女商人「なぜスライムピアスをつけるとさびしがりやになるの?」 (69)

女勇者「たしかに不思議だよね。現に付けてるとそんな気がするもん」

商人「むむむ…この世界の道具には変わった効果を持つものがあるみたい」

勇者「これは…なにやら新しい旅の予感がしますなぁ」ニヤニヤ

商人「なにニヤニヤしてんのよ」

勇者「…………」

商人「…ま、まあでもこういうのって商人魂を刺激するんだよねぇ」ウズウズ

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勇者「じゃあ決まりだ。久々の冒険だー!」

商人「私達二人だけで?他のみんなは?」

勇者「だってみんなはちゃんと働いてるでしょ?」

商人「な!私だって立派に店を切り盛りして……」

勇者「でも今はお休み中なんでしょ?お店」

商人「う、まあそうだけど…」

勇者「じゃあフリーなのは私と商人だけじゃん?」

商人「…たしかに」

勇者「じゃあこのスライムピアスの謎を解く冒険の旅に…」チラ

商人「……?」

勇者「いやいや。ここは『行っくぞー!』って返さないと」

商人「あーはいはい、恒例のね」

商人「(武闘家といい、この子といい、こういうノリが好きなのね)」

勇者「よっしゃ、じゃあ改めていくよ!」

商人「はいはい、どーぞどーぞ」

勇者「スライムピアスの謎を解き明かす冒険の旅にぃ…」


商人「…行くぞー!」

勇者「おおぉーー!!」ビシィ


勇者は力強く右手を掲げた。両耳には青いスライムピアス。

商人はそんな勇者を尻目にマイペースを装うが、実は楽しみにしているのだ。



…二人の旅が始まる

久々に書きたくてお邪魔してます。今回は少し趣向を変えていきたいと思います。

女商人シリーズ、前回は尻すぼみなってしまったので今回は上手くいきましように。

投下ペースは遅いですが、よろしくお願いいたします。

基本は夜になります。



待ってたよ、まったりと行こう

【アリアハン城下町】


勇者「いやー相変わらず賑わってるね、ここは」

商人「って、勇者は毎日来てるでしょ?」

勇者「へへへ、今はね夜に酒場でたまに働いてるんだ。」

商人「えっ!そうなの?なんでまた?」

勇者「あ、そ、それは……ほらこの前さ、やっちゃったじゃない私」

商人「……?あ、みんなで集まった時、盛大につまずいてぶちまけちゃったアレ?」

勇者「はい、そうです」

勇者「あのあと酒場のマスターから説教されてそのままの流れで…」

まってたーよー


商人「あの世界を救った勇者様なのにねぇ、かわいそうに」

勇者「えへへ、でもだいぶ前の事だからね」

商人「ふふ、相変わらずみたいだね、あなたらしい」


勇者「さあさあ、早く商人のお父さんに会いに行こうよ~」

商人「会うのは久々だな~元気にしてるかな?道具の事、色々聞いてみないとね!」

勇者「たっぷり甘えちゃえ甘えちゃえ」

商人「私はそんなに子供じゃないよ~だ。勇者の方がまだ子供でしょう?」

勇者「わ、私だって18だからもう子供じゃないよーだ」

商人「はいはい、ごめんね」ナデナデ


二人は商人の父親の店に向かった。

とりあえず続きものですので前作までのリンク貼っておきます。

第1作

第2作

第3作(過去編)


商人「久々の実家だよ~。うう、なんかヘンに緊張するよ」

勇者「なーに緊張してるのさ、商人らしくもない」

商人「だって、お父さんと会うのかなりぶりだもの」

商人「たとえば、病気しちゃってたりさ、ぷっくり太っちゃってたりとか…」

勇者「ま、まっさか~おじさんに限ってそんなになってるわけ……ん?」

商人「どしたの?勇者」

勇者「あ、しょ、商人。あれ見て、あれ」ビシッ


勇者が指差す方に商人の実家の店があるのだが、お客の対応をしてる男がえらく恰幅がよいのだ。


商人「ええっ!あれがお父さん?ぽ、ぽっちゃりしてるし…」

勇者「び、びっくりだね。あのスリムで渋くてかっこいいおじさんが…」

『誰が渋くて、かっこよくて、俳優みたいだって、お二人さん?』トントン

商勇「へ?」クルッ


不意に背後から肩を叩かれ、振り向く二人。
そこには見慣れた商人の父が立っていた。

商人「え!あ!お、お父さん?」

勇者「おじさーん!びっくりしたよー」

商人の父「なにびっくりしてやがるお前たち。うちの店がどうかしたか?」


商人「だ、だってあんなにぽっちゃりした人が店先にいるから」

商人の父「おお、あいつは新しいバイトさ。客受けがよくてな留守を任せてんだ」

勇者「ふ~ん、商人がいなくなったからお店大変なんだよきっと」チラ

商人「うう。それを言われると…ごめんねお父さん。元気にやってる?」

商人の父「元気も元気よ、毎日充実してら。それよりお前はどうなんだ?」

商人「うん、私も元気だよ。体が強いのはお父さん譲りだからね」

勇者「はいはい!私も元気でーす。風邪も引いたことないよ」

商人の父「おお!勇者ちゃんは相変わらずのバカ元気だな、はーっはっは!」

商人「(…お父さん、さらりとバカって言ったな)」

スライムピアスを付けるからさびしがりやになるんじゃないんだ
人間はみんなさびしがりやなんだ
だからスライムピアスの効果は、つけた人を少しだけ素直にさせてくれることにあるんだ
そんな小さな素直さが、世界を救う力になるんだ
それがきっとクリスタルの導きなんだ


商人の父「あ、それより二人でどうしたよ?俺に何か用があるのか?」

商人「え。ああそうそう、道具に詳しいお父さんに聞きたい事があるんだよ」

勇者「アリアハン一の道具屋のおじさんなら何かわかるかな、と思ってね」

商人の父「お。なにやら話がそれっぽくなってきやがったな。」

商人の父「まあ立ち話もなんだ、うちに来なよ。聞いてやるぜ」

商人「お父さんありがとう。私がお茶いれるねー」

勇者「じゃあ早く行こ行こ!」タッタッタ


キラッ

勇者の両耳のスライムピアスが太陽の光に反射して光った。


商人「ん?」

商人は何か一瞬、視線のようなものを感じたが、勇者に呼ばれてすぐにひるがえした。

ぼちぼち手探りで書いていってます(笑)今日はここで。

乙!

乙でした

【商人の実家】


商人の父「ほう。勇者ちゃんが耳につけてるピアスの謎ねぇ」

商人「そうなの。何かこのスライムピアスについてお父さんは知らない?」

商人の父「いや、そのなスライムピアスってもんがこの世にあるってのは知ってはいたが…」

勇者「おじさんでもわからないかぁ。不思議なんだよねこれさ」

商人「なんかさびしがりになっちゃうんでしょ?」

勇者「う、うん。だから商人に会いに行っちゃったんだし」

商人の父「…この世にある星の数ほどある道具の中にゃ、特殊な効果の物もあるんだぜ」

商人「特殊な効果?」


商人の父「ああ。お前もその指にしてるだろう?」スッ

商人「私も?…あ、この指輪!」

勇者「そうだ、商人はずっとそれ指につけてるじゃん」

商人の父「『いのりのゆびわ』だろ、それ。お前が勇者ちゃん達と旅から帰ってからずっとしてるよな?」


商人の右手の薬指には小さい青い玉がはめ込まれた指輪が光っている。

俗に いのりのゆびわ と言われている装飾品の一つだ。

商人「そうか。この指輪も勇者のスライムピアスと同様に特殊な効果があるんだ」


勇者「えっ!その指輪にも何か変わったことがあるの?」

商人「えっ!っじゃないでしょ?この指輪には『祈ると魔力を回復できる力』があるんだよ、勇者忘れたの~?」

商人の父「その通り。かなりなレア物じゃねえか、その指輪」

勇者「…ああ~!何度かお世話になったなった」

商人「勇者が間違ってベホマズンとかギガデイン連発した時にね」ジロリ

勇者「いや~まいったな、えっへっへっへ。あの時はヤバかったねぇ」

商人「笑ってごまかさない」


商人の父「と、まあ。変わった力を持つ道具はけっこうあるみたいだな」

商人「そうなんだね。ならいろんなところで情報収集してみた方がよさげかなぁ」

勇者「私のスライムピアスもだけど、他の物にもいろんな力があるんだね。面白そう~」

商人の父「こういうのはお前、実は興味ありまくりじゃないの?」

商人「ふふふ。バレたか。商人魂がうずいちゃうよお父さん」ニヤニヤ

商人の父「うむ、さすが我が娘。根っからの商人だなお前も」

勇者「よ~し商人、どうせなら世界中回っていろんな道具の謎を解き明かしてやろうよ商人!」

商人「うん。俄然やる気が出てきちゃった。世界一の商人になるための修行だ!」

商人の父「まっ、せいぜい頑張ってきな。影ながら応援してるぜ」



こうしてしばしの実家での親子の会話を楽しんだ商人と勇者の二人は商人の父に別れを告げて、アリアハンを出ていった。

夜中に失礼しました~。続きはまたそのうちに。
どうなることやら。

乙でした

どうなることか・・楽しみだ
乙!!


【アリアハン大陸 フィールド】


商人「と、まあ。アリアハンを出たわけなんだけど…」

勇者「どこに行ったらいいやらわからない、っと、いうわけだね」

商人「そうなんだよね。どこから手を付けてよいものか…」

勇者「いいんじゃないの?どこからでも」

商人「う~ん、そうだなぁ。まあ大体の町や村に道具屋さんはあるわけで」

勇者「とりあえず道具屋さんに聞いて回るって作戦なんだよね」

商人「基本だしね、道具の事は道具屋さんだよ」

勇者「じゃあさ行った事がないトコに行ってみるのはどう?」

商人「ん?行った事ないトコロ?」


勇者「だって私も商人も何度か旅はしてるわけじゃない?」

勇者「今回もせっかく旅なんだから、開拓していきたいじゃん?」

商人「開拓ねぇ。ま、今の段階じゃ手掛かりないんだし……その案もらおうか!」

勇者「やった~!商人たら太っ腹~!」ポンポン

商人「ああっ、お腹さわらないでぇ」バッ

勇者「ぬう、ガードするなんて。さては商人ってま、まさか……」

商人「…な、なによ」ギク

勇者「………」


勇者「……わかんないや、『いかにも』って引っ張ったけど出てこない」

商人「あ、そうなんだ。あはは。」

商人「(最近お菓子食べすぎてちょっぴりお腹出ちゃったんだよね…)」




勇者「まあ、それはいいとしてじゃあどこから行く?」

商人「私も勇者も行った事がないトコロか。あったかな~そんなの」

勇者「そういえば武闘家が前に一人旅してた時に寄った村があったって言ってたね」

商人「あの子が?ああ、そういえば。ロマリアの北にある村だったっけ?」

勇者「いや~私はどこかも忘れちゃったけど、てへへ」

商人「忘れちゃったの?たしかノアニールって名前の村だと記憶してるよ」

勇者「おお!それそれノニアールノニアール!」

商人「ノ・ア・ニ・イ・ル!もうテキトーに知ったかぶりしない!」

勇者「ごめんなさい、ノアニールさんです」

商人「(人?)」



商人「ここから遠いけど、ルーラの魔法で行こうか?」

勇者「はいはい!ルーラは私がっ!ぜひとも私がっ!」グイグイ

商人「ええっ!そんなに?わ、わかったよ、勇者がやっていいよー」

商人「(相変わらずのルーラ大好きっ子ね、魔法使いとおんなじね)」ハァ



勇者「あ~ゴホン。では紹介に預かりましたわたくし勇者が唱えさせていただきます」ワクワク

商人「はいはい前置きはいいから、やってくださいな勇者様」

勇者「うう~肝心なのにぃこれが。…まあいいや、やりますよーだ」ブツブツ

勇者「天の神よ、我々が目指さんとする場所に無事に届けたまえ」

勇者「天よ繋がれ『ルーラ』!」

商人「(お~、詠唱完璧ね。すごいや勇者、前はミスってばかりだったのにね)」




勇者がルーラの詠唱を終えるやいなや光が2人を包みこみ
空に向かって猛スピードで飛んでいった。

まずは商人と勇者は一度も訪れたことがないノアニール村に
向かうためにその南にある大国ロマリアを目指して飛んだ。

みなさんお盆はいかがお過ごしですか?
とりあえず今日もこのくらいにしておきます。
短くてすみません。

本編ではノアニールでのイベントはスルーOKだったので
思わずこのタイミングで使ってみようと思いました(笑)

>>1のやりたいように進行していいよ
ワクワクしながら待ってる

乙でした

お盆休み終わったのでまた明日からぼちぼち書き始めます。

舞ってます

【ロマリア 城下町入口】


…ヒューン
スタッ!
スタッ!

勇者「はーい、ロマリアへ到っ着~!」

商人「相変わらず便利ねルーラって。勇者ありがと」

商人「それにしてもルーラ完璧だね。詠唱から発動から着地まで」

勇者「そりゃ~そうだよ。死ぬほど特訓したからね」

商人「し、死ぬほど?(なぜにまた?)」

勇者「定期的に魔法使いとルーラで勝負してるんだ」

勇者「あっちは専門家だからね負けられないじゃん」

商人「いやいや、『勝負』ってどゆこと?それどういう勝ち負けなわけ?」

勇者「いかに目的地に『素早く』かつ『正確』に、そして『スマート』に」

勇者「ルーラで飛べるか。っていう勝負なんだよ!すごいでしょ?」ビシッ



商人「へ、へえぇ…」

勇者「ただね、負けるととんでもない罰ゲームがあるんだ」

商人「罰ゲーム?(てか、勝ち負けはどういう基準なの…)」

勇者「そう。問答無用でバシルーラで飛ばされちゃうんだ…」

勇者「この前はグリンラッドまで飛ばされちゃったよ、ううう...寒かった」

商人「…それって今まで勇者勝った事ないんじゃない?」

勇者「ないよ。やっぱり魔法使いはすんごいよね~まだ修行が足りないね」


商人「(それは…魔法使いの思うがまま…勇者カワイソウ)」

商人「つぎはかてるようにがんばってねぇ」

勇者「商人さ、なんで棒読みなの?」

商人「あ!ロマリア着いた事だし、情報収集しなきゃ。ほらほら」

勇者「そうだった!行こ行こ。ロマリア久々だなぁ」

タッタッタ

また明日~進むの遅くてスミマセンm(_ _)m

乙でした

【ロマリア城 王の間】


ロマリア王「おお!勇者殿ではないか!元気でやっておるかの?」

勇者「はい!もうおかげさまで元気です!アリアハン王も元気ですし」

ロマリア王「うむ、そうかそうか。ん?そちらのお連れの女性はたしか…」

勇者「商人です。自分の町を作ったり、賢者やったり、大忙しの仲間です」

ロマリア王「アレフガルドでも勇者殿と共に活躍されたと聞いておる」

商人「は、はじめまして。ここロマリアは仕事ではよく来ますが王様に
謁見させていただくのは初めてです」ペコリ

ロマリア王「ふむ、若いのに立派な事じゃな。して今日はなぜ2人で?」

商人「はい!色んな効果がある道具の事を知りたくて、勇者に協力しても
らって旅を始めたばかりです」

ロマリア王「道具についてとな。いわば探求の旅というわけじゃな?」

勇者「そうです。私が耳にしているこのピアスや商人がしている指輪などです」

ロマリア王「なるほどのう。ではまずは城下町で情報を聞いてみてはどうじゃ?」


ロマリア王「ここロマリアや隣国ポルトガは貿易が盛んじゃ。よい話を聞けるかもしれぬ」

商人「私もそのつもりでロマリアにやってきました。これから城下町に行く予定です」

勇者「王様。突然ごめんなさい、謁見させてもらってありがとうございました!」

商人「ありがとうございました!」ペコリ

ロマリア王「よいよい。そなた達の旅が素晴らしきものになること祈っておるぞ」ニコ




商人「はぁ~緊張しちゃったよ。いきなり王様に挨拶しに行こうだなんて…」

勇者「えっへへ!まあいいでしょ。王様に面通ししとくとなにかと便利だよ」

商人「さすがは勇者殿ってところね。…たしかにネームバリューが強いのはいいことかもね」

勇者「よ~し、じゃあさ城下町に行っていろいろ話聞いてみよっか!」

商人「(むむ、「勇者」の名前の強さ、これは使えるかも…)」ニヤニヤ


王に謁見した2人は意気揚々と城下町に向かっていった。

おつおつ

【ロマリア 城下町】


勇者「うっひゃー!相変わらず賑わってるな~。すごい活気だよ、ね?商人」

「…………」

勇者「ってアレ?商人がいない!」キョロキョロ

勇者「う~、あ、いたいた。あの人だかりの中のあの赤い髪だな」

勇者「マッタク、こういうトコロに来ると人が変わっちゃうんだから…」


商人は勇者をほったらかして真っ先に多くの店が建ち並ぶ商店街に走り去っていた。


商人「ねえねえおじさん、ここにある鉄の槍かっこいいね!」

武器防具屋の主人「お!お嬢ちゃん、お目が高いなぁ。こいつはいいモンだぜ」

商人「ふふ。おじさんやるな~。私、旅をしてるんだけどこの槍欲しいなー。いくら?」

主人「ズバリ700Gでどうだ?お嬢ちゃんでも扱えるぜ」

商人「なるほどね。おやっ?この槍、よ~く見るとところどころに錆が多くない?」

主人「ギクッ、な、な~に言ってんだ嬢ちゃんよ。そんなの気にするなって」

商人「ごまかそうとしたってムリだよ。多分航路での大量仕入れで潮風にあたりすぎたせい…」

商人「鉄の武器をはじめとする鉄製品の仕入れはコストや労力がかかっても陸路でが決まり」

主人「ぬ、ぐぐぐぐ…」

主人「(な、なんだこの小娘。こんな錆見つけて、しかも航路の事まで…)」


商人「しかも700Gって小売り価格から50Gも盛ってない?私だったら買わないなぁ」

主人「げ!そ、そんな細かい事まで!なんで知ってやが…あ、しまった」アセアセ

商人「ふふ、聞こえちゃってるよ。だめだよおじさん、厳しい競争とはいえ違法な事はさ」

主人「だ、だまして悪かったよぉ、生活厳しくて嫁子供食わさねえといけねえし、つい出来心で…」

主人「チクらねえでくれ!この通り!お願いだ~」

商人「……しかたないなぁ。もうこういう汚いやり方しちゃ駄目だよ」

主人「もうやりません、真っ当に商売するよ…」

商人「よろしい。それじゃ、私は用事があるんだったっけ、行かなきゃ」

主人「あ、嬢ちゃん、アンタは一体何者なんだ?」

商人「私?ホープバーグで道具屋をやってるよ、それじゃあ」

主人「へ?ホープバーグってあの東の大陸にあるっていう新しい町の…」



勇者「あ、いたいた!お~いしょうに~ん!」

商人「ん?勇者!どうしたの血相かえて」

勇者「『どうしたの』じゃないよ、すぐにどこか行っちゃうからさ商人が」

商人「………ごめん。つい高揚しちゃってね、こういう所来るとさ、えへへ」


勇者「はあ、まいいか。それよりなにやってたの?」

商人「あ、うーんとね。いけない店のおじさんに教育的指導、ってやつかな」

勇者「なんじゃそりゃ?」ポカン

商人「まあなんでもいいから、ささ、道具屋さんに行くよ。あそこは私の馴染みのお店だから」

勇者「へーいへい、仰せのままに」


商売人として「一仕事」終えた商人ははぐれさせた勇者と合流して道具屋に向かった。

【ロマリア 道具屋】


商人「勇者、ここだよ」

勇者「こんな所にも道具屋さんがね一番外れにあったんだ」

商人「老舗の道具屋さんで私もよく仕入れの時にはお世話になってるんだよ」

勇者「へえ~。商人がお世話になってるお店かぁ」

男の声「これは珍しいお客さんだ。ホープバーグの女商人じゃないか」

商人「あ!ご主人、お久しぶりです。その後お変わりないですか?」


商人に声を掛けた主は体格がよく人懐っこい顔をした初老であろう男だった。

鉄の前掛けを着ており、いかにも商売人といった格好をしていた。

道具屋の主人「ああ、だいぶよくなったよ。それにしても久々だな、元気にしてるか」


主人は二人を店の中に招き入れた。


主人「んで、商人よ。『彼』とはうまくいってるかい?ええこの美人が」ケラケラ

商人「え、あ!は、はい。おかげさまで仲良くやってます。はい」

勇者「あ~商人たら、赤くなったー。トマトみたいになってる」

商人「今は宿屋協会の勉強会で出張中でして」

主人「そうかそうか。そりゃあさぞさみしかろうなぁ。はっはっは」

商人「まあ今は勇者もいるので、さみしくはないけど。ねえ勇者?」

勇者「さ~てどうだかねぇ、けっけっけ」ニヤニヤ

主人「そうだぞ、どうだかねぇ、かっかっか」ニヤニヤ

商人「(二人してからかって~むー)」ブス



商人「そうだ。勇者。この店で不思議に思った事ない?」

勇者「ん?不思議に思った事?」キョロキョロ

>>1の女勇者はミス!?
それともわざと!?


不意に商人に言われ、店の中をキョロキョロと眺める勇者の目に、商品のリストが入った。


勇者「いっぱいいろんな道具を売ってるんだな~。ん?」

勇者「『鉄のまえかけ』」

勇者「そういえばこれだけは防具なのに何で売ってるの?」

主人「お、よくぞ聞いてくれたな。それはな先代、つまり俺の親父の考えなんだ」

勇者「お父さんの?」

主人「ああ。ここロマリア大陸はかなり広い。町も国もある。しかもロマリアは海もあって貿易拠点」

主人「商売人が多く行き来する。魔物もなかなか手強い。親父はそんな旅の商売人のために」

主人「手軽で耐久性のあるこの『鉄のまえかけ』を簡単に手に入れる事ができるように計らってきたわけだ」

勇者「立派なお父さんなんだね。商売人のみんなの味方って感じだね」

主人「だろ?しかも鉄のまえかけに関しては仕入れは赤字なんだな、これが」


勇者「ええ!赤字なの?」

主人「まあな、この店は親父の代からあくまで『道具屋』だしな」

主人「そこは俺の巧みな商売テクニックがあるのさ、わっはっは」ビシッ

勇者「すんごいんだね~商売人の人たちってば。ん、商人?」

勇者「なに商人まで『してやったり』みたいな顔してんの?」

商人「へ?ああ、ホラ勇者にも私とか私達商売人の凄さが伝わったでしょ?っていう意味で」

勇者「伝わりました」

商人「はい…(もう少しびっくりするかなと思ったのに)」シュン

>>49
最初だけに「女勇者」「女商人」と書いただけで以後はめんどいから外してるだけです。勇者も商人も女です


今日は久々に多目に書いてみました。


主人「なるほどな、特殊な効果を持つ道具たちか。なにやら面白そうだな」

商人「たとえば勇者の着けているスライムピアスについてわかりませんか?」

勇者「これね、こう着けてるとなんかこう、心に穴が空いたみたいに寂しくなるんだよ」

主人「ううむ、俺も道具を扱う人間だ、少なからず力になりたい。作った奴をさがしだすのが早いだろうな」

勇者「このピアスを作った人か~、どこにいるんだろね」

商人「この私がしてるいのりの指輪も誰が作ったのかな?」

キラン

主人「あれ?商人がしてるその指輪、もしかして…」

商人「ご主人、この指輪知ってるの?詳しく聞かせてください」

主人「ああ、昔な俺がガキの頃だったと思うんだけどな…」


主人「親父がどこか北の町か村かで拾ったらしいんだ、きれいな玉のついた指輪でな」

主人「たぶん、それと同じだと思うんだよな」

勇者「北のって事はもしや…?おじさん、それってノアニール村のあたりとか?」

主人「ノアニール?…ああ、そうだ、間違いない。親父はノアニール村の辺りで拾ったって言ってた」

商人「!私たちの目的の場所だ。何かありそうだね」

主人「ただな、あっちは気温も低いし、あまり栄えていない、今がどうなってるかはわからないぞ」

商人「それでもいいんです、私たちはどうしても知りたいから、秘密を」


勇者「行ってみよう、商人。指輪の事もだけどこのピアスについてもなにか手掛かりがあるかも」

商人「そうだね。よかったですご主人に聞いてみて、お話聞いてくれて助かりました」ペコリ

主人「な~に、俺は何もしていないよ。気を付けて行きな。勇者も頑張れよ」

勇者「ありがとうおじさん!おじさんも体に気を付けてね」

主人「結婚式にはよければ呼んでくれよな~、祝い品持ってくから」

商人「……(ううう、照れる)」




勇者「よし、そうなれば北のノアニールに行こう!」

商人「ご主人に餞別でもらった『毛皮のフード』。これで暖かいし万端だよ」

勇者「うん。いざノアニールへ!ってルーラ使えないし、地道に徒歩でね」

商人「了解!」

また近々続きを書きます。
ちまちまと進むのをお許しくださいm(__)m

乙でした


今回は沢山来てうれしい

【カザーブ村 周辺】


「イオラッ!」

ズドドドドド

キャタピラーの群れをやっつけた

商人「さっすが勇者、腕は落ちてないみたいだね」

勇者「当たり前でしょ。いまだに魔法の訓練はやってんだから」

商人「私なんて魔法にしろ剣術にしろ最近使わないから、なまってるなぁ」

勇者「あ~ダメダメ。平和になってはいるけど何が起きるかわからないでしょ?」

商人「なるほど。『経験者は語る』って事でしょ?」

勇者「うう。ま、まあそうかな…」

商人「魔物さんも倒した事だし、行こう勇者」

勇者「うん。あれ?東の方にも進めそうだよ、あっちは何かあるのかな?」


商人「たしかに。地図には特に載ってはいないけど…」

勇者「せっかくだし、回り道していこうよ、強い魔物とか出るんじゃない?」

商人「何で心なしかワクワクしてるの?」

勇者「いやぁ~私も実戦は久々だったからさ、なんかこうスイッチ入りました。みたいな」

商人「……まあ、私も昨日のロマリアではアナタに迷惑かけたからね、いいよ」ニコ

勇者「やったー!さっすが商人。ありがとー!」

商人「せっかく時間はあるんだしね。そうと決まれば東に行ってみようか」

勇者「よっしゃ行っくぞー!」ガバッ


少し脱線しながらも二人旅は続く。
予定を変え、北ではなく東に向かって進んでいった。

【カザーブ村より東のフィールド】


商人「えいっ!」シャ

ズババッ!

さまようよろいをやっつけた


勇者「う~ん、別に強い魔物は出てこないね。ざんねん」シュン

商人「まあ私達も強いからね、何気に。普通の人なら厳しいだろうけど」

勇者「くっそぉ、せっかく回り道してるのにー。こうなりゃ出るまで探すまでさ」ギラギラ

商人「目が怖いよ勇者。獲物を狙う熊みたいになってるし」

ガサガサッ
どすんどすん

商人「ん?…ああっ!」

勇者「何狙われたうさぎみたいな目をしてんの商人?」

商人「く、くま」

勇者「そう。今の私は熊のように獲物を探してこんな目を」

商人「じゃなくて、後ろ!熊っていうかあれはグリズリーだ!」

勇者「へ?」クルッ

勇者「うわぁ!ほんとだ。グリズリーだ、しかもなんか変なのが飛んできたよ」

商人「変なの?たしか、あれは魔法おばばだよ!」


グリズリーと魔法おばばがあらわれた


商人「なんでこんなとこにこいつらがいるの?」

勇者「よーし、待ってた甲斐があったってもんさ。来い!」

グリズリーが二人めがけて突進してきた。
魔法おばばは様子を見ている。

グリズリーは狂暴な爪の生えた腕を商人に降り下ろしてきた。
グリズリー「ウガアアァァ!」ブン

勇者「なんのこれしき!」バッ

ガッキーン!

商人「勇者!ありがとう助かったよ」

勇者「私はこいつをやるから、商人はあっちを頼むよ」

商人「了解!」

魔法おばばは、グリズリーとつばぜり合いをしている勇者に向け、ベギラマを放った。


大きな閃光が勇者に向かってゆく。一旦間をおいた商人がすぐさま詠唱を始めた。

商人「ヒャダルコー!!」

ピキピキ…
ピキーン!

魔法おばば「ぬ?なんだと、氷でワシの炎を…偶然じゃな」

商人「おばあちゃんの相手は私だよ!」

閃光は氷でかき消された。

魔法おばば「こしゃくなムスメよ、今度はお前自身が食らうがよいわ」

魔法おばば「ベギラマー!」

商人「ベギラマー!」

ベギラマ同士が唸りをあげて衝突する。ほぼ同威力だったこともありその場で消滅した。

魔法おばば「ぬぬぬ、バカな。こんな小娘にぃぃ、このおばばが…」

商人「…………」ボソ

魔法おばば「なんじゃ?聞こえぬわ!バカにしよって、ベギラマベギラマベギラマ~!」

「……………」


魔法おばば「なんじゃ?魔法が出んぞ!」

商人「へへへ、魔法封じ、マホトーンだよ。おばあちゃん知らないの?」

商人はマホトーンで魔法おばばの魔法を封じた。

魔法おばば「く、これでは。なにもできんわい!浮遊もできん…」
ぺたん

商人「これでただのおばあちゃんだね。さてと、、」ギラッ

魔法おばば「ひぃぃ、やめて!老い先短いおばばを許して」

商人「なんて、冗談だよ。私は暴力は嫌いだから。その代わりにこいつでさよならだよ」ブツブツ

商人「バシルーラ!」

ギューン!

魔法おばば「ひえぇぇ~!お助けをー!」

商人は魔法おばばをバシルーラで彼方へ飛ばした。
魔法おばばを追い払った。

商人「ふう~。あ~緊張したー。まだ魔法使えるみたいね私」

商人「あ、そうだ。勇者は大丈夫かな…」



勇者「雷(いかずち)をくらえー!ライデイーン!」


勇者はライデインを唱えた。
グリズリーの脳天に裁きの雷が落下する。

ピシャアアア!

グリズリー「グオオオ…ォォォ…」バタン

勇者はグリズリーをやっつけた


商人「相変わらず容赦ないよね、勇者は。」

勇者「だってかなり強かったんだもん、攻撃力もハンパなかったし…ほらこれ」スッ

商人「あ、ほんとだ。肩と足に傷が…ちょい待ってね」ブツブツ

商人「ベホイミ」パァ

勇者「おー治ってく治ってく。サンキュー商人」ニコッ

商人「いえいえ。こういう時、魔法使えてよかったなって思うよ」

勇者「ふっふーん、じゃあ商人もライデイン覚えてみる?」


商人「いいです。そもそもライデインって、今でも忘れられないよ」

勇者「え?なんで?」

商人「勇者さ海の上で使った事あったでしょ?私感電して気絶しちゃったんだから!」

勇者「あ~、あったねそういや。商人が初めてパーティに入った時ね、懐かしいなぁ、うんうん」

商人「(勝手に納得しちゃったよ、この子)」



勇者「じゃあちょっとした余興はこのくらいにして、ノアニールに向かおっか~」

商人「よ、余興ねぇ…まあいいか。その前にすっかり日暮れだし、ここで一泊ね。ノアニールへは明日」

勇者「ええ~!そんなぁ~」

商人「『ええ~!』じゃない。ほらとっとと勇者は魚かなにか採ってきて。そこ海だから」

勇者「うう、怒った商人もかっわいいな~っと」ヘラヘラ

商人「早くする!」

勇者「は、はいぃ!」ダダダ


こうして二人は野宿で一夜を明かしましたとさ。
シェフ商人の魚料理にご満悦な勇者なのでした。

展開遅くてスミマセン。次はノアニール行きます(笑)

カザーブ東での実体験を元にしてます、
なぜか強いのが出てくるんですよね。

まあロマリアの時点でキャタピラーとかさまようよろいも脅威だけど…


まったりとやってれ

乙でした

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