【艦これ】高雄「私とあの人と愛宕」 (1000)


< しかいない >







提督「わけでも

愛宕「ないのよねぇ」

高雄「これから増える予定なんて? 」

提督「予定は無いけど海風たちのときにそんなものあったか? 」

高雄「ありませんね」

愛宕「もういっそあなたを心底嫌う子でも来ないかしら。
平和過ぎてつまらないわ」

高雄「まぁ……女としての何かを失っているようには思えますね」

提督「そんな能力早く失……でも自分の女が弱いとか思われるのも嫌だなぁ」

愛宕「でしょ? 」

高雄「…………だからといって醜い部分を見せたいわけでもありませんけれど、ね」


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< どっかの重巡にも頼みますよ >







龍田「? イメチェン? 」

山城「まぁたビッチくさくなって」

鈴谷「や、昨日言ったじゃん鈴谷強くなるって。あとビッチとか言うな」

龍田「強くなるってどう? 」

鈴谷「特に何にも。できればこんな力使いたくないね」

山城「何故? 強くなればなるだけ前身がどうだのと言われなくなるのに」

鈴谷「鈴谷そんなこと言われなかったし」

山城「…………」

龍田「私はお婆ちゃんだから強くもないし欠陥とすら言われないけどねぇ~ 」


< 大体いつもこんな感じ >






鈴谷「ってもだよ? 龍田も山城もフツーに強いじゃん? 」

龍田「弱くないだけよ、ね? 」

山城「ええ、死んではいないだけなのと同じ」

鈴谷「そう? 」

あきつ丸「まったくであります。自分など強化どころの話ですらない」

龍田「そうねぇ……別に改二の名前だとかコンバートしたいわけでもないけど」

山城「……」

あきつ丸「……」

鈴谷「……」

金剛「何デース? 四人揃って変な顔して」

山城「はぁ……」

龍田「これだから頭お天気紅茶女は」

あきつ丸「今度紅茶にドブでも混ぜるでありますよ」

金剛「Why? 」

鈴谷「ははは……」

時雨「だから今僕たちがここ来るのは、って言ったのに」


< どんな理由でも場を明るく >







龍田「……ま、でもあなたが来てくれてよかったかもしれないわ」

金剛「だから何何故What’sWhy? 」

山城「あなたにもいいところが毛程はあるってことよ」

あきつ丸「食卓の爪楊枝程度でありますね」

龍田「あなたたちあれ使う? 」

あきつ丸「全く」

山城「私も。あなたは? 」

龍田「使わない。知ってるでしょ? 」

山城「そうね」

金剛「…………」

鈴谷「自分も変な顔してるじゃん……」

金剛「他にどんな顔すればいいデース? 」

鈴谷「笑えば? 」

金剛「はぁ」

鈴谷「いいけどさ。………………………ま、好かれてるからこそなんだけど」


予想外の出来事でした……
こちらでもよろしくお願いします

ありがとうございました

新スレ乙

>>2
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【艦これ】提督「俺と、高翌雄と愛宕」
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次いでに
年表1~3は提督「俺と、高翌雄と愛宕」(【艦これ】提督「俺と、高雄と愛宕」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1479046877/654-656))の>>654-656に


< ある要港部 >







提督……北海道出身のウイスキー教スコッチ会ニッカ派。好きな色は赤、白、黒、水色

高雄……指輪持ち。ワインは赤派。

愛宕……指輪持ち。鰹のたたきが好き。

明石……好きな酒はカルヴァドス

加賀……冷酒が一番好き。料理が理不尽に美味しい

雲龍……被虐主義者。割とワク気味

天城……ビール以外何でも飲む。ビールも割と飲む

Littorio……割と天然で部屋は混沌としている

瑞穂……最近周りに毒されてきたっぽい

叢雲……ウイスキーと日本酒が好き

漣……好きなものは自由とゲーム。洋酒派

海風……カシスよりピーチ派。悩めるお年頃

江風……スポーツ全般が好き。ビール派


< 横須賀鎮守府 >






金剛……紅茶党。酒より紅茶。涙より笑顔。

霧島……割と珈琲が好き。霧島なら赤派

龍田……酒は楽しむ為に飲む物。

時雨……自称運頼み女。

春雨……お酒はあまり飲まない。少食気味。

浜風……ウイスキー挑戦中。

鈴谷……あまりカシスやピーチは好きではない。

扶桑……妹が好き。本当に好き

山城……姉が好き。不幸は酒の肴

鹿島……割と天真爛漫気味

若葉……甘いものが好き。屋上同盟

Graf Zeppelin……酒と煙草と珈琲と甘いものが手放せない。屋上同盟

Warspite……淑女たらんとする淑女の鏡。ウイスキー教徒であり半煙草。

Aquila……面白いことの味方。影が薄い

赤城……酒より肴。周囲の好意に鈍感





あきつ丸……酒は酔う為に飲む物。喫煙者


>>7
ありがとうございます、本当


<迷い無く澄んだ瞳で >







提督「そーいやさ」

愛宕「うん? 」

提督「今年度中の配備を目指すとか言ってた指輪、特に聞かないな」

愛宕「ここ以外のどこかに配備されたんじゃないの? 」

提督「だとしても俺に噂すらこないのは……見限られたか? 」

愛宕「さぁ? 」

提督「さぁ? ってお前」

愛宕「どうせ遅かれ早かれすることでしょ」

提督「ん? 」

愛宕「反抗でも逃走でもお好きな方をどーぞ。
うぇるかむへーる、あいらゔへーる、って感じね」

提督「……………………」


< 割と最近忙しくてどうもね >








明石「タイヤの日ですよ、四月八日」

提督「はぁん? ……そういや値上げするな、タイヤ」

明石「来月と再来月からですね」

提督「まったくかったるいが……そこそこ用意はあるからなぁ」

明石「ていうか値上げしても普通に買えるでしょう」

提督「そうだね」

明石「……」

提督「……」

明石「……タイヤの日って何すればいいんでしょうか」

提督「……サーキットでも行く? っていうかお前いつ買うの? 」


< じゃあどうすれば >







明石「やー、何かゆっくりグダグダ考えてたらそれで満足することありません? 」

提督「あるけど……車のことであるか? 」

明石「車のことだからこそ」

提督「そっか……いや、そう言われると何も言えないが」

明石「まぁ、買おうと思えば買えるんですけど」

提督「そういうことじゃないよな」

明石「はい」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………買いに行かないの? 」

明石「や、今はいいかなーって……はい」



ありがとうございました


< 震える口の端と穏やかな笑みと >







雲龍「眠い……」

加賀「あなたが眠くないときなんてあるのかしら」

雲龍「ヤってるときと戦場ですね」

加賀「そ、海の上ですら眠気があればその性根、叩き直してあげたけれど」

雲龍「加賀さんが目標ですから」

加賀「そう……」

雲龍「はい」

加賀「…………」

雲龍「…………」

加賀「…………こういうときの顔は、目標にしないようにしなさい」


< one night love >







雲龍「どう? 」

提督「どう? って言われても……無いって言ったら信じてくれるの? 」

雲龍「表向きは」

提督「駄目じゃんそれ」

雲龍「あなた駄目な男でしょう? 」

提督「そうだけど……そうだけどさ」

雲龍「……」

提督「……」

雲龍「……で、無いの? 」

提督「無いですよ? 無いですけど……マジでこれ酷くない? 」


< あにまる >







天城「飲みません? まだお昼ですけれどたまには」

加賀「今は他に好きな子がいるから」

天城「天城は仔猫にすら負けるんですか……」

加賀「やっと、やっと抱かせてくれるようになってきたのよ、本当に最近」

天城「はぁ」

加賀「あなたたちはいいわよね、勝手に寄ってくるもの」

天城「そんなことを言われても」

加賀「雲龍なんて勝手に寄ってきてお腹を見せてゴロゴロ鳴いて……まったく」

天城「姉様が異常なだけでは……いや、加賀さんの警戒され具合も大分ですけれども」


< でも他の一般人は…… >







江風「テートクと姉貴がホテル入っていったら」

漣「通報? 」

叢雲「通報でしょ」

海風「本当に見ても通報しないでね? ね? 」


< だって、ねぇ? >







江風「まぁ、しないけどさ」

海風「うん」

江風「テートクそれくらい揉み消せるじゃン? 」

叢雲「そうね」

漣「下手したら強姦とかでもいけそうだよ」

江風「それ、テートクなら口説いた方が早いとか言いそうだけど」

叢雲「だって早いでしょ? 」

漣「早いよね」

海風「早いね」

江風「いや…………確かに姉貴とか叢雲はそうかもだけどさぁ」


< そこが許せるかどうかで >







叢雲「そんなものでしょ。拳使わないと女の股開かせられない男なんて」

漣「だよねー」

海風「頑張って口説くのと下心だけで口説くのの区別くらいつくよ、女の子」

江風「そうかい。…………テートクの場合それが同じになっちゃってるンだけど何がいいンだ? 」


< 本音というか何というか >







鹿島「はふ……お風呂はいいですね、疲れが取れていきます」

山城「好きでもない将校の話なんて適当に切り上げなさいよ」

鹿島「でもあの方だって必死に喋っていたわけですし」

龍田「誰彼となく優しさを振りまいても承認欲求は得られないのよ? 」

鹿島「別に優しさでお話ししていたわけでは」

山城「好み? 」

龍田「筋肉達磨とは言わないけど肥満気味なのはイヤ」

山城「そうよね」

鹿島「結構汗臭かったですしね」

龍田「そうなの? 」

鹿島「ええ。あと目線が不愉…………あなたたちといると自分でも気付かない本音が出ますね、何なんでしょう」


< イタリーのご婦人はどうなのかな >







明石「やってやれないことは無い、ですけど」

Littorio「はぁ」

明石「割と難しいですよ、ピザ用の窯つくるなんて」

Littorio「そうですよね……」

明石「まぁ、私に頼むよりあの人に頼んで業者入れれば簡単だと思いますよ」

Littorio「それでは駄目なのです。あの人に知られずにつくりたいから」

明石「乙女ですねぇ……乙女ってピザ窯欲しがるものでしたっけ? 」

Littorio「知りませんよそんなの……でもLittorioは、乙女です。あの人と共にあるうちは」


< そんな時間 >







提督「あぁ……あぁ」

雲龍「何? 」

提督「わかめ酒したい」

雲龍「……わかめ酒のわかめが無いわかめ酒は何酒? 」

提督「女体酒? 」

雲龍「わかめ酒もそうじゃないの? 」

提督「他にある? 」

雲龍「無いわね」

提督「うん」

雲龍「…………する? 」

提督「なんかどうでもよくなってきた」

雲龍「そう……」

漣「なんつー話してるんですかあんたらは……」


< 獣なフレンズ >







提督「ってもね……こういうとき無い? 」

漣「無いですよ……漣はご主人様でも雲龍さんでもないので」

雲龍「不思議ね」

漣「や、全然不思議じゃねーです」

提督「お前俺と雲龍同格とかやめろ。失礼だろうが」

雲龍「そうね」

漣「いやいやいや……だって閾値越えれば大して変わら……何ですその顔」

提督「ん……」

雲龍「……ふふ」

漣「…………聞きたくないこと聞かされそうなんで漣はおとなしく消えますね」


< 名前とか何でもいいよね >







愛宕「あすなろ抱きってこういうのだっだかしら」

提督「違った? 」

愛宕「違わない? 」

提督「そう? 」

愛宕「ええ」

提督「嫌? 」

愛宕「嫌じゃないけど」

提督「じゃあよくない? 」

愛宕「そうね。……そう? 」


< 般若の顔 >








雲龍「雌の顔って分かります? 」

加賀「……突拍子も無いのは兎も角自覚している顔は、あるわ」

雲龍「あれ分からないんですよね。
正直抱かれているときなんて最初から最後まで同じ顔なような」

加賀「……どうなの? 」

天城「はい? 」

加賀「あなた何度かこの子と抱かれているでしょう? 」

天城「それは……でも加賀さんも」

雲龍「あのときは私とあの人が責めだったから……あっ、加賀お姉様はあさましい雌でしたよ? 」

天城「…………へぇ」

加賀「…………天城はその察したような顔を今すぐやめなさい、襲うわよ」

雲龍「へぇ? 」

天城「はぁ」

加賀「…………激した女の顔でも見せてあげましょうか? 」


< いや、野球だってゲームとリアルはですね…… >







漣「ったぁー! ニーア、終わり、終わり! 」

叢雲「あなたにしては長引いたわね、一つのゲーム終わらせるの」

漣「まーねー、BFメインであとは適当だったし。
ストーリーものは速攻終わらせられないならゆっくりやりたいの」

叢雲「ふぅん? ……次は何? 」

漣「ん? 気になる? 」

叢雲「まぁ、大体目の前で見てるし。ストーリーがあるならそれなりに気になるわ」

漣「なるほど? 次はゴーストリコン」

叢雲「? ……また銃モノ? 」

漣「そだねー、正直すぐBFに戻る気もするけど」

叢雲「飽きないわねぇ……リアルでも戦ってるのに」

漣「それ言われるとそうだけど……割と違…………ん? 」

叢雲「ん? 」

漣「…………何か本当にそうかも。次ちゃんと楽しめるかな? 」

叢雲「知らないわよ……野球でもすれば? 一人は仲間できるわ」


< 今日は閉幕、あるいはアンコール >







提督「眠い? 」

愛宕「眠くない? 」

提督「眠いね」

愛宕「寝る? 」

提督「寝ない。寝たい? 」

愛宕「んーん、寝たくない」

提督「そっか」

愛宕「うん……んっ、ぁはっ…………~~~~! 」


昨日は申し訳ありませんでした……
酔って変なレスしてたり

ありがとうございました


ホライゾンゼロドーンなんかは?


< いや、どの鴎も急降下くらいは >







提督「ふぃー……つっかれたつっかれた」

叢雲「その割には楽しそうね」

提督「楽しかったからな」

叢雲「そ。……あの鴎」

提督「うん? 」

叢雲「あんたに似てるわ。物凄いアホ面」

提督「海軍上位のイケメン捕まえてなんてことを……アホ面だな」

叢雲「ええ」

提督「…………」

叢雲「…………急降下」

提督「…………あいつの名前はジョナサンだな、間違い無い」


< 訊いただけ、訊いただけ >







提督「いや、そんなことはどうでもいいんだがねお姉さん」

叢雲「何よジョナサン」

提督「引っ張るのかよ。……大湊って寒いと思う? 」

叢雲「は? 」

提督「青森県むつ市大湊」

叢雲「そういうことじゃないでしょ。……あんたの地元よりはマシなんじゃないの? 」

提督「そっかそっか。……寒いのは苦手じゃないが、はてさて」

叢雲「他にもっと重要なことあるでしょう? 」

提督「そうか? 」

叢雲「ええ。…………ま、私はいいと思うけど? 住めば都って言うし、ね」


< どーん! >







提督「何だ何だ何やらかした馬鹿女! 」

明石「やはー……? 」

提督「……お前それ艤装の調整マシンだろう。
どうやったら爆発して木っ端微塵になるんだ」

明石「いやー……ちょっと色々最適化できるかなー、とか。
……高雄さんこの鉄骨どけてくれません? 」

高雄「構いませんけれど……足? 」

明石「この左足はもう駄目ですね。直さないと」

高雄「っと……どうですか? 肩、貸します? 」

明石「お願いします。これ痛み遮断してるんですけど殆ど動けなくなるんですねー」

高雄「どうぞ」

明石「ありがとでーす」

提督「…………何か決定的に間違っているはずなのに効率的だと思えてきたぞ……何でだ? 」


< 探究心 >







雲龍「創作もの界隈でのヤンデレと料理の関係では」

加賀「は? 」

雲龍「血液だとか髪を入れるのが割とポピュラーらしいですよ」

加賀「……どこの情報? 」

雲龍「漣から幾つか借りたんです、暇だったので」

加賀「はぁ」

雲龍「はい」

加賀「……勿体無いでしょう? それを入れて美味しくなるのなら入れてもいいけれど」

雲龍「ですよね」

漣「や、そーいうことじゃねーと思いますけど……」


< そういうところが >







加賀「そもそもあなたや私はヤンデレ、というやつなの? 」

雲龍「大概重い女だとは思いますけど」

加賀「それならヤンデレ? 」

雲龍「違います? 」

加賀「私には分からないわ」

漣「まぁ、一人の男にあれだけ執着してれば創作界隈だと確実に病んでるんです、けど」

加賀「けど? 」

漣「その場合男の方は鈍感だったり拒絶しますからねー、
拒絶されないヤンデレなんてただのいい子か都合のいい女ですよ」

加賀「…………」

雲龍「…………つまりヤンデレではありませんね」

加賀「もっと酷いものだと突きつけられたような……構わないけれど」


< 少女には向かない職業 >







江風「でも不思議だよな、テートクなンて簡単に消されてそうなのに」

提督「俺の目の前でそういうこと言わないでくれない? 」

江風「や、テートクに訊いてるから、さ」

提督「はぁ……軍のやつらにとっても政治屋にとっても使える駒であることって結構簡単なんだよ」

江風「はーン? 」

提督「一番駄目なのはね、中立。そんなの無価値だから」

江風「でもこの前誰の敵にもならないとか言ってなかった? 」

提督「中立と蝙蝠は別物。完璧な蝙蝠、まぁ八方美人だな、あれはかなり有能じゃないとできない」

江風「自分のこと有能だと思ってる? 」

提督「昇進しなくていいなら俺程上手い手本もいないだろうよ」

江風「……ふーン? 」


< ちょっといいお酒でも嗜みながら >







天城「……江風さんいなくなりました? 」

提督「ん? 内緒話? 」

天城「と、いう程のことではありませんけれど、はい」

提督「そうか」

天城「例の国家転覆グループの少将閣下から」

提督「から? 」

天城「あなたへの働き掛けなんてあったのでしょうか」

提督「あったと思う? 」

天城「殿下の狗、とはいっても端から見れば野心的な人間だと思われるわけですから」

提督「確かに。……あったとしてどうする? 」

天城「何も。天城はあなたの意志に従……あのときはそういえば」

提督「むしろマイナス評価だったなぁ、ははっ」

天城「笑い事では……確かに今では笑い話かもしれないですけれどね」


< 強い卑怯と弱い正道のどちらが正義かなんて >







提督「ま、きてたぜ? 誘いは」

天城「どのようなものか訊いても? 」

提督「ありきたりなやつだよ。軍と帝都の批判から始まって国際関係がどうのってやつ」

天城「はぁ」

提督「俺に用意されてたポストは何だったかな……忘れた」

天城「割と覚えやすいところでは」

提督「だって興味無かったし。そのまま殿下におしえて差し上げたよ」

天城「あなたらし……それで加賀さんが派遣されたのでは? 」

提督「さぁ? 俺は単に一味の一人が俺の近くにいるかもですー、
部下も心酔しているようですー、って言ってみただけだよ」

天城「…………つまり天城たちの派遣は、踏み絵? 」

提督「かもね。……でもどうする? 俺に他の道があったと思うか? 」

天城「それは……」

提督「俺は汚い大人の男だからさ。
それもとびきり薄汚くて卑怯で狡猾で……誰であれ犠牲にするよ、自分の親と女以外は、ね」


< 刺さった棘は仮令ちいさくとも傷をつくり >







加賀「つまらない話してそうね」

愛宕「? ……よくお酒が不味くなるような話をあんな顔で」

加賀「いつでもそういう話に付き合ってくれるのはあの人のいいところだけれど……よりけりね」

愛宕「そうですか? 」

加賀「あの人のああいう顔、実のところ好きではないの」

愛宕「へぇ? 」

加賀「殊更に自分か悪い人間だと思い込もうとしてそうなってしまったと錯覚している顔」

愛宕「……」

加賀「できれば、彼には陽の下を歩いてほしいもの。
仮令その手が泥に塗れて影から瘴気が滲み出ていても」

愛宕「はぁ」

加賀「ま、これも私の自己満足でくだらない戯言だけれど……女って誰しもそうでしょう?
自分の価値観が普遍であるように押し付けるの」

愛宕「ッ……………………そ、うですね、ええ」


< 露悪的な夜には強い酒を >







天城「ははっ……悪徳の塊ですね」

提督「文字通り、そうだ」

天城「…………」

提督「…………」

天城「…………内臓の触り心地、知ってます? 」

提督「知らないね」

天城「血が固まって瞼が開かない不快感は? 」

提督「知らない」

天城「では腸が弾けると想像以上に糞尿が飛ぶのは? 僚艦のそれが降り注ぐのは? 」

提督「知らない」

天城「そうでしょうそうでしょう、そうでしょうとも」

提督「…………」

天城「…………それが、海です。天城は、あなたよりも汚い。酷いことをしている」

提督「俺がそれをさせている」

天城「違います」

提督「違わない」

天城「違いますよ。あなたが天城たちにそんなことをせよと命じて、
天城たちがそれに唯々諾々従っていると考えるなんて、
酷い、とても酷い、傲慢です。思い上がらないで」

提督「…………」

天城「あなたが天城たちを人間であると考えなければ正気を保てないのと同じ。
天城は、あなたが自分よりも綺麗で、正義で、素敵であると思わなければ、
生きていけないのです。分かりますよね? 言いたいこと」

提督「…………」

天城「…………」

提督「…………救われないな、俺もお前も」

天城「ふふ……そんなもの、最初から求めてなんていないでしょう? 」

提督「違いない。…………ショットグラスでも出すか」


< ある種素直ともいえる >







龍田『世の中を動かしているものを三つ挙げよ』

山城『欲望、憎悪、無関心』

龍田『ではここでは? 』

山城『酒、肉欲、嫉妬』

龍田『正解。……ここがどういうところか分かった? じゃ、一名様ご案内でーす』






春雨「っていうのが春雨がここ来たときの案内だよ」

浜風「……」

時雨「……」

鈴谷「フツーにサイテーっていうかなんていうか……あの二人案内役にするとかやっぱ軍って馬鹿なんじゃないの? 」


< いるとするならば男の子の頭くるいかな >







龍田「あぁら、でも間違ってはいないでしょう? ね? 」

春雨「まぁ……驚きはしましたけど」

鈴谷「穿ち過ぎって言ってんの。そもそも最初から現実突き付ける? フツー」

龍田「期待なんて無くて絶望だけ抱えていた方が普通の子は長生きするでしょう? こんなところだと」

鈴谷「じゃあ龍田は絶望抱えてるから沈まないわけ? 」

龍田「私は普通の女じゃないから」

鈴谷「ふーん? 」

龍田「あなたも普通じゃないでしょう? 」

鈴谷「そりゃね。可愛い女の子だし。春雨は? 」

春雨「普通じゃないよ」

鈴谷「…………普通の女の子って? 」

山城「そんなのいるわけないじゃない。馬鹿なの? 」


< こんにちは今、嗚呼! 行ってしまわないで今 >







提督「…………」

高雄「酷い顔」

提督「…………お前の仲間に虐められたんだ、癒せ」

高雄「女にしかできない慰め方? それとも妻にしかできない慰め方? 」

提督「高雄にしかできない慰め方」

高雄「まったく難しいことを……」

提督「あぁ、悪い」

高雄「やれやれ……自分に馬鹿め、と言いたいところです」

提督「言ってみるか? 」

高雄「意味の無いことはしないの。…………私の癒しは罰と紙一重、ですから。死なないでくださいね? 」

提督「うぇるかーむ、お前に殺されるんなら本望だよ、掛け値無しに、さ」


>>36
残念ながら積んでいるのです……

ありがとうございました


< あさがきた >







漣「おっはよー、相変わらず早いね」

叢雲「ボスが早起きだもの、こんなものでしょう」

漣「だって何かまだ寒い気がするしさー、布団ちゃんが離してくれないんだもん。寒いのイヤ」

叢雲「そ。……寒いのが嫌なら今の内に強くなっておきなさい」

漣「無理無理かたつむり。生き物はそんな短時間で進化できませーん」

叢雲「そう? ま、私は別にいい、けど」

漣「うん? 」

叢雲「そのうち寒くなるかもしれないってことよ、色々と」

漣「……はい? 」


< Between Free and Liberty >






あきつ丸「フ-……平和でありますね」

GZ「あぁ……世界がこの屋上と青空だけであれば、と思うよ」

あきつ丸「あの空に墜ちていければ……いや、栓無き戯言でありますが」

GZ「フ-…………自由、欲しいか? 」

あきつ丸「要らない。誰か、大切なヒトに縛ってもらえるなら、それが一番欲しい」

GZ「そう、か。……そうだな」

あきつ丸「自由、なんてものにはもう懲り懲りでありますよ。
唯一選べた自分の道を、自分は誤ってしまった」

GZ「フ-……だがもう一度選び直せたとして」

あきつ丸「同じ沼に嵌まるでしょうな……フ-…………ま、だからこそ、夢想するのであります」


< いや、それもかなり難問 >







若葉「地獄というものがあるのなら、あなただけでなく若葉たち全員がどの道特急乗車券を買わされているよ」

GZ「蓋し」

あきつ丸「そうでありますな」

若葉「だから、だからこの世くらいは何かに溺れてみたいと思うのかもしれない」

GZ「甘味か? 」

若葉「若葉はな。……ファッションでも、歌でも、男でも、姉妹でも、酒でも、煙草でも、あるいは戦闘そのものでも、同じだ」

あきつ丸「…………」

GZ「…………」

若葉「それを良しとしないのもまた良し。そう考えれば、結局は己の裁量なんだが」

赤城「難しい話をしてますね……そんな話をするくらいなら目玉焼きにかけるものでも話し合いません? 」


< 苦手なタイプ >







叢雲「ガキな男の下敷きになるのは嫌ね」

愛宕「上にでも乗っておきなさい。……品のあり過ぎる男? 」

高雄「欲と心のバランスが悪い方」

雲龍「淡白」

天城「お酒が飲めない」

加賀「舌が馬鹿」

提督「よし、俺は全部当て嵌まらないな! 」

Littorio「そうですけれど……そうですけれどそれでいいんですか? 」


< 本人も割と…… >







山城「これは兎も角私といて罵詈雑言吐くようにはならないわよ」

鹿島「いやいや……」

龍田「私といてもでしょう? 」

山城「そんなわけ」

龍田「そう? 」

鹿島「山城さんの方が割と陰湿なような」

山城「……陰湿ってあなたね」

鹿島「山城さんといるからこうなったんですよ? 」

山城「……」

龍田「あら珍しく上手い返し」

鹿島「それほどでも? 」

鈴谷「……お姉さん泣いちゃうよきっと。妹が順調にスれていっちゃって」


< 土に根をおろし、風と共に生きよう。種と共に冬を越え、鳥と共に春をうたおう >







扶桑「もう遅いわ。ここに根を生やしてしまったら」

鈴谷「や、鈴谷こんなところに根生やしたつもり無いけど」

扶桑「つもりなんて無くても、同じよ」

鈴谷「……」

扶桑「それに捨てたものでもないでしょう? それなりにいい生活はしていると思うわ」

あきつ丸「ハンッ、カラオケもボウリングもビリヤードもダーツも……娯楽が一通りあったところで沼は沼であります」

山城「私には姉さまがいるわ。姉さまがいればそこはそれだけで良き処」

龍田「私も天龍ちゃんがいるし」

鹿島「私は今の自分も好きですから」

鈴谷「そう? 」

あきつ丸「全く同意はできないが…………ま、それもまた自由だとさっき言われた故、今はそれでいいであります」


< 話だけ聞いていたときの印象 >







提督「クールぶったバトルジャンキー? 」

加賀「酷いものね」

提督「じゃあ、お前は? 」

加賀「外面のいい腑抜け」

提督「酷い話だ」

加賀「事実だったもの問題無いわ」

提督「事実? 」

加賀「女こましてその女に溺れるでしょう? ついでに金のかかる趣味ばかりのクズ」

提督「」


< 全部ですよ、まったく >







愛宕「女六人でアンゲームって馬鹿なの? 」

高雄「この場合一人しかいない男はいない方が愉快でしょう? 」

明石「私これ苦手なんですよねー、大淀とか足柄さんとしたことありますけど」

天城「ポーカーの賭け金がアンゲームのカードって斬新過ぎるでしょう……」

雲龍「私としては殆ど怖い札が無いから楽ね」

愛宕「ま、お金賭けるより健全か」

Littorio「ええ。……あの人と加賀がいないと、忌憚無い言葉が聞けそうですね」

高雄「だからといって変なこと言わないでくださいね? 」

雲龍「それはあなたに? あの人に? 加賀さんに? 」

高雄「…………」


< 出し切ったそのときには? >







加賀「~~~~……っ」

提督「イった? 」

加賀「不っ、粋な、それに、気持ち悪い」

提督「悪い悪い。……何回目? 」

加賀「三回目。…………本当に気持ち悪いわ」

提督「そう? じゃあもっと毒を出さないと

加賀「なん、な、っ、ん……ぅっ…………っはぁ…………!


< この後の流れは保証しない >







愛宕「【一番の残念美人は誰か】……ねぇ、これ明らかに誰かのメモ帳にボールペンで書いてあるんだけど」

高雄「気の所為よ、ね? 」

Littorio「ええ、問題無いかと」

愛宕「はぁ……これ普通に考えると性格とかがあれな美人だけど」

雲龍「ただのブスって見方もできるわね」

明石「アンゲームってこんなのでしたっけ? 」

天城「天城は知りませんよ、初めてですから」

愛宕「ま、簡単なんだけどね。答えは私」

雲龍「ふぅん? 」

愛宕「皆ブスではないし性格は超残念だもの。つまり消去法で私」

高雄「ほう……」

Littorio「なるほどなるほど……明石」

明石「はいはーい、カード配りますよー」

天城「…………こんなゲームなのですか? 」

雲龍「さぁ? ま、楽しければいいじゃない、楽しければ」


< 平和な方のお話 >







瑞穂「何か……取り残されているような」

叢雲「うん? 」

漣「つまんないです? 」

瑞穂「そういうわけでは」

江風「楽しいっちゃ楽しいけどさ、この四人でゴールデンアイって馬鹿じゃね? 」

海風「……Zzz」


ちなみに胡椒派です

ありがとうございました


< 何もかも見られた後の朝に >






加賀「Zzz……………………………………? 」

提督「おはよう。緑茶、淹れてある」

加賀「ありがとう。…………おはようございます」

提督「ん」

加賀「…………まるで盛りのついた雌猫ね、しかも好き勝手啼かされて」

提督「問題でも? 」

加賀「今は無いわ、今は」

提督「そうかい。…………お前が淹れた方が美味い」

加賀「当然。…………啼かせた女にもそれくらいの矜持は保たせるものよ? 」


< 御尤も >






愛宕「ねーむーいー……」

高雄「早寝快眠だったでしょうあなた」

愛宕「どれだけ寝ても朝って眠くならない? 」

高雄「シャワー浴びてメイクすればあまり」

愛宕「えー? 」

高雄「それだから駄目なのよ」

愛宕「どこが? 」

高雄「髪、後ろのところハネてる」

愛宕「え、うっそどこどこ? 」

高雄「嘘。……そういうところに気付かないのが駄目なのよ? 」


< アンケなんていつ振り? >







「自分のルックスが少なくともここの半分より上だと思うか」

Yes……8
No……4






提督「なんだこれ……微妙っていうか分からな過ぎない? 」

雲龍「誰が誰だか分からないわね」

提督「お前は? 」

雲龍「勿論Yes」

提督「何で? 」

雲龍「何でって……美人でしょう? 好みは兎も角醜いなんて言える人間がいるとは思えないけれど」

提督「そうだけど……そうですけども」


< 誰が? >







提督「……明石か? 」

雲龍「セオリーというかあの通りなら」

提督「…………江風? 」

雲龍「かもしれないけれど……逆から考えてみたら? 」

提督「叢雲と高雄と愛宕と加賀とLittorio、まではたぶん合ってると思うんだが」

雲龍「あとは天城と瑞穂と漣と瑞穂ね」

提督「そこから二人がYesに回さなきゃいけないのか……」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………難しいわね」


< 姉妹で行ってみたいところ >






愛宕「学校? 」

高雄「アパレルとかブティック? 」

愛宕「それは行けるわね」

高雄「駄目人間の目付役は? 」

愛宕「叢雲&漣コンビで大丈夫でしょう? 」

高雄「ん……そうね」

愛宕「行く? 」

高雄「構わないけれど……似たような趣味よね」

愛宕「そうねぇ……だからあの人と行くの楽しい感じなのかしら」

高雄「そうかもしれないわ」

愛宕「ええ。…………行かないの? 」

高雄「…………あなたが行きたいだけじゃないの? 」


< しっかりエスコートしますよ? >







愛宕「だってたまには姉妹デートしたいし」

高雄「まぁ、頼めば割と簡単に出してくれるわよね、許可」

愛宕「ええ」

高雄「…………直近で一日空けてもいい日はいつ? 」

愛宕「一日? 」

高雄「デートでしょう? 」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「そ、そうね。ちょっと待って予定思い出すから」

高雄「ええ」

愛宕「……………………真顔? でも高雄の冗談は時々トんでるし……え? 」


< 触れ合えることが何よりも >






雲龍「……欲しいの」

提督「…………今ちょっと抑え効かないかも」

雲龍「その方が嬉しいわ。…………加賀さんと一晩ヤってたのに」

提督「昨日は俺が奉仕する方だったから」

雲龍「シてほしい? 」

提督「いい? 」

雲龍「私があなたを、断ったことがある? 」

提督「無いけど……断ってみたら? 」

雲龍「何故? 」

提督「無理矢理ヤるかもしれないし」

雲龍「莫迦ね」

提督「うん? 」

雲龍「だって、あなたに誘われて断れる程私、強くないもの」


ありがとうございました


< 死にたくないからこそ死へと向かう >








叢雲「はぁ、相変わらずここ……一本寄越しなさい」

提督「……ん」

叢雲「ありがと。…………フ-」

提督「…………何か用か? 」

叢雲「別に。早朝あんたと出くわすのには理由が必要なの? 」

提督「いーえ、そんなことは、フ-……」

叢雲「でしょ…………フ-……」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………お前の顔見ると安心する、まだ生きていていいんだって」

叢雲「ばーか」


< そういえば自分を動物に例えると、なんて >








提督「昔やったな」

叢雲「何度もしてるわよ。結構ポピュラーな暇潰しネタでしょ」

提督「俺的には小学校の文集だけどな。……やっただろ? 」

叢雲「あのときあんたは雄の獅子って答えたわね」

提督「お前は梟だったか」

叢雲「分かるでしょ? 」

提督「あぁ」

叢雲「ま、あんたはそれ程怠け者で女任せ、って程でもないと思うけど」

提督「そうか? 」

叢雲「ええ」

提督「…………本当? 」

叢雲「あんたに嘘なんて吐かないわよ。吐いたときはきっと

提督「やめてくれ。……笑って、別れたいからさ」


ありがとうございました


< 豪華絢爛桜花爛漫 >







提督「死ぬ……死ぬと思う」

高雄「何を馬鹿な」

提督「何か下半身に力入らない気がする」

高雄「介護でもします? 」

提督「そんな趣味は無ぇけど……んー」

高雄「趣味とかそんな問題でも」

提督「まぁ、元気なまま死にたいね」

高雄「私は不自由な身体というのも体験してみたいですけれど」

提督「贅沢な」

高雄「今でも贅沢な生活をしてますからね」

提督「性活? 」

高雄「? 贅沢でしょう? 」

提督「そうだね、うん、本当」

高雄「? ええ」


< 演習中 >






提督「つーか……見えない」

高雄「見えたらおかしいですから。私たちの動きを肉眼で捉えるなんて」

提督「そうだが。……瑞穂アウト? 」

高雄「そろそろ終わりですね」

提督「加賀アウトで雲龍と天城健在だしな……やっぱお前も出ればよかったんじゃねぇの? 」

高雄「愛宕で十分でしょう、これくらいなら」

提督「そう? 」

高雄「はい」

提督「そうか。…………これくらい? 」


< 興味の範囲 >







愛宕「はーい、おサボリsister? 」

高雄「サボっていたわけでは」

提督「俺の話し相手兼観測助手だな」

明石「殆ど話し相手でしたけど……私はちゃんとデータ取ってましたよ? 」

愛宕「ま、いいけど。……ゴホービは? 」

提督「何? 」

愛宕「一日頂戴? 」

提督「お安い御用で。平日? 休日? 」

愛宕「休日。あんまり人が多いところ行きたくないから」

提督「はいよ。……治してもらってこい」

愛宕「はーい」

提督「ん。……撤収するぞ」

明石「はい」

高雄「これだけ持てばいいんですね」






雲龍「……加賀さんに優勢取ってたのに」

天城「それを加味しても、ということでしょう」

雲龍「…………」

江風「や、それより江風助け……本当マジ、沈むから、ねぇ……? 」


< いやいや、あなたこそ >







瑞穂「い、ったっ」

明石「すみません。何分純粋な治療は不慣れなものでして」

瑞穂「明石さんで不慣れなら軍医でも不慣れでしょう? 」

明石「やー、医者は三人殺して一人前らしいので」

漣「それなら明石さんはもう百人力くらいですねー」

明石「いやいやいや……二、三人は整備ミスで殺してるかもしれないですけど三百人なんて」

瑞穂「……頼みますよ? 」

明石「そりゃあ瑞穂さんのは念入りにしてますよ。他とは格が違います」

瑞穂「は、はぁ」

明石「はい」

加賀「…………あなた、存外顔に出るわね」


< ある果実について >






雲龍「寝にくいのが嫌ね、やっぱり。これのお陰で好かれてる部分があるとしても」

提督「まぁ、別におっぱい多少ちいさくてもお前の身体好きだと思うよ」

雲龍「そう? 」

提督「なんつーかタッパある子好きだし……肉感っていうかハリっていうか……分かれよ」

雲龍「女に女の良さ求めさせるの? しかも自分の身体」

提督「普通自分の魅力把握してるものじゃない? 」

雲龍「それは男がどう見るかであって」

提督「そうか? 」

雲龍「よく知ってる女のことでしょう? 」

提督「んー……知ってるか? 」

雲龍「隠し事なんて無……暴いてくれる? 」

提督「それがお前を傷付けないなら」

雲龍「……む」

提督「そこで悩むなよ馬鹿」


< 割と焦るときある >







提督「いや、まぁ正直どうでもいいんだけどさ。実際にはおっぱい大きいし」

雲龍「そうね」

提督「……寝る? 」

雲龍「眠い? 」

提督「何故か全く眠くない」

雲龍「私も」

提督「つーか背中滅茶苦茶痛いんだけどどうなってる? 」

雲龍「? …………あぁ」

提督「うん? 」

雲龍「鏡で見てきた方が早いけれど……ごめんなさい」

提督「や、謝ることじゃあねぇよ。……見てくる」

雲龍「ええ」







提督「うわぁ……なんか、うわぁ…………」


< 君の縄 >







提督「oh.Your rope……」

雲龍「嫌い? ヤり返さない? 」

提督「正直微妙、っていうか女の子から持たされるのかこういうの」

雲龍「だってあなた持ってないでしょう? 」

提督「持ってないってことは興味無いってことだって気付いてくれませんかね、雲龍さんや」

雲龍「新しい扉? 」

提督「やーでーすー……」


ありがとうございました


< いや、ねぇ? >







高雄「性的に興奮していては執務に差し障りがありますから」

提督「だが」

高雄「上官のお世話も私の仕事の内です」

提督「……」

高雄「閣下は何もしなくていいのです。使うと思っていただければ」

提督「……」

高雄「……私が欲しいんです、あなたのこと、何よりも。
お嫌なら、躾けてください。はしたない、雌を」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………bravo! 」

高雄「…………何が楽しいんですか? この茶番」


< お祝いする気持ちは本物ですよ? >







赤城「こんなに戴いても食べきれませんよ。嬉しいですけれどね」







龍田「何人くらい? 」

山城「ここの面子ほぼ全員と多種多様な将兵とどこで会ったのかも分からない政治家と……」

鈴谷「他国の大使館からもお祝い来てるあたり人徳ところじゃないよねー」

龍田「ふーん……食べきれないと思う? 」

山城「今日中には、じゃないの? 」

鈴谷「一週間もつかは怪しいよね」

龍田「そうねぇ」

赤城「あなたたち幾らなんでもおかしいでしょう……」


< 本当どうだろうね >







提督「何にした? 」

加賀「あなたは? 」

提督「酒とメッセージカード」

加賀「私もお酒とお手紙を」

提督「食べ物はやたら貰ってるだろうしな」

加賀「ええ」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………赤城を最大限喜ばせるプレゼントって相当難しいよな」

加賀「…………全くもって」


< 人徳というかなんというか >







赤城「また手首が痛くなりますね」

鈴谷「うん? 」

赤城「メッセージには返信しなければなりませんから」

鈴谷「鈴谷そんなこと滅多にしないけど」

龍田「私はするわよ? 」

山城「あなたは贈られる相手が仲のいい相手だけだからでしょうが」

鈴谷「ふーん? 無駄に気に入られたりするのは嫌じゃない? 」

赤城「真心には真心を、政治的意図には政治的真心を。
この世に無駄なことなんてありません」

扶桑「こういうところよね。私も返信なんて全部しているのだけれど、でも…………


< アナルナメタイたってきた >







雲龍「パイズリってこの国だと紅葉合わせ、っていうのよ? 」

天城「知りませんよそんなこと……」

雲龍「ちなみにWikipediaのページはこれ」

天城「はぁ……基準は分かりませんけれどこんなものではないですか? 」

雲龍「よく見てみなさい」

天城「…………指輪? 」

雲龍「画像ではなくて前文のとこ」

天城「…………あぁ」

雲龍「Wikipediaってこういうのよかったかしら」

天城「駄目じゃないですか? 」

雲龍「そうよね」

天城「はい。……あの」

雲龍「? 」

天城「こんなページ何故検索し……いや、やっぱりいいです。どうせ姉様ですし」

雲龍「そうね、私だもの」

瑞穂「雲龍さんも天城さんもそれでいいんですか……」


< 袖引きて >






加賀「あなたと赤城さんの誕生日が連続するのはちょっとあれね」

提督「うん? 」

加賀「お金も使うし心も砕かなくてはならないわ」

提督「冗談を……冗談にされたら落ち込むけど」

加賀「メンタル弱いわね」

提督「弱いよ。だからこんなことになってる」

加賀「こんなこと? 」

提督「こんなこと」

加賀「ある意味強心臓なのではなくて? 」

提督「面の皮は厚いかもな。…………明日も俺幸せかな? 」

加賀「に、してあげる。しっかり寝てきなさい」

提督「ん。…………ん? 」

加賀「その代わり今、私を幸せにしてくださらない? 」


ありがとうございました


< すぐ近くにある白百合 >







雲龍「あの人があれな画像とか動画集めていれば」

天城「はぁ」

雲龍「さり気なく自分の自撮りとか忍ばせられたのに」

天城「そんなことをする必要は? 」

雲龍「面白いじゃない」

天城「面白いですか? 」

加賀「反応を見てみたいといえば見てみたいわ」

雲龍「ですよね」

天城「でもそれ他の方も見るんですよね? 」

雲龍「恥ずかしい身体なんてしてないもの」

加賀「そうね」

天城「そういう問題でしょうか」

雲龍「なんなら天城のスマホに入れてあげてもいいのよ? 」

加賀「雲龍のこと好きだものね」

天城「いやいやいや……そこを否定はしませんけれどね」


< 食虫植物を食べる蝶々なんてもの、いるのかな? >






山城「なんというか……どれだけ努力してもいつまでたっても万年十分咲きというか」

龍田「満開には決してならないのよね」

山城「ええ、輝きは足りているはずなのに何か美しくないの」

扶桑「それはそうよ。“ 満開 ”っていうのは一般的には八分咲きのことなの。
十分も咲いてしまったらもう散り始めているでしょう? 」

山城「なるほど。さすが姉さまです」

龍田「つまり腐り始めた状態を維持している? 」

山城「腐り始めが美味しい、なんて言うものね。私はそう思わないけれど」

扶桑「ええ。ところで何のお話? 」

龍田「今日開花した食虫植物のこと」

扶桑「食虫植物……? 」


< 大体恒例 >







鹿島「殿方に理想像を夢見るのは駄目なことですか? 一緒に目指すって幸せなことですよね? 」

鈴谷「いるよねー、そーいう子。恋に恋する乙女ってやつ? 」

龍田「そう言えば聞こえはいいけど実際ただの発情期でしょう? 」

山城「そうね、それか腐りかけ」

鹿島「…………」

若葉「いい加減懲り……最近そう返されるのが癖になってきていないか? 危ないんじゃないか? 」


< darlint >







龍田「その人を好きになったら変わってなんてほしくないことだってあるもの」

あきつ丸「全くもってその通り」

龍田「でも私と出会った頃のその人は私を好きになってしまうと変わってしまうのね」

あきつ丸「だから殺すのか」

龍田「そうそう」

赤城「あんまり適当なこと言わない方が……何人か本気だと思ってますよ? 」


< これからもゆるゆるいこう >







愛宕「はぴばー」

提督「はいはいありがとう」

高雄「また歳を取りましたね」

提督「本当それ、マジでそれ。衰えって怖いね」

高雄「老いる歳でもありませんが」

愛宕「老いて益々盛ん? 」

高雄「そうね」

提督「っても割と真面目に戦々恐々してるけどな。
……まぁ、できるうちはテンション上げていきますかーっと」


< 要らない正答 >







提督「ってもこんな食ったら……太る」

愛宕「痩せなくていいわよー、大好きなあなたが一グラムでも減ったらかなしー」

提督「ふーん? そんなこと言ってたら見るに耐えなくなるぞ? 」

愛宕「それはもう大好きなあなたじゃないから無問題。捨てるわ」

提督「なんて理不尽、でもないか。逆だとしてもそう思いそうだ」

愛宕「でしょう? 」

高雄「…………本当にそこで捨てることができるのなら肥えさせてもみるのですけれどね」


< 花束を君に贈ろう♪ >







雲龍「パンツ」

天城「靴下を」

加賀「シャツ」

Littorio「Littorioたちは

明石「ジャケットと

瑞穂「スラックスを」

高雄「時計にしましたよ」

愛宕「それなりに有名であまり知られてないやつよ? 」

漣「しゃーないので漣たちはネクタイとか小物揃えましたー」

海風「今から着てみません? 」

江風「ま、江風たちのチョイス着こなせないわけないよな? 」

提督「おお……ありがとうございます。大切にします。着てきます」







叢雲「で、何で私が花束渡さなきゃいけないわけ? 私しかいない? はぁ……? 」


< ばーか >







龍田「誕生日ねぇ」

山城「そうね」

龍田「何歳か知ってる? 」

山城「知ってるわよそれくらい」

龍田「あの歳の人間ってあんなもの? あれが普通? 」

山城「失礼な話」

龍田「一般人に? あの人に? 」

山城「どちらにも。……我らが提督閣下は自分以外の全てに逆らっているような間抜けでしょう? 」

龍田「そうね。…………何に乾杯しましょうか」

山城「あなたと私の友情にでもしてみる? 」

龍田「莫迦。…………今日もこの何事も無きくだらない世界と愛すべき馬鹿と、それからあなたに」

山城「……ん、あなたに」


< この後美味しく頂かれる可能性も極々僅かに無いことも無い >







提督「誕生日にはむしろヤれないってマジ? 」

江風「発言がサイテー過ぎる……」

加賀「皆牽制と遠慮で動けないのね」

提督「なーんでそんな……いや、でも

海風「さすがに全員一緒だと死にますよ、提督」

提督「言わねぇよ。……寝る? 」

海風「全く本気じゃない言葉に本気になられたらどうするんですか? 」

提督「本気にならないって知ってるから」

海風「……最低」

提督「まぁ、今の言葉自体が本気じゃな

江風「こーいうやつだよな、やっぱ」

加賀「何故慕ってしまうのかしら」

愛宕「本当そうよねぇ」

高雄「共感できます」

提督「だから本気じゃなくてさ、っつーか何で増えるんだよもう……」


ありがとうございました


< 友達と飲んでたんだ、頭沸いてたんだ >







提督「へーい、ただいま」

高雄「おかえりなさい」

愛宕「お土産は? 」

提督「ただの飲みにそんなもの無ぇよ、と言いたいところだが」

愛宕「だが? 」

提督「愛故に、はいこれ」

高雄「仕事たまってますからね」

提督「はいはい」

愛宕「がんばー…………カタヌキ? 」


< 圧力 >







提督「まぁ、それは兎も角今日はhideが亡くなった日なわけだが」

漣「それって自さ

提督「あぁん? 」

漣「……」

提督「カラオケでもしないかね? 漣さん」

漣「……お供致します」

提督「おうよ」


< Revenge is sweet >








雲龍「リベンジポルノって一時期流行ったじゃない」

提督「この流れで……流行ったっていうのか? あれ」

雲龍「地上波のメディアで連呼していたらそれは流行りなのよ」

提督「左様で」

雲龍「ええ」

提督「……」

雲龍「……」

提督「……で? 」

雲龍「? 」

提督「…………え、何、それで終わり? 」

雲龍「うん? 」


< あるからこそ >







雲龍「そう、これは復讐だったのよ。いつの間にか友達と飲みに出て朝帰りするような男への」

提督「や、朝から出るって言っておいただろう」

雲龍「私も連れていきなさいよ」

提督「プライベートだから冗談だと受け取ったとして……お前愛想どころか喋りもしねぇじゃん」

雲龍「あなたがプライベートで会えるような友人ならちゃんと話すわ」

提督「そうかい」

雲龍「それとも私を盗られるとか? 」

提督「既婚者だけどなぁ……ほら」

雲龍「…………カッコいいし、奥さん美人ね」

提督「な」

雲龍「まぁ、確かにそ

愛宕「既婚者が女に目を向けないとでも? 」

雲龍「……あぁ」

提督「…………お前こそ俺の女の自覚あるの? 」


< ダサTです、たぶん >







提督「まぁ、そんなことはどうでもいいが」

雲龍「そうね」

提督「お前なんなの? そのTシャツは新手の喧嘩売りなの? 」

雲龍「葛城に見せようと思って」

提督「いい度胸してんな本当」

雲龍「ありがとう」

提督「褒めてねぇよ馬鹿」






漣「……貧乳Tシャツとかまーじ……漢字歪んでやがるし」



やめはしませんが……
しばらく雑談所かもしれませんねぇ
リアルが少し

ありがとうございました


< どんなことにでも楽々着いていけるわけではね >







提督「star wars dayでございます」

漣「めーいざふぉーすびーうぃーずゆー」

明石「そうですね」

漣「だからって特に何かするわけでもないですけど」

提督「あぁ。……アンリーシュドでもやるか」

明石「はぁ? 」

提督「十年近く前のゲームでも割と楽しめるだろ、この面子なら」

明石「そりゃあ設定オタク三人みたいなものですけど」

漣「PS3版ですよね? 」

提督「当然北米版だぞ」

漣「いぇーい」

提督「いぇーい」

明石「はぁ…………いや、別に嫌じゃあありませんけど……けど」


< 匙はとうに投げ捨てたつもりなのだが >






雲龍「飛び降りだとか飛び込みだとかするときに」

天城「はぁ、また変なこと言い出しましたね」

雲龍「靴を綺麗に揃える人が多いっていうじゃない」

天城「そう聞きます」

雲龍「満足行く並び方にならなくてもたついたりはしないのかしら」

天城「知りませんよそんなこと……何故そんなことを? 」

雲龍「いつも同じ並びに揃えている酒瓶がいつも同じ並び方に矯正されているのよ」

天城「……お酒と靴になんの関係が? 」

雲龍「あの人が開放しているやつなのよ。皆自由に補充してるやつ」

天城「はぁ」

雲龍「丁度あの人に踏まれるならどんな靴がいいか考えていたの」

天城「…………」

雲龍「誰かわからないのよね……誰でもいいのではあるけれど…………うん? 」


< 重い言葉 >







龍田「眠いわぁ」

あきつ丸「知らん」

山城「そのまま寝ていつまでも起きなければいいのに」

龍田「昨日は久し振りに天龍ちゃんと一緒に寝たから中々寝付けなくてぇ~ 」

あきつ丸「相変わらず気色悪い女だな」

山城「はぁ? 姉妹で寝ることのどこにそんな要素があるのよ馬鹿なの? 」

あきつ丸「ハンッ、それが分からぬ方こそ馬鹿なのであります」

龍田「それでねー、今夜も天龍ちゃんがーーーー






GZ「会話、というものの意味、分かるか? 」

龍田「? 」

扶桑「分かっていて、あれ、なのよ」

GZ「…………」


< 感情としては理解できる、できてしまう >







加賀「あなた」

雲龍「はい? 」

加賀「今から私のことは呼び捨てにしなさい」

雲龍「……それは命令ですか? 」

加賀「そんなわけないじゃない。お願いよ」

雲龍「…………あの人のこと呼び捨てにできます? 」

加賀「それとこれとは…………む」

雲龍「ね? 」


北海道関連が出てきてちょっと嬉しい今日この頃です

ありがとうございました


< 子供の日 >








愛宕「といえば恒例のお話があるわね」

高雄「恒例? 」

提督「あー、子供の日は子供をつくるための日じゃねぇよって話を去年もしたなって話をな」

高雄「はぁ……馬鹿? 」

提督「馬鹿です」

愛宕「いつでもできるものねぇ」

高雄「ええ」

叢雲「…………高雄は本当にそれでいいの? 気付かないうちに自分も馬鹿になってるわよ? 」


< 今週のお悩み相談お便りー >








愛宕「いぇーいっ」

提督「え? え、えー、北海道からのお便り、ペンネームは

愛宕「相談はー? 」

提督「言わせろよ。……『私はそれなりに重い役職に就いていますが、
部下からのセクハラが収まらず執務に支障をきたしています。
どうすればまともにお仕事に向き合えるでしょうか? 』、だそうです」

愛宕「モテモテなのねぇ、その人」

提督「かもな」

愛宕「部下の女の子ハメてる糞上司なんでしょうね」

提督「し、知らん」

漣「これで批判だと思うご主人様が悪いですよねー、女的には」


< 誰も悪くない >







高雄「さっきのお話ですが」

叢雲「え? 」

高雄「あの二人と、それからぼんやり色呆けな雲龍さんや真顔で変なことを言う加賀さん、
時々龍田さんといて馬鹿になるなと? 」

叢雲「……無理だけど、喧嘩売り過ぎじゃない? 」







雲龍「……ぼんやり雲龍? 」

加賀「私なんて真顔加賀よ」

天城「何も文句なんて言えないと思いますが」


< >







天城「世の中だとゴールデンウィークなのですね」

明石「まぁ、ここだと普段からそんなものですけど」

天城「何故か大規模作戦に召集、どころか訓練すらありませんね」

加賀「考え方を変えると今日の夜から一般人は普通の土日休みね」

雲龍「……何故世の中に喧嘩を? 」

加賀「え? 」

漣「……真顔? 」


ありがとうございました


< じゃあ性欲の絡まないレベルで好きな女って >







愛宕「? 」

提督「また難しいことを……っていうか『じゃあ』、ってなんだ? 」

愛宕「じゃあはじゃあよ? 」

提督「……目力とか? 」

愛宕「強い女好きでしょう? 」

提督「…………うなじ? 」

愛宕「それこそ性的? でしょ、男としてもあなたとしても」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………足裏とか? 綺麗だからどうだって話だけど」

愛宕「つまり男の人は性的にしか女のこと見てないのね」

提督「いや、そんな、えー……いい匂いとかあ……性的っちゃ性的だけどさぁ……うーん」


< もういっそ性的でもないのに性的なものとか(錯乱) >







提督「表情がエロい女とかいいな! 」

愛宕「なになに開き直り? 」

提督「それでいいよもう……可愛い女の子が正義ってことで」

愛宕「本音ね」

提督「本音です、はい。…………それ以上男が必要とするとでも? 」


< 死ねよクズ、最大限苦しめ、とかどこからか聞こえた気がしたりして >







提督「救いが無ぇな、マジで」

加賀「女全部寝取られてゴミみたいに捨てられてから言いなさいよ」

提督「救いが無いというか暗闇しか無いというか」

加賀「それとも四肢欠損でそれを見せつけられるのがいい? 」

提督「ファンタジーかよ」

加賀「ファンタジーってそういうもの? 」

提督「違うか? 」

加賀「違うでしょう? 」

雲龍「違いませんよ」

提督「……違うみたいだな」

加賀「ええ」

雲龍「…………」


< どうしてもそんなイメージが >







江風「イメージ的にはその日の女が時報担当かな、みたいな」

海風「むしろ提督から時間言ってそうだよね」

瑞穂「自分の欲望を解放する時間、分かっていないと」

江風「……」

海風「……」

瑞穂「……」

江風「……どうなン? 」

叢雲「私に訊かないでよそんなこと……本当にやめて、そんな顔……本当やめなさいったら! 」


ありがとうございました


< さて、本日はあの偉大なるニャホニャホタマクローさんの >







提督「誕生日なわけですが」

江風「? 誰それ」

提督「え、何お前知らないの? 」

江風「知らないけど」

提督「あーれ……ジェネレーションギャップ? 」

叢雲「私は知ってるわよ? ガーナのそこそこ凄い人でしょ」

提督「そうそう」

江風「ガーナとか偉人でも現代人でも一人も知らねぇよ」

提督「うっそぉ……アナン事務総長とか知らない? えぇ……? 」


< 今日の茶番 >







江風「へーいそこの可愛いキミー、彼氏いるー? 」

明石「いませんが」

江風「マジ? 仲いい男は? 好きな男は? 」

明石「いますよ、一人だけ」

江風「ふーン? そいつってどンなやつ? 」

明石「クズで馬鹿で適当ですけど優しくて優しくて優しい人ですね」

江風「優しいだけ? そンなつまンないやつ捨ててオレと遊ぼ? 」

明石「いいですけど……あなた優しいですか? 」

江風「? 可愛い女の子にはいつだって」

明石「そうですか。……何します? 」

江風「え? えー……何すればいい? 」

提督「キャラ的にプールバー行くかそこら辺行くか、いっそもうベッドでよくない? 」

江風「……じゃ、そういうことで」

明石「はぁ」

提督「いってらー」

江風「……」

明石「……」

江風「……いい加減止めてくれない? 」

提督「? 」


< さらに悪ノリ >







明石「え? 連れて行ってくれないんですか? 」

江風「ンなこと言われても……明石さンはいいの? テートク以外でも」

明石「不本意ながらそうなったというか……皆女ですけどね」

提督「愛宕に雲龍に天城に加賀に……Littorioは? 」

明石「あります。高雄さんくらいですね、あなたとかぶってないの」

提督「ほーん? ……どう? 並よりは遥かにいいと思うぜ? 」

江風「知らないよ……江風は女同士でも純潔あると思うタイプだから」

明石「そんな私が汚れてるみたいな」

雲龍「汚れてるでしょう? レズが綺麗なんて妄言よ」

明石「……」

提督「引き摺り込んだやつに言われるってのは…………いや、藪蛇だとは思わないが? ん? 」


< 極々一般的な他愛無いお話 >







愛宕「ゴールデンウィークくらい連れ出してくれないの? 」

提督「やー……軍に連れ出されると思っていたのですがね」

高雄「そんなことはなかったような、この後も無いような」

提督「作戦海域北海道近くなのに」

愛宕「むしろ、だからだったりして」

提督「いや、別にそこから帰らなくなったりはしないぞ」

高雄「本当に? 」

提督「本当に」

愛宕「逃げるなら海外? 」

提督「そうだね。北海道からだとルートが少ない」

高雄「なるほど」

愛宕「覚えておくわね」

提督「あぁ。…………あぁ? 」


< ま、まぁそんな話は忘れてね >








愛宕「お金出せば楽しいなら女の子だっていくらでも出すわよ」

提督「いやぁ、どうっすかね」

愛宕「むしろ割り勘許せない男と遊ぶとか馬鹿なの? 」

Littorio「それは極端過ぎるような」

高雄「最高のパートナーなんて極端の極みでしょう? 」

Littorio「まぁ、そう言われると」

愛宕「でしょう? 単に出してあげたい男が少ないのが問題ね」

提督「ありがたいっちゃありがたい、か?
…………いや、女の子に出すって言われると男って断りたくなるものなんだけど……分からないだろうなぁ」


ありがとうございました


< 正直萎えたというか微妙な気分になったとき >







提督「あー、車デートって知ってるのに思いっきり和装で来られたときとか」

天城「天城はありませんよ? 」

提督「うん」

天城「……つまりここの面子ではない、と」

提督「…………そっすね」

天城「……」

提督「……」

天城「ちなみに天城は今ですね。…………地雷の無い会話って無いんですか? 」


< 待たせるよりも待つ方が >







提督「やー……せーれんせーれん、マジ潔白」

天城「別にとやかくは言いませんけれどね。……それで? 」

提督「うん? 」

天城「そろそろ高雄さん出てくると思いますけど心の準備は? 」

提督「とっくにできてるが」

天城「予想の範囲は越えないと? 」

提督「いや、あまりの綺麗さに言葉を失う準備がだよ」

天城「それはできているとは言わないのでは」

提督「覚悟ができているか、とは訊かなかっただろう? 」

天城「屁理屈を……でも」

提督「? 」

天城「そんな風に思われる高雄さんは幸せでしょうね」

提督「そう思うか? 本当に高雄は幸せだと思う? 」

天城「それを天城に、この状況で訊くんですか? 正気で? 」

提督「…………でも自信なんて無いんだよ、本気で」

天城「男性って馬鹿なんですね」

提督「そりゃあお前男なんてな。まぁ、一般論だが」

天城「それならこれも一般論ですけれど…………
女は幸せにしてくれないと思った男に寄り添う程馬鹿な生き物ではありませんよ」

提督「…………」

天城「高雄さんにはお金だって物だってありますからね。
あなたがただのクズならとうに見切られています」

提督「…………」

天城「あなたが高雄さんの幸せであり、自由であり、未来であり過去であり現在であり、
そして全てなんですからね。身に刻まれているでしょう? 」

提督「…………あぁ」

天城「勿論時々は天城のことも思い出して欲しいですけれどね、
でも天城はあなたに幸せにしてもらえる高雄さんに憧れたのです。
それだけ誰かを幸せにできるあなたにこそ憧れたのです。
それも、忘れないでくださいね? 」

提督「忘れないさ。…………もし忘れたらそのときは

天城「高雄さんか愛宕さんが終わらせてくれますよ、何もかも」

提督「うん。……………………キマってる? 」

天城「それはもう。惚れ直しましたよ」

提督「さーんきゅ」


< たとえ義理でもあるいは本当の親子以上に >







漣「腹立つ気も起きないくらい綺麗だしカッコいいね」

叢雲「元がいいんだから本気で正装なんてした日にはあんなものでしょう」

漣「そうだけどさ……そうじゃなくて」

叢雲「分からないわけでもないけど私は式でもないのに無駄にあんなことする意味の方が知りたいわ」

漣「そりゃあ他のしいからじゃないの?
幸せだから、好きだから、やるのが正解だと思った、他にも用意できるよ? 」

叢雲「…………」

漣「…………」

叢雲「…………別に父親だと本気で思っているわけでもないけど父親の結婚式出るのってこんな気分なのね、きっと」

漣「……うん? 」


< はっぴーばーすで! >







提督「ハッピー? 」

高雄「然程。所詮私は化物ですからね。誕生日を心から祝うというのは分かりません」

提督「じゃあ、今は幸せ? 」

高雄「この上無く。あなたが、あなたという人が私の幸せです」

提督「そ。…………明日も明後日も、来年もその次も、一緒にいられるといいな」

高雄「はい。…………あなた次第ですけれど? 」

提督「努力するよ。高雄がお婆ちゃんになるまでは生きていたい」

高雄「…………本当に」

提督「あぁ」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………毎日が誕生日だったらいいのに。
私はあなたに祝ってもらえるし、それだけ経れば歳を取るかも」

提督「…………と、君は哀しく美しく、そして楽しそうに微笑った」

高雄「ばか。……………………ばか」


< ドレスも仮面も脱ぎ去って >






提督「まぁ……いっか、そんなこと」

高雄「ええ、人も化物も生きているのはその日ですから」

提督「…………綺麗だね、相変わらず。姿も、生き方も。今すぐ女優にだってなれる」

高雄「あるいは仮面という意味ではあなた以外には常に女優かも……でも」

提督「うん? 」

高雄「私は、万雷の拍手喝采よりも、静かな夜の愛の囁きの方がずっと、好みです」

提督「…………実は俺も」

高雄「本当に? 」

提督「そりゃあ帝国劇場の舞台とかには立ってみたいけどな。そういうことじゃないだろう? 」

高雄「さぁ? 」

提督「さぁ? じゃねぇよ。…………寝台が舞台、ってことでいいと思う」

高雄「全くカッコよくなんてありませんが……ま、許しましょう」

提督「ん。…………喝采よりも愛を。児戯みたいな言葉遊びよりも大人の嗜みを? 」

高雄「拒めません、どんなときでも。…………ええ、この熱が、あるから、ぁーーーー


ありがとうございました


< 憧れとか羨望とかあと、何かな >







漣「ここの面子って誰一人女の子っぽい名前の人いないけど」

海風「そうだね」

漣「逆に女の子っぽい名前の人って? 」

海風「榛名さんとか五十鈴さんとか千歳さんとか? 」

漣「ほうほう」

江風「あとは皐月とか弥生とか摩耶さンとか」

漣「なるほど? 」

叢雲「由良に深雪に若葉ね。他にも沢山」

漣「確かに。……あのさ」

海風「うん? 」

江風「ン? 」

叢雲「? 」

漣「三人が出した人って割と分かる、っていうかなるほどその三人が言う人だね、って感じしない? え、違う? 」


< 返答 >







叢雲「海風が憧れで江風が羨望だとかだとして私の共通点って何よ」

漣「そんなの無いよ? 」

叢雲「はぁ? 」

漣「無いのが特徴っていうかさ。たぶん叢雲ちゃんって訊かれたときによって誰言うか変わると思う」

叢雲「ちょっと意味が分からないんだけど」

漣「だからさ、叢雲ちゃんって本当に大切なものしか、人しか大切じゃないんだなって。
自分が自分であることとかさ」

叢雲「……」

漣「ちょっと仲が良いとか、ちょっと仲が悪いとかなんて本当は持ってないの。
龍田さんとかと同じで好きなものと嫌いなもの、狭い世界に生きてる」

叢雲「なるほど? …………ここでそれ以外の生き方してる人なんている? 」

漣「…………いないけど」

叢雲「でしょう? 」

漣「うん。…………………自分がそうだって否定はしないんだね、叢雲ちゃん」


< 馬鹿女とクズ男 >







提督「五月十三日はカクテルデイであります」

愛宕「苦いわね」

提督「そりゃあまぁ……悪いな」

愛宕「別に? 姉と寝た男が飲むカクテルだって楽しめるようにはなってるもの」

提督「…………」

愛宕「ただ、私とも楽しんでくれたらなって」

提督「…………遊びじゃないぜ? 」

愛宕「それを素面で信じられる程私って馬鹿でもないの」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………やっぱ機嫌悪いだろう? 」

愛宕「むしろ良くなる理由あると思うの? 馬鹿でも許せない範囲ってあるのよ? 」


ありがとうございました



< つまりどれだけ? >








瑞穂「そういえば母の日、でしたね」

提督「ん? そうだな」

瑞穂「相変わらず? 」

提督「母親もそうそう好みの変わるような人間ではないんでね」

瑞穂「確かに。……母親というものはどんな気分なのでしょうか」

提督「さぁね。俺は母親になったこと無いから」

瑞穂「父親は? 」

提督「無いよ? ……でもいいものだとは思うかな。大して子供が好きなわけでもないけど」

瑞穂「そうでしょうか」

提督「うん? 」

瑞穂「子は鎹とは言いますけれど、鎹の必要な夫婦というのは」

提督「子供という生命に失礼? 」

瑞穂「そこまではいいませんが……」

提督「……いいだろう、別に。俺たちは聖人なんかじゃないんだから。答えなんて無い」

瑞穂「ふふ、あなたが言うと本当に説得力がありますね」

提督「だろう? 」

瑞穂「ええ。……あなたは子供に好かれそう」

提督「どうかな。…………一緒に試してみる? 」

瑞穂「いいえ。あなたを好きになるなんて不幸に自分から嵌るなんて馬鹿ではありませんから」

提督「高雄が聞いたら怒りそうだな」

瑞穂「あなただから言うんですよ」

提督「なのに好きになってくれないの? 」

瑞穂「ええ」

提督「残念だね」

瑞穂「毛程も思ってないくせに」

提督「いいえ? 」

瑞穂「まったく……ま、忠義くらいは捧げておりますよ。瑞穂がそれを信じている分だけ、は」


< 背中に落ちる、声 >








提督「ま、おめでとう。その忠義に俺は友情しかあげられないけど、許してくれよ」

瑞穂「こちらこそ。友情しか受け取る気が無くて申し訳ありません」

提督「言うね。……いい、奥さんになると思うよ」

瑞穂「高雄さんたちよりも? 」

提督「俺以外の人にとってはね」

瑞穂「あなたこそ言いますね」

提督「俺の女だからな。……いい母親かは分からないが」

瑞穂「少なくともあなたに似た子にはさせません」

提督「その方がいい。……ハーレム講座ならやってやるぜ? 」

瑞穂「結構です。…………ありがとう、あなたの部下で幸せです」

提督「はいよ。……さ、飯でも食いに行くか、お祝いだ」

瑞穂「ええ。……………………………………あなたの最初であれば、きっと幸せにしてほしかったでしょうに」


ありがとうございました


< いつも通りの風景 >







江風「面倒くさいなぁ、もういっそAIで地球統治しろよ」

提督「それは公平な判断ができるものなのか? 」

明石「無理でしょ。そのプログラムって英語で構築されて英語で整備補修されるんですよ? 」

江風「えー、ほら、統一的な人工言語でやるとか」

提督「エスペラントとかか? 」

江風「そうそう」

明石「そんなの誰が予算出すっていうんです。
旧列強が金出さないとそんなものつくれませんよ」

江風「酷いな」

明石「それが世界です」

提督「そうだな。…………なんでNPBの所属球団増やしてほしいって話からこんな話になるんだ? 」


< 開き直った方が人生楽しいからね >







提督「いや、お前地元の話なんて真っさら真っ白清廉潔白だぞ」

天城「つまらないのは除いても到底信じられませんが」

提督「いやいやいや……まだ幼き私ですよ? 」

天城「クズに年齢なんてあるんですか? 」

提督「あるある。歳を重ねてこうなったんだぜ? 」

天城「……あぁ」

明石「あなたはそれでいいんですか……」

提督「うん? 」

江風「いやいやいや、この話もおかしいから。
なンであれからテートクの幼少期トークになるンだよ……しかも内容が終わってるし」


< クーボジョークでございます >







提督「ローライズのミニデニムが見たい」

天城「何故それを天城に言うのです」

提督「気分? 」

天城「はぁ? 」

提督「なんか愛宕とか雲龍が履いてるのとは違うのが見たい」

天城「意味は分かりますけれどね……最低ですよ、それ」

提督「知ってる」

天城「まぁ、天城もその二人と違う自覚はありますが」

提督「男目線で、だけどな」

天城「女側でもありますよ。……聞きたいですか? 」

提督「結構です。結局それ女の子に向かって言ってても男への文句だから。遠回りでもさ」

天城「よく分かっていらっしゃる。…………よかったですね、顔だけはよくて」

提督「別にストレートな罵倒も望んじゃいないんですけどぉ……」


< 耳を澄まし尾を立てて >







雲龍「はいお手」

明石「おおうっ」

雲龍「おかわり」

明石「かーわぅぃーっ」

雲龍「今のところこれだけね。いつでもできるのは」

江風「や、猫にそれ仕込むって割とすげーと思うンだけど」

雲龍「そう? ちいさい頃から覚えさせればなんとかなるものよ」

明石「雲龍さんには本当にちいさい頃から懐いてますからねぇ」

江風「加賀さンにはつンけンしっぱなしなのに」

明石「ははは……」

江風「猫ってこンな安らいだ顔で人に懐くものなンだな」

雲龍「人外だもの。…………加賀さんが来るわね」

明石「はい? 」

江風「うン? 」






加賀「雲龍? 高雄が呼ん……何? 」


< 情報源とかなんとか >








山城「ねぇ、あなた」

龍田「なぁに? 」

山城「煙草、持ってない? 」

龍田「一応持ってるけど……吸うの? 」

山城「吸わないわよ。……最近私に色目使う男がいるじゃない」

龍田「あぁ、あの頭切れそうな人。提督の一つ上だったかしらね」

山城「知らないわ。……あれ、極度な煙草嫌いらしいのよ。だから時々チラ見せでもしようかな、と」

龍田「その程度で諦めるかしらね、はい」

山城「ありがとう。……借り一ね」

龍田「はいはーい、何を頼もうかしらぁ~ 」

山城「なんならあなたなんかに懸想する間抜けの前でレズの空気でもつくってあげましょうか? 」

龍田「してくれるの? 」

山城「あなたが本当にしてほしいなら」

龍田「……」

山城「……」

龍田「……必要なときまで、貸しておくわ」


< 望まぬことと得られぬものと >







扶桑「お互いが相手を落とそうと思った男女はきっと結ばれない」

鈴谷「? 」

扶桑「龍田が言っていたの。自分がまだ一人な理由を訊かれて」

鈴谷「……珍しいね、龍田が自分のこと言うなんて」

扶桑「彼女でも酔って自制が効かないこと、あるのよ」

鈴谷「…………」

扶桑「…………」

鈴谷「…………なんか無駄にカッコよくて並の男ならそれで落ちそうだよね」

扶桑「そうね……そんなこと露も望んでないでしょうけれど」


< 妙に納得するお方 >







龍田「ねぇ、勝手に負けた女扱いしないでくれない? 」

あきつ丸「ハンッ……」

龍田「勝ててはいないけど戦い続けている限り負けてもいないの」

あきつ丸「まだ戦い続けているとでも? 」

龍田「そ、休戦中ね」

あきつ丸「講和など結べない立場のくせに」

龍田「戦っている相手は自分の欲と誘惑だもの。……あなたもそうじゃないの? 」

あきつ丸「自分は土俵にすら立っていないであります」

山城「女は土俵に立てないものね」

龍田「そういうことじゃないけ…………ま、常に男のターンだと思えば、そういう言い方もできるわねぇ」


< そう、実は屋上にいたのです >







龍田「全然関係無いけどあなた自分のこと美人だと思ってるでしょう? 」

あきつ丸「…………ま、並以上はあるでありますよ。それすら認識できない程馬鹿ではない」

龍田「その割に磨かないのね」

あきつ丸「素材がいいもので」

龍田「そうね」

あきつ丸「あぁ」

龍田「…………」

あきつ丸「…………」

龍田「…………フ-」

あきつ丸「…………話に詰まって煙草に逃げるのはやめるでありますよ」


< やって来た人とか戻ってきた人とか >







山城「ヤニ臭い……何の話してるのよ」

あきつ丸「自分を美人だと認識しているかどうか」

龍田「あなたも思ってるのよね? 」

山城「姉さまの妹が不美人なわけが、というのは置いておいても見れる容姿ではあるわね」

龍田「あなたもよね? 」

鹿島「……最後に私を指名した理由は? 」

龍田「そんなの、ねぇ? 偶然いたからよ? 」

あきつ丸「ぶりっ子、というやつは女に嫌われる要素が多いでありますからなぁ」

鹿島「ぶりっ子なんかしゃありませんっ! これは素です! 」

山城「余計嫌われるやつね」

龍田「正直友達の量と知り合いの量とか、知人の男の割合に違和感あるでしょう? 」

鹿島「…………」

鈴谷「やっほー、テーブルとお酒持って来たけど何の話して……分かった分かった、
鈴谷助かったんだね? そうだよね? 」


< 温情……? >








Littorio「振られた回数は? 」

提督「」

Littorio「? 」

提督「……ちょっとストレート過ぎない? そんな空気読めない子だっけ? 」

Littorio「ええ」

提督「…………付き合う前の告白? 付き合ってから別れるとき? 」

Littorio「合計で」

提督「合計ね……三回」

Littorio「なるほどなるほど……ふふ」

提督「はぁん? 」

Littorio「だそうですけれど? 」

加賀「どう考えても付き合ってからよね」

愛宕「異議なーし」

高雄「同じく」

提督「なんなのお前ら忍者なの? 」

加賀「違うけれど」

提督「知ってる。…………何で? 」

加賀「あなた好かれるか嫌われるかの世界でしか生きてないでしょう」

提督「…………」

Littorio「異議無し、と。…………振った回数を訊かないだけ温情なのですよ? 」


ありがとうございました


< 五月十八日 >








金剛「今年は何貰ったデース? 」

時雨「そっちが言うなら言うよ」

金剛「バスソルトと紅茶リキュール」

時雨「スカーフと何故かネクタイピン、はやぶさ使用と焼酎」

金剛「……お酒を送らないと死ぬ病気でも? 」

時雨「あるんじゃない? 僕は嬉しいけどさ」

金剛「もちろん嬉しいですケド……うーん? 」

時雨「それより僕はピンの為にネクタイを買わなきゃいけないのが悩みだよ」

金剛「一緒に選んでも? 」

時雨「むしろ頼むよ、僕そういうセンスはあまり無いから」

金剛「オーキードーキー! じゃ、早速パソコンの使用許可取ってくるデース! 」






龍田「時雨くらいよね、私たちとまともに話せてかつ金剛に優しいのって」

山城「そうね。そのうち比叡がまた機嫌悪くなるんじゃない? 」

霧島「そんなこと言うならもう少し手加減してあげてくださいよ……まったく」


< 確率なんて可か不可しか無いから…… >








海風「どうして誕生日って月一で来たりしないんでしょうね」

Littorio「さぁ……Littorioはそれでいいと思いますけど」

海風「まかり間違って歳を取れるかもしれないのに」

Littorio「あぁ……でもその分あの人も年齢を重ねてしまうということだから」

海風「うーん……」

Littorio「…………」

海風「…………」

Littorio「…………女の手練手管で済し崩すというのも中々面白いと思いますけれど」

海風「駄目なんですよそれじゃあ、というか」

Littorio「? 」

海風「そのベクトルで経験の無い海風が高雄さんとか愛宕さんとか雲龍さんに勝てる可能性は? 」

Littorio「万に一……垓に一つくらいは」

海風「そんなにありませんよ、絶対」

江風「ガイってなンだ? っていうか姉貴はそれ勝てそうなら試すのか? ……嫌だよ、江風は」


< 昨日は共産主義を嘲罵して今日は資本主義を罵倒して……それなら明日は? >








漣「ロリータと大人の関係は共産主義と資本主義の関係に似ているのですよ、江風くん」

江風「はーン? 」

漣「お互いがお互いの良さ悪さを露骨に見せつつも所詮評価者という両方を見ることのできる者に決定権があるの」

江風「そうなの? 」

漣「そんなわけないじゃん。ご主人様はクズだけど何とか主義と比べる程腐っちゃいないもん」

江風「あぁン? 」

漣「ようはね、新しい魅力を魅せつけないと駄目ってこと。恋愛も世界も」

江風「なる、ほど? 」

漣「うんうん、これにて閉幕! 終わり! 」

瑞穂「……叢雲さんが不在だと妙に薄っぺらいまま適当な話が続きますが……彼女がある種システムなのですね、ここの世界の」


< それだけは、そこだけは >







提督「どうしてか……いつの間にか今回の作戦も終わってたな」

高雄「また呼ばれませんでしたね」

愛宕「横須賀の君はあなたより優秀な狗でも見つけたの? 」

提督「や、そんなこと無い気がするんだが……そうだとヤバい? 」

愛宕「ヤバいんじゃない? 」

高雄「選択肢としては逃げるか死ぬかですね」

提督「oh……ヤバいぞヤバいヤバ過ぎる」

高雄「ええ」

愛宕「いつでもどーぞ」

提督「いっそこの国でも取るか? 」

愛宕「要らなーい」

高雄「そんなこと始めようとしたら次に気付いたときは海の上ですよ」

提督「はいはい。……………………酒飲んでにこやかに笑ってたのに話題変わった途端真顔だもんなぁ、参るね本当」


< 一体何があった >







雲龍「千歳と千代田の二股をかけたとして」

提督「何でそんなことしなきゃならないんだよ馬鹿なの? 」

雲龍「とりあえずどっちもちーちゃんって呼べばいいんだから寝言で暴露たりはしないわね」

提督「もう意味分かんねぇんだけど……」

雲龍「天城に付き合ってドラマ見てたらそんなシーンがあったから」

提督「そんなこと言ったらお前もうーちゃんになるが」

雲龍「大人の兎になりましょうか? ……なるぴょん? 」

提督「バニーは兎も角大分キツいぞそれ、やめろ」

雲龍「あら残念ね。……卯月は? 」

提督「あれが守備範囲になってたら卯月が真顔になるレベルだろうが」







漣「まぁ、うーちゃんさんもご主人様のこと苦手そうだしね、仕方無いね」

江風「うーちゃんさん? 」

漣「……」

叢雲「……色々あるのよ、人には事情ってものが、ね」


ありがとうございました


< 恐怖! 忍び寄る陰と殺意? >








雲龍「甥って生の男って書くのね」

提督「姪なんて女に至るだぞ」

雲龍「至った? 」

提督「深淵にはとてもとても」

雲龍「一緒に墜ち続けているのに? 」

提督「そろそろ底に落ち着きたい? 」

雲龍「だって止まってしまえばあなたも止まるでしょう? 」

提督「止まってほしい? 」

雲龍「一緒に死んでくれる? 」

提督「殺してくれる? 」

雲龍「いいわよ。…………これは当然冗談だけれど、一瞬高雄の気配しなかった? 」

提督「え、いや、うーん……いやぁ、偶然じゃねぇの? ここ猫の部屋だぜ? この建物の割と端だぜ? 」


< あると言いたいのだが >







天城「今年も暑くなってきましたね」

Littorio「何故この国にはバカンスが無いのです……」

叢雲「あったって私たちにまでくれるわけないでしょうが」

明石「それは言わないお約束、というやつですよ」

天城「姉様は暑い暑いと言う割にはいつも通りなのですよね」

叢雲「あれは普段が普段だから違いが分からないだけでしょう」

明石「露出度平均は桁が変わりますけどね」

Littorio「Littorioもあれくらいできますけれど……しかし」

天城「そういう問題でもないのですよね」

明石「まぁ……はい」

叢雲「そうなったら本気で外からも痴女集団扱いされるわね」

Littorio「ええ、本当にそれだけは避け…………叢雲さんは既に思っているのですね」

叢雲「文句あるなら聞くわよ? うん? まさかあるっていうの? 」


< 感覚麻痺という世界 >







海風「何回か話を聞いている限り」

瑞穂「はい? 」

海風「瑞穂さんって提督が高雄さんか愛宕さんのどちらか一人を本命に選んでいたら素直に抱かれていたんですよね? 」

瑞穂「」

江風「あ、姉貴? 」

海風「違いますか? 」

瑞穂「……ノーコメント、という回答で構いませんね? 」

海風「十分ですよ」

江風「まーじあのクズは……女誑かせ過ぎだろ」






愛宕「私と高雄がいなくて一途だとしても

高雄「龍田さん」

加賀「龍田ね」

雲龍「私、と言いたいところだけれど、そうね」

Littorio「……本当に紙一重だったのね、何もかも」


< たまたま偶然似たような話を >







山城「くだらない仮定だけれど」

龍田「うん? 」

山城「高雄と愛宕が存在しなくてあの男が一途な人物だったら」

龍田「Bismarck」

山城「本当にそう思う? 」

龍田「あなたは私って言わせたいんでしょうけど……男が性欲抜きであそこまで繋がり続ける女なんて普通いないわよ」

山城「…………」

龍田「まぁ、当然? 私という可能性も少しは上がるかもしれないけれど? 無理でしょう」

山城「…………」

龍田「…………」

山城「…………確かにあの金髪ポテト、無駄に慕われるし猫被れば完璧なのよね」

龍田「ええ。……男ってそういう女、好きでしょう? 自分の前でだけ崩れてくれるところも含めて」

山城「……………………あの男がいなければ本当によかっ

龍田「その場合。……私とあなたはこんな関係でこんなこと喋ってはいなかったと思うけど? 」

山城「これは幸せ? 」

龍田「私は楽しいもの。違うの? 」

山城「違わない。違わない、けれど……違わないことに苛立ちを覚える幸せに腹が立つというか……ーーーー


< こひぶみ >







愛宕「手紙? 」

提督「母上はメールよりも御手紙の方がお好きでしてね」

愛宕「恋文の日だから? 」

提督「別に。ラヴレターが悪いとは言わないけど俺は愛なら直接伝えたい」

愛宕「ふーん? 」

提督「まぁ、でも。欲しいなら書こうか? 」

愛宕「くれるなら喜んで」

提督「そうかい。……お前もくれるんだろう? 」

愛宕「欲しいの? 」

提督「ラヴレター手渡しとか最高じゃない? 」

愛宕「その場で伝えられるのに? 」

提督「分かってて訊くの? 」

愛宕「それも分かってて訊くの? 」

提督「ばーか」

愛宕「ばーか」

提督「莫迦。…………出てけよ、見られながら書くのはさすがに恥ずかしいから」

愛宕「はいはーい。もう最高に恥ずかしくて最高にラヴな御手紙、期待していますよ? 」


< 貧乏揺すりだとかをしないだけ、まだ >







高雄「それであなたも書いてるの? 」

愛宕「ええ」

高雄「そんな交換日記みたいね」

愛宕「これはこれで面白いと思わない? 」

高雄「……」

愛宕「嫉妬? 」

高雄「何を馬鹿な……とは言えないわね」

愛宕「言っていたら、馬鹿めと言って差し上げていたわ」

高雄「そ。……………………」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………目付き酷いけど、高雄も書いたら? 」


< ずっと一緒だよ、と言う代わりに一つのキスを >







提督「ん」

愛宕「はい」

提督「……今更だけど中学生の恋か何か? 」

愛宕「いいじゃない。大人にだってこんなことする権利くらいあるわ」

提督「まぁな。……さて」

愛宕「うん? 」

提督「手紙を交換した後は愛でも交換しましょうか? 」

愛宕「もう? 」

提督「あすなろ抱きで読んでやろうか? 」

愛宕「してくれるの? 」

提督「…………」

愛宕「うん? 」

提督「…………いや、そんな期待の目で見られてもね……女の子って時々羞恥心おかしくならない? 」


< 想いの丈は便箋一枚でなんて足りない >







高雄「はぁ…………これではまるで片想いをしているような」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………ま、ある意味ではこんな状況になっても嫌いになれないことを思い出せるのだけれど」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「…………」

高雄「同じ理由で絶望もできてしまうのよね……………………本当に、救われない」


ありがとうございました


< 惹かぬ、媚びぬ、帰りぬ……帰らぬ? >







雲龍「ん……我儘ね」

提督「猫ってこんな……実家の猫も大概懐いてる方なんだけどなぁ」

雲龍「滅多に帰らないのに覚えられてたんだから十分でしょう? ……ん、駄目、噛んだら」

提督「まぁ、そうだが」

雲龍「この子だっていつか気まぐれな女になるわ」

提督「それでもお前にだけは懐き続けそうだけどな」

雲龍「それもまた気まぐれ、ってやつなのよ。好悪でしか世界を見ない子たち」

提督「そんな生活したいね」

雲龍「? 」

提督「うん? 」

雲龍「十分してるでしょう? 」

提督「…………してると思うか? 」

雲龍「好悪の感情を足し引きしてみなさい」

提督「そりゃあ圧倒的プラスだけど……そういうことじゃなくて、なぁ? 」

雲龍「んー……興味、無いみたいねこの子」

提督「だろうよ。…………それより本当にこいつお前のこと大好きだなおい。寝床解体して一緒に寝れば? 」


< 冷たさを通り越して笑顔で >







雲龍「透明人間ってつまり透明じゃない」

天城「はぁ? 」

雲龍「それでこう、表現的にはパンツだけだったり眼鏡だけが浮いたりするわけだけれど」

天城「……」

雲龍「あれにゴムを被せても同じこ

天城「__さーん、この姉壊れましたー! 」

提督「あぁん? いつも通りだろうが! 、っつーかランニング、してるんだから、窓から話しかけるんじゃねぇよ! 」

愛宕「粗大ゴミは来週よー! 」

高雄「捨てるなら火曜までには言ってくださーい! 」

天城「はーい! 」

雲龍「同じことが……分かりましたから、やめますから、ね? 」


< 愉快な鎮守府ファミリーズ >







龍田「っちゅっ」

山城「悪口ね」

龍田「ん……今のは愛宕たち、たぶん」

鈴谷「そんなこと分かるの? 」

あきつ丸「これの悪い噂をする蛮勇を持つなど彼女ら以外おるまい」

鈴谷「なーる」

山城「まぁ、下世話な話ならそこら中でされているでしょうけれど」

龍田「かもね~ 、私可愛いから」

あきつ丸「ハンッ」

若葉「……この空気に慣れてしまったのはなんとも言えないな」

鹿島「今更……いえ、これでいいのだとはまだ言いたくありませんけどね、私は」


< だるい、というより気怠い >







提督「だるいなぁ、本当だるい」

Littorio「女といてつまらないなんて失礼な」

提督「つまらないなんて……ん」

Littorio「ん……つまりLittorioはキスとチョコレートで誤魔化せるつまらない女だと思われているのですね」

提督「まさか。いつでも会話の間で触れたいだけだよ」

Littorio「また冗だ、んんっ……ぅっん……

提督「ん……ワイン味のキスで誤魔化されるのはどう? 」

Littorio「垂れたじゃないですか…………ん、ワインの方が、好み」

提督「そ、じゃあこれからはそうするかな」

Littorio「やっぱりセックスで誤魔化す程つまらなんんっ~~~~……っ! 」


< 今のあなただけで満足できるのならどれだけ >







提督「や、まぁつまらない女の子のこと好きにはならないし」

Littorio「身体だけとか」

提督「それなら幾らでも手に入るんだよ、俺の社会的地位なら」

Littorio「クズも極まれり、ね」

提督「知ってるだろうが。……ピロートークでアルバムとか見てて面白い? 」

Littorio「ええ、Littorioが出会う前のあなたを知れますから」

提督「ふーん? ……まぁ、でもさ、俺もつまらなくはないよ、それこそ」

Littorio「? 」

提督「アルバム見てると卒業式のこととか思い出すんだ。
後ろの方に寄せ書き書けるスペースがあったりしてね」

Littorio「それは……あなたのやつ、見れそうもありませんね」

提督「見られて困ることなんて書かれてないよ」

Littorio「そうではなくて。Littorioの絶対に知らない、
手に入れることのできないあなたを目に入れてしまうから」

提督「Littorioこそ。知らない過去は癒せない」

Littorio「いいえ? 知らずとも既に」

提督「そう? 」

Littorio「まだまだ足りませんけれどね。……今の状態、撮りましょうか」

提督「いいけど……アルバムには無理だぜ? 絶対に」


< パタンと閉じて、心を開けて >







Littorio「Littorioのスマホはあなたばかりですよ」

提督「他にも増えるといいな、アルバムくらいに」

Littorio「思ったよりアルバムに想い出なんて無いのかと思っていました」

提督「いや? 本当色んな人がいたなって時々見るタイプだし、だから軍人になっても自分でつくってるんだ」

Littorio「なるほど」

提督「……沢山の写真があってさ、あぁ、こんなに真面目な女の子でもいつか恋をして大人になるんだ、なんて思ったりして」

Littorio「こんなやつが今では起業して成り上がっているなんて、とか? 」

提督「うん。……俺がつくったアルバムをさ、死ぬ前に誰かに託すのがちいさい頃からの夢だったの」

Littorio「素敵な夢ですね」

提督「ありがとう」

Littorio「本音ですよ? ……ま、惜しむらくは

提督「継いでもらうさ、誰かにはね」

Littorio「…………」

提督「必ず、な」

Littorio「…………でも、Littorioはこの国で死ぬなんて、きっと……あなたの死を看取るなんて、絶対……

提督「それは分からないさ。……………………誤魔化し、いるかい? 」


ありがとうございました


< あぁ、これはなんて…… >







あきつ丸「Graf ZeppelinとWarspiteとAquilaとCommandant Testeの仲が良いのは、良きことでありますね」

龍田「素晴らしいことね」

山城「まったくいい時代ね」

あきつ丸「本当に」

扶桑「」

鹿島「……ワルイユメ? 」


< 勿論本音も含まれていますよ? >







龍田「失礼しちゃうわぁ、仲が良くて悪いことなんてないじゃない」

山城「それがかつて啀み合った仲ならばなお」

あきつ丸「今でさえ国家間の軋轢があるというのに、であります」

鹿島「全く本音に聞こえないんですけど」

扶桑「ノーコメント」

鈴谷「……ぞっとする程感情込めないなんて可能なんだね、いっそ清々しいってやつ? 」


< 真 >








龍田「まぁ、実際そこまでの興味も無いものね」

山城「扶桑姉さまと私が幸せなら有象無象の毛唐なんて知ったことではないわ」

あきつ丸「壊せる仲があるというのは、いいものでありますなぁ」

若葉「……むしろこれ聞いて安心するというか……なんというか」


< 巨大苦虫を噛み締めて汁を啜っているような顔を >








鹿島「あれ、あの人たちの仲が良いとして」

扶桑「? 」

鹿島「Bismarckさんはどうなんですか? 」

龍田「……」

山城「……」

あきつ丸「……」

鹿島「……もしかして、訊いてはいけない仲だっ

鈴谷「誰の心にも勝手に住み着く人っているんだよねぇ~ 。
馬鹿にはしていても本心からは貶せない相手って」


< つくろうと思えばつくれるけれど >







愛宕「お昼何食べたい? 」

提督「麻婆ラーメンとライス」

愛宕「……パス」

高雄「同じく」

雲龍「同じく」

天城「同じく」

加賀「同じく」

Littorio「ラーメンに麻婆豆腐……? 」

叢雲「パ……何で全員が私ならつくれるだろうみたいな顔するのよ……つくれるけど」


< 分かりきった結末 >







提督「まぁ、人数分とかクッソだるいだろうしパスタがいいな。カルボナーラかペペロンチーノ」

愛宕「ペペロンチーノにするわ」

高雄「サラダは私が」

雲龍「スープ」

天城「天城は……何も残っていませんね」

Littorio「ワインでも用意しますか? 」

天城「そうしましょうか。アペリティフですね」

加賀「私が持ってくるわ。グラスでも用意しておいて」







江風「へへへー、パスタって穴無いンですねー? 」

明石「や、それパスタじゃなくてグラスですけど……」

叢雲「…………アペリティフ? 」


< 冗談のつもり >







提督「そーいやあれだな、考えてみると中華が得意なのって誰もいないな」

明石「並以上にはつくれるでしょう、あなたも」

提督「麻婆は好きなものだからな。あとは青椒肉絲とかエビチリとかメジャーなのだけだぞ」

明石「嫌味ですか? 」

提督「まさか」

明石「本当に? 」

提督「女の子に言う嫌味は無いよ。それ以上は悪口しかない」

明石「じゃあ、悪口だった? 」

提督「悪口に聞こえた? 」

明石「いーえ、全く」

提督「だろう? 」







瑞穂「明石さんって提督とああいう話をするためにお料理始めないんじゃないですか? 」

海風「知らないですけど……それに何の問題が? 」


ありがとうございました


< まぁ、大体そんなもの >







金剛「そーいや母の日と敬老の日だけ妙に優しくするのやめろデース! 」

龍田「えー? 」

あきつ丸「はて、なんのことやら」

霧島「今更ですよ」

山城「大体今更? 母の日何日も前なんだけど痴呆なの? 」

金剛「ちげーデースっていうか霧島は可愛い姉のこと馬鹿にするのやめて、やめてください助けてください」

霧島「キャラ、キャラ」

龍田「崩壊までキャラなのよ? 」

山城「流行に乗れるなんてさすがお姉さんね、あなた」

あきつ丸「これは失礼お姉さん」

霧島「なるほど」

金剛「~~~~~~~~……! 」

鈴谷「そういう反応を満更でも無いような顔でするから…………いや、割とこれ本音だよ?
絡まれたとき嬉しそうにしてるからね? 」


< ぎょふ >







提督「あー……漣くん

漣「嫌です」

提督「まだ何も言ってねぇが」

漣「この時間でお酒飲んでないとかあれでしょ、
ラーメン行こうとかほざき始めるんでしょ」

提督「……ホテルのバーでも行く? 」

漣「見た目年齢誤魔化せるならいいですよ」

提督「…………行かない? 」

漣「しゃーねーですねぇ……」

提督「お? 」

漣「加賀さーん! ご主人様が呼んでますよー! 」

加賀「? 」

提督「いや、俺今日そんなに飲みたいわけじゃ……分かった分かった、行く行きますから、拗ねるなよ」


< ラドラーとかシャンディガフ好きなら……うーん >







叢雲「不味い」

Littorio「ドブか何かでも掬ってきたんですか? 」

天城「余計酷いです」

明石「んぁ……吐きそう」

海風「……擁護できないよ」

江風「えー……? ビールに砂糖よくない? 割とハマりそうなンだけど……えぇ? 」


< 砂一粒程も思わない >







提督「で、何でラーメンが中華に変わっているのだね」

加賀「さぁ……ラーメンもメニューにありますよ、ここに」

提督「そんな食えない。食ったら

加賀「ヤれない? 」

提督「…………食うか。コースでいい? 」

加賀「お好きにどうぞ」

提督「ん」






愛宕「もうこれは帰ってこないわねぇ……今頃ホテル? 」

高雄「案外と車内とか。加賀さんもあれで

雲龍「欲しがりだから」

Littorio「兎に角、妬けますね……こうもロマンティックな星空の夜だと」


ありがとうございました


< なんとはなしに所帯染みた >







提督「ん、欲しいものはあと十分くらい以内にLINEなりメールなりしてくれ」

加賀「…………」

提督「うん? あぁ、そんな遠くない。お前も行ったことあるスーパーだよ。ん、はいはーい、じゃあまた後で」

加賀「……何? 」

提督「食材が足りないから買い足してこいだってさ」

加賀「そう。……あの基地の備蓄で足りなくなるって、何? 」

提督「一番考えられるのは消費量的に酒、だが」

加賀「逆にあれは絶対に切らさないでしょう。
どうしても飲みたい銘柄があるとすればスーパー程度にあるとも思えないし」

提督「帰ったらまた料理イベントでも開かれてるのかな……ん、メール」

加賀「食材的に何イベント? 」

提督「これは、あー……あん? 」

加賀「? …………は? 」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………あいつらエスパーか何かなの? 」

加賀「だとして嫌がらせなんてするような…………また、中華」


< rrrrrrrrrrrrrrrrr……! >







提督「んあー? 」

加賀「メニューに変更? 」

提督「知らねぇ番号なんだけど……はい、__」

龍田『はぁい、あなたの龍田でぇす』

提督「は? おかけになった電話番号は現在

龍田『名乗ってるじゃない。そうじゃなくて』

提督「ん」

龍田『私昨日誕生日だったんだけど? 』

提督「知ってる。プレゼントも手紙も送ったぞ」

龍田『知ってる、ありがとう。でも、なーんか想いが足りない気がして』

提督「その程度で電話なんてかけ……待てどうやってかけた。
通信室とかなら兎も角俺の携帯に」

龍田『いくらでも方法なんてあるじゃない? 』

提督「そりゃそうだが」

龍田「私の声聞けて嬉しいでしょう? 』

提督「目の前にいたら抱き締めてたね」

龍田『あらあら……誰かといないの? 』

提督「加賀。代わろうか? 」

龍田『加賀さん……? ……いいわ、遠慮しておく。また今度会ったら世界に連れ出してね? 』

提督「無……いや、バーでも星空でも喜んで」

龍田『無理なわけ、ね? 聞かなかったことにしておく。……ばーい』

提督「ん……また、な」


< そんな集団 >







鈴谷「でも、よく携帯なんてかけられたね」

龍田「十分くらいなら携帯貸してくれる人なんていくらでもいるのよ、ここには」

鈴谷「はぁ」

山城「適当な士官に適当な情報を売ってしまえばいいだけだものね」

龍田「そゆことー」

鈴谷「うわぁ……」

あきつ丸「一応の特務を前によくも…………まぁ、今更といえば今更でありますが」


< 何よりも大切なこと >







加賀「あなた、今更龍田を抱けるの? 」

提督「あんな佳い女そうはいねぇよ」

加賀「私より? 」

提督「今はお前が一番だよ。誰よりも」

加賀「ナンセンスな質問だったわね。あなたはそういう人」

提督「あぁ。……そろそろ帰ろうか? 」

加賀「買い物後に連れ出してくれるの? 」

提督「どこまでも」

加賀「酷い、酷くて、でも魅力的な嘘。……要港部に帰ったら、一番じゃなくなるのに」


ありがとうございます
でければまだまだ出したいのですが……

ありがとうございました


< 思い出した! >







漣「行者大蒜だ! そうだそうだ思い出した、これでなんとかーーーー






江風「えぇ……」

海風「いきなり廊下の真ん中で叫ぶのもそうだけど内容が意味不明過ぎない? 」

叢雲「……クロスワードでもしてたのかしら」


< 母親にしてくれるの? とか >







雲龍「この人があなたのパパよ? 」

提督「仔猫を子供と認めるか馬鹿」

雲龍「認知……してくれないの? 」

提督「そういうことじゃねぇよ、意味が分からないんだが」

雲龍「あなたは要らない子なんですって、可哀想に」

提督「あのさ……なら母親はお前か? 」

雲龍「? その辺で土に還っていた子でしょう? 」

提督「は? 」

雲龍「うん? 」

提督「冗談だろう? って言おうと思ったけど何か藪蛇になりそうだからやめておく」

雲龍「…………チッ」


< 呆れにも似た感情と嫉妬と >







山城「あぁ、そうだ、そういえばあなた何貰ったのよ。わざわざ電話のために貸し一つ使うなんて」

龍田「んー? 別にいつも通りよ? 単にお話したかっただけ」

山城「なら何故? 」

龍田「ちょっと心が弱ってたのよ。それだけ」

山城「……そ」







扶桑「あれで相談されないこと気にして落ち込むあたり……まったく可愛いものね、私の妹は」


< 絶望したあなたの顔に心を刺されそうでもあり >







愛宕「時々あの人の絶望しきった顔なんてみたくならない? 」

高雄「はぁ? ……どんなときに? 」

愛宕「私が一人で編み物をしているのにあの人が外で他の女と遊んでいるときとか」

高雄「あぁ、それなら、ええ、分かるわね」

愛宕「他の男つくってみるとか、影であの人の悪口言うとか」

高雄「……」

愛宕「そういうことで傷付けてあげたくなっちゃうのよ、嫉妬と諦念と苛立ちで」

高雄「……できる? 」

愛宕「んーん、結局それってもっと惨めになるだけだもの」

高雄「そうね。…………本当に、酷い男ですこと」


ありがとうございました


< そんな日 >







提督「おはよう」

漣「おっはよーです」

提督「……お前は早起きしても料理なんてつくらないんだな」

漣「そもそもその日のメインが率先してやることじゃないでしょ」

提督「メインとか自分で言うか? 」

漣「問題でも? 」

提督「ま、いいけど。……お誕生日? 」

漣「おっめでとーいぇーい! 」

提督「いぇーい! 」

漣「はーい! 」

提督「ターッチ! 」

漣「…………」

提督「…………」

漣「…………ご主人様は何か違いますね」

提督「おいてめぇ」


< 一人寝の夜に濡らすもの >







明石「枕? 」

Littorio「枕では? 」

加賀「枕ね、大体」

高雄「……はぁ」

愛宕「高雄? 」

天城「それは一人では……枕? 」

雲龍「ショーツとパジャマとシーツと……うん? 」

瑞穂「雲龍さん……」

提督「……何なの嫌がらせなの? 」

漣「いやいや全然全くそんなことないですよー、あはっ」


< いつまでもいつまでも >







提督「ふぅ……疲れた疲れた」

漣「そりゃまぁ漣の誕生日くらい疲れてもらわないと」

提督「くらいってなんだ、くらいって」

漣「まぁまぁ。……ねぇ、ご主人様」

提督「うん? 」

漣「漣たち、初めて会ってからどれくらい経ったと思います? 」

提督「そりゃあ……お前も正確に覚えてるだろう? 」

漣「まぁ……“ も ”? 」

提督「俺は覚えてるよ、たぶん呆けても」

漣「ご主人様の場合呆ける可能性より刺される可能性の方が高いですしそこは安心してますよ」

提督「あっそ。…………去年も訊いてみた気がするけど

漣「ケッコーですよ? 別に漣は恋したくてご主人様とつるんでるわけでもありませんし」

提督「知ってる。…………こんないい男振って後悔するなよ? 」

漣「本気で告ってないし本気で振ってもいないのにそれ通用するんです? 」

提督「さぁね。…………寝るか」

漣「きゃー! 少女誘拐して手籠めにする宣言だー! 」

提督「夜に騒ぐな馬鹿。…………………………………………ずっとそのノリで、いてくれよな、本当」


ありがとうございました


< うるさい唇 >







提督「はぁ、ねむ」

高雄「夜更かしするからですよ。体調管理も仕事なんですから」

提督「はいはい。……高雄」

高雄「はい? 」

提督「唇、乾燥してるね」

高雄「は? 先程リップを塗っんっんっ、ぁ……~~~~…………っ! 」


< カッコよくない? 本当マジで >







提督「加賀にはなんとはなしに言いにくいけどさ」

天城「ええ」

提督「瑞鶴ってカッコいいよな。立ち振る舞いとか性格とか」

天城「そうですか? 」

提督「イケメンじゃない? 」

雲龍「私は加賀さんの方が抱かれたいけれど」

提督「そういう意味じゃなくてな……うーん、分からない? 」

雲龍「分からないわね。何で加賀さんには生えてないのかしら」

天城「姉様……生えてるとか生えてない以前に加賀さんとなら喜んで同衾しそうなのはどうなんです」


< 通すか通さないかとかかな >







海風「そもそも加賀さんとヤってしまったら浮気なのでは? 」

雲龍「ぁ……」

江風「そもそもって何だ、とか。浮気って何だ、とか。
色々言いたいことはあるけど姉貴もサラッと会話に加わらないでくれない? 」


< いや、どう思ってるかを訊いたのであってね >








Littorio「先日は、Romaの誕生日でしたね」

提督「そうだったな」

Littorio「何か贈りましたか? 」

提督「まぁ……焼酎とあれこれ」

Littorio「焼酎? 」

提督「ワイン人にワイン贈るのもなんか違うだろう? 」

Littorio「ワイン人? 」

提督「パスタリアンは駄目なんだろ? 」

Littorio「そういう問題じゃ……Romaのこと、好きですか? 」

提督「友人としてこの上無く」

Littorio「そう……あの子はあの子で幸せですね」

提督「Littorioは? 」

Littorio「ちょっとした不幸も幸福として楽しめるようになりましたね」

提督「…………」


< 乖離する自己認識と自己と誰か >







龍田「前にも言ったし知ってると思うけど」

あきつ丸「? 」

龍田「私って、横須賀鎮守府所属人型艦船軽巡洋艦クラス天龍型二番艦龍田改なわけ」

あきつ丸「そうでありますね」

龍田「いい? 所属、なのよ、所属」

あきつ丸「……一応は人格があるということか」

龍田「そこが卑怯なところよね。その割に私の名前は天龍“ 型 ”の二番“ 艦 ”だけど」

あきつ丸「……ダブスタだと? 」

龍田「だってそうでしょう? あの人程柔軟でも寛容でもないにせよ、
頭使えて人語解して殆ど同じ生態の存在を兵器扱いしてるのよ? 」

あきつ丸「不満でも? 」

龍田「実は大して。私だって人間のこと好きではないもの」

あきつ丸「そう、か」






鈴谷「……兵器扱いには怒るんだね。化け物扱いには薄ら笑いと皮肉なのに」


< 誰のもの? >







提督「えー、皆さん朗報です」

高雄「ハンカチでも用意した方が? 」

提督「何で? 」

高雄「あなたがそんなにやけ顏で朗報、なんて」

愛宕「ハンカチ一枚で足りる? 」

Littorio「いっそ胸でも借りましょうか? 」

明石「いいですね、皆さんで一緒に借りましょうか? 」

Littorio「Littorioと明石は普段も借りているようなものですしね」

高雄「はぁ」

愛宕「うーん……? 」

提督「…………」

明石「ははは……」


< 殺す程でもないはず、はず >







提督「ま、まぁ、いいや。で、お知らせだけど」

明石「どうせ例のテストでしょう? 江風さんとが苦しめられてた」

提督「やっぱ分かる? 」

明石「そりゃあこの面子だけですしね、やってないの」

提督「ようやっと完成致しました。全員にとって手に届く範囲の問題がありなおかつ難易度を高めに」

叢雲「こんなのつくるなら一人一人つくった方が簡単だったわね」

提督「そりゃあ俺たち二人の渾身だしな」







愛宕「できると思う? 」

高雄「できるできないではないわ、やります」

Littorio「報酬は確かに高めですけれどね……さてさて」

明石「もう当たって砕けろってやつですね。あの二人の本気とか確実な殺しにきてますし」


< 今夜でも明日でもその次だっていつだって >







明石「まったく……吉備団子一個で働かされるみたいなものですよこれ」

提督「うん? 」

明石「犬猿雉もびっくりの低賃金労働。手当てなんて付かない道楽でしょう? 」

提督「あぁ……意味深? 」

明石「はい? 」

提督「吉備団子なんてのは越後屋みたいなやつがもってくるお饅頭とかみたいなものだろう」

明石「それならもう私たちだけですね。技能手当とかボーナスとか出ないんですか? 」

提督「出そうか? 」

明石「出せるんですか? 」

提督「今手元になら八万くらいあるな、小銭はさすがに要らないだろ? 」

明石「ポケット……あぁ、じゃあそれは要らないですけど」

提督「うん」

明石「__さんのお時間なら、欲しいです」


< 雰囲気がクールという意味ですよ? >







Littorio「雲龍>天城>Littorio>高雄≧愛宕≧加賀>瑞穂>明石>海風≧江風>叢雲>漣? 」

加賀「そんな感じね。高雄姉妹と私と瑞穂はあまり変わらないと思うけれど」

Littorio「雲龍が圧倒的に高いのはいいとして……加賀はそんなものでしたっけ? 」

加賀「は? 」

Littorio「印象的にはもっと高かったような」

加賀「……貶されてる? 」

Littorio「滅相も」


< あなたが私だけを見てくれなくても >







雲龍「いいのよ、それで」

提督「うーん……」

雲龍「……私、あなたの女なのよ? 」

提督「いやらしい響き」

雲龍「そういう関係でしょう? 」

提督「ん…………なぁ」

雲龍「何? 」

提督「お前も自分から俺に連れて逃げてほしい、なんて言わないよな」

雲龍「当たり前じゃない」

提督「うん? 」

雲龍「苦しめば苦しむ程、困れば困る程、惑えば惑う程、愛してるってことなんだから」

提督「…………」

雲龍「勿論、あなたが連れて飛び出してくれるならあの世でも喜んで行くけれど? 」


ありがとうございました


< 愛と信頼とそれから驚くべき >







提督「えー、制限時間は四時間です。二時間後に途中休憩は用意していますが質問があったら俺か叢雲にどうぞ。……開始」

高雄「…………」

愛宕「…………」

明石「…………」

Littorio「…………」

叢雲「……読書なんてするには分不相応なくらこの椅子、物凄く快適ね」







江風「四時間ってちょっ……」

天城「……問題文なんて見たくもありませんね」

瑞穂「……これで報酬が瑞穂たちと同じというのは」

加賀「あなた、同じだと思うの? 」

瑞穂「提督に何でもお願いできる権利、でしょう? 」

加賀「あの人はね、高雄か愛宕が勝つとしか思ってないのよ」

瑞穂「はぁ」

加賀「それかあの二人に勝つのよ? それは物凄いことだとあの人も思うと思わない? 」


< なんなら、ね? 私は >







龍田「召使いだって婢女だって玩具だっていいの。心から慕える殿方の為なら」

山城「それが本当に心から、なら同意してあげる」

扶桑「今の時流とかどうでもいいものね、私もそう思うわ」

鈴谷「えー? 鈴谷は嫌だけどね。そう思える恋なんてしたこと無いから分かんないけど」

赤城「え? 」

鈴谷「うん? 」

赤城「だって、飯使い、でしょう? 」

鈴谷「うん。……うん? 」


< いっそネタにしていく >







赤城「と、いうのは冗談だとして」

鈴谷「本当なの? 本当に冗談? 」

赤城「もう食事に関することは諦めました。他人より少し違うだけなのですけれどね」

若葉「少し……? 」

赤城「少なくとも私は知性においてそれ程皆さんに劣っているとは思いません」

鈴谷「そりゃあまぁ……赤城さん程才能と努力積んでる人なんていないと思うけど」

赤城「いえ、それはそれで言い過ぎなのですが」

鈴谷「はぁ? 」

赤城「はい? 」

鈴谷「や、別にいいけど」

赤城「はぁ」

鈴谷「…………まったくもう、何なの本当」

若葉「…………………………………………これで嫌われないところがこの人の凄いところ、ってやつだな」


< 仕事だと思うと眠い、そうだと思わなくても眠い >







高雄「…………」

愛宕「…………」

明石「…………」

Littorio「…………」

提督「…………Zzz」

叢雲「…………四人死んでるのは兎も角、あんたここで寝るなんて刺されても知らないわよ? 」


< 屋上同盟ですから >







時雨「あの人、卑怯だよね」

春雨「Bismarckさん? 」

時雨「うん。……普段は滅多に喫煙なんてしないのにさ、本国から士官が来た時だけ、あんな」

WS「高価な葉巻をあぁも美味しそうに、さも普段から嗜んでいるように」

時雨「そ、あれはもう嫉妬も湧かないね」

若葉「伯爵も中々のものだと思うが」

GZ「そんなものではないよ、私は。Bismarck程怠惰ではないがあれのように優美でもない」

若葉「そうか? 」

GZ「ま、若葉にそう見られていて悪い気はしないが」






Aquila「あの子と伯爵、いつの間にあんな仲になってるんでしょう……」


< 皮肉の意味を説明するという自らへの皮肉を嗤うという皮肉に対する憐れみを嘲笑う皮肉を…… >







WS「気が合うんでしょうね、私たちとは違って」

Aquila「Aquilaたちって、合わない? 」

WS「合わないでしょう。仲が悪いわけでもないしむしろいい方だと思うけれど」

Aquila「ふーん? 」

WS「例えば親や兄弟姉妹なんてそうじゃなくて?
長い年月で培われた絆でもきっと初対面で今会った、
と考えると性格が合うとは言えないものよ」

Aquila「あぁ……譬え話、上手いですね~」

WS「ほら、合わないじゃない」

Aquila「うん? 」

WS「私、今皮肉を言ったのよ。私たちに親なんていないじゃない、っていう」


< 深夜どころか朝まで続いても譲らない >







提督「んー……」

叢雲「ここはあれでしょ、論拠がこの国の流通経路程度なんだから減点しなさい」

提督「いやぁ……ほぼ正確に輸出の黒字と概算でも転換後の赤字幅出してるし」

叢雲「だからあんたは甘いのよ。
そこに点あげるならこっちの仮説検定の秀逸さに加点しなさい。
なんなら設問の満点なんて忘れなさい」

提督「それは駄目だ。過小評価はよくないが過大評価もよくない」

叢雲「あぁん? あんた頭おかしいんじゃないの?
これが過大なんて言うならこっちのファジィなやつに何で満点与えてんのよ! 」

提督「それは叢雲も同意しただろうが。不確定性が不確定であるが故の蓋然性の高さを後から説明できてる」

叢雲「はぁ? 」

提督「あぁん? 」






高雄「…………何故バーカウンタースペースでお酒を片手に採点なんてするのかしら」

愛宕「さぁ……そんなことどうでもいいから私はもう寝たいんだけど」

明石「疲れましたしねぇ……疲れた上に妬くなんて本当に嫌ですし」

Littorio「…………Zzz」


ありがとうございました


< テスト結果発表のお時間ですが >







提督「あー……知りたい? 」

明石「そりゃあもう」

Littorio「報酬もそうですが自分の能力を知れる機会ですし」

高雄「あなたに従います」

愛宕「総得点はどうでもいいけど最後の設問の得点は知りたいわぁ」

明石「…………愛宕さんが一位でいいんじゃないです? 」

Littorio「ですね」

高雄「…………私はあなたに従いますが? 」

愛宕「? 」

提督「…………叢雲」

叢雲「仕ッ方無いわね……一位は……一位は……

明石「? 」

Littorio「一位は? 」

叢雲「…………あんた」

提督「…………愛宕と明石、同率。以上」

高雄「え……」

明石「えっ」

愛宕「ふーん……で、最後の設問は? 」

高雄「」

Littorio「…………Littorioだけ何の意味も……いえ、落ち込みたいわけでもない、ですけれど? 」


< 仮令其れが仮初で束の間だとしても >







高雄「」

提督「さすがに落ち込み過ぎではないですか高雄さん」

高雄「…………違うの」

提督「うん? 」

高雄「点数で負けたことなんかよりも」

提督「あぁ」

高雄「無意識で愛宕や明石さんには負けない、と思っていた自分に気付いたの」

提督「なるほど? 自己嫌悪? 」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………忘れさせてあげようか? 全部、何もかも」


< あなたと世界ならば、そもそもあなたが私の世界だから >







愛宕「で、最後の設問の得点は? 」

叢雲「やけに食い下がるわね……そんなに知りたい? 」

愛宕「そりゃあね? だって四時間の内三十分はあれに費やしたし」

叢雲「…………二人とも一致で十五点にしたわよ。理由とかならあいつに訊いて」

愛宕「十点の問題なのに十五点なの? 」

叢雲「だから理由はあいつに訊きなさいってば」






天城「問題文を貰ってきましたよ」

雲龍「まぁ、問題を見るだけならいいわ」

加賀「どうせ時間がかかるだろうし私は最後の問題から見……

天城「? 」

雲龍「? 」

加賀「…………『作戦責任者と艦隊が双方別地点において危機に陥った場合の自らの対応を書け

雲龍「ふーん……あの人なら出しそうな問題」

加賀「『尚、状況については下記の表を参照のこと。回答は別紙に。字数は問わない』」

天城「はぁ。状況って言われ……あぁ」

雲龍「? ……あぁ」

瑞穂「表については全く分かりませんけれど……皆さんの顔でもう、何となく心が冷えそうな気分ですね」


< この愛を錯覚だと笑わないで >






雲龍「あれ、でも……状況は複雑ですけど、要はあの人と僚友を天秤にかけるだけですよね? 」

加賀「ええ。しかもこの状況ならば反転して指揮官を助けることも十分に可能よ。その逆も」

天城「順番を間違えるな、という極々簡単な方の問題では? 」

叢雲「まぁ、論拠が軽いなら減点してたけど……そういうことね」

雲龍「でもそれなら何故愛宕はあんなにも点を気にしていたの? 」

天城「ですよね」

叢雲「あの人だけなのよ。そもそもあんな状態になる前に副官の自分が策を出すって答えてたの。
情報自体は表に書いてあるでしょう? そこから類推してA4四枚にびっしりと」

天城「なるほど」

雲龍「それは確かに気になるわね」

加賀「採点者に喧嘩でも売っているのかしら」

叢雲「反乱教唆しかけた人はそんなこと言っちゃいけないでしょうが」






江風「そもそもテートクと江風たち天秤にかけるのは“ だけ ”なのか? 」

海風「なんなら問題は指揮官と艦隊、であって海風たちですらないしね」

漣「病んでるとか病んでないとかそういう問題ですらありませんねー……」


< ヒトと人の狭間、あるいは化け物と兵器との訣別 >






明石「いやー……まさかね、まさかですね」

Littorio「誇っていいでしょう。高雄に勝って愛宕と同率なのだから」

明石「そういうことじゃなくて……高雄さん大丈夫でしょうか」

Littorio「あの人がなんとかしてくれるわ。……何を頼むの? 」

明石「結果を知る前なら左でサーキットでも行こうと思ってましたけど」

Littorio「けど? 」

明石「あの人とLittorioさんと愛宕さんと高雄さんと五人で、一日遊びたいかなって」

Littorio「Littorioたちがいてもいいの? 」

明石「そりゃああの人は独占できませんけど……気付いたんですよ」

Littorio「うん? 」

明石「私、友人も独占したい女だったんです。
想い出積み重ねて縛って閉じ込めて、最後の問題なんてもう泣きそうでした」

Littorio「そう……」

明石「…………」

Littorio「…………」

明石「…………本当に、この想い出をいつか、懐かしむときがきてしまうんでしょうね」

Littorio「ええ。……それが、神様というお節介の、余計な贈り物だから」


< 真面目なピロートークなんて、心が冷えるだけだから >







高雄「……………………」

提督「誤魔化されない? 」

高雄「…………明日からどんな顔で愛宕や明石さんに会えばいいの? 」

提督「そのままでいいだろう。むしろそれ以外あるのか? 」

高雄「ありませんけど……でも、私は」

提督「…………俺は、お前のこと知ってるから」

高雄「そんな月並な慰め、要りません」

提督「…………採点者として間違ってるかもしれないけどさ」

高雄「ええ」

提督「先に艦隊を救援するって書いたの、お前だけだよ」

高雄「…………」

提督「他三人は……まぁ、例外はいたけど先に指揮官を助けて後方を安定させる、って回答だったから」

高雄「…………あれで悩んだのは本当ですけれど、ね。
でも、あれで仲間を、友を、選んだ自分に満足していたのです。
その心が深いところで自分への陶酔を生んでいるなんて気付きもせずに」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………シャワーでも浴びてさ、あいつらと酒でも飲もうぜ。
まだこの時間なら、きっといるから。それでたぶん満足できる」

高雄「…………」

提督「心って難しいけど……割と現金で簡単なものなんだからなんとかなるに決まってるんだーーーー


< 少しだけ静かな此方で >







江風「珍しくない? テートクがしけ込ンだ後また飲みに来るなンて」

海風「……なんで高雄さん泣いてるんだろう」

漣「さぁ? でもいいんじゃない? 周りなんて皆笑ってるし」

叢雲「……そんなことよりこれなんとかしなさいよ」

瑞穂「あぅえ? ほぇ? 」

叢雲「あなた一人で飲むと寂しがって悪酔いするんだから」

瑞穂「えへぇ……むーらくーもさぁん」

漣「誰これ? 」

叢雲「……明石とLittorioと一緒に飲めばよかったのよ。同部屋の明石があっちで盛り上がってるんだから誰も助けてくれないのよ? まったく」


ありがとうございました


< それなら、一思いに殺せたのに >







高雄「……私、普通の女じゃないですから。化け物はどこまでいっても、化け物のままです」

提督「あのさ……化け物かどうかは兎も角普通の女の子なわけないじゃん」

高雄「……」

提督「男っていうのは普通の女の子なんて好きにならない。
好きになった女の子は皆特別な存在なんだ」

高雄「…………一般論? 」

提督「一般論。愛した女が特別じゃない男なんて生きてる価値も愛する価値も無いね」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………あなたが、あなたが普通の男ならよかったのに」


< 神々しいまでの朝陽を受けて >







叢雲「ふぁ……眠い」

雲龍「私が珍しく起きてきてみれば……本当に珍しいものが見れたわね」

叢雲「私の欠伸なんて何の価値も無いわよ」

雲龍「価値とか意味とか忘れましょう? こんなにも清々しい朝に」

叢雲「…………」

雲龍「…………」

叢雲「…………」

雲龍「…………」

叢雲「…………」

雲龍「…………Zzz」

叢雲「おいこら馬鹿、私の感傷を返せ、寝るな馬鹿女! 」


< 別れた後窓辺で独り言ちたときのこと >







高雄「また…………朝」

愛宕「朝よぉ、朝。また昨日が終わって今日が始まるの」

高雄「愛宕? …………おはよう」

愛宕「おはよ、高雄。…………元気になった? 」

高雄「もとより体調は万全よ」

愛宕「体調はね。…………あんなに泣いてたから」

高雄「…………」

愛宕「あんなこと誰にでもある気持ちでしょう? 」

高雄「…………誰にでもあるレベルの気持ちをここの皆さんに持っていたと気付いたのが嫌だったのよ」

愛宕「自分の友達は皆特別だとでも? 」

高雄「そうらしいですよ。だから友人であったり恋人であったりするんだとか」

愛宕「ふーん……高雄」

高雄「何? 」

愛宕「結局あなた、誰かに嫌われるのが怖いだけでしょう? 」

高雄「…………悪い? 」

愛宕「悪くなんてないわ。ないけど、悪くないだけ。良くもないわ」

高雄「どうしろと」

愛宕「別に。高雄はそのままでいいの。時々落ち込んだら慰めてあげるし調子に乗ってたら笑ってあげる」

高雄「…………ありがとう? 」

愛宕「どういたしまし、て。……何食べたい? 今日だけお姉ちゃんやってあげるから、何でもいいわよ? 」


< 何とは無しに物足りない >







雲龍「ポリネシアンセックスというものを試してみたいと思ったのだけど」

天城「はぁ」

海風「決めた日まで愛撫だけにしてピークを持っていくあれですよね? 」

雲龍「そう。そうなんだけど……

加賀「ここだともう色々な意味で無理ね」

雲龍「一番近いのはあの人を含めて全員が海の上にいるとき、ですけれど」

天城「あの人無駄に真面目ですからね……作戦中なんて絶対シませんよ。できてキス止まり」

雲龍「あれじゃあ私だけ中途半端に昂ぶらされ……同意した顔ばかりされるのってこんな気分なんですね」


< 分かる人と分からない人 >







雲龍「純愛系? な感じのデート系AVで」

天城「はぁ」

雲龍「青姦した後なんて服はどうしているのかしらね。割と悲惨だと思うけれど」

天城「知りませんよ……というかまだ見てたんですか? 」

雲龍「暇過ぎて頭が沸いていたのね、たぶん」

天城「……そもそも天城は外でシたことが無いので」

雲龍「私も出掛けた先では無いわね」

天城「……」

雲龍「工廠とプールとここの裏は軽度よ? 服だとか臭いの処理も簡単だし」

天城「誰かに見られるとは思わなかったんですか? 」

雲龍「それがいいのでしょう? あの人以外の男に身体見られるなんて死んでもイヤ」

天城「はぁ……? 」


< 分からないけど楽しい人たち >







江風「っても……AVって割と楽しいよな」

海風「えっ……」

瑞穂「江風さん……」

江風「や、変な意味、というか全うな意味の楽しいじゃなくてさ」

海風「……」

瑞穂「……」

江風「あンなの絶対リアルならしないだろってことをさも当然のように三次元でやってることと……うン? 」

海風「か、江風が、そんなもの見、見て……ありえない」

江風「はい? 」

瑞穂「……本当、愉快な姉妹ですね」


< やってきましたアンケートのコーナー! >







提督「物凄く久々だよな。今回は無記名のまま変則で」






Q.ここの面子なら誰に抱かれたいですか?

A.
加賀……三人
叢雲……二人
自分……一人
いない……六人





提督「……自分? 」

高雄「そもそも性倒錯者の数が尋常ではないと思いますが」


< むしろ負けが大勝ちで勝ちも勝ちというか >







叢雲「……なんで二人もいるの? 」

提督「やー……好かれてるじゃん? 」

叢雲「直球の友情なら兎も角これは割と複雑なのよ」

提督「だろうね」

叢雲「……あなたはどうなの? 」

加賀「別に。この人が隣にいるなら誰にだって勝ってみせるわ」

叢雲「はぁ」

提督「勝ち負けなんてどうでもいいと思うけど……むしろ負けたいやつもいるし」

雲龍「うん? 」


< なんと今回は二本立て! >







提督「実はこっちの方が楽しみだったりしないでもない」







Q.ここの面子なら誰を抱きたいですか?

A.
叢雲……四人
天城……一人
江風……一人
高雄……一人
いない……五人






叢雲「」

高雄「……だから性倒錯者の数がですね」

愛宕「天城と江風は合ってると思うし……まぁ、高雄は私だからいいとして」

叢雲「…………純粋に怖いんだけど、どうして増えるの? 」


< 想像するだけならまぁ割りと面白い >







提督「正直誰だと思う? 今丁度誰もいないし」

叢雲「……一問目は漣と海風じゃない? 」

提督「まぁ、俺もそんな気はする」

叢雲「…………雲龍だとも思ったけどあの人嗜好的に違わない? 」

提督「あいつが見てるのは見た目より性格だと思うぞ。それならお前のことそう見ててもまぁ」

叢雲「…………じゃあ愛宕と高雄? 」

提督「その心は? 」

叢雲「あんた」

提督「うん? 」

叢雲「自分で言うのって気持ち悪いけどあんたとこれだけ近いのにヤらない女に興味あるんじゃないの? 」

提督「なるほどな。……実際どうなんだろう、本当」


< さらに増える可能性という恐怖 >






提督「もしかしてお前? 」

加賀「今回は違うわ」

叢雲「は? 今回? 」

加賀「気分によるわね」

提督「なるほど」

叢雲「…………気分? 」


ありがとうございました


< 六月十六日 >







愛宕「ねぇ、知ってる? 」

提督「うん? 」

愛宕「今日は私が生まれたとあなたが思ってる日だって」

提督「……知ってる。お前が誰よりも一番その考え方に馴染まないことも」

愛宕「知ってた? 」

提督「そりゃね。……どれだけ愛してると思ってるんだ」

愛宕「私の半分くらい? 」

提督「お前が半分くらいだろう? 」

愛宕「私の愛情疑うの? 」

提督「お前なんで俺のこと好きなの? 」

愛宕「好きだから、愛しちゃったから」

提督「そっか…………誕生日、要らない? 」

愛宕「まさか。……あなたが私のことしか考えない日よ? 毎日が誕生日でもいいくらい」


< こんな季節に、また。そして言われる前に >







漣「スイカバー美味ぇ、マジ美味ぇ」

雲龍「雪見だいふくが好き」

天城「スーパーカップの方が」

明石「……爽」

加賀「私、ダッツのラムレーズンあまり好みじゃないのよね」

Littorio「加賀にも好みじゃないものが……と思いましたけれど加賀だからこそ、なのですね」

高雄「ここの人が上手いだけですし。……私だって入っていますよ? 矜持がありますからね」


< 贈り物身に付けてくれるって、嬉しいよね >







提督「プレゼント渡して外連れ出してから言うのもなんだけど」

愛宕「うん」

提督「正直最近はお前に何あげればいいか分からなくなってきた」

愛宕「甲斐性無し? 」

提督「だってお前何あげても嬉しそうだし、何あげても似合うんだもん」

愛宕「本当に嬉しいんだから仕方無いでしょう? 」

提督「それでもね……何か一個くらいお前に似合わないプレゼントしてみたい」

愛宕「臍ピアスとか? 」

提督「それすら似合いそうだし。……最初に頼むのは? 」

愛宕「ウイスキーロック」

提督「最後に頼むのは? 」

愛宕「あなた」

提督「OK。…………なんなら、最初からクライマックスでも、いいんだぜ? 」


< 愛される哀しみは哀される虚しさよりも >







高雄「…………」

叢雲「私、あなたがお酒に弱いって聞いてたわ」

高雄「強くは、ありませんよ」

叢雲「ハイボール二十杯も飲んだら寝落ちするものだと」

高雄「それは弱くはないかと。……今日はそんなに飲んでないでしょう? 」

叢雲「? そうね」

高雄「…………あの人の前でだけは、自分を失いたくないの」

叢雲「ふーん? 時々あると思うけど」

高雄「それはそれ。あの人の前だから。……だって、あの人に知ってもらえるでしょう?
高雄は、こんな姿だって見せるんだって」

叢雲「…………哀しいわね」

高雄「そんなわけ。愛した男に愛される、理想の女ですよ、私は」

叢雲「そ。……………………本当、哀しい女ね。愛されるなんて」


< あなたの温もりを感じながら想うこと >







愛には深愛を。

刃には愛を。

贈り物には笑顔を。

あなたに貰ったものなら、なんだって嬉しいの。

あなたのことを考えない日なんて無いし、
あなたのことを愛さない日なんて無い。

「…………嬉しくないプレゼント、贈れるものなら贈ってみなさい?
むしろ、笑ってあげるわ。私の愛情、見縊らないで? 」

あなたに貰ったものを返せる気なんてしないけれど。

それでも、常にあなたに返したい。

生命でも操でも心でも。

好きなだけ、貰って頂戴。







仮令この生命が仮初で、化け物だとしても、あなたの隣で死ねるなら、なんだって捧げてみせる。

だから、だから、だから……

私が壊れるか死ぬかするまで、愛してくださいね?

あ・な・たっ


ありがとうございました


< 朝陽が眩しい >







提督「眠い……」

愛宕「そうねぇ……寝れた? 」

提督「一時間くらいな。この後コーヒー飲んで適当にぶらついて……運転大丈夫かな」

愛宕「私が運転する? 」

提督「免許無いだろう……おはようのキス欲しい」

愛宕「したわよ? 」

提督「もう一回欲しいの。ディープなやつ……ん」


< まだかなまだかな >







提督「たーだいま」

愛宕「ただいまー」

高雄「おかえりなさい」






雲龍「今か今かと……三十分は待ってたわよね」

天城「ええ。…………帰ってくる前に電話でもしたらどうです」

提督「やー……本当そうだな、ガチで申し訳ねぇよ」


< 闇 >






提督「え? 免許取りたい? 」

高雄「ええ、そうすれば何人かで遊びに行ったりできるでしょう? 」

提督「そうだな。……運転はまぁ、俺と明石がおしえるとして、明石? 」

明石「学科はここで受けられると思いますよ。私も横須賀鎮守府で受けましたし」

提督「有事の際の為、とか適当に言っておけば帝都もなんとかなるか。……いいぞ、いつ受ける? 」

高雄「所定のカリキュラムがあるのでは? 」

提督「学科二日、運転二日でもうなんとでもなるよな? 」

明石「ですね。高雄さんなら余裕ですよ」

高雄「はぁ。……こういうところ、軍って怖いですよね」


< そーいや >







提督「免許の話してて思い出したけどお前いつ車買うの? ランボルギーニ買うとか言ってなかった? 」

明石「やー……何か今更迷いだしまして」

提督「マジかー……何と迷ってるの? 」

明石「アルファロメオ」

提督「どっちにしろ外車か。……買ったら俺にも回させろよ? 」

明石「えー、あなたはそんなに運転させてくれないじゃないですか」

提督「そこを何とか」

明石「まぁ、いいですけど。……なんならコルベットとFTOでサーキット行きません? 」


ありがとうございました


< ヒモ? >







海風「思ったんだけど提督って高学歴? 」

江風「海兵出て甲種行けてて低学歴なわけないだろ」

海風「でも提督なら帝大の方が高学歴とか言いそうじゃない? 」

江風「言いそうかもだけど海兵が低学歴なわけはない」

海風「……高身長高学歴高収入かぁ」

江風「そりゃモテるよな」

海風「いっそ低学歴ならよかったのに。卑屈な提督に貪られたい」

江風「江風姉貴が言ってること分かンないよ……」


< イヤ? >







江風「つーかさ、姉貴さっきのは本格的に雲龍さン化してるぜ? 危なくない? 」

海風「雲龍さんのこと好きだしいいもん」

江風「好きとかそういう問題じゃな……テートクと周り見てるとそういう問題なのかもしれないけどさぁ」


< 今夜? >







提督「食った後のカップラーメンにさ」

愛宕「ええ」

提督「ご飯と卵入れて混ぜるの好き。ものによったらチーズとか鰹節もいいし」

愛宕「それ物凄く太りそう」

提督「とか言いつつお前大概太らないだろう」

愛宕「トレーニングは嫌いだけど自分が醜くなるのはもっと嫌だし」

提督「なるほど。……そもそも今日の昼ふっつーにパエリアだったしな」


< もう既に適応している気もしないでもないけれど >







雲龍「DSの型番、NTRなんですって」

提督「知らないよそんなの……どこでそんなこと知ったの? 」

雲龍「NTRについて調べてたら偶然」

提督「NTRについて調べることとかあるの? 」

雲龍「どういう考え方なら適応できるのかとか……あなたの所為なのよ? 」

提督「いや、それは、ん……その、俺か? えぇ……? 」


< 幾らでも御座いますよ? >







提督「つーか関係無い話だけど」

雲龍「ええ」

提督「公魚釣りたい。刺身にしたい」

雲龍「本当に関係無いわね。しかもやっと夏になる頃よ? 」

提督「うん。……行くって言ったら来てくれる? 」

雲龍「私があなたの誘い断るわけないじゃない」

提督「でもあれだぜ? 寒いし寒いし寒いぜ? 精々喋るかラジオくらいしかすること無いし」

雲龍「最高じゃない。寒いのは防寒具、最悪身体励起でなんとかなるし氷の上であなたと二人きりなのよ? 」

提督「そうだけど……行くか、今年は」

雲龍「どこまで? 」

提督「そりゃ我が北海道だよ。三日くらい観光しよ? 」

雲龍「いいの? 」

提督「どういう意味で? 」

雲龍「色んな意味で」

提督「色んなものをね、すっ飛ばせるのが高級将校ってやつなんだよ雲龍くん」

雲龍「そ。…………寒冷地仕様のアウターなんて可愛いのあるのかしら」


< 結局集束しそうではある >







加賀「お風呂? ご飯? それともあ・な・た? 」

提督「無表情であなたとか言われても……何? 今日は責めたいの? 」

加賀「いえ、次の私の行動を決めてほしくて」

提督「斬新か」


< 絶対的 >







愛宕「結構前に」

雲龍「ええ」

愛宕「あの人が寝た切りになったらそれでも愛せる? みたいな話したじゃない」

雲龍「あぁ、喧嘩売られてるのかと思ったわ」

愛宕「本当に仮に、もし仮にあの人がそうなったとしたらね? 」

雲龍「ん」

愛宕「あの人絶対殺してくれって言ってくると思うの」

雲龍「私でも言うと思うわ」

愛宕「そのとき、殺せる? 」

雲龍「殺せる、と思うわ。その後自分も死ぬだろうけど」

愛宕「そう……そうよね。あなたはこっち側」

雲龍「高雄や天城は殺せないでしょうね。きっとLittorioや明石も殺せない」

愛宕「叢雲は……叢雲ならそんなことにさせない気がするわ。なんとなく」

雲龍「彼女の特権みたいなものよね。……私たちだって彼の身体、気遣ってるはずなのに」


< 平蜘蛛と同列というのは如何なものか >






叢雲「私は殺すわよ? 」

愛宕「うん? ……まぁ、実際そうなってしまったらそうね、躊躇いもしなさそう」

叢雲「それはそれでどうなのかと思うけど……そうね」

愛宕「ちなみにどう殺すの? 」

叢雲「今の私なら一撃で頭潰せるはずね」

愛宕「そんな適当な。毒とかの方が苦しまないんじゃない? 」

叢雲「毒は大概苦しむわよ。酷いものは何時間も」

愛宕「うーん……じゃあ、寝てる間に頭潰すのがいいのかしら」

叢雲「まぁ、したいわけでもないけど」







天城「いっそ二人で抱き合いながら家ごと自爆なんてしてみるとか? 」

雲龍「…………弾正? 」


ありがとうございました


< 単に逆だとつまらないだけ >








雲龍「男性が極端に減って子作りしないといけない、みたいな設定あるじゃない」

提督「そんなのあるの? 」

雲龍「あるらしいのよ、私も漣に聞いたの」

提督「お前ら二人割と話してるけど話題おかしくない? 」

雲龍「逆に女が極端に減少してそれでも子供をつくらないと人類が滅亡する、ってなったらどうなるのかしら」

提督「そういう設定のは無いの? 」

雲龍「さぁ? あるかもしれないけれど私も漣も知らないわ」

提督「…………一部の金持ちが研究の為、とか言って実際研究しつつ囲うんじゃないの? 」

雲龍「それか行政がディストピア化して管理するとか? 」

提督「それもあるな」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………これってエロい目線じゃないと面白くないわね」

提督「お前は漣とエロトークしてたつもりだったのか? 」


< 退役か昇進か >







愛宕「本日も当要港部は平和です、っと」

高雄「天気がいいと本当にそう感じるわね」

愛宕「一生こういう生活ならいいのに」

高雄「……あの人が老いない前提ね」

愛宕「そう? 」

高雄「自分の愛を疑うわけではなくて……年功序列って軍だと特に強い思想でしょう? 」

愛宕「あぁ……」


< いいんじゃない? 愛が、愛さえ有るならね >







愛宕「まぁ、ここじゃなくても一緒にいられるなら贅沢は言わないわ」

高雄「ええ。……夫に対するあなた、の反対って」

愛宕「うん」

高雄「お前、でいいのよね」

愛宕「そうじゃない? 他に何があるのよ」

高雄「君、とか」

愛宕「あぁ……実際リアルにあるの? それ」

高雄「そんなことを言うならそもそもあなた、呼びも割と珍しいような」

愛宕「まぁ、私たちも夫婦的なあなた、じゃなくて単に素面で名前呼びできないチキンだものね」

高雄「だって恥ずかしいじゃない? 」

愛宕「分かる、非常によく分かるけど……いいのかしら、これで」


< ねぇ、いいから言ってみて? 言うだけだから >







提督「俺浮気なんてしてないよ。遊んでるだけ」

天城「うわぁ……」

加賀「介錯ならするわよ」

明石「もう死ねばいいのに」

漣「ないわー、マジ無いですご主人様」

提督「…………」

雲龍「遊びだと言われたらクると思ったけど……普通に苛っとしただけだったわね」


ありがとうございました


< 珍しく早起きしてシャワー浴びて出てきてみれば >






天城「あの人ならこっちの淡い方とこっちの朱が映える方、どっちが……」

天城「…………」

天城「…………」

天城「…………」

天城「…………」

天城「…………まぁ、どうせどっちもいいとか言うでしょうけれど? 一応は選んでみせて」

天城「…………」

天城「…………」

天城「…………」

天城「…………」

天城「…………はぁ」






雲龍「まったく我が妹は乙女だこと。…………確かに、彼ならそんなことを言うと思うけれど、ね」


< 狂気乱舞 >






あきつ丸「ここの士官が一人クスリに溺れて退役させられた、というより廃人になったと聞いたのだが」

龍田「あははっ、あんなゴミ消えたって誰も悲しまないわよぉ」

あきつ丸「ゴミならばゴミ箱に捨てるでありますよ。退役と同時に軍の隔離施設送りなど」

龍田「ゴミって大体捨てたら焼却されるでしょう?
その順番が反対になっちゃっただけよ」

あきつ丸「…………クスリなんぞ一体どこから流してきたのでありますか」

龍田「欲しい? 」

あきつ丸「絶対に御免蒙る」

龍田「それなら訊かない方がいいと思うわぁ。私もあんまり使いたいルートじゃないし」

あきつ丸「はぁ。…………そもそも自分たちに効くのでありますか、あれは」

龍田「試してみる? 」

あきつ丸「だから絶対に御免蒙る」


< 狂喜乱舞 >







雲龍「あはっ、そ、れぇ、んっ……ンンッ……っ! 」

提督「んっ……おま、えっ、……」

雲龍「? んぅっ」

提督「んなっ、ぁさからっ、盛んなっ」

雲龍「連れ、っ、こんだの、あなたっ、じゃないっ~~~~っ……! 」






漣「どこでヤっても問題は起きないんでしょうけどねぇ……」

叢雲「……私、食堂にいるから」

漣「漣も行くって。……適当な空き部屋整備するのは兎も角漣たちの部屋の隣とかやめてほしいなぁ」


< 私の常識と外の常識と >







天城「姉様は……まったく」

明石「朝食食べた後によくあの人の前で裸になれますね」

天城「腹筋ちゃんと鍛えてますし……そもそも姉様はあまり食べません」

江風「空母の燃費はー、とかいう理論を真っ向から崩す存在だよな」

加賀「それはもしかして私に言っているの? 」

江風「べっつにー? 誰にも言ってない」

加賀「そう……」

高雄「…………常識的に考えれば雲龍さんもお昼は一人前では済まないような」


< 悲しいけれどね、これ現実なの >







漣「ヴァンパイアってふっつーに血吸うじゃん? 」

叢雲「むしろそれがアイデンティティなんだから普通も何も」

漣「でもさ、血液って栄養価異様に高そうじゃない? しかも液体だし」

叢雲「太るしお手洗いが近くなるしってこと? 」

漣「うん。この国だとヴァンパイアって大体イケメンか美人だけど割と実際そんなものなのかもね」

叢雲「伝承系だと結構老いた女性とか中年男性とかあるけど」

漣「…………」

叢雲「…………」

漣「…………まだ、イケメンと美人の方がいいね」


< 凶器、乱舞 >







雲龍「……だらだらしたい」

提督「どろっどろはしてるだろうが……まだ昼まで二時間くらいあるんだけど」

雲龍「? 昼なんて過ぎるわよ? 」

提督「まだヤっ、ちょっ触るなっ、おい! 」


< 豪華……豪華? 間違ってはいないけれど >







叢雲「あいつを選んだら大変ね」

漣「うん? そりゃクズだしそんな分かりきった

叢雲「そういう意味じゃなくて。仮に自分が選ばれてもほら、豪華なおまけがつくでしょう? 」

漣「……あぁ」


< 遅い昼食を食べながら、ふと >







提督「…………なーんで季節外れのタイトミニのニットワンピになんてつられたのかなぁ」

雲龍「…………Zzz」

天城「あぁ、姉様っ、お食事中に寝落ちなんてしないでくださいっ」


< 姉>神 >






天城「ちなみに救えなさ、ですけれどね」

雲龍「何? 馬鹿にしてるの? 」

天城「今はしていませんよ」

雲龍「そんな普段はしているみたいな」

天城「神様と姉様を比べるなんてそんなことできません。失礼ですから」

雲龍「神に? 」

天城「いいえ? ……あと可哀想なのも理由ですね」

雲龍「私が? 」

天城「いいえ? 神様が」

雲龍「…………」


< 今、目の前にいてくれるあなたにこそ >







瑞穂「サラッと流しましたけれど神の救えなさ、というのは」

漣「勿論両方でしょー。存在の救えなさも救済力の無さも」

瑞穂「はぁ……別に瑞穂だって然程信心があるわけでもありませんが」

叢雲「神より信じられるもの見つけたんでしょ? 盲信する程には」


< その鏡、正しく映っていますか? >






海風「ん……可愛いかな、これ」

江風「いいンじゃない? 姉貴は大概何でも似合うよ」

海風「…………提督はさっきの方が好みだと思わない? 」

江風「さぁ……江風はそういう理由でコーデ決めてないから」

海風「…………」

江風「…………ん、三巻、三巻はっと」

海風「…………んー、やっぱりこれ可愛くないよ、江風」

江風「左様で」


< 自分が認められたとして変わる心だとは思えないが >






雲龍「あぁ、天城も時々やってるわね、それ」

江風「ふーン? 」

雲龍「私もやらないとは言わないし」

江風「そっか。……そンなもン? 」

雲龍「さぁ? だって私、大体何着ても様になるもの」

江風「そうだけど。……その気持ちを姉貴にもおしえてあげてくれない? 姉貴だってそうだよ」

雲龍「…………つまりあの人を嗾けろということね? 」

江風「はぁ? 」


< 仮のお話ですよ? >







時雨「僕たちって仮に戦争が終わったら兵学校の卒業扱いされるらしいけど」

春雨「そう聞いたよね」

浜風「ええ」

時雨「資格なんて免許すら無いけどその辺りはいいのかな」

春雨「男でも見つけろってことかな? 」

浜風「軍人にそのまま囲われていろ、ということかも」

時雨「それは

春雨「絶対イヤ。そんなことになるくらいなら春雨は深海にでも行くよ」

浜風「ええ。……もしかしたら今深海から来る彼女たちもそんな存在だったりして」

時雨「そんなわけ。…………無いと思いたいなぁ、本当に」


< ボーダー >






若葉「まぁ、そもそも見た目だけはこんななりの若葉たちを使役して心も痛まない連中のことだからな」

時雨「そうだね。……本当に、そうだ」

GZ「……戦うことを宿命付けられた私たちに、他のことをしろと言われても、な」






龍田「はい、ここで楽になれるおクス

あきつ丸「だから何度も……本当にあの辺にそんなものを売ったら本気で見損なうでありますよ? 」


ありがとうございました


< まぁ、面倒が無いといえば無い >






漣「思ったんだけど漣たちのお金ってさ」

叢雲「ええ」

漣「完全非課税、っていうか確定申告なんてもの存在しないけどいいのかな? 」

叢雲「……確かにそう考えると私たちってほぼ完全に税金の塊みたいなものなのね」

漣「まぁ、生命賭博と侮蔑と好奇の対価には少な過ぎるけど」

叢雲「生命賭博ってあなたね……間違ってはいないけど」


< あなたがそれ程言うのなら、さぞ >







雲龍「マニアって怖いのね」

瑞穂「? 鉄道とかファッション? 」

雲龍「いえ、私別にその辺りには含むところ無いし。……SM」

瑞穂「……あぁ、むしろ何故雲龍さん相手にそれが出てこなかったのか」

雲龍「そうね。……怖いのよ。ネットの海は怖い、でもいいわ」

瑞穂「…………」

雲龍「…………? 」

瑞穂「…………それは、さぞ怖いのでしょうね、ええ」

雲龍「うん? 」


< 当たりが出たら >







提督「ふぁ……疲れた」

高雄「殆どお仕事進んでませんからね」

提督「へーい。……黒の紐パン」

高雄「違いますね」

提督「マジかよ……仕事かぁ」

高雄「はい? 」


< 猫の手も借りたい >







雲龍「ってあの人が言うと少し卑猥ね」

江風「もう雲龍さンがいればどンな言葉でも卑猥になるじゃねぇか」

雲龍「猫の手を借りてまで……私に言ってくれればいいのに」

江風「聞いてねーし……ってーかさ」

雲龍「? ええ」

江風「その話だけど雲龍さンって全面的にネコなンしゃないの? 」

雲龍「そうしてくれないのよ、あの人。困ったものね」

江風「ふーン? テートクとの夜に不満があるンだ? 」

雲龍「そんなわけないじゃない。あなた、馬鹿なの? 」

江風「え、えぇ……」


< 女の子の憧れ >







江風「ここで江風だけできないこと思いついた」

海風「料理じゃなくて? 」

江風「ひっでぇ……少しはできるようになったじゃン? 」

海風「本当に少しだけどね」

江風「……ネクタイ正面から結べるかどうか」

海風「なるほど」






瑞穂「瑞穂も結べると思われているのですね……ま、結べますけれど? 何か? 」


< カレー女が告ぐ >







鈴谷「あのさ、醤油かけようが福神漬けドバ載せしようが、
ルゥとご飯の向きがどっちだろうがかき混ぜようが、
目玉焼き載せようがカツてんこ盛りだろうが、
野菜カレーだろうがポークだろうがチキンだろうが牛すじだろうが、
ミニカレーだろうが大盛だろうが鍋ごとだろうが、
一人で食べようが仲間だけで食べようが皆で食べようがカレーはカレーなの!
そんなくだらないことで言い争うなら四杯や五杯食べなよ。
龍田も山城もそれくらい簡単に食べられんだか……はぁ? 飽きる?
カレーに飽きる? 馬ッ鹿じゃないのカレーは全てを包み込む優しさを持ってるの! 分かった? 」


< 何か思い出した >







加賀『奇跡なんて簡単なもの、鼻唄交じりで演出してみせましょう』

赤城『加賀さん? 奇跡なんかではありませんよ。私たちなら可能、たったそれだけのことです』

加賀『ふっ……申し訳ありません。確かにそうでした』

赤城『そもそも加賀さんって歌、得意でした? 』

加賀『舐めないでください。私にできないのは赤城さんに勝つことくらいですから』

雲龍『……………………来ましたよ』






雲龍「…………あなたの隣、いつか立って、みせますから」


< できるのなら是非 >







龍田「龍田揚げつくったわよぉ、これ得意なのよねぇ」

時雨「牛肉の時雨煮、結構いい味してると思う」

春雨「春雨スープつくりました、自信作ですっ」

霧島「……き、霧島、持って、来ました、はい」






金剛「おつまみと〆が名前合わせだからって……明日の朝迎え酒でもする気デース? 」


< 一方此方。料理名、料理名かぁ…… >







愛宕「愛宕梨があればデザートなんてつくってもいいんだけどぉ、旬じゃないのよねぇ」

加賀「それなら加賀太胡瓜も加賀蓮根も加賀つるまめもあるわね。そもそも加賀揚があるけれど」

天城「一応愛媛の八幡浜辺りではイボダイをアマギ、とは言いますけれど」

海風「ち、地中海風なんとか、の語尾なら」

江風「姉貴……」






雲龍「明石焼き、なんてシンプルだけどスープに浸してみたり梅おろしにしてみたりできるのよ? 」

明石「はぁ……いや、つくれと言うならつくってみますけどね、雲龍さんの方が上手いじゃないですかぁ」


ありがとうございました


< 傷を受けるのは嫌だけれど >








天城「ほんの出来心だったのですけれど」

瑞穂「ええ」

天城「寝起きの姉様を、こう、叩いてみたのです」

瑞穂「それはまた……どうなりました? 」

天城「瞬時に躱して受け身を取ったと思ったら床で寝落ちしました」

瑞穂「はぁ、らしいといえばこれ以上無いですけれど……本当に何か、おかしいですね」


< 私にも……キス、ください? >







Littorio「まるで人外のような? 」

天城「ええ。……まぁ、人外で合ってますけれど」

Littorio「雲龍は、あれであの人以外に触れられるのを極端に嫌いますから」

天城「ええ。……ベッドでもそれは徹底していますもの。天城だって、触れたいのに」

Littorio「え? 」

天城「いえ。…………本当に、あの人が、好きなんだな、と」


< 剣どー >







提督「一本! ……いいな? 」

加賀「異存はありません。今ので、死んでいました」







加賀「…………何度も何度もこれで死んだな、という目を向けられるのも、新鮮ね」


< 本音はそうでもまた別の本音では >







愛宕「何で加賀さんが剣道してるの? したくないんじゃなかった? 」

高雄「あの人が弓を一緒にやるかわりに始めたとか」

愛宕「ふーん……私が剣道始めたら」

高雄「ええ」

愛宕「煙草、やめてくれるかしら」

高雄「そんなことしなくても一言言えばやめてくれると思うけれど……言う? 」

愛宕「言わない。……長く生きてはほしいけど、楽しみ奪うなんてもっと嫌だもの」


< 押して小突いて倒して戻って >








愛宕「弥次郎兵衛? 」

明石「みたいだなー、って」

高雄「まぁ、ちょっとやそっとのことでは致命的に倒れたりはしませんね」

愛宕「すぐ元通りになるし」

明石「しかも左右の重さが全然違うのに上手くバランス取ってるんですよ? 」

高雄「あぁ」






叢雲「その割に本体が貧弱で……ってのはまぁ、言わないでおいてあげる。盛り上がってるし」


< 六月二十四日はドレミの日、でした >







漣「ドーはドースーケベのドー」

提督「あん? 」

漣「レーはレーイパーのレー」

提督「違ぇよ馬鹿」

漣「ミーは巫女服のミー」

提督「好きだけどさ」

漣「ファーはファイトのファー」

提督「ん? 同じなの? そこ」

漣「ソーは……だって」

提督「あぁ」

漣「ご主人様割と頑張り続けないと刺されますよ? マジで」

提督「…………」


< 反論できない >








江風「つーか“ ド ”がそれでいいならさ」

漣「うん」

提督「何もよくないが……何? 」

江風「ド畜生でもド外道でもドブラックでもいいことになるじゃン? 」

漣「全部含めればド畜生だね。……ねぇ、ド畜生様? 」

提督「…………」


< 『ちいさくなったブラは着けられないの』 『あぁン? 』>







海風「服がちいさくなって着られなくなった、っていうでしょう? 」

Littorio「言いますね」

海風「あれおかしくないですか? 洗濯で縮んだなら兎も角自分が大きくなっただけですよ? 」

Littorio「それは……イディオムや表現の類でしょう? 」

海風「その所為で江風に「嫌味か? 」とか言われたんですよ、もうっ」

Littorio「……江風さんも苦労しているのですね」


< 嫌味などではなく純粋に >







漣「いやいやいやいや……そんなLittorioさんにしみじみ言われたら立つ瀬無いですよもう」

Littorio「? 単純に思っただけですよ。含みなどありません」

漣「だからですよ……」


< カップ >







江風「こう、箪笥が二つ並んでるじゃンか」

瑞穂「ええ」

江風「で、まぁ、特に意図したわけでもないけど江風と姉貴、下着の段同じなンだ」

瑞穂「はい」

江風「大体数も同じくらいなわけ」

瑞穂「なるほど? 」

江風「なのにさ、なーンか江風の方だけ隙間があるンだよ。こう、分かるかな」

瑞穂「……体積というか容積というか? 」

江風「ン。……本当ふざけンなって感じだよ、まったく」


< ばいーん >







天城「いっそさらしにしてみては如何でしょう」

江風「さらしィ? ……余計潰れない? 」

天城「別に無いわけでもないのですしスレンダーの方に寄せても」

江風「天城さンに言われても……さらしのときとかあるの? ここに来てから」

天城「ありますよ? これはこれで悪くないものです」

江風「そっか。……………………さらしでそれなのかぁ、くっそ」


< 暑気払いにはまだ早いか >







加賀「ん……暑くなり始めの時期に鍋とは、いいものね」

漣「……何も言いませんよー」

叢雲「あなた」

加賀「何? お鍋はどの季節も美味しいものよ」

叢雲「知ってる。……そうじゃなくて」

加賀「? 」

叢雲「あなたって量を食べたいの? それとも長時間食べ続けていたいの? 」

加賀「む…………」

漣「そんな悩むことかな? 」

叢雲「さぁ……悩む内も黙々と食べている辺り病気にも見えるけど」


< オホーツクよりも宗谷よりも >







提督「列車で好きなの? 俺詳しくないよ」

明石「私だって車みたいにはいきませんよ。見てる専です」

提督「……おおぞら」

明石「スーパーおおぞら? 石勝線? 」

提督「そう。あの山奥をエンジン音、っつーかエキゾーストノート響かせて進むのカッコいい」

明石「いいですねー、私列車なんて乗ったことありませんけど」

提督「乗りたい? 」

明石「まぁ、そりゃ……あんまり人がいない列車がいいです」

提督「北海道来いよ。大概乗ってないぞ」

明石「そんな自虐的な……とかちは? 」

提督「とかちでもいいけど停車駅多いもん。できれば山越えとかで長時間響かせてほしい」

明石「なるほど……これ本気で勉強したら楽しそうですね、会話」


ありがとうございました


< 着付け >







提督「できる人」

天城「できますよ」

瑞穂「当然」

雲龍「まぁ……できるわ」

提督「そうか。……何でお前できるの? 着てなくない? 」

雲龍「乙女の嗜みよ。必須スキルね」






愛宕「つまり私は乙女ではないと? ふぅん? 」

叢雲「乙女らしくなさいな。乙女に見られたいのなら、ね」


< しかし翻ってそう思われたいのかというと >








愛宕「別にいいのよね。あの人にとって愛するのに値するのなら」

叢雲「乙女であれ、あいつにとってだけの娼婦であっても構わない、か」

愛宕「だってそうでしょう? 私が着付けできなかったとしてあの人が嫌ってくれるとでも思うの? 」

叢雲「思わない。……嫌われたいの? 」

愛宕「あるいはね。……だって全部終わらせるいい機会じゃない? あの人も、私も」

叢雲「…………そのときは、きっと」

愛宕「あなたを殺すか私が殺されるか。どっちかよね」

叢雲「……………………」






瑞穂「あんな、お話でしたっけ? 」

天城「そういうお話なんですよ……一度あの人に目を向けてしまったのなら、ね」


< もし世界が…… >







漣「百人のご主人様だったら! 」

雲龍「一晩中どころの話ではないわね」

愛宕「じゃあ、百人の雲龍とあの人だったら」

雲龍「年に何回当たるかしら。……百人の叢雲だったら? 」

漣「うーん……」

愛宕「物凄く健康的になるのか凄まじく怠惰になるのか」

雲龍「面白そうだけど割と普通に収まる気もするわね」

高雄「…………案外と享楽に耽るような……いえ、あの人が叢雲さんをどのように見ているかなんて分かりませんけれど」


< 破って越える >







雲龍「よく考えてみると叢雲や漣って適齢? 」

天城「はい? 何の適齢ですか? 」

雲龍「膜破るの」

天城「」

雲龍「違う? 」

提督「まぁ、恋して綺麗になったあいつらも見てみたいけどな……なんか嫌だ」

雲龍「男を知ったあの子たちなんて、すぐに見られるのよ? 」

天城「…………__さん」

提督「……俺がヤるってことでもなくてね……信じられないかもしれないけど、俺以外に恋してほしいよ、お前たちも含めて」







漣「でも、ご主人様以外いないよね、ライン越えるなら」

叢雲「…………随分と微妙な話ね、割と誰にとっても」


< あるいは跨ぐのか >






愛宕「でもあの人叢雲と漣ならいつでも拒めないって言ってたわよ? 」

漣「うーん……そうでしょうけどね」

叢雲「どうもタイミングを逃しているのよね。私的にも、あいつ的にも」

天城「それでいいと思いますけれど……天城はお二人や瑞穂さんが少し羨ましいですよ」

雲龍「私は御免だけれど……そうね、理解はできる」

高雄「…………十分お二人とも大人だと思いますけれど」

加賀「知らないことを知ろうとして、ってことなのじゃなくて? 」

Littorio「…………これ以上増えても誰も何も思わないと思いますけれど……でも、違うのですよね、あの人や叢雲たちにとっては」


ありがとうございました


< 六月二十九日 >







明石「誕生日、誕生日か……忘れてた」

瑞穂「相変わらずですね。興味の薄いものには注意が向かないというか」

明石「や、興味は物凄くあるというか敢えて考えないように楽しみにしているというか……あのね」

瑞穂「うん? 」

明石「瑞穂さんやここの人たちの誕生日なら、覚えてますから」

瑞穂「そうですか。…………明石さん」

明石「はい? 」

瑞穂「自分の身体、大切にしてくださいね。瑞穂が壊れない為でも構いませんから」

明石「……………………ええ、きっと」


< おーるすたー? >







鈴谷「山城がどう思うかは別としてさ」

あきつ丸「あぁ」

鈴谷「所謂初期メン、って提督、高雄さん、愛宕さん、龍田、山城、扶桑、あきつちゃんだよね」

あきつ丸「さて……まぁ、言いたいことは理解できる」

鈴谷「それから加賀さんとか明石とか金剛とか鈴谷とか赤城さんとか時雨とか浜風とか春雨とかあと何人かが増えて」

あきつ丸「……中心がふいといなくなったのでありますな」

鈴谷「そうそう。……ずるいよね、そんなの」

あきつ丸「まったくもって」

鈴谷「…………」

あきつ丸「…………」

鈴谷「…………その最初期にいたとしてさ、鈴谷にも可能性、あった? 」

あきつ丸「億に一つ程度ならば。
……………………しかし、自分はその黄金期、とさえ言えるときにいられただけで満足でありますよ」


< 殊更に冗談めかして >







龍田「山城もそれくらいは認めると思うけど? 」

鈴谷「あきつちゃんの言うところの黄金メンバー? 」

龍田「そ。……あれ、寂しがり屋だもの」

鈴谷「龍田みたいに? 」

龍田「そ、私みたいに」

あきつ丸「……扶桑が沈んだとき、どうなるでありますかね」

龍田「死ぬでしょ。物理か精神かは兎も角」

あきつ丸「狂っても狂っても修復される自分にあるいは絶望するのか」

龍田「ま、そんなこと、私がさせないけど? 」

あきつ丸「ハンッ」






鈴谷「…………龍田が目の前で自分の犠牲になったって同じことだと思うけど、ね」


< 緊張とハイの狭間、あるいは自棄 >







提督「さてさて……お手並み拝見」

明石「シートベルトはOKですかー? 」

提督「あぁ」

明石「それではそれでは出発と参りましょー、一名様ご案なーい」

提督「…………」

明石「…………」

提督「…………何か乗ってるだけって、変だな。しかも誕生日の相手にその日のコース決められてるなんて」

明石「でしょうね。しかもそれが、私ですから」

提督「うん。…………そういう変化好きだけどさ」

明石「はい」

提督「あの妙なテンションはやめてくれ。普通のお前がいい」

明石「…………」


< スポーツとかだとまた違うのかもしれないけど >







愛宕「うーん……これあんまり好みじゃなかったわね」

高雄「冷製パスタ? 」

愛宕「折角明石の誕生日だし新しいもの出したんだけど……味、濃いわ」

高雄「別に私は嫌いじゃないけれど」

愛宕「そ。……どうも洋食は苦手ねぇ」

江風「こンなンで苦手とか言われてもね……加賀さン」

加賀「何かしら」

江風「加賀さンって何で和食も洋食もできンの? そりゃ高雄さンたちも大概だけど」

加賀「才能」

江風「は? 」

加賀「だから才能。私、努力は惜しまないけれど必要以上に努力するのは嫌いなの。
そのパスタ、要らないなら頂戴」

Littorio「そんなものですよね。……自分の得意分野、なら」


< 一応愛について何とか言おうと >







提督「大体ね、酒なんて値段じゃないんだよ」

明石「それあなたが言っていい台詞ではないんじゃあ」

提督「ってもね。……俺大概ニッカ好きだけどさ」

明石「ええ」

提督「ニッカより高くて美味いウイスキーなんてそれなりにあるだろう? アイラのなら特に」

明石「はぁ」

提督「でもさ、思い入れが違うから。補正で舌誤魔化してるとか言われたら反論できないけど」

明石「なるほど。……で? それが私への気持ちにどう関わるんで? 」

提督「…………」


< 一面しか持たない存在など >







天城「そんな愛されている実感イコール生の実感だなんて、まるで

加賀「依存? 」

天城「……ええ」

加賀「その認識で合ってるわよ。私は罵倒も嘲笑も受け入れます」

天城「…………度し難いですけれど、きっと天城も同じ、なのですよね」






江風「だとして加賀さンが罵倒とか嘲笑許すとは思えないけど? 」

叢雲「それはまた別の話でしょ」

漣「愛についてか、誇りについてかだもんねー」


< 走り出す心にブレーキは無粋だから >







明石「明日は早いですよ? サーキットの予約してるんですから」

提督「オレのコルベットだけだけどいいの? 」

明石「いいんです。あなたと行くだけで」

提督「そうかい。……走行なんて久々だなぁ」

明石「私は初めてですよ。……なので」

提督「うん? 」

明石「…………今の熱、冷ましてください。このままだと私、ハンドル握れません」

提督「ん…………」

明石「ンン……ぁむ……ャ…………はぅ! 」

提督「そのまま溶けるかもしれないけど……ん……そのときは、許せよ? 」

明石「は、ぃっ、ぁ…………


ありがとうございました


< 心地良い疲れではあるけれど >







提督「ぐっもーにんあかーし」

明石「おはよう……眠いんですね」

提督「あぁ……もう何か異様に眠い」

明石「飲み過ぎじゃないです? 」

提督「抑えたつもりだけどなぁ」

明石「……まだ寝れますけど」

提督「朝食抜けばな。……サーキット行く途中に適当に買うわ」

明石「ええ」

提督「お前は食べてきていいぞ」

明石「行きませんよ一人でなんて。一緒に寝ましょう? 」

提督「……ん」


< 女は二度死ぬ >






龍田「運命の男に惚れたときと、最期のとき」

時雨「男は? 」

龍田「一度、あるいは二度三度」

時雨「? 」

龍田「文字通りの最期か、女に捨てられて運命だと気付いたときと、背中に女を背負うとき」

時雨「…………」

龍田「って例の大佐殿が言ってたの。お酒の席で」

時雨「提督みたいなこと言う人だね」

龍田「そうね。…………だから嫌いなのかしら」


< あなたに私を疑われるなんて耐えられないから >






山城「ちょっと待ちなさい。お酒の席? 」

龍田「ええ、知らない? あの大佐殿最近は時々取り巻きと立食会みたいなことしてるのよ」

山城「それは知ってるわ。……行ったの? 」

龍田「誰だったかは忘れたけど駆逐の子が呼ばれて天龍ちゃんがその子に断れなくて助けてくれ龍田ー、って流れ」

山城「そ。…………本気であれの取り巻きになったら」

龍田「うん? 」

山城「きっといつまでも軽蔑するわ、私。目も合わせないし声もかけない」

龍田「まぁ、私もあなたと立場が逆だったら……ねぇ」

山城「何よ」

龍田「……見縊らないで。仮令一般的には馬鹿な判断でも私、自分の心に嘘は吐かないの」

山城「…………」

龍田「…………」

時雨「…………そんな怖い顔するような話、してたっけ? 」


< 茶でもしばきつつのんびりと >







愛宕「今頃何してるかしら」

高雄「走らせてくるとか何とか明石さんは言ってたわ」

愛宕「じゃあ、サーキットか峠か……あの人いるしサーキットね」

高雄「あぁいう所って素人でも走らせてくれるの? 」

愛宕「さぁ? でもあの人たちが言うんだから行けるんでしょう」

高雄「そうね。…………事故らないといいけれど」

愛宕「本当、そうねぇ。やっと最近あの車にも愛着湧いてきたのに」


< 金×趣味×愛 >






高雄「愛着? 」

愛宕「湧かない? 何度も自分とあの人を遠くに連れて行ってくれてるって考えると」

高雄「なるほど……確かにそう言われてみると」

愛宕「あれでもう少し乗れると家族っぽくなるんだけど」

高雄「それは……次の誕生日にはワゴン車でも贈る? 」

愛宕「いいけどあの人それすら好み五月蝿いわよ? 今のは何回も何回も聞いてたから買えたけど」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………普通悩み的には、逆よね」

愛宕「…………そうね」


< どこまでもどこまでも >







提督「やだなー、あれ。ドリ車の近く走りたくない」

明石「いいじゃないですか。そんな下手な走りにも見えませんよ」

提督「つーか個人的にあれやだ。スープラとか誰が乗ってもカッコいいもん頭おかしい」

明石「2JZ-GTEに文句でも言うんですね。……そーいえば」

提督「うん? 」

明石「このコルベットって大したチューンしてませんよね」

提督「まぁ、普通乗りだし。…………したい? 」

明石「そりゃあもう」

提督「いいけど」

明石「え、いいんです? 訊いといてなんですが」

提督「お前が買えば、いいよ? 一緒にここまた来てくれるなら」

明石「そんなのむしろこちらからお願……うーん、そう言われると悩みますねぇ」

提督「早く買えよなー、っと近付くのは嫌だけど抜かれるのも嫌なんだよなっ、と」


ありがとうございました


< キミの胸に 激しくオーバーラン♪ >







雲龍「ん…………おはよう、あなたまた来ていたのね」

天城「おはようございます。……その子、どこから入ってきたんでしょう」

雲龍「窓でしょう。そこしか開いてないもの」

天城「それはそうですが…………ここ四階ですよ? ベランダ擬があるとはいえ」


< んでっ! んでっ! んでっ!♪ >






天城「いや、そもそも鍵が開いているとはいえその窓網戸になってましたけれど」

雲龍「それで? 」

天城「はぁ? 」

雲龍「逢いたい相手がいてその程度が障害になるの? 」

天城「……はぁ? 」


< シッポのある女の子には♪ >






雲龍「そもそも仔猫とはいえもう成猫に近いのよ? 」

天城「そんな成猫なら楽勝、みたいなことないでしょう」

雲龍「大人の女になるってこと、あなたもう一度思い出してみなさい」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………なるほど」

雲龍「ええ」


< まぁるい世界を巡り巡って >






天城「、ということがありまして」

Littorio「女の話は分かるとしてそれに同意した天城も大概おかしいのでは」

天城「え? 」

Littorio「…………はぁ」


< 気にする人は気にするんですよ? >







加賀「あなたって初めは海風や江風からちゃん付けで呼ばれていたわよね」

叢雲「ええ」

加賀「でも最近割と呼び捨てだったりするわよね」

叢雲「そうね、それで? 」

加賀「…………コツとか、無いのかしら」

叢雲「…………は? 」


< 人徳というと多少納と……くできないか >






叢雲「いやそんな……雲龍姉妹にさん付けされたくないとか言われても」

加賀「割と切実なのよ。ここだと呼び捨てで私を呼ぶのはあの人とあなただけだし」

叢雲「ここだと、というか他は? 」

加賀「龍驤と五航戦の片割れと……………………あとは……

叢雲「もうあなたそれキャラみたいなものじゃない、諦めなさいよ」

加賀「でもあなたもそういうところあるでしょう? 」

叢雲「私はいいのよ。別に何て呼ばれようと私は私だし」

加賀「それはそうなのだけれど…………あっ、あとLittorioだとか海外勢も呼び捨

叢雲「あなたそれたぶんあっちだと普通だって分かってるでしょ? 」

加賀「…………」


< それこそ滲み出るキャラクターかな >







叢雲「あ、でもあなた、キャラかどうかは兎も角として鳳翔さんだって呼び捨てなんて士官くらいじゃない? 」

加賀「あのね、誤解しないでほしいけれど、彼女と同じ扱いってどうなの? 」

叢雲「…………あぁ」


< 金大堅みたいな人かな? >







漣「二重人格の人がいたとして」

叢雲「ええ」

漣「筆跡って二人分あるのかな? 」

叢雲「難しい疑問ね……身体的な限界は別として能力的なものが違うわけなんだから、二人分なんじゃないの? 」

漣「でもそれって脳が耐えられるのかな? 本当に二重人格だったとして」

叢雲「あなたは二重人格に懐疑的なわけ? ……あきつ丸が」

漣「あきつさんが? 」

叢雲「『筆跡なんてものはようは絵が上手ければいい。できる人間ならばどうとでもなる』、って言ってたわ」

漣「ただの馬鹿っぽいけど…………茶化したら聞きたくないことまで聞かされそうだなぁ、ヤダヤダ」


< それはそれは深い頷きを >







龍田「いつだったかにあなたと扶桑じゃあ子供は見込めない、みたいな話したわよね」

山城「ええ」

龍田「それからあなた、扶桑の娘が扶桑に似て健気で嫋やかな、それでいて芯の強い子になるだろう、って言ったら」

時雨「葛藤を始めて殻に籠ったのかい? 」

龍田「そんな生易しいものではなかったわ。……それでね? 」

山城「……まだ何か? 」

龍田「あなたと扶桑って割に似てるし、あなたの子供も十分扶桑に似るかもしれないと思わない? 」

山城「……………………………………なるほど」

時雨「……やめてよね、山城に変なこと言うの」


ありがとうございました


< 救いなど有りはしないという無間救済 >






雲龍「七夕に私なんかと外に出ていいの? 」

提督「何が? 」

雲龍「分かるでしょう? 」

提督「…………俺、こう言うの嫌いだけどさ」

雲龍「ええ」

提督「それに俺は女の子に酷いこと言いたくないけど」

雲龍「知ってる。……言い訳はもういいわ、言いなさい」

提督「…………お前らはお前らだろう? 楽しんで何が悪いんだ? 人外っていうんならその分楽しんでいいだろう、法になんか縛られずにさ」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………天の河になんか祈らない、あなたに縋れるもの」

提督「ばーか……………………本当に、莫迦だよ、お前は」


虚覚えで適当に言うからこうなるんですねぇ……
水滸伝なんて前にはいつ読んだのか

ありがとうございました


< クロサイとかオサガメはどうにかしてほしいね >








加賀「絶滅動物といえば、と訊かれたときに」

雲龍「私はステラーカイギュウと答えた記憶がありますけれど」

加賀「ええ。……美味しかったのかしら」

雲龍「それで乱獲されたのでは? 」

加賀「まったく誰も得をしない話よね。
もう少し何とかしていれば今頃水族館にもいたかもしれないのに」

雲龍「そうですね。……加賀さんはどんな? 」

加賀「ドードーね。イラスト、可愛らしいでしょう? 」

雲龍「はい? 」

加賀「? 」

雲龍「…………冗談ですよね? 」

加賀「え? 」


< 今度は本当に冗談 >







雲龍「……まぁ、どうせ絶滅させるなら蚊だとか蝿を絶滅させるべきですよね」

加賀「ええ、本当に」

雲龍「やっぱり製薬会社だとかが裏で動いたりしているんでしょうか」

加賀「さぁ……でも」

雲龍「? 」

加賀「蝿、というか蛆虫ってタンパクがあって栄養価的にはいいのよ? 繁殖用キットも販売されているし」

雲龍「…………」

加賀「…………」

雲龍「…………」

加賀「…………割と冗談の類なのだけれど……あなたにそんな顔をされると、少し、辛いわ」


< ある種ボケの回帰 >







天城「納豆の日、ですね。そういえば」

加賀「だからといって食べるでもないけれど」

天城「今日は朝も昼も洋食でしたから」

提督「納豆の日なんてやるならノーブラの日にしろよ。昨日だけど」

天城「……今、サラシですよ? 」

加賀「私も。時々弓を引くときはそうしているの」

提督「へぇ……いや、別にだからどうだというわけでもな

雲龍「あ、私も今ノーパンね」

提督「…………」

瑞穂「そんな今思い出した、みたいな……」


ありがとうございました


< さぁ? >







提督「たーだいま。行ってきたのそこのコンビニだけど」

高雄「おかえりなさい。わざわざ何を? 」

提督「これ」

高雄「うん? 」

提督「煙草。まぁ、ちょっと違うらしいけど電子たばこってやつ、IQOS」

高雄「名前は知ってますけど……ふーん? 」

提督「ん」

高雄「それで満足できるの? 」

提督「たぶんできない」

高雄「そう…………なのに何でそういうの、買うんですか? 」


< 価値という矛盾点 >







雲龍「いい? 私にとって心の深いところまで愛されるのと、
身体の隅々まで痛みつけられるのは等価値なの、それだけであとは普通」

明石「普通の人に謝った方がいいと思いますけど」

江風「純愛と凌辱が等価値ねぇ」

雲龍「大体純愛なんて片方がそう思っていればそれで完成なのよ」

加賀「それは偏愛だとか一方通行と呼ぶべきだと思うけれど」

雲龍「だって私と彼の関係は普通じゃないですし」

加賀「それもそうね」

江風「普通……? 」

明石「まぁ、それが矛盾に聞こえるうちは…………幸せなんじゃないでしょうか……ははっ」


< 堕ちるという幸福に是非など >







時雨「あのさ、考えてみれば山城や龍田もこの姿に生まれ落ちたときはもう少し純粋だったんだよね」

若葉「うん? 」

時雨「こんな生活を何年も続けて、どんどん擦れていったんだ」

若葉「それは……そうだろう。若葉や時雨も、そうだ」

時雨「うん、勿論僕だって自分を除くつもりはないよ」

若葉「……それで? 」

時雨「あるいはそのときなら提督のことも純粋に、拒めたのかなって」

若葉「あぁ……」

時雨「ね? 」

若葉「そうだな。……それで? 」

時雨「意味なんて無いよ。それだけ」


< 大体いつもこんな感じ >






雲龍「…………青い」

天城「空ですからね。晴れていれば大概は青く見えます」

雲龍「…………腕や脚を修復する為に虚数空間から何がしかのエネルギーを取り込んでいるのなら」

天城「え、ええ」

雲龍「逆に腕に集中させれば破裂でもするのかしら」

天城「知りませんけれど……試してみては? 」

雲龍「何故? 」

天城「何故、って……」

雲龍「あの人が哀しむことは、しない」

天城「はぁ」

雲龍「…………シシカバブで美味しいのかしら」

天城「さ、さぁ……ーーーー


< どの口が >







愛宕「んー……無い」

高雄「はい? 」

愛宕「あるはずなんだけどー……無いの」

高雄「リップか何かのこと? 」

愛宕「んーん、裏帳簿」

高雄「は? 」

愛宕「金庫の裏の金庫に入れてたでしょう? あなた出した? 」

高雄「いいえ。……無い? 」

愛宕「あの人が持ってるといいんだけど……何処? 」

高雄「工廠。まぁ、持って行っていてもおかしくはない場所だけれど……」

愛宕「そうね。…………忍者さん? 」

高雄「私も気配は感じませんよ。…………でも、私のこと忍者って言うの、やめない? 」


< 聞きたくない >







提督「分かったか? 大した額じゃねぇの。お前が心配することは無い」

明石「はぁ、これ大した額だと思いますけど」

提督「たかが魚雷が二つ三つ買えるくらいの値段だぞ」

明石「だからそれ明らかに……いや、まぁもういいんですがね」

提督「あぁん? 」

明石「それ、持ち出すこと自体危険でしょう? 戻してきてください」

提督「そうか」

明石「ええ。……………………まさか殿下とかは兎も角として露骨に陸軍内の協力者の名前聞かされるとは思わなかったなぁ」


< きっと続かない >







漣「さーて、今夜から始まりました! 漣ちゃんのーみっどないとれぃでぃお」

提督「何だ馬鹿。いい気分で酔ってるのに変なことするんじゃねぇよ」

叢雲「ラジオ形式だけどあなたそれカラオケ用のマイクに喋ってるだけじゃない」

漣「まずはテンプレが無いのでお便りから始めていきます、どうぞ」

提督「は? 無視か? ってーかお便りとかどうすりゃいいんだよ」

漣「諭吉くらい持ってるでしょ? ささっと書いて、渡して」

提督「それ法律違反だから。……しゃーねーな、名刺に書いてやる」

愛宕「名刺にコメントとかホストか何か? 」

漣「はーいどーもぉ! …………えー、ラジオネーム女衒さんからのお便り」

加賀「自虐? 」

提督「んなこと書くかよ……」


< いや、耳年増なんてことは絶対に無いがね? >







明石「雲龍さんって確かに性獣ですけど」

天城「ここまで同意したくない言葉も中々……ええ」

明石「ここで一番その、テクニック的なのが凄い人って誰なんでしょう」

天城「愛宕さんでは? それか高雄さん」

明石「単純な経験ですか? 」

天城「言い方は悪いですがその分あの人もおしえるでしょう? あれこれと」

明石「ですねー。ってことは雲龍さんの普段の言動って割と滑稽? 」

天城「……」

明石「……」

天城「……言って差し上げてみては? 」

明石「まさか」


< 振れ幅 >







山城「閨怨を背にして喫むのが一番だ、とかいう男が信用できるものですか」

扶桑「別に捨ててはいないと思うけれど」

山城「ある種一晩一晩更新されているようなものでしょう、女からすれば」

扶桑「……」

龍田「ヤった後にしか殆ど吸わないものねぇ」

時雨「あとは付き合いか、よっぽどのことがあったか」

山城「どっちも嫌ね。良いことにしても悪いことにしても」

扶桑「? 」

山城「上機嫌なあの男も、あの男が苛つきを隠せないときも、私は見たくありませんから」

時雨「なるほど」






春雨「お酒飲むとさ、山城さんって司令官のことばっか言うよね」

浜風「まぁ……本人に言ったらうんざりするほど飲まされるて意識を落とされるくらいには無自覚でしょうけど」


< 素面じゃあ、中々ね >







明石「海風さんってあの人のどこを好きになったんでしょうね、割と分かりません」

江風「さぁ……明石さンは? 」

明石「私はまぁ、付き合いもそれなりですから」

江風「知ってる。どこ好きになったの? 」

明石「長い時間で、というかなんというか」

江風「うン、それで? 」

明石「…………」

江風「…………」

明石「…………何故、頑なに訊いてくるんです」


< どっちなのかともになのか >







江風「や、江風も知らないからさ。姉貴の気持ちなンて」

明石「だからといって私の……まぁ、いいですけど」

江風「ン」

明石「……ずっと、優しく見つめてくれるところです。私がまごついても、待ってくれて。……月並でしょう? 」

江風「いいじゃン。愛には特別なものが必要なの? 愛自体が特別だろ? 」

明石「そう、ですね、ええ、そうですとも」






瑞穂「江風さんがもう少し年嵩に見えたら……いやいや」

Littorio「あなたが? それともあの人が? 」

瑞穂「それは勿論ーーーー



< 誰だと思う? >






若葉「あんな愛想笑いだけで済ませてしまうなんて、赤城さんらしくない」

赤城「さぁ……でも私は何も言いませんよ。陰口なんて、流儀じゃないですから」

若葉「それは、一面では正しい認識だろうが」

赤城「はい? 」

若葉「赤城さんが嫌いなのはそうなってしまった自分ではないのか? 」

赤城「ーーーー」







龍田「で、何? 赤城さんがあんな顔するって」

時雨「……とある子が料理をしてさ、単純に不味かったんだ」

龍田「それだけ? 」

時雨「うん。……むしろそれだけだからあんな顔できるとも言えるけど」


< ガチで犯罪だから、本当マジで >







雲龍「女子高生は女子校生でよくなるけれど」

加賀「あなたはまた何を言い出すのよ」

雲龍「中学生や小学生はどうすればいいのでしょうか」

加賀「……そもそもどんな言い訳をしても犯罪ではなくて? 」

雲龍「! はっ」

天城「そんな気付かなかったみたいな顔……姉様、女でよかったですね」


< 夜半遅くに >







提督「それはさすがに指揮権の拡大解釈ではないでしょうか」

加賀「知らないわ、そんなこと」

提督「……艤装落としてぶち抜いた床の修理なんて命じられるのか? 陸軍に、俺が」

明石「私やあなたでも直せますけど……とりあえず丁度いい板は用意しないと」

加賀「業者でもいいけれどここは一つ怠惰で無能な陸軍に仕事でも与えてやるべきかと」

提督「……まぁ、やってくれはするし下がる評価も無い、無いが」

明石「……陸軍の方と何かあったんですか? 加賀さん」


< こんな八つ当たり >






加賀「ひとが自販機で飲み物を買うのをまるで幽霊のように」

提督「そりゃお前……あっちのイメージは新年の会場したときのだろうよ」

明石「あぁ……和服にして髪もアップで留めて愛想笑いと気持ちよくさせる会話のできる麗人」

加賀「そんなのただのレッテルじゃない」

提督「正論だけどさ……お前はもっと自分のイメージが固定されやすいこと、思い出した方がいいと思うよ」


< 重複 >







Littorio「彼女はいますか? 」

提督「いる」

Littorio「奥様はいますか? 」

提督「ん、いる」

Littorio「それでは彼氏は? 」

提督「いません。いたことも無い」

Littorio「愛人は? 」

提督「どう取るかによるけど、まぁ、いる」

Littorio「それなら最後、その中でどれが一番大切? 」

提督「奥さん、だけど、うーん……うん? 」


< そうではないと思いたいけれど >







龍田「どうせ化け物なら性別なんて無ければよかったのに」

山城「は? 」

龍田「女しかいない、なんてのがおかしいのよ。性別が一つならそもそも全く姿形が違えばよかったのよ」

山城「それか両方の特質を備えているか? 」

龍田「そうそう」

山城「まぁ、私はそれでも構わな……筋肉達磨な姉さまなんて嫌よ」

龍田「それでもあなたは慕うと思うのよねぇ……」


< 滅茶苦茶萎えてヤりたくなくなる >







漣「ような会話をしまくればいいんじゃないでしょうか! 」

提督「や、別に雲龍とヤりたくないわけじゃないんだけど」

漣「いちいち俺の魚雷舐めてよぉ、とか燃料が漏れてるぞぐへへへ、とか言えばいいんです」

提督「キモ過ぎるだろうが……そもそも」

漣「はい? 」

提督「愛に、言葉は、要らない」







愛宕「の割に嬲られるわよねぇ、言葉で」


< 遅過ぎたのか早過ぎたのか >







愛宕「海風が一番抱かれる可能性高かったのって絶対ここにきたばかりのときよね」

高雄「……そんなこと海風さんには言えないわ」

愛宕「言うつもりなんてないけど……でもまだ遊びで抱ける、みたいな軽口が出てたのよね」

高雄「あぁ、軽口を冗談から真実に変換できる人間で

愛宕「後から嘘に気付く、みたいな人間」

高雄「……」

愛宕「……」

高雄「……言えないわね」

愛宕「だからそう言ってるじゃない」


< 『風と共に去りぬ』 >







龍田「また趣味悪いもの観てるわね」

WS「好きなのよ。好きなものを楽しんで何か悪いの? 」

龍田「悪いなんて。……アメリカのものなんて観ても楽しめるの? って」

WS「当然でしょう? 娯楽に差別は要らない」

龍田「その映画思いっきり差別の塊だけど? 」

WS「もう一度言うわ。娯楽に、差別は、要らない」

龍田「? ……あぁ」

WS「全ての人が楽しめる娯楽なんて存在しないのだから、
些細な配慮で一人一人の楽しみを貶めるなんてナンセンス」

龍田「そう……そうね、今のは私が間違ってた」

WS「ええ。……スコーンとブランデーはいかが? 」


< まぁ、問題が無いというわけでは全然無いけど >







山城「……さらっと些細とか宣ったけどあれはいいの? 」

GZ「他意など無いだろうさすがに」

山城「白人様の言うことよね? 」

GZ「その中では私たちも人外の差べ……世の中には逆差別だとかもあるのだが」

山城「知ったことではないわ。私たちが人間を差別したところでどうにもならないもの」

GZ「数の少なさ故に、という感じだな」

山城「インディアンと黒人の数の差、みたいなものよ。減らしておいてよかったわね」

GZ「」

山城「あなたの邦じゃあ絶句しても仕方無いか。
でもSaratogaが言ってたんだから私が責められる謂れは無いわよ? 」


< 同族嫌悪って割とできないし自覚できないもの >






GZ「そ、そもそも私はこういう話を賢しらに語りたくはないんだ、あぁ」

山城「あら、私もよ? 」

GZ「…………」

山城「ただ単に私があれ嫌いなだけ」

GZ「『風と共に去りぬ』、か。私は内容を知らないな」

山城「知らなくてもいいわよ。クズしか出ないわ」

GZ「山城はそちらの方が好みそうだが」

山城「クズにもベクトルがあるのよ……忌々しいことに」


< こういうところのそういう人と >







漣「人殺しの……うん、他者殺しの漣はきっと地獄に行くでしょうけど」

提督「うん? 」

漣「仮に地獄の存在が証明されたら自殺者って減ると思いません? 」

提督「それは現世よりも地獄的なのか? 」

漣「そりゃあまぁ、地獄という意味での文字通り地獄ということで」

提督「減るんじゃねぇの? かといって善行や努力が増えるとは思えねぇけど」

漣「無気力人間でも増えますかね? 」

提督「さぁ? 反出生主義でも流行るんじゃないのか? 」

漣「知りませんけどね。……地獄、あってほしいですか? 」

提督「お前にまた会えるならあってもいいかな。単に苦しいのは嫌だ」

漣「そうですか。…………お酒、たぶんありませんよ? 」

提督「それで? 」

漣「…………」

提督「…………うん? 」

漣「はぁ…………なんで、なんで全く動揺しないで真顔なんですか? 」

提督「そりゃあお前本音だからだろうが。……文句でも? 」


ありがとうございました


< 下半身の感覚が薄くなるのはまだまだマシな >







愛宕「あ、そうそう! ギブなら言ってねー」

提督「ギブ、もう無理ギブ」

愛宕「そ」

提督「おいっ、やめねぇのかよ」

愛宕「ギブって言えばやめてあげるなんて言ってないし」

提督「オレみたいなことを言うな」

愛宕「あなたに躾けられたから」

提督「そうか。…………そうかもだけど、無理。もう無理だから。
何で早く寝室入ったら入った分だけ搾り取るの? 馬鹿なの? 」


< 天下三分の計は結局破綻するのだが >







天城「二分された天下と朝貢というか」

海風「むしろ三分されるだけの方が楽だったんじゃないですか? 」

提督「……ノーコメント」


< 虚を突かれる>







明石「もし自分がメイドや女中だったとして主の呼び名は? 」

愛宕「ご主人様? 」

漣「ご主人様、ってーかまぁ普段も大体そうですけど」

天城「旦那様? 」

高雄「ファーストネームに様付けでは」

雲龍「寝所でだけ名前呼びなのね? 」

叢雲「無駄に雲龍だけ可愛らしい、のは置いておいて何?
あなたあれを仕える相手だと思っ……何か琴線に触れられた顔ね」


< そんな存在を対等に扱うというそのギャップがまた >







愛宕「あなた、貧乏性って設定あったじゃない」

雲龍「設定とか言わないでくれる? 」

愛宕「その割にそんなスタイルなのよね」

雲龍「設定だとかを認めるわけじゃないけれど……」

愛宕「ええ」

雲龍「虐げられる貧乏娘としてはこの上無くそそられるでしょう? 」

愛宕「そうなの? 」

提督「そりゃあ…………男の子、ですから」


< 大切にされる道具か蔑ろにされるペットか >







鈴谷「鈴谷たちって一応商品なわけじゃん? 」

龍田「商品じゃなくて道具でしょう。商売道具」

山城「随分と下世話で卑猥な、と思ったけれど、そうね。正しく道具」

龍田「人形よ、人形。洗脳されて同じことしか考えられない生きた人形」

鈴谷「そんな難しい皮肉とかじゃなくて備品っていうか調度っていうか……鈴谷も上手い言葉見つからないけどさ」


< おのれ己! >







龍田「ま、もっと量産して、本当に兵器っぽくなったら商品価値も出てくるでしょうけど? 」

山城「そうね。今は高過ぎて使いにくい政治的カードってところ? 」

龍田「龍田其ノ壱、龍田其ノ弐、なんてなれば他国に売ることもできるわねぇ」

あきつ丸「自分や山城にとっては想像するだに不愉快な光景だが……
むしろ龍田自身が殺し合いそうな気もするであります」


< 共感と疑いと確認と >







雲龍「痛みと快楽っていうのは殆ど紙一重なのよ? 」

海風「知ってますけど。……どしたの? 」

江風「いやいやいや、姉貴、待って、待ってマジ待って、頼むから」

雲龍「? 」

海風「? 」

江風「知ってますって何だよ。共感する程のことなンてまさか、やってないよな? な? なぁ? 」


< 傾向 >







漣「不人気キャラとか好きになって通ぶるなとか言われるヒトです」

明石「同志は多いけど拘りが強過ぎて結局は一人な世界にいるヒトです」

提督「人気でも不人気でもない微妙なラインのキャラを好きになる人です」

高雄「好き嫌いがはっきりする人を好きになったヒトです」

愛宕「なるほど……私はどれにもツッコまないわよ? 」


< 本来は真剣にやればできるものではないのだが >







鈴谷「射た矢にもう一度当てるのって継ぎ矢、っていうので合ってる? 」

あきつ丸「そうでありますよ」

鈴谷「さっき初めて見たんだけどさ。あれって超難しいんでしょ? 」

あきつ丸「難しいという言葉で括れない程度には。
そもそも意識してできるものではあるまい」

鈴谷「だよね。……三段もできるものなの? 」

あきつ丸「何を見てきたかは知らないが……赤城なら、できる。それだけであります」

鈴谷「そ。……たかがおやつ選ぶ権利であそこまで真剣にやる方がおかしいと思っただけなんだけどね」


< リスナー? ラジオネーム? >







漣「さーて今夜もぉ、漣ちゃんのみっどないとれいでぃお! 」

提督「たりぃなおい」

高雄「何ですこれは」

漣「本日は何とぉ! 二回目にしてリスナーさんからのお便りがきちゃってます! 」

叢雲「鬱陶しいくらいハイテンションね……眠いわ」

漣「ラジオネーム“ 恋する女の子 ”さんからのお便り」

雲龍「私じゃないわね、それなら」

天城「年齢ですか? 」

江風「いや、そもそも自分で出したかどうかくらい分かるだろうが! アホかよ」


< CMのお時間です >







雲龍「アホ? いいえ、色惚けです」

叢雲「馬ッ鹿じゃないの? そんなの言うまでもないわ」

瑞穂「……それはそれでどうなのです」


< 欲しいだけか、独占欲か >







漣「“ 振り向いてほしい人がどうしても振り向いてくれません。
何もかも捧げてもいいのに、相手もそれを分かっているのに。
どうしてかを理解はしているつもりですがそれでも実際は分からないです、分かりたくないです。
私はどうしたらいいと思いますか? ”」

提督「……」

加賀「あなた? 」

海風「さぁ? 」

Littorio「海風か他の誰かかで物凄く意味が変わりますね」

提督「……」

明石「高雄さんと愛宕さんか他の人か、でもですねぇ」

高雄「皆さん他人事のような…………いえ、あるいは探偵役が犯人、ということもありえますが、さて」


ありがとうございました


< 属性をお一つ >







漣「学生? ……そこ、生徒だろって顔しないで」

叢雲「ツンデレって言ってほしいの? 馬鹿? 」

天城「和装? 」

雲龍「ミステリアス? 」

加賀「……無口? 」

Littorio「この国であれば外国人というだけでキャラ、なのですよね」

高雄「えーっと……秘書? 」

愛宕「私は何にも……そもそも皆軍人でしょ? 十分キャラっていうか属性? じゃないの? 」


< 言われて嬉しい人に近寄りたくないことは確か >







雲龍「あなたには少なくとももう一つあるでしょ、ロリ」

漣「BBAとは言いませんけど漣自分のことロリっていうのそれはそれで嫌なんですよ」

雲龍「どうして? 」

漣「どうしてって……どうして? 」

海風「あの人が愛してくれない理由になっちゃうから」

江風「年確とかされそうだから」

叢雲「笑っちゃうからよ。こんなガキ、もしいたら願い下げだわ」

雲龍「そう……どうして? 」

漣「うーん…………どうしてでしょう? 」


< 懐に、堕ちる >







Littorio「……ね」

提督「うん? 」

Littorio「あなたの鼓動、まるで平常心ね。こんなに、強く抱き着いているのに」

提督「そりゃあね、Littorioが側にいるのは当たり前のことだから」

Littorio「ふふ……酷い、男ですね。隣とは、言ってくれない」

提督「……言えないから」

Littorio「ええ。…………ね、聞いてください」

提督「あぁ」

Littorio「Littorio、きっと、いえ、絶対にあなたのこと、忘れません」

提督「……」

Littorio「どんなことだって、そう、この鼓動の響すら、永遠に」

提督「……」

Littorio「約束します、Littorioは、あなたより先には、死にません」

提督「…………」

Littorio「Littorioはあなたの全てを忘れません、でもその代わり、あなたが死ぬ秋は

提督「言わせない。俺はお前より長生きするから」

Littorio「ん……」

提督「憎まれっ子世に憚るって言葉、知らない? 」


< 努力は裏切らない >







若葉「裏切られた、と感じたときはそもそも努力が味方ではなかっただけだ」

鈴谷「じゃあ、味方に付けるにはどうしたらいーの? 」

若葉「続けるか、諦めるか。どちらかしかない」

鈴谷「なるほど。つまりこの世はくそったれってことだね? 」

若葉「あぁ。……鈴谷さん」

鈴谷「うん? 」

若葉「鈴谷さんにはそんな言葉、使ってほしくないな」

鈴谷「え? 」

若葉「若葉の勝手だが……あなたにはいつも笑っていてほしい。言い換えれば皆の為に演じていてほしいんだ」

鈴谷「…………」

若葉「そういう努力は、きっと裏切らない。若葉の信頼と、鈴谷さんの気持ちの分だけ、な」

鈴谷「…………うん、分かった。気を付ける」






浜風「そもそも何の話がしたかったのか、というのは置いておいて」

春雨「あの目で真っ直ぐ……無理だね」

赤城「勝てないですよねぇ……」


< 泣きたい時ほど涙は出なくて♪ >







あきつ丸「……………………フ-」

龍田「久し振りね、そんなに憂鬱に喫んでるの」

あきつ丸「憂鬱? 自分は殆どの場合そうだと思うが」

龍田「それでも分かるのよ。何あったの? 」

あきつ丸「……………………特務の同僚を、殺した。いつも通りの顔、いつも通りの手順で」

龍田「…………そ、大切な人、だったのね」

あきつ丸「馬鹿な。稀に会ったときにこの煙を吐き出しながら不味いコーヒーを流し込んでいた程度の繋がりしか、無い」

龍田「…………」

あきつ丸「そんな相手、特務には幾らでもいる。それがたとえ一人だけ…………

龍田「一人だけ、何? 」

あきつ丸「……何も。お前とは、こういうときに会うべきではない、と再認識しただけだ」


< 空に溶ける煙に、あるいは手向けを >







龍田「……一本」

あきつ丸「ん……お前も持っているだろうが」

龍田「感情は共有できる、なんて程綺麗事宣うつもりは無いけど……ま、煙草くらい共有させなさい」

あきつ丸「むしろ自分が奪られているのだが」

龍田「まぁまぁ、フ-……………………ねぇ」

あきつ丸「何だ」

龍田「もしその人を殺した人、殺せるなら殺したい? 」

あきつ丸「いや、だから殺したのは自ぶ

龍田「殺したい? 」

あきつ丸「…………別に。それが誰であれな。あのときはあぁせねばならなかった」

龍田「そう……復讐は何も生まないとか講釈垂れようと思ったのに」

あきつ丸「ハンッ…………無論、生むまい」

龍田「へぇ? 意外ね」

あきつ丸「復讐は決意した時点で、終わっている。遂げた瞬間、ゼロ近似になるだけだ。
上がった沸点はもう下がらない」

龍田「なるほど……ね」

あきつ丸「……ん」

龍田「私が死んでも、そんなに饒舌になってくれる? 」

あきつ丸「さぁ? …………ま、そのときは、龍田が好きな銘柄でも、吸ってやるでありますよ」


< 赦しなど乞わず、先など見もせず >







愛宕「今日、っていうか今はLittorio、か」

高雄「意味は分かるけれどもう少し言葉を考えなさい」

愛宕「はいはい。…………私と高雄が、沈むの」

高雄「? え、ええ」

愛宕「それも、ここに来る前に」

高雄「ん」

愛宕「あの人の周り、大分変わるわね」

高雄「Littorioと海風さんと江風さんと瑞穂さんがいなくて……あきつ丸辺りが遠くて

愛宕「龍田とか山城が近いの。加賀さんとか明石さんはまだ近くにいるかもしれないけど」

高雄「でも……雲龍さんはどうでしょう。あれで今のあの人が一番好きな人だから」

愛宕「その場合天城は当然いないわね」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………Bismarckさんが、いたかもしれないわね、隣に」


< 愛が愛を捩じ曲げる >







Littorio「…………こんなにも、愛していますのに」

提督「…………」

Littorio「こんなにも、尽くしていますのに」

提督「…………」

Littorio「それでも、手に入らない男なんて、いるのですね」

提督「…………」

Littorio「…………何か、言って? 」

提督「……………………何、言ってほしい? 」

Littorio「愛の、囁きを。……仮令それが、仮初のものだとしても」


割とお久しぶりです

ありがとうございました


< レッテル >







海風「北京語だと“ 玩 ”って一文字で“ プレイ ”って意味なんだそうです」

雲龍「そう……それで? 」

海風「えっ」

瑞穂「え? 」

雲龍「うん? ……そんな反応するとは思わなかったなんて顔されると、少し嫌」


< 全て愛で誤魔化せるのだがね >







雲龍「ねぇ、天城。あなたってあの人への気持ちが閾値越える前、嫌ってた? 」

天城「はい? ……嫌っていた、というとそうかもしれませんけれど。
でもそれはどちらかというと天城が戦わずして怠惰に堕ちている状況の象徴があの人だったわけで」

雲龍「あの人そのものというよりは放埒な一面を強く見ていたのよね」

天城「それはそれで正しいのでしょうけれど、
まぁ、積極的に嫌っていたわけでもありません」

雲龍「そうよね……そうなると」

天城「ええ」

雲龍「あの人のことを根本的に嫌悪して彼にも疎まれていたのに、
それでも今があるって私、凄いと思わない? 」

天城「そうですけれど……一般的には駄目な凄さでは? 執着とかその辺り」


< 酒を止める以外のことならば死ぬ以外何だって >







雲龍「あの人が体重落ちて暫く節制してたときに」

加賀「ええ、私なら考えられないわね」

天城「加賀さんはそれでいいんですか? 」

雲龍「セックスはしない、早寝早起きもするって言って実際その通りだったじゃないですか」

加賀「それで? 」

雲龍「それでもナイトキャップだけは飲むって宣言していたあたり筋金入りですよね」

加賀「? 」

天城「? 」

雲龍「…………いつもの光景ね。正しいのは私の方の筈なのに」


< 質問で変わる回答 >







海風「海風のこと好きですか? 」

提督「どう思う? 」

海風「質問に質問で返すんですか? 」

提督「質問に質問で返しちゃ駄目? 」

海風「駄目じゃないと思うんですか? 」

提督「思っちゃ駄目? 」

海風「…………」

提督「…………」

海風「…………海風のこと、嫌いなんですか? そうなんでしょう? 」

提督「まさか。大好きだよ」

海風「そう、ですか。……………………はぁ」


ありがとうございました


< 三も二も無い。一だけでいい >







雲龍「今日も今日とて、眠いわね」

天城「はぁ、確かに何事もありませんけれど」

雲龍「……あの人は真面目に執務中だし明石と江風は訓練と計測中だから遊べないし」

瑞穂「それは“ と ”ですよね? “ で ”ではありませんよね? 」

天城「そんな自明な」

雲龍「ええ。だって一番楽しいのはあの人だけれど、
二番と三番はあの子たちでしょう? 」

瑞穂「雲龍さんは兎も角天城さんはこれでいいんですか? 」

天城「どうせ明石さんたちも嫌がってはいませんのでこれでいいかと。姉様はもうこれですし」

瑞穂「…………」

雲龍「…………それはそれで身も蓋も無いわね」


< 一番無茶をしそうな人 >







漣「ご主人様関連抜きでお願いします」

愛宕「叢雲でしょ」

加賀「叢雲ね」

雲龍「愚問ね」

天城「くだらない。叢雲さん以外ありえないでしょう」

明石「叢雲さん以外ありませんねぇ」

叢雲「…………」





海風「あれ、あの人がいても同じことだってのが凄いところだよね」

江風「そうだな。……………………テートクも叢雲のことそう思ってそうなあたりが一番凄いところだけど」


< それは誰も知らない >






江風「つーかさ」

海風「うん」

江風「姉貴、テートクのことあの人って呼ぶことにしたの? 」

海風「江風が叢雲のことを叢雲って呼ぶことにしたみたいなものだよ? 」

江風「それ姉貴もじゃン? 」

海風「そうだね、それで? 」

江風「それで? って……」

海風「……本当なら二人でいるときにあなた、って言いたいんだけど」







愛宕「……あの、顔と考えのギャップに落ちないあたり本当にロリコンじゃないのね」

高雄「……ええ、残念ながらと言うべきか喜ばしいと言うべきか」


<夢といえば >







雲龍「君主……は無いとして、元帥になる」

提督「無ぇわ」

雲龍「君主……やっぱり無いとして、元帥を跪かせる」

提督「無いって」

雲龍「世界一の美女をものにする」

提督「もうしてる」

雲龍「…………」

提督「世界一が二つあっちゃ、駄目か? 」


< 分かる人たちと分からない人 >







提督「つーかそもそも、今の質問チョイスは何だよ」

雲龍「分かるでしょう? 」

提督「海陵王だろう? 」

雲龍「ええ、似てない? 」

提督「……喧嘩売ってんの? 」

雲龍「偉丈夫ってところよ? 」

提督「ばーか、そんなやつ幾らでもいるだろうが。あそこまでクズじゃねぇよ」







江風「そンなパパっとカイリョーオウ?
とか出てくるあたりクズなのが実に惜しい人物だよな」

加賀「それか生まれる時代を間違えたか。それこそ海陵王の立場なら上手くやったでしょうに」


< そんなものでは済まない >







江風「で? 」

加賀「? 」

江風「カイリョーオウ、って誰? 」

加賀「大陸に昔いた人物よ。あの人より性欲が物凄く酷くて優しさが無い代わりにカリスマが高いの」

江風「……凄い人? 」

加賀「どちらかとあと悪人評価が多いけれど……偉人なのは確かよ」

江風「ふーン……テートクより性欲が酷いってことはさ」

加賀「ええ」

江風「幼女ヤったり犯し殺したり囲いまくったってこと? 」

瑞穂「幾らなんでも提督の評価が酷いのでは? 」

江風「そう? ……どンな感じ? 」

加賀「…………」

江風「うン? 」

加賀「…………あなた、本当に歴史に興味が無いのね」

江風「はい? 」


ありがとうございました


< 目測だけですよ? >







愛宕「知らないの? 谷間ってつくれるのよ? 」

提督「知ってる。知ってるけど……お前天然でつくれちゃうだろう」

愛宕「そうなのよねぇ。だからこう、調べた意味

提督「全く無いね。……なぁ」

愛宕「うん? 」

提督「誰か寄せてる女の子いた? 俺の知ってる子で」

愛宕「自明ね」

提督「やっぱそうか。あ、誰かは言わなくていいぞ」

愛宕「訊かれても言わないわよ」

天城「……………………やっぱり、なんて普通男性には言えないのでは? 」


< 鬩ぎ合い >








高雄「いや、そもそも目測でも駄目なものは駄目でしょう」

提督「そう? むしろ男の前で谷間見える格好してまで見栄張りたい子なんだからいいじゃん? 」

加賀「そんなわけ」

江風「あるから言えるンだよなぁ……無いと時々見栄も張りたくなるよな? 」

漣「気持ちは分からないでもないけど……同類扱いしないでくれない? 」


< 言ってはほしくないけど面白くなりそうな台詞 >








江風「不倫は文化だ? 」

天城「女は玩具? 」

加賀「孕んだらいい医者いるからな? 」

雲龍「死ねクズヤらせろ? 」

江風「」

天城「」

加賀「」

愛宕「……あなたがそんなこと言うのが一番つまらないのは、確かね」


< 背負った名と言えるのか >







扶桑「重いわ……扶桑なんて」

龍田「龍田、か。割と気に入っているけれどあなたも私も扶桑には勝てないわねぇ」

山城「姉さまは当然として山城と龍田にも開きがあると思うけれど? 」

龍田「そう? ……あなたってそこまで京都や歴史に思い入れあったかしら」

山城「そうでもないわ。ただ龍田なんかと同じにされたくないの」

龍田「ふぅん? ま、いいけど」







鈴谷「ふんっ、どーせ鈴谷はもうこの国に属していない仲間外れですよーだ」


< 知っているものだけ知っているだけですよ? >







あきつ丸「属す属さないの話は面倒だからパスするとして」

鈴谷「うん」

あきつ丸「赤城? 」

赤城「んん……Сусуяさん? 」

あきつ丸「……自分の大してよくもない耳だとスゥスゥヤに聞こえるが」

鈴谷「鈴谷もそれと変わんないよ。でも名前が残っているとは言えそう? 」

赤城「そうですねぇ……ま、私の発音がおかしいだけかもしれません。
正しい発音は今度Гангутさんにでも訊いてください」

鈴谷「はーい」

あきつ丸「あぁ」

GZ「…………いや、だとしても何故赤城がイワンどもの発音を? 」


ありがとうございました


< 何かしら >







提督「昨日はおっぱいの日だし今日はパンツの日だし明日はハミ乳の日だし明後日は……明後日は? 」

雲龍「私とヤる日」

提督「そうか」

雲龍「ええ」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………何か、違わないか? 」


< 悪女と悪人の違いとは >







明石「一番悪女な人って? 私は違うとして」

高雄「愛宕は私の頭上でキスなんてしたがる女よ」

愛宕「私も悪女って柄じゃあ」

雲龍「痴女くらいなら認めてもいいけれど」

天城「特に迷わせたわけでは」

加賀「むしろ私たちが転ばされているわよね」

Littorio「まったくです」

明石「基準があの人じゃあそりゃ…………いや、正しいことこの上無いですけどねぇ」


< その後 >







提督「誰かがそうだとは思わないけど悪女って響きよくない? 俺は好きだね」

愛宕「それなら私でもい

海風「海風で、構いませんね? 」

提督「……」

愛宕「……」

海風「何か? 」


< それはもう絶望色に >







龍田「あの人と扶桑が寝たとして」

山城「何も言わないわよ、姉さまには」

龍田「あの人には言うのね? 」

山城「当然でしょう? 馬鹿なの? 」

龍田「馬鹿よ? ……本当に言わないの? 」

山城「ええ、姉さまに吐く嫌みなんてこの世にもあの世にも無いし……祝福だって言わないわ」

龍田「そう……」

山城「きっと、本質的には何も変わらないけれど、反転するわ、何もかも」

鈴谷「…………ディープ過ぎない? 」

鹿島「私は……私は何か言えるでしょうか? 」

時雨「知らないよ、知らないけど…………答えに辿り着いたとして、
こんな無表情ではないと思うよ、能面より酷いじゃないか」


< ゆーきゃんせいぐばい? >







雲龍「あら……あなたも? 」

Littorio「はい? 」

雲龍「綺麗な月に誘われたの? 」

Littorio「いいえ、独り寝の夜が寂しくて」

雲龍「そ。……あなた、一人部屋ね」

Littorio「ええ、あの人が誘いやすいです」

雲龍「…………寂しくない? 」

Littorio「それもまた、あの人を誘う理由になりましょう」

雲龍「…………」

Littorio「…………」

雲龍「…………煙草でも、喫む? 」

Littorio「構いませんが……持っていませんよ、Littorioは」


< 試すような言葉を出したことさえ罪に思えない >







雲龍「上弦……と言える月? 」

Littorio「さて、Littorioも月になんて詳しくありませんから」

雲龍「そう……満月でも三日月でもなく、何の名前も持たないなんて」

Littorio「まるで自分たちのよう? 」

雲龍「いいえ、少し前までの愚かな自分のよう、よ」

Littorio「……今は愚かではないと? 」

雲龍「こんな気分で空を見上げて笑える絶世の美女が愚かなわけないでしょう? 隣には友だっている」

Littorio「あらあら……」

雲龍「違う? 」

Littorio「違わない、違いませんとも」

雲龍「ね? 」

Littorio「ええ。……………………本当に、美しいですね、あなたの心は」


< 切り捨てるなんて気持ち、本当だとは思わないけれど >







Littorio「…………ま、あなたに嘘なんて吐けませんか」

雲龍「そうね。馬鹿だから」

Littorio「ええ」

雲龍「そこは否定するところでしょう? 」

Littorio「……馬鹿ではないとして」

雲龍「何? 」

Littorio「ナイトウェアを着て、出歩くもの? 」

雲龍「いいじゃない。友と情を捧げた男以外、誰もいないわ」

Littorio「…………」

雲龍「…………」

Littorio「…………そんな世界が

雲龍「あったとして、意味なんて、無いわ。きっと、生きる限り望みは尽きないから。そのときはきっと私、あなたを

Littorio「やめて。今は聞きたくない。…………いい気分のまま、夢を見させて? 」


ありがとうございました


< 殺人部隊のようですらあり >







提督「そーいやこの前さ」

加賀「ええ」

提督「陸軍のやつらに変な目で見られたから嫌がらせでもしようとか言ってただろう」

明石「自販機使ってるの見られて陰口叩かれて苛ついて、床直させようとかいうやつですね」

加賀「冗談のつもりだったのだけれど」

提督「知ってる。……でもやろうと思うんなら」

加賀「? 」

提督「開き直ってここの全員で陸軍側の食堂でも行くか? それで限界までつくらせよう」

明石「メニューや量なんて大体決まって……いや、確かにこの人の権力あればできますけどぉ」


< これって純情? >







雲龍「咥えゴムなんて初めてでもできるかしら」

天城「」

明石「口でゴムねぇ……どう? 」

Littorio「知りませんよ……どうですか? 」

加賀「使わないもののことを言われても」

明石「ですよねぇ……ということは」

Littorio「? 」

明石「覚えたら、あの人にとっては初めてでは? 」

加賀「……なるほど」

雲龍「まぁ、風俗とかで経け……一気に天城より酷い顔になりますね」


< 様々な意味でね >







天城「そ、そもそも

明石「あ、復活した」

天城「あの人が経験済かどうかは兎も角として練習でもするんですか? 」

雲龍「? あの人ので試せばい

加賀「いわよね。別にそこまで暴力的でもないし興味はありそうだったから」

Littorio「試すというか試みるというか……相手が同じなのに試すと言うの? 」

海風「というか皆さんが一気に始めたら意味無いと思いますけど」

雲龍「! はっ」

江風「……馬鹿なの? 」


< 国家資格 >







明石「まぁ……そりゃあ並以上には沢山持ってますけど」

提督「俺もまぁ、自動車と単車は置いておいて無線とか色々あるな」

愛宕「私も無線は持ってるけど……そういえば船舶操縦の免許なんて持ってないわね」

高雄「要らないでしょう……要る? 」

提督「要らないと思うよ。こいつは持ってるけど」

明石「まぁ、私は一応修理で使うって名目と……かったるい仕事続いてて気分転換したかったので」

高雄「なるほど」

雲龍「……免許取得って気分転換になるものなの? 」

瑞穂「雲龍さんこそ誰に向かってものを言っているんですか? 」


ありがとうございました


< そもそも絶対的に阻止しますけれど? >







山城「これ、返すわ」

龍田「そう? 新しいのは買ってあるしずっと持っていてもいいけど」

あきつ丸「煙草? 吸っていたか? 」

山城「吸わないわよ。封も切ってないわ」

あきつ丸「はぁ? 」

龍田「山城に懸想してる相手がね、これ嫌いらしいのよ」

あきつ丸「あぁ、そういうことか」

山城「ええ。…………よくよく考えてみれば私も姉さまが吸い始めたとして嫌いになんてならないしね」


< 自分もまぁ同じ考え >






あきつ丸「自分の扶桑への愛とそんな切り捨てたい愛を同列に扱うのか? 」

山城「馬鹿なの? そんなわけないじゃない。穢らわしいわ」

龍田「愛に貴賎なんて無いと思うけど? 」

山城「優劣はあるじゃない」

龍田「確かに」

あきつ丸「そうだな。…………それはそれでどうかと思うが」


< 特に要らない >







龍田「でも……ふふ、やっぱり効かなかったわね」

山城「ええ、馬鹿馬鹿しい限りだけれど」

あきつ丸「見え透いた偽装が通じると思ったことが? 」

山城「私なんかに懸想する男が本当に存在したことが、よ」

あきつ丸「…………本気か? 」

龍田「顔を見る限りは」

山城「この上無く、正気よ。男って本当に顔だけで選ぶのね」

あきつ丸「…………」

龍田「顔と身体と陰と鬱屈と儚げな優しさと……。
少なくとも男とか私たち以外にはそうみえているんじゃないの? 」


< まぁ、割といつも通り >







雲龍「いやに暑いわね」

海風「まぁ、夏ですし」

雲龍「……脱ごうかしら」

海風「ブラウスだけならいいんじゃないですか? 」

雲龍「そうね」

天城「そうね、じゃないですよ、まったく。
本当に脱ごうとしないでください、はしたない」


< >







天城「大体、海風さんも毎回適当なことを言わないでくださいね? 」

海風「? 」

天城「放置しているとつけ上がりますから」

海風「はぁ」

江風「適当に言ってるならどれだけ……まともに返してるンだぜ? これでも」


< 何か問題が? >







愛宕「せいかくー」

高雄「性格で」

雲龍「性格ね」

天城「性格ですとも」

Littorio「同じく」

明石「…………性格で。回転とか技能とは別としてね」

加賀「性格でしょう」

提督「ん? 何俺の悪口? 」

愛宕「んーん、自分の性格と頭の良さ、どっちが高いか」

提督「あぁ、そ…………うーん……」


< 自信家に見えますか? それとも馬鹿な女? >







愛宕「ルックス」

高雄「ルックス」

雲龍「ルックス」

天城「性か……ルックスでいいです」

Littorio「ルックス」

明石「…………性格で。何を言われても変えませんよ」

加賀「容姿。愚問極まれりね」

提督「…………何も言うまい」


< まぁ、聞こえたら、入るよね >







提督「やぁ」

Littorio「! ッひっ! 」

提督「襲撃とかじゃねぇからその反応は……ノックも声掛けもしたぜ? 」

Littorio「で、っしょうね……何か急用? 」

提督「そうでもない。でも、何か俺の名前が聞こえたからさ。イタリア語に混ざって」

Littorio「…………」

提督「…………一人でスるとき、素になるんだね」

Littorio「」


< そもそもあんな声聞かされた時点で >






提督「…………さて」

Littorio「…………何故鍵をかけたのです」

提督「うん? 」

Littorio「おかえりはあちらですよ」

提督「帰る? 」

Littorio「…………何? やっぱり重要な話? 」

提督「重要といえばまぁ……まだ、イけてないだろう? 」

Littorio「…………」

提督「それともその気分で、やり直した方がいいの? 」


< 本当のことは言えないね >






明石「帰ってきませんねぇ」

叢雲「イタリア製の装備が届いたって話がどうして下半身の話になるのかしら」

漣「ノリ? 」

明石「ノリでしょうねぇ」

漣「やっぱりかー」

叢雲「そう。…………どんな誘い方したのか、ちょっと興味あるわね、流れとか」


ありがとうございました


< まぁ、好みかもしれませんがね >







漣「スケコマシといえばまぁ、凄まじくそうだけどさ」

叢雲「は? 」

漣「硬派っていってもまぁ、通るよね? 」

叢雲「それは……素で夢想主義者なんだからそういう風に見えることはあるでしょ」

漣「自分への理想も高いってこと? 」

叢雲「そ、あいつの場合周りのレベルが高いからそう見えにくいだけで」

漣「誰が一番高いかな、一般的に言って」

叢雲「加賀でしょ。一般的に言って」

漣「そう? 」

叢雲「私なら加賀がいいわ」

漣「なるほど…………雲龍さんに言ってくるね」

叢雲「は? 何故加賀じゃなくて雲りゅ……ちょ、待ちなさいったらっ」


< 興味の範囲 >








雲龍「そういえば水族館に行ったのよ」

叢雲「ふぅん? 楽しいの? あれ」

雲龍「予想外に。あの人がいなかったとしても楽しめたと思うわ」

叢雲「へぇ、よかったわね」

雲龍「ええ。……私たちの足下って、思ったより、平和なの」

叢雲「……」

雲龍「ゆらゆらと揺れて、すいすい流れて。それだけなの」

叢雲「弱肉強食はあると思うけど? 」

雲龍「それを越えるから綺麗なのよ? 」

叢雲「そ、うね」

雲龍「弱者に見えても、目に入るのならそれは強い者なの」

叢雲「ええ。…………でも、あなたの中の強者なんて、数える程でしょうよ」


< トドはアイヌ語のトントが由来なのですがね? >








雲龍「まぁ、調教結果発表会もそれなりに面白かったし」

加賀「海豚なのか胡獱なのか片吟なのかは知らないけれど……ショーと言いなさい」

雲龍「露出ショー? 」

加賀「犬や猫は兎も角海洋生物に服は元々」

雲龍「露出ショーと考えるとそれはそれで……提督閣下? 」

提督「うん? 」

雲龍「シロナガスクジラのアレは三百センチにもなるそうですよ」

提督「あ、そう…………お前は俺に何を望んでるんだ? 」


< へんないきもの >








鈴谷「龍田と山城って真顔で変なこと言うし笑いながら変なこと言うし常に変なこと言うけど」

時雨「あぁ」

鈴谷「『私たちは洗脳された生きる人形兵器なのよぉ。
戦うことを強いられていることに根本では抗えないの』」

時雨「う、ん」

鈴谷「とか宣うのはさすがにおかしくない?
あの二人洗脳するとか殺すより難しいでしょ」

時雨「そうだね。…………だからこそ二人がそういうことを言うのがつまり、ってことにも思えるけど」


< それが異常ではない世界にて >







加賀「彼と寝た後に」

雲龍「ええ」

加賀「一番撫でてほしいのは、どこ? 」

天城「頭では? まさか心、なんて乙女なのが答え? 」

雲龍「お腹でしょう? できれば少し強めに、後ろから」

明石「頰じゃないの? え、違う? 」

加賀「答えなんてないけれど……そうね、ありがとう。今度までに決めておくから」

明石「決めるってなん……無駄に情報あげちゃったって言うのかな? これって」


< まぁ、どちらでも同じかな? >







明石「愛宕さんとあの人は対等? 」

愛宕「いいえ」

明石「ではあの人が上? 」

愛宕「いいえ」

明石「愛宕さんが上? 」

愛宕「いいえ、ありえないわね」

明石「……本当に対等ではない? 」

愛宕「あの人が上で私が上だもの」

明石「う、ううん? 」

愛宕「本当に好きになって好きになられて求め合ったら、そんなことどうでもよくなるのよ」

明石「なるほど。……………………下ネタのつもりだったんですけど、
惚気で返されるとは思わなかったなぁ」


リアルが変化したので今後は変な時間でも適当に投げていくかもしれません

ありがとうございました


< まぁまぁ、とりあえずハグでもどうぞ >






漣「八月九日ってハグの日じゃん? つまり次の日である十日はハゲの日なんじゃあ」

叢雲「つまり十一日はハゴ……ハ号の日か何かなの? 」

漣「戦車とかつまんないしいいよ。……ちなみに八日はデブの日だね」

叢雲「ハギの日じゃないの? 」

漣「それは嵐くんにとってだけでしょ」

叢雲「毎日でしょそれ、ってのは置いておいて、くん? 」

漣「それからなんといっても七日はハガの日だね」

叢雲「芳賀? 誰? 」

漣「ヒョッヒョッヒョ……誰かなぁ? 」

叢雲「単純にキモいんだけど、誰? 」






海風「叢雲ってどんな会話でも大概繋げちゃうよね」

江風「あれはあれで楽しンでるっていうか……いや、
漣の言ってることが意味分からないだけではあるンだけどさ」


< 破格 >







提督「……………………Zzz」

愛宕「寝てるわね」

高雄「あなたたちが……わたしたちが酷使するから」

加賀「……唇」

愛宕「はい? 」

加賀「美味しそうね、と」

高雄「はぁ」

加賀「勝手にいただいても、いい? 」

高雄「私たちが許すものでは……愛宕? 」

愛宕「はいはーい、お酒でも飲みに行きますねー」

加賀「別にいてもいいけれど」

愛宕「他人が遊ぶところなんて見ても……加賀さんで遊ばせてくれるならいますけど? 」

加賀「結構よ」

高雄「消えましょうか。……勝手にボトル開けるかもしれませんが」

加賀「構わないわ。…………それよりも、楽しめるし」


< 何してやろうか、まったく >







提督「んあっ? はっ、えっ? 」

加賀「ご馳走様」

提督「は? …………ぴちゃぴちゃなんだけど」

加賀「そう見えるわ」

提督「これ、レイプじゃね? 」

加賀「そうかも……親告罪だけれど? 」

提督「そんな横暴な」

加賀「つまり…………仕返しした方が有益ってことよ? 」


< 単に口をついて出るくらいの意味だと思うけれどね >







WS「Iowaって」

GZ「うん? 」

WS「oh,my god! なんて言うでしょう」

GZ「私は聞いたことが無いが……そうか」

WS「あれ、神なんて不愉快なもの信じていると思う? 」

GZ「さてな、少なくとも私もお前もAquilaも……Saratogaも信じてはいまい」

WS「あれはあれで信心でも持っているのかしらね」






鈴谷「龍田が『これはあんまりよぉ、神様ぁ』とか宣うのと似たような感じじゃないの? 」

龍田「鈴谷様ぁ、それはあんまりよぉ」

若葉「なるほど分かりやすい。……Iowaさんがどうかは全く分からない実演だが」


< 暴走の果てに >







加賀「はぁ」

提督「いや、絶対可愛いから。加賀に似合うから」

加賀「……こんな仕返しを望んだわけではないのだけれど」

提督「仕返しを望むってなんだよ、はい、着る」

加賀「嫌ではないけれど……これは何? 」

提督「そりゃあ見たまんまスーツだよ、堅めの」

加賀「そういう意味ではなくて何故私のサイズにという……まぁ、
ここでは意味の無いことかもしれないけれど」


< 死角とはまた違うが >







加賀「んっ、折角着たのに……もう、脱がすの?」

提督「そのための……うん、綺麗だ」

加賀「私の身体なんて、隅々まで見ていると思うけれど」

提督「ん……まぁな」

加賀「私すら見たことが、無いっ、私を見るなんて、贅沢ね」

提督「一度脱がせて隠して脱がせて……あぁ、そう言われると、確かに贅沢かな」


< それはどんな意味で? >







明石「私、修理実は好きじゃないんですよ」

高雄「はい? 」

明石「私が修理するってことは誰かが傷付いてるってことじゃないですか」

高雄「……それが責務では? 」

明石「本気で言ってるんですか? 」

高雄「いえ……戯れです」

明石「代われるのなら、誰かに代わってほしいくらいです」

高雄「まさに、『あなたに代わりはいない』、というやつですから」

明石「本当うんざり…………ま、『お前は今日から高雄の代わりだ』、なんて言われても困りますけどね」



< だから、どちらの意味なんです? >







愛宕「そんなこと言ったら、ねぇ? 」

加賀「……何? 」

愛宕「高雄の代わりで私が満足できるかって話です」

加賀「私は赤城さんの代わりなら、代わり…………そうね、許せない」

愛宕「でしょう? 大切な存在だからこそ尊いが故に、認められない」

叢雲「あなたが私の代わりだとしたら、何もかも許せるけれどね」

漣「うん? 」

叢雲「許せるだけ、だけれど…………代わらない、変わらないから、私は」

漣「あ、ちょ、叢雲ちゃ…………あの辺りが、叢雲ちゃんの…………漣は嫌だよ。
叢雲ちゃんの代わりなんて、いないんだから」


< 一番いいけれど、それでも偶には前の呼び名も >







江風「提督」

提督「違う」

江風「てえとく」

提督「馬鹿っぽい」

江風「てーとく」

提督「あと少し」

江風「テートク」

提督「それそれ、それでいいのお前は」

江風「あっそ。…………__、じゃ、駄目なの? 」


< アルコール(チュー)毒>







提督「はだけさせるな……酔い過ぎだ」

加賀「…………」

提督「お前がフラつくレベルで飲んでるんだからよっぽどだぞ、それ」

加賀「…………」

提督「そんなの並のやつなら死んでるだろう」

加賀「…………」

提督「…………」

加賀「…………飲め」

提督「? んぁっ! む、りっ、口移し、すっ、きだけど、おまっ、んぉぉぉぉっ


< 見ていた人たち >







漣「真夜中のぉ、みっどなぁい」

瑞穂「何言ってるんですか」

漣「やー、ラジオ風味トーク大して続かなかったなーって」

瑞穂「はぁ」

漣「ご主人様は加賀さん引き摺ってお酒飲み始めたと思ったら引き摺っていかれるし、暇なんですよ」

瑞穂「瑞穂も漣さんを引き摺っていきましょうか? 海へ」

漣「え、遠慮しておきまーす」


ありがとうございました


< それでも何故か枯れそうもないのですがね? >







提督「…………出過ぎて死にそうなんだけど」

加賀「補充してあげたでしょう? 」

提督「アルコールをな。……死ぬぞおい、マジで」

加賀「アルコールは経口摂取するものよ? 」

提督「少なくとも喉に流し込まれて唇で蓋をされるものではないと思うが」

加賀「いいじゃない。…………寂しかったのよ」」

提督「ッ…………まぁ、いいけどさ」

加賀「ええ。……………………あなた、ちょろ過ぎではなくて? 」


< 残酷な嘘の優しさを意識し始めてしまっては、もう >







提督「や、ちょろいとか言われても……嘘なの? 」

加賀「いいえ」

提督「なら同じだろう」

加賀「そうだけれど……いいの? 」

提督「加賀みたいな女の子、拒めないから」

加賀「弱さから? 」

提督「優しさから、だと思いたいね」

加賀「優しいわよ? あなたは」

提督「そう? 」

加賀「ええ。……………………その優しさが、一番、心に刺さるのだけれど、ね」


< なんとはなしに身体にいいという行動は >







扶桑「眠いわ、今ならとても気持ちよさそう」

鹿島「扶桑さんはこの後? 」

扶桑「演習も座学も無し。……かと言って寝惚けられるかというと」

鹿島「寝ぼうける、というか……適度なお昼寝は身体にもいいんですよ? 」

扶桑「あぁ……」

鹿島「はい? 」

扶桑「だから無理なのね、きっと」

鹿島「……え? 」


< おひたしに生卵、それから醤油なんていいんですよ? >







提督「煮物とおひたしと味噌汁、食べたいなぁ」

加賀「愛宕に頼みなさい」

提督「そうか、そうだな」

加賀「……」

提督「……」

加賀「……」

提督「……」

加賀「……大概、私も莫迦な女ね、はぁ」


< 男と女が揃えば >







提督「、という遣り取りがあったわけですが」

加賀「仕方無いでしょう? もう天城が全て用意していたんだから」

提督「そうだけど」

加賀「それとも何? 私とあなたに対して暗に感想を求めてくるあの子の隣で、
私に作り直せと? 」

提督「言えないが……そうじゃなくて」

加賀「何かしら」

提督「…………何故食後すぐに風呂へ直行なのでしょう? 」


< 事故といえば自己的な事故 >







加賀「もうなんだか開き直ってきたわ」

提督「勘弁してくれ……仕事」

加賀「放っておきなさい。んっ、今この場で私よりも大切なもの、ぁ、があっへ? 」

提督「…………無いな」

加賀「ふぇひょう? 」

提督「風呂用にアップにしたうなじとか最高にエロいしこれ手で掴みやす

漣「おっふろーおっふろーひっさびさっのあっさぶー……お邪魔しましたー」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「…………死にたい」


< 自分のだとヴァリエイションが少ないからかな? >







愛宕「シニヨンねぇ、私あんまり得意じゃないんだけど」

瑞穂「時々とても綺麗なシニヨンですけれど、ね」

愛宕「それはまぁ……そういうことだから」

瑞穂「はぁ。……しかし、そこまで難しくしなくても簡単なまとめ方、あるでしょう」

愛宕「簡単なのだと不機嫌になるか直させようとしてくるから」

瑞穂「……」

愛宕「ちなみに高雄のことよ? あの人はヘアで不機嫌にはならないもの」

瑞穂「なるほ……高雄さんも中々度し難いですね」


< 女の子とは自分の特別が普通だと思うものだと思いますけどね >







愛宕「そうよねー、私には全然触らせてくれないのに」

江風「それは単に愛宕さンの“ 触る ”って意味が違うからじゃ」

愛宕「私だって女の子だから他の子のセットくらいしたいわよぉ」

江風「そうか? 」

雲龍「? 」

天城「? 」

瑞穂「? 」

Littorio「? 」

海風「江風が女の子じゃないとは言わないけど……そういうものなんだよ、普通って」


ありがとうございました


< いつかの日の出来事 >







Littorio『ね、あなたのお時間と、皆のお時間、ください』

提督『うん? 』

Littorio『高雄たちに祝ってもらえるのは、本当に嬉しい。
でも、あなたと外で遊んでみたいなって』

提督『いいけど……皆の時間? 』

Littorio『皆あなたのことが好きだから』

提督『…………』

Littorio『いいじゃないですか、あなたに都合のいい世界で。
幸せは噛み締めないと逃げますよ? そう、まるで運命のように』

提督『ん……そう、だよな』

Littorio『ええ。……でも、お出掛けの前に、カプレーゼでも如何? 』


< いやー、なんででしょーねー。不思議なこともあるもんだ >







Littorio「と、いうことから始まって二日程遊び歩いたわけですけれど」

提督「遊び歩いたってお前さ」

Littorio「何か釈然としませんね。捨て置かれたというか」

提督「つまんなかった? 」

Littorio「いいえ? それはもう楽しかったですとも。
改めて己の境遇を呪うくらいには」

提督「左様で。……捨て置く? 」

Littorio「こう、具体的にはスルーされたというかお話にもならなかったというか」

提督「はぁ? 」

Littorio「いえ、何を言いたいのかLittorioも分からないのですけれどね」

提督「うん。……あのさ」

Littorio「なぁに? 」

提督「……一緒のベッドで起きる筈だったんだけど? 」

Littorio「Littorioの不満が漏れたんでしょう、まさかベッドから落ちてるなんて知りませんって」


< いやー、本当分からないねー、あははっ >







提督『何? 最近俺に電話するの流行ってるの? 』

春雨「さぁ? ちょっと消費期限のある情報があったので使ってみただけです」

提督『ふぅん? ま、訊かないけど』

春雨「残念。もっと不幸に強くなれたのに」

提督『俺は弱い自分が好きなんでね。……おめでとう』

春雨「ありがとうございます。今年はお手紙とプレゼントまでいただいて」

提督『今年は、な。初めてだ』

春雨「…………もっと、近付いてくれます? 」

提督『それは海か……春雨次第だよ』

春雨「失言一つ。……大体分かりました。何で殺されないんですか? 」

提督『何でってーと……うーん? 分からないね、何でだろう? 』


< 分かっちゃうんですけどね >







提督『二段ベッドに憧れていたわけだよ』

春雨「へぇ? 」

提督『まぁ、兄弟姉妹がいれば買ってもらえたんだろうけどさ、結局買ってもらえなかった』

春雨「普通ですね」

提督『普通の親だし。……でさ、兵学校入ってからやっと使えたわけだ』

春雨「おめでとう? ございます」

提督『ん。……一日目でうんざりしたね。俺の身長に合わない』

春雨「はぁ」

提督『兄弟姉妹だから許せるものだぜ、あれ』

春雨「分かりません」

提督『……時雨が何やってるのかは知らないし訊かないけど、
春雨に許してやれなんて言える立場でもないけど、
それでもなお大事なものってあるんだよ』

春雨「…………」

提督『それだけ。改めて、おめでとう』

春雨「ありがとうございます。……姉妹のことで困惑してるとは言いましたけど」

提督『うん? 』

春雨「一度も時雨とは言ってませんよ? 」

提督『ん? え、あー……分かれ? 』


< 悪い顔のなんと妖しきことか、美しきことか >







龍田「どう? 簡単だったでしょ? 」

春雨「まぁ……でもよかったんですか? 」

龍田「何が? 私の情報屋に偽情報流したこと? 」

春雨「龍田さんの立場が悪くなると思います」

龍田「いいのよ、彼明日には中佐じゃいられなくなるから」

春雨「はぁ」

龍田「さっきの情報が原因じゃないわよ? 別の汚職」

春雨「……腐ってますね」

龍田「腐りかけが一番美味しいって言うじゃない? だから食べてあげたのよ」

春雨「…………喰い殺された間抜けの末路は? 」

龍田「ありきたりな話よ? いっそ殺してくれ、ってやつ」

春雨「それがありきたりなわけ……あるんですよねぇ」

龍田「残念ながら。……ふふ」


< わらわらと集まってきまして >






あきつ丸「ハンッ、下郎が」

龍田「女郎よりはマシねぇ」

山城「出来損ないの女郎蜘蛛、でいい? 」

龍田「んー……いいわよ? 」

春雨「何でそれでいいんですか……」


< 割と自覚しているのは秘密 >






龍田「だって、ねぇ? 」

あきつ丸「いや、自分も同じ括りにはしないでほしいのだが」

山城「高貴とは言わないけれど下賤ではないつもりなの」

春雨「だそうですけど」

龍田「おかしいわね……時雨ちゃーん! 」

時雨「いるよ。……でも僕なら同じ括りも許容する、みたいなのやめてくれるかい? 」


< 最近規制規制五月蝿い割に変なところで >







提督「緩いよな。俺は穏便だから何とは言わないけど」

雲龍「でもあれよ? 女の会話なんて自主規制入れ始めたらこんな感じよ? 」

提督「うん? 」







雲龍『だからあの人の×××なところを×××て×××の後にあえて×××

叢雲『でもそれだと×××が×××したとき×××するのが難しくて結局×××よ』

雲龍『だからこそあえて、なのよ』

叢雲『何があえてよそんなんだからあなた未だに×××なんじゃない』

雲龍『なんですって? ×××も受け入れられない×××のくせに







提督「結構結構、もう何となく分かるしこれ以上聞きたくないって、規制とか絶対あった方がいいよもう……」


お久し振りです。また、ゆるゆると続きます。

ありがとうございました


< 無知という罪、知るという罰 >







龍田「今頃は雲龍もあなたみたいに上機嫌でしょうねぇ」

あきつ丸「自分よりも余程相好を崩していることだろうな」

龍田「朝から? 」

あきつ丸「何も啼かされているというわけでもないが……確かに分からんな」

龍田「あそこにはあなたがいたかもしれないのに、ね」

あきつ丸「貴様かもしれなかったな」

龍田「ええ」

あきつ丸「…………」

龍田「…………」

あきつ丸「…………しかし、不幸だな。あんなにも喜んでしまえるというのは」

龍田「まったくよ、本当に」


< もどかしさすら愛の宝飾なれば >







雲龍「そういえば鹿島も誕生日なのよ、今日」

提督「知ってる。去年お前に聞いた」

雲龍「そう? 」

提督「あぁ。……しっかし折角立てたデートプラン一から壊されるとは思わなかった」

雲龍「いいじゃない。それは明日に使って? 」

提督「仰せの通りに。……明日に用意してた分は? 」

雲龍「明後日でも、明々後日でも、それに来年でも」

提督「無理をいうね……よかったのか? 」

雲龍「夜までここでゆっくりするのが? 」

提督「天城たちは喜ぶかもしれないが」

雲龍「自惚れないでよ。私、あなたと同じくらいあの子のこと、大事なの」

提督「それはそれは嬉しいことを。天城と同じくらい大切にしてくれるって? 」

雲龍「ええ。……ブランデーでもどう? 今から飲めば夜は車も転がせるでしょう? 」


< 澱みもまた愉快たれば >







明石「朝からべったりではありますけどまだ出ませんね」

瑞穂「瑞穂は自分の目を疑いましたよ。上機嫌で朝食をつくる雲龍さんを見て」

Littorio「あなたに似てきたのでは? 友人や妹も独占したいなんていうところ」

明石「ですかねー、と言いつつ私は朝から出掛けちゃうと思いますけど」

Littorio「ま、これはこれでLittorioたちも難しくなったのですよ? 」

瑞穂「確かに次の自分がそのまま提督と連れ立って朝からは出にくくなりますね」

Littorio「それは然程。……ね? 」

明石「? 」

加賀「まったくね。雲龍とあの人の邪魔にならず妙に機嫌がよくてにこやかなとある姉妹も爆発させないように生活しないと」

明石「あぁ……」

瑞穂「それは……」

Littorio「ふふ……楽しくなってきましたね? 皆さん? 」


< 何処からならこんな話に辿り着くのか >







龍田「全ての人とヒトからいい加減な存在だと思われてもいい?
いいえ、好きな人に佳い女だと思われたいだけなのよ、心から」

鈴谷「ふーん? 」

龍田「私ってこれでも周囲の目は気にする方だけれど

鈴谷「そりゃあ擬態レベルは大罪人レベルだけど、違うでしょ」

龍田「でもねぇ……奴隷はお金で買えたの。そんな時代があったわ」

鈴谷「知らないくせに、てーか聞け」

龍田「ええ。……それなら、愛で人を贖うことだってできるはずだと思わない? 」


< 大体終わった後で >







天城「あぁ……やっと出て行ってくれましたね」

加賀「無駄にこんな時間まで……疲れたわ」

天城「最後の方はもうずっと姉様の部屋でしたけれど」

加賀「高雄と愛宕は早々に酒盛りを始めて……明石と瑞穂は潰されるし」

天城「Littorioさんの神経も捻じ曲がってますよ。
あの二人とずっとお話ししてるなんて」

加賀「難儀な性格ね。……それはそうと」

天城「はい? 」

加賀「私のお酒、飲めないの? 」

天城「ええ、ええ、飲ませていただきますとも、ええっ。
天城だってあの人と姉様のこと、素直に祝ったりなんてできないのですからね」


< それはもう悪い笑みで >






あきつ丸「まったく……愛だのなんだのと面倒なことを」

龍田「だってねぇ、自分が変なのに付きまとわれてるときに肝心の殿方は他の女と遊んでいるんだから」

山城「しかも本妻ですらない女と、ね」

鈴谷「それに巻き込まれて変なこと吹き込まれる鈴谷の気持ちは? 」

山城「知ったことではないわ」

龍田「金剛でもいいんだけどあの子といると無駄に二人でダメージ受けるのよ」

あきつ丸「それはそれで面白いが……あぁ、そうだ」

龍田「? 」

あきつ丸「どうせなら本当にしてみようか?
金剛以外にまGZやWS、Aquilaでも呼んで」

龍田「なるほど? いいわね、それ」

山城「ふぅん? それなら扶桑姉さまと天龍も呼んでいらっしゃい」

あきつ丸「いっそ時雨や浜風もいい」

龍田「ん、じゃあ、天龍ちゃん呼んでくるけど……鈴谷? 」

鈴谷「んー? 鈴谷そんな面子と居たくないから寝てく

山城「来ないと熊野嗾けるわよ? 来なさいね? 」

鈴谷「」


< 悪ノリしてみたい夜の悪酔い >






加賀「あなた趣味悪いわね。この二人と飲み続けるなんて」

Littorio「そう? 」

高雄「それを面と向かって言う加賀さんも大概捻じ曲がっているかと」

加賀「酔ってるのよ。……四人で三人潰したのね」

愛宕「天城もいつの間に」

加賀「この子絡み始めると面ど……ねぇ」

高雄「はい? 」

加賀「夕食後すぐに消えた姉妹、まだ起きてると思わない? 」

愛宕「あらあらぁ」

高雄「やめてあげた方が……」

Littorio「いえいえ、夜はまだ長いんですもの、呼びましょう」

高雄「いえ、もう大分外も明るく

Littorio「あの人がいないと夜みたいなものでしょう? 今日中に帰ってくると思う? 」

高雄「……………………呼びますか」






江風「…………雲龍さぁン。怨みますよもう」

海風「そりゃあこれ見よがしにイチャついてたら……あぁ、海風もいい気分じゃなかったのに、はぁ」


< In the realy reary middle of the night >







雲龍「ふぅ……きついわ」

提督「ん? ウエスト? 」

雲龍「私がそこまで食べていたように? というか何時間経ったと」

提督「いいや。……何が? 」

雲龍「ずっとあなたに触れたかった」

提督「うん? 」

雲龍「一日、あなたと殆ど二人きりで、でも何もしなくて、とても幸せだったわ」

提督「ありがとう? 」

雲龍「こちらこそ。……でも、足りないわ」

提督「ふぅん? 」

雲龍「いつもあなたがあれを許してくれるのなら、
きっと満ち足りた気分でいられるでしょうけれど」

提督「…………」

雲龍「時間も、世界も、あの子たちも、あなた本人ですら赦してはくれない。
私には時間が足りないわ、圧倒的に」

提督「…………」

雲龍「でも、よかった」

提督「…………うん? 」

雲龍「あなたのこと、やっぱり好き。それを確認できた一日だったもの」

提督「…………」

雲龍「今からは朝まで何も考えないで、いいわ。プレゼントの分だけ、返してあげる」

提督「…………そう」

雲龍「その代わり、明日はまた楽しませてね?
明後日も明々後日も、きっとその次の日からも。…………あなたが、終わるまでーーーー


ありがとうございました


< 帰りの車中、風を頬に受けながら >






雲龍「あとが怖いわね」

提督「うん? 」

雲龍「最近はどの子もすぐに外だったでしょう?
それを一日べったりして見せ付けてたようなものだから。しかも一日独占して」

提督「あぁ……でもさ」

雲龍「うん? 」

提督「俺の女だぜ? その程度で怒り引きずると思うか? 」

雲龍「それはまぁ……あのね」

提督「? 」

雲龍「今のは割と、酷いクズ発言だったわ。ちょっと眩暈がするくらい」


< 余り者、二人 >







叢雲「なんだか妙に蚊帳の外だったわね」

漣「妙、というか一応訓練任務だったんだけど」

叢雲「全く自分に実りの無い訓練だったわ。なんというか……むしゃくしゃする? 」

漣「そりゃあ叢雲ちゃんと漣は百戦錬磨だし」

叢雲「…………誰かの誕生日を祝えなかったことに気付いてショック受けるなんて、ショックだわ」

漣「まーねぇ。……それ考えると漣もむしゃくしゃしてきたよ、本当マジで」


< 笑み、浮かべながら >







漣「でもよかったね」

叢雲「うん? 」

漣「間に合うよ? 今日は我が家でゆっくり寝られるし」

叢雲「…………」

漣「沢山飲んで騒いで祝ってもらって、ゆっくり寝よ? 」

叢雲「…………いいのかしらね」

漣「いいんだよ、それで。絶対用意してるからね? あの人たち。それ無駄にするの? 」

叢雲「したくないわ。……したくない、ええ、するものですか」


< 躊躇わず一息に、と >







叢雲「……ま、訓練自体に意味は無かったけど」

漣「うん」

叢雲「有用な情報と噂は入ってきたわね」

漣「ヤーな情報だけど」

叢雲「不愉快な情報の方が大切なものじゃない。
愉快な情報なんて勝手に入ってくるわ」

漣「今の世の中目立つもんね。…………本気でヤバいと思うよ? 」

叢雲「その辺は我らが少将閣下の采配に期待ね」

漣「最終的にはねー。…………殺せる? 」

叢雲「誰をよ」

漣「__さんを」

叢雲「……………………ええ、約束したもの」

漣「ふぅん? 」

叢雲「あいつとの約束破るくらいなら、死ぬわ。矛盾しているけれど、この生命にかけて」


< 何は無くとも始まってゆく >







愛宕「もしかして悪ノリし過ぎた? 」

高雄「あなたでしょう……あの人がいない間は不機嫌な上機嫌でいてみようなんて言い出したの」

愛宕「面白かったでしょう? 」

高雄「……まぁ」

愛宕「本気だと思ってる明石とか江風とか

高雄「あとは薄々理解しているLittorioだとか加賀さんだとか」

愛宕「あの人と雲龍……雲龍は? 」

高雄「分かっていないでしょう。あの人は、たぶん理解して分からない振りを続けると思うけれど」

愛宕「クズねぇ……何食べたい? 」

高雄「鶏の雑炊とお漬物と……それくらいしか食べる気にならないわ」

愛宕「はいはーい、了解でーす」


< 幸せ? >







江風「異様に眠い……」

海風「こういうとき愛宕さんって強いよね」

江風「胃と心に優しい朝食か……食べたら寝よ」

海風「海風も」

江風「…………」

海風「…………」

江風「…………普通にいつも通りテートクとか横須賀を肴にして飲んでただけだったなぁ、何でだ? 」

海風「そ、うだね、うん。江風はそのままでいいと思うよ? 」

江風「うン? 」


< や、単純に可愛いと思うけどね? >







加賀「アヒル口、できる? 」

天城「はぁ。……? 」

加賀「できてるわ。あなたは? 」

明石「? ……」

加賀「意外ね」

明石「そりゃまぁそんな難しいことでも」

加賀「いえ、難易度ではなくて必要? 」

明石「無いです。加賀さんは? 」

加賀「? ……」

明石「できるんですね」

加賀「ええ。あの人はそんなところ見ないけれど」」

明石「…………」

天城「…………」

加賀「…………」

明石「…………女三人で不必要なアヒル口って、無様ですね」


< 意味が同じとは言わない >







愛宕「はーい、高雄担当」

高雄「? ……また訃報ですか、続くわね」

愛宕「香典だとかって面倒よねぇ。あの人の代理とはいえ」

高雄「然程面倒な部類では……ん? 」

愛宕「うん? 」

高雄「……また、反殿下派の家ね、ここ。二週間続けて、か」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………ね? やっぱり面倒でしょう? 」

高雄「…………そうね」


< 惚気と言えないことも無いかな >







天城「新聞、読まないんですか? 」

加賀「軍の重要な情報が載り始めたらおしえなさい」

天城「はぁ」

加賀「天気予報はスマホでもテレビでもいいし。
その紙束に大した意味があるとは思えないわ」

天城「ほら、Littorioさんなんかは数独だとかクロスワードやってますよ? 」

加賀「それは新聞の主旨では……あのね」

天城「はい? 」

加賀「私たちこれでも国の中枢寄りなのよ? 偏向してるかもしれないけれど事実としては限りなく真実」

天城「そうですけれど」

加賀「私にとってはそんなことよりもあの人の情報が余程重要。……いい? 」

天城「ん、何がですか? 」

加賀「新聞を読まない理由を訊いたのではなくて? 」

天城「あぁ、そういえば……殊の外真面目に言われたので忘れていました」


< 帰還 >






叢雲「た、だいま」

提督「おかえり。……躊躇うなよ馬鹿」

叢雲「仕方無いじゃない。……大過無く? 」

提督「それはお前次第」

叢雲「…………明日でいいわ」

提督「ふーん? 珍しい」

叢雲「祝われる本人にせよ、それでも雰囲気を壊したくはないの」

提督「そうか。…………明日の為に、楽しまなきゃな」

叢雲「ええ、着替えてくるわ。……………………ただいま、私の司令官」


< 独白だけれど独りではない >






叢雲「…………訊かれなかったわ、何も」

漣「そりゃそうでしょ、ご主人様だし」

叢雲「でもあいつ、無能ではないもの」

漣「そういう意味でもないけど。…………無能じゃないどころか有能の部類だよ? 」

叢雲「え、ええ」

漣「絶対何か知ってるもんあの変態鬼畜種馬優男」

叢雲「そ、うね。…………楽しみましょうか」

漣「そだよー。楽しまなきゃ損だし」

叢雲「先、行ってるわね」

漣「うん。……………………叢雲ちゃんがそう思えたんだから、思えるようになったんだから。
漣がしっかりしないとね、ずっと」


<宴の後に >







提督「…………グラス」

叢雲「ん……ありがと」

提督「いーえ。…………人死にが増えた」

叢雲「でしょうね」

提督「それから抜擢、とも言える昇進も」

叢雲「ええ」

提督「…………しかも、あきつ丸からの連絡が、最近無いんだ」

叢雲「…………」

提督「絶対に、俺という少将にとって良いことが起きる」

叢雲「良いことなの? 」

提督「栄えある帝国軍人にとってはな」

叢雲「……そ」

提督「…………着いてきて、くれるか? 」

叢雲「とうに剣も尊厳も預けてるわ。身体だけはきっと捧げられないけれど」

提督「そうか」

叢雲「ええ」

提督「…………」

叢雲「…………」

提督「…………忙しく、させるぞ」

叢雲「任せなさいな。あんたの剣として、あるいは矢として、精々使わせてやるわ」


< 選択次第では >







漣「かーったるいなぁ」

江風「ン。……なぁ」

漣「何? 」

江風「漣ってさ、テートクのこと、好きか? 」

漣「そりゃあ好きだよ? あれで趣味に付き合ってくれるし馬鹿じゃないし。江風は? 」

江風「そりゃあ好きさ。尊厳だってしてる」

漣「ふぅん? 」

江風「…………」

漣「? 」

江風「…………どうすりゃいいと思う? 」

漣「何この紙き……れ? …………どこで受け取った? 」

江風「昨日散歩してたら知らないおっさンに渡されたンだ」

漣「…………」

江風「…………」

漣「…………」

江風「…………」

漣「…………呉の大将からの手紙。__からいつでも情報を引き出せるようにしろ、か」


ありがとうございました


< 生きてればこんなことも >







提督「ん、んん…………ん? 」

加賀「…………Zzz」

提督「お前いつもだよな……寝た日の朝、俺の腕に収まってる」

加賀「…………ん……Zzz」

提督「ふぁ…………あれ? ちょっと待て、待て、俺。寝るまでの記憶が無ぇぞ」

加賀「_……_さ、ん…………いか、ないで…………Zzz」

提督「行かない行かない。行かない、けど……あるぇ? 何かヤバいことしてない? うん?
ここ基地だよな? 加賀の部屋だよな? 」


< 訊いてみたところ >








加賀「してないわよ。……おはよう」

提督「おはよう。……してない? 」

加賀「ヤバいこと、っていうのが女を啼かせてトばして堕として、ということならそうだけれど」

提督「いつも通り? 」

加賀「ええ。…………でも」

提督「うん? 」

加賀「その流れと一般化こそがヤバいこと、だとは思ってほしいところではあるわね」


< なぁにこれはぁ…… >






漣「一昨日の日曜日にあったじゃん? 遅過ぎる花火と屋台」

叢雲「ええ。もう結構寒かった割にかなりの人出だったわね」

漣「今年は何事も無く終わったじゃん? 」

叢雲「あいつがキレて陸軍の間抜け殴り飛ばすなんて早々あったら困るわ」

漣「漣は射的とか輪投げで景品ゲットしまくったじゃん? 」

叢雲「そうね。その山、邪魔だから取捨しておきなさいね」

漣「勿論。……あのさ」

叢雲「やけにじれったいわね……何よ」

漣「これ、どこで手に入れたと思う? 景品は途中から獲得したエコバックに詰めてたんだけどさ」

叢雲「はぁ……………………短刀? は? しかも五本も? え? 」


< 種明かしのお時間です >







雲龍「あぁ、それなら丁度いい置き場所が無かったから私が入れたの。
あなたなら誰にも盗られたり怪我なんてしないと思って」

漣「はぁ? そりゃそうですけど短刀なんてどっから持ってきたんです」

雲龍「天城と花火見てたら後ろから来た下衆が持ってたのよ。
周りのことも気にして取り上げておいたの」

漣「おお……そんなもの放置してたのは置いといて雲龍さんがちゃんと官憲みたいなことしてる」

雲龍「多少引っかかるけれど……いいわ、こっちで処理しておくわね、これ」

漣「はいはーい。
……………………操と妹なんてこの世で一番大切なもの背中に負った雲龍さん狙うなんて、
アホの極みですねぇ、マジで」


< 知らない方がいいこと >







天城「姉様、それ」

雲龍「? あぁ、触るのも悍ましいし陸軍の方の産廃置き場に捨てておこうかと」

天城「それはいいですけれど……さすがにやり過ぎだったのでは」

雲龍「どこが? 」

天城「……軽い人で片腕、最後の人なんて明らかに一生物の怪我だと思いますけれど」

雲龍「私だって一生物のトラウマよ?
まだ、足の甲に潰れた感覚が残ってる気がするもの。蹴り上げたから」

天城「…………」

雲龍「あれで下駄じゃなければもう少しダイレクトではなくて…………ーーーー






天城「…………姉様って、怖いんですね」

提督「うん? 」

天城「慕われているのを天と雲龍姉様に感謝してくださいね、と言ったのです」

提督「お、おう? 」


< バッドコミュニケーション? >







愛宕「ねぇ、お姉様」

高雄「何? 愚妹ちゃん」

愛宕「……僚友がチンピラの未来狭めてたのを覗き見ちゃったときはどうしたらいいと思う? 」

高雄「狭める? 」

愛宕「具体的にはこう、子供をつくるのがかなーり難しく」

高雄「はぁ……それくらいのことをしたのでは? 」

愛宕「側から見れば美人姉妹を刃物で脅して寄ってたかって輪姦そうとしてたわね」

高雄「それはそれは。仕方無いですね。無問題」

愛宕「問題とは言わないけどー……」

高雄「…………一昨日も昨日も、誰一人として訴え出ていないわ。公式にはそれが答え」

愛宕「ん……」

高雄「それとも、非公式に制裁でもする? 」

愛宕「別にそんなことしないわよぉ。
…………高雄ならあれ以上しそうね、って冗談に繋げようと思ってたんだけどなぁ」


< ≒ 筋トレ? >







提督「豊胸体操って胸筋にも効くんだろうか」

愛宕「効くんじゃない? 」

提督「マジ? 」

愛宕「ええ。……もし仮に効くとしてね、するの? 」

提督「そりゃまぁ候補には入れるだろうよ」

愛宕「分かってる? 腕を左右に動かしたり屈みながらダンベル持ったり腕立て伏せするのよ? 」

提督「…………」

愛宕「…………」

提督「…………おっぱいって本当に成長止まるんだな、うん。そこまでして……そうか」


< 同情や憐憫が欲しいわけではないけれど >







あきつ丸「軍上層部は腐っている? ハンッ、馬鹿なことを。
腐るどころか根腐れした部分から毒でも滴っているでありますよ」

龍田「そうよねぇ、私も似たようなこと言ったんだけど」

あきつ丸「行き過ぎた潔癖か度を越した理想主義者か、それともただの阿呆か」

龍田「全部、なんでしょうねぇ。あの甘ちゃん将校さん」

あきつ丸「まったく……いい加減すっぱりと縁を切ったらどうだ。
無闇に情報源として繋いでおいても利益より不快感の方が多かろう」

龍田「そうねぇ……ん。そうしたいんだけどぉ」

あきつ丸「…………」

龍田「…………一人切り捨てて他全部回すってのも、難しいのよねぇ、それなりに」


< それこそが慰め、これこそが後押し






あきつ丸「…………もし、お前が踏み出せないなら自分が引き金を引いてやる」

龍田「そんなことしてもらう義理なんて無

あきつ丸「義理なんかではない! 自分の友人が困っていて、踏み出せないとき、そんなとき!
自分には背中を押してやることも、慰めることもできないから! 」

龍田「そんなこ

あきつ丸「うるさい!……だから、だから……義理なんて、悲しいこと、言わないでほしいであります」

龍田「! …………」

あきつ丸「…………」

龍田「…………」

あきつ丸「…………いや、確かに貴様にも事情くらいはあろ

龍田「ふふ、やっぱり、いいわ。自分で切ってくる。
やろうと思えば他から手回すなんて簡単なのよぉ。
だから、ね? 今日はゆっくりお酒でも飲んで、寝ましょう? 」


ありがとうございました


< 割とそうだろうな、という出来事 >








GZ「信じられないことなんだがな」

鈴谷「うん? 」

GZ「その、風邪を引いた。しかもBismarckと同時に、だ」

鈴谷「わーお……確かに鈴谷たちって風邪引かないわけじゃないけど珍しいかな。しかも二乗だ」

WS「恒常性機能が気付かぬうちに治してしまいますしね」

GZ「その化物体質を越えてなお、という」

鈴谷「GZは代謝励起して治したん? 」

GZ「あぁ、いつ何時敵が現れるか分からないし、前後不覚なんて怖気を振るうからな」

WS「あなたらしい。……鉄血宰相は? 」

GZ「“ 風邪なら演習訓練も休めるわね”、
などと抜かして二度寝を決め込んでいた」

鈴谷「えぇ……」

WS「彼女らしいというか……いえ、あれで真面目な女の擬態は上手いのでしたか」


< 本当に信じられないくらいの >








赤城「あんなこと言ってますけど……私たちが引く風邪って」

霧島「人間なら最低でも高熱で一週間は動けないようなもの。
まぁまぁの確率で生命を落とすような大病ですね」

赤城「ですよねぇ……あ、このお漬物美味しいです。誰のですか? 」

霧島「信じられないかもしれませんが比叡姉さまです」

赤城「信じましょう。仲間を信じずして何が兵士、何が一航戦ですか」

霧島「はぁ。…………いえ、私自身も酷いことを言った自覚はありますけれど……うーん」


< 好きって言うのと、愛してるって言うのと、それからヤってって言うのと >








愛宕「どれが一番簡単? 」

雲龍「ヤって」

愛宕「言いたいのは? 」

雲龍「愛してる」

愛宕「一番言ったことがあるのは? 」

雲龍「愛して……そこ、疑わしい目で見るのやめなさい、本当に不愉快だわ、本気よ? 一遍死んでみる? 」


< シンジラレナーイ! くらい可愛いなぁもう! >







叢雲「うっさいわね……私だって失敗くらいするわよ」

江風「や、そうだけどさ……叢雲って極稀にしかミスらないけどミスるときって唖然とするようなミスするンだなって」

叢雲「ミスミス何回も言うんじゃないわよ馬鹿」

江風「へーい。…………でもまさか訓練のときに外行きのシュシュしてくるとはなぁ、うン」


< 真性 >








雲龍「信じられないことにあの人の嗜好ってノーマルなのよね」

漣「マジですか」

江風「いっつも言うけど、マジ? 」

加賀「概ね正しいわ、それなりに」

高雄「ノーマルというか……うん? 」

愛宕「あのね、雲龍は兎も角高雄や加賀さんはあの人偏愛してるんだから。
どこまでが変態行為かなんて明確にできるわけないでしょう? 」

加賀「そうね」

高雄「そう……とは言いたくないものですが」

雲龍「いや、私も大概愛して想って…………愛より深い業だと思ってるの? ねぇ? ねぇえったら! 」


< 同意と反駁の袋小路 >







Littorio「まぁ、あの人の言を借りるのなら

明石「“ 男は皆変態だ”、ですね」

Littorio「ええ。……あの人しか知りませんけれど」

明石「私もです」

Littorio「……気持ちが変わって、あるいはあの人よりいい人が現れたとして」

明石「え、ええ」

Littorio「それはあの人よりも変態的でしょうか? ノーマルでしょうか? 」

明石「ん、んん? …………そもそもあの人の定義は? 」

Littorio「不粋な……あの人はあの人です、それが信じた愛でしょう? 」

明石「ええ、まったく。…………はぁ? 」


ありがのうございました


< 凍土の如き >







漣「ご主人様って変態どころか超スキモノのド変態ですよね? 」

天城「まぁ……当たらずと雖も遠からじ、というか」

漣「片手腰に手当てた状態でもう片方で頭掴みながら腰振ってしゃぶらせるみたいな」

天城「天城はそれありませんけれど……どうなんですか? 」

雲龍「私も無いわ、残念ながら」

漣「雲龍さぁん……ま、まぁ雲龍さんの個人的感想は置いておいてそういうイメージなんです」

天城「はぁ」

漣「天城さんのイメージってどうでした? 最初はご主人様のこと嫌ってたっていうじゃないですか」

天城「嫌っていたわけでは……ふふ、そうですね」

漣「はい」

天城「街に降りては女を買って、食い散らかして。
高雄さんたちを他の男性に貸し出しては、
お金を取りつつ昇進の機会を窺……冗談、冗談ですからっ、許してください。戯れです」

漣「? ……ひえっ」

高雄「ふふ……………………戯れにも限度がありますから。お願いしますね」


< 零度の激情と無意識的な自覚的狂気と >







天城「」

高雄「まぁ、そう思われても仕方の無いことをしているのは確かですが」

漣「で、ですよねー。漣はご主人様が実際割と小心者で貧乏性なの知ってますけど」

高雄「あれだからいいんですよ。単なる孤高で独善的なキレ者の高級将校なんて……ふふ」

漣「殺したくなる? 」

高雄「さぁ? ……ま、そうだとして一度好きになってしまえば、相手のことなんてどうでもいいものです、愛なんて」

漣「ははぁ」

高雄「ですよね? 周りなんて見えないけれど、周りのこと、気になっちゃうんです。天城さん? 」

天城「……………………はい」


< 狂気の坩堝 >







漣「…………」

天城「…………」

漣「…………まったく、やめてくださいよ? 不用意に」

天城「ええ……内容も冗談にしては酷過ぎましたし」

漣「ご主人様とか関係無く高雄さんなんて狂ってるんですから、いい意味でも」

天城「……」

漣「……高雄さんも雲龍さんもいなくなりましたから言いますけど」

天城「はい」

漣「天城さんが喋ってる間一言ずつ雲龍さんの目も光薄れてましたからね。
高雄さんが来なかったらむしろそのうち首でも締め付けられてたんじゃないです? 」

天城「…………」

漣「……天城さん? 」

天城「いえ…………興が乗って口が滑ってしまいましたけれどね」

漣「ええ」

天城「逆に姉様が言っていたら……自分でもどうしていたか分からないな、と」

漣「はぁ。…………………………………………幽霊よりも人間の方が怖いとか言うけど、
ここは人間よりも余程怖い狂気に満ちてるんだよねぇ」


< それは然程の時を要せずに >







提督「うん? 」

高雄「はい? 」

提督「何か怖い目してる」

高雄「ッ…………あなたの前なのに」

提督「それはそれでそそるけどな。怖い高雄もいいさ」

高雄「戯れを……ん、戯れ、か」

提督「? 」

高雄「いえ、戯れでもあなたを侮辱されると不愉快な気持ちになるのね、と」

提督「そりゃあ……俺だって高雄が馬鹿にされたら気分悪いぜ? 」

高雄「…………」

提督「…………俺の目でも見てなよ。その目に映る自分の目が柔らかくなるまで、さ」


ありがとうございました


< 痛くなるものなんですよ? マジで >







提督「早撃ちがどうだとか言い始めてタイム計ったことあるぞ俺」

愛宕「あー、天城と? 」

提督「そ、雲龍と天城」

愛宕「なんというか、シュールね」

雲龍「フルオートくらいは余裕でこなしてくれないと」

提督「死ぬ、死ぬからそれ。セミオートでも限界あるから」

天城「その場合薬莢は、あー……ゴム? 」

提督「俺の生命だろうが……マジで死ぬぞそのうち」


< 別に感謝などしていないけれど? >








高雄「煮物って何でこう味がシビアなのかしら」

愛宕「また素人みたいなこと言って」

高雄「いいのよ。和食は素人みたいなものだし」

愛宕「まぁまぁ、私が洋食は素人だって言ってると思いなさいな」

高雄「…………」

愛宕「…………」

高雄「…………何か本当に馬鹿らしくなってきたわ。精進あるのみね」

愛宕「どういたしまして」


< 堕ちるって気持ちいい >







提督「そーいや今までさ」

雲龍「ええ」

提督「お前とか天城が何を妹に贈ってきたかは聞いてるけど」

雲龍「私たちの誕生日に何をくれたかは知らない? 」

提督「あぁ」

雲龍「別に普通よ? マフラーだったりもしたしお風呂関係だったりもしたし、
手作りのミニアルバムたったりもしたわ」

提督「手作り? 」

雲龍「あの子、あれで結構器用なのよ。コルクボードがきたこともあったわ」

提督「そっか。……会いたい? 」

雲龍「そうね。…………あなたのことは、好いてくれないかもしれないけれど」

提督「知ってる。お前が、お前らが馬鹿なんだよ。俺なんかと一緒にいるだけで満足して」

雲龍「馬鹿でいいわよ、幸せだもの。他人から見た泥沼だとして、それが極楽浄土の温泉だって思えるのなら


< あなたとならどんな不仕合せだって >







提督「…………不幸だね」

雲龍「化物に好かれて縋られて雁字搦めのあなたが? 」

提督「可愛いだけの強がりな女の子に理由無く好かれていたたまれない俺が、だ」

雲龍「理由が無いと思うの? 」

提督「正確には、理由になっていないと思うのに、だが」

雲龍「そ。……愛に理由が欲しい人だった? 」

提督「それが俺の弱さだよ。……口ではなんとでもカッコつけられるけど、さ」


< 知ってる、そんなこと >







提督「だって」

江風「ふーン……何か負けたな」

提督「そう? 」

江風「江風は酒とかDVDとか、あとはインテリア的な小物しか贈ってない」

提督「それで十分喜ぶと思うけどなぁ」

江風「そりゃあ姉妹からなら江風だって、さ。なンだって嬉しいよ」

提督「だろう? 」

江風「でもさ、やっぱ物でも喜ンで欲しいじゃンか」

提督「まぁな。……ルームウェアとかは? 」

江風「ン……」

提督「ハンドクリームとかでも」

江風「修復機能励起させれば治るぜ? 」

提督「そうじゃないだろう、女の子だぜ? 」

江風「江風も女の子だけど? 」

提督「ん……女の子女の子してない女の子というか、
いや、可愛くないって言ってるわけでもなくてそれがお前の可愛さなのは分かっているんだが……」


< 正しく贅沢な悩み >







提督「お前らは……酒とか財布は知ってるな」

愛宕「他も似たようなものよ? バス用品もインテリアもアルバムも」

高雄「摩耶と鳥海が二人ともお財布だったときは少し困りましたけれどね」

愛宕「こっちにお財布が二つずつ送られてきたときは冗談かと思ったわよね。
高雄に贈った後話し合ったりしなかったのかしら」

提督「それはまた……どうしてんの? 」

高雄「大切に仕舞っておりますとも」

愛宕「そうねぇ、時々取り出してみて眺めたり」

提督「使わねぇの? 時々は外にも出るし自販機にも行くだろう? 」

愛宕「…………」

高雄「…………」

提督「うん? 」

愛宕「…………私も高雄も、あなたに貰ったお財布が常用なのだけれど? 」

高雄「ええ」

提督「あれ、確かにそうだっけ……うん? もしかして何か悪いことしてる? 」


< 締めに >







提督「と、いうことらしいぞ。皆は」

加賀「そ。……赤城さんなら、コスメが多いですね」

提督「ふぅん? 」

加賀「リップだとかアイカラーだとか。
それのおまけで赤城さんおすすめのお菓子なんかが入っていたり」

提督「なるほど」

加賀「……ま、折角選んでくれている赤城さんには悪いけれど」

提督「うん」

加賀「私にとってのメインは、お手紙です」

提督「そりゃあ宝物だ」

加賀「ええ。…………私と赤城さんだけの、それはちいさいけれど二人だけの世界です」

提督「……赤城もそう思ってるだろうよ」

加賀「本当に? 」

提督「赤城のこと信じられないのか? 」

加賀「まさか。…………赤城さんの信じる私、何てものが曖昧なだけなのよ。私って、弱いから」


< まったく翻ってこちら >







江風「何か訊いて回ってたけどさ、じゃあ逆にテートクに貰ったプレゼントといえば? 」

高雄「お風呂関係もバッグもそれこそお財布も。
アクセサリーなんてこともありましたね。
シンプルなネックレスでしたけれど」

雲龍「差なんてつけられない。全て大切だもの」

天城「そうですね」

愛宕「そうねぇ」

加賀「まったくよ」

江風「へぇ……まぁ、無駄にセンスはいいンだろうなぁ」

高雄「それはもう。…………妙に負けた気分ね、私だけ」


< おこ >






海風「でも不思議とあの人に高いお酒買う人っていませんよね」

愛宕「あー……」

高雄「それは……あまりしたくないというか」

江風「ン? 加賀さンとかが勝手に飲んじゃうから? 」

加賀「あなたね……」


< 呆 >








江風「や、ジョーダンジョーダン。冗談だから、睨まないでくれない? 」

加賀「まったく……愉快な昔話があるのよ」

江風「ふーン? 」

加賀「あるときある女があの人にそれはそれは高いお酒を贈ったらしいわ。銘柄は確か、あー……

高雄「ダルモアの50年、です」

加賀「そう、それね。……あの人、どんなこと口走ったと思う? 」

江風「ンー……普段のテートクなら一緒に飲もうぜ、とかじゃ」

加賀「それも言ったわ、言ったけれど、ね」

江風「うン」

加賀「真顔で“ こんなの貰ったら人生くらいしか返せないじゃないか ”なんて呟いたの。見つめながら」

江風「うわぁ……」

海風「それはまた、なんというか」

加賀「そのとき女は思ったのね。“ こんなものでそれが得られるなら苦労しない。
それでも揺れて揺れて仕方無いからもう止めよう、
他の子にもおしえてあげて不幸を増やさないようにしよう ”って」

愛宕「本当に愉快な話よねぇ~ 」

江風「はは…………でも本当にアル中なンだな、テートクって」


< 驚 >







海風「はぁ? そんな一言で片付けられる江風はきっと馬鹿なんだね」

江風「あぁン? 喧嘩売ってンのか? 」

高雄「それが馬鹿なら馬鹿の方がいいですよ」

愛宕「本当ねぇ……私も素面でときめかされるの好きだけどぉ。
それは最後にとっておきたいじゃない? 」

加賀「まったくよ」

雲龍「それが最大の幸福だったら、って思うと後の不幸が怖いですものね」

江風「馬鹿でもいいけど。……で、それ誰? 」

加賀「山城よ」

江風「……は? 」

海風「……え? 」

明石「誰でもこういう反応ですよねぇ……いや、私も最初聞いたときはそう思いましたもん、ええ」


< くずれさーるーこてーかーんねーん >







江風「や、でもさでもさ、山城さンがテートクにそんなもの贈る理由って? 」

海風「一応嫌ってる体ですよね? 実際は兎も角」

加賀「扶桑と同じ一週間、あの人のお付きって名目で東北の温泉まで着いて行ったの。
あの人は会議だとか接待で殆どいなかったから二人きりで過ごしたのよ、それも外で」

愛宕「あれはまだ返してもらってない貸しよねぇ。
幾ら私たちが演習訓練で外海にいたっていっても」

高雄「ええ。でもだからこそ、あんなものを贈ってもいいと思ったんでしょうね」

江風「なるほど……いや、体とか言うけどもう体裁すらままなってないじゃン……」


< 苦く優しい想い出もいつしか溶けて無くなってしまうのだろうか >







山城「っくしゅ……風邪かしら」

龍田「あなたまで? ここ大丈夫なの? 私たちを何人も風邪引きにさせる凄まじい菌が蔓延しているって」

山城「それは知らないけれど……そのボトル、邪魔ね。
割れたら困るから変なところには置けないし」

龍田「? あぁ、半分くらい飲んで強制的に強奪した例のダルモア」

山城「人聞きの悪い。それでもあれだけ飲ませてあげたんだから十分じゃない」

龍田「ふぅん? あなたが逃げたんじゃないの? あれ以上一緒に飲んでたら堕ちそうだったから」

山城「ふん……そんなわけ、無いじゃない」

龍田「そ。…………それがあなたの答えなら、そうね」


ありがとうございました


< 遠くの薔薇より >







雲龍「近くの薔薇よね、普通の人間は」

提督「そこは近くのたんぽぽって続くんじゃないでしょうか」

雲龍「いいのよ。私薔薇なんかよりたんぽぽの方が好きだから。それにどこにも無いんだもの」

提督「は、はーん? ……そうなると遠くの薔薇ってのは」

雲龍「勝手にキザなことほざいて悦に浸ってる自称イケメンのことね」

提督「あ、そう……」

雲龍「ま、たんぽぽの方は勝手に綿毛になって飛んでいっちゃうんだけれど……時々わざと捕まってくれるもの」


< そもそもからして割とキモい >







提督「あー、それより可愛い子の八重歯舐めたい」

雲龍「ギザ歯にしてみる? 」

提督「全然違うだろうが。つーか女の子が傷付くのが嫌なのも前提としてギザ歯とか痛いだけだろ」

雲龍「噛まないわよ? 」

提督「当たるんすよ? デリケートっすよ? 」

雲龍「知らないわ。口で奉仕するよりもハメてほしいもの」

提督「直裁過ぎるだろう……そりゃあたんぽぽも離れていくだろうよ」


< 本当何だってお話 >







雲龍「あ! 」

提督「ありがとうございましたー。またのご利用お待ちしておりますー」

雲龍「聞いてよ、私も聞いたんだから」

提督「あれもお前メインなレベルだったろうよ」

雲龍「焼鏝で痕着けても痕消せるわよ? 」

提督「…………焼鏝って欠損の亜種みたいなものだろう、お前何言ってるんだ? 」


< 嗚呼、不仕合せという仕合せ >







雲龍「ぁあ…………テンション下がるわ」

天城「さすがに一晩過ごして一緒に朝を迎えた人に言われると傷付くのですけれど」

雲龍「ごめんなさいね。でも虚しくない? 」

天城「…………いつの間に女の身体のことを知ったんでしょう」

雲龍「刻まれれば分かるようになるわ」

天城「はぁ…………最悪」

雲龍「そうね。…………テンション、下がるでしょう? 」


< 肌と肌 >








天城「まぁ……とは言っても姉様と何度寝たのか」

雲龍「さぁ? 意味のあること? 」

天城「割とあること、というか無ければいけないと思いますけれど」

雲龍「そう……それ」

天城「お水? いつの間に」

雲龍「ん…………いる? 」

天城「あぁ、いただきまぅんっ、自分っで、飲めまっ……~~~~


< 死が終わりだと誰が >







加賀「……雲龍と天城も段々おかしくなってきたわね」

瑞穂「元からでは? 」

海風「……辛辣」

加賀「些細な問題を抱えた不良品に不具合が出始めたってこと」

瑞穂「はぁ……いつか壊れるんですか? 」

加賀「それは知らないわ。製造もメンテナンスも私の仕事じゃないから」

瑞穂「そうですけれど……濁って腐って、死ぬ寸前ですね」


< クールスモーククールスモーク…… >






提督「ふぅ…………葉巻なんていつ振りだろう」

Littorio「無駄に様になっていますね」

提督「ありがとう。でも煙草ってのは

Littorio「格好つける為のツール? 」

提督「そ、自分に陶酔したり冷静になりたいときにね……フゥ-」


< 未来が無いような未来 >







Littorio「んん…………どうしたの? 」

提督「や、何ていうかこのままじゃ駄目な気がしてきた」

Littorio「今更? 」

提督「今更? 駄目のさらに上の駄目、だぜ? 」

Littorio「馬鹿な。……今のあなたが、最高なんで、知ってるでしょう? 」

提督「あぁ。…………最低だな、本当、フ-」


< それもまぁ、別の可愛さ >








雲龍「ん…………可愛いわね、天城」

天城「はふ、姉様こそ」

雲龍「だって私、美人だから」

天城「存じてますよ。……でも」

雲龍「ええ」

天城「あの人の、素敵な男性の隣にいる女性が一番可愛らしいです」

雲龍「それはそうでしょうよ……起きる? 」

天城「如何様にも。…………天城は姉様の言うこと、断れませんから」


< 売られるもの >







江風「酒と酒と酒」

加賀「喧嘩? 」

雲龍「媚? 」

天城「分かりますけれど……あの人のイメージってこんなのばかり」

雲龍「ええ。…………さっきまでの雰囲気、台無しね」


< まぁ、全てどうでもよろしいことではある >








提督「セッタだろう、ブンタって何だよ」

高雄「はぁ」

提督「あと自学を教習所とか自校は分かる。車学って何なん」

高雄「……」

提督「サビオとか絆創膏はまぁ、許すけどさぁ」

高雄「……」

提督「……」

高雄「ぁ、あー……越前ガニも加能ガニも全て同じズワイガニ、みたいな? 」

提督「違う、違うんだよそれは……誰か分からない? 」


< 男なら、分かる >








提督「高雄、愛宕、叢雲、漣、加賀、明石、雲龍、天城、Littorio、瑞穂、海風、江風……はっ」

愛宕「またろくでもないこと? 」

提督「バレーやって丁度じゃん! 俺が審判できるじゃん? 」

愛宕「やってもいいけど……ユニは? 」

提督「人数分の体操着がある。一応言うけど軍が与えてるやつで俺が用意したわけじゃないぜ? 」

愛宕「ふぅん? それなら……でも」

提督「ん? 」

愛宕「それがあるのにわざわざ通販でブルマ買って着させてるの? 」

提督「え、いやそれは……ねぇ? 」


< まぁ、見てるだけでいいんだけど >






高雄「バレー……バレーね」

加賀「構わないわ」

漣「いざとなったらご主人様にぶつけますよー」

雲龍「……まぁ、いいわ。ケアがあるなら」

天城「ケア? 穴埋めの間違いじゃないです? 」

叢雲「最低……」

雲龍「私はそれでいいわ。……で、チーム割は? 」

Littorio「とりあえず姉妹は別チームとして……もしかしてLittorioと明石が問題? 」


< え? マジでやるの? >






加賀「私も大概……」

瑞穂「加賀さんと張り合えるとは……」

愛宕「Aチーム」

高雄「愛宕、雲龍さん、海風さん、Littorio、瑞穂さん、明石さん」

愛宕「Bチーム」

高雄「私、天城さん、江風さん、明石さん、加賀さん、叢雲さん、漣さん」

叢雲「まぁ……妥当? 」

漣「っすねー。身長は叢雲ちゃんと漣の連携でカヴァー」

提督「や、割と冗だ…………ブルマよりユニの方がエロいんだけど、それはそれで? 」


< だって揺れが見えない >






加賀「……やるの? 本当に? 」

提督「や、えー……やりたい? 」

加賀「勝てるのならば」

提督「お前が勝たせろ」

加賀「そう……提督閣下? 」

提督「あん? 」

加賀「審判と床拭きとボール出し、お願いしますね? 」

提督「やめる、やめよう! 」


挨拶は今後無いかもです
アルコールで寝落ち増えてるんですよねぇ……

ありがとうございました

乙です
あと>>694で明石さんが分身してますよ


< 楽しいことは始まった瞬間から終わりに近付いてしまうから >







提督「おはおめ」

天城「おはようございます。……それとありがとう」

提督「ちゃんとあったかい服着てきた? 」

天城「ええ。それにちゃんと洋装です」

提督「そっか。……まぁ、別に和服でもよかったんだけどね。
車デートっていってもあんまりそういうの気にしないから」

天城「でしょうね。単に天城も好みと気分です」

提督「ん。…………また外に出たくなるような服でも、買いに行くか」

天城「はいっ」


< 酸っぱい葡萄か甘い檸檬か >







雲龍「あんなものは手に入っても要らない、なんて言えればよかったのに」

加賀「そうね。……あの人、私たちのことを甘い檸檬なんて思っていないのかしら」

雲龍「思ってくれないでしょう。捨ててくれないのはまた別のクズさ」

加賀「…………新しく比喩をつくるなら」

雲龍「ええ」

加賀「あの人は私にとって、“ 美味しいお酒 ”、ね」

雲龍「その心は? 」

加賀「文字通り美味しいお酒のように幸せにさせてくれるのと」

雲龍「はい」

加賀「どう考えても飲み過ぎの悪酔いと二日酔いが混在した坩堝みたいな関係だから」

雲龍「…………あぁ」


< あるいは期待と羨望の裏返し >







愛宕「明確に外を嫌悪してるのって海風くらい? 」

高雄「私やLittorioもまぁ……しかし、海風さんくらいね」

愛宕「病的というかなんというか……じゃあ、一番好きなのは? 」

高雄「江風さん? 」

愛宕「そうよねー……だからあんなに仲良いの? 」

高雄「さぁ……ま、どうせ箱庭から出られないのなら、
私は海風さんみたいな生き方の方がいいと思うわ」


< これが矛盾だと、言い切れますか? >







江風「雲龍さンたちって今でも幸せなンだよな? 」

雲龍「当然」

加賀「是非も無し、ね」

Littorio「勿論ですとも」

江風「ってことは二番でいいってこと? 」

雲龍「そんなわけ無いじゃない」

加賀「馬鹿なの? 」

Littorio「言い過ぎですよ」

江風「うーン……? 」


< 憧れたものには永遠にそのままを >







加賀「ま、実際本当にここから一番になれてしまったら絶望するかもしれないけれど」

雲龍「ええ」

Littorio「ままならないのもまた、愉快なことです」

江風「……はぁ? 」


< 泥濘に手を突っ込むというか >







龍田「ねぇ、知ってた? 」

山城「何をよ」

龍田「瑞鶴と葛城、寝てたのね」

山城「何を今更……葛城が来てすぐよ」

龍田「うっそぉ。知ってました? 」

赤城「知りませんでしたけど……まぁ、そう言われると雰囲気はありますね」

龍田「知らなかったぁ……あんまり仲良くしてないからかしらぁ? 」

山城「そうでしょうよ。でもこんな情報役に立つ? 」

龍田「男の人ってね? そういう情報でも喜んでくれるの」

山城「薄汚い……本当、不潔ね」


< 仕合せの為ならばあなただけの娼婦にもなりましょう >







山城「そもそも今更とはいえそんなのどこで拾ってきたのよ」

龍田「蒼龍に用があってね? 部屋行ったら隣の部屋からそういう声が」

山城「あっそ」

赤城「んん……空母組でパートナーが居ないのは私くらいでしょうか」

山城「え? あの男の女郎に成り下がったのは置いておいて他も? 」

龍田「女郎、女郎ってあなたね……」


< 是非など関係無きこと >







山城「そんなものでしょうが。……翔鶴だとか伯爵は? 」

龍田「GrafだとかAquilaは語るまでも無いでしょう? 」

赤城「翔鶴さんは……んん、あらゆる噂が混在していて分かりません」

山城「新入りは? 」

赤城「SaratogaさんとArk Royalさんはそもそもあまり話しませんね」

龍田「軽空母組の方も何人か知ってるわぁ」

赤城「そうですね」

山城「はぁ。……………………自分が倒錯していないとは言わないけれど、こんなのでいいのかしら」


< 他方 >






Littorio「ん……強いわ」

高雄「知らない。…………痕、付けるから」

Littorio「! ~~~~…………ッ」


< さらに他方 >







愛宕「ってのが自分の部屋から聞こえてきた私はどうすればいいと思う? 」

雲龍「さぁ……混ざれば? 」

愛宕「高雄は兎も角、高雄とLittorioの二人の空間にはちょっとねぇ」

雲龍「……私とイく? 」

愛宕「いいけど……ちょっと乱暴になるかも」

雲龍「構わないわ。……私の部屋、どう? 」

愛宕「喜んで。……愉しみましょう? お姉様」


< さらにさらに他方 >







明石「と、いうのを割と近くで聞かされてしまった私はどうすれば」

瑞穂「暇になって瑞穂のところへ? 、と言えば? 」

明石「ええ」

瑞穂「素直過ぎ。……いよいよ倒錯どころの話ではありませんね」

明石「それはほら、あの人と天城さんいませんし暫く叢雲さんと漣さんが珍しく陰鬱な顔だから」

瑞穂「はぁ」

明石「あぁいうときのあの人たち、魅力的ですよね」

瑞穂「分からないとは言いませんけれど……それで倒錯? 」

明石「分からなくても…………今なら私が刻んで差し上げますよ? 」

瑞穂「…………はい? 」


< どちらが? どちらも? >







海風「はぁ…………入れない」

江風「そりゃあね。心分けてもらってる量が違う」

海風「ストレートだね」

江風「酔ったかな? 」

海風「んん……一緒に寝てもいい? 」

江風「ん」






叢雲「…………可哀想な子」


< 逃げることを止めてくれさえしないから >






漣「酷い言い草」

叢雲「でもあなた、否定できる? 」

漣「んん……まぁねぇ、ご主人様も本当どーすんだろ」

叢雲「いっそ抱いてあげればいいのに」

漣「だよね」

加賀「あれで高雄と愛宕すら選びきれなかったことを悔やんでいるのよ。……ここいい? 」

叢雲「ええ。……そんな男に抱かれて、いいの? 」

加賀「狂ってるのよ、私も彼も他も」

漣「うんざりしますねぇ」

加賀「それでいいのよ。彼がいなくなってしまったら私、きっと死ぬわ」

叢雲「それこそうんざりの根本なんだけど…………ま、割とそんなものなのよね、私も」


< ティッシュ >







提督「…………ぅ…………要る? 」

天城「んんぅ…………割と、飲みました」

提督「やめなよ、そんなにいいものじゃない」

天城「好きでしょう? 」

提督「女の子に何か強いるより、気持ちよくなってもらいたい」

天城「クズの言い訳ですね。……それでも嫌いにならせてくれないなんて」

提督「悪い。……ん」

天城「臭いとか感触……ん…………キスなんて、触れ合うだけだと思っ……ぁは」


< 溜め息一つ溢して >







叢雲「ん……それよりあなたは誰かと寝ないの? 」

加賀「あなた一緒に堕ちてくれる? 」

叢雲「遠慮しておくわ」

加賀「雲龍は奪られちゃったし、あなたたちと飲むのも楽しいから」

漣「加賀さんが稀にする慈愛の目って異様な優しさ有りますよね」

加賀「自分じゃ分からないわ。……でも、そうね」

漣「はい? 」

加賀「あの人が特定のときにする目、に近いかもしれないわ」

叢雲「あぁ……」


< 夜が更けていくのか朝を迎えるのか >







天城「ハァ……、ハァ、ハァッ…………危なかっ、たです」

提督「っ、はぁ…………あっぶな、あっぶなかった」

天城「? あなたの方が、ふぅ、早かったのでは? 」

提督「まっさか。お前だろうよ」

天城「…………」

提督「…………」

天城「…………今夜は寝かせないわ? 」

提督「受けて立ちます? 」


>>697
ありがとうございます。アルコールの所為なんです……許してください

ありがとうございました


< 大事大切真心あなたに >






加賀「一応私もあの人の寝室に入ったことがあるのよ」

雲龍「は? 」

江風「こっわ、目ぇこっわ。雲龍さンが加賀さンに向ける目じゃねぇ」

加賀「諸事情あって私が数日昏睡していたときに寝かされていたの」

雲龍「は? 」

江風「こっわ、顔こっわ。雲龍さンも加賀さンのこと好きすぎだろう……えぇ? 」


< 見えてしまう >








山城「あなた、彼氏が欲しいとか宣っていたみたいだけれど」

鈴谷「宣うとか酷くない? 」

山城「仮にそんな奇特な男がいて、あなたが幸せにできると思うの? 」

鈴谷「え? ……ん……………………ぅ

山城「悪かった、私が悪かったから……そこまでヘコむと思わなかったのよ、ねぇ? 」


< いつになくまとも >








あきつ丸「気持ちが分からないとは言わないが……そこまで気にすることか? 」

山城「そ、そうよ。そもそも男が殆どいないじゃない」

鈴谷「そんな境遇で好きになった人のこと幸せにできないとか最悪だよ。
鈴谷、自分のこと裏切ってまで幸せになりたくない」

あきつ丸「…………」

山城「…………」

鈴谷「別にいいけど……鈴谷だけ楽しくても、それは本当の意味で鈴谷が幸せってことじゃないもん」


< 愛すより愛す。殺してでも哀す >







山城「ってことが」

龍田「なるほど……まぁ、鈴谷らしい」

山城「ええ。あなたなら仮令懸想相手がただの肉片になってもあるいは幸せよね」

龍田「当然じゃない。私は私の幸せしか願わないもの」

山城「…………はぁ」

龍田「? 」

あきつ丸「そこで当然と言い切ってなおかつ本音に聞こえるあたり…………真性でありますなぁ」


< 夢を見ることくらいは >








雲龍「ここ、どうですか? 少し、寂れていますけれど」

加賀「いいのじゃなくて。あまり他人が居過ぎると興醒めだし」

雲龍「ですよね。理想はあの人の実家近くかあの人が行ったことの無い場所ですけど」

加賀「それは中々難しいもの」

雲龍「ええ。……ま、だからこそ望むのですけれどね」






江風「…………何で新婚旅行者のツアーパンフとか見てるンだ? 」



< そこまで言うこと…… >






雲龍「だって、ハネムーンなんて響、よくない? 」

江風「取り敢えず色々すっ飛ばして普通の新婚さンに謝ってくれない? 」

雲龍「」


< 異常な説得力 >







天城「またですか」

江風「また? 」

天城「前も見ていたんです。最近は天城も気持ち、分かるようになりましたけれど」

江風「はぁ……虚しくならないの? 」

天城「なったとして、望まずにいられるとでも?
あなたが望まずにいさせてくれるっていうんですか? 」

江風「や、それ言われたら……うン、何も言えないけど」


< さて、何故かな? >






雲龍「天城、さすがに江風の初めては駄目よ」

江風「何続けてンすか雲龍さン……」

天城「そりゃあ天城だって海風さんは差置けませんが寂しいこともあるのですよ? 」

雲龍「それは分かるけれど」

天城「人恋しいときに限って姉様はあの人や加賀さんとーーーー






海風「江風ってさ、海風の意志に拘らず海風の相手扱いされてるよね」

江風「言うなよ……マジでさ、絶対おかしいと思ってるンだから」


< 背比べ? >







龍田「もしあの人と寝たら扶桑への罪悪感で死ぬ程気持ちいいんじゃない? 」

山城「あなたこそ今ここで死になさい。何巫山戯たこと宣ってるの? 」

龍田「“ あぁ、姉さまごめんなさい、でも、でも気持ちいいんです……”、的な」

時雨「背徳的、というと聞こえはいいけどおかしいよ」

春雨「待って、待ってよ。背徳的、っていうのは聞こえ、よくないよ? 」

時雨「うん? 」

赤城「普段こんな同輩に食のことで揶揄われているというのは…………うーん」


< ところかわって >








提督「んあ……眠い」

天城「……膝、来ます? 」

提督「いい? 」

天城「ええ。…………お仕事は? 」

提督「やったよ、そもそも左遷された高級将校なんて基本遊んでるものだ」

天城「偏見。……どうぞ? 」

提督「ん……あったか」


< 溜め息一つ、其は限り無く魅力に溢れ >







提督「ふぁ…………疲れたらさ」

天城「はい」

提督「勃つ」

天城「断ちましょうか? 」

提督「やめて、マジでやめて。人生七割死ぬ」

天城「あとの三割は? 」

提督「酒と車」

天城「ふぅん? 愛は? 」

提督「人生十割の前提だよ。…………勃つんだ」

天城「…………仕方、無いですね、まったく」


< 屋上にて >







鹿島「………………………」

龍田「演習中の事故ねぇ……儘あると思うけど」

あきつ丸「それが自分の教え子なのが許せないのだろうよ」

龍田「ふぅん? 喪われたものの為に泣くより未来願った方が建設的だと思うわ」

あきつ丸「それを提督殿が事故で死んだときに言ってみてほしいものでありますな」

龍田「む……」

鹿島「………………………」






鈴谷「や、慰めなくてもいいけど目の前で話すことじゃあ……えぇ……? 」


< 正しさなど知るか >







鹿島「……うるさいですね」

龍田「うーん? 生き返った? 」

あきつ丸「再起動が遅いなど今どきつまらぬ骨董品くらいでありますよ」

鹿島「骨董品で結構。…………火、あります? 」

龍田「ん」

鹿島「ありがとう。…………フ-」

あきつ丸「自分は構わないが……吸っていたか? 」

鹿島「美味しいとは感じません。場をもたせたり上官に近付くためのツールだったりです。
すぐに消臭して復元能力で身体も正常化します」

龍田「やめたら? キャラに合わないでしょ」

鹿島「ツールとしては合うでしょう? しっかりメンソールです」

あきつ丸「まったくつまらんな。……しっかりの意味も分からん」

龍田「ここではまぁ、間違っちゃいないわねぇ」

鈴谷「だとしてさ、そもそも絶対正しくないよね、女の喫煙とか、え? 違う? 」


< 比較に始まり憐憫と優越に満たされた世界で >







龍田「ま、いいや、自分のことじゃないし」

鹿島「ええ。そうでっほげほっ

あきつ丸「まったく……一本寄越せ」

鹿島「んん……どうぞ」

あきつ丸「フ-……女煙草など久方振りだ」

龍田「私も。……ねぇ」

鹿島「? 」

龍田「これ、本当に不味くない? 」

鹿島「上官と交換したものよりマシってだけです……フ-。
あなたと上官を比較したのと同じくらい」

龍田「言うわねぇ……フ-」


< それでも違うと信じてる >







若葉「それなら若葉にも

鹿島「駄目です」

若葉「……」

龍田「いいんじゃない? あなたに彼女の行動縛る権利なんてあるの? 」

鹿島「そんなものは無いですけど、理由はあります」

龍田「是非お聞かせください、鹿島先生」

鹿島「私が、嫌だからです、それだけ。私と同じ卑しい女になってほしくありません」

あきつ丸「ハンッ、それなら自分は既に卑しい女ということでありま

鹿島「黙って」

あきつ丸「……ふん」

鹿島「私は変わらず理想を追います。あなたたちとは、違う」

龍田「そ」

鹿島「それでも、それでも……少しだけ、我を通したいんです。
脈絡も、正統な理由も、権利なんて無くても」

龍田「…………」

あきつ丸「…………」

若葉「…………」

山城「…………ウェルカムトゥー……ええっと、底辺の世界へ? 」


ありがとうございました


< 躊躇う私を抱き締めて >






天城「あの……」

提督「うん? お茶要る? 」

天城「まだあります。そうではなくて」

提督「ん? 」

天城「ええっと……」

提督「…………」

天城「…………」

提督「…………? 」

天城「あー…………ぁ」

提督「ん…………女の子が寂しそうなときは抱き締めたくなるんだけど……違った? 」


< 誰から見るか、誰を見るか >







龍田「……ねぇ」

あきつ丸「何だ」

龍田「鹿島、危ういわ」

あきつ丸「知れたことを。それもあれが選んだ道だ」

龍田「確かに私たちが何か言うことじゃないけど」

あきつ丸「はぁ……大概、貴様もお人好しなのだな」

龍田「だって私優しいもの」

あきつ丸「ハンッ」

龍田「失礼しゃうわね。ただちょっとだけ優しさ向ける範囲が狭いだけよ」





鈴谷「…………まぁ、二人とも間違いじゃないよね、うん」


< その背中にかける言葉など無く >







提督「朝早く起きて、味噌汁つくってくれる人がいるって幸せ」

天城「それくらいしか天城にはできません」

提督「それだけで、それこそが、っやつなんだ」

天城「…………ねぇ、あなた」

提督「…………何? 」

天城「いつか、本当にそんな幸せ、得られるといいですね」

提督「もう十分得て

天城「仮令あなたの隣が、天城ではなくても」

提督「天……………………そ、うだな、あぁ」


< …………ええ、私とは、違ってね >







鹿島「……………………」

赤城「隈、できてますよ」

鹿島「あぁ…………これで、どうです」

赤城「……無理矢理に回復を励起してもツケは回ってきます」

鹿島「ツケは回せるだけ回します。理想の為なら」

赤城「…………あなた、戦場には向きませんね、鹿島さん」

鹿島「向く人なんて、いるとでも? 」

赤城「私だとか、私だとか……えーっと、足柄さんとか? 」

鹿島「ふふ。…………赤城さんに本当に向いているのは、
戦場に立つ者の支えになることなんです、きっとね」


< 似たり寄ったりな人ビト >






提督「少将閣下のー、ちょっと小話のコーナー」

漣「はぁ? 」

提督「しっかり聞いて、笑え。命令だ」

漣「んな理不尽な。パワハラですよ、パワハラ」

提督「若い頃にさ」

漣「十分まだ若いでしょ……いや、できるなら目一杯おっさんって言ってやりたいですけどね」

明石「疎通できてないでしょとかパワハラとか年齢とか言いたいことは沢山ありますけどね、
目一杯のおっさん呼びって何です、意味分からないですよ」


< まぁ、大体偏見とかレッテルなんですけどね >







提督「わ、若い頃にさ」

漣「はいはい」

明石「続けるんですか」

提督「何人かで待ち合わせしてたんだよ。札幌のある場所で」

漣「はぁ」

提督「十分遅れてきたわけ、相手が」

明石「ええ」

提督「その次もその次も遅れてきたわけ、そいつだけ」

漣「いそうですねーそんな人。それで? 」

提督「そいつだけ十五分早い時間おしえてやったんだよ」

明石「それでも遅れてきたとか? 」

提督「いや、一時間早く来てた」

漣「はぁ? 」

明石「はぁ。……………………女ならあり得る、とか思いましたけど、嫌な考えに染まってきた気がするなぁ」


< ある意味これこそ社会的 >







提督「ま、地方の列車本数過大評価すんなよ、って小話でしたー、笑え」

明石「地方性を加味して、五十点」

漣「ふっつーにつまんないです、二十点」

江風「五点」

提督「いや、お前らさ、もうちょっと何とかしろよ。社会で生きていけねぇよ? 」

海風「あの、これ高評価したら何かあるんです? 」

提督「や、無いけど」

海風「じゃあ、三点で」

提督「…………」


< よく狙って、てー! >







漣「ってーかですね、社会性とか絶対漣たち要らないじゃないですか」

明石「将来的な希望を最大限持っても今は要らないですよね」

海風「いざとなったらあなたの女になりますから」

江風「えぇ……江風テートクが義兄とか嫌なンだけど」

提督「あ、そ、そう…………どうなっても義兄にはならないと思うよ、
とか言えないくらいマジじゃない? ねぇ? あれ? 」


< 印象 >







提督「あぁぁぁぁぁぁぁぁっ! うっるさい何なのこれ」

愛宕「うるさい蝿ねぇ……無粋な」

提督「折角いい気分で酒飲んで早寝しようとしてるんだけど」

愛宕「離れたと思ったらぶんぶん耳元に」

提督「腹立ってきた。お前あれ倒せないの? 」

愛宕「殺気を隠す能力なんて無いもの。離れていくわ」

提督「あきつ丸でも呼ぶべきかな? 」

愛宕「高雄でいいんじゃない? 」

提督「あぁ、確……あいつはそんな訓練受けてないはずなんだけどなぁ」


< 溶かされる絆される解される >







提督「でもあれじゃない? 殺気放ってればこないんならずっとできない? 」

愛宕「疲れるのは置いておいて……無理ね」

提督「何で? 」

愛宕「あなたと抱き合って寝てるときにそんなこと続けられると思うの? 」

提督「あぁ……あぁ」


< どう思います? >







漣「いやー、それにしてもこの要港部にあるものなんて何もかもエロく聞こえますよねー」

加賀「えーっと……椅子」

漣「エロい! 」

加賀「グラス」

漣「エロい! 」

加賀「DVD」

漣「エロい!」

加賀「タオル」

漣「エロい!」

Littorio「明石」

漣「エロいっ!!!! 」

明石「ちょ、それはおかしいんじゃないかなぁっ! ねぇ? ねぇってば! 」


ありがとうございました


< 好きなもので誰だか分かるでしょうか >







江風「テートク」

海風「それはヒントにならないよ」

江風「酒」

海風「それもあんまり」

江風「スポーツに興味無し」

海風「それも」

江風「美人」

海風「だからさ」

江風「エロい」

海風「んん……まだまだ」

江風「バイ」

海風「……」

江風「……」

海風「…………割と終わってるよね、皆」


< 引き継ぎまして >







Littorio「変態」

海風「雲龍さ

提督「まだ分からないな」

海風「え? 」

提督「うん? 」

雲龍「女だって皆エロいものじゃない」

海風「まぁ、そうですね。じゃあ、分からないです」

江風「そこで同意してしまうあたり姉貴って馬鹿なンだろ? なぁ、なぁ? 」


< お互いがお互いの想いを誇るでしょうね >







天城「愛に順番を着けるのが無粋なのは承知しておりますけれどね? 」

瑞穂「ええ」

天城「加賀さんから赤城さんへの崇敬と姉様から加賀さんへの敬愛ってどちらがより重いでしょう」

瑞穂「…………非常に難解極まるお話ですね」


< 流行にも業界にもファンにも喧嘩を売っていく >







雲龍「あいはーぶあぺーん」

明石「今更、とか海軍所属としてその発音は、とか」

雲龍「あいはーぶあパーイ」

明石「いやいやいや……」

雲龍「ぁ……ぁんっ」

明石「……」

雲龍「ペンパイパイおっぱいぺーん」

明石「…………」

天城「…………何でこんなのと姉妹なんですか? 天城」


< 願わくば、永久に >







提督「そういや高雄さ」

高雄「? 」

提督「俺の第一印象って割と駄目な方向だったよな」

高雄「ええ。女誑しの下半身がだらしない男だと」

提督「の、割に告白のときなんて一目見たときから素敵な方だと、なんて」

高雄「言いましたよ? 」

提督「うぅん? 」

高雄「あなたなんかに絡め取られたんです。
それはきっと、運命なんてつまらないものではなくて、
心で惹かれていたんですよ、出逢ったときから」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………照れるべき? それともツッコむべき? 」

高雄「誇りなさいな。一人の女が、たった一人の男だと認めたのですから」


ありがとうございました


< ヒラヒラと弄びながら >







提督「おい、愉快な書面が届いたぞ」

加賀「何? 今は面倒な話したくないのだけれど」

提督「笑い話にできるやつだ。この案が出たとき明石も鼻で笑ってたからな」

加賀「はぁ。……兵員及び装備のレベル換算? 」

提督「戦力の数値化をここまで馬鹿にした資料も無ぇよな」

加賀「……高雄改:Lv165、愛宕改:Lv165、はまぁ、いいとして」

提督「あぁ」

加賀「何故私や雲龍や江風が皆同じ数値なの? 別に下に見ているわけではなくて」

提督「な? 意味分かんないだろ? 」

加賀「まったくよ。…………何か物凄いものに喧嘩を売った気もするけれど、きっと気のせいね」


< 良いとか悪いとかではなくてね? >







天城「Lv99……? 」

雲龍「なんだかよく分からないわね」

天城「ええ。……高雄さんと愛宕さんはまぁ、分かりますけれど」

雲龍「分かってないでしょう。あの人が関わったときなんてその程度じゃ収まら……うーん」

天城「? 」

雲龍「……そんなのは私やあなたも同じだな、と」

天城「……そうですね」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………まぁ、変態度なら勝ってるわね」

Littorio「あなたは何故それでいいと思えるんですか……」


< さて、誰のことかな? >








江風「加賀>>>>>>>>雲龍>>愛宕>>叢雲>>Littorio>天城>高雄>>瑞穂>>漣>>明石>>海風≧江風」

海風「うん? 」

江風「、で合ってる? 酒の強さ」

海風「あぁ。……明石さんもう少し飲めると思うけど」

明石「私はそんな感じだと思いますよ。それより叢雲さんと雲龍さんはもっと強いかと」

瑞穂「ですね。高雄さんももう少し飲めます」

江風「じゃあ、加賀>>>>>>雲龍>>愛宕≧叢雲>>Littorio>天城≧高雄>>瑞穂>>漣>明石>>海風≧江風? 」

海風「いいんじゃない? 」

瑞穂「ええ」

明石「大体異議無し」

瑞穂「大体? 」

明石「だってほら、あの人がいると途端に強くなったり弱くなったりする人いますし」

海風「あぁ……」


< 分かってしまったヒト >







江風「姉貴さ、マジでその納得やめてほしかったんだけど」

明石「いい加減私は慣れましたよ。……海風さんはどちらでしょうね」

海風「強くなるか弱くなるか? 」

明石「ええ」

海風「そんなの……

明石「はい」

海風「それこそ雰囲気によるとしか」

明石「あぁ……」


< 酔い潰すことが目的なのだろうか >







江風「そりゃ慣れはするけどさ……」

瑞穂「そういうことではありませんよね」

江風「うン。……テートクはどの辺だと思う? 」

瑞穂「ん……一応彼も人間ですし最下位、と言いたいところですけれど」

明石「体感だと叢雲さんくらいは飲めそうなんですよねぇ」

海風「一回くらい皆で飲ませて酔い潰してみたいものですよね」

漣「いやいやいや……えぇ? 」


< 嫌いじゃないけど近くにはいてほしくない存在 >







山城「あの男」

龍田「嫌いってこと? 」

山城「そっちじゃないわ」

龍田「じゃあ、好きではないけど近くにいてほしい存在」

山城「あの男」

龍田「……ね? 面白いでしょう? 」

春雨「一人で泥酔した山城さんが珍しいからってこんなこと……」

浜風「暴露たら後で何をされるか分かったものではありませんね……」


ありがとうございました


< まぁ、分からない人には分からないでしょうね >







提督「……………………ふへぇ」

江風「七球団競合選手の交渉権引き当てた球団のファンとは思えない顔なンだけど」

提督「あのね、一応言っておくと俺特定球団のファンじゃなくて特定選手のファンだから」

江風「あっそ」

提督「でもさぁ、何で一位指名投手じゃないの? ねぇ? 」

江風「知らないよそンなの。フロントに訊けば? 」

提督「んー…………」

Littorio「これは何の話? 」

高雄「野球の話ですね。あるいは単なる好みの話」

Littorio「はぁ……? 」


< 一方その頃別の分野のプロのお話 >







明石「うっわきったな、きったないですよこのコード。
こんなの組むなら石器で生活した方がまだマシですって」

海風「……はい? 」

天城「全く意味が分からないのですが……」


< 殊更に愉快気な顔で >








加賀「眠い……ボウモアある? 」

高雄「ありますよ」

加賀「ストレートでいいわ。それで寝るから」

高雄「はい」

加賀「…………」

高雄「…………」

加賀「…………江風のこと、信頼してる? 」

高雄「あの人が持つ信頼の分だけならば」

加賀「そう……もしその読みが狂っていたら? 」

高雄「さてさて、どうしましょうね……ふふ、どうすると思います? 私」

加賀「真面目な話なのだけれど……明言しないあたり、聞かない方がいい気もするわね」


< 見てる気にする逃がさない >







高雄「まぁ……加賀さん? 」

加賀「何? 」

高雄「江風さんのこと、好きなんです、私」

加賀「そ、知ってるわ」

高雄「ええ。……だからいつも、気にして、ますから」

加賀「…………そう」


< 言葉よりも表情よりも、あるいはその瞳 >







江風「…………………………………………」

海風「? 」

江風「…………………………………………」

海風「…………江風? 」

江風「…………………………………………なンで悩ンでたと思う? 」

海風「は? 」

江風「なンで、悩ンでたンだと思う? 」

海風「だから何…………江風? 野球の話? 」

江風「……ン? 」

海風「うん? 」

江風「何ていうか……今幸せな分だけ、いつかの不幸が怖かったっていうか……。
でも今の何でもない幸せを実感したっていうか」

海風「…………__さん、呼んでこようか? 」


< 姉と妹 >







愛宕「で、呼んであげたの? 」

海風「ええ。今の江風に必要なのはあの人の心です」

愛宕「言うわねぇ……あなたにこそ必要なんじゃないの? 」

海風「いつだって欲しがっていますけど、きっと今はくれません。いつかは、貰いますが」

愛宕「そ。…………飲む? 」

海風「はい。…………酔わせて、くださいますか? 」

愛宕「あなたが望む限り。…………特別よ? 今夜だけの話、なんだから」


< 明日からはまた、いつもの君で >







江風「なぁ、テートク」

提督「うん? 」

江風「江風の為に死ンでくれ、って言われたら、死ンでくれるか? 」

提督「そりゃあ理由によるだろうけど……言えないような事情なら、いいぜ? 」

江風「なンでだよ……フツー逆じゃねーの? 」

提督「俺、お前のこと好きだからさ。それだけで十分じゃない? 」

江風「ッ……………………あのさ」

提督「何? 」

江風「江風、テートクに黙ってたけど、呉の大将から手紙貰ってた」

提督「そうか、それで? 」

江風「江風だってテートクのこと好きだし尊敬してるけど、でも、それでも!
テートクにそのこと言うの、何日も迷ってた」

提督「あぁ」

江風「…………許して、くれるか? 」

提督「お前の分まで許してやるよ。…………寝な。それは、俺が処理、してやるから」


< 寒々しい廊下にも一燈が >





江風「…………Zzz」

提督「よう」

愛宕「お姫様抱っこなんて妬けるわねぇ」

提督「許せよ。泣き疲れたお姫様くらい寛大に、な」

愛宕「まぁ、いいけど……私もだし? 」

海風「…………Zzz」

提督「……………………普通に寝かせればそれでいいと思う? 」

愛宕「ここで心の弱さに付け入ったらさすがに軽蔑するわよ? 」

提督「そんなことはしねぇよ。他にできること無ぇのかなって」

愛宕「そんなの

提督「そんなの? 」

愛宕「あなたがあなたであればいいの。明日も、明後日も、この子たちがこの子たちであれるように」

提督「そっか。…………お前、いい母親になるよ」

愛宕「ありがと。…………いつか、ならせて、くれるわよね? 」


< 今日の終わりに傷を見せ合う >







提督「フ-…………まっず」

高雄「それはそうでしょうとも」

提督「愛宕でさえ寝たのに、遅寝だね。…………何? 」

高雄「江風さんが誰かしらから密書を受け取ったこと、知っていたでしょう? 」

提督「フ-…………そうかもね。それで? 」

高雄「試すようなことをして」

提督「駄目かな? 」

高雄「駄目でしょう」

提督「そっか。嫌いになる? 」

高雄「まさか。あなたがさせてくれません」

提督「そうだね。……フ-……………………まだ、大丈夫だったかな? 」

高雄「赦した分だけ許されたでしょう。…………あなたが許せない自分の分は、私が癒します」

提督「ありがと」

高雄「いえ。…………その代わり私も、慰めてください。
柄にも無く、大切な友を監視しているなんて嘘、吐いてしまいましたから」


ありがとうございました


< 女神になんてなれないまーま♪ >







扶桑「“ あなたに神はいないのですか? ”って訊いてみたことがあるの」

あきつ丸「ほう……“ いるのですか? ”ではないあたりに貴様の屈折が分かるな」

扶桑「ふふ……“ 現人神ならいる。世の中は女神に溢れている ”、なんてはぐらかされたわ」

あきつ丸「いや、大分本音を漏らしていると思うが」

扶桑「…………彼にとって女神とは? 」

あきつ丸「見目麗しい女全てだろう。あれにとって大切な女は女神などではなく、妻だ」

扶桑「なるほど……分かるわ、残念ながら」

あきつ丸「あぁ……本当に、残念ながら、我々は女神にはなれるが、妻には、なれない」

扶桑「…………」

あきつ丸「…………」

扶桑「…………本当に女神なのなら、一人の人間くらい、動かせるものなのだと思うのだけれど、ね」


< それはきっといつまでも分からない >







あきつ丸「ま、何を語ろうと戯言にしかならないであります」

扶桑「そう、ね」

あきつ丸「自分はこれから少し出なければならない。……また、でいいか? 」

扶桑「また、あなたに私と会う気があるのなら喜んで」

あきつ丸「そうか。…………盗み聞きとは、趣味が悪い」

龍田「あらぁ、盗み聞き? 私にだって見送りくらいさせてよね」

あきつ丸「ふん…………帰ってはくるさ、帰ってこられない理由が無い」

龍田「希望的観測? 」

あきつ丸「絶望的事実の方だな。幸せなことに」

龍田「そ。…………いつ? 」

あきつ丸「知らん。…………ま、貴様が無様に泣き叫ぶところを見るまで死ねないからな。死にはしない」

龍田「ふぅん? 待ってるわね」

あきつ丸「あぁ」

扶桑「……………………何を待って、何を期待せず、何に望むのかしらね、私たち」


< 或いはさらに堕ちる >







提督「……………………最悪だ」

高雄「……………………」

愛宕「……………………」

提督「……………………」

加賀「……………………指輪、ね」

提督「こんなにも不仕合せな指輪も無いだろうよ……はぁ」


< 指輪、なんてものは本来幸せの只中にあらねばならないのですがね >







提督「……………………」

高雄「…………睨んでいても仕方無いでしょう。そろそろ

提督「嵌めてやれって? 」

高雄「それが命令です、帝都の」

提督「……………………不幸だな。お前も、愛宕も、俺も……加賀も」

加賀「まったくね。…………私から上申する? 辞退」

愛宕「いいですよもう、別に」

高雄「ええ、私たちが気にしているのはこの指輪そのものよりも

愛宕「これを増産して何人かに配って

提督「既に使ってる俺にもまた来た、ってところだからな」

加賀「……………………本当に不幸ね、私」


< 覚悟なんて、きっと本質的なものじゃあないんだね >







愛宕「…………あんなこと言ったけど」

高雄「あんなこと? 」

愛宕「指輪なんかよりもこの後が心配、って」

高雄「あぁ」

愛宕「…………割に、ショックね」

高雄「ええ」

愛宕「これが、曲がりなりにも国家に貢献してきた化物への贈り物だなんて」

高雄「或いは怠惰で放埓な生き方をしてきた罰なのかも」

愛宕「……………………」

高雄「……………………」

愛宕「……………………今目の前にカミサマがいるなら、殺してしまいそう」

高雄「そうね。…………………殺せるのなら、誰だって、殺したい気分だわ。……それが、自分でも」


< 何が起ころうとも、花咲く様に >







龍田「…………聞きたくないこと聞いたときって気分、落ち込むわよね」

山城「当然そうでしょう。……言わなくていいわよ? 」

龍田「どうせそのうち知るわ」

山城「あ、そう……どこの情報? 」

龍田「あきつ丸の同僚」

山城「…………最低」

龍田「ええ。…………あの子が、私の見たくない顔でここから出た時点でそんな気はしていたんだけど、ね」


< 陰鬱な様すら匂い立つ様な >







扶桑「ふぅ……寝たいわ、深く深く朝になっても覚めないくらい」

鹿島「お風呂は上がった方がいいと思いますけど」

扶桑「そういうことじゃなくて……ね? 」

時雨「あぁ……気分、悪くなってきた」

鹿島「? 」

扶桑「私は山城から逃げてきて

時雨「僕は龍田から逃げてきたんだ」

鹿島「……はぁ? 」


< 救いに背を向ける覚悟など>







叢雲「ん…………寝るわ」

提督「早くね? 」

叢雲「ええ、でも何か不愉快な気分になりそうだから」

提督「そっか。俺も寝るかな、叢雲寝るんなら」

叢雲「駄目に決まってるじゃない。あんたじゃないと収められないわ」

提督「……そんな雰囲気? 」

叢雲「当たり前」

提督「そ、っか」

叢雲「ん? 」

提督「…………俺が本当に駄目になったら」

叢雲「殺してあげるわよ、迷い無く」

提督「あぁ。…………行ってきます」

叢雲「ん。……………………救われなくたっていいじゃない、そう、思うんだけど、ね」


< どちらが踏み出すのかということ >







提督「ふぁ……オリーヴ、無くなった」

加賀「お酒も無くなったわ」

提督「そんなわけ。お前の部屋だぜ? 」

加賀「今のあなたに出せるものが無くなった、という意味よ」

提督「……………………本当に? 」

加賀「まだ、飲みたい? 」

提督「そうだな、飲みたい。…………飲ませてくれる? 」

加賀「それが、命令なのならば」


< 独りと独りが或いは二人になるとき >






叢雲「はぁ……気分悪いわ」

漣「お疲れ。……寝る? 」

叢雲「飲む」

漣「そ。……ワインとチーズでいい? 」

叢雲「また酔いにくいものを……ん」

漣「ありがと。……はい」

叢雲「ん…………ん」

漣「酔いにくいからってがぶ飲みしても悪酔いしかしないよ」

叢雲「いいのよ。酒って、酔うものでしょう? 」

漣「そうだね。…………仕方無いなぁ、付き合うよ、私も」


< 呼び名一人称言葉名前語り心明日 >






叢雲「…………あんた」

漣「! ……何? 」

叢雲「本音で語りなさいな」

漣「……何を? 」

叢雲「私にも、あいつにも」

漣「だから、何を? 」

叢雲「自分殺して生きてたって、いつか後悔するわ」

漣「叢雲がそれ言うの? 」

叢雲「いいのよ、私は。あんたには大体本音だし」

漣「大体、ね」

叢雲「…………」

漣「…………」

叢雲「…………悪いわね、自分が弱くなったときだけ縋って」


< 伝わるのは >






漣「いいよ、赦す。赦したくないけど、赦す」

叢雲「ありがと」

漣「__さんの弱さが叢雲の恐れになって、叢雲の恐れを私が溶かせるなら、構わない」

叢雲「…………」

漣「…………」

叢雲「…………馬ッ鹿みたい。私も、あんたも」

漣「本当ね」

叢雲「…………明日からは、また普通になるから」

漣「うん。…………私も、そうするね。今夜は、特別だよ? 」


< 帳下りて久しく >







提督「……………………あのさ」

加賀「何? 」

提督「何で機嫌悪かったか分からなくなってきた」

加賀「それはよかった。あなたのそんな顔、いつまでもは見ていたくないもの」

提督「悪いね。…………ッ、……火ある? 」

加賀「待ちなさい。…………ん」

提督「言っておいてなんだけどあるのか、っていうか自分でも吸ったら余計ヤニ……フ-」

加賀「気にならないわ……フ-……」

提督「…………」

加賀「…………」

提督「ハ-…………ありえねぇな」

加賀「あなたが女の部屋で吸うことが? 」

提督「達成感も高揚感も、意味も何も無くて煙草なんかに逃げることが、さ……フ-……ぁ」


< 仮令嘘でも、その中に一条の真実 >







提督「…………お前、嬉しいか? 」

加賀「仮令それが仮初めの、巫山戯た理由で下賜されたモノでも、ええ」

提督「……………………悦んで跪くような女の子に、指輪なんて渡しても嬉しくないよ、俺は」

加賀「あなたが呉れるものならば痛みでも、そう言ったはず。
私は浅ましい雌でありながらあなたの刃であることを願った道具。
単にあなたの前でのみ、一人の乙女であるだけです」

提督「ハンッ…………立て」

加賀「は? 」

提督「いいから立てよ。要はお前の指に嵌めれば契約が成立するんだろうが」

加賀「……受けましょう」

提督「ん。病めるときこそ永遠に。……………………ッ

加賀「ハぁッ、んっ、んん~~……ぁ…………ぅんっ……!

提督「ん……………………? 」

加賀「っフ……………………最高の気分、ね」

提督「最低だよ、気分も俺も国も世界も何もかも……お前すら」


<今だけは、その綺麗な瞳を見れないこと、許してほしい >







加賀「ふぅ、んぁ…………駄目」

提督「何が? 」

加賀「仰け反るほど抱き締められて、口の中全部貪るような深いキスをされながら、
指輪の契約なんて、それだけで達してしまうわ」

提督「不幸な女…………加賀」

加賀「なっ、に? 」

提督「ごめんな」

加賀「何、が? 」

提督「……ごめん」

加賀「本当の意味で望んだ契りではないことに? 」

提督「…………赦してくれなんて、言わない。言えない」

加賀「…………馬鹿ね、言ってほしくなんて、ないわ」

提督「…………」

加賀「そんな顔のあなたに、これ以上なんて押し付けられないもの」

提督「…………ッ」

加賀「泣かないの、男でしょう? 」

提督「…………」

加賀「…………私も、一緒に背負ってあげますから。責も迷いも業も、それに咎だって、ね? 」


< 健やかなるときを想い >







提督「……………………」

加賀「……馬鹿に、なりましょう? 深刻なことなんて一夜くらい、いいわ」

提督「……………………」

加賀「……………………」

提督「……………………俺、駄目なやつだ」

加賀「今更? そんなこと、知ってるわ。知っていても、欲しいの」

提督「…………お前、本当駄目なやつだな」

加賀「それも今更。…………止める? 」

提督「何を? 」

加賀「抗うこと、謳歌すること、世に憚ること」

提督「止められないよ、今更」

加賀「ええ。……………………きて? 」

提督「ん。……………………ありがとう」

加賀「いいえ、私こそ。……………………病めるときなんて、認めるものですか」


ありがとうございました


< 一夜明け、有ったものは、存在しないものに >








漣「ふぁ……おはよ、叢雲ちゃん」

叢雲「おはよ。……頭痛いわ」

漣「そりゃあれだけ飲めばね。漣もぐわんぐわんするよ」

叢雲「…………」

漣「んぅ…………」

叢雲「…………今の私は、昨日の私? 」

漣「勿論、昨日の叢雲ちゃんだよ。漣は、漣のままだし」


< 今この瞬間だけはせめてよすがに >








加賀「おはよう」

提督「ぐっもーにん……似合ってるじゃん」

加賀「心にも無いことを。そもそも首にかけているのだから鎖しか見えないわ」

提督「…………」

加賀「…………正直、嬉しかった。この指輪がまともに動いて」

提督「…………そう、だな」

加賀「…………お互いの想いが双方向に強くなければ輝かないなんて、随分と女好みの代物よね」

提督「あぁ。……………………緑茶、飲みたいな」

加賀「待ってて。…………………………………………あなた」


< 訣別、或いは確認 >








雲龍「……私じゃなくて、よかった」

天城「はい? 」

雲龍「あんな顔で、あんな顔のあの人に指輪なんて受け取りたくないもの。
しかも絶対に祝われることの無いものを」

天城「……まぁ、確かに永遠に受け取らない方が楽ではありますが」

雲龍「だとして要らないかと言われると…………世界って残酷なのね。
きっといつまでも好きには、なれないわ」


< 禍福という渦 >








愛宕「ねぇ、高雄」

高雄「何? 」

愛宕「問題無く作動したわね、あの指輪」

高雄「ええ」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………動かなければよかったのに、なんて

高雄「私は、思ったわ。あなたは? 」

愛宕「……………………ずるいわね。私も、思っちゃったわよ、幸福なことに」


< 奇跡は奇跡だからこそ >







天城「あと何度、ここで冬を越せるでしょうか」

愛宕「さぁ……越したいの? 」

天城「ここで、というのならば、掛け値無しにそうです」

愛宕「そ。……どうしたらいいのかしら」

天城「さぁ……天城こそ、いえ、あの人こそ知りたいでしょうね、そんな神秘」


< フィナーレ、それとも序曲 >







高雄「__さんッ! 」

提督「ん? 」

高雄「緊急です、軍令部から通信が」

提督「あぁ」

高雄「早くッ! 秘匿回線に切り替わります」

提督「まぁ、急かすな。何だか知らないけどどうせ結果も内容も変わらねぇよ」

高雄「ーーーー! 」

提督「俺まで回ってきたんなら、さ。……はい、__少将ーーーー







天城「あぁ……」

雲龍「何かが崩れていく音って、鮮明に聞こえるものなのね」

瑞穂「或いは幸せを積み重ねたからこその……いえ、栓無きことでは、ありますけれど」


< 迷いが無いなんてことは無いのだけれど >







江風「何事? 」

海風「他人事」

江風「……姉貴」

海風「冗談じゃないよ? ……海風のすることは変わらないし、させられることだって良くはならないもん」

江風「…………」

海風「…………」

江風「…………強いね、姉貴は」


< そんな譫言すら愛おしく >







雲龍「まぁ、でも。何があったのかは知らないけれど」

天城「? 」

雲龍「今更私たちが右往左往してもどうしようもないし、いつも通りいきましょうよ」

天城「そう、ですね、ええ」

瑞穂「雲龍さんの言う通りです」

雲龍「……でも、私が言うのもなんだけれどいつも通りって? 」

天城「あー、姉様が卑猥なことを宣う? 」

瑞穂「雲龍さんが意味の分からないことを喋り散らかす? 」

雲龍「…………怒っていいわよね? さすがに」


< この風景を、また >







天城「割と巫山戯ているだけでもなくて、こう、いつでも好き勝手しているのが天城たちでしょう? 」

雲龍「だとしても納得できないけれど……そうね」

天城「ええ」

瑞穂「まったく、雲龍さんは瑞穂たちの象徴ですよ」

天城「泰然自若、素晴らしいです」

雲龍「あのね…………やっぱり馬鹿にしているわよね? ねぇ、ねぇったら! 」


< 何度目の終わりの始まりだろうか >







提督「…………致命傷は避けたぞ。喜べ」

高雄「は? 」

提督「誰かの不幸と自分たちの出世、どっちを先に聞きたい? 」

愛宕「そりゃあ自分たちのことでしょう? 」

提督「そうかい。…………大湊だろうよ」

高雄「はぁ? 」

提督「大湊警備府への配置転換が限り無く近付いたってこと。
これが外れてたらもう俺には何も分からないね」

高雄「…………」

愛宕「ん、んん……待って、それはちょっとさすがにすぐは消化できないから、次」

提督「時間はまぁ、多少なりともあるしな」

愛宕「多少、多少か…………本当、よくも致命傷だけは避けたものね」


< 残ったもの全て掻き抱いて >







高雄「……それで? 」

提督「ん? 聞きたい? 」

高雄「聞かねば始まらないでしょうが」

提督「はいはい。……呉の大将が亡くなった。家族との晩餐中に突然倒れて、お仕舞い」

高雄「! …………」

愛宕「! …………」

提督「まったく愉快なものだ、世の中っていうのはさ。
…………酒を飲む気にもなれねぇなんて、久し振りだぜ? 」


< 伝わること >







龍田「はーい、お元気? 」

山城「たった今体調を崩したわ、あなたの顔を見て」

龍田「それはそれは御挨拶。……私から聞く? 噂で聞く? 正式発表で聞く? 」

山城「正式、ねぇ…………あなたで、いいわ。仕方無いけれど」

龍田「私がいいってちゃんと言いなさいよ」

山城「戯言を」

龍田「…………耳、貸して」

山城「…………ん」

龍田「呉の提督、死んだわ。何も知らず、咎も識らず」

山城「そ。…………あきつ丸、慰めなさいな」

龍田「言われなくとも」


< 隠すことなど無く >







提督「さて……皆さんを家族以上の存在として、全てお話ししました」

Littorio「Littorio、一応他国の者ですけれど? 」

提督「知らないよもう、そんなの」

叢雲「そんな投げ遣りな」

明石「まぁ、投げ遣りになりたくなる気持ちも分かりますけどねぇ……」

海風「はい」

提督「何でしょう、海風さん」

海風「疲れたんだか悲劇に酔ってるんだか逃げてるんだか知りませんけど、
しゃんとして、まともにしてください。カッコ悪いです」

提督「…………」

海風「あなたは咎人なんです。海風たちの前では無様になっちゃいけないんです。
とりあえずその気色悪い口調と顔、やめなさい」

提督「うん……………………悪かった」


< 数瞬の忘我、あるいは望郷 >







明石「ドッストレートにいきましたねぇ」

加賀「理想が本当に理想に見えているのよ、あの子には」

明石「眩しいなぁ」

瑞穂「本当に」

海風「それを海風は聞いて……いえ、これがここといえばまぁ、おかしくはないですけど」


< 自分でも正直蟠る >








雲龍「ま、海風には同意だけど。はい」

提督「何だ」

雲龍「ここの、まぁ、言い方はあれだけれど、
あなたの子飼全て率いて大湊へ、っていう話は前からあったのね? 」

提督「あぁ。殿下にとっても使いやすくて反抗しない駒は少ないからな」

愛宕「使い勝手が良過ぎるのも考えものね」

提督「まったくだよ。で? 」

雲龍「何故、ここに拘ったか訊いても? 」

提督「ここに拘ったというかここ以外に行きたくない拘りというか……うーん? 」


< 端的 >








高雄「まぁ、本人にはさすがに言いにくいでしょうし」

天城「はぁ」

提督「とりあえず一言で言うと」

雲龍「ええ」

高雄「誤魔化しが面倒になるから、です」

天城「…………」

雲龍「…………」

提督「あぁ……すっごい軽蔑の目…………違う、違うんだよ、合ってるけど正しくないの、ねぇ? 」


< らしく >







提督「確かにまぁ、明石の研究とか金と物資の流れとか色々あるけど」

明石「すみませんねぇ、金食い虫で」

提督「その辺は正直殿下も半分くらい感知してるからいいんだよ」

瑞穂「どこがどういい、のか分かりかねますね」

提督「何が悪いっていうと一つだけだね。高雄と愛宕との時間が減る」

高雄「…………」

愛宕「…………」

漣「実に説得力のある、とか二人してそんなところで頬染めないで、とか。
無駄にほんわかしてきたんですけどー? 」


< 真実など語らず、真実など分からず >







加賀「ま、結論としては」

江風「ン」

加賀「何も変わらず、時を待つ。来たものには抗う。ということね」

天城「今まで通り? 」

雲龍「素晴らしいことね、それはそれは」

Littorio「積もる雪や冷たい風、というのも悪くないものでしょう」

愛宕「恋人や夫が、この人が隣にいればね」

高雄「ええ。…………これからも? 」

提督「よろしく。ま、それだけのことに惑っていたのも……大切だからってことで」


ありがとうございました


< 今日も大体それなりに割と平和な日々を >







鈴谷「喧嘩だね? 安く買うよ? おまけもつける? 」

赤城「受けて立ちましょう。私もちょっと鬱屈していたところです」

鈴谷「いーくら赤城さんでもさぁ、やっちゃいけないことってあるよねぇ」






GZ「何だ? 赤城が何か争うなんて」

若葉「カレーだ」

GZ「は? 」

若葉「鈴谷さんがつくった寸胴のカレーが、いつの間にか焼きカレーになって人数分。
若葉はこれから二人がつくるカレーを待っている」

Aquila「因みにおまけ、っていうのは福神漬けのことらしいですぅ~ 」

GZ「…………馬鹿しかいないのか? 」

WS「分かりきったことを……伯爵も大人しく待ちましょう? 」


< あちらよりは冷静な人たち >








扶桑「といってもぼんやりしながら焼きカレーにした赤城さんも珍しいわよね」

時雨「隣の鍋に入ってた自分のカレーと間違うなんて凄いことだ」

霧島「赤城さんが食べ物の匂いを誤る程のことがあった、というのも嫌な事態ですけれど」

金剛「それでも何だか締まらないネー……うーん」


< ぞろぞろざわざわ >







鈴谷「くっ、負けたぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」

赤城「いえ、鈴谷さんのカレーも美味しいですよ」

鈴谷「情けなんて無用ですー……」

山城「量は兎も角赤城さんが本気で料理するとこうなのよね」

龍田「理不尽に美味しいのは分かるけど……おかしいわよねぇ」

鹿島「集り過ぎというかなんというか」

GZ「こんなにも昼過ぎの食堂に集まるなど……たかが一食分のカレーが目当てとは思えないな」


< 不謹慎ではあるけれど妻として参列してみたかったり >







提督「…………っはぁ」

高雄「本当に来ましたね、異動の内命」

提督「それはまぁ、予想内だけど、国葬かぁ」

高雄「当然といえば当然ですね。あれ程この国に貢献した方もおられません」

提督「うん……だるいな」

高雄「ま、国民葬でも合同葬でも同じことです。あなたは出席を拒めないでしょう」

提督「だからだよ。葬儀だけならむしろちゃんと行きたいよ、俺は。世話にもなってるから」

高雄「はぁ」






愛宕「嫌な話ね、と思ったけど私またお留守番よね、この髪だと目立つし……はぁ」


< 唐突ですが罰ゲーム >







加賀「落とすはずが堕とされた、一航戦加賀です」

明石「直せないのは恋の病だけ、明石です」

雲龍「嵌めたらハメられた、雲龍です」

瑞穂「……雲龍さんだけ少し、違いません? 」


< たかが大富豪の後に何故こんな >







瑞穂「まぁ、雲龍さんは雲龍さんですし。罰ゲームといえばですね」

Littorio「ええ」

瑞穂「瑞穂のスマホたと“ ばつげ ”まで打った段階で“ 罰ゲーム告白 ”が予測変換に」

海風「罰ゲーム告白? ……あぁ…………あぁ」

Littorio「…………あの人は一体何を仕出かしたのです」

瑞穂「黒い笑顔で誰が何かしたのか分かるというのも……どうなんでしょうね」


< 恋に落ちたならばそれこそが最大の敗因 >







江風「つーか雲龍さンはテートク嵌めたの? 」

雲龍「同情と憐憫を誘って抱かせてしまった面があるのだから、そうよ」

江風「それ雲龍さン的には嵌めてるの? 」

雲龍「世間的には絆されたあの人が悪いでしょうけれど、ええ」

江風「ふぅン? 」

雲龍「有る意味存在事態が罠みたいな人なのが一番悪いのだけれどね、あの人」


< 慈母 >







加賀「そういえばここから大湊に行くのなら」

天城「ええ」

加賀「あの仔も連れて行かなければならないわね」

天城「あの仔? ……黒猫ですか? 」

加賀「サンジョルディも家族でしょう? 」

天城「そうですね。……………………あぁ、実際には天城知りませんけれど、
これがお母さんの顔、というやつなのでしょうね」


< 寧ろ胸を張り >







明石「加賀さんがあんな優しい顔であんなこと言うなんて」

愛宕「何年か前の加賀さんならあり得なかったわねぇ」

明石「刃の鋭さはそのままに、柄と鞘を纏ったというか」

愛宕「いいことだけれどね。私は今の加賀さんの方が好き」

明石「私もですけど、でも」

愛宕「? 」

明石「弱くなったんだろうなって思うと、少しやり切れません」

愛宕「そ」

加賀「間違ってはいないけれど」

明石「! 、聞いてたんですか加賀さぁん」

加賀「この距離でしょう。…………ま、強く不幸を恐れることができる程の幸福を得たのなら、
そんな仕合わせを抱いて沈むのも、悪くないわ」


< はにかんだその笑顔も >







提督「なぁ、あーちゃん」

愛宕「うん? なぁに、__」

提督「それ、それだよ」

愛宕「はい? 」

提督「時々でいいから、名前呼び捨てしてほしい」

愛宕「いくらでも、っていうかそうしてもいいけど」

提督「うん」

愛宕「ちょっと、恥ずかしい? 」

提督「や、そこがいいんだけど……ほら、もっかい、な? 」


< とりあえずは嘯いてみたあの時 >







加賀『そういえば』

愛宕『はい? 』

加賀『今年は花火、しないの? 』

愛宕『そろそろですねー、何か県側からの要請で遅らせたとかなんとか』

加賀『そう……滾るわね』

愛宕『屋台も今年は増えるみたい』

加賀『なるほど、素晴らしいわ』

愛宕『ええ』

提督『俺は県のミスとトークしたり知事と巡視したりと、ねぇ。
文民の皆様と交流しなければならないわけだが』

高雄『知りませんよ。その報酬が全員の浴衣なら安いものでしょう? 』

提督『言うねぇ……そうなんだけど』

高雄『……それとも、皆を働かせて自分だけは女と愉しみますか? 』

提督『まさか。……お前が望むなら、吝かではないが? 』


<思い出していた人たちと、現実 >







漣「、とか言ってた記憶があるんだけどさ」

叢雲「ええ」

漣「ここから大湊行っちゃうとしたら、ここは来年からどうなるんだろうね」

叢雲「陸軍の航空隊が増強されて完全に陸軍の基地になるはず」

漣「要港部が消滅するってことは、花火とか屋台もやらなくなるのかな」

叢雲「かもしれないわね」

漣「そっかー」






瑞穂「どうせ運営は殆ど陸軍や地域住民任せだったように思いますけれど」

明石「ははは……」


< 縄遊び >







雲龍「してくれないの? 」

提督「知ってて訊いてる? 」

雲龍「縄跳びかもしれない」

提督「けれどそうである筈がない」

雲龍「分かってるわね」

提督「分かってるよ、そりゃあ」

雲龍「……ま、あなたには見えない縄で縛り付けられているけれど」

提督「いつでも解くさ」

雲龍「馬鹿なことを……こんな佳い女、捨てる気? 」

提督「まさか。お前を捨てられる程俺は強くない」


< 済し崩しにいきそうな気もするが >






愛宕「大湊のトップになるからには部下も沢山増えるんでしょうねぇ」

高雄「もうこれ以上女ばかり増えるのは、少し」

雲龍「でもこの国は隣国とは違って一夫一妻でなければならないという法律は無

叢雲「有るに決まってんでしょうがッ! 馬ッ鹿じゃないの? 」


< はてさて >







雲龍「超法規的措置なんていつものことじゃない」

叢雲「そうだけどそういうことじゃない」

漣「っても実際問題確実に増えるわけですけど」

江風「ついにこの愉快な面子に潜水艦だとか軽巡が加わるわけだな」

雲龍「潜水艦は兎も角…………龍田なんて転属されてきたら凄まじいことになるわね」


< come onかも >







瑞穂「しかし、あまりあの人に近い方は来ない気がしますが」

雲龍「確かにそうね。嫌われ者だし」

瑞穂「そこまでは言いませんけれど……うーん」

漣「伊13とか14とか来そうですよねぇ。瑞穂さんとか海風姉妹みたいな理由で」

瑞穂「あぁ、教育的なあれですね。……でも、それなら」

雲龍「? 」

瑞穂「秋津洲さんが来てもおかしくはな……いい加減秋津洲さんの名前を出してされる変な顔にも慣れましたよ、瑞穂」


< いつも通りそのとき暮らし >







叢雲「ん……そのボトル取って」

漣「はいはー……ポイントカードはお持ちでしょうか」

叢雲「はぁ? そんなの持ってないわよ。馬鹿? 」

漣「それではお作りしましょうか? 何といってもお得ですよ」

叢雲「……ポイント溜めたらどうなるっていうの? 」

漣「はい! なんと百ポイント溜めていただいた方には漏れなく! 」

叢雲「漏れなく? 」

漣「ご主人様の撫で撫でが贈呈されます! 」

叢雲「ハンッ、そんなものドブにでも捨てておきなさいな。……ん」

漣「はいはーい、赤ワイン好きだねー、叢雲ちゃん」

提督「さらっと捨てられて……いや、勝手にそんなもの配られても困るんだけどさ、うーん」


< コンコンバタン >







江風「へーい! テートクぅ、新しい酒届いたしあっそぼごめん出直すお疲れ様でした! 」

提督「…………高雄」

高雄「何です」

提督「俺今お前の顔見てねぇけど……ヤバいの? 」

高雄「数日仕事が立て込んだりあなたが誰かの相手をしていて、
あなたに構ってもらえていなかったり、
懸案事項が増えただけですから、何てことはありません」

提督「はぁ…………あとちょっと」

高雄「ええ」

提督「ん。……………………でも江風が恐れて逃げ出す高雄っていうのも、少し興味あるな。
これ以上溜めたらどうなるんだろう」


< えー? >







愛宕「苛々するぅ……」

加賀「それならあの人のところ行きなさいよ。もう少しできっと処理も終わるでしょう」

愛宕「ん……高雄が怖いんですよぉ? 」

加賀「あの子って割にあなたより自分隠すのが下手よね」

愛宕「そうですねぇ。あれで我慢が苦手な女ですしー」

加賀「そう……だとして」

愛宕「はい? 」

加賀「手慰みか何なのか知らないけれど、私の髪で遊ばないでくれる? 」


< 苛立ちも焦燥も溶かし込んで >







高雄「ん……ぅ」

提督「ぁ…………鍵、締めてない」

高雄「知りません。……もしあなたが見られたくないなら、その瞬間、消しますよ」

提督「過激な……ヤらないって選択肢は? 」

高雄「女に死ねというの? 」

提督「そんなこと、ん……」

高雄「こんな女にした責任、取って……私がいつでも笑顔であなたの隣に立てるように」

提督「ん……あぁ」

高雄「ん…………その代わり、何もかも、捧げますか、ぁ、っ……ーーーー


ありがとうございました


< さりとてそれ以外には無く >







提督「…………泣く女は、嫌いだ」

高雄「……そう」

提督「泣き声が耳に障る」

高雄「…………」

提督「でも、泣かせる男はもっと嫌いだ」

高雄「…………」

提督「滲み出る悪臭、腐った性根から滴る毒液。生きているだけで、それは絶対悪だ」

高雄「でも、私にとってそれは、必要悪です。善悪なんてくだらないものを基準にしたとしても」

提督「……………………女の匂いで血と穢れを誤魔化して、俺は何やってるんだろうな」

高雄「さぁ? あなたは私を幸せにしてくれようとしているのでは? 」

提督「そうだけど……そうだけど、さ」


< まぁ、それは兎も角としてね >







提督「……ねみぃ、死にたい。何時までサカッてたんだろう死のうかな」

高雄「飲み過ぎて、その、やたら凄かったくらいで何を。
そもそも枯れるより余程誇れるでしょう」

提督「男にとってそれはそれで、ね。……今日昼に炒飯つくる予定だっけ」

高雄「創味なんとかと香味なんとかでどうとでもなるでしょう」

提督「そんなのつくるならしない方がマシだ。
お前レトルトの方が美味いって言われて泣かないのか? 」

高雄「泣かないですね。努力して上手くなります」

提督「優等生め。……俺ガチで歳取ってると思う、んだけど。何だろうね」

高雄「そう……あなたが羨ましい」

提督「ばーか……莫迦」


< 食い気味に >







高雄「それに、その、私が求め過ぎただけかも」

提督「普通男っていうのは求められた分だけできるようにはできてないんだよ」

高雄「はぁ」

提督「確かにね、何か昂り過ぎて途中酒飲んだりしながらだからそこまででもないかもしれないけ

高雄「いえ、それは無いかと」

提督「あ、そう…………」


< 裏 >







明石「…………」

雲龍「…………」

明石「…………失敗どころか大成功してたみたいですけど。逆に失敗してるレベルで」

雲龍「破棄、破棄しかないわ、それ以外ありえない」

明石「そもそも今でも大概性獣なのに無理矢理励起するようなクスリつくろうとするから」

雲龍「…………お墓まで持っていきましょうね、あるのか知らないけど」

明石「ええ、これが高雄さんに知られた日には」

雲龍「想像もしたくないわね……」


< 穴を掘るスコップでジャグリングでもしながら >







雲龍「……でも」

明石「何です」

雲龍「あんな一錠の錠剤で普段のアレよりケダモノになるもの? 」

明石「だって割と禁制品とか使いましたし」

雲龍「…………」

明石「まぁ、あの人の寿命縮めるようなものは入れてまさんけど? 」

雲龍「……………………本当に、お墓まで持っていきましょうね。
下手をすれば今すぐ建てられるわ、私たち」


< この世を超えて >







提督「ふあぁ……何かまだムラつくんだけど何これ」

愛宕「変なものでも食べたんじゃないの? 」

提督「やー、茸とか野草とかそういう類のものはなぁ」

愛宕「それか段々私たちに近付いてるとか」

提督「そんな馬鹿な。……もしそうなら」

愛宕「ええ」

提督「俺、いつか雲龍レベルの業背負った絶倫になるんだろうか」

愛宕「それは…………おっそろしいことこの上無いわねぇ」


< 疑心暗鬼 >







漣「じゃあ逆転の発想で行こうよ。同僚になりたい人とは? 」

叢雲「これ以上あいつみたいなやつが増えなければ誰でもいいけど、姉妹の誰かね」

雲龍「葛城」

瑞穂「水母の方」

愛宕「摩耶か鳥海だけど……望み薄ね」

江風「川内さン」

海風「村雨姉さん」

Littorio「Roma、と会うとまた小言ですね。それでも会いたいですけれど」

提督「言わない、言わないからな、絶対これ適当なトークの振りした俺への罠だろう、言わないぞ」


< この後滅茶苦茶阿鼻叫喚 >







漣「あ、ところでてーとく殿」

提督「何だクソガキ殿。話途中で放り投げて」

漣「慈悲ですよ? ……仮装、しないんです? ハロウィーンでございますよ? 」

提督「用意はしてるぜ、うん」

漣「何の? 」

提督「…………聞きたい? 」

漣「そりゃまぁ。間抜けなご主人様見たいですし」

提督「……………………叢雲」

漣「は? 」

提督「だから、叢雲」

漣「……………………着ません? いや、本当に」


今年も後二ヶ月なんて信じられませんね……

ありがとうございました


< 終わり >







雲龍「またそのうち作戦行動よね……沈んだら浮かばれないわ、本当に」

明石「そりゃあ沈んでますし。浮かぶってよりは引き揚げですよ」

雲龍「…………はぁ」

明石「いや、まぁ、確かに自分でも無いと思いましたけどね?
雲龍さんにそんな顔で溜息つかれると……あぁ」


< 本当に不思議なのが不思議 >







山城「献身と奉仕の裏には」

鈴谷「裏には? 」

山城「何も無いのよ? 信じられる? あり得ないと思わない? 」

鈴谷「信じられるよ……逆に何でそんな不思議そうな顔できるわけ? 」


< そんなことは知らない>







鈴谷「や、大体さ、山城の扶桑への気持ちはそうじゃないわけ? 裏があるっていうの? 」

山城「そりゃああるわよ。扶桑姉さまに少しでも喜んでもらいたいわ」

鈴谷「は? それが真心ってやつじゃないの? 」

山城「エゴよ。喜んでもらいたいっていう、エゴ。
純粋な気持ちなんていう奉仕があるとしたらそれはただの物言わぬ機械」

鈴谷「歪み過ぎじゃない? 」

山城「まさか。この上無く純粋に姉さまだけを想おうとしたい私のそれは真実よ」

鈴谷「あぁ、そう。…………こういう感性が普通な熊野か、
それとも普段の感覚は理解できる山城か、
なーんで鈴谷の周りってこう両極端なんだろうね? 」


< 千円ちょっとで何をしろと >







漣「ふっふっふ……聞いて慄け! 見て平伏せ! 戦慄き恐れ無様に泣き叫ぶがいい! 」

提督「何だよこのクソ忙しいときに。出発準備中なんだけど」

漣「じゃっじゃーん! 漣ちゃん特製の超激ムズテストでーす! 」

提督「あっそ」

漣「なんと! 今回は漣以外の皆さん全員に受けていただきまーす」

提督「いいけど」

漣「え、いいの? 」

提督「だって俺少なくともここの面子だとしても半分より上には行くよ? 」

漣「ちっちっち、分かってませんなぁ。これは一位以外全て罰ゲームなんです。
具体的には漣にプレゼント」

提督「たるいなおい。お前に金やるんじゃ駄目? 」

漣「あ、それでもいいです」

提督「そうか。……おーい、漣が一人百円のカンパしてるぞー」

漣「ちょ、少な! 少な過ぎませんそれぇ! 」


< 好かれているんですよ? >







提督「っても……一位には何くれんの? 物によっては頑張らないこともない」

漣「ご主人様を煽る権利です」

提督「はぁん? 」

漣「だってー、漣が皆さんのやる気出せる商品とか無理ですしー? 」

提督「だとして、俺煽って楽しい? 」

漣「そりゃ

愛宕「楽しいけど? 」

叢雲「愉快の極みね」

加賀「鎧袖一触よ」

雲龍「貶めるのもたまには」

漣「ね? 」

提督「…………お前らさ」


< 背負ったリスク >







提督「……まぁ、たまにはいいか。ものはできてんの? 」

漣「勿論。イタリア語註釈も完備です」

提督「暇にも程が……明日か明後日でいい? 」

漣「いいですよー。漣もしっかり起床して皆さんの前で寝てやるんでよろしくです」

提督「ん。……お前ら」

愛宕「? 」

加賀「何? 」

提督「俺に負けたやつ、一週間禁欲な。酒も夜も、無し」

愛宕「…………」

加賀「…………」

漣「えっ」

加賀「…………これ、埋めてきていい? 」


< 負けず嫌いども >







叢雲「でもあんた、葬儀出なきゃいけないでしょう? 」

提督「別に俺と高雄だけ後からでもいいだろうよ」

叢雲「そうだけど」

提督「大体遊びに行くわけでもねぇし。そんな状況で勉強なんてしねぇよ」

叢雲「そうね。……あんた」

提督「うん? 」

叢雲「私より上じゃなかったら、張っ倒すわよ」

提督「それはまた……勿論交換条件いいよな? 」


< 死者の魂とは何処へ >







江風「えーっと、誕生日でございます」

愛宕「そうね、おめでとう」

江風「ありがと。……テートクいねぇじゃン」

愛宕「重なっちゃったものねぇ、葬儀と」

江風「……割とテンション下がった」

愛宕「私も自分がこうだと、そうね」

江風「…………」

愛宕「…………」

江風「…………勝手に死んだのか殺されたのか分からないけどタイミングくらい考

加賀「やめておきなさいな。そんなこと、言うものじゃないわ」


< 喜劇的悲劇を演じ >







江風「はーい。……ってもさ」

加賀「何? 」

江風「純粋に死者の為? それとも防諜的な意味? 」

加賀「あなたがせめて陸では長生きできる為、よ」

江風「そ。…………曲がりなりにも誕生日に長生きしろ、なンて、笑い話にもならないな」


< 処は帝都、とあるホテルの一室 >







龍田「あらぁ、お久しぶり~? 」

提督「そうでもない。……ホテルの部屋の鍵なんて開けられるの? 」

龍田「たぶんできるけど……高雄に借りたの」

提督「はーん? ……何飲む? 」

龍田「それ」

提督「ワインね、似合うよ」

龍田「嬉しくもないわ。……ねぇ、キスしていい? 」

提督「お前が俺のものになるなら」

龍田「ん……………………いいわ。まだ、我慢する」

提督「そうしておけ」


< 主役とは全員に潰される人のことを言う >







江風「やー、でも本当ヌーボーとマーボーって似てるなぁ、あははっ」

叢雲「何言ってんのこれ」

海風「さぁ……いつものことだよ」

瑞穂「相変わらずアルコール許容量が低いですね」

加賀「これじゃあ駄目ね」

叢雲「あなた基準で言うんじゃないわよ。大概これも飲めるようになってきたじゃない」

海風「それも叢雲基準」

明石「江風さんより弱いっていうと…………あれ? 」


< 揺れるグラスのように揺蕩えるのならば >







提督「乾杯」

龍田「乾杯。……おいし」

提督「帝国海軍の高級将校様だからな。そりゃあルームサービスに無いものだって出るさ」

龍田「あなたと飲んでるから、よ」

提督「そ。…………何でいるの? 大体予想はつくけど」

龍田「求婚、されちゃったぁ~。指輪はまだ貰ってないけど」

提督「ガチの? 」

龍田「ガチの。託けてる感は否めないけれど」

提督「ははっ、そりゃあいい。俺にもできないことを一人の女の為にしようとするなんて」

龍田「そうね。…………その相手が私、っていうところだけが、最悪だけど」


< ホテルのバーってどうしても明るくなれないんだ >







あきつ丸「こんなところにいて、いいのか? 」

高雄「それはまたどういった意味です」

あきつ丸「この世で唯一執着するモノから離れてこんなクズとバーにいても、という意味であります」

高雄「あぁ……いいんです。かなり信頼できる護衛がいますから」

あきつ丸「…………龍田に鍵を貸したな? 」

高雄「ええ、何か問題が? 」

あきつ丸「非公式ではあるがあれは今ある将校殿のパートナーとしてここに、葬儀に出向いている」

高雄「でしょうね。…………龍田が絶望する方に賭けてみる? 」

あきつ丸「分かりきった負けになど賭けないでありますよ…………まったく」


< 表情と言の葉が一致していたかは、さて >







扶桑「龍田……大丈夫かしら」

山城「何とでもなるでしょう。あの毒婦なら」

扶桑「……山城、真面目な話よ」

山城「私はこの上無く真面目ですよ、姉さまに対しては」

扶桑「…………好かない殿方に求められるなんて、私には耐えられないわ」

山城「あのセンスが無い将校はそれなりに紳士を気取っていますから。
龍田が許さない限り指一本触れないでしょう」

扶桑「それでも、万が一が」

山城「億が一、あったとしましょう。それでも、あの女なら迷い無く、殺しますよ」

扶桑「…………」

山城「…………」

扶桑「…………ねぇ、山城

山城「大丈夫。……こんなことを言うのは嫌ですけれど、
あちらにはあの男もいるはずですから」


< 俯き眺めた水面に映る自らを見つつ >







高雄「まぁ、他人の話なんていいじゃない。あなたの話でもしましょう? 」

あきつ丸「手の内と見せることのできる部分が分かっている相手と何の話を? 」

高雄「あなたに龍田がある将校を殺したとき、責めることができるか、なんてどう? 」

あきつ丸「…………しない。できないことなど分かっているが、しない」

高雄「それはそれは。麗しい友情ですこと」

あきつ丸「茶化すな。……………………自分とて、友の幸せを願うこともある、それだけだ」


< 終幕が近付いてきているとしますれば >






提督「で? 」

龍田「あなたの業、増やすわ」

提督「構わない」

龍田「私、あとは身体くらいしか捧げられない」

提督「いいって。それにこんな理由で龍田と寝たくない」

龍田「……………………」

提督「……………………龍田」

龍田「……………………助けて」

提督「ん……………………取り敢えず、壁ドンしながら助け求めるって、斬新? 」

龍田「いいから…………お願い」

提督「…………」

龍田「…………」

提督「…………」

龍田「…………」

提督「…………いいよ。事情はそのうち、俺が終わる前にでも」


< それもまた、物語 >







高雄「それでも、はぁ……やめてほしいものね。これ以上あの人に背負わせるのは」

あきつ丸「仕方あるまい。自分や貴様がいくら阻もうと提督殿の答えは変わらない」

高雄「まったく……女って嫌ね」

あきつ丸「そうだな」

高雄「…………あなた、今日は一人? 」

あきつ丸「今のところはな。残念ながら、あるいはいつも通り」

高雄「お邪魔しても、いい? 」

あきつ丸「構わないが…………龍田にも予約を受けているでありますよ? 」


< 慢心と、思いますか? >







提督「よう、奇遇だね」

あきつ丸「待っていたであります」

提督「フ-……何本吸ってた? 」

あきつ丸「実はまだ二本目」

提督「そ。…………高雄は? 」

あきつ丸「今頃自分の部屋で龍田と」

提督「そうか。……修学旅行じゃねぇんだぜ」

あきつ丸「フ-…………天下の海軍に刃向かう者がいるなどありえますまい」

提督「違いない。…………フ-」


< ばーい、きっとまた同じ顔で >







提督「…………本気で、揺れたわ」

あきつ丸「龍田と二人でいて? 」

提督「あぁ。本当に悲痛な顔をした女の子のこと、打算の振りした純粋な子、抱けないんだな」

あきつ丸「それもまた提督殿らしい」

提督「クズは本当に駄目なとき程踏み込めない」

あきつ丸「フ-…………来ますか? 今なら高雄も拒みますまい」

提督「まさか。…………また、明日? 」

あきつ丸「会えるかどうかは、ま、状況次第ではありますが……でき得るならば、また」

提督「ん、じゃあな。…………俺はまだ、吸ってるから」


< 目なんて合わせず、合わせられず言葉だけ交わして >







龍田「ごめんなさいね」

高雄「何が? 」

龍田「あの人に、無駄なもの、背負わせちゃう」

高雄「そう思うのなら最初から自分の不運を呪って沈めばよかったのに」

龍田「そうねぇ……本当そう」

高雄「ええ。…………私、あなたのことそれなりに好きよ、友人として」

龍田「私も」

高雄「あなた、あの人のこと、好き? 」

龍田「……ええ、大好き」

高雄「いいじゃないそれなら。…………あの人もあなたのこと、
自分痛めつけても捨てられないくらい、好きみたいだし」


ありがとうございました


< 主導権を握られることを認めるという主導権 >







提督「ふぅ……おはよう? 」

高雄「おはようございます。相変わらず早いですね」

提督「まさか世話になった上官の国葬に遅参するわけにも」

高雄「そうですけれど。……龍田、抱かないんですか? 」

提督「直裁な。……いいんだよ、あれで。本当にそうなるなら、機会はまたいつかくるさ」

高雄「はぁ」

提督「男と女の話だぜ? 任せときな」

高雄と 「任せましょう。クズであることを隠さない生き方も含めて」

提督「あぁ。……はい、この話、終わり。
取り敢えず飯食って、そこそこやる気出して、行こうぜ? 」


< それでいいのだと割り切れる程強いのなら >







龍田「あぁ……頭痛い」

あきつ丸「高雄はもう起きて提督殿の部屋に戻ってしまったでありますよ」

龍田「…………戻る、か」

あきつ丸「あぁ、貴様ならば行くところだが」

龍田「あの、大佐殿の部屋は? 」

あきつ丸「行く場所だろうよ。龍田がそれと決めている限りは」

龍田「そう、そうよね……結局は言葉遊び、私の気持ち」

あきつ丸「…………提督殿を頼ったのだろう? 」

龍田「ええ、無理矢理に背負わせた」

あきつ丸「そうか。…………提督殿は強固な泥舟だ、安心しておけ」

龍田「ふふ、何それ」

あきつ丸「矛盾と取るか、虚偽と取るか、それとも戯言か、あるいは都合よく解釈するか、好きにしろ」

龍田「そ、うね。……………………ふぁ」


< ある種それもまた直球といえる >







愛宕「テレビ中継の国葬なんていつ振り? 」

天城「さぁ? 少なくとも前のときに、天城はまだ存在しませんね」

雲龍「くだらないことを。これって誰が得するの?
政府ですら税金の無駄としか思わないでしょう」

加賀「それでも、政府でしょう。後ろ暗いことを全て悲しみと同情の膜で覆えるもの」

雲龍「……はぁ」

加賀「何か? 」

明石「やー、せめて葬儀屋とか中二的に捻た答えの方がマシですねぇ……いや、本当に」


< 掛け値無しに他者という存在 >







提督「ふと思ったんだけどさ」

高雄「ええ」

提督「俺がカラコンしてみるのはどうだろう」

高雄「赤い? 」

提督「そうそう。高雄とお揃いで」

高雄「いいんじゃないです? 程よく痛いカップルみたいで」

提督「だよな」

高雄「ええ」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………俺何で世話になった人の最期にこんなことほざいてるんだろうな」

高雄「さぁ……呉の大将閣下の家族だって、あなたとは他人ですから」


< What do you mean? (は? どーいう意味?) >







龍田「…………あきつ」

あきつ丸「何だ」

龍田「私のこと、好き? 」

あきつ丸「嫌いではない、と言っておこうか」

龍田「そう。…………よく、いたわね」

あきつ丸「影は影らしく、どこにでもいよう」

龍田「…………私、間違った? 」

あきつ丸「人としては落第だろうが、龍田が龍田を続けるうちは間違いではあるまい」

龍田「…………」

あきつ丸「…………」

龍田「…………私、あの人が好きなだけで、実はレズなのかも」

あきつ丸「まさか……冗談であってほしいでありますな」


< お・わ・り >







愛宕「あー……ワンポケットでいい? 」

Littorio「ええ、語らい飲み、現実を受け入れるには程良いでしょう」

愛宕「元々勝ち負けのためでもないしね。負けた方が一晩失う、でいいかしら」






雲龍「異様に似合うけれど……何故愛宕はまともにビリヤードなんてできるの? 」

天城「それは……あの人の女だからとしか」

叢雲「一晩って何よ、何基準よ」

漣「いや、というか中二が中二にならないってLittorioさんも大概おかしいですよねぇ……ってのは、邪道? 」


ありがとうございました


<弱み >








愛宕「ん、はい、はい……はぁい、明日ね、明日。早めに帰ってきてねぇ、ん、愛してる、当然」






雲龍「順当に帰ってくるのかそれとも殊の外上手くいって帰ってくるのか」

天城「それは姉様、我らが提督閣下ならば」

雲龍「ええ」

天城「それなりに成果を上げてなおかつ全く無意味な行動であったような顔で、
世間的なプラスもマイナスだというヘタレ顏をしつつ死人もかくや、という腐った顔で甘えにくるでしょう」

雲龍「そう。…………何でそんなのが好きなのかしら、私たち」


< 明日へ >







提督「…………俺は正しい? 」

高雄「いいえ、絶対的に道を踏み外していますね」

提督「そうかい。……じゃあ間違ってる?


高雄「いいえ、あなたの道は私の道ですから」

提督「ん。…………………間違ってない? 」

高雄「そんなわけ。私が選んだ男と歩む道に過ちなどありません」

提督「そうか。…………そうしないと、ならないもんな」


< 映画でも観ていたのかな >








瑞穂「二十一世紀最高の、なんて言われても」

雲龍「今世紀はまだ序盤よね」

天城「この後どれだけ出てくるのか」

瑞穂「そこはまぁ、期待を越えた、ということで」

雲龍「そうね、特に文句も無いわ」

天城「はい」







漣「この面子と歪んだ世界が、なんて言ったら笑われる? 」

叢雲「かもね。……ま、そもそも世紀とか関係無く幸せだもの、笑わせておけばいいわ」


< 逆説的に信じられる声音と顔で >








山城「……何でいるの? 」

提督「お前に会いたかったから、じゃ駄目? 」

山城「気持ち悪いから、駄目」

提督「そりゃ悪い」

山城「本当ね」

提督「…………」

山城「…………」

提督「…………龍田は助ける、生命にかえても」

山城「それが? 」

提督「や、気にしてると思って」

山城「私が? 笑わせないでよ。…………あんな女、勝手に死んでも、構わないわ」


< 明日の風なんてものは、既に予想されているのです >







提督「ま、お前に会いたかったのは嘘じゃないさ、おめでとう」

山城「はいはいありがと。……何? 」

提督「大湊への片道きっぷ」

山城「…………笑えない冗談ね」

提督「お二人様、御用意しておりますが? 」

山城「…………」

提督「…………」

山城「…………悪くはないけれど、私、あなたに借りなんてつくるのは嫌」

提督「借りだなんて」

山城「そう思わせておきなさいな。…………言葉とこの箱だけ、貰ってあげる」


< 姉さまのことかな、ふーん? >






鈴谷「山城と扶桑、いなくなるん? 」

山城「なんでよ」

鈴谷「帝都の葬儀から横須賀に来る意味なんて無いでしょ、提督」

山城「……あれが言うには私に会いたかっただけらしいわよ、忌々しいことに」

鈴谷「そういうことでしょ? 」

山城「どういうことよ」

鈴谷「いいけど。…………冬用のアウターでも見繕う? 」

山城「いいわよ別に。…………寒ければ、温めてくれるんだから」


ありがとうございました


< 今日っていつ? 昨日って明日だっけ? >







提督「おはよう」

愛宕「おはよ。いつ帰ってきたの? 」

提督「さっき。寝坊? 」

愛宕「んーん、あなたのいないときに早起きしたって意味無いから」

提督「そうか。……知ってる? 」

愛宕「何を? 」

提督「昼過ぎまで寝てるのはもう寝坊どころの話ではないってこと」


< 世はことも無し >







愛宕「♪ 」






雲龍「機嫌のいいこと」

天城「姉様も」

雲龍「そうね」

天城「…………一昨日くらいには帰ってきているはずでは? 」

雲龍「葬儀にだけ出席しているのならば」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………あれで平然としていられるあの人も、愛宕さんも、姉様も、それに天城も

雲龍「とうに壊れているわ。……それに、どんな痛みも感じないけれど」


< まるで心底からの他人事のように >








山城「あら……おはよう」

龍田「うん? おはよ」

山城「…………あなたの明日は拓けたみたいね」

龍田「さぁ? 元々一方通行の砂利道歩いてるみたいなものだし」

山城「浮かんでたわ、死体。魂は沈んだかもしれないけれど」

龍田「どちらも浮かんで浮かばれるでしょうよ。
理想たる平和の礎に、誰かの、そう、恋した女の幸福の為に死んだんだから」

山城「自らの死こそが女の幸せだけれど、ね」

龍田「…………」

山城「…………」

龍田「…………ただいま、でいい? 」

山城「おかえり、なんて言わないわ。言わないけれど…………また、会えたわね」


< 何度目の終わり? >







愛宕「で? 」

高雄「? 」

愛宕「いつ、大湊? 」

高雄「いつにでも。元よりそういう約束だったみたいね」

愛宕「うぅん? 」

高雄「約束だった、というか……ある一人の女の為に」

愛宕「そ。…………故郷を棄てる棄郷、なんて言葉無いわね」

高雄「奇矯、ならばどう? 他者には理解できないもの」

愛宕「私は理解できるもの。間違ってる」

高雄「そもそも選択こそが…………いえ、栓無きことでは、あるのだけれど」


< クールダウンクールダウン >







叢雲「その顔なら、失敗はしなかったみたいね」

提督「成功もしてないけどな……フ-」

叢雲「また禁破ってそんなもの吸って」

提督「許せ、最高にハイなんだから」

叢雲「嘘おっしゃい。…………あんたの成功も失敗も、あんただけのものじゃないわ」

提督「そうだな」

叢雲「…………叢雲として忠告する。あんたの隠し刀たる叢雲として」

提督「懐刀とは言ってくれないんだな。……で? 」

叢雲「馬鹿なことするんじゃないわ。これ以上横須賀の君に借り作ってどうすんのよ」

提督「さてね。フ-……………………そんなこと、俺にだって、分からないさ」


< 代償行為とも違うけれど >







提督「フ-…………」

叢雲「…………火」

提督「ん」

叢雲「フ-…………相変わらず何がいいのか」

提督「分からない? 俺は分からない」

叢雲「馬鹿ね」

提督「あぁ。…………買ったの? 」

叢雲「ええ。…………あんたの隣に立つとき、抱き締められるわけにはいかないから」


< 演者が揃ったのならば後は減ることしか >







加賀「新聞、見たわ」

Littorio「は? 」

加賀「いつだったかあなた、言っていたじゃない。
意味のあるものだって載ることがあるんだ、って」

Littorio「あぁ、言ったようにも思いますね。
Littorioにとってそれはクロスワードの懸賞程度の意味ですけれど」

加賀「死者が一人、悲しみが沢山。まさしく悲劇ね」

Littorio「他にも載っていません? それは数人が演った喜劇の演目で、
数十人にとっての幸福だと」

加賀「載ってはいないわ。載っては」

Littorio「そ。…………因みに我が祖国にとってそれは、ただの三文芝居未満の児戯ですよ」

加賀「でしょうね。……………………新聞に意味のあることが載るなんて悲劇、あまり見たくはないわ」


< 確認かあるいはリスタートか >







提督「フ-……………………寒いな」

叢雲「ええ」

提督「…………他には? 」

叢雲「あん? 」

提督「隠し刀以外のお前から」

叢雲「…………あんたに見えるただの叢雲に言わせてもらうなら」

提督「あぁ」

叢雲「それでいいわ。やりたいことやって、抗ってのたうって苦しんで、その先を私たちに見せなさいな」

提督「…………」

叢雲「…………どこまででも、着いて行ってやるわ」

提督「ありがとう。…………お前が俺の隣に立ってくれる女で、よかった」


< フィナーレには程遠く、されど演目は一つの終わりへ >







鈴谷「そーいや誕生日は? もち提督からの」

山城「ん」

鈴谷「ん? ……ん? 」

山城「この鍵と、簪置いて笑って帰ったわ」

鈴谷「へぇ? ……ねぇ

山城「やめて」

鈴谷「でも」

山城「やめなさい」

鈴谷「…………じゃあ、何の鍵かは知らないことにするけどさ」

山城「ええ」

鈴谷「その簪、受け入れるの? 」

山城「さぁ? それは扶桑姉さま次第だけれど…………もし私が一人なら、受けるわ」

鈴谷「そ。…………………ん、寂しく、なるかもね」


< 何も、変わらなくたっていいんだ。勝手に周りの世界は変わるんだから >







天城「思ったよりも長居をし過ぎたのかもしれません」

雲龍「? 」

天城「天城はあの人を愛していますけれど」

雲龍「ええ」

天城「あの人の心に甘えて、あの人のパーソナルに居過ぎたのかも」

雲龍「そうかもしれないわね」

天城「はい」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………だからといって、逃げるの? 」

天城「それは分かりませんよ。ただ…………天城は、逃がしません、それだけです」


< ピグマリオンの唄 >







浜風「陽炎も浦風も、それから電や雷、沢山、泣いていた」

時雨「そうだね」

扶桑「外国の子も、何人か泣いていたわ」

浜風「くだらない権力闘争に拘る人間ですら、何人も」

時雨「あぁ、慕われていたんだね、彼」

浜風「…………分かる? こんな状態で笑ってみたい気持ち」

時雨「分かるよ。嫌悪する存在が消えてくれたんだ。壇上にチップでも投げたっていいさ」

浜風「…………」

時雨「これはね、誰も不幸になんてなっちゃいないのさ。
太陽が太陽のまま消えて、本来の太陽の下で逃げたヒトが焦がされているだけ」

扶桑「…………」

浜風「…………」

時雨「…………」

浜風「…………浦風、慰めてくる」

時雨「あぁ。……………………実に、僕好みだよ、殿下。
これで浦風たちも後には引けないし、誰の士気も結局下がらなかった」

扶桑「誰にも、真の意味で不幸は訪れなかった。…………そう、生者には」


< It’s enough for the time being >







提督「…………起こったことだけを見れば」

愛宕「ええ」

提督「何人かが舞台から退場して、役の転換があって、喜劇は喜劇のままだ」

愛宕「悲劇が悲劇のまま上演されているんじゃなくて? 」

提督「それでもいいな。……な? 」

高雄「私には何も。私はあなたの影です」

提督「…………」

愛宕「嫌んなるわねぇ…………

高雄「…………」

愛宕「…………ま、こんなこと思う自分が嫌いにならないあたりが、ってことだけど」


ありがとうございました


< 凍った心がさらに冷めそうな時間に >







あきつ丸「…………あれで、よかったのですか、殿下」

「これは異なることを。あれであらねばならなかった、あれこそが唯一、だろう? 」

あきつ丸「……………………」

「…………あきつ丸」

あきつ丸「はっ」

「部下というものはね、使わねばならない。それは庇護し期待し育て慈しむものだ。
育んだものを使わぬことこそ裏切りよ」

あきつ丸「…………臣下、ではなく? 」

「そんな大それたことを私は願ってはいない。……ただ陛下の御心のままに、帝国の為に、だ」

あきつ丸「そう、でありますか。……………………それが本音であろうあなたが、きっと永久に、恐ろしい」


< 離散的な意識の集合体たる >







あきつ丸「が、だとして……殿下の理想は認めましょう。
自分とて殿下の御意志と采配に共鳴している」

「ほう? 」

あきつ丸「それでも、あれ程慕われた将校を、何も刺し殺して横須賀の海に浮かばせなくとも」

「あぁ……男というのはね、あきつ丸。刺したことはあっても刺されたことなど無いものだ」

あきつ丸「殿下らしくは無い下世話な話でありますね」

「何、他意は無い。気分を悪くしたのなら謝ろう」

あきつ丸「…………」

「……銃だとして、同じだよ。男というのは、撃ったこと、撃つ妄想をしたことはあっても、
自らが斃れるなど露も思わない」

あきつ丸「それは女でも、同じです」

「そうか。女性を差別したつもりでもないが」

あきつ丸「…………」

「ふぅ…………あきつ丸」

あきつ丸「……はい」

「刺されねばならなかった。刺され浮かびゴミの様に死なねば。
それは殉教者の死に方であって裏切り者の敗残者。
しかしてそれが殉教者であってはならず聖者の昇天であらねば」

あきつ丸「…………は? 意味が、分かりませんが」

「嘘は吐くものではないよ。…………下がれ」

あきつ丸「は。……………………後悔は、なされていないのですね? 」

「くどい。……そんなこと、とうの昔からし続けておる。…………三笠、呼んでくれないか」


< 健康的、なんて言葉は敵だ >







提督「ふぁ……眠い」

雲龍「そうね」

提督「何でこんな眠いんだろう……大して飲んで無いしヤってないし喫んでないんだけど」

雲龍「だからじゃないの? 」

提督「だろうね。……おはよう」

雲龍「おはよう。今からでも、する? 」

提督「それはそれは魅力的な。……しないけどさ」


< それで迷ってしまうあたりが >







雲龍「いいけれど。……そういえば今日、赤にするわ」

提督「は? 」

雲龍「ランジェリー」

提督「……はぁ? 」

雲龍「今からシャワー浴びて、粧し込んで、新しいランジェリー、おろすわ」

提督「…………あのさ、本気で言うけど、迷わせないでくれない? 」


< そうであればきっと内から壊されていったから >







龍田「あら……こんばんは? 」

あきつ丸「龍田か。…………付き合え」

龍田「言われなくても……フゥ-…………

あきつ丸「…………」

龍田「…………」

あきつ丸「…………」

龍田「…………」

あきつ丸「…………天龍が、お前に懸想する男を慕わずにいたこと、感謝するであります」

龍田「そうねぇ…………本当、そう思うわ」


ありがとうございました


< 約束からは遅れましたが >







漣「は、はーいっ、はっじめでーす! 」

提督「ん……」

高雄「……」

加賀「……」

叢雲「……」

雲龍「……」

Littorio「祖国の言葉も……ほう」

漣「やめればよかったかなぁ……テスト課してる方がよっぽど寿命縮めてるよこれ」


< 可能性に過ぎなくとも >







鈴谷「龍田はまだここにいるの? 」

龍田「私、は? 」

鈴谷「山城と扶桑、いなくなるかもって」

龍田「……何処の、というか誰の情報? 」

鈴谷「山城」

龍田「…………」

鈴谷「…………」

龍田「…………私は、今のところここだけれど、それ、詳しくおしえてくれない? 」


< 困惑と困惑 >







提督「ふぃー……かったる」

雲龍「解答時間のインフレというか問題の面倒くささというか」

天城「休憩時間があっても然程休めませんね」

提督「まさか酒入れるわけにもなぁ」

天城「それはドーピングですよ」

提督「…………え? 」

雲龍「まさかお酒で頭が回るとか言い始めるなんて……」

天城「…………え? 」


< 鬼が出るか蛇が出るか鬼と蛇が出るか >







漣「はーい、しゅーりょー、終了でーす」

加賀「それなりに疲れたわ」

叢雲「まぁ、及第点ね」

漣「問題解く側が問題のレベルを採点しないでいただけますかねぇ」

明石「適当に埋め合わせで教養でも出てくるかと思いきや

Littorio「割りかし普通に軍人らしい問題でしたね」

瑞穂「ん……採点は? 」

漣「そのうちそのうち。今日は漣も疲れたし飲んで寝ますぅ」

愛宕「そ。ただ座ってゲームしてただけじゃない、
って言いたいけどこの面子全員に喧嘩売るようなことしてたものねぇ」

高雄「この人より上でないといけないのですよね、楽しく生きる為には」

Littorio「一週間の禁欲なんて酷いです」

漣「や、漣睨まれても……ねぇ? 」


ありがとうございました


< 噛み付き噛み締め噛み砕いてなお >







加賀「今年もあと五十日を切ったわ」

高雄「信じられませんね、時が経つの、早過ぎて」

加賀「あなたが幸せだから」

高雄「そう、でしょうか」

加賀「そうでも思わないと、或いはそう思えなくなったとき、あなたの時間は遅くなる」

高雄「…………」

加賀「…………」

高雄「…………いっそ遅くなってしまえばいいのに、なんて

加賀「贅沢ね。…………ええ、本当に、贅沢だわ。
幸福を噛み締めてなお、そんなことを言えるなんて」


< IIII+II +i>








雲龍「一昨日は十一日だったわね」

提督「そうだね」

雲龍「つまりポッキー&プリッツの日ね? 」

提督「そっすね」

雲龍「はい」

提督「はい? 」

雲龍「無いの? 」

提督「あるけど」

雲龍「……何で何もしなかったの? 」

提督「いや、高雄とはしたし」

雲龍「そう。…………何で割と納得してしまったのかしら、私」


< 一差しの口付けか、あやふやな戯れか >







提督「さ、さぁね。……する? 」

雲龍「いいえ、別にいいわ」

提督「そう? 」

雲龍「だってキスはあなたを感じるためだもの。他のものは要らないわ」

提督「…………真っ直ぐ見つめるなよ」

雲龍「死にたくなる? 」

提督「あぁ。…………殺すことも死ぬことも、同義になるくらいには」


< 青天の忘失 >








雲龍「まぁ……何とはなくそんな気分でもなかったし、あなたもでしょう? 」

提督「え、いやまぁ、最近割と立て込んで

雲龍「いいおっぱいの日も何もしてなかったし」

提督「ぁ

雲龍「ぁ、? 」

提督「…………今日、八日ってことにしない? そしたら明々後日はポッキーできるよ? 」


< 当然でしょう? >








雲龍「勿論いいけ

天城「馬ッ鹿じゃないですか? この人より姉様の方が馬鹿です」

提督「そうだな。……………………絶対俺の方が馬鹿にされてるよ、うん」


< 強いていうのならこの状況、といえる >







明石「まともな戸籍が無いといえば無いので重婚紛いのことならば余裕、と」

提督「その代わり真の意味であの茶色い紙切れにはお目にかかれないけどな」

叢雲「この国には緑の婚姻届だってあるらしいわ」

提督「へぇ? 離婚届と同じ色なら白黒でいいと思うが」

叢雲「コピーでいいから全国的どこでも白黒で十分よ」

提督「そうか」

高雄「北海道のどこかの町ではピンクもあるそうです」

提督「ほうほう」

明石「いや、そんな話したいわけじゃ……どんな話したいとも思いませんけど」


< 神という不確かさを信じるよりは >







Littorio「あなたはLittorioに神がいないと思っているでしょう? 」

加賀「そうね。そんなもの私も信じていないし」

Littorio「それは間違いです、Littorioには頼もしい神が憑いていますよ」

加賀「あの人? 」

Littorio「いいえ、彼は愛する、愛すべき、そして愛してくれる人間ですよ」

加賀「ふぅん? 」

Littorio「それこそが最も、唯一、大切なのですけれど」

加賀「……そうね」

Littorio「でも…………厄病神は、それもきっと許してくれないでしょうが」


< 言葉程の意味も、そして悪意も無く >







龍田「あんなときだけ頼って縋り付いて泣き顔で擦り寄るなんて、最悪ね」

山城「最悪な状況だったのでしょう? 」

龍田「それは私の主観」

山城「あの男だって、私だって己の主観でしか語れないわ」

龍田「…………許してくれる、と思う? 」

山城「何を? 」

龍田「彼のこと好きなのに、こんなになるまで微温湯で笑ってたこと」

山城「ふんっ、あっちに行っていたとして微睡める程度の泥沼よ」

龍田「…………でも

山城「それこそが私たちの欲しいもの、知ってるわ」

龍田「…………」

山城「それにしても、ふふ…………あなたとサシなんて、不幸だわ」


< 或いは、してくれない >








山城「そもそもね、龍田」

龍田「ん」

山城「赦されたくて愛を囁いたわけ? 」

龍田「ッ…………まさか」

山城「謝らないわよ。それくらいはやり返したって赦されるでしょうし」

龍田「赦す? 」

山城「私だって自分の気持ちと抑えつけた心くらい認識しているってこと」

龍田「そ、うね、ええ」

山城「……正直、私はあなたが思ってる程強情ではないし、義理だって大切にはしない」

龍田「……」

山城「彼は私やあなたを酷く甚振って貪って飽きた頃に捨てたっていい。
きっとそれを私たちは拒めない」

龍田「……」

山城「それなのに、ね。できないの、あの人だから」

龍田「……」

山城「……今更良心に怯えて女一人受け入れることなんて、しないのよ、あの人は」


ありがとうございました


< 寧ろ胸を張りさえして >








叢雲「愛し合ってはならない、愛してはならない、愛されてはならない」

瑞穂「はい? 」

叢雲「どれが、一番酷いかしらね」

瑞穂「叢雲さんらしくないポエティックな。……瑞穂としては」

叢雲「ええ」

瑞穂「愛してはならない、でしょう」

叢雲「何故? 」

瑞穂「瑞穂は単純ですから。愛されてしまったら愛さずにはいられませんよ」

叢雲「今のこと、思い出してみても? 」

瑞穂「ええ、彼は瑞穂のことなんて愛してはいませんよ。
好かれていないとは言いませんけれどね? 」


< 何とはなく感傷的な日と普段通りの同居人 >








愛宕「それなら私は“ 愛されてはならない ”、ね」

叢雲「ふぅん? 」

愛宕「私が普通に接していてね? 愛されないなんてことがあると思う? 」

瑞穂「自信過剰な」

愛宕「嫌味な謙遜よりはまともよ。だって半分くらいは事実だもの」

叢雲「はいはい。……………………はぁ」


< 感情全て想いで閉じて >







高雄「……眠いです」

提督「うん? 」

高雄「眠いんです」

提督「……………………おいで? 」


< 現実で夢を見たらば夢は深く >







高雄「ん…………あったかい」

提督「そうか」

高雄「……………………大湊に行っても、してくださいね」

提督「男の膝枕なんて別に

高雄「それからどこか別の場所に行っても、その次も、その次も、きっと最期まで」

提督「……」

高雄「お側にいさせてくださいって、ことです」

提督「あぁ。…………………寝なよ、いつだって必ず、高雄が起きるまでいるから、さ」


< 何度食べても美味しい >







加賀「加賀国といえば」

Littorio「サンダーバード? 」

加賀「は? 」

Littorio「かがやきやはくたかと言った方が? 」

加賀「……は? 」

Littorio「ふふ……いえ、あの人の本を借りていたのですけれどね、冗談です」

加賀「そうであってほしいものね。……わり氷が届いたのだけれど、いる? 」


< 何でかこう、自販機周り特有の? >







愛宕「あなたまたそれやってるのね」

雲龍「ん……小銭とはいえ、捨ててしまうなんて、おかしいでしょう」

愛宕「そうだけどあなたのなりで這いつくばって自販機の下に手入れてるのはねぇ」

雲龍「…………ぁ、取れた」

愛宕「そ」

漣「そもそもの話、雲龍さんは何故何度も何度も小銭を落とすんです。
そんなにそそかっかしかったりはしないでしょう? 」


< 何か文句でも? >






高雄「ん…………………………………………おはよう? 」

提督「おはよう高雄」

高雄「何時? 」

提督「高雄がまだ休んでいてもいい時間」

高雄「いつだってそう言うでしょう? あなたは」

提督「まさか。高雄の助けが本当に必要なときはそんなこと言えない」

高雄「人肌恋しいときとか? 」

提督「かもね。……………………膝枕って割とこう、承認欲求物凄い満たされるんだな」

高雄「そう…………う、うぅん? 」


ありがとうございました


< 満足しました? >








加賀「不満足だと言えば延長してくれるのかしら? 」

提督「さぁ? それはお前次第」

加賀「ふぅ……足首捻ったわ」

提督「変な体位とかしたっけ? 」

加賀「していないと思うけれど、あなたと私の身長差があれば時々」

提督「え、マジ? 」

加賀「ええ、身体励起してそのまま続けているけれど」

提督「そうか。…………何か違わないか? それ」


< まぁ、割と腹筋とかあれば誤魔化せはできちゃう >







提督「ま、まぁ、いいけどさ」

加賀「……そう」

提督「あぁ。……お前が誕生日だとさ」

加賀「ええ」

提督「やたら食事量が凄まじいんだよ」

加賀「私は寧ろ一品一品に想いを込めているけれど」

提督「雲龍と天城が狂気のレベルで心血注ぐからなぁ」

加賀「嬉しいけれど、怖いわね」

提督「つれない」

加賀「いいじゃない。全て美味しくいただいたわ」

提督「あぁ。…………でもそこだよな、一番おかしいの。
あれだけ食べて何でベッドだとこう……大して変わらないんだろう」


< 優しさというより優越? >







加賀「いたっ…………ふふ、でも、いいのよ。今の私、暫く振りに幸せだから」

天城「……猫にする会話だとは思えませんが」








漣「あぁ……加賀さん、慈愛の表情」

江風「今なら勝手に皿のもの食べても許してくれそうだよな」

漣「女衒様の面目躍如ですねー」

提督「俺は別に慈愛に満ちてねぇんだけど……キれてもいいよな? 」


< 不満気 >







高雄「はぁ、免許証というのも取ってみればただの写真付きカードね」

天城「まぁ、実際そうですし、車に乗らなければ」

瑞穂「というかこれ捕まったりしなかったら何らの意味も持ちませんよね」

Littorio「捕まること前提なのは……そもそもが実質身分証でしょう?
Littorioも取らせていただいちゃいましたけれど」






愛宕「でも偽名なのよねぇ……我ながらこの顔で、この名前の免許証? 」

雲龍「馬鹿馬鹿しい限りね」

加賀「……何故こんな顔なの? 撮り直せない? 一気にテンション下げられたのだけれど」


< 矛先 >








提督「やー、免許証の写真って何故か撮り直せないんですよお姉さん」

加賀「……次は? 」

提督「学科でやったでしょう? 新規に取得された方は三年後で御座います」

加賀「はぁ……私が言いたいのは」

提督「うん? 」

加賀「超法規的措置で免許を交付したわけでしょう?
免許センターなんかではなく、ここで」

提督「そうだね」

加賀「写真を撮ったの、明石でしょう? 」

提督「あぁ……おーい明石ー、逃げた方がいいぞー」







明石「ふぇ? 」


< そこまで堕ちたことに気付いてあるいは絶望も >







明石「いや、でもですね? 何枚か撮って一番機嫌良さそうなのにしたんですよ? 」

提督「これで? 」

明石「これで」

提督「うーん……ま、俺は好きだけどな。機嫌悪そうな加賀」

明石「そりゃあ目一杯楽しんで蕩けさせたりできるから」

提督「お前もできるぜ? 」

明石「まさか。肉体的感覚以前の話です。……いや、以上の話でもあるかもしれませんが」


< まぁ、一台で済ませようと思うと >








高雄「因みにですけれど、買ってもいいんですか? 」

提督「車? いいよ。今すぐ買うと大湊までちょっと面倒だけど」

高雄「なるほど。…………やっぱりマイクロバス、
しかし中型か大型を取るならそもそも大型バスの方が……………ーーーー

提督「……はい? 高雄? 高雄っ、おーい? 」


< え? 違うの? >








江風「やー、でもあれ笑って見てられないな」

海風「まぁ、高雄さんなら本気で取ろうとしてもおかしくないよね」

明石「大型なんて持ってますし言ってくれれば運転するのに」

天城「……そういうことでは無いでしょう? 明石さん」


< 疲労と確認とこれからと >








時雨「変なのがいなくなって清々したと思ったら……はぁ」

浜風「まさか自分たちに異動の可能性が出てくるなんて」

春雨「ひとところで安穏としてるなんて、無理なんだ」

時雨「…………」

浜風「…………」

春雨「あるいは、あの理想主義者の将校様に抱かれるのが幸せだっ

時雨「無いね」

浜風「怖気が走るわ」

春雨「そ。……それだけ自分保ってるんなら、まだ余裕じゃない? 」


< 日付が回ったところですがまだまだ >








鈴谷「えー、一応? 誕生日でーす」

龍田「……おめでと」

山城「おめでと……」

あきつ丸「めでたいですなぁ……フ-」

鈴谷「嬉しいんだけどさ……勝手に他人の部屋でテンション下げたまま深酔いして、
あまつさえ煙草とか吸わないでくれない? ねぇっ! 」


ありがとうございました


< ウラハラ >








叢雲「ところであんた」

提督「ん? 」

叢雲「養女になったのはいいとして、どういう設定にしたのよ」

提督「あぁん? ……戦災孤児で今までは俺の恩人の家にいたことにした」

叢雲「へぇ? 」

提督「まさかその辺で拾った家出少女、なんて言えないだろう? 」

叢雲「そうね。で、その恩人が亡くなったことにしたの? 」

提督「あぁ。それならハーフだとしても少々奇抜でも許されるだろう? 」

叢雲「存在が認められたとして家族になるっていうのは…………ま、いいわ」

提督「うん? 」

叢雲「これからもよろしくね、お・と・う・さ・ま? 」

提督「……………………やめたくなってきたんだけど…………えぇ? 」


< 長い挽歌 >







叢雲「許しなさいな、これくらいの皮肉」

提督「甘んじて、と言いたいところではあるな」

叢雲「…………でも、私を養女にしたんなら」

提督「あぁ」

叢雲「私に遺産を残して往生する、女の遺恨も残さない、親もちゃんと看取る、死ぬ気でやりなさい」

提督「我が娘が助けてくれるのなら何だって」

叢雲「ふん。……………………あんたの死ぬところ、笑って見届けさせなさいよ? 」

提督「努力するよ。……………………俺の墓に、娘が夫と参るところ、想像して死にたかったんだ」

叢雲「ばーか」


< 凄絶なまでに >








愛宕「私こういうことおおっぴらに言うの好きじゃないんだけど」

海風「ええ」

愛宕「あの人、今弱ってるから共依存対象無意識に欲しがってるわよ? 」

海風「本当にお喋りするものではないですね。……どうしろと? 」

愛宕「別に。ただ大湊の後も一緒にいられるか分からないわよ、って」

海風「それは愛宕さんも同じでは? 」

愛宕「私、あの人のこと、好きなの。他なんて、要らない」

海風「はぁ」

愛宕「…………」

海風「……………………」

愛宕「…………」

海風「…………」

愛宕「…………」

海風「……」

愛宕「…………」

海風「」

愛宕「……………………ふふ」


< 終わって初めてきっと理解できる >








海風「ふぅ…………ずるいよね」

江風「うン? 」

海風「海風だって__さんのこと好きなのに、あんな顔見せられちゃあ」

江風「? 」

海風「…………女って、醜い」

江風「そうだな」

海風「でも、好きな男のことしか考えない女、綺麗」

江風「さてね。…………そンなこと、知らなかった方がよかったのか、今がいいのか」


< 後出し >







愛宕「江風って迷いに迷って海風の気持ちまで考えてやっと決めたのよね」

高雄「あぁ、背信の密書。……あの人の一言が決め手だったみたいだけれど」

愛宕「そうなの? 」

高雄「ええ、江風さん本人から聞いたわ」

愛宕「ふぅん? ……まぁ、そうだったわけじゃない」

高雄「……? 」

愛宕「それ考えると雲龍って割に凄いわよね」

高雄「……あぁ」

愛宕「渡されたその足であの人の部屋に来てライターで燃やしてたもの。
ちょっと真似できないわ、あの人に誤解される怖さだって、あるでしょう? 」


< 理解者と理解者と理解者と >






雲龍「それを私の目の前で宣うあなたに恐れがあるなんて思えないけれど」

愛宕「だって私は全て捧げて、これ以上無いくらいだもの、誹りも罵倒も全て受け切れる」

雲龍「自信家ね」

愛宕「いいえ、事実よ」

雲龍「そ。……………………負け、認めてあげる」

愛宕「ふぅん? 」

雲龍「一瞬、ほんの一瞬だけ、迷ったわ。あの人に縋って許してもらおうと思った」

愛宕「そうなの。…………じゃあ」

雲龍「ええ」

愛宕「私も認めてあげる。私なら、あの人が絶対安静で、介護が不可欠になったら、きっと一緒に死ぬ。
あなたみたいに、いつまでも想い出を語れない」

雲龍「…………」

愛宕「…………」

雲龍「…………負け犬同士、飲みましょうか」

愛宕「そうね」

高雄「グラスとお酒、用意してきましたよ」


< 何事も洗い流せるのであればどれだけ >







提督「ふぅ……風呂、いいな」

漣「漣的には隣にご主人様がいなければ最高なんですが」

提督「許せよ。今はあいつらのとこ、いたくなかったんだ」

漣「嫌われますよ? 」

提督「まさか。そんな仲じゃない」

漣「はぁ。…………叢雲ちゃんのこと、頼みましたよ? 」

提督「ん。……………………生命に、かえても」


< 元々分かたれた袂をくっつけたつもりになって >








漣「…………」

提督「…………」

漣「…………漣のことは」

提督「ん」

漣「養女には、してくれないんですね」

提督「なりたい? 」

漣「そんな卑怯な言葉、聞きたくないです。逃げないでほしいです」

提督「そ。…………………お前にはさ」

漣「……ええ」

提督「ずっとフラットな関係でいてほしい。俺とも、高雄たちとも、叢雲とも」

漣「は? 」

提督「お前は自分のことも他人のことも一番見えてるから。
誰が相手でも、向き合えるんだよ」

漣「…………」

提督「…………」

漣「…………貧乏クジ」

提督「あぁ。…………謝らないよ。どうせ、許されることじゃないから」


< まだ終わりなんて見るつもり、無いから >







叢雲「ねぇ」

高雄「はい? 」

愛宕「なぁに? 」

叢雲「私……あいつの、養女になってるから」

高雄「……………………そう」

愛宕「……………………いいんじゃない? 」

叢雲「いいの? 」

高雄「あの人と、あの人が信頼する人の決めたことです」

愛宕「私たちが口出しすることじゃないわ。ただの彼女か内縁みたいなものだし」

叢雲「そこ、そこなのよ! 私は、私は! そこまで踏み込む勇気が無かったのに、
偶然とタイミングで繋がりを得てしまったからっ」

高雄「ん……気にする? 」

愛宕「んーん、私とあの人の繋がりは、単なる紙切れや社会的枠組みには縛られないから」

高雄「だ、そうよ。私も同じ」

叢雲「…………………………………………ごめんなさい、ありがと」


< それでいいと決めたのだから >







雲龍「ん…………荷物、少ないわね」

天城「ま、姉様程ではありません」

雲龍「お互い服以外に本当に、無いわ」

天城「あ、お酒はあの人に任せていますよ? 」

雲龍「それでもたかが……量的にはでしょう? 」

天城「ええ、時価ではこの服なんて目ではありません」

雲龍「そ…………」

天城「…………」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………始まりっていうのは終わりだけれど、
終わりはきっと出発点。信じていいわね? 」

天城「姉様の信じる分だけ、保証しましょう。…………まさか、あの人の決断、疑いますか? 」


< 零と一の等価 >







明石「結局は、蚊帳の外」

瑞穂「はい? 」

明石「幾ら社会的価値、国家的責務、人類的希望を背負ってはみても、同じです」

瑞穂「明石さんとしては、背負わされただけでは? 」

明石「同じ、イーヴンですよ。私には、自分の幸せしか見れません。
それなら、やることは同じですから、ただ気持ちだけが枯れていきます」

瑞穂「…………それでも、瑞穂よりは

明石「それが! 何だっていうんです。あの人の一番になれなくたって、それでいいって思い込んでも、
そんなんじゃあきっと前には進めていないんです」

瑞穂「…………」

明石「…………」

瑞穂「…………進みたいんですか? 」

明石「当たり前。愛した男の、
本当に心から何を捧げても欲しい男の心さえ手に入れられない能力なんていうのは、
逃れられない死と、等価です」


< それでもきっと零からは何も生まれないと信ずればこそ >







加賀「笑い話なんて、無い? 」

Littorio「は? 」

加賀「それか、煙草」

Littorio「どちらも今すぐにとは」

加賀「そうよね。…………あの人の顔、見た? 」

Littorio「いえ、今日は殆ど自室にいましたから」

加賀「そ。…………覚悟を決めた顔、勇壮なんて笑える顔だったわ」

Littorio「いいことでは? あの人にとっては」

加賀「あの人にとってはね」

Littorio「Littorioにはもう、あの人しかいません。
あの人にとっての禍福は、イコールです」

加賀「強いわね」

Littorio「弱いんです」

加賀「それでも強いのよ。…………私も、強いわね? あなたからすれば」

Littorio「眩しい程に。…………でも、これでいいんです、正否なんて、無いんですから」


< お互いに逃げ道を塞ぎ合って残った道を、共に >







提督「ん……………………何? 」

叢雲「……バーボン」

提督「はいよ。…………カクテルの作り甲斐が無い」

叢雲「そ。…………ん、んんっ」

提督「イッキね、さすが若い」

叢雲「馬鹿。…………漣に、言ったわね? 」

提督「お前もあいつらに、言ったな? 」

叢雲「…………」

提督「…………」

叢雲「…………行き先を決めるのはあくまで風ではなくて、帆なのよ? 」

提督「流されたわけじゃない。お前が、俺の風であって、帆だ。あるいはお互いに」

叢雲「ええ。…………女は海っていうけど? 」

提督「そのまま揺蕩っていられればな。…………それでも、漕ぎ出して、いかないといけないんだ」


ありがとうございました


< 心外 >







愛宕「おはよ」

高雄「おはよう。……寒いわね」

愛宕「一人で寝たから? 」

高雄「単純に気温が」

愛宕「そう? 」

高雄「あなたみたいに普段から薄着なんてしないから慣れてないの」

愛宕「薄着? 」

高雄「雲龍さん並とは言わないけれど」

愛宕「そ。…………あれと比べられる程薄着なんてしてないと思うんだけど……ベッドでも」


< まぁ、たぶんそれも含めて >







天城「ふぅ……寒くなってきましたね」

雲龍「ええ、肉と肉の触れ合いが欲しくなる」

天城「はぁ……いえ、そうですね」

雲龍「ふぅん? 」

天城「姉様の妹ですもの」

雲龍「そう。…………私は構わないけれど、あなた結局それは何の言い訳にもならないわよ? 」


< 騒いで祝った熱が冷めてみて >








浜風「……結局また今年も食べ物ばかり」

春雨「誕生日に食べ物って一般的? 」

時雨「さぁね。浜風基準的に一般的なのは確かだけど」

春雨「それは分かるよ。当たり前の前提条件」

時雨「うん」

浜風「…………」


< 此方は本日現今 >








GZ「割に貰っているじゃないか。自分から他人を避けているのに」

WS「あら、真の淑女は何は無くとも祝われてしまうものなのよ? 」

GZ「ほう……? 」

WS「まぁ……実際は最近あなたばかりにくっ付いているのもどうかと思いまして」

Aquila「それで妙に一度飲むと伯爵のこと離さなかったんですねぇ~ 」

WS「そんなこ………………………………でも確かに一緒にいると無性に抱きしめてほしくなるのは確かね、最近」


ありがとうございました


< 明けて >








海風「……ん……………………Zzz」

提督「はぁ……どうしよっか、本当」

海風「…………Zzz」

提督「…………寝た、というか……ヤった? ……貰った? …………ん」

海風「…………ぁ……………………__さ、ん」

提督「…………」

海風「Zzz……」

提督「自業自得、ってーのも海風に失礼だし…………何回覚悟決めればいいの? 」


< 引き続きまして、自問自答 >








提督「ん…………」

海風「…………ぁふ」

提督「? …………おはよう」

海風「ぉ、はようございまふ…………あぁ、__さんの前では、こんな」

提督「いいさ。可愛い女の子のままだよ、お前」

海風「…………お前」

提督「ん? 嫌? 」

海風「海風のこと、お前って言ってくれた、その顔で、その声音で……ぁはっ」

提督「…………」

海風「…………」

提督「…………」

海風「…………いいんですよ、欲したのは、私です」

提督「そ。…………許されないんだろうな、何もかも」


< 大人って何だろうね >







雲龍「どんな気分? 姉の膜貫かれたであろう気分は」

江風「やー……知らねぇよそンなの」

雲龍「あなたは? 」

天城「あの頃の天城でしたら……馬鹿ですね、としか」

雲龍「今なら? 」

天城「馬鹿ですね、と。堕ちたことに、対して」

雲龍「ふぅん? 」

江風「いよいよ……いや、まぁ、始まりだと思えば、ン……思わねぇと、な」


< 責めてほしいやつなんて責めないですよ、絶対 >








漣「結局ロリにも手出したじゃないですかやだー」

提督「……」

漣「やーですねぇ」

提督「……」

漣「…………何か、無いの? 」

提督「お前にも海風にも失礼だろうよ、何言っても」

漣「クーズ。……って言いたいところですけど、いいです、漣はぁ、許します。仕方無かった」

提督「そうかい。…………俺の辛いところ、抉ってくるね」


< いいニーハイってどんな? >








雲龍「ニーハイ……うーん」

天城「コーデとして難しいような気もしますね、姉様だと」

雲龍「似合わなくはないし無いわけではないけれど……わざわざする程でも」

叢雲「ブーツでもなんでも組み合わせなさいな、タッパはあるんだし」

雲龍「私が私であるために、必要? それは」

叢雲「雲龍という女が__の求めるものを追う女である限りは、探すべきでしょ」

雲龍「そうね。…………私に似合うのって? 」

叢雲「あなたが見つけなさいな。それでもあいつのこと欲しい女なの?
自分の求める男、落としたい女なの? 」

雲龍「ん…………助けて? 」

叢雲「ばーか。…………ね・が・い・さ・げ」


< それでもなお >







愛宕『……海風? 』

海風『はい? 』

愛宕『求めることは罪じゃないわ』

海風『それは一般論では? 』

愛宕『ここであの人を求めることは咎にならない、の方が厳密? 』

海風『浮気の奨励? 』

愛宕『かもね。…………自分から言って保険にしておいた方が、ダメージ少ないと思わない? 』

海風『それは……逆に牽制にも聞こえますけれど』


< 許しを乞うという無様など認めない >







漣『誕生日続きますねぇ……色々と』

高雄『ええ』

明石『その海風さんはどこへ? 』

愛宕『あの人次第ね』

明石『へぇ? 』

高雄『許しというか……いえ、あの人と海風さんの問題ですよ、きっと』

愛宕『あんなクズを好きになった私だけの問題なの、これは。
あの人の瑕疵は、私の馬鹿さだから、いいの』

瑞穂『大人、というべきか……救い難きというべきか…………いえ、瑞穂に答えなどありませんけれど』


< ユ・メ >







海風『……ね』

提督『ん……くっ付き過ぎだよ』

海風『海風に、魅力、無い? 』

提督『…………卑怯だよ、その質問は』

海風『女の必須スキル? 』

提督『ハンッ。……………………有るか? 』

海風『あなたに落ち、あなたと共に終わる覚悟ならば、とうに』

提督『…………」

海風『…………』

提督『…………後悔なんて、させないからな』

海風『それはあなたの甲斐しょ

提督『違う。…………俺を望んだってことは、クズがクズたる深淵を見た、一方通行に堕ちるってことだぜ? 』

海風『…………ええ、いいですよ、そんなの。海風を海風として見てくれる、
そんな男の人、あなたにしか許せませんから』

提督『…………』

海風『愛して、ください。…………クズに恋した哀れな女を、せめて、一時だけでも、最高の、淑女に』


< ーーーー…………もっと早く、堕ちて、いけたのに >






提督「ふぅ……」

海風「あぁ…………あなたの、匂い」

提督「クズの臭いだね。…………フ-」

海風「最低に、良い、香りです」

提督「…………」

海風「…………」

提督「…………俺なんかに、尊厳なんて捧げるものじゃないぜ」

海風「あなたよりもいいひとを見つけますよ、きっと。
あなたなんて、キープです」

提督「そ」

海風「はい。……………………あぁ、堕ちるって、こんなに気持ちいいんだ。知ってれば…………ーーーー


次のイベントに期待しましよう……

ありがとうございました


次のです。お願いします

【艦これ】愛宕「私とあの人と高雄」
【艦これ】愛宕「私とあの人と高雄」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1511959941/)


< さぁ? >







江風「……姉貴とテートク引き篭もってたじゃン? 」

Littorio「それはそれは」

加賀「犯罪的な絵面ね」

江風「…………」

Littorio「刻まれたがりの生娘なんてまた難しいものをよく受け入れますね」

加賀「それが弱さなのよ、魅力と表裏の」

Littorio「……あぁ」

江風「嫌、でもないけど…………嫌いと好きの間じゃなくてさ、
総合したら、どンな感情って言えばいいンだ? 」


< にゃあ? >







雲龍「ん……あなたも大きくなってきたわね」

明石「相変わらず可愛いなぁ……雲龍さんがスキモノのド変態なんて知りもせず」

雲龍「足りないわ」

明石「はい? 」

雲龍「愛した男の娼婦になれるのなら、尊厳さえ売り渡して堕ちる女、よ」

明石「はぁ」

海風「はい。…………ただの言い換えなのに、これがカッコよく見えるあたりが、海風の堕ちた原因なんだよね、きっと」


ありがとうございました

改めて次の方でもお願いします

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