【ガルパン】桃「会長から隊員の面接を命じられた」 (31)

・ガルパンの短編SS。
・インパルスのコント作品のオマージュです。
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桃「さて、戦車道の履修を募ってから1週間がたった」

桃「単位やら食券やら、色々と飴を付けたせいで、有象無象の輩共から沢山の履修届が来てしまった」

桃「確かに人数を揃える事も重要だが、生半可な気持ちの人間ばかりが集まっても、戦車道大会は勝てないからな」

桃「ということで、会長から『隊長』として指名された私が、面接を行うことになったのだ」

コンコン

桃「お、早速一人目か。入ってくれ」

華「失礼いたします」

華「2年生の五十鈴 華です」

桃「五十鈴さんね…」

桃「昔戦車道とかの経験はあるのかな?」

華「いえ、全く…。というより、スポーツや武道全般未経験でして」

桃「なるほどね」

桃「言っては悪いんだが、我々が目指しているのは戦車道全国大会優勝だ」

桃「初参戦で何を言っているんだ、と思うかもしれないが我々も本気で目指している」

桃「履修後は休日も厭わない厳しい練習の毎日が待っている」

桃「はっきり言って、今入っている部活や趣味は、優勝する迄今後一切できなくなると思ってくれ」

華「はい、分かっています」

華「私、高校生活の全てを戦車道にかけるつもりでやってきました!」

桃「成程…、良い目をしている」

桃「じゃあ、事前に書いてもらった履歴書を見ていくぞ」

桃「何々…、茨木県立中学校を卒業後、大洗女子学園に入学。うん、普通だな」

華「す、すみません…」

桃「ふむふむ…、また趣味の華道では、五十鈴流次期当主として千人の弟子を持つ他、作品は昨年度のG8サミットで展示された…、サミット!!?」

華「はい、サミットです」

桃「何だサミットって… あ! そういえば見たことある!」

桃「華道五十鈴流次期当主でその作品は国内のみならず海外でも評価が高く、今最も注目を浴びている女子高生、五十鈴華!」

桃「先月の情熱大陸で見たよ君!」

華「存じ上げて頂き光栄です」

桃「おいおいおいこんな所で何してんの! 何で戦車道なんて履修しようと思ったの!」

華「あの、はい。先日G8サミットのお花を作ってからなんですが、皇居の玄関に飾るお花を活けることになったんです」

華「そこで、出来上がった作品を皇居へお届けに上がった際にですね、丁度陛下がいらっしゃいまして、お花をとても褒めて頂いたんです」

華「それで、その時に思ったんです」

桃「何を?」

華「何か違うなって」

桃「違くない!!!」

桃「全然違くないよそれ!! むしろ華道家として最高の栄誉なんじゃないの!? 何で違うなって思っちゃうの!?」

桃「いいから華道の道へ戻るんだ! 君を必要としてくれる人は大勢いるんだから!」

華「でも私どうしても戦車道がしたいんです!」

桃「戦車道なんてどうでもいいよ! どうせ一回戦で負けるに決まってるんだから!」

桃「むしろ何かの拍子に君を怪我でもさせたら、学園艦どころか私の処遇がどうにかなりそうだよ!」

桃「悪いことは言わない、今すぐ戻るんだ!」

華「いえ、私はもう華道に戻るつもりはありません」

華「それに、戦車道の前では私もただの未経験者ですから」

桃「……そうだよ、その通りだ」

桃「華道の経験なんて戦車道にとって何のメリットにもならないからな」

桃「いいだろう、戦車道の履修を許可しよう」

華「ありがとうございます! 私一生懸命頑張ります!」

桃「うむ、じゃあ次の人呼んできて」

コンコン

桃「どうぞ」

優花里「失礼いたします」

優花里「2年生の秋山優花里であります」

桃「うん、よろしく」

優花里「よろしくお願いするであります!」

桃(お、今度は普通そうな娘だな)

桃「…失礼だけど、君何かテレビとかの出演経験はある?」

優花里「え? いえ、ありませんが…」

桃「天皇陛下に会ったことは?」

優花里「いえ、それも全く」

桃「成程、うん君とは気持ちよく面接が出来そうだ」

優花里「よく分かりませんが、光栄であります」

桃「じゃあ履歴書を拝見させてもらう」

桃「何々、何だ君は学園艦育ちなのか」

優花里「はい! 学園艦の事なら何でも知っているであります!」

桃「ふふ、君ならきっと我々の思いを理解して頑張ってくれそうだな」

桃「えぇと…学園艦内の小学校を卒業し、中学校へ入学するも2年生の時に発生したイラク戦争へ家族共に傭兵として出兵。サダムフセインの拘束を目的とした「赤い夜明け作戦」にも従事… イラク戦争!!?」

優花里「はい、イラク戦争であります」

桃「何で学園艦の中学生がイラク戦争なんかに従事してるの!?」

優花里「両親が床屋兼傭兵でして」

桃「意味が分からない組み合わせだよ! ARMSの高槻一家か君の家は!」

桃「しかし何で傭兵が戦車道なんか… あ! やっぱり兵器的なものの操縦を学ぶためか!?」

優花里「いえ、確かに戦場で戦車に乗ることはありますが、第二次世界大戦の戦車なんかは流石に乗りませんよ」

桃「じゃあどうして!?」

優花里「はい、あれはフセインを拘束後残党狩りを行っていた時の事なんですが」

優花里「同僚のミスで敵側に此方が襲撃を掛ける事がバレてしまいまして、残党が近くの小学校に生徒を人質に立てこもってしまったんです」

優花里「ヤケになった彼らを放っておいたらどうなるかは長年の経験から明白でしたので、少数精鋭で小学校へ忍び込み、ナイフと拳銃で残党共を殲滅しまして」

優花里「恐怖から解放されて泣き叫びながら我々に『ありがとう』と言う小学生たちを見て思ったんです」

桃「何を?」

優花里「何か違うなって」

桃「違くない!!!!」

桃「まったく違くないよそれ!! 寧ろ英雄でしょ!! 正規兵なら勲章貰えるレベルだよ!」

桃「今も君のような英雄を、中東の紛争地域の子供は待っているんじゃないのかな!? 何で戦車道なんかに入ろうと思ったの!!」

優花里「実は戦車道全国大会で優勝しないと、学園艦が廃艦になると伺いまして…」

桃「いいんだよ学園艦なんて廃艦になっても!」

桃「どうせボロっちい学園艦なんだから! この際スクラップにした方が良いの! 国の税金無駄遣いさせてまで残す価値なんてないの! 思い出とかどうでもいいの!」

桃「悪いことは言わない、君を待っている大勢の子供たちの元に戻るんだ!」

優花里「いえ、それはもうアメリカ軍の優秀な兵士に任せてきていますので」

優花里「それに、傭兵時代の経験なんて、武道である戦車道の前では全く意味を成しませんから」


桃「……そうだよ、その通りだ」

桃「傭兵時代の経験なんて何の意味もない、寧ろ固定観念の無い我々の方が優れているくらいだ」

桃「調子に乗るんじゃないぞ」

優花里「すみません」

桃「まぁいいだろう。合格だ」

優花里「ありがごうとうございます! 私一生懸命がんばるであります!」

桃「よし、じゃあ次の人呼んできてくれ」


コンコン

桃「どうぞ」

ナカジマ「失礼します」

桃「って何だ、ナカジマじゃないか」

ナカジマ「そういう面接官も河嶋じゃないか」

桃「いやいや良かった、何だか急にホっとしたよ」

桃「さっきからとんでもない人材ばかりでな」

桃「見知った顔が出てきて安心したよ」

ナカジマ「そいつはどうも」

桃「ナカジマは自動車部だったな」

桃「ちょうど戦車をメンテナンスして貰える人材を探していたんだよ、ナカジマが入ってくれるのならありがたい」


桃「そういえば履歴書も書いてくれたのか。まぁ一応目を通させてもらおう」

桃「県立中学校時代から自動車部に所属し、大洗女学園でも自動車部を立上げ部長を務める。そうそう、私はこういう履歴書が読みたかったんだ」

桃「それで…、自動車部での主な戦歴はルマン24時間耐久レース優勝、モナコGP優勝… ルマン!!?」

ナカジマ「そうだよ」

桃「女子高生がルマンとモナコで優勝って意味が分からないよ! そもそも学園艦の自動車部が何でそんなものに出場できるんだよ!」

ナカジマ「あ、もちろん学園艦自動車部というよりフェラーリのチームに所属して出場したんだけどね」

桃「そういう細かい話はどうでもいいよ!」

桃「いつの間に何やってんの君! ていうかそんな人間が何で戦車道なんてやろうと思ってるの!」


ナカジマ「あぁ。あれはモナコGPで優勝した時のことだよ」

ナカジマ「コースレコードを3秒弱も縮めてゴールした時の事さ。チームのみんなが駆け寄ってきて、『いま世界で一番速いのはお前だ』なんて言われてもみくちゃにされてさ」

ナカジマ「表彰台の一番上に登って、カメラのフラッシュを浴びていた時に思ったんだ」

桃「な、何を?」

ナカジマ「何か違うなって」

桃「違くない!! 全っ然違くないからねそれ!」

桃「悪いことは言わない! 早くF1の世界へ戻るんだ! ナカジマのドライビングを熱望している人が世界には大勢いるんだぞ!」

ナカジマ「でも戦車道で優勝しないと学園艦が…」

桃「学園艦なんてどうでもいいんだよ!」

桃「こんな前世紀の遺物なんてスクラップにして溶かして君の乗るマシンの材料にでもなった方がまだ有益だよ!」

ナカジマ「いや、もう音速の世界に戻るつもりはないから」

ナカジマ「それに、F1マシンのドライビングテクニックなんて、戦車を操るのに全く役に立たないしね」

桃「……そうだぞ、その通りだ」

桃「世界で一番速くても、戦車道が強いか弱いかは関係ないんだからな」

桃「だがまぁ合格だ」

ナカジマ「ありがとう河嶋! じゃぁ次の人呼んでくるね」


コンコン

桃「どうぞ」

みほ「失礼します!!」

桃「ああああああああ!!! お前は知っているぞ西住みほ!!」

みほ「え、えぇ!?」

桃「黒森峰で昨年の副隊長を務め、プラウダの待ち伏せを受けながらもとっさの機転で見事返り討ちにして10年連続優勝を飾り、高校選抜世界大会では姉の西住まほと一緒に出場して見事優勝! 今戦車道会で最も注目が高いと言われているお前が何故大洗なんかにいる!」

みほ「えと、それは・・・」

桃「もういい! 絶対に違くないから!!! 帰れ! 黒森峰に帰るんだ!」


みほ「でも私、ここで戦車道がやりたいんです!! 隊長、おねがいします!」

桃「嫌だ! さっきから何なんだ君たちは! 普通の女子高生はここにはいないのか!」

みほ「お願いします! 土下座でも何でもします!」ドゲザー

桃「うわちょっと何してるの西住さん、辞めて! うわもう何か分からないけどこの姿誰かに見られたら殺されそうな気がする」

みほ「お願いします! お願いします!」

桃「あぁもう分かった君合格! 西住さん合格!」

みほ「ありがとうございます!」

桃「でも代わりに私が辞める!」

桃「やってられるか!」

みほ「か、川嶋隊長ーーーーー!!」


----------------END


丸山ちゃんも見たかった

>>20

桃「はいじゃあ次の方」

紗希「…」

桃「えぇと…丸山紗希さんだよね?」

紗希「…」コク

桃「1年生か? あまり見かけない顔だが…」

紗希「…」コクコク

桃「一応戦車道を履修希望でいいんだよな?」

紗希「…」コク

桃(さっきから頷いてはいるが、全然喋らない子だな)

桃(短期間で強くなる為にはコミュニケ―ションを密にしなければならない)

桃(残念だがこの娘は落とさせてもらうか)


桃「じゃぁ履歴書を読ませてもらうぞ」

桃「何々…、茨城県立中学を卒業後、大洗女学園に入学」

桃「現在は一人暮らし、部活動には未加入」

桃(この普通な履歴書… 私はこういうものが読みたかったのだ)

桃「成程、いたって普通だな。特技だって『超能力』だし… って超能力!!?」

紗希(そう、超能力)

桃「うわビックリした! なんか脳内に直接話しかけてくる的なことしたよね今!?」


桃「じゃぁ履歴書を読ませてもらうぞ」

桃「何々…、茨城県立中学を卒業後、大洗女学園に入学」

桃「現在は一人暮らし、部活動には未加入」

桃(この普通な履歴書… 私はこういうものが読みたかったのだ)

桃「成程、いたって普通だな。特技だって『超能力』だし… って超能力!!?」

紗希(そう、超能力)

桃「うわビックリした! なんか脳内に直接話しかけてくる的なことしたよね今!?」


紗希(テレキネシス、サイコキネシス、未来予知等、一通りの超能力は使えます)

桃「え、ナチュラルに脳内に響いてくるんだけど本物なの!?」

紗希(本物)

桃「凄い… 遂に超能力者まで来ちゃったよ」

桃「だが何故超能力者が戦車道なんかをやりたいんだ!」

桃「そんな事しなくても超能力者なら何だって出来るだろ!」

紗希(そう、あれは私が『組織』に属していた時の事)

桃「そ、組織???」

紗希(敵対する悪の組織は、何も知らない超能力者を使って世界を牛耳ろうとしていたの)

紗希(でも私たち『組織』はそれを許さなかった。捕えられてた仲間を救出して、遂に私たちは悪の組織の親玉と対峙したの)

紗希(数多くの犠牲を出しながら親玉を倒したんだけど、実は親玉だと思ってたのは本当は奴らの組織の一部に過ぎなかった)

紗希(解放した仲間たちと、真の平和を目指して悪の組織の撲滅を誓ったときに、こう思ったの)

桃「な、なんて?」

紗希(何か違うなって)


桃「違くない!!! 絶対に違くない!!!」

桃「何で中途半端な処で終わろうとしちゃうの!!? ジャンプの打ち切り漫画なの!? まだまだ俺たちの戦いはこれからだなの!?」

桃「ていうか悪の組織そのままにしたら、私たち危ないんじゃないの?」

紗希(分かんない)

桃「随分投げやりだなおい」

紗希(でも優勝しないと学園艦が…)

桃「悪の組織放っておいたら学園艦どころじゃないでしょ!」

桃「いいからその『組織』って奴に戻るんだ! お願いだから頑張って悪の組織倒してよ!」


紗希(いえ、私はもうあそこに戻るつもりはありません)

紗希(それに、超能力が使えても戦車道には何の役にも立ちませんから)

桃「……そうだよ、その通りだ」

桃「戦車は超能力で動くんじゃない、機械の力で動くんだ」

桃「文明の力を甘く見ちゃいけないぞ?」

紗希(すみません)

桃「よし、まぁ履修は許可しよう」

紗希(はい、ありがとうございます)

桃「じゃあ、次呼んできて」

紗希(はい!)



桃「…」

桃「何だか戦車道で優勝するより、文部省にカチコミに行った方が良い気がしてきたなぁ」


-----丸山編 END

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