梨子「コスプレ……?」 (16)

千歌『曜ちゃん、似合ってるかな?』

曜『すっごく似合ってるであります、高海船長!』

千歌『えへへー、そう? こほんっ、ならば渡辺航海士! 私たちだけの世界に向かって舵を取れー!』

曜『え、ええッ!?』

千歌『ほら、返事!』

曜『よ……』



………



曜「ヨーソロー! ………あ、ゆ、夢……?」

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曜「壁ドン……?」

曜「壁クイ……?」

千歌「ハグ……しよ?」

の続きものです。
まったり進行です。

梨子「おはよう」

千歌「あ、梨子ちゃんおはよー!」

曜「…………」ガリガリガリガリ

梨子「……どうしたの?」

千歌「それがね、次の衣装案が浮かびそうだからって教室着いてからずーっとあんな感じなの」

梨子「目の下のクマがすごいんだけど」

千歌「夜中に起きてからずっと考えてたんだって。すごいよね」

梨子「鬼気迫るってあんな感じなのかしら……。私も作曲してる時は人のこと言えないけど」

曜「うーん……。違う! これじゃない!」グシャッ、ポイ

梨子「よ、曜ちゃん? ライブまでまだあるんだからそんなに切羽詰まらなくても……」

曜「……あれ? 梨子ちゃんおはよー」

梨子「え、あ。うん? おはよう? 曜ちゃん?」

曜「あのね、頭のこの辺まで出てきてるんだ! もう少し待ってて!」

梨子「あ、はい」

千歌「こうなった曜ちゃんは止められないからそっとしとこう?」

梨子「このくらいのやる気を歌詞担当の人にも見せてほしいんだけどなー」

千歌「ぎくっ。わ、私も見えないところで頑張ってるから! あ、あはは……」

梨子「じゃあ次は期日までに一人で仕上げられるのよね?」

千歌「ごめんなさいもしもの時はご協力お願いします」

梨子「もう……。それにしても机の周りが散らかっちゃってるわね。よいしょ……」

千歌「どれどれ……。わあ! 可愛い衣装!」

梨子「ほんと。これだって充分可愛いのに。あ、こっちのも可愛い……あれ?」

千歌「こっちは……あはは、船員さんっぽい。曜ちゃんらしいや」

梨子(あれ、気のせいかな?)

千歌「うわ、こっちはナースだ! もーっ。曜ちゃん趣味取り込みすぎだよー」

梨子(モデルが千歌ちゃんなのはいつもの事だけど、なんだかこれ衣装というか……)

曜「むー……。やっぱりフリルかな。でも手抜きっぽくなっちゃうし……」

梨子(コスプレさせてるだけなような……)

梨子(そういえば最近壁クイやハグとかで忘れてたけど、元々曜ちゃんの趣味って……)

曜「エポーレットつけて制服感を増すか……。でも対色の青を主体にするならいっそ水玉系に……」

梨子「曜ちゃん」

曜「うん? ごめん、もうちょっとだから」

千歌「うおお、あぶないみずきだ……」

梨子「夢の中の千歌ちゃんはどんな服を着てたの?」コソッ

曜「え? えーとねぇ、ベーシックな感じの水兵ふ……く……」

梨子「曜ちゃん」

曜「は、はい」

梨子「放課後」

曜「よ、ヨーソロー……」

梨子「千歌ちゃん」

千歌「ふぇ? どうかした?」

梨子「明日までに歌詞書き上げてきてね」

千歌「いきなりなんの拷問!?」

りこんち!

梨子「千歌ちゃんは足止めしてるから今日は心置きなく話せるわね」

曜「なんだか最近用意周到ぶりに磨きがかかったような気がするのは気のせいでしょうか」

梨子「そんな事はどうでもいいの。それより曜ちゃん? 私前に言ったわよね?」

曜「な、なんの事だからさっぱり……」

梨子「節操が! 無くなってるって!」

曜「ごめんなさいごめんなさい自覚はしてます本当にごめんなさい」

梨子「はあ……。せっかく壁クイを語れる友達が出来ると思ったのに……」

曜「それに関しては梨子ちゃんも節操がな」
梨子「なにか言った?」

曜「ごめんなさいなんでもありません……」

梨子「それで? 今回は初心に返ってコスプレ?」

曜「こ、コスプレじゃなくて夢の中の千歌ちゃんが嬉しそうに着てたから一番似合う制服を作ってあげたくなって」

梨子「見たくなっての間違いじゃなく?」

曜「そ、それは……。た、多少私にも欲がなかったかと言えば嘘になりますがその……」

梨子「それにしてもコスプレね……。私そういうのは疎いから今回は相談に乗れないかな」

曜「大丈夫です自分で解決します……。というか梨子ちゃんさっきからコスプレって言ってるけどさ」

梨子「え?」

曜「コスプレじゃなくてどんな制服が千歌ちゃんに似合うかっていうのが大事なんだよ? 分かってる?」

梨子「え、ええ?」

曜「あのね、単なる着せ替えだけなら千歌ちゃんは喜んでやってくれるよ? そうじゃないの。私が求めてるのは千歌ちゃんに似合う制服なの!」

梨子(し、しまった!)

曜「ベーシックな水兵服も凄く似合うけど、千歌ちゃんをメインとするならやっぱりオレンジがよく映える青色をベースにした制服にしたいんだよね。例えば青ジャンの時の衣装とか自分でも会心の出来だったんだー。淡い水色が千歌ちゃんの存在感を引き立ててくれてさ。もちろんみんなにも合うように細かいところの色合いを変えてみたりね。そりゃ白やオレンジも千歌ちゃんに似合うから大体の衣装はそうしてるけど。でもやっぱりここ一番は濃いめの青にしたいよね! 凛々しさも増すから千歌ちゃんのリーダーシップぶりを引き立てるしそこに大胆に白を入れて純粋なところを含ませてさらに赤なんかも足して色合いを強くーー」

梨子(曜ちゃんはコスプレイヤーじゃない! 制服マニアだった!)

曜「ただ服に何色も混ぜるとアンバランスになっちゃうからツーカラーくらいに抑えたいんだよね。その分小物に赤や黒みたいな強い色を入れて強調させてみたり。いや待ってそれならチェックにするのもありかな相性良いし! 上をオレンジに合う色合いで決めてスカートを赤黒チェック。でもそれなら上半身にも小物で入れなきゃキツくなるよね!」

梨子「そ、そうね」

曜「んーでもあからさま過ぎたら悪目立ちしそうだしあんまり範囲は取りたくないからなぁ。それなら胸ポケットつけてそこだけ色を……いやこれじゃさすがに少なすぎるしそうだネクタイなんてどうかな!? 仕事用の制服をモチーフにするならネクタイは必須だよすっかり忘れてたなぁ。それをちょっとアレンジしてリボンっぽくして可愛さも補わせてかつ正統性をーー」

梨子(私も語りだしたら止まらないもの。いつもと逆なだけじゃない。曜ちゃんは黙ってちゃんと聞いてくれてるんだから私もちゃんと耐えないと。で、でも……)

「職業制服と言えばやっぱり船員さんやキャビンアテンダントさん。看護師さんだって捨てがたいしなぁ。あ、でも青なら警察官がベターかな。そういやバスや新幹線の乗務員さんの制服も青が映えそうだし、ううんやっぱり一概にどれがいいかは決めきれないよねぇ……。それか混ぜてみる? でも下手に混ぜたら違和感が強くなってテーマがわからなくーー」

梨子(この暴走列車曜ちゃんは本当に止まるのかしら……)

曜「ねえ梨子ちゃんはどんなのがいい?」

梨子「え、えっと……。私は……」

曜「うんうん!」

梨子(……思いつかない!? 頑張って梨子こんな事態乗り越えてきたじゃない!)

曜「……わかるよ」

梨子「……へっ?」

曜「千歌ちゃんなんでも似合っちゃうもんねだから簡単には浮かばないのは仕方ないって!」

梨子「そ、そうね」

曜「ああー……早く答えを出して千歌ちゃんに一番似合う制服着てもらいたいなぁ……。やっぱり個人的には元気な千歌ちゃんが船員さんの制服着てはしゃぐ姿も見たいけど乗務員さんみたいな制服着て大人な感じも捨てがたいし……」



ガラッ

千歌「どっちがいいの?」

曜「」

梨子(あっ)

曜(ちょっと梨子ちゃん足止めしてたんじゃないの!?)

梨子「ち、千歌ちゃん? 歌詞は書き上がったの?」

千歌「一日でなんて無理だよ! ということで手伝ってもらおうかなーって」

曜(そうだよねそりゃそうだよねちょっと考えたらそうなることも分かってたよねどうするの梨子ちゃん!)

梨子(ファミチキたべたい)

曜(現実逃避するなーッ!)

千歌「曜ちゃん」

曜「は、はひっ!」

千歌「ライブの衣装決めるんじゃなかったの?」

曜「も、もちろんそれがメインなんだけど、ほら。あの。ほら……。梨子ちゃんとね? 千歌ちゃんはどんなのが似合うかなーって話になってね? それでね?」

千歌「ふーん……」

梨子(あ、疑ってる千歌ちゃんの目もいいなー……)

曜(確かに……じゃなくて助けて!)

梨子(!?)

梨子「あ、あのね千歌ちゃん」

千歌「今曜ちゃんと話してるから」

梨子「あ、はい。ごめんなさい」

曜「」

千歌「……もう。大体そんなこと悩んでるなら早く言ってくれたらいいのに」

曜「い、いやその悩んでたわけじゃなく制作中の息抜きがてらの他愛ない話でして……」

千歌「あ、そうなの? なーんだ」

曜(ほっ……)






千歌「曜ちゃんが望む制服いくらでも着てあげようと思ってたのに」

曜「」

梨子「ほんと!?」

千歌「なんで梨子ちゃんのテンション上がってるの……」

千歌「それで? どうするの曜ちゃん」

曜「ほ、本当にいいのでありますか?」

千歌「うんっ! 曜ちゃんにはいっつも衣装頑張ってもらってるし、見本になるくらいならいつでも手伝うよ!」

曜「あ、ああ……」

梨子「話が決まったみたいだしどうしよっか? 着替えるなら曜ちゃんの家に行った方がいいよね?」

千歌「なんでカメラ持ってるの?」

梨子「キニシナイデ」

千歌「あ、でも曜ちゃん! あのあぶないみずきみたいなのは駄目だからね!」

曜「も、もちろんであります!」





千歌「……ふたりきりの時ならいいけどね」ボソッ

曜「」

梨子「」





その日の夜、渡辺宅では歓喜の声とシャッター音が鳴り響いた。







かもしれない。おわりん。

HPTの衣装が凄く千歌ちゃんに合ってると思って久し振りに書きました。相変わらず誰だこれ。

お目汚し失礼しました。

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