響の革命戦争 (186)

※注意※
キャラ崩壊や痛々しいシーン、暴力シーンが多数ありますのでご注意ください

それでは、始めます。

~追記~
艦これです

車が舗装もされていない山道を進む。日の光が差し込まず、ジメッとした空気が窓から入ってくる。


「...本当にやるのね?」


運転手が心配そうな声で話しかけてくる。もう決めた事なのだ、今さら話しかけられても決意が揺らぐことは絶対に無い。その決意を見せつけるために、持っているトカレフに弾を装填する。


「...分かったわ、ほら目的地に着いたわよ」


車のドアを開ける。さっきよりはマシな空気だが、それでも気持ち悪くなってくる。アタッシュケースを持ち出して、よく景色が見える所にたどり着く。


ケースを地面に置き鍵を開けて、中身をゆっくりと取り出していく。様々な部品がたくさんあり、1つずつミスしないように組み立てていく。最後に弾倉を差し込んで終わり、これで対物ライフル『バレット』の出来上がり。

呼吸が整ってきたところでゆっくりとスコープを覗き込む。正面正門には警備が二人、見張り台が2つでそれぞれに一人ずつ、見回りが数人で中に居るのを考えても20人以上は警備兵が居る。今攻めるのは控えるべきなので、双眼鏡に変え鎮守府を見張る。


時刻は午後の2時半、昼食の為か警備兵が鎮守府内に入っていく。残っているのは見張り台に居る警備兵と正門に居る2名の警備兵のみ、今度はバレットのスコープを覗き、見張り台に居る警備兵を一人ずつ仕留めていくことにする。


トリガーに指をかけ、息を止めた。全ての音が消える。鳥がなく声も、波の音も何もかもが消える。まるで時が止まったような空間で狙いを定める。


そして...


50口径の対物ライフルが火を噴いた。命中した警備兵の上半身が汚い臓物を撒き散らして死に、辺りに居る鳥達は一斉に空へ羽ばたいた。

続けて2人目には下半身に弾丸が命中した。下半身が無惨に弾け、上半身だけが憐れにピクピクと動いているのが分かる。正門に居た警備兵達が気付き、サイレンを鳴らす。私は山をすぐに駆け下り、2、3分あればもう敷地には侵入できた。


「敵襲!敵襲!!」


愛用のトカレフを装備し進んでいく。出てきた警備兵達を尻目に、燃料保管庫に入ってやり過ごす。中に入れば油の臭いとは違う嫌な臭いが鼻につく。奥に進めば進むほど臭いがキツくなり、肉と肉がぶつかる音が聞こえ始める。


「いだいっ...!もうやめっ...!」


「艦娘は黙って犯されてろ!」


それはあまりにも酷い光景だった。3人の艦娘が数十名居る男共にたらい回しにされて犯されている。1人は涙を流して抵抗しているが他の2人はもう意識があるのか分からない。

ゆっくりと近づいて、一番後ろに居る男の肩を叩く。


「あ?なんだこんなt」


こっちに顔が90度ぐらい向いた所に頭を撃ち抜く。汚い脳漿を撒き散らして倒れると、男共がこっちに気づいた。


「全員動くな、さもないと皆殺しにするぞ」


男共はすぐに手を上げて膝をついた。1人の首筋にナイフを当ててそのまま首を横に裂く。返り血が髪や服に飛んでくる。


「このクソ女!ぶっ殺してやる!!」


1人が横から襲いかかってきた。1人だけでも襲いかかってくるだけ勇気がある。そのまま走ってきた勢いを利用して投げ飛ばすと、運悪く頭から落ちて死んだ。


「おいお前」


惨めに晒している一物を握る。ゆっくりと上下にしごき、ピクピクと動き始め出そうになった時にナイフで去勢してやる。

汚い、ただただ汚い。一物を投げ捨てると、3人の元へ歩いていく。


「大丈夫かい?」


「う......うん......」


他の2人も息はしていた。3人を保管庫の隅へ移動させると、ザワザワと入り口辺りが騒がしくなる。


「君たちはここに、決して動いちゃダメだよ?」


「...」コクッ


ドラム缶の陰から入り口の方を見ると、大勢の警備兵がこちらに銃を向けて居る。


「直ちに侵入者は出てこい!でなければ貴様は死ぬことになるぞ!」


警告ご丁寧にありがたいことだ。おかげで準備する時間が出来た、何ならあの男共もまとめて全てを灰にしてやる。もう一度3人の元へ戻り、海へと流れる廃水菅へと先に避難させる。


「2分やる!死ぬか生きるか決めろ!」


そんな戯れ言を誰が聞くんだ。ナイフで1つのドラム缶に穴を開ける。ドクドクと流れ出る燃料は1部が気化し他のドラム缶は蓋を開ける。

静電気が起こらないことを祈って錆び付いた窓を開け、ゆっくりと外へ脱出する。


『01、どんな状況?』


「順調、君が持っていけと言っていたC4爆弾役に立ちそうだよ」


『ほら!だから言ったでしょ?困ったときは爆弾が必要なんだって!』


「ああ、煙がそっちから見えると思うよ」


カウントダウンが終わったのだろう、警備兵達が全て保管庫の中に入っていった。防波堤の影に隠れて 、スイッチを押すと燃料保管庫があったところで大きな爆発が起きた。


「どうだい?そっちでも見えるだろ?」


『おぉう、えらく派手にやったねぇ~』


「警備兵とクズ共はほとんど死んだ、後は親衛隊ぐらいしか残ってないよ」


『OK!それじゃあそっちに制圧部隊送るから!2分で着くよ!』


無線を切ると最後の建物に乗り込む。

重苦しい扉を開けると、やけに静まり返っている。試しに一番近い扉をノックすると、中からは弱々しい女の子の声が聞こえてきた。


「...ど...うぞ...」


開けると1人の少女がボロボロの制服を来て、布団の上に座っていた。身体中に痣がたくさんあり、首には縄の痕のような物がある。


「...どなた...ですか...?」


「名前は言えないよ。でも、君たちを助けに来た」


「...わたし...たち...を...?」


「出来れば、君の名前を教えてほしいな」


「朝潮...です...」


「それじゃあ朝潮、他の子達の場所を教えてほしいな」

ボロボロの体を起こして立ち上がる。痩せ細った体は、立つのさえ辛いらしい。


「ほら、背負ってあげるよ」


「あ...ありがとう...ごさいます...」


外からはヘリコプターの音が聞こえてくる。


「ヘリコプター...?」


「来たみたいだね」


「01!大丈夫!?」


いつもの騒々しい声が聞こえてくる。


「ああ、それよりもこの鎮守府に居る艦娘たちを保護してあげてほしい」


「了解了解、ほら皆!取りかかるわよ!」


武装した者たちが鎮守府内の確保に取りかかる。どんどんと食料品が運び込まれていき、朝潮をお粥を食べていた。

※訂正※
朝潮を→朝潮は

「さてと、残ってるのは...!」


最後の扉を開ける。不快な臭いが鼻につき、椅子に座る男がこっちを見て戦いていた。


「な、なんだお前は!?こんなことをしてただで済むと思ってるのか!?」


「ちょっと黙れ」


グチグチと動く口を肩を撃って黙らせる。白い制服が真っ赤に染まっていき、悲鳴が聞こえる。


「ぐぁぁぁぁああああああ!?」


「はぁ...撃たなかった方が静かだったな」


開いている口にトカレフを突っ込む。


「せっかくのトカレフをお前のために汚したんだ。喜んで欲しいもんだね」


まともな死に方はさせてやるものか、いかに屈辱的に、そしていかに残酷な殺し方をするか...

「よし、ついてこい。拒否権はない」


足を撃って動けないようにする。太股に2発ずつ撃ち込んでやったから、ほっといても失血のショック死するだろうがそれなら彼女たちに鬱憤を晴らさせてやろう。


外に引きずり出す。保護された艦娘たちが皆お粥を食べていた。


「01、海岸で3人の艦娘を見つけました」


「そうかい、ちゃんと生きてたんだね。それと、他に生きていた警備兵は?」


「地下に居たのが3人、すぐに射殺しました」


「よろしい、それじゃあ面白い見せしめだ。皆を呼べ」


「了解」

「ほら、皆注目!このクズ今まで君たちを虐げてきた張本人だ!この罪人にはどのような罰が相応しいか!」


「磔だ!磔にしてやれ!」


「いえ!海に沈めて魚のエサにしてやるのよ!」


「甘いわ!達磨にしてクレーンで吊ってやりましょう!!」


いろんな子から様々な方法が聞こえてくる。クズは顔を真っ青にしてガタガタを震えていた。


「なんならクレーンで吊るした後に燃やしてやりましょう!!」


「お、なかなかいい案が出たね。それにしようか、君は四肢をもいで達磨にした後クレーンで吊る。それから燃やしてやるか♪」


「ひいっ...!」


「おや何を怯えてるんだい?大丈夫?苦しい痛みに襲われるだけさ。ねえ13」


「はい?」


あれを持ってきて、それと包帯とガソリンもね」


「分かりました」

大きな機械の音が段々と近づいてくる。


「チェーンソーはお好き?」


「......ぁ...っ...!」


「そう好きかい、ならちょうど良かった。君にピッタリの死に方がある♪それじゃあ02、やっちゃって♪」


「はいよ~」


汚い音を鳴らしながらまずは右腕から切り落としていく。ドバドバと溢れ出る血は地面を埋め尽くしていく。


「」


声帯が潰れたのだろうか、全く声を出さない。それでも激痛は本物でほとんど白目を向いている。


「次は左腕、すぐには切らないでゆっくりね」


「はいはい」

今度は左腕を切り落としたが、もう反応がない。


「01、これもう死んだわよ?」


「はぁ~...使えない。良いや、予定通り達磨にして燃やしちゃおう」


さっさと足を切り落として包帯を巻く。鎖で縛ってガソリンを被せて火をつける。下からは艦娘たちの歓喜の声が聞こえてきた。


「よしよし、これでいいね。ずい...じゃなかった、02、帰ろうか、ヘリに彼女たちを乗せてあげてね」


「はいよ~」

ここまで、また明日

再開します

一機の輸送ヘリに1人ずつ乗せていく。警戒中の偵察ヘリが01の元へ無線をかけてくる。


『01、1時方向から輸送車両がたくさん来ています。ご注意を』


「こちら01了解、02はこのまま彼女たちをヘリに、他は私に付いてこい!!」


30人ほどの仲間がサブマシンガンやアサルトライフルを装備して、それぞれの配置につく。私は建物の階段を駆け上がって屋上に陣取る。


「13、偵察を切り上げて撤退、後は任せてほしい」


『了解、御武運を』


正門に20両ぐらいの輸送車両が到着する。上部には機関銃が装備されており、こちらに射撃をしていた。


「全員、慌てず騒がずだ。深海棲艦との戦いに比べればこんなの屁でもないだろう。少女たちがヘリに乗り込む5分間、奴らを食い止めるだけでいい」


グリップを握り締め、体の昂りを押さえる。奴らの射撃が終わった頃を見計らって、こちらの攻撃を開始する。その時をじっと待っていた。

重機関銃の腹に響くのような銃撃音が続く。建物の壁は着弾する度に削れていき、既に1部では鉄骨が露になっていた。


「...02、あとどれくらい?」


『後4分あれば乗せられるんだけど、1人が銃撃音聞いてパニック起こしちゃって...』


「なるほど、分かった。なら、こっちも攻撃を始めよう。誰かRPGを持ってるやつは?」


『01、09と16、21と28が装備しています』


「了解、なら私の合図で挨拶がわりに輸送車両へぶちこんでやれ」


『了解』


重機関銃の音が止み、数十名の武装した男共がゆっくりとこちらへ歩いてくる。


「カウントダウン」


全員が息を飲んでいることだろう。中に初めての戦闘の者も居る、でも退くことは出来ない。


「три」


死にたいやつなんていない、艦娘であってもだ。だから生きて帰る。


「два」


どんどんと近づいてくる。手が震える。それは恐怖か興奮から来たかは分からないけど、グリップを握り締めてもおさまらない。


「один」


そして


「Огонь!!」


一斉にロケット弾頭が放たれた。憐れにも着弾した輸送車両は爆発し、黒煙を吹いて燃えている。

「射撃開始!!」


一斉に銃弾を放ち始める。地の利はこちらにある、遮蔽物や高低差など、どれをとってもこちらが負けている所は無い。


上から遮蔽物に隠れているつもりのバカ共を狙う。流石は武器商人御用達のAK74、少々乱暴な扱いをしても壊れない耐久性と安定性は本当に恐れいる。


「全員このまま撃ち続けろ!1人も絶対に逃すな!」


1人、また1人とバカ共は死んでいく。ろくに訓練もしていない新人共の集まりだろう。


『01、このままならすぐに片付きそうですね!』


「まだ安心できない。それに...」


山の向こうの方から、増援と思われる輸送ヘリが飛んで来る。空を見てか、さっきの兵隊共はさっさと逃げ帰ってしまった。


「02、そっちは?」


『よし、乗せ終えたわ!あんた達も戻ってきなさい!』


「よし、全員退却するぞ。迅速にな」

階段を飛び降りるようにして階段を駆け下りる。扉を開けると、既にほとんどの仲間がヘリに乗り込んでおり、私もさっさと02に合流する。


「01、早く乗りなさい!」


「はいはい」


ヘリに乗り込むと、ハッチが閉じ始め機体が陸から飛び立つ。


「ふぅ...30分位か、記録更新かな?」


「お疲れさま01、今回も楽だったわね」


「02、負傷者は?」


「2人が肩を撃たれてる。すぐに手当てをして、止血したから死ぬことは無いわ」


「今回保護した子達は全員で何人だ?」


「えっと、全員で47人、ほとんどが駆逐艦娘ね」


「クソロリコンが...!」


「皆、痣や栄養失調とかで済んでるんだけど、1人だけとても状態が酷いの」


「どういう状態?」


「一番怪我が酷い子は駆逐艦娘の『陽炎』ね。縄の痕、火傷、痣、銃痕に挙げ句の果てには右腕と左足が欠損しているわ」

「精神的ダメージもとても大きいみたい」


「義手と義足は?」


「もう連絡はしたけど、後は陽炎の同意がないと...」


「拒否するなら無理に付けることはしないさ」


「それもそうね」


「今は眠っているのかい?」


「ええ、何とか睡眠薬を飲ませてね。あれ以上暴れると陽炎の身ももたないから」


「そうか、なら良い。後で一対一で面談するよ」


「あまり脅かさないようにね」


「はいはい」

今日はここまでです。ではまた

再開します

「01、後方に敵偵察ヘリがついてきています」


「分かった、02は何か武器を貸して」


「待ってバレットはどうしたの?」


「...忘れてきた」


「はぁ!?もう対物ライフルなんて安くないのよ!?」


「良いから早く」


「ったく!ほら!L-39でも使ってなさい!」


L-39対戦車銃、通称『ラハティ』。総重量で50㎏にまで達する化け物である。現在あるライフルの中でおそらくもっとも重い銃。主にフィンランド軍が、継続戦争にてソ連軍を対して使った。ソ連の代表的なT-34やKV-1などの戦車の装甲を貫通することは難しいが、燃料ブロックやキャタピラを狙った攻撃で戦果を挙げている。継続戦争では約1800もの数が生産された。


「これは良いものだ。それじゃあ、操縦手、ハッチを開けてくれ」


ゆっくりとヘリの後部のハッチが開く。床に設置して身を銃に委ねる。


「...」


揺れ動く機体の中で、敵のヘリの動きと狙いがが一致するまでじっと待つ。勝負は一瞬...


トリガーを引くと銃の音とは思えない重々しい射撃音がヘリ内に響く。まるで対空砲の音だった。敵ヘリははコックピットの窓の防弾ガラスが粉々になって墜ちていった。

「ふぅ...操縦手、ハッチを閉めてくれ」


「あんた狙撃手を中心にやったら?」


「いや、私は前線に居る方が似合ってるよ」


「さて、それじゃあこれ運ぼうか、02手伝って」


「はいはい」


相変わらずの重さである。1発1発の弾丸の大きさが尋常ではないので、それを撃つこの銃も物凄く重い。まるで鉄の塊を持っているみたいだ。


「それにしても相変わらずの重さだ。やってられなくなるな」


「あんたがバレットを忘れるからでしょうが!」


「そんなに怒らないでくれ」


「はぁ...早く帰りたいわ」


ラハティを保管庫に直すと02が椅子に座った。かなり怒っているらしく、足を組んで不貞腐れたように目を瞑っていた。


「01、嫌われちゃいましたね」


「うるさい、君は早く基地まで飛ばしてくれ」


「了解しました」

数十分ヘリが飛び続けると、離島が見えてきた。様々なところに対空砲やレーダーが設置されており、要塞の様に頑丈に守られていた。さきに飛び立ったヘリはもう到着していた。


「よし、見えてきた。全員下りる準備だ。基地に帰ってきたぞ」


ヘリポートの上までやって来ると、下に居る小さい旗を持った誘導員がヘリをちゃんとした場所へ着陸するように誘導している。


ヘリがゆっくりと着陸する。誘導員は走ってコックピットの元へと行き、何やら話をしている。


「よし、空の旅お疲れさまでした。ただいまハッチを開けますので少々お待ちください」


再びゆっくりとハッチが開く。眩しい日の光が入ってきて、心地よい海風が入ってくる。


「ふぅ...やっぱり海風は気持ちいいな。02、着いたよ」


「んっ...?着いたの?」


「あぁ、着いたぞ。眠かったらさっさと部屋に戻って寝たらどうだい」


「いや、私はあんたと違って会計や人事とかをしないといけないの。今回はあんたがバレットを紛失したせいで資金がまた減るのよ」


自分の装備を持って部屋に戻っていく。


「やれやれ、皆解散だ。お疲れ様」

「...陽炎の病室に行こう。様子が気になる」


装備を外さずに病棟に向かう。病棟は五つあり、全て合わせての収容可能人数は500人程度だ。


「確か三号棟だったな」


病棟の中に入ると受付の男性が私を呼び止めた。


「申し訳ありませんが、こちらにどのようなご用件かお書きください」


「ん、それはすまない。...これでいいかい」


「拝見させていただきます。...陽炎さんとの面会ですね。地下のB13号室となっています」


「分かった」


「あっ、それともう1つ」


「ん?」


「心に大きく深い傷がありますので、あまり踏み込んだことは聞かれないようお願いします」


「分かった」


エレベータのボタンを押して中に入る。地下のボタンを押して、地下1階に向かう。

エレベータが地下1階にたどり着くと、コンクリートで作られた廊下が見える。


「地下はこんな風になっているのか」


エレベータから30歩歩いたところにB13号室があった。扉は引き戸となっていて、軽く力をいれるとすぐに開いた。


「やぁ」


「......」


栗色の髪、ボサボサになって整えられておらず、虚ろな目でこちらを見つめていた。


「私は君と同じ元艦娘だ。だから君に対して危害を加えたりはしないから安心してほしい」


「......」


未だに全く話をしない。こっちを見つめてはいるが、その目に光はなくまるで壊れた人形の様だった。


「君の仲間達もあの鎮守府から助け出した。もう心配はしなくていい」


「......!」


少し陽炎の目が見開かれた。ちゃんとこちらの話は聞いているようなので、このまま話を続けることにする。

「......ぃ...」


「?何か言ったかい?」


「...ぁ...ぃ...!」


ゆっくりと耳を陽炎の口に近づける。すると微かに声が聞こえた。


「し...らぬ...ぃ...!」


「不知火?そうだな、確認してみよう」


携帯電話を取り出して、内線に繋げて人事の方に繋げる。


『はい、こちら人事部です』


「今回救出した艦娘の中に不知火っていう子はいたかい?」


『不知火ですね?少々お待ちください』


電話の向こうでバサバサと紙を捲るような音が聞こえる。


『今回保護した子の中に不知火という名前の子はいませんね』


「そうか、分かった」


「...!」


陽炎がこちらの袖を引っ張ってくる。


「すまない、今回保護した子の中に不知火という子はいなかった」


「...!」


「おそらく、他の鎮守府に移動させられたんだろう」

「うぅっ...!」


目から涙が零れる。そのまま頬を伝って、シーツを濡らした。


「そこで提案だ」


「...?」


「私たちは不当に扱われている艦娘たちの保護を目的とした活動をしている。もちろん、民間人もだ」


「...ぁ...!」


「もしかしたら君たちも知ってるかもしれないな。テロリストとして聞かされているだろう」


そう言うと、胸元から桜の紋章を取り出す。真ん中には星のマークがあった。


「深海棲艦との戦いが終わった今、艦娘たちは人間として扱われていない。それに軍部によって腐敗した国を変えるため、そして艦娘たちを助けるために私たちが戦っている」

ここまで

余裕が出来たので再開します。

「(精神的ダメージも不知火という親友を助けるという目的でエネルギーに変えたか)」


「とは言え、今の君の体では動く事さえ難しいだろう。義手、義足は必要不可欠だろう?」


陽炎を起こして車イスに乗せる。点滴は車イスにくっつける。


「それじゃあ、行こうか」


車イスを押してエレベータに乗る。1階に着くと受付の男性がこちらにやって来た。


「おや、陽炎はもう大丈夫なんですか?」


「ああ、今から技術棟の方へ向かうんだ。院長の方に言っといてくれ」


「分かりました」


病棟から出ると、陽炎は周りをキョロキョロと見回している。それほどこの光景が珍しいのだろうか。


技術棟は病棟から少し離れたところにある。行き交う人は皆私に挨拶をしていく。

「あ、隊長!お疲れ様です!」


「やぁ、訓練の方はどうだい?」


「最近は、ようやく射撃が上手くなってきました!いつかは隊長と一緒に戦える様に頑張りたいです!!」


陽炎がこっちの袖を引っ張ってくる。


「ああ、この子は最近入ったばっかりの新人なんだ。でも、少し射撃が苦手みたいでね。まだ戦わせる事ができない」


「むむむっ...でもいつかは隊長と肩を並べられるように頑張りますよ!」


「あはは、それじゃ技術棟に向かおうか。義手と義足を作らないと」


「あ、すみません。何か私邪魔しちゃったみたいで...」


「気にすることじゃない。それじゃあね」


「はい、それでは!」

技術棟に着くと重々しい鉄の扉が私たちの行く道を遮っている。何とか背中で押し開けると、中から何かで鉄を叩く音や熔接したりする音が聞こえてくる。


「おーい、居るかー?」


「はいはーい!ご用件は受付の方にお願いね~!」


「やれやれ...」


ゆっくりと受付に歩いて行くと、カウンターからニョキッと顔を出していた。


「おや?リーダーが来るなんて珍しいですね。それも車イスを押して、どういうご用件で?」


「実はこの子の義手と義足を作ってあげて欲しくてね。出来るだけ頑丈で壊れにくいのが欲しいんだけど」


「義手と義足ですか?なるほど...少し腕の太さと脚の太さを測らせてくださいねぇ~」


メジャーを取り出して測ろうと腕をさわると、ビクッと陽炎の体が震える。


「あっ、ごめん。何か変なことしちゃったかな」


「う~ん、まだ他人に体を触られるのは厳しいかぁ。私にメジャーを貸してくれ」


「はい、この紙に太さを書いてね」


「了解、ほら陽炎、腕の太さと脚の太さを測るよ」


「...」コクッ

まだ私にも触られるのは苦手なようで、腕の太さを測るために左手が皮膚に触れるとビクビクと震え始める。


「大丈夫、安心していいよ。すぐに終わるさ」


腕が終わるとすぐに足に取りかかる。痣がまだ目立つし、チラッと見える火傷の痕と銃痕は腹部に集中していた。


「...この傷はまだ痛むかい?」


「...うん」


「そうか...大変だったんだね」


太さを測り終えると、紙に記録して受付に出す。


「なるほどなるほど、太さは分かった。んじゃ設計に取りかかるから1日頂戴ね」


「ん、それじゃ陽炎、部屋に戻ろうか」

今日はここまで

再開します。

扉を押して外に出る。さっきまで晴れていた空が雨雲で覆われている。雨が降ってくるまえにさっさと病棟に戻ることにする。


「ふぅ、天気が急に変わった、キツいのが降りそうだなぁ...」


「お戻りになりましたか」


さっきとは違う受付の女性が出てくる。手にはカルテのような物を持っている。


「義手と義足を作りに行ってたんだ。何か用か?」


「警備班の方から来るようにと連絡がありまして」


「警備班から?分かった。それじゃあ、陽炎の事を頼んだ」


「分かりました」


車イスから手を離すと陽炎が不安そうな顔でこちらを見つめてくる。


「大丈夫、私が居なくても君は大丈夫だ。安心して送ってもらうといい」


「...うん」


陽炎を看護婦に託して病棟から出て、近くを走っていた車を止めてもらう。

「あのさ?私は今パトロール中なんだけど、何?」


「第3監視塔まで送ってほしい。急ぎで頼む」


「急ぎって、自分勝手に私を止めてその態度は無いでしょ」


「頼む」


「はぁ...第3監視塔ね。ちゃんとシートベルトしなさいよ」


「分かってるさ」


車が再び動き始める。第3監視塔は現在居る病棟前から15分南に走ったところにある。


「あ、しまった。銃を忘れた...」


「サイレンも鳴ってないから大丈夫でしょ、それにあんたの大好きなトカレフがあるでしょうに」


「AKがある方が安心する」


「はいはい、うるさいから着くまで寝てなさいな」


「公務中に寝るやつが居るか?」


「どうせ誰も見てないわ」


「君が見てるだろ」


「私が報告するとでも?」


「むしろしないとダメな気がするが?」


「ふふっ、それもそうね」

10分走っていると雨が降ってきた。車のワイパー
を起動し視界を確保する。


「遂に降ってきたわね。まだ昼だから良いけど、これが夜だったら視界が最悪だわ」


「最近は何かとこの島に近づいてくる船が多いからな。軍部から逃れてくる民間人も多いから、誤認だけはしたくないものさ」


帽子を深く被って警備についてボヤく。あまり良くないことだが、愚痴の1つや2つ、言わないとやってられない。


「今の失言として受け止められるわよ。あまり外で言わないように」


「はいはい、これじゃ隊長として失格だな」


「ねえ、今回救出した艦娘の中に『朝潮』ていうの居た?」


今まで見た彼女の顔よりも一番真剣な顔だった。


「朝潮...ああ、居たよ。痣と栄養失調、立つのも辛いみたいだった」


「そっか...朝潮姉が...」


「...君は朝潮型だったな。パトロールが終わったら会いに行ったら良い。私が責任をとる」


「...ありがと」

そんな話をしていると、車はいつの間にか第3監視塔に着いていた。


「ほら、着いたわよ」


「ありがとう」


「後で何か奢りなさいよね!約束よ!」


「ああ、覚えてたらな」


「絶対に覚えてなさいよね!!」


そう悪態をつくと、走り去ってしまう。その後ろ姿を数秒見つめると、踵を返して監視塔のセキュリティドアの前に立つ。


「セキュリティカードは...あった」


胸ポケットから紫色のセキュリティカードを取り出す。装置にかざすと、緑色の光が発されドアの鍵が開く音がした。

階段を駆け上がり、司令室に入る。


「あ、隊長」


「何かあったのか?」


「はい、この双眼鏡で1時方向を見てもらって良いですか?」


「どれどれ」


監視員の言う通り1時の方向を見てみると、3隻の船が白旗を掲げて凪いだ海を漂っている。


「白旗?民間人か?」


「こちらから無線は送っているのですが...向こうからの返信が無いのです」


「無線の扱い方を知らない民間人なのか、それとも民間人を擬装した腐った軍部の連中か...」


「どうします?」


「誰か船を運転してくれ、私が直接行こう」


「さ、流石に危険では...」


「直接出向かないと分からないだろ、RPGとアサルトライフルを装備していこう」

奥の武器庫からAK74とRPG7を持ち出す。


「よし行こう、ここからはコードネームで」


「分かりました01」


装弾された弾倉を6個持っていく。ロケット弾頭は4つとかなりの数を持って、船に乗り込む。


「01、準備は良いですか?」


「ああ、出発だ。君は運転に集中するだけで良い。誘導、戦闘、会話は私がすべてする」


「何かあれば私にも頼ってくださいね」


「その時は本当に大変な時だ。私が死体で帰ってくるときぐらいかな」

ここまで

再開します

船を発進させ、白旗を掲げている正体不明の船に近づいていく。私は船の影で弾薬を装填し、ロケット弾頭も装填する。


「01、そろそろ準備をしてください」


「なら速度を落として」


最高速度から時速10㎞位まで下げる。影から体を出すと、スピーカーを使って呼びかける。


「前方にいる3隻の船に告げる。直ちに船内に居るものは船外に出て我々の島に近づいてきた目的を言え!繰り返す!船内に居るものは船外に出て我々の島に近づいてきた目的を言え!」


バタバタと慌ただしく船内から子供の男女、大人の男女が船外に出てくる。皆ボロボロの服や中にはタオルを体に巻いただけの人も居たが、戸惑いなく銃口を向け脅すような声で目的を聞き出す。


「何故この島に近づいた」


「まっ、待ってくれ!俺たちは今の政府が嫌で、ここなら自由に暮らせると聞いてやって来たんだ!」


「...私は嘘が嫌いだ。もし嘘ならここにいる全員が死ぬことになるが」


「ほ、本当だ!ここに居るものは全員、親を殺されたり、子を殺されたり者なんだ!そんな国についていくなんて馬鹿げた事はしない!」


「ほぅ...?」


男の目を見て、嘘をついているようには見えなかった。

「嘘はついてない...ね?」


男が私の目から一切目をそらさず首を縦に振っていた。


「そうかい、ならちょっと待っててほしい」


いったん船内に戻ると、中に居るもう一人に銃を持たせて代わりに見張らせる。私は無線を開いて例の奴の所へ繋ぐ。


『はい、こちら02』


「やあ02、私だ」


声の主がこちらのことを把握すると、途端に不機嫌な声になる。しかも舌打ちまで聞こえてきた。


『はぁ?何でこっちに無線を繋いだの?』


「実は今、この島で暮らしたいっていうのがたくさん来たんだ」


『へぇ、で?それが何か?』


「君も理解が悪いな、新たに住人リストの更新をお願いするよ」


『ちょっと待って、私もそっちに行くわ』


向こうから無線を切られる。こっちもマイクを奥と再び船外に出て相方の元へ行く。

「無線は終わりましたか?」


「ああ、02がこっちに来るらしい」


「今からとなると...ヘリですか?」


「多分ね、何でこんな雨の日にヘリのかは分からないけど」


数分もすると大雨の中一機のヘリがやって来る。風は無いので操縦自体は大丈夫そうだ。


「01!来たわよ!」


「来たね、彼らが私たちの島で過ごしたいって言っている人たちだ」


「パイロット!船に飛び降りれるぐらいまで高度を下げて!」


ゆっくりとホバリングをしながら、高度を下げて船からの高度を2メートルまで下げると、02が戸惑いなくヘリから飛び降りて相手の船に乗り込む。


「っと、貴女たちが移住したいって言ってるのね」


「あ、ああ!あんな言論も生活も何もかもを抑圧する国はもう嫌なんだ!君たちの島で自由に暮らさせてほしい!」


「そうね、01は彼らの移住をどう思ってるの?」


「私は別に構わないよ。ただし、身体検査と3日は 別の区画で過ごしてもらう事が条件だ」


「そ、それぐらいお安いご用さ!なぁ皆!!」


全員が首を縦に振っている。

「全員移住するのね、なら私が誘導するわ。01は先にヘリで帰ってて」


「はいはい、なら持ってきてるAKとRPGを直しといて」


「何で武器持って来てんのよ...」


「まあまあ、それじゃ頼んだ!」


02から文句が来る前に先にヘリに乗り込んで扉を閉める。


「ふぅ...出してくれ」


「了解しました。それでは飛ばしますね」


またヘリが高く上昇し始める。


「そういえば、隊長と02ってどういう関係なんですか?やっぱり仲悪いんですか?」


「そうでもないさ。夜ではいつも私の部屋に来て、膝枕を頼んでくる」


「あの02がですか?いつもの態度とは違って甘えん坊なんですねぇ...」


「2日前の夜だって...」

~~2日前 午後9時頃~~


「~~♪」


鼻歌をしながら銃の整備をする。弾倉に弾丸を詰めていると、部屋のドアがノックされる。


「誰だ?」


「わ、私よ」


顔を赤らめながら、部屋の中に入ってくる。可愛らしい下着で、ソワソワと落ち着かない様子だった。


「ふふっ、何の用かな?」


「わ、分かってるでしょ!」


「あはは、ほらおいで」


私が座っているベットの前まで来ると、すぐ隣に座って私の太ももに頭をのせてくる。その頭を相手が嫌と言うまで撫でてやる。


「今日はいつもより早いな、仕事は?」


「...早めに切り上げてきた」


「へぇ、珍しいね。君が仕事を早く切り上げるなんて」


「だって...明日膝枕できないじゃない...」

プクッと頬を膨らませて、文句を言わずに私に頭を撫でなれ続けている。


「いつもは気が強い君が私の太ももの上で撫でられているなんて、他の人が見たらなんと思うか...」


「別に何と思われても良いわよ...ほら、手が止まってるわよ」


「はいはい、それにしてもいつ触っても整ってる髪の毛だ」


「そりゃあ私も女の子だし、お洒落とかしてみたいし...」


「今度服を買いに行くかい?」


「だから私はあんたと違って暇がないの。そんな簡単に...」


「なら、隊長命令だ。3日後、服を買いに行くから休暇をとるように」


「...誰から許可をとれば良いのよ...」


「ここの最高権力を持つのは誰かなぁ~?」


「ぐぬぬ...3日後1日間 私に休暇を下さい...」


「よろしい、認めよう♪」


「くぅ~...この屈辱感...!」

ここまで

再開します

~~現在 ヘリ内部~~


「みたいな感じだよ」


「ということは、明日休暇を取るんですか?」


「そう、既に会計の方と人事の方に連絡をしておいたから別に問題はないさ」


「ははは、っとそろそろ着陸しますね」


技術棟に一番近いヘリポートに着陸する。依然、雨は強く降り続け止む気配は一切無い。


「ありがとう、気を付けてヘリを戻してね」


「お任せください♪」


ドアを閉め、ヘリが飛び立っていくのを見守る。 ある程度姿が小さくなると、技術棟の建物の中にはいる。


「おーい、居るか~?」


「お、タイミング良いね!今から呼ぼうと思ってたんだ!」


2階からはしごを使って急いで降りてくる。とても興奮しているようで、顔を真っ赤にして息を荒らしながら顔を近づけてくる。


「な、何をそんなに興奮しているんだ?」


「ほら、これを見て!」


手渡されたのは1つの軽い鉄塊、かなり分厚くて大きいそれでいてかなり軽いのだ。


「かなり軽いな、何の金属?」


「ふっふーん、それはチタンと艦娘の技術を混ぜた金属なのだ!」


「へぇ良いじゃん、それでそれ一個作るのにどれぐらいの時間が?」


「えっと、1ヶ月ぐらいかな」


幾らなんでもそれじゃあ遅い、兵器には向いていなさそうだ。


「今遅いって思ったでしょ?でも、本当に知ってほしいのはその強度!劣化ウラン弾を防ぐんだから!」


「劣化ウラン弾を?」


それが本当ならとてつもない強度だ。対物ライフルを簡単に防げるし、もしかすれば戦車砲さえ防げるかもしれない。

「それでテストを手伝ってほしいの!」


「どんな?」


「耐久度テストをね、絶対当てられる人が良いからね。あんまりサンプルに量を使いたくないし」


「はいはい、任せてくれ。それじゃあ早速テストを始めよう」


「よしきた!」


隣の棟の実験室に移る。いつもの射撃の的の代わりにさっきの金属のサンプルが出される。


「それじゃあ始めよう、まずはAK74から!」


弾倉をチェックし、サイトを覗き込む。銃の整備はちゃんとされており、調整はバッチリだ。


引き金を引くと、金属がとても甲高い音を鳴らし軽い火花を散らす。様子を見に行くと、少しあとが残っているだけで何の傷もなかった。


「AK74はほぼ無傷、んじゃ次はMK14ね」


手に取り、スコープの倍率を調整する。やり過ぎず戻しすぎず、ちょうど良い倍率を探す。


弾倉を入れ、狙いを定める。


引き金を引くと、さっきよりも甲高い金属音を鳴らし、火花も大きくなる。流石に傷がついたかと思い様子を見に行くと、当たったところが少し凹んだだけだった。


「MKでこれか、次はL96で行こっか」

ここまで。
少なくて申し訳ありません。

再開します

レバーを引き、弾丸を装填する。いつもより少し、コッキングレバーが軽く感じた。


「あ、ちょっと待った」


せっかく射撃準備が整ったというのに、それを邪魔されるとやる気が削がれる。金属の前ではゴチャゴチャと工具箱を持っていき、何か改装を施している。


「何をしてるんだ?」


「シリコン、どうせなら義手は人肌と同じような触り心地の方が良いでしょ?」


テストでそこまでしなくてはいけないのか?なんて思いながら、改装の様子を眺める。


「これで良しっと」


どうやら終わったみたいだ。さっきまで銀の鈍く不気味な感じから、シリコンで少し血色の良い色になった。


「どう?結構人間の腕っぽくなったんじゃない?」


「日常生活では問題はないさ。後は強度、せめてこのL96に耐えてくれたら...」


そんな望みをかけながら、ゆっくりとスコープを覗き込む。狙うはど真ん中、端なんて狙っても面白くないし何より結果がよくわからない。


「...っ!」


肩に強い衝撃がやって来る。いくら台に置いているからと言って、立ちながらではしんどい。


金属の様子を見に行く。シリコンは抉られているが、中の本体はほとんど無傷に等しい。恐るべき耐久力だ。

「おぉ~、この調子なら対物ライフルでも大丈夫っぽいね。協力ありがと、これでデータがとれたわ」


「協力出来て何よりだ。義手の設計状況は?」


「見た目は何のおかしなところの無い普通な義手、手のひらの大きさや指の長さは銃を構えるときに最も持ちやすいのに調整するつもり。左右非対称だけどね」


「なら良いさ」


使った銃の整備を始める。銃は私にとっての命とかわりない。人助けにも銃は使うし、様々な場面で活躍してくれる。


分解し、銃筒や銃口、ストックに弾倉と全てパーツに埃が残らないようにする。金属疲労が起きてないかもチェックし、起きているようであればパーツを変えてしまう。


「相変わらずまた整備?そんな1回1回しなくても...」


「何が起きるか分からない。それに、起きてから後悔しても遅いからね」


「ふーん、んじゃ設計に戻るね」


「ああ、お疲れさま」

ここまでです

再開します

棒に布をくっ付け、筒の中を掃除する 。まだ少し熱を持っているから、一気に冷まさないよう握って温度を保たせ、ゆっくりと丁寧に拭く。


「~~♪」


奥の方から鉄を叩く甲高い音が聞こえてくる。設計をし始めたと言っていたから、他の誰かが武器か何かを作っているのだろうか。


この施設では許可さえとれば制作・改造は常識の範囲内で自由である。とはいえ、設備の扱いが難しいからか使用するものはほとんどいない。


「(珍しいな、何を作りに来たんだろうか?まぁ、大したものではないだろうが...)」


作れるものは鉄製のおもちゃや簡易なラジコン等、おもに遊びに使われている。


「あ、見っけ~!」


「ん?ああ、何だ。もう酔ってるのか?」


「酔ってない酔ってない~♪何でか二人に見えるぞ~?」


足元はふらつき、顔を真っ赤にして笑っている。これをどう見たら酔っていないと判断できるのか。


「ほらほら~、一緒に酒飲もうぜ~?」


「はいはい、私の部屋で良いか?」


「ヒャッハー!」


もう会話になっているか分からない。こっちから声をかけてもよく分からない声が返ってくる。

肩を貸し、何とか私の部屋まで戻ってくる。整備していた銃は組み立てて、立て掛けておいた。誰か見つけたら代わりに直しておいて欲しい。


「ほら、部屋だぞ」


「うぃ~...遅いから酔いが覚めてきちまったよ...」


「なら今から酒を飲んで酔うか?」


「良いね~、1週間ぶりの酒盛りと行こうか!」


棚からウオッカの瓶を3本取り出す。全部は飲まないだろうけど、一応念のために。ショットグラスに注ぎ、1度口をつける。


「んっ、良い感じだ。それじゃあ乾杯しようか」


「乗り気だね~♪」


「飲むからには楽しむ。それが私のモットーだ」


木製のうつわに日本酒を注いでやる。私はウオッカに慣れすぎたせいか、日本酒では物足りなくなっている。しまいにはウオッカで割っていた。いや、ウオッカで割るというのは日本語としてあっているのか?

「おっ、ありがたいね~」


「ほら、乾杯」


「乾杯っ!」


乾杯をしたとたんに注いだ日本酒を飲み干した。ゴクッゴクッと喉を通る音が聞こえる。まぁ、酒に呑まれかねない飲み方だが...


「ぷはぁ!くぅ~!酒が染みるねぇ~!」


その音に押されるように私もウオッカを飲み始める。いつもの口当たりで、飲みなれた味だ。度数は高いが慣れてしまえばなんてことはない。


「ふぅ、やっぱり酒は良い。こうやって嫌なことを忘れられる」


「ほら、たまには日本酒でもどーよ」


「日本酒は私にとっては水同然だからな...まぁ、1杯だけ貰うよ」


うつわを貰い口に含む。やはり物足りない。うつわを返すと、ウオッカを口に含む。


「良いね~、そんな感じで酒を飲んでみたいよ」


「慣れさ、それと生まれつきというべきか」

ここまでです

再開します

その後、2時間ほど酒盛りは続いた。何度もウオッカを口へ含み、今回で4本飲み干した。

流石に飲みすぎたのだろう。かなり体が暖まっているのが、座っているだけでわかる。が、問題は私の方ではない。顔を真っ赤にし、もう限界なのだろう。フラフラと立ち上がり、ベッドに座り込む。


「うぃ~...ひっく...」


「相当酔ってるな...しょうがない、呼ぶか」


内線でとある部屋に電話する。コールが1回終わる前に、電話が通じる。


「はい、誰ですか?」


「もしもし、私だ」


「あっ...」


こちらから電話を掛けたことで、もう相手にはこちら側の言いたいことはわかったらしい。


すぐに電話が切られたかと思うと、2分後に部屋のドアがノックされる。

「いいよ、入ってくれ」


「ごめんね、このバカを引き取りに来たわ」


「良いさ、私も酒盛りは楽しかった」


引き渡して部屋に置いたままの酒瓶を片付け始める。日本酒の瓶にウオッカの瓶、全て中を水洗いしタオルの上において乾燥させる。


こういう空瓶は、後々様々な事で使える。高い度数のアルコールをいれ、布を口に付けると火炎瓶になる。


「ふぁ~...眠い...」


そのまま睡魔に従うかのようにベッドに倒れ込む。
意識を失うのにそんなに時間は要らなかった。

ここまで
寝落ちして申し訳ない

再開、遅れてごめんなさい

何時間寝ただろうか、軽い酔いだったが完全に覚めていることから結構経っていると思う。そろそろ体を起こそうとした時、誰かがノックもせず扉を開けた。


「(誰だ?ちょっと様子見るか)」


気付かれないよう薄く目を開けて、顔を確認する。私の隊の隊員、いつもはあまり気が強くないが、戦闘時は頼もしい仲間だ。男の子である。歳は15ぐらいだろうか、身長は私と同じくらい。


「隊長...起きてないですよね...?」


こっちを覗き込んでくる。何とか目を閉じて、やり過ごすと仰向けになっている私の体をベッドに整え、何をするのかと気になっているといきなり私のパンツを脱がせ始めた。


「(まさか性欲処理か?別に言ってくれれば手伝ってやるが...)」


チャックを下ろし、露になった男性器は勃起して大きくなっていた。


「はぁ...!はぁ...!」


相当興奮しているのだろう、息を荒くし顔を真っ赤に、ピクピクと男性器が震えている。

「い、いれますね...!」


ズププとゆっくり私の膣内に入ってくる。思っていたよりもかなり大きいが、このくらいは何とかなる。少し声を出して脅かしてやろう。


「んっ...!」


「っ!?」


相当驚いたのだろう、体がビクンと跳ね上がり勢いで私の膣内から出てしまった。でも、私が起きてないと分かるともう1回入れる。腰を動かし始め、何度も出し入れを繰り返す。


「隊長の膣内...とても気持ち良いです...!」


だんだんと腰が速くなっていく、これが初めてなのだろう。かなり動きがぎこちない、こっちはあまりイクほど感じはしないが必死に腰を動かしている姿はとても愛らしい。


「もう出そう...!早く抜かないと...!」


ここまで来たら私の膣内で果てて欲しい。足で腰を固めると、目を見開いて驚いていた。


「わっ!わわっ!?」


「せっかくなら中に出せばいいだろう?」

「だ、ダメです!妊娠しちゃいますよ!」


「そんなこと気にするな、それに私の膣内で出したいだろう?」


口ではそんなことを言ってるが、彼の腰は一心不乱に動き続けている。私の子宮が降りてきているからか、彼のが私の子宮口を何度もつついている。


「出ちゃう!でちゃ、っ~~!」


精液が私の子宮に注ぎ込まれる、結構な量が注ぎ込まれ抜いてしまうとすぐに溢れてしまいそうだ。


「はひっ...ひあぁ...」


「たくさん出たな♪気持ちよかったか?」


コクンと頷くと、放心状態になって座っていた。とはいえ、こっちは物凄い焦らされた気分だ。ので、私の性欲を発散させてもらおう。

「それじゃあ、今度はこっちの番だ♪」


押し倒して馬乗りになる。グチョグチョになってる私のに彼のを入れる。さっきのでかなり腰がやられたのか、もうガクガクになっている。


「隊長...!もう出ないですよぉ...!」


「こんなに勃起して私の膣内を圧迫しているくせに、まだまだ出るはずだ」


今度は私が腰を動かしてやる。今まで感じたことの無い快感が来ているのだろう、顔は完全に惚け涎を垂らしている。


「うあっ...!搾られて...!」


「ほら、出したいだけ出すといいさ。私も丁度...♪」


一気に腰の動きを早くする、私もそろそろ奥の底からキている。どうせなら同時に果てたい。


「またでちゃ...ぅあああ...!」


もう1回私の子宮に精液がさっきよりも多い量が注ぎ込まれた。同時に私も絶頂する、久しぶりにイッた気がする。

ここまで、もうちょっと早く更新できるよう頑張ります

再開します

私の膣内から引き抜くと、たくさんの精液がこぼれ出る。久しぶりにきもちいいのが来た。 あの時のことを思い出してしまいそうだ。


「はぁ...これ以上は抑えられなくなりそうだ...♪」


私のここが疼いている。まだまだ精液が欲しがっている。でも、これ以上はいけない。あのうるさいのにも怒られる。


「た、たいちょぉ...」


「何だ?腰でも抜けたか?」


無言で首を縦に振っている。こぼれ出る精液をティッシュで拭き取り、脱がされたパンツを履く。


さて、何でいきなり私が寝てるときに来たのかを聞き出してやろう。

「何で私の寝込みを襲ったんだ?」


「えっと...その...」


「そんなに言いにくいことか?」


やたらモジモジして顔を赤らめている。別に言ってくれれば、部下の性欲処理ぐらい手伝ってやる。が、言ってくれなければ分からない。


「まぁいい、シャワーを浴びていけ。今回のことは黙っていておく」


「あ、はい!」


なんやかんやしていたら、外からは鳥の声が聞こえている。もう朝だ、早く帰ろう。

再開します

体をシャワーで洗ってから服をいつもの戦闘服ではなく、可愛らしい外出用の服に着替える。先にシャワーに入れた子はもう体を先に体を洗い終わってそそっと部屋を出ていった。


「これでいいか、トカレフは...」


愛銃とはいえ他人と付き合っているときに銃器を持っていくのは失礼極まりない。今日だけは机において行こう。何よりアイツがうるさい。


扉を開け部屋を出ると、目の前にもう居た。いつもの煩い時とは違って肌色のカーディガンを羽織り、膝ぐらいまである白のスカート、そして白のシャツ、白い。


「やあ、おはよう」


「おはよう、その格好ってことは今日のこと忘れてなかったみたいね」


「ちゃんと仕事は置いてきたね?」


「当たり前よ、あなたとのデートの途中に水を刺されたくないもの」


「よろしい」


それじゃあ町に行こう、この格好なら子供たちにも怖がられることはない。今日は思いっきり遊んでいくとしたよう。

さてはて、いったいどこへ行こうか?
この島は4つの区域に別れている。第一区から第四区まで存在し、それぞれ特徴を持っている。


「行きたいところは02が決めるといい。今日の主役は君だからな」


「それじゃあまず02って呼ぶのを止めて」


「?じゃあ何て呼べばいい?」


「...今日だけは瑞鶴って呼んで」


「ふふっ、瑞鶴、今日はどこへ行こうか」


宿泊棟を出て、まずは第二区から行くことになった。買い物に関してはあの区域が一番やり易い。それに、美味しいとのもたくさんある。


自分の車を車庫からだし、私が運転席で瑞鶴が助手席。昨日の酒は完全に抜けている。問題はないだろう。

ここまで
遅れてすみません

再開します

車を動かして第二区へ行く。窓を開け車内に空気を入れると、瑞鶴も窓を開けて胸ポケットから1本の煙草を取り出す。


「またいつものかい?」


「良いでしょ、こうでもしてないとやってられないの」


私としては車に煙草の臭いが付くので止めて欲しいのだが...
しょうがないとは思っている、最前線で命を懸けて戦っているのだ。私だって一時期は酒に溺れていた。


「はぁ...それにしても、この島もかなり発展してきたな」


車の外には1年前には考えもしなかった発展した風景が広がっている。人で賑わい、店はひしめくように並ぶ。
かつては荒れ果て、全く人の手が着いていない島だった。


「ほんと、良くここまで発展したと思うわ。この調子ならもっと人口も増えるかもね」


「ああ、いつかは人口過密になるだろうな。そうなる前に早く私たちの島を取り戻さないと」

話をしていると第一区に入った。第二区まではあと20分と言ったところか、他愛ない話をしていると後部座席から犬の鳴き声が聞こえてくる。


「あんた、犬連れてきたの?」


「ははは、私も気付かなかったよ。こいつめ、賢いやつだ」


私が飼っている犬、犬種は確か『コーカシアン・シェパード・ドッグ』。戦闘時は留守番させて隊員に散歩や餌を任せている。
捨てられて弱っているところを保護した。
軍用犬として使われていたのだろう。最初は容赦なく攻撃してきて躾けるのが大変だったが、ちゃんと躾けてやればとても可愛らしい犬だ。


「相変わらずでかい犬よね」


「もし二足歩行したら私と同じぐらいだろうな」


縄張り意識が強く、隊員は同じ縄張り仲間として教えた。今まで危害が加えたこと無いことからちゃんと躾けられているとは思う。

ここまで

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