春日未来「めめんと・もり」 (49)


これは、アイドルマスターミリオンライブのSSです



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「プロデューサーさん。私、貴方の事が大好きです!」

夕日に染まる帰り道。
太陽は斜めに道路を照らし、カラスが鳴いて帰る頃。
隣同士の影から本物のプロデューサーさんに顔を向けて。
私は、そう告げました。

今日二人で一日中たくさんたっくさん遊んで。
とってもとっても楽しくて。
そして、ようやく。
今までの、不思議な気持ちに気付けて。

気付いてくれましたか?
プロデューサーさんにカワイイって言ってもらう為に、頑張ってオシャレしてきたんです。
思ってくれましたか?
何時もと違って少しメイクした私を、大人っぽいって。

大好きな曲を聴いてたら、なんだか楽しくなるみたいに。
プロデューサーさんといると、とっても楽しくて。
歌を歌っていると幸せになるみたいに。
プロデューサーさんといると、とっても幸せで。

なんでこんな気持ちになるんだろう。
なんでこんな嬉しいんだろう。
なんでこんな幸せなんだろう。
なんでこんな…苦しくなるのかな、って。

その理由が、やっと分かったんです。
分かっちゃったからこそ、余計に悩んだけど。
やっぱり私は、真正面から。
自分に嘘はつかないで、素直に伝えるしかないんだ、って。

だから…

「プロデューサーさん!私と付き合って下さい!」

涙がでそうなくらい不安になって。
言った事を後悔しそうになって。
怖くて、足が震えてしまいそうで。
それでも、プロデューサーさんを見つめて。



だから…

「…あぁ。俺も未来の事が好きだ」

とっても、とっっても!嬉しかったです!

嬉しすぎて、その場で飛び跳ねちゃいました。
ステージを成功させた時みたいに心は踊って。
不安なんて、何処かに飛んでっちゃったみたいです。
幸せで…涙が、溢れちゃいました。

「おいおい、泣く事はないだろ」

「だっで…だっでぇ!」

涙が溢れる、その瞬間に。
プロデューサーさんは、抱き寄せてくれました。
たったそれだけなのに。
心がポカポカあったまって…私って、単純ですね。

「俺は、笑顔の未来が大好きだ。だから、笑ってほしい…って、少し臭かったかな」

「プロデューサーさんは臭くありませんよ?」

もうすぐ家に着いちゃうのが勿体無くて。
ずっとずっと、抱きついたままいたいな、なんて。
でも、門限もあるし…
少ないとは言え、人もいるし…



「明日からも、よろしくな」

「あ…その、プロデューサーさん!」

でも。
このまま今日はお別れなんて勿体無いですよね。
だから。
一歩だけ、踏み込んでみよう、って。

家の前に着いて、一度離れて向き合い。
すーっと大きく深呼吸して。
そして、また。
プロデューサーさんに近付いて。

チュ、と。

触れるだけの、簡単なキスをしました。
たったそれだけの筈なのに。
なんだかとってもとっってもあったかくて。
頭がぐるぐるしそうで。

「そのっ!明日からも、お願いします!」

バターンッ!と。
家に駆け込んで大きく息を吸って吐いて。
バクバクする心臓と連動して足まで跳ねそうに。
ううっ!って恥ずかしさと嬉しさがごちゃ混ぜになったままベッドにダイブ!

もちろん、後悔じゃないですよ?
そうじゃなくって、ひたすら恥ずかしくて。
明日からちゃんと顔見れるかな?
顔、赤くならないかな?

ピロンッ。

スマホに通知が一件。
見れば、プロデューサーさんからで。
内容は、改めてよろしくな、って。
もうそれだけで、尚更嬉しくなっちゃいました!

取り敢えずスクリーンショットを撮ってから。
こちらこそ、よろしくお願いします!って返信します。
嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて!
まるで幸せの頂点に立っているみたいに。

明日からしたい事、叶えたい事。
行きたい場所、連れて行ってほしい場所。
食べたいもの、撮りたいもの。
そんな夢を思い浮かべているうちに、夢の世界に落ちていきました。

…でも。
明日からも、なんてそんな当たり前でありふれた。
これからも、なんてそんな日々は。
今まで通りを今まで以上に過ごせる筈の世界は。

簡単に、なくなっちゃうものでした。








翌日目が覚めて、ウキウキ気分で事務所に向かいました。
ぴょんぴょん跳ねる心は、まるで青信号の点灯みたいに。
少し冷たい風と舞い散る葉っぱは、まるで私を祝福するみたいに。
行き交う人々が、今までと違うみたいに見えて。

きっとみんな、こんな幸せを経験してきたんだなって。
スキップしそうな足を無理やり抑えようにも難しく。
ニコニコしながら、事務所に着いて。
おはようございまーす!なんて、元気よく挨拶しながらドアを開けて。

でも、なかなか誰からも返事が返ってきません。
あれ?何時もだったら小鳥さんが、朝から元気ね、未来ちゃんは。
あぁ、若さっていいわ…なんて返してくれるのに。
もしかして、電話中だったりするのかな?

事務所に入ると、みんなが少し俯いていました。
なんでしょう?足元に何かいるのかな?
もしかして落とし穴に気を付けて歩いてるとか!
なーんて、能天気に。

「…ねえ、未来ちゃん。落ち着いて、聞いてくれる?」

「あ、おはようございます!小鳥さん!」

なんとなーく、少しだけ嫌な予感がして。
それを吹き飛ばす為に、大きな声で挨拶して。
でも、小鳥さんの表情は変わらなくて。
もしかして、私何か失敗しちゃいましたか?って不安になって。

…でも。
そんな不安を吹き飛ばすくらいに。
そんな事なんて、どうでもよくなるくらいに。
小鳥さんから告げられた言葉は、凄く辛いものでした。




「…プロデューサーさんが、事故に遭った、って…まだ、意識を取り戻さないみたい…」







それから、数日。
正直、何があったのかよく覚えていません。
ただ学校に行って、レッスンを受けて。
上の空だったので、たくさん注意されちゃいましたけど。

あの日、あの後交通事故に巻き込まれたそうです。
幸い命に大事はないそうですが、未だに意識は取り戻していないみたいで。
あんなタイミングで言っちゃったからかな。
私があの時あんな事を言わずに、直ぐにお別れしてたら巻き込まれなかったのかな。

折角恋人同士になれたのに。
頑張って勇気を出せたのに。
ようやく心が通じ合ったのに。
やっと素直になれたなに。

明日からも、が叶わなくて。
自分のせいで、なんて自分を責めて。
意味が無いことくらいわかってます。
それでも、やっぱり辛くて。

「大丈夫?未来」

「静香ちゃん…うん!もちろん、直ぐプロデューサーさんも良くなるよね!」

自分に言い聞かせるみたいに、無理やり元気をだして。
レッスンルームの壁にもたれ掛かって水分補給をしている。
そんな時でした。



「みんな!プロデューサーさんが意識を取り戻したそうよ!」

小鳥さんからの報告。
それを聞くと同時に、私は走り出していました。
ジャージのまま、階段を駆け下りて。
急いでタクシーを捕まえて、そこでようやくプロデューサーさんが入院している病院が何処だか聞かされていない事を思い出しました。

小鳥さんや他のみんなが降りてくるのを今か今かと待って。
みんなでタクシーに乗り込み、急いで病院へ。
車内で待っている時間は、1分が1時間くらいに感じられました。
それくらいに、待ち遠しくて。

病院へ着くと同時、既に聞いておいた病室へと走り出します。
早く、早く、早く!
プロデューサーさんに会いたい!
プロデューサーさんの顔を見たい!

病室の前では、既に他のみんなが集まっていました。
そのみんなの顔には、笑顔が浮かんでいます。
みんな、嬉しいんだな、って。
まるで自分の事みたいに嬉しくなって。



「…開けて、いいんですよね?」

「面会謝絶じゃないし、いいんじゃないかしら」

意を決して、みんなでドアを開きます。

ドアの先には、ベッドの上に座るプロデューサーさん。
こっちを向いて笑顔を向けると同時に、みんなが部屋になだれ込みました。
心配かけてごめんな、とか。
よかった、みんなが元気みたいで、とか。

自分自身が一番大変な状態なのに、他のみんなの心配をしてて。
私の方が、泣きそうになっちゃって。
星梨花ちゃんや百合子ちゃんが泣きながら抱きついて。
その場がおさまるのには、しばらく時間が掛かりそうです。

でも、本当によかったです。
プロデューサーさんが、意識を取り戻せて。
事故の怪我はまだ完治はしてないみたいですけれど、顔色も良いですし。
これで、ようやく…



「よかった…プロデューサーさん!これからも!」

「あ、えっと…」

そんな時、プロデューサーさんが私の方をみて。
少し首を傾げているのを見て。
なんだか、また嫌な予感がしました。
もしかして、少し体調が悪くなっちゃったんでしょうか?

「大丈夫ですか?私が言うのも難ですけど、うるさくしちゃいましたか…?」

「そうじゃなくて…その…」

なんだか、他人行儀みたいな振る舞いです。
それが怖くて、不安になって。
せめて、私は笑顔で振舞おうって。
笑って、プロデューサーさんにも笑顔になって貰おうとして。

そう決意して、プロデューサーさんへ向かい合おうとした時。
最大限の笑顔で、プロデューサーさんが好きだと言ってくれた笑顔で。
私の喜びを届けようとした。
その、瞬間でした。






「可愛い子だけど…新しいアイドルの方ですか?」

「…え?」

私の表情と心は、一瞬で凍り付きました。




プロデューサーがなっちゃったか.....
「メメント?モメント♪ルルルルル☆」http://youtu.be/MGWI4yjNs0U?t=106
一旦乙です

>>3
春日未来(14) Vo
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>>5
音無小鳥(2X) Ex
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>>7
最上静香(14) Vo
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