男「勇者になりそびれた俺と」女勇者「勇者になった僕」 (18)

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内容も特に決めてないのでエタったらデータが消えます
おお勇者よ、エターナルの海に呑まれて消えよ

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俺はただ平和を愛していた。

平和な世界を渇望していた。

世界を正そうとしていただけだった。

勇者になって魔王を討ち滅ぼそうとしていただけだったんだ。

どこで間違えてしまったのだろう。

もう世界に驚異はない。

俺が強くなるために頑張っている間に、全ては終わっていた。


「勇者様が魔王を倒したんだってよ!」

「勇者様と魔王が同盟を結んだらしいぜ!」

「今や、勇者と魔王御一行様だ!」


俺がようやく魔王討伐を決行しようと山を降りて聞かされたのは、そんな戯言だった。

頭がクラクラした。

魔王は世界を脅かしていたのではないのか?

勇者と手を取り合って仲良くしている?

どうしても信じることができなかった俺は、勇者一行に会いに行った。

一際気配が強い集団があったので、見つけるまでに数分もかからなかった。

気配を消して勇者一行を木の上から観察する。

間違いない。


「…………魔王」

少女のような背格好と顔、それに似つかわしくない露出度の高い黒い布。

頭に生えた二本の禍々しい角は、紛れもなく魔王のそれだった。

隣にいるのは、俺も知っている。


「これはいったい……どういうことだ?」

二人からは険悪さが感じられない。

周りにいる勇者の仲間、魔王の仲間と思われる奴らもだ。

いてもたってもいられなくなって、俺は飛び出した。

ドンッ!!!

衝撃で地面が揺れる。

女勇者
「誰だ!?」


「……………………もう、世界は平和なのか?」

戦士
「んだぁテメェ!!」


「……何故、魔王と勇者は手を取り合っているんだ」

魔王
「どういうことじゃ? 貴様、何を言っておる」


「………………俺のしてきたことは、いったい……」

戦士
「無視……してんじゃあ……ねぇぇ!!!」ブォン!

大剣を軽々と振るい、俺を叩き斬ろうとしたのは、戦士だ。

勇者一行のなかで最も力が優れている大男の、容赦のない一撃。

俺はそれを。

戦士
「が………………は……?」

片手で、掴んで止めた。

女勇者
「え!?」

戦士
「な……何をしやが」

剣先を掴んだまま、戦士ごと大剣をぶん投げる。

戦士
「がはっ!!」

木に叩きつけられた戦士は、そのまま崩れ落ちた。

魔法使い
「ッ! バブルショット!」

複数の水玉が浮かび上がり、一斉に俺めがけて飛んできた。


「障壁展開」

瞬時に対魔法障壁を作り出し、無効化する。

魔王
「ぬ……!? この力は……貴様、何者だ!?」


「…………お前を殺すために生まれた存在だよ、魔王」

魔王
「何故、ただの人間が……父上以上の魔力を有している!?」


「……俺は別に争うために来たわけじゃない。勇者と魔王が仲良くしているという話を聞いて……」

従者
「魔王様、お下がりください。あの程度の人間、この私がすぐに排除いたします」

魔法使い
「何故あなたはそう毎度負ける側の典型的な言葉を発してしまうのですか? 消え失せてください、負け癖が移ります」

従者
「あんだコラ? 人間が偉そうに説教垂れてんじゃねぇぞカス」

魔法使い
「はぁ…………呆れて物も言えませんね……」

従者
「軟弱眼鏡はすっこんでろ。メテオストライク!!」

上から、炎を纏った岩が降り注いできた。

それも障壁に触れた瞬間消滅してしまい、逸れた岩が地面に突き刺さる。

魔法使い
「お約束の大魔王か何かですか、あなた? 随分とこの世界は平和が嫌いと見える」


「俺が、魔王?」

魔王使い
「それならこれならどうですか!」

今度は魔法ではない、魔法使いがただのビンを顔めがけて投げてきた。

避けるのは容易い、上体を反らして「ファイヤ!」ボンッ! バリンッ!

目の前でビンが割れて砕けた。

破片が飛んできて、それと同時に液体が顔にかかる。

魔法使い
「クリーンヒット! さぁさ逃げますよ、アレにはどうも分が悪いみたいですから」

また後で来ます

どうも液体はアルコールだったようだ。

目が焼けるように熱い。

……だが、そんなものも一瞬のこと。

すぐに身体は回復して、辺りを見てみたがもう誰もいなかった。


「く……は、フフ、ハハハ!!! アーハハハ!! そうか、勇者になりそびれたら、魔王になるのか!! こんな力ばかり身に付けて、待っていたのはこんな未来なんてな……」

一頻り笑った。

世界が平和になったというのに、まったく気分が晴れない。


「……帰ろう」

元々、勇者になる修行を始めたのは、母さんと妹を守るためだ。

結果はこれだが、もう魔王に危険は無いだろう。

それなら、もうそれで良い。

なんて。


「…………………………」

そんな甘い考えは、綺麗さっぱり消え去った。


「家が……村が……?」

もう何もない。

帰るべき場所も。進むべき未来も。


「どうして……なに、が……?」

全て、壊されていた。


「お……おお……!! オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

誰がやった?

魔王軍か?

盗賊か?

殺してやる。

殺してやる。

殺す。

………………。

………………。

………………。

人の騒ぎ声も、もう聞こえない。

静かだ。


「く……ぉ……」ミシミシ

俺の手から逃げ出そうともがいていた王様も、呻くだけでなにもしない。

女勇者
「あ、ぐぅ……!」

魔王
「…………なんて、奴だ……」

この日。


「勇者一行と魔王一派の連合隊。この世で最も頼れる、最も強いパーティ。それに勝った俺は、果たして何かな?」

俺は本物の魔王になった。

仲間なんていない。

ただの敵。

そんな存在に……。


「死ね」

グチャッ。

すまない、爆睡してた
とりあえずまた後で来る多分

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