にこ「大丈夫、大丈夫だから。にこ達はみんな、生きて帰れるから」 (76)

 
平和っていうものが、いまいちよく分からなかった。


普通に家族と生活をして、普通に学校に行って、普通な日々を過ごしていく。


そんな日常は、私にとって当たり前で、それ以上でもそれ以下でもなかった。



たまに、テレビの画面に写っているニュースを観ても、よく分からない。


災害の多い国、犯罪の多い国、内戦が続いている国……。


どれもこれも、私達には関係の無いもののように思っていた。



――でも、それはもしかすると、他の国の人達も、同じように思っているのかもしれない。


「自分には関係ない事」「どうせ他の国の事だから」……多分、真剣に考えてる人なんて一割くらししかいない。


どれだけ大袈裟に伝えられてても、自分達の事じゃないから、次第に危機感は薄れていく。









でも、それは当たり前の事だった。

人は見ず知らずの他人の不幸を、共有する事なんて出来ない。



――もし、それが出来るとしたら

それは、自分にも等しく、不幸が訪れた時だけ。

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・





「」

「…・・・」

「うっ……げほっ……げほっ」

「何……一体、何が起こって……」





にこ「……っ!?」

にこ「え……なに、これ……?」

にこ「玄関が……ない」

にこ「壁が壊れて……キッチンも、居間も……崩れて」





にこ「っ!?こころっ!ここあっ!虎太郎っ!」

にこ「どこっ!?どこにいるの!?返事してっ!」

にこ「と……通れ……ない?」

にこ「何で……何で上の階のコンクリートが崩れてるの……?」

にこ「このパイプ何よ……何で鉄筋みたいなのが刺さってるのよ……っ!」

にこ「どうして……一体何が起こってっ……」 ガラッ…





「……ぇ……ま」





にこ「……っ!?こころ!?こころなのねっ!?」

にこ「どこにいるの!?ここからじゃ何も見えないっ……」



「お……お姉さま……っ」

「けほっ……お姉さま……どこっ……?」



にこ「ここにいるっ!にこにーはここに居るからっ!」

にこ「くっ……このっ……こんな瓦礫……っ!どきなさいよっ……!」


バラッ ガララッ…




にこ「……!」

にこ「こころっ……!」

こころ「げほっ……ぅ……お、お姉さま……」

にこ「良かった……無事で本当にっ……」








こころ「こ……ここあがっ」

にこ「えっ?」

こころ「ここあが……あのコンクリーの下敷きにっ……!」


――



ここあ「……」

虎太郎「…ぅ……ぁ……」 

ここあ「痛い……痛いよ……虎太郎……」

ここあ「こころ……姉ちゃん……ママ……」





バラッ ガラガラッ……!




にこ「はぁっ、はぁっ……!」

にこ「ここあっ!?あ、アンタ……それっ……!」




ここあ「ぁ……ねぇ……ちゃん」

虎太郎「……に、……にこにー……」

にこ「待ってて!今、今すぐ!助けてあげるからっ!」




にこ「ふっ……ぐっ……っづぅ……っ!」 

ここあ「むり……だよ……もう……ずっと……あし……動かない……もん」

にこ「バカっ!何諦めてるのよっ!アンタそんなに諦めの良い子じゃなかったでしょうっ!?」

にこ「待っててっ……にこにーが絶対……絶対っ……!」





こころ「……お、おねえ、さま……」

こころ「ここあの、足が……足がっ……!」 





にこ「……っ!?ひっ!?」

にこ「こ、ここあ……右足が……反対にっ……!」

ここあ「……ねぇ、ちゃん……」

にこ「ここあ、しっかりして、大丈夫、大丈夫だからっ」

にこ「にこにーがね、すぐに助けを呼んできてあげるからねっ……」

ここあ「やだ……ねえちゃん……行か……ないで」

にこ「どこにも行かない、どこにも行かないよ……うん、大丈夫、大丈夫よ……」



ここあ「お姉さま……っ」 ポロポロ

虎太郎「……にこにー」



にこ「大丈夫、安心して……みんな、大丈夫だから」

にこ「だって、にこにーは宇宙一№1アイドルなんだから」

にこ「家族だって、全部、全部守ってあげれるんだから」




にこ「ほら、二人とも、こっちおいで……」

こころ「……」 ギュッ

虎太郎「……」 ギュッ

にこ「ほら、ここあも……手を」

ここあ「……」 ギュッ




こころ「お姉さま……」

ここあ「ねえちゃん…」

虎太郎「にこにー……」





にこ「大丈夫、大丈夫だから」

にこ「こころも、ここあも、虎太郎も」

にこ「みんな、みんな……」














「にこが、絶対に、絶対に助けてあげるからね……」













.


?同刻?



「下がって下さいっ!ここは危険です!離れて下さいっ!」


「建物が崩れ二次災害が起こる可能性があります!危険ですので絶対に近づかないで下さいっ!」





「ちょっと何をしているのですか!ここから先は危険です!離れて下さいっ!」

にこ母「行かせてくださいっ!娘が、娘達があの中にいるんですっ!」

にこ母「お願いしますっ!どうか、どうかあの子達を助けて下さいっ!」

「現在救助可能かどうか調査中です!安全が確認出来次第救助に入りますっ!」

にこ母「安全な訳ないでしょう!?今にも崩れそうなのに!あの子達が押しつぶされそうになってるのにっ!!」

にこ母「通してっ!あの子達を助けてっ!にこっ!こころっ!ここあっ!虎太郎っ!」

「危険です!離れて下さいっ!これ以上は進めませんっ!離れて下さい!離れて……」









穂乃果「……にこちゃん」

海未「こんな、こんな事って」

ことり「本当に……嘘じゃないの……?」

絵里「はぁっ、はぁっ……!」

凛「絵里ちゃん!希ちゃん!」

花陽「ど、どうだった……?」

絵里「……駄目、崩れたマンションの状況も、救助開始の時間も、にこ達の安否も分からなかった」

絵里「救助隊の人達でさえ分かってなかった……全く状況が分かんない」

海未「そ、そんな……」

真姫「……どうして、どうしてこんな事になっちゃったのよ」

真姫「何でいきなり、にこちゃんのマンションが崩れたりするのよ」

真姫「他の、ほかのどこも崩れてないのに、何でここだけっ……!」

花陽「真姫ちゃん……」





希「……さっき、群がってた人達が、こんな事言ってたよ」

希「このマンション、前々から建物自体が老朽化してて、近いうちに増強される予定だったって」

凛「……」

希「根も葉もない噂話だったけど……何も情報がない以上、この話を信じるしかないやん」




穂乃果「……私達に、出来ることって」

絵里「無いわ。例え上手く侵入したとしても、私達がにこ達を安全に救出するなんて絶対無理」

絵里「それどころか、私達まで瓦礫の山に押しつぶされちゃうかもしれない」

穂乃果「……」



海未「……祈りましょう」

海未「にこは、とても強い子です。この程度のことで、絶対に倒れたりしません」

凛「……うん、凛もそう思う。にこちゃん、妹ちゃん達と一緒なら逞しいもん」

花陽「そ、そうだよね……にこちゃんが負けるはず、ないもん……」

絵里「戻りましょう。新しい情報が入ってきたかもしれない」

絵里「凛、花陽。にこのお母さんを、こっちに連れてきてあげて」

凛「うん」

花陽「分かりました」




真姫「……」

ことり「真姫ちゃん……大丈夫だよ」

ことり「にこちゃんは絶対戻って来てくれるよ……だから、一緒に待ってあげよう?」

真姫「……うん」

海未「穂乃果、行きますよ」

穂乃果「あ、うん」




















穂乃果「……」

穂乃果「にこちゃん、信じてるよ。絶対に、生きて帰って来るって」








          【第1日目】







.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・




「……」

「……ぁ」

「ママ……パパ……」

「ぅ……」









にこ「……っ」 ガバッ

にこ「……ぇ、あ」

にこ「あ、あれ……にこ、生きてる……」

にこ「み、みんなは……っ!」






こころ「……すぅ……すぅ」

ここあ「……かー……すぅ」

虎太郎「……」 Zzz...






にこ「……良かった、みんな無事で……」

にこ「……え、無事?」

にこ「あれ、ここあ、足が戻って、え、あれ……」











にこ「ていうか……ここ……どこなのよ?」

にこ「えっと、確かにこ達は……」

にこ「いきなりマンションが崩れて、コンクリートの下敷きになったここあを助けようとして、それで……」

こころ「んぁ……おねえ、さま……?」

にこ「!」

にこ「こころ!起きたのね……」

こころ「ふぁぁ……ここ、どこですか?」

にこ「……」

こころ「お姉さま?」

にこ「ううん、大丈夫よ。ちゃんと説明してあげるから」

にこ「こころ、ここあと虎太郎も起こしてくれる?」

こころ「あ、はい、分かりました!」 タッタッタ…










にこ「……妹達に変な心配させないようにしないと」

にこ「にしても本当に何処なのよここ……にこ達が住んでたマンションとはまるで別物じゃない」

にこ「壁に大きな穴は空いてるし、家具はぐちゃぐちゃだし……」

にこ「……」







にこ「……夢、なんて事じゃないわよね?」

こころ「お姉さま、二人を起こしてきました!」

ここあ「ふぁ~ぁ……姉ちゃんおはよー」

虎太郎「……ねむい」

にこ「おはよう……って、アンタ大丈夫なの?」

ここあ「え、大丈夫って何が……」

ここあ「っ!」

こころ「こ、ここあ?」

ここあ「あいたたた……あれ?わたし、足なんて怪我したっけ……」

にこ「!?だ、大丈夫!?骨とか折れてない!?」

ここあ「そ、そんな大袈裟な……うん、痛むけど歩けない訳じゃないよ」

にこ「良かった……良かった?」

にこ(あんな足の曲がり方して、なんで軽傷で済んでるのよ?)

虎太郎「……ママ、いない」

こころ「お姉さま、ここは一体何処なんですか?こころ達はさっき、マンションが崩れて生き埋めに……」

ここあ「え、生き埋め?」

こころ「ここあ、覚えてないの!?」

ここあ「いや……何か物凄く痛い夢はみたなぁって……それだけ」

こころ「あ、あんな恐ろしい足の曲がり方してたのに覚えてないなんて……!」

ここあ「ちょ、ちょっと何変な曲がり方って!?凄く怖いから思い出したくないんだけど!」





にこ(……ここあはともかく、にことこころはマンションが壊れた事を覚えてるわね)

にこ(だとしたら、さっきの出来事が昨日の出来事で、今ここに居る事は夢?)

にこ(……でも、感覚あるし、物に触った感触あるし……にこ、こんな夢、見た事ない)





にこ「……ああもうっ」

虎太郎「にこにー……?」

にこ「あ、何でもないわ。大丈夫よ」

こころ「お姉さま、こころ達は助かったのですか?」

にこ「え、うん。そう……だと思う」

ここあ「ていうか、ここ何でこんなに穴だらけなの?」

ここあ「なんか色々ボロボロだし、1階と2階が半分崩れてるし」

にこ「え?……あ、本当だ」

こころ「お姉さま!このお家、地下に行く階段もあります!行ってみてもいいですか?」

にこ「だ、だめ!何があるか分からないから!じっとしてて!」

こころ「は、はい……」

にこ「……ちょっと、この家がどうなってるか見てくる」

にこ「こころ、ここあ、二人は虎太郎の事をお願いね」

ここあ「うん」

こころ「わかりました」

にこ「良い子ね。虎太郎、お姉ちゃん達を困らせちゃダメよ」 ナデナデ

虎太郎「うー?」

にこ「じゃあ、行って来るわ。何かあったら大きな声で叫んでね」

ここあ「姉ちゃん、気を付けてね」

にこ「うん、分かってる」














にこ「……ここが何処か、全くわからないけど」

にこ「じっとしていても、何も変わらないのは確かよね」


・・・・・・・・・・・・・・・



にこ「……う、何よこれ」

にこ「階段じゃなくて、梯子……?なんで梯子なのよ」

にこ「下をみない、みない……」 ギッ ギッ





にこ「……ふぅ」

にこ「うわ、瓦礫の山がある」

にこ「……もう、瓦礫は見たくないわ」





にこ「扉が2つ、ひとつは板で塞がれてる……」

にこ「明らかに怪しいわね……こっちにしましょう」 ガチャ




にこ「!」

にこ「な、何よこれ……」

にこ「さっきとは比べ物にならないくらい、瓦礫で埋もれてるじゃないの……!」

にこ「これじゃ進めない……」




にこ「……退かすにしても、凄く時間がかかりそう」

にこ「そう言えば、ここあの所に行くときもこの位の瓦礫が積んであったっけ……」

にこ「……何か関係、あるの?」


・・・・・・・・・・・・・


ガチャ


にこ「はぁ……ここは後回しね」

にこ「とするとこの塞がれた扉を……これ、剥がせるの?」





にこ「………」 ギュッ

にこ「んっ、んっ!んんっ!」 ギッ ギギッ ギギギッ……



にこ「……少しずつだけど、開いてきてる」

にこ「ふんっ!っせ!のっ!」 ギギギッ ギギギッ



バランッ!バラバラ……


にこ「はぁ、はぁ……剥がれた」

にこ「何でわざわざ塞いだのかしら……そんな事する意味が」 ガチャ



にこ「!?」

にこ「な、何よこれ!?また瓦礫の山じゃない!」

にこ「ああもうっ!これじゃ無理して開けた意味がないじゃないのぉ!もー!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・

こころ「……お姉さま、遅いね」

ここあ「うん、でもさっき姉ちゃんの苛立った声聞こえたから、大丈夫なんじゃない?」

こころ「ならいいんだけど……」





虎太郎「……」 ガチャガチャ

こころ「虎太郎、何してるの?危ないからじっとしてなさい」

虎太郎「……」

ここあ「……虎太郎?」





虎太郎「……お水、あった」

こころ「え?」

虎太郎「……砂糖」

ここあ「お、そう言えばずっとのどか湧いたなって思ってたんだよね。ちょうだい」

こころ「だ、ダメよ!拾った物を口にしたらいけないってママが言ってたでしょ!?」

ここあ「えー……でも、この家の蛇口壊れてるじゃん」

こころ「とにかくだめ!お姉さまが帰って来るまで待つの!」

ここあ「ちぇー……」









虎太郎「……」 ガチャガチャ

虎太郎「機械のネジ……かっこいい」

こころ「虎太郎もいい加減にして、こっちでいい子にしてなさい」

虎太郎「うん」 テクテク


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


バラララッ!ガラッ……



にこ「はぁー……はぁー……や、やっと終わった」

にこ「にこ一人でこれを退かせた事がキセキね……」

にこ「えっと……この先は」





にこ「……大きい戸棚が一つあるだけ」

にこ「こ、ここまで頑張って……何もないなんて……」

にこ「どうしよう……もう随分と妹達を待たせちゃってるし」





にこ「……」 ガラッ

にこ「何か、何か為になるものでも……」 ガサゴソ





にこ「!」

にこ「包帯と缶詰……!缶詰はともかく、包帯は大収穫ね」

にこ「これでここあの怪我も少しはマシになる筈……急いで戻らないと」











にこ「……随分時間が経った気がする。身体も疲れてる」

にこ「やっぱり、これって夢じゃない……のよね?」


・・・・・・・・・・・・・・・


にこ「……ふぅ」

こころ「あ、お姉さま!」

にこ「ごめんね、凄く遅くなっちゃった……」

虎太郎「……にこにー。無事」

ここあ「もーずっと地べたに座ってたからお尻痛いよ……いてて」

にこ「ごめんね……あ、ここあ、さっき包帯見つけたから手当してあげるわ。こっちに来て」

ここあ「あ、うん……ありがとう姉ちゃん」

にこ「いいのよ、はい、足出して」

ここあ「うん……」






にこ「……」 シュル シュルッ ギュッ

にこ(もう日が沈みかけてる……夜もここで過ごさないといけないの?)

こころ「お姉さま、こころ達はいつまでここにいないといけないの?」

にこ「えっと……そうね。明日には戻れるはずだから、今日は我慢してね」

こころ「はい……」

ここあ「あ、姉ちゃん、虎太郎がそこで水とか色々見つけたんだけど、これ、飲んでいい?」

にこ「え?水?」



こころ「……そう言えば、今日一日何も食べたり飲んだりしていません」

虎太郎「……お腹、空いた」

ここあ「喉もカラカラだし……ね、いいでしょう?」

にこ(……見た感じ、綺麗なペットボトルに入っている水ね)

にこ(でも、水って確か賞味期限あったわよね……これ、ラベルも何もついてないし、安全に飲める保証は……)

にこ「……」 チラッ




ここあ「……姉ちゃん」

にこ「……ちょっと、にこが一口飲んでみるわ」 プシュ

にこ「……」 ゴクッ 





にこ「……うん、普通の水ね」

ここあ「本当!?じゃあ飲んでいいの!?」

にこ「う、うん……でも沢山飲んじゃダメよ。お腹壊すから」

ここあ「やったー!」

こころ「お、お姉さま……こころも、飲みたいです」

にこ「いいわよ。あ、そうだ……」 ゴソゴソ

にこ「ほら、さっき地下でちょっと大きめの缶詰を見つけたの。みんなで分けて食べましょう」

こころ「わーい!ご飯です!お腹ペコペコでしたー!」

虎太郎「ごはん……」

にこ「ほら、焦らないの。今開けてあげるから……」



カシュ



にこ「……これは、お肉、よね?」

ここあ「何でもいいよ、いただきまーす」

にこ「あっ!ちょっと!まだにこが毒見してっ……!」




パクッ



ここあ「……」

にこ「……ここあ」

ここあ「……このお肉、肉の味しかしない」

にこ「え?」

ここあ「ぶにょぶにょしてるし……あんまり美味しくないや」

にこ「大丈夫?まさか腐ってないわよね……?」 パクッ




にこ「……うぇ、確かに肉の味しかしないわね……そもそも何の肉なのよ」

にこ(でも、腐乱臭はしないし、腐ってる訳ではなさそう……)

こころ「お姉さま……?食べても大丈夫なのですか?」

にこ「う、うん……あんまり美味しくないけど」

ここあ「でも、何も食べてなかったからないよりはマシかな」

にこ「そうね……」

虎太郎「……まずい」

こころ「こら、虎太郎。我慢して食べるの」




にこ「……4人で分けたから、全然足らないわ」

こころ「お姉さま、もう缶詰はおしまいですか?」

にこ「うん……ごめんね」

ここあ「はぁ……もう帰りたい」


?夜?



にこ「……あっという間に夜になったわ」

ここあ「姉ちゃん、ここ寒いよ……」

こころ「……大きな穴が開いてるから、風がどんどん中に入ってきてます」

虎太郎「……くしゅんっ」 ズズッ




にこ「……風邪でも引いて、体調崩したらまずいわ」

にこ「3人とも、今日は下の階で寝ましょう」

ここあ「下って地下のこと?」

にこ「うん、さっき綺麗にしてきたから、少なくともここよりは居心地がいい筈よ」

にこ「幸い、大きめの布とかも見つけたから、寒さは凌げると思うわ」

こころ「ベットはないのですね……」

虎太郎「……」








こころ「あ、でも布団っぽいのはいっぱいありますね」

にこ「ほら、今日一日だけの事だから、早く寝て明日に供るわよ」

ここあ「はーい……ふぁぁ……うっ……布越しの床が冷たい……」

にこ「今日だけ我慢してね……おやすみなさい」

こころ「お姉さま、おやすみなさい……」

虎太郎「おやすみ……」



こころ「……すぅ……すぅ」

ここあ「……かー……すぅ」

虎太郎「……」 Zzz...




にこ「……みんな、寝たわね」

にこ「……」





にこ「どうしよう……今日一日使って、何も出来なかった」

にこ「明日元に戻れる保証なんてどこにもないのに……どうすればいいのよ……」

にこ「水は僅かしかない、食料はさっき食べちゃったし……」

にこ「……」






にこ「……3人が寝てる間に、少しでもいいから食べ物を見つけないと」

にこ「ここ、二階と三階もあったはずよね……さっきの戸棚みたいに、まだ食料があるかも」








にこ「……大丈夫、大丈夫。にこなら絶対、こころ達を守れる」

にこ「しっかりするのよにこにー!姉が頑張らないと、妹達はついてこないわ!」









          【第2日目】







.


・・・・・・・・・・・・・・・・・




こころ「……ん、ふぁぁあ」



ガチャガチャ…



こころ「……あれ……お姉さま」

にこ「…!あ、こころ……起きてたのね」

こころ「はい……お姉さま、早起きですね」

にこ「う、うん……早く目が覚めちゃったの」

こころ「そうですか……ふあぁ……」




にこ「……よく、眠れた?」

こころ「……床が冷たくて、時々上の階から入って来る風で、夜中何度も起きてしまいました」

にこ「……そう、よね」

こころ「ねぇお姉さま、今日本当にお家に帰る事が出来るのですか?」

にこ「……」 

こころ「お姉さま?」

にこ「大丈夫よ、心配しないで。ちゃんと帰れるから」

にこ「もう少ししたら、ここあ達を起こしてきて。にこにーが良い物持ってきてあげるから」

こころ「本当ですか!?はい!分かりました!」









にこ「……」

にこ「うん……一日寝てなくても、人間は大丈夫よね」

にこ「頑張らないと……ひとまず、夜中に集めた物を整理して……」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ここあ「ふぁぁ……腰が痛い」

虎太郎「……眠い」

にこ「ほら、シャキッとする!ママに見られたら怒られちゃうわよ!」

こころ「お姉さま、良い物とは一体何ですか?」

にこ「あ、うん。みんなお腹空いてるでしょう?」

にこ「色々探してたら、食べられる野菜を見つけたの。綺麗に洗ってるから食べていいわよ」

ここあ「……野菜を、生で?」

にこ「う、うん。大丈夫。カブは生でも食べられるの。甘くて美味しいわよ」

虎太郎「……パン、食べたい」

にこ「ごめんね。パンは見つからなかったの……2つあるから、3人で食べなさい」

こころ「お姉さまは食べないのですか?」

にこ「にこはみんなが寝てる間に食べちゃったから、大丈夫。遠慮しないで」

こころ「分かりました……いただきます」

ここあ「いただきまーす」



がりっ ぼりっ ぼりっ……



虎太郎「……かたい」

こころ「でも、甘いです……」

ここあ「うん……昨日の缶詰と一緒に食べたら美味しいかも」

にこ「……缶詰は、見つからなかったわ」

ここあ「そっか……」

こころ「……」








にこ「……ねぇみんな、あのね」




ドンドンドンドンッ!

こころ「ひっ!?」 ビクッ

ここあ「な、何っ!?何なの!?」

虎太郎「……?」 ボリボリ

にこ「っ!みんな静かにっ!」






にこ(……誰かが、家のドアを叩いた?)

こころ「お、お姉さま……」

にこ「心配しないで、大丈夫……」

にこ「……」

にこ「……ちょっと見てくるわ、三人とも絶対に動かないで」

ここあ「う、うん……」











にこ(……)

にこ(もしかして、本当に救助隊が来てくれたの……?)

にこ(……開けて、大丈夫。よね?)






にこ「……変な人だったら、すぐに閉めて鍵をかける」

にこ「最初は、ちょっとだけ……」






ガチャ……



「ああ良かった、ドアを開けてくれた」


にこ「……な、何の用ですか?」


「どうか警戒しないでくれ、私達はここの隣に住んでいる者です」









にこ「……」 ギィィ


「こんにちは!隣人さん!」

「実は、家に何本かヒノキが立っていてね、こんな世の中だろう?誰かに切られる前に材木にしてしまったワケさ!」


にこ「……はぁ」


「良かったら、分けてあげるよ。これからどんどん寒くなるだろうし、薪は多い方がいいだろう?」

「共に助け合って、この内戦を生き延びようじゃないか!」


にこ「あ、はい……ありがとうございま」







にこ「……っ!?」

にこ「ちょ、ちょっと待って下さい!今なんて言ったの!?」


「ん?だから、共に助け合って、この内戦を生き延びようって……」


にこ「な、内戦……?内戦って何!?日本で内戦が起るわけないじゃない!」


「ニホン……?何を言っているんだ?このPogorenでは反乱軍と政府軍が今まさに殺り合っているじゃないか」


にこ「ぽ、ポゴレン…?反乱軍…?い、一体何を言ってるのよ……!」


「おっと、そろそろ行かないと……昼はスナイパーに狙われてしまう」

「じゃあね隣人!まだスーパーに食べ物が残ってるって聞いたから、急いだ方がいいよ!」


にこ「ちょ、ちょっと!待ちなs」





パァンッ……!








にこ「っひぃ!?」 



にこ「ぇ……ぁ……あ?」 

にこ(う、嘘……昨日から、ずっと遠くで鳴っていた、音って……)

にこ(じゅ、銃……声?)




にこ「ぁ……あ……あっ……!」

にこ「し、閉めないと……早く……扉をっ……!」


バタンッ!





にこ「っは!……はっ……はぁっ……!」




こころ「お、お姉さま!?」

ここあ「ど、どうしたの!?何かあったの!?」

虎太郎「……?」




にこ「……ぅぅん、何でも、ないわ」

こころ「え、で、でも……顔色が」

にこ「大丈夫、大丈夫だから……」

にこ「ちょっと……疲れてるみたい……しばらく……休むわ……」

ここあ「……姉ちゃん?」

にこ「……ごめんね」



ガチャ……バタン










にこ「……」

にこ「い、今、確信したわ」

にこ「これは夢。夢よ」

にこ「日本で、戦争が起こる訳、ないじゃない……はは、何よこれ……」

にこ「寝よう……寝て、起きたら……また……家に」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ここあ「……まだ、家に帰れないのかな」

こころ「……うん」

ここあ「……姉ちゃんは?」

こころ「ぐっすり眠ってるよ……凄く疲れた顔して」

ここあ「……」




ここあ「あの、さ」

こころ「?」

ここあ「昨日、私もあまり寝れなくて、夜中に起きちゃったんだよね」

ここあ「んで、上から物音がして、横で寝てる筈の姉ちゃんが居なかったから」

ここあ「もしかしたら姉ちゃんもトイレかなって思って、上の階に行ったんだよね」

こころ「……それで?」






ここあ「……姉ちゃん、手とか顔とか、真っ黒にして、瓦礫の山とか、机の引き出しとか漁ってた」

ここあ「多分、今日の朝食べた野菜、姉ちゃんが夜中に見つけた物……だと思う」

こころ「……そんな」









ここあ「……ねぇ、もしかして、私達ってずっとここまm」

こころ「待って!そんな事言わないでっ!」

虎太郎「!?」 ビクッ

ここあ「……ごめん」

こころ「……」 グスッ

虎太郎「……泣いてる?」

こころ「ううん、泣いてないよ……」

ここあ「ねぇ、もう夕方だけどさ、私達で何か出来る事探そうよ」

こころ「私達で?でも……お姉さまが危険だから動かないでって」

こころ「それに……私達、お姉さまみたいに力も無いし……」

ここあ「……うん」

ここあ「だから、二人でさ」

こころ「えっ?」

ここあ「二人で力合わせて一緒にやれば、姉ちゃん並に力でるんじゃないかなって」

こころ「……あ」





ここあ「……ボロボロになってる姉ちゃん見たのに、このままずっと何もしないで待ってるとか」

ここあ「私嫌だよ。退屈だしお尻痛いし、お腹空くし喉乾くし」

こころ「……」

ここあ「こころがしないなら、私一人でも……」

こころ「待って!」









こころ「……私も、これ以上辛い顔してるお姉さま、見たくない」

こころ「私も頑張る。……ここあ、一緒にやろう?」

ここあ「……うんっ」 


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




にこ「……」

にこ「ん……ぁ……」




にこ「……目が、覚めてる」

にこ「少しだけ……疲れ取れてる」





にこ「……でもっ……身体のあちこちが痛いっ……」

にこ「本当に……本当に、夢じゃないの……?」



ポタッ……



にこ「ひっくっ……ぐすっ……どうしたらっ……どうすればいいのよっ……!」

にこ「戦争だなんて……スナイパーだなんてっ……」

にこ「あの子達に……なんて説明すればいいのよぉっ……!」












シュッ……

    シュッ……


カンカンカンッ…・・!


にこ「……?」

にこ「何……この、音……?」





にこ「……っ!」


にこ「ま、まさかっ……兵士がこの家に……っ!?」


にこ「こ、こころ!ここあっ!虎太郎っ!」 ダッ?





ダッダッダッダッ……


バタンッ!




にこ「こころっ!ここあっ!虎太郎!大丈…」


こころ「ここあ!そっち、もうちょっと上!」

ここあ「ちょ、ちょっと待って……ここらへん!?」

こころ「うん、そこっ!えっと……ここに釘を打って……」

ここあ「ああもう!煉瓦じゃ打ちにくい!金槌とかないの!?」

こころ「虎太郎、お布団なる布かお洋服があったら持ってきて!」

虎太郎「…はい」

ここあ「ここを立てて……よし、何とか出来た」





にこ「……なに、してるの?」

こころ「あ、お姉さま……」

にこ「ダメじゃない……ちゃんと、じっとしてないと」

にこ「もうすぐ、もうすぐ助けが……来るんだから」

虎太郎「……」



ここあ「……姉ちゃん、疲れてるでしょ?寝てていいよ」

こころ「そうです。こころ達は大丈夫です。ここは任せて下さい」

にこ「任せるって……何作ってるのよ……?」

ここあ「いやー、だって床で寝たら身体痛くなるじゃん?」

ここあ「だからさ、ここにあるもの全部使って、ベット作ってるの」





にこ「ベット……?何で……」

こころ「ほら!今日お姉さまが貰った木がいっぱいありますので、夜には間に合いますよ!」

こころ「お布団も虎太郎がいっぱい持ってきてくれてるので、今日は寒くて痛い思いしないで寝れます!」

虎太郎「……洋服、いっぱい」

にこ「……」

こころ「だからお姉さま、今日は休んでて下さい」

こころ「私達だけでも、何とか出来ますから」

こころ「そして、こころ達特製ベッドで、一番最初に寝て下さい!元気になれます!」










こころ「だから……だから」

こころ「そんな……悲しい顔……しないで……下さい……」 ジワッ

こころ「こころは……いつも……笑ってる……お姉さまが……」

こころ「一番……一番っ……」

こころ「ふっ……ぇっぐ……ぁ……」 ボロボロ

にこ「……こころ」


ギュッ



にこ「……ここあ?」

ここあ「……水くさいよ。姉ちゃん」

ここあ「自分ばっかり、辛い思いしてさ」

ここあ「私達だって、もう小さい子どもじゃないもん」

にこ「……」

ここあ「……家の手伝いを頼む時みたいに、私達に言えばいいじゃん」

ここあ「姉ちゃんの頼み事なら、何でもするから……」 ギュッ







にこ「……」

こころ「ひっく……ひぐっ……」

ここあ「……」 グスッ

にこ「……ごめん、ごめんね、二人とも」

にこ「いっぱい我慢させちゃたね……ごめんね」

こころ「我慢してたのはお姉さまの方ですっ……!ずっと寝ないで食べ物捜してたなんて……!」

にこ「……うん、ごめんね、ごめんね……」

こころ「次からはちゃんとこころ達にも言ってくださいっ……!お手伝いなら何でもしますからっ……!」

にこ「うん、……ありがとう」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


こころ「……できたっ!」

ここあ「はぁ~……疲れた」

虎太郎「……ベッド、できた」

にこ「……うん、これなら床で寝るより、大分マシになるわね」

こころ「全然フカフカじゃないですけど……上も下も布だから温かいです!」

ここあ「この大きさなら、私とこころと虎太郎なら三人一緒でも寝れるんじゃない?」

こころ「うん、私達3人なら、ちょっと狭いけど大丈夫かも」

虎太郎「……今日は、にこにー」

にこ「なーに言ってるのよ。あんた達が作ったんだから、最初はあんた達が使いなさい」

こころ「え?でも……これはお姉さまの為に」

にこ「にこはさっき沢山寝ちゃったから、夜は寝れないと思うの」

にこ「だから今日は、頑張った三人がこのベットを使う事!いいわね?」

こころ「……分かりました」

ここあ「んじゃ、もう寝よっか……正直、疲れたよ」

虎太郎「……眠い」 ウトウト

にこ「ほら、子どもはもう寝る時間。早く寝て元気にならないと」

こころ「はい……お姉さま、おやすみなさい……」

ここあ「ふぁぁ……明日は……姉ちゃんの……ベッドも……」

虎太郎「……すー」














にこ「……」

にこ「ごめんね、三人とも。ありがとう……凄く、嬉しいよ」 ナデナデ

こころ「ふみゃぁ……ぐぅ……」

‐夜‐


にこ「……よく、寝てるわね」


こころ「すぅ……すぅ……」

ここあ「すぴー……」

虎太郎「……バックダンサー……Zzz……」







にこ「……」

にこ(こころ達、帰れない事は察しているみたいだけど)

にこ(この場所の事とか、戦争の事とかは、何も知らない)





にこ(……ううん、知らなくていい。知ってしまったら、夜安心して寝る事すら出来ない)

にこ(出来るだけ、誤魔化して、助けが来るまで何とかしなきゃ……)

にこ(ああでも、もう水も食料もない……どうすればいいのよ……) ポリポリ









にこ「……あ、そう言えば」

にこ「今日来た隣に住んでる人達、何か言ってたわよね……?」

にこ「ええっと……」



『おっと、そろそろ行かないと……昼はスナイパーに狙われてしまう』

『じゃあね隣人!まだスーパーに食べ物が残ってるって聞いたから、急いだ方がいいよ!』









にこ「昼はスナイパーに……ってことは、夜は大丈夫なの?」

にこ「スーパー……スーパーマーケットの事よね?そこに行けば、食べ物が……」







にこ「……」

にこ「この子達は今日、かなりの体力を使ってる筈……朝食べた野菜だけじゃ、全然足りない程に」

にこ「その上明日も飲まず食わずになってしまったら……間違いなく、倒れちゃう」



グギュウルルル……



にこ「……ぅ」

にこ「そう言えば、にこ今日は何も食べてなかったんだっけ……」

にこ「……」






にこ「……今から外に出て、食べ物を探すしかないわ」

にこ「この子達を置いてけぼりにするのは不安だけど……ここに居ても、空腹で倒れちゃうだけ」

にこ「……それなら」





ガチャ





にこ「……」

にこ「待っててね、みんな、美味しいもの沢山持ってきて、帰って来るから」

にこ「ちょっとだけ、良い子にしててね」




バタンッ



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



‐スーパー‐



にこ(……英語ばっかりで、何書いてあるか全然分からないけど)

にこ(この場所で合っているのよね……?)




にこ「うっ……」

にこ(酷い有様ね……かごが散乱して、色んな所が崩れてて……)

にこ(こんなにボロボロになってるだなんて、内戦が起ってるってのは本当みたいね)




にこ(でも、そんなの関係ないわ)

にこ(何が何でも食べ物を見つけて、こころ達に届けてあげないと……!)

にこ(行くわよにこにー……頑張るのよにこにー……!)




ザッザッザッ……














「……」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



にこ「……」 ガソゴソ…

にこ(ダメ、変な葉っぱとか機械の部品はあるけど、食べ物が全然ない……)

にこ(マズい缶詰でも、野菜でも何でもいい……何か、何か見つけないと……!)






「おい、貴様何をしている」







にこ「っ!?」 ビクッ

「何だ、まだ餓鬼じゃねぇか……ご苦労な事だな……ウィック」

にこ「ひっ……あっ……」 

「おいおい、そんなにビビるなよ。俺たち政府軍は善良な市民を無闇に撃たない。そうだろ?」

にこ「あ……せ、政府……軍?」




にこ(軍服……銃を持ってる……)

にこ(ど、どうして……夜は安全な筈なのに……!)





「……」


にこ「……な、何ですか?」


「お前、名前は?」


にこ「え?」


「名前だよ。ママから貰った名前があるだろう?」


にこ「あ、ああ……名前、名前は……矢澤、にこ」












「Niko、ね……美人にはちょうどいい名前だな」



,

にこ「あ、ありがとう……ございます」 ガサゴソ

にこ(何よ……コイツ、何が言いたいのよ……)



「何を探している?」



にこ「た、食べ物を……妹達に食べさせる為に」



「へぇ、感動的だな。惚れ惚れするぜ」




にこ「は、はは……」

にこ「私、もう行かないと……」



「でも諦めた方がいい。ここにもう食い物は残っていない」

「この前来た奴らがみんな持って行っちまったよ。諦めるんだな」


にこ「……え?」

にこ「そんな……折角、ここまで来たのに……」


「おい、待てよ」

「俺が持ってる奴を、お前に分けてやってもいいぜ」


にこ「え……いいん、ですか?」

にこ「あ、ありがとうございますっ……!」

にこ(良かった……これで皆元気に……!)





  





「ヤってくれるんなら、食い物なんていくらでもやるよ」

にこ「……は?」


「あぁ、まだ何も知らないお嬢ちゃんだったな。へへ、これは幸運だ」


にこ「……ちょっと、何言ってるのよ」


「さぁ来いよ嬢ちゃん。夕食と楽しい時間が待ってるぜ」


にこ「ふ、ふざけないでっ!そんな事っ…できるわけないじゃないっ!」


「何が出来ないだって?」


にこ「だ、だからっ……そのっ……変な、ことなんて……」


パァンッ!!!







にこ「……ひっ!?」 ガクンッ


「あまり俺を怒らせるなよ」

「飢え死にするか、言う事を聞くかどっちがいい?」



にこ「も、もう私、帰るから……!」




――ゴッ!








にこ「―っあ……!?」 ドサッ



「ちっ……面倒な事させやがって」

「善良な市民を傷つけたりはしない、だが、反抗すればお前は我々の敵だ」



にこ(やだっ……怖いっ……怖いよっ……)

にこ(こんな所で……絶対嫌っ……)

にこ(嫌なのにっ……これ以上逆らったら……殺されるっ……)




にこ「ゃ……ゃだ……ぁ……いやぁ……!」


「おらっ!歩けっ!歩かねぇならここで身ぐるみ剥がしてやる」




にこ「やだっ……やだぁっ!やめてっ!いやぁ!」 ジタバタ


「こいつっ……!いい加減大人しく――」







――バタンッ!

にこ「……ぇ」


「――誰だ!?ごっ!?」 ゴスッ


???「クズ野郎がっ![ピーーー]っ!」


「な、き、貴様なにすっ……ごはっ!?」 ガスッ

「ま、待ってくれ!頼む!助けてくれっ!」




――ガスッ






???「……死んだか。運が悪かったな」


にこ「ぇ……ぁ……」


???「可哀想に、まだ成人もしていないじゃないか」


にこ「ぁ……ぁぁ……」


???「立てるか?ここから出よう」

???「我々のシェルターで、怪我の治療をするんだ」


にこ「あ、貴方は……」














Pavle「大丈夫だ、僕は君と同じ、民間人だから」

ここまで
気付いてる人もいると思うけど、This War of Mine×ラブライブ


続きは三日後くらい









                【第3日目】









・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・




ガチャ





Katia「パヴェル、帰ったのね」

Pavle「包帯を拾った。役に立つはずだ」

Katia「ありがとう。これでケガしても安心だわ」

Katia「コンロが出来たの。ブルーノが作ってるから食べて」

Pavle「ああ、助かるよ」





Bruno「おい、パヴェル」

Bruno「その女は一体何だ?」



にこ「……」



Pavle「ブルーノ、カティナ」

Pavle「彼女の事で少し話がしたい。いいかな」





・・・・・・・・・・・・・


Pavle「……と、言うことがあって連れてきた」

Katia「可愛そうに……パヴェルが居なかったら、一体何をされてたか考えたくもないわ!」

Pavle「彼女をしばらく、このシェルターに置いておけないだろうか」

Katia「ええ、勿論よ。早速ベッドを作らないと……」

Bruno「俺は反対だ。タダでさえ俺たちの物資に余裕が無いのに、人が増えるだなんて冗談だろう」

Pavle「だが、このまま彼女を放って置くわけにもいかないだろう」

Katia「ええ、そうよ。ねぇブルーノ、今晩だけでも置いてあげないかしら?」

Bruno「今夜だけならな、後の事はそこのお嬢ちゃんが自分で何とかするしかない」









にこ「……ぅ」

にこ「……ぇ?こ、ここ……どこ」

Pavle「気が付いたか」

にこ「っ!?」 ガバッ

にこ「や、やめてっ!お願いだから来ないでっ…!」

Pavle「落ち着いてくれ。ここは安全だ」







にこ「……」 ブルブル

Katia「大丈夫よ。パヴェルは貴女を抱えてここまで来たの」

Katia「ここには貴女に酷い事をする野蛮な人間はいないわ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Pavle「……落ち着いたか?」

にこ「……はい」

Pavle「君はここに来る途中で気を失った。おそらく、銃で頭を殴られたからだ」

Pavle「ここでケガの治療をしてからでも、出ていくのは遅くないと思う。俺達を信じてくれ」

にこ「……」

Bruno「おいパヴェル、お前このお嬢ちゃんに何も説明してないのか」

Pavle「ああ、そんな余裕は無かったんだ。許してくれ」

Katia「ほら、こっちを向いて。頭の怪我の治療をさせて」











にこ「……ありがとう、ございます」

Katia「いいの。同じ女だから、貴女の感じた恐怖は痛いほど解るの」

Katia「私はカティナ。以前はリポーターをしていたの。よろしくね」



Pavle「そう言えば、自己紹介もまだだったな」

Pavle「俺はパヴェル。内戦が起ってからはここでこの二人と生活している」

Pavle「昨日はすぐに助けられなくて悪かった。気の済むまでここに居てくれ」



Bruno「……ブルーノだ。一応、料理人として名は通っている」

Bruno「運が良かったな。昨日探索に行ったのがパヴェルじゃなかったら、助かっていなかった」

Bruno「その包帯は、昨日パヴェルが拾って来た貴重なものだ。……粗末に扱わないでくれよ」

にこ「……」

Pavle「君の名前は……」

にこ「にこ……矢澤、にこ」

Pavle「Niko、君は一体どうしてあんな場所にいたんだ?」

にこ「……私は、ただ、妹達の為に食料を」







にこ「っ!?」

にこ「そ、そうよっ!私、こんな所で寝てる訳にはいかないの!」

にこ「すぐに戻らないと……あの子達が、みんな、みんなお腹空かせてっ……!」

Katia「ダメよ。今動いたら戦闘に巻き込まれてしまうわ!」

Bruno「昼間は兵士共がドンパチやってやがる。下手に動くと鉛玉を額に喰らう事になるぞ」

にこ「でもっ!ここで戻らなかったら妹達がっ!」

先原直樹・ゴンベッサ
http://i.imgur.com/zqI2Qlo.jpg

都道府県SSの痛いコピペ「で、無視...と。」の作者。
http://i.imgur.com/9BeGBjU.jpg

2013年、人気ss「涼宮ハルヒの微笑」の作者を詐称し、
売名を目論むも炎上。そのあまりに身勝手なナルシズムに
パー速、2chにヲチを立てられるにいたる。

以来、ヲチに逆恨みを起こし、2017年現在に至るまでヲチスレを毎日監視。
バレバレの自演に明け暮れ、それが原因で騒動の鎮火を遅らせる。

しかし、自分はヲチスレで自演などしていない、別人の仕業だ、
などと、3年以上にわたって稚拙な芝居でスレに降臨し続けてきたが、
とうとう先日ヲチに顔写真を押さえられ、言い訳ができなくなった。

2011年に女子大生を手錠で監禁する事件を起こし、
警察に逮捕されていたことが判明している。

先原直樹・ゴンベッサ まとめwiki
http://www64.atwiki.jp/ranzers/

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