幼馴染「二泊三日なんだけど」

幼馴染「……」

幼馴染「いく？」

幼馴染「一緒に……。私と…。べつにどっちでもいいけど」

幼馴染「行かないなら、金券ショップに持っていくし…」

幼馴染「ほんとどっちでもいいけど…もったいないから」



幼馴染「ふーん行くんだ。ふーん…」

幼馴染「じゃあ連休の予定あけといて…」

幼馴染「ばいばい」

　

　　・　　　・　　　・


幼馴染母「結局旅行券どうしたの？　お隣さん夫婦にあげた？」

幼馴染「…」

幼馴染母「あ！　○○君といくんだ？」

幼馴染「！！」

幼馴染「なんでわかったの」

幼馴染母「え？　ほんとに？　やるぅ～」

幼馴染「……。かまかけたの」

幼馴染母「行ってらっしゃい。気をつけてね。交通費はお母さんたち出してあげる」

幼馴染「…うん。ありがと」

幼馴染（温泉旅行ってなにすればいいんだろ）

幼馴染（お風呂入って…ご飯食べて…？？）

幼馴染（なにもすることなさそう…）

幼馴染（老人の趣味だ）

幼馴染「……調べよ」

幼馴染「温泉　すること」pi pi

幼馴染「……」


　　▼カップルで楽しむ温泉旅行の流れ▼

■浴衣姿で手をつないで温泉街をぶらり散策
■部屋付露天風呂でのんびり
■貸し切り風呂にわくわく！二人きりの癒やしの時間…
■夜はもちろん一緒の布団でいちゃいちゃ♥


幼馴染「！？///」

幼馴染「いや…ちがう…カップルとちがう」

幼馴染「げほっ、げほっ…」

幼馴染「……びっくりした」

幼馴染「どうしよう」

幼馴染「カップルちがうのに」

幼馴染「幼馴染　温泉　すること」pi pi


　　▼体験談
・投稿者：幼馴染歴２０年さん(♀)

『最近気になる幼馴染と温泉旅行！
　日中はいつも通りキャッキャと子供時代さながらに楽しむだけだったのに、
　夜になるとお酒が入って普段とは違うなんだかとってもいいムードに！
　気づけばあれよあれよというまに浴衣を脱がされて、やわらかい布団に仰向けにされる私（笑）
　一晩で幼馴染から憧れの恋人同士へランクアップしちゃいました。
　また今度正式デートとして温泉旅行へ行きたいとおもいます♥』



幼馴染「げぇっほ、げほっ！」

幼馴染「…」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

幼馴染「ないから…」

幼馴染「温泉旅行って世間一般的にはデートなの…？」

幼馴染「そんな馬鹿な…」

幼馴染「聞いてみよ」pi pi

幼馴染「もしもし」

幼馴染「私。あのさ、聞きたいことあるんだけど」

幼馴染「…で、デートちがうよね？」ﾎﾞｿｯ

幼馴染「……無視するな」

幼馴染「……なんか言え」

幼馴染「まぁいいや。おやすみ」


幼馴染「…」ｺﾞﾛﾝ

幼馴染「デート……したことないな…」ｺﾞﾛｺﾞﾛ

幼馴染（眠れない）

幼馴染（夕方に時間巻き戻して券回収したい）

今日ここまで

　　・　　・　　・


[ファミレスにて]


友子「ねーねー。今度の三連休さ、スキー行かない？」

友子「あたしのお姉ちゃんが長野まで車だしてくれるって！」

幼馴染「え…三連休…はちょっと無理」

友子「？」

友子「あっ、家の手伝いだった？　あんたんち忙しいもんね」

幼馴染「違うけど」

友子「じゃあもう先約済み？　あんた友達少ないのに」

幼馴染「…」

友子「なにその顔…あー、なるほど」

友子「デートか」

幼馴染「っ！///」

友子「やるぅー」ﾊﾞｼﾊﾞｼ

幼馴染（なんでお母さんとおんなじ反応…）

友子「先行かれちゃったなぁ！！」

幼馴染「違うってば…」

友子「どんな相手？　年上？」

幼馴染「……だから、そんなんじゃないって」

友子「あっ、もしかして？　彼？」

友子「なんか昔から近所に住んでるとか言ってる幼馴染の男？」

幼馴染「…」

友子「なぁーんだ。つまんないの」

幼馴染「…」ｺﾞｸｺﾞｸ

友子「ふっつーって感じ。ふーん幼馴染か…いいねぇ安定感ありそうで」

幼馴染（何の安定感…）

友子「で、どこいくの？　遊園地とか？」

幼馴染「…」

友子「……なんでこの子はそういう話題になるとすぐ目逸らすのかなぁ」ｸﾞﾆｯ

幼馴染「あっ、あっ」

友子「温泉！？！？」

友子「しかもあんたから誘っちゃったんだ？！」

幼馴染「う、うん…」

友子「大胆」

幼馴染「ち、ちがっ、そういうことじゃなくてッ」

友子「そういうことって？　まぁそういうこと想像しちゃうよね～」

幼馴染「～～～っ///」

友子「アハハ。ごめんからかいすぎた」

友子「まぁいいんじゃない。別に仲良い男女がペアで温泉旅行なんてよくあることだし」

幼馴染「あるのかな」

友子「この際普通以上の関係になって帰っておいでよ」

幼馴染「っ！？」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

友子「いいな～あたしも温泉旅行さそえる幼馴染男子ほし～」

幼馴染「あげる」

友子「あんたからもらったってあたしの幼馴染くんにはならないんだよね～」

幼馴染「そっか」

　　・　　　・　　　・


[数日後]


駅員「特急列車△△行きまもなく発射します」


幼馴染（ついにこの日がきてしまった…）

幼馴染（３時間後には温泉地か…どうしよ）

幼馴染「…」

幼馴染「さっきからあくびばっかり。寝不足なの？」

幼馴染「宿ついたら寝る？」

幼馴染「でもチェックインは昼過ぎだからちょっと観光して時間つぶさないと」

幼馴染「…聞いてる？」

幼馴染（なんだかそわそわしてて落ち着きないヤツだなぁ…）

幼馴染「お母さんたちが来れたらよかったのにね」

幼馴染「駅弁たべる？」

幼馴染「もう開けちゃおっか。お腹すいたし」

幼馴染「そっち何買ったの」

幼馴染「あ、牛弁。いいな」

幼馴染「ちょっと交換する？」

幼馴染「ん、いいよ。私の鶏そぼろだから」

幼馴染「はい。ここ乗せるね」

幼馴染「ありがと…いただきます」

幼馴染「はむ……」

幼馴染「ふつうかな…値段不相応」

幼馴染「実家があれなもんで、舌肥えてますから」

幼馴染「はむ……」

隣の客♀「ダーリン。お弁当つくってきたよぉ♥」

隣の客♂「わぁ～い。うれしいなぁ♥」

隣の客♀「ダーリンのすきなおかずいっぱい入れたよぉ。はいあ～ん♥」

隣の客♂「あ～ん♥」


幼馴染（なんだろう。見てるだけでぞわぞわと寒気が……）

幼馴染（よく人前であんなことできるな…）

幼馴染（一方私たちは付き合っても絶対ああはならないだろな…）

幼馴染（付き合う…？）

幼馴染（…ってそもそも付き合うわけないっ）ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

幼馴染「な、なんでもないよ」

幼馴染「…どうしたの」

幼馴染「なんでバカみたいに口あけてるの。あくびじゃないよね」

幼馴染「……えﾞっ」

幼馴染「あ～ん…？　私が！？　す、するわけない！」

幼馴染「バカップル菌が移ったのか！」

幼馴染「あんまり変なことすると、途中下車して帰ります…」

[温泉街]



幼馴染「風情ある町並みだね」

幼馴染「あまり私たちにはそぐわないような…洋服だからかな…」

幼馴染（観光客年配と外国の人ばっかり…）

幼馴染（昭和みたい…）

幼馴染「チェックインまでちょっと時間あるけどなにする？」

幼馴染「私なんでもいいよ。ぼーっとしてるだけでも楽しいし」

幼馴染「ほんとだよ」

幼馴染「いつも一日１時間はぼーっとしてるから」

幼馴染「ここなら俗世を忘れられそう…」

幼馴染「ということでそこらかしこにある足湯に入ろう」

ﾁｬﾌﾟ

幼馴染「あﾞっっっ！」

幼馴染「づっっ！！　あﾞっ！！」

幼馴染「ｱﾂｲｱﾂｲｱﾂｲあつい！」

ｻﾞﾌﾟ

幼馴染「源泉４８度！？　バカじゃないの」

幼馴染「けらけら笑ってないで入ってみろ！」ﾊﾞｼｬｯ

幼馴染「ほら！　熱い！　アハハハ」

幼馴染「わっ、ご、ごめ。ひっぱるな。やめろっ」

幼馴染「あついいやだいやだ入りたくないっ、あついの嫌だー！」

幼馴染「あﾞっっっ！！！」