承太郎「よし、今日も艦隊これくしょんをやるぜ」 (8)



~承太郎 自宅~


承太郎「ふぅ。徐倫とアナスイの結婚式も無事終わった」


承太郎「なかなかイケすかねえ奴ではあったが、愛し合っている二人を邪魔する気はねぇ。やれやれだ、ヘヴィすぎるな」


承太郎「さぁて、今日も今日とて、艦隊これくしょんをやるぜ」


カンタイコレクション カ・ン・コ・レ


承太郎「今日のログインボイスは龍田か。毎度思うが、このヤンデレチックな性格にとろけそうなボイス。たまらねえぜ」


承太郎「とりあえず遠征をチェックして――」


コンコン ガチャ


妻「あなたー。徐倫の結婚式の参列者の方が――」


承太郎「スタープラチナ、ザ・ワールド!!!」


ドギュウウウウウウウン


承太郎「時は止まった…………」


妻「…………」


承太郎「ふう。危なかったぜ」


承太郎「オレの奥さんには艦隊これくしょんのことは内緒だからな。いくらオレが海洋学者とはいえ、艦隊が擬人化されて萌え女の子が脱ぐゲームなんぞ見られた日には、離婚の危機に直面する」


承太郎「それは絶対に避けなければ、ならねえぜ」


承太郎「とりあえずデスクトップ画面の艦これを閉じるしかなさそうだな」


カチッ カチッ


承太郎「ぬぅうッ!! と、閉じねえぜッ! そうか、時間が停止しているからパソコンも停止しているッッ!!」


妻「…………」


承太郎(なんてことだ……。こいつはまずいぜ……! 時を止めていられるのは、残り1秒ッッ!!)



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承太郎(このままじゃあ、旦那としてのオレの尊厳がなくなっちまう可能性もあるッッ)


承太郎(どうする……! どうするんだ空条承太郎!!)


パッ


妻「…………あら?」


承太郎「…………」


妻「ごめんなさい。パソコンの前にいるから、お仕事中だったかしら。でもいつのまに立っていたの? 座っていたように見えたのだけど……」


承太郎「……お、おまえの顔を、上から見下ろしたくてな」


妻「なーに言ってんだかもうッ! あーっ。もしかしてパソコンでいやらしいものでも見ていたんじゃあない? 体の大きいあなたが立っているから、パソコンの画面が見えないわ」


承太郎「やれやれだぜ。オレがそんなものを見るような性格じゃあないことは知っているだろう」


妻「じゃあ覗いちゃおうーーっと!!」パッ


承太郎「あ、おい!」


妻「…………」


承太郎「…………」


妻「開いているページは…………海洋生物学に関する資料ね」


承太郎「そ、そりゃあそうだろう。仕事をしていたんだからな」


妻「そうよね。あなたに限って、そんなことはないことは百も承知しているわ」


承太郎(…………危なかった。時が動き出した瞬間、こいつに見えないようにしてスタープラチナでマウスをクリックして全て海洋生物関係のPDFデータを見ているように装うことができたぜ)


妻「あ、そんなことより、徐倫の結婚式の参列者の方がお見えになってるのよ。貴方に会いたいと」


承太郎「そ、そうか。誰だ?」


仗助「ちぃーっす承太郎さん。本日は娘さんのご結婚、おめでとうござーっす」


康一「し、失礼します承太郎さん!」


承太郎「仗助に康一くんか」



妻「うふふ。積もる話もあるでしょうから、私は下にいるわね」


仗助「あ、なんかお気を使わせてスンマセンッス」


妻「いいのよー。じゃあごゆっくり」


バタン


康一「ひゃぁ~。前々から思ってましたが、承太郎さんの奥さんってキレイですよねぇ」


承太郎「何言ってやがる。大したこたぁねぇ」


仗助「オレも早く結婚したいッスよォ~」


承太郎「仗助も康一くんももう30を過ぎたんだな。早いものだ」


康一「仗助くん、こないだ紹介した女の子どうなったの?」


仗助「あぁ? いやー、なんっつーかよォ~、趣味が合わねえっつーのかなァ~」


仗助「オレの艦隊にケチつけやがってもんでよォ~」


承太郎「艦隊…………だと?」


承太郎(まさか…………!)


承太郎(提督同士は惹かれ合う…………!?)



康一「艦隊? 艦隊ってなんのことだい?」


承太郎(仗助の発言にこの疑問。康一くんは、まだ提督として覚醒していないのかもしれんな)


仗助「え? あ、あぁ~! なんでもねぇんだよ。こっちの話だ、こっちの」


康一「…………変な仗助くん」


承太郎「…………仗助」


仗助「ん? なんッスか?」


承太郎(ここはひとつ、カマをかけてみるか)


承太郎「…………今日は海辺の結婚式会場だったが。『浜風』が気持ち良かったな」


仗助「…………え? あ!!」


承太郎「…………」


仗助「どうっすかねェ~。オレとしちゃあ『海風』が気持ち良いって感じでしたけどねェ~」


承太郎「…………そうか」


康一「そ、そんなに気持ちよかったですか? 風ひとつない優雅な結婚式だったのに」


承太郎(オレの浜風に反応したのは仗助だけ。やはり康一くんは、提督ではないのだな)


承太郎「こんな日は『遠征』に行きたいものだ」


仗助「そうッスねぇ。遠征っていいっすよねェ~」ニヤニヤ


康一「?? ??」

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