【安価】那珂「艦プラビルドファイターズ・イノセンス」 (42)

前スレ
榛名「艦プラビルドファイターズ・ブレイヴⅣ」(ブレイヴ編完結)
【安価】榛名「艦プラビルドファイターズ・ブレイヴⅣ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1463243194/)

Q:艦プラバトルの安価ルールは?
A:バトルごとに使用艦とその艤装を安価で決定します


Q:艤装にミサイルとかは使えるの?
A: 近代兵装とSF武装は無しでお願いします。


Q:艤装による有利不利はあるの?
A:重量によって速力の変化は生じます。重量のある艤装を積むとその分回避が落ちてしまいます。
それについてはコンマ時に補正をこちらで入れさせていただきます。


Q:主砲は兎に角大口径砲を積んだ方が良いのかな?発射速度や命中率とか考えないならそうなるんだけど
A:発射速度や弾速は小口径なほど早いとします。 ただし自動装填装置等の補助装置は考慮しません。
つまり単純に小口径ほど早く連射でき弾速がある分命中率が高いと考えます。
その命中率についてはコンマ時に補正をこちらで入れさせていただきます。
※参考:各国の艦砲の性能
http://www.ac.auone-net.jp/~reliant/Naval-Gun-Data.html


Q:艤装の制限だけど「史実で装備したら可能」なのか、「排水量的な意味で可能」なのかわかんない
A:史実で装備していた、または装備艦以下の排水量の艦が装備していた、または出来るだろうと考えられる艤装は可能と言うことです。
例:装備艦が戦艦や正規空母レベルの場合、それ以下の排水量の艦(軽巡洋艦、駆逐艦等)が装備していた艤装は可能(つまり駆逐艦に大和砲積むとかは不可能だが、水雷戦艦や重巡砲搭載空母は可能)


Q:艤装に主砲や魚雷以外の装備、例えば機雷(一号連携機雷)、甲標的(松型駆逐艦は回天搭載型あり)、水上機カタパルト(米フレッチャー級駆逐艦ブリングル)
後は不審船事件で使われたスクリューを絡めるための網とか、桜花、シュトゥルムティガー38cmロケット推進臼砲みたいなロケット兵器は積めますか?
A:排水量の範囲で積めますが、本編で使われるかは安価次第になります。


Q:艤装は第二次大戦までだけど、艦は第二次大戦以降でも可能?
A:WW2時における日本、ドイツ、アメリカの艦限定でお願いします。
例えばアメリカのデモイン級重巡洋艦は発注および起工こそ大戦中ですが、完成が大戦後なので大戦後の艦という扱いになります。


Q:プラモならではの大スケール戦艦や魔改造モデルは使用可能?
A:大スケールモデルは運営エネミーだけです。
魔改造モデルを使用する時はバトル安価時に指定します。


Q:あくまで「プラモ」なら某漫画みたく、接着剤やライターみたいな装備は可能?
A:流石に無理です。

Q:計画艦、計画艤装とかは使えるの?
A:計画艦については模型やイラスト等が存在し、またそれらに加えてスペックが安価時に明示されれば使えます。
ただし、計画艦でも途中で仕様が変更になり、結果建造された艦についてはその仕様変更後のスペックを船体(艦)のスペックとして流用します
例:「巡洋戦艦赤城」の船体を使用する場合は「正規空母赤城」の史実での船体スペック(速度等)が使用される、ただしあくまで船は「戦艦」扱いなので艤装は戦艦系艤装が使用可能となる。

Q:仮想・架空戦記とかに登場した艦や艤装は使える?
A:模型やイラスト等が存在し、またそれらに加えてスペックが安価時に明示されれば使えます。
ただし、あまりにぶっ飛んでいるものは使えません。

Q:「プラモ」だし、金属パーツは使えるの?攻防両面でパワーアップが見込めるけど
A:使えますが、艤装などに使用した場合、艤装制限に引っかからなくても、重量制限に引っかかることがあります


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1492675314

プロローグ1 『蘇る純潔』


《舞鶴 病院》

目の前を2機の機械の巨人が駆ける。白と黒の2色、そして緑の赤い燐光を身に纏ったその巨人は所謂『ガンダム』と呼ばれる機体だった。

その2機の『ガンダム』は漆黒の禍々しい『ガンダム』へと真っ向から立ち向かう。


「す、凄い…」

「あれだけの数を、一瞬で…」


立ち塞がる敵を次々と屠りながら2機の『獣』が巨人へと襲い掛かり、そして一瞬でその巨人を破壊する。その姿はまるで…


「『獣』…」


私はそう呟いた、呟くしか出来なかった。私は、何も出来ないのだから。



あれは去年の事。 その時の私はアイドル、そこまで売れてはいなかったが地道に活動して基盤を作り上げながらも活動をしていた。

しかし、私の心は既に限界が近かった。 そして決定的なことが起きる。


『ファンやめます』


帰路につく途中、電車の中で言われた言葉。 そしてその一撃が、私の心の柱を叩き折ったのだ。

そして私は精神が壊れ、表舞台から姿を消さざるを得なくなってしまう。


「私、何やってるんだろう…」

「ちょっと那珂! それより今は避難しないと!」

「う、うん!」


双子の姉、川内が避難を促す。 荷物は纏め終わったし逃げる準備は出来ていた。

しかしこの病院に、まだ沢山の患者が残っている。 医者や看護婦はとうに逃げてしまったのに。


「今病院を出ても、巻き込まれるだけか…」

「まだ戦闘は続いてるし…」


ロビーに降りると、そこは阿鼻叫喚の絵図だった。 もう医者は逃げ出しているのに患者が運ばれ、逃げ出そうとして他の患者に止められる人が沢山溢れ返っている。


「どうすれば良いんだよ!?」

「今逃げたら流れ弾で死ぬぞ!?」

「ここで待ってても流れ弾で死ぬだけだ!」


「駄目だ… 戦闘が終わるまで、待つしか無いね」

「でも、何時戦闘が終わるか…」


市街地はまだあまり戦火に包まれていなかったがここは郊外、そして既にさっきのように2機のMSが目の前を通り過ぎる程戦場が近い。

逃げ出しても、避難場所もここしか無い以上留まるしか選択肢も無かった。

「おがぁぁぁさぁぁぁぁぁん!」

「迷子…?」

「違う、こんな子今まで病院には…」


1年近く病院に入院し続け、かなりの患者と交流を持った私は殆どの患者と顔見知りだった。

しかし目の前の子供は見た事が無い、恐らく避難民なのだろう。母親と逸れたようだが…


「その子、母親と逸れちゃったみたいなのよ」

「そうなんですか…」

「今この状況じゃ探せないし、どうすれば良いんだか…」


世話焼きで世間話好きなおばさんが私にその話を教えてくれるが、私にはどうする事も出来ない。

子供をあやす手段も、落ち着かせる事も私には…


(違う… 出来るかも、しれない)


自分の喉に手を触れ、呼吸を整える。 1年振りに私は喉の調子を確かめた。

あの日、心を壊して以降全く歌えなかったのに。 上手く歌えるかどうかはわからない、しかしこの子為なら…


「~♪」


簡単な子守唄でも良い、この子を落ち着かせる為なら私は歌える。

ライブでも無いし観客はたった一人、それでも私はこの歌でこの子の為に歌を紡ぎ出す。


「那珂が、歌ってる…」

「~♪」


やがてその子は泣くのを止め、私の歌へと耳を傾け始める。 


「ふぅ…」

「お姉ちゃん、凄い!」

「そうだよ~、なんたってお姉ちゃんは『アイドル』だもん」


子供の頭を優しく撫でながら語りかける。 正しくは『元アイドル』だが、この際はどちらでも良い。

ただこの場で、歌を必要としてくれる人に歌えれば良いのだから。



この一件は後に『舞鶴事変』と呼ばれ、侵攻してきた敵は『ディメンジョン・インベーダー』と呼称される事になる。

そして私達が救出・保護されるまで、丸一日を要したのであった。


プロローグ1『蘇る純潔』終

プロローグ2『三つ巴の戦い』

11月某日・ビキニ環礁近海


「どうして…!」


『GN-XⅢ』のコクピットから叫ぶ。ランスに内蔵されたライフルを乱射するが、狙いをつけた『黒いMS』を撃ち落とすことが出来ない。


『どうして『英雄』が、私達の敵に…!』

『味方じゃないのか!?』

『速過ぎる!あんなの、勝てる訳… ぐぁぁぁぁっ!』


友軍の1機が撃破され、墜落する。後方から現れたMS、白色のMSが放ったビームが直撃したのだ。

その機体の事も情報では把握していた。『英雄』の同型機、MIを解放したMSの1機だと思い出す。そしてさらに後方から2機のMSが私達に襲い掛かる。


『あの機体『GNZシリーズ』か!?』

『オールレンジ攻撃など… うわぁぁぁぁぁ!?』

「なら… やぁぁぁぁぁぁっ!」

『止めろ!迂闊に出ると…』


機体を加速させて黒い機体へと肉薄し、ライフルを乱射しながらランスを構えて突進する。いくらあの機体でもランスの一撃が直撃すればただではすまない、と思ったが…


「なっ…!?」


黒い機体の装甲が裂けて光を帯び、モニターから姿が消えた。そしてこちらの反応速度を超えた速さで後ろへと回りこまれ両脚部をサーベルで切り裂かれる。


「きゃぁぁぁぁぁぁっ!?」


あの機体に私の一撃は届かない、触れる事すら出来ない。強すぎるのだ、あの黒い機体は。そして黒い機体はGN-XⅢを海へと蹴り落とす。


(どうして、敵になっちゃったのかな…)


同じ人間の筈なのに、本当なら戦わなくて良い筈なのに。脱出機能すら喪失したGN-XⅢは失速し、このまま墜落していく。爆発の衝撃で意識を失いつつある私が最後に考えたのは…


(どこで、間違っちゃったのかな。きさ―――)


そして次の瞬間、私の機体は爆発を引き起こして意識はブラックアウトした。

白と金、そして銀色の機体が空を駆ける。 立ち塞がるMSを薙ぎ払い、一直線にこちらへと。

白い機体は特に異色、立ち塞がるMSに触れる度に機体が崩壊し復活しなくなる。


(コレハマルデ…)


浄化している、『我々』を形作るものを。 受け止めて浄化し、そして消し去っている。

『我々』の天敵、勝てる訳が無いのだ。


「コンナトコロマデ来タンダネ… ジャア、相手ヲシテアゲヨウカ」


眷属の群れを解き放ち白い機体へと攻撃を集中させ、物量差で破壊しようとした。 しかし、それが間違いだった。

金色のMSは手に持ったバズーカを放ち、こちらへと直撃させる。 そして炸裂した弾頭が『私』を削り取る。


「コンナ炎ハ、嫌ダヨ…!」


炎、なんて生ぬるいものでは無かった。 こちらを形作る物質を空間ごと『削って』いるのだ。

だが致命傷には程遠い、この程度のダメージならまだやれる。


「楽ニ逝ケルト、思ウナヨ!」


しかし反撃出来ない、目の前に迫っていたのは大きな光の塊だった。

この砲撃は『重力子』によるもの、そして先程の『弾頭』と同質のもの。


「ガァァァァァァッ!?」


直撃した光が私の一部を削り取り、そして削り取られた場所が爆発して私の身を焼く。

熱い、熱い熱い熱い! 『また』だ、また私は炎に焼かれるのだ。


「イズレ、貴様ラモ… コノ炎ニ焼カレテ…! ッ!?」


既に、目の前に迫っていた。 死が、我々を形作るものを消し去る『天敵』が。

そして拳が放たれ、私に触れた瞬間形作るものが消えていく。


「ソウカ、私は…」


消えいく意識の中でふと思ってしまった。 望んでしまった。

もっと生きていたい、今度は綺麗な海の上で歩んでみたかったと…

>>1乙です

《数日後 東京・葛西臨海公園》


那珂「はっ、はっ…!」

那珂(日課の早朝ランニングだけど… やっぱり1年やってなかったから身体鈍ってるなぁ…)

那珂「ふぅ… ちょっと休憩しようかな…」

那珂(やっぱり静かで誰も居ない… 冬場だからかな? でも、その位が丁度良いかな。怪しい人に会わなくて済むし)

ラジオ『『ディメンジョン・インベーター』は全滅、自衛隊及び米軍の被害は殆ど無く…』

那珂「『DI』か…」

那珂(あの日、『舞鶴事変』が起きてから今回で3度目… 『東京湾沖会戦』、そして『第一次宙間戦役』… 世界は何処に向かってるの…?)

那珂「ま、那珂ちゃんには関係無いからねぇ… ん?」


那珂(その日、私は出会ってしまった)


ラジオ『また今回の『ディメンジョン・インベーダー』の勢力は二つ入り乱れたものであり…』

那珂「あれは…」


那珂(波打ち際に倒れているのは女の子と、裸の女性…)


那珂「えっと、携帯…」プルルルル

川内『もし、もし…』

那珂「あ、川内ちゃん?」

川内『那珂…? 私、眠い…』

那珂「庭のリヤカー、あと毛布持って来て。 なるべく早く、場所は臨海公園の… 第二駐車場で良いから」

川内『…何言ってんの? 私眠い…』

那珂「持って来たら夕飯、好きなの作ったげる」

川内『ダッシュで行く! 待ってて!』

那珂「さて… どうしたものかな…」


那珂(この二人が私の日常を一変させてしまうのだと、何も知らずに)


那珂「取り敢えず、この人にはジャージをかけておいて… 駐車場まで運ぶか…」


那珂(知らずの内に、私の歯車は急回転を始めるのであった)


プロローグ2『三つ巴の戦い』

第一話『アイドル・ニンジャ・ガイジン・にゃしぃ』


《3月下旬》

川内「おはよ…」

那珂「また夜更かし?」

川内「良いじゃん、別に… 私が何してようが…」

那珂「そんなんじゃ、学校通えなくなるよ?」


那珂(私は那珂、ちょっと問題があって休学してた高校2年生。 双子の姉の川内ちゃんと一緒に暮らしてる。

両親は海外を飛び回って日本に帰る事は殆ど無い。 それでも関係は良好だが)


サラトガ「センダイ、夜起きてるのも勝手ですがあまり騒ぐのはいけませんよ?」

川内「わかってるよサラ…」

サラトガ「濃い目のcoffe用意しておきましたから、飲んで眠気を醒ましてください」

川内「はーい…」

那珂「ごめんねサラさん、川内ちゃんのお世話させちゃって」

サラトガ「いえ、これがサラのお仕事ですから」


那珂(この人はサラトガさん、記憶喪失なので家で保護したらウチの家政婦的な役割になった人。

外人さんだけど大使館の入管記録には無いらしく身元不明なので家で保護している。かなり良い人)


睦月「今日の朝食は睦月の特製なのです!」

川内「ホットサンドとサラダ、それとベーコンエッグ… サラさんのメニューと大差無いじゃん」

睦月「教えて貰いながらやったから… で、でもちゃんと味は大丈夫だよ!」

サラトガ「ええ、そこは保障します。 ムツキも最近は上達してきましたから」

睦月「睦月、褒めて伸びるタイプにゃしぃ、いひひっ!」

那珂「あざとい」

睦月「そんにゃぁっ!?」


那珂(睦月ちゃんもサラトガさんと似た経緯で拾った子。 『自分は異世界の人間』って自称してる。

十中八九嘘だろうけど。 だって異世界人って事は『DI』って事だし)

『ビキニ環礁沖での戦闘後の調査では、『クロスロード作戦』に携わった艦艇の残骸が複数消失しており…』


那珂「残骸が消えた、ねぇ…」

川内「どうせ、化け物に取り込まれたんじゃないの? 舞鶴の時だって、何人も取り込まれたみたいだし」

サラトガ「舞鶴?」

那珂「『舞鶴事変』、初めてこの世界に『DI』が出現した事件の事だよ」

川内「モビルスーツを保持した『ハシラジマ』って所の人達が何とかしたけど… まぁ、大変だったよ」

那珂「そうそう… 病院でお医者さんは速攻で逃げちゃうし、目の前で戦闘は起きるし… 2機の『ガンダム』が至近距離で通り過ぎてった時は冷や汗ものだったよ」

睦月「『ガンダム』?」

那珂「詳しくは知らないけど、角が付いて二つ目だったから『ガンダム』じゃないの?」

川内「私達が目撃したガンダムは4種類、かな? 赤と緑に光ってるガンダムと黒くて大きなガンダム、あと私達を助けてくれた一つ目の隠れたガンダム…

あと知ってるのはニュースで時々見かける『ガルムガンダム』と『ヘイズル』って機体くらいだね」

睦月(緑に光るガンダム… でもあの時睦月が…)

那珂「どうしたの?」

睦月「何でも無いにゃ。 それより那珂ちゃん、お仕事見つかった?」

那珂「まだまだ。 新しい事務所、あんまりお仕事きて無いみたいだし…」

川内「最近出来たばっかの事務所だから仕方ないよ。 雇用条件は前のとこの数倍良いし」

那珂「まだどうなるかはわからないけどね」

那珂(私の入院騒動で、前の事務所は解雇された。 まぁ、すぐ事務所が倒産したみたいだけど…

そして去年の復帰後、新しい事務所に所属する事になったものの…)

サラトガ「『ホエール・エンターテイメント』、信用出来るんですか?」

那珂「東北がメインのグループ企業の傘下企業だし… そこの広報の仕事は結構まわってくるけど」

睦月「でも毎回毎回東北に行ってたら疲れるにゃしぃ」

那珂「そこなんだよねぇ… 会長さんも良い人だから断れないし、こっちが希望する仕事も探してくれてるけど…」

川内「何だっけ、この前言われたの」

那珂「『インパクトが無い』… パンチが薄いんだって」

睦月「じゃ、語尾を変えてみるとよいぞ!」

那珂「却下」

睦月「そんにゃぁ!?」

那珂(私のパンチ、か… あんまり取り得の無い私に、インパクトを持たせることなんて出来るのかな?)

大鯨さんの会社名出てくるの今回が初めてかも

>>10 実は榛名編1スレ目、秋月回にも出ています(『株式会社ビッグ・ホエール』…玩具製造業、製品は『長10cm砲ちゃん人形』など)


《夕方 臨海公園内》

那珂「はっ、はっ…!」

睦月「那珂ちゃん、そろそろ暗くなってきたしそろそろ上がった方が良いよ?」

那珂「ふぅ… うん、そうする」

那珂(体力も前と同じ位まで回復してきた頃だし、そろそろステージ上の仕事が欲しいなぁ…)

睦月「およ… 那珂ちゃん、何かメール来てるよ?」

那珂「メール? どれどれ…」

『新しいお仕事が見つかりましたので明日用事が無ければ打ち合わせをします。場所はいつもの場所で。 会長より』

那珂「こっちの都合を無視してる!?」

睦月「なんだぁ、いつもの事じゃにゃいですか~」

那珂「ウチの事務所、これが無ければなぁ… どうせ身体鍛えるくらいしかする事無いけど」

睦月「新しいお仕事って何?」

那珂「さぁ? 書いてないし」

睦月「…本当にこの事務所、良い所なの?」

那珂「…わかんなくなってきた」


《那珂の家》

川内「へぇー… 会長さんが直々にねぇ」

サラトガ「その人、GroupのPresidentですよね? 随分とfootworkが軽いような…」

那珂「那珂ちゃんを直々に自分から雇いに来るような人だったし、もう慣れたよ」

睦月「でも聞いた限りかなり滅茶苦茶な人にゃしぃ」

那珂「色々ぶっ飛んでるからね…」

サラトガ「一度、会ってみたい気もしますが…」

那珂「じゃあサラさんも一度来てみる?」

サラトガ「サラも?」

那珂「そろそろ那珂ちゃんもマネージャーを付けた方が良いって前に会長が言ってたし、サラさんなら務まりそうだから」

睦月「えぇ~、睦月は?」

那珂「お留守番。川内ちゃんの見張りでもしておいて」

川内「見張りって、私見張られる様な事してる?」

那珂「『何もしてない』から。 川内ちゃんただでさえ勉強しないのに、今休学してるからって全くやってないでしょ」

川内「それは那珂だって…」

那珂「川内ちゃんが夜騒いでる間にやってるよ」

川内「うっ…!」

那珂「ともかく、川内ちゃんは勉強でもしてて! 睦月ちゃん、川内ちゃんを監視してたら今度美味しいパフェご馳走したげる」

睦月「了解にゃ!」

《翌日 都内・カフェ》


「あら、早かったですね」

那珂「いや、メールに時間書いてなかったから時間がわからなくて…」

「あれ…? やだ… ごめんなさい、書き忘れていました」

サラトガ「えと、この方が?」

那珂「うん。この人が『ホエール・エンターテイメント』の親会社、東北の『ホエール・グループ』の会長でもある大鯨さん」

大鯨「こんにちわぁ。『ホエール・グループ』の大鯨です」

サラトガ(か、かなりイメージと違う方で…)

那珂「あれ… 前の秘書の人は? 確か付き人の女の人が…」

大鯨「えっとね、あの子引き抜かれちゃいました」

那珂「え?」

大鯨「あの子結構優遇してたのに、他の事務所に引き抜かれちゃって。しかも色んな情報持って行っちゃって…

お陰で最近忙しくて… 各方面に謝りに回ったり、引き抜いた事務所潰したり」

那珂(み、見た目に似合わず恐ろしい…!)

サラトガ(Oh my god…)

大鯨「あの子の話はお仕舞い。 私一人でも仕事は出来るし、今日は貴女の仕事の話ですから」

那珂「あ、はい」

大鯨「今日の話は他でもありません。今回の依頼は私達と提携している『呉グループ』からの依頼なんです」

サラトガ「『呉グループ』?」

那珂「日本で有数のグループ企業の一つだよ。確か元々はホテル事業の…」

大鯨「『呉グループ』はホテル事業を主に展開しているグループでした。しかし3年前の会長交代による経営改革に、一昨年のアナハイム倒産の際に『艦プラバトル』に関する事業やノウハウを買収し全ての利権を手に入れています。

そして貴女に依頼しているのは、その艦プラバトルに関連する『プラフスキー粒子研究所』なんです」

那珂「『プラフスキー粒子研究所』が私に?」

大鯨「では、去年の世界大会で何が起きたかご存知ですか?」

那珂「確かDIが、テロ紛いの事をしたと…」

大鯨「そのせいで、世間から艦プラバトルのイメージが大幅ダウンしてしまったんです。後日開催された決勝戦の放映でも、それを覆す事は出来ませんでした。

一昨年の『台場事変』の事もあり、このままでは『艦プラバトル』そのものが危うい状態で… そこで白羽の矢が立ったのは那珂さん、貴女です」

那珂「那珂ちゃんが…?」

大鯨「『艦プラのアイドル』で売り出してたのは知ってます。 そして貴女が一昨年の選手権で全国大会まで残れる実力を持っていることも」

那珂「私を、また『艦プラのアイドル』に…?」

大鯨「そうではありません。 貴女のアイドルの道や方針は自分で見つければ良い、私は前の事務所みたいに貴女に押し付けたりはしません。

もし嫌なら依頼は拒否しても構いません。その時は貴女が望む仕事をまた探します」

那珂「私は…」

サラトガ「ナカ…?」

大鯨「可能ならば来週までに返事を。 依頼を受けるのなら、正式な仕事内容をお伝えします」

那珂「わかり、ました…」


イベント 直下

近くの模型店で艦プラのショップ大会をやっているのを目撃

大鯨「では、私は車を待たせているのでこれで」

那珂「大鯨さんが車なんて、珍しいですね。 わざわざ仙台から車で…」

大鯨「優秀な『専属秘書』が出来ましたから」

那珂(大鯨さんが優秀って言うからには凄くトンデモ無い人なんだろうなぁ…)

大鯨「では失礼します。 来週のこの時間、この場所で」

那珂「わかりました。依頼の話、ありがとうございます」



那珂「ごめんねサラさん、付き合ってもらって」

サラトガ「あまりマネージャーらしいこと出来ませんでしたが…」

那珂「ううん、スケージュールの管理だけで大丈夫だよ。さっきみたいに大鯨さんが仕事持って来てくれるから、ブッキングしないようにしてくれれば」

サラトガ「分かりました、ナカ」

那珂「さてと、川内ちゃん達にお土産でも…」

サラトガ「あら… ナカ、あれは?」

那珂「ん…?」


BATTLE START!


サラトガ「船のおもちゃ…?」

那珂「…あれがさっき大鯨さんの言ってた『艦プラバトル』、特殊な粒子で艦船模型を動かして戦うゲームだよ」

サラトガ「Oh my god… 凄い技術です、日本!」

那珂「いや、元々開発したのはアメリカの会社なんだけどね。潰れたけど」

サラトガ「潰れた?」

那珂「さっき会話に出てた『呉グループ』、そこの会長の人が世界に向けてある情報を一斉に流したの。 バトルシステムを開発した『アナハイム・エレクトロニクス社』、その後ろ暗い部分を余さず表沙汰にね。

お陰でアナハイムはその影響で倒産、世界一の企業だったせいで世界経済に大ダメージが… ってサラさん、聞いてる?」

サラトガ「ご、ごめんなさい。見入ってしまって…」

那珂「まぁ良いや… で、アナハイム倒産したドサクサに紛れて『呉グループ』が艦プラバトルに関する利権を全て買収、今は呉グループが主体になってバトルが行われてるの」

サラトガ「成る程… ナカ、凄いです。そんなに詳しいなんて!」

那珂「いや、入院してる間暇だったから勉強しただけ。 あんまり役に立つようなことじゃないけどね」

サラトガ「それでも凄いです! サラ、何も憶えて無いから…」

那珂「ゆっくり思い出せば良いんだよ。焦るなってお医者様にも言われてるんだから」

サラトガ「そうですね…」


BATTLE END


那珂「あ、試合終わっちゃった」

サラトガ「どうやらトーナメント、competitionのようですね 」

那珂「…」

サラトガ「ナカ? もしかして、バトルが嫌いなのですか?」

那珂「そう言う訳じゃないけど… ちょっと、色々あってね。サラさんは、バトルはどう?」

サラトガ「とても面白そうです!サラも、やってみたいような…」

那珂「じゃ、また今度ね」

那珂(バトル、か… あんまり関わりたくはないけど…)

《駐車場》


「それで、首尾の方は?」

大鯨「流石にすんなり、とは行かなかったわ。 でも感触は良さそうね」

「そうですか。 大鯨さん、会長の目に狂いは無かったと言う訳ですね」

大鯨「それと、貴女の直感も。 流石、『ファースト・ニュータイプ』は頼りになるわ」

「ここでその呼び名は止めてください。聞かれては非常にマズイので」

大鯨「そうね… 正義の味方が、簡単に正体を明かすのはお約束じゃないものね」

「そう言う訳では… それに、この世界の人間で初のニュータイプは天城です。 別世界の人間に、その称号はどうかと」

大鯨「別にこの世界に住んでこの世界で生きてきた人間なら他の人と大差無いわよ」

「そう、だと良いのですが…」

大鯨「そんな事言ったら私の娘『DI』だらけじゃない。瑞鳳を除いたら」

「『ディメンジョン・インベーダー』… 最近、頻度を増してますから。人間も、化け物も… そんなに、戦争がしたいのですか」

大鯨「相手はこっちの都合なんかわかっちゃくれない。 向こうも一方的な意見、そして憎悪を向けてくる以上応戦するしか無いのよ」

「誤解なく分かり合える人間、『ニュータイプ』の名が廃りそうですが…」

大鯨「それでも、貴女は人間相手に分かり合う可能性を捨てて無い。 そうでしょ?」

「常々先駆者に言われてますから。 『可能性を信じ続け、私のようにはなるな』と」

大鯨「シャア・アズナブル、彼も貴女に期待しているのね」

「その期待、若干重いんですがね。それで前に潰れた人間が居ると言うのに…」

大鯨「次世代に任せたい、って言うのはわかるわ。私も瑞鳳や貴女に期待している部分も大きいから。

でも道を間違えちゃ駄目よ? 粛清や隕石落としに走るのは決してやっちゃいけない」

「分かっています。 そもそも政治家や人の上に立つ者になるつもりなど毛頭ありませんので」

大鯨「残念、貴女にウチの会社を任せようと思ったのに」

「それは初風さんか如月さんにしてください。 しがない情報学部生に経営、しかも大グループ企業の跡継ぎなんて出来ませんよ」

大鯨「私これでも工学部なんだけど」

「…なのにどうして弁護士資格やら持ってるんです?」

大鯨「本気出したから」

「そ、そうですか…」

大鯨「じゃ、車出して。 あとこれもトランクに仕舞っておいて」

「渡さなかったんですか?」

大鯨「まだ決めてないのに押し付けるのは酷でしょ? だから来週の結末次第、これは貴女に返しておくわ」

「わかりました。 …しかし、彼女は首を縦に振りますかね」

大鯨「振るわよ。 だってあの子、1年前の貴女にそっくりだもの」

「そっくり、ですか」

大鯨「ええ。頑固だけど少し脆いところも、何かを背負いながら生きている生き様も… だからこそ私はあの子に期待してる。貴女に、榛名ちゃんに似てるから」

榛名「砂に塗れた靴を払わず、楽では無い道でも進み続ける… あの子もまた、そう言う生き方なんですね」

大鯨「そう言うこと。 あと今日一緒に来てた付き人、あの人の事も調べておいて」

榛名「独断で申し訳ありませんが、既に調査の方を『特設諜報部』に依頼しました。 言い知れぬ何かを感じたもので」

大鯨「流石、対応が早いわ。 あと一々私に許可は取らなくて良いわよ。 貴女の直感、信じてるから」

《那珂の家》


那珂「川内ちゃんが脱走した!?」

睦月「一瞬、目を離した隙に… 代わりにこんなものを置いて逃げたにゃしぃ!」

サラトガ「Oh crazy… 抱き枕を身代わりに…」

那珂「あの忍者モドキあの姉! 夕飯とデザート抜きだよ!」

睦月「川内ちゃんって忍者なのかにゃ?」

那珂「知らない。修業とか言って変な技身につけたりご当地検定取ってるのは知ってるけど」

サラトガ「時々、センダイは人の身ではありえない様な動きをしますよね…」

那珂「自称・忍者だからね。 ただの成りきりだけど」

睦月「そんなにバッサリ…」

那珂「どうせ夜になったら帰ってくるだろうし、放置してて良いよ。それよりおやつ食べよ」

サラトガ「ナカの選ぶSweets、外れが無いから楽しみです」

睦月「流石アイドル、そう言うのには詳しいんだねぇ」

那珂「アイドルの必須スキル、流行は常に把握せよ! だからね」

ガラッ

川内「何、おやつ!?」

睦月「あ、帰って来た」

那珂「睦月ちゃんもう一個食べて良いよ。これの分食べていいから」

睦月「わーい! 流石那珂ちゃん、気前が良いにゃしぃ!」

川内「ちょ、私の分は!?」

那珂「勉強してなかたからお預け! と言うか没収! あと夕飯抜き!」

川内「そんなぁ!?」

サラトガ「ナカ、少し厳しすぎでは?」

那珂「この姉、甘やかしたらその分後でツケが回ってくるから甘やかさないの」

睦月「妹にここまでボロクソ言われる姉って…」

川内「この、豆腐メンタルの癖に…!」

那珂「なんとでもどーぞ! あとで冷蔵庫に鍵かけとかないと…」

サラトガ(この姉妹、仲が良いのですかね?)

睦月(あ、これ美味しい。 那珂ちゃん、センスは一流にゃしぃ)


イベント 直下

サラトガが家に艦プラ置いてあるのか那珂に聞いてみる

サラトガ「そう言えばナカ、今日見た艦プラバトルと言うのは…」

川内「何?サラ、バトルに興味持ったの?」

那珂「みたいなんだよね… 川内ちゃん、まだ艦プラ残ってる?」

川内「残ってるよ。 手入れもしてないし物置に眠ってるけど」

那珂「後でサラさんに見せておいて。 あと、使えそうなのとか積みキットの類全部纏めておいて… 使えそうなのは手入れもね」

川内「復帰するの?」

那珂「…まだ、決めた訳じゃないよ。 でも、仕事で必要になるかもしれないから…」

川内「…待って。 あっちの社長、まさか…」

那珂「違うよ。 大鯨さんは私の意思をちゃんと汲んでくれて、押し付けもしてない。

ただ依頼があっただけ。 まだ受けるとも決めてないよ」

川内「依頼?」

那珂「呉グループから、バトルに関する依頼。 正直、受けるかどうか迷ってる」

川内「そんなの… 一昨年、何があったか忘れた訳じゃないよね?」

那珂「わかってるよ…! そんなの、川内ちゃんに言われなくても」

川内「…わかった。 那珂が決める事だし、私は口出ししない」

那珂「ごめん」

睦月(く、口が挟めないにゃ…)

サラトガ(一昨年、一体何があったのでしょうか?)


《物置》


川内「えっと… 睦月、そこの奥のボックス取って」

睦月「はーい。 って重!?」

川内「そりゃそうだよ。 サラは今出した荷物元に戻すの手伝って」

サラトガ「わかりました、センダイ」


川内「さてさて… 久し振りの御開帳っと」パカッ

サラトガ「これが艦プラ…」

睦月「船の模型ばっかりにゃしぃ」

川内「そりゃそうだよ。艦船プラモデル、略して艦プラだもん。 えっと… やっぱり手入れしてないからちょっと駄目になってるのもあるな…

積みキットの方は… 管理状態が微妙だから箱が痛んでるけど… 中身は大丈夫かな」

サラトガ「こんなにいっぱいあるんですね…」

川内「総額いくらかわかったもんじゃないよ。小さい頃から、バトルが始まった頃のやつだってあるし」

サラトガ「バトルが始まった頃のもの、と言うと?」

川内「大体10年弱くらい前かな。 私達が小学校に入る前のものもあるし」

睦月「そ、そんなに…」

川内「ともかく、使えそうなのは片っ端から使えるようにして…」

川内(那珂、本当にアンタはこれで良いの?)

《臨海公園 海岸》


那珂「憂鬱…」

那珂(…私は、何を迷ってるんだろう)

「あの… 那珂ちゃん?」

那珂「え…?」

「やっぱり… 久し振り、那珂ちゃん」

那珂「ああ、二人共…」

五月雨「ごめんなさい、最近忙しくて連絡取れないで」

村雨「復帰したとは聞いてたけど、もう大丈夫なの?」

那珂「うん、なんとかね。 また1からの再起しなおしだけど」

那珂(この二人は村雨ちゃんと五月雨ちゃん。 近所に住む妹分みたいなもの、そして私のファンだった)

村雨「いつものトレーニング、またやりだしたんだ」

那珂「体力ガタ落ちしてたから… 二人は、今年受験だっけ」

五月雨「はい。それでいつも忙しくて… 塾通いとか受験勉強とか」

村雨「来年の2月までそう時間が無いから… 那珂ちゃんがここに居る、って事は迷いでも出来た?」

那珂「え?」

村雨「村雨達も受験とかで悩むとここに来るよ。 だって、那珂ちゃんがここを教えてくれたから。

悩みがあるならここで夕日でも眺めてればそんなの吹き飛ぶ、って」

五月雨「はい。 だから、私達も悩んだらここに来るようにしてるんです。 良ければ何を悩んでいるのか、教えて貰えませんか?」



村雨「成る程ね。 呉グループからの依頼、確かに悩ましいかも」

五月雨「あんな酷い事になったのに… その会長さん、酷すぎです!」

那珂「大鯨さんが悪い訳じゃないよ。 それに、断っても良いって選択肢もくれる… 強制する前の事務所よりは遥かにマシかな」

五月雨「それで… どうするつもりなんですか?」

那珂「それを決めてたらここに来ないよ…」

村雨「そうだね… それに、村雨達にもどうにも出来ないもの」

五月雨「え?」

村雨「これを決めるのは那珂ちゃん、村雨達がどうこう口出しして良いことじゃない」

那珂「そう、だよね…」

村雨「でも、村雨は那珂ちゃんの味方だから。 言ってくれれば、助けるよ」

那珂「村雨ちゃん…」

五月雨「わ、私も! 私も、那珂ちゃんのファンだから!」

那珂「五月雨ちゃん… うん、ありがとう」

『インフェルノ… ギガブラスタァァァァァッ!』

那珂「ヒェッ…」

川内「何見てんの?」

那珂「勝手に部屋に入らないでよ」

川内「良いじゃん、双子なんだし。 それ、確か去年の選手権の…」

那珂「参考までに世界大会の映像、決勝大会の一回戦の動画見てたんだけど…

何これ。私達の知ってる艦プラバトル、こんなんじゃないよね!?」

川内「気が付いたらビーム飛び交ってるし。 砲弾が飛び交って魚雷が普通に爆発する時代は終わったんだよきっと…」

那珂「インフレ激しすぎない!?」

川内「でも大半のチームが使う『粒子兵装』、ビームやら何やらはあくまでも劣化コピーなんだって。

オリジナル技術を持つのは2チームだけ、って話だったと思う」

那珂「今見てた去年の世界大会優勝チーム『ホワイトクリーン』は?」

川内「オリジナル、発展型だと思う。 『プラフスキー・パワーゲート』や『ミラーリングシステム』みたいに独自色が強いし。

そしてさらにそのオリジナル、全ての始祖って言える技術を持ってるチームは…」

那珂「…一昨年私達がボッコボコにされた『エンガノ』、だね」

川内「そう。 『ディスチャージ』『アブゾーブ・コーティング』、そして最大の切り札『プラフスキー・バスター・キャノン』…

去年の決勝、呉グループが決勝のためだけに編成した対・ホワイトクリーン連合にも参加して、さらにぶっ飛んだ技術を生み出してた」

那珂「でも、あのチームはそれだけじゃなかった…」

川内「あのチームは艦プラだけじゃない、ファイターも全員超一流だよ。 

世界最強ファイター『飛龍』に最強の指揮官『浜風』、この二人だけでも並のチームじゃ太刀打ち出来ないのに他のメンバーも世界中のファイターの中でも一線を画してる」

那珂「それはホワイトクリーンも一緒だけどね。 最強のビルドファイター『榛名』とその妹で世界最強の空母ファイター『天城』とか」

川内「まあ『優勝ファイターは2年出場不可』ってルールがあるから、去年みたいな事がなければ戦う事は無いでしょ。それに、世界大会までいけるかわからないし」

那珂「全国大会一回戦敗北だからねぇ…」

川内「あれは『エンガノ』相手だったから仕方無いって。 でも… 世界大会まで到達するには『エンガノ』『ホワイトクリーン』に並ぶ人材と技術が必要になる。

最低でも、劣化でいいから『粒子兵装』も必要になるし…」

那珂「やっぱり厳しいかぁ…」

川内「何、依頼受けるの?」

那珂「決めてない」

川内「そう… ま、決めるのは那珂だし…」

《その頃》


「調査の結果ですが、消失した軍艦の残骸は『サラトガ』『ラムソン』『アポゴン』の3隻と断定と米軍からの情報提供がありました。 他は無事です」

「わかった。 例の艦船の件は?」

「未だ原因不明です。 船体に皹が入るなんて、普通ではありえないのに…」

「やはり深海棲艦が原因か。 舞鶴でも似た現象は確認出来て無いが…」

「どうします?」

「潜水艦『イ400』『イ402』の2隻、MSの使用を許可します。ビキニ環礁、深海棲艦及び敵対的人類との交戦戦域跡の調査を命じます。

メンバーの選出及び機体の選択は任せます。 しかし第三部隊、仙台基地のメンバーは除きますが」

「では『ギャプランTR-5』『バイアラン・カスタム1号機』『同2号機』、及び我々の『ヘイズル・ラーⅡ』『デスティニー・インパルス2号機』の使用許可を」

「許可します。各パイロットへの通達は二人に任せるね、400ちゃんと402ちゃん」

400・402「「了解」」

「調査の日程、やり方は任せます。 可能な限りの情報を集めてください」

402「お前はどうする気だ、瑞鳳」

瑞鳳「私は、『敵対的人類』の作戦を妨害する。 もしかしたら『n_i_t_r_o』が絡んでる可能性も出てきてるし…」

400「つまり、蒼龍さんにも何かあるかもしれないと?」

瑞鳳「予想だけどね。 1ヶ月前に戦った時、相手は重点的にデルタカイを狙ってきた… つまりあっちは唯一の無事な『n_i_t_r_o』使用の強化人間は蒼龍さんを無事確保しようとしてるかもしれない。

それに、今度の浜松基地祭の『計画』にも妨害の手が入ってくる可能性もあるし」

402「これは内閣と自衛隊の限られたお偉いさんしか知らない話だ。 つまり、上に漏らしてるの人間が居ると?」

瑞鳳「大体調べはついたけどね。 流石、元諜報部の工作員なだけあったよ」

400「その相手の『処分』は?」

瑞鳳「ちゃんと法に則って、司法で裁いて貰う。 まぁ外患誘致は避けられないだろうけど」

402「…無理、してないか?」

瑞鳳「大丈夫だよ。 もう私の決心はついてる… 皆と生きる、この世界を守るって」

402「そうか…」

瑞鳳「それに私に守るものがある限り私は戦える」

400「だけど、無理はしないでください」

瑞鳳「わかってるよ。 絶対に無理はしないから」

《呉グループ 格納庫》

大和「では、彼女は未だ答えを出していないと」

大鯨「しかし来週には答えを出させます。 そちらの望む答えが出るかは不明ですが、恐らくは望むようにはなるでしょう」

大和「そうですか… すみません、本来ならば直接私が出向いて契約を結ぶのが筋ですがお任せしてしまって」

大鯨「彼女はウチの社員ですから。 会長である私が出向くのは当然のことです。 それに車も貸して頂けましたもの」

榛名「これ、キーです。 流石に外車の運転は初めてでしたが…」

大和「キー、受け取りました。 傷はつけてませんよね?」

榛名「確認済みです」

大和「なら問題はありませんね。 機体準備、出来ています」

榛名「了解です。 大鯨さん、行きましょうか」

大鯨「MSねぇ… 瑞鳳も私にくれれば良いのに」

榛名「機体の保有数が限られている以上、余剰機を割けないのが現状ですから」

大和「以前のように鹵獲も出来ない状況では仕方無いでしょう。 『あちら側』の人類が深海棲艦が取り込まなかった残留機を大量に鹵獲し、そして生産ラインすらも確保していますし…

敵主力のGN-Xやアヘッドを初めとした擬似太陽炉搭載機は我々の側は使用不可、我々の保有する第二世代型ガンダム及びラジエルも誤認の可能性が高く戦場には出せない状況です」

榛名「それにハシラジマの工廠では高性能機の製造こそ出来るものの、規模が小さく大量生産は不可能です。 滅んだ世界も深海棲艦の活性化が進んで鹵獲が困難…

なのでMSをあくまでも『部外者』である大鯨さんに譲渡する事は不可能と思ってください」

大鯨「ちぇ… 榛名ちゃんばっか、いっぱい新型送られるのに…」

榛名「あくまでも榛名はテストパイロット、与えられる機体は一時の貸与機で本来の機体は『フェンリル』のみです」

大鯨「じゃあ今日の機体は?」

榛名「『仙台基地』の予備機扱いです。 『フェンリル』を含む『RX-0』は対・深海棲艦用の機体なので対人ではこちらが主な搭乗機ですが」

大鯨「予備機、ね… まぁ良いわ。 行きましょうか」

榛名「了解です。 ノーマルスーツに着替えてください。 何かあっても困るので」

大鯨「わかってるわよ」



榛名「システムオールグリーン、戦闘ステータスで起動。 FCSロック、火器管制をオフラインに。

フェイズシフト装甲、通電開始。 発進準備完了」

ナチ『榛名さん、リニアボルテージ上昇。 タイミング、譲渡します』

榛名「了解、アイハブコントロール。 大鯨さん、しっかり掴まってください」

大鯨「オッケーよ」

榛名「では… 『インパルスガンダムブランシュ』、発進します!」

那珂「あの光…」

那珂(あの方角、お台場からだ…)

那珂「綺麗…」

コンコン

サラトガ「ナカ、お風呂の用意が… どうしたのです?」

那珂「何でも無いよ。 今行くね。 あれ、いっつもこの時間川内ちゃんが五月蝿いのに静かだ…」

サラトガ「それが…」



川内「プラモカビてるし、ニッパー錆びてるし、エアブラシは埃が詰まってるし…」

睦月「せ、川内ちゃん…?」

川内「これ手入れだけで2日はかかるって… 道具に関しちゃ全部買い換える勢いじゃないと駄目だよもう…!」


那珂「格闘してるのね…」

サラトガ「プラモデル、と言うのはそんなに手間がかかるのですか?」

那珂「かかるよ、そりゃ。 良いものそろえたら定期的に手入れしないとすぐ駄目になるし。

道具だけじゃなく模型そのものも手入れをしないとすぐ駄目になっちゃうもの」

サラトガ「そう言うものなのですね」

那珂「そう言うものなのです」

サラトガ「艦プラバトルはただ作って戦うだけでは駄目なのですか…」

那珂「模型技術、維持力、そしてファイター能力全てが必要だね。元々艦プラバトルは一人じゃなく、チームでやるものだし」

サラトガ「チームで、ですか?」 

那珂「適材適所、ってやつだよ。艦プラバトルのユーザーには製作に特化した『ビルダー』、戦闘に特化した『ファイター』、そしてその全てを行える万能タイプの『ビルドファイター』の3種類の人が居るの。

その2種類、もしくは3種の人が組んでやるのが艦プラバトル。 艦隊戦になる事もあるし、チームメンバーは多いに越した事はないよ」

サラトガ「成る程、奥が深い… ナカ、前に大会に出た事は?」

那珂「あるよ」

サラトガ「その時は、どんな人とチームを?」

那珂「川内ちゃんと、あと近所に住む妹分かな。 まあ、地区予選を突破して全国で負けちゃったけど」

そもそも大鯨さんはMS乗るより生身の方が強いから必要無いのでは……

《翌朝》


川内「アキバに行きたい」

那珂・サラトガ・睦月「は?」

川内「工具類大半が駄目になってた」

那珂「それなら仕方ないね」

サラトガ「アキバ?」

睦月「前にテレビで観たよ。秋葉原ってところでしょ?」

那珂「うん。 所謂オタク街ってやつだけど… ama○zonでよくない?」

川内「だって実物見ないで買い物失敗したくないじゃん」

那珂「まぁ一理あるけど…」

川内「あと一通り新しいキットの確認もしたいし」

サラトガ「キット、ですか?」

川内「最近のプラモデルは技術進歩が凄まじいからね。1年離れただけでどうなってるかわからないし」

睦月「そうなの?」

那珂「ビルダーじゃないから詳しくないけど、そうらしいよ」

川内「と言う事でアキバへLet's GO!」

那珂「あ、パス」

川内「へ?」

那珂「アキバに元アイドルが居たら騒ぎになるでしょ」

川内「えー。別に引退してるし良いじゃん。 それに財布握ってるの那珂だし」



《秋葉原》


那珂「やだなぁー…」変装済み

サラトガ「どうして那珂は変装を?」

川内「いや、素で出たら色々騒がれるじゃん。 ある程度知名度はあった訳だし」

睦月「へぇ… 那珂ちゃん、本当にアイドルだったんだ」

那珂「アイドルだったよ、これでも… ってか一応現役アイドルだからね!?」

川内「細かいことは気にし無いの」

サラトガ「細かくないような…」

川内「じゃ、ちゃっちゃと買い物しちゃいますか」


イベント 直下

サラトガが自分と同じ名前の艦プラを見つける

保守

保守

保守

那珂ちゃんもう忘れられたのかな?

>>30 アズール編に重点置いてたりシナリオ練り直したりしてたら更新がかなり滞りました… 申し訳ない


《模型ショップ》

川内「あとはコンプレッサと… ああ、新しいエアブラシも…」

睦月「せ、川内ちゃん… 重い…!」荷物持ち

川内「まだまだ増えるよ。ファイト」

睦月「そんにゃ!?」


那珂「ううん… 『アーク・ロイヤル』の新規金型版に、完全新規造形の『大鷹』… それに艦NEXTシリーズの信濃…

暫く見てなかったら新商品に塗れてるね…」

サラトガ「ナカ? これとこれ、何が違うんです? 同じ商品とメーカーなのに値段やパッケージが…」

那珂「ああ、これは新規金型のリニューアル商品だよ。こっちの商品は基礎が30年くらい前の金型なんだけど、こっちは最近作られた金型の商品で造形が改善されてたりするの」

サラトガ「30年前のカナガタを使えるなんて…」

那珂「艦船模型は再販が乏しいからその分磨耗もしないんじゃないかな? 模型業界には『キットは見つけたら買え、買えなくなる前に買え、迷ったら必ず買え』って言葉があるくらい再販は貴重なの。

たまーにオークションとかでも古い未開封の模型が当時のウン十倍の値段がついてたりするくらいだから一度少数生産だけして二度としないってのもあるみたいだし」

サラトガ「あれ、でも前にセンダイが言ってた『ガンプラ』と言うプラモデルは結構な頻度で再販をしているような…」

那珂「あれは特別。 模型作ってる企業の中でもかなり大きな企業だし、その関連商品だけでウン百億も儲けてるから。 それに舞鶴事変や第一次宙間戦役、ビキニ環礁攻防戦の影響もあるみたい」

サラトガ「『ディメンジョン・インベーダー』の使う兵器『モビルスーツ』がですか?」

那珂「だってアニメの中の存在が現実に飛び出してきたんだよ? 売れないわけ無いよ。 ただその影響で…」


『こちら『HG GN-X』、最終生産品となりますので一人1個までと…』


那珂「敵、『ディメンジョン・インベーダー』の主力だったロボットの一部が生産を切られたらしいの。 人類、世界に牙を剥いた敵のロボットを商品として販売するのは問題があるって」

サラトガ「世知辛いですね…」

那珂「全くだよ。 でも私達には関係無いこと、『ディメンジョン・インベーダー』も何も日常には関係が無いからね」

サラトガ「そうですね… あ、このプラモデルなんかどうでしょう?」

那珂「『グラーフ・ツェペリン』? 駄目、それはサイズの規格が違う」

サラトガ「?」

那珂「バトルに使えるのは1/700だけ、それは1/720サイズ。 微妙に違うせいで使えないの」

サラトガ「…細かすぎないかしら?」

那珂「誰もがそう思う」

サラトガ「日本人って変なところで細かいです… あら、これは… ッ…!?」ズキッ

那珂「サラさん!?」

サラトガ「パッケージに触れた途端、頭が…!」

那珂「『CV-03 サラトガ』… サラさん、二度とそのプラモの箱に触れないほうが良いよ」

サラトガ「え…?」

那珂「私にも言えるんだけど… 一部の人間、特に『古い艦船と同じ名前』を持った人間がそれに関するもの、プラモデルとかに触れると頭痛がする事があるの。

だからウチは軽巡洋艦、特に『川内型』がご法度になってる。 原因は分からないんだけど、そう言う症例と言うか現象はたまにあるらしいんだよ」

サラトガ「そうなのですね… Sorry、ナカ… 軽率でした」

那珂「サラさんが悪いんじゃないよ。 事前にこの事を教えてなかった私にも非はあるし… ともかく『サラトガ』、そして同型の『レキシントン』に関するプラモデルには触らないほうが良いかも」

サラトガ「そうさせて貰います」

那珂「あれ… サラさん、鼻血…」

サラトガ「え…?」

那珂「さっきの頭痛でどっかやっちゃったかな… ティッシュティッシュ… あれ、無い…」

「どうかしました?」

那珂「ごめんねさい、ちょっとティッシュ持って無い?」

「あるにはあるが… ああ、鼻血だな。ちょっと待て」

「洋服とかに汚れは?」

サラトガ「大丈夫、だと思いますが…」

「ほら。 あとお手洗いに行ってついた血を拭って来い。鼻を冷やすのも止血の効率の良い方法だ」

那珂「ありがと。 行こ、サラさん」

サラトガ「分かりました、ナカ」

「…ん?」

那珂「どうかした?」

「い、いや… こっちの話だ…」

「あ、在庫半分も残って無い!」

「ここで買っておかないと… じゃあ私達、急ぎますので」

那珂「ありがとうね~」

那珂(…あの子達、どこかで見た事あるような…?)



夕雲「あの、402さん…?」

402「…どうした?」

吹雪「えっと… 顔真っ青だよ…?」

402「あ、いや… 少々思い出したく無いものがな…」

夕雲・吹雪「?」

夕雲「メンタルモデルなのに顔が真っ青だなんて…」

402「人間らしいシュミレーションをし続けた結果、自然に出来るようになった…」

吹雪「そ、そう…?」

402「い、今は買い物が先決だ。 瑞鳳達に頼まれたGN-Xの確保、早く済ませて他の店に行くぞ…!」

402(間違い無い… アイツは、私が… 私達が箱根で『やらかした』アイドルだ…!)

保守

保守

保守

保守

保守

保守

保守

保守

那珂ちゃん保守

念のため保守

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