探偵「作者が死にました!!」
加害者「はぁ?これからってところじゃねぇか」
被害者「そうですよ。俺なんか殺し方が思いつかないからって、何回も描き直された上に、結局腹めった刺しにされたんですよ」
探偵「そう言われても困ります。というか、私なんて登場したところですよ」
被害者「というか、これ、新聞連載きまってるんでしょう?」
探偵「というか、すでに何回か連載されてますよ」
加害者「作者死亡により蜜柑じゃねぇ?」
被害者「蜜柑でも書いておきますか?」
探偵「洒落になってませんよ」
加害者「まぁ、誰かが代筆してくれんじゃね?」
被害者「ぶっちゃけそこまで名作じゃないでしょう。これ」
加害者「おい、一応登場人物なんだから、作品を貶すような事やめろよ。メタネタは嫌われるんだぞ」
探偵「それこそ、今更な発言だと思いますよ」
探偵「そもそも、今時探偵なんてのもないでしょう」
被害者「自己否定ですか」
探偵「でもそうでしょう。いまどきの読者だってそう思ってますよ」
加害者「まぁ、事件が起きて、警察が解決出来なくて、探偵が出てくる、なんて手に垢がついたパターンだよなぁ」
探偵「あと、探偵が事件に遭遇!ずばっと解決!!なんてのも、実際はありえませんよ。普通警察に通報して任せますって」
被害者「まぁ、それが司法国家の民とすいて当然ですよねぇ。むしろ勝手に捜査するとか言う方が問題あるでょう」
加害者「ただこの手の物語の警察なんてめっちゃ無能ってのがお約束だから、まぁ探偵がいない逆に世界が、というかね」
探偵「それもおかしいんですよ。そりゃぁ無能な警察も居るかもしれませんけど、警察のほうが予算も人員も技術も経験も上なんですよ。勝てる要素なんてありませんて」
加害者「そういうツッコミから、警察物が増えたんだろう。まぁその場合でも、警察は無能、景観は有能、ってのが大体だけど」
探偵「ワンパターンなんですよワンパターン」
被害者「そういうので言えば、一つ言いたいことがあります」
加害者「なんかみんなぶっちゃけるねぇ」
被害者「良いじゃないですか。どうせ咎める作者はいませんし。僕が言いたいのは、最近トリックが手抜きすぎなんじゃないかと」
探偵「あぁ、ワンパターンな殺され方に、ワンパターンな動機と」
被害者「そうですよ。今回のはなしだってそうでしょう」
加害者「えっと、あぁ俺はお前に女を取られて、しかも色々あって身を持ち崩して」
被害者「で偏執とも言える執念で、僕を追い込み殺害、って話でしたけど」
探偵「そんな話でしたっけ?」
被害者「あらすじはそうなってましたよ。実際は全く違いましたけど」
加害者「普通に探偵に頼んでお前を探しだして、呼び出して腹をめった刺しにした。ってだけだよな」
被害者「どこに偏執とも言える執念があるんですか。リアリティを求めた結果がこれだよ」
探偵「けど、最初は確か、クレーンで釣り上げる罠を作って吊るした上に、そのクレーンを回転させて勢いをつけて放り投げる。とか言う話だったじゃないですか」
加害者「そんな話かいたら、リアリティの欠如で叩かれるな」
被害者「その間を行くのが推理小説のトリックの醍醐味でしょう!最近はトリックがいい加減な話が多すぎますよ!」
探偵「まぁ、純推理小説なんて流行らないから、他にかたよるのは仕方ないと思うけど」
加害者「なら、推理小説風味の筋立てにするなと。筋立てが推理小説なら、トリックを頑張れと」
被害者「あと、トリックのワンパターン化。これはもう例を出す必要すらない!」
探偵「全力で構内を走っても成り立たない時刻表トリック」
加害者「死んだ人間は赤の他人だったのだ!」
被害者「それ、読者飽きてますから!!特に時刻表トリックなんてスマホで一発ですから!!」
探偵「いっちゃいけませんよ。作者だって引っ張り出すアイディアがないから使いまわしてるんだから」
探偵「ふぅ、よくよく考えたら登場人物が作者批判してもなんら解決してませんよね。というか、それも手に垢ついたネタですし」
加害者「そうだよ。なんか、勢いで語っちゃったけど作者が死んだんだろ。これからどうなるんだ?」
被害者「編集がいい人で、とりあえず続きを書いてくれるのをまつしかないでしょう」」
加害者「それまでは休暇かぁ。しかたない」
被害者「良いじゃないですか。私なんて殺されたままですよ」
探偵「ちょっと待ってください」
加害者「なんだ!」
被害者「なんだ!!なんだ!!」
探偵「私はひとつ大きなことに気づきました」
加害者「なん、あぁぁぁ」
被害者「まさか、というか、ネタがないからってそういう落ちに持って行く気か!!」
探偵「えぇ、おそらくそうでしょう。よく考えてください」
探偵「作者が死んだのなら、この話、だれが書いているんです?」
完
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