夢を叶えた大人達「憧れの漫画キャラと同じ職業につくことができました!」 (16)


手術室に一人の男性が運ばれる。

脳に悪性の腫瘍が出来てしまった患者である。


これを取り除くには、メスで直接取り除くしかないが、腫瘍は重要な神経と血管に囲まれており、
もしほんのわずかでも指先を誤れば、患者に重大な障害が残ってしまう。

この手術を成功させられるのは、世界でもほんの数名しかいないという。


そして、この手術の担当医は、そのうちの一人である。


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わずかなミスで患者の命運が尽きてしまう超難関手術。
しかし、執刀医にまるで緊張の色はない。

「メスを頼む」

「は、はいっ!」

淡々と手術を開始する。

その指示と指の動きに迷いはなく、あっという間に腫瘍は取り除かれた。

手術の成功が確定した瞬間、今まで無表情だった名医がほんのわずか微笑んだ。


手術後、執刀医に医者になったきっかけを尋ねてみる。

「なぜ医者になったか、ですか」

「私は手塚治虫先生の漫画『ブラックジャック』が大好きでして、
 幼い頃から将来は医者になりたい、とずっと思っていました」

「夢を叶えられたのは嬉しいですが、ブラックジャックに追いつけたとはいえません。
 これからも精進したいと思います」

笑いながら、こう答えてくれた。


自動車整備工場に勤める一人の若者がいた。

いかにも好青年そうなこの若者、昔は札付きのワルだったという。

しかし、ある教師との出会いが彼の運命を変えた。


「あの人だけが、俺のことを見捨てないでくれたんです」


彼の恩師は、今も公立高校で教鞭をとっている。

「コラーッ、授業中にでかい声でしゃべるな! って、俺の声のがでかいか」

授業では笑いが絶えない。

しかし、決して面白いだけでなく教え方が巧妙で、彼が赴任してから、
この学校では難関大学の合格者が増えたという。

どんな不良も恐れず、どんな優等生の力にもなり、たとえ不登校の生徒だって見捨てない。
今時珍しい、熱血教師がここにいた。


放課後、熱血教師に教師になったきっかけを尋ねてみる。

「教師になったきっかけ……ですか?」

「昔、『GTO』という漫画を読んで、主人公である鬼塚の、
 あのムチャクチャだけど生徒に愛される教師っぷりにすっかり憧れてしまいましてね。
 それで教師を志したんです」

「まだまだグレートティーチャー、とはいきませんけどね」

笑いながら、こう答えてくれた。


連れ添って歩く中年の男女を尾行する探偵。

浮気調査をしているのだ。


その尾行の所作は手慣れており、もし彼のことをあらかじめ知らなければ、
単なる「通行人A」にしか見えないであろう。

兵隊は草木に紛れるため迷彩服を身につけるが、
彼は都会に溶け込むための迷彩服を身にまとっているかのようだ。


全国に「探偵」「興信所」等を名乗る業者は意外に多い。

彼はそんな業界でトップクラスの腕前を持つといわれている。

料金も良心的で、この手の仕事にありがちな、依頼を全く果たせてないのに高額な代金を請求する、
といったトラブルも彼とは無縁である。


「やはり依頼で一番多いのは浮気調査、二番目が人捜し、といったところですかね。
 決して華やかな仕事ではありませんが、依頼人にとっては大切なことなので、手は抜きませんよ」


仕事後、ベテラン探偵に探偵になったきっかけを尋ねる。

「どうして探偵になったか、ですか?」

「僕は『名探偵コナン』のコナン君に憧れてましてね。
 あのズバズバと難事件を解決する姿に憧れて、将来は探偵になりたい、と思ってたんです」

「いつかコナン君みたいに、巨大な悪の組織と対決してみたいですね」

笑いながら、こう答えてくれた。


大勢の屈強な男たちを率いる大男。

腕っぷしだけでなく高い知能を持つ彼が、この集団のリーダーである。


「野郎ども、出航だぁーっ!」


野太い声とともに、集団がきびきびと動き出し、船が港を出る。

仕事の始まりである。


出航から二時間後、一行は民間船を発見する。

その進路を妨害するように船をつけ、停船するように命じる。
船が止まれば、もうこっちのもの。

船長である大男は部下に橋をかけさせ、アサルトライフルを装備して民間船に乗り込む。
部下もそれぞれサブマシンガンや手榴弾などを装備している。

大男の無駄のない指示が飛ぶ。

「男は殺せ! ジジイとババアも殺せ! 若い女とガキは売れるからさらえ!
 全部終わったら船は沈めちまえ! 証拠を残すんじゃねえぞ!」


彼らの仕事は迅速である。
わずか15分で略奪は完了し、この民間船は爆破され海の藻屑と消えた。

船長である大男は、その様子を満足そうに眺めていた。


航海後、船長に海賊になったきっかけを尋ねてみる。

「なぜ海賊になろうとしたか……ですか」

「僕は『ワンピース』っていう漫画が大好きでして、特に主人公のルフィの大ファンでね。
 僕も海賊になりたい、って子供の頃から思っていたんです」

「目指せ懸賞金10億ベリー! ……いや10億ドル、かな?」

笑いながら、こう答えてくれた。





― 終 ―

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