【デレマス】茜「歯医者さんに行きますよ! 乃々ちゃん!!」 (24)

(ある日の事務所)
もりくぼ「そんなの絶対に、むーりぃー!」(ガタガタガタ)

茜「根性です!! 気合いです!! 乃々ちゃんなら耐えきれます!! さあ、一緒に頑張りましょう!!」

もりくぼ「もりくぼには絶対に耐えきれません…無理です。絶対に無理なんですけどぉ…」(ガタガタガタ)

もりくぼ「もりくぼがあそこに行くと、魂と心が削れて、何も入っていない、セミの抜け殻のような存在になってしまいまうんです…」

もりくぼ「絶対に…絶対に…もりくぼはここを動きませんからぁ…」

ガッシーン!

茜「んぎぎ!! 両手両足で机の脚をがっちりがっつりホールディングして籠城ですか!!」

茜「そんなことをしても何も変わりませんよ!! 乃々ちゃん!! 頑張ってみましょうよ!!」


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もりくぼ「いいんです…もりくぼはこのまま変わらない存在で…ナメクジさんたちと一緒に日陰のようなところで生きていくので…」

茜「くぅーー!! これは頑固!! 圧倒的頑固!! 私はどうすればいいんでしょう…!!」

ガチャ!

凛「おはよう。茜、どうしたの? 玄関まで声が聞こえたけど…」

もりくぼ「凛さぁん…助けてくださいぃ…!」(ガタガタガタ)

凛「!」

凛「任せて乃々。乃々をイジメる人は誰であろうとこの私が許さないよ」(キッ!)

茜「え? あ、あの凛ちゃん!! その、ちょっと待ってください!!」

凛「乃々がピンチのためにと思って身に付けておいた必殺技。こんなところで使う時がくるとはね」

茜「り、凛ちゃん!!」

凛「蒼の剣を受けよ! アイオライト・ブルー!!!」

キュィィィィィン!

茜「ボ、ボンバァァァァァ…!!!」

チュドーン!

茜「」

(5分後)
茜「かくかくじかじかポジティブパッション」

凛「ふんふんなるほどトライアドプリズム」

凛「つまり茜はいじめてたわけじゃなくて、乃々に虫歯があるから歯医者に連れて行こうとしてたんだね」

茜「そうです!! 乃々ちゃんがあくびをしている時、偶然、見つけてしまったんです!!」

茜「今日は夕方までレッスンもありませんし、丁度いいかと思いました!!!」

もりくぼ「も、もりくぼはダメです。歯医者さんに行くと削られるのは歯だけじゃ済まないんです…もりくぼハートも削れて消えてしまうんです…」

もりくぼ「だから、もりくぼはレッスンの時間までここで待機してます…本当はレッスンもアイドルも辞めたいですけど…歯医者さんに行くよりは全然いいです…」

凛「ふふっ、相変わらず乃々は表現が豊かだね」

もりくぼ「凛さん…お願いします…茜さんをどうか説得してくださいぃ…」

茜「ぐぬぬ!! 母親のごとき凛ちゃんに助けを求めるとは!! これは乃々ちゃんの作戦勝ちでーーー」

凛「駄目だよ、乃々」

もりくぼ「え゛」

茜「え!?」

凛「え? って、2人とも何その反応は」

茜「あ、いえ。凛ちゃんのことですから、乃々ちゃんが嫌がることはしないかと思っていたので…」

もりくぼ「」(フリーズ)

凛「だって虫歯だよ? 放置してても治らないでしょ? 治しに行かなきゃ駄目じゃん」

茜「っくぅーー!! 真っ当です!! 真っ当すぎてグゥの音も出ないほど真っ当な意見です!!」

もりくぼ「む、むぅーーーりぃぃーーー!!」
(ガタガタガタ)

もりくぼ「むりくぼですけどぉぉぉ!!!」
(ガタガタガタ)

ガチャ! バーン!

P「話はすべて聞かせてもらったぞ!」

茜「プロデューサー!!」

凛「プロデューサー?」

もりくぼ「ひぃぃぃぃぃぃ…!」(ガクガクガク)

P「乃々が虫歯で歯医者に行くのを嫌がっていて凛と茜が乃々を歯医者に連れて行こうとしているところまでは把握した。至急、治してもらうんだ」

凛「相変わらずの地獄耳だね」

P「伊達に200人プロデュースをしてないさ」

茜「流石、プロデューサー!! いつでも気合いマァァァァックスですね!!!」

P「忙しいから手短に言うぞ。凛、茜。乃々を歯医者に連れて行ってやってくれ。レッスンが遅れそうな時はトレーナーさんに連絡しろ。じゃあ、あとは頼む」

凛「任せて。プロデューサー」

茜「お任せください!! 全力で乃々ちゃんの虫歯を治してみせます!!」

凛「いや、私たちは連れて行くだけだって」

茜「そうですね!!」

P「乃々は大人しく治してもらってこい…って、あれ?」

凛「あれ? 机の下からいつの間にか…」

茜「消えています!! 逃げましたね!!」

P「逃がさんぞ」(グッ)

シュターン…!!

凛「プロデューサーも消えた!」

茜「あれは…飛廉脚… ! 上位の滅却師にしか使えない高度な移動技術です…!!」

凛「プロデューサーって何者なわけ?」

(事務所前。交差点近く)

ダッダッダッ…!

もりくぼ「はぁはぁ…もりくぼには無理です…無理なんです…」

もりくぼ「気使ってくれるプロデューサー、凛さん、茜さんには申し訳ないですけれど…歯医者さんだけは無理なんです…」

もりくぼ「ーーーでも、Liveの時とは違って、逃げてもあんまり心が痛まないですね…これはもりくぼだけの問題で、プロデューサーからの恩を仇で返しているわけじゃないからでしょうか…」

シュターン…! ガッ!

P「みーつーけーたーぞぉぉぉぉぉ☆」

(Pが あらわれた)

もりくぼ「っ…!! ひぃぃぃぃぃぃ!!」

P「さあ、行くぞ☆」

(Pのせんせい こうげき)

ガッシーン!

もりくぼ「ひ、ひぃやぁぁ!!」

シュターン…!

(Pは もりくぼ を つれさってしまった…)

You Win!!(チャラッチャチャーン♪)

(再び事務所)

ドサッ!

凛「おかえり」

P「ただいま。あとは頼む」

もりくぼ「」

茜「の、乃々ちゃん…?」

ゆさゆさ…

もりくぼ「」

P「気絶してるだけだ。今のうちに歯医者に運ぶといいぞ」

P「それじゃあ俺は仕事に戻るよ」(グッ)

シュターン…!

凛「…」

茜「…」

もりくぼ「」

茜「…とりあえず行きましょうか!!」

ひょい、ガシッ!(おんぶ)

凛「そうだね」

(歯科医診療所。待合室)

キュィィィィィンンン…

?「ぐ、ぐぁぁぁぁぁぁぁっ!! 痛い!! 痛いですぞーーーーーー!!」

歯科医「はい。静かにしててね」

キュィィィィィンンン…

?「で、でも、大人のレディはこれくらい余裕で耐えられますぞ…ぐっ、ぐあ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁ!!!」

歯科医「はい。静かにしててね」

キュィィィィィンンン…

?「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁっ!! ぷ、プロデューサー!! プロデューサー殿ぉぉぉ!! 恨みますぞーーーー!! 珠美を騙すなんて!! 剣士の風上にも置けませんぞーーーーーー!!」

キュィィィィィンンン…

歯科医「はい。お疲れ様」

ちびっこ剣士「」

茜「…痛そうですね」(小声)

凛「…痛そうだね」(小声)

もりくぼ「あわわ…」(ガタガタガタ)

凛「乃々。顔が真っ青だけど、平気?」

もりくぼ「む、無理です。これは間違いなく無理です…むぅーりぃ…。凛さん。茜さん。お願いですから見逃してくださいぃ…。腕を離してくださいぃ…」

凛「駄目だよ」(ガシッ)

茜「逃がしませんよ」(ガシッ)

もりくぼ「ひぃ…グレイの気持ちなんですけどぉ…宇宙人さんは捕まえないで見逃してあげるのが1番だともりくぼは思うんです…」

凛「乃々は優しいね。でも、乃々は宇宙人じゃないから」(グッ)

もりくぼ「むぇ~…」

茜「乃々ちゃん。お茶飲みますか、お茶。私、水筒に入れてるんです。落ち着きますよ?」

凛「治療前にお茶を飲むのってどうなの?」

茜「甘くないから平気じゃないですか?」

凛「確かに歯には優しそうだけどさ…」

もりくぼ「あ、茜さん…お気持ちはありがたいのですが…いまのもりくぼの喉は何も通さない状態なので…」(ガタガタガタ)

凛「すっかり怯えちゃってるね」

茜「そうですね…『大したことないよ』と誰かが自信を持って言ってくれれば、乃々ちゃんの怯えも和らぐと思うんですけど」

ブォンブォンブォォォォォォンwwww
ヒャッフゥゥゥゥゥwwwww

バタッ! カランカラーン!

拓海「はぁ。予約時間にギリギリで間に合ったか…」

拓海「プロデューサーの野郎に言われてきたがホントにすぐに治るんだろうな…って、ん? 凛。茜。それに乃々じゃねえか。よぉ」(小声。手上げ)

凛「拓海。あんたも治療しに来たんだ?」(小さく手上げ)

拓海「ちっ。ダセーところ見られちったな」

拓海「甘いもんなんざ、そんなに食ってた覚えがねーんだけどよ。奥歯に深いのが出来ちまったみたいなんだ」

凛「甘い物の量じゃなくて、歯をいかに綺麗に磨くかが大事なんだよ」

たくみん「えっらそうに。お前だって虫歯が出来たからここに来てんだろ?」(ニヤリ)

凛「ううん。私は違うよ」

たくみん「ああん?」

茜「拓海さん。乃々ちゃんです。乃々ちゃん。私たち2人は付き添いなんです」

もりくぼ「むぇ~…」

拓海「乃々が?」

もりくぼ「そ、そうなんです…本当はもりくぼはいますぐにでも逃げ出したいんですけど…凛さんたちが意地悪で…」

拓海「(いや、意地悪ではないだろ)」

拓海「…いいか。乃々。アタシだって治療なんざ本当は受けたくねーんだ」

もりくぼ「た、拓海さんも…?」

拓海「ああ。だが、アタシたちはアイドルだろ? 歯ってのは力を込める時に食いしばるもんだ。そこが弱ってちゃ、いざという時に力が出ねぇ。アイドルとしてその『いざ』に備えるべきだとは思わねえか?」

もりくぼ「た、確かに万が一の時、みなさんに迷惑をかけてしまうかもしれませんし…プロデューサーさんも悲しむかも…」

拓海「だからこそだ。怖いかもしれねえが今日はきっちり歯を治して帰ろうぜ。心配すんな。治療なんて大したことねえからよ」

ポンポン(もりくぼの頭を撫でる音)

もりくぼ「た、拓海さん優しいです…」

拓海「へへっ」

茜「拓海さんが何やらうまいことやりましたよ?」(小声)

凛「乃々と距離を近づけるなんてずるいよ」(小声)

茜「そこですか」(小声)

凛「まあ。乃々が少し落ち着いたみたいだし、許してあげようかな」(小声)

茜「(許してあげる、ってどの立場からの発言なんですかね…)」

受付嬢「向井さーん。向井拓海さーん」

拓海「悪いな。先に行かせてもらうぜ。じゃあな」

茜「後から来たのに拓海さんが先なんですね!」

凛「私たちは事前に予約入れてなかったしね。仕方がないよ」

(診察室)

歯科医「ああ。キミは確か…アイドルをやってる向井さんだね。時々、テレビでも見るよ」

歯科医「プロデューサーくんから話は聞いてるからね。さ、そこの台に寝て口を開けて」

拓海「おう」

拓海「(まあ。ちっと我慢すりゃすぐ終わんだろ)」

アァー…

歯科医「では、早速治療を開始しようかね」

キュィィィィィンンン…!!

(待合室)

茜「そういえば。事務所にいる甘いもの好きの人たち(杏、かな子、志保、法子あたり)は虫歯にならないんですかね? 毎日のように甘いもの食べてますけど」

凛「うん。あの人らはこまめに歯を磨いてるみたい」

凛「杏持参のイチゴ味の歯磨き粉を甘党のメンバーで使いまわしてるって聞いたことあるよ」

茜「…歯、磨いてるんですね。なんとなく意外です」

凛「多分、杏は『虫歯になる方が面倒だから』」

凛「他の子は『虫歯になったら美味しいお菓子が食べられなくなっちゃう』って考えてるからじゃないかな」

茜「ああ。いますごく納得しました」

凛「でしょ」

茜「ところで。イチゴ味の歯磨き粉って歯を磨いた気がしなくないですか?」

凛「すごくわかる。ミントの残り香が口の中にないとね。逆に気持ち悪いよね」

茜「ええ! スキッ! シャキッ! がないと駄目ですよねー!」

凛「うんうん。そういえば乃々はちゃんと歯を磨いてたの?」

乃々「あ。いえ…もりくぼは一応、毎日ハブラシをしてたんですけど…」

茜「歯磨き粉は使ってますか?」

もりくぼ「も、もりくぼはミントの苦いのが苦手なので…」

凛「それが原因か」

茜「乃々ちゃん。歯磨き粉って結構重要ですよ」

もりくぼ「うぅ…すみません…」

凛「まあまあ。帰りにフルーツ味の歯磨き粉を見てみよっか。乃々でも使える奴を買わなくちゃね」

もりくぼ「…凛さん、ありがとうございます…」

凛「ふふっ」

茜「凛ちゃんはすっかり乃々ちゃんのお母さんでーーー」

拓海「ぐっ…ぐぁぁぁぁぁ!!!」

キュィィィィィンンン…

凛「!?」

茜「!?」

もりくぼ「!?」

(診療室)

歯科医「はい。静かにしていてくださいね」

拓海「ま、待て! さっきの激痛はねぇだろ! ちょ、ちょ、まーーー」

キュィィィィィンンン…

歯科医「はい。口を大きくあけて」

拓海「ーーーっ!」

キュィィィィィンンン…

拓海「あ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁっ!!!!!」

キュィィィィィンンン…

拓海「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! い、痛くなんかねぇぞお゛お゛お゛お゛お゛ぉぉっれ!!!」

歯科医「はい。静かにしていてください」

キュィィィィィンンン…

拓海「プロデューサーの野郎!!! あとでゼッテーしばくからなあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

(5分後。待合室)

凛「…」

茜「…」

ぎぃっ…

拓海「…」

茜「だ、大丈夫ですか?」

凛「すごい叫び声だったね」

拓海「」(バタッ)

凛「た、拓海!」

茜「拓海さーーーーーん!!!!」

もりくぼ「」

受付嬢「森久保さーん。どうぞー」

もりくぼ「むっ、むりくぼですけどぉぉぉ!!!」

受付嬢「はいはい。怖くないですからねー」(ガシッ)

もりくぼ「ま、待ってくだーーー」

受付嬢「あとの人も控えているので待ちませんよー」(にっこり)

いゃぁぁぁぁ…

(30分後)

ぎぃっ…

もりくぼ「え、えへへ…真っ白…歯も…頭の中も…雲のように真っ白…もりくぼは雪のような白さです…」

もりくぼ「」(ばたり)

凛「の、乃々ぉぉぉ!!」

茜「乃々ちゃんっっ!!」

拓海「」

(1日後)

もりくぼ「お、おはようございます…みなさん…」(キラーン☆)

拓海「よお」(キラーン☆)

凛「おはよう」

凛「(なんか2人ともキラキラしてる)」

茜「おはようございます!!! なんだか2人ともキラキラしてますね!!!!」

拓海「ああ。治療後は最悪の気分だったが、しばらくしたら目が覚めたみてーにスッキリしてたんだ。あの医者に感謝だな」(キラーン☆)

もりくぼ「も、もりくぼもです…まるで悪夢から覚めたかのような…晴れ晴れとした気分…かも…」(キラーン☆)

凛「ふふっ。そっか、よかったね乃々」

茜「よかったですね!!! 拓海さん!!!!」

拓海「まあな。それじゃあアタシはダンスレッスンに行ってくるわ。もし、プロデューサーの野郎が来たらよろしく言っといてくれ」(キラーン☆)

凛「うん。それじゃあ頑張って」

もりくぼ「あ…もりくぼもそろそろ、ボーカルレッスンに…行かなくちゃ…嫌ですけど…いまなら歌えるような気がします…」(キラーン☆)

茜「(乃々ちゃんが前向きに…!)」

バタンッ!

凛「…あの歯医者さん。結構評判なトコだったみたいだね」

茜「はい。昨日プロデューサーに聞いたんですけど、治療は痛い代わりにどんな虫歯も1度の治療で治してくれるそうですよ」

凛「へぇ」

茜「あと。今度、虫歯のアイドルを見つけたらすぐに連れていくようにも頼まれました」

凛「ふぅん」

凛「…なんか茜、プロデューサーと仲良くない?」

茜「い、いえ。気のせいではないですかね!?」

凛「ふーん」

茜「そ、それより。虫歯の人はどのように見つけていきまーーー」

?「痛っ!」

ちひろ「どうしました? 未央ちゃん?」

未央「いやー。麦茶イッキ飲みしたら歯にしみちゃって…虫歯なのかな?」

ちひろ「駄目ですよ。なるべく早く治さなきゃ」

未央「うん。なるべく早めに治すよ」

凛「なるべく」

茜「早めに治すは」

凛・茜「「信用できない!!」」(ガシッ)

未央「…は、はい?」

未央「2人ともおはよう。いきなり…ど、どうしたんすかね…?」

茜「決まってます!!! 未央ちゃん!!!」

凛「治療の時間だよ」


終わり

以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。

茜ちゃんともりくぼの公式での接点は少ないですが、積極性の塊と消極性の塊なので、絡みが実現されれば愉快なことになるんじゃないかと思ってます。デレステでユニット組まないかな…(願望)

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