愛海とお仕事! (23)

モバP「愛海にテレビの仕事取ってきたぞ」

愛海「やった!アイドルの共演者はいるの?」

モバP「いるぞ。他所の事務所だけど」

愛海「うひひ、入念にイメージトレーニングしておかなきゃ」

モバP「ちなみに男性アイドルな」

愛海「プロデューサーお昼まだだよね?駅前にふわふわなサンドイッチのお店ができたらしいから買いに行かない?」

モバP「急速にやる気をなくすな」

愛海「今の話のどこにやる気を見出だせっていうの?」

モバP「テレビの仕事ってところにだよアイドルの愛海ちゃん」

愛海「はいはい、とりあえずお昼にしようよ」

モバP「まったく。じゃあ持ち帰って食べながら話すか」

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モバP「うわっ、すげえふわふわ。なんだこのサンドイッチ」

愛海「噂通り、いや噂以上だよこれ。あたしここの常連になりそう」

モバP「そういう噂ってどこで拾ってくるの?」

愛海「SNS」

モバP「え?お前そういうのやってるのか!?聞いてないぞ!」

愛海「大丈夫だって。本名使ってないし、仕事のことは一切話してないから」

モバP「いや、そういう問題じゃないんだが。一応聞くけど、どんな話をしてるんだ?」

愛海「お山の素晴らしさについて」

モバP「アカウント凍結されちまえ」

モバP「まあ、いい。その話は後でするとして、まずは仕事の話だ」

モバP「内容はバラエティー。共演する事務所は315プロという名前の事務所で」

愛海「315?もしかしてジュピターがいる315プロ!?」

モバP「なんだ?ジュピター知ってるのか?」

愛海「もちろん!地元にいたころはジュピターの番組を毎日見てたぐらい熱心なファンだよ!」

モバP「マジか、ちょっと意外」

愛海「学校でも人気でね。友達と誰が好きか話したりしたよ」

モバP「おお、なんか女子してるな。ちなみに愛海は誰が好きなんだ?」

愛海「あたしは天ヶ瀬冬馬くん!」

モバP「天ヶ瀬か」

モバP(天ヶ瀬のアイドルに対する真剣さは随一だと聞いたことがある)

モバP(最近はアイドルとして老若男女のファンも意識するようになった愛海にも、思うところがあるのだろうか)

愛海「なんたって、イケメンだからね」

モバP「浅いっ!?」

モバP「えぇ、もっとこう、アイドル同士で共感する何か、みたいなのはないの?」

愛海「そんなこと言われても当時のあたしは別にアイドルなる気なかったし」

モバP「それもそうか。っと話がそれたな。残念だが今回愛海が共演するのはジュピターじゃない」

愛海「えー」

モバP「まあそう言うな。共演するユニットはきっと愛海も気に入る」

愛海「いやそれはないって。男性アイドルユニットでしょ?お山がないのは当然として、筋肉だらけで柔らかさなんて欠片もないユニットしか」

モバP「相手のユニットは『もふもふえん』だ」

愛海「なにそのときめくユニット名!?」

モバP「お、食いついたか」

愛海「つくつく!で、どんなユニットなの!?」

モバP「待て待て、急にやる気だすな。っていうかジュピターと同じ315プロなんだから少しぐらい知らないのか?」

愛海「んー、あたし男性アイドルはジュピターぐらいしか知らないし」

モバP「どんだけ男性アイドルに興味ないんだよ。むしろ逆によくジュピターは知ってたな」

愛海「それがジュピターが出る番組だけは青森でも毎日やってたんだよね。出身県だったりしたのかな?」

モバP「いや、そんな話は聞いた覚えないけど……あ」

モバP(わかった。愛海が言ってるのはジュピターが961プロにいた頃の話だ)

モバP(あの事務所の力なら、所属アイドルの番組を地方の番組枠に毎日入れるぐらい可能だっただろう)

モバP(……羨ましい)

愛海「どうしたのプロデューサー?大きなお山を前にした小さいお山ちゃんみたいな顔して。小さいお山にも魅力はあるよ」

モバP「もっとましな例えはなかったのか」

愛海「どうしてもっていうなら、お山を大きくする体操や見せるテクニックを伝授するよ」

モバP「例え話を広げるな。俺が本格的にお山の大きさで悩んでるみたいになってるじゃないか」

愛海「あれ、違うの」

モバP「違う。俺にお山はないし、これからもない。それこそ手術でもしない限りは」

愛海「……プロデューサー。もしあたしがトップアイドルになったら一つだけ叶えてほしいお願いがあるの」

モバP「却下!」

愛海「ええー!」

モバP「なにが、えー!だ。俺はお前達に人生は懸けてるけど、性別まで懸けるつもりはない!」

愛海「性別はいいよ。お山つけるだけでいいから」

モバP「もっと嫌だ!」

モバP「あれ、なんの話してたっけ」

愛海「もふもふえんの話だよ!もふもふ!あたしとしたことが、そんな素敵ユニットの存在を知らなかったなんて」

モバP「最近できたユニットだから、アンテナはってないと知らないのも仕方ないさ」

愛海「情報は大事だね。ぶっちゃけ事務所の名前も関心なかったから、ジュピターが315プロ所属って知ったのも最近なんだよね」

モバP「聞けば聞くほど熱心なファンじゃないな」

愛海「む、ファンに大切なのは知識量じゃなくて心だよ」

モバP「確かに。ジュピターもずっと(移籍した後も)応援続けてくれるファンはそれだけで嬉しいか」

愛海「いやあ、こっち来てからはあんまり見てないんだけどね。学校でも大して話題になってないし」

モバP「ミーハーじゃねえか!」

モバP「ほい、これが番組内容。そしてこっちが」

愛海「共演者の資料だね!もふもふえんの!」

モバP「ステイ。落ち着け。紙は揉めない」

愛海「へえ、小学生の男の子達で構成されたユニットなんだ」

モバP「ああ、年齢でもアイドル経験でも愛海はお姉さんになる」

愛海「子供っていいよね。男の子でもふわふわしててあたし好きだよ」

モバP「子供ね。俺からしたら愛海もこの子達もたいして変わらないけどな」

愛海「いやあ、小学生と中学生はやっぱり違うよ。抱き心地とか」

モバP「せめて体格って言葉使ってくれ」

愛海「そういえば衣装はどうなるの?できればふわふわな感じでお願いしたいんだけど」

モバP「番組のコンセプトが、『愛海お姉さんとちびっ子達』って雰囲気だから愛海のは動きやすい服だな」

愛海「ふーん」

モバP「で、もふもふえんのはこういう、動物を意識した着ぐるみっぽい格好」

愛海「おおう!いいねこれ!ふわふわ、いやもふもふしてそう!あたしもこれ着たい!」

モバP「我慢しろお姉さん。とはいえ、なんだ。少し触らせて貰うぐらいはいいんじゃないか?」

愛海「ようし!じゃあ愛海お姉さんが本当にもふもふかチェックしてあげよう!」

モバP「番組の進行も忘れるなよー。おーい?」

リハーサル

愛海「志狼くんの衣装は狼なんだ。狼はあたしもやったことあるよ!こんなふうに、がおーって」

志狼「うわっ!く、くっつくな!」

愛海「うひひ、柔らかーい!本当にもふもふしてる!もっと揉んじゃおう」

志狼「や、やめっ!」

愛海「流石に小学生には力で負けないね!美味しそうな狼さん、じゅるるん!」

志狼「ひいっ!」

愛海「パッと舞って、ガッとやって、ギュッと揉んで!」

志狼「うわあああ!」

愛海「直央くんは羊さんかあ。いいねいいね!全身もふりがいがあるね!」

直央「あ、あのボク……」

愛海「うひひ、子供っていいなあ。衣装もだけど中身も柔らかいからもふもふの相乗効果だね」

直央「ひゃっ!」

愛海「頬っぺも柔らかーい。頬擦りしちゃおう」

直央「あ、あわわわ」

愛海「あれ?顔赤いよ。もしかして暑い?衣装脱ぐ?」

直央「だ、大丈夫です!」

愛海「かのん君のウサギさんかわいいー!いっぱいもふもふしちゃう!」

かのん「えへへ、かわいいでしょ。かわいいは幸せなんだよ」

愛海「うん、幸せ!でもそれは可愛いからだけじゃないよ!あたしは可愛いウサギさんをもふれるから幸せなの」

かのん「もふもふすると、幸せなの?」

愛海「うん。ほらこうやってギューッてすると、どう?かのん君?」

かのん「あ……今なんだかぽわってなったよ」

愛海「それが幸せの温もりだよ!ほらもっともっとギューッ!」

かのん「あは、もふもふって幸せなんだね」


モバP「……やべぇ」

愛海「この前のリハーサル楽しかったなあ。本番が楽しみっ!」

モバP「あー、あのな愛海。その番組なんだけど」

愛海「うん!」

モバP「315プロのプロデューサーさんの強い希望でメンバー変更することになった」

愛海「え?もふもふえんは?」

モバP「こない。代わりに別のユニットがくるってさ。もっと大人でマッスルなユニットに変更だそうだ」

愛海「そんなあ!?そりゃあ最初は壁があったけど、最後はもふもふえんの皆もまた会いたいって言ってくれてたのに!」

モバP「言ってたな。担当のプロデューサーさんが苦い顔してたな」

愛海「今度オフにも会えないかって連絡くれてる子もいるぐらいなのに」

モバP「これ以上あっちのプロデューサーさんを追い詰めるのはやめてあげて」

愛海「?」

おしまい!

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