「吉良吉影は静かに暮らせない」 (22)

仗助「キラークイーンの『スイッチ』を押させるなァーッ!!」

吉良「いいや、限界だ!『押す』ねッ!今だッ!!」

カチッ

ボォォォォォォォン!!!

――――――――
――――――

吉良「や、やったぞ!発動したぞ!!」

吉良「ふ、ふふ……ふふ!!」

吉良「ははははははは!!戻れたぞ!!作動できたんだ!!」

吉良「バイツァダストを再び作動できたんだ!!」

吉良「奴らに勝ったぞ!!これでわたしは自由になれる!!」

吉良「が、しかし――――ここは一体、『何処』だ?」

吉良「バイツァダストで時が一時間ほど戻ったのなら、わたしは今通勤途中のはずだが」

吉良「いくらなんでも、周囲の景観が杜王町と全く違いすぎる」

吉良「ここは明らかに杜王町じゃあない……別の『場所』だ!!」

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吉良「どうして知らない街に来てしまったのか謎が深まるばかりだが」

吉良「一先ず『情報収集』が先だろう……」

――――――――
――――――

吉良「なるほど『個性』か……世界の総人口の約8割が超常能力……」

吉良「個性を持つ超人社会――――まるで漫画か何かの設定に思えてしまう」

吉良「何より、この個性持ちがスタンド使いかもしれないと考えたら末恐ろしい」

吉良「わたしの願っている平穏な日常と全く相反するものじゃあないか」

吉良「しかし、これでわたしの置かれている状況もそれとなく掴めたぞ」

吉良「信じ難いが、わたしはバイツァダストによって『別世界』へやってきたという事だ」

吉良「馬鹿みたいな世界に来やしたが、これでクソッタレ仗助たちは追ってこれない」

吉良「川尻浩作が『吉良吉影』と知る者はこのわたし以外に存在しないのだッ!!」

吉良「実に清々しい気分だ――――『彼女』も欲しくなってきたなァ」

一般人「ヴィランが出たぞ~ッ!!」

吉良「そう言えば、この世界で個性を悪用する者達のことを『ヴィラン』と呼んでいるんだったか……」

吉良「個性の強さを測るためにも、見物に行こうじゃあないか」

――――――――

ヴィラン「大丈夫、街を少し壊すだけだぜ」

ヴィラン「落ち着いて……約45秒でここ一帯はめちゃくちゃになる」

吉良「(あいつは一体なんだ?まるで化物見たいな姿じゃあないか)」

吉良「(あれがスタンドか?いいや、あそこまでの図体なら自律行動は到底不可能)」

吉良「(つまりアレが『本体』!!)」

吉良「(本体に憑依するスタンドはあっても、本体その物を変えてしまうスタンドは聞いたことが無い)」

吉良「(スタンドと個性は全くの『別物』で間違いなさそうだ)」

ヴィラン「ねぇ、そこのスーツのおじさん?大丈夫?俺にビビってない?」

吉良「(くっ……ひょっとして私に話し掛けているのか?)」

吉良「(絡まれては面倒……人前で『目立つ』行動は何より避けなければならない)」

吉良「(野次馬に紛れて逃げるのがベストだ)」

ヴィラン「おいおいおい?おじさん尻尾巻いて逃げちゃうの~?」

ヴィラン「俺の前に来なかったら、人質殺しちゃうからねぇ~」

吉良「(まずい……今逃げてしまえば、間接的に『人殺し』となってしまう!!)」

吉良「(それは何より目立ち、目撃者に悪い『印象』を与えかねない)」

吉良「(どうするか?事を穏便に済ませるしかないな)」

吉良「(もっとも、話し合いが通じる相手とは思えないが……)」

吉良「待ってくれ、話し合いで解決しようじゃあないか」

ヴィラン「話し合いだ~?馬鹿な事言ってんじゃねえッ!!」

ヴィラン「俺はテメーみたいに偉そうにしてる奴が大嫌いなんだよッ!」

吉良「わたしはあまりトラブルに巻き込まれたくないんだ」

吉良「見逃して貰えないかね?」

ヴィラン「見逃すと思ってんのかよッ!粉々にしてやるぜーッ!!」

吉良「――――何故、私が粉々にされなければならないのかね?」

ヴィラン「聞いてなかったのかよ?偉そうにしてる奴が大嫌いだからに決まってんだろ!」

ヴィラン「個性使ってかかってきてもいいんだぜ?」

ヴィラン「捻り潰して、二度と個性が使えない体にしてやるからよ!!」

吉良「――――――『やめ』だ」

吉良「殺すのはまずいから……大事を取って、『再起不能』にする」

ヴィラン「うひょー!カッコいい~!惚れちゃいそうだぜ!」

吉良「これから一発君に食らわせる前に、ちょっと確認することを思い出したよ」

吉良「君は、私の傍らに立つ『彼女』が見えているかね?」

ヴィラン「彼女ーッ!?寝言は寝て言えッ!!死にさらせこのビチグソがァーッ!!」

ボンッ!!


ヴィラン「がぁっ……!?」

ヴィラン「な、なんだ!?いてぇ~ッ!!俺の手がいてぇよ~ッ!!」

ヴィラン「お、お前ェ!!もしかして念動力の個性を持っているのかァ!?」

吉良「(まさかとは思ったが、奴はわたしの『キラークイーン』が見えていない!!)」

吉良「(これは大きなアドバンテージ!!)

吉良「(しかも念動力なんて個性もあると言う良い情報も得られた)」

吉良「(今後、わたしが攻撃を加えたとしても怪しまれることはないだろう)」

吉良「どうしたのかね?動きが鈍いぞ?」

吉良「構わず全力でかかってきたまえ……」

吉良「もっとも、君が全力で挑んで来ても、わたしは負けんがね」


┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"

ヴィラン「質問に質問で返すなァーッ!!」

ヴィラン「舐め腐りやがってェーッ!!ドタマかち割ってミンチの刑にしてやるーッ!!」

吉良「――――君のようなタイプは脳まで筋肉の事が多い」

吉良「策を弄さず、馬鹿みたいに一直線に突っ込んでくる」

ヴィラン「わけの分からないことを言ってんじゃねェーッ!!」ダッ

吉良「そういう奴らの『対処』なんて簡単ということだよ」

ドゴンッ

ヴィラン「ぐぅっ……!俺の足がァ~~~ッ!!」ゴロゴロ

吉良「合気道の要領だ、突っ込んで来た所で足に打撃を加え、君の力を利用し『横転』させる」

吉良「相手が無防備になったところで」

吉良「――――すかさずトドメの一撃というわけさ」


ドォォォォォン!!

ヴィラン「」

吉良「『命拾い』したな……本当なら『殺して』やりたい所だったよ」

オールマイト「ヴィランが暴れていると聞いて助けに駆けつけたが……」

オールマイト「一体何だこれは……」

吉良「(さて、ヒーローも通報を受けて続々と駆けつけてくる頃合い……)」

吉良「(色々詮索されても厄介だ、ここは後にした方がいいな)」

オールマイト「き、君ッ!!」

吉良「……なんでしょう?」

オールマイト「君があのヴィランを倒したのか……?」

吉良「えぇ、そうです……襲われそうになって、命の危機を感じたものでね」

オールマイト「なるほど、私が遅れたばかりに申し訳ない」

吉良「ヒーローもお忙しいでしょうし、仕方がありませんよ」

吉良「それじゃあ、私はこれで」トコトコ

吉良「(なんということだ……あいつは『オールマイト』じゃあないか……)」

吉良「(どうしてこんな所にナンバーワンのヒーローがいるんだ!!)」

吉良「(ツイてない、この吉良吉影とことん不運……)」

吉良「(運命の愚かさとやらにイライラしてくるよ……)」

吉良「(精神衛生上、苛つきを抑えるために、やはり『彼女』が必要だな)」

吉良「(生活費も少しばかり必要だし、どこかで旅行かなんかしてる新しい女の子を見つけてくるか)」

To Be Continued
次書き溜めたらまた投下
一旦終了

――――――
―――― 一週間後 17:00 学校

相澤「解散する前に一つ、注意喚起情報がある」

相澤「最近、雄英高校の近隣で行方不明者が続出しているそうだ」

相澤「ヴィランの存在を警戒し、警察や講師が付近の警備にあたっているが」

相澤「当然、危険な状況にあることは変わりない」

相澤「生徒はなるべく複数で、集団下校するように」

相澤「以上だ、解散」

爆豪「集団下校だァ?そんなガキみたいな真似できるわけがねェ」

爆豪「俺は一人で家に帰らせてもらう」

相澤「一人で帰ったら爆豪、お前の内申点を下げるからな」

爆豪「チッ……」

出久「行方不明者……」ゴクリ

麗日「確か8人も行方不明になってるってニュースで言ってたよね!」

麗日「中には強い個性を持ってる人もいたらしいよ」

出久「そうなんだ……なのに行方不明者は続出」

出久「証拠の一つも残ってないんだから、犯人は桁外れの個性を持っているに違いないよ……」

爆豪「おいデクッ!テメェ、俺と家近いだろうがッ!一緒に帰るぞッ!」

出久「か、かっちゃん!?」

麗日「私も爆豪君やデク君と家近いし、一緒に帰ろうかな」

出久「う、うん……」

――――――
―――― 17:20 校長室

オールマイト「行方不明者ですか……」

根津「どうしたら、ただのヴィランにこんな事ができる?」

根津「強力な個性を持った者がいるね」

根津「さて、快楽犯か…もしくは宣戦布告の腹積もりか……」

根津「何か、警察からの開示情報は?」

相澤「行方不明者は現在、合計で8名にのぼるそうです」

相澤「被害者は全員女性で、うち1人は雄英高校ヒーロー科のOGです」

オールマイト「OGと言えど、元ヒーロー科の人間ならば相当強いはず、なのに……」

根津「対策を講じるべきだね……と、言っても警備を固めるくらいしか打つ手がない」

根津「我が校の生徒が被害に合わぬよう、祈るばかりだよ」

根津「オールマイト、君の周りで変わった事とか無かったのかい?」

根津「ちょっとした事でもいいんだ、気になることがあったら教えてほしい」

オールマイト「そう言えば……先日、一般人が強力なヴィランを倒していました」

相澤「おいおい初耳だぞ?なぜ黙っていた?」

オールマイト「特段気にする理由もないと……」

根津「ふむ……少しでも手掛かりになる可能性があるなら」

根津「調査することに越したことはないよ、詳しく話してくれ」

オールマイト「では――――」

――――――
―――― 17:30 駅前

吉良「(クソッ……この女もちょっと臭ってきたか)」クンクン

吉良「(この女ともそろそろ別れどきかな、手を切る時期か……手を切る……ふふっ……)」

八百万「それでは、また明日ですわ」

吉良「(あの少女、美しい手と顔をした女だ……新しい『彼女』はあいつにしよう)」

吉良「(ふふふ……このわたしのところに来れば、清い心で付き合えるよ……)」

吉良「(君とはここまでだ、きれいにお別れしようね)」ボワッ

――――数分後

八百万「…………」カツカツ

吉良「(好都合だ……あの少女、路地裏に入っていくぞ)」

吉良「(行方不明者が多発しているのに、警戒もせず一人で暗がりに入るとは……)」

吉良「(いけない子だなァ……わたしが、しっかり守ってあげないと)」コツコツ

八百万「まったく、貴方はどうして先程から私の後をつけてくるのですか?」

吉良「な、なにっ!?」

バァァァッ!!

吉良「あ、危なかった……間一髪ってところだったよ」

吉良「しかし、後をつけていたのがバレていたとはね」

吉良「私はまんまと、君に誘導されていたってわけか」

八百万「そうですわ」

吉良「それと君――――面白い個性を持っているね?」

吉良「見たところ、肉体からネットを射出したように見えたが?」

八百万「それが何か関係ありまして?」

八百万「貴方は一体なんなんですの?もしかしてストーカー?」

吉良「おいおい、わたしはストーカーじゃあないよ……わたしの名は吉良吉影」

吉良「年齢33歳、自宅は杜王町北東部の別荘地帯にあり、結婚はしていない」

吉良「とはいっても杜王町自体、この世界にはないのだけどね」コツコツ

八百万「どうして、唐突に自己紹介を……?」

八百万「後々、自分の首を締める事にしかならないというのに」

吉良「誰ひとりとしてこの『吉良吉影』の正体を知る者はいてはいけないんだよ」

吉良「つまり……わたしが自己紹介をした意味、わかるだろう?」

八百万「なるほど……もしかして最近行方不明者が多いのも貴方の仕業……?」

吉良「ご名答、大した推理力だ」

吉良「しかし、それがわかったからどうだというのだ」

吉良「君はこれから消されるのだ、わたしのキラークイーンによってね

八百万「キラークイーン……?」

吉良「自慢ではないが、わたしもちょっとした特殊な能力を持っているんだ」

吉良「キラークイーン!第一の爆弾ッ!!」

八百万「爆弾ッ!?な、何か嫌な予感がしますわっ!一旦距離を取らないとーッ!!」

吉良「遅いッ!!」

ヒュンッ!!

八百万「――――100円硬貨を飛ばしてきた?」

八百万「なぜ……ま、まさか……!!!」

カチッ

ボォォォォォォォン!!!!

――――――
―――― 同時刻

出久「い、今向こうの方から大きな音が聞こえなかった!?」

麗日「確かに聞こえたよ!」

爆豪「どうせヴィランの仕業だろ?」

出久「そ、そんな!誰かが襲われてるかもしれない!!助けに行かなきゃッ!」ダッ

麗日「あっ!デク君待ってよ~!!」

爆豪「あのクソナードッ……!一人で突っ走りやがってッ!!」ダッ

――――――
――――

八百万「ぐぅ……かはっ……ぁ……」ビチャァ

吉良「ふむ、一発では死ななかったか」

吉良「爆発する瞬間に、とっさにカバンで硬貨を弾いて、衝撃を緩和したようだ」

吉良「もっとも、全ての衝撃を防げなく、体にダメージを負ったみたいだがね」

八百万「ど、どうして……硬貨が爆発して……」

吉良「言ったろ、第一の爆弾って」

吉良「キラークイーンの特殊能力、それは触れたものはどんなものでも爆弾に変えることができる」

吉良「なんであろうと、たとえ100円玉だろうと」

吉良「そして、好きなときにわたしがスイッチを入れれば」

吉良「爆弾が点火して、粉々に爆破されるというわけさ」

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