【艦これ】甘々っくす (36)

マックスシュルツのss書いていきます。


タイトル変えて上げ直しました。
コメント下さった方、申し訳ありませんでした。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1490415050


提督「ふう・・・」

目を通し終えた書類をトントンと揃えて決済箱に入れる。
これで今日中にやっておかなければならない業務は全部片付いた。
時計をちらりと見やると19:00を回ったところだった。
いつもはもう少し遅くまで執務をしているが、今日はかわいいお客様との予定が控えているのだ、ほどほどのところで切り上げなければならない。

提督「そろそろ、かな」

秘書艦はすでに帰し、自分一人だけの執務室でつぶやく。
机の上を片付けぐーっと背筋を伸ばしていると、控えめに小さく執務室の扉を叩く音が聞こえた。


コンコン

提督「ん、どうぞ」

Z3「グーテンアーベン提督」

来訪者はドイツ生まれの駆逐艦『マックス・シュルツ』
ちょこんと顔をのぞかせたあと執務室に入ってくる。


Z3「どう、仕事は片付いた?」

提督「うん、たった今終わったところだよ」

Z3「ふーん。丁度いい時間に来れたみたいね」

提督「ああ、ナイスタイミングだ。今日も訓練に出撃にいろいろとご苦労様でした」

Z3「あなたこそ、朝から遅くまでお疲れ様」

提督「ふふっありがとう。さ、それじゃあ夕食にしようか」

Z3「ええ、楽しみにしていたわ」

そう頷くと二人連れだって執務室を後にする。
向かうのは泊地の一角に設けられている提督の私室。
今日は恒例となっている提督の手作り料理によるご飯会の日なのだ。
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Z3「ごちそうさま、今日もおいしかったわ」

提督「うん、お粗末様でした」

ちゃぶ台を挟んで向かい合ったマックスが手を合わせ礼を述べる。
来たばかりの頃はぎこちなかった日本式の食事マナーも今では板についており、とても自然な仕草でできている。
マックスは緑茶をすすりながらまったりと今日の食事の感想を述べる。

Z3「『キンピラゴボー』というのは今日初めて食べたけれど、ザクザクとした歯ごたえがとてもよかったわ」

提督「それは良かった。気に入ってくれたみたいで嬉しいよ。でも『煮魚』に『鍋』に『おでん』と、ここのところ和食ばっかりだね・・・」

Z3「あら、和食は好きよ。ここに来てから色々なおいしい日本料理を食べさせてもらったわ。肉がメインにならなくても食事が成り立つと言うのは当初は驚いたけれどとてもヘルシーでいいと思う」

提督「そう言ってくれると嬉しいね」


マックスの言葉を聞き安心したように提督は笑う。

提督「マックスは向こうではどんな料理が好きだったんだい?たまには君からリクエストを出してくれてもいいんだよ?」

Z3「あら嬉しい。あなたの料理はおいしいから不満はないのだけれど、そうね・・・リクエストしてもいいというのなら久しぶりにたっぷりの肉料理を食べたいわ。Schweinshaxeをお願いしてもいい?」

提督「シュバ・・・なんだって?」

Z3「『シュバイネハクセ』、ドイツ式の豚足よ。こっちの豚足は煮たものが多いけどドイツではローストするの。できるかしら?」

提督「ううーん、初めて聞いた料理だけど・・・マックスの頼みとあれば喜んで。頑張って腕を振るうよ」

Z3「ふふ・・・あなたが作るドイツ料理がどんなものになるのか期待してるわ」ニコッ


提督「それにしても・・・もう何度目だっけ、この食事会は?」

Z3「私たちドイツ艦が来てからほぼ毎週やっているし、不定期のものも含めたら・・・100回以上は軽くやっているんじゃないかしら」

提督「そっか、そんなにかぁ」

Z3「最初は私たちドイツ艦の親睦会として始めたのよね」

提督「そうだね。まぁ僕の趣味である手料理を振る舞うって思惑もあったけどさ。最初はマックス・レーベの二人きりだったなぁ」

Z3「ええ、そうだったわね」


当時を思い出し懐かしそうにマックスは目を細める。

提督「次第にビスマル子、プリン、ろーちゃん、グラ子ときてその度に歓迎会を開いたっけ」

Z3「ええ、そうね(マル子?グラ子?本人の前で呼んだら怒りそう・・・)」

提督「ゆーちゃんが改装を終えてろーちゃんになった時もお祝いやったなぁ。あれは改装祝いじゃなく新しい娘の歓迎会したようなもんだったね」

Z3「あの変わり様には私たちの方が驚いたわ。あれはすでに別人の域よ」

提督「あははは、その通りだ」


穏やかに笑い合いながら時間は過ぎてゆく。

提督「最近は他のメンバーも参加しなくなって二人の食事会ばかりだね」

Z3「私は静かに食事ができるから嫌いではないわ。あの人たちと一緒だと騒がしくて」

提督「そっか、他の娘がいなくてつまらないとかだったら悪いなと思ったけど・・・僕もマックスとだったら落ち着いて過ごせるから好きだよ」

Z3「すっ・・・!そ、そう、ふーん」

提督「さて、名残り惜しいけど明日も沢山やることがあるしそろそろお開きにしましょうか」

Z3「え、ええ。そうね」


若干目が泳いでいるマックスを微笑ましく眺めながら提督は食器の片付けを進める。
てきぱきと洗い物を済ませると、日付を跨ぐ前にマックスを送り出す。

提督「部屋まで送らなくて大丈夫?」

Z3「鎮守府の敷地内よ、なにも危なくなんてないわ。でも、ありがとう」

提督「うん」

そう言ってお互いに微笑み合うと別れのあいさつを交わす。
おやすみなさい、また明日、と。
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・・


Z3「提督、朝食の準備ができました」

提督「ああ、ありがとう。助かる」

Z3「今朝はホットケーキとコーヒーにしてみたわ」

提督「うん、おいしそうだ。頂くよ」

普段は提督の方が食事を振る舞うことが多いが、マックスが秘書官の日は朝、昼、夜と食事を作ってくれる。
近ごろは秘書官でない時でもわざわざ作りに来てくれることも多い。


提督「なんか最近は朝も昼もマックスの食事ばかり食べている気がするよ」

Z3「あら、私こそ夕食は提督が作ったものばかり食べている気がするわ」

提督「マックスの手料理はおいしいんだけど重いのが多くてね・・・。たまにはシンプルな和食の朝食なんかも・・・」

Z3「なに?なにか文句でも?」ギロリ

提督「イエ、ナンデモアリマセンヨー」

Z3「でも確かに毎回ドイツ料理は重いかも知れないわね。得意なものだけじゃなくあなた好みの食事も作れるよう努力するわ」

提督「そうしてもえると助かる。でも決してマックスの食事がまずいと言っているわけじゃないよ?君の作る料理はとってもおいしい」

Z3「ふふっ、わかっているわ。ありがとう」

提督「それに最初に比べれば加減もわかってきてると思うよ」

Z3「最初・・・どんなのだったかしら?」

提督「覚えてないかい?あの朝食はインパクトがあったなぁ・・・」


~着任当初~

Z3「提督、朝食の準備ができました」

提督「ああ用意してくれたのかい、ありがとう・・・って」

提督「・・・ウィンナー・チーズ・ライ麦パンにたっぷりのマカロニ・・・それとバームクーヘンか。・・・作ってくれたのはありがたいけど朝からずいぶんと重めだし量もあるねぇ」

Z3「提督の口に合わなかったでしょうか?そういえば『ニホンジン』は野菜と生魚が主食だったわね」

提督「なんだその情報・・・。確かに肉や乳製品より魚と大豆を中心に生きてきた民族だけどさぁ」

Z3「ふーん、そんな食事でよく体が持ちますね」

提督「(カチン)・・・ふむ、そんな食事とな?よかろう、では今度の休日に貴艦等ドイツ艦の親睦会と称して盛大に日本料理を振る舞おうではないか」

Z3「なに?親睦会?別に私たちにそんなの――」

提督「なに、遠慮することはない。たっぷり、じっくり心行くまで日本文化の奥深さを味合わせてやろうではないか・・・」クックックッ・・・

Z3「!?」ゾクッ

・・・・・


提督「・・・っていうやりとりがあったじゃないか。覚えてないかい?」

Z3「ふふっ、思い出したわ。歓迎会という名目で執務もせずみんなでどんちゃん騒ぎをしたわね。あの時はまさかあなた本人が料理を作ってくれるとは思わなかったけど」

提督「僕だけじゃないよ、間宮さんも鳳翔さんも大鯨ちゃんまで動員したんだから」

Z3「あれは数と料理の暴力・・・親睦会というより洗脳だったような気がするわ。おかげさまで日本料理が好きになれたのだけれど」

提督「良かった良かった。そういえばあの親睦会で納豆を出したときのマックスの表情は面白かったなぁ。この世の終わりみたいな顔して震えててさ」

Z3「もうっ、それは忘れてっ」ぽかぽか

提督「アハハハ・・・」




榛名「今日は榛名が秘書官なのですが・・・。いえ、目の前でイチャつかれていても榛名は大丈夫です・・・」濁り眼

とりあえずここまで。
続きができ次第どんどん投下していきます。

遅筆ですがお付き合いいただけたら嬉しいです。

・・・・・
・・・・
・・・
・・


提督「今日は甘いものを作ってみました」

Z3「驚いた。あなたお菓子も作れるの」

演習終わりに執務室へ顔を見せに来たマックスに提督は新作のスイーツを振る舞っていた。
マックスを椅子に座らせると提督はいそいそと冷凍庫からグラスに乗せられたアイスとおぼしきものを持ってくる。


提督「といっても家庭で作れる範囲のものだけどね。段々暖かくなってきたから今回は涼しげにチョコミントアイスにしてみたよ」

Z3「すごい。難しくはなかった?」

提督「ミントリキュールさえあればそんなに難しいものではないよ。まぁ執務の目を盗んで定期的に掻き混ぜるのに苦労したくらいかな」

Z3「クスクス、いけない指揮官ね。それじゃあ軍規を冒してまで作ってくれたアイス頂くわ」

提督「どうぞ召し上がってくださいませお嬢様」

提督は冗談めかして執事のように腰を折る。
おかしそうに笑いながらマックスは提督の作ったアイスを口に運ぶ。
口に含むと中で広がる爽やかな甘みに思わず頬がゆるみ、マックスは幸せそうに顔を綻ばせた。


Z3「ああおいしい。火照った身体に染み入るわ」

提督「喜んでもらえたようでよかったよ。ミント系の香りを嫌がる人もいるから好みじゃなかったらどうしようかと思った」

Z3「とてもいい出来よ。提督、ダンケシェーン」

提督「自信はあったけど味見をしていなかったからね。おいしいと言ってもらえて安心したよ」

Z3「ふーん、そう。・・・あっ」

提督「ん、どうかした?」

Z3「えっと・・・味見をしていないっていうのなら・・・。ほら、あ、あなたも一口どうかしら?」

提督「!?」


そう言うとさっきまで自身が使っていたスプーンでアイスをすくい、おずおずとこちらへ差し出してくる。
その顔が赤く見えるのは差し込んでいる西日のせいだけではないだろう。

提督「えっ、いやっ・・・その・・・。い、いいのかい?」

Z3「ほ、ほらっ早く食べて。溶けてこぼれてしまうわ」

若干潤んだ上目づかいでそんなセリフを言われたら提督も断れない。
恥ずかしさで震えるスプーンを、緊張に震える唇が迎え入れる。

提督「んっ・・・甘い、な・・・」

正直緊張のあまり味など分からなかったが、なんとなく照れ隠しでもごもごと答える。

Z3「ふふっ。人に出すものならちゃんと味見をしてから出して」

提督「ははっ、面目ない」

Z3「どう?おいしかったでしょう?」

提督「ああ、なんたってマックスが食べさせてくれたからな」

Z3「もうっ・・・」

赤くなって頬を膨らませるマックス。
それを見て楽しそうに提督も笑う。


提督「この出来なら上等だ。間宮アイスには敵わないだろうけど、少しでも君の疲れが癒せるのであればなによりだ」

Z3「ううん、間宮のよりもおいしいわ」

そう言って一旦言葉を切ると真っ直ぐと提督の目を見て伝える。

Z3「・・・・・・あなたが作ってくれたんだもの」

提督「はは・・・照れちゃうな、ありがとう」

Z3「ふふっ・・・」

提督「ははは・・・」

幸せそうにアイスを食べるマックス。
その姿を眺めている提督の顔はマックス以上に幸せそうな表情をしていた。

・・・・・







足柄「白昼堂々執務室で惚気るな・・・ッ!」ブチッブチッ

Z1「うわぁ、報告から戻らないから様子を見に来てみたら・・・秘書艦の足柄さんがオーガみたいな顔してソファーの背もたれを毟ってるぅ・・・」ブルブル
・・・・・
・・・・
・・・
・・


一旦ここまで。
また書き溜めたら投下します。

ここのマックスは表情筋ゆるゆる。
今更だけどキャラ崩壊注意です。

長らく間を空けてしまい申し訳ありません。
仕事と住処が変わりバタバタした中で更新ができませんでした。

また続きを書いていくのでお付き合い宜しくお願いします。


提督「ゴホッ・・・情けない・・・軍人ともあろうものが体調を崩すなど」

Z3「なに格好つけてるの。しかもインフルエンザ。執務が滞るから早く治してちょうだい」

季節の変わり目、日々の残業や心労が祟ったのか提督は体調を崩していた。
布団にくるまり冷えピタを張り、苦しそうにゴホゴホと咳をする。

提督「ごめんね、君には迷惑をかけるよ。僕がこんな体でなければ・・・」

Z3「それは言わない約束でしょ?・・・ってこんな茶番ができる元気があるなら大丈夫そうね」

提督「うん、少し前まで辛かったけど今は薬も飲んだしだいぶ楽になったよ」

Z3「ふーん、そう。なにか口には入れられそう?」

提督「あまり食欲はないけど・・・軽いものであれば」

Z3「わかったわ。少し待っていて」

そう言うと冷蔵庫へ向かいマックスはゼリーを持ってくる。


ベッドの横の椅子に座りぺリぺリと包装を剥がす。
そして蓋をあけると当然のようにスプーンで掬いゼリーを差し出してきた。

Z3「ほら、あーん」

提督「えっ」

Z3「なに?食べないの?」

提督「いやいや、流石に一人で食べられるよ」

Z3「でも病気の時はこうすると聞いたわ」

提督「・・・誰に?」

Z3「秋雲よ」

提督「・・・そうか」納得

Z3「いいから黙って食べなさい。それに前にもしてあげたでしょう?」


ずい、となおもゼリーを差し出してくるマックス。
恥ずかしさはあるが提督とて嫌なわけではない。
看病してくれている手前無下にもできず、促されるままゼリーを口にした。

提督「ん、恥ずかしい・・・」

Z3「なら早く治すことね。ほらまだあるわ、あーん」

平静を装っているがマックスも恥ずかしいのだろう。
なんでもない風でいながらその頬はわずかに赤らんでいる。
それでも給餌するのは止めず、ゼリーをちゃんと食べ終えるまで実に10回以上もマックスからの『あーん』は続いたのだった。


Z3「さて、食事は摂ったし水分は置いてあるし・・・他になにか必要なものはない?」

提督「うーん、特にはないけど・・・」

ゼリーを食べさせ終えるとマックスは提督の体を横にする。
提督はしばらく悩んでいたが、ふとなにかを思いついたように顔を上げる。

「そうだな・・・わがままを言わせてもらえるなら・・・僕が寝付くまで側にいて欲しい」

悪戯っぽく笑いながら要求を口にする提督。
ぴた、とマックスは動きを止める。
しばらく固まったまま思巡していたが、ため息を一つつくとベッドの横に腰掛ける。

Z3「本当に仕方のない人。大の大人が甘えて」

提督「病気の時は人肌恋しくなるものさ」

Z3「もう、さっきは恥ずかしいって言っていたのに」

呆れたように言うもののマックスは横になっている提督の手を握る。

Z3「しょうがないから寝るまでこうしててあげる」

提督「はは、また熱があがりそうだよ」

弱々しくしかし嬉しそうに提督は笑う。

マックスも微笑み返し、母が子にするように優しく語り掛ける。

Z3「そしたらまた私が看病するわ・・・今はゆっくりお休みなさい」

提督「うん・・・ありがとう」

安心したように静かに目を閉じる提督。
眠りに落ちるその間際まで、提督は自分の手を包む柔らかい感触を感じていた。

・・・・・





鹿島「私も提督さんの看病したいんだけどなー。お邪魔かなー」遠い目

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