モバP「火事から始まる同棲生活」 (203)


これはモバマスssです
最近Pの家が燃える話を見かけなかったので

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P「…え?」


P(今日はいつもよりもやるべき事が多かった)


P(なんとか全てを乗り越え、自分のご褒美にビールと枝豆と焼き鳥を買って)


P(鼻歌混じりにスキップをしそうなくらい、上機嫌で)


P(アパートに帰宅した俺を出迎えたのは)


メラメラメラメラ


プォォォォォォ!プォォォォォォ!


P「…は?火事?」



~事務所~


ちひろ「え、火事ですか?」


P「はい、火事です、火事です」


ちひろ「火災報知器じゃないんですから繰り返さなくても…」


P「火事です、火事です…」


ちひろ「…大丈夫ですか?」


P「大丈夫…とは、言えないですね。保険には入っていましたし、幸いカードやUSBやパソコンは持ち歩いていたから仕事に支障はありませんが…」


P(そう、生活にも支障はない。仕事にも支障はない)


P(適当な安いアパートかホテルで1ヶ月過ごしていれば、直ぐに直るだろう)


P(最悪、生活の大部分を事務所に居る時間で占めているのだから、荷物さえおければいいんだ)


P(むしろ、燃えているアパートを見て他のアイドルの家じゃなくてよかった、なんて思ってしまったくらい)


P(まるで他人事みたいに、現実を受け入れ切れなかった)



ちひろ「それで…あの、なんて言えばいいのかわからないんですが…」


P「大丈夫ですよ、仕事はきちんとこなしますから」


ちひろ「大丈夫な訳ないじゃないですか。プロデューサーさん、顔色も悪いですし…倒れてしまいますよ?」


P「自分で思っている以上に、精神的にきてるのかもしれませんね。なんて、自分の事を客観視できるくらいには不味いです」


ちひろ「ちなみに、食事は?」


P「昨日の昼から何も…食欲なんてわかないので…」


ちひろ「ダメじゃないですか…」


P「特に愛着のあるアパートではなかったんですけどね。私物も少ないですし、失くなって困るものも少なかった」


ちひろ「…」


P「その、筈なのに…案外、辛いもんです」



ちひろ「…仕方ありません。夕飯は私が作りますから」


P「ありがとうございます…は?」


ちひろ「は?じゃありません。どうせその調子だと、お昼も夜も、これからしばらくの間なにも喉を通りませんよ?」


P「いやウィダーイン的なものくらいは摂れますから」


ちひろ「それで日々の激務を乗り越えられるとでも?その精神状態で?」


P「励ましてるの?攻めてるの?割と心折れそうなんだけど」


ちひろ「ですから!誰かに振舞ってもらった料理なら、食べないと失礼だと思って嫌でも食べますよね?」


P「荒療治」


ちひろ「大丈夫ですよ、それなりに上手いんですから」



ちひろ「もうすぐアイドルの皆が来ますけど、休養を取りますか?」


P「いえ、仕事していた方が他の事を考えなくて済むので」


ちひろ「そうですか、では頑張って下さい」


P「あ、そこ無理にでも休めとか言わない感じですか?」


ちひろ「面倒な事と面倒な人は嫌いなので。その代わり、夕飯は楽しみにしていて下さいね?」


P「仕事中って他の事考えられないんですよ」


ちひろ「喧嘩売ってます?人が優しくしてあげようとしていると言うのに」


P「タダより怖いものは無い、って言葉ご存知ですか?」


ちひろ「ふふ、それくらい軽口が叩けるなら大丈夫ですね」


P「…正直、助かる」



バターン


文香「おはようございます…あら、プロデューサーさん…顔色があまり良くありませんが…」


P「ちょっと貧血気味でな。帰りにレバーと納豆買って帰るよ」


周子「え、プロデューサー甘納豆好きなん?」


P「あれって鉄分補給出来るのかな」


ありす「効率の良い鉄分補給でしたら、サプリメント等もオススメですよ」


P「あー、その手もあるな」


フレデリカ「焼き鳥?ネギ美味しいよー?」


P「言ってないしそれ鳥じゃない」




奏「あら、プロデューサーさん顔が青いわ。キスで赤くしてあげようかしら」


P「暖房の設定温度が低くて寒いからかもな。少し上げるか」


ありす「でしたら、イチゴパスタなんてどうでしょう?赤いものを食べると体も赤くなると聞きますから」


唯「唯的には普通のイチゴでいいと思うんだけどな~」


P「ナイスフォロー唯。と言う訳でありす、イチゴパスタじゃなくて普通のイチゴの方が


ありす「橘です」


P「イチゴパスタがいいです」


ありす「ふふっ、ありすでいいです」


P「しばらくはこの六人でしたっけ?」


ちひろ「そうですね。TPの三人はロケ、アーニャちゃんは美波ちゃんとロケに行ってますから」


フレデリカ「ねープロデューサー?お昼食べにいこー?」


P「まだ10時前だぞ」


文香「でしたら…12時に、レッスンが終わりますので…」


周子「あ、プロデューサー奢ってくれる感じ?」


奏「近くにお気に入りのレストランがあるの。どうかしら?」


P「せめて食堂でお願いします」



P「ふぅ、終わった…終わってしまった…」


ちひろ「お疲れ様です。それでは買い物に行きましょうか」


P「ですかねー。事務所の暖房は付けっぱなしで大丈夫でいいか」


ちひろ「何を言っているんですか?朝までつけておいたら暖房費大変な事になりますよ?」


P「え?だって買い物してすぐ戻ってくるじゃないですか」


ちひろ「え?だってこれから私の家に行くわけじゃないですか」


P「え…?」


ちひろ「え…?」



~ちひろ宅~


ちひろ「荷物はテーブルの上に置いちゃって下さい」


P「うす」


ちひろ「私が作りますから、プロデューサーさんはテレビでも見てのんびりしてて下さい」


P「うす」


ちひろ「杵」


P「臼」


ちひろ「なんですかこれ?地味にテンポいいですけど」


P「いやだってまさか家に呼ばれるなんて思ってなかったから」


ちひろ「私だって最初にこの部屋にあげるのが貴方になるなんて思ってもいませんでした」


P「…奇遇だな、俺もお前の部屋に入るなんて夢にも思わなかったよ」


ちひろ「入室料取りますよ?」


P「ごめんなさい」



ちひろ「はい、完成ですっ!レバニラ炒め、ほうれん草のお味噌汁、そして~肉じゃがです!」


P「いぇーい!ドンドンパフパフ!」


ちひろ「…鉄分補給も含めて、沢山食べて貰おうと思ったんですが…」


P「凄い量だな」


ちひろ「作り過ぎましたね…まぁ、残ったら明日の夜にもまわしましょう」


P「あ、あと。どん!ビールも買って来たぞー!」


ちひろ「いぇーい!」


P「それじゃ」


ちひろ・P「いただきます」




P「…うまい」


ちひろ「そうでしょうそうでしょう。もっと感謝してくれてもいいんですよ?」


P「久しぶりに誰かの手料理食べた気がする」


ちひろ「まぁ食材費はそっちもちですし」


P「正直さ、こんなテンションでやってないとやってられないくらいしんどかったんだ」


ちひろ「でしょうね。明らかに空元気でしたし」


P「なんだろうな…喪失感っていうか、空っぽになっちゃった感じ」


ちひろ「喪失感であってますよ」


P「ほんと…ありがとな」


ちひろ「まぁまぁ、ビール飲んで元気だしましょう。明日も仕事ありますから」



P「ぷはー、うまい」


ちひろ「酔ってますねー。枝豆の皮はちゃんと自分の皿に乗せて下さい」


P「酔ってない酔ってない。そっちこそ酔ってるだろ、ペース早いぞ」


ちひろ「そうですかね?そう言えば、これから何処で過ごすつもりですか?」


P「んー、まぁ近場のアパートかホテル借りようかな、と」


ちひろ「割と金銭的に嵩みません?」


P「まぁ保険降りるしなんとか…なれ」


ちひろ「それに、そんな手続きしてる時間があったら仕事がしたい。そんな人間ですよね?」


P「ワーカーホリックなおかげで火事のダメージが少なく済んでるんですけどねー」


ちひろ「テンション下がるんでマイナスなこと言うのやめません?」


P「すまん」



ちひろ「と、言うわけで…その、よければうちで暮らしませんか?」


P「それは良い提案…え?」


ちひろ「その方が時間も取られませんし、家賃も半分で済みますよ?」


P「それもそうだな…って、いやいや」


ちひろ「まぁまぁ梅酒どうぞ」トクトク


P「あ、どうも。そっちも減ってるぞ」トクトク


ちひろ「はい!これで決定事項です!」


P「決まるのがはやい…!やはり俺は速度が足りてないのか…」


ちひろ「酔ってますねー。だからこそ、こんなに簡単に話が進む訳ですが」


P「まぁいいか、お酒のせいにしておこう!」


ちひろ「はい、次はワインなんてどうですか?」


P「いいですねー。明日は仕事だ幸せだ」


ちひろ・P「あははははははは」



~翌日~


P「…んん…頭痛い」


P「あれ、俺の家火事だったような…何処だここ?」


P「なんかテーブルの上凄く散らかってるし、見た事の無い部屋だし…」


ちひろ「…ん…あと5分…」


P「なんか寝てるし」


ちひろ「何を言ってるんですか…ここは私の家ですよ?」


P「…そう言えばそうだ。そんでもって確か…」


ちひろ「はい…合鍵渡しておくので先に行ってて下さい。帰って来る前に着替えとか買ってきて下さいね…」


P「何を寝ぼけて…」


P「…あ」


P(こうして、俺の住処は確保された)




~事務所~


P「うーん、流れで住むことになったけど…」


P「…まぁ多分なんとかなるしなんにもないだろ」


ガチャ


フレデリカ「おはポンジュースー、プロデューサー」


周子「あれ、ちひろさん居ないなんて珍しいね」


奏「ちひろさんより早く来たご褒美に、キスが欲しいところね」


フレデリカ「最近奏ちゃん誘い雑になってなーい?」


文香「体調を崩してないといいのですが…」


ありす「ここはやはり、一度皆さんにイチゴパスタを振舞って体調を整えないと…」


唯「ただの寝坊だといいね~」




バタンッ!


ちひろ「おはようこざいます。プロデューサーさん、なんで起こしてくれなかったんですか!」


P「ちゃんと声掛けましたよ?!そっちがあと5分とか言ってたんじゃないですか」


ちひろ「二度と、翌日仕事の日は飲みません…」


P「飲んだけど俺はちゃんと起きられたぞ」


ちひろ「自慢する事ですか?」


P「遅れるよりはましだと思いますけどね」


文香「…起こして…?」


奏「あら…あらあらあらあら…」


唯「奏ちゃん大丈夫?飴食べる?」


奏「あら、甘いわね…これが、恋の味…」


ありす「違うと思いますよ?」




P「あぁいや、昨日飲みに行って明日起きなきゃいけないからモーニングコールかけようって話だったんだよ」


フレデリカ「頼んでくれたらアタシが請け負ったのにー」


P「不安が増すわ」


ちひろ「とはいえ遅刻にはならなくてよかったです」


周子「じゃー今日はちひろさんがお昼ご馳走してくれるん?」


P「なんでそんな流れになるんだ」


ちひろ「まったく、そう言うのはプロデューサーさんの役割ですからね」


文香「この近くに、私の行きつけのお店が…」


P「頼む、せめて食堂にしよう、な?」



P「…行ったか」


ちひろ「すみません、迂闊な事を…」


P「バレると心配かけてしまいますからね。気をつけましょう」


ちひろ「そう言えば、事務所では私に対しても基本敬語なんですね」


P「まぁ職場ですから。あと俺がお昼を奢る事になった事についてなにかあれば一言」


ちひろ「昨日のワイン、結構高いんですよ」


P「うぃっす」


ちひろ「それでは、私は色々と買い出しに行ってきますから」


P「了解でーす」



P「取り敢えず、帰る前に買ってくものをリストアップしておこうか」カタカタカタ


P「っと、誤字発見。危ない危ない、他の事考えながら文字打ってるといけないな」カタカタカタ


P「着替えと…歯ブラシや髭剃りと…」


P「プリンター…はまぁ事務所でやればいいか。あとは…」


文香「シャンプーやボディソープ等、でしょうか?」


P「いや、それは別に…」


文香「……」


P「……」


文香「…プロデューサーさんは…身体や頭を洗わない方だったのですか…?」


P「……なんでいるの?」



文香「それで…プロデューサーさんは、引っ越しでしょうか…?」


P「あー…まぁ、そんな感じだ」


文香「何か、事情でも…?」


P「誰にも言わないでくれよ?あれだ、家が火事でな…」


文香「あ…すみません、その…」


P「いいよいいよ、まあ気にしないでくれ。保険には入ってたし直ぐに次の住居も見つかったから」


文香「…すぐ、見つかった…?それは、誰かに手助けを…」


P「ち、ちひろさんが色々と紹介してくれてな。ほら、早くレッスン行った行った。怒られるのおれなんだから」




P「ふぅ…上手くごまかせたかな」


P「っと、そろそろ仕事しないと」カタカタカタ


P「…夕飯、なんだろ」


P「2日連続で振舞って貰うのも悪いし、俺が何かつくるかな」


P「とは言え作れる料理少ないし」


P「クックパットさんのお世話になるか」



周子「それじゃ、お疲れ様ー」


奏「レッスン大変だったわ。ご褒美に、キスが欲しいところね」


P「お疲れ様ー、最近まだまだ寒いから気を付けろよー」


ちひろ「さて、私達もそろそろ帰りましょうか」


P「あ、もう少し待って貰っていいですか?」


ちひろ「それじゃあ、書類提出して下のロビーで待ってますね」


P「了解でーす」


バタンッ



P「さて…もうすぐ終わるかな」


P「…よしっ!終わり!」かっターン


P「…懐かしいなあ、なんか」


P「少し先に行ってて貰って、後から合流して」


P「他の奴らにバレないように、なんて」


P「あ、暖房切っておかないと」


ピッ



P「お待たせしました」


ちひろ「お疲れ様です。それでは、スーパーに向かいましょうか」


P「あいさ…あ」


ちひろ「そっちじゃありませんよ、プロデューサーさん。私の家なんですから」


P「…そう、でしたね」


ちひろ「…ビール、買って帰りますか?」


P「いえ、明日も仕事ありますから」


ちひろ「少しくらいなら大丈夫ですって」


P「絶対少しじゃ止まらないから止めときます。今仕事で失敗なんて、したくないんで」



~スーパー~


ちひろ「プロデューサーさん、カートお願いしていいですか?」


P「カゴは一つで足りるかな」


ちひろ「ついでに支払いもお願いしていいですか?」


P「おい」


ちひろ「冗談ですよ、きちんと半分こでいきましょう」


P「お、惣菜と菓子パンが割引されてるな」


ちひろ「そんなものばかり食べていては、体調崩してしまいますよ。私が作ってあげますから」


P「ありがたい…俺だったら迷わず食パンと唐揚げ買ってたな」



ちひろ「あ、キャベツと人参取ってもらっていいですか?」


P「あいよ。夜は野菜炒めか?」


ちひろ「一品で全てをまかなえる焼きそばにするつもりです」


P「塩焼きそばか?」


ちひろ「私がソース派だって知ってますよね?」


P「まだまだお子ちゃまだなぁ」


ちひろ「大人ぶって変に拘るよりはマシじゃないですかね」


P「半々って出来ないかな」


ちひろ「面倒なのでソースにしましょう」


P「レモン汁かけるぞ?」


ちひろ「唐揚げじゃないんですから…」



ちひろ「あ、ビールどうします?」


P「二本だけ買ってきますか」


ちひろ「一応四本にしておきますね?」


P「明日ちゃんと起きられるか?」


ちひろ「いざとなったら起こして下さい」


P「寝起きの顔見られるのに抵抗とかないの?」


ちひろ「…アラーム、10個セットしておきます」


P「1個目で起きろよ…」



ちひろ「さて、もうすぐ到着ですが…着替えは?」


P「あ…買ってくるの忘れたんで先に戻ってもらってていいですか?」


ちひろ「了解です。そこ曲がった所にコンビニとファッションセンターがありますから」


P「チェーンはかけないで下さいね」


ちひろ「フリですか?」


P「そしたら借金取り立て屋ごっこしますよ」


ちひろ「では二つある鍵のうち片方を閉めておきますから」


P「めんどくさいやつだ…」



P「さて、着替えと髭剃り歯ブラシその他日用雑貨も買ったし…」


ガチャ


ガチャガチャ


ガチャ


P「最初からどっちも掛けてなかったなこれ」


P「もどりましたー」


ちひろ「おっとプロデューサーさん。帰ってきた時の挨拶が違いますよ?」


P「…ただいま」


ちひろ「お帰りなさい。荷物は取り敢えずこっちの部屋に置いておいて下さい」


P「いやぁ、帰った時に誰かに出迎えて貰えるっていいな」


ちひろ「私はそう言った経験がないので、明日はプロデューサーさんが先に家に帰って下さいね」


P「仕事が先に終わればな」




ちひろ「ごちそうさまでした」


P「ごちそうさまでした。自分で作らなくても夕飯が食べられるなんて…」


ちひろ「明日は、一緒に作りましょうか。料理の仕方を教えてあげますよ」


P「いや、別に出来ない訳じゃないからな?単に普段は面倒だったからさ」


ちひろ「それでは、お楽しみといきますか!」


P「ビールの時間だ!…の前に、風呂入らない?」


ちひろ「そうですね、飲むと面倒になってしまいますし。お湯沸かしてきます」


P「お願いしまーす」



P「……」


ちひろ「……先、どうぞ?」


P「いやほら、家主より先ってなんか、ほら、あれだよ」


ちひろ「そう言って、私が浸かった湯船に入りたい、とかですか?」


P「あ、そういうつもりは別にないから」


ちひろ「ビール一本ボッシュートですね」


P「この対話って正解なくない?」


ちひろ「正解です。まぁでしたら、先に浴びさせて貰いますね」


P「テレビ見て待ってます」



P「明日は雨か…怠いなぁ」


P「…洗濯物、どうすっかなぁ」


P「別に一緒に洗っていいか。多分向こうも気にしないだろうし」


P「って言って失敗しても大変だし、ちゃんと聞いておくか」


P「…女性の風呂って長いな。もう30分近く経つんだけど」


ちひろ「っとすみません。ついついいつもの癖で長風呂を…」


P「あ、んじゃ次貰っちゃうか」



ちひろ「ところで、どうですか?この湯上り美人」


P「明日雨らしいけど、洗濯物どうする?」


ちひろ「…この湯上り美人!」


P「はいはい綺麗超ときめく。よっ、湯上り美人!」


ちひろ「よし、合格です」


P「いやー結構髪長いなぁ。それにいい香りする」


ちひろ「あ、それは気持ち悪いのでアウトです」


P「なんだこの会話…んでほら、洗濯物どうするかな、って」


ちひろ「そうですね、まぁ気にしませんよね?そっちは」


P「うーん、まぁ」


ちひろ「それじゃ普通にまわしちゃいますか。明日は部屋に下着が干される事になりますけど」


P「形の悪いキュウリか果物がなってると思おう」



カポーン


P(…馴染みすぎてるよなぁ、お互い)


P(ほんの数ヶ月前までは親の仇みたいに険悪だったのに)


P(あの頃も今も、距離感を測りきれてないのかな)


P(あ、ジャンプー買ってきたのに鞄の中だ)


P(まぁいいか、借りちゃえ)


P(…あ、このジャンプーの香りだ。普段のちひろの…)


P(…変態かよ、俺)



P「あー、さっぱりした」


こんこん


ちひろ「バスタオルとタオル用意しておきましたから。使ったら洗濯機に投げ込んどいて下さい」


P「了解です、っと」


P(このタオルの匂いも…)


P(…ヒゲ伸びてるな、剃っておくか)



P「ふー、風呂に入った後は」


ちひろ「グラスとおつまみ用意しておきましたよ」


P「するめに漬物…おっさんだなあ」


ちひろ「まぁまぁ、美味しいからいいじゃないですか。はい、どうぞ」


P「ありがと。なんかテレビつけるか?」


ちひろ「そうですね、この時間なら音楽番組やってますし」


P「それじゃ」


ちひろ・P「かんぱーい!」



P「あー…美味い。幸せな時間だ」


ちひろ「でしょう?なにせ目の前に超美人がいるんですから」


P「料金ふんだくられそうだなぁ」


ちひろ「なんと無料サービスなんですよ、これ」


P「…お互い枯れてるなぁ」


ちひろ「お酒のせいかもしれませんよ」


P「だってさ、一つ屋根の下異性がいるのに普通に風呂入って飲んでるんだ」


ちひろ「お互い意識しなさ過ぎですね」


P「まぁビールが美味ければ万事解決か」


ちひろ「そうですね…今は、元気に笑う事が最優先です」



ちひろ「さて、今日はこのくらいにしておきましょうか」

P「だな、また今朝みたいになっても困るし」

ちひろ「明日は何時に起きる予定ですか?」

P「7時かな、そっちは?」

ちひろ「私もです。でしたら、一緒に朝ご飯も食べて行きますか?」

P「朝ご飯かぁ、それも食べるの久しぶりな気がしなくもない」

ちひろ「普段は?」

P「ウィダー」

ちひろ「炊飯器セットしておきます。ちゃんと起きて下さいね?」

P「そっくりそのまま返してやろうか?」

ちひろ「ガスコンロの上で寝ていいですよ」

P「ごめんなさい」




ちひろ「こっちの部屋と布団はお貸ししますから」

P「助かる。んじゃ、おやすみ」

ちひろ「おやすみなさい」

バタンッ

P「……」

P(今は、これでいいけど…)

P(これから先どうするか、少し考えないとな…)

P(とりあえず、新しいアパート探すか)



ぴぴぴ、ぴぴぴ

P(……)

P(…自宅、じゃあないんだよな…)

P(起きる度に、火事で家を失ったって言う現実を思い出す)

P(思い入れはなかった、ただ長く過ごしていただけのアパートだ)

P(…その、はずなんだけどな…)

P「朝からこんなんじゃいけないな!顔洗って気合入れろ!」



ザーッ

P「ふぅ…」

ちひろ「あ、おはようございます」

P「おはよう…おお、いい匂いだ」

ちひろ「えっへん、どうです?このザ・ジャパニーズ朝食!」

P「実に日本人!味噌汁と白米が食欲をそそる!」

ちひろ「朝からうるさいですよ?」

P「えぇ…あ、朝食ありがとな」

ちひろ「最後に纏めて徴収しますから。ではでは」

ちひろ・P「いただきます」




P「…うまい、朝ご飯って美味しいし」

ちひろ「私の料理スキルを褒めて下さいよ…」

P「上手いな、料理…美味い、料理…」

ちひろ「朝から疲れてませんか?」

P「なんか、こう…朝起きる度に実感するんだよ。色々と」

ちひろ「…そんな貴方にスタドリをどうぞ」

P「でもお高いんでしょう?」

ちひろ「今なら三本分の値段で二本目をプレゼント!」

P「五割り増しじゃねぇか!」

ちひろ「あ、食器洗うのはお願いしますね?」

P「もちろん、用意して貰ってるんだから片付けはするさ」




ちひろ「さて、それじゃ私は先に行きますね?鍵は持ってますか?」

P「昨日合鍵借りてそのままだ」

ちひろ「なら大丈夫です。それでは…いってきます」

P「行ってらっしゃい」

バタンッ

P「…さっさと食器洗って俺も出るか」



~事務所~

P「おはようございまーす」

フレデリカ「おはろーぽんじゅー?プロデューサー」

ちひろ「おはようございます。今日のログインボーナスはこちら!真っ白な書類です!」

P「白って、いいよな…」

ありす「何を現実逃避しているんですか。赤こそ至高です」

奏「ふふっ…まだまだ子供ね。至高は…蒼、よ」

文香「私は、文字であれば何色でも…」

周子「しゅーこちゃんはハーゲンダッツはバニラが好きかなー」

フレデリカ「フレちゃんはフランス名物ミラノ風バニラ!」

周子「ミラノってフランスなん?」

フレデリカ「うーん、じゃあヨーロピアン!」



奏「あら…プロデューサーさん、香水でも使ってるの?」

P「ん?いや使ってないけど?携帯リセッシュならあるけど」

文香「…確かに、普段とは違う香りがします…」

P「あれ?なんだろ?朝ご飯食べたからかな」

ちひろ「きちんと毎日食べて下さい」

ありす「立派な大人になれませんよ」

周子「暗にプロデューサーは立派じゃないって言われとるやん」

フレデリカ「りっぱは諦めてパリになろー?」

P「パリになる、とは」

文香「…この香りは…」

ちひろ「…あ、私書類出しに行ってきますね」

P「行ってらっしゃーい」

バタンッ




文香「……なるほど、そういう事でしたか」

周子「なんかあったん?」

P「文香、桔◯屋、信玄餅」ぼそっ

文香「もう一声」

P「……ラ◯ュレ、マカロン」ぼそっ

文香「……なんでもありません。プロデューサーさんが、以前私が使っていたシャンプーを使っていたので、少し驚いただけです……」

唯「えー、文香ちゃんズルーい!」

ありす「銘柄はなんですか?」

フレデリカ「ボジョレーかなー?」

奏「ふふっ、私が当ててあげるわ。もし当たったら……そうね、ご褒美に」

P「ん、もうこんな時間じゃん。ちょっと出てくるわ」

唯「……奏ちゃん!後で唯とスイーツ食べにいこ!」



~夜~

P「と、言うことがありましたとさ」

ちひろ「成る程……まぁ、文香ちゃんは口が堅いですし大丈夫でしょう」

P「バレて俺たちが困るわけじゃないっちゃないけど、心配はかけたくないからな」

ちひろ「そうですね。もう少し気を払うべきだったかもしれません」

P「女性って匂いに敏感なんだなぁ……」

ちひろ「それはもちろん、自身にも気を使っている部分ですから」

P「とは言えまぁ、うまく誤魔化しといてくれた……のかな?」

ちひろ「ずっと同じ香りでは時間の問題のような気もしますが」

P「俺も自分用のシャンプー用意すべきなのかな」

ちひろ「まぁ男性向けのものを購入すべきかもしれませんが……少し勿体無くありませんか?」

P「まぁ確かに、既に有る物を買うってのはな……」

ちひろ「……」




P「さて、そろそろ寝ますか」

ちひろ「そうですね。明日は?」

P「午前中に少し用事が。だから事務所には寄らず直で向かう予定かな」

ちひろ「朝ごはんはどうしますか?」

P「……朝ごはん、良いよね……」

ちひろ「はい、作っておきますから。早起きして手伝ってくれても良いんですよ?」

P「起きられたらな」

ちひろ「フライパンと寸胴鍋、どっちの方が痛いと思いますか?」

P「きちんと早めに目覚ましセットします」

ちひろ「よろしい。それでは」

P・ちひろ「おやすみなさい」



ピピピッ、ピッ!

P(……起きた)

P(当たり前だが、俺の家じゃない)

P(でもなんだか、一瞬だけど)

P(なんとなく、安心してしまった)

P(台所の方からいい香りがする)

P(こんな朝を連日迎えられる日がくるなんてな……)

P「……ん?いい香りがするってもう朝食作ってるのか?!」




ちひろ「おそようございます」

P「……お、おはよう!早起きは気分がいいな!」

ちひろ「そうですね、人が朝ごはんを作っている間の睡眠なんて身分も良いですね」

P「ごめんなさい」

ちひろ「冗談ですよ。昨晩炊飯器のタイマーをセットしておくの忘れてしまって、早めに起きたついでに作り始めただけです」

P「とは言えすまないな、何もかもやって貰っちゃって。起こしてくれて良かったのに」

ちひろ「……そ、そうですね!起こしても良かったんですが、なんとなく悪い気がしたので!」

P「……?」

ちひろ「あ、食器並べて貰えますか?」

P「らじゃー」




ちひろ「それでは」

P・ちひろ「いただきます!」

P「……朝食、なぁ」

ちひろ「普段は食べないんでしたよね?」

P「いや食べるときはあるけどさ。さっきも思ったけど、朝食を誰かと囲めるって幸せだよな、って」

ちひろ「うーん……部分点ですね」

P「正解は?」

ちひろ「越◯製菓って事にしておきます。自分で気づけたら大正解ですね」

P「難しいなぁ……ん、味噌汁美味い」

ちひろ「千川印の特性お味噌汁です。高くつきますよ?」

P「出世払いでお願いするよ」

ちひろ「来世払いになりませんか、それ?」

P「酷くない?」




ちひろ「そろそろ、私は事務所に向かいますから」

P「洗い物は任せろ。あと洗濯物干したら俺も出掛けてくる」

ちひろ「私の下着で変な事しないで下さいね?」

P「ウルトラマンの真似とか?」

ちひろ「本気で軽蔑されたいのならどうぞ」

P「いや冗談ですマジですみません」

ちひろ「分かってますって。行ってきます、鍵お願いしますね」

P「あいよ、閉めとく。行ってらっしゃーい」

バタン




P(洗濯物、か……)

P(……馴染み過ぎでは?)

P(いやまぁ同棲してるんだから仕方のない事だし当たり前の事だけど)

P(とりあえず干すか)

P(ここは5階だけど、一応女性物の下着は内側の見づらいところに……)

P(……本当に、同棲してるんだな……)

P(人生何があるか分かったもんじゃない)

P(洗濯物めっちゃいい匂いだなとか変態的な事を考えたりもしてない)




P(それから数日後)

P「はい、ありがとうございます!今後ともよろしくお願いします!」

バタンッ

P(思ったよりはやく用事が終わったなぁ)

P(不動産寄ってくか)

P(そうだ、新しいアパートなりマンションを見つけないと)

P(ずっとちひろの家にお世話になってる訳にもいかない)

P(……思い出したく無かったなぁ……)

P(……はぁ)



P(……んー、良さげなアパートは……)

P(どうせなら、そこそこ事務所から近いほうが……)

P(……事務所さ、都会過ぎない?近くの家賃エグいわ)

P(貯金も保険もあるが、そのあと家具や生活雑貨も買うとなると……)

P(難しいな。ゆっくり考えよう)

P(……俺はいつまで、ちひろに甘えてるんだ?)

周子「あれ?Pさん何してんの?」

P「新しいアパートを探してるんだよ」

フレデリカ「お引っ越しー?パリなんてどーお?!」

P「パリか……悪くないな……」



P「……ひ、人違いじゃないでしょうか?私の職業は戦場カメラマンですが……」

フレデリカ「文香ちゃん今日レッスンサボってたよー?」

P「おいおい注意されるの俺なんだから……あ」

周子「もちろん嘘だけどね。そもそも今日あたし達休みだし」

P「……何が望みだ」

周子「いや話しかけただけやん」

フレデリカ「そこの喫茶店で一緒にお茶しよー?」

P「うぃっす」



~喫茶店~

周子「それで、Pさん引っ越すん?」

P「あぁ。ちょうどアパートの契約2年経つし、そろそろ事務所に近いとこにでも引っ越そうかなって」

フレデリカ「本当に丁度2年だからかなー?」

周子「……どっちかなー、心配させない為か後ろ暗い事があるか……」

フレデリカ「……まーどっちでもいっか!」

P「そうしてくれるとありがたいかな」

フレデリカ「フレちゃんちに住むー?」

P「俺まだプロデューサー業続けてたいから……」

周子「しゅーこちゃんちは?」

P「同上の理由により辞退させていただきます」




フレデリカ「ところでプロデューサーって自炊してるのー?」

P「基本は冷凍食品だったよ。そうだな……たまには自分で作るか」

P(いつもはちひろが用意しておいてくれたり一緒に作ったりだし、今日くらいは俺が夕飯準備しておくか)

周子「何作れるん?」

P「カップ麺」

フレデリカ「お湯沸かせるんだ!すごいじゃーん!」

P「いや一人暮らしだったし多少は自炊出来るから、やめて褒めないで心が痛い」

周子「1人でお湯沸かすなんて危ないよーPさん」

P「マジかよ俺風呂入れないじゃん」




P「ところで2人は何してたんだ?」

周子「ふつーにお買い物。なんか良さげな服ないかなーって」

フレデリカ「プロデューサーも一緒にショッピングするー?」

P「いや、悪いけど遠慮しとくよ。買って帰らなきゃいけないものあるし」

フレデリカ「アタシ達が見繕ってあげよっか?」

周子「完璧なコーディネートをしよう。成果はこちらが保証する」

P「いや服とかじゃないから。んじゃ、支払いはここに置いとくわ」

フレデリカ「またねープロデューサー!」

カランカランッ



周子「どっちだと思う?フレちゃん反応的にあたりついてそうだけど」

フレデリカ「アタシ的には前者がナイスなんだけどねー。まぁどっちもなんじゃないかなー?」

周子「なるほどねー。んじゃ変な詮索はやめとこっか」

フレデリカ「むむむーん……頭を白紙に戻す!」

周子「あーせっかく考えた一発ギャグがーん」

フレデリカ「それじゃーまた一緒に考えよっか!コンビ組んで一攫千金狙おー!風はアタシ達に向かって吹いてる!」

周子「風が吹けば?」

フレデリカ「桶屋が木から落ちる!」

周子「世の中って理不尽だねー」



~夜~

ガチャ

ちひろ「ただいま戻りましたー」

P「ん、おかえり。夕飯作ってるぞー」

ちひろ「ありがとうございま……」

P「っと、ここで中火か……」

ちひろ「ってちょっとちょっと!1人で火を使うなんで危ないですよ!」

P「子供か俺は」

ちひろ「失礼しました。それ、火って言うんですよ」

P「バカにしすぎだろ……元一人暮らしをなめるな料理くらい俺だってアッチィ!」

ちひろ「あーほら……水で冷やして下さい」



ちひろ「それで、どうして急に夕飯を?」

P「いやほら、俺流石にちひろに甘え過ぎな気がしてさ」

ちひろ「気を使わなくても大丈夫ですって」

P「それでそっちに気を使わせ過ぎるのもさ」

ちひろ「私が貴方に気を使ってると思ってるんですか?」

P「酷い……とまぁ冗談は置いといてさ。住ませて貰ってるんだから夕飯くらい作ろうかなって」

ちひろ「私の楽しみを奪うつもりですね?」

P「料理好きなの?」

ちひろ「嫌いじゃありませんが……まぁ、今日くらいは素直に感謝してあげましょう」

P「素直じゃないなぁ」

ちひろ「素直な反応していいんですか?」

P「ごめんなさい」




ちひろ「とまぁそれは置いといて。夕飯、ありがとうございます」

P「家に帰ってくると食事が用意してあるってさ、俺すごく嬉しかったから。恩返しとして、ね」

ちひろ「それはまぁ、そうですね。自分で用意しなくていいのは楽だと思います」

P「だよなー、冷凍食品でも惣菜でもなく出来たての料理が並んでるんだ」

ちひろ「いや、私は以前から自炊していましたが」

P「それ程俺は感謝してるって事だよ」

ちひろ「でしたら、その必要はないですよ」

P「……え?」

ちひろ「私の帰りが遅くなる時はとてもありがたいですが、今日みたいな普通の時間に帰って来れる日は用意しておいて下さらなくて大丈夫ですから」

P(……自分で作った方が美味いし安上がりだからだろうか……)

P「……分かったよ。変な気を回して悪かったな」



P「……そろそろ寝るかな」

ちひろ「あれ、早くありませんか?明日お休みですよね?」

P「ちょっと見に行きたいものがあってな」

ちひろ「……新しいアパートですか?」

P「そのつもり。いつまでも甘えっぱなしってのも悪いし」

ちひろ「……そうですか。では、おやすみなさい」

P「おやすみなさい」

バタンッ



P(翌日起きて、さっさと着替える)

P(朝食は……めんどうだし抜いていいだろう)

P(一瞬まだ寝てるちひろの分を作っておこうかと思ったが、昨日のやり取りを思い出してやめた)

P(……それにしても)

P(朝食を食べないの、久し振りな気がする)

P(健康的な生活に慣れると、元の生活に戻すのに苦労しそうだ)



P「ここかこの駅周辺で、出来ればこのくらいの家賃のーー」

P(高い……何故都会はこんなに高いんだ)

P(とは言えまぁ、だからと行って新しいアパート探しを放棄する訳にもいかない)

P(とりあえず候補を何箇所か決め、後日見学に行く事にした)

P(そろそろ本腰入れて決めないといけないからな)

P(……久し振りに、前のアパートがどうなったのか見に言ってみるか)



P「……まぁ、まだ完成はしてないよな」

P(以前住んでたアパートは、まだコンクリートの下地しかなかった)

P(まだ二週間くらいしか経ってないし、当たり前か)

P(俺は、ここから事務所に行ってたんだよな)

P(毎朝起きて、事務所行って仕事して、帰ってシャワー浴びて寝て)

P(大して思い入れなんて無かった)

P(だから、今俺の目が潤んでいたとしてもそれは欠伸のせいだ)

P(ずっとその場にいると息苦しくなりそうで、俺はその場を後にした)

P(はやく新しいアパートみつけて、そっちに慣れよう)




ガチャ

P「ただいま戻りましたー」

P「……あれ?出掛けてるのか?」

P(部屋にちひろは居なかった)

P(あっちも休みだった筈だが、まぁ何も予定無いって事もないだろう)

P(冷蔵庫を開いたところで、昨日のやり取りを思い出す)

P(……まぁご飯くらいは多めに炊いておこうか)

P(そのくらいだったら迷惑にはならないだろう)



P「いただきます」

P(白米、納豆、電子レンジであっためたソーセージ)

P(……ま、まぁ俺1人が食べられればいいから、うん)

P(あいつがいるならそこそこマトモなもの作るから)

P(……1人で家で食べる夕飯って、こんなに虚無だっただろうか)

P(やけに時計の針の音と食器の鳴る音が大きく聞こえる)

P「テレビ、何かつけるか」

P(ここから二日はしばらく雨らしい。火事は起こりにくそうだな)

ポツ、ポツ

P「ってうわ!もう降ってきてんじゃん洗濯物洗濯物!」



P「……セーフ、部屋干しすればすぐ乾くレベル」

P(急いで洗濯物を取り込んだところで、俺は気付いた)

P(ちひろ、傘持って行ってただろうか)

P(家の傘は減ってないし、確かあまり天気予報見ないって言ってたような……)

P(折り畳み傘……持ってなさそうだな)

P(ま、まぁ流石にコンビニで買うか)

P(……)

ピッ、プルルルル、プルルルル、ピッ

P「……出ないな。まぁ大丈夫だろ」

P「シャワー浴びて寝るか」



ガチャガチャ、ギィーー

P「……ん、帰ってきたのか」

P「おかえりなさーい!」

P「……?」

P「おーい……っ!」

ちひろ「……ぁ……すみません、帰るの遅くなってしまって……」

P(びっちゃびちゃだ……駅出てから雨降られたな)

P「取り敢えずはやく風呂は入れ!ちょうど沸かしておいたから!」



P(ちひろが風呂に入ってる間に、インスタントのスープを作る)

P(生姜も摩り下ろしていれとくか)

P(風邪、引いてないといいんだけどな……)

ギィィー

ちひろ「すみません、ご迷惑おかけして……」

P「気にするな、お互い様だろ」

ちひろ「それで、ですね……」

P「なんだー?」

ちひろ「……バスタオル一枚なので、絶対に振り返らないで下さいね」

P「……神に誓って」

ちひろ「突然神は死んだとか言い出さないで下さいよ?」

P「元気そうだな。さっさと服着ろ」



ちひろ「すみません、駅出た後に降られちゃって。ふぅー……あったかい……」

P「確か駅からここまで地味に距離あるしコンビニ無いんだよな」

ちひろ「そうなんですよね……引っ越しも検討に入れましょう」

P「あ、冷蔵庫の生姜無くなったから明日買ってくる」

ちひろ「……生姜、塊が結構入ってますね……」

P「やさしさの塊だよ」

ちひろ「もう……気を使わなくていいって、昨日……ゴホッ!」

P「使ったのはおろし金くらいだから。今日はさっさと寝とけ、洗濯物やっとくから」



~翌日~

P「……ちひろ」

ちひろ「はい」

P「この体温計、何℃って表示されてる?」

ちひろ「……36℃後半強より少し高めですね……」

P「37.8℃だよ。寝ろ」

ちひろ「いえ……今日は仕事がありますから。このくらいなら……」

P「事務所で倒れたら大変だろ。それにこれ以上体調崩したら……!」

ちひろ「大丈夫ですって……事務仕事くらい」

P「俺が心配だから言ってるんだよ!分かったら連絡いれてさっさと寝ろ!」

P(……なんで俺はこんなにムキになってるんだろう)

ちひろ「……ふふっ、分かりました。お願いしますね?」




~事務所~

P「ってわけで、体調崩したらしいからちひろさんは今日は休みだ」

凛「一人暮らしで体調崩すって、色々と大変そうだよね。お大事にって連絡いれとこっか」

文香「療養中にオススメの本を……」

奈緒「文香、その大量の本どっから持ってきたんだ……?」

ありす「差し入れに、元気の出るパスタを」

唯「た、体調悪い時に甘いものってしんどいよね~!」

P「まぁだからと言ってレッスンが休みになるわけじゃないからな」

文香「……?!」

加蓮「……?!」

奏「はいはい、みんな行くわよ」




P「……」カタカタカタカタ

P(風邪 食事 手軽 検索)

P「……色々あるなぁ」

文香「……私は、このタマゴ粥が気になります……」

P「タマゴ粥なぁ、栄養も取れて良いかもな」

文香「……」

P「……なんでいるの?」

文香「ところで、プロデューサーさん……私としては、それより此方のレストランの方が……」

P「いや、別にみんなに作ってあげようとしてた訳じゃ」

文香「誰に。作ってあげるつもりだったのか……他のアイドル達と予想を立てるのも楽しいかもしれません……」

P「ちょっとこれから出費多そうだから、色々落ち着いたらな」



文香「ところで、プロデューサーさん……」

P「ん、なんだ?」

文香「折り畳み傘と言うものをご存知でしょうか?」

P「いや、それくらい知ってるけど。何かあったのか?」

文香「……いえ、少し……なんでもありません。失礼しました……」

フレデリカ「あーいたいた文香ちゃん!レッスンサボっちゃダメだよー?」

P「そうだおい、文香。お前レッスン」

フレデリカ「意地悪な文香ちゃんはカフェに連行しちゃおーう!」

P「いやだからレッスン行けって」



P「さて、卵と生姜買ってくか」

P(スーパーでカートを押しながら食品売り場を巡る)

P(ん、うどんも悪くないな。豆腐もいいかもしれない)

P(取り敢えず消化に良さそうなものを……)

P(そういえば)

P(人の為に食材を選ぶの、初めてかもしれない)

P(雨の中、買い物袋片手に歩く道はなんとなく楽しかった)




ガチャ

P「ただいまー」

P「……寝てるかな?」

ちひろ「……あ……」

P「お、起きてたか。体調は……うわっ!」

ちひろ「……おかえり、なさい……」ギュゥ

P(……な、なんで俺はいきなり抱きつかれてるんだ?!)

ちひろ「1日中1人で……そんなの、慣れてた筈なのに……ちょっと、しんどかったです……」

P「……ただいま、ちひろ。タマゴ粥作るから座って待ってろ」



P「……よーし、もうすぐ出来るぞ」

ちひろ「消えたいです」

P「安心しろ、代わりに火を消しとくから」

ちひろ「……あぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!」

P「思い出すな暴れるな足バタつかせるな!熱上がるだろ!」

ちひろ「いえ、全然気にしてませんから?熱も多少下がってはいますし?」

P「ぶり返すぞー」

ちひろ「いえ、そのですね……こう、熱のせいと言いますか……そう、プロデューサーさんのせいです!」

P「はいはいタマゴ粥出来たぞ。熱いから気をつけろよ」

ちひろ「ありがとうございます……勿体無いですね……」

P「何が?」

ちひろ「せっかく一緒にいるのに、一緒に料理出来ないなんて……」

P「……成る程な」

ちひろ「独り言ですから。気にしないで下さい」

P「一人暮らし長いと、誰かと一緒に料理するなんて超レアだもんな」

ちひろ「張り倒しますよ」

P「独り言だよ、気にするな。俺も……」

ちひろ「俺も……?」

P「あ、昨日鞄も濡れちゃってたけど中身大丈夫だったか?」

ちひろ「あ、はい。少し濡れちゃってますが、また同じものを……」



P「同じもの……?」

ちひろ「……バレてしまっては仕方ありませんね……」

P「俺まだ何も言ってない」

ちひろ「じゃん!物件情報です!」

P「……まさか、俺の為に……」

ちひろ「いえ、そろそろ契約して2年経つので私も事務所の近くに引っ越そうかと」

P「期待と喜びを返せ!!」

P(このままこのマンションに折半で同棲、なんて都合が良すぎるよな)

ちひろ「半分冗談です。あなた向きのアパートも探しておきましたから」

P「あ、ありがとな……うわ安っ?!この広さとこの立地条件で?!」

ちひろ「ふふんっ、出来る女は違うんです」

P「とは言え一人暮らしするには部屋多くて掃除大変そうだな……」

ちひろ「お掃除ロボット買ってみたらどうですか?」

P「割と前向きに検討するよ」




P「……なぁ、ちひろ。本当に色々ありがとな」

ちひろ「困った時はお互い様……と言うことに今はしておきましょう」

P「今は?」

ちひろ「今言って、熱のせいにされたらたまったものじゃありませんから」

P「……熱のせい、な……あ、風邪薬も一応買ってきたから飲んどけよ」

ちひろ「ですから……これからの私の発言は、全部熱のせいです」

P「そう言えば下がってきたんじゃなかったっけ?」

ちひろ「雰囲気って言葉知ってます?」

P「ごめん」

ちひろ「始めは、まぁ本当に見ていられなかったから、って思いが強かったです」

P「多分そうとう上の空だったんだろうな、俺」

ちひろ「貸しを作っておこうなんて思っていませんでしたよ?」

P「なんで今言ったのそれ」

ちひろ「でも、ずっと一人暮らししてたからかもしれませんけど……誰かと部屋で食卓を囲んだり、一緒に料理を作ったり、朝送ってもらったり、夜出迎えて貰ったり……そんな事が嬉しくて」

P「うん、俺もだ」

ちひろ「ふと思ったんです。このままなぁなぁにして、ずっと一緒に過ごす時間が続けば良いのに、と……」

P「うん、俺もだ」

ちひろ「でも、ここは貴方の家ではありませんから。今でもたまに、心の何処かで寂しいと感じた事もあるはずです」

P「……」

ちひろ「そんな貴方に自分は何も言わず、ただ居心地が良いだけの暮らしをする私が許せなくて……なのに、貴方がアパートを探しに行くと行った日、とても悲しくて……」

P「……」



ちひろ「貴方は、やっぱりきちんと自分の居場所を作るべきなんです。じゃないと、いつまで経っても前の家の事が胸の中に残るままで……そして、それはきっとこの家じゃありません」

P「……ありがとう、ちひろ」

ちひろ「恩返し、期待してます。出来る限り早めにお願いしますね」

P「あぁ」

ちひろ「と言うわけで、明日貴方にはアパート見学に行ってきてもらいます」

P「はやっ?!」

ちひろ「善は急げ、ですよ。午後は空いてますよね?」

P「了解。んじゃ、そっちは早く寝て体調治せよ」





P(それから、事はトントン拍子に進んだ)

P(ちひろが勧めてくれたアパートはかなりの新築で)

P(事務所まで電車と徒歩併せて30分とかなり近く、近くにスーパーもコンビニもある)

P(日当たり良し、部屋数は一人暮らしには多過ぎるくらいで、なんか契約すると家具まで付いてくるらしい)

P(……それでこのお値段?どっから見つけてきたんだろう)

P(曰く付きではないと思うが、だとすると尚更怖いので聞かない事にする。ちひろを信じろ)

P(契約をして、四日後にはもう住居可能になった)

P(そして……)



P「改めて、本当に色々ありがとな」

ちひろ「もっと感謝してくれていいんですよ?」

P「ビール飲む?」

ちひろ「せっかくの引越し祝いなんですし、もう少し豪勢にいきませんか?」

P「ビール美味しいだろ、発泡酒だけど。あとまだ明日だから」

ちひろ「それにしても……私の家で良かったんですか?」

P「最後……にはしたくないけど、まぁプチ同棲生活のラストは此処がいいかなって」

ちひろ「どうですか?新しい住居が決まった気持ちは」

P「まぁ、悪くないかな。なんと言うか……心の突っ掛かりが取れた気分です」

ちひろ「私はそうなった事がありませんから分かりませんけど……きっと、自分で思ってる以上に辛かったと思いますよ」

P「そんな悩みを解決してくれるのがビール!」

ちひろ「知ってますか?アルコールって燃えるんですよ」

P「えぐい角度のブラックジョークだな!」




P「……これから、行ってらっしゃいもお帰りなさいも聞けないんだな」

ちひろ「どうでしょう?貴方次第かもしれませんよ」

P「なにそのほん怖みたいなセリフ」

ちひろ「ところで、本当にあの家でいいんですよね?後悔してませんか?」

P「あぁ、条件はこれ以上ない程良かったよ。明日の夜には家具も届くらしい」

ちひろ「そう言えば……私からも、ひとつ」

P「なんだ?」

ちひろ「こちらこそ、ありがとうございました。これまでと、これからに」

P「なんかいいな、そういうの」

ちひろ「ささ、ビール無くなってますよ」

P「っと、ありがとう」





ーーチュン、チュン

P「……朝か」

ちひろ「おはようございます」

P「さて、朝ごはん食べたら新しい家向かうかな」

ちひろ「それじゃ、一緒に作りませんか?」

P「そうだな。それが良い」



P「さて、そろそろ出るか」

ちひろ「挨拶はどれにしますか?」

P「うーん、そうだな……」

ちひろ「あ、あと鍵返して貰います」

P「あ、そうだった。完全に忘れてたわ」

ちひろ「危なかったです……困りますよ」

P「よし、それじゃ……長い間、お邪魔しました」

ちひろ「二度と来ることはないと思いますよ!」

P「酷っ!」

P(こうして、俺とちひろの同棲生活は幕を下ろした)






P(……筈だったのだが)

P「……え、なんでだ?」

P(業者の人達が家具を俺の部屋に運んでくれている。それはおかしくないが……)

P(……なんで、引越し業者なんだ?)

P(そして……)

P(……なんで、ちひろの家の家具が俺のアパートに運び込まれているんだ?)

ちひろ「こんばんは、プロデューサーさん。朝ぶりですね」

P「こんばんは、いい天気だな」

ちひろ「月が綺麗ですね」

P「曇ってるけどな」




P「……なぁ、このアパートが家具付きだった理由って……」

ちひろ「私の家のから運んでくるからです」

P「やたら安いのは?」

ちひろ「私と折半だからです」

P「不動産屋の人はそんな事……」

ちひろ「契約書には必ずきちんと目を通しましょう。どんな小さな文字で書いてあるか、はたまた縦読みになっているか分かりませんよ」

P「こう、法律や決まり的には……」

ちひろ「私と貴方はそれぞれですが合意の元契約してますし、最悪……ほら、ね?」

P「怖……前の家は?」

ちひろ「もうすぐ引き払います。言いませんでしたっけ?私も引越しを考えている、と」

P「……マジか」

ちひろ「まぁまぁ、掃除ロボット購入代が浮いたと思えば」

P「そんなふうに考えちゃっていいのかよ」

ちひろ「契約、取り消しますか?……と、この状況で尋ねるのも卑怯ですから、貴方をきちんと納得させます」







ちひろ「……これからも、私と一緒に暮らしてくれませんか?」

P「こちらこそ、喜んで」







~事務所~

凛「へー、プロデューサー引っ越したんだ」

奈緒「それもかなり広いって噂だぞ」

P「噂って……誰だ流したの。俺言ってないのに……怖」

奏「秘密っていうのは、いつか解き明かされるものよ……」

文香「引越し……パーティ……プロデューサーさん、空いてる日はありますか?」

フレデリカ「いいねー、レッツホームパーティ!フレちゃんがアメリカで暮らしてた頃は毎日開いてたよー。アメリカ住んだ事無いけど!」



アナスタシア「スパスィーバ!アーニャ、パーティ大好きです!」

ありす「腕によりを掛けて、たくさん作らないといけませんね」

周子「あたし蕎麦おねがーい」

唯「唯はチョコフォンデュとかしたいなぁ~プロデューサーちゃん!」

P「まぁ空いてる日はあるし、パーティ出来るくらいの部屋数も……って、ダメだダメだ!アイドル家に呼ぶとかバカ過ぎるだろ!」

P(そもそもちひろと同棲してるの秘密だから)

ちひろ「……ふふっ、良いですね。私も参加希望出していいですか?」

P「えっ、あ、あの」

P(そんなこんなで再開された同棲生活は、まぁなかなか楽しくなりそうで)



P「そ、それじゃ、ちょっと出掛けてきます!」

ちひろ「行ってらっしゃい、プロデューサーさん!」

P「行ってきます!」

P(このやり取りを今まで以上に増やしていけると思うと、とても嬉しかった)



以上です
時間がかかって申し訳ありませんでした
お付き合い、ありがとうございました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年10月19日 (木) 02:31:54   ID: sJXWrzcc

イイハナシダナー

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