真姫「春って冬と比べて暖かいわよね」にこ「あー、分かる」 (19)

にこ「対して冬って春と比べて寒いわよね」

真姫「確かにそうね」

にこ「不思議ね」

真姫「不思議よね」

にこ「秋は夏より涼しいじゃない?」

真姫「ああ、確かに」

にこ「でも冬と比べるとまだ暖かいのよ」

真姫「あー、言われてみれば」

にこ「なんでかしらね」

真姫「にもかかわらず夏って春より暑いのよね」

にこ「うわ、ほんとだ」

真姫「ましてや梅雨なんて雨が降るのよ」

にこ「え、ショック……」

真姫「不思議よね」

にこ「不思議ね」

にこ真姫「ねえ絵里、なんでだと思う?」

絵里「えぇ……」


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絵里「1年間を飽きさせないためじゃない?」

にこ「どういうこと?」

絵里「ずっと夏みたいに暑かったり、ずっと冬みたいに寒いのは嫌じゃない?」

真姫「まあそうね」

絵里「かと言ってずっと春や秋みたいに過ごしやすい天候でもきっと甘えちゃう」

にこ「そうかも」

絵里「だから、1年間、暑いのが得意な人も寒いのが得意な人も同じくらい頑張るチャンスがあるように」

絵里「きっと、神様が私たちに退屈させないように試練を与えてるのよ」

にこ「なるほどねぇ」

真姫「うん」

にこ真姫「そういうことが聞きたかったわけじゃないのよね」

絵里「えぇ……」

にこ「カレーって甘いとカレーって感じしないわよね」

真姫「あー、分かるわ」

にこ「かと言って辛すぎてもそういうのじゃないんだよな、って思わない?」

真姫「丁度いいって何なのかしらね」

にこ「難しいわよね」

真姫「甘いカレーを作って、それを少しずつ辛く味付けしていったら丁度いいが分かるんじゃない?」

にこ「名案ね」

真姫「大量の材料と試食役が必要よね」

にこ「材料ならうちにたくさんあるわよ」

真姫「丁度いいわね、にこちゃんお腹減ってる?」

にこ「ううん、さっきポッキー食べたからあんまり」

真姫「私も」

にこ真姫「ねえ絵里、試食役引き受けてくれない?」

絵里「えぇ……」

絵里「その実験って、あまり意味ないんじゃない?」

真姫「どうしてよ」

絵里「味覚は人それぞれだし、それこそカレーの辛さなんて好みでしょ?」

にこ「確かに」

絵里「二人はココイチ行ったら“何”辛にする?」

にこ「1辛」

真姫「2辛」

絵里「ほら、もう違うもの。きっとにこは1辛が、真姫は2辛が美味しいからそうしてる」

絵里「“丁度いい”って、共通の物差しがあるわけじゃなくて、人それぞれなのよ」

絵里「だから、自分が思うことが必ずしも正しい訳じゃないし、相手もそう思ってるとは、限らないのよ」

にこ「そっか、人それぞれか」

真姫「うん」

にこ真姫「で、試食付き合ってくれる?」

絵里「えぇ……」

真姫「7の段ってレベル上げるだけじゃ倒せなさそうよね」

にこ「あー、分かる」

真姫「かと言って低レベルで挑んだら勝ち目なさそう」

にこ「この辺で初めて戦略が必要って気付き始めるのよね」

真姫「6の段は多分デバフと状態異常かけてくるわよ」

にこ「うっわ、せこい」

真姫「でもレベル差でなんとかなる」

にこ「1の段のチュートリアル感は異常じゃない?」

真姫「2周目は飛ばしたいところよね」

にこ「4の段って初めての中ボス戦って感じしない?」

真姫「ちょっと緊張する」

にこ「BGMも変わりそう」

真姫「で、5の段はボーナスステージよね」

にこ「ちょっと工夫してレベリングが捗ったり」

真姫「そして来る8の段よ」

にこ「あー、手強い」

真姫「攻略法思いつく?」

にこ「いや、ちょっと厳しい」

にこ真姫「ねえ絵里、8の段どうやって攻略しようか?」

絵里「えぇ……」

絵里「やっぱり、努力しかないんじゃないかしら」

にこ「努力?」

絵里「そう、当然一筋縄じゃいかない相手だわ。大きな壁だもの」

真姫「でも越えなきゃ」

絵里「だから、努力。例えば自分なりの法則を見つけ出したり、得意な人に教えてもらったり」

絵里「必ずしも自分だけの力で乗り越えようとしなくても良い」

絵里「仲間と手を取り合って、壁を乗り越えたその先に、素敵な景色が待ってるのよ」

真姫「なるほどね」

にこ「仲間、ね」

にこ真姫「ところで9の段って、これまで倒したライバル達が助っ人にやってきたみたいじゃない?」

絵里「えぇ……」

にこ「絵里って希と穂乃果どっちとカップリング組ませるか迷うわよね」

真姫「あー、分かるわ」

にこ「長い付き合いでお互いの心まで読めちゃう希、生徒会もあったしねぇ」

真姫「でも穂乃果はツンツン絵里に手を差し伸べた救世主よ、世界を壊してくれたの」

にこ「うわぁ、さすが穂乃果だわ」

真姫「でもやっぱり希の聖母感も捨てがたいわね」

にこ「いっそ三角関係にしちゃう、とか」

真姫「なるほど、両手に花ね!」

にこ「いや、絵里はどちらかのことが好きで、もう片方から好かれてるとか」

真姫「だとしたら絵里は希が好きで、穂乃果が絵里に片思いね」

にこ「えー! 逆でしょ!」

真姫「なんでよ。絵里が唯一甘えられる相手である希を好きになる方が自然じゃない」

にこ「いいや、ずっと一緒にいるからこそ気付かないモノなのよ。好きになるなら輝かしい未来に引っ張ってくれた穂乃果に決まってるわ」

真姫「なるほど、一理あるわね……」

にこ「いや、真姫の言う通り希もそう言われれば……」

絵里「あの、そもそも女の子同士なんだけど」

にこ真姫「当事者は黙ってて!」

絵里「えぇ……」

にこ「1年って過ぎるの早いわよね」

真姫「え、そう?」

にこ「早いじゃない」

真姫「遅いと思うけど」

にこ「早いわよ、私達がもうすぐ卒業なのよ」

真姫「なんだかんだそれくらい経ったでしょ」

にこ「真姫はまだ1年生だからそう思うのよ」

真姫「にこちゃん老人みたい」

にこ「どういう意味よ!」

真姫「別に」

にこ「キー!真姫はまだまだ子供だからそんなこと言えるのよ!」

真姫「どういう意味よ!」

にこ「真姫に聞いたのが間違いだったわ」

真姫「フン、誰に聞いても同じだと思うけど!」

にこ真姫「ねえ絵里、1年って早い(遅い)わよね!?」

絵里「うーん……」

絵里「私はにこの言う通り早かったって思うわ」

にこ「ほらね!」

真姫「何よ絵里まで……」

絵里「でもね、真姫の気持ちも分かる」

絵里「考えてもみて? 真姫にとっての1年は、高校生活1年間のうちの1年」

絵里「にこや私にとっての1年は、高校生活3年間のうちの1年。割合で考えると、ね」

にこ「あんたとは“ネンキ”が違うのよ!」

真姫「何よ、所詮3分の1でしかなかったって言いたいわけ?」

絵里「違うわ、真姫」

絵里「早く過ぎたと感じても、ゆっくり時が流れてたって感じても……」

絵里「μ’sのみんなと過ごした1年間は、同じ思いでで共有してる、みんなの1年間なのよ」

にこ「そういうこと、別にこの1年間が大切じゃないって言ってるわけじゃないの」

真姫「ごめんなさい、なんだか、軽んじられた気がして」

にこ「……」

真姫「……」

絵里「……」

にこ真姫「どうすんのよこの空気」

絵里「えぇ……」

真姫「『三本の矢』ってあるじゃない?あれ、戦をするような大の男が折れないはずないわよね」

にこ「あんた、情緒の欠片もないわね……」

真姫「むしろ、大の男がその後を継ぐ息子達にあんな話をして、心を打たれるのもどうなのよ」

にこ「だから、そういう問題じゃないの!」

真姫「もっと何か言い方があってと思うけど」

にこ「現実的じゃないかもしれないけど、何か良い話っぽいじゃない」

真姫「『っぽい』でしょ?私だったら兄弟の中で一人だけしらけてそう」

にこ「そんなに趣の心が無いのはアンタだけよ、よくそれで作曲なんてできるわね」

真姫「作曲とこれは関係ないでしょ!」

にこ「大アリよ!情緒豊かな方が良い曲が書けるに決まってるじゃない!」

真姫「何よ、じゃあにこちゃんは私より作曲センスがあるって言いたいわけ!?」

にこ「そうじゃなくて!私は別として、アンタに趣を感じる心が無いって言ってんの!」

真姫「あるわよそのくらい!作曲だって、誰にも負けないんだから!」

にこ真姫「ねえ絵里、真姫(私)って情緒乏しい(豊か)よね!?」

絵里「うーん……」

絵里「まず前提として、真姫は情緒豊かだと思うわ」

真姫「ほら!」

絵里「私達の歌う曲を書いている真姫が乏しいはずないわ」

にこ「む、それはまあそうだけど……」

絵里「だけどにこの言いたいことも分かるわ」

絵里「『三本の矢』の逸話で毛利元就が伝えたかったことは、協力の大切さよね」

絵里「にこはきっと、誰よりもそれを分かっているから素直に受け取り、心に留められたんじゃないかしら」

にこ「そういうことよ、分かる!?」

真姫「何よ……」

絵里「だからと言って、そう感じられなかった真姫が協力の大切さを分かっていないわけではないと思うわ」

絵里「真姫は年下だけどいつも冷静に物事を見極められる」

絵里「言葉の受け取り方は人それぞれ、にこも真姫も、とっても素敵な心の持ち主だと思うわ」

にこ「まあ、真姫の書く曲、私好きだし……」

真姫「あ、ありがと……」

にこ「……」

真姫「……」

にこ「どうすんのよこの空気」

絵里「えぇ……」

にこ「マックのポテトMってさ、微妙に足りないわよね」

真姫「えっ、逆でしょ」

にこ「逆?」

真姫「微妙に多いじゃない」

にこ「えー!あれで多い!?」

真姫「食べてると飽きちゃうのよね」

にこ「飽きないでしょ!止まらないんだけど!」

真姫「にこちゃん食いしん坊」

にこ「真姫が小食すぎなのよ」

真姫「太って衣装入らなくなっても知らないんだから」

にこ「太らない!アンタこそ、小食ぶって後々お腹減って夜食でも食べちゃうんじゃない?」

真姫「ぶってないわよ!ホントにMサイズだと多いのよ!」

にこ「はいはい、スタイル良い真姫ちゃんは必要以上に気をつけなきゃだもんねー、にこや凛みたいなちびと違って!」

真姫「何よその言い方!別にスタイル良いからってそこまで言われなきゃいけないこと!?」

にこ「うっわ!スタイル良いのは否定しないんだ!かぁー、さすがですこと!」

真姫「ひどい!ていうか、そっちこそ食い意地張ってみっともないんじゃない!」

にこ「んなことないわよ!いっぱい食べる方が自然体で魅力的って意見もあるし!」

にこ真姫「ねえ絵里、ポテトMサイズって微妙に足りない(多い)わよね!?」

絵里「うーん……」

絵里「それって、わざわざ喧嘩することかしら?」

にこ「だって真姫が食いしん坊とか言ってくるから!」

真姫「事実じゃない」

絵里「私はね、二人の話を聞いてて思ったんだけど」

絵里「ラッキーだな、って、そう思ったわ」

にこ「ラッキー?」

真姫「何がよ」

絵里「にこはMサイズじゃ足りないのよね?」

にこ「ええ、でもLサイズを頼むほどではないのよね」

絵里「真姫はちょっと多いって感じちゃう」

真姫「うん、だけどSサイズだとさすがに足りない」

絵里「じゃあ二人で一緒に行って来たら?」

絵里「二人で行って、二人でポテトMサイズを頼んで、真姫はにこに少し分けてあげれば丁度良い」

絵里「誰しも凹凸があるものなの、パズルのピースみたいにね」

絵里「でこぼこがぶつかり合っちゃって、上手く隣に置けない時もある」

絵里「だけど、少し向きを変えて、考え方を変えてみれば実はピッタリな相性かもしれないの」

絵里「にこと真姫みたいにね」

にこ「そっか、ねえ真姫、この後一緒に行く?」

真姫「そうね、折角だし」

にこ「先輩だからって奢ったりはしないからね」

真姫「別に、そこまで卑しくないから」

にこ「どういう意味よ!」

真姫「自分の分くらい払えるって言ってるの!」

 バタン

絵里「……」

絵里「どうしよ、一人だ」

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