場する、可愛らしいヒロインへの憧れは。

もちろん長い間私を助けてくれていたメガネに愛着はあったし、目に異物を入れるというコンタクトに抵抗もあった。

だけど、それをおしてでも、私は新しい自分で新たな世界に飛び込むことを選んだ。

ずっとずっと、心の隅っこでひっそりと大事にし続けてきたもののために。
そうするべきだと思ったから。


○-○

だから、似ていると思っていた彼女が私とは違う選択をしたと知ったとき、彼女に私の選択を否定されたと思ったときは、驚いて、困惑して。そして、少しだけ悲しかった。


「……ええっ!? 比奈ちゃん、本番はメガネ外しちゃうんですか!?」

「え? ……はい、まあ。その予定っスけど。あ、春菜ちゃんはかけたままなんスね」

「そうですよ! 比奈ちゃんもかけましょうよ!」

「いやー、だってほら、自分で言うのもなんでスけど。アタシがメガネかけてたらほんとオタクにしか見えないじゃないスか」

「そんなことないです! 比奈ちゃんは比奈ちゃんです、メガネかけてた方がらしいですよ!」

「……それは、そうかもっスけど。でもやっぱり、外した方がっスね、あのー……か、可愛いかな? と、思うんスよ。アタシは。だから、やっぱ外して挑もうと思うっス」

「うぅー……そうですか……? メガネ、つけてても可愛いのになぁ……可愛いのに、メガネ…………」


○-

彼女にとって、メガネは『枷』なんだろうか。

そんな風に思った。

メガネを外した彼女は、確かに可愛かった。
だけど、かけたままでだって彼女は可愛い。

なのに外すということは、彼女にとってメガネは邪魔なものでしかないのかなと思ってしまった。


-○

彼女にとって、メガネは『武器』なんだろう。
捨てられない、捨てちゃいけないもの。

だけど、誰も彼もがそれを振るえるわけじゃない。

私がそれを捨てようとした理由と意味を、彼女にはわかってほしかった。
わかってもらえないのが、少しだけ残念だった。


○-○

似ているのに。考え方も、感じ方も、思いも。

それでもすれ違ってしまった、私と彼女。

喧嘩したわけじゃない。
揉めたと言うほどのことでもないし、争ってもない。

だけど、一緒に仕事をしているとき、出かけているとき、話しているとき、そばにいるとき。

ほんの小さなささくれのような異物感が時折胸に引っかかった。

痛いわけでも苦しいわけでもない。

普段は気にしないことだってできた。

ただ、ささいなときにそれは小さく私を引っかいて、存在を知らしめた。

思い出したときに残るのは、ほんの少しの淋しさ。


○-○

そうやって私たちがすれ違っていた時間が少しあったけれど、それは比較的すぐに解消されることになる。

『ブルーナポレオン』とは別の、私と彼女だけのデュオユニットのステージ。

『サイバーグラス』としてのライブイベントで。


その時の衣装は、メカメカしい上下に加えて、ユニット名にまさしくふさわしいサイバネティックなメガネをアクセントとしていた。


そのメガネをつけるかつけないかで、私と彼女は真っ向から言い合った。



私は、彼女と一緒にアイドルをやっていきたかった。


お互いの良いところも悪いところも、既にわかっていると思い込んでた。

似ていたから。
出会うまで、同じような道を歩いてきたから。

意見が別れてもなあなあで済ませて、ぶつかり合ったりはしないように過ごしてた。


だけど、こういうのもきっと必要だったんだ。

聞こえのいいことだけを言い合うんじゃない。
うわべだけで触れ合うんじゃなくて、自分の思うところをさらけ出して、心からつながるということが、私たちには必要だった。

解り合うために。
認め合うために。

独りよがりな思いを溜め込むんじゃあなくて。
お互いの思いを共にして、一緒に前へ進むためには。


○-

そのとき、初めて彼女のーー比奈ちゃんの、メガネに対する不安を直接に聞いた。

比奈ちゃんは、私よりもよほど、私が思っていたよりもよほど、メガネが呼んでしまうマイナスイメージを気にしていた。

自分がメガネをかけてステージに出て、周りはアイドルとして認めてくれるのかが不安だ、と。

比奈ちゃんは言った。


自己評価と他者評価はどうしたって違ってくる。
私は、メガネをかけてる比奈ちゃんも外してる比奈ちゃんもどちらもとても可愛いと思っている。
もちろん好みは入るから、みんながそうだとは思わないかもしれない。

だけど、私のひいき目を抜きにしたって、メガネをかけた彼女はきっと魅力的だ。

そんな感じのことを、口から出す前の推敲もせずに伝えた。しっちゃかめっちゃかな表現だったかもしれない。でも、正確な意味は伝わらなくてもよかった。ただ私の思いが伝わってくれれば。


……結果的に、比奈ちゃんはサイバーグラスとしての衣装ではメガネをかけることを承諾してくれた。


-○

一緒に過ごしていればすぐにわかるけれど、彼女はーー春菜ちゃんは、私とは違って『メガネ』が好きだ。

だから、メガネをかけていることが無条件にプラス補正として見えているんだと思っていた。

それは、確かにそうなのかもしれない。
私が知る限りでは、春菜ちゃんはたとえ相手が誰であろうとメガネをかけることを薦めていたから。

だけど、メガネをかけているだけで手放しで褒めるほど、春菜ちゃんは盲目的じゃなかった。
似合っていなければダメ出しもするし、より似合うものを代わりに差し出したりもする。


その春菜ちゃんが、この衣装を着て、このメガネをかけた私はきっと最高に素敵だと言ってくれた。

私自身の腰は引ける。
プロデューサーやメイクさんが作ってくれた、『アイドル・荒木 比奈』という私にとっての私の理想像は崩れるから。

だけど、他ならぬ彼女が、春菜ちゃんがそう言ってくれるなら。

信じてみようと思った。


○-○

ーーライブ当日。
開催前の控え室にて。


「……脱オタして、コンタクトにも慣れてきたんスけどねえ」

「もう、まだ言ってるんですか? ……ちゃんと納得してくれたじゃないですか、あの時!」

「や、わかってまス。……わかってるんスけど、メガネかけて出るの初めてなんスもん。仕方ないじゃないっスかー」

「大丈夫ですから。はい、どうぞ」

「うっス。じゃ、覚悟決めて……」

「そろそろ開演ですからね。………………? あの、早く受け取ってください」

「…………。登場のときは裸眼ってどうっスかね?」

「ダメです。危ないですし。どうぞ」

「や、でもでスね。ちゃんと足元気をつければ」

「まあまあメガネどうぞ」

「押しが強いっス……。わかってまス、かけまスよ、ちゃんと。…………どうっスか?」

「……うん。すごく似合ってます。とっても可愛いですよ、比奈ちゃん。私が保証します!」

「あはは……そりゃ心強いっス」

「ほんとですよ?」

「……ありがとうっス。……よしっ。行きまスか、春菜ちゃん!」

「はいっ!」


○-

『サイバーグラス』以降も、比奈ちゃんは場合によってはメガネをかけたまま表舞台に出てくれた。

だけど、基本的にはメガネを外した姿でアイドル活動に励んでいた。

それはほんの少しだけ寂しいけれど、これ以上私から強く口を出すつもりはない。
ごくたまにではあるけれど、メガネをかけた比奈ちゃんの、プライベート以外の姿を見ることはできるようになったから。

私と同様、比奈ちゃんにも大事にしたいものがあるんだ。
そんな当たり前のことを理解できたから。


-○

『サイバーグラス』としての仕事以降も、そうすべきだと思ったときは、私はメガネをかけたまま仕事に臨んだ。

『メガネをかけた私』はダメなものなんかじゃないって、春菜ちゃんが教えてくれたから。

……まあ、それでもやっぱりほとんどの仕事はメガネを外して裸眼の姿でやっているんだけど。やっぱり、そっちの方が自信は持てたから。

春菜ちゃんが大事にしているものも、私が大事にしたいものも。
どっちも両手で抱えたまま、これからも彼女と一緒にいられるはず。


○-

私は、アイドルとしてやっていくために、メガネを外さないことに決めた。

自分らしく、自信を持って前に進むために。

プロデューサーも認めてくれた私らしさ。
それを大事にしながらこれからも歩いていく。


私が尊敬する比奈ちゃんは、私とは別の方法を選んだ。それは、私では選べなかったもの。


どこか似ている私と彼女。
だけど鏡写しのように同じではない。


全く同じではなかったからこそきっと、私たちは出会って、親しくなって、ぶつかって、今共に歩くことができているんだ。


私は、私が選べなかった選択をとる彼女を尊重する。

そして、変わることを恐れず、前を向いて進む彼女を尊敬するし。


ーー素敵だな、と思う。


-○

私は、アイドルであるためにメガネを外すことを決めた。

新しい胸を張れる自分で、自信を持って前に進むために。

プロデューサーたちにもらった新たな私。
大切な自分をもって、これからも歩いていく。


私が尊敬する春菜ちゃんは、私とは違う選択をした。それは、私じゃ選べなかった選択肢。


どことなく似ている私と彼女。
だけど合わせ鏡のように同じではなくて。


全く同じじゃなかったからこそ、私たちは出会って、触れ合って、すれ違って、今こうして並び立つことができている。


私は、私にはできない方法をとる彼女を眩しく思う。

そして、自分らしさを前面に押し出して強く進んでいく彼女を尊敬するし。


ーー素敵だな、と思う。


○-○

今、隣に立つ彼女と私の目元には違いがある。


「……ふふっ」

「ん? ……どうかしたんスか? 春菜ちゃん」

「いえ。……ちょっと、昔のこととか思い出しちゃいまして」

「え。春菜ちゃんもっスか」

「え、比奈ちゃんもですか?」

「ええ、まあ。……奇遇っスね」

「そうですね」


ライブ会場のスタッフさんから、スタンバイを求める声がかかる。


私たちが一緒に舞台に上がるのは、これで何度目だろう。そして、これから何度一緒に舞台に上がれるだろう?

……そんな先のことは、今はまだわからない。

だけど、今までだって、これからだって。
やってこれたし、やっていける。

よく似ていて、確かに違う私とあなたなら。
同じ目指すところへ向かって、進んでいける。


「……行きましょう! 比奈ちゃん!」

「はいっス! 春菜ちゃん!」


きらきらと光るステージへと続く階段を駆け上がる。
手に手を取って、二人一緒に。





「「せーのっ!!」」








おしまい。


終わりです。

比奈Pだったり加蓮Pだったりするので中間結果が嬉しかったり複雑だったり。どっちも頑張れ。でも今回ばかりは比奈超頑張れと言いたい。でも春菜も頑張れ。

総選挙用のステマSSってこんなのでいいのかな。
よくわかりません。

ご覧いただいた方、まことにありがとうございました。

素敵やん

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