【艦これ】初霜「今日という日を輪形陣でお祝いしましょう!」 (27)

※今更ながら阿武隈さん進水日(三月十六日)記念SS(六日遅れ)



提督「阿武隈、今日は三月十六日だな」

阿武隈「ふえ? ええ、そうですね提督」

提督「それならお祝いしないといけないな」

阿武隈「お祝いですか? それはとっても嬉しいです!」

提督「そうか。喜んでもらえると嬉しいよ」

阿武隈「喜ばないわけないじゃないですか! 嬉しいに決まってます!」

提督「そうだな。誕生日のお祝いだからな。盛大に祝うぞ!」

阿武隈「はい! 今日はなんたって――」

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阿武隈「夕雲ちゃんと高波ちゃんの誕生日ですからね! 提督にお祝いされたら、きっと二人とも喜んでくれます!」

提督「……そう来たか」

阿武隈「ふえ? てーとく、どうしました?」

阿武隈「でも、ごめんね提督。あたしは夕雲型のみんなや、鎮守府の一部の人達でお祝いしてしまいました……」

提督「いやいや、仕方ないさ。タイミングが合わなかっただけさ」

提督「それに、ささやかながら夕雲と高波に私からもお祝いしたから、阿武隈が気にすることはなにもないよ」

阿武隈「そうだったんだね。提督、ありがとう」

提督「礼を言うのはこちらの方だろう。どこかのお節介な誰かさんが駆逐のみんなの誕生日を祝うのに、私が放っておくわけにいかないからな」

阿武隈「えっと……それってもしかしてあたしのこと?」

提督「阿武隈以外に誰がいるんだ、この律儀さん」

阿武隈「むー、良いじゃないですか別に」

提督「ははっ、悪かったよ。これでも感心してるんだ。ありがとうな、阿武隈。駆逐艦のみんなを気遣ってくれて」

阿武隈「いえ、別にあたしはそんな大したことはしてませんし」

提督「何を言ってるんだ、二人とも喜んでたんじゃないのか?」

阿武隈「そうだとあたしも、皆も嬉しいですねえ」

提督「二人ともどんな感じだった?」

阿武隈「はい、あたし達が作ってくれたケーキをおいしそうに食べてくれました!」

提督「阿武隈達が作ったケーキか、それはおいしそうだな」

阿武隈「磯風ちゃんが張り切って手伝ってくれましたし、上手に出来たと思います」

提督「磯風も本当に料理が上達したな。これも阿武隈や浦風、電達の指導の賜物だ」

阿武隈「電ちゃんも真剣に教えてくれてますからね、電ちゃんも浦風ちゃん達もすごいです!」

提督(本当に嬉しそうに電達を褒めるな、阿武隈は)

阿武隈「でも、お祝いの言葉を送ったんですけど……」

提督「どうした?」

阿武隈「なんだかすごい照れくさそうにしてました。どうしてでしょうか……?」

提督「……阿武隈のことだ、夕雲や高波の一年間頑張ったところとか成長したところとか書いて、皆の前で読み上げでもしたんじゃないか」

阿武隈「ふええ!? なんで提督知ってるんですかぁ!?」

提督「知らないけど予想できる」

阿武隈「ううっ、あたし何か間違えたんでしょうか……」

提督「そうだな、皆の前で……例えば五十鈴がだ。阿武隈を褒め称える文章を読み上げたらどう思う?」

阿武隈「恥ずかしいです! ……ちょっと嬉しいけど、でも恥ずかし過ぎます!」

提督「それと同じだ」

阿武隈「はう……でもあたしはともかく、夕雲ちゃんと高波ちゃんは本当に良い子だから恥ずかしがる必要なんてないと思うんですけど……」

提督「そういう問題じゃないからな」

阿武隈「そうでしょうか?」

提督「それはそうと、阿武隈。なにか忘れていると思わないか?」

阿武隈「忘れている、ですか? 特に思い当たりませんけど」

提督「今日は何の日?」

阿武隈「子日だよ!」

提督「お約束ありがとう。そうじゃなくてだな」

阿武隈「高波ちゃんと夕雲ちゃんの誕生日じゃないんですか?」

提督「それもそうだが、誰か忘れてないかい?」

阿武隈「だれかって……えっと」

提督「そうだ。今日はその二人だけじゃなく――」

コツン!

?「痛っ!」

阿武隈「……提督? 今何か声がしませんでした?」

提督「……いや、気のせいじゃないかな?」

阿武隈「いえ、たしかに今この棚から聞こえましたけど……」

ガチャ!

響「……」

阿武隈「……響ちゃん、そんなところに入ってなにしているの?」

響「……」モゾモゾ

響「ウラー」コロコロ

阿武隈「わっ、前転しながら出てきました」

提督「相変わらず無駄に器用な奴だな」

阿武隈「ふふっ、でもかわいいです」

響「響だよ。かくれんぼの上手さから、かくれんぼマスターの通り名もあるよ」キリッ

提督「誰が呼んでるんだその通り名」

響「話せば長くなるけど」

提督「だったら遠慮しておくよ」

響「あれは今から36万……いや、1万4000年前だったかな」

提督「おまえは何者だ」

響「……響だよ?」

阿武隈「響ちゃんは何歳?」

響「不死鳥に年齢の概念は存在しないさ」

提督「駄目だ会話が成立しねえ。最近ますますフリーダム振りに磨きがかかってやがる」

響「心外だね。私みたいな真面目な駆逐艦は他にいないよ」

阿武隈「えー? 響ちゃん、いっつもあたしの指示に斜め上の反応するじゃない」

響「っ!?」ガーン!

提督「私と阿武隈とでショックの大きさに差が有り過ぎるぞ」

響「まだまだ寒さが身に堪えるね……阿武隈さん、温めて欲しい」よじよじ

阿武隈「だからあたしの背中によじ登らないでくださいってば」

提督「傷つけられた相手に癒やしを求めるって、もうめちゃくちゃなんだが」

響「阿武隈さんエネルギーは恒常的、かつとても強いエネルギーだからね。暖房に治療くらいは朝飯前だよ」キラキラ

提督「大好きなお姉ちゃんにおんぶしてもらって、ご機嫌になってるってことだろう?」

響「司令官、その推察はかすりもしてないよ。私がおんぶくらいで喜ぶわけないじゃないか」ウキウキ

提督(ものすごく喜んでる……)

阿武隈(ものすごく嬉しそう……)

バンッ!

霞「あーもう! 響なにやってんのよ! せっかくのサプライズ計画が台無しじゃない!」

阿武隈「あれ? 霞ちゃん? なんでソファの下から出てきたの?」

響「ごめんね。でも霞もここで出てきたら駄目なんじゃないかな」

霞「あっ……もう! それもこれも全部響のせいよ!」

響「理不尽じゃないかな、いくらなんでも」

磯風「まったくなにやってる二人とも! ここまで上手く隠れていたというのに!」

初霜「磯風さんも出てきたら駄目です!」

霞「アンタもよ初霜!」

響「霞もね」

提督「そもそも最初に出てきたのは響だろう」

響「これが卵が先か、鶏が先かと言う奴か。哲学的だね」

阿武隈「全然違います」

霞「はあ、もうこうなったら仕方ないわ! みんな、出てきなさい!」

阿武隈「……みんな?」

ガタッ! ゴトゴト! バサッ!

阿武隈「ふえっ!? 部屋中から音がします!?」

雷「じゃーん! カミナリじゃないわ、雷よ! そこんとこもよろしく頼むわね!」

阿武隈「って雷ちゃん?」

雷「雷だけじゃないわ! 他にも沢山居るわ!」

子日「やっほい! ねのひっだよー!」

若葉「若葉だ」

初春「初春じゃ! 今日のわらわの舞は一段と冴え渡っておるぞ」

白露「いっちばーん! 今日はいっちばーんハイテンションだよ!」

時雨「今日ばかりは白露に負けてられないね。いっちばーん!」

村雨「はいはーい、今日は村雨もハイテンションでいくわよ!」

夕立「ぽいぽいぽーい! 今日はお祝いっぽい!」

春雨「ふふっ、みなさんとても楽しそう……もちろん春雨もですよ!」

五月雨「はい、五月雨も頑張っちゃいますから!」

海風「そうですね……月日が経つのは早いものです。だからこそ、祝い事は大切にしたいですね」

山風「おかーさん、来たよ……」

阿武隈「だからお母さんじゃないんですけど」

山風「……おかーさんはおかーさんだよ?」

阿武隈「えへへ、まったくしょうがないですねえ」ナデナデ

山風「んー」

江風「ねむ……ま、今日くらいは昼寝してるわけにもいかねえもンな」

涼風「やあやあ、おめっとさん! あたいも来たぜー!」

阿武隈「えっと……初春型と白露型のみんな? 一体どうしたの?」

霞「はあ……その様子だと、気づいてないみたいね」

漣「まったく。自分のことになると無頓着なんですから、この人は」

曙「ほんと、バカじゃないの?」

阿武隈「霞ちゃん達も……ううっ、しかもなんだか色々言われてるんですけど」

潮「曙ちゃん、そんなに言わなくても……もう」

朧「曙は照れくさいだけだから」

夕雲「あらあら、もう少し素直になってみてはどうかしら?」

風雲「あんたら、こんな日にまでひねたこと言ってちゃ駄目よ。ちょっとは素直になりなさいよ」

浦風「そうそう、今日くらいは素直にお祝いせんとあかんよ」

浜風「既に準備は万全です、磯風」

磯風「ああ、磯風にも抜かりはない」

谷風「そいつは素敵だねぇ!」

暁「一人前のレディーたる暁が取りまとめをしたんだから、当然ってことよね!」えっへん!

島風「島風だってお手伝いしたんだよ! ねっおねーちゃん!」

阿武隈「えへへ、島風ちゃんもなにか頑張ったの? なにしてくれたのかな?」

島風「それはね……にひひ、まだ秘密だよ!」

阿武隈「あはは、そうなんだ」

朝雲「もう、島風ってば。半分答え言ってるようなものじゃないの」

不知火「まあ良いでしょう。サプライズはもう失敗したようなものですし、ここは真っ向勝負です」

秋雲「おー、ここまで駆逐艦が揃うと壮観だねえ。スケッチしたーい!」

長波「はいはい、それは後にしとけよ秋雲」

初霜「ふふ、これだけいれば十分だわ! これでいけるわ電!」

電「これならいけるのです、初霜ちゃん!」

霞「アンタ達、やたらノリが良いわね」

初春「そして仲も良いのう。初霜に親友ができてなによりじゃ」

電「みなさん、フォーメーションサークルなのです! 整列なのです!」

電「今日は電が臨時旗艦なのです! みなさん従ってくださいなのです!」

電「あっ、なんだか阿武隈さんのように第一水雷戦隊の旗艦になった気分で素敵なのです!」

電「みなさん、電の指示に従ってください!」

ワーワー! ザワザワ―― ドタドタ!

電「あの……」

いっちばーん! いっちばーん! 主砲も魚雷もあるんだよー! うう、なんでー!?

電「ううっ、従ってくださーいぃ!」

雷「電、そこまで阿武隈さんの再現しなくてもいいのよ?」

阿武隈「雷ちゃん、それどういう意味かな?」

若葉「仕方ない、阿武隈さん。例の言葉を」

阿武隈「仕方ないなあ……みんな! 静かにしないとおやつ抜きです!」

響「!?」

子日「お」

浜風「や」

涼風「つ」

谷風「抜」

不知火「き」

漣「ですってぇーっ!?」

山風「てーへんだてーへんだ……」

電「みなさん、迅速に整列なのです!」

「「「了解!」」」」

ザッ!

暁「整列完了! 欠員なし、全員いるわ!」

阿武隈「わっ! みんなすごいです! とても素早くて綺麗な整列だったね!」

不知火「不知火達にかかれば、これくらい当然です」

風雲「あんたらおやつに情熱を傾け過ぎよ……」

響「阿武隈さんのおやつはおいしいからね、仕方ないさ」

阿武隈「ところでみんなして隠れながら集まって、一体何があったんですか? そもそも誰がこんなことを?」

提督「私だ」

阿武隈「提督だったのぉ!? なんでこんなことをしたんですか!?」

提督「元々は合図と同時に一斉に出て、阿武隈を驚かせようと思ったんだがな」

浦風「誰かさんがおっちょこちょいじゃったのう」

響「まったく、そいつは困った駆逐艦だね」

潮「えっと……」

不知火「潮、そこははっきりツッコミしても良いですよ」

電「みなさん、話は後なのです!」

初霜「ええ、皆さん、今日という日を輪形陣でお祝いしましょう!」

霞「そうね。電! 号令をかけなさい!」

電「了解なのです! 皆さん、手はず通りに輪形陣になるのです!」

初春「了解じゃ!」

初霜「水雷戦隊の本来の力、今こそ発揮です!」バッ!

白露「おっけー! 準備完了だよ!」

初霜「ええ、それじゃせーのー!」



「「「阿武隈さん、お誕生日おめでとう!」」」

阿武隈「え……えええええ!?」

曙「あきれた……なに思いっきり予想外の反応してるわけ?」

長波「まさか自分の進水日を忘れてたのか……?」

電「阿武隈さんに限ってそれはないのです」

阿武隈「いえ、当然覚えてますけど、まさかこんな風に祝ってもらえるなんて思ってなくて……」

阿武隈「えっと……ありがとうね。本当に嬉しいです!」

五十鈴「ほらほら、阿武隈ってばちょっとはしゃぎすぎよ」

由良「ふふっ。良いんじゃない? ここまで多くの子達に祝ってもらうなんて、とっても素敵でしょ? ねっ?」

長良「そうそう、阿武隈良かったね!」

阿武隈「ふえっ!? お姉ちゃん達まで!?」

五十鈴「なにビックリしているのよ。妹の誕生日を祝いにきてなにか悪いの?」

阿武隈「そんなことないです。とっても嬉しいな」

鬼怒「まったく、五十鈴姉ってば素直じゃないなー。一番阿武隈をお祝いしたそうにしてたじゃん!」

五十鈴「そ、そんなわけないでしょ!?」

名取「もう五十鈴姉ってば意地っ張りなんだから……阿武隈ちゃん、おめでとう」

阿武隈「みんな……本当にありがとうね」

磯風「まあ、そもそもだな。師匠は磯風達の誕生日をちゃんと覚えて祝ってくれてるんだ」

磯風「それで自分の誕生日をお祝いされて、そこまで意外に思うのはどういうことだ?」

暁「まったくよ、阿武隈さんのお祝いをするためにみんな協力してくれたんだから!」

蒼龍「そうそう! 一水戦には護衛や遠征、色々とお世話になってるしね!」

赤城「当然、阿武隈さん自身にも普段から頼りにさせてもらってますから。少しでもお返しできればと」

金剛「Yes! 阿武隈! コングラチュレーションデース!」

阿武隈「蒼龍さんに赤城さん、金剛さんまで……」

金剛「ここは盛大にお祝いしまショ! 阿武隈はなにがしたいデース!? パーティーゲーム!? ビンゴ!? 歌を歌うのも楽しそうデス! そうデス! お祝いの言葉を用意してきました! あ、でもその前に――」

ビスマルク「はいはい、そこまでにしなさい金剛」

金剛「Oh! ちょっとハイテンションになりすぎてしまったデス!」

熊野「まったく、そこまではしゃいでいたら、阿武隈が驚いてしまいますわよ」

阿武隈「いえ。そこまで言ってくれて、本当に嬉しいです!」

鈴谷「ほんと、阿武隈ってばぽやぽやしてるよねー」

阿武隈「むー! あたしぽやぽやなんてしてません!」

蒼龍「え?」

ビスマルク「え?」

霞「え?」

赤城「え?」

金剛「What?」

阿武隈「ちょっとその反応どういう意味ですか!? しかも赤城さんまで!」

赤城「ふふっ、冗談です」

阿武隈「もー!」

不知火「ところで霞。阿武隈さんに渡すものがあるのでは?」

阿武隈「ふえ? そうなの?」

霞「ちょっと!? いきなりなに言い出すのよ!」

初霜「ふふっ、霞。恥ずかしがる必要なんてないじゃない」

若葉「その通り。心配するな。大丈夫だ!」

霞「ったく……分かったわよ。はいこれ」

阿武隈「これは……? 手紙?」

霞「ええ、その通りよ」

電「お礼とお祝いの言葉を書いたのです!」

阿武隈「わあ、ありがとう! とても嬉しいな」

雷「霞だけじゃなくて、雷達も書いたのよ!」

初春「その通りじゃ! わらわも一筆添えたのじゃ!」

阿武隈「みんな……ひっく、ありがとう」

五十鈴「あーもう、それくらいのことで泣いてんじゃないわよ。本当、まだまだお子様ねえ」

阿武隈「だって……すっごく嬉しくて」


曙「ふんっ、泣いてられるのも今のうちよ!」

時雨「ふふ……曙の言うとおりさ。ここからは復習の時間だよ」

夕立「えー? 復習いやっぽい」

白露「時雨、復習じゃなくて復讐だよ」

涼風「なんで漢字の間違いを認識してんだよおまえら……」

時雨「甘いね姉さん。これは僕のちょっとした佐世保ジョークさ」

白露「だから佐世保ジョークってなに!?」

阿武隈「え? 復讐?」

白露「その通り! さあ、やっちゃって霞!」

霞「そうね! 阿武隈さん覚悟しなさい!」バッ!

阿武隈「えっと……手紙広げてどうしたの?」

霞「『とっても優しくて、頼りになる阿武隈さんへ』」

阿武隈「……ふえ?」

霞「『阿武隈さんはいつもとっても優しいです。この前も、訓練中に上手くできなかった不知火に、訓練が終わった後つきっきりで教えてくれました』」

阿武隈「えっ!? いきなりなに!?」

不知火「霞……不知火がなにか落ち度でも?」

霞『「他にも、ニンジンが苦手な響に、ニンジンを食べてもらうためにキャロットケーキを作ってあげていました。とても優しい人です」』

響「……そんな恥ずかしいこと暴露しないでくれないかな」

暁「何を今更。大体の人は知ってるわよ」

霞「『いっちばーん! ってはしゃぎ過ぎて、怪我した白露を優しく手当してくれたこともあります。とても親切で気が利く人です』」

阿武隈「ふえええええ!? 恥ずかしいです霞ちゃんもうやめてー!」

霞「やめるもんですか! このまえ霞の進水日に『この一年で霞ちゃんの頑張ったところ』なんて、いろいろとこっぱずかしいメッセージをみんなの前で暴露した報いを受けなさい!」

曙「そうよそうよ! 私も霞と同じように散々恥ずかしい目に遭わされたんだから、アンタも同じ目に遭いなさい!」

時雨「その通りさ。これは僕達の復讐だよ、阿武隈さん」

潮(これ、霞ちゃん達も余計に恥ずかしいんじゃないかなあ……)


神通「そのメッセージ、待ってください!」バンッ!

阿武隈「神通!? いきなりどうしたの!?」

神通「先ほどの一糸乱れぬ、素早い整列。そして駆逐の子達からの信頼……さすが阿武隈です」

阿武隈「あ、えっと……ありがとう」

神通「私も普段から阿武隈にお世話になってますし、ぜひお祝いさせてください」

阿武隈「え? いいの?」

神通「ええ、もちろんです……」トコトコ

阿武隈「ありがとう、じんつ――」

神通「はい、捕まえました」ガシッ

阿武隈「う……はい?」

神通「さあ霞さん、これで阿武隈は逃げることも耳を塞ぐこともできません。存分にメッセージを読み上げてください」

阿武隈「神通ぅーっ!?」

霞「分かったわ! 阿武隈さん、存分にこっぱずかしい思いを味わいなさい!」

阿武隈「霞ちゃんお願いだからやめてぇ!?」

神通「駆逐の子達に真っ正面に向かい合い、優しく包み込むのが私の尊敬する阿武隈です。だから逃げずに立ち向かってください」

阿武隈「そう言ってくれるのは嬉しいけど、これはなにか違うと思うんですけど!?」

電「は、はわわわわ! 阿武隈さんが困っているのです! 助けないといけないのです!」

雷「だめよ電! これは霞達なりの阿武隈さんへのお祝いなのよ! 邪魔をしてはいけないわ!」

初霜「……そうなのでしょうか?」

由良「ふふっ、照れてる阿武隈ちゃんもかわいい。写真撮るからこっち向いてねっ、ねっ」

五十鈴「由良……捕まってるのにこっち向けるわけないでしょ」

阿武隈「写真撮ってないで助けてくださいっ!?」

提督「あはは、阿武隈は慕われているなあ」

磯風「ああ、さすがは師匠だな」

赤城「ええ、それでこそ阿武隈さんですね」

阿武隈「絶対これ慕われているのとは違いますーっ!?」

暁「レディーとして見習いたいわ!」キラキラ

時雨「暁、本気なの……?」


おまけ 『若葉ちゃんの進水日(三月十八日)』

初霜「若葉、おめでとう!」

電「おめでとうなのです!」

若葉「……? どうした? なにがあった」

初春「おぬし、ひょっとして分からぬのか?」

若葉「……?」きょとん

子日「もう、今日は若葉ちゃんの誕生日でしょ?」

若葉「ああ、そういえばそうだったな……で、なにかあったのか?」

阿武隈「当然、みんなでお祝いです!」

磯風「その通りだ。今日は若葉のお祝いをするぞ!」

磯風「当然料理も作ったぞ! 事前に若葉の好物もリサーチ済みだ!」

若葉「別に必要ないのだが……」

阿武隈「そんなことないよ、若葉ちゃん」

提督「その通りだ。進水日といえば、若葉達にとっては誕生日と同じようなものだろう」

提督「こうして私達の鎮守府に来てくれて、共に戦い、生活してくれているんだ。だから誕生日は大切にしないとな」

若葉「……そういうものか」


暁「そういうものよ! レディーとして若葉のお祝いのまとめ役はしっかり務めるわ!」

若葉「そうか。それは安心だな」

暁「ふふっ、暁に任せて!」

風雲「料理も楽しみにしてなさい。ほとんど毎日、だれかの誕生日にあたる以上あんまり豪勢にはできなかったけどね。それでも若葉の好きなもの作ったわよ」

若葉「ふっ……なんだかいいな」

初霜「若葉?」

若葉「以前は休んでいるときなんて、常に落ち着かなくてそわそわしてた」

若葉「食事も栄養補給程度にしか考えてなく、二十四時間働くことしか考えてなかった」

若葉「それがどうだ。今やこうして誕生日を祝ってもらって、風雲や磯風の料理を楽しみにしている始末だ」

若葉「以前の若葉には戻れそうにない」

提督「ははは。良いことじゃないか」

若葉「この鎮守府の雰囲気に完全に毒された。はっきり言うが、ちょっとほのぼのしすぎだ。提督、この責任をどう取ってくれるんだ?」

提督「それでなんで私のせいになる?」

若葉「鎮守府のトップが何を言う」

提督「さてなんのことかな」

若葉「白々しいぞ」

提督「そうだな。かく言う私も、阿武隈の影響をだいぶ受けていると思う。よって阿武隈の責任としよう」

阿武隈「理不尽なんですけど!? 上司の責任転嫁には断固反対です!」

提督「もちろん冗談だ」


初霜「それじゃあみなさん! 今日という日を輪形陣でお祝いしましょう!」

若葉「……え?」

電「なのです!」

磯風「この磯風に任せてもらおうか!」

白露「いっちばーん!」

時雨「いっちばーん」

村雨「はいはーい!」

夕立「ぽーい!」

子日「子日達もいっくよー! ねっ、ぬいぬい!」

不知火「ぬいぬいと呼ぶのやめて」

五月雨「はい、五月雨も頑張っちゃいますから!」

若葉「恥ずかしいからやらなくていいぞ!?」

雷「えー」

谷風「えー」

時雨「若葉、君には失望したよ」

若葉「理不尽すぎるぞ」

響「……さて、輪形陣をやるとしようか」

若葉「続行しようとしなくていい」


これで終わりです。大幅に期日に遅れてしまい、すみません。
仕事で帰宅が日付変わった時間になることが続いております……

ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。

なのですなのですスーパー乙なのです

あぶぅを返せ!あぶぅを返せ!

乙とコメントをくださった方、読んで頂いた方々、ありがとうございます。
とても励みになります。少しでも阿武隈好きな提督さんが増えると嬉しいですね。いつかかっこいい一水戦阿武隈さんを書いてみたいです。

>>22
電「覚えられているのです!?」

>>23
阿武隈「返せと言われましても……」

どうすれば響ちゃんによじ登ってもらえますか?

хорошо!

>>25
由良「そうね。まずなぜ阿武隈ちゃんが響ちゃんに懐かれているのか、それがポイントよ。阿武隈ちゃんの優しそうで隙がありつつも、いざというときは頼りになる、そんなオーラと響ちゃん達を思いやる阿武隈ちゃんの心が、響ちゃん達を引き寄せるのよ」

五十鈴「「由良、あなた何言ってるの?」

>>26
Спасибо

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