凛「そして誰もいなくなったにゃ」 (42)

ゴロゴロゴロ ピシャーン

ザバーン

にこ「ねえ?本当にこんな所でライブなんかやるの?」

絵里「ええ、ぜひμ'sのライブをって」

希「でも差し当て人も不明なんやろ?」

真姫「どう考えてもおかしいじゃない」

ドーン

ことり「こ、ここでやるんだ」

海未「ホールと言うよりは洋館ですね」

花陽「何だか不気味だね」

ゴロゴロ ピシャーン


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「μ'sの諸君。ようこそ、この島へ。これからの諸君の滞在にあたって、ライブ開催日まで屋敷内の すべての物は自由に使用してもらって結構。部屋もちょうど9室用意してある。 もし諸君があとう限り賢明であるならば、島で過ごす数日間は例えようも無く快適なものとなるであろう。では、くつろいでくれたまえ」

穂乃果「え?誰の声?」

絵里「どっから聞こえて来たのかしら?」

希「これやね」

絵里「え?」

希「あそこに赤外線のセンサがあるやろ?あれが検知すると自動でレコーダーが再生されるってところやね。ほら」

穂乃果「本当だ」

海未「扉の裏にカセットが…なぜこんな事を」

穂乃果「おお!お金持ちの家でよく見るやつ!そして暖炉!」

凛「凄く豪華だね」

グゥー

花陽「あっ」

真姫「まさか、この状況でお腹空いたの?」

花陽「う、うん。なんか向こうの方から良い匂いが」

希「本当や。あっちになんかあるんかな?」

穂乃果「行ってみようか?」

穂乃果「おお!豪華な食事が…」

凛「これ食べていいのかな?」

にこ「でもなんか怪しくない?」

絵里「親愛なるμ'sの諸君へ。夕食を用意したので召し上がれ。ですって。手紙が」

にこ「なんで顔を見せないのよ」

穂乃果「恥ずかしがり屋さんなのかな?小さい頃の海未ちゃんみたい」

海未「な、なんの事ですか?」

絵里「取り敢えずこのまま何も食べないって言うのもあれだし頂きましょうか?」

にこ「本当に大丈夫なの?」

穂乃果「ん~美味しい」

花陽「本当だねぇ」

にこ「ちょっとぉ。人の話聞きなさいよ」

ガチャ ガチャ

穂乃果「ん~パンが美味い」

花陽「パンだけじゃなくて白米もちゃんと用意してくれてるなんて感激です~」

絵里「本当に白米好きなのね」

凛「凛はそんなかよちんが好きだにゃ」

海未「ところで各人のテーブルに置いてあるこのカードはなんでしょう?」

希「それウチも気になってたんよ。わざわざ座席も各々指定されてて…何か意味があるとしか思えないもんね」

海未「私のカードには…鶴のカード?」

絵里「私のはガラスの靴にお姫様。これってシンデレラよね?」

希「ウチのはラプンツェルやんな?」

花陽「私は…白雪姫かな?」

にこ「にこは赤ずきんね。まあ、プリティなにこにはぴったりね」

真姫「私はお姫様が寝てるんだけど」

絵里「眠れる森の美女じゃない?」

真姫「なるほど」

凛「凛はランプと絨毯だからアラジンかな?」

ことり「私のは親指姫かな?」

穂乃果「ねえ?なんで穂乃果は羊なの?羊が7匹書いてあるだけ」

絵里「7匹の羊かしら?」

穂乃果「狼と隠れんぼする奴だよね?」

絵里「隠れんぼと言うか」

海未「私のは何でしょう?」

にこ「鶴の恩返しじゃない?」

海未「なるほど。しかしなんの意味があるのでしょうか?」

にこ「さあね?」

真姫「考えても分からないわよ。もう疲れたし今日はお風呂に入って寝ましょう?」

ウー ワンワンワン

コンコン

凛「どうしたの?」

絵里「いえね?あの…凛は犬の鳴き声とか不気味だなぁとか思わない?」

凛「え?別に?」

絵里「心細いでしょ?一緒に寝てあげるわ」

凛「別に大丈夫だよ?」

絵里「遠慮しなくていいのよ」

凛「じゃあ」

ガチャ

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ーーーーー
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ーーー
ーー

チュンチュン

にこ「ん?ん~」

ドタバタ ドタバタ

にこ「…朝からうるさいわね」

ガチャ

にこ「なんの騒ぎよ?」

海未「あっ、にこ。おはようございます」

絵里「おはよう。コーヒー入ってるわよ?」

ドタバタ

にこ「ありがと。騒いでるのは凛と穂乃果?」

ことり「うん。広いお屋敷で隠れんぼするのが夢だったんだって」

花陽「みんなぁ~ご飯炊けたよぉ~」

にこ「ったく。朝から皆んなブレないわね」

絵里「あら?希はまだ寝てるのかしら?」

にこ「そうじゃない?趣味が昼寝ってくらいだから寝坊助なのよ」

絵里「私起こしてくるわね?」

にこ「別に寝かせておいてあげればいいのに」

花陽「真姫ちゃんもまだ起きてこないな」

にこ「寝かせておいてあげなさいよ。ここんとこ遅くまで作曲してるみたいだから」

ことり「そうなの?」

花陽「にこちゃんよく見てるんだね?」

にこ「べつにぃ~」

海未「ふふっ、にこも素直じゃないですね」

きゃあああああ

にこ「な、なに?」

海未「絵里の声?」

ことり「の、希ちゃんの部屋からだね」

ドタバタドタバタ ガチャ

海未「絵里?どうしました?」

絵里「か、髪…」

にこ「髪?」

絵里「の、希を起こそうと思ってベットを覗き込んだら…希のお下げが枕の上に…」

にこ「なにそれ」

凛「失恋でもしたのかな?」

海未「凛?いつの間に?かくれんぼしてたのでは?」

凛「悲鳴が聞こえたから」

海未「それで希は?」

絵里「さあ?髪の毛だけが」

にこ「何かあったのかしら?女の子が大切な髪を切るなんてよっぽどよ?」

絵里「そうよね。心配だわ」

海未「ですが気分転換で切っただけかもしれませんし…」

にこ「それでも心配よ。わたし探して来るわ」

絵里「なら、私も。二手に別れましょう?海未は一年生を…」

凛「凛も探すよ」

海未「凛。取り敢えず一度リビングに戻りましょう」

ゴロゴロ ピシャーン

花陽「雷止まないね?」

凛「雨は降ってないのに…希ちゃん大丈夫かな?」

海未「大丈夫ですよ。イメージチェンジをしたかっただけですよ。きっと」

ウー ワンワン

凛「犬の声…ここまで聞こえて来るにゃ」

ウー ワンワン

ちょっと、あっちに行きなさいよ

花陽「にこちゃんの声?」

海未「まさか犬に襲われて?」

海未「にこー」

凛「にこちゃん大丈夫?」

ワンワン

花陽「ぴゃあ」

凛「かよちん大丈夫?」

花陽「う、うん」

凛「こんな所にわんちゃんがつながれてたんだね」

海未「あっ!」

花陽「え?」

海未「犬の足元に落ちているあれ」

凛「足元…にこちゃんのリストバンドだにゃ」

花陽「にこちゃん慌てて落として行っちゃったのかな?」

凛「と、取り敢えず拾って」

ガルルルル ワンワン

凛「わっ」

海未「凛。危ないです。一度戻りましょう?にこも戻ってるかもしれません。もしかしたら希も帰ってるかも」

凛「う、うん」

ゴーン ゴーン

凛「にこちゃん戻ってなかったね」

海未「そうですね。もしかしたら絵里と落ち合ったのかも」

ガチャ

絵里「希帰ってきた?」

凛「絵里ちゃん。それが…」

絵里「…そう。にこもどこかに」

海未「はい。一体どこに」

絵里「島は広いから…無理に探しに行ってしまうとお互いすれ違いになってしまうかもしれないから…一旦ここで待ってた方がいいかもしれないわ」

海未「そうですね」

花陽「あれ?そう言えば穂乃果ちゃんは?」

凛「あっ、まだ隠れてるのかもしれないにゃ」

絵里「穂乃果までどっか行っちゃったなんて事は」

海未「冗談は謹んで下さい」

絵里「う、海未…」

海未「も、申し訳ありません。少し不安でどうかしてました」スタッ

絵里「海未?」

海未「ちょっと部屋で考え事をしてきますからしばらく部屋は開けないで下さい。あっ、穂乃果が帰って来たら…やはりいいです」ガチャ

絵里「ちょっと海未?」

花陽「う、海未ちゃん大丈夫かな?」

凛「だ、大丈夫だよかよちん。皆んなどっかに遊びに行ってるだけにゃ。団体行動ができなくって困るにゃ~」


花陽「あれ?そう言えばいつの間にかことりちゃんも」

絵里「え?」

ガチャ

ことり「み、皆んな…」

絵里「な、なんだ…いるじゃない」

ことり「真姫ちゃん…」

絵里「真姫?」

ことり「真姫ちゃんが中々起きてこないからと思って…にこちゃんはああいったけどもうお昼だし起こしに行ったんだけど」

絵里「な、何?」

ことり「真姫ちゃんもいないの…おかしいよね?よくよく考えたらなかなか寝付けなくって私が今日一番に起きたのに…真姫ちゃんも希ちゃんも部屋から出て来るところ見てないの」

絵里「え?」

花陽「そ、そんな…」

絵里「海未…私の推理が正しければ…海未が危ないわ」

ゴーン ゴーン

凛「…」

絵里「希に配られたカードはラプンツェル。ラプンツェルって言うのは別名髪長姫。ラプンツェルは作中魔女の逆鱗に触れ長い髪を切り落とされるの」

ことり「それって…」

絵里「にこの赤ずきんは知ってると思うけど途中狼に食べられる。穂乃果の7匹の羊は留守番中の子羊兄弟が家にやって来た狼から逃げて隠れるんだけど一匹を残して食べられてしまう。真姫の眠れる森の美女はその名の通り」

凛「…」

絵里「海未のカードは鶴の恩返し」

花陽「海未ちゃんの部屋に落っこちてた羽は…鶴の羽?」

絵里「そうね」

凛「そ、そんなのたんたる偶然だにゃ」

絵里「でも…出来過ぎだわ」

ことり「そ、そんなぁ…うぅ…」

花陽「うぅぅ」

凛「いくらなんでも冗談きつすぎるよ絵里ちゃん」

絵里「冗談でもなんでもいいから取り敢えずこの先は私達は絶対に離れちゃダメよ?」

ことり「は、はい」

花陽「うぅぅぅ。みんなぁ」

凛「かよちん、泣かないで?皆んなきっと無事だよ」

ゴロゴロ ピシャーン

絵里「もうそろそろ0時ね」

花陽「こんな時間になっても誰も帰って来ないなんて…」

絵里「そろそろ魔法が解ける時間か…」

凛「え?」

絵里「なんでもないわ」

凛「…」

ことり「私ちょっとトイレに行って来るね?」

花陽「1人じゃ危ないよ。ちょうど私も行きたかったから一緒に」

ことり「うん」

カチ カチ カチ

絵里「時計の針の音が妙に気になるわね」

凛「うん」

絵里「この間まで皆んなで楽しくしてたのにね」

凛「…うっ…ヒック…ヒック」

絵里「凛…泣かないで?」

凛「だって…皆んないなくなっちゃって…凛心配で」

絵里「凛…私は幸せ者ね」

凛「え?」

絵里「ついこの間まであなた達といがみ合ってたのに今じゃ一緒にアイドル活動やってて…楽しかった。まるで魔法にかかってたみたい時間だったわ」

凛「絵里ちゃん?」

絵里「私に配られたカードはシンデレラ。物語では魔法は深夜の12時に解けるの」

凛「や、やめてよ」

きゃあああああ

凛「っ!?」

絵里「ことり?花陽?」

凛「二人の身に何かが」

絵里「待って凛」

凛「うん」

カチ カチ カチ

ガチャ

絵里「ことり?花陽」

凛「かよちーん。ことりちゃーん」

ジャー

絵里「洗面所の水が出しっ放しに」

凛「かよちん…ことりちゃん…」

絵里「ん?何これ?…」

凛「え?」

絵里「これって…ことりが皆んなに作って配ってくれたμ'sのぬいぐるみのストラップ…ことりのだわ…それに食べかけのリンゴ」

凛「ことりちゃんは…親指姫…かよちんは…白雪姫…そんな…嫌だにゃぁぁぁぁぁ」


ゴーン ゴーン ゴーン

凛「うっうっ…かよ…ちん…ことりちゃん…」

ゴーン ゴーン ゴーン

凛「どうして?凛たちが何かしたの?なんの恨みがあってこんな事するのぉぉぉぉ」

カチ カチ カチ

凛「うっうっうっ…絵里ちゃん………絵里ちゃん?」

絵里『私に配られたのはシンデレラ。物語では魔法は深夜の12時には解けるの』

凛「絵里ちゃん?……嘘でしょ?絵里ちゃん?絵里ちゃーーーーん」

ゴロゴロゴロ ピシャーン

穂乃果『うわー。いい天気だねぇ。ねえ凛ちゃん?お外でバドミントンして遊ぼうよ?』

海未『これから練習なんですよ?元気なのは良いですが無理はしないで下さいね?』

穂乃果『分かってるって。ねえ?凛ちゃん?』

凛『ねえ?』

海未『本当に分かってます?』

穂乃果『分かってるよ』

凛『分かってるにゃ~』

凛「うう。穂乃果ちゃん…海未ちゃん…」

ことり『わあ、やっぱり可愛い!凛ちゃんに似合うかなって思ってたんだぁ』

凛『は、恥ずかしいにゃ』

絵里『ハラショー。とっても似合ってるわよ?』

凛『本当?』

絵里『ええ。本当よ?』

ことり『思わず抱き締めたくなっちゃうよぉ~』

凛『ことりちゃん痛いにゃ~』

絵里『ふふっ』

カチ カチ カチ

凛「ことりちゃん…絵里ちゃん…」

にこ『ちょっと凛?寝癖付いてるわよ?』

凛『え~これくらい水につければなおるにゃ』

にこ『ダメよ。こっち来なさい?直してあげるから』

希『ふふっ。にこっちはお姉さんやなぁ』

凛『え~こんな小ちゃなお姉ちゃんなのぉ?』

にこ『ふざけんじゃないわよ』

希『本当に仲ええなぁ~』

にこ『はい。終わったわよ』

希『よっしゃ。今度は希お姉さんと日向ぼっこでもしよっか?』

凛『こっちの方がお姉さんぽいにゃ~』

にこ『なんですってぇ?』

凛「にこちゃん…希ちゃん…」

花陽『はあ…今日も練習疲れたよぉ~』グゥ~

凛『かよちんお腹空いた?』

花陽『う、うん』

凛『じゃあラーメン食べ行くにゃ』

花陽『うん!』

真姫『………』チラッ

凛『もちろん真姫ちゃんも行くよね?』

真姫『えっ?ま、まあ別に…仕方ないわね。行ってあげるわよ』カァァ

花陽『決まりだね?』

凛『あれ?真姫ちゃん顔赤いよ?』

花陽『もしかして風邪?』

真姫『何でもないわよ。何でもないんだからぁ』

凛「真姫ちゃん………かよちん………」

ゴロゴロゴロ ピシャーン

凛「もう誰もいなくなったにゃ。きっと次は凛の番」

カチ カチ カチ カチ

凛「さっきまでこの部屋にこんな絨毯もランプもなかったのに…」

カチ カチ カチ

凛「魔法のランプがあるんなら皆んなを返してよ…もう凛は何にもいらないから…お願いだから…」

カツ カツ カツ ガチャ

凛「………誰?」

凛…ちゃん…

凛「わあああああああ」

理事長「それで?学校も通さずにそんな事をしたの?」

絵里「申し訳ありません。軽率でした」

理事長「あなた達はアイドルである前にこの学校の生徒なのよ?それにドッキリならもっと他にやり方があったでしょ?なんであんなやり方を?」

絵里「星空さんは最近その…イタズラをする事が多くて…テレビ局から依頼が来た時に渡りに舟だと…ほんのちょっと懲らしめるつもりだったんですけど…計画していくうちに大掛かりになって来てしまって。勿論メンバーの中には反対した子達もいたんです。最上級生なのに私の判断ミスです」

理事長「そう。今後はこの様な事がないように」

絵里「はい」

穂乃果「凛ちゃんごめんね?」

ことり「悪気はなかったの」

凛「凛はショックだったにゃ」

真姫「り、凛?ほら、凛の大好きなラーメンよ?今なら私が食べさせてあげるから」

にこ「わ、私が冷ましてあげるわよ?」

凛「それはいいです」

にこ「ぬぅあんでよ」

穂乃果「にこちゃん!」

希「なあ?凛ちゃん?機嫌直してな?」

海未「そ、そうです。私も凛の笑顔が見たいな~なんて…」

凛「どうせ皆んなで凛の事を笑ってたんでしょ?」

花陽「ご、ごめんね凛ちゃん」

凛「むー」

まあ、でも案外本当に魔法のランプが凛の願いを叶えてくれてたりして?ずっと皆んなと仲良く過ごせます様にって。

アガサクリスティーとうる星やつらのパロディでした

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