国王「…………」
魔王「…………」
国王「……まぁ、座らぬか? もうこの戦場で立ってるのもワシらだけだろう」
魔王「如何にも」
魔王「私の傀儡だった仮初めの魔王は貴様の召喚した勇者と相討ちだったしな」
国王「あれは勇者の勝ちだろ」
魔王「だが傀儡を倒してから数分で力尽きた、仲間の回復役である賢者や僧侶も四天王との戦いで命を落としている」
国王「それでも勝ちは勝ちだろうに」
魔王「私が貴様を殺せば、勇者の敗北でもある」
国王「あー、そう来るか」
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国王「……色々あったよな、この三十年」
魔王「なんだ突然」
国王「いきなりお前さんがワシの城に四天王引き連れて襲撃した時は、死ぬかと思ったわ」
魔王「よく言う……当時の四天王を三人殺っただろうが貴様」
国王「んでもワシの臣下を二十人殺られてたんだぞ? 経済的にも軍事的にも大打撃だったわ」
国王「過労死を覚悟したのはあれが初めてだっわなぁ」
魔王「貴様など死ねば良かったのだ」
国王「お前もな」
魔王「それを言うなら貴様」
国王「ん?」
魔王「私が退いた直後に召喚獣で関係の無いオークやドワーフの森を焼いただろう」
国王「そりゃな、ワシあれでもキレてたし」
魔王「王としてどうなのだ貴様」
国王「人間側じゃ絶賛だったのよこれがな、王は人々の怒りを体現しているとか何とか」
国王「ワシの臣下を除けばお前さんが手を出したのは兵士だけだってのにな」
魔王「それを理解していてやったのか」
国王「おうよ」
魔王「くたばれジジィ」
国王「口が悪いぞババァ」
国王「大体よお前さん、その後何したよ?」
魔王「オークとドワーフを保護した」
国王「ドワーフ集めて首都を深い堀で囲んだだろう、んで肝心の首都は地下からオークを雪崩れ込ませたよなぁ?」
国王「半日で陥落したって聞いた時は何の間違いかと思ったぞ」
魔王「あれは彼等が望んだ戦略だ、死者も人間と魔族共に僅か八十しか出ていない」
国王「女は軒並み犯されたんだぜ鬼畜王め」
魔王「生きているだけ感謝して欲しいものだな、オークとドワーフは焼き殺されたのだぞ」
魔王「それだけじゃない、例の異世界からの召喚者だ」
国王「ん? 何処で知った」
魔王「貴様の孫娘を少し痛め付けて聞き出した」
国王「どっちが鬼畜だよテメェ」
魔王「戦争だから仕方あるまい」
魔王「時折この世界に辿り着いてしまう者はその身に纏う因果から『管理者』と出会い、力を持つ」
国王(そうなの?)
魔王「それを貴様は異世界の人間は皆強いと思い、故意に召喚するようになったろう」
国王「実際あいつらスキルとか言う力を持ってたぜ」
魔王「その力を持った者が現れるようになるまで、どれだけの人間を使い捨てた」
国王「……五十からは数えてないわな」
魔王「馬鹿め、元の世界に帰す方法が無いのだぞ愚王め」
魔王「女神キロクノが呆れて、召喚された者に力を与えるようになったのだ」
国王「女神様ねぇ、そんなのが居るのかよ?」
魔王「王を名乗りながらそんなことも知らない貴様がおかしいのだ」
魔王「事はそこまで重大ではないとお考えになり、未だ姿を現さないだけだ」
国王「重大だと考えたから召喚者に力を持たせたんじゃないかよ? ん?」
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