ヨウ「リーリエ・・・!?」アニポケリーリエ「・・・どなた様でしょうか?」 (310)

・ポケモンのSS。
・ゲーム版はクリア後。アニメ版は少なくともシロンが生まれた後。
・キャラ崩壊注意。
・な げ え よ。
・ちょくちょく改行する形で書いているので、スマホでお読みの場合、
 スマホを横にして画面サイズを変えると読みにくさが多少改善されるかもわかりません。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1493295923

―――――メレメレ島・トレーナーズスクール

デクシオ「“こちらデクシオ。 この場所にあると思われるジガルデ・セル、回収できましたか?”」

ヨウ「うーん、ダメです。 見つからないですね。」

ジーナ「“おかしいですわね。 このトレーナーズスクール付近にいるのは間違いないのですが…”」

ヨウ「すいません。 頑張りが足りないのかも。もうちょっと粘ってみます」

デクシオ「“いえ、チャンピオンにこれ以上お手間をかけさせるわけにはいきません。 もう充分です。
 …ひょっとしたら時間が悪かったのかもしれない”」

ヨウ「…時間が悪い、か。 …それなら、」

ジーナ「“どうされましたの?”」

ヨウ「…やっぱりもうちょっと探させて下さい。 2時間以内にはまた連絡入れます。
 …実はとっておきの裏技があるんです」

デクシオ&ジーナ「「“?”」」 

―――――ポニ島大峡谷の祭壇・空間の歪み 

ヨウ「よし。 ほしぐもちゃん、頼んだ」

ほしぐもちゃん「…!」ふんす

ヨウ(…時間に問題があるなら、昼夜逆転の世界に行けば解決できるはずだ…)

――空間移動――

ヨウ「着いた。 ありがとうね、ほしぐもちゃん」なでなで

ほしぐもちゃん「~♪」

ヨウ (…あれ、ここ…、ポニ島の祭壇じゃない…。
 でも、ここは見覚えがある…。ここはメレメレ島じゃないか…)

ヨウ(…いきなりメレメレ島に着いたってこと…? …こんな事はじめてだ…。
 元々ここに来るつもりではあったんだから都合が悪いわけでは無いんだけれど…)

ヨウ(…とりあえずトレーナーズスクールまでいってみよう)ライドギア

………しーん。

ヨウ「?」ライドギア

………しーん。

ヨウ「あれ?(ライドポケモンがこない。 …なにか、変だぞ…?)」

―――――

ヨウ(とりあえず歩いてトレーナーズスクールまで来てみた…、つもりなんだけど…)

ヨウ(おかしいな? 確かに、ここは学校ではあるっぽいけど全然、見覚えない建物だ…)

ヨウ(…道を間違えた?    ……ん、校庭に誰かいる……)


アニポケリーリエ「……………………」
シロン「………こーん」


ヨウ「……………………………」

アニポケリーリエ「…………………」ちら


ヨウ「…………………………え?」

アニポケリーリエ「……………………?」



ヨウ「リ、リーリエ・・・!?」

アニポケリーリエ「・・・どなた様でしょうか?」


ヨウ「……リーリエ…!? な、何でアローラに…? いつ戻っ…、」

アニポケリーリエ「!! 危ない…! 来てはダメです、…! 

校庭でレース中のケンタロス「」どどどど!
校庭でレース中のケンタロス「」どどどど! 

サトシ「うおぁっ!?」
アニポケカキ「くっ!」

ヨウ「うわぁ!」

ケンタロス「「ぶもぉおおお!」」

ヨウ「……!(びっくりした)」

サトシ「大丈夫か!?」


アニポケカキ「おい、あんた、ケガはないか!? 急に飛び出してくるから…!! 立てるか?」

ヨウ「ご、ごめんなさい。 大丈…、………カキ…、さん…?」

アニポケカキ「…何?」

ヨウ「あ…、ケガはないです。 本当にすいませんでした、カキさん…。
 でもメレメレ島にいるなんて、珍しいですね? 今日は、何かあるんですか?」

アニポケカキ「…なにを、いってる?」

サトシ「? …カキの知り合い?」

アニポケカキ「…いや…? …俺の…、勘違いならすまないが…、その、あんたは俺の事を知ってるみたいだが、
 俺はあんたのことを知らない…。 …どこかで会ったことあったかな?」

ヨウ「………え…?」

ピカチュウ「ぴかぴー!」

アニポケスイレン「だいじょうぶですかー?」
アシマリ「あうあう!」

アニポケマオ「前も何かこんな事無かったかな!?」
アママイコ「あまーい!」

アニポケマーマネ「それは99パーセントの確率でサトシが来た時だよ! サトシが!」
トゲデマル「まっきゅう!」

ヨウ(…! スイレンに、マオ? それにマーマネまで?)

サトシ「とりあえずケガは無いみたい」

アニポケマオ「良かったー」ほっ

アニポケマーマネ「いきなり災難だったねー。君ぃ、新入生? 実はボクたち、ここの生徒なんだよ」

ヨウ(……せ…生徒…!? 何を言ってるんだ…? …そんなはず、ないじゃないか…!?)

サトシ「ははは、マーマネ! そんな見ればわかるようなことわざわざ言わなくてもいーじゃん!」

アニポケカキ「…サトシの言うとおりだ、マーマネ」

アニポケマオ「でも今日、新入生が来るなんて私、聞いてないなぁ? スイレン、知ってた?」

アニポケスイレン「ううん。わたしもしらなかったけど…。 リーリエは、どお?」

アニポケリーリエ「…いえ、わたくしも存じていません…」

ヨウ(一体どうなってるんだ…? …みんな、僕の知ってるみんなと何か、雰囲気が違う…。
 ………彼女は…、リーリエじゃ…ない、のか…?)チラ

アニポケリーリエ「………あの、何か?」

ヨウ「あ…、いや……」

アニポケリーリエ「………。 なんだか顔色がよろしくないようですけれど本当に大丈夫ですか?
 …マオ。 一応、保健室にお連れした方が良いでしょうか?」

アニポケマオ「うーん、ならいっそ、博士に来てもらった方が良いんじゃないかな?」

ピカチュウ「ぴかちゅう?」

サトシ「じゃあ俺、呼びに行こうか?」

ヨウ(……そうだ。…それから…、…この子は、知らない…。 …この子は、誰だ…?)

サトシ「ん? あ、俺、サトシ! ここにいるみんなの中のじゃあ、俺も新入りな方なんだぜ!
 コイツは相棒のピカチュウ! よろしくな!!」にか
ピカチュウ「ぴっぴかちゅう!」

ヨウ「(……この子は、なんだか…良い子っぽいな…。)
 …僕はヨウと言います。 いきなり飛び出してきてすいませんでした…」

ヨウ「…あ、あの、ちょっと質問させてもらっても、いいですか?」

アニポケマオ「うん、いいけど?」

ヨウ「…みなさんは、マオさん、カキさん、スイレンさん、
 マーマネくん、リーリエ…さん、そしてサトシくん…。 それで間違いありませんか?」

アニポケカキ「…!」

アニポケスイレン「ま、またたくまにみんなのなまえをおぼえてくれたの? すごい。だいせいかい。」

ヨウ「……。 …ここはアローラ地方、メレメレ島のトレーナーズスクールですか?」

アニポケマーマネ「あはは! 惜しいねぇ、それはハズレ!」

サトシ「ここはメレメレ島のポケモンスクールだ!」

ピカチュウ「ぴーぴかちゅう!」

ヨウ「(…トレーナーズスクールではなく…、『ポケモンスクール』?) ……。
 …最後に、変な質問をします。 意味がわからなければ聞き流してください…」

ヨウ「つまり僕とあなたたたちは初対面なんでしょうか?
 …あるいはその…、こんなこと聞きたくないんですが、これは何かのイタズラとかじゃないですよね?」

アニポケリーリエ「…確かに不思議な質問ですね? 少なくとも、わたくしはあなたと今日会うのが初めてです。
 イタズラか何かというのは…すみません、仰られてる意味が良くわからないです」

ヨウ「…………」

ヨウ(これだけは嫌でもわかった。ここは…昼夜逆転世界じゃない。得体の知れない何か別の世界だ。
 この“ポケモンスクールの生徒であるみんな”は、僕の知るみんなと同じ名前や容姿をしているけど、
 性格や立場とかはまるで異なっているみたいだ。 …なんていうんだっけこういうの?
 ……パラレルワールド……、って言ったっけ? …それ自体もショックだけど……)

アニポケリーリエ「………。(若干、警戒の眼差し)」

ヨウ(…リーリエに初対面扱いされてるのがそれ以上にショックというか、……悲しい…)ずーん

サトシ「おい? 大丈夫か、ヨウ?」

アニポケマオ「ダメージが後から効いてきたのかもしれないね、食あたりみたいに!」

アニポケリーリエ「……やっぱり保健室にお連れした方が?」


「オゥオゥオゥー!! 挨拶無しが俺たちの挨拶!!!」

全員「「「「!?」」」」


スカル団員「この間はよーくもやってくれたな! 仕返しにきたスカら!」

アニポケカキ「スカル団…! またお前等か?」

ヨウ「!! …す、スカル団……!? なんで?解散したはずじゃ…?」

アニポケマーマネ「何言ってんの? 現在進行形で迷惑行為をランしてるよ!」

ヨウ(…じゃあ、ここは過去の世界ってこと? ……いや、それでも全然辻褄が合わない……)

スカル団員「今日は助っ人、連れてきたスカら、ぜってー負けねー!」

ベテラントレーナー「……。 …そこの半裸のガキと、電気ネズミを連れたガキ…、あの二人をやればいいんだな?」

アニポケカキ「俺は ガキ じゃなくて、カキ だ…。
 ……御指名は俺達か? ……良いだろう、相手になってやる…!  いけっ、バクガメス!!」

ベテラントレーナー「叩きのめせ、ガラガラ。 …“シャドーボーン”!」

アニポケカキ「アローラのガラガラ…! ほのおタイプか、面白い…。バクガメス、“りゅうのはどう”!」

――――ズガン!

バクガメス「ガメッ…!」

Rガラガラ「ガラガ!」ニヤリ

アニポケカキ「…くっ!(このガラガラ、かなりできる…!) …なら、“トラップシェル”だ!」

ベテラントレーナー「“きあいだめ”」

アニポケカキ「何ッ!?」

ベテラントレーナー「見え透いてんだよ…!“いわなだれ”!!」

――――ドガガガガ!!

バクガメス「…ガメェー、ス…!」きぜつ

アニポケカキ「バクガメス!」

ベテラントレーナー「……。 ……ガラガラ」

Rガラガラ「ガラ!」

――――バキッ!!

アニポケカキ「な…っ!!」

ヨウ「…!!(動けなくなったバクガメスにさらに攻撃を加えた…!?)」

サトシ「や、止めろ! もう勝負は付いただろ!!」

ベテラントレーナー「だから? お前らを二度と歯向かえないようにしろと言われている。 …続けろ、ガラガラ!」

―――バキ!ガキ!

アニポケカキ「……き、貴様ぁ…!!」

サトシ「…! ピカチュウ!電撃でガラガラの注意をこっちに引き付けるんだ!」

ピカチュウ「ぴかー」ビリビリ

―――ビビッ!

Rガラガラ「!」ギロ

サトシ「よし! …って…あれ? …ガラガラに電気が効いた…?」

ヨウ「サトシ。 アーロラのガラガラのタイプは、ほのおとゴーストなんだ。とはいえ、
 特性“ひらいしん”を持っていることが多いから君の目論見通り、大抵電気が通じないはずなんだけど…、
 …今の反応を見る限りあのガラガラの特性は“ひらいしん”じゃないな…」

サトシ「…そ、そうなのか。 詳しいな、ヨウ」

ヨウ「…それよりも早くバクガメスを助けなきゃ……」

Rガラガラ「ガラァ!!」

アニポケスイレン「! こ、こっちにくる!」

サトシ「し、刺激しすぎたか!?」

ベテラントレーナー「ガラガラ!“かえんぐるま”!」

アニポケカキ「!! みんな、伏せろ!!」

――――――ボォオオオ…!!

アニポケカキ「…!! みんな、大丈夫か…?」

アニポケマーマネ「……いって~…!」

トゲデマル「まー、まー!?」

アニポケマオ「…マ、マーマネ! …膝…、血が出てるじゃない!!」

アニポケマーマネ「…だいじょうぶ…、擦りむいただけ…。 …痛っつ…!」

ヨウ「…!」

トゲデマル「まー…」ウルウル

トゲデマル「……」

トゲデマル「!!」キッ

ベテラントレーナー「てんで弱ぇな、てめぇら…。 ……拍子抜けだぜ」

スカル団員「へへっ、ベテラントレーナーさんは元島巡り達成者なんスカら…、子どもなんかが…」ヘラヘラ

ベテラントレーナー「…!!!」バキ!

スカル団員「………ギャ…!!」

アニポケリーリエ「きゃあ!」

ベテラントレーナー「余計な事を言いやがって!!テメェから潰すぞ…! クズ野郎がぁ!!」

スカル団員「………ひぇえええええ…!!!!」逃走

ヨウ「…カキさん。“ げんきのかたまり”です。
 マーマネはこっちで見ますから、カキさんは今のうちにこれでバクガメスを」

アニポケカキ「…! …すまん…!」

ヨウ「………。(あのガラガラの特性は“ひらいしん”じゃなかった。
 使った技は、“シャドーボーン”、“きあいだめ”、“いわなだれ”、“かえんぐるま”。
 …………じめんタイプ要素は完全に切ってる感じだな…。) ………!?」

トゲデマル「まきゅー!」ダダッ

ヨウ「あ!」

アニポケマーマネ「トゲデマル! ……駄目っ!」

Rガラガラ「……」

―――バキ!

トゲデマル「まきゅ…!」

ヨウ「っ!」バッ

―――だき!

トゲデマル「まきゅ~…」ぽろぽろ

ベテラントレーナー「雑魚の癖に粋がるんじゃねぇよ…。
 …ああん…、今、トゲデマルを抱き上げてるガキ…、何か文句でも言いたそうな眼してやがるな?
 ………………………。  ………次はテメェが勝負するか…?」

ヨウ「…………」

ヨウ「……………ああ…。………望むところだ…。  ……………」スッ

トゲデマル「…まる! まーきゅー!」ジタバタ

ヨウ「…わ! ……ト、トゲデマル?」

アニポケマーマネ「…! だ、ダメだよ、トゲデマル! ごめん、キミ! トゲデマルを落ち着かせて!」

ヨウ「……………」

ヨウ「……………トゲデマル…、闘い、たいの?  …。 ……いや…、…一緒に…、闘え…と…?」

トゲデマル「まー!」こくっ!

ヨウ「…………。 …あのガラガラ、じめんタイプの技こそ持ってないみたいだけれど、
 ほのおタイプの“かえんぐるま”を使う。 相性的に弱点を突かれるという点で不利は変わりない。
 ……………君に…かなり痛い思いをさせてしまう…」

トゲデマル「………まきゅう…」うるうる

ヨウ「……………」

ヨウ「……………それでも…たとえ、そうだとしても…、…君はあのガラガラに勝ちたい……?」

トゲデマル「!! まっきゅっ!!」こくんっ!

ヨウ「………………」

ヨウ「………………」

ヨウ「………………そっ…か……」

ヨウ「……………」

ヨウ「……………………………マーマネ…」

アニポケマーマネ「…?」

ヨウ「急に…こんな事言われても…驚くと思うけど、あの人とバトルするのにトゲデマルを貸してほしい…。
 ……いきなり信じろなんて難しいかもしれないけれど、…僕を…信じてほしい……」

アニポケマーマネ「……!!」

アニポケリーリエ「な……、何を…言ってるの……? …あの子…?」

アニポケスイレン「だ、だめだよ、そんなの! 
 …あんなきょうぼうなガラガラとたたかわせるのはこわいけど…、
 ポケモンもってないなら、わたしのアシマリがみずたいぷだから…!」

ヨウ「………。 気持ちはありがたいんだけど、ここはトゲデマルが闘わないとダメなんだ。
 …ごめんねスイレン。」

アニポケマオ「き、君がトゲデマルの想いを汲もうとしてくれてるのはわかるけど、
 …あのガラガラ相手じゃ無茶だよ!!」

アニポケマーマネ「…………………」

アニポケマーマネ「……………………ヨウ、とか…言ったね……」

アニポケマーマネ「………ボクの…トゲデマルが使えるわざで…、一番強いのは…“びりびりちくちく”だ……。
 ………………トゲデマルを…よろしく…」

ヨウ「…!」

アニポケマオ「マ、マーマネ…!?」

アニポケマーマネ「……あ、あの子は信じていい気がする…。
 ボクらしくないけどそう思うんだ…。何でかはよくわかんないんだけど…」

アニポケリーリエ「そ、そんな…! 止めた方が…!?」


サトシ「…………」

サトシ「…………ヨウ!」

ヨウ「…………サトシ…?」

サトシ「マーマネが信じていいって思うってんなら…俺もお前を信じていいって思うことにする…。
 …頑張れよ! 俺もピカチュウも応援するぜ!!」
ピカチュウ「ぴっかちゅ!」

ヨウ「あ……、…ありがとう…!」

サトシ「へへへー!」にかっ

アニポケリーリエ「………サ、サトシまで…!」

トゲデマル「まきゅーう!」

ヨウ「うん。 一緒に頑張ろう。トゲデマル」

ベテラントレーナー「結局、そのトゲデマルが相手かよ……。 テメェ、素人か?」

ヨウ「…」ポイ

ベテラントレーナー「!」パシ

ベテラントレーナー「…ああん? …“かいふくのくすり”?  ……何のマネだ?」

ヨウ「それでガラガラのダメージを回復させなよ。 少なからずダメージがあるはずだ」

ベテラントレーナー「…………は?」

ヨウ「ガラガラがダメージを受けたままじゃフェアじゃない。 これはポケモンバトルだ」

ベテラントレーナー「はぁ!? バッカじゃねェのか!? ……てめぇ、俺のガラガラを舐めてるのか?」

ヨウ「あなたが何をどう思おうと、
 僕は、見ず知らずのはずの僕を信じてくれたトゲデマルとマーマネに報いるバトルをするだけだ」

ヨウ「それから」

ヨウ「あなたは島巡り達成者だったというのに今こんなことをしている。 それが僕にはどうしても許せない」

ヨウ「僕はあなたをゼンリョクで倒す。 アローラのポケモントレーナーとして」

ベテラントレーナー「……!?………。
 ………ハッ、…まぁ…いいさ…。下らねぇことしやがった事を……精々後悔しやがれ!!!」

ヨウ「来い」

ベテラントレーナー「やれ!ガラガラ!!“かえんぐるま”!」
ヨウ「トゲデマル。“びりびりちくちく”」

トゲデマル「まきゅー!」ビリビリ!

―――バチィ!

アニポケマオ「先に当たった…!」

Rガラガラ「! …。」ジロ

ベテラントレーナー「素早さは中々だが、威力に関して見込み違いだな!
 大して効いちゃいねぇよ! ガラガラ!反撃だァ!」

―――ゴォオオオ!!

トゲデマル「…ま、まきゅ…、…!!」

ヨウ(急所か状態異常を引かない限り、計算上ギリギリ耐えられるはずだ…。頑張れトゲデマル…)

トゲデマル「…も…、もきゅ!」フゥフゥ

ヨウ「…よし…。 …よく耐えたトゲデマル…」

アニポケカキ「……。 ……弱点を突かれようとも、一撃を耐えられる保障があるなら、
 トゲデマルで挑むのは間違っていなかったかもしれない…。
 …仮にアシマリで闘っていたら相性上有利でも、素早さで勝負にならない分、
 上から二回叩かれて確実に負けていたはずだ。 …奴をそれを見抜いていたのか?」

アニポケマオ「…。 で、でも、このままでも普通に当たり負けてるよ? ここからどうするの!?」

アニポケカキ「……確かに、さっきの攻撃で与えたダメージは相手の体力半分に届かなかった。
 …だが…、さっき見た通りトゲデマルのスピードはわずかにガラガラを上回っている。
 つまり…、こっちには、もう一度攻撃のチャンスがあるんだ。
 …そこでの攻撃が急所に当てられさえすれば…、」

アニポケスイレン「…まだ、かてるかのうせいがある、かもしれない…?」

アニポケカキ「…ああ…。 ……ただ…細い勝ち筋ではあるが…、 …!!


ベテラントレーナー「…ふ、 ふ、ははは…! ははははははは…!!」


ヨウ「? ………何が…、おかしい…?」

ベテラントレーナー「…確かに、俺のガラガラは特性“ひらいしん”じゃない。
 だからこそ、曲がりなりにもそのでんきタイプのポケモンで闘えているわけだ…。 ……だがなぁ!」

ヨウ「……!(まさか…)」ピク

トゲデマル「………ま、まきゅう……」ガクガク

アニポケマーマネ「……トゲデマルの様子が…、…おかしい…」

アニポケカキ「! ガラガラの特性は“のろわれボディ”だったか…!」
 
アニポケスイレン「…“のろわれボディ”?」

アニポケリーリエ「…わたくし、本で読んだことがあります…。
 その特性を持ったポケモンを対象にわざを使うと一定の確率で“かなしばり”と同様の効果を与える。
 ……つまり、直前に使ったわざを次から使用できなくしてしまうんです……」

ベテラントレーナー「そのとおりだ。 わかるよな?
 これでもうトゲデマルは最大のダメージソースである“びりびりちくちく”を使うことができない。
 …まぁ、俺に言わせれば、急所頼みの闘いをする時点でテメェの負けみたいなもんだが…、
 これで、次の攻撃が万が一、急所に当たろうが…、俺のガラガラは絶対倒せねぇってことだよ!」


サトシ「ヤ、ヤバいじゃんか! …マーマネ!トゲデマルは何か他に強いわざ、覚えてないの?」

アニポケマーマネ「無いよ!! そんなのあれば最初に言ってる! そんなことみんなも知ってるじゃん!!」うる

アニポケカキ(…っ ……あのベテラントレーナー、思った以上に…!!)

ヨウ「…………………」

ベテラントレーナー「…ハッ!
 お前が最初に俺のガラガラを回復させるような調子乗ったマネしなけりゃまだ可能性はあったかもなぁ!」

ヨウ「…………………」

アニポケマーマネ「………ヨ、ヨウ…?」

アニポケカキ「……くっそッ…! ……ここまでか…!!」

アニポケリーリエ「……と、止めに入った方が…!?」

ヨウ「…………………」

ヨウ「…なるほど。わざの封じ効果を引いてしまったのは運が悪かった」

ベテラントレーナー「はっ、はっはっは! 運が悪かったぁ? 良い言い訳だなぁ!?
 何がアローラのポケモントレーナーだァ!? 人様の大事なポケモンを借りといて無様だよなぁ!
 ははははは! …今更!…降参なんて…させてやると思うなよ!!!」

ヨウ「降参なんてしないさ。 何も問題はない」

ベテラントレーナー「…は?」


ヨウ「次のトゲデマルの攻撃一回で必ずあなたのガラガラを落とす」

ヨウ「急所に当てるまでもなく、すでに確一圏内だ」


…………………………。

ヨウ以外「「「…!!!??」」」」


ベテラントレーナー「………お前…、今、 何て言った…?」

ヨウ「“次の攻撃で確実にガラガラを倒す”と言った。わざが封じられるのも想定の範囲内…。
 あなたの言う通りだ。人の大切なポケモンを預かってバトルしているんだ。 無様には負けられない…」

ベテラントレーナー「……お、お前、 人の話、 聴いてなかったのか…!?
 さ、さっきの“びりびりちくちく”ですら、ガラガラの体力は半減すらしてねーんだよ!!
 …何でそんなに余裕ぶれる!? 一体、どうやってガラガラを倒す気だ!?」

ヨウ「それは簡単だ。 “びりびりちくちく”以外の、より強力な技を使う」

ベテラントレーナー「で…、でたらめを言うな!!!
 そのトゲデマルのトレーナーが…、一番強い技は“びりびりちくちく”って言ったんだぞ!?」

アニポケマーマネ「よ、ヨウ! ど、どういうことっ?」

ヨウ「ああ、ごめん。 マーマネもベテラントレーナーの人も間違ってない。
 マーマネがトゲデマルに覚えさせている4つのわざの内、最大威力のわざは確かに“びりびりちくちく”だ」

ベテラントレーナー「……お前、なんなんだよっ、わけわかんねぇよ………!!」

ヨウ「だけど、今このバトルでトゲデマルが使えるわざは4つじゃなくて、 5つある」

ベテラントレーナー「はぁ!? な、なにを…いって…、 ……!!?」

アニポケカキ「…そ、そうか…! …アイツ…!?
 …トゲデマルの方には…、さっき抱き上げた時にか!? いつの間に…!」

アニポケマオ「え?」

アニポケスイレン「ど、どういうこと!?」

サトシ「……ヨウが手首に付けてるの…、…俺とカキと…同じ…! ヨウも、アレを、使えるんだ…!」

アニポケリーリエ「………!」

ヨウ「………………………」

ヨウ「………………………………Zワザ……」

ベテラントレーナー「……あッ…!!?」

トゲデマル「まぁっきゅうううゅぅぅ………!!!」バチバチバチ

――――Zワザ スパーキングギガボルト

トゲデマル「…まっきゅううぅぅーーッ!!!!」

――――バチバチバチバチバチバチィィイイイ!!!

Rガラガラ「…ガラガッ……!!!」

Rガラガラ「…ガ、」

Rガラガラ「」きぜつ

ベテラントレーナー「…あ、 …あ…… ばかな………!」

アニポケマーマネ「……トゲデマルが…、 …あの子が…、 …勝った……!」

ヨウ「………」ふー

―――――

ヨウ「お疲れ様トゲデマル。 ありがとうね!」

トゲデマル「まっきゅう~」ピョンピョン!

ヨウ「ふふっ、…ダメージあるんだから、そんなにはしゃいじゃダメだよ?
 …あ、ここ毛玉になっちゃってるな…。 毛づくろいはマーマネにやってもらった方がいいかな…?」

アニポケマーマネ「…え…、あ、うん。 …す、すごいんだね…、君…?
 …。 ………いや…、すごいんだね、ヨウ! ……ありがとう!」

ヨウ「…そんな…。  頑張ったのはトゲデマルで、マーマネが信じてくれたから闘えたんだ…。
 ……それより…ごめんね。 もう少し、危なっかしくなること無く、勝てれば良かったんだけど…」

アニポケスイレン「かてたことじたいがよかったよ…!  …ん?……どうしたの? …カキ?」

アニポケカキ「…す、凄い…! ポケモンの能力をフルに、いや、限界以上に引き出したかのようなZワザ…!
 おそ…らくは…、しまクイーン、以上…!? …いや、そ、そんなこと…ありえない、が、しかし…!?
 …と、とにかく…とんでもないな、あんた…! …一体どうやって、そこまで極めたんだ…!?」

ヨウ「……え?  ……あー、いや、えっと……」

サトシ「なんかよくわかんないけど、ヨウの撃ったZワザってそんなにスゲーんだ?」

アニポケカキ「…ああ…。……恐ろしいほど使い込まれ、洗練されたZワザだったのは間違いない…。
 ………あれなら、あの…カプ・コケコにだって勝てるかも……。……しかし、あれの凄さが、
 わからないようでは、まだまだ修行が足りないんじゃないのかー、サトシ?」にやり

サトシ「いー、マジかよー!」ガーン

ヨウ「……」ちら

ベテラントレーナー「………ばか、な…。 ……ガラ、ガラ…」

ヨウ「……」すたすた

ベテラントレーナー「…!」ぴく

ヨウ「……………」

ベテラントレーナー「……………」

ベテラントレーナー「………何、だよ…? 俺を…、笑いてぇのか…?」

ヨウ「……………」

ベテラントレーナー「………………」

ベテラントレーナー「……Zワザ使いが…、 他にもいたなんて情報が…なかったとはいえ…、
 無警戒で、喰らっちまうとは……。とんだマヌケだ俺は…」

ヨウ「……………」

ヨウ「…島めぐりをしていたなら、あなただってZワザを使えたはずです。
 だけど、今のあなたはZリングを身に付けていない。 それは…」

ベテラントレーナー「……やめろ…」

ヨウ「本当は悪いことしている負い目が、あなたにはあったからじゃないんですか?」

ベテラントレーナー「…やめろつってん、だろ…!」

ヨウ「………………」

ヨウ「………あなたのガラガラは強かった。
 多分、ちゃんと基礎から考えて育てられていた。 だから色々…勿体なく思った」

ベテラントレーナー「…………………」

ヨウ「……………」

ヨウ「強かったです。 …言うつもりだったのはそれだけ」

ベテラントレーナー「……………」

ベテラントレーナー「……、…アンタ、只の手練れじゃ無ぇな……。 一体…何者な…、………!?」

ヨウ「?」

ベテラントレーナー「…!」

ベテラントレーナー「…………?………!?」

ベテラントレーナー「……な…、なんだ、ありゃ……!?  いつの間に…?  …どこから来た……!?」

ヨウ「………え?」くる

アニポケマオ「…何かな、このポケモン? いつから、私たちのこんなすぐそばに? …全然、気づかなかった」

アニポケスイレン「このへんのポケモンじゃなさそうだねぇ? きみ、どこのこー?」

アニポケリーリエ「わたくし、こんなポケモン初めて見ました」

サトシ「ドククラゲみたいだな? いや…、全然違うか??」
ピカチュウ「ぴかちゅう?」

アニポケカキ「…というか、ポケモン………なのか? こいつ?」

アニポケマーマネ「ねぇ? みんな、ひょっとして僕を保健室に連れてくの、忘れてな~い?」

ヨウ「…そんな…馬鹿な…!? …急に…!? ……な、なんで……!!?」


ウツロイド「じぇるるっぷ……」


ヨウ「……………ウ」

ヨウ「……………ウル、トラ…、ビースト……!!?」


ヨウ「…ウツロイド…!!?  しかも、…色違い!?  …っ、」

ヨウ「みんな! そいつから離れて!!!」


アニポケマオ「え?」

ウツロイド「じぇるるっぷ…!」かっ!

―――――ドドドォン!!!

サトシ「うわぁっっ!!!」

ヨウ「!! ……あああ………!!!」

ベテラントレーナー「な、何だよ…!! あれは…!!!?」

ヨウ「 ! …あなたも早く、逃げ…っ、…
 ……いや、サトシ達以外にもいる校庭の生徒たちとポケモンを、避難させてほしい…!」

ベテラントレーナー「……あ……、ああ…。」

ヨウ「…ありがとう」 だっ!

ヨウ「みんなっ! 早く、そいつから逃げてっ!!!」

サトシ達「「「!!」」」

――――――ダダダッ!

アニポケマオ「…なんなの…あれ…!?」ハァハァ…

アニポケマーマネ「足痛ッ! 肩貸してくれたのは嬉しいけど、
 もう少し丁寧に運んでよぉ、サトシ!カキィ…!」ヒィヒィ…

アニポケカキ「…そりゃ悪かったな…!」フゥフゥ…

サトシ「でも、擦りむいただけだったんだろ…!?」にや
ピカチュウ「ぴぃー…、ぴぃー…」ツカレタ

ヨウ(……全員、逃げれた?)

シロン「こぉん!?」

アニポケスイレン「…あっ! …ま、まだ、リーリエが…!?  ………にげおくれてるっっ!!?」

ヨウ「……な!!    ……っ!!」 だっ!!

サトシ「!……ヨウ!!」


ヨウ(やばい、やばいやばい……やばい!!)たたたっ!!!

アニポケリーリエ「…………あ…、ああ……!!」

ウツロイド「じぇるるっぷ……」ビュン!!


ヨウ「・・・・・・リーリエぇぇッッ!!!!!」ばっ!!


――――!!!

ヨウ「………………」

ヨウ(………………か、)

ヨウ「(……間一髪…、間に合った…。)   …リーリエ、大丈夫!? ケガしてない!!?」

アニポケリーリエ「………!////」どきどき

ヨウ「リーリエ…?  リーリエっ!大丈夫!?」

アニポケリーリエ「…………だ、だいじょうぶです…」

ヨウ「…………よ、 良かった……。  君に……、何かあったら……っ」

アニポケリーリエ「…へ? …えっ…!?」あわあわっ



ウツロイド「じぇるるっぷ!!」


ヨウ「…っ! …リーリエ、走れる?」

アニポケリーリエ「ご、ごめんなさい…! 足が…、すくんじゃって…!」

ヨウ「…わかった。 …じゃあ、僕の傍から離れないで」

アニポケリーリエ「………は、はい…!」

ヨウ(……ウツロイド…。 …悪いけど一気に倒させてもらう…。  頼む、ほしぐも……って、あれ?)

ウツロイド「…じぇるるっぷ……」


ヨウ(…! ウツロイドの足にほしぐもちゃんが入ったモンスターボールが取り込まれてる!?
 さ、さっき、飛び込んだときにかすめ盗られたのか…!?)

ヨウ(い、今…、ほしぐもちゃん以外の手持ちを持ってきて、無い…! これじゃあ、闘えない…!!)

ウツロイド「…じぇるるっぷ」

アニポケリーリエ「…いやっ!」ぎゅ…

ヨウ「…く、くそっ…!!」

ウツロイド「…じぇるる!!」ビュッ!

「…10万ボルトォ!」

ピカチュウ「ピィーカァー、チュウウウ…ッ!」

―――バチバチバチィイイ!!!

ウツロイド「…!!!」


サトシ「…俺達が相手だ…! 行け、ピカチュウ!」
ピカチュウ「ピッカァ!」


ウツロイド「じぇるるっぷ!!」“パワージェム”

――――ド、ド、ド、ド、ドン!!

ヨウ「サ、サトシ…! !! それ以上、闘おうとしちゃダメだ、逃げて! 勝てる相手じゃ…!」

ピカチュウ「ピィッッー…!!」ギュン!

ウツロイド「!?」
ヨウ「…な…? (…速い…!)」

サトシ「良く避けた! 上手いぞ、ピカチュウ!」

ウツロイド「じぇるるっぷ!!」“ヘドロウェーブ”

―――――ブワァアアアア!!

ヨウ「! これは、直撃する!あぶないっ!」

サトシ「………いや……、ここだ…ッ!  …ピカチュウ! 地面に向かってアイアンテぇーールッ!!」

ピカチュウ「ピッカーチュウゥ!!」

―――ズガンッッ!!!

ウツロイド「…!?」

サトシ「そのまま………、」

サトシ「…………………かわせぇッ!!」

ヨウ(凄い…! 無理やり、回避した…! …サトシのピカチュウは…、異常なほど闘い慣れている……)

サトシ「ピカチュウ…! …エレキボォォーールッッ!!」

ピカチュウ「ピィーカァーチュウゥウ…!!!」


―――バリバリバリィイイ!!!


ウツロイド「……じぇ…!!!???」

サトシ「…よォし!  続けて、10万ボル……、何ッ!?」

――――チカチカチカ

ウツロイド「……じぇるる…っぷ」チカチカチカ

サトシ「………消えて…、いく…?」

ヨウ「!?    …ま、待てっ…!!」

――――フッ

サトシ「!? あ…、あいつ、どこにいった!?」

ヨウ(…! …く…! 逃げられて…、しまった……)

サトシ「……いなく、なったのか…? …さんきゅう、ピカチュウ…。
 ……リーリエ、ヨウ…! 二人とも、大丈夫か!?」

ヨウ「……………おかげで、助かった…。ありがとうサトシ…。
 …………だけど……、ほしぐもちゃんを奪われるなんて…!  …リーリエに…何て言えば…!」

サトシ「………ヨウ…、…とりあえず、リーリエなら、ここに居るけど…?」

ヨウ「……………」

サトシ「……………?」

ヨウ「……あ、いや、そうなんだけど…、えーと、そういう事ではなくて……」

アニポケリーリエ「…わ、わたくしが逃げ遅れた所為で…、あなたの…ポケモンが…!」うるっ

ヨウ「(!) だ、大丈夫…! ほしぐもちゃんは滅茶苦茶強いから!!
 もう会えなくなるとか、そういうのは絶対大丈夫……!」

サトシ「……それにしても…なんだったんだ、あれ?」
ピカチュウ「ぴか…ちゅう…?」ピョン

アニポケククイ「おーい!」

ヨウ達「「「!!」」」

アニポケククイ「どうしたー、お前たちー!  とっくに次の授業始まってんぞー。
 だーれも教室にいないからビックリしちゃたぜー。
 …ひょっとして、あれか? …授業ストライキ…とかじゃないよな…?」


ヨウ達「「「……」」」

アニポケマーマネ「………く、来るのが…、遅いよ! 博士ぇ!!」

アニポケククイ「え?  な、何? …なんかあったのか?」

アニポケリーリエ「何か…あったって…、」

アニポケマーマネ「………あ…、あのヘンチクリンなポケモンがめちゃくちゃに暴れた跡を見てよ!
 アイツが暴えた跡が…、跡が…!!」

アニポケカキ「…な、なん…だ、これは……?」

アニポケスイレン「…きえ…、てる…!?」

アニポケマオ「あのポケモンが暴れて…壊されたところ、全部、元通りになってる…。 …なん、で…?」

ヨウ達「「「……!!?……」」」

アニポケククイ「どうしたんだ…?…お前たち…?本当に?
 …………ん? そういえば…君は見慣れない子だね…? ウチの生徒じゃないな。 ………あ、俺は…

ヨウ「……ククイ、博士…」

アニポケククイ「おお…!  知ってくれてるとは光栄だなぁ!  そうだ。 俺がククイだぜ。よろしくな!
 もう聞いてるかもしれないが、この子たちの担任教師をしている」


ヨウ(! ……ククイ博士が、…教師…? …なんか…本当に、何でもありだな…、…わ!?)

もぞもぞ…、ぎゅいーん!

ロトム図鑑「アローラー! …ヨウ!  ジガルデ・セル探しはいい加減もう終わったロトか?」

アニポケククイ「お!  そいつは…ロトム図鑑じゃないか? 
 どういう伝手で手に入れたかは知らないが入手、大変だったろ? …初めまして、ロトム。俺はククイだ」

ロトム図鑑「…? そんなこと知ってるロトよ、ククイ博士? つい先日、会ったばかりじゃないロトか?」

アニポケククイ「ははは! 面白い事言うな、お前。 …なぁ、君? ちょっとこの子見せてもらってもいいかな?」

ヨウ「………………。  ………ええ、どうぞ…」

ロトム図鑑「くすぐったいロ」

サトシ「………ヨウ、こんな時になんだけど、俺もロトム図鑑持ってるんだ…。
 でも今、アイツ、お気に入りの探偵ドラマ、観に帰っちゃってさ。 会わせてやれないのが残念だ」

ロトム図鑑「た、探偵ドラマにハマるロトム図鑑…! 一体、どんな顔してるか見てみたいロ……」

アニポケククイ「フフフ! キミとよく似た顔してるぜ! ……さぁ、どれどれ、図鑑の状況は…? ……」


アニポケククイ(……!!?)



アニポケククイ(……アローラの土地神や…、伝説のポケモンの……と…、登録、データだと…! …!?
 そ、それから、図鑑本体の製造ナンバーが、俺がサトシにやったロトム図鑑と全く同じ…? …??
 …………な……、なんだ…、…これ……!!?)

ヨウ「………」

アニポケククイ「…………き、君は…、一体……!?」じっ

ヨウ「…ククイ博士…、聞いてほしい話があるんです…。 …少し、お時間をもらえませんか…」

―――――
―――



―――――ククイ博士の研究所

アニポケククイ「…つまり君はこの世界とは異なるアローラ地方からやってきたパラレルワールドの人間で。
 サトシ達に絡んできたスカル団との闘いに巻き込まれたが、君はそれを撃退…。

 だがその直後、出現したウルトラビースト(以下UB)なるウルトラスペースというまたさらなる
 別世界に住むポケモンに襲われて、君は今持つ唯一の手持ちのポケモンを奪われてしまった…。

 …尚、UBが暴れた痕跡は一切消えた。…君にもその理由はわからない。
 ついでに言うと、君と君の世界の俺は知り合いで、君のロトム図鑑はその俺から貰ったものである。…と」

ヨウ「……滅茶苦茶な話をしているのは、わかっているつもりです…。 …とても信じられないと思います」


アニポケククイ「…いや…、………信じたいと……思ってる…」

ヨウ「……」

アニポケククイ「……」

ヨウ「……え…? な、なんで、信じてくれるんですか…?
 僕が言うのもおかしいですけど、すぐに受け入れられるような内容じゃないでしょう?」

アニポケククイ「…逆に質問するようで申し訳ないんだけど、
 君はどうして俺にはその話を打ち明けてくれる気になったんだろう?」

ヨウ「……それは……… 僕にとってのククイ博士はポケモンのわざの研究家で、
 アローラにポケモンリーグを創ってくれた人で…、
 トレーナーとしては最初であり最強でもあった挑戦者でもある僕のライバルの一人で…、」

ヨウ「ロイヤルマスクで…、」ボソ

ヨウ「僕の旅に始まりをくれた人で……、いつだって…僕を導いてくれた僕の一番の恩人で…。
 ……ククイ博士ならきっとこんな状況でも力を貸してくれたに違いないと思ったんです…。」

ヨウ「…仮に、ククイ博士に信じてもらえないなら、多分、誰に話しても信じてもらえないって事だから…、
 僕にとっては、それはそれで諦めが付くというか、ある意味、開き直ることができるっていうか…。

 …そんな事情、こっちの博士には無関係なのに…、…勝手なことばっかり言って…、
 ……なんだか…すいません…」

アニポケククイ「…………。  …随分と… すげぇんだなぁ… 君の世界の俺は……」

ヨウ「…そうなんです。 本当にすごい方なんです、ククイ博士は…」ニコ

アニポケククイ「…………リーグ創設だとかなんてのは、正直ピンとこないけども…。 うん…。
 君の世界の俺はそんな素直な信頼に値する男なのかと考えたら、すげぇなぁと思って…さ…」

アニポケククイ「……………」

アニポケククイ「……………。 ………三つだ…!
 …まず、見せてもらった君のロトム図鑑について色々説明が付かないことがあるということ!
 …次に、実は俺としても校庭に出現したUBとやらに関して気になることがあるということ!
 …最後に…、…君がそこまで思ってくれているククイ博士への信頼を、
 この俺が裏切っちゃうってのは、どうも違うよな?」

ヨウ「…………。」

アニポケククイ「……だから俺は、君を信じることにしたぜ…。……ヨウ…!」

ヨウ「…!」ぱぁっ!

ヨウ「…あ、ありがとうございます。 …やっぱりククイ博士はどこの世界でもククイ博士でした…!」

アニポケククイ「へへ!!  …じゃあ、早速だが話の本題に移ろうか。
 実はだな、ちょっと前から校庭に、見えない妙な力場が発生していて、
 それが時間経過とともに少しづつ大きくなっていたのがわかっている。」

ヨウ「…力場?  そこからあのUBが出現したってことでしょうか?」

アニポケククイ「なんせ専門分野じゃないから断定はできないが…、俺はそうだと思う…。
 多分これは、…時空の歪み…、のようなものだったんじゃないかと考えている。
 ………現在、この歪みは、観測を始めた直後程度のサイズに戻ってしまったようだが…、」

アニポケククイ「………観測時とまったく同じスピードで、再び大きくなろうとしているみたいだ………」

ヨウ「…!?  そこからUBがまた、出現する…という事でしょうか…!?」

アニポケククイ「可能性高いね。
 この歪み…これまで害は無いと判断していたから、観測程度しかしていなかったんだが、…抜かったぜ。
 …まさかそんなのが出てくるとは想像力が足りなかったよ…。  
 ……ヨウがいなかったら、俺の生徒が大変なことになっていたと聞いている。 教師のククイ博士として
 礼を言わせてくれ。 ありがとう…」

ヨウ「…いや、そんな…。 それで…、またUBが出てきそうな時間を割り出すことってできるんですか?」


アニポケククイ「おう。 今日得た観測データから歪みのピークを規定して、
 そこから再出現の予想時間を逆算することは容易だ…。
 問題は、またその同じ個体のウツロイドとやら出てきてくれるかってことだが……。

 ………そうだ…、な…?  これは君の奪われたポケモンの入ったモンスターボールを辿って見るか。
 …待っててくれ、ヨウ。すぐに調べてみる。 ………………。
 ……ところでサトシ…、そろそろ入ってきなよ。盗み聞きは感心しないぜ?」にやり

ヨウ「…!?」くる

サトシ「…!?」びく!

サトシ「……あ…、ははは、は…、 バ、バレてた…!」のこのこ…
ピカチュウ「ぴか、…ちゅあ…」

ヨウ「えっ? き、君は、サトシ…? なんで、ククイ博士の家に…?」

サトシ「あー、俺、ここにイソーローさせてもらってんだ」

ヨウ「………居…候…?」

サトシ「………ねぇ、博士?
 俺らのアローラとヨウのアローラが違うパラレルナントカっていうのがよくわかんなかった。
 どういう意味です?」

ククイ「サトシにも解るように言うと…、…そうだな…? …あくまでたとえ話だが…、
 同じタイトルの作品なのに、ゲームとアニメでキャラクターの設定とかが全然違うみたいな感じかなー?」

サトシ「…ふーん。 わかったような? わかんないような?
 まぁ、とりあえずヨウは凄いところから来たってこといいんだよな…?」

ヨウ「……サトシ…、君まで僕の話を…信じてくれるの…?  …なんで?」

サトシ「うん? なんでかって言われれば、ヨウが嘘つくようなヤツに見えないからかなぁ…。
 …あーん、俺にも、よくわかんないや!」にかっ

ヨウ(…やっぱり、いい子だ。この子。)くす

サトシ「………大体まー、よくある話じゃん。
 何か違う世界から来たとか行ったとか。 俺にもそんな経験何度かあった気がするもん」

ヨウ「…………は、はぁ…!?(…じ、冗談だよな…?)」

ヨウ「…………あ…、それにしても…、さっきは情けないところを助けてくれて本当にありがとう。
 ……サトシとピカチュウ、凄かった。  一体どれだけ一緒に闘えばあんな以心伝心の動きが…?」

サトシ「よせよぉ…。 照れるなぁー」

ヨウ「…………あの時の君は、はっきり言ってスクール通いするトレーナーのレベルじゃなかった……。
 ……例えば………、ポケモンリーグなんかに出てもかなりいい線行くレベルのはず………」

サトシ「あはは、大げさだな。褒めすぎだぜ? さっきは偶然、調子が良かったっていうか。
 ま、ホントいうとさ、なんか俺、実力が安定しなくて困ってんだよ。 …なー、ピカチュウ?」にこにこ

ヨウ「………? …そ、そうなの?(…そんなことありえるのか? でも本心で何か言ってるように感じる…)」

アニポケククイ「おまたせ、ヨウ。  …今確認できた。
 …空間超えてまで反応を拾えるかは微妙なところだったが…。
 君のモンスターボールからは通常ではありえない膨大な量のエネルギーが発されているおかげで、
 難なく捉えることができたぜ」

ヨウ「! …それじゃあ?」

アニポケククイ「そのウツロイド…というUBはあの校庭からまったく動いちゃいない。
 ………まだ推論の域を脱せないが、ヤツは再びこっちの世界に出てくることを目的にしていて、
 時空の歪みがまた開くのをあの場で待機するつもりなんじゃないかと見受けられる。」

ヨウ「おかしい…。 …UBはウルトラホールの発生に巻き込まれて、
 止む無く別世界に迷い出てしまった存在のはずだ…。…自分から別世界に来ようとしているなんて…?」

アニポケククイ「…それと、君の話からすると、
 いくらUBといえど、戦闘の痕跡がまるっきり消えるなんて特徴はありえないって、話だったな…」

ヨウ「………………何か特別な能力を持ったUB………?
 …いや…、そもそも、あのウツロイドはウルトラホールから出現したわけじゃない……。
 僕の世界で呼ばれてるUBとはまた別種である可能性すらある…。 …だとしたら、厄介だぞ…」

サトシ「出てきたら出てきたで…ヨウが知ってるUBよりも強いかも知れないって事か…?」

アニポケククイ「…考えていたより…“だいばくはつ”並みにやばい事態だぜ…こいつは…。
 そのUBとやらが暴れた痕跡が跡形もなく消えちまったのが痛すぎる…
 すぐさま出現ってことはまずないにしてもだ…、それまでに協力者や対策が立てられるかどうか…」

サトシ「…あ! あとヨウの盗られたボールがヤツらの世界の中で開かれちゃったら、どうなるんだ…!?」

アニポケククイ「………!?  …た、確かに…! それも…何か考えないと…!」

ヨウ「……いえ、博士。  もしそうなったら、それはむしろ好都合です。
 ボールさえ開いてくれれば…、ほしぐもちゃんなら自力でこっちに戻ってこれるはず……」

サトシ「…一体どういうポケモン…? ヨウの相ぼ、…? ……!!」ぐ~

ヨウ&アニポケククイ「「………」」

サトシ「ご、ごめん…/// なんか、難しい話してたら腹減って来ちゃった、俺…。
 ………自慢じゃないけど、俺はいつも腹が減ってる…!!」ぐ~
ピカチュウ「…ぴかぴぃ…」アキレタ

アニポケククイ「…あっはっはっは…!  …そうだな。ちょっと休憩にするか。 おーし!飯の支度だ!」

サトシ「さんせいー!」
ピカチュウ「ぴっかー!」

ヨウ「ふふ!」

サトシ「ヨウも食べてくだろ?…っていうかヨウ、今日泊まるところ無いんじゃないのか?
 俺からも頼むから、博士にお願いしてここに泊めてもらいなよ! 俺、ヨウとバトルの話とかしたいもん!」

ヨウ「…ああ…そ、そうか…。 えっと、いいでしょうか、博士?
 …本当にご迷惑ばかりで申し訳ないんですけど…。」

アニポケククイ「もちろんいいとも! 歓迎するぜ!
 …寝床には、そこのロフト…は、ごめん、すでに使ってる子がいるからダメなんだよな…」

ヨウ「………!  この世界にもあのロフトはあるんですか。 …凄いな…! そこは一緒です」

アニポケククイ「おっと…“カウンター”の如く良い反応返って来たねぇ…。
 …しっかし、寝床は本当にどうすっか?  俺のベッドを…、

サトシ「いいよ博士。 ロフト、二人で使えばいいじゃん。
 スペースあるし。 ヨウもここのロフトに思い入れあるみたいだし」

アニポケククイ「…ん、そうか?  悪いな、サトシ…」
ヨウ「え?」

ヨウ「…だ、ダメですよ…!! そんなの! な、何言ってるんですか!?」

サトシ&アニポケククイ「「え?」」

サトシ「……俺と、ピカチュウ達は別に、構わないよ?ヨウ?」

ヨウ「…?…?  サトシが、良くても…?…?」

「―――――あのっ!」

ヨウ・サトシ・アニポケククイ「「「!!!!」」」

アニポケリーリエ「………アローラ。  急にお邪魔してすいません。
 ここに昼間、わたくしを助けて下さった男の子がいると伺って来たのですが?」

ヨウ(……!  …この世界の、リーリエ……)

アニポケククイ「やぁ、リーリエ。アローラ。  ヨウなら確かにここに居るね。どうした?」

ヨウ「アローラ。 おかえり、なさい。リーリエ。」

アニポケリーリエ「…? …あのう?なぜ、わたくしがククイ博士のご自宅で『おかえりなさい』なんでしょう…?」

ヨウ「……え?」

アニポケリーリエ「………?」

ヨウ「…………」

ヨウ「……あー、そっか……。 サトシが居候してるんだもんな…。 …そういう意味か…。
 …成程…。 …納得した…。 じゃあロフトを使っても問題ないわけだ……」ボソボソ

アニポケリーリエ「………??」

ヨウ「あ、ごめんなさい、ただの冗談です」にこ

アニポケリーリエ「…………???」 

アニポケリーリエ「……あ、あの、ヨウさんと、おっしゃいましたね…?
 本日は危ないところを助けて下さって、本当にありがとうございました。 

 よろしければお礼に是非、わたくしのおうちでお夕食をごちそうさせてもらえませんか?
 ……すいません。お電話させていただいたんですが、博士の家に繋がらなくて。
 論理的な結論として、厚かましくも直接お誘いに参りました次第です」


アニポケククイ「 電話、繋がらなかったかー…。 うん、そういえば…、昨日、サトシのモクローとイワンコが、
 電話機の周りで遊んで、電話機、ぶっ壊しちゃってたんだったなぁー……」遠い目

サトシ「あはははははははは!   ………すいません…」
モクロー「ほぉろ??」
イワンコ「わう??」ふりふり

アニポケリーリエ「……あ、もちろん、サトシも一緒にどうぞ?」

サトシ「まじ? やったぁ! ヨウ。リーリエの家、でっかいんだぜー! きっと凄いごちそうが出るよ!」

アニポケククイ「…ったく、調子の良い奴だなぁww
 しかし、サトシ?  …君は、明日までの課題は終わってんのかな?」

サトシ「………ゲッ…!」
ピカチュウ「ぴかぴっ…!」

アニポケククイ「……」にこ!

サトシ「……………。リーリエ。 今日は俺、辞めとく…。 残念だけど…」

アニポケリーリエ「いえ。 こちらこそ急に押しかけてしまって申し訳ありません」

サトシ「折角なのにごめんな。でも代わりにヨウは行くから」ぽん

ヨウ「……え…、(えー…?)」

―――リーリエ宅のお屋敷・玄関前

ヨウ「……こ、この世界のリーリエは、ここに住んでるのか…」

ロトム図鑑「……確かに凄いお屋敷ロト…。 あ、ヨウ、…あの人はサトシくんと同様、初めて会う人ロト」

ジェイムズ「ははは!成程! 人間、誰しも最初は初対面ですな! …申し遅れました。
 私、リーリエお嬢様の執事でございます、ジェイムズと申します」

ヨウ「あ、今日はお招きありがとうございます。ヨウです」ペコ
ロトム図鑑「ありがロト!ボク、ロトム図鑑ロト!よロトしく!」ペコ

ジェイムズ「これはこれはご丁寧に……。
 ………しかし…ヨウ様……? …それが、大変申し上げにくいのですが…、
 この屋敷内はポケモン禁止となっておりまして、…ロトム様は中庭にてお待ち頂くことになるのですが?」

ロトム図鑑「ロ、ロトッ!?」
ヨウ「…え? …そうなんですか…? …そうとは知らず、すいません…。 ……でも、困ったな…」

アニポケリーリエ「良いのよ、ジェイムズ。 あなたには連絡が行ってなかったのかしら?
 以前、サトシが来た時と同様、ロトム図鑑さんもお客様です。 お入りいただいて構いません」

ジェイムズ「おお、そうでしたか…。 かしこまりました、リーリエ様。
 …ヨウ様、ロトム様、大変ご無礼を。 お許しください……」ふかぶか

アニポケリーリエ「執事が失礼致しました。 …こちらへどうぞ」

―――リーリエ宅のお屋敷内・食後の食卓

ジェイムズ「食後にお飲み物は如何でしょうか?
 グランブルマウンテン、ロズレイティー、エネココア、モーモーミルク、ミックスオレ、パイルジュース。
 一通りのものはご用意できます」

アニポケリーリエ「わたくしはロズレイティーを。  …貴方はどうされますか?」

ヨウ「…。(わかってはいたけれど、この世界のリーリエと僕が知るリーリエは大分印象が違う。
 こっちの彼女は、一言で言えば『真面目な優等生のお嬢様』という雰囲気だ)」

アニポケリーリエ「…?  あの、ひょっとしてヤドンのしっぽ料理、お気に召しませんでしたでしょうか?」

ヨウ「! …あ!いや、とってもおいしかったです…。 …ごめん、ちょっと考え事しちゃって…」

アニポケリーリエ「…そうですか。 それならば良かったです。
 …ヨウはサトシよりアローラに詳しい様子でしたが、ご出身はどちらなんですか?」

ヨウ「……………ヨ…、ヨウ……?」

アニポケリーリエ「…………え……? あ、…ご、ごめんなさい。 呼び方…、馴れ馴れしかった、でしょうか…?」

ヨウ「…………あ、いや、そうじゃなくて…、何か……凄く新鮮な響きでびっくりしたというか……。
 (僕の方の世界のリーリエは人の名前を大体、敬称付けして呼んでたから)」

アニポケリーリエ「…?……??」

―――リーリエ宅のお屋敷内・リーリエの部屋

ヨウ「…リーリエの本棚、凄い…。 難しそうなポケモンの本がこんなにいっぱい…」

アニポケリーリエ「…ふふふ! …あ、今、ヨウが見ている背表紙の本、とってもオススメなんですよ。
 ご存知ですか? アローラ地方ポニ島のはずれには、ナッシー・アイランドという無人島があるんです。
 その本は、その島に生息するポケモン達の生態について書かれた内容なのですが…」

ヨウ「……その名の通り…確かにナッシーが生息しているけれど、
 実際はナッシーの進化前のタマタマの方が頻繁に出現するし、
 条件さえ合えばポワルンやヌメイルみたいな珍しいポケモンも見ることができる。……みたいな?」

アニポケリーリエ「そ、そうなんです! …ひょっとして、ヨウもこの本をお読みに?
 ……嬉しいです。 この事でお話しできる方がいらっしゃるなんて…!」

ヨウ「…ううん…、そうじゃないんだ…。 本を読んだんじゃなくて、直接行ったことがあって…」

アニポケリーリエ「そちらの方が凄いではありませんか!
 …良いな、わたくしもその本を読んでから是非一度、現地に行ってみたいと思っているのです。
 ………ヨウはお一人で行かれたんですか?」

ヨウ「…いや…、…とても大切な友達と…、二人で……。
 途中で雨が降ってきたり、ちょっと急いでた用事があったりしたから、
 あんまり…じっくり回ったりはできなかったけれど」

アニポケリーリエ「お友達とですか。 二人きりで行かれるなんて余程、仲がよろしい間柄なのですね。
 …羨ましいです、そういうの!」

ヨウ(…………なんか、不思議な感じ……)

シロン「こぉーーん…」とことこ

ヨウ(…リーリエのアローラロコン……)

アニポケリーリエ「?? どうしたの、シロン…?  ………ひょっとして…、お腹すいちゃったの?
 ………もう…! ご飯の時間前に、寝ちゃうからですよ?」ぷくー

ヨウ(リーリエに、トレーナーとしての手持ちポケモンがいて、トレーナーとしてポケモンに接している…。
 ……凄い…。 僕の世界よりも先行して、その光景が見れた感じだ…。)…くすくす
 
アニポケリーリエ「…いつもと決まった時間以外にご飯を食べるのは良くないんだけど…、今日は特別よ?
 ……えっと…、……シロン用おやつは…、……あら…? 丁度切らしちゃってる…」

ヨウ「あ、ポケマメでよければ僕、持ってるよ。 ……よかったらどうぞ?」

アニポケリーリエ「いいんですか? すいません。  …何でしたらヨウがシロンに直接あげてみませんか?」にこ

ヨウ「! いいの…?」

アニポケリーリエ「ええ…、もちろんです…。 さっきからヨウ…、シロンを見て、ずっと笑顔ですから。
 ふふっ! …みなまで言わなくてもわかります。恐らくヨウはアローラのロコンがお好きなのでしょう?
 ならば、わたくし達は同好の士ですね!」ふんす

ヨウ「(こういうテンションは僕の世界のリーリエには無かったので面白い) …じゃあ遠慮なく」くす

シロン「こぅ~ん、こぅ~ん!」チョウダイチョウダイ

ヨウ「…待たせてごめんね…  …はい、シロン。 にじいろポケマメだ」
シロン「! こーん~♪」カリコリカリ…


ヨウ「確かに、これはかわいいや…」にまにま

アニポケリーリエ「ふふふ…! 良かったね、シロン…」

ヨウ「…シロンっていう名前は、リーリエがつけたの?」

アニポケリーリエ「はい! …タマゴの時、白くてよくコロンコロンと動いていたから、シロン、です!
 ……お名前といえば…、ヨウのポケモンは、ほしぐもちゃん、っていうんでしたっけ…。
 何のポケモンかはわかりかねますが、とっても素敵なお名前です……」

ヨウ「………………。」

アニポケリーリエ「………ヨウ…?」

ヨウ「……ほしぐもちゃんっていうのは…、僕が、つけた名前じゃないんだけど…、
 君にその名前を…、素敵だって言ってもらえるのは………、何て言うか…、………感激……」

アニポケリーリエ「…っ…ふふふ…! …何だかヨウは、表現が…時々大げさというか不思議な時があります…
 おかしいですよ…。…感激だなんて! …うふふっ!」

ヨウ「……そうかもだね…、ごめん…」にこ

ヨウ(この世界のリーリエは、僕が初めて逢った時のリーリエに近い姿をしている。
 僕の知るこの頃のリーリエは、ちょっと難しい顔とか困った顔をしていることが多くて…、
 どこか浮かない雰囲気のあるお姉さん、みたいな感じだったように思う。

 この世界のリーリエは、よりお嬢様らしい物腰をしているけれど、
 接してみると結構表情豊かで比較的明るくて…、どこか幼いというかあどけないというか…、
 ……逆に、なんか……妹みたいだ…)

ロトム図鑑「あ、あのー? 二人の親睦が深まっていくのはイイコトだと思うロが、
 ボクをないがしろにするのはヨクナイコトと思うロト! ボクのことも構うべきロト!!」

アニポケリーリエ「あ!…ごめんなさい…。ロトム」てれっ

ロトム図鑑「分かればよろしいロト! ……そうだロ! ボクに記録されている膨大な図鑑データから、
 算出した現バトル環境対応のアローラロコン育成論を今から講義してあげようかロト?」肩ポンポン

ヨウ「こらこら、調子に乗らな…
アニポケリーリエ「ひやぁあああああああ…!!!」

ヨウ&ロトム図鑑「「うわあ!!!」」

ロトム図鑑「ど、どうしたロ!何があったロト!リーリエ!」肩ユサユサ!

アニポケリーリエ「……ひ…っ…!」カチーン

ヨウ「リ、リーリエ?  …な! …ええっ…!  …な、なんで固まってるの!?」

アニポケリーリエ「…………あ……、その、ですね……  じ…、実はわたく、し………」カチーン

ヨウ&ロトム図鑑「「シロン以外のポケモンに触れることができない……?」」

アニポケリーリエ「………………はい」ショボーン

ロトム図鑑「………リ、リーリエが…ロトか…?」

ヨウ(…………。 だから…、この屋敷内はポケモンが禁止なんだ……)

アニポケリーリエ「か、勘違いしないでほしいのですが、わたくしはシロン以外のポケモンだって大好きです!!
 …今のところ、他のポケモンは…、学びの対象としてですが…」

ロトム図鑑「………。 ……本当は気にしてるロ? ポケモン、触られないロと?」

アニポケリーリエ「……………」

アニポケリーリエ「………………。」こくり

ヨウ「………………」

ヨウ「…シロンには触れられたんだから、他のポケモンだってきっと、あとちょっとだよ。
 今日出会ったばかりだけど、君がポケモンのこと凄く好きだってよくわかったもの。リーリエなら大丈夫」

アニポケリーリエ「……そうなの、でしょうか…?  みんな、そう言って励ましてくれるのですが…、
 ………本当はわたくし…、あまり自信が…、ないのです…。  ……一生このままだったら…どうしよう…」

ヨウ「………………」

アニポケリーリエ「……………」ショボーン

ヨウ「…………………」

ヨウ「………………」

ヨウ「…………じゃあねリーリエ…、君がゼンリョクを出し切れるとっておきのおまじないを教えてあげる」

アニポケリーリエ「………………。  ………そんなものがあるのですか?」

ヨウ「……………今度、ポケモンに触れる練習をする時にこうつぶやくんだ……………」

アニポケリーリエ「…は、はい……」


ヨウ「『がんばリーリエ』」


アニポケリーリエ「…が、がんば…?」

ヨウ「『がんばリーリエ』」

アニポケリーリエ「…………ひょっとして…、ヨウはわたくしをからかっているのでしょうか…?」

ヨウ「…ふふふっ!」くす

アニポケリーリエ「……も、もう! わたくしは真剣ですのにー!」ぷんすか

ヨウ「……ごめんごめん。  ……でも、からかうつもりで言ったわけじゃないんだ」

ヨウ「…だから今の言葉…、覚えてたらでいいから、いつかやってみて。
…きっと効果はバツグンなはずだから」

アニポケリーリエ「……………。」

―――ポッポー!ポッポ―!(時計の音)

ヨウ「…ああ、もうこんな時間なんだ…? 随分、話し込んじゃった。 ……そろそろ帰ろうかな…」

アニポケリーリエ「…そうで…すか…。 そ、その…、わたくし、凄く楽しかったです。
 ……なんだかあっという間の時間でした。  ……あら…?」

―――――┣¨┣¨┣¨┣¨ドド…!(土砂降りの音)

ヨウ「……知らない間に、外…、凄い雨が降ってる……」

アニポケリーリエ「予報には無かったです。 …こんな大雨…。
 ………あっ、帰りは車でお送りさせていただきますね。ヨウのお住まいはどちらですか?」

ヨウ「…おす、まい? …あっと…、えーっと…? (…ククイ博士の家とは、言いづらいな…)」

――――コン、コン

アニポケリーリエ「? …どうぞ。」

ジェイムズ「失礼いたします…」

アニポケリーリエ「あ、ちょうどいいところに来てくれたわ、ジェイムズ。
 ヨウがお帰りになります。 車を回してもらえる?」

ジェイムズ「それについてなのですが…、…大変申し訳ございません…!
 …先程、送迎車にエンジントラブルが発生致しまして…、車を発進させることが叶わず…。
 …タクシーを呼ぶことも考えましたが急な天候崩れの影響で、
 こちらに来られるのはかなり時間かかるという状況です…」

ロトム図鑑「ありゃりゃロト~」

アニポケリーリエ「…えぇ…、そんな…。…こんなことになるなんて…。 ごめんなさい、…ヨウ…。」

ヨウ「謝らないでよ。リーリエが悪いんじゃないんだから」にこ

アニポケリーリエ「……あの…ヨウ? …この大雨です。
 よろしければ今晩は、この屋敷にお泊りになってはどうですか?
 空いているお部屋はいくつもありますから。  ……駄目? ジェイムズ?」

ジェイムズ「不肖ジェイムズもそれを提案させていただこうと参じさせていただきました次第。
 さすがリーリエ様でございます。
 ヨウ様、ロトム様、よろしければ是非そうなさってくださいませ」

ヨウ「…………」

ヨウ「……却って、何だかすいません。 ……じゃあ、ありがたくお言葉に甘えさせてもらいます。
 (…ククイ博士に連絡しなきゃ、だな…)」ぺこ

―――リーリエ宅のお屋敷内・リーリエの部屋 深夜

アニポケリーリエ(………ベッドに入るのすっかり遅くなってしまいました。…早く…眠らなきゃ…)

アニポケリーリエ(……………)

アニポケリーリエ(……………)

アニポケリーリエ(………あの後もヨウとたくさんお喋りしました。…あんなに気が合う人、初めてかもしれない…)

―――“…リーリエ、大丈夫!?ケガしてない!!?”

アニポケリーリエ (………かっこ、良かったな……。 ! …な…、何考えてるんだろう …わたくし…!?)

アニポケリーリエ(……………)

アニポケリーリエ(……………)

アニポケリーリエ(…………だめ…。 なんだか…、全然眠れません………)

アニポケリーリエ(……………)

アニポケリーリエ(……………)

―――“……リーリエ…!? な、何でアローラに…?”

アニポケリーリエ(……………)

アニポケリーリエ(……………)

アニポケリーリエ(……………)

アニポケリーリエ(……………)

アニポケリーリエ(……………眠れない……)

どき、どき、どき、どき…

アニポケリーリエ(…………心臓の、音が……………、……うるさい……)

アニポケリーリエ(……………)

アニポケリーリエ(……………)

アニポケリーリエ(……///)

アニポケリーリエ(……………)

アニポケリーリエ(…………)むくり

シロン「くー…くー…」ZZZ

アニポケリーリエ「…………」なでなで


―――ガチャ

アニポケリーリエ(こんな夜遅くに…部屋の外なんかに出て、わたくしは一体何をしているんだろう…。
 …あら…?…ヨウが泊まっている部屋から物音がします…?)

―――リーリエ宅のお屋敷内・ヨウが泊まっている部屋 深夜

ロトム図鑑「…ヨウ、集中力が低下しているロト…。今日は色々なことがありすぎたロト…。休息を提案…。
 スカル団との闘いでZワザを使ったのが結構響いているロト…。 もうヨウの体力は限界ロト…」ぼそぼそ

ヨウ「……まだ…、大丈夫……。 もう一回、ウツロイドの図鑑データを表示して……。
 ………もっと情報を集めなきゃ…。 ……ほしぐもちゃんを必ず取り戻すんだ…」ごにょごにょ

ロトム図鑑「………ヨウはほしぐもちゃんを心配するあまり頭が回ってないロ…!
 大体、ほしぐもちゃんしか手持ちのない状態でこの世界に来てしまったことがそもそもの失敗ロト!
 悔しいけどここは一度、元の世界に撤退して、手持ちを加えて直してから、
 万全の状態で改めて、そのウツロイドに挑むべきロト!」

ヨウ「………ロトムはほしぐもちゃんを心配するあまり頭が回ってないんだよ…。
 ほしぐもちゃんがいないと、そもそもあっちの世界に戻れないよ?」

ロトム図鑑「~~ロ、ロトッ!!///」

ヨウ「ふふっ! ……ありがとね、ロトム…。…ちょっと…リラックス…できた…」くらっ…

ロトム図鑑「……ヨ…ヨウ…? 大丈夫ロトか?
 …ヨウ? ひょっとして、我々は今、思っていた以上に大ピンチを迎えてるんじゃないロ…?」

ヨウ「………エーテル財団に、3人だけで乗り込めというより酷い状況があるなんて思わなかった…。
 …………ポケモンがいないと、こんなにも僕は無力だ………」

ロトム図鑑「…………。 ……きっと…、あっちのみんなも今頃、心配してるロね…」

ヨウ「……。………うん…。 ……だからこそ…今、できることを…できるかぎり…、頑張らなきゃ…!」

ロトム図鑑「…気持ちはわかるけロ、落ち着くロ…。
 …今、ヨウにできる最善は休息を取ることだとボクは思うロ…」

―――ギィ…

アニポケリーリエ「……ヨウ…? ロトム…?」

ヨウ&ロトム図鑑「「!!?」」びく!

アニポケリーリエ「まだ……起きていらっしゃるんですか……?」

ヨウ「リ…、リーリエ…!?ど、どうしたの?」

アニポケリーリエ「…………」ちら

アニポケリーリエ「…………。  ……眠らない、おつもりなんですか…?」

ヨウ「…あ、いや、ちょっと、寝付けないだけで…」

アニポケリーリエ「…………」

アニポケリーリエ「…………ごめん…、…なさい……」

ヨウ「えっ?」

アニポケリーリエ「……ヨウが今日の誘いを受けてくれたのは…、わたくしを後ろめたくさせないため…。
 ヨウは、わたくしの前ではポケモンが奪われた事をずっと気にしてないふりをしてくれていましたね…?」

ヨウ(!)

アニポケリーリエ「……自分のポケモンがあんなことになって、心配じゃないわけがないのに…!
 それ…なのに…! わたくしは…見っともなく…、…はしゃいじゃって…!!」うるうるっ

ヨウ「(しまった…!) …ち、違うよ! ほしぐもちゃんなら心配ないというのは本当だし! 僕はただ、

アニポケリーリエ「何が、わたくしを助けてくれたお礼、でしょう…!
 まず何よりもヨウに謝るべきだったんです…! ……最低です…!
 ………ヨウのほしぐもちゃんが奪われてしまったのはわたくしの所為です……!!」

ヨウ「…それは違う」

アニポケリーリエ「……………わたくしの…、所為です………」

ヨウ「絶対違う」

ロトム図鑑「…リーリエ…。 ヨウの言うとおりロト。
 リーリエの所為では無いロト。 …その証明にヨウはいまから寝るロ!」

ヨウ「ああ、そうさ…。  ……ん?」

ロトム図鑑「さぁ、リーリエ!こっちに!  ヨウが寝付くまで一緒に見張ロート!」グイ

アニポケリーリエ「ロ、ロトム! 触れるのは、あ、 …!?」カチーン

ロトム図鑑「さ、ヨウ。 リーリエにこれ以上、泣かれたくなかったら早く寝るロト…?」ぼそぼそ

ヨウ(……や、やられた…)
ロトム図鑑「~♪」

アニポケリーリエ「…」ショボーン

ヨウ(ぐ…。 …し、仕方がない…)

ロトム図鑑「…。」
アニポケリーリエ「…。」

ヨウ「…ん…」

ロトム図鑑「…。」
アニポケリーリエ「…。」

ヨウ「………くぅ……くぅ…」ZZZ…

アニポケリーリエ「……も、もう寝てしまいました…?」

ロトム図鑑「やっぱり無理してたロね…。
 …リーリエ、心配させてしまったようで悪かったロが、正直来てくれて助かったロ!
 …………やっぱり…ヨウにはリーリエが必要ロト。 ありがロト!」

アニポケリーリエ「…あ…、いえ…そんな…。元はと言えばわたくしが…」

ロトム図鑑「…まったく…、サポートする身にもなってほしいロ!
 ポケモンのためなら平気で無茶して、いーっつもリーリエの前だと背伸びして強がるんだロ!!」

ロトム図鑑「……………………」

ロトム図鑑「…………ヨウだって、ホントはいっぱいいっぱいのはずなロに…。
 ……だから……、こっちのリーリエ…? …どうかヨウを嫌いにならないであげてほしいロト…。
 …そんなところがボクのユーザーの良いところで、ボクはそんなヨウが大好きなんだロ…」にこ

アニポケリーリエ「…………」

アニポケリーリエ「………嫌いになんて…、なるはずがありません…。…わたくしも…、  ……………?」

アニポケリーリエ(…『いつも』…? …『こっちのリーリエ』…??)

アニポケリーリエ「………あ、あの!ロトム? …ちょっと、聞きたいこ…とっ………?


ロトム図鑑「むにゃむにゃ…」ZZZ…


アニポケリーリエ「…………え?」

ロトム図鑑「…むにゅ…やっぱり、リーリエは、…いい子ロね…
 ポケモンにぃ、やさしい…、カワイコちゃんロト~…、ふにゅ…」ZZZ…

アニポケリーリエ「…………えぇ…? ……ロトムも、寝て、しまっているのですか? …いつ…から…?」

ロトム図鑑「ふが。…ヨウ…。こうなったらボクがヤツとたたかうロ~…!むにゃ…」ZZZ…

アニポケリーリエ「………………」

アニポケリーリエ「…………ふふ、きっとロトムも気を張ってたのね…。 ……おやすみなさい。」くす

ヨウ「……………………リー…リエ…」ZZZ…
アニポケリーリエ「…!」びくっ

ヨウ「………リーリ、エ…。…ごめ…ん…………」ZZZ…

アニポケリーリエ「………寝言…、です…か……。
 謝らなきゃいけないのはわたくしの方なのに…。 何で…、何を…、あやまるのですか………?」

ヨウ「………くぅー……くぅ…………」ZZZ…

アニポケリーリエ(………彼の発する『リーリエ』という言葉には…、
 とてもたくさんの想いが込められていると感じる瞬間がある………)

アニポケリーリエ(………まるで魂が惹かれるみたいに、この人が気になってしまう…)

アニポケリーリエ「……………」

アニポケリーリエ「…………………不思議な人………」こてん

―――ヨウの夢の中

ヨウ(気づいたら、カプ・コケコとほしぐもちゃんが邂逅した時に
 体感したような不思議な空間の中にいる。…ここは夢の中、なのか?)

ヨウ「……リーリエ…、ごめん…。 …僕は…ほしぐもちゃんを…、守れなかった。」

―――「がう~♪」

ヨウ「…え!? 」くるっ

ほしぐもちゃん「がーう♪」

ヨウ「!! ほ、ほしぐもちゃん!? …夢か? あ、夢の中なんだろうけど…、ほしぐもちゃんは…本物?」

ほしぐもちゃん「が~う~♪」

ヨウ「…そうか、ほしぐもちゃんの力ならこういうことができたのか…。
 …ロトムの言う通りだ。大人しく寝るのが最善だったんだな…」

ほしぐもちゃん「…がう」

ヨウ「? …何か、伝えたいのか?ほしぐもちゃん?」

―――――キュイン…

ヨウ(…イメージが、伝わってくる。 …ニ日後の午後、校庭にもう一度あのウツロイドが出現する…?)

ほしぐもちゃん「がう!」

ヨウ「…わかった。その時に必ず、きみを取り戻してみせる…。」

ほしぐもちゃん「がうがう~♪」すりすり~

ヨウ「ふふふ!心配だからそれまではこうやって夢の中で僕に話しかけてくれる?」なでなで~

ほしぐもちゃん「がう~♪」

ヨウ「うん! おやすみ、ほしぐもちゃん!」

―――リーリエ宅のお屋敷内・ヨウが泊まっている部屋 朝

ぱち

ヨウ(…う…、ううん…。 …朝? ……。 ……リー、リエ? …リーリエだ…。 リーリエがいる…)

アニポケリーリエ「……すぅ……すぅ……」ZZZ…

ヨウ(…いや、リーリエじゃない…。 …この子は別世界のリーリエ…。 …。 …って!ええっ!!?)

アニポケリーリエ「………すぅ ……すぅ ……」ZZZ…

ヨウ(?!? …な…、なんで… 一緒に… ベッドで…、寝てるん…だ…!?)

アニポケリーリエ「………………………ん……、ぅ…」ぱち…り

ヨウ「…!?…」

アニポケリーリエ「……………ぅん…?」むく…り

ヨウ「…………」

アニポケリーリエ「………ぅぅ…」しょぼしょぼ…

ヨウ「……リーリエ…?」

アニポケリーリエ「………?」ぽけー…

ヨウ「…あ……、アロー、ラ…。…お、おはよう……。………起き、…た…?」

アニポケリーリエ「……んぅ…? …、………。 ……へ…?」きょとん…

ヨウ「…………」

アニポケリーリエ「……、…え…? ……ええ…、………えええええ!!?///」あわあわ…!

ヨウ「………だ…大丈…夫…?」

アニポケリーリエ「…あ…、あああああ…わ、わたくし…?!……わた、くし…!!///////」ぼわっ!

―――バーーーーン!!!(ドアが開く音)

ジェイムズ「ご無礼を承知で失礼させていただきますヨウ様!!
 リ、リーリエ様がぁ、し、寝室にいらっしゃら、な………!!?」

ヨウ「…………」
アニポケリーリエ「…………」

ジェイムズ「…………。…… … …… …リー …リエ、さま…?」

アニポケリーリエ「……?………??(はっ!)……!?!?
 …あ、あのっ、ジェ、ジェイムズ!? こ…、これは、その…!…違うの…っ!!///」わたわたっ!

ジェイムズ「…こ、このジェイムズが、付いていながらッ…、このジェイムズ!不覚の極み!!
 …申し訳…ございませんっ…!…奥様ァ…!! ………はぐっ!」

――――ばたーんっ!

ヨウ「し、執事さん!!?」
アニポケリーリエ「いやー!ジェイムズー!」

……………………………………

ジェイムズ「………はっ!!」バッ!

アニポケリーリエ「起きましたか?ジェイムズ。 …一体、どうしたんです…?
 ヨウの部屋の前であなたが気絶していて…、それはもうたいへんびっくりしましたよ」

ヨウ「びっくりしました!」
ロトム図鑑「びっくりだロ!」

ジェイムズ「り、リーリエ様…!?ヨウ様…!?ロトム様…!?
 ……き、気絶…? …私が、ですか? …た、確かリーリエ様が見当たらない気がして、
 屋敷内を捜そうとしていた辺りまでは記憶があるのですが…、 ………うっ…!
 …何故でしょう? 頭が思い出すことを拒否するかのように…その先の記憶が不鮮明です…」

アニポケリーリエ「それは良かった…!」

ジェイムズ「よ…、よかった…!?」

アニポケリーリエ「あ! いえ…、あなたが無事なようで良かった、という意味です…」

ジェイムズ「…さ、さようでございましたか…。 ……。
 …そういえば気絶中に…、何か恐ろしい夢を見たような…?」

アニポケリーリエ&ヨウ&ロトム図鑑「「「……!!…」」」たらたら…

ヨウ「……あ、でも、倒れた時に頭とか打ってないようで、それは本当に安心しました…」

ジェイムズ「おお、ヨウ様…。…なんとお優しい言葉…。ご心配をお掛けし………、…?
 …むぅ…? …今のお言葉は、その…まるで…倒れた瞬間を、目撃していたかような言い方…ですな…?」

ヨウ(…。 …し、しまった……)

アニポケリーリエ「そそそ、そんなことよりジェイムズ! もう今日はすぐに帰宅して療養してください…!
 勤務中に倒れるなんて大変なことです…。 きっと働き過ぎですよ…!
 あなたはいつも懸命に働いてくれて、わたくし、本当に感謝しています!

 そんなあなたに何かあったら、わたくしは色々な意味で自分を許せなくなるでしょう…!
 だからあなたのためにも今日はもう何もかも忘れて寝てください。 わたくしからのお願いです…!」

ジェイムズ「リ、リーリエ、様…! こ…、こんなおいぼれめに!言葉もありません…!!
 うううう! こ、このジェイムズ! 謹んで本日はお休みさせていただきます…!!」ハハーッ!

アニポケリーリエ「い、いえ! どうぞ、ゆっくり…休んでくださいね! ……」ひくひく

アニポケリーリエ&ヨウ((……な、なんだか、心が…痛い…っ!!))ずきーん…!

ロトム図鑑(…な、なにやってるんだロ…二人とも……)アキレタ…

―――――ポケモンスクール・正門前

運転手「いってらっしゃい、リーリエお嬢様。ヨウ様。」

アニポケリーリエ「ご苦労様でした。また帰りのお迎えお願いしますね。」
ヨウ「…いってきます。ありがとうございました。 ……車…、直って良かったですね…」

アニポケリーリエ「……。」てくてく  ヨウ「……。」てくてく

アニポケリーリエ「……。」てくてく  ヨウ「……。」てくてく

アニポケリーリエ「……」ぴた…  ヨウ「……?」たじっ

アニポケリーリエ「……ご…、」

アニポケリーリエ「…ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!!ごめんなさいーっ…!!//////」がばっ

ヨウ「!! …わ、わかったから…! も、もうちょっと、声を抑えて…!?」


サトシ「なんでそんな謝ってんの?」
ピカチュウ「ぴかちゅう?」


アニポケリーリエ&ヨウ「「ひっ!?」」

サトシ「アローラ!リーリエ。ヨウ。 ……珍しいなぁ、リーリエ? もう遅刻寸前だぜ?」

アニポケリーリエ「…そ!そう!そうでした! 早く教室に急ぎましょう…!」せかせかっ!

サトシ「……昨日、添い寝したんだ」

アニポケリーリエ&ヨウ「「……!!!?」」こけっ!?

サトシ「……ピカチュウとモクロ―とイワンコと…。 …ど、どうしたんだよ、二人とも!?」

―――――ポケモンスクール・校長室

ヨウ「アローラ。ククイ博士。 …昨日は泊まらせてもらう用意してもらっていたのにすいませんでした」

アニポケククイ「アローラ。ヨウ。 …なぁに、気にするな!
 あの豪邸に泊まらせていただいたなら逆に、“つのドリル”で一撃必殺くらい運が良かったじゃないか。
 ………おっと、それよりも…、
 次に時空の歪みが開くのがいつになるのかが…、わかったぜ。
 今日から二日後の午後過ぎだ…。 予測上その時間、あの校庭にヤツが再出現する可能性が極めて高い」

ヨウ「…それで間違いないと思います。
 僕の方も夢を通したテレパシーでほしぐもちゃんから同じことを伝えられました」

アニポケククイ「夢で? …まぁ、君のポケモンの力なら不思議でも何でもないか…。
 しかし、それなら最高の相手に答え合わせをしてもらえたってことで良さそうだ」にやり

???「幸い、二日後は休日。 今日こそ通常通りの日程だが、校庭は本日朝から使用禁止とした。
 明日は午前授業で放課とするつもりだ。現状はそれが精いっぱい。…すマンムー」

ヨウ「!? あ…、あなたは…!?」

アニポケククイ「紹介が遅れたな。 信用できる協力者を一人、見つけたんだ。
 尤も君にとっては例によって既に知っている人かもしれないがね」

アニポケナリヤ「やあやあ、アローラ!ヨウ君!
 私がポケモンスクールの校長であるナリヤ・オーキドです!
 …正直に言うとな、すまんが、私はまだ全面的にこの一件の話を信じたわけじゃないのだが…、
 ククイ君がね、頭を下げて言うのだよ、『どうかヨウに力に貸していただけませんか』と。
 …ククイ君があんなに真剣に頼むんだ。これに応えられなきゃ男が廃るってモンジャラ?」にこ

ヨウ「…! …ククイ博士…!」

アニポケククイ「へへへ…、俺が不甲斐無くて君に苦労掛けたら、あっちの俺に申し訳が立たないじゃないか…。
 …あっ、 でも流石に君がパラレルワールドから来たってことはややこしくなりそうだったし、
 すぐさま信じてもらえる自信もなかったら、そこまでは校長には言ってないぜ…」ぼそっ

アニポケナリヤ「ヨウ君はUBとやらにポケモンを奪われたとの話だが、取り返す算段は何か付けておるのかな?
 策があるなら参考までに聞かせてもらえんかナックラー?」

ヨウ「……。 …あくまでも参考にまでですが、一応、確実に取り返す方法が無いわけではないんです…。
 …例えば最悪、ほしぐもちゃんにボールを内側から破壊させて出てもらうことは可能だと考えています。
 …でも、すいませんが僕はこの方法を使うつもりはありません……。
 …代案を、昨日のうちに何か考えておくつもりだったんですが…、…ダメでした…」
 
アニポケナリヤ「? 君のポケモンがククイ君から聞いている通りの存在ならば、良い作戦のように思えるが?
 君がこの作戦を躊躇するのは一体、何故ダグトリオ?」

ヨウ「この方法は…、
 ボールを取り込んでいるウツロイドに致命的なダメージを負わせてしまう恐れがあるからです。
 ウツロイドは人間にとっては危険なUBかも知れませんが、犠牲にして良い理由にはなりません。
 ウツロイドの安全が保障できない以上はポケモントレーナーとしてこの方法は論外だと思っています」


アニポケナリヤ「…成程。ククイ君が君に入れ込むのが少し理解できた気がしたよ。
 そういうことならば私もお役に立てそうだ。
 ……ニ日後の予定だが、アローラの全しまキングとクイーンをこのスクールに招こうと思っている。
 どうだろう? 戦力的には十分か、ヨウ君の意見を聞かせてもらエンブオー?」

ヨウ「しまキング達をですか!? …そ、それならいくらあのウツロイドが相手でも…、……いける…!
 いや、むしろ完璧です…! アローラでそれ以上の戦力はないと思います…!」

アニポケナリヤ「ようし…! なら、とりあえずはその方向で話を進めるとしヨーギラス!」

ヨウ「…何から何まで、本当にありがとうございます…! ククイ博士! オーキド…、校長!
 ………。 …あのご迷惑ばかりで…恐縮なんですが、もう一つだけ…お願いがあるんです…」

アニポケククイ「? 何だ? 何でも遠慮せずに言ってくれ?」

ヨウ「しばらく、このスクール内に居てもいい許可をもらえませんか?
 今のうちに奴が出現したときの準備とか、校内の地形勘とかを付かんでおきたいんです」

アニポケククイ「お安い御用だぜ。
 再出現自体は先だが、それまでスクールにいても不自然じゃない理由が欲しいということだな。
 すぐになんとかしよう。 …よし、ヨウ。着いておいで」

ヨウ「あ、はい。…オーキド校長先生。本当にありがとうございました。 …失礼しました!」

アニポケナリヤ「うむ! 成功を祈っテールナー!」

――――――ポケモンスクール・廊下

アニポケククイ「…。…どうだった? 校長も君にとってはすでに知人だったみたいだな。…驚いた顔してたぜ?」

ヨウ「…はい。 …僕の世界のククイ博士はトレーナーズスクールに
 講師として招かれるということはあったみたいですから、別世界では本当に教師をされているというのも、
 よくよく思えば不自然でもなかったんです…。(イリマさんが教師とかならもっと違和感無かったろう)
 でも…、ナリヤ・オーキド校長っていうのは、突拍子が無くて…。
 …。 …あと、それから…あのオーキド校長について…、一つ聞いても良いでしょうか…?」

アニポケククイ「? …どうした?…何か…、深刻な話か…?」

ヨウ「…ひょっとしたらそうかも知れません…。 ……ククイ博士…?
 あの…オーキド校長のあの語尾は…、何か呪いにでもかかってるんですか?
 …まるで…ダジャレみたいでしたけど…」真顔

アニポケククイ「……へ?」

―――――ポケモンスクール・ククイ学級の教室

アニポケククイ「…というわけで、わずかな間だが一緒に授業を受けることになったヨウ君だ!」

ヨウ「…………。」

アニポケマオ「…君は!」  アママイコ「あっまーい」
アニポケスイレン「きのうの…!?」  アシマリ「あうおう」
アニポマーマネ「ヨウ!」  トゲデマル「まっきゅ~!」
アニポケカキ「まさか本当に転入生だったのか?」  バクガメス「がめーす」

サトシ「…あれ? ヨウ。授業でんの?」
ピカチュウ「ぴかぁ?」 モクロー「もくぅ…」ZZZ…

ヨウ「……あ、あの…、博士…?」

アニポケククイ「ん、どした?」

ヨウ「…スクールに居させてほしいというのは、こ…こういう意味では、無かったん…ですけど…?」ぼそ

アニポケククイ「え?  …マ、マジか!?てっきり!! …すまん…!」さー

アニポケリーリエ「…ヨウ…? どうして?  授業を受けるなら、言って下されば良かったのに…!」

ヨウ(リーリエ…。 う…! …その顔には…弱いな…。 …………。
 ……考えてみれば確かに……、就業時間中に動くのは…ちょっと目立っちゃうかも知れない……)

アニポケククイ「すまんな、ヨウ…。
 …正直いうと、君にもスクールを体験していってほしいっていう気持ちが俺にあったんだと思う…」

ヨウ「…いいんです。博士。 油断する気はありませんが、ククイ博士たちのおかげで、
 ウツロイドを迎え撃つ目途は僕の考えていた以上に、本当に上手く立った感じなんです。
 …授業に参加するくらい問題ありません。
 それから…正直にいうと、僕だって…ククイ博士の授業、凄く受けてみたいです…」

ヨウ「…ア、アローラ。 …みんな知ってるかも知れませんが、ヨウといいます。
 …本当に短い間だけど、よろしくお願いします」

アニポケリーリエ以外のクラスメイト「「「「「おおっ!!」」」」」

アニポケリーリエ「……!」ぱぁっ

アニポケリーリエ「ひ、ひょっとしたらもう、ヨウに会えないんじゃないかと思ってましたので、うれしいです…!
 ……あ! きっと…教科書、無いですよね?
 よろしければお見せしますから、わたくしの隣の席、どうぞ?」にこっ

アニポケリーリエ以外のクラスメイト「「「「……!!?…」」」」

ヨウ「あ…、ありがとう…」

アニポケリーリエ「いえいえ!うふふっ! ……?… ……どうされました?…みんな?」きょとん

アニポケスイレン「…え? …あ…えーと、なんか、リーリエとヨウっていちにちですっごくなかよくなったね…」

アニポケマーマネ「というか、リーリエが…、やけにヨウに懐いたな、的な…」

アニポケリーリエ「! …そ、そんなことありませんよ…? た、確かに意気投合と言いますか…、そのう…、
 …と、とにかく、ヨウの前で変な事を仰らないでください…!」ぷい!

アニポケマオ「…ふふふ!変なリーリエ! …ヨウ。ククイ学級へようこそ!みんな大歓迎だよ!!」

ヨウ(…僕の世界のリーリエが比較的良く接していた印象があるのは、アセロラやハプゥさんだったから、
 改めて思うとアーカラのキャプテン達やマーマネと親し気にしているリーリエって新鮮だな…)

アニポケククイ「…おっと、授業前にちょっと連絡なー。
 昨日、スカル団や謎のポケモンが校内で暴れたという証言が一部生徒から出たため、
 しばらくの間、校庭は使用禁止とするぜ。
 それから、スクール内の工事関係により急きょ、明日は午前授業で放課だ」

アニポケマオ「ええー!? 午前授業はともかく、校庭は使えないのは困るなぁー!
 サトシにやったのと同じアローラサプライズ、ヨウにもしてあげようと思ったのに…」

サトシ「ああーあれかー。 早くも懐かしい気がする」
ピカチュウ「ぴかちゅうー」

アニポケククイ「おいおい? 校庭に変なポケモンが出るから危ないって言ったのは君たちじゃないか?」苦笑

アニポケマオ「ごめんね、ヨウ。いつもはこんな物騒なところじゃないんだよ?」

ヨウ「大丈夫。わかってるつもり」にこ

アニポケククイ「じゃあ、授業にしようか。 …折角だし今日のポケ問題はヨウから出題してもらおうかな?
 ……君のトレーナーとしてのお手並み、拝見させてもらうぜ?」にか

ヨウ「…えー、ええっと、わかりました…。 出来るかな…?」どきどき

―――――ポケモンスクール・ククイ学級の教室 授業後

アニポケマーマネ「今日、調子良かったねぇリーリエ。 ボク、ヨウからの問題、全然回答できなかったよ…!」

アニポケカキ「ああ。大したもんだ。張り切る理由でもあったのか?」にか

アニポケリーリエ「ななな…! ろ、論理的な結論としてわたくしは張り切ってなどございません!」

アニポケカキ「あ…? そ、…そうか? …別にやる気あるのは良いことだと思うが…?」

アニポケリーリエ(……ううう…///)ちら

アニポケスイレン「ヨウのポケもんだい、すっごくおもしろかった!」

アニポケククイ「そうだな!実体験に基づいた良い内容だったぜー」

ヨウ「そ、そうですか? …ありがとう///
 …でも全問正解されるとは思わなかった。 結構難しい問題もあったはずなのに」

アニポケスイレン「ほとんどはリーリエがこたえてたけど。ふふふっ!」

ヨウ「でもスイレンも凄かったよ? 流石、水タイプのエキスパートだ。
 ダダリンの生息地の問題なんか特に難しいかなと思ったけど即答されてしまうとは」

アニポケスイレン「…て、てれるからやめて…///」

アニポケリーリエ(ヨウ…、楽しそうに喋ってます。 ふふふ、何かスイレンも嬉しそうです…。)

アニポケリーリエ「………あ、あれ?」

アニポケスイレン「ヨウはアーカラじまのせせらぎのおかのみずうみでつりしたことある?」

ヨウ「…!…、…あるよ…。…とてつもなく恐ろしいポケモンがいるんだ。 そいつの名前は、」

アニポケスイレン「そうそう! そのこのなまえは“ヨワシ”!!」

ヨウ&アニポケスイレン「「…!」」くすくす!
アシマリ「あうあう!!」


アニポケスイレン「アシマリ、“ばるーん”っ!  …どう?すごいでしょ?
 わたし、アシマリがだいすきなんだ…! ヨウはアシマリかわいいとおもわない?」

ヨウ「うん、凄い…! アシマリが可愛いっていうのもよくわかる。
 ……僕が、最初にポケモンをもらう時の候補の中にアシマリがいて…、」


アニポケリーリエ(……ヨウが…、…他の女の子と楽しそうに喋ってるの…、なんか……、)

アニポケリーリエ(……………嫌…だな…)

アニポケマオ「あれ?リーリエ? なんか涙目になってない?」

アニポケリーリエ「はい?」うる

サトシ「ほんとだ、どっか痛いのか??」

アニポケリーリエ「…、…へ??」うるっ…

ヨウ(…? ……リーリエ…?)がた

アニポケリーリエ「……!? ……!!?」うるうる…

ヨウ「リーリエ…? だ、大丈夫? …どうか、した?」

アニポケリーリエ「・・・!!!     ……な、なんでも、ありま……!」

アニポケリーリエ「………!」ぽろっ

アニポケリーリエ以外「「「ええええ…っ!!?」」」」がーん!

アニポケリーリエ「………っ…!!」ぽろぽろ

サトシ「だ、大丈夫かっ!?」
ピカチュウ「ぴかぁ!?」
ヨウ「リ、リーリエ…!?」おろおろ

アニポケマオ「……!?(……な、なんか、ヨウが来たら堪えられなくなったって感じだった…。これは…?)」

アニポケククイ「………。」ふむ

アニポケククイ「…悪い。マオ。 ちょっとリーリエから話、聞いてもらっても大丈夫かな?
 …その、なんだ、聞いた内容によっては、俺に報告を戻さなくてもいいからさ」

アニポケマオ「! え、あ…は、はい…!
 …ありがとうございます、ククイ博士。 ……スイレンもちょっと、いい?」

アニポケスイレン「う、うん!!」

アニポケククイ「…ほらほら、男子諸君。そろそろ次の授業だ。
 マオとスイレンが付いてる。 …リーリエは大丈夫だから」にこ

―――――ポケモンスクール・廊下

アニポケマオ「大丈夫、リーリエ?」さすりさすり

アニポケリーリエ「…ごめんなさい。 落ち着きました。もう大丈夫です…。」ぐしぐし

アニポケマオ「………違ってたらごめんね…。 …多分リーリエは、ヨウがスイレンとお話ししているのをみて…、
 …ちょっと悲しくなっちゃったんじゃないかな? ……違う…?」

アニポケリーリエ「……!!///」かぁ

アニポケスイレン「え! わ、わたしのせい!? ごめん!リーリエ!」

アニポケリーリエ「…ち、ちがいます。
 …スイレンもヨウも何も悪くないのです…。…ぐす、…わたくしがおかしいのです…」

アニポケスイレン「…??」

アニポケマオ「……泣き出しちゃったのは…、私がリーリエに声をかけて周りを騒がしちゃったから…、
 心配したヨウがこっちにきちゃって…、リーリエ、びっくりしちゃったんだよね…?
 …………むしろ私のせいだ…、ごめんね、リーリエ」

アニポケリーリエ「……」ぶんぶん

アニポケスイレン「……そ…、それって、つまり…?」

アニポケマオ「(…うぐ、言っちゃっていいものか…?) …え、えっと、その、ようするにリーリエは…、」ちら

アニポケリーリエ「………/////////」まっか

アニポケマオ「……リ…、リーリエは………、ヨウに…こ…、恋をしちゃってるってことなの…かな…///
 …そのー…、一目惚れみたいな感じの、やつというか…?///」

アニポケスイレン「……!…」ちら

アニポケリーリエ「……!!…!……!!…うぅ…それは…、そのう……///」

アニポケリーリエ「…////」

アニポケリーリエ「……////」

アニポケリーリエ「………/////////」こくり…

アニポケマオ「…!(きゃー) ////」
アニポケスイレン「…!(きゃー) ////」

アニポケリーリエ「……あぅ…、いや…、その…、ちょっといいなって思ってる、だけで…///。
 こ、こんな、気持ちは、わたくし、はじめてだから…、そ、その…!////」うる

アニポケリーリエ「……!!」うるうるっ

アニポケスイレン「ああ、ごめん。なかないでなかないで!
 ……リ、リーリエ、…こ、こくはくするの…? いそがないとヨウ、ながくはここにいな…

アニポケリーリエ「…そ、そんなこと、しません!
 昨日、会ったばかりの子から、そんな事言われれても気味悪がれるだけです…。
 わたくしは、ヨウに変な子だとおもわれるの…、いやです……!」ぽろ 


アニポケスイレン「あ…、ご、ごめん…!」

アニポケマオ「…………」

アニポケマオ「…………あのね、リーリエ……? …リーリエがしたいようにするのが一番だと思うけど…、
 私はね、リーリエのその気持ちをヨウに伝えて良いんじゃないかと思うよ。
 きっとヨウは、リーリエの想いをちゃかしたりなんかする子じゃない。しっかり向き合ってくれる子だよ。
 多分それは私よりもリーリエの方が…よくわかってるんじゃないかな…」

アニポケリーリエ「…………マオ…」ぐす

アニポケマオ「? …でも…、私にしても、なんで出会ったばかりの子をそこまで信頼できるんだろう…?
 ヨウがいい子なのは間違いないと思うけれど…」

アニポケリーリエ「…………」

アニポケスイレン「…マオちゃんのいってること、わたしもわかるきがする。
 …とにかくリーリエがどうしようとも、わたしはゼンリョクでリーリエをおうえんする。
 リーリエはかわいいもん。ぜったいだいじょうぶだよ」

アニポケマオ「…そうだね…。 スイレンの言う通りだ。それは私も同じだから。リーリエ」なでなで

アニポケリーリエ「………。 ……ちょっと…、考えて、みます…、……二人ともありがとう…」ぐしぐし

―――――
―――


―――――ポケモンスクール・ククイ学級の教室 放課後

サトシ「ヨウ? 今日こそはククイ博士ん家に泊まるんだろ。」
ピカチュウ「ぴかちゅう!」

ヨウ「うん、そのつもり。 ちょっとスクール内を色々観させてもらった後、行くよ」

サトシ「へへへー!楽しみだぜー! んじゃあ俺、先に戻ってんね!」たたっ

アニポケリーリエ「? あれ?ヨウ? ひょっとして泊まるところが無かったのですか?」

ヨウ「ああ、うん。実は。だから昨日はすごく助かっちゃった」にこ

ロトム図鑑「ククイ博士には申し訳ないケド、正直今日もリーリエのおっきい家に泊まりたいロ!」

アニポケリーリエ「ふふふ!…。ロトム、本当に泊まっていきますか?…。」

ロトム図鑑「冗談ロトよ~。…リーリエは本当良い子ロト~!」

ヨウ(……?)

ロトム図鑑「ヨウ? そろそろ行くロ! …リーリエ、アローラ!また明日ロト!」

アニポケリーリエ「……ええ!アローラ! …また明日!…。」にこっ

ヨウ(……。)

ロトム図鑑「どうしたロ? ヨウ? 早く行こうロ!」

ヨウ「…リーリエ?」

アニポケリーリエ「…はい?」

ヨウ「…えっと、その…、リーリエ…? …何か、あった?」

アニポケリーリエ「…あ…、や、休み時間の時は …その、ご心配をお掛けしました…///」

ヨウ「あ、ううん。そうじゃなくて…。  …リーリエ、今…、何か困ってるんじゃない?」

アニポケリーリエ「え? ……べ…、別に、何にもありませんけど…っ?」

ロトム図鑑「?? …何言ってるロ?ヨウ?」

ヨウ「……。 ………本当に?」

アニポケリーリエ「………」

アニポケリーリエ「………」

アニポケリーリエ「た、……大したことではないのですが…、先程、家から連絡があって…、
 今日の午後から夜勤してもらうはずのお手伝いさんが、昨日の雨で体調を崩されてしまったらしく…、
 わたくし、無理をさせてはいけないと思って、
 そのお手伝いさんには本日お休みしてもらうことにしたんです。
 ……いつもなら夜勤の人が居なくとも、大抵ジェイムズがいるからそれで構わなかったのですが…」

ヨウ「…今日は、ジェイムズさんも休みにしてしまったんだった…」

アニポケリーリエ「……はい…。元々、あの屋敷は最小限の人員で管理していて…」

ロトム図鑑「…ということは、リーリエ……、今日あのデカい家に一人ってロと…?」

アニポケリーリエ「…ご、ご心配なさらず…! 確かに、一人きりなんてことは初めてですが…。
 論理的な結論として、いい勉強です…。 そもそも別に怖くはありません…」

ロトム図鑑「…昨日、夜遅くまで話したとき、リーリエ言ってたロ。
 先日、サトシがリーリエの家に遊びに来た時、部屋に野生のヤトウモリが入ってきて凄く怖かったって。
 あんなのは懲り懲りだって。 ……多分大丈夫じゃないロ?」

アニポケリーリエ「……うっ…、だ、大丈夫ですってば。 わ、わたくしは負けません…」


ヨウ「……ふ、」

ヨウ「……ふふ…っ」


アニポケリーリエ「? ………ヨ、ヨウ…?」

ヨウ「…こんなことで強がらなくたっていいのに。 無理される方が却って心配するよ…! ふふふっ」

アニポケリーリエ「! …わ…、笑う事ないじゃないですか…! ///」

ヨウ「ふふ…っ! 大したことじゃなくて良かった…。…もう早く言えばいいのに…。 …くくっ…!」

アニポケリーリエ「も、もう…っ!/// 笑いすぎですよ…! …よ、ヨウったら…いじわるです…!///」

ヨウ「…………」

ヨウ「……リーリエ?  …もう一回聞くけれど、…本当に大丈夫?」

アニポケリーリエ「…………」

アニポケリーリエ「……。 …ほ、本当は怖いです。とっても。 ……一人でなんか居たくありません…。
 ……。…だから…、………ふふっ! …ヨウ、わたくしを助けてくれますか?」

ヨウ「もちろん! ゼンリョクを尽くすよ!」にこっ

アニポケリーリエ(………ああ……、ずるい、です…。 こんなの…//////)

ロトム図鑑「…それにしてもよく気付いたロトね? ヨウ?」

アニポケリーリエ「…………」

アニポケリーリエ「……それは…確かに…。
 …ヨウってまるで、わたくしが困ってるといつでも助けに来てくれるみたい…」ウレシイ

ロトム図鑑「…おそらくヨウはリーリエのこと、いつもよく見てるからロ…。リーリエマニアだロ…!」

アニポケリーリエ「…え、そ、そうなのですか…!?!?////」

ヨウ「…こ、こら。誤解を招くようなこというなよ…///
 そんなことより、これからどうするか考えないと…!」

サトシ「んなのカンタンじゃん。リーリエもククイ博士んちに泊まりに来ればよくない?」
ピカチュウ「ぴかちゅ」

サトシ以外「「「サトシ!?」」」

サトシ「…忘れ物して戻ってきちゃった…。へへへ」

ヨウ「……ああでも、ククイ博士の家っていうのは良い考えかも。 …どうかな?リーリエ?」

アニポケリーリエ「……ごめんなさい。勝手に家を空けて外泊するのは、できればちょっと…」

ロトム図鑑「なら、逆転の発想ロト! ボク達がリーリエの家にお泊りしに行くロト!」

ヨウ「…厚かましいぞという問題はこの際さて置いたとしても、
 男の子だけで女の子の家に泊りに行くのはどうかと思うな…」

アニポケマオ「なら、私も参加する!どうかなぁ?リーリエ?」

アニポケマオ以外「「「「マオ!?」」」」

アニポケマオ「私も忘れ物で戻ってきちゃったりして…! えへへ…!」

アニポケリーリエ「……!」

アニポケリーリエ「…わ、わたくしはその、やりたいかもです…! お泊り会…!」どきどき

サトシ「んじゃあ、いっそのことククイ学級のみーんな、誘おうぜ!!超楽しそう!!
 俺、みんなに声かけてくるから! …あ、もちろんヨウも来るんだよな?」きらきら

ヨウ「あ、えっと…、僕は…
アニポケリーリエ「ヨ、ヨウは来ないのですかっ!!?」がば

ヨウ「(…そんなこの世の終わりみたいな顔しなくても…)
 いや、スクールでちょっと調べものした後で行かせてもらおうかなと言おうとしただけ!
 …僕も行っても大丈夫?リーリエ?」にこ

アニポケリーリエ「当たり前じゃないですか…っ! お待ちしてます…!」ぱあっ

アニポケマオ(リーリエに元気が戻ってみたいで、とりあえず良かった…)くすくす!

アニポケマオ「…素敵なアイディアだね!サトシ!
 サプライズができなかった分、ヨウの歓迎会も兼ねるということで!!」

―――――
―――


―――リーリエ宅のお屋敷内

アニポケリーリエ「みんな! 本日はお集まりありがとうございます!
 うちの敷地なら近所迷惑なんかなりませんから、
 どうぞ存分に大声で騒いでいただいて結構ですっ!」きゃっきゃっ!

アニポケスイレン「て、てんしょんたかっ…!!」

アニポケマーマネ「休み時間のは何だったのさ…。まー、元気になったなら良かったけど!」

アニポケリーリエ「実は前からこういう事、一度はやってみたくて、憧れたんです…!」むふー!

サトシ「…こういう大人のいない雰囲気、俺にとっては久しぶりって感じ!
 ほら俺、ちょっと前まで、仲間たちと野宿したりしながら旅する毎日だったから」
ピカチュウ「ぴーか」タシカニ

アニポケカキ「……サトシのこれまでの詳しい経歴がたまに知りたくなるんだが。 俺は…」

アニポケマオ「それしても、カキまで参加できて本当に良かったよ! 配達、大丈夫?」

アニポケカキ「ああ。折角だし明日はいいって、親がな。 …まぁこんな機会、中々無いだろうしな」

ヨウ「お泊り会やるのってやっぱり珍しいんだ?」

アニポケカキ「そういう意味じゃ無いさ。ヨウがいるってことが、凄く貴重だろ?」

ヨウ「あ…! …ありがとう…!」

アニポケカキ「…まぁ、一つ懸念があるとすれば、
 俺が居ない間に、妹に何かあったらどうすればいいんだということぐらいか…。
 …い、いかん!想像したら心配になってきた…! リーリエ、電話を貸してくれ…!!」

ヨウ「え? カキ、妹居たの? ……知らなかったな」

アニポケカキ「…。 …そりゃあそうだろ。ヨウにはまだ教えてなかったんだから。
 …ホシっていうんだ。言っとくが! …滅茶! 苦茶! 可愛いからなぁッ!!」

アニポケスイレン「あ、ちなみにわたしにもいもうとがいるんだよ」ハイ

ヨウ「ホウとスイっていう双子の妹でしょう。それは知ってる」

アニポケスイレン「…………いや、ぎゃくになんで、しってるのかな…!?」

アニポケリーリエ「あ。 そういえばそうでした!(ぽん) 
 お風呂を沸かしてありますから、マオかスイレン、よろしければ入ってきてください」

アニポケマオ「ありがとー、リーリエ。 どっち先に入ろっか、スイレン?
 ……あ! 良いこと考えちゃったよー!
 時間勿体ないし、折角だから、リーリエも一緒に、三人でお風呂入っちゃおっか?」にか!

アニポケスイレン「いいね!たのしそう!! どう?リーリエ?」わくわく!

アニポケリーリエ「うー/// それは、ちょっと…恥ずかしいです……、けど…
 こんな機会は…そうそう無いですし…、 うん…。わかりました…!/// ………。
 …じゃあ、わたくしたちはちょっと行ってきますね。 みんなは適当におくつろぎ下さい…」

アニポケカキ「……ああ」
アニポケマーマネ「……うん」
ヨウ「……いってらっしゃい」
サトシ「おう!  あ、リーリエ?この○ンテンドースイッチ、やらせてもらっていい?」

アニポケリーリエ「ええ。もちろん良いですよ、サトシ。 …マオ、スイレン。待ってください。今、行きます。」

アニポケスイレン「リーリエのいえのおふろ、すっごくおっきそう! …およげるかな!」きゃっきゃっ!
アニポケマオ「こらこらもー!スイレンったら! …リーリエ!背中流し合っこしようよっ!」きゃっきゃっ!
アニポケリーリエ「…そういうのは恥ずかしいですってばぁ…!/// …うふふっ!///」きゃっきゃっ!

……………………。

アニポケカキ「…。」
アニポケマーマネ「…。」
ヨウ「…。」


アニポケカキ「…なんと、いうのか…」

アニポケマーマネ「……」
ヨウ「……」

アニポケカキ「適切な表現かは…、わからないが、」

アニポケマーマネ「……」
ヨウ「……」

アニポケカキ「…何か、こう…空気が、…いたたまれない…っていうか…」

ヨウ「わかるよ」
アニポケマーマネ「…ま、まーね。 ……。 女子たち…、ちょっと…あれはデリカシーにかけていると思う…」

サトシ「…え? なんで?どういう意味?
 んなことよりさぁ!! みんなで○リオカートやろうぜぇっ!」きゃっきゃっ!

ヨウ「…サトシはすごいな」
アニポケマーマネ「…こうなりたいとは…、何でかまったく思わないけど…」
アニポケカキ「…ああ」

――――――

アニポケマオ「今晩の料理は、みなさんにもお手伝いしてもらいながら、
 私が腕を振るわせていただきましたー! ご協力ありがとぉー!」
アママイコ「あっまーい♪」

アニポケスイレン「おいしそう!」
アニポケリーリエ「そうですね! …この前の試食会のシチューも美味しかったです!」
サトシ「10万ボルトシチューは勘弁だったけどな!」にか
アニポケマオ「たはは…! 今日の料理の味は自信をもって保障するから安心してちょうだい!」
アニポケマーマネ「ねぇ、はやく食べようよぉー!」
アニポケカキ「ああ! 腹が減った!」

ヨウ「…!(…マ、マオの…料理かー…!)」びくびく

―――ヨウの回想・アーカラ島 シェードジャングル

マオ『…あれ?ラランテス、料理を残してる? ほら!カキもスイレンも食べて食べて!』にかっ

カキ『それでは……』仏頂面…
スイレン『ペロッ!っと』にこっ!

ヨウ『……。』

ぱくぱくもぐもぐ

スイレン『“きちょうなホネ”のフレーバーが口の中、広がって……』
カキ『ほっぺが蕩けるだけでなく、舌が痺れ、痺れて……?』

カキ『うっ……!』
スイレン『こっ、これは……!?』

ヨウ『……!?』

カキ&スイレン『『みっ、水ッッッーーーー!!!』』

ヨウ『…ひっ!!』

マオ『? ええっ!どうしたの、みんなっ!ちょっと待ってよー!』

―――ヨウの回想終了

ヨウ「……………!」

いっただきまーす!!

ヨウ「……はっ!」

ガツガツ!むしゃむしゃ!ガツガツ! ガツガツ!むしゃむしゃ!ガツガツ!
ガツガツ!むしゃむしゃ!ガツガツ! ガツガツ!むしゃむしゃ!ガツガツ!

ヨウ(……!!)

アニポケスイレン「おいしー!」
アニポケマーマネ「おかわりー! マオー!」
アニポケカキ「はやっ! 早いぞっマーマネ!」
サトシ「ウマいなー! またレベルアップしたんじゃないのか、マオ!」
アニポケリーリエ「本当、流石ですね…! …わたくしにもお料理、本格的に教えてもらえないかしら?」

アニポケマオ「…んー、何かイメージしてた風味とちょっと違うような…だけど、まーこれはこれでアリかなー」

ヨウ(!? ……みんな、だ、大丈夫なのか…?)

アニポケマオ「? ヨウも食べて食べて! ……ヨウのお口にも合うと嬉しいなっ。にへへ!」

ヨウ「……! ……。 ……うん…、…いたただきます…!」

ぱく

ヨウ「…! ? ……おい、しい…!」

アニポケマオ「…ほんと?良かったー。
 …喜んでもらえたなら何より! 料理人冥利に尽きるよぅ! ふふふ!」

ヨウ「うん…!おいしい!…その、何か謝りたいくらい…! …凄い!…マオの料理! おいしい!」

アニポケマオ「…え? …、あ…、ヨ、ヨウは何か凄く…大げさだなぁ…?」

ヨウ「だって本当に凄いよ、マオ…!」ぱあっ

アニポケマオ「そ、そんなに、褒めないでってばぁ…わかったから!
 …それ以上、褒めちゃだーめ。オーバーすぎだよ? えへへ!///」

ヨウ「感激だ…こんなにマオが凄いなんて…!」ばくばく!

アニポケマオ「だ、だめ、だってばぁ…/////」どきどき

ヨウ「こんなマオの料理なら毎日食べたい…!」

アニポケマオ「……………ふぇ?……///////」まっか

アニポケリーリエ「……………マオ?」きょとん

アニポケマオ「…はっ!」びくっ

アニポケリーリエ「………………」

アニポケリーリエ「……マ、マオ…? ……ま…、…まままま、ま…さか…!?」あわわわ…

アニポケマオ「…あ、いや! 違うの! 違うよ…!////」あせあせっ!

アニポケカキ「カ キ で す !
 揉め事は良くない…。 さぁ、俺のダンスでも見て、気を静めるが良いぞ…!」ピヨピヨ

ヨウ「………?」
アニポケマオ「………?」

アニポケカキ「……………………………………!!!(くるくるくる!)」ピヨピヨ

ヨウ「………………。」
アニポケマオ「………………。」

アニポケカキ「……………………………………!!!(ぐるぐるぐる!)」ピヨピヨ

ヨウ「……? カキの様子が…おかしい…? どうしたんだろう…?」
アニポケマオ「…何かファイヤーダンスを踊ってるね…! …黙々と…! 怖い!」

ヨウ「…………これはまるで…正気を失ってしまっているような…?」

アニポケマオ「…はっ!? ま、まさか、ひょっとして…、私がさっきの料理の隠し味に入れた
 “フィラのみ”“ウイのみ”“マゴのみ”“バンジのみ”“イアのみ”が中っちゃったー、とか…!」

ヨウ「そ、それって、ぜ、全部“こんらん”作用のあるきのみじゃないか…! …なんでそんなものが…」

アニポケマオ「……あー、いや、でも、隠し味の調味料として目分量入れただけのはずだよ…?
 落ち着いて考えてみれば………、混乱作用なんて引きおこすはず、無いと思うんだけどな…!?
 ………………………えっと、これの投入を担当してもらったのは…、確かサトシだ…。
 …ね! サトシ? 目分量に、ちょっこっと…、入れただけだよね?」

サトシ「ああ!メブンリョウだろ! だから、めぇいっぱい入れてやったぜぇ!!」

ヨウ&アニポケマオ「「えええええええぇ…!!?」」

サトシ「ん? なんか悪いことしちゃった? …昔の旅の仲間達にもさー、
 料理作ってる時はよく、『サトシは何もしなくて良い…』とか『手伝わなくて大丈夫だからね!』とか
 『サトシは座っててくださいっ』って言われてた。 懐かしいなー! へへへ…!」てへっ

アニポケマオ「…ば、ばかぁーっ…! じゃあ絶対、それのせいだよー!!」

ヨウ(そんな危険な食材をサトシに任せたマオにも問題があったのでは、と思ったのは黙っておこう…)

くら…

ヨウ「う…! まずい…、ぼ、僕にも効果が回ってきたかも知れない…。
 なんかあたまがくらくらする…。  …………マオは大丈夫…?」

アニポケマオ「うん!大丈夫っす!! 私には全然効いてないでっす!」ピヨピヨ

ヨウ「…………」

ヨウ「…………マ、マオ…?」

アニポケマオ「…アレ? おかしいな?やっぱ、ダメかもしれないでっす…! ふふふふふ…!」ピヨピヨ

ヨウ「…………!」

ヨウ「…はっ!! ………ス、スイレン、マーマネは!?」バッ

アニポケスイレン「大丈夫です!釣りをなさりたい気持ち…スイレンにはよーく解ります!」ピヨピヨ
アニポケマーマネ「大丈夫。マーマネは強いコだから……」ピヨピヨ

ヨウ「……」

ヨウ(…大丈夫じゃ…、ないな……。 …た、大変なことになってしまった。
 ………うーん、しかし、…今のみんなの方が何故か、既視感があるな………)

ヨウ「…! そ、そうだ……サトシは?」バッ

サトシ「すっげぇ気分いいぜぇぇっ! もう、俺!歌でも歌っちゃうから!!  ~♪ 」ピヨピヨ

ヨウ(……あー、サトシもかー…。  …それしてもサトシ…、歌上手いんだなぁーー…)

ヨウ(……おくちあんぐり…)ピヨピヨ

ヨウ(……………………ッ!)

ヨウ(………ま、まずいッ……!  ぼ、僕自身もなんかおかしくなってきたかも……!?)

ヨウ「……ロ…、ロトム…。 悪いけどみんなが大変なんだ…。協力して…!

ロトム図鑑「ぐぉぉ、むにゅむにゅ…」ZZZ
ピカチュウ「ちゅうちゅう」ZZZ
他のみんなの手持ちポケモン達「「「「「ぐーぐー」」」」」ZZZ

ヨウ(ほにゃあ! 寝ておる!)ピヨピヨ


ヨウ(……い、いや、待てよ…。 “ねむり”の上書きで“こんらん”状態時の行動自体を封じる…。
こ…、これだ。今はこれしかない…。 しかし…、ぼ、僕も意識が持ちそうもない…。急、がなきゃ…、)

ヨウ(………!!)


アニポケリーリエ「……///」じとー


ヨウ「…リ」

ヨウ「……リーリ、エ…!?」たじっ

アニポケリーリエ「……///」てくてく

ヨウ「…?」

アニポケリーリエ「…///」ぎゅ!

ヨウ「…!!」

アニポケリーリエ「~~//////」ぎゅ~

ヨウ「……!!(…あわわ!予感はしてたけどやっぱりリーリエも混乱してる!///)」

ヨウ「…リ、リーリエ…あの、どうしたの…、かな…?」

アニポケリーリエ「……ヨウにお話ししなければならないことがあると思って近づいたら、
 なぜか…こうなってしまいました…」ぎゅ

ヨウ「へぇ、な、なるほど…。 …って、あの、リーリエ?
 …その、そんなにくっ付かれると、ちょっと、僕、動けない…かな…?」

アニポケリーリエ「しりません。わたくしだって動けませんからおそろいです。論理的な結論としてなかよしです。
 それとも、その…、ヨウは…スイレンやマオとお話しするほうが楽しいですか?
 もしそうならつらいです。くるしいです。もうどうしていいかわかりません……///」ぎゅう…

ヨウ「(だ、誰か助けてっ…!もうどうしていいかわかんないよ!)
 ……僕は…リーリエのソファベッドで…眠りたい…、違うそうじゃない、みんなを眠らせなきゃいけない。
 だからお願い…。ちょっと離してほしい。 …リーリエ…はきっと今、正気を失ってるんだ…」ピヨピヨ

アニポケリーリエ「……、わたくしは正気です…」ぷくー

ヨウ「わがまま言わないで? 良い子だから…」よしよし

アニポケリーリエ「正気ですもん…!
 …そ、それ、より…、あ…///、…あたまをなでないで…ください……!!////////」かあー…っ

ヨウ「…! ご、ごめんごめん……、………う!」ピヨピヨ

ヨウ「……うう、ううう……」ピヨピヨピヨピヨ…

ヨウ「…………」

アニポケリーリエ「……?」

ヨウ「……」 

ヨウ「……『リーリエ』… ? あいたかった、『リーリエ』… でも、どうして… ここに… ??」

アニポケリーリエ「………? どうして、って? こ、ここは…わたくしのお家だから、ですけど…///////」

ヨウ「………………?」

アニポケリーリエ「……?」

ヨウ「…………」

ヨウ「………………!」

ヨウ「………っ!?(意識飛んでた…) …ご!ごめん…! …と、とにかく、話はまた明日、ね…!
 ……だめ、だ…、やばい…。…なんか僕も、本格的に…混乱が回ってるみたい……」ふらふら

アニポケリーリエ「……む、むぅ…!」ぷくー!


サトシ「少しずつだけどっぉ!♪」
アニポケリーリエ以外のクラスメイト達「「「「たいぷわいっ!!」」」」

ヨウ「……なにしてやがる みんな。 このまま起きてるとか ない!」ぐらぐら

サトシ「ええー?どうして? こっから良いとこなのにー?」
アニポケカキ「なっ、なんということだ!」
アニポケスイレン「あらまあ」
アニポケマオ「勝負の味も色々だね!!」
アニポケマーマネ「ヨウさん、頑張ってる!」

ヨウ「いいからー はやく ねるのー」はうはう

―――――
―――


「…ウ!…ヨウ!」

ヨウ「……ううん…」

ロトム図鑑「ヨウ!…ヨウ!起きるロト!もう朝ロト!!今日もスクールに行くんだロ?」

ヨウ「……朝…? もう…?」ぱち 

ヨウ(……。……また、夢の中でほしぐもちゃんと会っていた…。
 今日がUBとの闘いの準備ができる最後の日…。そして、さらにその明日が決戦日…。
 いよいよウツロイドとの再接触まで…近づいてきた…。…頑張らなきゃ)

ヨウ(……でも、……あれ? 
 夢の中の記憶はあるのに…なんか、…昨日の起きていた記憶が途中から無いぞ…。
 料理に入れていたきのみの効果でみんな、混乱してしまって…、サトシが歌を歌い始めて…?
 ……、それからどうなったっけ?  …………?
 ……………………………ところで…?)

アニポケリーリエ「……すぅすぅ…」

ヨウ「(また一緒に寝てる…!)
 リーリエっ…!起きて…!他のみんな、起きてきちゃうよっ…!?(小声)」ゆさゆさ

アニポケリーリエ「……ふにゃ…」

ロトム図鑑「みんなぁーっ!!早く起きるローっ!!スクールに遅刻するロトー!!」ワーワー!

ヨウ「ち、ちょっと待って!!ロトム!!///」


――――ポケモンスクールまでの通学路

アニポケスイレン「…なんかきづいたら、あさになってた…」

アニポケカキ「…途中から飯を食い終わった後くらいから何があったか全然覚えてない…」

ヨウ「……僕もそんな感じ…」

アニポケマオ「なんか勿体無い…」

アニポケマーマネ「ま、まーね…」

アニポケリーリエ「どうしてこうなったのです…?」

サトシ「……………………」

サトシ「…ま、まぁ、これはこれで良い思い出になったろ!
 ある意味、絶対忘れないよ、こんな思い出! 逆に良かったじゃんっ!!」

サトシ以外「「「「「「良くない!!」」」」」」

アニポケマオ「……くぅー…! みんな! こうなったら、お泊り会、リベンジするしかないね!」

アニポケスイレン「うん!そのとーり!」

アニポケマーマネ「えええ? 普通あんなことあったら、今後は自重も考えない?
 …まぁ楽しかったのは確かだけどさー」

アニポケリーリエ「楽しかったなら、またやりましょう! 是非またやりたいです! お泊り会!」

アニポケカキ「いつもはストッパーのリーリエがこれじゃあ、またやるしかなさそうだな」にやり

アニポケリーリエ「ふふふ! だって、楽しかったんだから仕方ありません!」

ヨウ「ふふ」

サトシ「……」

サトシ「……そんときはさ、もちろんヨウもまた一緒だからな?」にか
ピカチュウ「ぴっかちゅう!」

ヨウ「…………。…うん…! ありがとう…」

アニポケスイレン「…あれ?」

アニポケスイレン「…? こうもんのまえにだれかいるね?」

アニポケマーマネ「!? あ、アイツは!?」


ベテラントレーナー「………………」


ヨウ「……」

アニポケカキ「…一昨日のスカル団の用心棒…! まさか仕返しきたのか?」

ヨウ「……」

ヨウ「…みんな、先に行ってて」

アニポケリーリエ「だ、ダメですよ…、…ヨウ。 迂回するか、人を呼ぶか、しましょう?」

ヨウ「大丈夫大丈夫。……ほら? スクール遅れちゃうよ?」にこ

サトシ「……行こうぜ?リーリエ? …ヨウなら心配ないよ」ぐいぐい

アニポケリーリエ「…で、でも…!?」

アニポケカキ「……おい、ヨウに何かしてみろ。俺たちがただじゃおかなからな」

ベテラントレーナー「……」ちら

すたすたすた…

ヨウ「……」

ベテラントレーナー「……」

ヨウ「……あの? 一昨日の再戦ですか?」

ベテラントレーナー「……。 …一昨日から思ってるが、アンタは全然俺を怖がらんな?」

ヨウ「怖がってますよ?
 でも、もっとおっかない人と何度も闘ったことがあるから…。それで少し慣れてしまったのかも」

ベテラントレーナー「……。…もう、スカル団からの仕事を受ける気はない。
 あんたとやる理由はもう無い…。残念ながらな」スッ

ヨウ「……?」

ベテラントレーナー「賞金だ。あんたは俺に勝った。あんたには受け取る権利がある」

ヨウ「……。 …どうして?」

ベテラントレーナー「……あの時のバトルは、あんた曰く、ポケモンバトルだったん、だよな…?」

ヨウ「そのとおりです」

ベテラントレーナー「……………」

ヨウ「……わかりました。 賞金、ありがたく頂戴します。対戦ありがとうございました」

ベテラントレーナー「……、…じゃあな。………、 …悪かった…」

ベテラントレーナー「…」スタスタ

ヨウ「………」

ヨウ「あの…」

ベテラントレーナー「…?」

ヨウ「良かったら、今度また勝負しましょう。…スカル団とかは抜きに。
 ただのトレーナー同士の試合で。 今度は僕もちゃんと自分の手持ちで闘いますから」

ベテラントレーナー「……………」

ベテラントレーナー「………つくづくあんたは、ムカつく…、野郎だ…」

ベテラントレーナー「……………」

ベテラントレーナー「…………」ペコ

ベテラントレーナー「……………」

ベテラントレーナー「………」スタスタ

ロトム図鑑「………」

ロトム図鑑「……良かったロトね…。ヨウ…」

ヨウ「…うん。良かった…」

――――ポケモンスクール・校舎入り口前

アニポケマーマネ「…ヨウ…、ああ言ってたけど、本当に大丈夫かな…」

アニポケマオ「…うーん?」

アニポケリーリエ「…ヨウに何かあったら…、嫌です…。 や、やっぱり戻りましょう!」そわそわ

サトシ「俺は心配ないと思うけどなー」

アニポケカキ「はっきり言って俺もサトシに賛成だ。
 ヨウは、恐らく俺達が考えている以上に凄いポケモントレーナーだと思うぞ」

アニポケスイレン「でも、ヨウはいまポケモンもってないじゃない」

アニポケナリヤ「やあやあアローラ!ククイ学級の諸君! 
 そろそろ授業始まるよ? …立ち止まってどうしたネンドール?」

アニポケリーリエ「! アローラ。校長先生。……ちょっと、ヨウが大変で…!」

アニポケナリヤ「? それはUB再出現の件かね?
 …まぁ無理もない。明日は厳しい闘いになるのは間違いないだろうカラマネロ…」

アニポケリーリエ「……」 アニポケスイレン「……」
アニポケカキ「……」 アニポケマオ「……」 アニポケマーマネ「……」
サトシ「…い?」


サトシ「…いいいいいぃっっ!!!?」
ピカチュウ「ぴかあああ!?」ガーン


アニポケリーリエ「…校、長? …い、今、何て仰いました…? …ど、ういう、ことですか…!??」

サトシ「ち、ちょっと!!オーキド校長っ!それは、みんなには内緒だってっ!!」わたわたっ

アニポケナリヤ「え? だ、だってククイ君曰く、サトシ君はUBの件、知ってるって…。
 私はククイ学級のみんな知ってるとばかリグレー!レパルダスゥ!」

アニポケマーマネ「U、B…?」

アニポケマオ「明日、何か…、あるの…?」

アニポケカキ「…とりあえず、なるほどサトシ…。 つまり、お前も何か知ってるんだな…?」

サトシ「……ぎっくーぅ…!!」

アニポケスイレン「……サトシ…、こうちょうせんせえ…?
 …しってること…、ぜんぶ……、はなして……?」ゴゴゴ…

サトシ(ひえ~~…!)だきっ
アニポケナリヤ(ひえ~~…!)だきっ

アニポケスイレン以外のクラスメイト「「「「…スイレン頼もしい…」」」」

ピカチュウ「ちゃあ~…」ヤバイゾコレ

―――――ポケモンスクール・ククイ学級の教室 午前授業終了 放課後

ヨウ(授業…楽しかったな…。もうこれで終わりだと思うと…名残惜しい…。
 ……………いけない。 …これから闘いの準備だ…。切り替え切り替え…)

アニポケスイレン「…さて、ヨウ…。 そろそろだね?」にやり

ヨウ「……?  そろそろ…って……何が?」

アニポケマオ「…ふふふ、明日のUBとの闘いの準備に決まってるじゃない?」にやり

ヨウ「…!  …え!?  な、なんでそのことを!?」

サトシ「……えっとー、ヨウ…。 …その、なんていうか…」ごにょごにょ

サトシ「……UBが出ること、みんなにバレたって…いうか…。…その…ごめん…」目線反らし

ヨウ「…えええええ…! …バ、バレちゃったの…!!?」

サトシ「あ…でもさ…、オーキド校長も、ヨウが他の世界から来たってことは知らなかったみたいで…
 そのことはやっぱりみんなもまだ知らない。 ……どうする?」ぼそぼそ

アニポケマーマネ「ここはボク達のスクールだよ? 何もしないわけにはいかないじゃん。
 ヨウのポケモンを取り戻すために、ボク達も協力するよ、ヨウ!」

ヨウ「…!!  …あ、みんなの気持ちはすごく…嬉しいんだけど…、UBは…!!!」

アニポケカキ「おっと! 勘違いするなヨウ。
 さすがに直接戦いに加わるなんて、ずうずうしいことは考えちゃいない。
 …だが、一緒に作戦を考えるなり、何か事前準備するなりなら、人手は多いに越したことないだろ?」

アニポケリーリエ「ちゃんとククイ博士に許可はとりました。 勿論、ヨウが了解するならという条件ですけど…。
 …でも、水臭いじゃないですか?ヨウ。  ……わたくし達、みんな心配してるんですから!」くす

ヨウ「……………」

ヨウ「……な…なんで…、 なんでみんな、そんなに優しいの?」

サトシ「…? …ヨウ…、それは決まってんだろ…」

ヨウ「……………」

サトシ「……………だって俺達、友達じゃんか!!」にか

ヨウ「…………!」

ヨウ「……………」

ヨウ「………みんな…、ありがとう……!」


アニポケカキ「はは! …じゃあ早速…、俺たちに手伝えそうなこと、何かあるか?」

ロトム図鑑「…。…そーロトねぇ…? ぶっちゃけ、昨日の時点で準備は結構はかどっていて…、
 しまキング達と打ち合わせさえ済めば、今からでも闘えるくらいなんだロトが…。

 …今回のUBは能力的に未知数なところが多くて、闘ったことのあるボクたちだからこそ、
 固定概念に囚われて、見落としていることがあるかもしれないロト。

 後で作戦概要を説明するから、気になった点があればキタンない意見を聞かせてほしいロト!
 あ! …あと、校庭にバリケードを設置する予定なので、それを作ってもらえると凄く有り難いロ!」

アニポケマーマネ「なるほどね! …バリケード制作なら、ボクに任せてよ~!
 ケンタロスの大群に“とっしん”されてもビクともしない頑丈なの作ってやるさ!」

サトシ「よーし!そうと決まったら頑張るぜぇ!」

アニポケマオ「おー!!」
アニポケスイレン「おー!!」
アニポケリーリエ「おー!!」

ヨウ「(…あ、そうだ。)  ……みんな、お昼ご飯、まだだよね?
 これから買い出しに行くつもりだから、お礼にご飯奢らせてよ」

アニポケスイレン「え? いいの?」

サトシ「そりゃあうれしいけど…、お金、大丈夫なの? ヨウ」

ヨウ「うん! さっきのベテラントレーナーさん、賞金を渡しに来てくれたんだ。それでありったけ買ってくる…!」

サトシ「…そっか! 良かったな!」にか

アニポケマーマネ「あ! それならさー、
 ショッピングモールのアイス屋の隣にある人気行列店のマラサダドーナツが食べたいなぁー!
 今の時間帯がベストな買い時だってデータに出てる!」にひ

アニポケカキ「おいおい、マーマネ…。 わざわざ距離あるところに買い出しに行かせるなよ…。
 …………っていうか飯っていうより、おやつだろ、それ……?」

ヨウ「ふふふ、大丈夫!  そこのマラサダも一緒に買ってくるよ!」

ヨウ「……………。」

ヨウ「……それ、から…、お昼の時、みんなに聞いてほしい話があるんだ……」

アニポケマオ「?  うん。何でも聞くよ?」にこ

ヨウ「…ありがとう」

ヨウ(………僕はみんなに…、僕がこの世界の人間ではないことを打ち明けていない……。
 事実を信じてもらえるにせよ…もらえないにせよ…、間違いなくみんなを混乱させてしまうはずだし、
 そもそも、それはUBにほしぐもちゃんを奪われた事とは、直接関係の無い事だ…。
 わざわざ引けらかすような真似をしてまで、明かす理由はないと思っていた……)

ヨウ(………………………違う………)

ヨウ(…………多分…僕は……、
 …こんな、良くしてくれるみんなに……奇異の目で見られてしまうのが…怖かったんだ…)

ヨウ(…でも…、もうこれ以上黙ったままは絶対にダメだ。それはあまりにも卑怯だ。
 こんなに…僕のことを想ってくれる人たちに…、友達に…隠し事なんてしていいはずがないじゃないか。
 ………勇気を出して言おう。 大丈夫だ。きっとみんななら信じてくれる………)


アニポケマオ「…えーと、じゃあ、結構荷物になっちゃうねぇ? …ヨウだけに行ってもらうの悪いなぁー。
 もう一人くらい一緒について行こうか? それで、ついでにお菓子とか飲み物とかも買ってきてもらおう」

アニポケリーリエ「…あのう? 対策会議とかをするんですよね…? …おやつパーティになっちゃうのでは…?」

アニポケスイレン「ヨウ! かいだし、リーリエがいっしょにてつだうって!」

ヨウ「? …良いの、リーリエ? 何か、リーリエには本当にお世話になりっぱなしだ…。ありがとう…」

アニポケリーリエ「え?////  あ、えっと…、いえ、気にしないでください…!(スイレンったら、もう~///)
 ………その、一緒にお買い物…、参りましょう……////」にこ

アニポケスイレン「えへへ! いってらっしゃい♪」てへぺろ

―――――
―――


アニポケカキ「…しまった…。 ヨウが買い出しに行ったら、ヨウが戻ってくるまで、
 俺達、手持ち無沙汰じゃないか…。 …ヨウのロトム図鑑くらい、置いて行ってもらえばよかったか?」

アニポケマーマネ「じゃあー、こっちのバリケード作るの手伝ってよー、カキ!サトシ!  …力仕事だよ!!」

サトシ「…ははは! 悪い悪い!」

アニポケマーマネ「…………。 …あのさ? …みんなはどう思う? ヨウのこと」

アニポケカキ「……良いやつだと思うよ。  多分…、みんなも同じことを感じてるんじゃないかと思うが、
 出会って間もないはずなのに、不思議とそんな気がしない。
 ……それから…、あいつ、何か俺たちに明かしてない事情みたいなものがあるみたいだな。
 ……妙に親しみがわくのも、その秘密と何か関係があるのかな?」

アニポケスイレン「…さいしょにあったときへんなこと、いってたよね。
 ぼくたちはしょたいめんなのか……とか、なんとか」

アニポケカキ「今だから言うが、あいつ…、
 俺たちの名前を出会いがしらに覚えたんじゃなくて、…あらかじめ知っていたみたいだった…」

アニポケマーマネ「…まさか宇宙人とか未来人とか~? そんなフィクションじゃあるまいし…!」 

アニポケマオ「多分だけど、お昼の時に聞いてほしい話って、その辺りの秘密についてなんじゃないかな?
 ………ヨウ、…言いにくい事なら、別に無理に言わなくても良いのに……」


アニポケカキ「ああ…、そうだな。 …正直、俺はヨウが何者だっていいんだ。
 あんな凄いZワザを使える奴が、 …いや、危険を顧みず命がけでリーリエを助けてくれた、
 あんな気の良い奴が…今更、悪い奴とは思えない…。思いたくない…。
 何者であれ、俺はヨウの人となりを信じるさ」

アニポケスイレン「……うん…!」

サトシ「……カキは…、良いやつだなー…!」にへへ

アニポケマーマネ「ホントだねぇー!」

アニポケカキ「…何だよ…! ちゃかすな…///」

アニポケマオ「照れてるしー! ふふふ!」

――――ジャリボォォォオオイイイイィィイ!!!!

サトシ達「「「「「………………。」」」」」

サトシ「………。 ……あの声は…」ウンザリ


ムサシ「あの声は、と言われたら!!!」

コジロウ「聞かせてあげよう我らが名を!!!」


ムサシ「花顔柳腰!羞月閉花!儚きこの世に咲く一輪の悪の花ぁ…、 ムサシッ!!」

コジロウ「飛龍乗雲!英姿颯爽!切なきこの世に一矢報いる悪の使徒っ…、 コジロウッ!!」

ニャース「一蓮托生、連帯責任、親しき仲にも小判輝く悪の星…、 ニャースでにゃーすぅ!」

ムサシ&コジロウ「「…ロケット団参上ッッ!!」」

ニャース「なのにゃ!」

ソーナンス「そーなんすっ!」


アニポケスイレン「…また、あんたたち…!?」

アニポケカキ「よくもまぁ飽きないなぁ…」

アニポケマオ「でもスクールに乗り込んでくるなんて珍しいねぇ?」

コジロウ「なーはっはぁ!
 まどろっこしいこと考えず、スクール中のポケモン全てをいただくことにしたのだぁ!」

アニポケマーマネ「………でも今日、午前授業だけだから他の生徒みんな、もう帰っちゃったよ?」

ロケット団「「「…………。」」」


ロケット団「「「………なぁああああああああああああ!!!!!!」」」


ムサシ「ちょっとぉー! 生徒たちー! そのポケモーン! 引き返して来なさいよぉー!」がば
コジロウ「戻ってこぉーーい!」がば
ニャース「にゃああー!」がば
ソーナンス「そーなんすっ!」がば

アニポケカキ「まっ、たく…」

サトシ「今日はもういいだろ? これから俺達、忙しいんだから出てけよぉー」

ムサシ「あー…ん? 忙しいぃ…? なんでぇ?」

コジロウ「………………」

コジロウ「なぁ? …ところで、お前らの学校、随分変わったポケモンを放し飼いにしてるんだな?
 …あんなの、初めて観たぞ。 俺のガイドブックにも載ってない…」

コジロウ以外「「「「「……?」」」」」

コジロウ「頭の丸っこいマーイーカみたいで…ちょっと不気味なだけど綺麗な感じがするな…」


サトシ達「「「「「………!!」」」」」

コジロウ「・・・・・・ほら、あんなにたくさん。  ・・・・・・うじゃうじゃ居る・・・。」



UBの大群「「「「「「「「「「「「「「「じぇるるっぷ…!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」



―――ハウオリシティ?・商店街

アニポケリーリエ「………以前、この辺りでポケモンパンケーキレース大会があったのです。
 ちょうどその時、シロンが孵化する直前だったので、わたくしは出ることが叶いませんでしたが、
 ククイ学級のみんなは全員出場したんですよ」

ヨウ「へぇ? メレメレ島にそんな催しが…?  すっごく楽しそう…!」

アニポケリーリエ「ええ…! …来年こそは、わたくしもシロンと共に出場したいと思っているのです。
 ……あ。そうです…。 …その時は是非ヨウも出られてはいかがでしょうか?
 ヨウは…、明日取り返すほしぐもちゃんで出場するんです。
 そうしたら、わたくしとヨウ。 どっちが良い成績を残すか、勝負ですよ? …ふふっ!」にこ

ヨウ「…うん…。…凄くいいかも…、それ…。 ありがとう…リーリエ」にこ

アニポケリーリエ「ふふっ! じゃあ、約束ですね…!   ………あら?」ぴた

ヨウ「?」ぴた


アニポケリーリエ「………」じー

ヨウ(…?  …リーリエが立ち止まって、何かの露店を見てる…。
 ………『くじ屋トレジャーハント』……。  一等賞は限定激レア“ピッピにんぎょう”…か…。
 …なんだか、僕がリーリエから譲り受けたあの“ピッピにんぎょう”を思い出す…)

アニポケリーリエ「………」ぽー

ヨウ「リーリエ?  …あのぬいぐるみが欲しいの?」

アニポケリーリエ「…! あ…、いえ…別に何でもないです…。 ……ピッピ人形自体はすでに持っているのですが、
 …あの景品になっているものは…とても珍しいタイプだったので、……その、可愛いなって」

ヨウ「ふふ。そういえばリーリエの本棚の横にも、ぬいぐるみがいっぱい飾ってあったもんね」スタスタ

アニポケリーリエ「あ…! ヨウ…、」

くじ屋さん「いらっしゃい!」

ヨウ「一回いいですか」

アニポケリーリエ「…よ、ヨウ…!」

ヨウ「ダメだったらごめんね。 …でも今日はくじ屋でハッピー…な感じだから。 …なんて」

くじ屋さん「……では発表します。 …おめでとうございます。10等 きのみジュースが当たりました!」

ヨウ「……あ…。 …だ、だめか。ごめん…」

アニポケリーリエ「……。……いえ。 …ふふ、いいんですっ」にこっ

くじ屋さん「ラッキーチャンス! おめでとうございます。 もう一度くじが引けますよ」

ヨウ「…!」

くじ屋さん「…では発表します。
 …おめでとうございます! 1等 限定激レア“ピッピにんぎょう”が当たりました!」

ヨウ&アニポケリーリエ「「………!!」」

ヨウ「……あ、当たった…っ!! やった!!」

くじ屋さん「おめでとうございます!
 良かったですねぇ、カノジョさん! カレシさんに感謝しないと!  …こちらが景品になります!」

ヨウ「…い、いや、そういうのではないんですが…。 …ありがとうございます。  ……はい、リーリエ」


アニポケリーリエ「………か……、カノジョ……?/////」


ヨウ「……リーリエ?」

アニポケリーリエ「……あ! …いや…、ありがとう、ございます…! …やった!えへへ!////」

―――――
―――


アニポケリーリエ「~♪///」ぎゅー!

ヨウ(お礼に何かできればと思って、
 少し厚かましいことしたかもしれないけど、結果的に喜んでくれたみたいで…良かった)

ヨウ「…その子、意外と大きいね? 大丈夫? しばらくの間、僕が持ってようか?」

アニポケリーリエ「いいえ、大丈夫です…! ……。このぬいぐるみ、本当はすっごく欲しかったんです…。
 この子、宝物にしますね……。 ほんとうにありがとう…、ヨウ…//////」ふわっ

ヨウ「いえいえ、どういたしまして!」

アニポケリーリエ「………///」てくてく
ヨウ「……」てくてく

アニポケリーリエ「……」ぴた…
ヨウ「?」

アニポケリーリエ「…///」

ヨウ「……? どうか、した? …リーリエ?」きょとん


アニポケリーリエ「…………///」


アニポケリーリエ「……わたくし…、こんな風に男の子と歩くのって…、生まれて初めてです…。」

アニポケリーリエ「…まるで、その……、デート……、してるみたい、って思って…、しまいます……//////」

ヨウ「……?  ………リー、リエ……?」

アニポケリーリエ「………………///」

アニポケリーリエ「……ヨウの、 カノジョさん……。 ですって……///」

アニポケリーリエ「…………、///////」

アニポケリーリエ「…………本当に……、そうだったらいいのに………///////」


ヨウ「…………………………」

ヨウ「…!!!?」


アニポケリーリエ「…///」

ヨウ「…」

アニポケリーリエ「…?」

ヨウ「…」

アニポケリーリエ「……ヨウ…?   …どうして…、そんなに、辛そうな顔を…しているんですか…?」

ヨウ「…………」

ヨウ「…………」

ヨウ「…り…、リーリエ……、」

ヨウ「僕は…、 …ぼくは…、……!」

アニポケリーリエ「………………」

アニポケリーリエ「………………」

アニポケリーリエ「……………ヨウが…言いたいこととは 違う…かも知れませんが…、」

アニポケリーリエ「………………」

アニポケリーリエ「………………わたくしは、知っているつもりです……」

ヨウ「………?」

アニポケリーリエ「……………………」


アニポケリーリエ「……………………ヨウには、他に好きな子がいらっしゃるんですよね?」


ヨウ「…………………」

ヨウ「・・・・・・・・・・・・え?」

アニポケリーリエ「………それで…、その子は多分………」

アニポケリーリエ「………………わたくしと…同じ…、リーリエ、という…お名前なんです…………」

ヨウ「…………ど…、」

ヨウ「………………ど、う…、して……?」


アニポケリーリエ「……………」

アニポケリーリエ「……ごめんなさい……。
 根拠はありませんでしたが確信はありました。 …そんなの…全然、論理的じゃないですけど…。」

ヨウ「…」

アニポケリーリエ「例えば…。ヨウ…? …わたくしはソファベッドで眠ったりは致しません」

ヨウ「??? ……何の…、話…?」

アニポケリーリエ「やっぱり覚えていませんか? 
 昨日の夜、ヨウ、仰ってましたよ? …『僕はリーリエのソファベッドで眠りたい』って」

ヨウ「…え/// …ぼ、僕、そんなこと、言ったの…/// …! いや、リーリエは昨日の記憶が、あるの…?」

アニポケリーリエ「“フィラのみ”“ウイのみ”“マゴのみ”“バンジのみ”“イアのみ”は
 確かに混乱作用のあるきのみですが、それは味との相性が悪い時のみです。
 きのみは一緒くたに入っていたから、誰もが混乱を引き起こしていたようですが、どうやら、
 わたくしには効かなかったようですね。 …すみません。みんなに隠すつもりはなかったのですが」

ヨウ「…リーリエは、昨日…混乱して…いなかった…?」

アニポケリーリエ「だから……、ちゃんと言ったじゃないですか?  …『わたくしは正気です』って」にこ

ヨウ「……?」きょとん

アニポケリーリエ「………」

アニポケリーリエ「……////// …ご、ごめんなさい…。 ……い、今のは忘れてください…//////」


ヨウ「…??  …つまり、…昨日混乱を起こしているときに
 僕は、君に変なことをいってしまって、それで君は何かに気づいた…ってこと…?」

アニポケリーリエ「…勿論、そんな冗談みたいなことだけで確信を得たわけではありません。
 ヨウやロトムの態度や会話を思い返せば、他にも気付けるヒントはいくつかあったと思います。
 ……でも…、わたくしはそれらをあえて無視していたんです。 …きっと認めたくなかったんです……」

ヨウ「…………、……」

アニポケリーリエ「………正直に言えば…、ヨウにとっての『リーリエ』が別にいるというのは
 最初から分かっていたような気がします…。…同じ『リーリエ』でも込められているものが違うから…」

ヨウ「………込め、られているもの…?」

アニポケリーリエ「…上手く、説明はできませんけど…、
 初めて逢った時やUBから助けてくれた時、寝言の時とか混乱している時にヨウが呼ぶ『リーリエ』と、
 普段わたくしを呼ぶときの『リーリエ』は、言葉の中に込められているものがまったく違うんです。

 ……わたくしには…、何故かそれが、わかっちゃうんです。 以前、ヨウが…、
 …わたくしが困っているのを黙っていても気付いてくれたみたいに……、わかっちゃうんです…。
 …………不思議…、ですよね…?」にこ

ヨウ「……、…リーリエ………」

アニポケリーリエ「……ほら…、それがわたくしを呼ぶときの、リーリエ、です。
 …………………。  ……ヨウ、教えてくれますか?  ヨウにとってのリーリエはどういう方なのか?
 ……いえ…、ヨウはどこから来たのか? ……一体、何者なのか?」

ヨウ「……リーリエ…。  …僕は、

ぎゅいいーん!!

ロトム図鑑「ヨウ! 緊急通信が入ったロ!!」ぴょん!

ヨウ「…?  ……通信? ロトム、悪い…。  後で掛けなおすから、ちょっと今は…

ロトム図鑑「でも、緊急回線で、ククイ博士からロトよ? 余程、至急の連絡ではないロトか…?」

ヨウ「…………ククイ博士から?」

アニポケリーリエ「……どうぞ、ヨウ。大丈夫ですから」

ヨウ「………………」

ヨウ「…………………ごめん……。   …ロトム。回線、開いて…」

アニポケククイ「“!! …ヨウか!? …良かった!繋がった!!”」ザザッ

アニポケククイ「“ヨウ!!大変なことになっちまった!!! …UBだ!! UBが出ちまった!!!”」

ヨウ「・・・・・・・え!!?」

アニポケククイ「“しかも一体じゃない…!とんでもない数だ…。ウツロイド以外のタイプもいる…!!”」 

ヨウ「なっ…!!!?? 」

アニポケククイ「“時間経過で自然に開くはずの、時空の歪みの穴が、いきなり開いちまったんだ…!!
 俺には、原因が…、さっぱり解らない…!! 拡大速度が増したとかそういうレベルの話じゃない…、
 それらが完全に無視されたみたいに、突然…、全開状態になって、いた……!! ”」

ヨウ「……そ、そんな…!!?」

アニポケククイ「“……校舎内に人が残っていなかったのは幸いだが……、サトシ達が…、ヤバい…っ!!”」

ヨウ「!? い、今、そっちに向かいます!!」

アニポケククイ「“いや!!来ちゃいけない! 奴らは危険すぎる! 君とリーリエは、その場から助けを…、!!?
 ………、やばいッ!!   …うおおぉっ!!”」…ブツ

ヨウ「!!!?  ククイ博士ッ!!!」

ロトム図鑑「つ、通信、切れ、…!! 

―――――――――――――――ドドォンッ!!!


ヨウ「!!!?」バッ
アニポケリーリエ「!!!?」バッ
ロトム図鑑「!!!?」バッ

「何かでけえ音したな」「何?爆発?」「あれってポケモンスクールのある方角じゃない?」ざわざわ…

ヨウ「………!!」
アニポケリーリエ「………!!」
ロトム図鑑「………!!」

ヨウ「みんな、が……!!……行かなきゃ…!!!   ……!?」

―――ぐっ

ヨウ「…!?」
アニポケリーリエ「…!」ぐっ

ロトム図鑑「……リ、リーリエ…!?」

アニポケリーリエ「………」ぐっ…
ヨウ「……ごめん、リーリエ……!! ククイ博士に言われたことならわかってる…!!
 でももう、今から助けなんて呼んで待ってる状況じゃない…!! このまま何もしないわけには…、

アニポケリーリエ「そんなことわたくしだってわかってます!!!   …………。
 …だから……、……とめたいけど、とめるべきなんでしょうけど、……ヨウが行くのを、とめません…。
 …………………………。
 ……たし、か…、ショッピングモール内の施設で、ライドポケモンの貸し出しがおこなえたはずです…。
 それに乗っていく方が…、走って戻るよりは…、早いです……」

ヨウ「……!…」

アニポケリーリエ「わたくしは…、ヨウが危ないの、嫌です……。…でも…、知っています…。…信じています…」

アニポケリーリエ「………………………ヨウは、絶対…負けないって……!!」

ヨウ「………………、………………………………リーリエ……?」

アニポケリーリエ「……違いますよ…?  …わたくしは…、リーリエ、です…。
 …ヨウ…。みんなを…、ほしぐもちゃんを助けて下さい…。それでヨウ自身も必ず無事でいてください…」

ヨウ「…………。…………」こく!

ヨウ「……ロトム、行こう…!!」

ロトム図鑑「……お…、おうともロ!!!」

―――だっ!!

アニポケリーリエ「…………」

アニポケリーリエ「…………」

アニポケリーリエ「…………………ヨウ…」ぎゅ…

―――――ポケモンスクールまでの道

ライドケンタロス「ぶもぉ~!!」┣¨┣¨┣¨┣¨ドド…!
ヨウ「……頼む…。急いでくれ…、ケンタロス…!」

ロトム「!!」

ロトム図鑑「ヨウ! また通信が入ったロト!!」

ヨウ「!! ククイ博士か!!?」

ロトム図鑑「…い、いや! こ…、これは…! と…、とにかく繋ぐロト!!!」


「“…あー、聞こえるかー?  ボンジュー…、じゃねーな。 …アローラ! チャンピオン!!”」


ヨウ「………え?」

グリーン「“ははっ、意外とあっさり繋がったなぁー。
 やっぱりこの見立てで正しかったか…! … やっぱ俺様、天才だな。ハッハー!”」

ヨウ「……え…! な…、!?」

グリーン「“聞かれる前に応えてやるよ…。
 俺は…、元の世界から君を捜しにやってきた、 君の知ってるグリーン様だ。”」


ヨウ「…!!???」


ヨウ「……グ、グリーン…さん…!? 、 え…?、 なん…、で…???」

グリーン「“だから、君を救助しに来たんだっての!
 …『アローラの若きチャンピオン、突然の失踪』。こっちの世界じゃちょっとした騒ぎなってんだぜ?”」

ヨウ「……あ、 ……ああっ…!?」

グリーン「“デクシオ君とジーナさんなんて責任感じちゃって不眠不休で君を探してる。
 他にも各島のキャプテンやらキングやらクイーンやらといったトレーナー達の有志、
 国際警察に、さらに何故かエーテル財団からも捜索の人員が出てるらしい。 ハウ君って子もいたぞー。
 …とにかくまー、アローラ全土で大わらわさ。
 …でもまぁ一番大変なことになってるのは、君を探しに行こうとして落ち着かない、君のポケモン達だな。
 ククイ博士やらナリヤのじーさんやら、ポケリゾートのモーン氏やらが
 それを一日中なだめすかし回って、てんてこ舞いみたいだぜ?”」ニヤリ

ヨウ「…っ!!  …し、しまった…! …みんなに悪いことしちゃった…! …謝らまらなきゃ…!!」

グリーン「“まぁ、元気だったならみんなも報われただろ。……正直、俺も安心したよ。・・・ふぁ…”」

ヨウ「……本当に…、すみませんでした…!
 ……、…ひょっとして…、グリーンさんも僕を捜してくれていて、寝てなかったん、ですか…?」

グリーン「“ん? …あ、いや、違うぞ。たまたま欠伸が出ただけだ。
 デリケートな俺様、遅れてやってきた時差ボk…、”
ヨウ「……ごめんなさい…!!!」

グリーン「…………」

グリーン「“……謝んな。 良いんだよ、本当に。  …本当に無事で良かった。
 君はみんなに必要なヤツなんだ。  君と出逢って間もない俺ですら、そう思うよ”」

ヨウ「…はい…。 ……ありがとう、ございます…!」

グリーン「“…さて、実はもうそっちに迎えを寄越してあるんだ。
 そいつと合流してすぐにこっちの世界に戻って来い”」

ヨウ「迎えって…?  ほしぐもちゃん無しで空間の歪みの穴が開いてるってことですか…!?」

グリーン「“君が昼夜逆転の世界で捕まえたっていう、コスモッグって言ったか?
 君が直接育てて進化させた、もう一体のアローラ伝説のポケモンの力を借りて、
 こっちとそっちの世界の時空を繋げたんだ。 今、通信ができているのもその影響だろうよ。

 ……ちなみに君がいるこの世界のことがわかったのは、また別のポケモンのおかげなんだけどな。
 ま、その辺のことは迎えのヤツに直接聞いてくれ”」

ヨウ「あ、いや、でもそれが…!!! 今はまだここを離れるわけにはいかないんです!!」

グリーン「“? 何があった?”」

―――――
―――


グリーン「“……。 やべぇな…。 認めたくねーけど…、……まずったかもしれねぇ…”」

ヨウ「…? どういう…ことですか?」

グリーン「“…俺達がこっちの世界への穴を空けた時間と、UBが再出現した時間が完全に一致しちまう…。
 時空の歪み同士は、…連動している、ってことなのかも、しれない…!”」

ヨウ「………そ…、そんなっ…!!?」

グリーン「“……確証はねぇが、このクソマズい状況は俺達が招いちまった可能性があるってことか…?
 チッ、洒落になんねぇぞ、こりゃあ…。 ……ヨウ、助けに来といて締まらねぇ話だが…、
 迎えの奴と合流して、ほしぐもちゃんとやらの救出ついでに、UBの出現の収拾を頼む…!

 ……時空の歪みだか叫びだか知らねーが、こっちの世界の危機をほっとくつもりはさらさら無ぇ。
 ……そうだろ?”」

ヨウ「…はい! …それで、『その迎えのヤツ』っていうのは…?」

ロトム図鑑「!? ヨウ! 上空から高速で接近する反応ありロト!」

ヨウ「!!? まさか、UB……!!?」

ロトム図鑑「…いやUBとは違うロト! …一人、人間が乗っているポケモンだロ…! …あ、あれは…!」

―――バサッ

グリーン「“…やっと来やがったか…。まったくいつもそうなんだよ…。
 …………お前は、いつも俺様より一歩、遅れて現れんだ………”」ニヤリ

―――――ポケモンスクール・校庭

UBの大群「「「「「じぇるるるるるうるるる……」」」」」

ムサシ「なによなによなんなのよぉ!!あれぇー!!」
コジロウ「カンベンしてくれよォ~!!(泣)」

―――ドゴーン!!

ニャース「ぎにゃああああああ…!!」

ムサシ&コジロウ「「ひえぇえ、ニャースぅ!!」」
ソーナンス「そーなんすぅっ!!」

―――ズガァアン!!

サトシ「……!! ピカチュウッ…!!!!」

ピカチュウ「……………………ぴ……」ボロボロ

アニポケスイレン「…!! サトシの…、ピ、ピカチュウが、ぴくりともしてないよ…!!」

アニポケカキ「あれは…ヤバいぞ…!! 早く助けに行かないと…!!」

アニポケマーマネ「で、でもボク達のポケモンだって、もうやられちゃったし…!、  …!!!!」


ウツロイド「…………じぇる……」


――――ズガ! …バキ!ベシャ!!

ピカチュウ「…………、…………、………!!」


UBの大群「「「「「じぇるるるるるうるるるるるるる……!!!」」」」」

アニポケカキ「あ…、あいつら…!? …ピカチュウを……、」

アニポケスイレン「……いたぶって……る……!?」

アニポケマオ「なんでっ…! こんな…! 酷すぎるよ……!!」

アニポケマーマネ「……あ、いつら、まるで…笑ってる…みたいだ………」ぞく

サトシ「…や、」


――――ズゴ!バキン!ガリ!!

ピカチュウ「……、…………………!」


サトシ「……やめろ、よ…!」ふらふら


――――バキ!メリ!ドゴ!!

ピカチュウ「………………………」


サトシ「…やめろぉおおおおおおおおおお!!!!」だっ!

アニポケスイレン「あ、サトシっ!!」

サトシ「ピカチュウを…、離せぇええええ!!!!!」

ウツロイド「じぇるるっぷ…!!」カッ

――――ドゴォオン!!!

サトシ「……ぐ…、あ…!!」

サトシ「………………く」

サトシ「………………う…うう……」

サトシ「………………ピカ、チュウ…………を……」

サトシ「………………離せよ…俺のピカ、チュウ…………を…………離せ……」

サトシ「……………………ま…………」

サトシ「…………………………待って…ろ……おれ……が…!!」


ピカチュウ「…」


サトシ「……………ピカ、チュウ……?  ……ピカチュウ…、 ………!」うる

サトシ「……………ううっ…、 くそっ……、 …!」ぽろ…

サトシ「……………………………ちく、…しょう……っ!!!」ぽろぽろ…!

アニポケマオ「……サトシがっ…!!」
アニポケカキ「マオも前に出るなっ!! ……俺が行…、!?」

ウツロイド「じぇるるるるるうる…」ビュッ!!

クラスメイト達「「「「サトシーーーッ!!!!!!!」」」」

サトシ「………!!!」

――――ピョン!

ウツロイド「…!?」


――――ボボボボッ!!ボボボボッ!! ズバンッ!!!!


ウツロイド「………、」

ウツロイド「………………じ、じぇる?」ぐら…

――――ズシン

ウツロイド「」

全員「「「「「!!!!!?」」」」」


もう一匹のピカチュウ「ぴっかっちゅう!!」どやっ!

クラスメイト達「「「「……………!?」」」」


アニポケスイレン「…………なに……、あれ……?」

アニポケカキ「い、いきなり…、もう一匹…、ピカチュウが…現れ、て……」

アニポケマーマネ「…サトシ達に止めを刺そうとする…UBを、倒した…。  ……一撃で……っ!」

アニポケスイレン「……………ちがう…、そっちじゃ、ない…」

アニポケマオ「……スイ、レン…?」

アニポケスイレン「ほら…、あそこ…。…こっちにむかって…、あるいて、きている……」


アニポケスイレン「…………………あかいぼうしのひと…………………!!!」


―――――すたすた

レッド「…………………………………」

レッド「…………………」すたすた

レッド「…………………」

レッド「………」ひょい
サトシのピカチュウ「………ぴ…」

サトシのピカチュウ「…………………ぴ、…か、ぴ……?」

レッド「…………………」すたすた 

サトシ「………!…」

レッド「……………………」すっ

サトシ「!! ………ピ、ピカチュウ!!…よかった…!! …ピカチュウっ!!!」だきっ!
サトシのピカチュウ「…………ぴか、ぴぃ……」

レッド「……………………」

レッド「……………………よく持ちこたえたな………。……君も…、君のピカチュウも………」

サトシ「……!…」

レッド「……………………………後は任せろ…………」くる

レッド「……………………」すたすた 

サトシ「…あ」


サトシ「………あ! あの!!」

レッド「………………?」ちら

サトシ「…お、俺のピカチュウを助けてくれて、ありがとうございます…!  あ…、あなたは、誰…?」

レッド「…………………………」

レッド「…………………………俺はレッド………。 …………マサラタウンのレッドだ………」

レッド「…………………………」

レッド「…………………………」すたすた 

サトシ「………マサラ…、…タウ、ン……?」


「サトシ!!」

サトシ「!?」


ヨウ「…サトシ…! …はぁはぁ、やっと、追い付いた…!!」

サトシ「…!? ヨ、ヨウ! 戻って来て、くれたのか…!」

ヨウ「…! …ピカチュウ…、酷いダメージだ…。 待って、すぐに“かいふくのくすり”で治療する…
 ……よく…あんなとんでもない数のUB相手に……。 …しかも、あのUB達…、全部色違いだ…!」

サトシ「ああ…、…ピカチュウを頼む!!   …ヨウ? ……あのレッドさんって人は…?」

ヨウ「…あの人は、僕の世界から僕を迎えに来て来てくれた、僕の仲間だ…。
 アローラで強者のみが集うポニ島のバトルツリーで頂点に立つ、バトルレジェンド…。
 いや、それ以前に、ポケモンリーグ本部がある、
 あのカントー地方で一番強いかも知れないポケモントレーナー……」

サトシ「………………。」

レッド「…。 ……………ヨウ……。
 ……あのUB、“みず”タイプかと思ってピカチュウで嗾けたが…、“でんき”は等倍での通りだった……」

ヨウ「…。 ……ウツロイドは“いわ”と“どく”の複合タイプ。
 素早さはやや高めで特殊アタッカーに適したステータス傾向をしています。
 ………人間に寄生して、理性を狂わせる性質を持っているので…気を付けてください……!」

レッド「……………わかった……。 ………“いわ”と“どく”の複合………。
 ………これまで、それなり多くの相手と闘ってきたつもりだが……、
 ………ここまで外見と実際のタイプが一致しないヤツは……中々記憶にない……」すたすた

レッド「………なるほど………UB…、か………」すたすた

UBの群れ「「「「「「「じぇるるるうるるうるうるうるるッるるるるるるるる…!!!!」」」」」」」

レッドのピカチュウ「ぴかちゅう?」ぴょこん
レッド「………ん…、…一回…戻っていいよ……。………最初は……あいつでやる……」

サトシ「!! ヨウ! レ、レッドさんは…、 ひ、一人であの大群と闘う気なのか!!?」
ヨウ「…大丈夫」

レッド「………行け……、カメックス……」

―――ボン!


カメックス「……ゴオォアン!!」


ウツロイド×5「「「「「じぇるるっぷ!!!!!」」」」」ビュンッ!

レッド「………“なみのり”……」

―――ズブブブバ!ズブブブバ!ドシュゥドシュゥドシュゥーン…! ズバーン!!

ウツロイド×5「「「「「」」」」」

ヨウ以外「「「「「!!!!??」」」」」
UBの大群「「「「「!!!!??」」」」」
ヨウ「ほらね」

レッド「………“ハイドロポンプ” ……」

―――ドシュゥドシュゥドシュゥーン…!ドシュゥドシュゥドシュゥーン…! ズバーン!!


UBの群れ「「「「「「「グガァアアアアアアアアア……ッ!!!!!」」」」」」」

カメックス「…ゴオオオオオォォォァオアアアン……ッ!!!!!」


アニポケスイレン「…す…、すごい…!」ビリビリ…
アニポケマオ「あの人…、一人であの大群と渡り合ってる……、どころじゃ…、ない…」
アニポケカキ「……あのカメックス一体で、あの大群を……」
アニポケマーマネ「圧倒…してる……!!」

サトシ「…………つ、強ぇ……」ぽかーん

ヨウ「……サトシ…」

サトシ「…? …どうした…ヨウ…?」

ヨウ「…サトシ。よく聞いて。 ……きっと僕の世界にも…、君は、いる……。
 つまり今まで僕は君に数えきれないほど助けてもらっていた…。何で気づかなかったんだろう…?」スッ

サトシ「…? ヨウ…?  き、急に…どう、した…? …、 ……!!?
 ……こ、……こいつは……!!?  な、なんで…ヨウが……!!??  …??」

ヨウ「……。 ……やっぱり…そうなんだね……? 
 …この子がレッドさん達をこの世界に導いてくれたみたいなんだ…。 …正直、詳しいことは解らない。
 …ただ…間違い無く一つ言えるのは…、」

ヨウ「…このポケモンの本来の“おや”は……、君だってことだ……!」

サトシ「・・・・・・!」

サトシ「・・・ゲッコウ、ガ・・・!」 

サトシ「・・・こ、こいつは・・・、俺の、ゲッコウガ・・・だ・・・!」



―――――

カミツルギ「…!!」ビュン!

レッド(……。 ………ウツロイドとは違う別種のUB……。……かなり小さい……)

「“つじぎり”!!」

―――ザシュンッ!!

カミツルギ「」

レッド「………………?」

ゲッコウガ「コウガァ…!!」トッ

サトシ「……レッドさん…! 俺も一緒に闘います…!」たたっ

レッド「………。 …心配いらない……。 ……君のその気持ちと…俺のポケモン達だけで…十分だ……」

サトシ「……へへ!  …俺、マサラタウンのサトシ…!」

レッド「……。 …………何…?」

サトシ「足手まといにはならないから…、見てて下さい…! ………ふー…」

―――――

ムサシ「……ちょっとぉ…? …生きてる…? ニャース…?」

ニャース「……ひ…ひひ、酷い目にあった…にゃ……!」ボロボロ…

ヨウ「…ニ、ニャースが…、喋ってる…っ!??」わなわな…!

アニポケスイレン「…やっぱり、はじめてみるひとはおどろくよね…」
アニポケマーマネ「ま、まーね…」
ソーナンス「そーなんすぅ!!」

アニポケマオ「…ピカチュウも助け出せて、本当に良かったよ……」ぎゅ…
ピカチュウ「……ぴかちゅう…」にこ

アニポケカキ「…ああ…。 それにしても…サトシは、大丈夫なのか……?」ちら

コジロウ「……。 …今のところ、あの滅茶苦茶強い赤い帽子の男が一緒に…、
 …って、あれは…ゲッコウ…ガ…? …アイツがなんで、アローラに?  …お! まさか!」

ロケット団「「「あ、あれはぁッ!!」」」ぱぁっ
クラスメイト達「「「「……??」」」」」
ヨウ「…!」にやり

サトシ「久しぶりに・・・・、行くぜぇ、ゲッコウガっ! 俺達の・・・フルパワーだッッ!!!」

―――バシューゥゥン…!!


サトシゲッコウガ「…………」

サトシゲッコウガ「……………ゲッ、コゥーガァーッ!!」カッ!


カミツルギ「…!!」ビュン!
カミツルギ「…!!」ビュン!
カミツルギ「…!!」ビュン!

サトシゲッコウガ「……!」シュン!

―――ザンッ!ザンッ!ザンッ…!!!

カミツルギ「」
カミツルギ「」
カミツルギ「」

サトシゲッコウガ「………コウガァ……!」スタッ…

サトシ「……やっぱりお前は超頼りになるぜっ…!
 ……ヨウが言うには、本当の俺のゲッコウガとは、ゲンミツには違う俺のゲッコウガ…らしいけど…、
 まさか…今またお前と一緒に闘えるなんて……、俺、すっげー嬉しいよ…!」

サトシゲッコウガ「こーが♪」にこにこ!

レッド「…………。 ……なるほど……やるな……。
 ……それなら……同じ故郷を持つ者同士……一緒に闘うとするか……? ……サトシ……」

サトシ「…へへへ! …はい! レッドさん!」にかっ


アニポケスイレン「……な、に? …あのゲッコウガ…? ……なん、なの…?」

ヨウ「あれはサトシゲッコウガだ…!」ニヤリ
ロケット団「「「なーはっはぁっ!!」」」」得意顔

アニポケスイレン「…いや、だから…なんなの…、…それ…?」

アニポケカキ「な…、何にせよ、これなら…!」
アニポケマーマネ「行ける…!」
アニポケマオ「希望が出てきた…!」
ソーナンス「そーなんすうッ!!」


UBの群れ「「「「「「「グガァアアアアアアアアア……ッ!!!!!」」」」」」」

カメックス「ゴオォアン!!」ゴォ!
サトシゲッコウガ「コウガア!!」ゴォ!

――――――――
―――

アニポケマーマネ「すっごいよ…!あの二体!! 攻撃するたびにUBを倒してってる!!」

ヨウ「……? い、や…? ……なにか…おか…、しい…?」

ムサシ「なーに言ってんのよぉ! あんなに押しまくってんじゃないっ!」

アニポケカキ「そういえば…、もう…かなりのUBを倒したはずだが…、…奴らの数が全然減ってない!?」

――――――――

サトシ「……はぁ…はぁ…」

サトシ「…。 UBを倒せる…。 …問題なく、倒せるんだけど…、なんかさっきからキリが、無いぜ…?」

レッド「…………どうやら、例の時空の歪みの先から…UBが際限無く出現し続けているようだな……。
 ……そろそろ…ヨウのポケモンを取り返す方法を本気で考えないと面倒か………」

サトシ「…? ヨウのポケモンならその歪みを閉じれて、これ以上UBが増えるのを防げるってこと?」

レッド「………おそらくは……。 ……一応、今までヨウのモンスターボールを取り込んだウツロイドを
 …捜しながら戦っていたんだが……はっきりいって俺にはまったく見当がつかない………。
 ……ただ…これまで俺達が倒した個体の中に…そいつがいなかったのは間違いないと思う……」

サトシ(やっぱすげーな…この人…。  ……んーと…そういえば…?
 ククイ博士が、ヨウのポケモンは凄いエネルギーを持ってるみたいなこと、言ってたっけな…?) 


サトシ「…………。 …レッドさん、少しだけUBを任せられる? 試したいことがあるんだ」

レッド「……?…  ……構わないが……」

サトシ「さんきゅ!  ……………………。 
 (この状態のゲッコウガの、ジガルデを上回る感知能力を応用すればきっとできるはずだ…。
 カロスの負のエネルギーや、マノンのハリさんを見つけ出した時みたいに…!!)」

サトシゲッコウガ「………コウガ…」スッ

―――……………。

サトシ「…………………………」
サトシゲッコウガ「…………………………」

サトシ「…………………………」
サトシゲッコウガ「…………………………」


サトシ「…!  ………見えたぜ…!」



サトシ「レッドさん…。 正面の右側の奥にいるウツロイド…、アイツの動きを止めることって出来る?」

レッド「………………。」

レッド「………戻れ、カメックス……。 …………行け、」

レッド「……………フシギバナ………」

―――ボン!


フシギバナ「……ギャアアーンッ!!」


レッド「………フシギバナ……、正面右奥のウツロイドに……“ねむりごな”………」

―――フー、サーーッ…

ウツロイド「…!」

ウツロイド「…ZZZ」

レッド「………あれでいいか……?」

サトシ「…! さっすがぁ!  …じゃ、今度は俺達が気合入れる番だぜ、ゲッコウガ!」

サトシゲッコウガ「クゥーガッ!!」ビュン!!

――――ダダダダダダ…ッ!!

UBの群れ「「「「「「「グガァアアアアアアアアア……ッ!!!!!」」」」」」」

レッド「…………邪魔はさせない……。 ……フシギバナ…、…サトシのゲッコウガを援護だ……」

フシギバナ「ギャアーーンンッッ!!!!」

サトシゲッコウガ「…!」バッ…!!

ウツロイド「…ZZ…Z…、  …!!」ビク!

サトシ「目が覚めたか…! だけど…、もう遅いぜ…!」

ウツロイド「じぇるるっぷッ!!!」“パワージェム”

サトシ「ゲッコウガ……、よけろっ!!  …それで、そのまま…!
 …ヨウのほしぐもちゃんが入ったモンスターボールを………!」

サトシゲッコウガ「ゲッコウガッッ!!」

ウツロイド「………!!」

―――バシィ…ッ!!

サトシ「………ゲットだぜ……!!」 

ウツロイド「」

サトシ「…いよっしゃ! 戻れ!ゲッコウガ!!」

サトシゲッコウガ「コゥガッ!!」ダッ!

フェローチェ×4「「「「…!!!!」」」」ビュン!

サトシ(!! 追ってくるUBがいる…! 俺のゲッコウガより、速い…! 振り切れな、…ッ! )

レッド「……大丈夫だ……サトシ……。 ……構わず突っ込め……。 ……ゲッコウガには当てない……」

サトシ「!?  …はい!」

レッド「……ついでにまとめて倒させてもらおうか……。 ……フシギバナ…、“はっぱカッター”……」

フシギバナ「ギャオーーッ!!」

―――ジャッ、ジャッ、ジャッ、ジャア…!ズン、ズン、ズン、ズァーン…!ド、バン…

フェローチェ「」
フェローチェ「」
フェローチェ「」
フェローチェ「」

サトシゲッコウガ「…!!」

―――ザザッー!

サトシゲッコウガ「コゥガ!!」スッ

サトシ「…よくやったぜ…、ゲッコウガ! ……ありがとう、レッドさん! 助かったよ!」

レッド「……それはこちらの台詞だ……。 ……サトシ……」

サトシ「?」

レッド「……よくヨウのポケモンを取り戻してくれた……。 ……君がいてくれて…本当に助かった……」

サトシ「へっへっへ…!///」

レッド「…………フシギバナもよくやったな………」ぽんぽん

フシギバナ「ぎゃうぎゃう!」


サトシ「……ヨウ!」シュッ!!
 
ヨウ「あ! …!!」パシ!

サトシ「取り返したぜ…! ヨウのポケモン…」

ヨウ「……………。」ぐっ…


ヨウ「……」

ヨウ「…よかった、…ほしぐもちゃん…っ、…ほんとに…、良かった……!!」ぎゅ…

ヨウ「……………」

ヨウ「ありがとう…、レッドさん…! …サトシ…!!」

レッド「………」こく…  
サトシ「決めてやれ! ヨウ!」にか

ヨウ「……うん…」コク!

ヨウ「…………行けっ………、……………ほしぐも……!」ビッ…!

―――ボンッ!!!


ほしぐもちゃん「…………………」

ほしぐもちゃん「……グォォオアアアアアアアアアアアアアアアァ………ッ!!!!!!」


UBの大群「「「「「「「………!!!!!!????」」」」」」」ビリビリ…!!


アニポケカキ「あ…、あ…れが…、ヨウの…、ポケモン……っ!!?」

アニポケククイ「………アローラの二大伝説ポケモンの内、一体だぜ…!
 どうやら無事、取り戻すことができたみたいだな。 やったぜ、ヨウ…!!」
アニポケナリヤ「…まさか…、あのポケモンを直にこの目で見る日が来ようとハギギシリ…!」

アニポケマーマネ「! ククイ博士に、オーキド校長…!」
アニポケスイレン「ぶじだったんですね!」

アニポケククイ「ああ! 心配かけたな…! 通信装置を破壊された後、校長に助けもらってたんだ」

ほしぐもちゃん「…………がう?」きょろきょろ?

ヨウ「………ほしぐもちゃん、ひょっとして寝てた…?  アクシデントだったんだけど、
 みんなの協力で、少し早く君を取り戻すことができたんだ…。  ………おかえり…!」

ほしぐもちゃん「! が~う~♪」すりすり~

ヨウ「えへへへへ…!///   ……ほしぐもちゃん? 出てもらったばかりで悪いけど、……行ける?」

ほしぐもちゃん「……がう!」

ヨウ「……うん…、頼んだ…!」ぽん

ほしぐもちゃん「……グォゥゥ……ッ!」グッ…!

ウツロイドの群れ「…!」
フェローチェの群れ「…!」
カミツルギの群れ「…!」

―――ビュオゥンッ!

ほしぐもちゃん「グアアアッッ!」
ウツロイドの群れ「」

ほしぐもちゃん「グオウ!」
フェローチェの群れ「」

ほしぐもちゃん「ガオウッ!」
カミツルギの群れ「」

デンジュモク「…!!!!」バリバリバリ…!!


ほしぐもちゃん「…グォオオオオッ!!」バシュン!


アニポケククイ「ヨウの伝説のポケモン…、体の色が変化して、額に眼のような模様が浮かび上がっている…」

アニポケマオ「…綺麗……」

ほしぐもちゃん「…グァアアアアアアアアア……ッ!!!!!」

―――ズガアァーーーーンッッ!!!!!

デンジュモク「」


ほしぐもちゃん「グォォォォオオオオオオオオアアアアァッ……!!!!!!」


サトシ「…う、おおおっ…!!」
レッド「………………流石だな……」

コジロウ「…な、なんて、でたらめな強さだよ……! …あのポケモン…!」

ヨウ「…。 ちょっと体がなまっちゃってるかな? ゼンリョクはまだまだこれからだよな? ほしぐも…!」

ほしぐもちゃん「グオオウ!」

レッド「………ヨウ……」

ヨウ「? はい、なんでしょう?レッドさん」

レッド「……UBを倒すのは俺とサトシのポケモンでどうとでもなる……。
 ……悪いが君のポケモンは…時空の歪みの方を頼めるか……」

ヨウ「…あっ!/// …す、すいませんっ…! …ほしぐも、歪みを塞ぐのをお願い!」

ほしぐもちゃん「…ぐあ」てれっ

―――バッ…!

UBの大群「「「「「「「…!!!!!!」」」」」」」

サトシ「…おっと、ヨウ達の邪魔は俺達がさせないぜ…!」

レッド「………ああ……。……もう攻撃でヨウのポケモンを巻き込んでしまう心配もない……。
 ………遠慮なくいかせてもらおうか……」

サトシ「ゲッコウガ!!“みずしゅりけん”!!」
サトシゲッコウガ「コウーガッ!!」

―――パン! バシュバッシュバシュッ!!!

レッド「……戻れ、フシギバナ……、……行け……ピカチュウ……
 ……ピカチュウ……、“かげぶんしん”、続けて“かみなり”……」
レッドのピカチュウ「ピッカー!!」

―――ティリリリリ!ザー…シャッ!!
―――ズガアァーーーーン!ボボボボ……! ズバーン!!!!

レッド「………戻れ、ピカチュウ……、……行け……カメックス……
 ……カメックス……、“ふぶき”……」
カメックス「……ゴオォアン!!」

―――ズシュ!ズシュ!ズシュ!ズシュゥ…! ズバーン!!!!

レッド「………戻れ、カメックス……、……行け……フシギバナ……
 ……フシギバナ……、“はかいこうせん”……」
フシギバナ「……ギャアアーンッ!!」

―――カッ…、ディリリリリリリリリ…!!! ザァアアン、ガッッ!!!

レッド「………戻れ、フシギバナ……。 …………行け、」

レッド「……………リザードン………」

―――ボン!


リザードン「……ガワンガァ!!!」


レッド「………リザードン……、…“だいもんじ”………」

―――ガウガウガウガウーンッ ジャッ!!!

UBの大群「「「「「「「………………!!」」」」」」」

――――――――
―――

アニポケナリヤ「残るUBは、あとわずかダーテングゥ!!」

ロケット団「「「いい感じぃー!」」」

ほしぐもちゃん「……!?」

ヨウ「? ……どうした、ほしぐも? ……。 !!  …レッドさん、サトシ…、ちょっと不味いです…」

レッド「………?」
サトシ「!?」

ヨウ「…時空の歪みを閉じるのに、ほしぐもちゃんの力が引っ掛からなくなりました…。
 …多分、もう間もなく歪みは自動で塞がります!」

サトシ「……い、良い知らせじゃないの? それ?」

レッド「……いや…。 ……その歪みが消えてしまう前に…、…残るUBをすべて撃破して、
 奴らの時空に戻してやらなければならないということだ……。 ……もうあまり時間がない……」

サトシ「でも、奴らも残り少ない…! もうちょっと頑張れば…いけるぜ…!  …!!」


アクジキング「…………」


アクジキング「……!!!!」“ドラゴンテール”

―――ビュンッッ!!!

サトシゲッコウガ「!?    ………こ、…ガッ…!?」

サトシ「……ど…、ドラゴンテール…?   ……ぐ、…あっ!?」

ヨウ「(しまった! サトシゲッコウガはトレーナーにも感覚が共有されるんだ!) …サトシ!!」

レッド「……!…… ……リザードン……、ゲッコウガを守、 ……!?」


テッカグヤ「…………」


テッカグヤ「……!!!!」“ストーンエッジ”

―――ドガァッッ!!!

リザードン「ガランガ…!」回避

レッド「…………ち……! (………不味い……、サトシが……!)」

アクジキング「……!!!!」グォ!

サトシゲッコウガ「…!?」
サトシ「…やばい…!?」

――――ピョン!

ピカチュウ「……ピッッカァ!!!」“アイアンテール”

――――ガキィ―ン!!

サトシ「ピ、ピカチュウ……!」ぱぁっ

レッド「……サトシ…、…無事か……」
ヨウ「…今のは危なかった…。 …サトシのピカチュウ、本当に良いところに…!」

ピカチュウ「ぴかちゅうっ!ぴかぴーか!!ぴーぴか、ぴかちゅう!ぴーか!」

サトシゲッコウガ「…………コウガァ…?」

ニャース「…ジャリボーイ…!
 ピカチュウは…、自分も闘う!ゲッコウガに、後は任せろ!、って言っているにゃ!!」たたっ

サトシ「………ピカチュウ……」

ムサシ「ちょっと、ニャース! いきなり走り出すんじゃないわよぉっ!」たたっ
コジロウ「っていうか…、思わず俺達まで敵の前に来ちゃってないかぁー…、これ…」たたっ

レッド「………ニャースが…、 ……喋ってる……。
 ………ひょっとして、またポケモンとくっ付いてしまったクチか……?」
ヨウ「……え…?  …あのニャースを見て、驚かないんですか…!」

サトシ「…でも、ピカチュウ…? ……ダメージは…、大丈夫なのか…?」

ピカチュウ「…ピッカァチュ…!」よろよろ

サトシ「…んな、わけないよな……」ぎゅう


サトシ「……………」

サトシ「………わかった…。 ゲッコウガ、控えに戻されちゃったし、お前もやられっぱなしは嫌だよな…!
 ………わかったぜ、ピカチュウ…!   ……最後は、…君に決めた!!」

ピカチュウ「ピッカチュウ!!」

サトシゲッコウガ「こーが!」タッチ
ピカチュウ「ぴーか!」タッチ


アクジキング「…………」

テッカグヤ「…………」


レッド「………最後に残ったあの二体………。……今まで倒した奴らとはまるでレベルが違うな……」

ヨウ「……どうやら、この色違いUB達の群れのボス格のようですね…。
 …アクジキングは“あく”・“ドラゴン”の複合。 テッカグヤは“はがね”・“ひこう”の複合。
 …どちらも速くはありませんが、その分耐久力があります……」

サトシ「ドラゴンタイプは厄介だぜ…。リザードンの炎も、ピカチュウの電気も、相性が良くない。
 …最後の最後でかなり厄介なのが残っちゃったみたいだな…!」

ヨウ「もうすぐ歪みが閉じる…。 もうポケモンを入れ替える猶予もない…」

コジロウ「は、話はよくわかんないけど、 つま…り…、
 “今、場に出てるポケモンで、かつ次の一回の攻撃で、あの二体を戦闘不能”まで持ち込めって事かぁ?」

ヨウ「…ほしぐも!」

ほしぐもちゃん「ぐあ!」ビュン

ヨウ「…レッドさん。サトシ。 ほしぐもちゃんもこの最後の攻撃に参加させます」

サトシ「…なら…、きっと楽勝だぜ……」

ヨウ「………。 …………いや、それがそうとも言い切れない……」

サトシ「…え?」

レッド「………………」

レッド「……ヨウ……。 ……アクジキングは、俺のリザードンだけでやろう…。…それならどうだ……?」

ヨウ「………!…」

コジロウ「はぁ!? あのテッカナントカってポケモンは鋼タイプなんだろ?」

ムサシ「あんたの強いリザードンなら確実に倒せるじゃない!? バカなの?」

レッド「……ヨウ……。 ……俺のリザードンと…、…俺を…、信じてくれるか……?」

ヨウ「…はい…! 勿論です! …アクジキングはお願いします、レッドさん…!」

ヨウ「………サトシ、やっぱり君の言う通りだ…。 この勝負はもう楽勝だ…!」



サトシ「……それじゃあ、行こうぜッ…!」
ピカチュウ「ピッカァ!」

レッド「…………ああ……」
リザードン「ガワンガッ!!」

ヨウ「ラストターンだ…!」
ほしぐもちゃん「グォアアァッ…!!」


アクジキング「…………」
テッカグヤ「…………」

ピカチュウ「…!」バッ
リザードン「…!」バッ
ほしぐもちゃん「…!」バッ

ヨウ「サトシ…! ピカチュウはダメージでまだ本調子じゃない…。
 奴らに接近するまでは、ほしぐもちゃんに乗って体力を可能な限り、温存すると良い…」

サトシ「ああ!さんきゅ! ピカチュウ!ほしぐもちゃんの背中に乗っかるんだ!」

ピカチュウ「ピッカ!」ピョン!
ほしぐもちゃん「がう!」

レッド「………先行させてもらうぞ……。 ……まずは……俺達からだ……」

リザードン「ガワンガ!」ビュン!

アクジキング「…!!!!!」ゲラゲラゲラ…!

ムサシ「げぇぇええ…! なんかアイツ、余裕あるわよ! やな感じぃー!」

コジロウ「やっぱ、不味かったんじゃないのかぁ!? 
 ほのおタイプで、しかも、たった一体でドラゴンタイプに挑むの!!」

レッド「…………いや、これでいいんだ……」

ムサシ&コジロウ「「…!」」


レッド「……タイプ相性的には一見、有利だからこそ…、……奴は警戒しないで打ち合いにくる……。
 ……油断を誘うことこそ、リザードンをアイツに当てた理由だった……。
 …………奴にトレーナーが入れば、この手は食わなかったろうにな……………」


レッド「……………………………」

レッド「…………………………………メガシンカ…………………………………!」 

―――キュィイイイーン………、ズバァアアアアアアアンッ!!!!!


メガリザードンX「・・・・・・!!!」


アクジキング「・・・!??」

レッド「…………“げきりん”……」

―――プシュー!! ズガズガ、ズガズガズガァーーーーンッ!!!!!


アクジキング「」


メガリザードンX「・・・ガワァアアアアアアァァン・・・・・・!!!!」



ヨウ「…特性補正込みかつタイプ一致技で弱点を突いた…。 申し分なく確一で撃破。 流石だ…」ちら

サトシ「こっちも負けてらんねーな!」

ヨウ「うん!   ………!?」


テッカグヤ「……」

テッカグヤ「・・・・・・!」ニヤニヤァ!


―――ビューン!!

マッシブーン「…!!」


ほしぐもちゃん「!?」
ピカチュウ「!?」

サトシ「!?」
ヨウ「!?」

レッド「!?」

サトシ「…!(う、打ち漏らしていた、いや、どっかに隠れてたUBが…、…もう一体…!?)」
ヨウ「…!(ほしぐもちゃんの進路上に割り、込んできた…!?)」

レッド「…………!(……まずい…、…このままでは……!)」

ヨウ「……………!(…くっ…!)」

ヨウ「…ほしぐもっ!! 迎撃だ!!」


ほしぐもちゃん「グアッ!!」(開眼)

マッシブーン「…!?」

――――バシュンッッ!!

マッシブーン「」


コジロウ「す、スゲェ…。乱入してきたヤツ、…一撃で倒した…。
 …だ、だけど……、あの反則みたいに強いポケモン…、最後の攻撃…、終わっ…ちまった、ぞ………」

ヨウ「………………!」

ムサシ「じ…、じゃあ、あの一番デッカいの…、
 ジャリボーイの…、ヘロヘロ状態のピカチュウの攻撃だけ…で…、倒せってことじゃない…!」

サトシ&レッド「「……!」」


ヨウ「……………それは違う。 …まだだ……」


ヨウ以外「「「!!?」」」」

ヨウ「…ラストアタック前に、場に出ていたポケモンは…
 レッドさんのリザードン、サトシのピカチュウ…、僕のほしぐも…、 ……だけじゃない…」

ヨウ「……今、ほしぐもの背中に乗ってるのは、サトシのピカチュウ、だけじゃない……」


ほしぐもちゃん「…」
ピカチュウ「…」
ニャース「………………………」


ムサシ&コジロウ「「!? ニ、ニャースゥ! いつの間にィ!!!」」

ニャース「……。 ……ヨウ…、とかいったにゃ……。 …おみゃー、滅茶苦茶にゃ…!」

ヨウ「さらに僕は、ロケット団のニャースに指示を出す。 …ニャース、本当に悪いけどよろしく…!」

ニャース「……き、今日は…厄日にゃ…!! ……。  …ええい、もぉお、ピカチュウッッ!
 おみゃー、にゃーの足を引っ張ったら承知しないにゃ!!」

ピカチュウ「ぴかちゅう!」

ヨウ「…! ………そろそろ、テッカグヤに攻撃が届く距離だ…!」

サトシ「ピカチュウ!ニャース! あとはお前たちが頼りだ!頼んだぜ!!」

テッカグヤ「……!!」

ピカチュウ「ピカー!!」ピョン
ニャース「うにゃあー!!」ピョン

テッカグヤ「………」にやり…


テッカグヤ「・・・・・・・・・・・!!!!」“まもる”


ピカチュウ「…!?」
ニャース「…!?」

アニポケククイ「…………ま…!!」

アニポケククイ「……ま、“まもる”…だと…!? そのターン中に受ける相手のわざを防いでしまう効果…!
 連続で使用するほど成功率が下がるが、初回ならまったく問題ない…!!」

アニポケナリヤ「そ、そのターン中って…!!? …このターンの攻撃で、倒さねばならんのだぞ…!
 このタイミングでなんという行動をとりおるのだ!!!」

クラスメイト達「「「「「……!!??」」」」」

ムサシ「ちょ…、ちょっと、アンタぁ!! ズルいわよ!!!!」

コジロウ「じゃあもう、手数を増やしたって…、何したって…、無駄だったって…事かよォ!!?」

ニャース「もぉおおー、やけくそにゃああーー!!! …うにゃあああ!!!」だっ!
ピカチュウ「ぴかーちゅ!!?」

ヨウ「………………………………」

ヨウ「テッカグヤ…。 この戦力差だ。もう君に本来の意味での、勝ちはとっくに無い。
 でも、時間稼ぎなら、…このターンだけなら、誤魔化すことは…できるかもしれない…。
 ここさえ凌げば、条件的に君の勝ちなんだ。 …君は、正しくそれを理解していた」

ヨウ「………………ここで“まもる”を打ってくることは、理に適った判断だ…」

ヨウ「だからこそ…」

ヨウ「………………ここで“まもる”を打ってくることは、」


ヨウ「………………………………完全に読み通りだ・・・。」


テッカグヤ「・・・・・・?」

ニャース「……。」ピタッ…

テッカグヤ「・・・!?!?!?!?!??」

コジロウ「ニ、ニャース…、あのデカいのに攻撃する寸前で……、…止まっ、た…?」

ニャース「………。  …にゃーはっはーっ!!! なーんてにゃー!」

ヨウ「一度“まもる”を張ってしまったポケモンを真っ向から倒すのはこの上なく困難だ。
 それなら…まず、“まもる状態”そのものを打ち消してしまえばいい…。
 そんな、対“まもる”用のメタともいえるものが、ポケモンのわざの中で現状一つだけ存在する」

ヨウ「………僕が、ニャースに指示したのは、テッカグヤに”フェイント”をかけること………」

テッカグヤ「・・・・・・!!?」

ヨウ「“フェイント”は、リザードンやほしぐもでは覚えない…。今、この局面で最重要だったのは…、」

ヨウ「君に刺さっていたのは…、」

ヨウ「君を縛っていたのは……、」

ヨウ「……僕たちの切り札は…、ピカチュウとニャースだったんだよ」


テッカグヤ「・・・・・・!!!」


ヨウ「君は守りに入るべきじゃなかった。 すでに弱っているピカチュウか、ニャースか、
 こちらの本命の攻撃担当を潰すべく先制の攻撃に出るべきだったんだ。 ……残念だったね」

ヨウ「…………これで君は、がら空きだ…。  ……とどめは…」


サトシ「俺達だ。 決めるぜ…!」
ピカチュウ「ピッカァ!」

テッカグヤ「・・・!!!!?」

ヨウ「……ごめんね…。
 まだこの世界は君たちを迎える準備ができてないんだ。 その時が来るまで今は、お帰り」

サトシ「でもさ、その時が来たら、絶対…!」

サトシ「…………………………友達になろうぜ…!!」


テッカグヤ「・・・・・・・・・。」


サトシ「…これがっ!!」

ロケット団「「「ジャリボォォォイィィィイッ!!!」」」

サトシ「俺たちのっ!!!」

クラスメイト達「「「「「行っけぇえええーーーーっ!!!」」」」」

サトシ「・・・・・・ゼンリョクッ、だぁあああああああああぁぁーーーーーーーーッッ!!!!!!」


――――Zワザ スパーキングギガボルト


ピカチュウ「ピィーーカァアアアア、チュウウウウウウウウウゥゥーーーーーーーーッッ!!!!!!」

――――バチバチバチバチバチバチバリバリバリバリィィイイイイイイイイ!!!!!!!

テッカグヤ「……………」

レッド「……!」
サトシ「…!」
ヨウ「…!」


テッカグヤ「……………」にや…り…

ぐら・・・

――――ズズーン・・・・・・!


テッカグヤ「」


――――――――
―――

ヨウ「… 間に…合った……。 時空の、歪みも…、UBも…」

サトシ「……全部…、消えた…!」

レッド「…ああ…。  ……、二人とも…、」

ヨウ「…はい!」

レッド「…俺達の勝ちだ…」
サトシ「俺達の勝ちだ!」
ヨウ「僕達の勝ちだ…!」

メガリザードンX「ガワアアアン!!」
ピカチュウ「ぴっぴかちゅうーー!!」
ほしぐもちゃん「ぐああああああ!!」

ニャース「うにゃああああああ!!」
サトシゲッコウガ「こうがぁあああああ!!」

サトシ「いいぃやっったぜぇええ!!!」

コジロウ「……一時は、ホント…どうなることかと思ったぜー…」ヘナヘナ…
ムサシ「んあん……」コクコク

アニポケカキ「今日ばかりは…アンタたちと同意見だ…」

ソーナンス「そーなんすううう!」

――――ブワン…

アニポケククイ「!! …全壊した校舎や闘いで破壊された全てのものが元通りになっていくぜ…」

アニポケスイレン「さいしょにUBとたたかったときといっしょだ…」

アニポケナリヤ「摩訶不可思議現象だが、学校関係者として……、いやあー、正直凄く助ガルーラ!!」

アニポケマーマネ「い、いいのぉ!? そんな軽くてっ!」

「みんなー! 大丈夫ですかーー!!」

全員「「「「!」」」」

アニポケマオ「! ああ…リーリエだ!  …おぉーーい!!」ぶんぶん!

ほしぐもちゃん「!?  …!!!」ぴゅう!!

全員「「「「…!?」」」」

ヨウ「………え?」

ヨウ「………あ!!?  ほ、ほしぐもちゃん!!!
そ、そのリーリエは、きみの知ってるリーリエじゃな、…! …あ、ダメだ……お…、遅かった……」

アニポケリーリエ「? …え、何ですか、あの大きなポケモン…や!、きゃあああああ…! ……!!」カチーン

ほしぐもちゃん「ぐあ~~♪」すりすり~

サトシ以外のクラスメイト「「「「「リ、リーリエー!!」」」」」

サトシ「あっはっはっは! いいじゃん、リーリエ! 
ヨウのほしぐもちゃんに、何だかよくわかんないけど、すっげー懐かれてるぜ!」
ピカチュウ「ぴかちゅう…」

ニャース「…に、にゃつかれてる本人は驚きのあまり、顔が真っ青で固まっているようにゃけど…」

ソーナンス「ソォォオナンスッッ!!」

レッド「………大丈夫か……、……あの女の子……?」

サトシ「あっはっはっは…!!」

ほしぐもちゃん「ぐぁああ~♪」すりすりすり~
アニポケリーリエ「………!!」カチーン!

―――――
―――



グリーン「“…てっめー、時空の歪みを完全に閉じちまうとか、こっちに許可とってからやれよ!
歪み同士は連動してるかも知れないつっただろうが!! てめぇが居ながら…、ったくよう…!!”」

レッド「……すまん。 ……元の世界に繋がる歪みの穴は閉ざされてしまったのか……?」

グリーン「“……もしもそうだったら今、この通信自体ができてねーだろうよ。
歪み同士は完全にシンクロしてるわけじゃなかったのか、こちらの歪みは伝説ポケモンが自力で開けた分、
強くて大きな穴だったのかはわからねーが、とにかく…こっちの歪みはまだ生きてる…。
…とはいえ、かろうじて、だぞ。 かなり縮んじまったのは間違いない。 ………早く戻って来いよ…”」

レッド「………………」

グリーン「“…あとな、この歪みについて観測してもらってる空間研究所のバーネット博士によるとだ。
その世界は、ウルトラスペースですらまったく比較にならない程、人知の及ばない未知の時空だそうだ。

そっち側から案内でも出してもらわない限り、通常行きつくことなんてありえない程、
お互いの時空が複雑な関係にあるらしい。 今こうして繋がってる事自体が天文学的な奇跡だってよ。
……いいか、歪みが閉じちまったら、こっちの世界帰れる保証は無え…”」

レッド「………要するに…、もうこの世界に行き来することはできないということ…か………?」

グリーン「ああ。 まぁ、俺も話の全部を理解したわけじゃねーけど、そう思っていいと思うぜ」

レッド「……………」

レッド「……なら…、グリーン……、頼みがある……。
……その歪みをもう少し持たせてくれ……。 ……せめて夜明けまでで、良い……」

グリーン「“……!! …おい、お前、話…聞いてたか…? 無茶苦茶言うんじゃねぇ…!
 こっちの歪みだって、もう伝説ポケモンの力で干渉できるレベルじゃないくらい弱ってんだ。
 それを一体どう持たせろってんだよ…! 俺様は空間学者様じゃねーっての!」

レッド「……………」

グリーン「……安全が確保されてる内にヨウを家に帰すのが…、俺達の義務だ…。 …違うか?”」
 
レッド「……その通りだ……」

グリーン「“なら…!”」

レッド「………ヨウがサトシたちに別れを言う時間を稼いだ上で……、
 ……安全にヨウを家に帰すのが…、大人としての俺達の義務だ…。 …違うか?」

グリーン「“………………。”」

レッド「………………」

グリーン「“………………”」

グリーン「“………あああもうっ! しょうがねぇなっ! …いいか! 夜明けまでだぞ!
 ………なんとかしてやろうじゃねーか…っ! …俺様を一体誰だと思っていやがんだ…!!”」

レッド「知ってるさ。流石、俺のライバルだ。   ……ありがとう」


グリーン「“…はっ! ……貸しだぜ、レッド…。   …ヨウに替わってくれ”」

レッド「……」テクテク

ヨウ「…あ、レッドさん。 あっちの世界への歪みの穴の状況はどうでしたか?」

レッド「…………」ぐい

ヨウ「…。 …通信に出ろって、事ですか?」

レッド「…………」ぐいぐい

ヨウ「…ど、どうも」

グリーン「“お疲れ、ヨウ! こっちは何も心配いらねぇ!
 お前の帰り待ちの奴らには、もう少しお預けだって話しつけといてやるから、
 思い残すことねぇように、こっちの友達としっかりお別れして帰ってきな!”」

ヨウ「…あ…、はい! …本当にありがとうございますっ! …みんな、まだ大丈夫そうだって…!!」

サトシ達「「「「「やったっ!」」」」」

グリーン「“あはははは…っ!!“」

ヨウ「? どうかしました、グリーンさん? 何か…、嬉しいことでも…ありましたか?」

グリーン「“…ん? …まぁな…。 ……あの野郎は……流石、俺様のライバルだ、と思ったのさ…”」

ヨウ「…??」

―――――
―――


―――――ポケモンスクール・校庭 日没後

ほしぐもちゃん「がーう!(にこにこっ)」じー 

アニポケリーリエ「…………きゅう…」

アニポケスイレン「リーリエ…、まだきぜつしてるねぇ……」
アニポケマーマネ「ほしぐもちゃんにじゃれつかれたの…、完全にキャパオーバーだったんだね…」
アニポケカキ「アホみたいな話だが、こうなるとヨウが急に帰るなんてことにならなくて良かったな」
ヨウ「…グリーンさんには、本当に感謝だ…」

アニポケマオ「でも、驚いたなぁ…。まさか、ヨウは別の世界の人間で…、
 その別の世界に別の私たちがいるなんて…。 流石に思い至らなかったよ……!」

アニポケマーマネ「………ヨウの世界にいるボクは、ウラウラ島のキャプテンの一人で、
 ホクラニ天文台のエンジニアで、フェスサークルなる施設のオーナー! …でも人見知り!」

ヨウ「うん。それで暗いところが苦手みたいだった」

アニポケマーマネ「ふふ、そういうところは一緒っぽいや! すっごい…!」 

アニポケスイレン「あっちのわたしは…、わたしとおなじつりずきで、…やたら…かいぱんやろう…おし…?」

ヨウ「でも僕は、スイレンの楽しい冗談が大好きなんだ…」


アニポケカキ「あ、あっちの俺は…、俺と違ってファイヤーダンサー志望…。まぁ、それは良いとして……、
 ……やまおとこと一緒に間違い探しの試練…って、一体、何なんだ…、それ……? …嘘だろ…!?」

ヨウ「……………」

アニポケカキ「おい…! なんかフォローくれよ! ヨウ!?」

アニポケマオ「私は大まかな性格は違わなそうな感じだねぇ…? でもウチの店がアーカラ島にあるのかぁー」

ヨウ「もちろんみんな、雰囲気は全然違うんだけれど、でもやっぱり何かしら似た部分はあると思う」

アニポケスイレン「そういえばカキもとてもゆにーくなひとっぽいあたり、おんなじかもしれないね!」

アニポケカキ「なるほどそうか!(ぱぁっ) …って、おい待てスイレン…、どういう意味だ…!?」

ヨウ「…でも、ほんとにごめん……。この事はみんなもっと早く打ち明けるべきだった……」

クラスメイト達「「「「………。」」」」

アニポケスイレン「あたまをあげてよ、ヨウ」
アニポケマーマネ「そんな荒唐無稽な話、打ち明けられないと思って当然じゃん!」
アニポケマオ「そうだよぉ。 気にしないで!」
アニポケカキ「それよりもっと聞かせてくれ、ヨウの世界の俺たちの事……」

ヨウ「………」

ヨウ「……みんな…、すごく素敵な良い人達なんだ。 …それだけは本当に、何も変わらない……」

―――――

ロトム図鑑「…………………」
サトシのロトム図鑑「…………………」

ロトム図鑑「図鑑登録率対決…、………圧倒的にボクの勝利ロトーーーッ!!!」

サトシのロトム図鑑「ロトー!! 『アローラ探偵ラキ』の二徹ぶっ続け視聴ループからのぐっすり快眠で
 凄くいい気分だったのに…。起きて早々…、何たる屈辱だロトォー!!」

ロトム図鑑「こっちはヨウと一緒にアローラ全土を廻ったんだロ! 挑戦なんて百万光年はやいんだロ!」

サトシのロトム図鑑「ぐぬぬううううー…!  …ククイ博士、ククイ博士ェー!」

アニポケククイ「あっはっはっは…、気にすんな気にすんな。 お前はこれから伸びていくんじゃないか。
 データは先々、サトシに埋めてもらっていけばいいぜ」くすくす 


アニポケナリヤ「なんなら、今回の一件で手に入れたUBのデータだけでも、今ここの端末からコピーするかね?
 大変、貴重なデータなんダイケンキ」

サトシのロトム図鑑「おお!それはありがロトー! …では早速……ポチッとな! ………?
 ………あのー? この端末の中に……UBのデータなんて何もないロトよ?」

アニポケククイ&アニポケナリヤ「「!?」」

アニポケククイ「! ほ、本当だ…、UBに纏わるデータ…、
 いや、それどころか時空の歪みに関する記録も、丸ごと綺麗に消えちまってる…!!」

アニポケナリヤ「なんだっテッシード!?」

アニポケククイ「消えたタイミングを考えるなら、さっき破壊された校舎などが元通りになった怪現象と同時に、
 データも消されたとしか思えない…。 どうなってる…? わけわかんねぇ?」

アニポケナリヤ「ククイ君…。 恐らくこれはすぐに原因が突き止められるような類のものではないと見た…。
 とりあえず、今はヨウ君とレッド君の送別だ。消えたデータの関してはまた後ほど検証するとしよう…」

アニポケククイ「………そうです、ね…。 仰る通りです…。  …………?」

―――――

コジロウ「へぇー、アンタもカントー出身なんだ。 じゃあ俺達と同郷だなぁ」
ムサシ「縁があるじゃない~。 どこの街生まれよ?」

サトシ「それがさ、マサラタウンなんだぜ! ね、レッドさん?」

レッド「……ああ…、…その通りだ……。 …………。
 ……この世界でもカントーのジムリーダーは…、タケシとかエリカとか、だったりするのか……?」

サトシ「タケシ…! うんうん!おんなじおんなじ! 俺、タケシとハナダジムのカスミと旅してたんだ!」

レッド「……そう…なのか……。 …サトシは凄いな……」

ムサシ「懐かしいわねぇ」
コジロウ「なんか、もう20年くらい前に感じるぜー」

ニャース「コジロウ~、そんなわけにゃーす。 おみゃーはアホにゃ!」
ソーナンス「そーなん…すう?」

ムサシ「ねぇ、アンタぁ。 なんだったらロケット団に入らない? 特別にサカキ様に推薦しちゃうわよ。
 アタシ、あんたのこと気に入っちゃった。アンタなら、即戦力、間違いなしッ!」

レッド「…………。 ……………サカ…キ………」

コジロウ「そぉうだよ! いいアイディアだムサシっ! ここで俺達が会ったの、何かの運命だよ!
 一緒にやろうぜ! それで、アンタのこと兄貴って呼ばせてくれ!」

ニャース「まがりなにゃりにも、後輩に使う呼び名じゃ無いにゃ…!」
ソーナンス「そぉおなんすっ」

サトシ「バカだな~、ロケット団。
 …でもさ、俺、レッドさん見た時…、もしも俺に兄ちゃんが居たら、こんな人かなって思ったんだ…!」

レッド「……サトシと俺が…、…兄弟か……。 ………成程……」

サトシ「……早く大人になりたいなー…! …それで俺、レッドさんみたいなるんだ……!」

レッド「……そうか…? …俺は…、…少しだけで構わないから…子供に戻ってみたいかもしれない……」

サトシのピカチュウ「ぴかちゅー」
レッドのピカチュウ「「ぴかちゅー」

―――――

アニポケククイ「おーい! ちょっと来てみろよー!」

ヨウ達「「「「「!」」」」」

ロトム図鑑「サトシ&レッドさんチームとロケット団が
 ピカチュウとレッドさんのロケット団入団をかけてバトルしてるロトよ!」
ソーナンス「そ~なんすぅ!」
サトシのロトム図鑑「はやく来るロト~!」

アニポケマーマネ「……。 ロケット団…、さっきの闘い観てなかったのかなぁ…?」てくてく
アニポケカキ「なんでそんな無謀な挑戦ができるんだろうな…?」てくてく
アニポケマオ「まぁー、いいじゃない! とりあえずサトシ達を応援しに行こうよぉ!」てくてく
アニポケスイレン「あ…ミミッキュがどっちのピカチュウ、こうげきしていいか、こんらんしてるよ」てくてく

ヨウ「……………」

アニポケマオ「あ…! ごめん。悪いんだけど、ヨウはリーリエの事、みててもらっていいかな?」にこ

ヨウ「……え? あ、うん…、それは構わないけど…?」

アニポケマオ「ふふふ! …悪いねっ…!」たたっ

ヨウ「……………」

ほしぐもちゃん「がーう?」

ヨウ「……」なでなで

ほしぐもちゃん「~♪」

ヨウ「………ふふ」


アニポケリーリエ「…………う…、うう…?」


ヨウ&ほしぐもちゃん「「!」」

ヨウ「……、リーリエ…、起きた?」

アニポケリーリエ「…………。」

ヨウ「……ゆっくりでいいよ? 大丈夫?」

アニポケリーリエ「………なんだか…最近…、…目覚めると…いつもヨウが目の前にいてくれる気がします…」

ヨウ「………そうかも、知れないね…」

アニポケリーリエ「……うふふ…。
 ………その子が…ほしぐもちゃん、ですか。  良かった…。 …無事に取り戻せたんですね…。
 ふふ、わたくしの勝手な想像ですが、わたがしみたいな可愛いポケモンだと思ってました」

ヨウ「……。 …リーリエの言葉があったから、僕は負けなかった。 リーリエのおかげだよ…。
 それにしても驚かせちゃって…、本当にごめん…。 ほら、ほしぐもちゃんも…、ごめんなさいは?」

ほしぐもちゃん「ぐーあ!」

アニポケリーリエ「ふふふ…! …初めまして、ほしぐもちゃん。リーリエです」

ほしぐもちゃん「ぐう?」

アニポケリーリエ「…?」

ヨウ「……。 …リーリエに…話さなきゃいけないことがあるんだ…。 闘いの前、言えなかったこと…」

アニポケリーリエ「…はい。……。みんなは、あちらに集まってしまっているようですね…。それなら、ヨウ?」

ヨウ「?」

アニポケリーリエ「…こっそり、抜け出しませんか?」

―――――サトシがカプ・コケコからZリングをもらった高台

アニポケリーリエ「……別の世界の…わたくし……。 …なるほど。 …色々、腑に落ちた、感じです…」

ヨウ「…リーリエはトレーナーではなかったけれど、ほしぐもちゃんは紛れもなく彼女のポケモンだった。
 昔のほしぐもちゃんは本当に落ち着きがなくて、度々リーリエの傍を離れては彼女を困らせていたんだ。
 でも、今は…、リーリエが傍にいないことが……、…本当は寂しいみたい…。
 だから…君を見て…、堪えられなくなっちゃったんだと思う…。 ごめんね…」

アニポケリーリエ「………………。 いえ…。 わたくしこそ気絶なんかしちゃって…、
 ほしぐもちゃんを却って驚かせちゃったかも知れないです」

ヨウ「………………」

ヨウ「……………君には、…最初から…全部…言うべきだった…。言わなきゃいけなかったんだ……」

アニポケリーリエ「………ヨウ……」 

ヨウ「…」

アニポケリーリエ「…ヨウ。 …そんなに、落ち込まないでください…。
 ヨウが、自分の事を責める理由が、一体どこにあるというのですか? 
 他のみんなだってきっとそう言ったはずです。
 ……もしも、ヨウがわたくし個人に、何か悪いことをしたと思っているのなら、どうかお願いです。
 自分の事を決して悪く思わないでください」


ヨウ「…………だけど…」

アニポケリーリエ「…………もう!」

アニポケリーリエ「じゃあ、わたくし、今からヨウを凄く困らせることを言います! …それで言いっこなしです!」

ヨウ「……?」

アニポケリーリエ「…、…ちなみに……、ヨウが何て答えるのか…、わたくしにはちゃんとわかっています」ニコ

アニポケリーリエ「でも、それでも、だからこそ…、
 今、この言葉だけはあなたに伝えなければならないんです。 だから…、正直に答えて欲しいです」

ヨウ「………………」

アニポケリーリエ「……………………」

アニポケリーリエ「……………………」

アニポケリーリエ「……………………」すぅ


アニポケリーリエ「・・・ヨウの事をお慕いしています。 好きです。 わたくしとお付き合いしてください」


ヨウ「…!」

アニポケリーリエ「…………………」


ヨウ「……………………」

ヨウ「……………………ごめんなさい…」

アニポケリーリエ「…はい」ニコ

ヨウ「…………………」

アニポケリーリエ「…………………」


アニポケリーリエ「…ヨウの世界のわたくしはどんな子なんですか?」

ヨウ「…」

ヨウ「………」

ヨウ「……自分のことを…、わたくし、じゃなくて、わたし、って呼んでいて…。
 僕のことをさん付して呼んでいて…」

アニポケリーリエ「はい…」

ヨウ「少し方向音痴なところがあって。 …カフェの飲み物ではモーモーミルクが好きで…」

アニポケリーリエ「はい…」

ヨウ「難しい本をたくさん持っていたり図書館で調べものしていたり、読書家なのは君と一緒だったと思う。
 でも、どちらかと言えばブティックを覗いたりとか…、買い物好きだった印象の方が強いかもしれない。
 …虫よけスプレーとかきずぐすりを常備してたり、お得なものとかがあるとつい買っちゃってたり…。
 …………そんな…、感じかな…」

アニポケリーリエ「…他には?」

ヨウ「……他、には…、…裁縫が苦手だって言ってこともあったかな…。
 ……彼女は、バトル…というよりは、ポケモンが傷つくという事に良い印象を持っていなかった。
 …………………………。
 ………自分の無力を嘆くことはあっても、問題自体から逃げたりはしない子だった。
 一度、覚悟を決めると、もう本当にダメかもしれないと思うほど心が挫けてしまいそうな状況でも、
 こっちがびっくりするくらい、退かないで立ち向かう子だった…」


アニポケリーリエ「…………それから?」

ヨウ「……それ、から?」

アニポケリーリエ「………ふふっ…、ごめんなさい…。 
 ……でも…ヨウの口からちゃんと聞きたいんです…。 …ちゃんと聞かなきゃいけないんです…。
 ……わたくし自身の…決着のために…きっとそれが必要なんです……」


ヨウ「………………」

ヨウ「………………」

ヨウ「…今の髪形は……ポニーテールで…、」

アニポケリーリエ「…はい」

ヨウ「…………………………」

ヨウ「……………………………リーリエは、」


ヨウ「……綺麗で…、優しくて…、可愛くて……頑張り屋な…、…僕が世界で一番大好きな女の子だ……」


アニポケリーリエ「……………………はい……」にこ

ヨウ「………………………………だから…、…ごめんなさい……」

アニポケリーリエ「………はい…。   …ふふふっ…! 
 …ありがとうございました…。 おかげで…なんだか凄くすっきりしました…!」

ヨウ「………………………」


アニポケリーリエ「…あっちの世界のリーリエも…きっとヨウの事を、同じように想っているに違いありません」

ヨウ「………………………どうか、な…」

アニポケリーリエ「自信を持ってください、ヨウ…!
 わたくしが言うんですから論理的結論として、当てになること間違いありません」

ヨウ「………………………そう…、なんだろうか?………」

アニポケリーリエ「そうですとも。 ふふっ!   ……………」

アニポケリーリエ「こほんっ…!」

ヨウ「?」

アニポケリーリエ「……………」

アニポケリーリエ「……………」


アニポケリーリエ「……………“わたしもヨウさんのこと、世界で一番…、大好きです…!”」


ヨウ「…なっ…!//////」ぼわっ

アニポケリーリエ「…………こんな…感じ……ですか?  ふふふふ…っ!!」

ヨウ「…!、ちょっ…! やっ、やめてよ…っ!!//////」かぁー

アニポケリーリエ「ふふふ! ヨウは…、本当にリーリエが大好きなんですね…!
 …ヨウにそんなに想ってもらえるなんて…、良いなぁー、リーリエ…!」くすくす!

ヨウ「……!!!//////////」まっか

アニポケリーリエ「……………」

アニポケリーリエ「……………わたくしは、」

アニポケリーリエ「…わたくしは、ヨウの世界のわたくしが、とーっても誇らしいです…! ふふ!」

アニポケリーリエ「それで…うん、ふふ…!  それから…、
 …ちょっとだけ、羨ましいかな…!   …そう、ちょっとだけ」

アニポケリーリエ「ちょっとだけ……」

アニポケリーリエ「…ちょ、っと、だけ……!」うるっ

ヨウ(・・・・・・・・・あ・・・)




アニポケリーリエ「ちがう、ちがうんです・・・こんなの、ちがうんです、

 ・・・こんなつもりじゃ、なかったんです・・・。 ・・・なんで・・・、

 ・・・だいじょうぶ・・・、なのに・・・、ごめんなさい・・・、

 ないたりなんかしたら・・・ダメなのにっ、・・・おかしい、のに・・・っ・・・!!」ぽろぽろ



かつて僕はリーリエとほしぐもちゃんの笑顔を脅かそうとする色々な理不尽と闘った。

それは初めて自分のポケモンを得る前から、あのマハロ参道の吊り橋から始まっていた。

その闘いの先に、気兼ねも不安も無く心から笑いあえるリーリエとほしぐちゃんの姿を、

この世界に来る切っ掛けとなったポニ島大峡谷の祭壇で、僕は見た。

僕が島めぐりを成し得た中で一番の成果があるとすれば、それはあの時のリーリエの笑顔に違いなかった。

だから…、なんだ、これは…。

リーリエが泣いている。 泣いているリーリエが目の前にいるのに、僕は茫然と立ち尽くしている。

確かに、彼女は僕の世界のリーリエではない別人のリーリエなのかも知れないが、

それでもリーリエは、いつだって僕が守りたいと、笑顔でいてほしいと願う人なんだ。

こんなに無力を感じた事は無い。 僕はこれ以上、彼女に謝ることを許されていなかった。

彼女を慰める権利が無かった。 彼女を憐れむ事すらきっとおこがましかった。

…………………………………。

…でも、それでも、だからこそ、今、この言葉だけは……、きっと、彼女に伝えなければならない。

ヨウ「………………」

ヨウ「………………」

ヨウ「……………………リーリエ…」

アニポケリーリエ「……………………」ぽろぽろ

ヨウ「…………………」

ヨウ「…………………」

ヨウ「………………………………ありがとう……」

アニポケリーリエ「……………………。」ぽろぽろ

ヨウ「………………」

アニポケリーリエ「……………ぐ…………」ぐしぐし

アニポケリーリエ「………………………っ…」ぐしぐし

ヨウ「…………………」

アニポケリーリエ「………………………」

アニポケリーリエ「………………………」


アニポケリーリエ「えへ!」ぽろ…


しばらくして泣きやんだリーリエと一緒にポケモンスクールに戻った後も、僕とレッドさんの送別は続いた。
夜通し、みんなと語り明かして、笑いあった。 誰もが別れを惜しんでいて、誰もが眠らなかった。

―――――ポケモンスクール・校庭 夜明け

レッド「……時間だ……」

ヨウ「…はい」


コジロウ「マジで残念だよ。なぁ、もう一回考え直さない?
 今、アンタを入れたバージョンの名乗り口上の草案を書いているとこなんだけど…」
ムサシ「くっどーい、コジロウ!
 こんな時、いい感じぃーに送り出してやるのが惡の華、ロケット団よっ!」
ニャース「ばいにゃら~!」
ソーナンス「そーなんすっ!」」

レッド「……そういえば、俺がサトシくらいの頃、
 あんた達によく似たロケット団の二人組を見たことがあるような…、無いような…気がする…。
 …アンタ達の応援はできないが…、……元気でな……」

―――――

アニポケマーマネ「また遊びに来なよ、ヨウ」
アニポケスイレン「そうだよ!まってる!」
アニポケカキ「俺達がヨウの世界に行くってのも悪くないかもな」
アニポケマオ「あっちの私達によろしく!」

トゲデマル「まきゅー♪」
アシマリ「あうあう!」
バクガメス「がめーす」
アママイコ「あっまーい」
モクロー「ほろう」
イワンコ「わう!」
シロン「こぉーん」

サトシのロトム図鑑「次会う時はゼーッタイ負けないロ! …ボクとは違うロトム図鑑!!」
アニポケナリヤ「元気でナットレイ! さよなラランテス!」

アニポケククイ「ヨウ。暫しの間だったかもしれないが、君は間違いなく俺の学級の生徒だ…。
 いいかい、それを忘れないでくれ…!」

ヨウ「…はい! 絶対に忘れません…! みんな、本当にありがとう…! …アローラ…」
ロトム図鑑「ありがロト…! 『アローラ探偵ラキ』…。ボクもチェックしておくロトよ…!」ぶわっ

―――――

レッド「………君と話せて……楽しかった……。 ……じゃあな…、兄弟………」

サトシ「……うん…!!!!」
ピカチュウ「ぴかちゅう!!!!」

ヨウ「…サトシ。 君には…感謝しても……しきれない…」

サトシ「ヨウ…。 俺たちは離れ離れになっても繋がってる…。これは切れることのないものなんだ…。
 …へへへ…! これは、ゲッコウガには前にも言ったよな…!」

ゲッコウガ「…コウガァ……!」

サトシ「…ゲッコウガのこと、よろしくな…、ヨウ。 俺のゲッコウガじゃない俺のゲッコウガなのに、
 俺がそんなこと勝手に言っちゃていいのか、よくわかんないけど…。…。…あ、なんかややこしいな! 」

ヨウ「ふふふ! …こちらこそ! 君に恥じないように今後とも大切に預からせてもらう…」

サトシ「ああ! …じゃあ最後に!  ヨウ、約束しようぜ…! 次に会う時はさ、必ず…、」

サトシ「…………バトルしようぜ!!」

ヨウ「…うん!! 絶対、負けない…!!」にこ

サトシ「へへへへ…!!」にか
ピカチュウ「ぴーかちゅう~!」

―――――

アニポケリーリエ「じゃあね、ほしぐもちゃん…。 …これはわたくしが作ったポケモンフーズです。
 ふふ、あなたのリーリエが作ったものには、流石に及ばないかも知れないけど、きっと美味しいですよ?
 …帰りのお弁当にでも食べてね!」

ほしぐもちゃん「ぐーあ~♪」

ヨウ「…良かったね、ほしぐもちゃん。  ……ありがとう、リーリエ」

アニポケリーリエ「………………」

アニポケリーリエ「ヨウ…」

ヨウ「……?」

アニポケリーリエ「わたくし……、」

アニポケリーリエ「……………あなたに会えて良かった…!」にこ

ヨウ「……………僕もだ…」にこ

―――――
―――


―――――ポケモンスクール・校庭 ヨウ達が去った後

サトシ「…ヨウ達…、行っちゃったな…」

アニポケリーリエ「…ええ」


―――――ブワン・・・

全員「「「「!!!?」」」」


アニポケククイ「じ、時空の歪み!?」

アニポケカキ「な、何か出てくる!?」

サトシ「まさかUB!?」


――――カッ!

アローラの伝説ポケモン「……………」


アニポケナリヤ「ヨウ君のとは別の…、もう一体のアローラ伝説のポケモン…!!!」

アローラの伝説ポケモン「…こけこニ見初メラレシ優レタル操リ人…、
 …我ガ招キシ、最モ若ク強イ対のトモガラト、トモガラト深愛デ結ビ合ウ二人ノひとノ子ノ片割レ…、
 …ソシテ、望外ノ救イタル戦ウ者…。
 彼ノ者タチヨリ、コノあろーらヲ守ッテクレタ事…、礼ヲ言ウ……

 ………ソシテ…、許セ…………。

 痕ハ消サネバナラヌ…。アノ者達ハ、コノ世界ニハ早スギル。
 ………コレ以上ハ、互イノ時空ノ破壊ヲ招クノダ………」開眼


――――カッ!!

全員「「「「!!」」」」


アニポケククイ「…っ!! …伝説のポケモン……消えた?  …何をした…!? ……みんな、大丈夫か!?」

サトシ「……だ、大丈夫! ………でもさ…?」

サトシ「………………」

サトシ「………………なんで…、俺達…校庭にいるんだ?…」

アニポケククイ「………な、に?」

アニポケマオ「え…? というか、夜明けだよね?  何でこんな時間に、みんな集まってるの…?」

アニポケマーマネ「ねぇ!みんな! 何か知らない間に日付が進んでる!!」

アニポケスイレン「えーと、さいごに、おぼえてるのは…?」

アニポケカキ「確か、サトシと…、ケンタロスレースをしていて……、それから…どうなったっけな?」

アニポケククイ「…みん、な、…どうしたんだ…!?」

アニポケナリヤ「なぜこんなところニンフィア? どうなっデルビル?」
サトシのロトム図鑑「ラキの難事件並みに意味不明だロト~!」

ロケット団「「「何、この感じぃ……」」」
ソーナンス「そーなんすぅ…」

アニポケリーリエ「……何も…」

アニポケリーリエ「……何も……思い…出せません………」


アニポケククイ「………………っ!?」



アニポケククイ(やっぱり、そうか……。まさかとは思ったが…。 …嫌な予感が変な方向に当たっちまった…。
 ……UBに破壊されたものが修復された現象は、………UBが…原因では無かった………。

 …恐らくあれをやったのは…、いやUBのデータ記録を消したのも…、あのアローラの伝説ポケモンだ…。
 さっきの奴の言葉から推察するに、そもそもヨウをこの世界に呼び込んだのが、奴の仕業だった…。

 その目的は…何かしらの理由か、単純に力が及ばなかったのかはわからんが、
 この世界に侵略して来た、あの色違いUBの群れから、アローラを自分の代わりに守ってもらうため…。

 …そして…、「痕を消す」…。 修復現象とデータのデリート…、みんなの記憶が失われたこの状況…。
 歴史の修正力ならぬ、…時空の修正力…とでも呼べばいいのか……。
 …どうやら別時空の存在が、記録に残ってしまうことは、奴にとって何か不都合があるらしい。
 この場合…、別時空の存在というはUBだけじゃない。ヨウ達に関する記憶もだ…。
 元々、奴はUB…というよりも、別時空の存在が起こした戦闘の痕跡を…隠滅していたんだ……。

 …伝説ポケモンなりに深い理由があったのかもしれんが…、これはいささか勝手すぎやしないかね…!?
 ………………………………。
 ……………おそらく………、このタイミングで現れたということは…、
 ヨウ達側の記憶に関しては、ヤツは干渉できないか、するつもりはないのだと思われる……。
 …なら、別れ際に言っておいて正解だったの、かな…。 …ヨウ、俺は…君にこう言ったよな………?)

アニポケククイ「“忘れないでくれ…!”」


その言葉を呟いた次の瞬間、ククイ博士は今まで自分が何を考えていたのかを忘却していた。
それから、サトシ達となぜ自分たちがここにいるのか、
何故、二日前からの記憶が不明瞭になっているのかに関して話し合ったが、その答えに至る者はいなかった。
この世界に、ヨウやレッドの名を知る者は誰もいなくなった。


―――――上空・ポニ島大峡谷の祭壇までの道中

ほしぐもちゃんの入ったボール「……!!」もぞもぞ

ヨウ「……? …どうした、ほしぐもちゃん?」

ほしぐもちゃんの入ったボール「…………。」

ヨウ「………………」

レッド「……………ヨウ……。……大丈夫か……? ……夜通しだったせいか疲れが見える………。
 ………………少し…眠ると良い……。 ……着く前には起こすよ……………」

ヨウ「………………」

ヨウ「……別に…疲れてるわけじゃ、ないんです…」

ヨウ「………………」

ヨウ「………………」

ヨウ「…………な…んか…、漠、然と…、……………悲しいん…です………」

レッド「……………………………」

ヨウ「………………」

ヨウ「…僕は、また勝負するって言ったんです。今度こそククイ博士の家に泊めてもらうって言ったんです。
 お泊り会をやり直そうって言ったんです。みんなにお昼とマラサダ奢るって言ったんです。
 来年のパンケーキレース大会に出なくちゃいけないんです。バトルするって約束したんです。」

ヨウ「……………………」

ヨウ「……………………僕は…、何一つ…果たしてない……」

ヨウ「だから…、僕は必ずこの世界にまた戻ってこなきゃいけない…」

ヨウ「…怖いんです…。 ……レッドさん?」

ヨウ「……………………僕は…また、本当にこの世界に……来られるのかな………?」

レッド「来られるさ」

レッド「この世界にも太陽と月が昇っていて、みんなを照らしている。 何も心配することは無い」

ヨウ「…………………………」

レッド「…………………………」

ヨウ「…………………」

ヨウ「………なんで…、…そう…………言い切れるんですか……?」

レッド「もう会えないかもしれないと思っていた大切な存在と、俺は再び巡り逢えたことがあるからだ」

ヨウ「……………誰………ですか? ……それは……いつのこと?」

レッド「君だ。 君に初めて会った時だ」

ヨウ「……………………?」

レッド「かつて俺だったものが、今は君だった。
 お前は時折、そんな風にして俺に会いに来てくれていたな。 こんなに嬉しいことは無いよ…。
 お前は俺で、俺はお前だ。 それは俺にとって、とてもかけがえのないことなんだ」

ヨウ「…………………」

ヨウ「…………………」

ヨウ「よく…、…わかりません……………けど…」

ヨウ「………………、……レッドさんは逢えたん…ですね………?」

レッド「……………ああ…。 …その事に比べればヨウ達は、きっと訳無いくらい、大丈夫さ……」

ヨウ「………………………………」

レッド「………眠っても大丈夫だよ…? …ヨウ……」

ヨウ「…………」

ヨウ「……………」

ヨウ「……………この世界に来た最初の晩…、
 あの子が…泣いてしまうのが嫌で、素直に寝ることにしたのを…何故か…思い出しました……」

レッド「………そうか…」

ヨウ「…………………」

ヨウ「……………やっぱり…、少しだけ…眠らせてもらっても…いいですか……?」

レッド「……………ああ……勿論だ……。 …おやすみ、ヨウ………………」

ヨウ「…………………」

ヨウ「……………………」

ヨウ「……………………“大事な人を見送る時は笑顔だぜ……”。」

レッド「…………………?」

ヨウ「……ククイ博士の言葉です。 …僕達の世界の方の。
 …………きっと…見送られる側だって同じ…ように……笑顔じゃなきゃ…ダメですよね……?」

レッド「…………ああ…、…そうだな……」

ヨウ「…………………」

ヨウ「………僕も信じます…。 …また…この世界のみんなに、会って…、必ず約束を果たせるって…」にこ

レッド「うん」

ヨウ「……だから、その時はまた、良かったらレッドさんも一緒にこの世界に来ませんか…?」

レッド「…………ん?  …それをわざわざ聞くということは、ひょっとして……、
 ヨウは俺を連れていくつもりはなかったのか…? ……なんだ、随分冷たいじゃないか…!」にやり

ヨウ「…………え…? …あ、…ご、ごめんなさい……っ。   ………へへへっ!」くすくす

レッド「ははは…」にこ

ヨウ(……いつかまた必ず逢える……。 ……その時まで……またね…、みんな……)

―――――ヨウの世界

元の世界に戻った僕を、一番初めに出迎えてくれたのは他のどの人でもなく、それは僕のポケモン達だった。
押し倒され、のしかかられ、ぐしぐしと頭をこすりつけられ、顔を舐められ、甘噛みされる。
僕は何の誇張もなく身動きが取れなくなった。

僕が何を言っても僕のポケモン達は、僕を離してはくれなかった。みんな、震えていた。
僕がいなくなってしまった時の恐怖と、今こうしてまた会えた喜びを、全身で訴えていた。

どうしようもないあせりにも似た申し訳なさと苦しさで胸が張り裂けそうになった。
自分の身がどんな目にあってもここまで途方もない気持ちにはならないに違いない。
ごめんね。ほんとうにごめんね。もう勝手にどこにも行ったりしないから。いつも一緒だから。

捜索に参加していた本当に多くの人たちに対して僕は謝った。
あっけらかんと「おかえりー」と言うハウやアセロラ、マツリカさん。
ポケモンに引っ付かれ動けない僕の様子を見て笑うハラさんやハプウさん、バーネット博士。
逆に励ましてくれているんじゃないかと思える程、穏やかに僕をたしなめるイリマさんやマーレインさん。
叱りつけるつもりだったのに感極まってしまい泣き出すライチさん、その彼女を困り顔で慰めるカリヒさん。
自身の活躍を語るザオボーさん、リュウキさん。それを見て苦笑するビッケさん、呆れるプルメリさん。

みんなの態度は様々だったが、誰もが僕を責める以上に、無事を喜んでいた。
みんなが安堵の表情を浮かべるたびに、僕はみんなにどれだけの心配を掛けたのかを痛感して辛くなった。

例外的に「ザマァねぇなああ!」と、はやし立てるグズマに、むしろ僕は救われる思いだったのだが、
その時の僕が余程、情けない顔をしていたのか、やがて彼はバツが悪そうに黙ってしまった。

「きっとよ、あんちゃんには、赦されてしまう方が良い薬になるって、みんな、わかってんのかもな…。」
不意に傍に立っていたクチナシさんが僕の心の中を見透かしたようにニヤッと笑んでいた。

デクシオさんとジーナさんにはどれだけお詫びしても足りなかった。
あちらも僕に対してそう思っていたらしく、僕らはお互いに責任が自身にあることを主張して譲らなかった。
リラさんやハンサムさん、そして母さんが取り直してくれなかったら、
僕と二人はいつまでも謝罪し合い続けていたかもしれない。
……母さん、それからうちで飼っている喋らない普通のニャースにも、たくさん心配をかけてしまった…。

レッドさんとグリーンさんは、今回の事件の解決に至る最大の功労者として、
シロナさんやミツル君、アクロマさんやギーマさん等、他地方の人達を中心にその活躍を労われていた。
饒舌に語り笑うグリーンさんに対し、レッドさんは本当におかしいくらい寡黙な、いつもの彼に戻っていた。
レッドさんと帰り際に語らった、かけがえのない誰かと再会できたという、何かの夢みたいな不思議な話…。
僕は決して忘れないでいたいと思う。

そして、最後に……、この場には勿論、ククイ博士やナリヤ・オーキド博士、
アーカラ島のキャプテンであるカキさん、スイレン、マオ、ウラウラ島のキャプテンであるマーマネも居た。
つい、彼らをまじまじと見つめてしまっていたら、不思議そうな顔でいぶしがられた。

「何でしょうヨウさん? スイレン達の顔に何か付いていますか?」
「ううん、そうじゃ…ないんだ。 ………。 …………ありがとう……」

現在こちらのアローラには、リーリエと、サトシとそのピカチュウはいてはくれなかった。

―――――サトシ達の世界

論理的結論として、原因不明の記憶喪失事件は多くの謎を残したまま終息した。

真相については、強力なエスパーポケモン、未来人や宇宙人、異世界人の仕業等の推理が闘わされたが、
解明に繋がる手がかりは無く、残念ながらどの説も推測に終わり、もうそれ以上の発展を見せなかった。

一週間を持たずして、この怪事件の話題はククイ学級の中で貴重な体験談か笑い話になってしまっていた。
アローラのおおらかな風土に引きずられるように、わたくし達はこの事件を引きずらなかった。
あっけなく、元の日常が戻ってきた。あるいは戻ってきてしまった、ともいえる。

記憶を無くした期間についてわたくし個人には、物申したいことが一つだけある。
この事件で被った実害は、確かに何も無い。(記憶を失ったこと自体が実害と考えなければだけど。)

むしろその逆だ。 記憶のない間に、欲しかったものが手に入っていた。
限定非売品のとてもかわいい“ピッピにんぎょう”。
この子がわたくしの部屋のぬいぐるみコレクションの中に、
何かの冗談みたいな我が物顔で仲間入りしていたのだ。
これは予期せぬ幸運だ。実際とても嬉しい。 でも、釈然としない。素直に受け入れがたい。

それはきっと、これを手に入れた時、わたくしは途轍もない幸福を感じたに違いないはずだからだ。
だから、その時の記憶を失ってしまったことが、何だか、非常に申し訳なく思ってしまう。
しかし…、それは一体、何に対して、なんだろう…? その正体がはっきり見えないのが、もどかしいのだ。
ぬいぐるみに? 記憶の失う前のわたくしに? あるいは他の、なにか…?

ごめんね。でも、わたくしはあなたのこと、大好きよ。それは絶対に絶対だから。
その“ピッピにんぎょう”をぎゅうと抱きしめながら想う。

―――――サトシ達の世界・ポケモンスクール 校庭

サトシ「行け! ニャビー! “ほのおのきば”!!」

ニャビー「にゃああ!!」ボォオ

サトシ「よーし、良い感じだっ!! …あとでカキにも出来具合を見てもらうか?
 ……そういえば、カキん家に泊まらせてもらった時は楽しかったなー……。
 ……そうだ! …今度は学級のみんな一緒に泊り、行かせてもらえないかな…! すげー楽しそう!!」

アニポケリーリエ「…サトシ、知りませんでしたっけ? 学級のみんなでお泊り会なら、一応したみたいですよ。
 この前のあの記憶を失った期間中に。 周辺関係の情報を整理すると、どうやら、わたくしのおうちで」
シロン「こぉーん」

サトシ「え!マジで? 何それ初耳!! リーリエの家でか! いいじゃん! すげー楽しそう!!」

アニポケリーリエ「だから、一応もう、やり終わったんですけどね…。
 まぁ、誰もそのことを覚えていないのでは、それはやったということにはならないかもしれませんが」

サトシ「あったはずなのになんでかよく覚えてない。よくあるよなー、そういうの!
 俺、かなり大分前にもこの事件と似たような経験あった気がするんだ」
ピカチュウ「ぴかちゅう…」

アニポケリーリエ「……そんなのよくあっては堪りません…」

サトシ「…………」

アニポケリーリエ「…? どうしました? …サトシ?」

サトシ「リーリエの家で、お泊り会…?  …あれ?  …俺、なんか一つだけ…思い出したかも…」

アニポケリーリエ「…? あの三日間の間のことですか? 一体、何を?」

サトシ「…別に…そんな大したことじゃないよ?  …んーと、なんかさ…、」

サトシ「…なんていうか…リーリエが……、すごく楽しそうにしてた…気がする………」

アニポケリーリエ「…………。 わたくしが…、楽しそう…?   …それはなぜ…?
 …わたくし自身、お泊り会に対して、憧れがあるのは確かですが、そういう意味でしょうか…?」

サトシ「それは…、あん…、よくわかんないけど…、……まぁ…、俺の勘違いかも知れないし……」

アニポケリーリエ「……。」

アニポケリーリエ「……………マオも、スイレンも、カキも、マーマネも…」

サトシ「?」

アニポケリーリエ「…お泊り会をしていたという話をしたら…、みんな…サトシと同じことを言うんです…。
 …わたくしが…、あの三日間中、何か楽しそうにしていた気がするって……。
 わたくし自身には…何の事だか、…全然…思い出せないんですけど……」

サトシ「………」

アニポケリーリエ「…どうでしょう? …サトシには…何か…、わかりますか…?」

サトシ「………」


サトシ「………」

サトシ「……そりゃあ、不思議だフシギダネぇー…!」ばぁ!

アニポケリーリエ「…………………」

サトシ「…………」ばぁ!

アニポケリーリエ「………………一瞬でも…サトシに期待したわたくしが…愚かでした……っ!」ぐぬぬ

サトシ「…あっはっはっは! ごめんごめん!」にか!

―――てんてんてててーん♪(校内チャイムの音)

アニポケリーリエ「…はぁ…いいですよ、別に怒ってません。 もうそろそろ授業です。教室に戻りましょう」

サトシ「……不思議っていえばさ…。 リーリエがどうして手に入れたわからない
 不思議な“ピッピにんぎょう”があったじゃん? …あれについては何かわかった?」

アニポケリーリエ「…いいえ、全然。さっぱりです」

サトシ「今、思いついたんだけどさ。 記憶の無い間、ひょっとして俺達と一緒に誰かいたんじゃないかな?」

アニポケリーリエ「……………………」

アニポケリーリエ「……………………」

アニポケリーリエ「………………………………………はい?」

サトシ「…………」

サトシ「俺達に記憶は無いけど…、たった三日間だけだったけど…、
 俺達が覚えてないそいつは間違いなく俺達の仲間だった。」

サトシ「…だから、リーリエは楽しかったんだよ。 …そいつとリーリエはすっげー良い友達になったんだ。
 だからさ、リーリエ…。 その不思議な“ピッピにんぎょう”はきっとそいつにもらったんだ……」

アニポケリーリエ「……………………」

サトシ「………へへっ! どうだ?  そう考えると、筋が通る気がしない?」にか

アニポケリーリエ「……………………」

アニポケリーリエ「……………………わ」

アニポケリーリエ「……………わかるわけ…ないじゃないですか……、…そんな…、こと……!」

サトシ「……たはは…、そりゃあそうだ。  …ごめんな。 教室に戻ろうぜ?」すたすた

アニポケリーリエ「……………………………………」

アニポケリーリエ「……………………………」

サトシ「どうした? リーリエ、早く行こうよ?」

アニポケリーリエ「………………………」

サトシ「…リーリエ?」

アニポケリーリエ「………………………」

アニポケリーリエ「……サトシ…。 いきなりで申し訳ありませんけど…、
 ……………ポケモンに触れる特訓を、………今からお願いできませんか………」

サトシ「…?  急に…どうした…?  …えっと、ポケモンに触れる特訓を…、 …今、やんの?」

アニポケリーリエ「……………………」

アニポケリーリエ「………。  …そ、そうですよね……。ごめんなさい…  やっぱり…いいです……」

サトシ「……いや、別にいいよ? …やろうぜ、リーリエ…!  …よぉーし、行けピカチュウ!」

ピカチュウ「ぴかちゅー!」ぴょこん

アニポケリーリエ「……………!」

アニポケリーリエ「……………っ」

アニポケリーリエ「……………ううう…!」ぷるぷる

ピカチュウ「ぴかー」

アニポケリーリエ「…………ひっ…!」びく

ピカチュウ「ちゅー」

アニポケリーリエ「…!」

アニポケリーリエ「………」

アニポケリーリエ「…」すー

アニポケリーリエ「…」ふー

アニポケリーリエ「………」

アニポケリーリエ「………」ぐぐぐ…

アニポケリーリエ「………………が!」

アニポケリーリエ「…………がんばリーリエ…………!」


ピカチュウ「ぴかちゅ」ぷに

アニポケリーリエ「!!」
ピカチュウ「!!」
シロン「!!」
サトシ「!!」

アニポケリーリエ「………………や……、……やりま……した………」

アニポケリーリエ「…ほんの一瞬だけだけど、指先で…、ピカチュウのお腹に触れることができた…気がします…。
 本当に触れられたかまでは自信がありませんが…少なくとも…今までの最高記録です…!
 サトシ! 見たでしょう!?」

サトシ「…ああ! 頑張ったな! すごいじゃんリーリエ!!」にこ

アニポケリーリエ「はいっ!! これはわたくしにとってのおおきな前進なのですっ!!」

サトシ「この調子だぜ、リーリエ!  よーし、ピカチュウ! 続けて、リーリエにまとわりつくだ!」
ピカチュウ「ぴかちゅー!」

アニポケリーリエ「へ?」

ピカチュウ「ぴかー」だき
アニポケリーリエ「ひぃ」カチーン

サトシ「あー…、ここまでは、やっぱりまだダメだったかー…」

アニポケリーリエ「…! ちょっと…もう、すこし…、だ、段階を考えてくだ、さい…っ!」カチーン

サトシ「あっはっはっは…!悪ぃ悪ぃ!  
 ……そういえば、聞き取れなかったけど、リーリエさ、なんか妙な気合いというか掛け声してたな?
 …ガンバなんとか、とか…? …あれは何て言ったの?」

アニポケリーリエ「……………?」

アニポケリーリエ「………………」

アニポケリーリエ「…そんなこと…言いましたか…?  …??  サトシの聞き間違えでは?」きょとん

サトシ「ええ~!?  言ったよ。間違いなく言った。 ピカチュウも聞いたろ?」
ピカチュウ「ぴかちゅう~」

アニポケリーリエ「…………………………」

アニポケリーリエ「…………ふふっ、 ……じゃあ、きっと…何か…言ったんですね……、わたくし………」

サトシ「………?  ひょっとして…何か、思い出した? リーリエ?」

アニポケリーリエ「…………………………」

アニポケリーリエ「…いいえ、全然。さっぱりです」

アニポケリーリエ「…………………………」

アニポケリーリエ「………………でも…。 ………ねぇ、サトシ……?」


アニポケリーリエ「………わたくし…、さっきのサトシの話に賛成です…。
 サトシ風に言えば、なんだかよくわかんないけど、きっといたんだって信じます…。
 あの幻みたいな三日間の中に、みんなにとって…、…わたくしにとって…、とても大切な誰かが……」

サトシ「………ああ」

アニポケリーリエ「その誰かと…わたくしたちは…必ずいつかまた逢えますよね…?」

サトシ「………そんなの…、」

サトシ「………………………逢えるに決まってんじゃん! リーリエ!!」にこ
ピカチュウ「ぴっかっちゅう!」


アニポケリーリエ「・・・・・・はい!」




わたくしは空を見上げた。

空には強く優しい偉大な光が浮かんでいてわたくしたちを照らしている。

その光は名前も知らないあなたの世界にもきっと届いているはずだ。

わたくし達はどこまでも、切れないもので繋がっている。

きっとあなたも今このアローラの光を見ているに違いない。 



―――――ヨウの世界

―――――ヨウの世界・エーテルパラダイス ルザミーネの屋敷

グラジオ「………………急に何しに来たかと思えば……、」

グラジオ「………行方不明事件の詫びを直接入れるためか。 律儀な奴だ……」

ヨウ「本当に迷惑かけちゃったから。やっぱり直に会って謝りたかった。…急に押しかけちゃってごめん」

グラジオ「捜索の事については、どいつこいつも好き勝手やっただけだ。
 終わってみれば…、却って話を大ごとにしてしまった節もある」

ロトム図鑑「不謹慎かもしれないけロど、みんなが迎えてくれたあの日の夜は、
 まるでヨウがチャンピオンになった日の夜みたいで…、ボクは結構楽しかったロ!」

ヨウ「おいおい……。 …… でも…、本当に有り難かったし、嬉しかった……」

グラジオ「…ふん。  …まぁ、折角こんなところまで来たんだ。
 俺に本気で詫びをする気があるなら、ゼンリョクでバトルしろ…。 …俺たちはポケモントレーナーだろ。
 伝えたいことがあるならそれで言えよ。  ……どうだ、チャンピオン…?」

ヨウ「……………………わかった。 受けて立つ……」

グラジオ「フッ! …そうこなくてはな…。
 行くぞ、シルヴァディ…!」ビシッ 『ちわーす!御届け物ーでーすー!』 

グラジオ「……………。」ビシッ…
ヨウ「……………。」
ロトム図鑑「………………。」

配達員の声「ハンコかサインお願いしまーす!!!」

グラジオ「………………。」

ヨウ「……………。」 

グラジオ「……………ち…。  ……すこし外すぞ、くつろいでろ…!」ツカツカツカ…!

ヨウ「あ…、う、うん…」


―――――

ヨウ「……………」 

ほしぐもちゃんの入ったボール「………!!」もぞもぞ

ヨウ「………? …どうした、ほしぐもちゃん?」

ほしぐもちゃんの入ったボール「…!」もぞもぞ

ヨウ「……………」コチョコチョ

ほしぐもちゃんの入ったボール「~~♪♪」ピョコピョコ! 

ヨウ「…ふふ」


グラジオ「……」がちゃ 

ヨウ「…。 おかえり」 

グラジオ「…」ポイ 

ヨウ「わ!な、何?」キャッチ 

グラジオ「…………」

グラジオ「その荷物… お前宛だ」 

ヨウ「………え?  僕宛ての荷物? …?、どういうこと…?」

グラジオ「……それはこっちが訊きたい…。
 何故、お前宛の荷物が…、このエーテルパラダイスの、この屋敷に…、届く……?」

ヨウ「……しかも時間指定便…。  ……差出人は……、……………書いてない…」

グラジオ「……送り主に心当たりは…?」

ヨウ「………………………。  ……ごめん…。全然思い浮かばない…」

ロトム図鑑「そもそも、今日ここに来るのだって、
 ついさっき、アポイントメントの連絡を取ってから、初めて決めたロトよ? 誓って本当だロト!」

グラジオ「別にお前が下らない悪ふざけをするとは思ってない。だが、そうなると随分と奇妙だな」

ロトム図鑑「……さしずめ、”ふしぎなおくりもの”ってところだロトね…」


ヨウ「……………………。」

グラジオ「とりあえず開けてみろよ」

ヨウ「あ、うん」

―――がさごそ

ヨウ「…………」

ヨウ「…………モンスターボールが一個…? 中身入りだ」

ロトム「何が入ってるロト?」

ヨウ「…………」ポイ

―――ぼん!

ヨウ達「「「「…………!!」」」」


謎のピカチュウ「ぴかちゅう」


ヨウ「ピカチュウ?」
グラジオ「…ピカチュウ?」
ロトム図鑑「ピカチュウだロ?」

謎のピカチュウ「ぴかちゅー」


ヨウ「…………………」

ロトム図鑑「ヨ…、ヨウ、この…ピカチュウは……?」

ヨウ「…………………」

謎のピカチュウ「ぴーか?」きょとん

ヨウ「…………………」

グラジオ「……おい、この荷物…。ボールの他にも何か入ってるぞ……」

ヨウ「……………………え…?」

グラジオ「…、………見たことないZクリスタルと……、それから…、」

グラジオ「……………………赤い、帽子だ……」

ヨウ「…………………!…」

グラジオ「…?  …何かわかったか?」『ジリリリリリ…!』

――――ジリリリリリリリリリリリ…!!(電話の音)

全員「「「「!!?」」」」ビクッ!!

グラジオ「………………」

グラジオ「…ただの外線電話だ。  …………。」

グラジオ「……いや、この測ったようなタイミング…………、」

グラジオ「…………案…外…、…この荷物を送ってきたヤツから…、だったりしてな…」すたすた

ヨウ「…………………」

―――――

ヨウ「…………」

謎のピカチュウ「ぴかーちゅ?」

ヨウ「…………………」

ヨウ「……………おいで?  …………この帽子、被せてあげる」

謎のピカチュウ「……ぴっか!」ピョコン

ヨウ「…………………」

ヨウ「……………はい。  ……………うん、似合うね…」


サトシキャップピカチュウ「ぴっかちゅう!」ドヤ!


ヨウ「………………。 ……!…」ぎゅ

サトシキャップピカチュウ「……ぴ?」

ヨウ「……意外と…早くまた逢えたね…っ、……って言うのは、…キミに対して失礼かな…?」ぎゅう

サトシキャップピカチュウ「…ぴっかちゅう~!」ぎゅう

ヨウ「ふふっ…!」

グラジオ「……」がちゃ 

ヨウ「…。 おかえり」

グラジオ「……」ポイ

ヨウ「わ!な、何?」キャッチ 

グラジオ「…出ろ」

ヨウ「え…? ! あ、うん…」


ロトム図鑑「…ま、まさか…っ!  ほ、本当に…送り主だったからロトか…!?」

グラジオ「いや? 全然違った」にこ

ロトム図鑑「………ロト?」 

サトシキャップピカチュウ「ぴっかっちゅう!」


ヨウ「…

・・・・・・・・・・・もしもし・・・、ヨウですが・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・え・・・?  ・・・・・・え!! 

・・・!? ・・・あ、いや・・・ご・・・、ごめん、びっくりさせちゃった・・・!!?

・・・あ、いや・・・、ぼ、僕だって、びっくりしたけど・・・! ・・・あ、・・・。

・・・・・・。 ・・・・・うん、・・・アローラ・・・。  ・・・・・・ひさしぶり・・・。

・・・・・・そ、そうだね、こんな急に・・・。 僕だって、全然、心の準備が・・・。

・・・。 ・・・・・・。 ・・・、うん。 ・・・・心配かけて・・・、本当にごめん・・・。

・・・グラジオからは事後報告だったんだ? あ、でも・・・今回は本当に僕が悪かったんだよ・・・。

・・・・・・、・・・・・・。 ・・・こっちは、みんな元気だよ・・・・・・。

ククイ博士も、バーネット博士も、ハウも・・・。 ・・・もちろんほしぐもちゃんだって・・・。

・・・あはは! ・・・うん・・・、うん!・・・僕も話したいことが本当にたくさんあるんだ・・・。

・・・・・・・・・今回の事なんて特に『論理的な結論として』・・・そう思う・・・・・・。

・・・今のは、何ですかって? ・・・少し、長い話になるかも知れないけれど・・・、聞いてくれる?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・リーリエ・・・。




僕は窓からのぞく空を見た。

空には強く優しい偉大な光が浮かんでいて僕達たちを照らしている。

その光はサトシとみんなとは違うみんなにもきっと届いているはずだ。

僕達はどこまでも、切れないもので繋がっている。

きっとあの子とは違うあの子も今このアローラの光を見ているに違いない。


―――――サトシ達の世界

―――――サトシ達の世界・ポケモンスクール 校庭


アニポケリーリエ「……………」


サトシ「… そろそろ戻ろうぜ、リーリエ。 授業始まっちゃうよ?」
ピカチュウ「ぴっかー」

アニポケリーリエ「… ええ。そうですね 


―――ガサッ!


サトシ「…ん!?」


???「……そ…、んな…」

サトシ「…。 ……えーと誰だ、あの子?」
ピカチュウ「ぴぃかぁ?」

アニポケリーリエ「…こっちを見てますね? ……というか…、わたくしを…見てる…?」

???「…う、うそだよ…? えっ?なんで? ……アローラ、に…?」

アニポケリーリエ「…?」




ミヅキ「リーリエ・・・!?」

アニポケリーリエ「・・・どなた様でしょうか?」





おしまい



お恥ずかしながら同じ人です。
一応、今回のは修正版で、それを同じの所に上げなおすのがちょっと恥ずかしかったので、
こちらに載せさせていただきましたが、カヒリさんの名前を間違えているのをご指摘いただき、
今、もの凄く恥ずかしいです。

読んでくださってありがとうございました。本当に嬉しいです。

今すぐ依頼、出しに行きます。不慣れですいません。
ご意見共々、ありがとうございました。

個人的には、このSSは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」等のタイムパラドックス系SF作品でよく見られる
情報アドバンテージの元に行動した結果、予期せぬ人物から好意を抱かれてしまうという展開に、
奪われたスターダスト・ドラゴンを取り返すために歴代主人公が共闘する某戯王のお祭り映画を
ミックスしたような話だと解釈しています。

他のキャラは再現できているなどとは間違っても言うつもりはないのですが、
アニポケリーリエさんについては、出番が多めなのに関わらず特に原典からキャラが準拠しておらず、
それは自身でもかなりどうかと思うところではありました。
無論、書きたい場面のためにそんな感じになった部分もあるのですが、
もう少しやり様があったかなと反省しております。ご指摘は至極ご尤もだと思います。
不愉快を感じさせてしまい大変申し訳ありませんでした。

あと、どうしても言いたかったことがあり、この場を借りて暴露させていただきますが、
アニポケリーリエさんが「ヨウは絶対負けないって」と言う場面と“はかいこうせん”を撃つフシギバナと、
レッドが自分の世界とサトシの世界でジムリーダーの差異を確認する際、エリカの名前を挙げるのは、
“エリカ「あなたが勝つって、信じていますから」”という超名作ポケモンSS様への
オマージュだったり致します。

最後に、重ね重ねですが無確認で修正版のSSをSS速報Vip様の投稿してしまったことを
ぽけりんBBS様にお詫び申し上げます。誠に申し訳ありませんでした。

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