ガヴリール「生まれてきてよかった」 (31)

 学校
―――――

ガヴリール(やっと放課後か)ンー

ガヴリール「今日も疲れたなあ」

サターニャ「ガヴリール!決闘よ!あんたの誕生日が今日をもって命日nモゴッ…」

ヴィーネ「サターニャちょっと黙ってて」ボソボソ

サターニャ「・・・」コクコク

ヴィーネ(よし)

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ヴィーネ「あんた授業中ほとんど寝てたでしょ。どう疲れるのよ」

ガヴリール「あ、ヴィーネ。いやー、昨日徹夜でネトゲしてて…」

ヴィーネ「またネトゲなの?もう…」

ガヴリール「ネトゲは仕事だからね」

ヴィーネ「あんたの仕事は学業でしょうが!」

ガヴリール「そうとも言うな」

ヴィーネ「そうとしか言わないわよ…まったく」

ヴィーネ「道中で居眠りしないように気を付けて帰りなさいよ」

ガヴリール「ん…あれ、ヴィーネは一緒に帰らないの?」

ヴィーネ「えーっと、私はちょっとサターニャと話があるから…」チラッ

サターニャ「へ?私?」

ガヴリール「うぉっ、いたのかサターニャ」

サターニャ「ずっといたわよ!逆になんで気付かないのよ!?」

ガヴリール「ごめん、なんかサターニャの声を聞き流すスキルが発動してた」

サターニャ「なによそのスキル!?ろくなスキルじゃないわね! …それで話って?」

ヴィーネ「あー。ここじゃなんだから、場所を移しましょ」チラッ

ガヴリール(…こっちを見た?私に聞かれたくない話なのか)

ヴィーネ「そういうわけだから、ごめんねガヴ」

ガヴリール「あ、うん。気にしなくていいぞ…じゃ、先帰る」ガラッ

――――

ガヴリール(二人っきりで…私に、聞かれたくない話?)スタスタ

ガヴリール(……っ)

ガヴリール「…ラフィでも誘うか」

ラフィエルの教室
――――――――
ガヴリール「ラフィ、いるか?」

ラフィエル「あら、ガヴちゃん?どうしたんですか?」

ガヴリール「いや…その、一緒に帰ろうかなって」

ラフィエル「一緒に、ですか?ガヴちゃんから誘ってくれるだなんて…」クスクス

ガヴリール「なんだよ、悪いか?」

ラフィエル「いえいえ♡珍しいな~って思っただけですよ?」

ラフィエル「いつもはヴィーネさんが一緒ですからね~。…そういえばヴィーネさんはいないんですか?」

ガヴリール「…まあ、そういう時もあるよ」

ラフィエル「…そうなんですか?」

ラフィエル(これは…面白そうなことになってますね…♡)ウフフ

帰り道
――――――――
ラフィエル「ヴィーネさんとサターニャさんが、二人で?」

ガヴリール「うん…なんか、私に聞かれたくないらしい」

ラフィエル「あらー…でもあの二人は悪魔ですからねぇ。天使には聞かれたくないこともあるでしょう」

ガヴリール「そうなのかな…」

ラフィエル(大方、ガヴちゃんの誕生日にするサプライズのお話でしょうけど…♡)

ラフィエル「ガヴちゃんは、それ以外に何かがあると?」

ガヴリール「え?それ以外?」

ラフィエル「そうですねー、たとえば…告白とか?」

ガヴリール「こっ…!?いやいや女同士だろ!…まさかサターニャは男だったのか!?」

ラフィエル「いえ、サターニャさんは女の子ですよ♡」

ラフィエル「でも、いまどきおかしくないみたいですよ~?同性愛」

ガヴリール「…まあ確かに同性愛の話をよく聞くけどさ」

ガヴリール「…いや、いやいやいや。ありえないって。うん、ないない」

ラフィエル「でも、あのお二方は付き合いも長いですからね~。もしかしたら…」

ガヴリール「いやいや、そういう冗談はいいから…ありえないって」

ガヴリール(…ありえない、はず)

ラフィエル「…うふふ♡」

別の帰り道
――――――――

荷物の山(ドンッ!)


サターニャ「…なにこの荷物の山」

ヴィーネ「サプライズパーティの道具たちよ」

サターニャ「え?さぷらいずぱーてぃ?」

ヴィネット「うん」

サターニャ「だれの?」

ヴィネット「ガヴのよ」

サターニャ「…今日?」

ヴィネット「うん」

サターニャ「へー……え?いまから準備するの!?」

サターニャ「なによそれ!急すぎるわよ!」


ヴィーネ「誕生日の贈り物は何がいいかな~って、色々考えててね?」

ヴィーネ「昨日思いついたのよ…サプライズパーティを!」

サターニャ「ヴィネット…あんたねえ…イベントが好きなのはいいけど」

サターニャ「もっと早く思いつきなさいよ!今から準備できるわけないでしょ!」

ヴィーネ「だ、大丈夫よ!ラフィも手伝ってくれるって!」

サターニャ「ラフィエルが…?大丈夫なのそれ」

ヴィーネ「大丈夫よ、ラフィだって友達の誕生日を祝うのに変なことしないでしょ」

サターニャ「あんたはラフィエルを信用しすぎ… まあいいわ!」

サターニャ「このサターニャ様が、最高のパーティになるように手伝ってあげるわ!!」

ヴィーネ「サターニャはケーキをお願いね」

サターニャ「私がケーキを作るのね!?任せて!腕が鳴るわ!」


――巨匠、動く!!!

ヴィーネ(あ、実家のケーキって意味だったんだけど…)

サターニャ「ヴィネット!早くいくわよ!邪域(サンクチュアリ)が私たちを待ってるわ!」

ヴィーネ「…まあ、大丈夫かな?」

帰り道
―――――――――

ガヴリールガヒトリ♪ ガヴリールガフタリ♪ ガヴリールガ…

ラフィエル(あら、ヴィーネさんからメール…)

ラフィエル「ごめんなさい、ちょっとメールを」ゴソゴソ

ガヴリール「なんだその着信音…別にいいよ」

ラフィエル「とあるルートから入手した極秘の着信音です♡」チラッ


  『ガヴの部屋の準備ができるまで、ガヴを連れ回して!』


ラフィエル(…ガヴちゃんの家に合鍵で入ったんですかね?不法侵入では…?)マガオ

ガヴリール「…ラフィエル?真顔になってるけど、どうかしたか?」

ラフィエル「はっ!…いえ、少し考え事をしてて…」ポチポチ


『分かりました!終わったら教えてください♡(天使の絵文字)』


ラフィエル(送信、っと…)ポチ

ラフィエル「ガヴちゃん。ちょっと寄り道しませんか?」

ガヴリール「寄り道?いや、今日はネトゲ…」

ガヴリール(…今日の予定で思い出したけど、今日は私の誕生日か。誕生日にネトゲってアレだな)

ガヴリール(誕生日か。…あの二人は今、何してるんだろう)

ラフィエル「ガヴちゃーん?」

ガヴリール「ああ、おう。まあ今日くらいは良いよ」

ラフィエル「よかったです!最近、面白いお店を見つけまして―――」

ガヴリール(なんか、ちょっとだけ寂し…いやいや!)

ガヴリール宅
―――――――――

ガチャッ

ヴィーネ「お邪魔しまーす」

サターニャ「…当たり前のように合鍵で開けたわね。不法侵入じゃないの?」

ヴィーネ「え?なんで?」

サターニャ「なんでってアンタ、ここはガヴリールの…ん?」

サターニャ「ちょっ、この部屋きたないわね!?」


ゴミの山(ドドーンッッ)


ヴィーネ「あ…忘れてた。ガヴの部屋は汚いんだった…!」

サターニャ「このまま飾り付けたら悪魔の儀式になっちゃうじゃないの! まずは掃除ね…」

ヴィーネ「サターニャ!手分けして片づけるわよ!」

サターニャ「当然よ!私たち悪魔の力を見せてやりましょう!」グチャッ

サターニャ「あ、なんか踏んづけた? …ぎゃー!靴下に謎の物体が!」

ヴィーネ「ちょっとサターニャ、押さないで…あっ、私もなんか踏んだ!?いやー!!」

喫茶店
――――――――――

ガヴリール「グラサンのグラサンってどこで買ったんだろうな」

ラフィエル「グラサンさんのグラサンさんですか?眼鏡屋では?」

ガヴリール「いや、あのグラサンのグラサン感はただのグラサンじゃないな。あれは――」

ンナーッハッハッハ!ンナーッハッハッハ!

ラフィエル(この着信音はサターニャさん…!)

ラフィエル「ごめんなさい。ちょっとメールを…」ゴソゴソ

ガヴリール「別にいいけど、すごい着信音だなそれ」ヒキッ

ラフィエル「お気に入りです♡ガヴちゃんもこれにします?」

ガヴリール「いやいいよ…その着信音だと見る気なくすし」

ラフィエル「残念です♡」チラッ


『準備できたから来ていいわよ!(悪魔の絵文字10連発)』

ラフィエル(相変わらず悪魔の絵文字をいっぱい使っていますねぇ…♡)


『はーい。今から向かいます♡(天使の絵文字50連発)』


ラフィエル(送信、っと…)

ラフィエル「ガヴちゃん、そろそろ帰りましょうか?」

ガヴリール「ん…ああ、もうこんな時間か。今日は時間が過ぎるのが早いな」

ラフィエル「ふふっ。楽しんでもらえたみたいでよかったです♡」

ラフィエル(でも、放課後からずっと寂しそうな顔でしたね~…うふふ♡)

ガヴリール(もう少し喋っていたい…なんてな。私のキャラじゃないな)

ガヴリール「じゃ、帰るか」

ラフィエル「はい!」

アリガトウゴザイマシター

帰り道
―――――――


ガヴリール「ラフィの家ってどこだっけ」

ラフィエル「向こうの方ですねー」

ガヴリール「ん、じゃあここでお別れかな。今日はありがとな」

ガヴリール(誕生日はこれで終わりか。…ま、こんなもんだろ)

ラフィエル(あらー、ほんとに寂しそう…。帰ったら泣くんじゃないでしょうか?)

ラフィエル「…あ、そうだー。私、ガヴちゃんの家に忘れ物がー(棒読み)」

ガヴリール「え?忘れ物?いつ忘れたんだよ、それ」

ラフィエル「この前、神足通で間違えてガヴちゃんの部屋に行ってしまって…(棒読み)」

ガヴリール「えぇ…不法侵入じゃん…」

ラフィエル(現在進行形で不法侵入されてますけどね!)クスクス

ガヴリール「まあいいや、じゃあ一回うち来る?」

ガヴリール「(比喩なしに)散らかってるから探すの大変だし」

ラフィエル「はい♡すぐ行きましょう?」

ラフィエル(ガヴちゃんの反応が楽しみですねぇ…)クスクス

ガヴ宅前
――――――――
ガヴリール「鍵…鍵は…あ、あった」

ガヴリール「こんな部屋に盗みに来る奴なんていないのに、鍵なんているのかな」

ラフィエル「女性の一人暮らしは危ないんですから、鍵はちゃんと掛けてくださいね?」

ラフィエル「それよりも早く開けてください!ハリー!ハリー!」

ガヴリール「うわっ、どうしたんだよラフィ…?落ち着けって」ガチャッ

ガヴ宅内
――――――――

ッパーン!ッパーン!


ガヴリール「ひゃぁっ!?」ビックゥ!

ガヴリール「……え?」ポカーン



ヴィーネ「ガヴ!」

サターニャ「ガヴリール!!」

ラフィエル「ガヴちゃん♡」

「「「ハッピーバースデー!!!」」」

ガヴリール「あっ?えっ?みんな…?」

ガヴリール「なん…だよ、これ。なんだよ…」

ラフィエル「サプライズパーティですよ~」

ヴィーネ「どう?びっくりした?」

サターニャ「ほら、とりあえず部屋に入りなさいよ!」グイグイ

ヴィーネ「そうよ!入って入って!飾りつけ頑張ったんだからね?サターニャと二人で!」グイグイ

ガヴリール「お、おい!押すなって…! …あ」


ガヴリール(――部屋のいろんなところにキラキラした飾りがついて)

ガヴリール(きれいな文字で、お祝いの言葉が大きく書かれたボード)

ガヴリール(そして真ん中に、ちょっと………いや、かなり不恰好なケーキ)


サターニャ「どう?このケーキ!私の自信作なんだから!…見た目はあれだけど!」フフン

ヴィーネ「味は私が保障するわよ、いっぱい味見したから!…体重が心配だけど」タラー

ラフィエル「サターニャさんの手作りですか?いいですね~!…ガヴちゃん♡」ニコニコ

ガヴリール「…みんな」

ガヴリール「…ぐっ」

サターニャ「ちょ!ぐっ、って!なによその反応!」

ヴィーネ「サターニャ、ちょっと…」

ヴィーネ「…ガヴ?泣いてるの?」

ガヴリール「…な、ないてない、みるな」

サターニャ「え?泣いてるの?わ、私なんかした?ごめん!」

ガヴリール「…ちげぇよバカ、そういうのじゃないから、ほんと…」

ラフィエル「ふふ…ガヴちゃん。嬉しいんですよね?祝ってもらえるのが…」ナデナデ

ガヴリール「………うっせ」

サターニャ「泣くほど嬉しかったってこと? …まあ、このサターニャ様が祝ってるんだし、当然よね!」

ヴィーネ「まさか泣くなんて思ってなかったけど…喜んでくれたならよかったわ」

ガヴリール「…も、もういいから。腹減ったし、はやく始めようよ」

サターニャ「あ、そうね!私もお腹が空いたし、早く食べましょうよ!」

ラフィエル「そうですね~。いい匂いのする喫茶店でご飯を我慢してましたし、お腹が…」

ガヴリール「ほんとだよ、我慢させられてもうお腹ペコペコだ…」

ヴィーネ「ふふ…。じゃあ、ガヴは私が食べさせてあげるわね」

ガヴリール「…あ、それは別にいいです」

ヴィーネ「えっ…?」

――――


ガヴリール「はぁー、食べた食べた」

サターニャ「うぐ、かなり量が多かったわね…。ヴィネット、張り切りすぎじゃない?」

ヴィーネ「ちょ、ちょっとだけ頑張りすぎたかも…?」

ガヴリール「ちょっとだけ…?」

ラフィエル「クリスマスでもないのに七面鳥が出てきたのですが…?」

ヴィーネ「えっと…かなり頑張りすぎました、ごめんなさい…」

ガヴリール「…まあ、途中からサターニャが大食い対決を1人で始めたから助かったな」

サターニャ「ちょっと!?相手はアンタだったんだけど!?」

ガヴリール(…まあ、今日くらいは良いか)

ガヴリール「あーはいはい、お前の勝ちだよ。おめでとう」

サターニャ「ちょっと、なによそれぇ!?」

ヴィーネ「サターニャ、勝ててよかったじゃない!」

ラフィエル「念願の勝利ですね、サターニャさん♡」

サターニャ「こんなんで勝った気しないわよ!!」


ヴィーネ「…あ、もうこんな時間?」

ラフィエル「あ…本当ですね。もう夜も遅いですし…私たちは帰りましょうか」

サターニャ「え?あっ!やばっ!魔界通販が始まるじゃない!?」

ガヴリール「ん、帰るのか。…気をつけて帰れよ」

サターニャ「んなーっはっはっは!言われるまでもないわ!夜は私のステージよ!」

ラフィエル「うふふ…私はサターニャさんの家で二次会をしますので、お気になさらず♡」

サターニャ「は、二次会?なにそれ?」

ラフィエル「ほらサターニャさん、早く行きましょう♡」ズルズル

サターニャ「え、ちょ、引っ張らないでよ!ヴィネット――」ガチャン

ガヴリール「……仲いいなあいつら」

ヴィーネ「そ、そうね…? 仲が良いっていうか、子供に連れまわされてる犬みたいだけど」

ヴィーネ「…ねえガヴ。私、今日泊まろうか?」

ガヴリール「え?なんで?」

ヴィーネ「今のガヴ、なんだか放っておけないのよね。儚いっていうか…」

ガヴリール「…ぷっ。なんだよそれ」

ヴィーネ「わ、笑わないでよ」

ガヴリール「あはは…はは…」

ヴィーネ「…ガヴ?」

ガヴリール「ははっ…あー…。その…ごめん、抱き付いていい?」

ヴィーネ「え?うん、いいけど…?」

ガヴリール「ん、ありがと…」ギュッ

ヴィーネ「…大丈夫?」ナデナデ

ガヴリール「ん…。大丈夫」

ガヴリール「…なんかさ。みんなと一緒にいて、一緒に喋って、一緒に騒いで…」

ガヴリール「こんなのキャラじゃないけどさ…」

ガヴリール「幸せだなー、楽しいなー、って…永遠に続けばいいな、って…」

ガヴリール「胸が…締め付けられるみたいでさ、抑えが効かなくて…」グスッ

ガヴリール「っくそ…! なぜか、涙が出るんだ…」

ヴィーネ「ガヴ…」

ヴィーネ「寂しかったのね、ガヴ…。ごめんね、気付けなくて」ナデ

ガヴ「ん……」

ヴィーネ「大丈夫。いっぱい泣いていいから」

ヴィーネ「疲れてそのまま寝ちゃってもいいから」

ヴィーネ「寂しがらなくていいの。みんなずっと一緒だから」

ヴィーネ「いずれ離れ離れになっても、また会いに行くから」

ヴィーネ「寂しい時は、ずっと傍に居てあげるからね…」

ガヴリール「………ありがと、ヴィーネ」ギュ…

ヴィーネ「どういたしまして」ナデナデ

ガヴリール「…優等生だった時はこんな事、思わなかったのにな」

ガヴリール「私、みんなに会えて、…ヴィーネに会えて、よかった」

ヴィーネ「ふふ。ガヴったら…」

ヴィーネ「…私も、みんなに会えて、…道に迷ってた時、ガヴに話しかけられて、よかった」

ガヴリール「…ヴィーネ」クスッ

ヴィーネ「…ガヴ」クスッ

―――あなたが生まれてきて、よかった


誕生日なのを思い出して、急いで帰って、急いで書いて、でも結局12時までに間に合わないっていう。

天真さん、誕生日おめでとう

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