桃華「バレンタインイベント用のチョコレート…ですの？」

ちひろ「はい！今年のバレンタインのイベントでアイドルの皆さんがそれぞれ自分らしいチョコをファンの皆さんに配ることになりまして…」

ありす「私たちはももぺあべりーでそれを考えれば良いんですか？」

ちひろ「はい、そういうことになりますね」

梨沙「ふ～ん、面白そうじゃない！」

ちひろ「あっ、それと先にこれだけは言っておいて欲しいというプロデューサーさんの伝言です」

桃華「あら、何かしら？」

ちひろ「『イチゴパスタ禁止』だそうです」

ありす「…ﾁｯ」

梨沙「舌打ちしないの！」

ちひろ「ということですので、皆さんらしいチョコを少し考えてみて下さい」

桃華「イチゴパスタを使わずに、ですわね」

ありす「もう！わかっていますから一々念を押さないで良いです！」

ちひろ「ふふっ、ではよろしくお願いしますね」

梨沙「あっ、ちひろちょっと良い？」

ちひろ「何でしょう？」

梨沙「いや、他のユニットがどんなの作ってるのか良かったら教えてくれない？」

桃華「それは良いですわね、参考になりますし」

ちひろ「………そうですねぇ…例えば『ピンクチェックスクール』ですとそれぞれが気持ちを込めた手作りチョコを渡すみたいですね」

桃華（普通ですわ）

梨沙（普通ね）

ありす「普通ですね」

桃華「ありすさん…そういうことは口に出さないのが美徳ですわよ」

梨沙「皆そんな感じで普通にチョコ作ってるの？」

ちひろ「………いえ、どちらかというと少数派で…」

桃華「他の皆さんはどんなものをお作りになられていますの？」

ちひろ「………え～っと……あっ！『397cherry』ですとそれぞれをイメージした形のチョコクッキーを作るみたいですよ！」

桃華「『397cherry』というと菜々さん、みくさん、智絵里さんのお三方のユニットですわね」

梨沙「智絵里はキャンディアイランドとかピンクドットバルーンじゃないんだ？」

ありす「ほら、今回かな子さんが別ユニットに行っていますから…」

梨沙「あ～…なるほど」

桃華「菜々さんはお料理上手ですし、良いものが出来そうですわね」

ちひろ「では、私はこれで…」

梨沙「でも、これくらいだとちひろがあんなに口ごもった理由にはならないわよね？」

ありす「どうあっても隠しておきたい凄いのがありそうですね」

ちひろ「……くっ、しょうがないですね、いいですか？これはあくまで悪い例ですからね？真似をしてはいけない方ですからね？」

梨沙「一体どんなのが出てくるのよ…」

桃華（ｺﾞｸﾘ…）

ありす（ﾄﾞｷﾄﾞｷ）

ちひろ「まず麗奈ちゃん！題して『チョコだと思った？残念、カレールーよ！』」

ありす「ベタですけど酷い！」

ちひろ「次につかさちゃん！『チョコはカレーの隠し味！それならカレーで良いよな？』」

桃華「よくありませんわ！」

ちひろ「次に茜ちゃん！『甘いものばかりでは皆さん飽きるでしょうからここはカレーです！！！』」

梨沙「気遣いは正しいんだけど裏目ってる！！！」

ちひろ「芳乃ちゃん！『最近はカレー味のおせんべいがまいぶーむでしてー』」

桃華・ありす・梨沙「知るかっ！！！」

梨沙「何なのよこのカレー推しは！」

桃華「恐らく茜さん以外も甘いものばかりでは口が飽きるだろうと思われての配慮だとは思いますが…」

ありす「見事に皆さん避けた方向が同じですね」

ちひろ「むしろまともにチョコを使った子の方が少ないんじゃないか疑惑がありまして…」

梨沙「まぁ…お菓子作りが得意な子にお菓子で立ち向かうのはキツイし、得意分野に引きずり込んだ方が、って考える子が居ても不思議じゃないと思うけど」

ちひろ「ですので、こちらとしてはこれ以上チョコ以外のものを増やしてほしくはなくってですね…」

桃華「わかりましたわ、ちひろちゃま！わたくし達はちゃんとわたくし達らしいチョコレートを振る舞う事をお約束いたしますわ！」

ありす（これならチョコを乗せたイチゴパスタでも許されたんじゃ…」

梨沙「声に出てるわよ」

ちひろ「ありすちゃん、くれぐれもお願いしますね？」

ありす「わ、わかってます！」

ちひろ「では、私はこれで失礼しますね」

梨沙「…さて、そんでどうする？」

ありす「普通にチョコを作って…デコレーションをこだわりますか？」

桃華「うふふ、それでしたらわたくしに良い案がありますの！」

梨沙「へ～？どんなの？」

桃華「それはですね…」ﾋｿﾋｿ

ありす「ふむふむ」

桃華「…で…して…－」ﾋｿﾋｿ

梨沙「成程ね！良いじゃない！」

ありす「ではそれでいきましょう」

桃華「まずはちひろちゃまに内容を説明して、材料の調達からですわね」

梨沙「よーし！ファンの皆においしいチョコあげるわよ！」

桃華・ありす「おー！」

（バレンタイン当日）

ファン１「バレンタインイベだってのになんでこんなにカレー臭がするんだ…」

ファン２「時子様にチョコを垂らしていただいたぶひー！」

ファン３「カレールーうめえ…（白目）」

ファン４「ああ…このクッキー…母さんを思い出す…」

ファン５「カレーの付け合わせの福神漬けがまた美味い！」

ファン６「恥じらいながらチョコ渡してくれる美穂ちゃん可愛かった～」

ファン７「芳乃様から賜ったカレーせんべい…これは我が家の家宝にするぞおおお！！！」

梨沙「なんだかよくわからない光景ね…」

ありす「半分以上の方がカレーを食べてます…」

千枝「皆さん！」

桃華「あら千枝さん、ごきげんよう」

千枝「桃華ちゃん、こんにちは！皆さんはどんなチョコを用意したんですか？」

梨沙「ふっふっふ！アタシ達はこれよ！」

千枝「これは…果物ですか？」

ありす「そうです、苺やオレンジ、バナナ等にチョコレートをコーティングしたものです」

梨沙「果物ならアタシ達ももぺあべりーのイメージにも合うし、良いアイデアだったわね！」

桃華「みずみずしい果物でしたら甘いお菓子を食べ過ぎた皆様の良い癒しともなるでしょうね」

千枝「わぁ…全部綺麗にコーティングしてありますね！このバナナなんて黒くて…テカテカしていて…おいしそうです！」

梨沙「言い方！」

千枝「…へっ？千枝、何か言っちゃいましたか？」

ありす「なんでもないです、気にしないでください」

梨沙「この子は天然なのか…狙っているのか…」

桃華「千枝さん、良ければお一ついかがですか？」

千枝「えっ…良いんですか？ファンの皆さんの分じゃ…」

桃華「構いませんわ！これは『友チョコ』というものです！」

千枝「桃華ちゃん…！ありがとうございます！嬉しい！」

ありす「では…イチゴとオレンジ、それにバナナです、どうぞ」

千枝「ありがとうございます、じゃあこのイチゴを…はむっ！」

桃華「…いかがです？」

千枝「ん～っ！おいしいです！イチゴ自体は少しすっぱめなんですけど、それがチョコと合わさると甘すぎないで丁度良いです！」

桃華「うふふ、お気に召していただけたようで嬉しいですわ」

ファンＡ「ん…あそこのももぺあべりーのブースではチョコ配ってるみたいだぞ！」

ファンＢ「果物にチョコか…甘いもの沢山食べていたから有難い！」

ファンＣ「その横で千枝ちゃんがチョコバナナ頬張ってるぞ…！」

ファンＤ「カレーの後だしデザートにするか…」

ファンＥ「うおお～！ももぺあべりーのチョコおくれ～！」

（ドドドドド…）

梨沙「うわっ、なんか沢山来たわよ！」

桃華「丁度千枝さんがサクラになってしまったようですわね」

ありす「なんでもいいですから、配る準備です！」

千枝「じゃあ千枝は自分の持ち場に戻りますね、ご馳走様でした」

桃華「ええ、お粗末様でした…さて、ファンの皆様にチョコをお届けしましょうか！」

梨沙「おっしゃ！皆ちゃんと並んでね～！」

ありす「ちゃんと皆さんの分を用意していますから！押さないで下さい！」

桃華「さあ皆様！わたくしたちの愛、どうぞご賞味あれ、ですわ！」

おわりです。
お付き合いありがとうございました。