エレン「こうやって手を…」リヴァイ班「ほう」ガリッ(128)




―――カッ



エルヴィン「何? 旧調査兵団本部が使えなくなった?」

リヴァイ「ああ…」

エルヴィン「一体何があったリヴァイ。懸念していたエレンの暴走か…?」

リヴァイ「いいや、エレンはおとなしくしていたんだ」

エルヴィン「じゃあ何があった」

リヴァイ「…俺の班員たちが巨人化してしまった」

エルヴィン「……私をからかっているのか、リヴァイ」

リヴァイ「俺もこんなふざけた報告はしたくない」

エルヴィン「……」

リヴァイ「……」

エルヴィン「君の班員たちは?」

リヴァイ「とりあえず今は制御が効くようだったから、旧調査兵団本部で雑魚寝させている」

エルヴィン「シュールだな」

エルヴィン「すぐにハンジを向かわせよう」

ハンジ「」シュタッ

リヴァイ「……どう見る、エルヴィン」

エルヴィン「……もしかしたら私たちも巨人化できる可能性があるのでは、というくらいか」

リヴァイ「もしそうならとんでもねえ事だが…」

エルヴィン「…良かったな、リヴァイ」ポン

リヴァイ「何がだ…」



~旧調査兵団本部~

ハンジ「うおっほぉぉぉぉぉぉぉ!! 巨人が四体も仲良くお昼寝してるよぉぉぉおおお!!」

モブリット「ハンジ分隊長! 馬を使ってください! 何で四つん這いで馬に並走できるんですか!」

ハンジ「すごい…リヴァイの話は本当だったんだあ…」ウットリ

エレン「ハンジさん! 来てくれたんですね!」

ハンジ「来るに決まってるじゃあないか! で、誰が誰なの?」

エレン「えーっと、この10m級がオルオさんです」

オルオ巨人「…」グデーン

ハンジ「命名・刈り上げの巨人!」

エレン「えーっと、この14m級がペトラさんです」

ペトラ巨人「…」

ハンジ「オルオといいペトラといい特徴が残るものなんだねぇ。髪の色とか」

ハンジ「命名・放尿の巨人」

ペトラ巨人「キィヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!///」ガバッ

ハンジ「ごめんごめん怒らないでペトラ! 茶髪の巨人でいいよ茶髪の巨人で!」

エレン(なんで放尿なんだろ…)

エレン「それでこの15m級が…多分グンタさんです」

グンタ巨人「…」ゴロン

ハンジ「これは興味深い…頭部だけ皮膚が高質化して栗のような形を作っている…」

ハンジ「よくこれがグンタだとわかったね、エレン」

エレン「残り一体が金髪ですし、まぁその…」

ハンジ「うんわかるよ。命名するなら栗の巨人一択だね」

エレン「それでこの金髪の15m級がエルドさんです」

ハンジ「あんま特徴ないしいいよ、金髪の巨人で」

金髪の巨人「…」シュン

ハンジ「それで本題に入るけど、どうしてこうなったの?」

エレン「エルドさんが巨人になるというのはどういうことかと聞くので、成り方を答えたたら何故かみんな一斉にガブリと」

ハンジ「それでドカーン?」

エレン「はい」

ハンジ「なんだよそれ…私は分析する側なのに…無性に自分を噛みたくなってしまったじゃないか…」ウズウズ

エレン「これ以上は勘弁してください…ハンジさんがいなくなったら打つ手がなくなります」

ハンジ「そっかぁ…そうだよなぁ…ちぇ…。うん、色々気にはなるんだけど…見てごらんエレン」

エレン「?」

ハンジ「従来の巨人は基本的に男性の姿をしていた。時折女性のような顔立ちのものも散見されたけど、体格については男性的と言わざるを得ない」

ハンジ「もっとも、生殖器官はないけどね。オルオとグンタとエルドを見てもないだろう」

エレン「ですね」ジーッ

男巨人「…///」

ハンジ「そしてペトラ巨人を見てみると、見てくれ、胸がちゃんと膨らんでるだろう」

エレン「あー、確かに」ジーッ

茶髪の巨人「…///」カクシッ

ハンジ「あ、恥ずかしがることないよペトラ。君の体じゃないんだから」

エレン「確かに、中の人の性別によって外側の容姿が決まっているようにも思えます」

ハンジ「だろ? …ちょっと興味があるから質感を確かめに行こうか、エレン」

エレン「質感?」

ハンジ「通常巨人の皮膚は簡単には裂けない強固なものだ。オルオの足の裏を触ってごらん」

エレン「…前々から思ってましたけど変ですね、斬撃には弱いけど押す力には弱いのかな。わずかに弾力のようなものがある。ミカサの腹筋といい勝負だ」

ハンジ「…それは知らないけど、通常の皮膚がこんな感じ。そこでペトラの話に戻るけど」

ハンジ「エレンも知ってるように、女性の胸というものは大変柔らかい。じゃあ、女性型巨人の乳房はどんな感じだと思う?」

茶髪の巨人「」ビクッ

エレン「その説でいくと、柔らかそうではありますが…」

ハンジ「でもそうとも限らない。巨人の場合は逆に硬いかもしれない。というわけで」

ハンジ「ペトラー、いいよね?」

茶髪の巨人「…!///」イヤイヤ

エレン「嫌がってるみたいですけど」

ハンジ「ペトラ! 君は自分の体ですらないものを触られるのがそんなに嫌か!!」

ハンジ「君は人類に心臓を捧げた兵士だろう! なら人類の前進のために乳房を捧げろ!!」

ハンジ「君のじゃないぞ! 巨人体のだ! 何も恥ずかしがることはない!」

エレン「か、かっこいいなぁ…!」

茶髪の巨人「…!……、…。………っ!!……!!」

茶髪の巨人「…///」コクッ

ハンジ「おっし!」

エレン「変だな…巨人がなんか可愛く見えたぞ…ほとんどペトラさんの顔だからかな…」

ハンジ「さあエレン! 登ろう登ろう!」

エレン「は、はい」



ハンジ「おおー」

エレン「はぇ~、すっごい大きい…」

ハンジ「私の身長ぐらい高さがあるよ。ペトラ結構巨乳なんじゃないの?」

茶髪の巨人「!?///」

ハンジ「人間との相違点は乳頭の有無ってとこかな…」ムニッ

ハンジ「んー、さすがに人間ほどではないけど、皮膚に比べてかなり柔らかいな」

茶髪の巨人「…///」

エレン「…」ジーッ

ハンジ「ん、どうしたのエレン。エレンも触る?」プニプニ

エレン「いえ…ちょっと気になることがありまして」

ハンジ「なになに?」

エレン(確か前にアルミンが寝言で…)

アルミン『うぇへへへへ、巨人クリスタの胸の谷間にダーイブ!!』

アルミン『わっほぉぉい! 挟まっちゃったよぉぉうひひひひひ』

エレン(…ってすごい幸せそうにしてたっけな…)

ハンジ「ねえエレン、気になることって何なの? 教えてよ」

エレン「いえ…ちょっと…」テクテク ピョーン

ボムンッ バウンッ スポッ

茶髪の巨人「!!!?!!?///」

ハンジ「な、なに谷間に挟まってんのエレン!?」

エレン「いえ…興味があったので…はい。ああ、これいいな。すげえ安心する」

茶髪の巨人「…///…///」アワアワ

ごめん…俺の夢なんだ…つき合わせてホントごめん…

ハンジ「へぇー…気持ちいいの?」

エレン「そうですね…何と言うか、幼い頃母に抱かれていた時を思い出すというか…」

ハンジ「そうか、エレンは五年前に…」

茶髪の巨人「…!」

エレン「あ、いや、そういう辛気臭い話をしたかったわけでは…ん?」ナデナデ

茶髪の巨人「…」ナデナデ

ハンジ「ペトラ…器用だな、指先でエレンの頭を撫でるなんて」

茶髪の巨人「…」ドヤッ

エレン「すみませんペトラさん、すぐに出ますから…」

茶髪の巨人「…」フルフル

エレン「え?」

茶髪の巨人「…」グイグイ

エレン「わっ、ちょ、押さないでくださいよ肉におぼれる!」

ハンジ「もう少しそうしてていいみたいだよエレン。甘えておいた方がいいよ」

茶髪の巨人「…」コクリ

エレン「ありがとうございます…へへっ」ブニブニ

ハンジ「さてと、とりあえずこのまま並べて置くわけにはいかないしな…エレンみたいに人間に戻れればいいんだけど」

エレン「すみません…はっきり巨人化し終えた時は記憶が曖昧で…」ブニブニ

ハンジ「いや、大丈夫だよ。証言はとってあるしね。とりあえずうなじ周りの肉の広範囲を削いで、中身が露出した状態を作るべきかな」

ハンジ「他に方法もないし。先にオルオの方をやろうか」

刈り上げの巨人「…」ゴロン

ハンジ「よーしいい子だオルオ。今出してあげるね」シャキン

エレン(なんかこのまま寝そうだな…枕にしたい素材だこれ」ムニムニ

茶髪の巨人(少しは躊躇してよ…割とダイレクトに触覚働いてるんだから…んっ///)

リヴァイ「オイエレン…何してる?」

エレン「ふぁっ!? リヴァイ兵長っ!? わ、くそ弾力に挟まれて出られねえ…」

エルヴィン「なるほど…本当に班員たちが巨人化しているのか。となるとエレンが挟まっているその巨人はペトラかな?」

エレン「は、はい! 左から順番にオルオさんペトラさんグンタさんエルドさんです!」

リヴァイ(…代われよ)

エルヴィン(…小人になって谷間に挟まる夢は何度も見てきたが、逆転の発想だな…)

エルヴィン「あー、ゴホン。ペトラ、グンタ、エルド。私の声が聞こえるか?」

茶髪の巨人「…」コクッ

栗の巨人「…」コクッ

金髪の巨人「…」コクッ

エルヴィン「こちらの言語も認識できるようだな…眼球の動きといい、乗り物のようなものかと考えたこともあったがどうやら違うらしい」

リヴァイ「…噛んでみるか?」ソワソワ

エルヴィン「そんなに巨人化したいかリヴァイ」

リヴァイ「…イヤ、別にそれほどでは」

ハンジ「よーし摘出終了!」

オルオ「あ…お、俺の体だ! 忌々しい巨人の体じゃなく俺の体だ!」

エルヴィン「ハンジ、他の者の摘出も行ってくれ。ペトラは最後だ」

茶髪の巨人「?」

ハンジ「どうして?」

エルヴィン「いや…なあ?」

リヴァイ「ああ」

ハンジ「よくわからないけど了解したよ。よーし次はエルドだ。グンタは興味深いから時間かけたいしね」

リヴァイ「どうやら元に戻る方法はあるみてえだな」

エルヴィン「やるんだな? リヴァイ」

リヴァイ「ああ…駄目もとでやってみる」ワクワク

リヴァイ「ふッ!」ガリッ

――――カッ

3m級巨人「…」シュゥゥゥ

エルヴィン「ブッフォwwww」

3m級巨人(何がおかしいエルヴィン…)

エルヴィン「まったく期待を裏切らない男だな君は」

3m級巨人(…てめぇ、何が言いたい…!)グルルルル…

エルヴィン「まあそう怒るなリヴァイ。私も噛んでみよう」ハッハッハ

3m級巨人(コイツの面には腹が立つが…コイツを見下ろす気分は悪くねえ…)

エルヴィン「手の甲を…だったかな?」ガリッ

―――カッ

40m級巨人「…」シュゥゥゥゥ

3m級巨人「」

エレン「エルヴィン団長、すげえサイズだな…!」

ハンジ「一部皮膚が足りてないよ…でもなんか頭が眩しいな…」

40m級巨人「!?」サッ

ハンジ「あっ…(察し)」

3m級巨人「グゥフフフフwwwww」ニタニタ

エレン「さしずめ光の巨人ですかね?」

グンタ「40m級だしな」

光の巨人(頭が光っているだと…? まさか、巨人体は内部の人間の特徴を反映するというのか!)

光の巨人(言われてみれば、リヴァイ班の班員も髪の色や体型に共通点が見られる…)

光の巨人(何ということだ…これでは、私のコンプレックスが露呈してしまうではないか…!)

3m級巨人(潔く自分の状態を認めねえからそうなるんだ…俺のように隠しようがない方が長い目で見れば損をしない)

光の巨人(リヴァイめ…私の足元で何をニヤついている…! 蹴っ飛ばしてやろうか…!)

光の巨人(だが待て…これで人類全体が巨人化できる可能性が浮上したわけだ…ということは…)

光の巨人(仮にその通りならば…推測される『内通者』についても…)

3m級巨人(…エルヴィン?)

~新兵勧誘式~

エルヴィン「私は調査兵団団長エルヴィン・スミス。調査兵団の活動方針を王に託された立場にある」

ネス「…なあペトラ、エルヴィン団長の髪の色は金髪じゃなかったか? 茶髪になっているように見えるんだが」ヒソヒソ

ペトラ「きっと染めたんですよ。気分転換か何かで」ヒソヒソ

ペトラ(巨人体から摘出したらカツラを取り込まれて禿げ頭でで出てきたとか言えない…)

ネス「そうか…(仲間だと思ったのにな…)」

エルヴィン「――すでに巨人の恐怖も、己の限界も知ってしまったことだろう」

ミケ「…ハア」

ペトラ「分隊長? 何かあったんですか? ため息なんかついて」

ミケ「俺も巨人化させられてな…自分の巨人体に嫌気がさしただけだ」

ペトラ「はあ…でも巨人化後の姿なんて気にすることないですよ。グンタなんか…」

ミケ「四足歩行で尻尾のある巨人など誰が予想する…」

ペトラ(四足…あっ)

ミケ「…」

エルヴィン「――自分に聞いてみてくれ。人類の為に心臓を捧げることができるのかを」

ザワザワ

エルヴィン「私からは以上だ…諸君、持参するよう頼んだものは持ってきているかな?」

ペトラ「あれ、持ち物なんて指定しましたっけ?」

ネス「俺は初耳だが…ん、新兵たちが何か取り出したぞ。あれは…」

ペトラ「ナイフ…?」

エルヴィン「これより、希望する各兵団に対する血判状を作成する。自身の親指の腹を1㎝ほど切りたまえ」

ベルトルト「えっ…」

ライナー「血判状だと…?」

ミケ(なるほど…)

ペトラ「私の時はあんな制度なかったはずなんだけどな…」

アルミン(エルヴィン団長…彼は一体、何を見ようとしているんだ…)ピッ ドクドク

―――カッ

10m級巨人「…」シュゥゥゥウ

ミカサ「…!?」

ライナー(アルミンが巨人化した…? どういうことだ! 巨人化能力を持つのは俺たちだけのはず…)

―――カッ

「ダズも巨人になったぞ!?」

20m級巨人「…」シュゥゥゥゥ

「ぎゃあああ!!」

「巨人だ! 巨人が…」

エルヴィン「落ち着け! この巨人たちは敵ではない! 君たちの仲間が姿を変えただけだ!」

ジャン「一体どういう理屈なんですか!」

エルヴィン「それは後々説明する! それより指の腹を切れ! 私を信じろ!」

ミカサ「…」ピッ ドクドク

―――カッ

15m級巨人「…」シュゥゥゥウ

10m級巨人(ミカサまで…なんだ、どうなってるんだこれ!? エルヴィン団長はどうしてこんなことを…」

クリスタ「ユ、ユミル…切ってよ…」

ユミル「自分でやらなきゃ意味がねえぞ」ピッ ドクドク

―――カッ

3m級巨人「…」シュゥゥゥ

クリスタ「ユミルまで…」

アニ「ライナー…どうする?」

ライナー「…お前はやっても問題ないだろうが…俺たちはな…」

ベルトルト「ど、どうしよう…これだけの人数が巨人化できてるんだ…切っても切らなくても僕らは…」

ライナー「…よもやこんな手を使ってくるとは思わなかった…どうやって真相に辿り着いたんだ、団長は…」

アニ「結局どうするのさ」

ライナー「…どの道退路は断たれている。俺たちは壁の外へ一時的に逃げよう。お前はこのまま憲兵団に行け」

ベルトルト「…っ」

アニ「わかった…」ピッ ドクドク

―――カッ

女型の巨人「…」シュゥゥゥゥ

ライナー「いくぞベルトルト。巨人たちの間を縫ってここを抜ける。壁の外に出てしまえばそう簡単には追ってこれない」

ベルトルト「う、うん…」チラ

女型の巨人「…」

ベルトルト「…」ダッ

巨人達「…」ザワザワ

エルヴィン(これで全員か…? いや――!)

――カッ

鎧の巨人「…」ドシンドシンドシンドシン

エルヴィン「やはり紛れ込んでいたか…肩にいるのは超大型巨人か?」

ミケ「エルヴィン! すぐに奴を追う精鋭を…」

エルヴィン「いいや、既に手は打ってある。我々は遅れて到着する程度で十分だ。ハンジ、ここは任せた」

ハンジ「了解」

ハンジ「さーてと、おとなしい巨人がいっぱいで鼻血が出そうなのはさておいて」

ハンジ「無数の肌色に混ざるピンクの君…気になるね。まるで超大型や鎧の巨人のようなその姿」

女型の巨人「…」



ベルトルト「くそっ…こんなことなら早く言っておくべきだった…」

鎧の巨人(あれほど背中を押してやっていたのに…)ドシンドシンドシンドシン

ベルトルト「ごめん…僕がもっと意志が強かったら…ん? あれは何だ?」

鎧の巨人(…まさか)ドシンドシンドシンドシン

エレン巨人「ウオオオオオオオオオオ!!」ドシンドシンドシンドシン

刈り上げの巨人「…!」ドシンドシンドシンドシン

金髪の巨人「…」ドシンドシンドシンドシン

栗の巨人「!」ドシンドシンドシンドシン

ベルトルト「待ち伏せ!?」

鎧の巨人(くそっ…さすがに4対1では分が悪い…!)

鎧の巨人(ベルトルトを放り投げてボディプレスでもさせるか…いや、躱されたらベルトルトはもう起き上がれない!)

鎧の巨人(相手が巨人では蒸気も意味がない…うなじをやられて終わりだ)

ベルトルト「ライナー! 僕は…」

鎧の巨人(心配するな、お前は俺が守りきる。口の中に入っておけ)クパァ

ベルトルト「ああ!」ピョーン

エレン巨人「ウオオオオオオオオオオ!!」ブンッ

鎧の巨人(何年この力を使い続けてきたと思っている!)サッ

刈り上げの巨人「キシャアアアアアアア!!」グワッ

鎧の巨人「ウホオオオオオオオオ!!」ボグゥッ

刈り上げの巨人「キシャッ!?」ドサッ

金髪の巨人「アアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」ブゥンッ バキッ

金髪の巨人「!?」ボキボキ

鎧の巨人「ウホッ!」ドスッ

金髪の巨人「ゴバッ」ドサッ

鎧の巨人(皮膚を硬質化できない巨人など、俺の敵じゃない!)

エレン巨人「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」ブゥンッ

鎧の巨人(エレン…それはお前とて例外じゃない!)サッ

鎧の巨人(いい機会だ…このままお前のうなじに食らいついて…!)

ガンッ

鎧の巨人「…!?」バキバキッ

鎧の巨人(何、が…?)

栗の巨人「…」ゴゴゴゴゴ

鎧の巨人(なんだアイツは…顔が栗の形になっている…!? しかも、そこだけが硬質化しているだと…!)ドサッ

鎧の巨人(馬鹿な…俺の鎧はどんな手を使っても壊れない。そのはずなのに…)ピシピシピシ バキッ

栗の巨人(ハンジ分隊長の言った通りだったな…)ガシッ

鎧の巨人(ぐっ、この…!)

エレン(四人に勝てるわけないだろ!)ガシッ

鎧の巨人(馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前!)ジタバタ

金髪の巨人(よし抑え込んだ!)ガシッ

刈り上げの巨人(これで身動き取れねえだろうクソ鎧が!)ガシッ

鎧の巨人(クソ! こんなところで俺たちは…!)

ドシンドシンドシンドシン

犬の巨人「ヴァウヴァウ!!」ドシンドシンドシンドシン

栗の巨人(ミケ分隊長だ!)

鎧の巨人(まだ何か来るのか!? クソッ、なんとかこの場を脱しなければならないのに…!)

犬の巨人「ハッ、ハッ、ハッ」ガブッ

鎧の巨人(!? 何を…まさか…!)

犬の巨人「フゥー、フゥー!」ブチブチブチィ‼

鎧の巨人(露出した筋肉を食いちぎっているのか…!? これでは立ち上がることができん…!)

エレン巨人(本当に知性巨人なのか…これ…)

犬の巨人(…俺だって、好きでこんな尊厳を失うことしてるわけじゃない…)シクシク ブチィッ

栗の巨人「ガアッ!」ガツンッ

鎧の巨人「グオオオ!!」ビシシッ

栗の巨人「ウガアッ!」ガツンッ

鎧の巨人「ウゴオオオ!!」バキッ

エレン巨人(もう少しでうなじが砕ける…さあ、面を拝ませろ鎧の巨人!)ググッ

鎧の巨人(駄目だ…やはり時間の問題。このままでは…二人とも…!)

ライナー『聞こえるか…ベルトルト』

ベルトルト「ああ、聞こえるよ! ライナー!」ベトベト

ライナー『もう二人でここを突破するのは無理だ…お前だけでも、脱出しろ!』

ベルトルト「そんな、できないよライナー! それにどうやってこの体から出ろって言うんだ!」

ベルトルト「ここで出たところで僕も捕まる! 同じことだよ!」

ライナー『いいことを思い付いたんだ…お前、俺の中で巨人化しろ』

ベルトルト「ええっ!? でも、そんなことをしたらライナーが…!」

ライナー『大丈夫だ…だから早く、俺の中で巨人化しろ!』

ライナー『60m級のお前ならやれる!』

ベルトルト「でも…ライナー…!」

ベルトルト「そんなこと…ライナーが死んでしまうようなこと、僕にはできない!」

ライナー『ベルトルト…』

栗の巨人「アガッ!」ガツンッ

鎧の巨人「ッ!」バキンッ

エレン巨人(うなじが出た! 後は皮膚を引き千切れば…!)

ライナー『お前は戦士だろう…! やるんだ! 今…ここで!!』

ベルトルト「ハッ…!」

エレン巨人「ウオオオオオオオオオオオオ!!」ガシッ

ライナー『やれえええええええええええええええええええええ!!!!』

ベルトルト「うわああああああああああああああああああああああああああ!!!」ガリッ

―――カッ

超大型巨人「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」シュゥゥゥゥッ‼

エレン巨人「ッ!?」ドヒューン

栗の巨人「ッガ!?」ドヒューン

刈り上げの巨人「ウグ!!」ドヒューン

金髪の巨人「アアアアアアッ!!」ドヒューン

鎧の巨人「」シュゥゥゥゥゥゥゥ

超大型巨人(こいつら…こいつら…この、虫けらどもが!!)ウウッ

超大型巨人(こいつらさえいなければ…ライナーは…!!)グワッ

エレン巨人(どうなってんだ!? なんで鎧の中から超大型が…!)

刈り上げの巨人(エレン! 止まるな! 逃げろ!)ガッ

エレン巨人(オルオさん!?)フラッ

超大型巨人(殺してやる…!)

金髪の巨人「オウオ!!」

栗の巨人(オルオオオオオオオオ!!)

エレン巨人(やめろおおおおおおおおおお!!)

超大型巨人「…ッ」グシャッ

刈り上げの巨人「」

エレン巨人(な…な…)

金髪の巨人「ウオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」ダッ

栗の巨人(エルド!? よせ! 今は―――!)

超大型巨人「…」ガシッ

金髪の巨人「ッ!?」ジタバタ

超大型巨人(ライナーの仇は…僕が…!)ググググググ

金髪の巨人「ゴッ…ガハッ…ガッ…!?」メキメキメキブジュッブジュルルルッ

金髪の巨人「」パァンッ

エレン巨人(は…そんな…エルドさんまで…こんなの…)

犬の巨人(エレン! 乗れ!)

エレン巨人(ミケ分隊長!?)

犬の巨人(このケースは想定していない! 無策で挑めば返り討ちに遭うだけだ! グンタも急げ!)

栗の巨人(ハッ!)ドシンドシンドシンドシン

犬の巨人(奴では俺たちには追いつけん…安全なところまで移動するんだ!)ドシンドシンドシンドシン

エレン巨人(くっ…)

超大型巨人(…ライナー…一矢は…報いたよ…)ウッ…ウッ…

なんか俺、時代を先取りしてたみたい
http://shingekikyojin.net/archives/30475069.html

超大型巨人(ライナーの仇を取りたいけど…戻れば立体機動で襲ってくる兵士もいる)

超大型巨人(遺言通り、壁を越える方がいいな)ドズゥン…ドズゥン…

超大型巨人(…アニは無事だろうか)ドズゥン…ドズゥン…

―――カッ

超大型巨人(ん?)

光の巨人「…」シュゥゥゥウ

超大型巨人(なっ!?)

光の巨人(五年前はよくもやってくれたな…超大型巨人…!)

超大型巨人(何だこの禿げ頭の巨人!? 僕以外に20mを超える巨人は…!)

光の巨人(ここで捕らえる!)グワッ

超大型巨人(うわあああああ!?)ドズゥンッ…

光の巨人(お互い動きは鈍いようだが…まだ私に利がある!)ドズゥンッ

超大型巨人(この大きさでは踏み潰すのも一苦労だ…逆に組み付かれれば勝ち目がない…)

超大型巨人(とるべき対策は…!)ブシュゥゥゥゥゥ

光の巨人(…また蒸気に紛れて逃げるつもりか! だが立体機動装置さえ持っていなければ!)ガシッ

超大型巨人(ッ!?)

光の巨人「ウオオオオオオオオオオ!!」バッ

超大型巨人(組み付かれた!? いくら20mの身長差があるとはいえ…支えきれない!)

光の巨人(戦慄せよ! 超大型巨人ッ!!)ゴゴゴゴゴ

超大型巨人(うわああああああああああああああああああああああああああ!!!)ドズゥゥゥゥゥゥゥン

ベルトルト「ああ…ライナー…ごめん…!」クパァ

光の巨人(ベルトルト・フーバー…鎧の巨人はライナー・ブラウンか)

鎧の巨人「」シュゥゥゥゥゥゥゥ

光の巨人(あの様子だと息はないな…この者だけでも連れ帰ろう)

~一方、式典会場~

女型の巨人(まずい、性質の違いを一目で見抜かれた…)

ハンジ「怖がらなくてもいいよ。一人だけ異質ってことに興味があるだけだから…!)ワキワキ

女型の巨人(証拠がない以上は極端な手は使えないだろうけど…地下牢にでも入れられたらそれまで、完全に打つ手がなくなってしまう)

女型の巨人(どうする…私は今、どうするべきなんだ…)

ハンジ「…お?」

女型の巨人「…?」

ハンジ「お、おおお、おおおおおおおおおお!?」ブルブル

クリスタ巨人「…」ファサァ…

ハンジ「どうしてっ!? なんでっ!? この巨人翼が生えてるうううううううううううう!?」

女型の巨人「」

ハンジ「すごい! ねえ! 誰!? 中の人誰!? それ動く? 動かせる!? ねえ!!!!」

クリスタ巨人「…///」パタパタ

ハンジ「ふおおおおおおおおおお!!」

女型の巨人(何、この肩すかしは…)

クリスタ巨人「…」フワッ…

ハンジ「やっべぇえええええ!! 飛んでる! 飛ぶだろうとは思ったけど飛んでるよおおおお!!」

104期巨人(神様…)

ミカサ巨人(なんて…神々しい…)

アルミン巨人(女神だ…)

女型の巨人(なんだ…涙が…)ポロポロ

クリスタ巨人「…」バサッ…バサッ… ピカァッ

エレン巨人(なんなんだあの光…すげえ…)

犬の巨人(美しい…)

栗の巨人(なんだありゃ…なんなんだ…)ツーッ

ユミル巨人(理を超越して…理屈では言い表せない人の心の光が…世界全体を包んでいく…)

ユミル巨人(言うなれば再生の光…あらゆる悲劇を超越し、無限の善性を獲得させていく…)

ユミル巨人(クリスタ…やはりお前は…!)

クリスタ巨人「…」パァァァァァ


―――カッ

*

エレン「ん…」ムクッ

エレン「ここは…?」

エレン「調査兵団の宿舎…か?」

エレン「変だな…確かみんなが巨人になって…ん」

エレン「手紙…? 差出人は…」


エレン「カルラ・イェーガー…? 母さん…?」

ペトラ「あ、おはようエレン。お母さんから手紙と仕送り来てたみたいだよ」

エレン「母さんが…え、待ってください、母さんは死んだはず…」

ペトラ「縁起でもないこと言うもんじゃないよ。もう朝食の用意できてるから、準備できたら降りてきてね」

エレン「…?」


ミカサ「エレン、おはよう」

アルミン「寝ぐせすごいよ?」

エレン「ああ…」

ライナー「重役出勤じゃないか、エレン」

ベルトルト「ははは、夜更かしでもしていたのかな」

アニ「…」ズズズ

エレン「…?」

マルコ「やあ、おはようエレン」

エレン「っ!?」ビクゥ

マルコ「? 何をそんなに驚いているんだい?」

ジャン「放っとけ放っとけ」

エレン(マルコが…生きてる…? いや、それだけじゃねえ…!)

ミーナ「それでその時ハンナがさー」

トーマス「へえー」

エルド「壁外に出て全員無事に帰ってこれるとは…やはり長距離索敵陣形はすごいな」

オルオ「運が良かっただけだろう…効率はいいだろうが、過信し過ぎも禁物だ」

エレン「オルオさんとエルドさんまで…」

オルオ「ああ? なんだエレン、呼んだか」

エレン「い、いえ! 何も…」

ガチャッ

イアン「アッカーマンはいるか!」

ミカサ「はい」

イアン「先日の暴徒鎮圧の件で駐屯兵団から表彰状が届いている」

ミタビ「滅多にない栄誉だぞ、これは」

ミカサ「ありがとうございます」

アルミン「エレン聞いてよ、お爺ちゃんがこんなに大きいカボチャを送ってきたんだ。一人じゃ食べきれないからみんなで分けようと思うんだけど…」

エレン(みんな…みんな、生きてる…?)

クリスタ「これで良かったのかな、ユミル」

ユミル「さてな。変えちまったモン今更どうしようもねえよ」

クリスタ「うん、そうだね…」

ユミル「まあ、誰も悲しまない世界ってのはいいと思うぜ、私は」

クリスタ「うん…」


エルヴィン「第57回、壁外調査を開始する!」

エルヴィン「変身せよ!」

調査兵団「ハッ!」ガリッ

―――カッ!!!!



~完~

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