【艦これ】シンジ「赤い海…?」 (38)


・艦これ×エヴァ
・艦これ映画のネタバレあります。
・シンジ君は旧の方をイメージしてます。


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シンジ「…」

どれくらいの時がたっただろう。

1年? 10年?

それよりももっとかもしれない。

目の前の赤い海を見続けて。



シンジ「…」

アスカは---もう居ない。

赤い海に溶けてしまった。

僕は後を追った。


シンジ「…」

ダメだった。

赤い海は僕を拒絶する。

死ぬことさえできない。

赤い海は、この世界は僕を拒絶する。


シンジ「…」

永遠に時が過ぎていくを待つだけ?

嫌だ、イヤダ、いやだ嫌だ嫌だ嫌だ



シンジ「…」

いっそ狂ってしまえれば楽だった。

いや、もう狂っているのかもしれない。

自分の状態が判断出来ないや。

ハハ


シンジ「あ」

久しぶりに声を出してみた。

たぶん、声は出た。

意味なんてないけど。

ハハ


シンジ「だ…れ…か」

誰か僕を見てよ。

誰か…。

誰かと話したい。

ただそれだけ。

僕の今の願いはただ、それだけだ。


シンジ「ぼく…を」

シンジ「……!?」

い、痛い…!?

突然頭が割れるような痛み。

視界が歪む。

とうとうこの世界の終わりか。

もしくは僕が狂っていくのか。

どっちでもいいや

シンジ「ハハハハハハハッッ」

目が覚めた。

少しの痛みは残っているが。

世界は終わってもないし。

僕もまだ狂ってもいない、と思う。

シンジ「…?」

しかし。

強烈な違和感を覚えた。

目の前には赤い海。

その光景は変わっていない-----。

が。

シンジ「……あっ」


ドクン。

空を見上げる。

鳥が飛んでいた。

思わず錯覚かと。

狂ってしまったのかと思ったが。

シンジ「……」

鳴き声も聞こえる。

大空を羽ばたく優雅な姿に心を奪われる。

自然と涙が溢れた。

鳥だけじゃない。

ほかにも生命を感じる。

後ろを振り返るとそこには。

木が、森があり。

生命の息吹を感じる。

自然と足が動いていた。

夢だろう。

そう思っても駆けださずにはいられなかった。

自分以外の命を感じるのが溜まらなく嬉しかった。

全てが愛しかった。


***


一か月が経った。

時間が分かるのはこの世界はちゃんと太陽が昇り沈むからだ。

この回数を毎日記録している。

楽しい。

生きるのが楽しいと感じた。

僕は。

無我夢中で。

あの惨劇を忘れたふりをして。

シンジ「…?」

海の近くを歩いていると。

---相変わらず海は赤いままだが。

漂流物に気付く。

この島に流れ着くことは珍しくはないが。

かなり大きさだ。

人1人ぐらいの大きさがある。

……というより人か?

シンジ「…ッ!」

思わず駆けだした。

アスカかもしれない。

様々な思いが頭を駆け巡るが。

関係ない。

アスカではなかった。

ただ、人であることは間違いなかった。

女の子。

僕と同じ歳ぐらいだろうか。

少し下ぐらいに見える。


シンジ「…」

耳を近づけると呼吸の音が聞こえた。

良かった。

ちゃんと息はしている。

だけど体温がかなり低い。

少し体を揺さぶるが起きる気配がない。

兎に角、休める場所に彼女を移動しないと。

Side:如月



暗い、どこまでも暗い海の底。

睦月ちゃん…。

私は沈んだ。

戦いに身を置く者として。

この結末も覚悟はしていた。

けど---。

心残りなのはとても優しいあの子を悲しませているだろうということ。

ごめんね、睦月ちゃん…。

体が冷えていく。

寒さで体が震える。

怖い…。

寒さだけじゃない。

海の底は何処までも暗く。

何も見えない、ただ何か得体のしれないモノがそこには居るような。

底知れぬ恐怖が私を襲う。

ずっとこのままなのか。

沈む、轟沈とはこの事なのか---。

光が見えた。

触れようと手を伸ばす。

とても暖かく感じた。

この光に触れている時は安心できる気がした。

もう私は沈んでいるはずなのに。

如月「…え?」

目が覚めた。

照りつける太陽の光がまぶしい。


如月「…生きてる?」

シンジ「良かった」


如月「ッ!!?」

シンジ「目が覚めたみたいだね」

如月「あなたは…?」

シンジ「僕はシンジ」

シンジ「君は気を失ってこの島に漂流してきたみたいだ」

如月「漂流…」

如月「私は…」

如月「…ッ」

体を起こそうとしたが思うに動かない。

シンジ「目を覚ましたばかりだし急に体を動かしちゃだめだよ」

シンジ「今は、ゆっくりお休み」

如月「は…い」

如月「ありがとう、ござい、ます…」


頭が全く回らない。

少しだけ休もう。

目をつむる。

体がまだ休息を求めているのか。

意識が遠のいていった。


シンジ「………」

如月「…ん」


いつの間にか眠っていた。

太陽も沈み夜になっていた。

月明りがほんのり辺り照らす。

周りを見渡すと果物が幾つか置かれていた。

そして、人影があることに気付く。


シンジ「…」


うたた寝をしているらしい。


先ほどの会話した少年。

きっとこの人が助けてくれたんだと思う。

体を起こす。

今度はちゃんと動いてくれた。

シンジ「…んっ? もう大丈夫? おはよう」


もう夜なんだけど。

ちょっと寝ぼけているみたいね。

よく見ると目の前の少年はかわいい顔をしていた。

ちょっと嫉妬してしまいそうになるぐらい綺麗。


如月「すいません、起こしちゃいましたか」

シンジ「大丈夫、眠りは浅い方だから」

如月「ここは、何処なんでしょうか」

シンジ「僕も、よく分からないんだ」


知らないではなく、分からない。

その言葉に多少の違和感を覚えつつも話を続ける。

シンジ「ごめんね、そんな物しか用意できなかったんだけど」

シンジ「食べれそうなら食べておいて」


先ほどから視界に入っている果物を見る。

どうやら私のために用意してくれたみたい。


如月「ありがとうございます…」

如月「もう少し落ち着いたらいただきます」

シンジ「どういたしまして、うん。無理はしないでね」


如月「あたなは一体…?」

シンジ「さっきと同じ質問だね」


目の前の少年が苦笑いを浮かべる。

そういう意味で言ったわけではないのだけど…。


シンジ「僕の名前はシンジ」

シンジ「…でもそれ以外は覚えてない」

如月「…え?」

シンジ「記憶喪失ってやつかな」

如月「そうなんですか…」

シンジ「僕が変な常識を語ったり知識があれば遠慮なく言ってね」

如月「はい…」

記憶喪失。

の割にはあまり深刻な雰囲気が感じられないけど…。

逆に何も分からないから反応の仕様がないのかしら。



シンジ「…君の話を聞かせてくれないかな?」

シンジ「何かヒントになるかもしれない」

如月「はい」

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