ユート「その日の朝」(13)


※融合次元が来る前の平和なエクシーズ次元でのお話です。


ユートの部屋……

瑠璃「朝よ。起きて、ユート」

ユート「…………」

瑠璃「朝御飯の準備は出来てるわ。早く起きないと食べる時間がなくなっちゃうわよ?」

ユート「…………」


瑠璃「ユート」

ユート「……後、5分」

瑠璃「そんな事言って。5分経ったら後3分、3分経ったら後1分、そんな感じで伸ばす気でしょ? もうその手には乗らないわよ」

ユート「眠いんだ……頼むからもう少し……」

瑠璃「眠いのは夜更かししたからじゃないの? どうせまた夜遅くまでデッキを弄っていたのでしょう、自業自得よ」

ユート「…………」


瑠璃「だから寝ないでって。このままだと朝御飯食べれないどころか学校にも遅刻しちゃうよ?」

ユート「…………」

瑠璃「聞いてますか、ユート? おーい、もしもーし」

ユート「…………」

瑠璃「むぅ、なら最後の手段ね」

ユート「…………」

瑠璃「起きないと……キスしちゃうよ?」


ユート「……分かったよ」

瑠璃「え? ちょっと、何でそんなにすんなり起きるのよ?」

ユート「起きろと言ったのは君の方だろ?」

瑠璃「確かにそうだけど……」

ユート「なら問題ないだろ」


瑠璃「……嫌なの?」

ユート「何が?」

瑠璃「その、私にキスされるの嫌なの?」

ユート「……少なくとも寝込みを襲われるのは御免だな」

瑠璃「そんな人聞きの悪い言い方しないでよ。ユートが中々起きないのが悪いんだから」

ユート「それはすまないな。しかしだからと言ってあんな事を言うのは関心しない。相手によっては誤解するぞ」


瑠璃「私だってこんな事言う相手は選ぶわよ。ユートと兄さん以外ならもっと普通に起こしますから」

ユート「なら今度から俺を起こす時も普通でいいよ」

瑠璃「何だかユート、最近ちょっと意地悪になってない?」

ユート「君も1年前に会った頃と比べて随分変った気がするが……昔はもう少しお淑やかだった」

瑠璃「ちょっと、今はお淑やかじゃなくてお転婆とでも言うの?」

ユート「誰もそこまでとは言わないけど……バレンタインの後からやたらグイグイ来る様になったというか……」


瑠璃「もういいわ。後でデニスに言いつけるから」

ユート「誰だよそれ?」

瑠璃「気になる?」

ユート「いや、そこまでは……」

瑠璃「むぅ、じゃあ教えません。それより起きたなら早くリビングに来てね。誰かさんのせいで遅れた朝食を始めるから」

ユート「分かった。じゃあ悪いが部屋から出てくれないか」


瑠璃「そう言ってまた寝るんじゃないの?」

ユート「着替えるんだよ。瑠璃が気にしないなら別に居てもいいけど?」

瑠璃「……ユートの変態」

ユート「じゃあ先に行って待っていてくれ……ああ、瑠璃」

瑠璃「何?」

ユート「おはよう。今日もよい1日を」

瑠璃「…………」



――彼女と会って1年


――その間に色々と変化した事もあるけれど


瑠璃「おはようございます。今日もよい1日を」


――俺に向けてくれるその笑顔は、今日も変わらない


――これから先もその笑顔が続けばいいと


――この毎日が続けばいいと、俺は思った






<アカデミア進行3時間前>


今回でこのシリーズは完結です。読んでくれた人ありがとうございました。

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