【艦これ】テンションマックスな日々 (11)

マックス・シュルツのssを投稿していきます。
遅筆ですがお付き合いいただけると嬉しいです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1490345786


提督「ふう・・・」

目を通し終えた書類をトントンと揃えて決済箱に入れる。
これで今日中にやっておかなければならない業務は全部片付いた。
時計をちらりと見やると19:00を回ったところだった。
いつもはもう少し遅くまで執務をしているが、今日はかわいいお客様との予定が控えているのだ、ほどほどのところで切り上げなければならない。

提督「そろそろ、かな」

秘書艦はすでに帰し、自分一人だけの執務室でつぶやく。
机の上を片付けぐーっと背筋を伸ばしていると、控えめに小さく執務室の扉を叩く音が聞こえた。


コンコン

提督「ん、どうぞ」

Z3「グーテンアーベン提督」

来訪者はドイツ生まれの駆逐艦『マックス・シュルツ』
ちょこんと顔をのぞかせたあと執務室に入ってくる。


Z3「どう、仕事は片付いた?」

提督「うん、たった今終わったところだよ」

Z3「ふーん。丁度いい時間に来れたみたいね」

提督「ああ、ナイスタイミングだ。今日も訓練に出撃にいろいろとご苦労様でした」

Z3「あなたこそ、朝から遅くまでお疲れ様」

提督「ふふっありがとう。さ、それじゃあ夕食にしようか」

Z3「ええ、楽しみにしていたわ」

そう頷くと二人連れだって執務室を後にする。
向かうのは泊地の一角に設けられている提督の私室。
今日は恒例となっている提督の手作り料理によるご飯会の日なのだ。
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Z3「ごちそうさま、今日もおいしかったわ」

提督「うん、お粗末様でした」

ちゃぶ台を挟んで向かい合ったマックスが手を合わせ礼を述べる。
来たばかりの頃はぎこちなかった日本式の食事マナーも今では板についており、とても自然な仕草でできている。
マックスは緑茶をすすりながらまったりと今日の食事の感想を述べる。

Z3「『キンピラゴボー』というのは今日初めて食べたけれど、ザクザクとした歯ごたえがとてもよかったわ」

提督「それは良かった。気に入ってくれたみたいで嬉しいよ。でも『煮魚』に『鍋』に『おでん』と、ここのところ和食ばっかりだね・・・」

Z3「あら、和食は好きよ。ここに来てから色々なおいしい日本料理を食べさせてもらったわ。肉がメインにならなくても食事が成り立つと言うのは当初は驚いたけれどとてもヘルシーでいいと思う」

提督「そう言ってくれると嬉しいね」


マックスの言葉を聞き安心したように提督は笑う。

提督「マックスは向こうではどんな料理が好きだったんだい?たまには君からリクエストを出してくれてもいいんだよ?」

Z3「あら嬉しい。あなたの料理はおいしいから不満はないのだけれど、そうね・・・リクエストしてもいいというのなら久しぶりにたっぷりの肉料理を食べたいわ。Schweinshaxeをお願いしてもいい?」

提督「シュバ・・・なんだって?」

Z3「『シュバイネハクセ』、ドイツ式の豚足よ。こっちの豚足は煮たものが多いけどドイツではローストするの。できるかしら?」

提督「ううーん、初めて聞いた料理だけど・・・マックスの頼みとあれば喜んで。頑張って腕を振るうよ」

Z3「ふふ・・・あなたが作るドイツ料理がどんなものになるのか期待してるわ」ニコッ


提督「それにしても・・・もう何度目だっけ、この食事会は?」

Z3「私たちドイツ艦が来てからほぼ毎週やっているし、不定期のものも含めたら・・・100回以上は軽くやっているんじゃないかしら」

提督「そっか、そんなにかぁ」

Z3「最初は私たちドイツ艦の親睦会として始めたのよね」

提督「そうだね。まぁ僕の趣味である手料理を振る舞うって思惑もあったけどさ。最初はマックス・レーベの二人きりだったなぁ」

Z3「ええ、そうだったわね」


当時を思い出し懐かしそうにマックスは目を細める。

提督「次第にビスマル子、プリン、ろーちゃん、グラ子ときてその度に歓迎会を開いたっけ」

Z3「ええ、そうね(マル子?グラ子?本人の前で呼んだら怒りそう・・・)」

提督「ゆーちゃんが改装を終えてろーちゃんになった時もお祝いやったなぁ。あれは改装祝いじゃなく新しい娘の歓迎会したようなもんだったね」

Z3「あの変わり様には私たちの方が驚いたわ。あれはすでに別人の域よ」

提督「あははは、その通りだ」


穏やかに笑い合いながら時間は過ぎてゆく。

提督「最近は他のメンバーも参加しなくなって二人の食事会ばかりだね」

Z3「私は静かに食事ができるから嫌いではないわ。あの人たちと一緒だと騒がしくて」

提督「そっか、他の娘がいなくてつまらないとかだったら悪いなと思ったけど・・・僕もマックスとだったら落ち着いて過ごせるから好きだよ」

Z3「すっ・・・!そ、そう、ふーん」

提督「さて、名残り惜しいけど明日も沢山やることがあるしそろそろお開きにしましょうか」

Z3「え、ええ。そうね」


若干目が泳いでいるマックスを微笑ましく眺めながら提督は食器の片付けを進める。
てきぱきと洗い物を済ませると、日付を跨ぐ前にマックスを送り出す。

提督「部屋まで送らなくて大丈夫?」

Z3「鎮守府の敷地内よ、なにも危なくなんてないわ。でも、ありがとう」

提督「うん」

そう言ってお互いに微笑み合うと別れのあいさつを交わす。
おやすみなさい、また明日、と。
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