アンチョビ「西住みほ、お前が欲しい」みほ「え!?」 (128)

生徒会室

柚子「お待たせしました」

みほ「し、失礼します」

アンチョビ「待っていた」

みほ「安斎さん? どうして大洗に……」

アンチョビ「アンチョビだ」

杏「チョビ子がどうしても西住ちゃんとお話したいんだってさ」

アンチョビ「だから、アンチョビ」

桃「無理を言って西住を呼び出したんだ。安斎、くだらない用件なら叩き出すぞ」

アンチョビ「もういい。……みほ」

みほ「は、はい」

アンチョビ「回りくどいのは嫌いだから、率直に言うぞ」

アンチョビ「――西住みほ、お前が欲しい」

みほ「……」

みほ「え!?」

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大洗女子学園 校門

桂利奈「わー、カルロベローチェだぁ」

優季「ほんとだぁ。誰か買ったのかなぁ」

あゆみ「大洗の新しい戦車かな?」

あや「えー? でも1輌だけじゃ意味なくない?」

梓「そんなことないんじゃない? 小回り効くし、偵察に適してるし」

紗希「……」

みどり子「安斎さんは結局何の用があったのかしら」

モヨ子「わからないのよ」

沙織「みんなしてどうしたのー?」

華「そろそろ戦車道の授業が始まりますよ」

みどり子「そうなんだけど、肝心の西住さんが不在じゃ始めようにも始められないじゃない」

優花里「そういえば西住殿の姿が見当たりませんね」

希美「西住さんは今、生徒会室に居ます。安斎さんが呼んでいるとのことで、副会長が連れていってしまいました」

麻子「安斎さんが?」

優花里「安斎殿はどういった用件で来られたのですか?」

みどり子「副会長が急に連れていったから分からないわ」

華「何故でしょう。胸騒ぎがします」

沙織「単に遊びにきたんじゃないの」

麻子「西住さんだけに会いに来たというのが引っかかるな」

沙織「あ、そっか。それじゃあ、みぽりんと一緒に買い物をする約束してたとか」

華「沙織さん、わざとですか?」

麻子「生徒会室に行ってみればいい」

優花里「いいんでしょうか。機密事項なら盗聴は重罪ですよ」

沙織「女子高生で重罪になるほどのことって、恋の話ぐらいしかないって」

ねこにゃー「西住さんとアンチョビさんが……恋……?」

ぴよたん「西住さんとアンチョビさんのカップリングずら?」

ももがー「マニアックなり」

カエサル「なんの話だ?」

エルヴィン「で、行くのか、行かないのか」

校舎内 廊下

ナカジマ「こんな大所帯で押しかけたら迷惑だと思うけどなぁ」

ホシノ「けど、西住さんがいないと始められないのは確かだし」

スズキ「先に始めちゃってもいいですかーって一声かけるだけなら問題ないって」

ツチヤ「そうだなぁ」

華「お話の内容にもよるかと」

カエサル「わざわざアンツィオから足を運んだとなれば、簡単な話ではないだろうな」

おりょう「将の引き抜きかもしれないぜよ」

優花里「お、おりょう殿!! 何を言いだすんですかぁ!!」

おりょう「驚くことはないぜよ。歴史とは人の心が移ろい、築き上げられている。徳川慶喜然り」

カエサル「西住隊長は大洗のタルペーイアになるつもりか」

エルヴィン「ハインリヒ・ヒムラーかもしれない」

左衛門佐「明智光秀だ」

おりょう・カエサル・エルヴィン「「それだぁ!!」」

優花里「やめてくださいよぉ!!」

沙織「みぽりんが私たちを裏切ったりはしないって。ねー、麻子ー?」

麻子「再度転校する理由もないだろうしな」

梓「で、ですよね。ありえないですよね」

優季「梓、心配しすぎぃ」

梓「分かってるんだけど。西住先輩って、色んな人に注目されてるし……万が一ってことも……」

典子「部活では引き抜きって結構あったりしますけど」

妙子「高校側が有能な中学生をスカウトして入学させるんですよね」

あけび「友達がそれで別の高校にいっちゃったなぁ」

忍「戦車道でもあるのかな」

麻子「安斎さんはまさにそれだったはずだ」

典子「アンツィオ高校にスカウトされたってことですか?」

優花里「3年前までアンツィオ高校は、戦車道の履修者が数人しかいなかったという話は聞いたことがあります」

麻子「今現在のアンツィオを築き上げたのは、安斎さんだ。恐らく、誰よりもアンツィオの未来を考えているに違いない」

桂利奈「そーいえば、この前愛里寿が大洗にきたとき、アンツィオの人たちもいたよね」

みどり子「確か、あのときは島田さんのことをスカウトする気満々だったわね」

優花里「そ、そんな……まさか……」

麻子「安斎さんはアンツィオ高校の戦車道を立て直すためにスカウトされた人物だからな。自身が卒業した後のことを考えているのなら可能性はある」

沙織「けど、安斎さんだって、そこまで強引なことはしないんじゃない?」

典子「私もそう思います!」

妙子「相手校のキャプテンを一番やっちゃいけないことだと思う」

忍「うん。そこまで卑劣なことをあの安斎先輩はしないはず」

ペパロニ「ん? なんかいっぱい来たな」

カルパッチョ「あ、たかちゃーん」テテテッ

カエサル「ひなちゃーん」テテテッ

おりょう「はじまったぜよ」

エルヴィン「もう慣れたな」

左衛門佐「たかちゃん、私たちのことも忘れないでほしい」

カエサル「ぐっ……。つい、昔の癖で……」

沙織「二人ともなにしてるの?」

ペパロニ「アンチョビ姉さんを待ってる。話に集中したいからって、私たちは席を外されたんだ。私も一緒のほうが絶対、説得だってうまくいくはずなのになぁ」

カルパッチョ「そうかしら?」

ペパロニ「ぜってえ、そうだって。目の前で鉄板ナポリタンを作れば、匂いにつられてアンツィオに来るはずだ」

カルパッチョ「生徒会室では作れないと思うけど」

ペパロニ「カセットコンロと食材さえあればできる」

カルパッチョ「フライパンもいるんじゃないかな」

カエサル「ひなちゃん、今の話はどういうこと?」

カルパッチョ「え?」

沙織「説得って、どういう意味?」

華「アンツィオに来るとは?」

ペパロニ「どういう意味もなにも、アンチョビ姉さんは西住みほをアンツィオに呼ぶつもりなんだよ」

優花里「ど、どど、どういうことですかぁ!?」

ペパロニ「いや、だから、スカウトだよ、スカウト。アンツィオの未来のためにな」

典子「そ、そんな!! そんなことされたら、大洗は、私たちの未来はどうなるんですか!!」

妙子「ひどいです!!」

カルパッチョ「そう言われても、これはドゥーチェの意向だから……」

忍「そんなの絶対に阻止します!!」

あけび「ブロックです!!!」

妙子「この三枚の壁を越えられるなら越えてみてください!!」

ペパロニ「お前らって、ホント無駄に大きいよな」

梓「西住先輩がいなくなっちゃう……」

優季「やだぁ……」

桂利奈「西住先輩をとらないでぇぇ」

あや「戦車道的にどうなんですかー!!」

みどり子「風紀の乱れよ! 校則違反よ!!」

ねこにゃー「西住さんはやっぱり、すごい人だから……欲しいのはわかります……でも、それでも……ボクたちにとって、最高の隊長で……大切な友達だし……」

ナカジマ「まぁまぁ、みなさん、落ち着いて」

ツチヤ「よく落ち着いてられるなぁ」

ナカジマ「いや、西住さんが説得に応じるかどうかは分からないんだし、慌てるのは早いんじゃないかなって」

スズキ「焦ってハンドル切っても、カーブは曲がれないしね」

ホシノ「ドリフトにはブレーキも必要ってこと?」

沙織「う、うん。ナカジマさんのいうとーりだよぉ、みぽりんは私たちを置き去りになんてしない!」

優花里「そうですね!! 西住殿を信じましょう!!」

梓「信じます!!」

優季「西住先輩は卒業するまで私たちの先輩でいてほしいなぁ」

カエサル「アンツィオ高校はそこまで逼迫してるの? 士気だって相当高そうだけど」

カルパッチョ「私も含めてドゥーチェのカリスマに惹かれて戦車道を受講した生徒は多いの。だから、そのドゥーチェが卒業してしまったら……」

エルヴィン「空中分解は避けられないか」

カルパッチョ「それは大げさかもしれないけど、今よりもまとまりがとれなくなることは考えられるわ」

おりょう「だからこそ、知将が必要ということか」

左衛門佐「しかし、我が将が簡単に軍門に下ることはないでござる」

カエサル「ひなちゃんには悪いけど、無理だと思うよ」

カルパッチョ「どうして?」

カエサル「それは西住隊長だからだ」

カルパッチョ「そ、そう」

沙織「みぽりんを信じなきゃ。絶対、私たちを見捨てたりなんてしないって」

生徒会室

アンチョビ「――というわけだ。どうだ、悪い話じゃないだろう」

みほ「ええと……」

桃「却下だ」

アンチョビ「なに?」

桃「何故、西住がそんなことをしなければならないんだ」

アンチョビ「理由は説明しただろ。未来のアンツィオを思えば、これが最も優れた一手となる」

アンチョビ「西住みほは高校戦車道史に名を遺すほどの有名人になっている。そんな人物がアンツィオで来るだけで相当な宣伝効果になる」

アンチョビ「来年の入学者は増え、戦車道履修者も増える。まさに、ウィンウィンだ」

柚子「ウィンしてるのはアンツィオ高校だけではないでしょうか」

アンチョビ「だから、見返りとしてアンツィオ高校の屋台、食堂で売られているイタリア料理をみほが卒業するまで無料で食べ放題という特典をつけるといってる」

桃「ふざけるな!!! 西住!! 迷う必要性がないだろう!! 断れ!!」

みほ「……」

杏「西住ちゃん、どうする?」

みほ「イタリア料理食べ放題は別にいりません」

アンチョビ「何故だ!? 島田のようにトマトもオリーブオイルもアンチョビもチーズも苦手なのか!?」

みほ「い、いえいえ! そういうわけではなくて、そんなに特別扱いしてほしいわけじゃないってことで……」

アンチョビ「ん? それって……」

みほ「食べるときはちゃんと支払います」

桃「に、西住……まさか……」

みほ「あの。私、安斎さんのお話を受けようと思います」

柚子「えぇ!? いいの!?」

杏「おぉー」

桃「おい!! 西住!!! どういうことだ!! 私たちを裏切るのか!!!」

みほ「そ、そんなつもりは……」

桃「お前のその行為はまさに裏切りだ!!!」

みほ「けど……」

桃「西住!! 目を覚ませ!!!」

杏「かわしまぁ。座れ」

桃「しかしですね、会長!! この話を呑んでしまえばアンツィオ高校が我々よりも強くなってしまうことだってあるんですよ!?」

アンチョビ「みほー!! お前ならばそういうと思っていたぞ!!!」ギュゥゥ

みほ「あはは」

桃「離れろ!! 安斎!!!」

杏「いいんだね、西住ちゃん」

みほ「構いません」

柚子「でも、言い方は悪いけど、西住さんが見世物にされてるような気が」

アンチョビ「そんなつもりはない、とは言えないな。だが、こっちだって真剣なんだ。必死なんだ。これでも私はアンツィオ復活のために呼ばれたんだからな。先の心配だってする」

柚子「そのことは伺っていますけど」

みほ「大丈夫です。気にしません」

桃「西住……」

みほ「安斎さん。明日から始めましょう」

アンチョビ「いいのか!? 助かるぞ!!」

みほ「一緒にがんばりましょう」

アンチョビ「ああ!! これでアンツィオは安泰だ!!! いやー!! 島田愛里寿に断られたときは困ったが、やはりこうして言ってみるものだな!!」

杏「がんばってねぇ、チョビぃ」

アンチョビ「よし、皆にも良い報告ができるし、最高の気分だ」

杏「ま、チョビには前の試合でも協力してもらったしな」

アンチョビ「あの日の私は大洗の生徒だったんだ。貸し借りをした覚えはないぞ」

杏「そっか」

アンチョビ「では、みほ。お前は明日から、そうだな、カプチーノと呼ぼう」

みほ「えぇ!?」

アンチョビ「なんだ、嫌か? では、ルッコラだな」

みほ「普通で! 普通でいいですから!」

アンチョビ「普通か。よしっ、パルミジャーナで」

みほ「……カプチーノでいいです」

アンチョビ「なんだ、やっぱりその呼び方がよかったのか。よろしくな、カプチーノ」

桃「はぁ……。大洗にとっては大損害ですよ、会長」

杏「いいじゃん。面白そうで。私、留年しようかなぁ」

柚子「会長、冗談はやめてください。あー、桃ちゃんは普通にしそうだよね」

桃「しない!!」

アンチョビ「では、失礼する。練習もあるのに、すまなかったな」

みほ「いえ。私も安斎さんのことを知ることができて、嬉しかったです」

アンチョビ「みほ、いや、カプチーノ、よろしく頼む」

みほ「こちらこそ。よろしくお願いします」

杏「小山ぁ、チョビがお帰りだよぉ」

柚子「はぁい。どうぞ」ガチャ

アンチョビ「ありがと――」

ペパロニ「姉さん!! やったんすね!!!」

アンチョビ「うお!? な、なんだ、お前たち。聞き耳をたてていたのか?」

ペパロニ「だって、気になるじゃないっすかぁ。天下の西住みほがうちにくるかもしれないんすよ。気にならない方がおかしいっすよぉ」

アンチョビ「だからってなぁ……」

みほ「あ……みんな……」

沙織「みぽりん……ホントなの……?」

みほ「聞いてたの?」

麻子「西住さん、アンツィオに行くのか」

みほ「うん」

華「みほさん……」

梓「先輩……せん、ぱい……」

みほ「澤さん?」

桂利奈「やだぁ……にしずみ、せんぱい、いかないで、くださいぃ……」

みほ「でも、もう……約束したから……」

優季「イタリア料理なら、私たちで、作りますからぁ」

あや「西住先輩!! どうしてなんですか!!」

みほ「私は、安斎さんに協力したい。一生懸命な安斎を放ってはおけなくて」

典子「わ、私たちのことはもういいんですか」

みほ「はい?」

妙子「優勝したからもうここに執着しないんですか!?」

みほ「あの……?」

あけび「二連覇しましょうよ!!! 西住先輩!!! 優勝旗、もう一度持って帰ってきましょう!!!」

忍「あの優勝は……!! つらい戦いはなんだったんですか!! 西住先輩!!」

桃「お前たち、騒ぐな。これは決定事項なんだ。悔しいが、西住の意志を尊重してやれ」

みどり子「そんなの納得できるわけないじゃない!!」

ねこにゃー「ボクたちの意見だってきいてほしい……」

柚子「会長、もしかして」

杏「みたいだな。みんなー、落ち着いてー。ちゃんと説明すっから」

優花里「西住殿!!!」

みほ「は、はい!?」

優花里「意志は固いのですか」

みほ「……」

優花里「安斎殿に協力するという決意は変わらないのですか」

みほ「はい」

優花里「わかりました……。では、もう何も言いません。西住殿、がんばってください」

みほ「ありがとう、優花里さん」

優花里「うっ……うぅぅ……えぐっ……」

沙織「ゆかりん、そんな無理しなくてもいいのに」

カエサル「残念だ……。西住隊長がアンツィオに行ってしまうとは……」

おりょう「大幅な戦力ダウンぜよ……」

エルヴィン「大洗から西住隊長が抜ければ、それはもはや、ロンメル抜きでアフリカ戦線を進むことと同義だ」

左衛門佐「辛すぎるでござる……」

みほ「……?」

カルパッチョ「では、西住さん。改めて、よろしくお願いします。カルパッチョです」

アンチョビ「みほを呼ぶときはカプチーノと呼ぶように」

ペパロニ「そうなんすか! よろしくな! カプチーノ!!」

みほ「はいっ」

華「みほさんが遠い人になった気がしますね」

沙織「みぽりん……かなしいよぉ……」

優花里「がまん……あえなくなるわけじゃないんですから……えがおで……えがおでみおくらないと……うぅ……」

杏「あのー、話きいてくれない?」

ねこにゃー「ふ、不公平だと、おもいます」

ぴよたん「ねこにゃー?」

ねこにゃー「に、西住さんは色んな学校が欲しがってるはず……なのに……アンツィオ高校だけが……そんな交渉していいわけがない……と、おもうんだけど……」

ペパロニ「あぁ? なんだってぇ?」

ねこにゃー「ひっ……すみません……」

ペパロニ「そうだよなぁ。姉さん、そのへんどうなんすか?」

アンチョビ「そんなもの早い者勝ちに決まっているだろう。出遅れたやつが悪いんだ」

ペパロニ「だ、そうだ。わかったか」

ねこにゃー「あ、はい」

ももがー「あ、あきらめちゃだめなり!!」

ぴよたん「ねこにゃー! もう一押し!!」

梓「そうですよ!!! 猫田先輩の言う通りです!!! どうして安斎先輩だけが西住先輩と交渉しているんですか!!!」

あゆみ「そーだ!! そーだ!! まずは他校にも呼び掛けてみるべきだと思います!!」

みどり子「そうね! それで西住さんのことを欲しがる学校があれば平等に交渉するべきよ! 西住さんはその中から一校に決めなさい!! それが風紀ってものでしょ!!」

みほ「えぇ!?」

杏「ちょっとま――」

アンチョビ「一理あるか」

カルパッチョ「ドゥーチェ?」

アンチョビ「お前たちの意見はもっともだ。カプチーノ、いや、みほのことを欲しがる高校は他にもあるかもしれない」

アンチョビ「いくら早い者勝ちとはいえ、あとで多くの学校に恨まれる危険性もなくはない」

アンチョビ「よし。杏、他校に呼びかけをしてくれないか?」

杏「チョビ」

アンチョビ「戦車道を嗜む者、何事にも正々堂々だ。まぁ、みほは我がアンツィオ高校が必ず貰い受けるがな」

柚子「誤解をとけばいいだけなんじゃあ……」

アンチョビ「それでも我々だけがみほを独占したら、他校との試合で後輩たちが恐ろしい目に遭うかもしれない」

桃「報復を恐れてのことか」

アンチョビ「別に怖くないぞ。西住みほとはそれだけの人物というだけだ」

杏「西住ちゃん、どうする?」

みほ「あの、私は構わないんですけど……でも、それだと安斎さんが困ることに……」

アンチョビ「ふっふっふ。甘く見るな、みほ。我々は実力でお前を奪ってみせる!!!」

みほ「な……」

杏「かわしまぁ。チョビもやる気みたいだし、この一件他校に通達してくれる?」

桃「はっ」

ペパロニ「つまり、姉さん。まだカプチーノはうちにきてくれないんすか?」

アンチョビ「こら、カプチーノではない。みほと呼べ」

カルパッチョ「ドゥーチェ、どうして……」

アンチョビ「恨まれたら、私たちみたいな弱小、じゃなかった、復活して間もない学校はひとたまりもないだろう」

ナカジマ「ちょっといいですかー? 交渉は私たちがしてもいいんですよね?」

ツチヤ「おぉ! そうなるよね!」

アンチョビ「勿論だとも。受けて立ーつっ」

沙織「みんな!! みぽりんを取り戻そうよ!!」

華「はいっ!」

優花里「大洗女子学園のプレゼンをするんですね!!」

典子「バレーボール押しでいくぞ!!!」

妙子「それはかえってバッドアピールになるとおもいます!!」

麻子「西住さん」

みほ「はい?」

ねこにゃー「も、もえてきたぞぉ……」

梓「みんなー!! 西住先輩がもう一度、ここで戦車道をしたくなるように何か考えよう!!」

あゆみ「おっけー!!」

あや「まかせてー!!」

優季「がんばるぅ」

桂利奈「あいぃぃ!!!」

紗希「……」コクッ

みどり子「風紀委員に任命するっていうのは?」

モヨ子「それしかないのよ、そど子」

希美「いけるかも」

杏「うんうん。私たちも考えよっか」

柚子「会長、楽しみだしてますね……」

ペパロニ「うちらもまけてらんねーっすね!!!」

アンチョビ「安心しろ、ペパロニ。一度はアンツィオに来ると言ってくれたんだ。負けるはずがない」

カルパッチョ「そうでしょうか……」

麻子「アンツィオ高校での戦車道イベント?」

みほ「うん。講師役で来てほしいって」

麻子「何回あるんだ?」

みほ「一応、三か月間毎週するんだって。明日からその打ち合わせで、アンツィオ高校に行こうと思ってたんだけど」

麻子「随分と力を入れているんだな」

みほ「来年度の入学者と戦車道履修者獲得のためのイベントだから。私が講師役を務めるなら、地方からも参加者がくるだろうって安斎さんは考えているみたい」

麻子「そうか……。西住さんが転校するわけではないんだな」

みほ「し、しないしない!! 私、大洗で卒業するって決めてるから」

麻子「……よかった」

みほ「もしかして、みんな勘違いしてるの?」

麻子「している」

みほ「だったら、伝えないと……!」

麻子「止めることはない」

みほ「けど……」

麻子「西住さんがどの学校を選ぶのか、私も気になるしな」

みほ「そんなぁ」

麻子「あと、あれを止める自信はあるか?」

カエサル「歴史クイズしかないだろうな」

エルヴィン「だが、西住隊長は楽しんでくれるだろうか」

おりょう「四択にするぜよ。正解数に応じて商品を豪華にすればいい」

左衛門佐「全問正解の暁には、甲冑だな」

エルヴィン「ドイツ軍が開発したヴィルベルゲシュッツ砲の模型を」

おりょう「土佐藩の家紋を進呈ぜよ」

カエサル「古代ローマ人が使用していたとされる携帯日時計だ」

おりょう・エルヴィン・左衛門佐「「それだぁ!!!」」

ナカジマ「学園艦で24時間ラリーはどうだろう」

スズキ「それだと疲れるんじゃない?」

ホシノ「西住さんは戦車乗りだし、それぐらいじゃ疲れないでしょ」

ツチヤ「普通にレースでもいいけどなぁ」

みほ「無理かも……」

桃「会長。通達完了しました」

杏「返事は?」

桃「黒森峰、サンダース大付属、プラウダ、聖グロリアーナ、知波単学園、継続高校から返答がありました。そのほかにも続々と問い合わせがあるみたいです」

柚子「もうそんなに返答があったの!?」

杏「チョビー。ちょっと」

アンチョビ「どうした?」

杏「西住ちゃんのことを欲しいって学校は名門ばっかりみたいだけど、どうする?」

アンチョビ「ぐっ……。そうだな。私も戦車道を嗜む者だ。二言はないが、できるだけ絞ってもらえると助かる。いや、参加校が多いとみほが困るだろうって意味だ」

カルパッチョ「ドゥーチェ、弱気にならないでください」

アンチョビ「そうだな。弱気はダメだ。西住みほは、我々が獲得する!! 多分!!」

ペパロニ「おっしゃー!! 黒森峰だろうがプラウダだろうがギッタンギッタンにしてやるぜぇ!!!」

杏「かわしまぁ、んじゃ、呼ぶのは黒森峰とサンダースと――」

柚子「会長、最高に楽しんでますね」

アンチョビ「みほ!!! 首を洗ってまっているがいい!!! 必ず、きっと、恐らく、お前はアンツィオ高校にくることになるだろう!!! と思う!!」

みほ「は、はぁ」

アンチョビ「で、みほとの交渉日はいつになる?」

杏「一週間後でいいんじゃない? 場所はもちろん、ここね」

アンチョビ「望むところだ」

みほ「本当にいいんですか?」

アンチョビ「私は信じている。みほがアンツィオを選ぶことをな」

みほ「けど、打ち合わせは……」

アンチョビ「正式に決定してからでも遅くはない。まだ時間はあるからな」

みほ「わかりました……」

沙織「みぽりんはぜったいにわたさないんだからー!!」

優花里「私たちの隊長は永久に不滅です!!」

華「守ります。私たちのみほさんを」

麻子「おー」

みほ「みんな……」

杏「西住ちゃん、モテモテだねぇ」

みほ「嬉しいんですけど、ちょっと違うような」

校門

ペパロニ「さーて、かえりましょうか、姉さん」

アンチョビ「戻ったら作戦会議だな」

カルパッチョ「もし、みほさんが選んでくれなかったらどうするんですか」

アンチョビ「そのときは、そのときでまた別の案を考えればいいだけの話だ。みほが来てくれることは最良の策だが、唯一の策ではない」

カルパッチョ「わかりました。私もできる限りのご協力をさせていただきます」

ペパロニ「にしても、あいつら妙に燃えてましたよねー」

アンチョビ「それだけ、みほは魅力的な隊長なんだ」

ペパロニ「あたしは姉さんのほうが魅力的にみえますけどねー。頭はあんまりよくないっすけど」

アンチョビ「お前にはいわれたくない!!」

カルパッチョ「他校がどんな手でくるのか、気になるところですね」

アンチョビ「小細工は不要だ。アンツィオの魅力を余すところなくアピールすれば、風は吹く!!」

ペパロニ「当日は鉄板ナポリタンつくるっすよぉ!!」

アンチョビ「それでいくぞ!! みほをトマトソースまみれにしてやるんだ!!!」

カルパッチョ「えぇ……」

一週間後 大洗女子学園

みどり子「西住みほさんと交渉を希望する方はこちらにならんでくださーい」

杏「あんまり集まらなかったねぇ」

桃「イベント等で一時的に借りられるだけということですからね」

柚子「転校するわけじゃないって知った途端、辞退する学校が殆どでした」

杏「それでも借りたいってところはこれだけいたんだねぇ」

ダージリン「ふふふ。みほさんが聖グロリアーナに来てくれるチャンスを逃す手はありませんわね」

カチューシャ「ノンナ、絶対にミホーシャをプラウダに引き込むのよ」

ノンナ「了解です」

まほ「……」

ケイ「ミホにチアリーダーやってもらいたかったのよねぇ」

絹代「西住殿が我が知波単学園を導いてくれるかもしれないぞ!! 気合をいれろ!!!」

「「おぉぉぉ!!!」」

アキ「みほさんが継続高校に転校してくれるなら、もっと強くなれるね、ミカ!」

ミカ「壮絶な思い違いが渦巻いているね」ポロロン

優花里「やはり名だたる名門校ばかりですね」

沙織「だからって、負けるわけにはいかないんだからね、ゆかりん」

優花里「はいっ!! もちろんです!! この日の為に私たちは作戦を練ってきたのですから!!」

華「わたくし、負けません」

麻子「ふっ」

みほ「あぁ……大事になってるぅ……」

カエサル「最大のライバルはアンツィオと黒森峰だな」

ナカジマ「一度行こうとしていたアンツィオとお姉さんがいる黒森峰か」

ツチヤ「どっちも強敵だな」

梓「みんな、しっかりやろう」

あや「うんっ」

あゆみ「私たちの西住先輩を守ろう」

桂利奈「やってやるぅ!!」

優季「えいえいおー」

紗希「……」コクッ

日本語がおかしかった

>>33
優花里「やはり名だたる名門校ばかりですね」

優花里「やはり名だたる学校ばかりですね」

ペパロニ「ねえさーん、準備できてるっすよー!!」

アンチョビ「そのまま待機だ」

ペパロニ「了解っす!」

アンチョビ「ここまでの学校が集まるとは……」

カルパッチョ「これでもかなり減ったみたいですけど」

アンチョビ「苦戦必至だが、勝機はあるぞ。何故なら、一度みほはアンツィオ行きを承諾しているのだからな」

ダージリン「こんなことわざを知ってる? 戦争でも恋愛でも、勝つ者がいつも正しい」

アンチョビ「ダージリン……」

ダージリン「みほさんは聖グロリアーナがいただきますわ」

オレンジペコ「みほさんって本当に転校してくれるのでしょうか?」

アッサム「転校するという文言は一つもなかったけれど」

ローズヒップ「来年度はダージリン様とみほ様で最強の聖グロリアーナが誕生しちゃいますですわー!!」

ダージリン「わたくしは卒業してしまうわよ?」

ローズヒップ「えぇぇぇぇ!!!!」

ルクリリ(ローズヒップの中ではダージリン様は永久に隊長なのか)

ローズヒップ「そんな……ダージリンさま……来年度からはわたくし、どうしたら……誰を信じたらいいのか……わかりませんわ……」

ダージリン「みほさんなら貴方の能力を最大限に引き出してくれるはずよ。安心なさい」

ローズヒップ「なるほどですわ!! みほ様ー、来年度はローズヒップをよろしくおねがいいたしますですわー!!」テテテッ

みほ「ど、どういうことですか!?」

ダージリン「もう少しぐらい名残を惜しんでも構いませんことよ」ズズッ

オレンジペコ「寂しいんですね」

アンチョビ「何でみほを勧誘するのかは知らないが、こちらには大きなアドバンテージがあることを忘れるな」

ダージリン「望むところよ」

ペパロニ「手強いっすね」

アンチョビ「ダージリンは何をしてくれるか読めないからなぁ。だが、私たちは私たちのやり方で攻めるしかない」

ペパロニ「おっす! それしかないっすよね!!」

アンチョビ「さぁ、ピザを焼け!! パスタをゆでろ!!! オリーブオイルはケチケチするなー!!!」

ペパロニ「おー!!」

みどり子「時間になりましたので、ここで受け付けは終了します。参加されるかたは私についてきてくださーい」

杏「さて、どうなるか楽しみだねぇ」

生徒会室

柚子「西住さんはここに座ってね」

みほ「あ、はい」

杏「それじゃあ、始めるとしますか。第一回西住みほ争奪たいかぁい。いえぇーい」

みほ「今更なんですけど、きちんと事情を説明したほうが……」

杏「まぁまぁ」

桃「では、入ってもらう」

みほ「だ、誰が来るんだろう……」

ポロロロン……

みほ「この音楽……」

ミカ「……」ポロロン

みほ「ミカさん」

アキ「最初は私たち、継続高校です!」

ミッコ「よろしく」

杏「んじゃあ、アピールタイムね。学校の良いところやどうして西住ちゃんが欲しいのか説明して」

ミカ「……」ポロロロン

アキ「ええと、私たち継続高校は石川県が本拠地です。石川県と言えば――」

ミカ「……」ジャンジャンジャカジャン!!!!

アキ「――が有名です。あとは――」

ミカ「……」ジャンジャンジャカジャカジャン!!!!

アキ「それから継続高校にきてくれたら――」

ミカ「……」タンタンジャカンタンジャンジャン!!!!

みほ「あ、あのぉ」

桃「おい!! BGMが大きすぎるぞ!!! 音を止めろ!!!」

柚子「アキさんの声が殆ど掻き消えてますけどー!!」

ミカ「……」ジャンカジャンタンタン!!!!

アキ「え? なんですかー?」

みほ「きこえませーん!!」

アキ「ごめんなさい!! わたしたち!! けいぞくこうこうはー!! いしかわけんがー!!!」

ミッコ(アキが大声だすのか)

杏「はい、ストップ」

ミカ「ここから盛り上がるところだったのに」

杏「アキちゃんが可哀想だから」

ミカ「そういうことにしておこう」

桃「お前たち真剣にやれ」

アキ「真剣です! 西住みほさんのこと、本気で欲しいんです!」

杏「それはどうして?」

アキ「私たち、継続高校ははっきりいって万年資金不足に悩まされています。良い戦車なんて買う余裕は一切ありません」

アキ「だから、個々の技術と全体の戦術でカバーしなくてはいけません」

ミッコ「継続高校の特色としては各種戦車に改造を施して、操縦技術を徹底的に鍛え上げるってのがある。それは弱い戦車でもハイスペックの戦車と渡り合うための策」

アキ「私たちが他の強豪と辛うじて戦えるのはそうしたことを積み重ねてきたからなんです。でも、黒森峰や聖グロリアーナに真っ向から試合をしても、簡単に負けてしまうのが実情です」

みほ「でも、去年黒森峰と練習試合をしたとき、私たちはかなり苦戦しました。隊長であるミカさんの実力は相当なものでした」

アキ「ミカは十年に一度現れるかどうかの、逸材だったんです。だからこそ、ミカが隊長を務めた2年間はそれなりの戦績を残すことが出来ました」

アキ「全国大会では二回戦敗退でしたけど」

杏「隊長が卒業してしまえば、以前の継続高校に戻ってしまう。だから、西住ちゃんが欲しいってわけだ」

アキ「結果を出せば、戦車道に関する予算も増える。増えればジャージじゃなくてちゃんとしたパンツァージャケットも作れる」

アキ「けど、ミカのおかげでやっと軌道に乗り始めたのに、ミカの後継者になれる人がいない。どうしようってみんなで話し合っていた時に、西住みほさんを手に入れられるという話が耳に飛び込んできたんです!!」

ミカ「誰もそんな話はしていないと思うけどね」

アキ「ミカの代わりになれるほどの人材は、みほさん!! 貴方しかいないんです!! お友達からでもいいので、隊長になってください!!」

みほ「えぇー!? そんな、わたしなんてミカさんの代わりなんてできませんから!!」

アキ「できます!! 試合での沈着冷静ぶり、研ぎ澄まされた戦術、戦況に応じて色を変えていく柔軟性……」

アキ「どれをとってもミカの後継者にぴったりだと思うんです!!」

みほ「そんなこと……ミカさんは私なんかよりも才能も実力も経験もあるし……」

ミカ「……」ポロロン

杏「本人はどう思ってるかによるねぇ」

ミッコ「ミカからも何か言って」

ミカ「そうだね。西住みほという人間が私の代わりになることができるか、と聞かれたら、答えは……」ポロロロン

ミカ「なることはできない。と言っておこう」

桃「西住では実力が不足しているということか」

ミカ「いいや。隊長としての技量、器は私とは比べ物にならないほど、とても立派だよ」

みほ「や、やめてくださいっ」

ミカ「過ぎた謙遜は身を亡ぼす」

柚子「それではどうして代わりにはなれないんでしょうか」

ミカ「私は西住みほではなくミカであり、西住みほは私ではなく西住みほだからかな」

桃「わかるようなわからないような……」

ミカ「同じ音楽を奏でていても、奏者によって聞こえてくるものは違ってくるのさ」

ミカ「アキにはそれを理解した上で、彼女を誘って欲しい」

アキ「どういうこと?」

ミカ「決して、西住みほという人間はミカの分身にはなれない。私とは全てが違う。その違和感に耐えられるのなら、誘うと良い」

アキ「ミカの言ってる事、よくわかんないよ」

ミカ「今はそれでいいかもしれないね」

杏「つまり、西住ちゃんを誘うのは反対ってこと?」

ミカ「まさか。君が継続高校に来てくれるというのなら、大歓迎する。アキにもミッコにも欠けている部分は多いからね。それを補うことが出来れば、私が卒業しても強豪と渡り合えるはず」

アキ「だよね!! 未来の継続高校のためにもみほさんは――」

みほ「それは、私でなければ補えないものなんでしょうか?」

アキ「え?」

みほ「ミカさんがそれを補うべきではないんですか」

ミカ「そうしたい気持ちはあるけれど、不安もあるさ」

みほ「不安……」

ミカ「大事な後輩たちが、絶望し、涙を流す様は想像したくもないからね」

みほ「だから、私が必要なのですか」

ミカ「必ずしも君が欲しいというわけではない。けど、居てくれるなら私も安心して風と共に去ることができる」

みほ「技術、戦術はミカさんが伝えるべきだと思います。私は私のやり方しか教えられません。アキさんもミッコさんもミカさんのやり方を知りたいはずです」

ミッコ「そりゃあ……まぁ……」

ミカ「だったら、問おうか。君がアンツィオ高校に肩入れする理由を」

みほ「どうしてそのことを……」

ミカ「少し調べればわかることさ」

杏「西住ちゃんはチョビの考えに共感したからだ」

ミカ「安斎千代美のやり方を変えてでも手を貸したくなったのかい?」

みほ「……はい」

ミカ「わかったよ。では、このまま観賞させてもらおうかな」

アキ「ミカ? 交渉は?」

ミカ「継続高校のアピールは終わりだ。あとは黙って眺めることにしよう」

ミッコ「何もアピールできてないと思うけどなぁ」

アキ「うん……」

ミカ「私たちを十分に表現できたはずだ。運命は彼女に委ねよう」

アキ「えー、もう相変わらず自由なんだから」

桃「いいのか?」

ミカ「ああ。続けて欲しい」

桃「西住もいいか?」

みほ「はい。大丈夫です」

柚子「ミカさん、安斎さんがどうアピールするのか見たいのでしょうか?」

杏「そうだろうね。んで、ツッコミどころがあれば、即座に意見しそうな雰囲気だ」

桃「継続高校隊長、ミカ。黒い噂もある人物です。何を仕出かすかわかりませんね」

ミカ「ふふ……」ポロロロン

杏「色んな意味で西住ちゃんを本気で取りに来てる感じがするよね」

みほ(でも、ミカさんはきっと……)

ミカ「期待しているよ」

アキ「なにに?」

ミカ「さぁ、なんだろうね」

桃「次、入れ」

バーンッ!!!

みほ「わぁ!?」

ケイ「イッエーイ!!! サンダース大付属高校から大洗にアライヴァルした、ケイよ!」

みほ「ケイさん」

杏「やぁやぁ、ケイ」

ケイ「ヤッホー、アンジー、ミホー。ミホをゲットできるって聞いて、やってきたわよ」

みほ「あ、ありがとうございます」

アリサ「しかし、一時的にみほを呼ぶことができる権利でしょ? いるのかしら?」

ナオミ「いるからこうして隊長はやってきたんじゃない?」

みほ「ケイさんも私のことを……」

ケイ「前からミホのこと、欲しいって思ってたわよ」

みほ「そこまで評価してくれていたなんて、嬉しいです」

柚子「サンダース大付属に行くと、何か特典はあるんですか?」

ケイ「オフコース!! アリサ!!」

アリサ「私たちのところへ来てくれるのなら、学園艦内にある施設は全て無料で使用可能になります」

アリサ「あとハンバーガーとフライドポテト食べ放題。そして戦車1輌進呈します」

みほ「そ、そこまで!?」

アキ「金にものをいわせた勧誘……ずるい……」

桃「西住!! サンダースへ行って、ファイアフライをもらってこい!! 五十鈴を乗せれば戦力大幅アップだぞ!!」

アリサ「誰も好きな戦車を選べるとは言ってないですけど」

桃「なにぃ!?」

杏「そこまでしてくれるってことは、それなりのことを要求されそうだねぇ」

ケイ「そんなことないわ。ミホにお願いしたいのは一つだけ。ジャジャーン、この衣装を着て、サンダースのチアリーダーになってもらうつもりよ」

みほ「チアリーダー!? ど、どうして!?」

ケイ「ミホのアンコウダンスを見て、ピーンときちゃったの。ミホがチアの恰好で応援してくれたら、きっとどんな試合でもウィンできるって」

みほ「そんなことないですから!!」

ケイ「あるわ!! ミホ、貴方は自分で考えているよりもキュートなのよ」

みほ「ケイさんのほうがよっぽど綺麗だと思いますけど……」

ケイ「そう? みほは私にないものをメニー持ってるじゃない」

みほ「例えばどういうところでしょう?」

ケイ「んー。私ってさ、どんな相手でも一気に距離を縮めようとしちゃうところがあるのよね。すぐに仲良くはなれるけど、そういうノリを嫌う子っていうのは必ず一定数いるわけ」

ケイ「けど、みほはゆっくりと相手に近づいて、いつの間にかその相手を虜にしてる。どんな相手もみほには気を許しちゃう。私も含めてね」

みほ「いえ、そんな」

ケイ「そんなミホだからこそ、サンダースのチアリーディング部にはいってもらいたの。勿論、月に4回ぐらいの参加で構わないわ」

みほ「ええと……その……」

ケイ「ダメ? オッケー、それじゃあ、もう一つ特典をつけるわね」

杏「どんな特典?」

ケイ「私とお揃いのホットパンツをプレゼントするわ!!」

みほ「それはケイさんだから似合うんだと思います!! 私にはとても似合いません!!」

ケイ「そんなことナッシング!! ミホなら着こなせるわ! とりあえず、試着しちゃう?」

アリサ「着てみればわかるわ。意外とハマるから」

ナオミ「レッツプレイ」

みほ「えぇー!?」

ミカ「……」ポロロロン

ケイ「ん? どうかした、ミカ?」

ミカ「貴女は、彼女をどうしたいのかと思って」

ケイ「チアガールになってほしいだけよ」

ミカ「西住みほという戦力が欲しいわけではないということかな?」

ケイ「戦力ですって? ホワイ? どーいう意味?」

みほ「へ?」

杏「ケイは純粋に西住ちゃんに応援してほしいってだけなんだ」

桃「西住から戦術を学びたいという考えもないのか」

ケイ「あー。確かにミホが私の後輩たちにタクティクスを伝授してくれるのは嬉しいわね。けど、サンダースっぽさはなくなっちゃうのはバッドかな」

アキ「む……」

ケイ「それになにより、ミホはミホなりの、アリサはアリサなりの戦い方をしてほしいわ。でないと、本当の意味でアリサがリベンジできないもの。ね?」

アリサ「隊長、それは……」

ケイ「未来のキャプテンはアリサだから、自然とそうなるじゃない?」

アリサ「な……!?」

ナオミ「ケイ。その話はまだ伏せておく約束だったはずよ」

ケイ「そうだっけ? まぁ、いいんじゃない?」

アリサ「な……な……あ……!!」

みほ「アリサさんが次期隊長だったんですか」

ケイ「イエス。というか、アリサ以外に考えてなかったわ。ちょっとだけテンパるところがあるけど、それは私が卒業するまでに直してあげるつもりだし」

アリサ「た、たいちょぅ……」

柚子「けど、西住さんには応援してほしいんですよね?」

ケイ「傍でミホががんばれーってポンポンを振ってくれるだけで、アリサも元気になれるからね。別に戦術を盗もうってわけじゃないんだし、やってほしいわ」

みほ「尚更、ケイさんのほうが適任だと思いますけど……」

ケイ「ノンノン。ミホの応援ってのが大事なのよ。アリサが尊敬している選手の一人なんだし」

アリサ「ノー!!! 隊長!!! いきなりなにを言うんですか!!」

ケイ「違ってた? 大会で負けたあと、いっつもミホのこと意識してるみたいだったから」

アリサ「それは大洗のデータを収集していただけです!!」

ナオミ「照れなくてもいいのに」

アリサ「照れてません!!」

みほ「ありがとうございます、アリサさん」

アリサ「尊敬なんてしてないわよ!! 調子にのらないで!!」

杏「アリサちゃんとしては、西住ちゃんから色々と学びたいって気持ちはありそうだねぇ」

アリサ「ない!!! ぜんっぜん、ない!!」

ケイ「私個人の願いとしてはミホにチアをしてもらうだけでパーフェクトだけど、アリサがそれを望むならミホからも教えてあげて」

みほ「いいんでしょうか?」

ケイ「あくまでもミホはゲスト。貴方の教えは貴重なものになるけれど、サンダースの伝統を塗り替えるほどの影響力はないわ」

みほ「……!」

桃「はっきり言ってくれるな」

杏「実際、そうだろうけどね」

ケイ「お、そろそろサンダースのアピールタイムは終了ね。じゃ、ミホ。良い返事を待ってるわね」

ケイ「ふー。手ごたえはあったわね」

ナオミ「あれで靡かないほうがおかしい」

アリサ「隊長……わたしが……」プルプル

ミッコ「あったか?」

アキ「どうだろう。でも、私たちよりはあったかも」

ミカ「ふふ……。面白いね」

みほ「……」

杏「続けるよ、西住ちゃん?」

みほ「あ、はい。お願いします」

杏「うん。次、どうぞー」

まほ「失礼する」

みほ「お、お姉ちゃん……」

エリカ「黒森峰女学園代表、西住まほ、逸見エリカです」

柚子「はい、よろしくお願いします」

みほ(な、なにを言われるんだろう……)

桃「それでは、アピールをどうぞ」

エリカ「西住みほ」

みほ「は、はい」

エリカ「とんだ浮気者ね」

みほ「え……」

エリカ「黒森峰に泥をつけ、次は弱小無名校に栄光を掴ませて、更に他の学校へ心変わりしようとしているみたいね」

みほ「いえ、そういうわけじゃ……」

エリカ「あなたの所為で私と隊長がどれだけ苦労したと思っているのよ!!!」

みほ「……!?」ビクッ

エリカ「なによ!! 臆病風に吹かれて戦車道を止めたと思ったら、私たちの知らない子たちと戦車に乗って……!!」

エリカ「しかも、私にも見せたことのないような顔で……!!」

エリカ「あんなに楽しそうに戦車に乗れるんじゃない!! どうしてよ!! 弱いところじゃないと楽しそうにできないわけ!?」

みほ「あ、えと……」

まほ「エリカ、やめろ」

エリカ「でも、隊長!! この子は……!!」

ケイ「ブーブー」

ミカ「おや、ブタが鳴いてる」ポロロン

アキ「ちょっと、ミカ!」

ケイ「そりゃ、ブタも鳴くわ。ヘイ、エリカ。ここは個人的な文句をいうステージじゃないわよ」

エリカ「わ、わかってます」

杏「西住ちゃんに苦言を呈するために来たっぽいね」

エリカ「当たり前でしょ。だれがこんな浮気者を勧誘――」

まほ「みほ」

みほ「な、なにかな?」

まほ「黒森峰に戻ってこないか?」

エリカ「隊長!?」

みほ「……ごめんなさい」

エリカ「なんでよ!?」

まほ「……そうか。分かった。私たちはもう十分だ。時間をとらせてすまなかった」

エリカ「もういいんですか!? まだ何もアピールできていませんけど!?」

まほ「黒森峰のことはみほは良く知ってる。アピールすることなどない。ただ、みほに戻る気持ちがあるのかないのか、確かめられたらそれでいい」

エリカ「くっ……けど……」

まほ「エリカとみほ。二人が組めば、無敵の黒森峰に戻ることもできたが、みほにその気はないようだ」

みほ「ごめんなさい。私は……」

まほ「言わなくていい。みほの気持ちを変えるには、全てが遅すぎた」

柚子「まほさん、かっこいい」

杏「男前だねぇ」

まほ「ケイの隣で傍観していても?」

杏「いいよぉ」

まほ「行こう、エリカ」

エリカ「隊長!! 私も色々と説得するための用意があったんですけど!!」

まほ「くどい」

エリカ「わ、わかりました……」

みほ(お姉ちゃん、エリカさん。ごめんなさい。今の私は、大洗が大好きだから……)

杏「それじゃあ、次行ってみよっかぁ」

ダージリン「こんな格言を知ってる? 人間の真の性格は、彼の娯楽によって知られる」

オレンジペコ「こんにちは、大洗のみなさん」

ローズヒップ「みほさまー!!」キャッキャッ

アッサム「ローズヒップの中では既に隊長が入れ替わっているようね」

ダージリン「……」ズズッ

オレンジペコ「ダージリン様が酷く悲しんでいるみたいです」

柚子「では、聖グロリアーナのみなさん。西住さんが欲しい理由などを発表してください」

ダージリン「聖グロリアーナは長年大きな問題を抱えているいます」

みほ「大きな問題ですか」

ダージリン「ええ。イギリスとの提携、卒業生の経済支援等で学園艦の財政は常に潤沢であることは知っているかしら」

桃「ああ。全国でも一、二を争う資金力で有名だからな」

アキ「またお金の話……」

ダージリン「故に、私たちはとある鎖で拘束されてしまっている」

杏「聞いたことあるよ。聖グロリアーナのOG会が結構な発言力を持っていて、学園艦の運営方針やら戦車道のチーム編成にまで口を出すとかなんとか」

ダージリン「そのとおり。まだまだ強力な戦車は存在するのに、中々導入が進まないのが現状。名門、強豪と呼ばれつつも中々全国制覇できない理由の一つとわたくしは捉えているわ」

ミッコ「戦車の性能が全てじゃないけどなぁ」

ダージリン「そうね。けれど、揃えられるはずの手札を手に入れられないのは、問題があるでしょう」

ダージリン「なにより、聖グロリアーナは全力を出しきれない。それでは試合をする相手に失礼というもの」

桃「どんな相手も全力で叩き潰したいということか」

アキ「性格わる……」

杏「それと西住ちゃん獲得になんか意味があるの?」

ダージリン「大アリですわ。みほさんは西住家の次女。聖グロリアーナのOG会もその名前を無視することはできないでしょう」

まほ「西住の名を借り、OG会を黙らせるのか」

エリカ「政略的な理由なのね」

ダージリン「加えてみほさんの実力は聖グロリアーナにとってもプラスなる。お誘いする理由としては十分のはず」

エリカ「バカね。そんな理由を正直に言ったら、みほが承諾するわけないじゃない。そうやって利用されるのが一番嫌いなんだから」

アリサ「よく理解してるのね」

エリカ「理解なんてしてないわよ!!」

みほ「あの、ダージリンさん。私のことを評価していただいてとっても嬉しいんですけど、でも、そういう理由ではちょっと……協力することは……」

ダージリン「ふふ……。わたくしの知っているみほさんならそう言うわね」

ケイ「断られると分かっていて説明したっていうの?」

ダージリン「それだけの勝算があるということよ」ズズッ

杏「すんごい自信だね」

ダージリン「ただ黙ってこの日を待っていたわけではなくてよ」

柚子「どういう意味でしょうか」

ダージリン「聖グロリアーナに来ていただけるのなら、こんな特典をご用意するわよ。オレンジペコ、アッサム。あれをここへ」

オレンジペコ「はいっ」

アッサム「了解です」

みほ「一体なにを……」

オレンジペコ「これです」ドサッ

みほ「え……!?」

アッサム「ボコのぬいぐるみです」

ダージリン「みほさん、このボコシリーズ、見たことがありまして?」

みほ「な、ないです……このボコも……こっちのボコも……! こ、これは……どこで……!!」

ダージリン「ボコが大好きなみほさんでも見たことがなくて当然ですわ。何故なら、これは聖グロリアーナ限定のボコですもの」キリッ

みほ「聖グロリアーナ限定……!?」

ダージリン「ええ。素敵でしょう?」

ケイ「ヘイ、ダージリン!! もしかしてマネーにものをいわせて作ったわね!?」

ダージリン「さぁ、どうでしょう」

アリサ「なんて卑怯なのよ!!」

アキ「……」

ミカ「アキ、言いたいことがあれば、発言してもいいんだ。誰も咎めることはない」

みほ「でも、ボコが……あるからって……」

ダージリン「勘違いしないでもらえるかしら」

みほ「え?」

ダージリン「この限定ボコを差し上げるだけが特典ではありませんわ」

みほ「……!?」

エリカ「それ以上に何があるっていうのよ!?」

ダージリン「月に一度、みほさん自身がボコをデザインして、それをグッズ化することができるという特典よ」ズズッ

みほ「……!?!?」

杏「西住ちゃんの心が揺れ動いてるね」

柚子「これは本当に転校もあり得るのでは……」

桃「西住!! 目を覚ませ!!!」

みほ「そんな……そんなこと……できるわけ……」

ダージリン「みほさん、いつもボコを見ている側だった貴方が、生み出す側へ行くことができるわ」

みほ「ボ、ボコを……う、うみだす……?」

ダージリン「ボコの親になれるのよ。みほさん。いえ、アールグレイ」

オレンジペコ「みほさんのニックネームですね」

アッサム「先代隊長のものを与えるなんて、本気のようですわね」

みほ「うぅ……けど……わたし、は……」

ダージリン「こんなチャンス、二度と巡ってはこないわよ?」

みほ「うぅぅ……」

エリカ「やめなさい!! そんな勧誘方法が認められるものですか!! 隊長からも言ってください!!!」

まほ「黒森峰限定のボコを作製できれば……あるいは……」

エリカ「隊長!?」

みほ「あの、会長……」

杏「どったの?」

みほ「ダージリンさんたちのアピールタイムを終了してください……お願いします……」

杏「わかった。河嶋ぁ、タオルなげて」

桃「はっ」

ダージリン「白フラッグが上がったようね」

アッサム「また勝ってしまいましたわね」

ダージリン「そのようね」ズズッ

オレンジペコ「心が痛みますけどね」

ローズヒップ「みほ様っ、一緒にがんばりましょう!!」

みほ「そのやくそくは……」

ダージリン「では、おひとつだけ聖グロリアーナパンツァージャケットバージョンのボコを差し上げますわ」ポンッ

みほ「……!?!?!?」

ダージリン「ほんの挨拶代わりよ。それでは、良い返答を待っていますわ、アールグレイ」

みほ「わ、わたしは……ボコに……つられたりなんか……」プルプルプル

ダージリン「あとはここでゆっくりと結果を待ちましょう」ズズッ

ケイ「ダージリン、やることが全部フェアじゃないわ」

ダージリン「こんな格言を知ってる? 人間は機械である。ちょっとでも触れると欲情が激しく回る機械である」

ミカ「良い言葉だね」ポロロン

アキ「もうだめかも……」

アリサ「正々堂々戦いなさいよね」

アッサム「これがわたくしたちの戦い方ですわ」

ローズヒップ「みほ様がわたくしたちの隊長になりますですわー!!」キャッキャッ

エリカ「卑劣すぎるわ」

まほ「だが、みほの弱点を正確に突いた見事な戦術ともいえる」

ダージリン「さぁ、続きをどうぞ?」ズズッ

杏「西住ちゃん、いける?」

みほ「はい。なんとか。段々、心が落ち着いてきた気がします」ギュゥゥ

柚子「そのボコ、気に入ったのね……そんなに強く抱きしめて……」

桃「結果は決まったかもしれないが、次、入れ!」

絹代「はっ!!! 知波単学園代表!! 西絹代であります!!」

福田「西隊長、がんばってくださいでありますっ」

絹代(西住殿が知波単学園の隊長となれば、根付いている突撃して潔く散るという思想を払拭できるかもしれない……!!)

柚子「それでは、アピールをお願いします」

絹代「はっ!! 我々、知波単学園の所在地は千葉県習志野市!!! 知波単の名は『知恵の波を単身渡れるような進取の精神に溢れる学生になるように』との意味が込められております!!」

絹代「しかし、過去ベスト4に輝いたときに使用した一斉突撃戦法に頼り続けた結果、知恵の波を渡ることができなくなってしまいました」

絹代「先代も先々代も皆、その戦法を妄信し、猪突猛進を貫き、結果として敗戦を繰り返しております」

絹代「私もその戦法が間違っているとは思いません。思いませんが、それだけで過去の栄光を取り戻すことなどできないことも理解しております」

絹代「知波単学園にある閉塞感を打ち破るには、猛進するだけではいけないのです。何か、新しい風が必要なのです」

絹代「西住殿のような神風が、知波単学園を生まれ変わらせるために必要なのです!!」

絹代「西住殿、いえ、西住隊長!!! 我々、知波単魂を全国制覇へと導いてはもらえませんか!!」

絹代「よろしくお願いいたします!!!!」

みほ「……」

絹代「……西住殿?」

みほ「はい? あ、ごめんなさい。ボコに見惚れてて……」

そりゃ好きなところからツッコンでもOKだろ

ダージリン「ふっ。揺るぎない勝利が見えているかのようね」

ケイ「キヌヨの話が全く耳に入っていなかったっていうの」

ミカ「ボコは彼女にとって、それだけの存在ということ」

エリカ「こんなの勝てるわけがないじゃない……! 私は何のためにここまで来たのよ……!!」

まほ「まだ分からない」

エリカ「え?」

まほ「西絹代の目はまだ光を失っていない」

絹代「西住殿がそう簡単に知波単学園を選んでくれるとは思っていません。相応の見返りも用意しています」

みほ「……」

絹代「我が知波単学園への転校をご決意されましたら、西住殿に数々の御礼をさせていただきます」

絹代「まず、朝食は銀シャリ、味噌汁、漬物付き!!!」

福田「な、なんてご馳走!!」

「「おぉぉぉ!!!!」」

桃「知波単学園の生徒らは静かに!!!」

絹代「昼食はなんと、豚の生姜焼き定食、豚汁付きです!!!」

福田「しょうがやき……!! それをお昼になんて……!! はっ!! だったら、夜は……夜はどうなるでありますか……!!」

絹代「夜は……夜は……」

みほ「……」

絹代「鯛飯に鯛の煮つけ……!! そして……そして……。赤出汁付きだ!!!」

「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」

ミッコ「知波単の生徒は食べられないんだよな?」

アキ「かわいそう」

福田「そのような贅沢が許されるでありますか!?」

絹代「西住殿を招くことができるのであれば、安いもの」

絹代「西住殿!!! いかがでしょうか!? 一考していただけますか!?」

みほ「……あ、はい」

絹代「ありがとうございます!!!」

みほ「……」ナデナデ

杏「西住ちゃん、そのボコ、ちょっとだけ預からせてもらうよ」ヒョイ

みほ「え!? ど、どうしてですか!?」

杏「公平性を欠くから。河嶋ぁ、はい」

桃「保管しておきます」

みほ「あぁ……ボコ……」

柚子「では、西さん、こちらに座っていてください」

絹代「はっ!」

福田「手ごたえはばっちりでありましたね」

絹代「ああ。鯛飯に惹かれない九州女児はいないという私の持論は正しかった」

福田「知波単の未来は明るいでありますっ」

ミカ「希望が明るいほど、絶望は深くなる」ポロロロン

ダージリン「誰の格言かしら?」

ケイ「デビル的な作戦。ダージリンらしいといえばらしいけど、ホントに勝ち目は残されていないかも」

ナオミ「残念だったわね、アリサ」

アリサ「べ、別に! みほから学ぶことなんてありませんから!!」

柚子「それでは、次の学校、どうぞ」

カチューシャ「あーっはっはっはっは!! やっと私たちの出番ね!!」

みほ「遠いところからありがとうございます、カチューシャさん」

カチューシャ「プラウダのことは今更説明するまでもないわね。早速だけど、本題に入るわよ」

ノンナ「我々の学園艦は高緯度の海域を航海するため、気温は低いことが多いです」

ノンナ「そのため、学園艦では雪に関するイベントを多く取り入れています」

ノンナ「ちなみに毎年プラウダ雪まつりが開催され、全生徒で雪像を作る催しがあります。写真をいくつかお持ちしました」

杏「どれどれー。おぉー、カチューシャのばっかりだね」

桃「どこの独裁国家だ」

柚子「でも、どれも個性があって可愛いよね」

カチューシャ「他にも雪合戦大会なんてのもあるわ。すっごい盛り上がるんだからっ。まぁ、毎回カチューシャが勝っちゃうけどね」

ノンナ「はい」

ケイ「ノンナが何かしてるんじゃない?」

ノンナ「何もしていませんよ?」

みほ「楽しそうですね」

カチューシャ「あとラーメンも美味しいし、ノンナの作るボルシチなんて絶品なんだから!」

みほ「そうなんですか」

カチューシャ「決まりね」

みほ「はい?」

カチューシャ「ミホーシャはプラウダ高校に来るのよ。いいわね」

みほ「そ、そんないきなり言われても……」

カチューシャ「なによ。嫌なの?」

みほ「嫌とかそういうことじゃなくて……」

カチューシャ「だったら、いいじゃない。ダージリンのところに行ったってボロ雑巾になるまでこき使われて、冬眠明けの熊並にやせ細ってしまうだけ」

みほ「そ、そうなんですか?」

カチューシャ「そうなの。だから、ミホーシャはプラウダに来るべきなのよ。ね、ノンナ」

ノンナ「はい」

みほ「うーん……」

ダージリン「ボコ」

みほ「……!?」ビクッ

カチューシャ「ミホーシャ?」

みほ「え? なんでもありません、あはは……」

カチューシャ「他に大規模なリンゴ農園なんかもあるし、季節限定でリンゴだって食べ放題よ!」

みほ「いいですね」

ダージリン「ボ・コ」

みほ「……!?」ビクンッ

ノンナ「どうされました?」

みほ「いえ、その……」

ダージリン「みほさんだけの、ボ、コ」

みほ「くっ……んっ……」

カチューシャ「どうしちゃったのよ? 具合、悪いの?」

みほ「そうじゃないんですけど……」

ダージリン「いけないわ、みほさん」タタタッ

みほ「ダージリンさ――」

ダージリン「(ボコ)」ボソッ

みほ「はっ……あっ……」

ケイ「ミホ? なんでちょっと色っぽい声だしてるわけ?」

カチューシャ「ダージリン!! 邪魔しないでよね!! 今はカチューシャたちの番なんだから!!」

ダージリン「わたくしは、みほさんの心配をしているだけよ」

カチューシャ「ふんっ。どーせ、ミホーシャを汚い手で説得したんでしょ。説得と言うより、脅迫かもしれないけど」

ダージリン「全国でもトップクラスの淑女たちが集う聖グロリアーナに、貴方が思い描くような陋劣な生徒はわたくしも含め、いないわ」

カチューシャ「どの口がいうのよ」

ダージリン「ねえ、みほさん。わたくし、何も貴方を追い詰めてはいないでしょう?」

みほ「は、はい……」

ダージリン「(ボコ)」

みほ「んっ……ぅ……」ビクッ

絹代「やや! 西住殿の様子がおかしいぞ!! 体調を崩されたか!!」

オレンジペコ「そうではないと思います」

ローズヒップ「アールグレイ様!! 大丈夫ですのー!?」タタタタッ

アッサム「まだそう呼ぶのは早いと思うのだけれど」

みほ「ごめんなさい……だいじょうぶ……だいじょうぶです……」

ノンナ(なるほど。一筋縄ではいきませんか。では、奥の手を使うことにしましょう)

>>ダージリン「ねえ、みほさん。わたくし、何も貴方を追い詰めてはいないでしょう?」
>>みほ「は、はい……」
>>ダージリン「(ボコ)」
>>みほ「んっ……ぅ……」ビクッ


なんだろう、エロい

杏「西住ちゃん、メロメロになってない?」

柚子「ですね。すっかり魅了されてます」

まほ「みほ……。やはり、熊本限定のボコを作るしか……」

カチューシャ「なによぉ。ミホーシャ、プラウダに来る気はないってことなの?」

みほ「ええと……」

カチューシャ「だったら、もういいわ。好きにしたらいいじゃない。別にミホーシャのことがどうしても必要だったわけじゃないしね」

ダージリン「ふふっ。つまり、棄権するのね」

カチューシャ「こっちから願い下げなんだから」

みほ「カチューシャさん……」

桃「プラウダのアピールタイムは終了でいいか?」

カチューシャ「ええ。話すことはもう――」

ノンナ「待ってください」

桃「何かあるのか」

ノンナ「ここにとあるボイスレコーダーがあります。これを今から再生します」

アリサ「誰かの声をこっそり録音でもしたの?」

ノンナ「ふふ……」

カチューシャ「なによ、それ。私は聞いてないわよ」

ケイ「アリサじゃあるまいし、盗聴なんて……」

ノンナ「……」ピッ

『その話、本当なの!?』

カチューシャ「え……!?」

杏「カチューシャの声だねぇ」

『はい。大洗女子学園から通達がありました。みほさんを手に入れることができるようですよ』

柚子「これはノンナさんの声みたいですね」

『ミホーシャがプラウダに来るかもしれないのね!!』

『みほさんがプラウダを選んでくれたら、という条件になりますが』

『ミホーシャを説得するぐらい簡単よ!! プラウダ雪まつりとかノンナのボルシチとかリンゴ農園とかで気を惹けば一瞬で堕ちちゃうに決まってるんだから!!』

『みほさんがここへ来てくれたら、何をされますか?』

『そうねぇ……。うーん……うーん……。雪合戦して、一緒にかまくらつくって、その中でボルシチを食べるのっ。それからミホーシャと一緒におやつ食べて、お風呂入って、それからそれから』

カチューシャ「ノンナ!! どうして私との会話を録音してるのよ!!!」

ノンナ「たまたま録音ボタンを押してしまっていたようです」

カチューシャ「ふざけないで!!! そんな偶然あるわけないでしょ!?」

『みほさんとしたいことが多いのですね』

『まぁ、ミホーシャは特別よ。特別』

『カチューシャはみほさんのこと、好きなのですか?』

カチューシャ「はっ……!! ミホーシャ!! 耳を塞いで!!!」

みほ「へ?」

『そうね。ミホーシャのことは、大好きよっ』

まほ「……」

ケイ「ワォ」

ミカ「おめでとう」ポロロン

アキ「なにが?」

絹代「くぅぅ……!! カチューシャ殿の敬愛には敵わないか……!!」

杏「なるほどねぇ。そう来たか。純粋な胸の内を晒して、西住ちゃんの心を掴むって作戦かぁ」

カチューシャ「やめてー!! きかないでー!!!」

ダージリン「つっ……」

オレンジペコ「ダージリン様の腹黒さが際立ってしまう作戦ですね……」

アッサム「流石、小さな暴君ことカチューシャですわ」

ローズヒップ「愛らしいですわぁ」

ノンナ「……」ピッ

『そうね。ミホーシャのことは、大好きよっ』

カチューシャ「リピートしないで!!!」

ノンナ「すみません。うっかり巻き戻して再生してしまいました」ピッ

『そうね。ミホーシャのことは、大好きよっ』

カチューシャ「きゃあぁぁ!!」

みほ「私、とても嬉しいです、カチューシャさん」

カチューシャ「違うわよ!! ミホーシャのことなんて好きじゃないわよ!!! これもただプラウダの戦力アップのためにミホーシャを引き込む作戦ってだけで……!!」

『そうね。ミホーシャのことは、大好きよっ』

カチューシャ「ノンナー!!!!」

ノンナ「すみません。おかしいですね、このボイスレコーダー。壊れているのかもしれません」

まほ「恐るべきはブリザードのノンナだな。こうなることを予測して会話を録音していたとなれば、ダージリン以上の策士だ」

『そーだ。ミホーシャをプラウダに呼べるなら、エリカも欲しいわね』

エリカ「え?」

カチューシャ「ノンナ!! とめて! 再生とめて!」

ノンナ「いいのですか? この続きを流すことで、みほさんと同時にエリカさんまでも手に入れられるかもしれませんよ」

カチューシャ「もういいっていってるでしょ!!!」

ノンナ「わかりました」ピッ

エリカ「な、なによ!! そこで止めないでよ!! 気になるじゃない!!」

カチューシャ「エリカは知らなくてもいいことなのよ!!!」

エリカ「教えなさい!!」

カチューシャ「ぜーったい、嫌!!」

杏「多分、逸見ちゃんのことも好きって言ったんだろうなぁ」

みほ「私もそう思います」

まほ「カチューシャの発言が計算でないのであれば、破壊力が凄まじいな」

ケイ「普通はハートを持って行かれちゃうわね」

カチューシャ「うぅぅ……」

みほ「カチューシャさん……」

カチューシャ「私を見ないでっ!」ササッ

絹代「カチューシャ殿がカーテンの裏に……」

ナオミ「もはや、どう繕っても無駄ね」

アリサ「プラウダじゃ、絶大なカリスマがあるのに、形無しじゃない」

ミカ「二人目だね」

アキ「二人目って?」

ミカ「肩書や才能には目もくれず、西住みほというヒトが欲しいと言ったのが二人目ってことさ」

アキ「ケイさんとカチューシャさんのこと?」

ミカ「果たして、後に続く彼女たちはどちらなのかな」ポロロン

みほ「カチューシャさん、出てきてください」

カチューシャ『もうずっとここにいてやるんだからっ!!』

ノンナ「困りましたね」

桃「プラウダ高校のアピールタイムは終了とする。次、入れ」

沙織「やるよ、みんな」

華「参りましょう」

優花里「はいっ!」

カエサル「いざ、コロッセオへ」

桂利奈「西住先輩を絶対に取り戻す!!」

典子「練習通りにやれば、成功するはずだ!!」

妙子「がんばります! キャプテン!!」

ダージリン「真打のお出ましね」

まほ「大洗か。どのような手でくるか。彼女たちの戦術次第では、私たちの挽回もあるか」

エリカ「隊長、諦めていたわけではないのですね」

まほ「諦められないだけかもしれない」

エリカ「隊長……」

沙織「みぽりん。私たちも必死にアピールするから、ちゃんと聞いていてね」

みほ「はい」

沙織「ありがと、みぽりん。――大洗女子学園は戦車道のチーム全員でアピールしますっ」

ねこにゃー「さ、最初はボクたち、アリクイさんチームから……!」

ももがー「西住さんっ。このまま大洗にいてくれるなら、このどんなネトゲ、ソシャゲでも使える5000円分のギフトカードをあげるなりぃ」

ぴよたん「それから、レアアイテムも無償であげるずら」

ねこにゃー「あと、西住さんのためにネトゲ講座もひらいちゃったり」

みほ「あはは……」

ねこにゃー「(反応があまりよくないっぽい?)」

ぴよたん「(なら、次の作戦だっちゃ)」

ももがー「(やるしかないぃ)」

ねこにゃー「に、西住さんっ。いきなりネトゲ講座って言われても、イメージしにくいと思うから、基本的なことを今、教えるね」

桃「興味を惹かせるつもりか」

柚子「大丈夫かな……」

ももがー「まず、ペットボトルは必需品」

ぴよたん「これがないとはじまらないっちゃ」

ねこにゃー「このペットボトルの用途はね」

杏「アリクイさん、たいじょ~」

ねこにゃー「な、なぜ……」

ぴよたん「ペットボトルがないと、長時間のネトゲプレイは不可能なのに……」

桃「次だ」

ナカジマ「次はレオポンチームでーす」

スズキ「自動車部から提案する特典なんだけど……」

みほ「はい」

ホシノ「うちらが改造した自動車に乗って学園艦を走り回れる、なんて思った?」

みほ「あ、いえ、そんな」

ツチヤ「それじゃあ芸がないってことぐらい、私たちも分かってるし、何より西住さんを引き留めることはできないだろうから、こーんなものを用意してみた」

ナカジマ「おーい、ホシノー」

ホシノ「はい、これ」

みほ「これは……」

ナカジマ「鈴鹿8時間耐久ロードレース観戦ペアチケット」

みほ「……」

スズキ「これは欲しくなる!! 西住さん、大洗に残ってよ!!」

柚子「次、おねがいしまーす」

ナカジマ「ダメだった……」

ツチヤ「何がいけなかったんだ」

みどり子「何も分かっていないわね」

ナカジマ「園さん?」

みどり子「物で釣って、心が揺れ動くような人じゃないことぐらいすぐにわかるじゃない」

モヨ子「そうです。西住さんは物につられるような人ではありませんから」

希美「そんな短絡的な人じゃないはず」

ねこにゃー「あぁぁ……そ、それは……わかってたけど……」

みほ「……っ」

オレンジペコ「あぁ……お辛そうな顔……」

ダージリン「良心の呵責、ね」

アッサム「誰の所為で苦しんでいるのやら……」

杏「そど子はどうやって西住ちゃんを引き留めるつもり?」

みどり子「もちろん!! 来年度の風紀委員長に西住さんを任命するんです!!」

桃「次!!」

みどり子「まだ何も説明してませんけど!!!」

桃「おまえら!! 島田愛里寿のときもそうだが、どうして自分勝手なんだ!! もっと相手のことを考えてアピールしろ!!!」

おりょう「時は満ちたぜよ」

エルヴィン「やはり、隊長の足を止めるには、我々しかいないな」

左衛門佐「すぐに準備をするぜよ」

カエサル「西住隊長!! 私たちはこういったものを用意した!!」

みほ「わぁ……」

エルヴィン「さぁ、ここに座って」

みほ「これは……なんですか……?」

カエサル「座ってもらえればわかる」

みほ「机にモニターがあるけど……」

おりょう「では、第一問」

左衛門佐「徳川家第11代将軍は誰。1.徳川家治。2.徳川家慶。3.徳川家重。4.徳川家斉」

みほ「え? え?」

カエサル「早速、迷っているようだな。ライフラインというお助け機能もあるが、使うか?」

みほ「えっと、あの……」

エルヴィン「フィフティーフィフティーは4択が2択になる。オーディエンスは観客から答えの多数決をとれる。テレフォンは電話でヒントをきける」

左衛門佐「電話の向こうにいるのは、グデーリアンでござる」

みほ「は、はぁ……」

カエサル「1問正解するごとに、豪華な賞品も用意している。全部で20問あって、全問正解したら……」

カエサル「とんでもない賞品を西住隊長に贈ろう」

みほ「そうなんですか」

エルヴィン「さぁ、答えをきかせてもらおうか」

柚子「クイズを始めちゃいましたね」

桃「これでどう西住の心を引き留めるつもりなんだ」

杏「いやぁ、個性的だねぇ」

みほ「では、4で」

カエサル「ファイナル・アンサー?」

みほ「え? え? ふぁ、ふぁいなる、あんさー」

カエサル「んー……」

みほ「……」

エルヴィン「むぅ……」

みほ「……」

おりょう「むむむ……」

みほ「あのぉ」

左衛門佐「ぬぅ……」

みほ「ええと……」

カエサル「答えは、西住隊長が大洗を選んでくれたら発表する!!!」

エルヴィン「クイズの続きも賞品の正体も、そのときに公表しよう!!!」

おりょう「これは気になるぜよ」

左衛門佐「答え前にコマーシャルへ行ってしまうクイズ番組を参考にした」

カエサル「続きが気になった西住隊長は、大洗に留まりたくなること請け合いだ」

エルヴィン「我々の勝ちだな。敗北を知りたいものだ」

みほ「……」

柚子「次、どうぞ」

典子「はぁい!!! アヒルさんチーム、いきます!!」

妙子「西住先輩!!!」

みほ「は、はい!」

あけび「バレーボールネタで先輩を引き留めようなんて、安直な考えはありません!!」

忍「きちんと考えてきました!!」

みほ「あ、ありがとう」

典子「西住さんはボコられグマのボコシリーズが大好きだということは、知っています」

みほ「……!」

杏「食いついたっ」

ダージリン「まずい……!」

妙子「ボコはないんですけど、バボちゃんのぬいぐるみはたくさん用意しましたー」

忍「ご当地限定のバボシリーズを取り揃えました!!」

あけび「西住先輩、これらをプレゼントとします!! だから大洗を選んでください!!」

みほ「……嬉しいな。こんなに集めてくれて」

典子「好感触だ!!」

妙子「やりましたね、キャプテン!」

忍「苦労した甲斐があった……」

あけび「ボコが好きなら、バボも好きっていうキャプテンの考えが当たっていましたね!」

典子「やったぁー」

みほ「……」

ケイ「ミホがとっても悲しい目をしているわね」

まほ「期待とは違っていたのだろうな」

エリカ「現金な子」

ダージリン「ふっ。世の中、情報がものを言うのよ」ズズッ

絹代「現代の戦争は情報なくして勝利はありませんからね」

桃「もうだめだな……。次!!」

梓「ウサギさんチームです」

みほ「澤さん……」

梓「私たちは、特に何も用意していません」

杏「へぇ……」

桃「はぁ……。諦めたか……」

梓「プレゼントとか、肩書とか、そんなことで先輩の心をどうにかできるわけないですから」

梓「私の知っている先輩は、とっても強くて、優しくて、かっこよくて……」

みほ「……」

梓「美人で、頭がよくて、面倒見がよくて、誰からも好かれる人で……」

梓「それから、戦車に詳しいし、頼りになるし、絶対に諦めないし……」

梓「ええと、強くて、優しくて、かっこよくて……それから……その……」

優季「梓、ループしてるよぉ」

梓「あぁ!? そ、そっか!!」

みほ「そこまで褒めないで。私、澤さんが思うほど出来ているわけじゃないから」

梓「そんことありません!!!」

みほ「……!?」

梓「私にとっては、理想の先輩で、理想の隊長で、憧れの人なんです!! 私の目標なんです!!」

みほ「澤さん……そこまで……」

梓「他の隊長なんかより、ずっとずっと、輝いて見えます!!」

みほ「嬉しいけど……私は……」

梓「私、先輩が卒業するまで、ううん、卒業したって、ずっと戦車道のこと先輩から教えてほしいんです!!」

梓「初めは、ただの好奇心だったけど、先輩と一緒に試合にでて、戦って、戦車の事大好きになりました!!」

梓「大学にいっても、社会人になっても、私は戦車道をしたいです!! 西住先輩と一緒に!!」

梓「だから……!! だから……はなれ、たく……ない……」

あゆみ「梓、泣くのはなしだって」

あや「そうそう、卑怯じゃん」

梓「ごめん……なさい……」

みほ「……」

桃「一年生はここまで思いつめていたのか……」

杏「うーん。あとでちゃんと謝らないとな」

柚子「会長も謝ってくださいね」

桂利奈「先輩、お願いします。大洗を選んでください」

紗希「おねがいします」

杏「最後は、あんこうチームだねぇ」

沙織「みぽりん、ううん、みほ」

みほ「はい」

沙織「私たちはね、みほにはしたいことをしてほしいって思ってるよ」

沙織「でも、急すぎるから戸惑ってるの」

みほ「うん……」

沙織「みほと安斎さんの間で何があったのかは知らないし、聞こうとも思わない。だから、この一週間、何も訊ねなかったでしょ?」

みほ(すごく気まずかったなぁ……)

沙織「みんなでね、どうアピールしようかって考えたの。でね、最初は思い思いのメッセージを贈ろうかなんて話してたんだけど……」

沙織「それだと、重たい女たちだって思われちゃうから、やめたの」

華「本来なら、みなさんだって澤さんのように想いを告げようとしていたのです」

みほ「みんなが……?」

華「はい。園先輩も言われていたように贈り物等で気持ちを変えてくれるような人ではないことは理解していましたので」

優花里「ウサギさんチームとあんこうチームでみなさんの気持ちを代弁し、あとのみなさんは別の形で気を惹こうということになったんです」

杏「それでカバさんチームは個性的になっちゃったのか」

みほ「……っ」

オレンジペコ「あぁ、また表情が暗くなりました……」

アッサム「物で釣られるわけがない、というワードに強く反応しているようね」

ダージリン「みほさんはそんな人ではありませんものね」ズズッ

ローズヒップ「人間ができていますのね。まるで、ダージリン様のようですわ」

まほ「信頼されているようで安心した」

エリカ「自分の隊長のことぐらい、もっと理解したほうがいいと私は思いますが」

ケイ「誰だって一つぐらい心を惹かれるものはあるわ。マネーだとか、食べ物だとか、アートだとか」

ケイ「けど、それを交渉で使われたときに自分を制御できるかどうか、これがハートの強さなのかもね」

絹代「失敗だったか」

福田「ま、まだ分からないであります!!」

絹代「いや。知波単は既に選択肢にはないはずだ」

福田「な、何故でありますか」

絹代「ここまで隊員に慕われ、支えられている御人が鯛飯程度で動くわけがない。加えて、そうした物欲を刺激するだけの交渉で西住殿を引き抜けるなど、あり得はしない」

ミカ「物欲は時に人を暴走させてしまうけど、今はまだ抑えられているようだね」

絹代「それでも知波単を選ぶというのならば、それは私の熱意が伝わったときだけだ。だが、やり方を間違えた私に好機はない」

福田「きっと伝わっているであります」

絹代「ありがとう、福田。しかし、覚悟はできている」

ノンナ「いい加減、出てきてください」

カチューシャ「絶対、でないんだから!!」

沙織「みほ。私たちは、みほのこと大好きだから、無理になんて引き留めないよ。けど、できれば居てほしいな」

華「私たちの、隊長でいてもらえないでしょうか」

優花里「西住殿が居ない大洗なんて、想像もできません」

みほ「……」

沙織「ほら、麻子からもなんかいって」

麻子「私は、大切な人を失いたくない。人だけじゃなく、場所も、思い出もだ」

麻子「二度と、後悔はしたくない。西住さんにもあんな辛い想いだけはしてほしくない」

みほ「ま、まこさん……」

麻子「私は何も聞いていないので、想像すらできないが、アンツィオに行きたいと強く思ってしまった出来事があったのだろう。だから、引き留めようとは私も考えていない。けど、後悔のない選択をしてほしい」

みほ「あ、はい」

ダージリン「みほさんはそんな人ではありませんものね」ズズッ

ローズヒップ「人間ができていますのね。まるで、ダージリン様のようですわ」

ボコっていう物で釣ろうとした人たちの台詞か…?

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