紗希

饒舌になった

桂利奈「まず紗希が饒舌になったらしいから行ってみよー！」

優花里「もう、強引だなあ！！」

沙織「えっ、ちょっと待って、紗希ちゃんと卒ぎょおああーー！」

優花里「こらっ！桂利奈ちゃん！武部殿がいくらすっとろいからって引っ張っちゃだめでしょ！こらー！」

桂利奈「あいあいあーい！！」

一年生教室前

桂利奈「ついた！」

沙織「はひ……はひ……」

優花里「た、武部殿、大丈夫ですか」

さすさす

沙織「だ、だ、大丈夫……桂利奈ちゃんほんと、ちょっと覚えといてね……」

がやがや

桂利奈「おお、やっぱりすごい盛り上がりっぷりだ……」

優花里「クラスで何かあったんですか？」

桂利奈「入れば分かるよ」

ガララッ

桂利奈「紗希ーー！」

紗希「あっ、先ぱーい！桂利奈ちゃーん！こんなとこまでどうしたんです？何か御用ですか？」

優花里・沙織「「え゛っ」」

桂利奈「えへへーひみつー」

紗希「えぇ～何それ～」

優花里「ちょ、ちょっとちょっとちょっと」

桂利奈「あい？」

沙織「どど、どうしたのあれ、饒舌どころかキャラすら変わっちゃってるじゃん、紗希ちゃんって言えるのあれ」

紗希「あれ呼ばわりはひどいよ、武部先輩」

優花里・沙織「「ひえっ」」

紗希「私は【安価下】だったから今まで喋らなかったんです。元々ちゃんと喋れるんだから」

優花里「なっ、なんと……」

紗希「私は生まれたばかりのアンドロイドだったから今まで喋らなかったんです。元々学べばちゃんと喋れるんだから」

優花里「な、なんと……」

沙織「いやいやいやいや、ゆかりんなんとじゃないよなんとじゃ！紗希ちゃんも冗談にしてももっとマシな冗談言いなよ」

紗希「いや、マジですマジです。おかげさまで言語学習も99.9%ばっちりすんで、ニホンゴの難しい口語文法もばっちぐーですよ」

優花里「ば、ばっちぐー……微妙に古い……」

紗希「それな」

桂利奈「紗希すっごーい！一歳とは思えないよぉ！」

紗希「んー、パリピー！たーのしー！」

桂利奈「ウェーイ！」

沙織「もう、桂利奈ちゃんまで先輩をからかって！かえる！」

紗希「ほら」

ぽろっ

沙織「あ゛ーーー！手がーーーー！！」

優花里「さささ紗希ちゃんくっつけてくっつけてくっつけて！！」

紗希「信じてもらえました？」

沙織「ひっ、ひっ、ひっ、ひっ」

優花里「し、信じる、信じるからそういうドッキリやめてください。武部殿そういう痛そうなのだめなんですから」

沙織「ふえええ……ゆかりぃん………」

紗希「ドッキリっていうか……まいっか」

がしょん

桂利奈「でもさぁ紗希、なんでこのタイミングで喋り始めたのさ」

紗希「……さっきも言ったじゃん、言語学習が終わったからって」

桂利奈「ええ？ほんとに？この今の今で？」

紗希「……まあ、実のところ【安価下】なんだよね。だから喋らざるを得なかったんだ」

桂利奈「【安価下】！？」

紗希「……まあ、実のところ、これから役人が武力行使で大洗に攻めてくるんだよね。だから喋らざるを得なかったんだ」

桂利奈「役人が武力行使で大洗に攻めてくる！？」

優花里「……ってどういうことですか！？」

紗希「言葉通りの意味。彼、今回の私達の活躍のせいで組織での立場が危うくなったみたいでさ。形振り構っていられないみたい。……なんのために戦車道があって、文科省があって、特殊カーボンやら学園艦やらがあるのか、分からなくなっちゃうよね」

優花里「……ど、どういうこと？私達の知らない何があるの？」

沙織「ちょっと！紗希ちゃんほんとに悪ふざけやめてよ！怒るよ！」

紗希「悪ふざけじゃない。私は真剣」

沙織「う……！」

優花里（唐突な威圧感……確かに紗希ちゃんなのに……）

紗希「今の大洗はいくつもの見えない利権が絡んで封じ込められた火薬庫みたいなもの。このままだと大洗は廃校どころか戦場になる。そしたらただじゃすまない。過ちの歴史の繰り返しになってしまう。それだけは避けなきゃならないんだ」

桂利奈「……役人って、あの人本当はなんなの。過ちの歴史って何」

紗希「役人は【安価下】……。その目的は【安価下2】」

優花里「なっ……！」

紗希「そして、過ちの歴史とは、【安価下3】」

紗希「役人は闇ブローカーの幹部の一人……。その目的は学園艦解体の利権」

優花里「なっ……！」

紗希「そして、過ちの歴史とは、……超兵器を用いた戦争」

桂利奈「せんっ……！」

沙織「……ちょ、超平気？」

紗希「超兵器。スーパーな兵器。桂利奈ちゃんが好きな特撮とかに良く出てくるような、あれ」

桂利奈「おお……！」

優花里「……紗希ちゃん、ほんとの戦争なんて、そんな……私もその、元厨二……患者だったから気持ちは分かるけど」

沙織（ゆ、ゆかりん……）

紗希「先輩はさ、変だなって思ったことはないの？」

優花里「え？」

紗希「戦車とかを調べてて、戦争とかを調べてて、第二次大戦からこっち、技術の進歩が目覚ましすぎるって、感じない？だって、命張って戦車や戦闘機に乗って死にものぐるいでドンパチしてた時代から、まだ100年も経ってないんだよ？なのに今、ズブの素人の女子高生や男子高校生が絶対安全だからって言ってそれらを使って笑いながら武道を嗜んじゃってる」

紗希「絶対人には当たらない弾。絶対敵弾が貫通しない装甲。激しく事故を起こしても、中の乗員はむち打ちひとつならないなんて、どう考えてもおかしい。おかしいのは、戦車か、はたまた人か……」

優花里「………べ、別に、そんなの、戦争は技術を進化させるし、その技術を平和な時代に利用するなんて普通なんじゃ……」

紗希「ううん、その時代に特殊なカーボンなんて無かった。学園艦だってそうだよ。船なんてそれこそ大昔からあったんだよ。でもこの数十年で、船を通り越して、ある種の人工海洋国家を作るに至った。学校が陸に無いって、異常だよね」

沙織「え……」

優花里「……どういうことなんです」

紗希「学園艦は……いや、この地球はね、宇宙人同士の代理戦争の場なんだよ」

優花里・沙織・桂利奈「「「な、なんだってーーー！！！」」」

とんでもないことになってきた

自分じゃ絶対思いつかないような方向に進んでいくから安価スレは面白いですね

読んでて面白くできるよう頑張ります

とりあえず今日は一旦安価取りは休憩して、明日の夜からまた再開します

よろしくお願いします

ぼちぼち再開します

これから書き始めるのでのそのそ進行ご注意です

紗希「この広い宇宙で文明が地球にしかないなんて思っている人はまさかいないとは思うけど」

沙織「宇宙人ってほんとにいるの！？」

優花里「UFOって実験中のステルス戦闘機のことなんじゃないんですか！？」

桂利奈「ウルトラマンはいるんだね！」

紗希「…………。」

紗希「数千年に及ぶ果てしない宇宙戦争に疲れ切った星間国家は、この宇宙のど田舎にある小さな惑星、地球と、そこで文明のようなものを発現しつつあった猿……あなた達に目をつけた」

沙織「すごいナチュラルにディスられた……」

優花里「猿って言い切られましたよ猿って」

桂利奈「じぇ、JKゆえ致し方なし」

紗希「この太陽系に根を下ろし、それぞれの国家が文明に干渉し過ぎないよう様々なルールを決め、それぞれが遠回りな方法で猿を育て、誘導して、戦わせる……そしてその結果を以って外交を行なっている」

優花里「そんな……！」

沙織「私達はポケモンとかじゃないんだよ！？」

紗希「どっちかというと、シム感覚」

桂利奈「最低だよ！！なお悪いわ！」

紗希「しかし地球人は、宇宙人すら舌を巻く圧倒的な進化速度と、凶暴性を持っていた。宇宙的な時間感覚では、ほんと、マジであっという間にお互いがお互いを簡単に絶滅し得る武器を作り出し、ちょっと洒落にならないペース、規模での殺し合いをはじめた」

優花里「………」

沙織「う……」

紗希「それを哀れに思った、あるいはつまらないと感じた宇宙人達は、危険すぎるとして相互に厳重に封印、いや、事実上破棄していた超技術……すなわち謎カーボンと遺伝子改造法を地球人に与え、その技術の管理人として、いくつかの宇宙民族と、私達人工アンドロイドを地球に送り込んでいるの」

桂利奈「……それで、なんで役人が私達を攻めてくることに繋がるのさ」

紗希「それは……」

ウー！ウー！ウー！

沙織「わっ、何っ、何っ、何っ！？」

紗希「そんな、早すぎる……！」

優花里「早すぎるって……！？」

ザザー

『大洗諸君。みなさんは既に包囲されている。抵抗は無駄です。大人しく学園艦を明け渡しなさい』

桂利奈「げ！この声は！」

紗希「役人……！」

役人『ふふふふ、どうも、覚えてますか？辻です。あなた方風に言うのならね』

役人『指示には素直に従うのが身のためですよ。手を煩わせなければ、「売り先」は考えてあげましょう』

沙織「売り先……！？ど、ど、どゆこと……？」

紗希「辻は表向きは火星に本拠地を持つモンカ星連合のモンカ星下等星系教育局局長だけど、その実態は銀河を股にかける闇ブローカー組織の幹部。彼のいう売り先ってのは、こう、人権とか貞操とか完全に無視されちゃう感じのあれだよね」

沙織「ひいいいい！」

優花里「た、武部殿落ち着いて！もしかしたら素敵な買い主が……ゆ、許せるかあああ！！」

桂利奈「本が薄くなるうううう！！」

紗希「くっ、こうならないための私達なのに……！」

バガーーーン！！

優花里「おわーーー！！せ、生徒会室が！！」

沙織「な、何これ！？何これ！？……戦車！？」

ガチャン
ひょこっ

みほ「みんな！やっと見つけた！！」

桂利奈「わ！に、西住先輩！」

沙織「みみっ、みぽりん！大丈夫なの！？なんだか分からないけど大変なことになってるよ！」

優花里「西住殿！その戦車は」

みほ「あ、う、うんっ、その……私達が戦わなくちゃいけない時が来たみたい」

優花里「へ？」

紗希「やるのですね、西住みほ」

みほ「うん。謎カーボンと遺伝子改造法は、悪用させたら大変なことになっちゃう。私と麻子さんは覚悟出来てる。もちろん華さんも」

麻子（構わん。それが我らの使命だ）

華（我々は常に活ける側。負けるつもりなんてこれっぽっちもありませんわ）

沙織「ど、どういう……」

みほ「二人とも、落ち着いて聞いてね。……私達は、地球人じゃないの。この大洗を守るために戦うことを宿命付けられた戦士なの」

優花里・沙織「「な、なんだってーーー！！！」」

みほ「麻子さんは宇宙一の頭脳を持つレイゼイ人の生き残りで、華さんは宇宙全土に縄張りを持つスペース任侠、イスズファミリーの血を引いている」

優花里「んなななっ……」

沙織「んなアホな……」

みほ「ちなみに沙織さんの正体は【安価下】、優花里さんの正体は【安価下2】なんだ」

みほ「ちなみに沙織さんの正体は女子力と生存本能の高いタケベ人、優花里さんの正体は宇宙全土の裏組織を束ねる兵器メーカーの社長の隠し子なんだ」

沙織・優花里「「なんだってーーー！！」」

みほ「二人ともショックなのは分かるよ……私だって初めて聞かされた時はそうだった……」

桂利奈「いやいや武部先輩のほのぼの感に対して秋山先輩のカルマ重すぎでしょ！！」

沙織「ぱ、パパが炭酸飲めなかったり、やたらサラダ取り分けるのが上手いのはそういうことだったんだ……」

優花里「そんな……私……私が戦車を見ると胸が昂ぶるのは……」

紗希「アキヤマ社長の庶子……血には抗えないね」

みほ「とにかく今は、この安価下に乗って！！二人の力が必要なの！！」

みほ「とにかく今は、このスペースセンチュリオンに乗って！！二人の力が必要なの！！」

桂利奈「す、スペースセンチュリオン……つよそう」

優花里「そんな……お父さん……お母さん……」

沙織「もう、ゆかりん！しゃんとして！ゆかりんはただの戦車バカってことがよく分かっただけでしょ！」

優花里「う、う、ううう！」

ひょひょい

みほ「じゃあ、紗希ちゃん、行こう」

紗希「うん」

桂利奈「えっ、待って！なんで紗希まで！」

紗希「スペースセンチュリオンは普通の戦車とは違う。私が乗り込んで初めてまともに動かせるの」

桂利奈「そんな……私は……」

紗希「大丈夫！すぐにメガネ割って帰ってくるから、避難がてらみんなと打ち上げの準備しといて！」

桂利奈「う、うん……」

みほ「じゃあ、行くよ……」

バウッ！

桂利奈「うわっ！飛んだ！？」

みほ「スペースセンチュリオン、発進！！」




戦いは熾烈を極めた。
大洗学園艦を取り囲む無数の人型メカを相手に、スペースセンチュリオンは大いに奮戦した。
抜群の運転技術で学園艦への攻撃は全て謎カーボンで受け止め、絶対に当たる弾を敵のウィークポイントに、目も止まらぬ速度で次々と叩き込み、文字通り一騎当千の戦いぶりを見せた。
戦いには超改造人間であるバレー部や、はぐれマッドエンジニアである自動車部も加わり、見守る誰しもが大洗の勝利を確信した。
しかし、予期せぬ乱入者が、戦局を完全に覆した。
その圧倒的な力の前に、戦力図はたちまち書き換わり、スペースセンチュリオンは中破してしまう。


典子『隊長！こちらは、もう……！』

みほ「アヒルさんチームのみなさん、下がって！それ以上は危険です！レオポンさんチーム、……レオポンさんチーム！？」

役人『全く、手こずらせて……これだから子供は』

優花里「ぐ、うううう……！」

麻子「くそっ、ここまできて……」

華「まさかですわね……」

沙織「ど、どうしてそっちに味方してるんですか！【安価下】さん！」

【安価下】「…………」

沙織「ど、どうしてそっちに味方してるんですか！あやちゃん！」

あや「…………」

役人『ふふふ、そちらのぽんこつアンドロイドならよく分かるのでは？』

みほ「紗希ちゃん？」

紗希「そ、そんな……あや……なんで……」

あや「あなたなら分かるでしょう、紗希。同じアンドロイドのあなたなら」

紗希「え？」

あや「私は、あなたよりずっと早く生を受けてこの地にやってきた。大洗女子学園に入学と卒業を繰り返し、その度関わる者達の記憶から、私という存在を消してきた」

紗希「そ、それはこの大洗の監視者たる私達の務めでしょう」

あや「繰り返す日々の中で私は見てきた。【安価下】。【安価下2】。……私は思ったの。この大洗を【安価下3】と」

あや「繰り返す日々の中で私は見てきた。幾度と無く割れる眼鏡。常に寂しい財布の中身。……私は思ったの。この大洗を、いつの間にか無くなるメガネケースと」

沙織「は？」

優花里「意味わかんねーですよ」

華「優花里さん、グレないの」

みほ「……………」

紗希「……あや、いじめられてたんだね」

あや「……地球人は野蛮だ。特にJKなんて猿だ。猿以下だ。……曇ったレンズのメガネだ！私がやり返せないからって！！」

麻子「そんな素振り見え無かったが……」

紗希「……あやは実験的に人格の学習をするベースを大勢の人間の集合的人格……すなわち2ちゃんねるに置かれたの」

優花里「悪魔の所業！！」

華「その時点でろくでなし決定ですね。……大野さんは可愛らしかったと思いますが」

紗希「ううん、どんなに拭い去ろうとしてもクソガキ的精神が根本にある。それに揚げ足取りをコミュニケーションの手段にしてしまう。本人に悪気は一切ないんだけど……」

麻子「……実験的にしていいことじゃない。最低の親だ。理解に苦しむ」

沙織「こら！麻子！人の親を悪く言わないの！！」

紗希「ううん。パパにとって私達の人生は半分遊びだから……」

みほ「紗希ちゃん………」

あや「そんな曇ったレンズのメガネみたいな胸糞悪い猿共も、そんなものを入れるためのメガネケースも保護してやる必要なんてない。そもそもそんな任務、もうまっぴら……！だから無くしてやるのよ！置きっ放しにしたメガネケースみたいに！」

優花里「メガネ推しすぎでは」

紗希「パパは実験的に強烈なメガネっ娘属性も付与したから……遊び半分で……」

みほ「あ、遊び半分で……」

役人『大野さん。あなたの気持ち、私には分かります。我々の手で学園艦を解体し、それを手土産にEU（エウロパ・ユニオン）から離脱した木星グロリアーナ帝国に降りましょう。あそこはいい。皮肉はジョークになるし、戦争に手段は選ばない』

あや「……その暁には、私が地球をもらうからね」

役人『もちろんです。煮るなり焼くなり、お好きにどうぞ』

デキューンデキューン！

みほ「うわあああああ！！」

紗希「あ、あや……！」

あや「ふん……」

沙織「え、エネルギー、更に低下！フェイズシフト謎カーボン、切れるよ！」

優花里「そんな！」

華「も、もう……！」

麻子「ここまでか……」

役人『あなた達みたいな恵まれた者の悲鳴は実に心地よい。最後です！』

？？？『待っ↑たー↓！！！』

とりあえずここで一旦ストップ
続きは明後日の夜か、明日の深夜にこそっとやります

それにしてもすっげえ迷走してる、はっきりわかんだね

最後までお付き合いいただければ……！