ジャン「ババァ！！ノックしろよッ！！」ﾊﾞｻｯ

ジャン母「何度もしたじゃないか…いつまで寝てるつもりなんだい？」ｺﾝｺﾝ

ジャン（眠ぃ…寝直そ…）ｺﾞｿｺﾞｿ

ジャン母「まったくこの子は…」ﾊｧ

ジャン（無視だ無視…？…なんか寝れねえな…）

ジャン母「こんな調子でこれから大丈夫なのかねぇ…今日から…」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

ジャン（うぇ…なんとなく口の中がしょっぺぇ…）

ジャン（あー…アルミンが言ってた海ってやつをなめたからか…）

ジャン（喉乾いたな…）

ジャン（…）

ジャン（…）

ジャン（…）

ジャン「…はぁ？」ｶﾞﾊﾞｯ

ジャン母「何間抜けそうな顔で間抜けなこと言ってんだい…顔でも洗ってきな」

ジャン「んなことはどうでもいいっ！！なんでテメーがここにいる！？」

ジャン母「こらっ！母親に向かってテメーだなんて言う子供があるか！」ｺﾞｽｯ

ジャン「痛てっ…息子の頭殴る母親なんていねー…」

ジャン母「いるじゃないかここに…それにこれはしつけだよ」

ジャン「くそっ…こっちは寝起きなんだぞ…」

ジャン「…」

ジャン「じゃねぇっ！！何でここにいるか説明しやがれ！！」

ジャン母「そりゃあんたを起こすためじゃないか」

ジャン「そうじゃなくて…なんで！こんな！ところに！」

ジャン母「こんなところって…随分な言い様じゃないか」

ジャン「だっておかしいだろ！！あんたがこんな！！」

ジャン母「こんな？」

ジャン「こんな…」

ジャン「…」

ジャン「ここどこだ？」

ジャン母「なんか様子がおかしいと思ったら…変な夢でも見たのかい？」ｸｽｸｽ

ジャン「…ここ…俺ん家…か？」

ジャン母「やっぱり寝ぼけてたんじゃないか…ほら顔洗ってきてご飯にしましょ」

ジャン「…いやいや…ちょっと待ってくれよ…なんで俺が家に帰ってきてんだよ…記憶にねぇぞ」

ジャン母「まだそんなこと言って」

ジャン「俺は確か…壁外の巨人を駆逐して…海を…それから…」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

ジャン母「あんたが巨人を？よっぽどおかしな夢だったんだねぇ…」

ジャン「それから…それから？…そこから記憶が途絶えてやがる…俺はどうして家で寝ていたんだ？」

ジャン母「どうしてって…ここがあんたの家だからじゃないかい」

ジャン「くっそ話にならねぇ…今調査兵団はどうしてる？」

ジャン母「あんた調査兵団に興味なんかあったのかい？あんたじゃ早死にするだけだやめときな」

ジャン「はぁ？」

ジャン母「悪いことは言わないから憲兵団を目指しなさい…無理でも駐屯兵団にしときなさい」

ジャン「いや…俺もう調査兵団…」

ジャン母「まったくどんな夢見たか知らないけど…あんまり心配させるようなこと言うんじゃないよ」

ジャン「夢じゃねぇ！」

ジャン母「そもそも…」



ジャン母「今日から訓練兵団に行くんじゃないのかい？」



ジャン「…はぁ！？」

ジャン「ちょっと待て！訓練兵団だぁ！？」

ジャン母「だから早く起こしに来てあげたのに」

ジャン「どうなってやがる！？」

ジャン母「だから今日は入団式だって」

ジャン「入団式！？」

ジャン母「あんた大丈夫かい？朝からそう言ってるじゃないか」

ジャン「訓練兵団…」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

ジャン母「風邪でも引いてるのかい？お医者様に診てもらう？」

ジャン「入団式…今は何年だ！？」

ジャン母「そんなこともわからないのかい？やっぱり診てもらった方が…」

ジャン「いいから！早く！！」

ジャン母「はぁ…まったく…今年は…」



ジャン母「８４７年だよ」



ジャン「！！？？」

ジャン「８４７年だと…」

ジャン母「そうだよ…本当に大丈夫かい？お医者様呼んでこようか？」

ジャン「いい…ちょっと一人にしてくれ」

ジャン母「はぁ…まったく…ごはん冷めちゃう前に来なさいね」

ジャン「あ…あぁ…」

ジャン母「本当に辛かったら言うこと」ﾊﾞﾀﾝ

ジャン「…」

ジャン（今が８４７年だとして…今日入団式…）

ジャン（俺が今まで見てきたもの…）

ジャン（巨人…エレン…ミカサ…調査兵団…王…ライナー…壁…海…）

ジャン（あれらが全部…夢だったていうのか…）

ジャン（…そんなはずはねぇ）

ジャン（海のしょっぱさ…街が燃えるにおい…巨人の大きさ…人が巨人に食われる音…立体起動の感覚…）ﾌﾞﾙｯ

ジャン（…俺が…巨人のうなじを…人を…っ！？）ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

ジャン「おえぇ…」ｳｯﾌﾟ

ジャン（鮮明に覚えてる…あれが夢だったていうのか…！？）

ジャン（いや…あれは夢じゃねぇ…）

ジャン（間違いなく現実だった…）

ジャン（少なくとも俺にとっては…）

ジャン（じゃあ今の状況は一体どういうことだ…？）

ジャン（あれが夢じゃなかったとしたら…その逆…）

ジャン（今見ているこの世界が夢ってか…）ﾂﾈﾘ

ジャン「痛ぇ」ﾋﾘﾋﾘ

ジャン（試しに頬をつねってみたが痛かった…この痛みは本物…）

ジャン（感覚も夢のようなどこか朧気のあるものじゃない…）

ジャン（間違いなく夢じゃないと確信できる…）

ジャン（…）

ジャン（最初に何年か聞いた時感じたこと…）

ジャン（まるで時が過去に跳んだみたいだった…）

ジャン（時の逆行…そんな馬鹿なことが起こりうるのか…？）

ジャン（勘弁してくれよ…俺はアルミン程頭がよくねぇんだよ…）

ジャン（俺でも突拍子ないことだとは思ってるが…しかたねぇ…入団式…そこで…）



ジャン「確かめてやる」ｷﾘｯ

ーー入団式ーー

ジャン（なーんて思ってたがよ…）

ジャン（やべぇな…）ｿﾜｿﾜ

ジャン（…）

ジャン（誰一人として知ってる顔がいねぇ！！）ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

ジャン（えっ…何！？まじで夢を見てたのか！？）ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

ジャン（トロスト区が巨人に襲撃されるとこから全部俺の夢が作っていたのか！？）ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ