ほむら「美樹さやか、ちょっとうちに来なさい」 (17)

ほむら「来たようね。じゃあ早速だけど」

さやか「その前にちょっといい?」

ほむら「何かしら?」

さやか「あんたさ、最近私のこと呼びすぎじゃない? 何なのあんた。そんなに私と仲良くなりたいの?」

ほむら「そうかしら? むしろ疎遠と言ってもいいくらいだと思うけど」

さやか「先週どれくらいの頻度で呼びつけたか覚えてる?」

ほむら「確か毎日朝晩二回だから、計十四回ね。ほら、やっぱり少ないわ」

さやか「いや多いわ! 学校と寝るとき以外ほぼあんたの家で生活してるようなもんだよ! 何なのホント!」

ほむら「悪魔時間的には、一瞬よ」

さやか「いや知らないし。こっちは人間時間ですし」

ほむら「そうね。でも、いやなら別に従わなくてもいいのよ?」

さやか「で、従わなかったらどうなんのよ?」

ほむら「そうね。まぁ私は悪魔だから思い通りにならなかったときは、あなたの周囲で悪戯しちゃうかもしれないけれど」

ほむら「気にするほどでもないわ」フフフッ

さやか「……はぁ。悪魔になってからあんたがまともに友達できず孤独なぼっちライフを一人寂しく送ってるのは知ってるけどさ」

ほむら「……」

さやか「かわいそうだとは思うよ? まどかとも適度に距離置かなきゃいけなくなって」

さやか「まどかが新しく出来た友達と笑いあってるの奥歯かみ締めながら涙目で見つめてたのとか」

さやか「自分も他の友達作ろうと必死に流行とか調べて、ちょっと派手な髪飾りとか付けておしゃれしたのに」

さやか「クラスの誰一人気づかなくて唯一気づいた先生には没収されたうえその場で軽く怒られて変な意味で目立っちゃったのとかも知ってるし」

ほむら「……」

さやか「努力してるのは知ってるし全部空回りでつらかったのも知ってるわよ?」

さやか「だからこそ私もこうして来てるわけだけど。それにしてももうちょっとこっちの都合に配慮してくれないと――」

ほむら「辞めなさい美樹さやか。それ以上言うと私が泣くことになるわよ」

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ほむら「とにかく、本題に入るわ」

さやか「本題って、結局下らないお遊びでしょ?」

ほむら「まぁそうなのだけどね。単なる退屈しのぎよ」

さやか「で? 今日は一体何をやらかすのよ」

ほむら「こんなものを作ってみたわ」

さやか「これは……私?」

ほむら「残念さやかちゃん人形よ」

さやか「残念って言うな」

ほむら「略して残さやちゃん」

さやか「略すな」

ほむら「私の力で魂以外ほぼ完璧に再現しているわ」

さやか「へぇ。まぁ確かに良くできてるかもね……」

さやか「で? これをどうするのさ? これがあれば今度から私は毎日ほむホームに来なくて良くなるわけ?」

ほむら「そういうわけではないわね」

さやか「じゃあどういうわけなのさ」

ほむら「これを見なさい」

さやか「テレビ? 真っ暗だけど」

ほむら「今チャンネルを合わせるわ」

さやか「あ、映った。これは、玄関? 何か見覚えあるような……?」

ほむら「すぐに分かるわ」


――ピンポーン

??『あいあーい。いま出ますよーっと』

ガチャ

宅配『佐倉杏子様にお荷物です』

杏子『はいはい。えっと、はんこはんこ』

宅配『ここにお願いします。はい、ありがとうございました』

杏子『ご苦労さんでーす……さてと、まずは部屋に運ばねえとな』


さやか「何これ? あれ杏子だよね? 何やってんの? っていうか何であんたは人の家の玄関に隠しカメラ仕込んでんの?」

ほむら「まぁいいから。黙ってみてなさい」

さやか「良くないと思うんですけど……っていうか杏子移動しちゃうみたいだけど」

ほむら「大丈夫よ、カメラを切り替えれば家中どこに行っても追えるわ」

さやか「あ、そうなんだ……いやおかしいでしょ。あんた人の家にどんだけカメラ仕込んでんのよ」

ほむら「まぁまぁいいから。黙ってみてなさい」

杏子『さてと、開けるか……っていうか、でけえなおい。こんなに大量に頼んでないはずだが』

杏子『どれどれ中身は……うわっ! な、なんだこりゃ!?』


さやか「あれは……さやかちゃん人形!? なんで!?」

ほむら「私が送ったからよ」

さやか「あんたが?」

ほむら「厳密に言うと私の使い魔だけれどね。ほらこれ」

さやか「パソコン? 何このサイト……見滝原魔少女通販、今ならさやかちゃん人形つけますって、何なのよこれ」

ほむら「私が戯れで作った悪魔アイテムを売ってるネット通販よ。使い魔たちに運営させているわ」

さやか「ちょっと大丈夫なのそれ? 一般の人に見られたら……」

ほむら「大丈夫よ。サイト自体に魔法をかけて極限られた一部の人にしか見れないようにしてるから」

ほむら「というか、魔法少女だった子達ね。裏で噂を流して、サイトに誘導して、買ったあとの反応とかを盗み見て楽しんでいるわ」

さやか「また悪趣味な。おとぎ話に出てくる悪魔かよ……って悪魔か」

さやか「しっかし、こんな怪しいサイトで買う人なんていんの?」

ほむら「今月の売上は10万ちょっとね」

さやか「それは繁盛、してるのか?」

ほむら「顧客がかなり限定されてることを考えれば、まぁそれなりじゃないかしら」

さやか「ふーん。で、今回趣向はなに? 等身大超リアルなさやかちゃん人形つけてびっくり箱もどきにして驚いた顔みてやろうってこと?」

ほむら「そんなところね。もっというと、そのあと人形をどうするかも見てみたいわ」

さやか「どうするって、そりゃあんなでかいもの邪魔なだけだろうし、かといってそこらに捨てたら軽く事件だし」

さやか「順当に送り返されて終わりじゃないの?」

ほむら「さぁ、どうかしら。それは見てみないと分からないけれど」

杏子『おいっ! さやか、大丈夫か! くそっ! どういうことだおいっ、こいつ息してねえじゃねえか』

杏子『誰か! っつっても家には誰もいねえし。ここはあたしが何とかするしか……』

杏子『とりあえずは、じ、人工呼吸を。そうだ! やるぞ! やらなきゃダメだからな! 必要に迫られてってやつで決してやましい理由なんかじゃ……』 


さやか「何やってんの、あの子は一体」

ほむら「どうも人形を本物と勘違いしてるみたいね」

さやか「大丈夫なのこれ? 気づかずに救急車呼んだりしたら大変じゃない?」

ほむら「さすがに気づくでしょう」


杏子『くっ、許せさやか。決してあれなアレじゃないから! ちゅーっ……うん?』

杏子『何かいつもと匂いが違うな。シャンプーの匂いとかもしねえし……っていうか何でさやかがこの箱に入ってんの?』

杏子『これ魔少女通販だよなぁ。あたしの頼んだ『これであの子もイチコロ! 心を落とす媚薬入り白雪リンゴ』はどこだ?』


さやか「何かさやかちゃん人形以上にやばい響きが聞こえたんですけど……一体何のためにそんなものを」

ほむら「安心しなさい、健康上は無害よ。ただ三日間食べて最初に見た顔が忘れられなくなると同時に体が火照ってピーなことになるだけよ」

さやか「いやおかしいでしょ。何で無害なものの説明の中にピー音が出てくんのよ。っていうか今どうやった?」

ほむら「アレな言葉の部分には使い魔たちが勝手に入れてくれるわ」

さやか「使い魔万能かよ……」

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