【ミリマス】甘いひとときを【モバマス】 (15)

ミリモバクロス物です

宮尾美也と高森藍子のバレンタインの話

とても短い

「美也と藍子のお散歩日和」という作品の世界観がそのまま使われています

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1486991618

2月14日。

洋菓子屋を初め、雑貨屋、ブティック、百貨店、街ごとデコレーションされたように可愛らしく甘い雰囲気が漂っている。

今日はバレンタインデーだ。意中の男性にチョコレートをプレゼントしたり、日頃の感謝や友好の証として交換する。最近では自分へのご褒美として自身にチョコを贈る人もいるらしい。

「いつもありがとうございます!」

そんな街角で少女はチョコレートを配っていた。茶色の柔らかい髪をお団子にまとめ、丁寧な手付きでチョコを手渡ししているのはアイドル高森藍子。大きなイベントではない。それでも、まだまだアイドルとして人気を得ていない藍子にとっては大切な仕事である。

「これからもよろしいお願いしますね」

イベントの終わりが近づいてきた。より多くのファンと交流したい。しかし、目の前の一人を大切にしたい。贅沢な悩みだな、と微笑みを絶やさずに両手でそっとチョコを渡す藍子であった。

「あーちゃん、早く早く!」

急かされるのもいつものことだ。

クリスマス、お正月、バレンタイン。この時期はどこのアイドルも大忙しである。当然ここにも1人、忙しいはずなのにペースを崩さず、いや、崩れたペースが本来のそれであったようにチョコを手渡すアイドルがいた。

「はい、どうぞ~。いっぱいありますからね、それではもう1つ~」

二つ目のチョコを渡すのを止められている少女は宮尾美也。他のアイドルの列より人の進みが遅いが、それでも美也目当てで並んでいる人たちは皆笑顔である。

「もうこんな時間ですか~。それではスピードアップしますよ~、え~い!」

気合いを見せる美也だが、動作は変わらず丁寧かつ緩やかなものである。それでも列が進む速度は早くなっている。美也がチョコを渡した次の瞬間には美也の手の上にはチョコが乗っていた。見事なユニットの連携である。

「ほら美也、次!次!」

こちらもよくある光景だ。

列は徐々に減り、イベントの終わりが近づく。

そろそろあっちもおしまいの時間でしょうか~。

そんなことを考えながら、美也は藍子の顔を思い浮かべる。

「ありがとう、藍子ちゃん」

素敵なアイデアをくれた親友にそっと感謝の言葉を呟く。

このイベントが終わったら……。

2月13日。

明日のイベントの打ち合わせを終えると、アイドルたちは解散となった。皆、準備が、用意がとそそくさと帰っていく。そして、それは藍子も同じであった。普段より少し軽い足取りで向かった先は765プロの女子寮だ。

「こんにちは、藍子ちゃん」

美也に迎えられてVi棟と書かれた門をくぐると、やはりというかチョコの甘い香りが漂っている。

「どこも同じなんですね」

「女の子にとって一大イベントですから~」

包装に悩む子や、味見と言いながらやけに沢山チョコを並べている子、渡す時のことを想像しているのか時々キャーキャー言いながら悶えている子までいる。

そういう美也と藍子も明日の準備のために集まっている。二人は会話を交わしながら美也の部屋に向かった。

「ではでは、どうぞ~」

「おじゃましまーす」

藍子にとって何度目かの美也の部屋。二人は手際よくチョコ作りの準備を始める。

「それではトリュフ作りを始めましょ~、えいえい」

「おー!」

「お~!」

いつも美也がやることを真似してみる藍子。二人の声が重なり、笑いあう。

作業はと言うと、溶かしたチョコに生クリームやラム酒を混ぜて冷やす。形を整えたらさらにチョコでコーティング、ココアや粉砂糖、抹茶粉などを振りかけて完成だ。

つまるところ、冷やしている間は特にすることがないのである。しかし退屈はしない。その間は話に花を咲かせる。

「わ、私は無理かな……」

年末に登山をし、マグロ漁船に乗ったアイドルたちの話。

「ガーナですか~。ぽかぽかしてそうですね~」

バレンタインチョコのためにガーナに行ったアイドルたちの話。

お互いにアイドルって何なんでしょうね?と言いながらも、どれもが楽しい思い出。話のネタが尽きることはなかった。

チョコもいい具合に固まっている。丸めてトッピングをして、1つぱくり。優しい甘さが口中に広がる。

「お~、美味しいですね。これならみんな喜んでくれること間違いなしです~」

「ふふっ、美味しい。そうだ、今度は他のみんなとも作りたいなあ。美也ちゃんのお友達も呼んで!」

「1人よりも2人、2人よりもみんなでですね~。一緒に作ったらもっと美味しいなりますよ~」

一緒に、はっとしていた美也の顔を藍子が覗き込む。

「美也ちゃん、どうかしましたか?なんだかとっても嬉しそうな」

「ありがとうございます、藍子ちゃん~」

急にお礼を言われて頭に疑問符を浮かべている藍子だが、美也の表情から悪いことではないと察していた。

楽しい時間は早く過ぎる。例に漏れず、二人の時間もあっという間に終わりの時間だ。イベントでもつい楽しくてぎりぎりになっちゃうんですよね、という藍子の話に美也が頷きながら片付けていく。

「それじゃあおやすみなさい、美也ちゃん」

「はい~、藍子ちゃんもおやすみなさい」

挨拶を交わす二人は手を振りあい別れる。そうして美也は準備を始めた。

「確かこの辺りに……ありました~。チョコもイチゴもまだありますね~」

すでに包装まで終えたチョコを脇に避け、道具と材料を確認する。

特別なチョコを、最高のひとときをそのままプレゼントするために。

イベントは終わり、それから……。

あと一人渡さないといけない人がいる。

今日のイベントもきっと終わりの時間を交渉してくれたのだろう。

今日だけじゃない。

これまでたくさん支えてくれたあの人に。

甘酸っぱいイチゴをストロベリーチョコで飾って、これが私の気持ち。

「できたてですよ~。ふふっ♪2人で一緒に食べるとずっとずっと美味しいですからね~」

イチゴでチョコをすくい、彼の口元に差し出す。

「ハッピーバレンタイン、プロデューサーさん♪」

イチゴもチョコもいっぱいいっぱい、甘い時間は続く。


終わり

この独特の空間好きだよ、乙です
シンデレラガールズより
>>2
高森藍子(16) Pa
http://i.imgur.com/7dNnNzf.jpg
http://i.imgur.com/hUTlg1E.jpg

ミリオンライブより
>>3
宮尾美也(17) Vi
http://i.imgur.com/m0zMV6t.jpg
http://i.imgur.com/sVx4WTY.jpg

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