【艦これ】提督「またデレデレウイルスが漏洩したのか」 (344)


このスレは、提督「デレデレウイルスが漏洩した?」の続きです。

前回出た、加賀、霰、阿武隈、山城、山雲、愛宕、龍田、霞、以外の艦娘で安価をお願いします。


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提督「またデレデレウイルスが漏洩したのか」

明石「はい」

提督「同じ過ちを繰り返したと」

明石「ごめんなさい」

提督「以前の騒動で反省してなかったんだな……」ヤレヤレ

明石「ち、違うんです! デレデレウイルスを何かに利用できないかと考えて、研究してたら」

明石「足を滑らせて、ウイルスや他の薬品が入ってた容器を壊してしまって」

提督「何に利用できるんだあんなもの」

明石「それを探ってたんですよ。でもやめた方がよかったですね……すみません」ペコリ

提督「まあ起きてしまったものはしょうがない。で、ひょっとして今度のはもっと強力なのか」

明石「えっ、何故それを?」

提督「さっき俺にワクチンを打っただろう。前回と同じウイルスなら、そんなことする必要はないし」

明石「はい、仰る通りです。といっても症状自体は変わらないみたいなんですけど」

明石「感染力が凄いらしくて、前に打ったワクチンは効かないんですよ」

提督「進化したのか」

明石「ですね。たぶん他の薬品と混ざってパワーアップしてしまったんだと思います」

提督「……そんなに詳しく分かっているということは、まさかまた被害者が?」

明石「大淀が感染しました。すでにワクチンを打って、今は協力してもらってますけど」

提督(かなり怒っただろうな)

明石「あの、そういうことなので……今回も協力していただけないでしょうか」スッ

提督「分かったよ。使い方は同じなんだろ?」

明石「ええ、首にプスリです。よろしくお願いします」

提督「……」

提督(しかし、パワーアップしたのは本当に感染力だけなんだろうな)

今回のウイルスは、感染すると十分の一の確率でヤンデレになります。
安価でとった艦娘のレスがコンマ90以上だと、デレデレからヤンデレへ移っていきます。



――――


スタスタ

提督「……デレデレウイルスの利用法……か」

提督「考えれば考えるほど思い浮かばない。冷え込んだ夫婦関係を改善させるとか?」

提督「でも記憶が無くなるなら意味がないよな……?」


↓2「提督!!」

提督「!?」ビクッ

嵐「司令! こんなところでうろついてたのか」

提督「嵐……か」

嵐「? なんで警戒してんだ?」

提督「そういうわけじゃないが……」

提督(感染してるのか? というか、感染しない艦娘はいるのか?)

嵐「あ、あのさ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな」

提督「聞きたいこと?」

嵐「……し」


嵐「し、司令の好みのタイプを教えてくれ!!」

提督「!?」ビクッ


提督「急に大声を出すなよ!」ドキドキ

嵐「あ、ごめん」

提督「で、何だって?」

嵐「もう1回言うのか! 勇気出して言ったのに……ったく」

嵐「だから、司令の好みのタイプを聞きたいんだよ」

提督「好みのタイプって、何の?」

嵐「察しが悪いなぁ、もう……!」

提督「もしかして、女性のタイプか?」

嵐「……うん」

提督「どうしてそんなこと聞きたいんだよ」

嵐「いいから教えてくれ」

提督「……そうだな」

提督「聞かれると悩むけど、優しくて笑顔が素敵な女性かな」

嵐「優しくて、笑顔が素敵」

嵐「……優しいは心がければ大丈夫……笑顔が素敵、か……」ボソッ

嵐「ほ、他にはないのか?」ニコニコ

提督(急に不自然な笑顔を)

提督「それくらいだけど」

嵐「は? もっとあるだろ! ……あっ」

嵐「もっと他にあるんじゃないか?」ニコニコ

提督「……」

提督(こいつもしかして)

提督「ああ、もう一つあった」

嵐「聞かせてくれ!」


提督「壁走りができる」

嵐「!?」

嵐「か、壁……走り……?」

提督「忍者みたいにカッコよくな」

嵐「……そうか」

提督(ちょっと意地が悪いかな)

提督「嘘だよ嘘、そんなの…」

嵐「あー、なんか壁走りたくなってきたな」パキポキ

提督「は?」

嵐「よし、いくぞ!」

提督「おい嵐、ちょっと待て…」


嵐「はあああああ!!」スタタタタッ

提督「待て待て、危ないっ!」スタタタッ



ギュッ


嵐「っ!」ドキッ

提督「危なかった……冗談だよ、冗談。変なこと言って悪かった」

提督「というかお前、もしかして俺を……」スッ

嵐「待ってくれ」ガシッ

提督「え?」

嵐「このまま、抱きしめてて欲しい」ドキドキ

提督「……」

提督(やっぱり感染してたか)

嵐「はは……本当はこっそりアピールするつもりだったんだけど」

嵐「こ、こんなことされたら……我慢できないよ……」

嵐「あのさ、司令……実は俺」

嵐「司令のことが大好きなんだ」

提督「……」

嵐「司令とデートで色んなとこ行きたい。色んな乗り物乗ったり、綺麗な魚を見たり」

嵐「アイスの交換したり、プリクラ撮ったり」

嵐「一緒に笑い合いたい」

提督「……」

嵐「女の子っぽくない俺が、こんな夢を見るのも変だけど」ヘヘ…

提督「変じゃないよ」

嵐「え?」

提督「どんなに男勝りでも、嵐は可愛い女の子だ」

嵐「か、かわ……!?」カァァ

提督「そうやって赤くなるのも、女の子らしくて可愛いと思うし」

嵐「ダメだ!」ガバッ

嵐「や、やめてくれ。可愛いって言われるの……なんか、めちゃくちゃ恥ずかしい……」モジモジ

提督「分かったよ」

嵐「そ、それでその……司令」

嵐「返事は?」

提督(……まあ、こうなるよな)

提督(ウイルスに感染してるとはいえ、嵐が俺にそういう気持ちを抱いてくれているのは事実)

提督(けど、こうして告白するに至ったのは、嵐の意思かと言われたらそうじゃない)

提督(どうしたものか)

嵐「……やっぱいいや」

提督「?」

嵐「ごめん、やっぱり今までの無し!」

嵐「よーく考えたら、司令のことが好きな艦娘は大勢いるし」

嵐「その中で、俺以上に魅力的な人は山ほどいる。だからさ」


嵐「俺、今以上にもっと女を磨いて、自信をついたらまた司令に告白するから!」

提督「……」

嵐「もちろん、その間も負けじとアピールして、司令に気に入ってもらえるよう努力する!」

嵐「って、なんか女々しいよな。ごめん」アハハ

提督「いや……お前女だろ」

嵐「ああ、そうだった。でもなんか卑怯だよな」

提督「そんなことない。お前らしくていいと思う」

嵐「……ありがとう」

嵐「あの……し、司令官」

提督「なんだ」

嵐「えっと、別れる前にもう1回……抱きしめて欲しい」

提督「……」

嵐「ダメ、かな」


ギュッ


嵐「! ……ふふ」ニコニコ

提督(……決意したとこ悪いんだが)

提督(これを打たなくちゃいけないんだよな……)スッ

提督(打たなくていいんじゃないか……いや、でも……)

提督(ごめん、嵐)

プシュッ

嵐「!」

ガクッ


嵐「……zzz」

提督「寝てしまったか。一声かけてやりたかったが」

提督「……診察室に寝かせておこう」

スタスタ



――――


提督「デレデレウイルス、色んな意味で罪深い」

提督「もう明石に全てを任せたいな……」


↓2「提督! こんなところに!」

提督(が、そういうわけにはいかない)

文月「司令官、やっと見つけた!」

ギュッ

提督「おっと……文月か。俺を探してたのか?」

文月「うん。お願いがあるの」

提督「お願い、か」

提督(もうこのワードが出たら感染してるってことでいいんじゃないか)

提督「どんなお願い?」

文月「えへへ~、あのね~」


文月「今から、司令官をひとり占めさせて欲しいな~って」

提督「……?」

提督「ひとり占め?」

文月「うん」

提督「どういう事だそれ」

文月「お仕事終わってるよね?」

提督「まあ一応」

文月「だから~、ちょっとだけでいいから、文月に司令官を独占させて欲しいの!」

文月「色んなお願い聞いて欲しい! 他の艦娘が来ても、文月だけを見て?」

文月「文月に、提督の時間をちょっとだけちょうだい?」

提督(……何だかよく分からないが、どのみち治療しなきゃいけないからな)

提督「了解」

文月「ほんと!? やったー、嬉しーい!」ピョンピョン



――――


提督「そういえば、文月の部屋に入るのは初めてだな」

文月「そうだね~」

提督(俺の膝に座り、胸に寄りかかって10分が経過)

提督(まさかこのまま終わる?)

文月「司令官ー」

提督「ん?」

文月「机の上のマシュマロ、食べさせて?」

提督「ああ、ほら」ヒョイッ

パクッ

文月「おいしい~♪」

文月「司令官も、お一つどーぞ」ヒョイッ

提督「ありがとう」パクッ

文月「おいしい?」

提督「うん」モグモグ

文月「えへへ~」ニコニコ

提督(これだけでいいのか。いや、何かありそうだが)

提督(以前、阿武隈に部屋に呼ばれたことを思い出してしまって、警戒が……)

文月「司令官~」

提督「なんだ?」

文月「こちょこちょして~?」

提督「……こちょこちょ……?」

文月「うん、お願い」

提督「くすぐればいいのか」

文月「そうだよ。早く~」

提督(何でそんなこと……まあいいか)


コチョコチョ

文月「きゃっ、ふふ、あはははっ! くすぐったい!」

提督「……」コチョコチョ

文月「あはははっ、や、やめて~!」

提督「」パッ

文月「あっ……なんでやめちゃうの?」

提督「えっ」

文月「今の『やめて』は違うよ~、続けていいんだよ?」

提督「そ、そうなのか」

提督(訳が分からん)

文月「もー1回! もー1回!」ワクワク

提督「アンコールに応えよう」コチョコチョ

文月「きゃー!」アハハハ


――――

文月「はぁ……はぁ……つかれたぁ~……」グタッ

提督(俺も疲れた……)

文月「ふふ……司令官、てくにしゃんだね」ニコッ

提督「その言い方はやめなさい」

文月「え? どうして~?」

提督「……いや……」

提督(俺が汚れてるだけか?)

文月「うふふ~、それでは~」

文月「今度が文月が、司令官をくすぐり攻撃~!」ワキワキ

提督「え? いや……俺はいいから」

文月「だーめ♡ 覚悟しなさーい!」

コチョコチョ

提督「待て文月! やめっ……ぷくくっ」

提督「あははははっ! や、やめろこら! あはははははっ!」ジタバタ

提督「あーははははっ!! お、おい文月、怒るぞ!」

文月「怒ることができたらやめてあげるよ~」コチョコチョ

提督「そっ……んなこと………! ひーひひひ」

提督「ひーひひひ!! や、やめろこらぁッ!!」

文月「ぜんぜん怖くないなぁ~?」コチョコチョ

提督「た、頼む! もう本当にやめてくれぇ!! 腹が、壊れるから!!」

文月「ほらほらほら~」

コチョコチョ

アハハハハ!


――――


提督「はぁ……はぁ……はぁ……」グタッ

文月「えへへ、文月もなかなかのものでしょ~」ニコニコ

提督「ああ……お、恐れ入ったよ……」

提督(我ながら、こんなにくすぐりに弱いとは思わなかった)

文月「さてと、それじゃあ最後に」

文月「えーい!」ガバッ

ドサッ

提督「!? 文月……ベッドに押し倒して何を……」

文月「うふふ~。今から司令官は~」


文月「文月と一緒に、お昼寝してもらいます!」

提督「……昼寝?」


文月「というわけで、文月をぎゅーってしててね」

提督「……」

文月「はやく~」

提督「あ、ああ」ギュッ

文月「えへへ。それじゃ、おやすみなさ~い」



文月「……zzz……zzz」

提督(寝るの早いな!)

提督(けど安心した。襲われることはなかったな)

提督(くすぐりが本当キツかったが……。さて、今のうちだ)

プシュッ

提督「おやすみ文月」ナデナデ

文月「……むにゃ……zzz……」


――――


提督「あー、あんなに笑ったのは久々だ。出したことない声も出てたよな」

提督「たまには思いっきり笑うのもいいかもな。くすぐりはNGだが」


↓2「提督」

提督「ん?」

一旦休憩します
タイトルに安価つけてなかった…すみません

提督「木曽か……って、どうしたその格好!?」

木曽「変か?」

提督「いや、似合ってるけど……女の子らしい服を着てるから驚いた」

木曽「姉さんたちが見繕ってくれたものなんだが、そう言ってくれると嬉しいな」

提督「あー、あいつらが。でも意外だな、お前はそういう服を用意されても拒否するイメージだったよ」

木曽「まあな。動きにくいし、こういう服装は好みじゃない」

提督「? じゃあ何で着てるんだよ」

木曽「お前に見せるためだ」

提督「……へ?」

木曽「お前に見せたかった、それだけさ」

提督「……」

提督(まさか木曽、感染してるのか)

志村ー木曾は旧字体と新字体とあるんや

木曽「ところで今から時間はあるか? 一緒に海辺を散歩したいんだ」

提督「いいけど」

木曽「よし、決まりだな。行こう」ギュッ

提督「!」

提督(腕まで組むなんて……いつもの木曽じゃ考えられない)


――――


木曽「太陽は煌めき、いい風が吹いている。散歩日和だな」

提督「そうだな」

提督(セリフは木曽っぽいんだが)

提督「なあ木曽」

木曽「?」

提督「いつまで腕を組んでるんだ?」

木曽「……もしかして」

>>41
ミスしてました、指摘ありがとうございます


木曾「嫌、だったか……?」

提督「!」


提督(ま、まさかこんな寂しそうな顔をするとは)

提督「嫌じゃないよ。ただ、いつもはこんなことしないから」

木曾「……そうだな」

木曾「今日の俺はどうかしている。こんな気持ちになるなんて」

提督「?」

木曾「ふふ……こんなことを言ったら、もっと驚くだろうが」

木曾「あえて言うぞ。俺はお前と2人きりになりたかった」

提督「!!」

木曾「他の艦娘の目が届かないような場所に行って、話をしたかったんだ」

提督「……」

木曾「何というかな……今日の俺はおかしいんだ。自分で言うのもあれだが」

木曾「この気持ち、どう表そうかな。つまるところ……」

木曾「女が出てしまっている」

提督「女が出てる?」

木曾「ああ、こんなの初めてだ。お前をはっきり男として意識しているんだ」

木曾「そして、男のお前に俺は惹かれている。いや、『いた』と言ったほうが正しいか」

木曾「元より俺はお前に惹かれていたんだ。それが今日という日に抑えきれなくなったのかもしれない」

提督(ウイルスのせいなんだがな)

木曾「お前はとても素晴らしい。艦娘たちに指示を与え、たくさんの結果を残している」

提督「それは艦娘のお前らが頑張ってくれてるからだよ」

木曾「そうやって謙遜する性格も良い」

提督「いやいや、事実だ…」

木曾「認めるんだ。お前は良い提督であり、良い男だ」

提督(何を言っても無駄なパターンか)

提督「ありがとう」

木曾「うん、褒め言葉を素直に受け取るのも良い」

提督(どっちなんだよ)

木曾「ああ、ダメだな……これが惚れるという感情なのか」

木曾「お前のどんな部分も愛おしいと感じてしまう」

提督「そ、そうか」

木曾「自覚したら、余計に気持ちが膨らんでいく」

木曾「くっ……胸が苦しい……い、一体どうすれば……!」ギュッ

提督(胸を抑えてこの言葉。いつもの木曾のようで木曾じゃない)

木曾「……なあ」


木曾「提督?」

提督「!」ドキッ


木曾「この気持ちを抑える方法、知らないか……?」

提督(頬を赤らめて、切なげな顔……普段の木曾なら絶対にしない)

木曾「苦しくてたまらないんだ、お前を見ていると」ドキドキ

木曾「教えてくれ。この胸の高鳴りを静めて欲しい」ドキドキ

提督(静めろと言われてもな……)

木曾「……」ドキドキ

提督「……」


ギュッ


木曾「!」

提督(抱きしめることしか思い浮かばない)

木曾「おい」

提督「?」

木曾「さっきより胸の高鳴りが大きくなったぞ、どうしてくれる」

提督「えっ、わ、悪い」

木曾「……だが」

木曾「とても心地いい気分だ」ギュッ

提督「そ……そうか、よかった」ホッ

木曾「……ところで」

提督「ん?」

木曾「俺を抱きしめたということは、俺の告白を受け入れたということでいいんだな?」フフフ

提督「!? 待て、告白なんていつ…」

木曾「テンプレートを言ってないだけだ。ちゃんと思いを打ち明けただろう」

木曾「それとも何か? お前は覚悟ができていないのに俺を抱き寄せたのか?」

提督「いや、その……」アタフタ

木曾「その反応、やはりか。仕方ない奴だ」

木曾「キスで許してやろう、ほら」グイッ

提督「!!?」

木曾「どうした?」

提督(こ、こいつ積極的になり過ぎじゃないか?)

提督(キスはさすがに……まあ何人かにしたけども)

提督(ここはサッとすませて、ウイルスを打ち込むか)

木曾「言っておくがしないという選択は…」


チュッ


木曾「……おい」

木曾「確かにキスだが、誰が額にしろと言った」

提督「すまん」

プシュッ

木曾「うっ!」

ガクッ

提督「これで許してくれ」

木曾「……き」

提督「!?」

木曾「貴様、何を打っ……た……」

ガクッ

提督「……お、驚いた。まさか起き上がるなんて」

木曾「……zzz」

提督「眠ったか。抱えてっ、と」ヒョイッ

木曾「zzz……んん……」

提督「ひょっとして今回のワクチンは、前のより強力だから必ず眠るのか?」

提督「これは診察室のベッドが埋まるかもしれないぞ」

スタスタ


――――


提督「まだ嵐が寝てた。やっぱりワクチンがパワーアップしたせいか」

グゥゥ…

提督「……腹が減ったな。そろそろ昼食を食べよう」

↓2「提督ー!」スタタタッ

ここまでにします
誤字が多い…すみません

今日の21時くらいに始める予定です

鬼怒「執務室にいなかったから探したよー! どこ行くの?」

提督「鬼怒か。腹が減ったから食堂に行こうかと」

鬼怒「え? 偶然! 鬼怒も今からお昼行こうって思ってたの!」

鬼怒「で、よかったら提督も一緒にどうかなーって」

提督「まだなのか。昼食の時間はとっくに過ぎてるのに」

鬼怒「さっきまで眠っててさー、へへ」

提督「なるほどな……じゃあ行くか」

鬼怒「うん!」ギュッ

提督「……腕に抱きつく意味は?」

鬼怒「えっ、ダメなの?」

提督「いや……いいけど……」

鬼怒「ふふ」ニコニコ

提督(鬼怒も例に漏れず、か)

スタスタ


スタスタ

提督「なあ鬼怒」

鬼怒「何?」

提督「食堂に誰かいると思うか」

鬼怒「んー、いないんじゃない? もうオヤツの時間だし」

提督「だよな」

提督(鬼怒の他に誰かいたら、てんてこ舞いだ)


――――


↓2「こんにちは」

鬼怒「いたね」

提督「……」

提督「食事中だったのか松風」

松風「ああ、演習に夢中で時を忘れてしまってね。気がついたらこんな時間さ」

松風「司令官も今から昼食かい?」

鬼怒「こほん」

松風「おっと……ごめん、鬼怒さんもいたんだね」

鬼怒「なっ、その言い方はないでしょ!」

松風「ごめんよ。つい司令官に目が行ってしまって……鬼怒さんも昼食に?」

鬼怒「うん、提督と一緒にね♪」

松風「……そうか」

提督「妖精さんはまだ料理を?」

松風「いるよ。提督をずっと待ってたらしい」

提督「それは申し訳ないことをしたな」

提督「鬼怒、俺が頼んでくるから、ここで待っててくれないか」

鬼怒「え。……うん、分かった。じゃあカレーで」

提督「カレーだな」スタスタ

松風「……」パクッ

鬼怒「……」ジー

松風「……」モグモグ

鬼怒「……」ジー

松風「なんだい? ジーッと僕を見つめて」

松風「もしかして鬼怒さん、僕のことが好きなの?」

鬼怒「!? ち、違うって!」ブンブン

松風「あっは、そうだよね。鬼怒さんが好きなのは司令官だもんね」

鬼怒「!」

松風「いいよね司令官。優しくて素敵な人で」

松風「僕も大好きだよ」ニコッ

鬼怒「!!」

鬼怒(そ、それってどういう……)



スタスタ

提督「お待たせ鬼怒、カレーだ」スッ

鬼怒「あ、ありがとう」

提督「どうした? 目を丸くして」

鬼怒「ううん、何でもない」

松風「司令官のことが大好きだ、って話をしてたのさ」

提督・鬼怒「!?」

提督「なっ……唐突に何なんだ」

松風「ふふ、偽りのない素直な気持ちだよ」

鬼怒(……やっぱりそういう好きなんだ)

提督(ま、まさかつい最近やってきた松風にまで?)

松風「司令官は本当に優しいよね。初めてここに来た僕に付きっきりで鎮守府のことを教えてくれて」

松風「おかげで難なく輪に入ることができて、とても助かったよ」

提督「それは、お前が上手く立ち回ったから…」

松風「ううん。司令官の力が大きいよ、感謝してる」

提督「そ、そうか」

鬼怒(なになに!? この雰囲気!)

松風「ご飯、食べたらどうだい?」

提督「そうだな。いただきます」

鬼怒「……いただきます」

鬼怒(うう、提督と2人っきりのご飯だやったー、って浮かれてたのに)

鬼怒(おのれー!)ジー

松風「?」

鬼怒「あ、そういえば松風ちゃん、もうご飯食べ終わってるよね」

鬼怒「そろそろ次の用事を済ませなくていいのかな?」

松風「遠征までまだ時間はあるし、ご飯が食べ終わったらここから出なきゃいけない決まりもないよね」

鬼怒「……うん」

鬼怒(そりゃそうだ)

提督「……」ガツガツ

松風「……ふーん。なるほどなるほど」ジー

提督「? 何だ松風」

松風「ご飯粒ついてるよ」ヒョイッ パクッ

鬼怒「!!!!」

提督「い、言ってくれれば自分で取ったのに」

松風「ごめん、つい反射的に」

鬼怒(それ鬼怒がやってみたかったやつ!!)

松風「と、僕が納得していたのはご飯粒のことじゃなくて」

松風「司令官のご飯の食べ方さ」

提督「食べ方?」

松風「知ってるかい。食事の仕方はね……男女の交わりの傾向が分かるらしいんだ」

提督・鬼怒「!」ドキッ

松風「僕も聞いた話なんだけど、例えば」

松風「司令官は豪快にガツガツと食べるよね」

松風「そういう人は、行為の時も積極的らしいよ」

鬼怒「……な、なるほど」ドキドキ

提督「何でお前が納得してるんだよ」

鬼怒「いや……提督って意外と強引なんだなって」ドキドキ

提督「決めつけるな!」

鬼怒「じゃあ消極的?」

提督「いや、そうでも……って何でそんなこと明かさなきゃいけないんだよ!!」

松風「あとね。豪快な割には、ご飯を綺麗に、丁寧に食べてるよね」

松風「それはつまり、行為も丁寧だってことらしいよ」

鬼怒「女性を丁寧に扱う……なおかつ強引……へへっ」ドキドキ

提督「もうやめてくれ! 変な話題を持ち出すな松風!」

松風「あっは、ごめんね。ふと思い出したから、つい」

松風「でも、想像が掻き立てられるよね」ドキドキ

鬼怒「……」ドキドキ

提督「こっち見るのやめろ、飯が食えないから」

鬼怒「あの、提督」

提督「?」

鬼怒「今晩、鬼怒と飲みませんか……?」

提督(露骨に誘って来たな)

松風「僕も一緒にいいかな。司令官ともっと仲良くなりたいんだ」

提督(松風も!? いや、こいつはライクなのか? 分からん)

提督(まあ何にしても、ウイルスに感染してる可能性はあるんだ……ワクチンを打たないとな)


――――


提督「ふぅ、食べたな」

鬼怒「ごちそうさまー」

松風「さて、それじゃあ暇つぶしに、僕の部屋に遊びに来ないか司令官」

提督「松風の部屋?」

松風「遠征までまだまだ時間があるんだよ、いいだろう?」ギュッ

鬼怒「待って! 鬼怒も行く!」ギュッ

松風「鬼怒さんも? いいよ」

鬼怒「よっし!」

提督(……話を進めているところ悪いんだが)

提督(他の艦娘を治療しなきゃいけないからな)

提督「すまん2人とも」

松風・鬼怒「え?」


プシュッ プシュッ

松風「うっ」ガクッ

鬼怒「!?」ガクッ

提督「よっと……2人を抱えるのは苦労するな」

妖精「?」

提督「ああ、妖精さん。悪いけど食器を任せてもいいかな」

提督「この2人を診察室に連れて行かないと」

妖精「♪」

提督「ありがとう」スタスタ

提督(というか、妖精さんはウイルスにかからないんだな)

提督(そもそも事情は知ってるのだろうか)


――――


提督「痛たた……ちょっと腰を痛めたかも」

提督「2人一気に担ぐのはキツかったかな……」


↓2「提督?」

提督「……お前か」

初霜「大丈夫ですか? 腰、痛めたんですか?」

提督「ちょっとな……あまり無理をするもんじゃないな」

初霜「どうしましょう、持ち合わせは絆創膏しかなくて」

提督「気にしないでくれ。本当にちょっと痛めただけだから」

初霜「ダメですよ。腰は悪くするとタチが悪いですから」

初霜「診察室に行きましょう! さあ!」グイグイ

提督「診察室!?」


――――


zzz… zzz…

初霜「あら? 大勢の方が眠ってますね」

提督(ウイルスのおかげでな)

初霜「ちょっと待っててくださいね、湿布を探しますから」

提督「ありがとう」

嵐「zzz……zzz……」

提督(しかし本当に起きないな。まだ嵐が眠ってる)

スタスタ

初霜「ありました。さあ、そこのベッドに横になってください」

提督「いいよ、座ったままで」

初霜「ダメですよ。腰に負担のかからない体勢にならないと」

提督「いやいや、そんな…」

初霜「横になってください♪」ニコニコ

提督「……はい」

提督(な、なんか怖いぞ)

初霜「あ、その前に軍服を脱いでください。邪魔ですから」

提督「そうだな」ヌギヌギ


――――

提督「よし、これでいいかな」

初霜「ええ。ではシャツを捲りますね」ピラッ

初霜「……!」ドキッ

提督「? どうかしたのか」

初霜「い、いえ……提督の背中……たくましいなぁって」ドキドキ

提督「……」

初霜「あの……触ってもいいでしょうか」

提督「触らないと貼れないだろう」

初霜「そ、そうですよね!」

初霜「……あ、あの」

提督「何だ?」

初霜「えっと……もしよろしければ、なんですけど」モジモジ

初霜「ま……マッサージはどうでしょうか……?」

提督「マッサージ? へえ、できるのか」

初霜「得意です!」

提督「じゃあ頼もうかな」

初霜「はい。で、では……」

モミモミ ギュッ ギュッ

提督「ん……」

初霜「こんな感じでどうですか?」

提督「気持ちいいよ」

初霜「よかった。続けますね」

モミモミ ギュッ ギュッ

提督(痛い……けど気持ちいい。痛気持ちいいというやつだな)

提督(まさか初霜にこんなスキルがあったなんてな)


モミモミ ギュッ ギュッ

初霜「……」

提督(気持ちいい……)

初霜「……」

提督(……けど、なんか……)

モミモミ ギュッ ギュッ

初霜「……♡」

提督(な、なんか手つきが……どんどん)


初霜「提督」

提督「ん?」

初霜「せっかくなので、全身をマッサージしますね」

提督(決定か!)

提督「いいよそこまでしなくて」

初霜「私がやりたいんです、やらせてください」

提督「お、おう」

モミモミ ギュッ ギュッ

提督(何だ、ちょっとおかしくなってきたぞ)

初霜「足、ふくらはぎ、太もも、お尻、腰、背中」

初霜「そして肩、首っと」

提督「も、もういいか?」

初霜「まだです。仰向けになってください」

提督「は?」

初霜「まだマッサージは終わってないので」

提督「……分かった」クルッ

初霜「よいしょっと」

提督「!?」

提督「初霜、腹に跨がる必要はないだろ」

初霜「次は手ですね」モミモミ

提督(聞いてない?)

初霜「はぁ……はぁ……とてもたくましいです」

初霜「こ、この手で抱かれたら……私……」ドキドキ

提督「!!」

提督(やっぱり変だ! 間違いなく感染してる!)

提督(早くワクチン……を……)

提督(あ!!)


提督(そうかしまった! ワクチンは軍服のポケットだ!)

初霜「はぁ、はぁ」ペロペロ

提督「初霜!? ゆ、指を舐めるな!」

提督(くっ、軍服は……あそこか)

提督(あと少しで手が届くのに、くそ!)

初霜「提督」グイッ

提督「!!」

チュッ

初霜「ん……ちゅっ……」

提督「初霜……! や、やめ……!!」

提督(霞の時と同じだ! 振り払えないし、このままじゃ……)

初霜「はむ……んふ……」

提督(も、もうちょっとだ! ほんのちょっとで……!)


提督(……よし!!)ガシッ

提督(これでワクチンを初霜に)ガサゴソ

提督(元に戻れ!!)

ガシッ

提督「!!」

初霜「な、何をする気ですか?」グググ

提督(止められた!)

初霜「これ、何の注射ですか」

提督「……お前を元に戻す薬だ」

初霜「私、どこも変じゃないです!」

提督「そうか? いつもの初霜なら、強引にキスなんてしないと思うが」

初霜「それは……私が胸にしまっていた願望というか」

初霜「提督とこういうことをしてみたいって密かに思ってて」

提督「よく聞け初霜。それはあるウイルスに感染してるからで…」

初霜「とにかくこの注射はしまってください!」

提督「そうはいかない! お前に元に戻ってもらうため、これを打たないと!」グググ

初霜「や、やめてください!」

ゴロゴロ ドサッ

提督「うぐっ!」

提督(床に思いっきり……!)

初霜「離してください!」ジタバタ

バキッ

提督「痛いっ!? お、大人しくしろ!」


プシュッ

初霜「きゃっ!」

グタッ


初霜「……zzz」

提督「はぁ……はぁ……な、何とかなった……」

提督「しかし今の絵面こそ、事情を知らないと本当に危ないな」

提督「というか、今ので他の艦娘は……」

提督「……起きてないな。よかった、のか?」

提督「とりあえず初霜を寝かせて、次の艦娘を……ん?」

提督「うわっ! う、嘘だろ……軍服が水浸しだ……」

提督「これ、全部ワクチンか?」

ガサゴソ

提督「ぜ……全滅……」

提督「どうする。ワクチンがないと艦娘を元に戻せない」

提督「明石のとこに行って、もらうしかない……」



――――


スタスタ

提督「まさかこんな事になるなんて」

提督「油断して服を脱がなければ……軍服を下敷きにするなんてことは……」

提督「……いや、後悔しても意味がない」

提督「こうなったら、なるべく艦娘と出会わないように明石を探さないと」

↓2「……」

提督「ゆっくり、慎重に進むんだ。周囲に気を配って」

↓2「……」ツンツン

提督「っ!!」ビクッ

提督「ひ、比叡……っ!」

比叡「なんでこの世の終わりみたいな顔をするんですか」

提督「いや……はは、何でもないんだ」

提督(言ってるそばから見つかってどうするんだ!)

比叡「それにこっそり歩いてましたけど、隠れんぼでも? 私も参加したいです!」

提督「違うよ、何でもないんだ本当」

比叡「そうですか。ちょっとワクワクしたのに」

提督「……じ、じゃあもう行くからな」スタスタ

ガシッ

提督「!」

比叡「待ってください! 実は司令にお願いがあるんです!」

提督「……」

提督「どんなお願いだ」

比叡「心の底からのお願いです」

提督「内容を言ってくれ」

比叡「……えっと」モジモジ


比叡「いつもお世話になってる司令に、ケーキを焼いたんです」ポッ

提督「すまん急いでるんだ」スタスタ


ガシッ

提督「ぐえっ!?」

比叡「どうして逃げるんですか!?」

提督(そりゃ逃げるだろ! 比叡の態度からして感染してるっぽいし、今の俺に逃れる術はないんだ!)

提督(仮に感染してなかったとしても、比叡の作ったケーキは……!)

提督「に、逃げたつもりはないんだがな」

比叡「あ、そうなんですか。今回作ったケーキ、すっごく上手く焼けたんですよ」ニコニコ

提督「そうか」

比叡「何から何まで完璧にできて!」

提督「あのな比叡」

比叡「もったいないので味見はしてないんですけど」

提督(しろよ)

提督「なあ比叡、俺はこれから明石に会わなきゃ…」

比叡「でもきっと美味しいですよ! ほっぺた落ちちゃいますよ!」

提督(……命の間違いじゃないのか)

提督「比叡、いい加減に話を聞いて…」

比叡「ふふふ……どうですか、食べたくなってきたでしょう!? さっそく私の部屋に行きましょう!!」ガシッ

提督「へ?」

比叡「一名様ご案内!!」スタタタッ

提督「おい! 待てって言ってるだろこら!」スタタタッ



――――


比叡「ちょっと待っててくださいね」

提督「……」

提督(比叡の部屋、こんなに女の子らしい感じなのか)

提督(意外ってほどでもないけど……って、呑気に観察してる場合じゃない)

提督(どうする? 比叡に迫られたら成す術がないぞ。良い雰囲気になるのは絶対に阻止しないと)

提督(ケーキを食べて、美味しいと一言感想を述べ)

提督(それから部屋を出る。全てをなるべく迅速に)


スタスタ

比叡「お待たせしましたー!」

提督(来たか)

提督(さて、一体どんなケーキを……)

提督「……ん?」

比叡「どうですか! この素晴らしい見た目!」

提督(チョコレートケーキか。綺麗にデコレーションしてあるな)

提督「美味しそうだ」

比叡「でしょう? 切り分けますね!」テキパキ

比叡「はい、どうぞっ」サッ

提督「……いただきます」

比叡「召し上がれ♡」ニコッ

提督(が、問題は味だ)

提督(せめて気絶はしないよう祈る!)パクッ

提督「……」

提督「……?」モグモグ

比叡「司令……ど、どうですか……?」

提督「……」


提督「美味しい」ボソッ

比叡「!!」


提督「美味しい! 美味しいぞこれ、比叡!」パクパク

比叡「ほ、本当ですか?」

提督「お前も食べてみろ! 店に出せるレベルだぞ!」

比叡「は、はい」パクッ

提督「美味しいだろ!?」

比叡「ええ、すごく美味しいです」

比叡「本当に……と、とっても……」グスッ

提督「!? な、何で泣くんだ」

比叡「いえ……何というか……」

比叡「やっと司令に、笑顔で美味しいって言ってもらえて……本当に喜んでもらえたんだなって」

比叡「今までは引きつった笑顔だったので……グスッ」

提督「……そうか、引きつってたか」

提督(なんとか笑顔を作ってたんだが、気づいてたんだな)


提督「比叡、すまなかった」ペコリ

比叡「え?」


提督「比叡に誘われた時な、正直嫌な予感しかしなかったんだ」

提督「ほっぺが落ちるなんて言って、本当に落ちるのは命なんじゃないかって」

比叡「ひええ!? ひどい!!」ガーン

提督「でも撤回する、このケーキは美味しい。最高だよ」

提督「こんな美味しいものが作れるなんて、お前には料理の才能があるんだな」ナデナデ

比叡「そ、そこまで言いますか?」

提督「言うよ、文句なしだ。もしよかったら、またこのケーキを作ってくれないか?」

提督「今度は鎮守府のみんなにな。きっと喜ぶぞ」

比叡「はい! ……で、でも」

比叡「鎮守府のみんなに作る時は、こんなに美味しくできるか分かりません」

提督「そんなことはないだろう」

比叡「ありますよ、だって」


比叡「このケーキは司令のために、愛情をたっぷり込めて作ったんですから」

提督「……」


提督「……そ、そうか」

比叡「はい」

提督「俺のためにか」

比叡「愛情を込めました」

提督「……」

比叡「……司令っ」ギュッ

提督「……」

比叡「えへへ」ギュー

提督「……」


提督(良い雰囲気だな、これは)


提督(阻止しなければと意識していたはずが……やってしまった)

比叡「あ、司令」

提督「え」

チュッ

比叡「ほ、ほっぺにチョコがついてましたよ」カァァ

提督「……」

提督(やばい)

提督(この雰囲気はダメだ、何とかしないとダメだ)

比叡「そ、その……司令?」

比叡「もう一つだけ、お願いしてもいいでしょうか」

提督「何だ」

比叡「……」


比叡「恋人ごっこ、しませんか」

提督「……恋人?」


比叡「ごっこです。しばらく恋人みたいに過ごすんですよ」

比叡「とにかくイチャイチャすればいいんです」

提督(この前霞に要求された、新婚ごっこみたいの恋人版か)

比叡「お願いします! 1回だけでいいので!」

提督(また大変な事になりそうだが……)

提督「よし、1回だけだぞ」

比叡「え!? 冗談半分だったのに……ありがとうございます!」

提督(良い事を思いついたぞ)


提督「じゃあ早速だが、恋人隠れんぼをしよう」

比叡「恋人隠れんぼ?」

提督「鬼は、隠れてる方を見つけたらキスをしなければならない」

比叡「き、キス!?」

提督「そうだ。それで攻守交代だ」

比叡「なんて過激なルール!」

提督「やるか?」

比叡「は……はい! 望むところです!」フンス

提督「いい返事だ。じゃあまずは比叡が鬼だ」

比叡「私ですか?」

提督「ああ。だから俺を見つけたら、俺にキスをしなきゃいけないんだ」

提督「恥ずかしがらずにできるかな?」フフフ

比叡「望むところです!!」ブンブン

提督「俺も簡単には見つからないぞ。じゃあ始めよう」

提督「机に伏せて、100秒数えてくれ」

比叡「了解!」

比叡「いーち、にーい、さーん……」

提督(悪いな比叡、今のうちに抜けさせてもらうぞ)

提督(これはお前のためでもあるんだ)コソコソ

スタタタッ

比叡「じゅーう、じゅーいち、じゅーに」



――――


提督「抜け出した、はいいんだが」

提督「明石はどこにいるんだ? 俺と同じようにうろついてるよな、きっと」

提督「歩いて探すのも難儀だし、放送で呼び出しをするか」

提督「いや……そんなことしたら、感染してる艦娘が押し寄せてきそうだな」

提督「地道に足を使って探そう」スタスタ


ドンッ


↓2「!?」ドサッ

提督「す、すまん。前を見てなかった」

ここまでにします
誤字脱字すみません…

毎日21時か22時に更新する予定です

榛名「……あ」

提督「怪我はないか?」

榛名「てっ」

提督「?」


榛名「提督ーーーっ!!♡♡♡」ギュッ

提督「!?!?」


榛名「やっと見つけましたぁ!♡ 榛名、ずーっと提督を探し求めていたんですよ?♡」ムギュー

提督(今までにない食いつき!! こ、これはウイルスの影響か!?)

榛名「執務室から提督のお部屋を、隅から隅まで調べたのに」

榛名「どこにもいないから、榛名とっても寂しくて……♡」

提督「はは、は……まあ事情があって歩き回ってたからな」ダラダラ

榛名「でもよかったです。こうして見つけることができて」

榛名「不足していた提督成分を補給です♡」スリスリスリ

提督「……榛名」

提督「俺は今、すごく急いでるんだ。だから離れてくれると嬉しい」

榛名「えっ」ガーン

榛名「そんな、嫌ですよ! 提督から離れるなんて」

榛名「榛名も一緒に行っちゃダメですか?」ウルウル

提督「榛名も?」

提督(……掴んで離さないのはマズいけど、一緒に連れ添うなら大丈夫か?)

提督(明石と協力して、榛名にワクチンを打てばいい話だ)

提督「分かった」

榛名「本当ですか!? えへへ!♡」ギュウウ

提督「首に抱きつくのはやめてくれ、苦しいから……」

提督「あと、できるなら榛名にも協力して欲しいんだが」

榛名「はい! 提督の力になれるなら、どんなことでもします!」グッ

提督「助かるよ。明石を探してるんだけど、心当たりはないか?」

榛名「え」

提督「?」

榛名「……提督」ムスッ

榛名「どうして明石さんを探してるんですかっ」

提督「どうしてって……」

榛名「もしかしてデートのお誘いを?」

提督「いやいや、仕事の話だよ。緊急なんだ」

榛名「怪しいです」ジトー

提督「し、信じてくれ」

榛名「信じたいですけど……ちなみに、どんなお仕事の話を?」

提督(そこまで説明しないといけないのか)

提督(まあ、ウイルスのことを言っても差し支えはないよな?)

提督「いいか榛名。これは真面目な話だ」

榛名「はい」

提督「実は仕事というのは嘘なんだ。現在この鎮守府には、デレデレウイルスというものが蔓延している」

榛名「……でれでれ、ういるす?」

提督「そうだ。そのウイルスに感染した者は、好意を持っている相手に対してデレデレになってしまうんだ」

提督「榛名、お前も感染者の1人だと俺は踏んでいる」

榛名「……」

提督「俺はお前を治療してやりたい。そのためには明石を探さないといけない」

提督「何故なら明石こそが、この騒動を巻き起こした張本人であり」

提督「この騒動を鎮める唯一の希望、ウイルスを消し去るワクチンを所持しているから」

提督「頼む榛名。鎮守府のためなんだ」

提督「明石を探してくれないか」

榛名「……んー」


榛名「どうしてですか?」

提督「えっ……」


榛名「別にいいじゃないですか。好意を持っている相手にデレデレになるなんて」

榛名「榛名は素晴らしいと思います」

提督「なっ! 本気で言ってるのか!?」

榛名「だって言い方を変えれば、好きな相手に素直になれるってことですよね?」

榛名「加賀さんや曙ちゃんみたいに、素直じゃない艦娘もハッキリと愛情表現をすることができますし」

榛名「笑顔が絶えない素敵な鎮守府になると思いますよ♡」ニコッ

提督「……」

提督(まさか反論されるとは。これはウイルスによる思考の変化……みたいなものなのか?)

榛名「そう! そうですよ! きっと素敵な鎮守府になります!」

榛名「なので提督、ワクチンなんか探すのをやめて、榛名と遊びましょう♡」

提督「!」

榛名「場所を移しませんか? できれば2人っきりになれるところがいいです」グイグイ

提督「ま、待ってくれ榛名。俺はいつも通りの鎮守府がいいんだ、だから…」

榛名「提督のお部屋なら、誰にも邪魔はされませんよね♡ 行きましょう♡」グイグイ

提督(急に聞く耳を持たなくなった! 結局こうなるのか!)

提督「離してくれ榛名! 俺は……」



比叡「しぃぃぃぃぃぃれぇぇぇぇぇぇい!!!!」ズドドドドド



提督「っ!?」

榛名「あれは……比叡お姉様!?」

比叡「みぃぃぃぃぃぃつけ……」



比叡「たっ!!!!」チュッ

提督「んむっ!?!?!?」

榛名「」



比叡「んーー……ぷはっ」

比叡「もう、まさか部屋を出るなんて予想外でしたよ!」

比叡「策士ですね、このこのー!」グイグイ

提督「……」

提督(ま、まさか追いかけてくるなんて)

比叡「どうですか? 恥ずかしがらずにキスできましたよ?」

比叡「褒めてくださいっ」ニコッ

提督「ああ、そうだな……」ナデナデ

比叡「えへへー」

榛名「……提督」

提督「!」

榛名「これはどういうことか、説明してもらえますか」

提督「え……っとな。比叡もウイルスに…」

比叡「あれ? 榛名いたんだ。何で司令と一緒にいるの?」

榛名「一緒にいたらダメなんですか?」

比叡「そういうわけじゃないけど……私と司令は、恋人ごっこをしてる最中だったから」

榛名「恋人ごっこ?」

比叡「そう! 恋人みたいにイチャイチャするの! で、今は『恋人隠れんぼ』をやってるとこで……」

榛名「恋人隠れんぼ」

比叡「これが楽しくてさー! 鬼は隠れてる方を見つけたらキスをして」

榛名「キスを」

比叡「うん、キスをして攻守交代なの。だから今度は司令が鬼ー!」

榛名「へぇ……なるほど」

提督(……こ、これはどうなるんだ?)

提督(比叡と榛名は、俺に好意を持ってくれている。でも)

提督(比叡と榛名も、お互いに好意を持っているから……)


ツンツン


提督「!」

明石「しっ……黙ってついて来てください」

提督「あ、明石」

コソコソ

明石「よし、物陰に隠れれば大丈夫ですね」

提督「会えて良かった。偶然通りかかったのか?」

明石「声が聞こえたので探りに来たんです」

明石「にしても、厄介なことになりますねこれ」

提督「え?」

明石「比叡さんと榛名さんですよ。提督を思う気持ちの衝突が起きます」

提督「衝突って……でも、あいつらはお互いに好意を持ってるだろ?」

明石「そうですね。けど提督にも好意を持ってる、この場合どっちの好意が大きいかが重要になってきます」

提督「?」

明石「つまり、比叡さんと榛名さん、両者共に1番好きな人が提督だったら」

明石「このままぶつかり合いが起きます」

提督「……」

明石「もしどちらか片方の中で、提督よりも姉妹に対する好意が大きかったら」

明石「姉妹愛が上回ることになって、もう片方に譲る形で事無きことを得ると思います」

提督「ややこしいな」

明石「まあウイルス云々関係なく、心の働きはそういうものですよ」

明石「ただ私の推測からすると、2人とも提督のことが大好きなので」

提督「そ、そうか? 榛名はともかく比叡は……」

明石「金剛さんに愛を注いでるイメージはありますけど、提督への愛もなかなかですよ」

明石「それにライクかラブかで言ったら、ラブですからね」

提督「……」

提督「というか、ワクチンを打てば争いを回避できるだろ」

提督「俺のは訳あって全滅でな。明石の持ってるワクチンを使って、2人がかりで治療しよう」

明石「……実は」

明石「私も全滅なんです」

提督「マジか」

明石「マジです。だから提督を探してたんですよ、ワクチンを分けてもらうため」

提督「今回も治療した艦娘に渡したのか?」

明石「いいえ。1人目を治療する前に転んで全部割っちゃったので」

提督「……お前……」

明石「分かってますごめんなさい……でも」

明石「まだ大淀に分けたものがありますし、研究室に行けば予備がたくさんありますよ」

提督「本当か?」

明石「はい、ただ」

明石「そこに行くまでに、すごく厄介な相手が数人いて……ふ、」


明石「服を脱がされかけたんです」ガタガタ

提督「……は?」


明石「嘘じゃないですよ、本当のことです」

提督「それはつまり……お前にラブを抱いてる艦娘が?」

明石「そういう考え方もできますけど、私は工廠に篭ってばかりなので、接する艦娘も限られてきますし」

明石「それに、出会う度に襲われたんですよ? 考えられますか?」

提督「……まあ何にしても、大淀を探すより研究室に行った方が確実だろう」

明石「やめた方がいいと思いますけど」

提督「仕方ないだろう。あの2人だって、早く元に戻してやらないと」


比叡「な、なんか榛名……怒ってない?」

榛名「……多分」

比叡「多分って何!?」

榛名「分かりません。ただ」

榛名「比叡お姉様が提督とキスしたり、イチャイチャしてるシーンを想像したら」

榛名「……ムカっときます……」

比叡「だから、怒ってるってことでしょ?」

榛名「多分」

比叡「怒ってるよね?」

榛名「ええそうですよ! 怒ってるんです! 私だって提督とチューしたいのに!」

榛名「比叡お姉様は、そんな榛名をよそにイチャイチャして!」プンプン

比叡「うっ……し、仕方ないでしょ。私だって司令と……色々したいもん……」ボソッ

榛名「色々ってなんですか! えっちな事ですか!?」

比叡「なっ! そんなこと言えるわけ……!!」カァァ

榛名「やっぱりそうなんですね!? 顔が真っ赤で隠しきれてませんよ!!」


提督「ヒートアップしてきたな」

明石「やっぱりぶつかり合いになりそうですね」

提督「見てられん……そろそろ行くよ。お前はどうする?」

明石「周囲を警戒しつつ2人を見守ってます」

提督「……もし殴り合いにでもなったら、仲裁を頼むな」

明石「はい」


スタスタ

提督「……出会う度に襲われた、か」

提督「ひょっとして、ウイルスがパワーアップしてるのか?」

提督「感染源に近ければ近いほど強力になってるとか……」

提督「まあそんな単純じゃないか」

提督「さて、気をつけて進もう」スタスタ

ここから安価を取る艦娘は、コンマ10以上でヤンデレになります。



――――


提督「……何だ? なんか寒気がしてきた、気のせいだよな?」ブルッ

提督「艦娘と出会いませんように……」


↓2「見つけた!」

提督「!?」ドキッ

満潮「司令官! こんなとこで何サボってんの?」

提督(満潮……)

満潮「仕事は終わったんでしょうね?」

提督「もちろん」

満潮「ふぅん……まあ」

満潮「司令官なら当然よね」ギュッ

提督「!!」

満潮「仕事が終わったんなら、私とたくさん遊びましょ?」

提督「お、お前」

満潮「拒否しないでよね。私も色々終わらせて時間を作ったんだから」

満潮「し……司令官のために、さ」

提督(……どうやって切り抜けよう)

満潮「ね、何する? 司令官のしたいこと言って?」

提督「……」

満潮「黙ってちゃ分かんないじゃない。早く言いなさいよ」

満潮「……た、多少は……大人っぽいことしても、いいのよ……?」モジモジ

提督「満潮、すまない」

満潮「?」

提督「俺にはやらなきゃいけないことがあるんだ。お前と遊んでる暇はないんだよ」

満潮「え……」

提督「本当にすまない。それじゃ」スタスタ

提督(言い方はキツイが、これもみんなのため、満潮のためだ)


ガシッ


満潮「ま、待ってよ」

提督「……」

満潮「そんな言い方しなくてもいいでしょ!? かなり傷ついたんだけど!」プンプン

満潮「あ、そうだ! 今から間宮に行かない? 一緒にパフェ食べたい!」ニコニコ

提督「……」

満潮「ねえ、お願いっ。いいでしょ司令官?」ギュッ

満潮「こんなに頼んでるのよ? 折れてよ、ねえ」

提督(心を鬼にするぞ)

提督「すまん。また今度な」

満潮「今度じゃイヤなの! 今がいいの!」

提督「今はダメなんだよ……悪いな……」

満潮「……そう」


満潮「ほんっとウザい」

提督「!」

提督(え?)

満潮「なによ、せっかく私から誘ってるのに」

満潮「少しは素直になろうって決めて、思い切って声かけたのに」

満潮「それを平気で、簡単にあしらうんだ」

提督(な、何だこれ)

満潮「思えば当然かもね。私、いつも嫌な態度取ってるし」

満潮「それが頭に浮かんで、同じことしてやろうって思ったんでしょどうせ」

提督「違う。そんなことは…」

満潮「じゃあ何で突き放すのよッ!!」

提督「っ!?」ビクッ

満潮「どうして断るのよ! 私の勇気を踏みにじらないでよ!」

満潮「おかしなこと言ってるのは分かってる……けど、受け入れてよ……グスッ」

提督「……」

満潮「……どうして……どうして……」ポロポロ

提督(どうすればいいんだ。というか、これはウイルスのせいなのか?)

提督(それともすでに大淀がワクチンを打っていて……)


満潮「……ああ、そっか」

提督「!」

満潮「簡単なことだった」

満潮「司令官の中の私がそんなに嫌な奴なら、そのイメージを壊しちゃえばいいのよ」

提督「へ?」


ガバッ


提督「うっ!?」ドサッ

提督「み、満潮……何を……」

満潮「ごめんね司令官。私、今日からいい子になる」

満潮「どんな命令も素直に聞く、従順ないい子になるわ」

満潮「だから、たくさん愛して?」ニコォ…

提督「っ……!!」ゾクッ

満潮「さあ司令官、どんなことでもいいから」

満潮「私に命令して?」

提督(何だ……何なんだこれ。明らかにいつもの満潮じゃないし、デレデレウイルスでもない?)

満潮「……何にも言わないね。もしかして恥ずかしいの?」

満潮「ふふっ、そうなのね。分かってる……男の人が女の子にして欲しいことなんて」

満潮「大体決まってるもんね」

提督「は……?」

満潮「初めてで上手くできるか分からないけど、頑張るからね」ヌギヌギ

提督「まっ!? 待て待て待て! 何してるんだ満潮!」

満潮「何って、脱いだほうがいいでしょ?」

満潮「それとももしかして、着てた方が興奮する?」

提督「お、お前……とにかくやめるんだ!!」ガバッ

満潮「きゃっ!?」ドサッ

提督(あ……しまった、強すぎたか?)

満潮「……ふふ」

満潮「強引なのが好きなの? いいよ、どんな形も受け止めるから」

満潮「司令官、大好き……♡」ユラァ…

提督「み……満潮……」

提督(ウイルスだ、ウイルスに違いない。やっぱり感染力だけじゃなく、症状まで……)

提督(となれば、やることは一つだ)

提督「待ってろ。すぐにワクチンを打ってやるからな!」

スタタタッ

満潮「司令官! どこに行くの?」

満潮「……やっぱり、今更遅いの……?」



――――


提督「ぜぇ、ぜぇ……追っては来ない、か」

提督「一体何なんだ……目に光が宿ってなかったし……」

提督「まさか、この付近にいる艦娘はみんな……!」

提督「いや、深く考えるのはよそう。ただワクチンを入手することだけを考えればいい」



↓2「提督……」

提督「ッ!!」ゾクッ

ここまでで
また今日更新します

提督「飛龍か」

飛龍「どうしたの? ビクビクしちゃって」

提督「……」

飛龍「?」

スタスタ

飛龍「ち、ちょっと! 何で無視するの!?」グイッ

提督「放してくれ、急を要するんだ。話なら後でしよう」

飛龍「なんか冷たくない? せっかく良いこと教えてあげようと思ったのに」

提督「良いこと?」

飛龍「お、食いついた。気になる?」ニヤニヤ

提督「……後で聞くよ」スタスタ

飛龍「わっ、ストップ! 言うから止まって!」グイッ

提督「なるべく手短に済ませてくれよ」

飛龍「むー、やっぱり冷たい。傷つくなぁ」

飛龍「えっとね? 最近本土で話題になってる、超人気のテーマパークがあるでしょ」

飛龍「なんと! そのプレミアムペアチケットを入手することに成功したのです!」ジャーン

提督「おお、良かったな」

飛龍「反応が薄い!」

提督「蒼龍と行くのか?」

飛龍「んー、まあそれも考えたんだけど」

飛龍「言ったでしょ? 良いことを教えてあげるって」

飛龍「わ、私としてはね……提督と一緒に行きたいなって思ってるの」

提督「……」

飛龍「提督も行きたいでしょ? 超人気なんだよ! 超!」

提督「まあ、興味はあるけど」

飛龍「じ、じゃあ……!」

提督「でも蒼龍がすごく行きたがってただろ」

飛龍「へ?」

提督「目をキラキラさせて熱弁してたし、俺よりも楽しんでくれると思うから」

提督「蒼龍を誘ってやってくれ」

飛龍「い、いやいや! 私は提督を誘ってるんだよ?」

提督「それは嬉しいんだけどな。遠慮しとくよ」

飛龍「なっ……あーもう! わからず屋っ!」ギュッ

提督「!?」

飛龍「私は提督と行きたいのっ! 他の誰かじゃダメなの!」

飛龍「お願い! いいでしょ? どうしても提督とじゃなきゃ嫌なのぉー!」ギュー

提督「わ、分かったよ! お言葉に甘えるよ!」

飛龍「ホント!? やったぁー!!」ピョンピョン

提督「はぁ……やれやれ」

飛龍「提督とデートっ♪ でっ、えとっ♪」ニコニコ

提督(こんなにはしゃいで、子供みたいだな)フフ


提督「しかし、そうなったら蒼龍に何かお土産を買ってやらないとな」

飛龍「」ピクッ


提督「俺と飛龍で行ったら、きっと不貞腐れるぞ」

提督「機嫌を治すために良い物を……」

飛龍「なんで」

提督「……?」

飛龍「何で蒼龍の名前を出すの」

提督「えっ」

提督「何でって、だからあいつはテーマパークに行きたがってたから」

飛龍「違う」

飛龍「提督ってさ、いつも私と話してる時に蒼龍の名前を出すよね」

飛龍「なんでなの?」

提督「そうか? 自分ではそんなつもりはないが」

提督「もし事実なら、お前と仲が良いから…」

飛龍「どうしてなの私と話してるのに、なんで蒼龍の名前を出すの」ブツブツ

飛龍「私を見てくれてないの? 提督は私より蒼龍がいいの? なんでなんでなんで……」ブツブツ

提督「ひ……飛龍?」

飛龍「ねえ提督、一つ聞いていい?」

提督「ああ」

飛龍「もしもね」


飛龍「もしも、私か蒼龍のどちらかが轟沈しなきゃいけないってなったら」

飛龍「どっちを選ぶ?」

提督「は……?」


飛龍「答えて」

提督「そ、そんなこと」

飛龍「早く!!」

提督「……答えられない」

飛龍「いいよ、私にはお見通しだから」

飛龍「提督は蒼龍のことが大好きだから、絶対に蒼龍を選ぶ」

提督「いや…」

飛龍「そうに決まってる! 私のことなんてどうでもいいんでしょ?」

飛龍「いつも蒼龍のことを気にかけてるもんね、蒼龍が大好きだから」

飛龍「私より蒼龍のことが好きな提督は間違いなく蒼龍を選ぶ!」

提督「き、聞いてくれ飛龍、俺は…」

飛龍「また蒼龍の話? 聞き飽きたわよ!! その名前が出てくるたびに」

飛龍「私がどんな思いだったか分かる!? 笑顔の裏でどんなに心が締め付けられてたか分かる!?」

提督「……」


提督「すまなかった」ペコリ

飛龍「……」


提督「俺はお前を傷つけてしまったんだな」

提督「反省するよ、そして謝らせて欲しい。本当にすまなかった」

飛龍「今更謝ったところで私の心は晴れないよ」

提督「そうだな……だが、もうお前の前で蒼龍の名前は出さないと誓おう」

提督「それと、せめてもの罪滅ぼしだが……お前の言うことは何でも聞く」

飛龍「……何でも?」

提督「ああ、何でもだ」

飛龍「本当に何でもいいの?」

提督「言ってくれ、頼む」

飛龍「……ふふっ」

飛龍「うふふふっ。じゃーあー」


飛龍「提督は、これからずーっと私のもの」

飛龍「私の奴隷」

提督「ど、どれ……!?」

飛龍「何でも言うこと聞くんでしょ?」

提督「……分かった」

飛龍「やった♪ じゃあ奴隷さん? 早速」

飛龍「私の足、舐めて?」スッ

提督「あ、足を……」

飛龍「舐めて。ワンちゃんみたいに」

提督「……」ペロッ

提督「……」ペロペロ

飛龍「ん、あはっ……くすぐったい」

飛龍「いい子いい子♪」ナデナデ

提督「も、もういいか?」

飛龍「勝手に話さないこと」

提督「……」

飛龍「そうねー、じゃあ今から言うこと復唱して」

飛龍「私は飛龍の足を舐めるのが大好きです。とっても興奮します」

提督「!!」

飛龍「どうしたの? 早く言ってよ」

提督「……わ」

提督「私は飛龍の足を舐めるのが大好きです。とっても興奮します」

飛龍「あははは! ホントに言った! おかしい!」

提督「……」

飛龍「じゃあ、次はね」


飛龍「足からどんどん上に舐めていって」

提督「!」

飛龍「聞こえなかったの?」

提督「……」ペロッ

ペロペロ

飛龍「んん……そんな感じ……」ゾクゾク

飛龍「ふふ、あの提督が私の足を舐めてるなんて、他の艦娘が知ったらどうなるんだろう」

提督「……」ペロペロ

飛龍「そう……どんどん上に……」

提督「……」ピタッ

飛龍「なんで止まるの」

提督「……太腿もか」

飛龍「当たり前でしょ。どんどん上にって言ったじゃない」

提督「……」

提督(こ、これ以上いくと……マズいことにならないか)

飛龍「奴隷さん、何してるの」

飛龍「何でも言うこと聞くって、嘘なの?」

提督「……」

ペロッ

飛龍「きゃっ……それでいいのよ、ふふ」

提督(……飛龍には申し訳ないことをした)ペロペロ

提督(俺にできる精一杯のことをしたい。だが)ペロペロ


ピタッ


飛龍「また止まったね」

提督「……」

飛龍「ご主人様の命令が素直に聞けないのかなぁ、この奴隷さんは……」ハァ ハァ

提督「も……もう太腿は舐めた」

飛龍「見てたから分かるよ。早くして」ハァ ハァ

提督「太腿から上にもいくのか」

飛龍「しつこいなぁ。どんどん上に、これだけ守ればいいの」ハァ ハァ

提督「でもこれ以上は……これより上へ行くと……!」

飛龍「そうだよ……? 早く舐めて……提督……♡」ニコォ…

提督「っ……!」



満潮「みーつけた」



提督・飛龍「!?」

提督「み、満潮!?」

満潮「司令官……さっき私が言ったこと、疑ってるんでしょ?」

満潮「そんなにすぐ信じてもらえるはずないもんね。でもね」

満潮「これからの私を見てて欲しいの。どれだけ本気か分かってくれると思うから」

飛龍「……ごめん満潮ちゃん。今、ちょっと取り込み中なの」

飛龍「提督に用があるなら後にしてくれる?」

満潮「そうはいかないの。司令官の頭の中から、少しでも早く酷い私を追い出さないと」

満潮「飛龍さんこそ、邪魔だからどっか行って」

飛龍「は?」

提督「……」

提督(これは抜け出すチャンスか。しかし飛龍の命令を……)

提督(いや……この騒動が終わってから、もう一度謝って……そして償いをさせてもらおう……)


飛龍「邪魔なのは満潮ちゃんよ。提督と私の時間を奪わないで」

満潮「……」


提督(本当にすまない!)スタタタッ



――――


提督「空気が重く感じられるのは、ウイルスのせいなのか」

提督「……一刻も早くワクチンを入手しないとな」

提督「研究室までは、もう少しか?」



↓2「だーれだ」ササッ

提督「っ!?」

提督「その声は敷波か?」

敷波「お、当たり。声だけで分かるなんてすごいね」

提督「まあ艦娘たちと何年も一緒に過ごしていればな」

敷波「……そこは、艦娘たちじゃなくて敷波って言ってよ……」ボソッ

提督「ん?」

敷波「な、何でもない! そうだ司令官、今から用事ある?」

敷波「無いなら…」

提督「悪い、急いでるんだよ」

敷波「えっ」

提督(そんな悲しそうな顔をされると……)

提督「後じゃダメか」

敷波「うん」

提督(即答)

敷波「あのね、司令官のためにね」

敷波「クッキー……焼いたんだ」

提督「クッキー? それなら後でもいいんじゃないか?」

敷波「焼きたてを食べて欲しい」

提督「んー……すまん。一大事なんだ」

提督「焼きたてを食べて欲しいなら、また作ってくれると…」

敷波「初めて作った焼きたてを食べて欲しい」

提督「……」

敷波「ダメなの?」

提督「すまん」ペコリ

敷波「……ふん!」

敷波「いいよ、もう。好きにすれば」

敷波「焼いたの全部赤城さんにあげるし! もう作って上げないから!」プイッ

提督(……怒らせてしまったか。でもしょうがない)

提督「埋め合わせは、必ずする」ナデナデ

スタスタ

敷波「……」


ギュッ


敷波「待って」

提督「!」

敷波「今の嘘……司令官のために作ったのに、あげるわけないし」

敷波「美味しいって言ってくれるなら何度も作ってあげるから……だから一緒に来て」

提督「……」

提督(……少しくらいならいいか……しかし)

敷波「お願い」

提督「……よし」


提督「ちょっとだけだぞ」

敷波「!」

提督「どこで作ったんだ?」

敷波「食堂! はやくはやく! 冷めちゃうから!」グイグイ

提督(まあそうだよな……研究室が遠のくが……)


――――


敷波「どう? これ、司令官の顔の形なんだけど」

提督「上手いもんだな」

敷波「えっへん!」

提督「ふふ。で、どれも食べてもいいのか?」

敷波「もちろん!」

提督「じゃあ、俺の顔を模したクッキーを」

敷波「……」

提督「いただきます」パクッ

提督(ん? なんか違和感があるが)モグモグ

敷波「どう司令官、おいしい?」

提督「んん! とても美味し……い?」グラッ

提督(な……何だ……体に力が……)


ドサッ


敷波「あれ? どうしたの司令官、急に倒れちゃって」

提督(体が痺れて動かない!?)

提督「……敷波……ま、まさか……クッキーに……」

敷波「効果あったみたいだね、痺れ薬」ニコッ

提督「痺れ薬……? 何でそんなものを……」

敷波「何でって、司令官とイチャイチャするためだよ」

提督「イチャイチャ?」

敷波「だって、キスとか絶対にさせてくれないでしょ?」

敷波「それが痺れ薬を使えば……」

チュッ

提督「!」

敷波「……ちゅっ……ん」

敷波「ほら、こんな風に簡単にできるし」

提督「そ、それだけのために、こんな……」

敷波「え? キスだけじゃないよ?」

敷波「もっとすごいこと、するつもりだもん♪」

提督「なっ……!」

敷波「まずはー」

ギュッ

敷波「へへ……抱きついちゃえっ」

敷波「……心臓の音、とくとく鳴ってる……」

提督「……っ」

敷波「じゃ、服を脱がしてあげるね♡」

ヌギヌギ

提督(ダメだ……どれだけ頑張っても、指先が微かに動くだけ)

提督(逃げようにも逃げられない)

敷波「さっきから指がピクピクしてるけど」

敷波「それ、100パーセントの力なの?」

提督「……」

敷波「もしかして喋れなくなっちゃった? それは予想外……」

敷波「明石さんのとこから持ち出したのが間違いだったかなぁ」

敷波「お喋りはしたいのに……ちょうどいいのって無いのかな」

提督(明石が作ったのか。痺れ薬なんてどういう……あっ)

提督(そうだ! 榛名と霧島が喧嘩している場所は、この近くのはずだ)

提督(物音を立てれば、明石が不思議に思って探りに来るかもしれない!)

提督(何かないか、何か……)

敷波「あれ? ということは」

敷波「……あれも反応しないのかな……」ボソッ

提督(あった! このテーブルクロスを引っ張れば……!)

提督(ぐっ……!! くそ、全然上がらない。もっと死ぬ気で……)

敷波「……確かめてみよ」ポッ

カチャカチャ

提督(!? な、何してるんだ!!)

提督(チャックを……くっ、ヤバいぞこれ!)


グッ

敷波「あれ? 引っかかった」

提督(ナイス! 今のうちに!!)グググ

敷波「ふぬー! んんー! もう、面倒だなぁ」

敷波「……あっ、そうだ」


敷波「ベルトを外して、丸ごと脱がせればいいんだ♡」ニコッ…

提督(!!)


敷波「そのままジッとしててね、司令官♪」カチャカチャ

敷波「といっても動けないかー♡」カチャカチャ

提督(くそっ! 動け動け! 動いてくれぇ!!)グググ



敷波「よし、取れた!!」スッ

提督(……動い……た……!!)ガシッ

提督(あとは、これを引っ張れば!)

敷波「そーれーじゃーあー」

敷波「降ろしちゃえ!」スッ


ガシャーーーン!!


敷波「きゃっ!?」ビクッ

提督(よし)

敷波「食器が……! 司令官の仕業?」

提督(あとは、頼むぞ明石! 気づいてくれ!)

敷波「……司令官、まだ動けたんだね」


敷波「もっとクッキー、食べさせないと」

提督(!!)

敷波「一個じゃ足りない、もっともっと」

敷波「口に詰め込んであげるから、味わってね司令官♡」

提督「……!!」

敷波「はい、あーん……」



明石「誰かいるの?」

提督・敷波「!!」


明石「ん? 敷波ちゃん……そこで何してるの?」

敷波「い、いえ……お菓子を焼いてて……」

敷波(これが狙いだったのね! でも)

敷波「ちょっと食器を床に落としてしまったんです」

明石「大丈夫?」

敷波「はい! 一人で片付けますから!」

明石「ならいいけど……気をつけてね?」

敷波「はーい」

敷波(残念! ここからじゃ司令官は見えないし)

敷波(助けを呼ぶこともできない。全てが水の泡だよ)ニヤッ

提督「……」


提督「明石!」

敷波(えっ!?)


明石「提督?」

提督「助けてくれ! 体が痺れて動けないんだ!」

明石「体が痺れ……まさか、敷波ちゃん!?」

敷波「……なーんだ。喋れたんだ、司令官」

敷波「せっかく上手くいくと思ったのになぁ」

明石(……まだ感染してるのね)スタスタ

敷波「明石さん。この薬、どこまで痺れて動けなくなるのか書いといてくださいよ!」

明石「そんなものまで盗んで……全く」


プシュ

敷波「!」

ガクッ


提督「! その音は、ワクチンか?」

明石「ええ……大淀と会ったんですよ。少しワクチンを分けてもらいました」スタスタ

明石「榛名さんと比叡さんにも打って、喧嘩は収まりま……きゃあ!? 何でパンツ丸出しなんですか!?」

提督「!? 敷波の奴、結局降ろしたのか!」

提督「聞いてくれ明石、これは…」

明石「だ、大丈夫です。今なんとなく事情が掴めましたから」

提督(どうする。穿かせてくれなんて頼めないし)

提督「なあ明石、この痺れはどれだけ長引くんだ」

明石「……そうですね。5分くらいですよ」

提督「そんなに短いのか?」

明石「ええ、まだ試作段階なので」

提督「ということは、そろそろ……」

グッ グッ

提督「本当だ、少しずつ動かせるようになってきた」

明石「戻ったらすぐ穿いてくださいね」

提督「当たり前だ」

ここまでで
そろそろ終わる予定です

終わるってのは提督の命運的な意味で?

>>220
ヤンデレならありえる…
話的な意味です



――――


提督「ふぅ……一時はどうなることかと」

明石「研究室に向かったのに、何でここに?」

提督「敷波がクッキーを焼いてくれたんだよ。断ることができなかった」

明石「なるほど」

提督「というか、やっぱりデレデレウイルスは、感染力だけじゃなく症状も悪化してるみたいだぞ」

明石「はい……それは気づいてます。性欲も強まってヤンデレ化してますね」

提督「大丈夫なのか? ワクチンは効くんだろうな」

明石「敷波ちゃんは無事に眠ったので、起きてどうなるか。神のみぞ知るです」

提督「まだ分からないってことか」

提督「ところで、ワクチンはまだ手元に? あるなら分けて欲しい」

明石「すみません、今ので最後なんですよ。大淀が持っていた数も少なくて、もらったのは2本程度で……」

提督「その大淀は?」

明石「研究室に行きました。提督と同じでワクチンを入手するために」

提督「……果敢というか、頼もしいなあいつ」

提督「俺もまた行くよ。襲われてないか不安だ」

明石「襲われて危機に直面してた提督が言いますか」

提督「面目ない……でも誰かが行かないと。明石は?」

明石「比叡さんと榛名さんを看てますよ」

提督「そうか、頼むぞ」スタスタ


――――


提督「よし、敷波と会ったところまで戻って来たぞ」

提督「……静まり返ってるのが不気味だな。大淀はもう辿り着いたかな」


↓2「提督!!!!」ギュッ

提督「!!!!」ドキッ

提督「き、北上!? 脅かすなよ!」

北上「ふふふ、作戦成功」ニヤリ

提督「何の作戦だよ……」

北上「提督をびっくりさせる作戦だよ。いやー、面白いくらい体が跳ね上がったね」

提督「心臓もな」

北上「うんうん、大成功♪」

提督「……目的は何なんだ」

北上「そんなのイタズラに決まってるじゃん」クスクス

提督「イタズラ……」

提督(こいつはいつも通りだな)

北上「ねーねー、何してたの?」

提督「ん? ああ、ちょっとワクチンを取りにな」

北上「ワクチン?」

提督「今、鎮守府にはあるウイルスが蔓延してるんだ」

提督「それに感染した艦娘を治療するため、研究室にあるワクチンが必要なんだよ」

北上「ふーん……よく分かんないや」

提督「お前も感染してる可能性はあるんだぞ」

北上「どうでもいいよ、それよりさー」

北上「あたしと良いことしない?」

提督「……何だよ良いことって」

北上「エッチなこと」

提督「直球だな!」

北上「そう? もっと具体的に言うなら、提督の…」

提督「言うな。それはいけない北上」

北上「? 変な提督」

提督(お前が言うか)

北上「今、お前が言うなって思ったでしょ」

提督「えっ」

北上「んー……だよねぇ。なんかさ、あたし変なのよ」

北上「いつもなら冗談で済ますんだけど、これ本気だからね」

提督「……」

北上「こういう誘いを平気でするのって、ふしだらでしょ」

北上「曲がりなりにも女だし、節操を持った方がいいんだろうけど」

北上「でもそんなのどうでもいいっていうか……」ギュッ

提督「!」

北上「とにかく、提督と一緒になりたいって気持ちが溢れて来て、止まらないの」

提督「……」

提督(感染してる。しかもこれは……)

北上「こうやって抱きついて、提督の匂いを嗅いでるだけでね」クンクン

北上「すごく幸せな気持ちになる」

北上「どんな変態だって話だよね」フフッ

提督「……」

北上「今なら大井っちの気持ち……分かるかも」

北上「……提督」


北上「ダメ?」

提督「……」


提督(飛龍の時にようやく気づいたんだが、俺はウイルスを消し去ることに必死になりすぎて)

提督(艦娘の気持ちを蔑ろにしすぎていたのかもしれない)

提督(ウイルスに感染したにせよ、これは艦娘たちの本音なんだ)

提督(だったら無視をせず、気持ちに応えてやってから、ワクチンを取りに行ってもいいんじゃないか)

提督(……と思ったんだが)

提督(しかし一方で、ウイルスに感染したから行き過ぎた行動に走る場合もあるわけで)

提督(両者とも納得のいく落としどころを見つけるのが最善策なんだろう)

提督(……上手くいくかは分からないが)

北上「あたしと一線越えてみないかい?」

北上「って、冗談っぽくも言ってみたり」

提督「なあ、北上」

北上「?」


提督「キスじゃダメか」

北上「……え?」


提督「すまん、まずお前の誘いに返事をしよう」

提督「そういう行為はできない」

北上「……」

提督「けどな、キスとか抱きしめるとかはできる。いや、しよう」

提督「違う、させてくれ! 俺はお前を抱きしめてキスがしたいんだ!」

北上「……」

提督(我ながら何を言ってるんだ)

北上「抱きしめてキスはしたいのに、エッチはできないの?」

提督「……ああ」

北上「つまり、あたしのこと都合のいい女みたいに捉えてるんだ」

提督「っ!?」

提督(そ、そうなるのか……しまった……)

提督「言い方が悪かったよ! 俺は…」

北上「あれ?」

北上「あれって何だろう、ほら」

提督「へ?」

北上「提督の後ろ。あれがワクチン?」

提督(ワクチンだと!)

提督「どこだ!?」クルッ

北上「……」ガサゴソ


ガチャッ


提督「え……」

提督「な、何だ。足首に何かが」

提督「……手錠?」ジャラッ

ガチャッ

提督「!? て、手首にも」

北上「提督さー、それでも軍人? 簡単に騙されちゃって」

提督「北上、これは……!」

北上「拒否された時の最終手段だよ」

北上「そして足を引っ張れば……えいっ」グイッ

ドサッ

提督「ぐっ!?」

北上「あ、ごめん。まともに受身取れなかったね」

北上「でも……これで準備は整ったね♡」ニヤリ…

提督「何をする気だ」

北上「そんなの分かりきってるでしょ?」

北上「あたし、提督と一つになりたいんだよ。キスなんかじゃ物足りない」

提督「……俺の意思は無視してもいいのか」

北上「大丈夫。今は乗り気じゃなくても、あたしがその気にさせてあげる」

北上「で、そのうちあたしじゃないと満足できない体にしてあげるから♡」ニコッ…

提督「っ……!」ゾクッ

提督(説得は無理だった……いや、仕方が間違ってたのか)

提督(何にしても、また身動きができない状況に!)グググ

北上「手錠を力ずくで? 無理だと思うけどなー」

北上「さてと」ヌギヌギ

スー…

提督「!!」

北上「スカート穿いたままパンツ下ろすの、ドキドキするでしょ」フフッ

北上「かーらーのー」

北上「はい、プレゼント♡」スッ

提督「なっ……!」

北上「あはははっ、頭にパンツ被った提督おもしろーい!」

北上「写真撮ろっと。はい笑顔ー」

提督「待て、やめっ」

パシャッ

北上「うん、なかなか良いね」

提督「……」

北上「じゃあ始めよっか。まずは提督を……」

提督「くっ!」グイッ グイッ

北上「……必死だねぇ。イモムシみたいに床を這ってさ」

北上「そんなにあたしとするのが嫌だなんて、傷つくなー」

ノシッ

提督「うっ!」

北上「のしかかっちゃえば、もう逃げられないよね♡」

提督「……違う」

北上「は? 何が?」

提督「お前とするのが嫌だとか、そういう問題じゃないんだよ」

北上「意味分かんないよ……もう、ガムテープも持ってこればよかった」

北上「そうすれば口封じもできて、興奮する…」


提督「俺はお前を大切にしたいんだ」

北上「!」


提督「だから、こんなことをするのはやめて欲しいんだ」

提督「頼む。手錠を外してくれ」

北上「……嫌」

提督「北上!」

北上「それよりさ提督。スカートの中、見たくない?」

北上「見たいでしょ。男だもん、見たいに決まってるよね?」

提督「……やめてくれ」

北上「いいよ♡ 提督にだけ見せてあげる」

北上「あたしは提督のもの、提督はあたしのものだから。ね?」スー…

提督「……!」



プシュッ

北上「!!」

ガクッ



提督「……?」

???「こっちに来て正解でしたよ、提督」

提督「お……大淀!」

大淀「はぁ、こんな場所で性行為を始めようとするなんて、とんでもないですね」

提督「それはウイルスのせいで……」

大淀「知ってます、私もウイルスに対して言ったんですよ」

すみません、一旦休憩します

大淀「待っててください、手錠外しますね」

提督「その前に頭のパンツを頼む」

大淀「あ、はい」スッ

提督「鍵は北上が持ってると思うが」

大淀「……はい、ありました」

カチャカチャ

ガチャッ

提督「助かったよ」

大淀「偶然ここを通らなかったら、モザイク処理がかかるようなことされてましたね」

提督「感謝する。ところで明石に聞いたんだが」

提督「もうワクチンは入手できたのか」

大淀「いえ、まだですよ。他の艦娘に追い掛け回されてたところでして」

提督「追い掛け回された?」

大淀「ええ……誰かは言いませんけど」

大淀「このウイルス、どうやらライクをラブに変えてしまう力も持ってるみたいです」

提督「……厄介だな」

提督「で、ワクチンの本数は? あと何本だ」

大淀「北上さんに使ったので最後でした」

大淀「できれば研究室に行くまで、とっておきたかったんですけどね」

提督「そうなのか。それはすまないことを……」

大淀「仕方ないですよ。では、一緒に行きましょうか」

提督「? 一緒にか」

大淀「はい。またどっちかが襲われたら、2人がかりで逃げられるじゃないですか」

北上「zzz……zzz……」

提督「……いや」

提督「大淀、お前は北上を連れて診察室で待機しててくれ」

提督「北上に好意を寄せる艦娘が来たら、大変なことになる」

大淀「……確かにそうですね」

大淀「けど提督が1人になってしまいますよ?」

提督「任せてくれ。必ずワクチンを持って帰ってくるから」

大淀「北上さんに、いい様にされたのに大丈夫ですか?」

提督(明石の時とダブるな)

提督「大丈夫だよ。もし捕まっても自力で何とかする」

大淀「大前提で捕まらないでくださいよ」

提督「もちろんだ」


――――


提督(……とは言ったものの)

↓2「提督♡」

提督(不安になってきた。有言実行できるといいが)

提督「朝雲、聞いてくれないか」

提督「俺に頼みたいこととかある……んだよな?」

朝雲「なんで分かったの?」

提督「経験だ」

朝雲「経験?」

提督「何でもない。で、どんな頼みなんだ」

朝雲「うん……言いにくいんだけど、ね」


朝雲「キス、してみたいの」

提督「……」


朝雲「か、勘違いしないでよ? 司令とキスしたいわけじゃなくて」

朝雲「テレビでキスシーンやってて、どんな感じなんだろうなぁって気になっただけで」モゾモジ

提督(気になっただけで、キスなんて求めるか普通)

朝雲「まあ、嫌なら嫌でいいけどさ」プイッ

提督(嫌かどうかで返事を求めるか。言いにくいな)

朝雲「どうなの? 私とキスするの嫌?」

提督「ちなみに口か」

朝雲「そうよ。10秒以内に答えないと、私が勝手に決めるからね」

朝雲「10987654…」

提督(早っ!!)

提督「嫌じゃない!」

朝雲「……ほ、ホントに?」ドキドキ

提督「ああ、嫌じゃない、が」

提督「どうしても口じゃないとダメか?」

朝雲「うん」

提督「……よし」

提督「来い」

朝雲「! いいの?」

提督「ああ」

提督(口にキスなんて今更だ、いくらでもしよう)

朝雲「ありがとう。でも、あの……」

朝雲「できれば……司令から来て欲しいな」モジモジ

提督「俺から?」

朝雲「そう。私に詰め寄って、壁ドンして」

朝雲「耳元で『俺色に染めてやるよ』って囁いた後に……そっとキスして?」

提督「……」

提督(これは違う意味で恥ずかしい)

提督(だが、今までに比べたらお安い御用の注文だぞ)

提督「よし行くぞ。壁を背にしてくれ」

朝雲「う、うん」

提督「コホン……」

提督「……」ジリジリ

朝雲「……っ」ドキドキ

ドンッ

朝雲「きゃ♡」

提督「……」



提督「俺色に染めてやるよ」ボソッ

朝雲「!!」キュンッ


チュッ

提督「……こ、こんな感じでどうだ」カァァ

朝雲「へ……へへへ……」ニヤニヤ

朝雲「はっ! ま、まあまあね。及第点よ」

提督「そうか、それは良かった」ホッ

提督「じゃあ、俺はもう行くよ。実は用があってな」スタスタ

朝雲「……♡」


ギュッ


提督「朝雲?」

朝雲「……司令」

朝雲「もうちょっとだけ、私と一緒にいて……?」

提督「……」

提督(これはマズい方向に向かってるのか)

朝雲「お願い」

提督「そうしてやりたいのは山々なんだが」

朝雲「ダメなの?」

提督「ダメじゃないよ。ただ、俺も行かなきゃならない場所があって」

朝雲「行かなくていいわ。私と一緒に過ごして?」

提督(何だ……急に積極的に。まさかとは思うが)

提督(今のキスで、朝雲の中の好意が膨らんだ?)

朝雲「司令、お願い♡ もし私と居てくれるなら……」

朝雲「司令の望むようなこと、何でもしてあげるから♡」ニコッ…

提督「!」

提督(目から光が消えていく!? これは……!)

朝雲「何でもいいの、何でも。司令のしたいこと、やりたいこと」

朝雲「私、何でも受け入れるから」

朝雲「ね♡ ね♡ お願い♡」

提督「……っ!!」


提督「すまん朝雲!」スタタタッ

朝雲「あっ」


朝雲「……私の思い、足りなかったのかなぁ?」



――――


提督「な、なるほど……元々の好意を上げてしまったら」

提督「それだけウイルスも反応するのか……」

↓2「提督」

提督(!? 油断していた!)

提督(今度は潮か)

潮「汗をいっぱいかいてますけど、具合が悪いんですか?」

提督「いや、そんなことはないよ」

潮「そうですか……」

提督「……」

潮「……」

提督「何かお願いがあるのか」

潮「えっ。すごい……どうしてそれを?」

提督(だよな)

提督「何となくだよ。言ってみてくれ」

潮「はい。実は……」

潮「ずっと前から、龍驤さんからの視線が痛いんです」

提督「……は?」

潮「な、何というか……グラウンドでトレーニングしてる時とか」

潮「ご飯食べてる時とかもそうですけど、潮の胸ばっかり見てきて」

潮「やらしいんです」

提督「……」

提督(これは普通の相談じゃないか)

提督「それで?」

潮「提督から注意していただけないでしょうか」

潮「もう潮を性的な目で見るのはやめてくれって」

提督「……あー、何というかな」

提督「あいつは別に、お前を性対象として見てるわけじゃないと思うぞ」

潮「そうなんですか?」

潮「じゃあ何で」

提督「それは触れないでやってくれ」

提督「ただハッキリ言えるのは、下心はこれっぽっちもない」

潮「そうなんですか……よかった」

提督「一応龍驤にも言っておくよ、あまりジロジロ見るなって」

潮「はい、ありがとうございます」ペコリ

提督(これで解決か? よかった)

潮「……でも」


潮「やっぱり提督は頼りになります」ギュッ

提督「……」

潮「いつも潮の相談に乗ってくれて。力になってくれて」

潮「潮……提督のこと、大好きです……♡」

提督「……」

提督(まあ、こうなるな)

前のリンク貼ってほしい…

潮「潮……提督になら……」

潮「性的な目で見られても、嫌じゃないですよ」

潮「むしろ……♡」ポッ

提督「……」

潮「提督になら、潮……」

潮「何されても喜ぶと思いますし」モジモジ

提督「な、なあ潮? もうお願いは終わったんだよな?」

提督「実は研究室に向かわないといけなくて……」

潮「……お願い」


潮「終わってないです」

提督「え」

潮「……」

>>269
【艦これ安価】提督「デレデレウイルスが漏洩した?」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1490785898/)

貼れたでしょうか…

貼れてないですね
すみません、後ほど…

潮「提督」


潮「潮の胸、触ってください」

提督「!?」


提督「……何だって?」

潮「お、男の人は、女の子の胸が大好きですよね」

提督「人によるとは思うがな」

潮「提督も、大好きですか?」

提督(好きならまだしも)

提督「好きか嫌いかで言えば、好きだ」

潮「触りたいですよね?」

提督「……」

潮「潮は触って欲しいです。提督に喜んでもらいたいです」

提督「……」

潮「どうぞ」ポヨン

提督「……触れば、もうお願いは終わりなんだな」

潮「はい」

提督「……」


モニュン

潮「んっ」

提督「……これでいいか」

潮「だめです。提督、喜んでません」

提督「よ、喜んでるぞ」

潮「それ苦笑いじゃないですか。予想してたのと違います」

潮「もしかして提督、胸は好きじゃないんですか?」

提督「好きだよ。ただ……」

提督(悪い気持ちが先行してしまうんだよな)

潮「?」

潮「とにかく、好きならもっと感情をあらわにすべきです」

提督「分かったよ」

潮「もう1回どうぞ」ポヨン

提督「……」


ムニュン

潮「あっ」

提督「……」ニコニコ

潮「ふふ……提督、やらしい笑顔です」

提督「お、お前がしろと言ったんだろう」

潮「そうですね。でも……」


潮「そんな提督も大好きです♡」ガシッ

提督(!? て、手を……!)

ムニュムニュ

潮「あっ……はぁ……」

提督「潮、何をしてるんだお前!」

提督(無理やり動かして、胸を……!)

潮「提督……大好き♡」ムニュムニュ

潮「潮のこと、もっといじめて? はぁ、はぁ……乱暴にして……」ムニュムニュ

提督「や、やめろ潮!」ササッ

潮「ああ……嫌です提督」

潮「もっと、もっともっともっともっと、潮を好きにしてください」ギュッ

潮「胸じゃないところも触って欲しいです。たくさん触ってください、お願いします」

潮「お願いします、提督……♡」ニコッ…

提督(またまたこうなるのか!)

提督(でも拘束されるわけにはいかないんだ)

提督「放してくて潮!」グイグイ

潮「じゃあもっと潮を触ってくれますか?」

提督「……よ、よし!」

提督「お前がそう言うなら触るよ! だから放してくれ!」

潮「ホントですか? 分かりました」スッ

提督「……」

潮「さあ提督、どうぞ? 潮のこと可愛がってください♡」

提督「……すまん」


提督「許せっ!!」スタタタッ

潮「!!」


潮「……提督のウソつき……」ボソッ

潮「でも……こうやってあしらわれるのも……♡」ポッ


――――


提督「け、研究室はそろそろか……?」ハァ ハァ

提督「確かあの角を曲がれば……」

提督「!」


↓2「……」スタスタ

提督「あいつか……見つからないように慎重に進もう」

ここまでにします
多分次で終われると思います

【艦これ安価】提督「デレデレウイルスが漏洩した?」
【艦これ安価】提督「デレデレウイルスが漏洩した?」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1490785898/)

貼れたのかな
もしよければ見てください

これコンマ判定も入れるなら絶対感染してる前提じゃなく低確率で未感染も入れた方が良かったと思うんだよね

>>287
確かに…そうすれば良かったです

ガタッ

提督(しまっ……!)

吹雪「? 司令官、何でこんな場所に?」

提督「はは……研究室に忘れ物をしてな」

提督「取りに行くところだったんだよ」

吹雪「ひょっとして、お仕事ですか? 頑張りすぎは良くないですよ」

提督「休憩はちゃんとしてるから大丈夫だ」

吹雪「とか言って、この前熱を出して倒れたじゃないですか」

提督「あれは風邪を引いただけだよ」

吹雪「免疫力が弱まったからじゃないんですか」

吹雪「……まあいいです。私も協力しますよ」

提督「え?」

吹雪「たまには頼ってください。何をすればいいですか?」

提督「いや、いいって。俺1人で片付けられるから」

吹雪「はぁ……そうやっていつも1人で抱え込んで」スタスタ

ギュッ

提督「!」

吹雪「わ、私は司令官と1番長くお付き合いしてる艦娘ですし」

吹雪「昔みたいに、私に泣きついてもいいんですよ……?」

提督「いつ俺がお前に泣きついたんだ……」

吹雪「さ、何でも言いつけてください。期待に応えますから」

提督(聞いてないな)

提督(ここで吹雪と協力して、ワクチンを取りに行くのもありか?)

提督(だが、初霜を治療しようとした時、ワクチンを見て嫌がったのが引っかかる)

提督(急に注射器を見せられて怖がっただけなのか。それとも)

提督(ウイルスが拒絶反応を起こしたのか)

吹雪「黙ってないで、何とか言ってくださいよー」

提督「……悪い、吹雪。やっぱり1人で大丈夫だから」

提督「心配してくれてありがとう」

吹雪「……」

提督(もし後者だったら、ワクチンを見た途端に壊してしまうかもしれない)

提督(その可能性を考えて、感染してる誰かと協力するのはやめた方がいい)

吹雪「……そんな」


吹雪「そんなこと、言わないでください」

提督「……?」


吹雪「私、絶対に司令官のお役に立ちますから」

吹雪「お役に立てる自信があるんですっ! だから申し付けてください!」

提督「ふ、吹雪?」

吹雪「どうしてですか? どうして前みたいに私を……!」

吹雪「わ、私を、頼って……くれないんですか」ポロポロ

吹雪「私のこと、嫌いになったんですか? 一緒にいたくないんですか?」グスッ

提督「何も泣かなくても……お前を嫌いになんてならないよ。大好きだし、鎮守府で1番信頼してるさ」ナデナデ

吹雪「ホントですか?」グスン

提督「ああ」

吹雪「じゃあ何で最近、秘書艦にしてくれないんですか」

提督「吹雪も羽を伸ばしたいだろうと思ってな。ずっと秘書艦をしてくれて、疲れただろう」

吹雪「疲れませんよ! 司令官の側にいるだけで元気になります!」

提督「そ、そうなのか。ありがとう」

吹雪「秘書艦は、私の場所なんです。司令官の1番近くにいられる……心安らぐ場所」

吹雪「それなのに、それなのに、あの人が……」


吹雪「……ああ……そっか、分かった……」

提督「ふ……吹雪?」

吹雪「金剛さんですね」

提督「え」

吹雪「私を大好きって言ってくれた司令官が、私を遠ざけるわけないもん」

吹雪「金剛さんが司令官を脅して、秘書艦の座を奪い取ったんだ」

提督「何を言ってるんだ。金剛はそんなことしてないぞ」

吹雪「じゃあ色気ですか? 色気で司令官をたぶらかしたんでしょう」

吹雪「許さない。司令官と私を引き離すなんて、絶対に許せない」

提督「違う! 金剛はお前を気遣って…」

吹雪「というか、司令官も司令官ですよ」

吹雪「色気にあっさり負けてしまうような精神力で、司令官が務まるんですか!?」

提督「いや、だからな……」

吹雪「あ……ご、ごめんなさいっ!」ペコリ

吹雪「私、感情に身を任せて酷いことを……!」

提督「……」

吹雪「そうですよね。司令官は司令官である前に、1人の男性です」

吹雪「女性の体に興味を持つのは当然ですよね?」

提督「いいか吹雪、俺は…」

吹雪「司令官」


吹雪「私じゃ……物足りませんか……?」

提督「は?」


吹雪「戦艦みたいな良い体じゃないですけど」

吹雪「く、駆逐艦には駆逐艦の良さがあると思うんです」

吹雪「私、頑張りますから……金剛さんよりも、司令官の欲望を満たせるようたくさん努力しますから……♡」ヌギ

提督(もうこれは……説得できるような状態じゃないぞ)

吹雪「司令官……私を、抱いてください」ハァ ハァ

吹雪「司令官の……司令官好みの女性になります。私に色んなこと教えてください……♡」ハァ ハァ

提督「ふ、吹雪……」


提督「後で必ず治してやるからなっ!」スタタタッ

吹雪「!」


ガシッ


提督「!?」

吹雪「どこへ行くんですか」

吹雪「まさか……金剛さんのところ?」ゴゴゴゴ

提督「ち、違う! さっき言っただろ!」ブンッ


スタタタタッ


吹雪「……研究室?」

提督「よし、この角を曲がれば!」

提督「!? まだ通路? ここじゃなかったか……いや、こっちで間違いない!」

スタタタッ


――――


提督「あった! 研究室だ!」

ガチャッ バタンッ

提督「鍵をかけて……ひとまず安心だ」フゥ…


↓2「何が?」

提督「!?!?」

大井「何が安心なんですか?」

提督「大井!? 何でここに……」

大井「居ちゃマズいんですか」

提督「そ、そういうわけじゃないが……驚いたよ」

提督「研究室に用が?」

大井「ええ、まあ……明石さんに貸したものを返してもらおうと思って」

提督「何を貸したんだ?」

大井「そこまで言う必要はないと思うんですけど」

提督「……そうだな、すまん」

提督(この反応、大井は感染してない?)

大井「提督こそ必死になってここに入って来ましたけど」

大井「何ですか? 猛獣にでも襲われてるんですか?」

提督(それに近い恐怖感はあるかもしれない)

提督「そんなわけあるか。探し物だよ」

大井「女性の部屋に入って探し物……まさか下着を…」

提督「何でそうなるんだ。というかここは鎮守府の施設だろう、明石の私物なんてあるはずない」

大井「ありますよ。あの人、開発か何かに没頭してて、ほとんどここで生活してるようなもんですし」

提督「……マジか」

大井「下着もそこの棚の中にあります」

提督(あ、あいつ)

大井「まさか確認なんてしませんよね」

提督「しない! ある物を見つけたらすぐ出て行く」スタスタ

提督(帰ったら説教だな。さて、ワクチンの箱は……)

提督(あった! あれか?)スタスタ

大井「……」

パカッ

提督(? 注射器のみ? でもこれ以外にそれらしい物は……)

大井「あれですよ」

提督「!!?」ビクッ

提督「お、お前……いつの間に後ろに……」

大井「提督が探してるもの、あれだと思います」スッ

提督「え? あれって、ドリンクバーの機械みたいなやつか」

大井「はい」

提督「……あのな。俺は喉は乾いてないし、大体お前、俺が何を探してるか知らないだろ」

大井「ワクチンですよね」

提督「ああそうだ、ワクチ…」


提督「!?」

大井「ふふ、正解ですか?」

提督「どうしてそれを……!」

大井「聞いてたんです、全部」

提督「……?」

大井「明石さんと提督の会話を。だから、ここで待ち伏せしてれば」

大井「提督は必ずやってくるって、確信してました」

提督「……感染してるのか」

大井「見れば分かるでしょう?」ギュッ

提督「……」

提督(最後の最後でこうなるとはな)

提督(何とかして、あのワクチン製造機を……)

大井「ちなみに」

大井「あのドリンクバーを動かすには、私が持ってる鍵が必要ですよ」

提督「……お前が持ってるんだな?」

大井「正確に言えば、私がある場所に隠しました」

大井「提督が見つけられないような場所ですよ」フフ

提督「……」

大井「探すのはオススメしません、明日になってしまいますから」

大井「あの機械も、壊してしまったらワクチンが台無しになってしまうことくらい分かりますよね」

提督「……どうすればいい」

大井「うふふ、物分りが良いですね♡」

大井「そうですね。今から私の言うこと聞いてくれたら、大人しく鍵を返します」

提督「……」

提督「よし、約束だぞ」

大井「ええ……それじゃあ、まず」

提督(まず?)


大井「キスしてください」

提督「……分かった」


チュッ


大井「ん……ちゃんと口にしてくれましたね」

大井「色んな艦娘とキスしてきたんですから、こんなの朝飯前ですか?」

提督「まさか、見てたのか」

大井「全部じゃないですけどね。どれだけ気持ちを堪えるのに必死だったか」

大井「……北上さんの時は、ずっと見てました」

提督「!」

大井「すごく驚きました。北上さん、いつもは提督にヘラヘラしてるのに」

大井「あんな大胆な事するなんて」

提督「ウイルスのせいだ」

大井「ですね。でも提督を好いている気持ちは偽りじゃないですよね」

大井「正直、事が始まったら乱入するつもりでしたけど、非常に残念ながら大淀さんが来てしまって」

提督(本当にありがとう大淀)

大井「でも今からひとり占めできるのでいいです♪ 北上さんには悪いですけど」

大井「さて、次は……私の服を脱がしてください」

提督「!?」

大井「はやく♡」ニコッ…

提督「……」

ヌギヌギ

パサッ

大井「ふふ」

提督「……」ヌギヌギ

提督「……!」ピクッ

大井「どうしたんですか?」

提督「……いや、大井の肌に見とれてしまったんだ」

大井「何ですか急に」

提督「本当のことだよ。綺麗だ」

大井「……ありがとうござます」

大井「この下着はどうですか? 提督が好きそうなものを買ったんですけど」

提督「すごく良いよ」

大井「ふふっ、我慢できなくなっても『待て』ですからね♡」

大井「それじゃあ、この下着も脱がしてください」

提督「……」

大井「どうしました? 手が止まってますよ」

提督「……」

大井「……提督……まさか……」

提督「すまん大井」

ササッ

大井「っ!?」

大井「……提督。私の服、返してもらえますか」

提督「そうはいかない」

大井「もしかして本当に女性の衣服を集める趣味を? 変態ですね」

提督「必死だな。やっぱり、さっき服を脱がした時に感じた違和感は……」ガサゴソ


提督「これか」キラーン

大井「……」

提督「ワクチンの鍵だろう。どこかに隠したなんて言って、自分の服に忍ばせていたとは」

提督「見事に意表を突かれたよ。ただ、俺に服を脱がせたのが間違いだったな」

大井「……なるほど」

大井「つまり」

大井「つまり提督のさっきの言葉は、取り繕いだったんですね」

提督「?」

大井「肌が綺麗だとか、見とれてしまったとか」

提督「いや、それは本音だ」

大井「嘘つき」ユラァ…

提督(!! め、目から光が……)

提督「嘘じゃない! 正真正銘、心からの言葉だ!」

大井「私の気持ちを踏みにじるなんて……少しでも喜んだのが馬鹿みたいじゃないですか」スッ

提督(包丁!? 一体どこから?)

提督「聞いてくれ大井。早くしないと、診察室で待ってる明石たちのもとに」

提督「感染した艦娘たちがやってくるかもしれないんだ」

提督「だから、あまり長居はできなくて……」

大井「そんなことどうでもいいです」

大井「問題なのは、提督が嘘を吐いたということ!」スタタッ

ヒュンッ

提督「危っ……!?」

提督「ほ、包丁を置いてくれ! 嘘じゃないと言ってるだろう!」

大井「嘘つき嘘つき嘘つき」ブツブツ

提督(聞こえていない!? くっ……誤解させてしまったままだが……仕方ないか)

提督(注射器にワクチンを入れて、打つしか……!)スタタッ

大井「逃がしません」ヒュンッ

提督「うっ!?」スパッ

提督(か、間一髪……。まずは注射器だ! そして、ワクチンを!)ガシッ

スタタタッ

大井「嘘つき嘘つき嘘つき……!」ヒュンヒュン

提督「ど、どこに鍵を差せばいいんだ……ここか?」カチャッ

提督「よし! ビーカーに液を入れて……」ウィーン

提督「そして注射器に……!」



ドスッ



提督「ぐっ……ぅ……!?」

大井「……あ」

大井「あ、ああ……わ……わた、し……何をして……!」

提督(せ、背中が……)ジワァ…

大井「ごめんなさい……ごめんなさい、ごめんなさい……」

大井「提督にこんなことして、最低……死んだ方がいいわ、私……!」ポロポロ

提督「は? な、何を言って……」

大井「包丁、包丁は? ハサミでもいいわ、鋭利なものを」キョロキョロ



ギュッ

大井「!」

提督「落ち着け大井、俺は大丈夫だから」ナデナデ

大井「て……提督……?」

提督「少しは落ち着いてくれたか。良かった……改めて言うけど、」

提督「お前に言ったこと、全部本当だよ」

大井「え……」

提督「肌も綺麗で見とれてしまった。それに」

提督「恐らくこれはセクハラに該当する発言だろうが……少し起立した」

大井「……?」

提督「下半身の辺りが」

大井「……な」

大井「なっ……!?」カァァ

提督「そ、そういうことだ。証拠を見せようものなら、大変なことになるからできないけど」

大井「……いえ」

提督「?」

大井「う……嬉しい、です……とっても」ポッ

大井「何なら見せてもらいたいくらい……♡」

提督「……」


プシュッ

大井「あっ♡」

ガクッ


提督「……痛てて」

提督「背中、どうなってるんだ……傷口は浅いといいが……」

提督「ふー……よし……」

ズボッ

提督「ッ!!」

提督「はぁ、はぁ……ほ、包帯は無いか……?」

提督「あった、救急箱」パカッ

提督「軍服を脱ぎ、大井に被せて……包帯を巻いて……」

提督「注射器1本ずつにワクチンを入れて……診察室へ……」



ドンッ



提督「!?」

吹雪『司令官……怪我をしてるんですか?』

吹雪『大変、早く治療しないと……ここを開けてください』ドンドン

提督(吹雪、やっぱりついて来たか)

提督(こっちこそ治療してやりたいが……ん?)


ドンッ


潮『提督、血が出てるじゃないですか』

潮『潮が治して、介抱してあげます。出てきてください』


提督「……!!」


飛龍『いなくなったと思ったら、こんなとこにいたんだ』


ドンドン


満潮『司令官、私が傷口を舐めてあげる。早く良くなるおまじない♡』

朝雲『ここを開けて、司令。ねえ♡』

吹雪『私を使ってください? きっと役に立ちます』


ドンドンドンドン


潮『お願い』

飛龍『開けてよ』


ドンドンドンドンドンドンドン



満潮『司令官♡』

飛龍『提督♡』

朝雲『司令♡』

潮『提督♡』

吹雪『司令官♡』



ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン

提督(ガ……ガラス張りの壁一面に……5人が張り付いて……!)

提督「あいつらは後で治療しよう……出て行ったら、また違う赤を見そうだ」

提督「確かここは、避難経路で外に繋がる道があったな。そこから出よう」



――――


明石「……」

大淀「提督、遅いわね」

明石「やっぱり私もついていけばよかったなぁ」

明石「今頃感染した艦娘に食べられてたりして」

大淀「2回も捕まったんだし、可能性は充分あるわね」


ガチャッ


提督「安心してくれ、無事に帰ってきたから」

明石・大淀「!!」

明石「提督!」

大淀「ワクチンは?」

提督「研究室にあった注射器に詰めて来たぞ。あとどれだけ感染してる艦娘がいるか分からないが」

提督「今眠ってる艦娘にも手伝ってもらえば、大丈夫だろう」

大淀「そうですね……ん?」

大淀「て、提督!? なんかシャツに血がついてませんか!?」

提督「ああ……ちょっとな」

明石「ま、まさかヤンデレ化した艦娘に?」

提督「誰かは聞かないでくれ」

大淀「と、とにかく治療しますね!」

明石「私もついて行けば良かったですね、すみません!」

提督「いいよ。お前にはお前の役割があっただろ」

嵐「……ん? あれ、なんで俺ここに……」

提督「!」

提督(ようやく嵐が起きた。ということは、他の艦娘もそろそろ)

提督「聞いてくれ嵐、話はあるんだ」

嵐「?」



――――――

――――

――



コンコン

提督「どうぞ」

明石「失礼します」ガチャッ

吹雪「明石さん、司令官に何か用事が?」

提督「はい。あの……席を外してもらないかな」

吹雪「? いいですけど」

明石「ごめんね!」

>>321
提督が喋ってる…明石に変換をお願いします

バタンッ

明石「……秘書艦、吹雪ちゃんに戻したんですか」

提督「ああ、とても助かってるよ」

明石「働き者ですからねぇ」

提督「で、何だ?」

明石「はい……先日の騒動について、もう一度謝罪したいと思いまして」

提督「何度目だ。同じ過ちをしなければいいと言っただろう」

明石「でも、提督に怪我をさせてしまいましたし」

明石「本当にすみませんでした!!」ペコリ

提督「気にしなくてもいいのに。分かった、許そう」

明石「ははあ!」

提督(許したのも何度目か分からん)

提督「ところで、もうウイルスは除去したんだな?」

明石「は、はい! 綺麗さっぱり。もうあんなの研究しません」

提督「そうしてくれ」

明石「……あの」

提督「?」

明石「その、ですね? 実は嘘なんです」

提督「何が」


明石「ウイルスが入ってたビンが、一本見当たらないんですよねー」アハハー

提督「……はあ!?」ガタッ


明石「あ、でも! 一本だけじゃ空気感染までは及ばないと思いますし」

明石「まあ直に嗅げば、1人くらい感染しちゃうかもなー、みたいな感じなんで!」

提督「探せ」

明石「えっ」

提督「早く探し出せ! 何が起こるか分からんだろ!」

明石「は、はい! ですよね、失礼しました!」

提督「……はぁ。やれやれ……」



――――――

――――

――


夕張「……ふっふっふ」

夕張「明石さんが偶然完成させた、このデレデレウイルス」

夕張「盗んできちゃった! てへっ☆」

夕張「だってこんな面白そうなもの、研究しないわけにはいかないでしょ!」

夕張「さーて、まずは徹底的に調べてから……」


ツルッ


夕張「あ」



ガシャーンッ




おわり

続きそうな終わり方ですが、たぶん続きません…

お付き合いありがとうございました!
安価じゃなく、リクエスト方式でやれば良かったかもしれない

依頼出してきます

おつでした。面白かったよ
提督の本命がいたのかいないのか

ハーレムって夢だけど、精力回復用入渠施設でもないと提督死んじゃうよね

>>328
しまった、それ書くの忘れてた…
少し続きます


――――

明石「ところで提督」

提督「何だ」

明石「デレデレウイルスで、色んな艦娘から好意を向けられてるって分かりましたよね」

明石「誰か選ばないんですか? ケッコンカッコガチしないんですか?」ニヤニヤ

提督「……そうだな」

提督「何というか、俺は艦娘のことを家族と思ってるんだ」

明石「……」

提督「だから、仮に告白されても断るだろうな」

提督「そういう目で見ることはできないと」

明石「……なるほど」


明石「覚悟した方がいいですよ提督」

提督「?」

明石「残念ながらこの鎮守府の艦娘、打ちのめされても這い上がってきますから」

明石「提督が誰か1人を決めるまでアタックし続けると思います」

提督「断ってるのにか?」

明石「だって、家族と思ってるなんて言われたら諦めきれないですよ」

明石「家族の壁を越えて結ばれたい! と思いますよ?」

提督「それはおかしい。というか禁断の愛ってやつだろそれ」

明石「でも、家族だなんて親密度かなり高いじゃないですか」

明石「提督の心の向け方次第では、艦娘の誰かを好きになる可能性、ありますよね?」

提督「……まあ、そうかもしれないな」


ピッ

提督・明石「ん?」

青葉「今の全部、録音させてもらいましたよ!」

青葉「なるほど……提督が艦娘のアピールを物ともしない理由が分かって、青葉すっきりしました!」

提督「あ、青葉……お前……!」

青葉「早速記事にして、艦娘たちを焚きつけちゃいますよ!」スタタタッ

提督「待て!」

明石「無駄ですよ、スクープ魂が燃えたら、何が何でも記事にするのが青葉ちゃんですから」

提督「……」

明石「頑張ってくださいね、提督」ポン

提督「……」



おわり

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