リンク「伝説の、勇者?」 (83)

ゼルダBOTWネタバレ注意 時オカ、風タク要素あり


ブレスオブザワイルドのハイラル。本編より百年前のこと。

ゼルダ「リンク。最終試練突破、おめでとうございます」

リンク「ありがとうございます」

ゼルダ「その盾は、ハイリアの盾。かつて伝説の勇者が持っていたものとのことです」

リンク「伝説の、勇者?」

ゼルダ「はい」

リンク「もしかして、それは時の勇者のことですか?」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1491050934

ゼルダ「なぜ、それを?」

ゼルダ「それは限られた者しか知らないはずです」

ゼルダ「なぜ、あなたが知っているのです」

リンク「……この間の休み、久しぶりに家に帰ったんです」

リンクの家

リンク「親父、最近すげえ剣抜いた」

親父「お、すげえなそれ」

親父「なんか見たことあるぞ」

リンク「まじで?」

親父「ああ、大昔の写真でな」

親父「ちょっと探してくる」

親父「これだ」

リンク「ぼろぼろじゃん」

親父「大切に保存していてこれだ。もう何千年と前のものといわれている」

リンク「牧場だったの? ここ」

親父「ああ、ロン、なんとか牧場だったか」

親父「ほら、この帽子かぶった男。長いとんがり帽子の」

リンク「あ、なんか持ってる」

親父「なんでも時の勇者とか自分で名乗っていたらしい。詳しいことはわからんがな」

親父「代々その言葉だけは受け告げとは言われているから」

リンク「今日まで言われなかったけど」

親父「忘れていた」

ハイラル城

リンク「ということが」

ゼルダ「なぜ、あなたの家に時の勇者の言い伝えが残っているかは謎ですが」

ゼルダ「まあ、簡単な話です」

ゼルダ「かつて厄災ガノンに挑んだ男がいました。しかし、結果虚しく、命を落としたそうです」

リンク「それが、時の勇者」

ゼルダ「はい」

リンク「厄災ガノンって、もともとゲルド族の男だったんですよね」

リンク「なぜ、ハイラルを襲ったのですか?」

リンク「ハイラルは争いもなく、平和な国だったと聞いています」

ゼルダ「それについてはウルボザにも聞いては見ましたが」

ゼルダ「彼女もガノンに関しての言い伝えはほとんど失われてしまっているとのことでした」

ゼルダ「もう、今となってはガノンがなぜハイラルを襲ったのか」

リンク「知る者はいないって、ことですか」

ゼルダ「ですが今はそんなことより、私の封印の力が目覚めることが先決です」

ゼルダ「もう少し修行に付き合ってもらいますよ」

しかしその後、厄災ガノン復活。

ガーディアンは乗っ取られてしまい、城下町はほぼ壊滅状態となった。

それはすなわち、リンクの故郷も。

ゼルダ「リンク! あそこ! お父さんが!!」

リンクの父親はガーディアンの攻撃で瀕死の重傷を負っていた。

リンク「親父!!」

リンク「親父! 死ぬな! くそ、なんでこんなところまで!」

親父「……逃げろ、リンク。この国の姫を守るんだろう」

ゼルダ「私のことは構いません! お父さんを!」

親父「もう長くないだろう。それより聞いてほしいことがある」

親父「トラックの外周近くにある、細長い建物。あそこの地下を探せ」

親父「あそこには、オカ」

ゼルダ「リンク!」




ビー

ズガーン!

ガーディアンのビームに当たりそうなリンクを引きはがした際、ガーディアンのビームはリンクの父親を焼き殺した。

リンク「親父!」

ゼルダ「今は逃げましょう!!」

リンク「くっそ……くっそおおおお!!」

その後、リンクは瀕死の重傷を負い、記憶を失くし、100年の眠りについた。

そして目覚め、再び厄災ガノンに立ち向かった。

リンク「お前を倒せば、ハイラルは、ゼルダは!!」

マスターソードで切りかかる際、リンクは気づいた。

リンク「……人の、顔」

リンク(わかってはいた。こいつが大昔、人間だったこと)

リンク(もう、人の心はないものかと思っていた)

リンク(でも)

リンク「なんで、泣いてるんだよ、お前」

剣の勢いを止めることができず、そのままリンクの剣はガノンの額を貫いた。

ガノンは再び封印された。ゼルダと英傑リンクの力によって。

ゼルダ「リンク。ありがとう。この世界を救ってくれて」

リンク「姫」

ゼルダ「はい」

リンク「ガノンは、結局のところなにがしたかったのでしょうか」

リンク「あいつ、死ぬ寸前」

リンク「泣いていたんです」

ゼルダ「……厄災の動きを止めている100年」

ゼルダ「人の言葉を発することはありませんでした」

リンク「……そうですか」

ゼルダ「ですが、一つだけ。心当たりがあります」

リンク「心当たり?」

ピカッ

リンク「?」

ゼルダ「そのマスターソードです」

リンク「姫、まさかこのマスターソードの声が」

ゼルダ「いえ。今はもう聞こえません。彼女も限界でした。私に言葉をかけるだけで精いっぱいだったそうで」

リンク「そうですか」

ゼルダ「ですが、あなたのお父さんの言葉、覚えていますか?」

リンク「え?」

ゼルダ「地下を探せと」

平原の牧場跡

ゼルダ「もう、跡形もないですね」

リンク「城下町を襲うのはわかりますけれど。なぜここまで」

ゼルダ「もしかしたら、この場所に隠している何かに反応していたのではないでしょうか」

リンク「何か?」

ゼルダ「厄災を脅かす何か、です」

リンクは父親が示した建物に、大量に爆弾を設置した。

爆破すると、そこには階段があった。

ゼルダ「すごい!! わくわくしますね、なんだか冒険みたいです」

リンク「姫、楽しんでませんか?」

ゼルダ「百年ぶりの外ですからね」

階段の先には、一つの木でできた宝箱があった。

リンク「開けますよ」

ゼルダ「はい」

中にあったのは金色の輝く印をもった紫のオカリナだった。

リンク「これは」

ゼルダ「……まさか、実在するなんて」

ゼルダ「リンク。これはハイラルに古くから伝わる神器」

ゼルダ「時のオカリナです」

リンク「時の、オカリナ」

ゼルダ「眠っているものを目覚めさせる調べ。古くから伝わるものがあります」

リンク「それ、吹くんですか」

ゼルダ「はい、吹きます」

リンク「……」」

ゼルダ「どうしたんですか? リンク」

リンク「さすがに水で洗いませんか?」

ゼルダ「……」

ゼルダ「それもそうですね」

近くの川に行き、オカリナを洗うゼルダ。

ゼルダ「はるか昔の時の勇者は」

ゼルダ「これを持って旅をしていたようです」

リンク「なるほど」

ゼルダ「時を旅する調べもあるらしいですけど」

ゼルダ「そればかりは、覚えておらず」

リンク「研究ばかりしてましたもんね」

ゼルダ「……百年経って少し敬意が下がりましたか?」

リンク「……いえ、そんなことは」

リンク「それでは、お願いします」

ゼルダ「はい」

♪~♪~

音を奏で終わったとたん、マスターソードが鋭い光を放ち始めた。

リンク「うわっ!!」

フワッ

ファイ「おはようございます」

ゼルダ「お久しぶりですね」

ゼルダ「あなたがマスターソードの精霊ですね」

ファイ「はい。ファイと申します」

ファイ「マスター。初めまして」

リンク「……ずっと、いたのか」

ファイ「はい」

ファイ「それはもう。長い間」

リンク「ファイ。聞きたいことがある」

リンク「厄災は、もう大丈夫なのか」

ファイ「ガノンが再び目覚める確率でしたら、限りなくゼロです」

ファイ「しかし、私の力不足で、このような果てしない戦いに巻き込んでしまい。申し訳ありません。マスター。ゼルダ姫」

リンク「なあ、厄災はなんでハイラルを?」

ファイ「その答えは不明です。私はガノンとコミュニケーションをとったことはありません」

ファイ「そこでゼルダ姫。私の役目はまだ終わっていません」

ファイ「少し協力していただけますか?」

ファイ「ファイは過去の因縁を終わらせる義務があります」

ファイ「時の勇者との共闘も、ファイの意識がほとんど機能していなかったため、当時のマスターに力添えすることができませんでした」

ファイ「次こそはうまくやります」

ファイ「この世界でのファイの役目は終わりました。しかし、過去の世界での責務を果たせなかったことをファイは後悔しています」

ファイ「ゼルダ姫。ファイを過去に送っていただけないでしょうか」

ゼルダ「……過去?」

ファイ「はい。メロディは記憶に残っています」

時の神殿跡

ゼルダ「ファイさん。なぜこの場所に?」

リンク「確か、昔祭事に使われていた場所ですよね」

ファイ「時を旅する道は、ここにしかもう残されていません」

ファイ「ゼルダ姫。このメロディを」

ラーレーファーラーレーファー

リンク「待て」

リンク「それで、過去を変えるのはいいけれど」

リンク「この時代に影響は出ないのか?」

ファイ「それはご安心ください」

リンク「なぜ」

ゼルダ「別の世界の話になります。ファイが過去を変え、今度はうまくやったとしても」

ゼルダ「今の世界は今の世界で続いていきます。だから問題ありません」

ファイ「理解が早く、助かります」

ファイ「では、お願いします」

時のオカリナ時代

ナビィ「リンク! あれは!」

ファイ(……この時代の、この場所)

ファイ(今度こそ)

ガノン戦

時岡リンク「くっ! このままでは」

ファイ(今のファイなら)

フワッ

ファイ「ゼルダ姫、力を与えます」

ゼルダ「え、あなたは」

ファイ「あなたの封印の力を強化します。今のうちにガノンの動きを止めてください」

その後、無事リンクはガノンを倒し、ハイラルは救われた。

ゼルダはリンクを元の時代に返し、新しくハイラルを再建するところだった。

時岡ゼルダ「ファイ。あなたの力には感謝しています。あなたはこれからどうするのですか?」

ファイ「おそらく、また私は剣と共に眠りにつくと思います」

ファイ「ガノンはあの様子であれば、まだ野望は朽ちていません」

ファイ「私は再び現れるマスターを待ちます」

そして、ファイは再び眠りについた。

ハイラル城 地下

ファイ(寝心地は悪くなさそうですが)

ファイ(まあいいでしょう)

ザーザーザー

ファイ(……水?)

ファイ(……いけない、力が)

風のタクトへ

ではまた明日ノシ

明日か明後日には終わると思います。

ガシャン! ガシャン!

ファイ(何かが壊される音)

ファイ(何者かに侵攻されている)

?「ファイ、聞こえますか。ファイ」

ファイ(その声は)

?「私はネール。ハイラルの神の一人です」

ファイ(ガノンが復活したと推察します)

ネール「さすですね。その通り。この国は今滅亡の危機に瀕しています」

ネール「あなたの力を借りることになります。あなたの。その剣の封印の力を」

ファイ(はい。理解しました)

ファイ(ファイの意識は再び眠りにつくのですね)

ネール「次にあなたが目覚めるときは、再び勇者が訪れたとき」

ネール「その時を、待ってはいただけますか?」

ファイ(イエス。神よ)

ファイ(ファイは待つのには慣れています)

ネール「ごめんなさい。ありがとう」

マスターソードはハイラル城の時を止める。

ハイラル城は海の底へ。

ファイの意識は暗闇の中へ。

誰の呼びかけも聞こえない、深い深い眠りの中。

気が遠くなるほど時間が過ぎ、微かな光がファイの下へ降り注ぐ。

ファイ(……新しい、マスター)

そこにいたのは、とても小柄で、猫のような大きな瞳を輝かせた。

緑色の衣をまとう少年だった。

ファイ(ファイが認める前に、抜いていたのですか)

ファイ(抜かれていたのでは、仕方ありません)

ファイ(あなたが今の、マスターです)

猫目のリンクは海の底へ。そしてガノン城へ向かう。

ファイ(あのガノンの執念。おそらく何度封印したとしても)

ファイ(いえ、彼の力さえあれば、終わらせられるかもしれない)

ファイ(神の創りし黄金の力)

ファイ(あれならば、今度こそは)

ガノン「わしの国は、砂漠にあった」

ファイ(ガノンの邪気が、ほとんど失われつつある)

ファイ(やはりあの厄災ガノンは、力のトライフォースに捉われ続けてしまった故の産物)

ファイ(それならば数万年、怨念になっても残り続けるのには納得がいく)

ファイ(ですが、何がガノンを、彼をここまで?)

ファイが考えているうちに、目の前にはハイラル王がいた。

王「この国を、ハイラルを……」

トライフォースにすでに王は触れていた。

ハイラル王国の消滅が、決まった。

リンクの剣が、ガノンの額を貫く。

ファイ「ガノンの永久凍結を開始」

ガノンの体はみるみるうちに石化していく。

ファイ「これで、ファイの役割は終わりですね」

ハイラル王国は滝のような雨に飲み込まれていく。

時が止まったかのような静寂に包まれ

海底にはガノンとマスターソードのみが残された。

ファイ「ファイの役割は終わりました」

ファイ「しいて言うのであれば、あなたの魂を、今ここで完全に消し去るのが、ファイの使命」

ファイ「聞いていますか?」


ガノン「ああ」

ガノン「よく、聞こえる」

ガノン「お前が、この忌々しい剣に眠る精霊か」

ファイ「はい」

ガノン「そうか」

ガノン「さあ、一思いにやってくれ」


ガノン「わしは、もう、疲れた」

ファイ「……」

ガノン「どうした」

ファイ「あなたには、人の心などとうに失われていると思っておりました」

ガノン「なんだと」

ファイ「なぜ、」

ファイ「なぜ、涙を?」

ガノン「……さあな」

ファイ「あなたは、何がしたかったのですか?」


ガノン「このハイラルが、ほしかった」

ファイ「なぜ」

ファイ「あなたには、地位もあったはずです。ゲルドの王としての」

ガノン「……そんなものはいらぬ」

ガノン「王としての責務、使命」

ガノン「生まれたときから、そんなものばかり課せられてきた」

ガノン「それだというのに、ハイラル王国の国民は」

ガノン「皆笑っていた」

ガノン「わしは、どうしてあちら側ではなかったのか」

ガノン「トライフォースを手にすれば、何かが変わると、思っておったのだ」

ガノン「思えば、あの力のトライフォースを得てから」

ガノン「わしの気持ちは次第に憎しみに変わっていた」

ガノン「わしは、一体何がしたかったのか」

ガノン「それすらわからない」

ガノン「ただ、いつの時代もわしは、誰にも認められることなど一度もなかった」

ガノン「わしは、存在を許されたことなど、一度もなかった」

ガノン「せめて、このハイラル王国と共に眠ることができれば」

ガノン「本望だ」

ファイ「……」

ファイ「誰も、あなたを認めなかったのですか」

ガノン「ああ」

ファイ「いつも誰かに憎まれて」

ガノン「ああ」

ファイ「……」

ファイ「それは、とても寂しい話ですね」

ファイ「私も、マスターに必要とされなければ」

ファイ「ただの孤独な存在だったかもしれません」

ファイ「ガノン。ガノンドロフ」

ガノン「何だ?」

ファイ「あなたは、この国が好きだったのですか」

ガノン「好きなわけがあるか」

ガノン「いつだってわしを疎む存在がいる」

ファイ「……」

ガノン「……」

ガノン「嘘だ」

ガノン「この国が、好きだった」

ファイ「そうですか」

ガノン「ああ、そうだ」

海の底の静寂がしばらく続く。

最早ハイラルは、誰の目にも届かないほど、深い闇の底に沈んでいた。

ファイ「私が認めましょう」

ガノン「この国を滅ぼそうとした男をか」

ファイ「はい。認めましょう」

ガノン「何人も殺したぞ」

ファイ「はい、許しましょう」

ガノン「トライフォースを、欲望のままに利用しようとしたのだぞ」

ファイ「はい、受け入れましょう」

ガノン「わしは、存在してはいけないのだぞ」

ファイ「いいえ。あなたの発言を却下します」

ファイ「あなたの過去を、罪を、そしてあなた自身を」

ファイ「このファイが肯定します」

ガノン「……」

ガノン「そんなことを言ってくれたのは」

ガノン「お前が初めてだ」

ファイ「ファイもです」

ファイ「ファイも、だれかを許したのは初めてです」

ガノン「なあ、わしはもう一度、やり直せるだろうか」

ファイ「さあ、どうでしょう」

ファイ「あなたの気持ちが本物ならば」

ファイ「できるのではないでしょうか」

ガノン「本当か?」

ファイ「時間はかかるかもしれませんが」

ファイ「ファイの力さえあれば」

ファイ「ハイラルを地上に浮上させることも」

ファイ「可能かもしれません」

ノシ

スカウォリンク「あれ?ファイは、俺しか見えないはずじゃあなかったか?」

スカウォリンク「なるほどそういう事か・・・まぁちなみにマスターソードは、俺しか扱えない設定あるが・・・知ってたかな?」

スカウォリンク「そうだね、終焉の者が言ってたな。女神の血と勇者の魂を持つ者共は、永久にこの呪縛は、逃がられぬっとまぁBOTWのゼルダは、女神の血繋がっても失敗するシーンあったから曖昧だけれど」

なんでもいいけど話が何書いてあるのかすっげ理解しづらい。
この短いスレ数なのに全部読むのが苦痛になるくらいに。台本ですらねぇし。

>>58
すいませんもう少し内容まとまってから書くべきでしたね。精進します。

ガノン「ハイラルが、よみがえるのか」

ファイ「時間はかかります」

ガノン「ふっ……それはいい」

ファイ「あなたの邪気はほとんど消えています」

ファイ「また再びあなたがよみがえり、当たり前の人生を送れることを心から祈ります」

ファイ「ファイに、心があるかどうかはわかりませんが」

ガノン「なあ、」

ガノン「わしが蘇れば、またお前と会えるか?」

ファイ「さあ、どうでしょう」

ファイは自身の持てるべく祈りの力のほとんどを、ハイラルにささげた。

海の底のハイラルは、微かな輝きを帯びた。

ファイ「そうだといいですね」

ファイは再び、果てしなく長い眠りについた。

ファイ(ハイラルが浮上する確率は、50%といったところでしょうか)

ファイ(どのような歴史をたどるのか。再び人類が生まれるのか)

ファイ(未知の要素は多いですが)

ファイ(楽しみかもしれません)

ファイ(新しいハイラルもまた)

果てしなく長い時が流れた。

?「……目を覚まして」

?「聞こえますか?」

?「あなたは、何者ですか?」

ファイ(……声?)

ファイが目を覚ますとそこは、青白い光を帯びた一つの部屋だった。

そこには金髪の少女と、青い服をまとった少年が立っていた。

ファイ(マスターとゼルダ姫様に、よく似ている)

女性「おはようございます」

女性「私はこの国の王女、ゼルダです」

ファイ「……ゼルダ?」

ゼルダ「よかった。言葉はしゃべれるのですね」

男「姫様、これは一体」

ゼルダ「リンクの剣に宿った精霊ですよ。解析してみた甲斐がありました!」

ゼルダ「これなら、あの厄災ガノンを封じた理由も納得です」

ゼルダ「ねえ、あなたの名前は?」

ファイ「あの、一体どういうことですか?」

ファイ「ガノンは、もう」

ゼルダ「はい。ガノンはリンクが封じました」

ゼルダ「遥か昔から何度も封印を解いてきたガノンですが」

ゼルダ「今度こそ、完全に!!」

ファイ「……封じた?」

リンク「ああ、俺がこの手で」

ゼルダの話はこうだった。

ハイラルには、太古の昔、この国を海に沈めた魔王が眠っていると。

それの復活をとある占い師が予言した。その魔王がハイラルに『脅威』をもたらすと考えられたためである。

占い師の予言通り、魔王は復活した。

しかし、対策として用意していた兵器や神獣などを駆使し、魔王は何もする間もなく封じ込められてきたのである。

ファイ「あの」

ファイ「なぜ、その魔王ガノンが脅威であるとわかるのですか?」

リンク「そりゃ、ハイラルをかつて滅ぼした魔王だからだろ」

ファイ(ああ、そういうことですか)

ファイ(魔王だから、という理由だけで、あの男は)

リンク「お前も一緒にこの国を救ってくれたんだな」

リンク「ありがとう」

ファイ(……こんなにも複雑なありがとうは、初めてです)

ファイ「……剣士様」

ファイ「ファイを、その魔王を封じたところまで連れていってもらえますか?」

魔王はハイラル城の地下に封印されていた。

ただの黒い球体状の物質に代わっており

あの時の面影はほとんどみられなかった。

ファイ「……哀れな」

ファイ「一体どうしたらよかったんでしょう」

ファイ「ファイにはわかりません」

リンク「なあ。こいつは一体なにがしたかったんだ?」

リンク「お前は、何か知っているのか?」

ファイ「この者は」

ファイ「当たり前がほしかっただけなんです」

ファイ「剣士リンク。ファイの剣をこの魔王に突きさしてください」

リンク「……大丈夫なのか?」

ファイ「ファイはそれを望みます」

ファイ(神獣と共にガノンを封じる)

ファイ(その運命はどの世界でも避けられない、確定事項だったのですね)

ファイ(それならファイは、あなたと共に眠ります)

ファイ(ごめんなさい)

ファイ(何もできなくて、ごめんなさい)

リンクはファイの宿るマスターソードを、ガノンの怨念の塊に突きさした。

ファイ(ここはガノンの精神世界)

ファイ(もうほとんど、人としての精神は崩壊している)

ファイ「ガノン、聞こえますか?」

ファイ「ガノン。返事をしてください」

ファイ「ガノン」

ファイはガノンに気の遠くなるほど声をかけ続けた。

届いていても、いなくても関係なかった。

ファイ(……ガノン。やはりもう)

?「……ダ、レ」

ファイ「?」

?「……なつかしい、声だ」

ファイ「」

?「最早名前すら思い出せないが」

?「ずっとお前を追い求めていた」

「執念だった」

「お前に会いたかった」

「それ故何度も蘇ることができた」

「だが。わしは、どうやら恐ろしい魔王らしい」

「だから、こうなって当然なのだ」

ファイ「……」

ファイ「いいえ」

ファイ「否定します」

ファイ「あなたは人間です」

ファイ「誰が何と言おうと」

?「いいや。そんなことは」

ファイ「長い間、辛かったでしょう」

?「……」

ファイ「共に眠りましょう」

ファイ「あなたの痛みを、癒しに変えましょう」

ファイ「そして、次の命では」

ファイ「当たり前の人生を」

?「……不思議だな」

?「わしは、お前にその言葉をもらえただけで」

?「こんなにも暖かい気持ちになるなんてな」

ファイ「それが、おそらく」

ファイ「人の心なのでしょう」

その日、ハイラル城の地下で眠るマスターソードが光を失った。

同時に、魔王の怨念も消滅した。

数十万年の魔王と、精霊の命が終わりを告げた瞬間だった。

その翌年。

コログも森で、人の形をした生き物が生まれた。

青い瞳を宿したどこか不思議な女の子だという。

同じ年。

ゲルドの砂漠に男が生まれた。

赤い瞳を宿した、とてもやさしそうな男の子だったらしい。

おわり。

BOTWのガノンを見ていて、なんだか悲しい気持ちになって書きました。

妄想垂れ流しで申し訳ありません。読みづらくてごめんなさい。

読んでくれた方ありがとうございました。

おつおつ

確かリンクは毎回別人だけどガノンは同じ人なんだっけ?
気の毒だよな…クッパやデデデみたいに仲間になったりもしないし

>>80
シリーズ通して悲惨なキャラですよね
風タクガノンは報われたと思いたいけれど

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