山城「シティーハンター?」 五月雨「誰ですか?その人?」 (207)

某鎮守府

摩耶(改二)「ったく、こんな時間まで働かせやがって!」

「…来たぞ、いいな?」

摩耶(けど、これで最高翌練度まであと一歩…最高翌練度になったら、提督の奴…)

パシュッ

摩耶「…うっ…」

ドサッ

「よしっ、やったぞ」

「早いとこ、回収して引き上げるぞ」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1493309183

翌日 鎮守府

提督「ふうっ、今日の書類はこれで終わりだ」

山城「…お疲れ様です」

コンコン

大淀「失礼します。提督、大本営より通信です」

山城「…何かしら?…まさか、不幸の手紙?」

提督「おいおい、いくら戦闘が落ち着いて来たとはいえ、不幸の手紙送りつけてくるほど上も暇じゃ無いだろ。 えっと、なになに…」

大淀「提督?どうしました?」

提督「…また、艦娘の失踪事案が発生したそうだ」

大淀「またですか。今月で6件目ですね」

山城「…不幸だわ」

提督「…あぁ。先月からの報告を含めると10件以上…最近こんな報告ばかりだな」

山城「…今度は誰?他の鎮守府とはいえ…まさか、姉さま!?」

提督「落ち着け山城。失踪したのは重巡洋艦…摩耶だ。…なにっ!?友提督の摩耶じゃないか!?」

大淀「…提督と、同期の方でしたね。あの人の摩耶さんじゃ相当な練度だっと思いましたけど」

提督「あぁ。最近話した時には、もうすぐケッコンできる練度だと喜んでたよ」

山城「…そんな高い練度なのに失踪なんて…不幸だわ」

提督「摩耶もあいつの事は嫌って無かったのに…何で…」

コンコン

提督「ん?」

電「失礼します。司令官さん、お客さんなのです」

提督「客?俺に?」

五月雨「はぁ…はぁ…提督さん、お久しぶりです」

提督「君は…友提督のとこの五月雨じゃないか!久しぶりだな。こんな時間にどうしたんだ?随分と息を切らして…」

五月雨「…提督が、憲兵隊に逮捕されました」

提督「なに!?あいつが!?一体何で?」

五月雨「…急に憲兵隊が来て…摩耶さんが失踪した責任が提督にあるって…それで…グズッ」

提督「馬鹿な…。今までの事案でも、何かしらの処分を受けた事はあったが、憲兵隊に連行されたなんて報告は聞いてないぞ」

山城「ブラックな事をしてた訳でも無いのに逮捕だなんて…不幸だわ」

提督「それで、君はそれを伝えにわざわざ?」

五月雨「…これを、提督さんに」

提督「メモリーディスク?」

五月雨「提督が、俺に何かあったらこれをここの提督さんに渡してくれと」

提督「あいつが、そんな事を?」

五月雨「はい。摩耶さんが居なくなってすぐ、次は俺の番かもしれない…もう頼れるのはあいつしかいないって…そう言って私に、渡してきました」

提督「…一体何が入ってるんだ…こいつには…」

鎮守府表門

「確かにここに逃げ込んだんだな?」

「あぁ。間違えない。どうする?」

「ここの提督は用心深い。俺たちだけじゃ潜入しても下手すりゃ返り討ちだ。…まぁ、いい。居場所がわかっただけも上等だ。引き上げよう」

数日後

リョウ「お断りだね」

提督「えっ?」

香「ちょっと、リョウ!久しぶりの依頼だってのに何で断るのよ!?」

リョウ「軍人からの依頼だなんて、怪しすぎるぜ。何かの陰謀とかに巻き込まれるのはゴメンだね」

提督「軍は関係ありません。これは私個人としての依頼です」

リョウ「その割には、さっきから機密がどうだのイマイチ話の内容がはっきりしないみたいだけど?」

提督「……それは」

五月雨「提督さん!」

提督「五月雨!?どうして、ここに!?」

五月雨「私、心配で……提督さんの事助けてくれそうですか?」

提督「…それは、今お願いをしてるんだが…」

五月雨「お願いします。私の提督を助けてください!摩耶さんを助けてください!」

リョウ「……つつみ隠さず話して貰おうか。俺だてプロだ。依頼者の秘密は漏らしたりしないよ」

提督「…はい。改めて、お願いします。彼女たち艦娘のボディーガードをお願いしたいんです」

リョウ「艦娘?」

提督「まず、お二人は深海棲艦をご存知ですか?」

香「前にニュースで騒ぎになった奴よね?海に現れた化物だかって」

リョウ「お宅ら海軍もまったく歯が立たなかったって奴らだろ?もっとも、最近は、新兵器の投入とかで巻き返したとか騒いでたが」

提督「はい。その新兵器というのが彼女たち艦娘です」

提督「ここから先は他言無用でお願いします。……信じて頂けないもしれませんが、彼女たちはかつての軍艦の記憶を持った対深海棲艦の兵器なんです。彼女の場合は旧日本海軍の駆逐艦五月雨としての記憶を持っています」

香「兵器!?こんなちっちゃな子が?嘘ーっ」

リョウ「兵器っていう割には、武器らしいものが見当たらないけど?」

提督「今は外しておりますが、戦闘となれば艤装という、その軍艦の武装を模した装備を纏って深海棲艦と戦うんです」

香「信じられないわ。そんなオカルトじみた事」

提督「初めての人に信じろってのが無理かもしれません。私もそうでした。まぁ、百聞は一見にしかずといいます。本来は機密事項なんですが、この間の戦闘の記録です」

五月雨「いいんですか?」

提督「信じてもらうためだ。テレビをお借りできますか」

リョウ「なぁ、こいつ大丈夫なのか?」

香「なんか、心配になってきたわ。あんな小ちゃな子供が兵器だのなんだのって…」

リョウ「はぁ?お前が取って来た依頼だろうが」

香「だって…最初に合った時は普通に…」

提督「再生して宜しいですか?」

リョウ&香「は、はい!」

提督「これは、先日、私の鎮守府で行った訓練の様子です」

ドォン! ドォン!

提督(ビデオ映像)「命中率8割か。さすがだな、長門」

長門「当然だ。ビックセブンの力侮るなよ」

リョウ「止めろ!」

提督「ど、どうかしましたか?」

リョウ「な、なんという…もっこり美女なんだ」

提督「へっ?」

リョウ「もっと、よく見たいな。これアップとかには出来・・・」

ドッカーン!!(10t)

香「何をしょうもない事言ってんだー!」

提督「・・・・」

提督「…以上で終わりです(3倍の時間がかかった…)これが、彼女たち艦娘の実態です」

香「…凄いのね。艦娘って…」

リョウ「…あぁ、全くだ。あんなもっこり美女ばかりだとは」

香「リョウ?」つハンマー

リョウ「わ、わ。冗談だよ、冗談。しかし艦娘ってのがどういうのかは分かったが、あんな化物も簡単にやっつけちまうような娘たちを守る必要があるんだ?」

提督「実は、最近艦娘の謎の失踪が相次いでまして。当初は、深海棲艦が拐ったとか新たな戦術だ、提督の仕打ちが酷くて脱走だの色々騒がれたんですがどうやら違うようで」

香「どういうこと?」

提督「大本営…上層部は、艦娘については未知の部分も多く目下調査中、各鎮守府は艦娘の行動に最新の注意を払え。ぐらいで具体的な対抗策は今のところ不明のと事なんですが…昨日、彼女があるデータを持ってきまして、どうやらこの件は内部犯の可能性があると」

香「内部犯?…海軍が拐ったの?どうして?」

提督「詳しくはまだわかりません。彼からもらったデータでは不完全な部分も多くて…艦娘に提督以外で警戒されずに近づけるとなると海軍の人間しか考えられないんです」

香「でも、証拠はないんでしょ?」

提督「今は、まだ…ですが彼のデータを元に調べればきっと証拠を掴めます。彼は私に希望を託しました、託された以上彼女の為にも、証拠を掴んで見せます」

五月雨「提督は、平和な世界を作るには俺も頑張らないとって、毎日私たちの為に頑張って働いてくれてたのに…摩耶さんだって…それなのに…」ポロポロ

リョウ「…安全なところで偉そうにしてる奴らを引きずり下ろすのも面白いかもしれんな…」

提督「えっ!?じゃあ、引き受けてくれるんですか!?」

リョウ「彼女の涙の為にやるのさ…その代わりボディーガードを引き受けるからには必ず証拠を掴めよ」

提督「はい!必ず」

リョウ「後、もう一つ条件がある」

提督「条件?」

リョウ「あの、もっこりな艦娘達と一発…」

ドッカーン(100t)

香「まったく、すくこれなんだから!」

リョウ「あはっ…あはっ…」ピクピク

提督「…(大丈夫だろうか?)」

今回はここまでです。

お久しぶりです。
見た事ある方が居るかもしれませんが、2年くらい前に同じ内容で投稿しておりました。
投稿中に、仕事や私が入院するなど色々と重なり投稿できずにいたらスレが落ちてしまいそのまま中途半端となってしまっていました。その時待っていた方は申し訳ありませんでした。落ち着いたので今回再投稿する形となりました。途中までは以前と同じ部分も続きますが、お付き合いいただけたら幸いです

再開します

提督「早速ですが、警護をお願いするにあたりこれに着替えていただきます」

香「なにこれ?軍服?」

提督「艦娘の存在は本来は機密事項ですので、一般人が鎮守府をウロウロするのは色々と問題があるので」

リョウ「しかし、変装ってよりは仮装だねこりゃ」

提督「よくお似合いですよ(…憲兵より強そうだな)」

香「ちょっと、ブカブカね。他にサイズ無いの?」

提督「でかかったですか?じゃあ、こっちのサイズですかね」

香「うーん、こっちも少し大きいかしら?」

提督「背丈的にはそのあたりのサイズなんですが…それでダメとなると女性用になってしまいますが…大丈夫ですか?」

香「ちょっと、どういう意味よ!?」

リョウ「…はっ。おい、香は…」

提督「ですから、女装することになって…」

香「バッキャロー!俺は女だー!」

ドッカッカーン(10t)

提督「ぎああぁぁー。」(大破)

リョウ「派手に行ったねーこりゃ」

鎮守府正門

提督(ボロボロ)「ここから先が鎮守府になります。いいですか、この門をくぐってからってからのことは、他言無用でお願いします」

香「大丈夫よ。秘密は守るわ。ねっ、リョウ」

リョウ「グフフ…この門の先にはもっこり美女たちが沢山…痛たたた」

香「あんたは、それしか考えることが無いんか!?」

提督「…(本当に大丈夫だろうか?少し不安だ…)」

「司令官ー!」

提督「ん?」

リョウ「おっ、早速…って、ありゃ?」

暁「おかえりなさい司令官。留守中の鎮守府は、この暁が一人で守ったわ」

リョウ「な、なんだこの娘は?」

提督「偉いぞ、暁」(ナデナデ)

暁「頭をナデナデしないでよ!子供じゃ無いって言ってるでしょ!」

香「あら、かわいい娘ね。この子も艦娘なの?」

提督「はい。この娘は駆逐艦の暁、私の艦隊の艦娘です」

暁「初めまして。暁よ一人前のレディーとして扱ってよね」

香「うちに来た子もそうだったけど、ホントにこんな可愛い子も戦ってるのね…」

暁「子供扱いしないで!暁は、改二にもなたったんだから一人前のレディーよ!」!かすんぷ

リョウ「まぁ、後10年位経てばきっと立派なレディーになるだろうな。中々のもっこりレディーになりそうだ」

香「…この変態」

暁「なによ…暁はレディーって言ってるじゃない…」ウルウル

リョウ「あらら…悪かった。君は…ん? 」

ドドドドドドドド

長門「駆逐艦を泣かしたのは誰だー!?」

天龍「俺が相手になってやるぜー!」

提督「な、長門、天龍!?」

リョウ「おおっ。もっこりバスト」

天龍「はっ?も、もっこり!?」

リョウ「お嬢さん、おいくつかな?お名前は?」

天龍「う、うわっ!?な、なんだよよ、よるなー!」ひぇぇぇー

香「こ、この!いい加減に…へっ?」

リョウ「ぎゃあああああ!」

龍田「天龍ちゃんをいじめる悪い人はどこかしら~。その上暁ちゃんも泣かすなんて~」

長門「はっ。そうだ貴様!駆逐艦を泣かすとは、いい度胸だ!歯を食いしばれー!」

リョウ「ぶへっ!」ピクピク

提督「さ、冴羽さん!?だ、大丈夫ですか?」

リョウ「な、なんて力だ…香より効くぜ…こりゃ」

執務室

リョウ「いてて…まったくひどい目にあったぜ」

提督「すいません。うちの娘たちが」

香「いいのよ。さっきのは自業自得だし」

提督「落ち着いてきたことですし本題に入りましょう。改めて今回警護をお願いしたい艦娘を紹介します。五月雨、山城」

五月雨「失礼します」

山城「失礼します…不幸だわ…」どよーん

香(えっ?なにこの人…ものすごい暗いわ)

リョウ「彼女もって、この娘はお宅のところのだろ?」

提督「データの中には今後のターゲットにする艦娘たちの事についても一部のっていました。私の山城も標的の中に入っていました…それに、山城は我が鎮守府では古参の上、練度も一番高い…データを要求する人質としても十分です」

山城「…私は提督のモノじゃありません…この心は姉様と共にあるのに…不幸だわ…提督の事もそれは…ブツブツ」

提督「山城…」

リョウ「……」

コンコン

吹雪「失礼します、司令官。午後の射撃訓練の件なんですが…」

提督「…あぁ、もうそんな時間か。変更は無い予定通り実施する。準備しといてくれ」

吹雪「了解しました、司令官」

提督「山城、君も準備してくれ。五月雨は私と一緒にきてくれ、お二人もご同行願います」

射撃場

香「へぇー、本当に海の上を滑りながら、動くのね」

リョウ「ほー、器用だねぇ」

長門「よし、終了。次の艦準備!」

提督「順調か?長門」

長門「…提督か。あぁ、今のところ順調だ。これが今までの結果だ」

提督「ありがとう…最近は駆逐艦たちも、練度が上がってきているな」

長門「あぁ、教えてきた私としても鼻が高い」

リョウ「きっと、君の指導の筋がいいだろうな」(もっこり)

長門「あぁ、ビックセブ…!!//な、な…」

アノヒトズボンガフクランデルワ‥ビョウキナノデス?…チガウヨ、アレハ…

長門「駆逐艦の前でそんなものを見せるなー!」

ズドーン(41cm砲)

リョウ「ぎゃああ」プスプス

吹雪「きゃあ!」

長門「な、なんだ!?ま、まさか…流れ弾が…」

提督「落ち着け、バランスを崩して転倒しただけだ」

吹雪「イタタ…もう、またダメだ」

提督「落ち着いて、もう一度だ吹雪!」

吹雪「はい!」

リョウ「……」

提督「吹雪、お疲れ」

吹雪「司令官…私、またダメでした…」

提督「そんな事無いさ。君の練度は確実に上がってきている。きっとうまくいくさ」

リョウ「…重心が偏りすぎてるんだ」

吹雪「えっ?」

リョウ「君を見てると重心が右に偏りがちなんだ。だから、反動にうまく耐えられなくて倒れるのさ」

長門「貴様、何を…」

リョウ「射撃の筋自体は、そんなに悪く無い。反動をうまくコントロールさえできればきっと上手くいくよ」

提督「…吹雪、もう一度行けるか?」

長門「いいのか!?こんな奴の言うことを信じて!?」

香「大丈夫よ。リョウがそう言うならきっと間違え無いわ」

長門「だが…」

ガァァン! ガァァン! ガァァン! ガァァン!

リョウ「…これでも不安か?」

大淀「拳銃であんな先の的のど真ん中に当てるなんて…あれ?でも、穴は1つだけ?」

長門「…四発撃って一発とは。確かに中心に当たったのはすごいかもしれんが、一発ならマグレ…」

リョウ「よく見てみろ」

大淀「…えっ、でもセンサーでは4発反応が…えっ、嘘っ!?ど、同一弾痕!?」

長門「なっ!?」

吹雪「す、スゴイ…」

提督「これが噂に聞くピンホールショット…。そ、それも四発とは。さすがですね」

リョウ「…俺を信じてもう一回やってみるかい?」

吹雪「はい!司令官、もう一度やらせてください!」

提督「よし、始め!」

吹雪「よし、(体重を少し左に…)」

ドーン!

提督「…命中。いいぞ吹雪!」

吹雪「やった…当たった!司令官、私やりました」

提督「気を抜くな吹雪!まだ、終わってないぞ」

吹雪「はい」

リョウ「喜びからか、手が震えてる。左手も使ってしっかり保持するんだ!」

吹雪「は、はい!」

ドーン!

大淀「すごい、全弾命中です」

「おぉー」

吹雪「やりました、私やりましたー!」

提督「吹雪、お疲れ様。よくやったぞ」 (ナデナデ)

吹雪「えへへ…ありがとうございます、司令官」(キラキラ)

暁「……」

吹雪「あの、えっとー…」

リョウ「冴羽リョウだ」

吹雪「冴羽さんも、ご指導ありがとうございました!」

リョウ「俺はただアドバイスしてあげただけだ。実際に命中させたのは君自身の力だ、自信を持つんだ」

吹雪「はいっ!」

俺が言った事を意識して、頑張るんだ。君の腕ならまだまだ上達できる」

吹雪「あ、ありがとうございました」

クイクイ

リョウ「ん?」

暁「えっと…その…」

雷「すごいわ。私にも射撃を教えてくれないかしら。射撃がうまくなれば、もぉぉと、司令官に頼ってもらえるようになるもの」

暁「ちょっと、こういうのはお姉さんである私が先でしょ!」

響「さっきのは実にハラショーだった、私にも指導をお願いしたいな」

電「わ、私も教えて欲しいのです」

ワタシモ!ワタシモ!

リョウ「わっ、わっ。ちょっと落ち着けよ」

ガヤガヤ

香「良かったわねぇ、リョウモテモテで」

リョウ「冗談じゃないぜ!俺はもっともっこりボディーの子が…わっ、引っ張るなー」

長門「……」

提督「どうした?嫉妬か?」

長門「なっ、し、嫉妬など…」

リョウ「……!わかった、わかった。教えるから落ち着けよ。ただし、こう人数が多いとここじゃちと狭いから、向こうでやろう。そうだ、せっかくだから、君も一緒に教えてあげよう」

五月雨「えっ、私ですか?い、いえ…私は、別の鎮守府ですし…」

リョウ「いいから、いいから」

五月雨「えっ、あっちょっとー」

提督「あっ、冴羽さん」

「訓練ですか。ご精が出ますなぁ」

提督「ん?あぁ、大本営直轄憲兵隊の青柳中尉、ご苦労様です。一体どうされんですか?」

青柳「見回りですよ。最近の艦娘失踪が相次いでますからねぇ」

提督「我が鎮守府の警備体制は万全です。アリ一匹通しませんよ。それに、うちはブラックだなんて呼ばれるなシフトではないですしね」

青柳「何も、お宅の勤務体制を疑ったりはしませんよ。あくまで各鎮守府の現状や、艦娘たちに怪しい言動が無いか見て回ってるだけですから」

提督「そうですか。ご苦労様です」

青柳「えぇ、ではこれで。…あっ、そうそう」

提督「なんでしょうか?」

青柳「数日前、逮捕された提督がいるのはご存知ですよね?」

提督「…えぇ、報告は受けてますが…」

青柳「昨日、後任の方が着任されたんですが、駆逐艦が一隻行方不明らしいですよ。えっと、五月雨だったかなぁ」

提督「はぁ…。例の失踪騒ぎですかな?」

青柳「その辺は、目下調査中なんで、なんとも…お宅はあそことは近いですからねぇ、もし、行方不明の艦娘を発見したら速やかに報告してください。まぁ、無いとは思いますが、報告無しに匿ったりだのしたら重罪ですからねぇ」

提督「心得ておりますよ」

青柳「よろしくお願いします。では、他もあるんでこれで」

提督「ご苦労様です」

香「なんか、いけ好かない感じの人」

提督「憲兵なんて、あんなもんですよ。まぁ、あの人はちょっと陰湿な感じはありますが。…さて、訓練を再開するぞ。っと、次は戦艦の番か」

長門「ビックセブンの力侮るなよ」

比叡「気合!入れて!行きます!」

ドォーン! ドォーン!

香「さすが、戦艦とかいうだけあるわ。前の子たちとは威力が桁違いね」

リョウ「うーん。確かに、戦艦だけあって色々とBIGだぜ」(もっこり)

香「ええ加減にせんかい!」

ドカァァァァァン!(10t)

提督「…えっと、次は、山城か」

香「まったく。あの娘達に教えてあげるんじゃなかったの?」

リョウ「休憩だよ、休憩」

提督「…撃ち方始め!」

山城「主砲、よく狙って‥てぇーっ!…そんな、外れた!?」

提督「…外れたか、らしくないな…」

山城「…もう一度、よく狙って…」

リョウ「…待て!」

山城「てぇーっ!」

ドォーン! ドカァァン!

比叡「ひえぇぇー!」(中破)

山城「…えっ、そんな…」

提督「なっ!?」

山城「…う、嘘…。私ちゃんと狙ったのに…」

提督「馬鹿な…」

リョウ「伏せろ!」

提督「えっ!?はっ」

ドォォン!

長門「山城、提督を狙うとは何事だ!?」

山城「…そんな…艤装が勝手に…」

提督「…ゲホッ…ゲホッ」

リョウ「…間一髪だったぜ」

香「リョウ!提督さん!大丈夫!?」

リョウ「…何とかな」

長門「おとなしくしろ!」

山城「…うぅ…わたし、狙ったわけじゃ無い…」

長門「提督に手を挙げるなど解体も覚悟の重罪だぞ」

山城「…解…体…不幸だわ…」

リョウ「…彼女は悪くないさ。離してやりな」

長門「なんだと!?こいつは、比叡と提督を」

提督「…長門、山城を解放するんだ。」

長門「なっ、提督!いいのか?」

提督「…この場で艤装を解除してな」

長門「…了解した」

提督「ほかの者は、比叡をドックへ運べ。すぐに入渠させるんだ」

一同「はいっ」

提督「…冴羽さん、助かりました。ありがとうございます」

リョウ「…あの艤装ってやつの手入れなんかはどこでやってるんだ?」

提督「基本は鎮守府内の工廠で行ったりしますが…まさか」

リョウ「…おそらくね」

提督「…馬鹿な」

リョウ「それを確かめるためにも、一度あの艤装を調べた方がいいな」

工廠

夕張「…うわぁ、なにこれ…」

明石「…ひどい。照準の管制系統がめちゃくちゃ…前に見たときは何ともなかったのに」

提督「…やはり、艤装に細工が」

リョウ「…この艤装って奴については良くはわからんが、誰でも弄れるものなのか?」

夕張「馬鹿言わないでください。艦娘でもこんな手の込んだところまではできませんよ。ましてやその辺の素人がいじれるような代物じゃないです」

明石「ここまでとなると私のような工作艦か妖精さんぐらいしか…後は人間だと大本営に居る艤装専門の技官の人位しか」

リョウ「なるほどね。じゃあ、その辺の軍人がおいそれとはいじれないわけだ」

提督「…妖精さんたちが勝手な事するとは考えずらい…となると大本営の技官しか…だが、上層部が何でそんなことを…」

リョウ「そんだけ、上はあんたが目障りなんだろうな」

提督「まさか…なんで大本営が俺の事を…あのデータか」

リョウ「おそらくね。上層部の全部が悪ってわけじゃないだろうが、そんだけ、今回のことは裏が深いんだろう」

提督「一体、あいつは何を調べていたんだ…」

リョウ「それは調べてきゃいいとして、彼女はいいのか?」

提督「…はっ、そうだ、山城ー!」

山城「…不幸だわ…はぁ…」

提督「山城!」

山城「姉様!?…提督ですか」

提督「山城、今回のことは…」

山城「…私が悪いんです…はぁ、不幸だわ…」

提督「いや、違う今回のは事故だ!君は悪いわけじゃない!」

山城「事故だったとしても…きっと、私の不幸が原因です…」

提督「山城…」

今回はここまでです

山城「…不幸だわ…はぁ…」

提督「山城!」

山城「姉様!?…提督ですか」

提督「山城、今回のことは…」

山城「…私が悪いんです…はぁ、不幸だわ…」

提督「いや、違う今回のは事故だ!君は悪いわけじゃない!」

山城「事故だったとしても…きっと、私の不幸が原因です…」

提督「山城…」

リョウ「…そうやって、不幸を背負い込むのはやめたらどうだ?」

提督「冴羽さん」

リョウ「何事も不幸だからで片付けていちゃ何も解決しないぜ」

山城「…何も知らないで…私は不幸からは逃れられないのよ…それが運命なんだから…」

提督「…冴羽さん。私も彼女が少しでも元気になればと、考えては見たんですがやはり艦の記憶が…彼女、戦艦山城は…」

リョウ「確かに、日本初の弩級戦艦として建造ながら、欠陥戦艦って呼ばれたり、予備扱いで戦いに出れなかったりと、確かに戦う為に作られた戦艦としては不幸だったかもしれない。…だけど、今の君は違う」

山城「どういうこと?私は、戦艦山城よ…」

リョウ「戦艦の記憶を持っていて戦艦山城として戦っているかも知れないが、君は軍艦とは違う。艦娘ってのは船と違って誰かに動かしてもらうんじゃなく、自分の意思で行動できるはずだ」

山城「…」

リョウ「船としての記憶がどれだけ影響してるのかは知らんが、自分が不運なのは過去の記憶のせいだとあきらめて、自らの運命と戦おうともせずに
逃げてるだけじゃ一生不幸なままだぜ」

山城「…」

山城「…私だって不幸な人生はいやよ。…でも、今までずっと不幸…これは抗えない運命なのよ…今回のことだって」

リョウ「…戦艦ってのは戦う為の船なはずだ。なら、自らの運命とも戦うべきなんじゃないかな」

山城「…っ…」

リョウ「…たとえ抗えなかったとても、何もせずに身を任せるよりは自分の意思で最後まで全力で向き合ったほうが何倍もましだと思うがね」

山城「……」

リョウ「どうするかは君次第だ。軍艦だった時違って誰か動かしてくれる人が居るわけじゃ無い、決断するのは君自身だ」

山城「……私は…私は…」

リョウ「…焦らなくてもいい。これは君自身の戦いなんだ、俺や提督が何か言う権利は無いさ。好きなだけ悩んで答えを出せばいい。君が出した答えなら提督だってきっと納得してくれるさ」

山城「……冴羽さん」

リョウ「ふっ」

提督(あれ?なんか、俺空気になってない…)

トントン

五月雨「あ、あのー」

提督「ん?五月雨じゃないか。どうした?」

五月雨「…冴羽さんに練習が終わって30分したら執務室に来るようにって…」

リョウ「ちょうど時間通りだな。えらいぞ、五月雨君」

五月雨「…ありがとうございます///」

提督「これは、一体?」

リョウ「あのまま、あそこにいたんじゃまずい事になりそうだったから、練習がてら彼女を連れだしたのさ」

提督「憲兵隊ですね。その件はありがとうございました」

リョウ「いいってこと」

提督「…憲兵隊の捜査と聴取は一昨日に受けたばかりでしたので…まさか今日も来るとは、さすが大本営直轄の憲兵だけあって仕事熱心だことで」

リョウ「…ただの仕事真面目な奴だったらいいんだけどな」

提督「…どういうことです?」

提督「まさか、青柳中尉が?…確かにあの人はいけ好かない感じの人ですが……いやっ、でも大本営直轄の憲兵隊ならどの鎮守府にもフリーパスで出入りは出来る…ですが、憲兵じゃ艤装に細工はさすがに…」

リョウ「…憲兵だけなら無理だろうね。だけど、捜査を理由にすれば技術者を連れ込むぐらい簡単だと思うがね」

提督「…まさか、秩序をいじる憲兵隊が」

リョウ「…取り締まる側だからって安易に信用はしない方がいいと思うがね。特にああいう組織は偉い奴ほど腐ってるもんだぜ」

「…その通りね」

提督「誰だ!?」

憲兵「…こんにちは、提督さん」

提督「…なっ、憲兵!?」

五月雨「…あっ…」

憲兵「…ふふっ、なかなか面白いお話をされていたようだけれど?」

提督「くそっ、聞かれていた…」

五月雨「…提督さん…」

山城「…聞かれていただんて…やっぱり不幸だわ…」


提督「…くそっ、こうなったらかくなる上は…」

リョウ「ま、待て…」

提督「…冴羽さん?」

リョウ「…その声まさか…」

冴子(憲兵)「…久しぶりね、リョウ」

リョウ「さ、冴子?!」

その頃 大本営

「…そうか、発見できなかったか」

青柳「申し訳ありません」

「まぁ、簡単に見つけられるとは思ってはいないがね。あそこに逃げ込んだのはわかっているんだ。焦らず追い詰めれば良い」

青柳「はい」

「…しかし、シティーハンターを雇ったというのは本当かね?」

青柳「直接見たわけではないですが、一緒にいる女が提督の隣におりましたので、おそらくは…」

「シティーハンターか…厄介なやつだな」

今回はここまで

リョウ「冴子、なんでこんな所に?」

冴子「ふふっ、どうしてかしらね?」

リョウ「…まーた、何か企んでやがるな…」

冴子「…企んでるだなんて、人聞きが悪いわね」

リョウ「そうやって、また俺を利用する魂胆だろう」

冴子「利用するだんて、いつもちゃんと…へっ?」

リョウ「今度こそ、報酬は先にもらうからな、冴子」

冴子「ちょ、ちょっと…」

ドッカーン!

香「何をやっとんじゃー」

リョウ「アハハハ…」

冴子「残念だったわね、リョウ」

香「冴子?!なんで、こんな所にいるのよ!?それに、何その恰好?」

冴子「…似合ってるかしら?」

提督「あのー、これは一体…」

香「あら、ごめんなさい。彼女は野上冴子、警視庁の刑事よ」

冴子「始めまして、提督さん。警視庁特捜部の野上冴子です」

提督「は、はいっ。よろしくお願いします。しかし、なんでまた、刑事さんが憲兵の恰好など…」

冴子「…詳しくは、話せないけれど。ある事件についての捜査の為に潜入させてもらっているの」

リョウ「…艦娘の失踪の件と関係してるんじゃないか?」

冴子「失踪事件の方は私も詳しくはまだわからないけれど、恐らく関係は深いと思うわ。実は、最近、密売組織が存在するっていう情報を入手したの」

香「密売組織なんて、今まで五万といたのに今更珍しいことでも」

冴子「今までならそうだったかもしれないわね。だけど、今は状況が違う」

提督「今は深海棲艦のせいで海洋ルートも空も寸断されているほぼ状況です。艦娘たちの活躍もあって限定的には航路は確保されてはいますが、通れるのは生活に必要な物資の輸送時のみ。それも海軍の監視下で、厳重に積み荷をチェックされた上で、港まで軍が厳重に護衛しています。とてもじゃないが非合法な品なんて持ち込みは不可能です。仮に海軍の目を盗んで船を出そうにも軍の護衛なしで海に出るなんて自殺行為もいいところです」

冴子「えぇ。だから、私たちも最初はガセ情報だと思っていたのだけれど…」

リョウ「…軍が裏で手を引いていたって訳か」

冴子「…まだ、確証は無いのだけれど、恐らくね」

提督「そんなバカな。この状況をいいことに、悪事の片棒を担ぐなんて。そんなの憲兵隊が許しすはずが…はっ、まさか青柳中尉も」

リョウ「戦争で金儲けしようって奴はどの時代にもいるもんだ」

香「海を守れるのは海軍しか居ないからって汚いわね」

提督「…しかし、いくら直轄の憲兵とはいえ、青柳中尉の権限だけでそんな事は出来るはずがない…おそらく、もっと上が居るはずです」

冴子「えぇ。こちらも黒幕の連中を洗ってはいるのだけれど、上手くいっていないわ。かなりの上役が絡んでいると思うわ」

提督「くそっ、この事件についてなんとなく分かってはきたが、憲兵隊が関わってるとなると、下手な行動をするとこっちが逮捕され兼ねない…厄介だな」

リョウ「…そのためにお宅は俺を雇ったんだろ?」

提督「冴羽さん…ありがとうございます」

冴子「こっちの事は任せたわよ、リョウ」

提督「…この状況を打開するには、連中の証拠をつかむしかない。あいつの託してくれたこいつがきっと道を開いてくれるはずだ」

五月雨「提督さんの為にも、私もお手伝いします!」

提督「五月雨…よろしく頼むぞ」

五月雨「はいっ!」

翌朝

♪~♫~(起床ラッパ)

リョウ「ふあぁ~。軍隊の朝ってのは早いね~」

ガヤガヤ

リョウ「…しっかし、朝からこうもっこり美女ばかりだと色々と体に悪いぜ…」 (もっこり)

香「何が悪いですって?」

リョウ「…おう、香おはよう。今日もいい天…ドッカーン(10t)」

香「朝から何をやっとんじゃー!?」

リョウ「……」ピクピク

「……那珂ちゃんでーす!」

リョウ「ん?」

中庭

那珂「艦隊のアイドル、那珂ちゃんだよー!」

リョウ「……」

リョウ「朝から元気だな」

那珂「あっ、おっはよー!えっと、あれ?」

リョウ「提督の補佐してる冴羽リョウだ」

香「同じく、槇村香よ」

那珂「そうななんだ。艦隊のアイドル那珂ちゃんだよ、よろしくね~」

リョウ「あぁ。よろしく。しかし、こんな朝っぱらからなにしてるんだ?」

那珂「那珂ちゃんのライブの練習だよ」

香「ライブ?さすがアイドルっていうだけあるわね」

リョウ「…アイドルって言っても、さっきから周りの奴らはあんまり騒いでないみたいだが?」

那珂「……」

香「ちょっと、リョウ」

那珂「…今はまだだけど、いつかきっとみんなが振り向いてくれるアイドルになるんだから…だから、今はまだ…」

リョウ「…そうやって諦めないで夢を追い続けるならきっといいアイドルになれるさ」

那珂「えっ?」

リョウ「俺も仕事柄アイドル達と関わった事があるが、誰だって最初から表舞台に立てた訳じゃない。努力をして、いろんな苦しみを乗り越えて表舞台に立つことができた娘ばかりだったぜ」

那珂「……」

リョウ「それに、アイドルとして表舞台に立つことができても、ずっと立ち続ける為にはさらにいろんな事と戦わなきゃいけない。今の君みたいにね」

那珂「私みたいに?」

リョウ「あぁ、艦娘として深海棲艦と命を掛けて戦いながら、周りに振り向いてもらえなくても、諦めないでアイドルという自分の夢を目指ざしてこうやって頑張ってる、君のようにね」

那珂「……」

リョウ「あの世界で生き残るのは深海棲艦と戦うより大変かもしれない。だけど、きっと君ならできるさ。今の強い気持ちを忘れず頑張る限りね」

那珂「…あ、ありがとう///」

リョウ「頑張れよ、那珂ちゃん。応援してるぜ」

那珂「///」

那珂「よーし、那珂ちゃんもっと頑張るから、リョウちゃん見ててねー!」

リョウ「おう」

香「朝から、お熱い事で」

リョウ「おい待てよ。俺はアイドルとか興味ねぇよ。むしろ、好かれるのは懲り懲りだぜ」

香「そう言いえば、そんな事もあったわね」

五月雨「あっ、いた。冴羽さーん」

リョウ「おはよう、どうしたんだ?」

「……」(チャキッ)

五月雨「提督さんが、探していました、執務室に来てほしい…キャッ」(コケっ)

香「だ、大丈…」

リョウ「…那珂、伏せろー!」

那珂「えっ」

ダーン

那珂「きゃあっ」

リョウ「…そこか」

ガァァン

「くっ…」

リョウ「逃げたか」

五月雨「きゃぁぁぁ」

香「那珂ちゃん、しっかり!」

リョウ「…気絶してるだけみたいだが…香、工廠へ連れて行ってやれ」

香「わかったわ」

工廠

提督「はぁ、はぁ…那珂が襲われたってのは、本当か!?」

香「落ち着いて、提督さん。那珂ちゃんは無事よ」

明石「気を失ってるだけです。外傷とかはありません」

提督「…そうか、よかった」

五月雨「…ごめんなさい、提督さん、私のせいで…那珂さんが…」

提督「…五月雨」

五月雨「…私が、不用意に外に出なければこんな事に…グズッ」

那珂「……泣かないで」

五月雨「那珂さん!?」

提督「那珂、気が付いたか…大丈夫か?」

五月雨「…那珂さん、ごめんなさい」

那珂「…五月雨ちゃんは何にも悪くないよ。だから泣かないで」

五月雨「…だけど、私が外に出たせいで、那珂さんにけがさせちゃって…」

那珂「大丈夫、那珂ちゃんはこの通り元気だから。アイドルはね、こんな事ぐらいじゃへこたれないんだから。だから、泣かないでね」

五月雨「…那珂さん」

リョウ「…気が付いたかい?」

那珂「あっ、リョウちゃん。うん、那珂ちゃんはこの通り元気だよ」

リョウ「…無事でよかったよ」

那珂「ありがとう///」

提督「…何かわかりましたか?」

リョウ「…現場にこいつが落ちてたんだが。艦娘に対して銃器類は効くのか?」

提督「彼女たちは見た目は普通の人間のようですが、軍艦の魂を持った兵器…人の形をした軍艦のようなものですからね。例え銃機関銃を使ったとしても、効果は期待できないでしょう」

リョウ「銃でどうにかしようってのは不可能って訳だ。それじゃあ、こいつに心当たりは?現場に落ちていたんだ」

提督「薬莢ですか?ふむ……これは、麻酔弾のような特殊な弾に使う薬莢ですね。自分も実物は初めて見ました」

リョウ「麻酔なんかは効くもんか?」

明石「…艦娘用の薬品なら効果はありますけど、ライフル用の麻酔の1発ぐらいじゃ、効果はほとんどないと思います」

明石「…もし、寝かしつけてどうにかしようっていうなら、映画とかでよくあるような飲みものに混ぜるとかする方がよっぽど成功すると思いますよ」

提督「妙だな。内部の人間ならこんな量なら艦娘には効果が無いなんてわかりきってるはずから、一発撃てばばれる可能性がある上、何発か命中させなきゃいけない狙撃なんて方法を取るとは思えませんし…警告にしても、少し不自然」

明石「一発で仕留めるなら相当強い奴でないといけませんけど、そんな強力な薬なんてありませんよ」

提督「…艦娘を一発でノックアウト出来る薬なんてあったら、人にとっては悪魔みたいな薬だな」

リョウ(悪魔みたいな薬か……まさか)

今回はここまで

大本営

青柳「失敗しただと?」

憲兵「申し訳ありません」

青柳「せっかくのチャンスだったいうのに…。五月雨を捕える事さえできれば…かくまっていたという事で介入する口実を得ることができたというのに」

憲兵「…ですが、かくまっているのがわかったのですから、今から逮捕に」

青柳「馬鹿者。どうやってかくまっていたという事を証明するのだ!…憲兵隊全部が我々の手中にあるわけではないのだぞ。強引な逮捕は、こちらの首を絞めかねんのだ」

憲兵「すいません」

青柳「…長官にお伺いをたてるか」

PRRR

「…青柳か?…どうだったのだ?…何っ、失敗しただと?」

青柳「…申し訳ありません。いらぬ邪魔が入りまして」

「…例の、シティーハンターか?えぇい、面倒な奴だ…だが、例の五月雨の居場所はこれではっきりしたのだな?」

青柳「はいっ。ですが、現状こちらは下手に動く事が…」

「まぁ、待て。まだ、手はある…そうだな、例の摩耶を使うか。テストするにはちょうどいいかもしれんしな。1時間後に落ち合おう」

青柳「…了解しました。長官」

大本営 憲兵隊本部 地下

ガチャっ

憲兵「…よしっ、出てこい」

摩耶「……」

「どうだ?」

憲兵「あっ、辻田副参謀長!ご苦労様です」

辻田「ばか者、ワシの名を気安く呼ぶな!」

憲兵「申し訳ありません」

辻田「それで、摩耶のほうはどうだ?」

青柳「はっ、丁度よい頃合かと」

辻田「ほう、だいぶ薬の効果が出てきたような」

青柳「えぇ。次でおそらく、完全に手中に収められるでしょう」

辻田「…ふむ。重巡クラスではやはり、この程度は必要か…戦艦程ではないとはいえ、このままではストックが追いつかんな」

憲兵「ほら、しっかり歩け!」

友提督「畜生、離せ!」

辻田「…おやおや相変わらず威勢がいいな。どうかな?そろそろ、口を割る気にはなったか?」

友提督「黙れ!この海軍の面汚しめ!」

憲兵「えぇい、おとなしくしろ!」

友提督「ごはっ…」

辻田「…優しくしているうちにしゃべった方が君のためだと思うがね?」

友提督「…ペッ、口を割らせたかったら、拷問でもなんでもしてみろ。だがな、俺は死んでも口は割らんぞ。俺が死んでもきっとお前らの悪事は明るみの元にさらされるだろう」

辻田「…残念だなぁ。素直に口を割ればこんな手段を取らなくてもよかったものを。おい」

青柳「はっ、よーし、こっちへ来い」

友提督「ま、摩耶…。おい、お前ら何をする気だ!?」

辻田「喋りたくないのであれば構わんよ。彼女に直接聞いてきてもらうまでだ」

友提督「おい、やめろ!摩耶には手を出すな!」

青柳「よーし、大人しくしてろ」(手の先で輝く注射針)

友提督「な、何をする気だ!?ヤメロー!」

チクッ

青柳「…重巡洋艦摩耶、君は今から私たちの忠実なる部下だ。私たちの命令は絶対だ、いいな摩耶…。この提督と駆逐艦五月雨を消してくるのだ」

摩耶「…わかりました」

鎮守府

カタカタ

提督「……」

香「提督さん、頼まれた資料ってこれでいいのよね?」

提督「はい、ありがとうございます」

山城「…大淀から資料が届いたわ」

提督「よし、そこに置いておいてくれ」

リョウ「どうだい?少しはわかってきたか?」

提督「…すいません。こんな時間まで皆さんを手伝わせてしまって」

香「いいのよ。これも仕事のうちだから」

五月雨「……」(ウトウト)

提督「…五月雨、大丈夫かい?」

五月雨「はっ、五月雨は大丈夫です。寝てなんか…きゃっ」

ドサァ(崩れる書類の山)

五月雨「…あぁ。すいません」

提督「大丈夫だ。五月雨、今日はもう休んでもいいぞ?」

五月雨「いえっ、皆さんが頑張っているのに、私だけ…」

リョウ「今日は、朝からあんな事があったんだ、心身共に結構な負担になっているはずだ。休んだ方がいい」

香「そうよ。それに、夜更かしは体に毒よ?」

提督「私たちは大丈夫だから、ゆっくり休め。君が無理をして倒れたりしたら、あいつに合わす顔がない」

五月雨「…皆さん」

提督「だから、今日はもう休もう。な?」

五月雨「…はいっ」

提督「香さん、まだ連中が来るとも限らない。申し訳ないが、駆逐艦寮まで送ってくれませんか?」

香「えぇ。分かったわ」

廊下

五月雨「…すいません。お仕事の最中なのに」

香「…いいのよ。この位…」

ガタっ

五月雨「…きゃっ、だ、誰!?」

香「そこに誰か居るの!?出てきなさい!」(チャキッ)

「…そ、その声…五月雨か?」

香「…艦娘?」

五月雨「…ま、摩耶さん!?」

香「…摩耶って、あのさらわれたっていう?」

五月雨「ま、摩耶さん!無事だったんですね!?」

摩耶「あぁ…。奴らにとっ捕まってたんだが、隙を見て…何とか逃げて来たんだ」

香「…ひどい傷じゃない。早く手当しないと。えっと、こういう場合は…」

五月雨「入渠させないと、ドックはあっちです」

摩耶「…私の事はいいんだ。それよか、提督が危ない」

五月雨「えぇー!?提督さんが?」

香「ちょっと、どういう事?!」

摩耶「このままじゃ、危ねぇんだ…早く助けにいかねぇと…頼む、ここの提督の所へ連れってくれ…連中の居場所を、今ならまだ間に合うかもしんねぇ」

五月雨「はい、こっちです」

香「大丈夫?ほら、つかまって」

摩耶「すまねぇ……」(ニヤリ)

執務室

五月雨「提督さん!」

提督「うおっ、びっくりした。五月雨!?寝たんじゃなったのか?」

五月雨「ま、摩耶さんが、摩耶さんが!」

香「ほら、もうすぐよ、しっかり」

摩耶「…はぁ、はぁ。久しぶりだなぁ、提督さん」

提督「摩耶!」

提督「無事だったんだな!?」

摩耶「…とっ捕まてたんだが、何とか逃げてきたんだ。それより提督が…」

提督「あいつが!?あいつがどうしたんだ?」

摩耶「提督があぶねぇんだ…早く助けて…」

提督「ま、摩耶!?」

五月雨「摩耶さん!」

香「大丈夫、しっかりして!」

提督「おい、摩耶!しっかりしろ!」(体をゆする)

摩耶「……」(ニヤッ)

リョウ「!そいつから離れろ!」

提督「えっ!?」

ガチャっ(艤装展開)

摩耶「…死ねぇ!」

ドォーン!

リョウ「ごほっ。香、提督、無事か!?」

香「…えぇ」

提督「ま、摩耶!?一体どうしたんだ!?ぐはっ」

山城「提督!?」

摩耶「……」

五月雨「…そ、そんな…摩耶さん。どうして…」

摩耶「……沈め」

リョウ「…っ」

ドカァン!

香「五月雨ちゃん!」

五月雨「ごほっ、ごほっ…」

リョウ「…けがはないか?」

五月雨「冴羽さん…」

摩耶「ちっ、邪魔しやがって。まとめて沈みやがれ!」

香「リョウ!」

リョウ「……」

ガァン!

ドカァァァン

摩耶「うわぁぁぁ」

ドサッ

五月雨「摩耶さん!」

摩耶「……」

リョウ「…たぶん、爆発のショックで気絶してるだけだよ」

香「…急に背中の武装が爆発するだんて…リョウ?」

リョウ「あぁ、砲身に撃ち込んで中の弾を誘爆させたのさ。こうでもしないと止められそうになかったんでね」 (手にパイソン)

五月雨「…摩耶さん、そんな…なんで…」

提督「…‥ごほっ」

山城「…提督、大丈夫ですか?」

提督「…あぁ、なんとかな…はっ、摩耶は!?」

摩耶「……」

リョウ「……」

香「さっきから、腕をじっと眺めて何してるの?…まさか、変な事考えてないでしょうね?」

リョウ「…提督さんよ。艦娘を縛れるぐらい強い鎖をすぐに持って来てくれ」

提督「…えっ?鎖ですか!?」

香「鎖って、彼女は怪我してるの。まさか、動けないのをいいこのに、この変態…」

リョウ「時間が無い!死にたくなきゃ急ぐんだ」

明石「…失礼します。提督、ご要望の品をお持ちしましたが…」

提督「…すまない」

リョウ「来たか。彼女を縛ってくれ」

明石「ま、摩耶さんをですか!?そんな事できませんよ!第一、なんですかこの傷は。すぐに入渠させないと…」

リョウ「…入渠は後だ。ともかく今は、言われたとおりにしろ。このままじゃ彼女も危険なんだ」

提督「…明石、言われたとおりに頼む」

明石「…終わりました」

リョウ「…提督、トラックを1台貸してくれないか?彼女を運びたいんだ」

明石「何を言ってるんですか!?傷ついてる艦娘を拘束した上に入渠もさせずにつれだすだなんて!」

提督「……摩耶が錯乱した原因と関係があるんですね」

リョウ「あぁ…確証はないがね。俺のカンだが、海軍の連中は悪魔を呼び起こしたかもしれんな」

提督「えっ?」

ブロロロ

提督「…大分走りましたけど、一体どこへ行く気ですか?」

リョウ「そこを左に入ってくれ」

……

リョウ「さて、着いたぞ」

提督「…ここは一体?」

香「…ここって」

教授「…来たか、待っとたぞ」

リョウ「すいません。また、厄介になります」

教授「それで、その担架に縛られてるのがそうか?」

リョウ「はいっ」

提督「…一体誰なんですか?」

香「私たちは教授って呼んでいるわ…私たちの本名は知らないの。だけど、医者として素晴らしい知識を持ってる人よ。きっと摩耶さんの役に立つと思うわ」

提督「…はぁ。ですが、彼女は艦娘ですから、普通の人とは…第一艦娘は軍事機密で…」

教授「ほう…しかし、見れば見るほど不思議なもんだな。こんな可憐な少女が深海棲艦なんて化物と戦ったかとるなんて」

提督「なっ…どうしてそれを」

香「…教授は世界の裏情勢にも詳しいのよ。リョウもどちらかというとそっちでお世話になる方が多いわ」

提督「は、はぁ」

教授の部屋

提督「…大丈夫なんでしょうか?医者とは言っていましたが、彼女は艦娘ですから…」

ガラっ

教授「…検査が終わったぞ」

提督「なっ…」

リョウ「それで、どうでしたか?」

教授「…お前さんの予想通りの反応が出たよ…PCPのな」

提督「PCP?」

リョウ「…やはり、エンジェルダストか」

香「エンジェルダスト!?リョウ、それって…」

リョウ「あぁ、そうさ。俺たちから槇村を奪ったあの悪魔だよ」

香「そんな、ユニオンテオーペは壊滅したはずでしょ?」

リョウ「確かに組織は潰されたが…データがあれば連中でなくても製造は出来るだろう」

教授「…5年前に軍隊で使われたという話があったが、眉唾ではなかったようだな」

提督「5年前…。ちょうど深海棲艦が出現して大騒ぎになった時だ」

リョウ「……」

槇村「…香を頼む…」

海原「…息子よ、ありがとう」

リョウ「…くっ、悪魔め」

今回はここまで

教授「…PCPを使えば死をも恐れない兵隊を簡単に増産できるからのぉ。化け物相手にはちょうどいいのかもしれんんな」

提督「…なるほど、深海棲艦のような化け物を相手にするには、普通の精神状態の兵隊じゃ役に立たない…だから薬でか」

リョウ「…化け物を相手にするために、悪魔に魂を売ったって訳か」

香「…ひどい」

提督「…戦争中という事態では、そんなものはしばしば軽視される。自軍が不利な場合は特に」

提督「…しかし、だからといって艦娘にも投与するなんて。深海棲艦相手に恐怖を感じるわけでもないのにどうして」

香「…確かに変ね。彼女たちって深海棲艦と戦う為に居るんでしょ?」

リョウ「…その件で、何か情報はありませんか?」

教授「…別に深海棲艦など出現しなくとも、戦争なんぞどこでも起きとる…特に今は連中によって海と空が分断され世界中不安定だ」

リョウ「…どこの国も兵隊が欲しいって訳か」

提督「…まさか、そのために艦娘を!?」

リョウ「…彼女たちは生身でもアスリート以上の身体能力を持ってるんだろ?そんな高い身体能力の上、通常武器が効かない兵隊。軍事関係者からしたら魅力的な条件だと思うがね」

提督「馬鹿な。彼女たちの意思は……そうか、そのための薬か」

リョウ「…だろうな。エンジェルダストには一種の洗脳的な効果もある…命令だけを遂行する人形にするなんて簡単だ」

提督「……その上、彼女たちは外見は人間でも扱いは兵器…名目だけも対深海棲艦用支援武器とでもしてしまえば、輸出の検査を通るのは簡単、その上検査はあの青柳中尉の息のかかった憲兵隊…」

香「…ひどいわね。駆逐艦なんてまだ子供じゃない」

提督「……補給もなしに、薬で洗脳して戦わすとなんて…それも本来の敵とではなく本来は守るべき人と…外道が」

教授「まだ、戦場で使われたなんて話は聞いとらんが、あの娘の状態を見るにもうそろそろ使うにはいい頃あいだろうな」

提督「……摩耶は元に戻せるんでしょうか?」

教授「…彼女に使われたのは艦娘ように強化されてるみたいじゃ。それも普通の人とは違って艦娘…わしもやれるだけやってみるが何とも言えん」

提督「…お願いします…彼女を」

リョウ「これから、どうする気だ?」

提督「…大本営に乗り込んで、連中を…」

リョウ「…どこに居るのかもわからないのに、連中の懐に飛び込もうってのか?…最悪連中が始末しちまったらどうするんだ?」

提督「そ、それは…」

リョウ「…まずは、艦娘が囚われてる場所を見つけないとな。少し手荒な方法になるかも知れないが…」

今回はここまで

鎮守府

提督「……なんですって!?」

リョウ「…手荒な真似かもしれないが、相手は上層部の連中なんだろ?普通の連中じゃ立ち入れない場所に潜んでるかもしれないんだ。場所をはっきりさせるにはこうした方が一番だ」

提督「…だからって、山城を囮にするだんて。俺は納得できません!」

リョウ「…大丈夫だ。俺はプロだぜ、直ぐに助けだしてやるさ」

提督「…万が一って場合もあります!山城にもしもの事があったらどうするんですか!」

リョウ「…仲間を大切に思う気持ちはわかるがね…」

提督「…山城に…もしもの事があったら…俺は…もう…」

リョウ「……やっぱりな」


リョウ「…君はあの山城に惚れてるだろ?」

提督「……っ」

リョウ「…図星だな」

提督「…彼女は…私にとって最初の戦艦でした…彼女は見ての通り、あのような性格で姉に依存してるのが強い艦娘なんですが、残念ながら私の所に姉の扶桑は…お恥ずかしながら、今まで着任しておりません……そんな訳もあって最初は少しでも支えになってやろうかと思っていたんですが…親身に接してやっているうちにいつしか…残念ながら私の思いには気づいてないようですがね」

リョウ「……」

提督「…もっとも、私は提督、彼女は艦娘。生きている世界が違う…どう頑張っても強化のためのケッコンカッコカリが精一杯…どうしようもないんですがね」

リョウ「…なら、直の事、彼女を囮として使うんだな」

提督「…なんですって?」

リョウ「立場が違うとか、そんな理由で簡単に諦めるなら、彼女に万が一の事があっても諦めがつくんじゃないか?」

提督「……っ」

リョウ「…例え自分の命を懸けても守り抜く覚悟が無いようなら、守るなんて無理な話だ。惚れた女を守るってのはいつだって命がけなんだぜ…」

……

香「……」

提督「………」

リョウ「…彼女の気持ちを知るのが怖くて、そうやって立場がどうとか理由をつけてる奴には守ってやることなんて出来やしないぜ」

提督「……俺は…」

リョウ「まぁ、彼女の事は俺に任せてな…グフフ、あんなもっこり美女と一緒に居られるら、ぼくちゃん…」

グッ

提督「…俺は彼女を愛している…いくら冴羽さんとはいえ、山城に手を出すというのなら俺は許さない!」

リョウ「……ふっ。本心が出たな」

提督「…えぇ、俺は彼女が好きです、上司と部下としてではなく…一人の女性として愛してる…彼女を幸せにしてやりたいんだ…」

コンコン

山城「……提督…」

提督「や、山城!?」

リョウ「やぁ、山城くん。どうしたのかな?」

山城「…どうしたって、冴羽さんが呼んだんじゃないですか…」

リョウ「…そうだったね。実は君に…」

提督「冴羽さん!」

山城「…私が囮になるという話ですか」

提督「なっ…聞いていたのか」

山城「…廊下を歩いてきたらそのようなお話が聞こえてきて…」

提督(き、聞かれてた…)

リョウ「その事だけど…」

山城「…構いませんけど…」

提督「…なっ」

ここまで

リョウ「…いいのかい?」

山城「……私は不幸戦艦ですもの…私の不幸もこういう時なら役立つかも」

提督「駄目だ!君にそんな危ない橋を渡らせる訳にはいかない!」

山城「…私も提督の秘書艦です。提督ばかりに危険な所に行かせる訳にはいきません」

提督「山城…」

山城「…それに、冴羽さんも言ってたじゃないですか…私もいずれ狙われる運命なのなら…自分の運命から逃げるなんてことはしたくありません」

翌日 鎮守府

山城「…提督…山城、出撃します」

提督「…あぁ、頼むぞ山城」

山城「…はいっ」

……

提督「あぁ、山城単独で本当に大丈夫だろうか」

リョウ「…彼女は運命と戦おうと決めたのさ。その覚悟を無駄にする気かい?」

提督「いやっ…ですが、危険すぎる」

リョウ「…確かに危険かもしれないが。彼女は連中にとって君とこのデータを手に入れるための切り札だ。捕まえたからと言って、そう簡単には手は出さないはずさ。そうなる前に助けだせばいい。違うかい?」

提督「…はいっ」



「きゃぁぁー!」

提督「あ、あの声は!?」

リョウ「…現れたな」

香「リョウ、山城さんが!」

提督「…明石!」

明石「はい。ここに」

提督「ちゃんと仕掛けてあるだろうな?」

明石「入渠してるうちに、ちゃんと艦橋かざりに仕込んでおきました。今は、ここですよ」

提督「…この道…やはり大本営の方向か」

リョウ「…ほう、最近の発信機ってのは精度いいねぇ」

明石「当然ですよ。なんたって、私の特製ですから」

……

提督「…止まったな。ここは、憲兵隊本部か…あらっ?おい、反応が消えたぞ」

明石「そ、そんな馬鹿なぁ」

提督「ばれたんじゃないだろな?」

明石「まさか……いや、多分地下に潜ったんじゃないですかね…本部の地下ともなるとあんな厳重な所、流石に探知は無理です」

提督「地下か…あそこの地下は憲兵隊の牢屋…噂じゃ非道な事も行われる部屋もあると聞く…憲兵隊か罪人じゃなきゃ出入り不可能な場所だ…確かに可能性としてはありえるな」

リョウ「…決まりだな」

提督「大本営が絡んでいるとはわかってはいたが、まさか本部の地下とはな…あんな所連中の息のかかった連中ばかりだ…戦車でも無きゃ無理…」

「…私も行きます!」

提督「五月雨」

五月雨「…私も連れて行ってください」

提督「…駄目だ。いくらなんでも危険すぎる。君にもしもの事があったらどうするんだ」

五月雨「…私も提督を助けたいんです。お願いします!」

提督「……」

五月雨「提督さん。お願いします!」

提督「……わかった」

五月雨「ありがとうございます」

提督「ただし、無茶はするなよ。君はドジっ子なんだから。なんかあったら、俺はあいつに申し訳がたたん」

五月雨「…ひどいです。提督さん」

提督「うっ、すまない…改めて頼むぞ五月雨」

五月雨「はいっ、護衛はお任せください」

大本営

辻田「…ふふふっ。こうも簡単に山城を手中に入れられるとはな」

青柳「はっ。しかしこうも簡単に確保できるなどとは…もしかしたら、連中の罠ということも」

辻田「そうかもしれんな。だが、ここは大本営の中枢…警備も厳重な上、下手に騒ぎを起こすわけにもいかん。取り戻しにこようなんぞ、それこそ飛んで火に入るなんとやらだ」

青柳「…そうですな。ハッハッハ」

辻田「…それより、ほかの娘たちはどうかね?」

青柳「…順調ですな。明朝には移送しようかと…いよいよですな」

提督「…大本営へは難無くは入れはしたが…流石憲兵隊本部…連中の本拠地だけはあるな」

香「…すごい数。それに装甲車まであるわ…どうんの?リョウ」

リョウ「……」

「こらっ、そこで何をやってるのかしら?」

提督「!?見つかった!?」

リョウ「…遅かったじゃないか」

香「冴子!?」

冴子「……お待たせ」

ここまで

冴子「正面は警戒が厳重で突破は無理よ、ついてきて」

リョウ「行くぞ」

提督「……」

香「どうしたの?」

提督「…五月雨、やはり君は一緒に来るな」

五月雨「えっ!?」

五月雨「どうしてですか!?……やっぱり、私がドジだから…足でまといに…」

提督「そうじゃない。これを……長官のところへ届けてくれ」

五月雨「これは、提督のデータ」

提督「あぁ。先ほど解析が終わってな。摩耶の件も含めて色々と証拠になるデータが入っている。あいつを助けから、あいつと長官に直訴するつもりだったが…連中の警備が想像以上に厳重で、無事に脱出できる保証もない……もしもの時はそのデータだけが最後の希望だ…頼めるかな?」

五月雨「……」

提督「…危険な賭けであることはわかっている…だが、ここは大本営、連中も連中も下手に騒ぎは大きくできないはずだ」

提督「…自分の提督が捕まっている君の声なら長官も耳を貸してくれるかもしれない…頼めないかな?」

五月雨「…わかりました。私やってみます」

提督「ありがとう、五月雨」

香「気をつけてね」

五月雨「はいっ」

提督(頼むぞ、五月雨。あいつは必ず助けるからな)

五月雨(見つからないようにいかないと…こういう場合はそーっと、そーっと…)

……

憲兵「……」(コツコツ)

五月雨(見つかっちゃう、隠れなきゃ…)

コツン(足元のバケツにあたる)

五月雨「あっ…きゃぁ」

ドンガラガッシャーン!

五月雨「あたた…また私、ドジなことを…」

提督「……コンナトコロデドジッコニナラナクテモ…」

憲兵A「なんの音だ!?」

憲兵B「向こうのほうだ」

提督「…まずい…」

冴子「…待って。今下手に動いたら私たちも見つかるわ」

提督「し、しかし…」

憲兵A「誰だ!?出てこい!」

五月雨「…逃げなきゃ…」(ダッ)

五月雨「……い、行き止まり!?」

憲兵A「動くな!」

キュラキュラキュラ…

憲兵B「…抵抗しても無駄だぞ」

五月雨「…あぁ…」

憲兵A「さぁ、おとなしく来い…」

五月雨「いやっ…」

憲兵A「こいつ、暴れるといくら艦娘とはいえ容赦しないぞ」

提督「くっ…五月雨!」

ドカカァァァァン!

憲兵「!?」

憲兵A「そ、装甲車が…」

「…伏せろ!」

五月雨「…はっ」

憲兵A「な、何っ!?」

ガァァン

憲兵A「…ぐわっ」

五月雨「…助けてくれたの?」

ズンッ…ズンッ…

五月雨「…冴羽さん?提督さん?」

「……無事か?」

五月雨「…は、はいっ…だいじょ…」

海坊主「……」(ズーン)

五月雨「ひいっ!」

「なんだ!?どうした!」「侵入者だー!」

ウ~っ!

海坊主「…あいつらは俺が引き受けてやる。行けっ」

五月雨「…あの、あなたは一体…」

海坊主「…あの薬で一儲けしようなんざ連中を見過ごせないだけだ…早く行け」

五月雨「…あ、ありがとうございました」

海坊主「…フン」(チャキッ)

ドカァーン!

リョウ「…相変わらず派手だねぇ」

冴子「…今のうちよ。さぁ、早く」

今回はここまで

憲兵隊本部 地下牢

提督「…ここのどこかに山城が」

冴子「えぇ、だけどさすがにどこかまでは調べられなかったわ」

提督「…手分けして探すしかないか。冴羽さんたちは向こうをお願いします」

リョウ「…連中がうようよしてるんだ、気をつけろよ」

提督「えぇ、私だって軍人ですから。大丈夫ですよ」

バン!

「な、何!?」「だ、誰なのです?」

冴子「…助けに来たわ。こっちよ」

香「…彼女はここにはいないみたいね」

リョウ「…次に行くぞ」

……

提督「……くそっ、ここも空か…山城、どこだ…」

提督「…はぁ…はぁ…」

バン!

山城「……」

提督「山城!」

山城「…てい…とく?」

提督「…山城…無事か」

山城「…提督…」

提督「…無事でよかった。立てるか」

山城「…提督、私なんかのために…」

提督「…お前を見捨てることなんてできるか…」

「…仲がよろしいですな」

提督「…青柳大尉」

青柳「…飛んで火にいるなんとならですな」

部下達「動くな!」(チャキッ)

提督「…くっ」

青柳「…ここまでこれた事のはお見事でしたな…だが、それもここまで」

提督「……くっ…」

青柳「…

ミスりました

提督「……くっ…」

青柳「…残念でしたな」

提督「…どうかな?こんなことをして…お縄につくのはお前らの方じゃないのか」

青柳「ほう、大した自身ですな…大方、あの駆逐艦をあてにしているようですが、協力者がいるといえあの警備網をすり抜けるなど、不可能だったようですな。上はだいぶ静かになりましたよ」

提督「……」

地上 本部地域

憲兵隊「そっちへ行ったぞ!」

五月雨「あっ」

ドドドドッ

憲兵隊「ぐわっ」

海坊主「……」

憲兵隊「…戦車を盾にしろ!」

海坊主「…ちっ、戦車だと。バズーカを残しておきゃよかったぜ」

五月雨「あぁ…」

「…ファルコン!」

ガチャン(どこかからか投げられたバズーカ)

海坊主「!!」(チャキッ)

ドカァーン!

憲兵隊「!?ぐわっ」

美樹「…ファルコン、大丈夫?」

海坊主「…心配ない。行くぞ、美樹」

青柳「…いくらシティーハンターとはいえあの戦力相手には無茶だったようですな。さぁ、大人しくしてもらいましょうか?」

提督「……山城、俺が注意を惹く。その隙に突破するんだ。艦娘の君なら、偽装がなくてもあの程度なら行けるはずだ」

山城「…えっ、それでは提督が…」

提督「…俺の事は構うな。君だけでも逃げるんだ…提督として部下を…いやっ、惚れた女性一人守れなくて何が男だ」

山城「て、提督…」

青柳「…ふん。おとなしく降伏するようなら助けてやったものを…残念ですな。では、お望み通りにしてあげましょうか」

チャキッ

提督「…山城、元気でな」

山城「提督!」

ダァーン! ダァーン!

提督「……」

憲兵隊「…ぐわっ」

青柳「なっ…」

リョウ「…惚れた女のために覚悟を決めるとは結構だな」

提督「…冴羽さん」

青柳「ば、馬鹿な…なんで貴様が…ぐわっ」

リョウ「…人の恋路を邪魔するような趣味はないんでね…」

香「大丈夫、二人とも?」

提督「えぇ…」

リョウ「…無事だったようだな」

提督「えぇ、私も山城も無事です」

山城「……提督、あ、あの…さっきのは…その///」

提督「えっ、あぁ…あ、あれはだな…」

リョウ「……!」

「続きはあの世でやってもらおうか」

香「り、リョウ…」

辻田「よくも我々の計画を破壊してくれたな」

提督「…辻田副参謀」

リョウ「……」

辻田「おっと、動くな。動いたらこの女の命はないぞ」

部下「……」(チャキッ)

香「リョウ…どの道私たちを殺す気よ。なら、一思いに」

部下「…おとなしくしろ!」

リョウ「やめろ!…わかったよ」

ガチャっ(銃を捨てる)

提督「なっ…」

辻田「ふん、シティーハンターもその程度か…提督といい、愛する者のために死ぬという覚悟には屈服するよ。だが、色恋だのにうつつを抜かして命を落とすなど、所詮は…」

リョウ「……勘違いするな。提督はどう思ってるかはしらないがね、俺は愛する者を守る為に死のうなんて考えちゃいないぜ。」

香「……私もリョウの為に死のうだなんて考えてないわ。撃つなら一思いにやってちょうだい!」

部下「なっ、大人しく…」

リョウ「……」(バッ)

部下「…はっ」

香「……」(サッ)

ガァーン! ガァーン!

部下「…ぐわっ」

辻田「…ば、馬鹿な…」

リョウ「…残念だったな。俺は…」

香「…愛する者の為には何がなんでも生き延びる」

リョウ「…ふっ…それが俺の愛し方なんでな」

辻田「お…己…」

憲兵隊「動くな!」

辻田「…ふっふっふ。さっきは甘く見ていたが、今度は違うぞこの数を相手にして…」

ガチャン(手錠)

辻田「へっ?」

「残念だが、捕まるのは君の方だよ、副参謀」

提督「…閣下…」

五月雨「提督さん、大丈夫ですか?」

提督「五月雨」

元帥「…副参謀でありながら、こんなことに手を染めるとは…残念でならんよ。おい、連行しろ」

憲兵「はっ。立てっ!」

辻田「ば、馬鹿な…」

冴子「…さぁ、こっちよ」

「俺のデータが役に立ったみたいだな」

五月雨「て、提督」

提督「友提督!無事ったか」

友提督「心配かけてすまなかった、五月雨」

五月雨「提督!」(ギュっ)

友提督「よしよし」

リョウ「…ふっ」

元帥「…副参謀があの様な悪事に走るとは…君たちが知らせてくれなければ海軍に汚点を残すところであった。感謝する」

提督「い、いえっ…そんな」

友提督「…光栄であります」

元帥「…やり方は多少強引だったかもしれないがね」

香「…いっ」

元帥「いやぁ、まぁ…いい…責任は取ってもらえればね」(チャキッ)

リョウ「……!」

今回はここまでです

提督「…か、閣下…」

友提督「い、一体何の真似ですか?」

リョウ「…あんたが本当の黒幕ってわけか」

元帥「…いかにも。おっと、動かないでもらおうか…この部屋にはいざという時の為の仕掛けがあってね…下手に動くなら皆仲良くドカンだよ」(カチッ)

冴子「…くっ。迂闊だったわ…元帥まで裏で繋がっていたなんて…」

元帥「…ふっふっふっ」


提督「閣下…貴方まで…最高司令官自ら悪事に手を染めるなんて…それでも海軍軍人ですか!?」

元帥「……」

友提督「懸命に戦っている彼女達に大して失礼だとは思わないんですか!?」

元帥「…連中との戦いはどうかね?今は大分海も平和になった…この戦いにも先が見えてきた。そうなれば艦娘はお役ご免だ。戦う為に作られた存在なのだからね」

提督「…それがどうしたというのですか?終われば彼女達は解体されて一人の女性として生きてくのではないですか」

元帥「連中との戦いが終わろうと、戦争なんてものは世界中至る所で起きるのだ。そうなれば莫大な物資が動き、大勢死人が出るのだ…できる事なら犠牲は少ない方がいい違うかね?」

友提督「…それが何です!だからって、彼女達を洗脳して海外へ売り飛ばすだんて…そんな汚い真似が許されるわけがない!」

元帥「汚い真似ねぇ。確かに薬で洗脳して戦わすなんてのは、非人道的すぎる行為だ。だが、見た目は麗しい女性でも彼女達は艦娘…戦車や戦闘機と同じ、武器に過ぎん。中古の装備品を諸外国へ払い下げるとの同じ事…一種のビジネスさ」

提督「何がビジネスだ!元帥自ら海軍を使っての密売じゃないか!」

元帥「戦争では莫大な金が動く。誰だって負けて死ぬよりは金持ちになりたいはずだ。それに勝ちさえすれば多少の事は目を瞑られるものだ、真面目だけでは生きていけんよ」


提督「この下種が…」

元帥「何とでも言いたまえ。どんなに叫ぼうがどの道君達はここで死んでもらうのだ。この事件の首謀者としてな。安心したまえ、その山城と五月雨は売り飛ばしたりはせんよ。皆仲良く逝ってもらう」

友提督「…許さん、絶対に許さんぞ」

元帥「あの世で好きなだけ叫びたまえ…では、さよならだ……」

リョウ「……」

元帥「…ふっふっふっ」(起爆ボタンに手をかける)

山城「…提督…」

提督「…っ」

友提督「…くそっ…」

五月雨「…提督さん…摩耶さん…ごめんなさい…」

シュッ ブスッ!

提督「…ぐっ」

ガシャン(手から起爆装置が落ちる)

「…五月雨、伏せな!」

すいません、打ち間違えました

元帥「…ふっふっふっ」(起爆ボタンに手をかける)

山城「…提督…」

提督「…っ」

友提督「…くそっ…」

五月雨「…提督さん…摩耶さん…ごめんなさい…」

シュッ ブスッ!

元帥「…ぐっ」

ガシャン(手から起爆装置が落ちる)

「…五月雨、伏せな!」

元帥「…なにっ!?」

ドォーン!

元帥「…ぐわっ」

五月雨「…一体何が?」

「五月雨、怪我無いか?」

五月雨「…ま、摩耶さん…」

友提督「摩耶…お前…」

摩耶「…提督、心配かけてご免な」

提督「…よかった、彼女元に戻ったんだな」

「…彼女の努力と、艦娘の回復力に感謝するんだな」

提督「…えっ、貴方は?」

香「ミック!」

今回はここまで。
次で終わらせる予定です

ミック「やぁ、香。無事かい?…危ないところだったぞ、リョウ。最近腕がなまったんじゃないのか?」

リョウ「フン…。発火装置見てみろよ」

ミック「…あの状況で見事なもんだな。そんな制服の何処に仕込んだんだか」

元帥「…うぅ…」

摩耶「ちっ、クソが。まだ生きてやがった」

元帥「…き、貴様ら…元帥である私に…手を出して…タダで済むと思うなよ…反逆罪で…全員豚箱にぶち込んでやる…」

提督「逮捕されるのはあなたの方ですよ」

元帥「フッハハハ。証拠も無いのにかね?君たちの証拠とやらは海の藻屑と消え失せたよ」








友提督「なっ…」

元帥「…この程度のこと、私の権力を持ってすればもみ消すなど簡単な事…ここで撃つのは構わんが、証拠も無しに元帥を撃ったとなれば君たちはどうなるな?」

提督「き、貴様!」

ミック「残念だが、捕まるのはあんたの方みたいだぜ」

元帥「何だと!?」

ミック「…見てみなよ。ほらよ」

元帥「っと、なんだ、ただの新聞ではないか…な、何ぃ!?」

「海軍元帥、海軍を私物化し兵器を不当に売買か?!違法薬物の製造も?」「海軍提督、正義の告発」

元帥「…な、なんだこれは…ば、馬鹿な…」

リョウ「こっちがバックアップも取らずにホイホイ証拠を渡すかよ」

ミック「…ついでに言うと、今までのあんたの会話はその娘(山城)にリョウが仕掛けた盗聴器(発信機の中)でバッチリ録音させてもらったぜ」

元帥「な、何っ?!」

提督「あ、あなたは一体…」

ミック「…おっと、申し遅れました。私はこういうものです」

提督「…WEEKLY NEWS特派員…新聞記者だったんですか」

元帥「な、何だとー!?」

PRRR

冴子「はいっ。えぇ、わかったわ…。港の倉庫からも密輸されそうになっていた艦娘と大量のエンジェルダストが見つかったわ…もう言い逃れはできないわよ」

憲兵隊「…動くな!」

警官隊「…元帥閣下、閣下には逮捕状が出ております。ご同行願います」

元帥「…ば、馬鹿な…くそぉ…」

憲兵隊「ほら、立てっ!」

警官隊「野上警部、連行いたします」

冴子「よろしく」

地上 憲兵隊司令部前

リョウ「…終わったな」

提督「えぇ、冴羽さんこのたびは本当にありがとうござい…」

ドカァン!

提督「な、何だ!?」

青柳「……」

提督「青柳大尉!?馬鹿な、死んだはずじゃ…」

リョウ「…ちっ、そいつから離れろ!」

提督「何っ、ぐっ…なんて力だ……まさかあの薬を…」

青柳「死ねぇー!」

提督「ぐっ…ぐっ…」

リョウ「……」(チャキッ)

青柳「…ぬわっ」

提督「ごほっ…ごほっ……や、山城?」

青柳「…この小娘がぁ!」

ドォォン!

山城「…私の…提督を…傷つけるのは…許さない…」

提督「…山城、た、助かったよ…」

山城「……愛する人を失うなんて不幸は…味わいたくないですから…」

提督「山城…お前…」

リョウ「…ふっ」

五月雨「…提督さん、よかったですね」

リョウ「……」

リョウ「…うらやましいかい?」

五月雨「…そ、そんな事ないです…よ…」

リョウ「…君の提督には彼女(摩耶)がいるから、言いずらいか」

五月雨「……」

リョウ「…成功するか失敗するかはやってみなきゃ分らないと思うけどね」

五月雨「…でも、提督には私なんかより…摩耶さんの方が…」

リョウ「…例え叶わぬ思いだったとしても、自分の気持ちに嘘をついて逃げるよりはよっぽどいいと思うけどね」

五月雨「……」

リョウ「…どうするかは君次第だ…だけど、君が本当に提督のことを思っているなら取る道は一つだと思うけどね」

友提督「…五月雨、こんなところに居たのか」

五月雨「て、提督!?」

リョウ「…ちょうどいいじゃないか。君も提督に用があったんだろ?」

五月雨「えっ!?えっ…」

リョウ「じゃあ、俺は失礼するよ(…がんばれよ五月雨)」

友提督「…五月雨、どうしたんだい?」

五月雨「えっ…えっと…」

リョウ「さて、そろそろ帰るか、香」

提督「…冴羽さん。このたびは本当にありがとうございました!」

リョウ「…俺ができるのはこれまでだ。この後の方が色々と大変だと思うが、頑張れよ」

提督「…この件の後始末に、深海棲艦との戦いも続きますが…彼女と力を合わせて頑張っていきます」

リョウ「ふっ…二人でならどんな不幸も乗り越えられるさ」

山城「…はいっ」

リョウ「…頑張れよ」

提督「あっ、冴羽さん…」

リョウ「ん?」

提督「…あっ、あの…例の報酬の件ですが…」

リョウ「…へっ?」

香「…リョウ?」

五月雨「えぇー!わ、私にですか!?」

友提督「あぁ…。今回の件では五月雨には本当に頑張ってもらったからな。それに…今まで一番苦楽を共にしてきたから、一番は君はどうしても君にと思ってな…」

摩耶「…悔しいけどよ。こればかりは五月雨に譲るぜ」

五月雨「…グズッ…提督…ありがとう…」

リョウ「……今回は遠慮しとくよ」

提督「えっ!?本当によろしいんですか!?だって、来る前はあんなに…」

リョウ「深海棲艦との戦いが終わる時まで、あんたに預けとくぜ。俺の分のもっこりをしっかりと守っといてくれよ」

提督「了解です」

リョウ「行くぞ、香」

提督(冴羽さん…ありがとうございました)

……

香「…リョウ、あんた本当によかったの?」

リョウ「けっ、あんなの見せつけられたらそんな気も起きるかってんだ…それに、俺には二人を平等に愛するなんて器用な真似はできないんでね…」

香「…リョウ」

FIN

以上で終わりです。前回執筆中に、スレを落としてしまったりと色々と不手際がありましたが、何とか完結させる事が出来ました
今までお付き合いいただきありがとうございました

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom