~夜道~
無惨「ふえええ、折角増やした鬼が人間達に狩られてるぉぉぉ」
無惨「かと言って鬼を増やし過ぎると反乱起こされるかもしれないから匙加減が難しいよぉぉぉぉ」
無惨「ふええ、人が歩いてきたよぉ、隠れるよぉぉぉ」
母「アナタ、早く帰りましょう、累がきっと寂しい思いをしているわ」
父「ああ、けどやっと薬が手に入ったんだ、今度こそ、今度こそ効果があるはずさ」
母「ええ、ええ、そうね、きっとあの子もコレで元気になるはずよね、きっと」
無惨「……」
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~親子の家~
父「さあ、累、お薬を買ってきたよ、これをお飲み」
累「ケホケホ、ありがとう、父さん」
母「はい、累、お水ですよ、急いで飲まなくてもいいですからね」
累「うん、ゆっくり飲むよ、母さん」
累「……」
累「……」
累「ケホケホ、うん、ちょっと楽になったかも」
父「そ、そうか、それは良かった」
母「ええ、ええ、良かったわね、アナタ、本当に」
累「もう、眠くなってきちゃった」
父「うん、そうだな、今日は少し喋り過ぎてるかもしれない、ゆっくり休むといい」
母「私達は隣の部屋に居ますからね、何かあれば呼んでね」
累「……うん」
~屋根~
無惨「ふえええ、何だか可哀想な子供が居るよぉぉぉ」
無惨「どう考えてもあんな薬効果ないだろうに、両親に気を使ってあんなこと言うなんて優しい子だよぉぉぉ」
無惨「助けてあげたいよぉぉぉ」
無惨「そうだ、私の血をわけてあげればきっと元気になるよぉぉ」
無惨「ちょっと人間を食べたくなっちゃうけど、このまま死ぬよりきっといいに決まってるよぉぉ」
無惨「そうと決まれば、さっそく行くよぉぉぉ」
累「……」
累「……あれ」
累「目が、さめちゃった……」
累「……」
累「おかしい、な、縁側の障子が」
累「開いてるや……」
累「さっきまで、閉まってた、のに……」
「哀れな子供よ」
累「……あなた、は」
「その様子では、外も歩けまい」
「その青白い顔では」
「もう、長くは生きられないだろう」
累「あなたは、お医者様、ですか」
「可哀想に」
「可哀想に」
「可哀想に」
「私が」
「私が救ってあげよう」
累「……ああ」
累「そうか……僕は……」
累「とうとう、死ぬんだ」
累「この人はきっと」
累「きっと」
累「僕を迎えに来たんだ……」
累「……」
累「……もっと」
累「もっと、いきていたかった、なあ……」
累「父さん……母さん……」
累「…………」
累「……」
累「…」
累「」
無惨「ふえぇぇぇ、やったよぉぉ、あの子が鬼になったよぉぉ」
無惨「月の下で、元気に走り回ってるよぉぉぉ」
無惨「あんなに、あんなに、楽しそうに」
無惨「ケタケタケタケタ笑ってるよぉぉ」
無惨「良い事をしたよぉぉ、正しい事をしたよぉぉぉ」
無惨「あの子に与えた血の量は多かったから、きっと強い鬼になってくれるよぉ」
無惨「ひょっとしたら、新しい十二鬼月になってくれるかもしれないよぉぉ」
無惨「楽しみだよぉぉぉ」
無惨「あ、通行人殺した」
無惨「食べてる食べてる」
無惨「幸先良いよぉぉぉ」
父「累!お前、起きて大丈夫なのか!?」
累「父さん!母さん!僕、元気になったよ!凄く元気になったよ!」
母「ああ、累、良かった、本当に良かった……けどどうしたの、そんなに赤く染まって……」
母「それは、血?怪我したの?出血したの?」
累「違うよ母さん、これは僕の血じゃないよ」
父「累、累、ああ、肌と目がおかしい、昨日の薬のせいか、なんて事だ」
父「俺のせいか、俺のせいだ」
累「……2人とも、嬉しくないの?」
父「すまない、すまない累、今、今お医者さんを呼んでやるからな」
累「お医者さん……」
母「そうよ、きっと、きっと良くなるわ、普通に歩けるようになったんですもの、この肌と目だって……」
累「……うん、僕、お医者さん呼んでほしい」
累「また、お腹すいてきちゃった」
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