タプリス「今日こそ悪魔に勝ちます」サターニャ「のぞむところよ」 (61)

-放課後・教室-

タプリス「今度こそ、あなたを負かして、天真先輩を解放してもらいます」

サターニャ「何度来ても同じ、いつも通り負かしてあげるわ」

タプリス「むきー、そうやって調子こいていられるのも今だけですよ」

サターニャ「で、今日は何して勝負するの?」

タプリス「これです」

サターニャ「これは…?」

タプリス「将棋…というらしいです」

サターニャ「あんたやったことあるの?」

タプリス「ないですが、頭脳戦なら悪魔のあなたに勝てると思ったので」

サターニャ「甘い、甘いわ小娘」

タプリス「なにをー」

サターニャ「私やったことあるのよね、将棋」

タプリス「な、なんだってー!?」

サターニャ(ガヴリールに惨敗したけどね)

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ラフィ「はいはいー、私が審判しますよー」


サターニャ「うわっ、どっから出てくるのよあんた」

ラフィ「サターニャさんのいるところなら何処でも♪」

サターニャ「冗談に聞こえないのが怖いところだわ」

タプリス「ともかく勝負です!私の先攻でいいですね?」

サターニャ「いいわ、せいぜい足掻くがいいわ」


タプリス「私はこの歩君を動かします」

サターニャ「トラップ発動!」

タプリス「トラップ!?」

サターニャ「悪魔の囁き。相手の歩が動いたとき、敵味方問わず戦闘力500以下の駒を一掃」

タプリス「な、なんですか、それ」

ラフィ「セーフ」

タプリス「セーフなんですか!?」

サターニャ「ははは、歩を一掃、雑魚は消えたわ」

タプリス「ぐぬぬ」

サターニャ「私のターン、香車の特殊効果・悪魔の雷を発動!」

タプリス「特殊効果!?」

サターニャ「この香車を指で弾き、当たった駒は地獄に落ちるのよ」

タプリス「そんなの、聞いたことありません」

ラフィ「ここで特殊効果発動とは、やりますねサターニャさん」

タプリス「ありなんですか!?」

サターニャ「さぁ行くのよ、我がしもべ」

タプリス「ああ、飛車と銀が地獄に!」

サターニャ「それ、オフサイド」

ラフィ「修行してきましたね、サターニャさん」



サターニャ「悪魔の憤怒」

タプリス「私の金が…」



サターニャ「王を生贄に、大魔王の召喚!」

タプリス「うわあああああ」

サターニャ「口ほどにもないわね」

タプリス「うう、完敗です…」

サターニャ「さあひれ伏すのよ、天使」

ラフィ「素晴らしい戦いでしたよ、サターニャさん」

サターニャ「あーはっは」


タプリス「次、次です」

タプリス「次は校庭でマラソン勝負です!!」

-校庭-

ガヴ「また来てるなあいつ」

ヴィーネ「千咲ちゃんも懲りないわね…」

ラフィ「マラソン勝負してるんですよ、今3周遅れ」

ガヴ「止めてあげろよ」

ラフィ「駄目ですよ、サターニャさんが生き生きしていて面白いんですから」

ガヴ「悪魔」

ヴィーネ「悪魔ね」

ラフィ「うふふ」




タプリス「ふええ、追いつきません、早すぎです」

サターニャ「私に体力で勝負しようなんて100万年早いのよ」

タプリス「うう、もう無理です」ドサッ



ヴィーネ「だ、大丈夫、千咲ちゃん」

タプリス「月乃瀬先輩!? それに天真先輩まで」

ガヴ「また負けたのかタプリス」

タプリス「うう、ごめんなさい天真先輩。天真先輩を悪魔の手から解放できない、不甲斐ない私で」

ガヴ「いや、サターニャの手下になったつもりはないのだが…」

サターニャ「あーはっはっ、情けないわねタプリス」

タプリス「く、悔しい」

サターニャ「ほれ」


タプリス(悪魔がペットボトルを私に投げる)

タプリス「こ、これは」

サターニャ「スポーツドリンクよ、飲みなさい」

タプリス「あっ、ありがとうございます」ゴクゴク

サターニャ「ふふ、悪魔からの施しは美味しいかしら、天使さん」


タプリス「あっ」

サターニャ「悪魔に情けをかけられるなんて、どんな気持ち、ねえ今どんな気持ち?」

タプリス「プルプル」

サターニャ「あー最高に気持ちがいいわ」


ヴィーネ「サターニャ、そんなに千咲ちゃんのこといじめないの」

ラフィ「よっ、日本一、悪魔一」

ヴィーネ「ラフィも調子のらせない」

ガヴ「私、帰っていい?」

タプリス(うう、悔しいです)

タプリス(何でこんな悪魔なんかに勝てないんですか…)


タプリス「次こそは負けないですからね」

サターニャ「いいわ、いつでも勝負受けてあげるわ」

ヴィーネ「もう千咲ちゃん!」

タプリス「・・・それと飲み物ありがとうございます」

サターニャ「えっ、あ、うん、どうも」


タプリス(絶対に勝ってやるです!)

-サターニャの家前-

ピンポーンピンポーン

タプリス「なかなか出ませんね」


サターニャ「もううるさいラフィエル!いつも通り勝手に入ってくればいいじゃない」

サターニャ「って、あんたか」

タプリス「ど、どうも」


タプリス(悪魔がパジャマで出てきました)

タプリス(だらしない姿、ちょっと新鮮です)


サターニャ「何しに来たの?」

タプリス「勝負しにきました」

サターニャ「土曜日に?」

タプリス「はい」

サターニャ「こんな朝早くに?」

タプリス「はい、勝負です」

タプリス「あーっ、ドア、ドア閉めないで!」

サターニャ「土曜日なんだから悪魔的惰眠を楽しませてよ」

タプリス「いつでも、いつでも勝負受けるって」

サターニャ「…確かに言ったけどさ」

タプリス「勝負です!」

サターニャ「仕方ないわね、着替えるからちょっと待っていて」

タプリス「わかりました、外でお待ちしてます」

サターニャ「寒いから中で待っていなさいよ」

タプリス「悪魔の施しは受けません」

サターニャ「あーもう、万全のあんたと戦わないと意味がないの」

サターニャ「弱ったあんたに勝っても嬉しくないの」

タプリス「そういうことなら仕方ないですね」

サターニャ「…はぁ」

-サターニャの部屋-

タプリス(ここが悪魔の部屋)

タプリス(真っ黒な部屋、悪魔的グッズがたくさん並んでいる)

タプリス(そう思っていたのですが、ここは、なんというか)

タプリス(可愛らしい女の子の部屋ですね)

タプリス(淡い色で構成され、整理整頓をきちんとしている)

タプリス(天真先輩の部屋とは大違いです…!)

タプリス(どことなくいい匂いがします)


サターニャ「なにまじまじと部屋を眺めているのよ」

タプリス(悪魔が私服です)

タプリス(普段は制服しか見たことなかったので)

タプリス(その姿は…ちょっと可愛らしいなと感じるのです)

タプリス「敵情視察です」

サターニャ「はいはい、結構なことね」

サターニャ「私、朝ご飯まだだから外行くわよ」

サターニャ「どうせあんたも朝ご飯まだでしょ?」

タプリス「はい、そうですけど、どうしてわかったんですか、まさか悪魔の力で!?」

サターニャ「さっきからお腹の音が大合唱」

タプリス「えっ」グーグー

タプリス「…恥ずかしい」

サターニャ「今さらでしょ、恥ずかしい姿たくさん見てきたわ」

タプリス「ぐぬぬ」

サターニャ「はいはい、行くわよ」


タプリス(もう負けて恥ずかしい姿は見せないんですからね…!)

-喫茶店-

タプリス「わー喫茶店でモーニングなんて大人です」

サターニャ「私は大人なのよ、タプリスちゃん」

タプリス「わ、私だって大人なんですから!」


タプリス「にがっ、コーヒーにがっ」

サターニャ「ふふ、お子ちゃまには早かったようね」

タプリス「むきー」

サターニャ「ほらこの砂糖を入れると甘くなるわ」

サターニャ「それにこのホットケーキ―を食べながらだと苦さがちょうどいいの」

タプリス(悪魔が私にホットケーキを差し出します)

タプリス「パクッ、う~ん、甘い、美味しいです!」

サターニャ「また悪魔の施しを受けたわね」

タプリス「うう、悪魔のくせに、こんな美味しいの知ってるなんて…」

タプリス(悔しい、悔しいですが、とても美味しいです)


サターニャ「それで今日はどんな対決するの?」

タプリス「色々、考えてきました、絶対勝ちますからね」

サターニャ「そのやる気はいつまで持つかしら」

タプリス「早速行きますよ、ほらほら」

-ボーリング-

サターニャ「また私に体力勝負挑もうっていうの?」

タプリス「違います、ボーリングは別に運動神経関係ないんです」

タプリス「体力馬鹿のあなたに繊細なコントロールはできないんです」

サターニャ「言ってくれるわね」

タプリス「あなたの跪く姿が楽しみです」



サターニャ「10連続ガータなんて勝負にならないんだけど」

タプリス「うう、こんなはずでは」

サターニャ「可哀そうすぎて威張る気にもなれないわ」

タプリス「うう、悪魔に遠慮されるなんて」

-カラオケ-

タプリス「歌なら自信があります」

サターニャ「そう?」

タプリス「あー信用してないですね、天使の美声ってやつを聞かせてあげます」


タプリス「るLuリRぁ…宇宙が傾き、RゥるRiラ…太陽が凍る♪」

サターニャ「天使が歌うような曲じゃないと思うんだけど!?」



サターニャ「神様にささやいた、毎日に恋しているー♪」

タプリス「何、悪魔が神様にささやいちゃってるんですか!?」



タプリス「捕まえたらフルボッコだ、泣いてもダメ、手加減ナシ♪」

サターニャ「だから天使が歌うような曲じゃないんですけど!?」



サターニャ「願い、願え、終わらせないで、君と八百万のぬくもりを♪」

タプリス「だから何で悪魔が願っちゃったりしてるんですか!?」


サターニャ「ぜえぜえ」

タプリス「ひーふひー」

サターニャ「ここは引き分けで許してあげるわ」

タプリス「しょ、しょうがないですね」

-ラーメン屋-

店長「さあこれが富士山盛ラーメンだよっ」

ドッン!!

タプリス「これが日本のフジヤマ!」

サターニャ「違う、違う」

サターニャ「って、何で大食い対決なのよ」

サターニャ「どうみても小さな体のあんたが食えないと思うんだけど」

タプリス「それはどうですかね?」

サターニャ「何処から出てくるのその自信?」

タプリス「モグモグ」

サターニャ「って、何食べ始めているのよ」パクパク



タプリス「…無理、お腹が破裂します」

サターニャ「だから言ったじゃない」

タプリス「何で食べきれているんですか」

サターニャ「大悪魔だからよ」

タプリス「理由になってないです」

サターニャ「残ったどんぶり貸しなさいよ」

タプリス「えっ」

サターニャ「残したらもったいないでしょ?」

タプリス「…ありがとうございます」

タプリス(あの後も対決が続き)

タプリス(時間はあっという間に過ぎ、夕方です)


サターニャ「はあはあ、私の大勝利ね」

タプリス「5敗1分です…」

サターニャ「見事なほど弱いわね、あんた」

タプリス「グスン」

サターニャ「あーあーいじけないの、泣かないの」

サターニャ「その、私も一日中対決できて楽しかったわ」

タプリス「ふえ?」

サターニャ「だから、ありがとうね、タプリス」

タプリス「…はい、私も楽しかったです」

サターニャ「レベル上げにはちょうど良い相手だわ」

タプリス「このー・・・」

サターニャ「じゃあ、またね」

タプリス「はい、今日はありがとうございました」


タプリス(悪魔が笑顔で手を振って去っていきます)

タプリス(夕日に照らされたその笑顔が眩しくて)

タプリス(どこか胸が高なるのを感じます)

-タプリスの家-

タプリス(今日の戦績をノートに記入です)

タプリス(カラオケはなかなかいい勝負だったと思うんですけどね)

タプリス(思えばカラオケなんて初めてでした)

タプリス(人前で歌うのは音楽の授業でありますが)

タプリス(それとはまた違った楽しさがありますね)

タプリス(それに悪魔の歌声はなかなかに綺麗で)

タプリス(途中から知っている曲を一緒に歌ったのも楽しかったです!)

タプリス(楽しかったといえばボーリング)

タプリス(ガーター連続でしたが)

タプリス(悪魔が後ろから私の体に密着し、一緒に投げてくれました)

タプリス(くっついた胡桃沢先輩の体は温かったです)


タプリス(大食いは危険です)

タプリス(でもあの悪魔はものすごい勢いで食べきって)

タプリス(ちょっとかっこいいな、と思いました)

タプリス(次は何して対決)

タプリス(何して遊ぼうかな)

タプリス(今から楽しみです!)



タプリス(…ん、あれ?おかしい)


タプリス(何で私、悪魔との対決を楽しんでいるんでしょうか?)

タプリス(何で悪魔と遊びたいと思っているんでしょうか?)

タプリス(何でこんなに気持ちがワクワクしているんでしょうか?)


タプリス(どうして、どうして)

タプリス(あの悪魔のことをずっと考えているんでしょうか?)

タプリス(これって、もしかして…)

-喫茶店-

タプリス「月乃瀬先輩、助けて下さい」

タプリス「私、悪魔の魔法にかかったんです、呪いにかけられたんです」


ヴィーネ「えっ、えっ?」

タプリス「おかしいんです、私おかしいんです」

ヴィーネ「落ち着いて千咲ちゃん、ゆっくり聞かせて」

タプリス「はい、取り乱してごめんなさい」

ヴィーネ「いいのよ、大事な後輩だもの」

タプリス「月乃瀬先輩…!」


ガヴ「何、うちの店でお悩み相談開いてんだよ」

ヴィーネ「ガヴうるさい、早くコーヒー持ってきなさいよ」

タプリス「私は甘いのでお願いします」

ガヴ「へいへい」

ヴィーネ「それで聞かせてくれる?」


タプリス「はい、最近ずっと悪魔のことばかり考えているんです」

ヴィーネ「悪魔のこと?」

タプリス「悪魔っていっても胡桃沢先輩のことです」

ヴィーネ「最近よく勝負しているわよね」

タプリス「はい、そうなんですけど」

タプリス「最近、勝負するのが楽しいんです」

ヴィーネ「えっ?」

タプリス「天真先輩を駄目にした憎き相手なのに、そんな奴なのに」

タプリス「勝負するのが楽しくて」

タプリス「次はどんな対決をしようかワクワクしている自分がいて」


タプリス「勉強中も、運動中も」

タプリス「お風呂の時も、寝る前も」

タプリス「ずっとあの悪魔のことを考えていて」

タプリス「そうしている時の私は嬉しくて楽しくて、胸が高なっていて」


タプリス「おかしいんです」

タプリス「こんなのありえないんです」

タプリス「これはきっとあの悪魔が私に気づかないように呪いをかけたんです」

タプリス「洗脳したんです」

タプリス「まんまと術にはまってしまいました」

タプリス「助けてください、呪いを解いてください、月乃瀬先輩」



ヴィーネ「千咲ちゃん…そんな呪いはないわ」

タプリス「えっ!?」


ヴィーネ「誘惑したり、騙したりするのはあるにはあるけど」

タプリス「じゃあ、それ、それです」

ヴィーネ「でもね、どれも数分で解けるものなの」

タプリス「えっ…」

ヴィーネ「それは呪いでも、洗脳でも、魔法でもないわ」

タプリス「じゃあ、何ですか」

タプリス「これは、この気持ちはなんなんですか!?」


ヴィーネ「恋」

タプリス「へ?」


ヴィーネ「千咲ちゃんはサターニャに恋しているんだと思う」

タプリス「私が恋?」

ヴィーネ「そう」

タプリス「恋ってその、食パン口に入れながら、曲がり角でぶつかって、パンツが見えて」

タプリス「学校にいったらそいつに出会って、あーお前は今朝パンツ見た奴ー!みたいなことですか」

ヴィーネ「何かだいぶ回りくどいけど、要はそういうことよ」


ヴィーネ「好きってこと」

タプリス「私があの悪魔を好き…?」

タプリス「ありえません、ありえませんよ」

タプリス「だってあの悪魔ですよ」

タプリス「憎き敵ですよ」

タプリス(月乃瀬先輩が私の手を掴みます)


ヴィーネ「どきどきする?」

タプリス「いえ、しません」

ヴィーネ「じゃあ想像してみて、サターニャがあなたの手を掴むの」


タプリス(胡桃沢先輩が私の手を握る)

タプリス「・・・」

ヴィーネ「どう?」

タプリス「…少しドキドキします」


ヴィーネ「そしてあなたのことを好きっていうの」

タプリス「・・・」

---

サターニャ「好きだよ、タプリス」

---

タプリス「」ボンッ

ヴィーネ「そして、あなたにそっと口づけを・・・」


タプリス「・・・・・・・」

タプリス「」プシュー


ヴィーネ「千咲ちゃん、顔真っ赤よ」

タプリス「・・・」

ヴィーネ「それが答えよ、千咲ちゃん」


タプリス「どうしましょう、私が悪魔に恋なんて」

タプリス「まずい、オカシイですよ」

タプリス「女の子同士、それに悪魔を相手になんて」


ヴィーネ「大丈夫、大丈夫だから千咲ちゃん」

ヴィーネ「女だからとか、悪魔だからとか天使だからとか」

ヴィーネ「そんなの関係ないわ」


ヴィーネ「一緒にいて楽しいか、それが大事なの」

タプリス「月乃瀬先輩・・・」

タプリス「もしかして月乃瀬先輩は、天真先輩のことっ」

ガヴ「ほい、コーヒーだ」

ヴィーネ「ガッ、ガヴ!?」

ガヴ「何だよ、驚くなよ、お望み通りコーヒー持ってきてやったぞ」

ヴィーネ「今の話聞いてた?」

ガヴ「うん?ヴィーネが私のことをどうたらこうたら」

ヴィーネ「ああああ、なんでもない、なんでもないわ、さっさと忘れなさい」

ガヴ「こ、怖い顔で見るなよ」

ヴィーネ「こわくなんてない、ないわよね?」

ガヴ「う、うん」

ガヴ「で、何でタプリスは神妙な顔してるんだ?」

タプリス「天真先輩、私、恋をしているらしいんです」

ガヴ「へータプリスが恋か、ま、いいんじゃね」

ヴィーネ「適当ね」

ガヴ「10代の青春なんてあっという間なんだから」

ガヴ「さっさと当たって砕ければいいんだよ」

ヴィーネ「砕けちゃ駄目よ」

ガヴ「それぐらいの気持ちでいろってこと」

ガヴ「うだうだ悩んでいたら、あっという間に10代終わっちゃうぞ」


タプリス「当たって砕ける・・・」


タプリス「天真先輩、私頑張ってみます」

ガヴ「おう、頑張れ」

ヴィーネ「私も頑張るわねガヴ」

ガヴ「お前は何を頑張るんだよ」

ヴィーネ「そ、それは今は秘密よ!」

ガヴ「へいへい」


タプリス(そうと決まれば、悪魔に当たって砕けるまでです!)

続きます、今日書けたら…たぶん明日

続きですー

-放課後・教室-

タプリス「たのもー」

ヴィーネ「千咲ちゃん…!」

ガヴ「お前もよく飽きないな」

サターニャ「ははは、また負けに来たのね天使の小娘」

タプリス「今日は負けません」

サターニャ「どうだか」

ガヴ「私はバイトだから帰るな宜しくヴィーネ」

ヴィーネ「ちょっと、私一人残さないでよガヴ」



-廊下-

ラフィ「何やら教室で面白そうなことが起こりそうですね」

ラフィ「ふふ、ここから覗いていましょう」

-教室-

タプリス「胡桃沢先輩」

サターニャ「何よ」

タプリス「今日は勝った方が相手に命令できる、どうですか?」

サターニャ「いいわ、賭け事あると燃えるわね」

タプリス「絶対ですよ」

サターニャ「どうせ勝つのはこの大悪魔サタニキア様だからね」

サターニャ「そうね、じゃあ私が勝ったら・・・」

サターニャ「私の犬になってもらおうかしら」

タプリス「犬!?」


---

サターニャ「タプ―」

タプリス「わんわん」

サターニャ「よしよしー」ナデナデ

タプリス「くぅーん」

---


タプリス(ありかも・・・いや、何考えているんです、私!?)


---

サターニャ「これあんたの首輪よ」

サターニャ「ほらほらもっといい声で鳴きなさい」

サターニャ「こんなところでするなんて躾のなっていない犬ね」

タプリス「」ブルブル

---


タプリス「はわわ、無理無理、なんて破廉恥な!?」

サターニャ「破廉恥?」

タプリス「絶対あなたの犬になんてなりません!!」

サターニャ「なら勝つしかないわね」

タプリス「ぐぬぬ」

サターニャ「で、あんたは何を命令するの?」

タプリス「私は」


タプリス(言うんだ、言うんです)



タプリス「付き合ってください」


サターニャ「うん?」

ヴィーネ「千咲ちゃんっ!?」


タプリス「私が勝ったら付き合ってください!」


サターニャ「いいわよ」

タプリス「いいんですか!?」

サターニャ「う、うん、いいけど」

タプリス「絶対、絶対ですからね!」

サターニャ「それで何で勝負するのよ」

タプリス「これです」

サターニャ「3つのシュークリーム?」

タプリス「ロシアンシュークリームです」


タプリス「この中にひとつだけ、激辛のわさびが入ったシュークリームがあります」

タプリス「それを食べたほうが負け」

サターニャ「わかったわ、簡単なルールね」

タプリス「審判は月乃瀬先輩お願いできますか?」

ヴィーネ「うん、任せて」

タプリス「それじゃあ選びましょう」

サターニャ「あんたから選んでいいわよ」

タプリス「いいんですね?」

サターニャ「強者の余裕よ」


タプリス(さて、どれにしましょう)

タプリス(真ん中か、左か、右か)

タプリス(ぱっと見じゃ区別なんてつきません)

タプリス(右かな?)

タプリス(いやいや、ここは左?)


サターニャ「あら、びびっているの、早く選びなさいよ」

タプリス(そうです。迷っていても仕方ありません)

タプリス(私を信じるんです)

タプリス(私のこの気持ちを)


タプリス(胡桃沢先輩と付き合うんです!)


タプリス「私は右のシュークリームにします」

サターニャ「じゃあ私はこれ」ヒョイ

タプリス「はやっ」

サターニャ「悪魔的直感ってやつよ」

ヴィーネ「では、同時に食べてもらいますね」

ヴィーネ「準備はいいですか?」

サターニャ「大丈夫よ」

タプリス「大丈夫です」


ヴィーネ「では、食べてください」

サターニャ「パクッ」

タプリス「パクッ」

タプリス「モグモグ」

タプリス(甘い)


タプリス「甘いです!私の勝ちです!」


サターニャ「モグモグ」

タプリス「あれ、悪魔も平気そうな顔」

タプリス「これってもしかして引き分け!?」


サターニャ「あらあら、どうするのこれ」

タプリス「残りがハズレなんでしょうか」


ヴィーネ「何で、二人ともこっち見るの!?」

タプリス「月乃瀬先輩、食べてくれませんか?」

ヴィーネ「えっ、嫌よ、嫌、辛いの無理だから」

サターニャ「じゃあ私が」

タプリス「それは駄目です、勝負なんですから」


ヴィーネ「ぅぅ、食べるわよ、私が食べればいいんでしょ」

ヴィーネ「絶対、辛い、辛いのよね・・・」

ヴィーネ「パクッ、モグモグ」



ヴィーネ「あれ、甘いわ?」

タプリス「え?」

タプリス「何で、もしかして全部甘かった?そんなはずは…」

ヴィーネ「もしかして」


ヴィーネ「サターニャ、あなたの食べたシュークリームの残り見せなさい」

サターニャ「うん?はい」

ヴィーネ「中身、真緑のわさびが入っているじゃない!」

タプリス「なんで平気なんですか!?」

サターニャ「えぇ・・・全然辛くなくて美味しかったんだけど」

ヴィーネ「サターニャは本当味覚音痴ね…」


タプリス「ということは」

ヴィーネ「千咲ちゃんの勝ちね!」

タプリス「やりましたー!」

サターニャ「納得いかねー」

タプリス「約束は約束です」

サターニャ「しょうがないわね」

タプリス「・・・それじゃあ、胡桃沢先輩」


タプリス「付き合ってくれますか?」


サターニャ「約束したものね、いいわよ、付き合うわよ」


ガタガタ  
ヴィーネ(何だか廊下が騒がしいわね…)



タプリス「本当に、本当ですか!?」

タプリス「本当に付き合ってくれるんですか!?」

タプリス「嬉しい、私本当に嬉しいです」

サターニャ「それで、何に付き合うの?」


タプリス「へ?」

ヴィーネ「は?」


タプリス「・・・」

ヴィーネ「・・・」


サターニャ「だから何に付き合えばいいの?宿題、労働、雑用?」

タプリス「その・・・」


ヴィーネ(頑張るのよ、頑張るのよ千咲ちゃん)

タプリス「…映画に付き合ってくれますか?」


ヴィーネ(千咲ちゃーん!!!)

サターニャ「映画?映画に付き合うだけでいいの?」

タプリス「・・・ハイ」

サターニャ「全然罰ゲームじゃないわね」

タプリス「・・・ハイ」


サターニャ「じゃあ早速行くわよ」

タプリス「えっ、今?」

サターニャ「悪は急げっていうじゃない」

タプリス「言いません!」


ヴィーネ「・・・二人とも出ていちゃったわ」

ヴィーネ「千咲ちゃんの決死の思いが・・・」

ヴィーネ「千咲ちゃん、ご愁傷様です・・・」

-映画館-

タプリス(胡桃沢先輩にうまく思いが伝わりませんでした)

タプリス(付き合うってそういう意味じゃありません・・・)

タプリス(もっと真正面から当たるべきでした・・・)

タプリス(勝った方の願いを聞くとか、逃げでした)

タプリス(勇気が足りませんでした)

タプリス(バカバカ、私の馬鹿)


タプリス(私がこんなに悩んでいるというのに)

タプリス(この悪魔は横でのんきにポップコーンを食べていやがります)


サターニャ「ポップコーンウメー」

タプリス(でも、喜んでもらえているなら良かったです)

タプリス(さて、私も映画に集中しましょう)

タプリス(月乃瀬先輩が勧めてくれた映画なんで安心して観れます)


タプリス(って思ったら女の子の首が吹っ飛びましたー)

タプリス(ひぃぃ、血がだらだらです)

タプリス(胡桃沢先輩は)チラッ


サターニャ「」ポカーン


タプリス(放心状態です・・・)


タプリス(怖い、この映画怖いです)

タプリス(殺人鬼が追ってきます)

タプリス(逃げて、女の子逃げて)ブルブル

サターニャ「大丈夫、タプリス?」


タプリス「ふえ?」


タプリス(胡桃沢先輩が心配そうに私を見てます)


タプリス(そして、私の手をそっと)

タプリス(そっと握ってきました)


タプリス(怖さが)


サターニャ「怖かったらぎゅっと握りなさい」


タプリス(薄れていきます)


サターニャ「あなた一人じゃないのよ」

タプリス「ありがとうです」

サターニャ「うん」

タプリス(怯えていた気持ちが、ポカポカに変わっていきます)

タプリス(胡桃沢先輩が確かにいる)

タプリス(私の手を握ってくれている)

タプリス(これが安心、っていうんですかね)


タプリス(でも次は別の意味でドキドキしてしまいますよ、胡桃沢先輩)

タプリス(なんて悪魔的行為なんでしょう)

タプリス(私、本当に好きなんですね、先輩のこと)

タプリス(・・・手からこのドキドキ伝わっちゃわないかな?)

-外-

サターニャ「怖かったわね、映画」

タプリス「はい、恋愛映画と思ったらとんだホラー映画でした」

サターニャ「いきなり首がもげるんだもんな・・・」

タプリス「はい・・・心臓に悪すぎます」

タプリス「でも、主人公が助かって良かったです!」

サターニャ「そうね、話自体は続きが気になる展開で面白かったわ」


タプリス「あのー、胡桃沢先輩・・・」

サターニャ「何?」

タプリス「いつまで手握ってくれるんですか?」


サターニャ「あっ」

タプリス(胡桃沢先輩が勢いよく手を離します)


サターニャ「もう映画終わっていたわね、わ、忘れていたわ」

タプリス(気づいてなかったんですね)


タプリス「手温かったです、ありがとうございました」

サターニャ「べ、別に大したことないわよ。愚民に情けをかけてあげたのよ」

タプリス「先輩といると安心です」

サターニャ「あ、あら、大悪魔サタニキアの偉大さに気づいたのね?」

タプリス「はい、とても優しいお方です」

サターニャ「ち、ちがう。私は恐怖の対象なのよ」

タプリス「こんな優しい悪魔はいませんよ」

サターニャ「も、もうー!」

タプリス「胡桃沢先輩、また私と勝負してくださいね?」


サターニャ「・・・」


タプリス「先輩?」

サターニャ「嫌だ」

タプリス「えっ?」


タプリス(私と、もう勝負、したく、ない?)


タプリス「どうして、どうしてですか!?」

サターニャ「タプリスは」

サターニャ「勝負じゃなきゃ会ってくれないの?」

タプリス「へ?」

サターニャ「私と対決したいから会っているの?」

タプリス「どういうことですか?」

サターニャ「勝負抜きじゃ、私と遊ばないの?」

タプリス(違います、違います)

タプリス(確かに最初は勝負が、天真先輩を取り戻すことが目的でした)

タプリス(でも、今はそんなの関係なくて)

タプリス(ただ胡桃沢先輩に会いたい、その一心です)


タプリス「勝負じゃなくても会っていいんですか?」

サターニャ「・・・だからそう言っているのよ」

タプリス「嬉しい」

サターニャ「え」

タプリス「すごく嬉しいです」

サターニャ「そう、それは良かったわね」

タプリス「わーい、先輩大好きです!」

サターニャ「何抱き着いてきているのよー、暑苦しいんだけど、もうー」

タプリス(口では嫌がりながらも、全然抵抗しません)


サターニャ「もうタプリスちゃんは甘えん坊ですね~」

タプリス「はい、甘えん坊です」

サターニャ「否定しない!?」


タプリス(胡桃沢先輩に)

タプリス(私の大好きの、本当の意味は伝わっていないでしょう)

タプリス(でも、今はこの温かさを感じられて)

タプリス(とても幸せなんです)


タプリス「大好き―」

サターニャ「はいはい、私も好きよ、好き」

タプリス「…顔が真っ赤ですよ」

サターニャ「な!?」


タプリス(次は何して遊びましょうかね、先輩)

-学校-

サターニャ「ラフィエル、大変よ、大変なの」

ラフィ(真っ赤な顔をしたサターニャさんが私の元に走ってきます)


ラフィ「どうしたのですか、サターニャさん。そんなに慌てて」

サターニャ「大変なの、おかしいの」

ラフィ「落ち着いてサターニャさん、ゆっくり話してください」

サターニャ「私、どうやら」

サターニャ「天使に魔法をかけられたみたいなの」


ラフィ「ふへ!?」

おわりです!

ガヴィーネ以外は初。難しい。
楽しんでいただけたら幸いです。

対立する二人が、対立しあう中で、お互いのことを好きになり
やがて恋に落ちるという、タプサタ、サタプ、サタプリ?の可能性…あると思いません?

誰か宜しく頼むぞ…!

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