緒方智絵里「汚れた私は、お好きですか?」 (45)

※「アイドルマスター シンデレラガールズ」のSS

※キャラ崩壊あり、人によっては不快感を感じる描写もあるかも



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「ん? 何だって?」


仕事をある程度終え、事務所の談話室にて中休みを取っている最中、突然智絵里からそんな事を聞かれ、俺は思わず聞き返してしまった。


もしかしたら、空耳だったかも。そう思っての事でもある。


「だ、だから、その……汚れた私は……好きか嫌いかを、聞いてるんです」


しかし、再度そう言った事により、空耳では無かったのが判明する。


先程に智絵里が言ったのは間違い無く、事実なのであると。


その表情は真剣そのもので、とても冗談を口にする顔とは違っている。


「いや、ちょっと待ってくれ。まず、理由を聞いていいか?」


「理由……ですか?」


「そうだ。そんな事を聞いてくるのなら、それなりの理由があるはずだ。だから、まずそれを聞きたいんだ」


普通であれば、そういったものは人に尋ねる様なものでは無い。


誰しも自分の闇の部分は、胸の中にこっそりと隠しておくもの。


しかし、聞いてくるのだとすれば、相応の事情があるはずだ。


だからこそ、俺は智絵里にそう言って、問い掛けた。


「え、えっと……聞いても、怒らないで下さいね?」


「内容次第じゃあ、怒るかもな」


「あうぅ……」


先にそう宣言し、釘を刺しておく。


もし、変な謀りであるのなら、今後は諫めないとならないからだ。


智絵里を変な色に染めてしまわない様にという、せめてもの気遣いである。


「あ、あの……実は、ですね。私のファンになってくれている人の中には、そういう人がいる……って、聞いたんです」


「ほう……」


大した驚きも見せずに、俺はそう短く呟く。


確かに、一部ではそういったファンがいる事は、俺も知っている。


ネットで少し探せば、そんな許し難い輩の書き込みは、目にしてしまう。


そうならない様に、常日頃、智絵里には自分の評価をネットで調べるなと言っていたが、どうやら知ってしまったみたいだ。


「ちなみに……聞いたって、誰からなんだ?」


「昨日……杏ちゃんが、教えてくれたんです」


杏……双葉杏か。何て余計な真似を……。


彼女は俺の担当では無いアイドルだが、智絵里とは結構仲が良い。


しかし、善意か悪意かは分からないが、智絵里にそんな事は教えては欲しくはない。


智絵里は今のままが良いのだから、それは余計な気遣いなのだ。


「まぁ、それに関しては分かった。話を続けてくれ」


「えっと……で、ですので……プロデューサーさんは、どうかなって思ったんです」


「お、俺?」


「はい……それが、その……どうしても、気になって……」


なるほど、そういう事だったのか。


きっとそういった声があるというのを知って、不安になってしまったのだろう。


それで俺の所にへと聞きにきたという訳なんだな。


しかし、そうだな……汚れた智絵里。


俺の脳裏にある智絵里のイメージとはまた別だから、考えた事も無かった。


だが、これも良い機会だ。


考える事で、智絵里の新たな側面も、見い出せるかもしれない。


そう思って、俺は問われた事に対し、じっくりと考え出す。


「汚れた……汚れた、ねぇ……」


吟味する様に呟き、俺は脳内でそのイメージを構築していく。


汚れたと聞いて、真っ先に思い浮かべるのは、貞操を失う事だろう。


その場合、汚れるというより、穢されるという訳なんだが。


だが、俺はそこへは着地せず、違う観点からまず、考えてみる。


そう、例えばだ。


休日の公園。それも陽気が良い昼下がりぐらいの頃。


閑散とした公園内に、仕事も学校も休みの智絵里は一人でそこを訪れる。


いつもの黄緑色をしたワンピースで身を包み、そして黙々とある行動に専念する。


その行動とはもちろん、智絵里の趣味である四つ葉のクローバー探しだ。


地面に膝を着き、せっせと数多くあるクローバーを選別していく。


「どこに……あるのかなぁ……」


照りつける日差しを浴びつつ、地面の土によって顔や手、膝等、体を汚していく。


それでも尚、智絵里は探すのだ。


賢明に、それも必死になってだ。


小さくて僅かな……そんな希望の芽を探そうと、頑張るのだ。


しかし、そうは簡単には見つからない。


探せども、探せども、四つ葉のクローバーは出てこない。


そうして探している内に日は下がり、夕方となり、果ては夜になろうとする。


「今日は……駄目、なのかな……」


どうしても見つからず、智絵里は泣き出しそうになる。


小さな涙をじわりと目端に浮かべ、諦めて帰ろうとも思ってしまう。


しかし、そんな時だ。


「……あっ!」


諦め掛けたその時、智絵里はようやく見つけるのだ。


幸福の証たる、四つ葉のクローバーを。


「やっと、見つけた……」


智絵里はクローバーの根元にへと手を伸ばし、そっと優しく、それを摘み取る。


「えへへ……」


そして摘み取ったクローバーを顔に近づけ、無邪気に微笑むのだ。


土に塗れて汚れてしまった、その顔でだ。


それでも、智絵里は幸せなのだ。


頑張って探した、小さな幸せをその手に掴めたのだから。


……うん、なるほど。良いかもしれない。ありだな。


きっと、その場に俺がいたのなら……


「プロデューサーさん、見て下さい、ほら」


と言って、見つけたクローバーを俺に見せようと、駆け寄ってくるだろう。


にっこりと、満面の笑みでだ。


そう思うと、最高じゃないか。汚れた智絵里、最高、万歳。


とりあえず書き溜めた所まで

また続きができたら投下します

泣きじゃくりながら、智絵里は男達にそう懇願する。


しかし、悲しいかな。男達はそう言われた所で止まりはしない。


寧ろ、智絵里がそうした姿を見せた事で、逆に煽り立ててしまったのだ。


絶望した智絵里の表情に興奮してか、男達は一斉にと智絵里にへと殺到する。


「い……いやっ……!」


智絵里は前に手を突き出して抵抗する姿勢を見せるが、理性の失った相手に対し、それは無意味だった。


男達はあっという間に智絵里を組み伏せ、衣服に手を掛け、そして……







………


……









「……? どうか、しましたか? 何だか、プロデューサーさん……怖い顔、してます」


黙々と脳内で妄想を繰り広げていると、目の前に座っていた智絵里がそう言った。


その表情は恐怖と怯えの色が入り混じった様になっている。


という事は、智絵里がそうなってしまうぐらい、俺は険しい顔をしていたのだろう。


「あぁ、すまんな。ちょっと嫌なイメージを想像してしまってな」


俺は直ぐにそう言って、智絵里に対して謝った。


しかし……想像とはいえ、少々やり過ぎだったかもな。


自分で考えた事だけれども、はっきり言って、胸糞悪い気分になった。


これがもし、現実で起きたら……いや、考えたくは無いな。


何であっても、智絵里が知りもしない第三者に襲われてなんて欲しくは無い。


それに、智絵里が汚されるというのなら……他ならぬ、俺自身の手で汚してやりたい。


その役目を、他の誰かに明け渡して堪るものか。


「それで、あの……どう、ですか……?」


「うん? どう、って……何が?」


「えっと……汚れた私は、好きかどうかです。プロデューサーさん……まだ、答えてくれてません」


おぉ、そういえばそうか。


色々と考えてはいたが、きっちりと回答はしてなかったな。


「あぁ、悪いな。すっかり考え込んでいて、忘れてたよ」


そう言って俺は本日二度目の謝罪を、智絵里に向けて告げる。


「さて、そうだな……俺としては、汚れた智絵里はそんなに嫌いでは無いな」


「……そう、ですか」


俺が質問に答えると、智絵里は淡々とそう言って俺の言葉を受け止める。


あれこれと考えてはみたが、総評として、悪くは無いという結論に至った。


中には先程の様な悪いイメージもあった。


しかし、前半の様なイメージなら、割と問題は無い。


どんなに汚れきったとしても、俺は変わる事無く、智絵里を好きでいられるだろう。


……あぁ、だけれども。


この回答だけ言って終わるのも、何だか味気ないな。


だからこそ、俺は智絵里に向けて、更に言葉を紡ぐ。


「……なぁ、智絵里」


「……? 何でしょう」


「智絵里は『汚れた私は……』なんて言うけど……はっきり言うと、俺からすればそんなのどうだっていいんだ」


「どうだって、いい……?」


「あぁ。だって、俺は……」


「どんな智絵里だろうと、迷わずに愛せるからだ」


「……本当、ですか?」


「嘘を言ってどうするんだ。本当だよ」


少し声を震わせて尋ねる智絵里に、俺はそう言った。


虚飾も無い、俺の本心からの想いであるのだから、嘘のはずが無い。


「……え、えへへ……私、嬉しいです。プロデューサーさんに、そう言って貰えて……」


智絵里は表情を緩ませて、はにかんだ笑顔でそう言った。


そんな表情を見せられると、こっちもほっこりと嬉しい気分になる。


やはり、どんな智絵里だろうと、素敵である事に変わりは無いのだ。


だけど、まぁ……欲を言うのなら……


壊れて、愛の重い智絵里が一番だと……俺は思うな。


誰に何と言われようと、これだけは絶対に外せない。


汚れたよりも、可愛らしいよりも……俺にはそっちの方が、とても素晴らしく見えるのだ。


「……あの、プロデューサーさん」


と、邪念を抱いていると、智絵里からそう声を掛けられる。


「ん? どうした?」


「私……頑張って、プロデューサーさんに相応しい女性……いえ、アイドルになってみせます。だから……」








「その時まで……絶対に、見捨てないで下さい……ね?」







終わり


とりあえず、終わりです

何となく思いついて、何となく書いてみた

そんな感じの作品でした

私はどんな智絵里だろうと愛せれる自信はありますので、問題ありませんがね

第6回総選挙の中間発表がありましたけど、まだまだ追い上げれそうな範囲ですね

ぜひとも皆さん、智絵里に一票をよろしくお願いします

それでは、依頼出してきます

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