【ラブライブ】ダイヤ「必殺仕事人」【サンシャイン】 (129)

ゆるめ
キャラ微崩壊
百合要素もあり?
毒にも薬にもならないss

以上のことが大丈夫な方はぜひお付き合いください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1486897851

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浦の星女学院生徒会長。
黒澤ダイヤ。



成績優秀。
容姿端麗。
絵に描いたような優等生であり、その上、地元内浦の名士の家の長女でもある。

完璧超人。
彼女を一言で表すならば、それが相応しいだろう。


当然のことながら。
彼女は、生徒会長の職務も完璧にこなす。
そんな彼女の仕事のひとつに、生徒の悩みの解決がある。



浦の星女学院生徒会が設置した目安箱。
通称「片付けてね☆BOX」。



日々、生徒からの要望で満たされるその箱は、校内に1ヶ所と、生徒会室内にもう1ヶ所設置されている。
その内容は、非常に多岐に渡る。
蛍光灯の交換から生徒間のトラブルに至るまで、彼女は回答していくのである。

しかし、生徒会長と言えど、一生徒。
彼女には、荷が重い依頼も中には存在する。

だが、黒澤ダイヤは挫けない。

どんな無理難題であろうと、彼女は解決するのである。
砕けないその心をもって。
その名、金剛石のごとく。



今回は彼女の仕事ぶりを、この『片付けてね☆BOX』への回答の様子と共に見ていこう。




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CASE1



ダイヤ「さて、それでは今日も片付けてしまいましょうか」

ダイヤ「それにしても……今日は一段と、多いですわね……」

ダイヤ「……まぁ、休み明けですからね……えぇと」ガサゴソ



ダイヤ「これ、ですわ!」



ダイヤ「さて、それでは本日最初のお悩みは……」

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『生徒会長さんへ』

『お忙しい中、ごめんなさい』

『生徒会長にこんなこと相談するのは……本当はダメだと思うんですけど』


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ダイヤ「いいえ。どんなに忙しくても、生徒会長とは生徒のためにあるのです」

ダイヤ「わたくしでよければ、いくらでも相談に乗りますよ」

ダイヤ「……それで、相談というのは……」



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『実は、好きな人ができたんです!』

『しかも、その学院の先輩に……』

『友達にはこんなこと話せなくて……』


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ダイヤ「……好きな人」

ダイヤ「投稿者も学院の生徒ですから、女性同士、ということですか」

ダイヤ「これは確かに、安易には話せませんね」

ダイヤ「……それで、わたくしに……責任重大ですわ」



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『こんなの普通じゃないことは分かっています』

『けど!』

『私はどうしても先輩のことが好きなんです!』

『でも、先輩にこんなことを言ったら……』



『私は一体どうしたらいいでしょうか?』



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ダイヤ「………………」

ダイヤ「…………」スッ

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『前略 投稿者様』

『貴女の相談、確かに読ませていただきました』

『女性同士の恋愛』

『それは確かに、辛いものでしょう』

『先輩にどう思われるか、友達にもどう思われるか』

『きっと貴女の心の内には、ここでは書き切れないほどの不安や恐怖があることでしょう』

『けれど』



『やはり貴女の心に素直になるのがよろしいかと思います』



『そのまま黙っていても始まりませんし、何も解決しません』

『確かに不安は大きく、足がすくむこともあるでしょう』

『ですが』



『大好きなものを大好きだと言えないのは、とても辛いことですよ』



『ですから、まずは自分の心に聞いてみて』

『もし、何かわたくしで力になれることがありましたら、いつでも仰ってください』

『貴女の悩みが解決しますことを願って』

『黒澤ダイヤ』



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ダイヤ「……ふぅ」コトッ

ダイヤ「こんなところ、でしょうか」

ダイヤ「ふふっ」

ダイヤ「その恋が叶うことを願っていますわ」



ダイヤ「さて、お次は……」ガサゴソ


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『こんにちは! ダイヤさん!』

『生徒会のお仕事お疲れ様です!』


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ダイヤ「はい。ありがとうございます」

ダイヤ「……って、わたくしを名前呼び……?」

ダイヤ「クラスの方でしょうか?」

ダイヤ「っ」ブンブン

ダイヤ「いえ! ここではあくまで匿名ですから、余計な詮索はいけませんわ!」

ダイヤ「…………ふぅ、さて」



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『突然ですが、私の最近の悩みを聞いてください』

『その悩みのせいで、毎日七時間しか寝れません』


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ダイヤ「…………えぇと」

ダイヤ「まぁ、世間一般では十分だとは思いますが……」



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『それどころか、夢の中にまで、それが付きまとってくるんですよ!』

『いやぁ、困っちゃいますよねぇ、ふへへへ』


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ダイヤ「…………こほん、それで、その悩みというのは…………」


ーーーーーー


『そう!』

『私の悩み、それはっ!!』




『幼馴染みが可愛すぎるんです!』




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ダイヤ「」

ダイヤ「はっ!」

ダイヤ「いや、これは、あれですよね。幼馴染みが可愛いから変な殿方に捕まらないか心配だ、とか……」



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『まず、子犬のように戯れてくるその無邪気さ!!』



『練習終わりだと、汗の香りでんもぉ、最高だヨーソロなぁぁっ!!!』



『何度それで昇天かけたことか……』

『まさに天使!』

『私たちを天へと導く天使だね!』

『しかし、その実態はーー』



『それとは反比例するようにたわわに実ったその身体っ!!』

『小悪魔ボディィィィィっ!!』



『カァァァッ、もうあれですよね!?』

『これは誘ってるんですよね!?』

『一緒に魚たちのパーティー楽しんじゃっていいんですよね!?』



ーーーーーー




ダイヤ「やベェですわっ!!」

ダイヤ「変態ですわ!!」



ダイヤ「……ま、まさかこんな危険人物が……」

ダイヤ「この変態の幼馴染みが心配ですが……」

ダイヤ「……一体どこの誰なのでしょうか」

ダイヤ「学院の生徒……案外わたくしの近くにいたりして……」ブルッ

ダイヤ「は、ははは、まさか、そんなわけ……っ」

ダイヤ「……ん? まだ、続きが……」

ーーーーーー


『でも、彼女は危うさもあってね』

『ほら』

『いっつも普通だ普通だって、自分のこと卑下してさ』



『たぶん、私のせいなんだけどね』



『私、昔から要領ばっかりよくて』

『たぶんそれで嫌だなって思われちゃったのかも……』


ーーーーーー



ダイヤ「あっ、なんだかシリアスな雰囲気になりましたわね」

ダイヤ「……ふむ、もしかしたら、こちらが本当の悩みというものでしょうか」



ーーーーーー


『と、そう思ってたのはちょっと前までの話』

『幼馴染み……まぁ、かりに千歌ちゃんとするけど』



『千歌ちゃんは私を嫌ってなんかいなかった!』

『むしろ、終バスもないのに、私に会いに来てくれるレベルで愛されてる!』



『もう、これは相思相愛!』

『ふへへへ……ヨーソロなぁ』

『あぁ、また二人でステップ練習したいなぁ、『夜の』ステップ練習したいなぁ』


ーーーーーー



ダイヤ「」


ーーーーーー



『「あんっ、youちゃん、ダメだよぉ……///」』

『フフフッ、そんなこと言って……こんな時間にまで、私のこと考えて来ちゃうくらい、私のこと……』イケボ

『「っ……は、はずかしいよ……」』

『まったく、千歌ちゃんはいやらしい娘だね』イケボ

『甘い声で、甘く熟したその身体で』イケボ

『私を誘惑してくるなんて』イケボ

『「……っ、そんなことっ///」』

『フフフッ、口ではそう言ってても、身体は正直だよ』

『「ひゃぁんっ///」』



『…………千歌ちゃん、欲しいんでしょ?』

『「うんっ、ちか、youちゃんがほしいよぉ……///」』



『フフフッ』

『……いいよ、新しいステップじゃなくてさ』



『二人で新しい世界を作ろう』イケボ



『「youちゃんっ、抱いてっ!!」』




『カァァァ、ヨーソロなぁぁぁっ!!』



『あ、というわけで』

『幼馴染みが可愛すぎるから、毎日困ってるんだ!』

『どうしたらいいかな、ダイヤさん?』



ーーーーーー



ダイヤ「……………………」

ダイヤ「…………」スッ

ーーーーーー




『通報しました』




『黒澤ダイヤ』




ーーーーーー

ーーーーーー



その数日後。
Aqoursメンバーの渡辺曜が数日間、学校に出席をしないという出来事が発生した。

この事が今回のCASEと関係するかは謎である。

しかし、渡辺曜がいない数日間は、高海千歌の私物がなくなる事件は激減したという。



こうして、また一件。
生徒の悩みを解決した仕事人、黒澤ダイヤ。

彼女の仕事はまだまだ終わらない。



続く。



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本日はここまで。
前回がガチ百合だったので、その反動だと思います。
ひどいです。

許せる方はお付き合いいただけると幸いです。

本日少しだけ更新予定。

CASE2



ダイヤ「前回はあまり消化できませんでしたからね」

ダイヤ「今日は、ドンドン解決していきましょう」

ダイヤ「まずは……」ガサゴソ



ダイヤ「これ、ですわね」



ダイヤ「……ふむ。前回とは違い、怪しい雰囲気もありません」

ダイヤ「むしろ、可愛らしい封筒に入っていますから、まぁ、大丈夫でしょう」

ダイヤ「さて……」

ーーーーーー


『おねえちゃんへ』

『おしごと、おつかれさまです』

『ルビィです』


ーーーーーー



ダイヤ「って、あら。ルビィから?」

ダイヤ「ふふっ、まったくあの子は……」

ダイヤ「匿名の意味を理解しているのでしょうか?」

ダイヤ「ま、妹とは言え、ルビィも浦の星の生徒ですからね」

ダイヤ「困り事があるなら、聞きましょう」



ーーーーーー


『えっと、おねえちゃん、いつもいそがしいから……』

『いつ、読んでもいいからね?』


ーーーーーー



ダイヤ「はいはい。分かりましたわ」フフッ

ダイヤ「それで、ルビィはなぜここに投書を?」



ーーーーーー


『それでね?』

『ルビィ、おねえちゃんに聞いてほしいことがあるんだ』

『それはね』




『友だちに黒魔法をかけられてるの』




ーーーーーー



ダイヤ「は?」


ーーーーーー


『あ、ちがうよ!』

『善子ちゃんじゃないよ! ちがうからね!』

『ぜったいぜったいちがうよ!』


ーーーーーー



ダイヤ「……………………」

ダイヤ「…………まぁ」

ダイヤ「とりあえず読み進めましょう」



ーーーーーー


『えっと、そのね……かりにY子ちゃんって呼ぶけど……』

『Y子ちゃんはね、ルビィのお友だちで……とっても仲よしなんだ』

『休み時間ははなまるちゃんとY子ちゃんとおしゃべりしたり、お昼休みはいっしょにお昼ごはん食べたりするんだ』

『とっても大切なお友だちだよ』


ーーーーーー



ダイヤ「まぁ、はい」

ダイヤ「色々と突っ込み所は多いですが、いいでしょう。ルビィが友達と仲良くしていることは分かります」


ーーーーーー


『でも、そのY子ちゃんは変わった趣味があって』

『Y子ちゃんはね』



『堕天使になりきることがあるの』



『それで、たまに黒魔法をかけてくるんだ』



ーーーーーー


ダイヤ「話がずいぶん飛びましたわね」

ダイヤ「いや、あの子のことですから、まぁ、よくあることではありますけど」

ダイヤ「それで、どんな……く、黒魔法?を……?」



ーーーーーー



『えっと』

『ルビィの中のうちなるジンカク?を呼び覚ます黒魔法だったかな?』

『たしかーー』



『ーールビッチを覚醒させるって』



ーーーーーー



ダイヤ「…………?」ハテ

ダイヤ「…………」スマホポチポチ

ダイヤ「…………」ポチポチ



ダイヤ「っ///」ボンッ


ダイヤ「破廉恥ですわっ!!!!」バンッ



ダイヤ「な、ななな、なんですか、これはっ///」

ダイヤ「る、ルビィが、このようなことを言うなんて……っ!!」

ダイヤ「っ、今すぐ返事を書かなくてはっ!!」



ーー ハラリ ーー



ダイヤ「って、あら?」

ダイヤ「この如何にも、善子さんが使いそうな真っ黒な封筒……」

ダイヤ「…………」ガサゴソ

ーーーーーー



『友達に黒魔法をかけたら、実現しちゃったの!?』

『助けて、ダイヤさんっ!!』



ーーーーーー



ダイヤ「…………え?」

ダイヤ「っ」ガサゴソ



ダイヤ「……っ!!」



ダイヤ「も、もう1通……さっきのルビィ封筒と同じ封筒が……」ブルブル

ダイヤ「……くっ!」



ダイヤ「ええい!!」バッ



ーーーーーー



『さいきん、Y子ちゃんとよくあそぶんだけどね』



『Y子ちゃん、すぐクタクタになっちゃうんだぁ?』



『おねがい、もうやめてって、真っ赤な顔で、トロトロになっちゃってるの?』

『えへへ♪』

『うーん』

『どうやったら、Y子ちゃんをもっとた~~っぷりかわいがれるかなぁ?』



『ねぇ、おねえちゃぁ♪』

『おうちにかえったら、ルビィにおしえてください』

『もちろん……』




『か・ら・だ・で?』




ーーーーーー

ーーーーーー



『さいきん、Y子ちゃんとよくあそぶんだけどね』



『Y子ちゃん、すぐクタクタになっちゃうんだぁ』



『おねがい、もうやめてって、真っ赤な顔で、トロトロになっちゃってるの?』

『えへへ♪』

『うーん』

『どうやったら、Y子ちゃんをもっとた~~っぷりかわいがれるかなぁ?』



『ねぇ、おねえちゃぁ♪』

『おうちにかえったら、できの悪いルビィにおしえてください』

『もちろん……』




『か・ら・だ・で?』




ーーーーーー


ダイヤ「」

ダイヤ「」

ダイヤ「」

ダイヤ「」スッ

ーーーーーー




『勿論ですわ』




『黒澤ダイヤ』




ーーーーーー

ーーーーーー



週末。
Aqoursメンバー黒澤ルビィと黒澤ダイヤは練習に姿を現さなかった。

この事と今回のCASEとの関連は、未だ解明されていない。

ただ、余談ではあるが。
この数日後、津島善子の家には、一粒五千円の高級苺と海外限定のチョコレートが送られてきたそうである。



こうして、また一件。
生徒の悩みを解決した仕事人、黒澤ダイヤ。

彼女の仕事は続く。
悩める生徒がそこにいる限り。



続く。



ーーーーーー

短いですが今日はここまで。
レス感謝です。

本日更新予定。

CASE3



ルビィ「じゃあ、がんばってね! おねえちゃぁ♪」

ダイヤ「ええ」



ーー バタンッ ーー



ダイヤ「…………ふぅ」ツヤツヤ

ダイヤ「仕事を進めてしまいましょう」ツヤツヤ

ダイヤ「…………」

ダイヤ「『片付けてね☆BOX』の中身も、少しずつではありますが、減ってきましたね」

ダイヤ「まぁ、元々そこまで大変な学校でもありませんから……」



ダイヤ「さぁ、本日は……」ガサゴソ

ーーーーーー


『お仕事お疲れ様』

『いつも皆のためにたくさん働いてくれてありがと』

『でも、あんまり無理しちゃダメだよ?』


ーーーーーー



ダイヤ「はい。ありがとうございます」

ダイヤ「フフッ、こうやって労っていただけると、嬉しいですわね」

ダイヤ「勿論! そう言われたくてしていることではありませんけれど」



ーーーーーー


『と、そう言って早々で悪いんだけど……』

『私も相談があるんだ。聞いてもらってもいいかな?』

『疲れてる時は、読まなくてもいいからね』


ーーーーーー



ダイヤ「いいえ! わたくしはこの浦の星生徒会長ですもの!」

ダイヤ「浦の星の生徒が困っているのならば、聞かないわけには参りません!!」



ダイヤ「その相談、お受けしますわ!」ババンッ


ーーーーーー


『……………………』

『…………いいかな?』

『ここまで読んでくれたってことは、乗ってくれるんだね』

『ありがと、ダイヤ』


ーーーーーー



ダイヤ「お任せください」

ダイヤ「それで、相談というのは……」



ーーーーーー



『相談……うん』

『えっと、少し恥ずかしいことだから……』

『その……』



『誰にも言わないでよ……///』



ーーーーーー



ダイヤ「勿論ですわ!」

ダイヤ「投書の内容は投稿者の方にしかわからない方法で回答しますからね」

ダイヤ「…………匿名なのに、どうやって回答しているのかは触れてはいけませんよ?」



ーーーーーー



『ま、ダイヤだからね』

『その辺は信用してるよ』

『…………それで、実はさーー』





『最近、どうしても倒せない敵が現れたんだ』




ーーーーーー



ダイヤ「はい?」



ダイヤ「敵……?」

ダイヤ「えぇと……なんでしょう?」



ダイヤ「……ああ! ゲームの話ですか!」ポンッ



ダイヤ「そう言えば、善子さん辺りもよくそんな話をしていますね」

ダイヤ「なるほど。倒せない敵、ですか」

ダイヤ「……残念ながら、そういったことはわたくしよりも善子さんに聞いた方がーー」



ーーーーーー


『え?』

『あ、ゲームの話じゃないよ?』

『現実の話』

『はは、流石にこんなところにゲームの話を投書したりしないってば!』

『いやぁ、自分でも精進が足りないなぁとは思うんだけどね』

『それにしても、まさかーー』



『ーー私の真空飛び膝蹴りを受けても倒れないなんてね』



ーーーーーー


ダイヤ「!?」


ーーーーーー



『その上、ツームストンパイルドライバーを受けても起き上がってくるんだよね』

『うーん?』

『思いっきり大理石の床に叩きつけてやったんだけどなぁ』



ーーーーーー



ダイヤ「!?!?!?」


ーーーーーー


『いや、私もね?』

『流石に、自分がこの世で1番強いとか、そんな大それたことは考えないよ?』

『私もただの女子高生だからねぇ』


ーーーーーー


ダイヤ「いえ、あの……そもそも、やっていることが……完全に人としてアウトなのですが」


ーーーーーー



『せいぜい山から降りてきた冬眠明けの熊を撃退できる程度の強さだよ』



ーーーーーー



ダイヤ「( ; ゜Д゜)」

ダイヤ「いやいやいやいや」

ダイヤ「人としてアウトというか」



ダイヤ「人外ですわっ!!!!」



ダイヤ「冬眠明けの熊って!?」

ダイヤ「かなり狂暴なやつですわよね!?」



ーーーーーー


『いやぁ、お恥ずかしい』

『あの時は体も乾いてたからね。撃退で精一杯だったんだよ』

『水の中ならセイウチを拳圧で吹き飛ばすのだって、朝飯前なんだけどさ!』



ーーーーーー



ダイヤ「」

ダイヤ「え? 浦の星にこんな危険人物がいたんですか?」

ダイヤ「何者ですか、この方は……」

ーーーーーー


『あぁ、ごめんごめん』

『本題から逸れたね』

『とにかく、最近現れたその人が中々の強敵なんだ』

『地面を軽く割る程度の突きなら、庭掃除ようの竹ボウキでいなされちゃうし』

『そこで、ダイヤに相談!』




『どうやったら、この人を倒せるかな?』




『あ、顎揺らしたり間接技とか絞め技の類いも効果はなかったよ』

『一応参考までに』


ーーーーーー



ダイヤ「………………」

ダイヤ「…………」スッ

ーーーーーー



『い、色仕掛けとかどうでしようか』




『黒澤ダイヤ』



ーーーーーー

ーーーーーー



ダイヤ「ふぅ、完璧な回答ですわね」ニッコリ

ダイヤ「さて、次は……」



ダイヤ「ん? この字は見覚えが…………っていうか、これ、鞠莉さんからですわね」



ダイヤ「えぇと……?」ガサゴソ

ーーーーーー



『最近、ウチのメイドと果南のせいで、Gardenと大理石の床が穴だらけになるんだけど』

『どうしたらいいかしら(´・ω・`)』



ーーーーーー


ダイヤ「……………………」

ダイヤ「…………」

ダイヤ「……」スッ

ーーーーーー



『い、色仕掛けとかどうでしようか』




『黒澤ダイヤ』



ーーーーーー

ーーーーーー



翌週月曜日。
Aqoursメンバー松浦果南と小原鞠莉が腕を組んで登校するところを、複数の学院生に目撃されている。

この事は、恐らく今回のCASEと何らかの関係があると思われるが、その詳細は明らかとなってはいない。

同時期に、毎晩小原家から聞こえてきた爆音が全く聞こえなくなったらしいが、それとの関連も未だに解明されてはいない。



こうして、また一件。
生徒の悩みを解決した仕事人、黒澤ダイヤ。

彼女の仕事は終わる気配がない。
彼女の救いを求める者は数多く残されているようである。



続く。



ーーーーーー

今日はここまで。
こんなアホなスレなのに……。
レス感謝です。

本日更新予定です。

CASE4



ダイヤ「さぁ、本日も片付けていきましょう」スッ

ダイヤ「…………」ピタッ

ダイヤ「………………いえ」

ダイヤ「最近の悩みは、そう……偶然です!」



ダイヤ「毎回毎回、あんなに濃い内容が入っているはずがありません!」



ダイヤ「そう。偶然、偶然ですわ」

ダイヤ「フフッ、わたくしも変に用心深いんですから……」

ダイヤ「気楽に、気楽に、考えましょう」

ダイヤ「そう! 鞠莉さんのように!!」

ダイヤ「…………さて、今日のお悩みはーー」

ーーーーーー



『最近、幼馴染の部屋の警備が強化されてしまいました』

『これじゃあーー』




『ーー補給できないんだヨーソロなぁぁぁぁ!!!』




ーーーーーー




ダイヤ「」



ダイヤ「……はっ!」

ダイヤ「ふぅ、なぜか眠ってしまっていたようですわ」

ダイヤ「きっと疲れていたんでしょう」

ダイヤ「今日はこの1通だけにしておきますか」ガサゴソ

ダイヤ「えぇと……?」

ーーーーーー


『こんにちは! ダイヤさん!』

『あんまり言えない悩みもここに入れれば、相談に乗ってくれるって聞いて……』

『ち……私の悩みも聞いてくれますか?』


ーーーーーー



ダイヤ「……すっかりこの『片付けてね☆BOX』も、生徒の間で浸透してきたようですね」

ダイヤ「……ふむ」



ダイヤ「勿論ですわ!」



ダイヤ「わたくしは生徒会長ですから!」

ダイヤ「浦の星のすべての生徒の悩みは、このわたくしがお聞きします!」



ーーーーーー


『えっと……』

『手紙だから返事はもらえないから、その……書いていきますね』

『ダイヤさんからしたら、大した悩みじゃないと思うし』

『つまんないことで悩んでるんだなって思われちゃうかもしれないんですけど』




『私、自信がないんです』




ーーーーーー



ダイヤ「自信がない……ですか」

ダイヤ「それは……?」

ーーーーーー


『私の周りって、とっっっってもすごい人が多いんです』

『昔から高飛び込みが得意で、みんなの人気者の幼馴染とか』

『すっごく綺麗でピアノも弾ける東京から来た女の子とか』

『スポーツが得意で、しっかり者の頼れるお姉ちゃんみたいな子とか』

『それからーー』



『なんでもできる生徒会長とか』



ーーーーーー



ダイヤ「……これ」

ダイヤ「もしかして……?」



ーーーーーー


『そんな中で、私がそんな子達のリーダーなんてやってるんです』

『あはは……なにかの間違いだと思うんだけどね』

『ただの言い出しっぺだから』

『そんな理由だけで、リーダーやってて』

『……だから』



『ねぇ、ダイヤさん』

『私、ほんとにAqoursのリーダーでいいのかな?』



ーーーーーー



ダイヤ「………………」

ダイヤ「…………」スッ

ーーーーーー



「………………」

「……もしもし?」

「これから、生徒会室に来てください」

「はい」

「今すぐに、ですわ」



ーーーーーー

ーーーーーー



ーー コンコン ーー

ダイヤ「どうぞ」



千歌「し、失礼します!」



ダイヤ「すみませんでした。いきなり呼び出してしまって」

千歌「ううん! 練習も一段落したから大丈夫です!」

ダイヤ「……練習も行けず、ごめんなさい」

千歌「あ、ううん! みんな、ダイヤさんが忙しいの分かってるから!」

ダイヤ「そう言ってくれると、助かりますわ」


千歌「えっと……それで、千歌になにか用ですか?」

ダイヤ「…………えぇ。実は……」ガサゴソ



ダイヤ「こんな、お悩みがわたくしのところに届いたんです」スッ



千歌「っ」

ダイヤ「千歌さん……これ」



ダイヤ「貴女が書いたんでしょう?」



千歌「…………っ」

ダイヤ「…………」



千歌「……………………うん」



ダイヤ「…………そう」

千歌「読んだ、んですか?」

ダイヤ「えぇ、読みましたわ」

千歌「っ、そうですか……」


ダイヤ「…………」

千歌「えっと……あはは……」

ダイヤ「千歌さん」

千歌「っ、ごめんなさい! ダイヤさん、いそがしいのに! こんなことで困らせちゃってごめんなさい!」

ダイヤ「千歌さん」

千歌「えっと、なし! なしでいいです! これ、持って帰りますから! その、ごめんなーー」




ダイヤ「千歌さんっ!」




千歌「っ」ビクッ

ダイヤ「逃げないで、ください」

千歌「……う、うん」

ダイヤ「…………千歌さん」

千歌「……はい」



ダイヤ「わたくしに、直接教えてもらえませんか」

ダイヤ「貴女が悩んでいること」



千歌「…………」

千歌「…………」

千歌「……さいきん、ね」

千歌「ううん。ずっと前からなんだけど、思ってたんだ」



千歌「千歌がリーダーでいいのかなって」



千歌「だって、私より可愛い子なんて、Aqoursにはいっぱいいるじゃないですか」


千歌「曜ちゃんみたいに、可愛い衣装は作れないし」

千歌「梨子ちゃんみたいに、ステキな曲だって作れない」

千歌「花丸ちゃんやルビィちゃんみたいに、キラキラしてるわけじゃないし」

千歌「善子ちゃんみたいに、皆と違うキャラだってない」

千歌「果南ちゃんほど、ダンスのキレだってよくなくて」

千歌「鞠莉さんよりグイグイ引っ張っていく力も弱いから」

千歌「それに、千歌はーー」




千歌「っ、ダイヤさんみたいに、しっかりしてないもんっ……」

千歌「わたしは……ふつう、なんだよっ……」グスッ




ダイヤ「…………」

千歌「だからっ……じしん、なくて……」グスッ

千歌「ふつうで、なんにもないから……」グシグシ

千歌「みんな、ふまんじゃないかなって……しんぱいで……っ」

ダイヤ「…………千歌さん」

千歌「……っ、ごめんなさい……」グスッ

ダイヤ「……なんで謝るんですの?」

千歌「ダイヤ、さん……いそがしいのに……こんなっ、チカのつまんない悩み……」

ダイヤ「…………」



ダイヤ「…………えぇ、本当に」



千歌「……え?」

ダイヤ「本当に……」




ーー ギュッ ーー




ダイヤ「つまらない悩みですわ」




千歌「……ダイヤ、さん……?」グスッ

ダイヤ「…………千歌さん」ギュッ

千歌「なん、ですかっ?」




ダイヤ「貴女は確かに普通だと思います」




千歌「っ、で、ですよね……」

ダイヤ「えぇ」

千歌「こ、こんなつまんないチカじゃーー」ジワッ

ダイヤ「けれど」



ダイヤ「それが貴女のいいところなんですよ」



千歌「ふえ……?」

ダイヤ「アクの強いメンバーの中で、普通の貴女がいてくれること」

ダイヤ「それで、どれだけわたくしが救われているのか分かっていますか?」

千歌「……え? わたしが……?」

ダイヤ「はい」ニコッ


ダイヤ「それに」

ダイヤ「普通だからこそ精一杯輝こうとする」

ダイヤ「そんな貴女の姿は、きっと同じような女の子に夢を与えているのです」



ダイヤ「『私達も輝きたい』」



ダイヤ「と」

ダイヤ「だから、どうか自信を持ってください」

ダイヤ「……もし、それでも、自信が持てないというのならば、わたくしが保証しましょう」




ダイヤ「貴女は普通に可愛いですわ」ニコッ




千歌「ダイヤ、さん……っ」ジワッ


千歌「うぅぅぅぅ……」ジワッ

千歌「ダイヤさぁぁぁんっ」モギュッ

ダイヤ「……フフッ」ナデナデ

千歌「うぅぅ……」

ダイヤ「ねぇ、千歌さん。貴女は自分がリーダーでいいのか、とも言っていましたよね」



ダイヤ「正直」

ダイヤ「突然スクールアイドル部を発足させたり、ライブを強行したり、加入させられたり、海の家で働いたり」

ダイヤ「…………」

ダイヤ「千歌さんがAqoursなんて始めたせいで、予想外のことばかりで」

ダイヤ「……けれど、いえ、だから」



ダイヤ「感謝してますわ」



ダイヤ「だから、リーダーは千歌さん以外考えられません」

ダイヤ「わたくしは、貴女がリーダーを務めるAqoursだから入ったのですから」



千歌「う、うぅぅ……」グスッ



千歌「ダイヤさぁぁぁんっ!!」モギュゥゥゥ

ダイヤ「フフッ、よしよし」ナデナデ



ーーーーーー

ーーーーーー



「千歌ちゃんとダイヤさんが抱き合っている、だと……?」

「み、みみみ……」




「認められないヨーソロナァァァァ!!!」




ーーーーーー

ーーーーーー



翌日から。
Aqoursメンバー高海千歌が黒澤ダイヤに昼の弁当を作ってくるようになった。
さらに、休み時間の度に3年生の教室に来訪し、熱の込もった視線を彼女に送っているという報告が上がっている。

この事は、今回のCASEと密接な関係があるが、当の本人は未だに気付いてないようである。

今回の件とは無関係であると思われるが、近頃、黒澤家に侵入を試みようとする何者かがいるらしい。



こうして、また一件。
生徒の悩みを解決した仕事人、黒澤ダイヤ。

彼女の仕事は終わらない。
しかし、彼女の仕事は確実に誰かの心を救っているのである。



続く。



ーーーーーー

今日はここまで。
ようちかもダイちかも大好物です。

明日更新予定。

前回は申し訳ありませんでした。
本日8時くらいから更新します。

CASE5



『恐ろしいことを知ってしまったずら』




ーーーーーー



ダイヤ「もう、これ、匿名の意味ありませんわね」

ダイヤ「……まったく。いくら田舎とはいえ、こんな語尾は一人しかいないでしょうに……」

ダイヤ「まぁ、いいですわ。花丸さんの悩み、お聞きしましょう」



ーーーーーー



『本当はダイヤさんに伝えるべきかどうか悩んだんだ』

『だけど、やっぱり知ってた方がいいと思ったから』

『ダイヤさん自身のことだから』



ーーーーーー



ダイヤ「?」

ダイヤ「なんのことですの?」

ダイヤ「わたくし、自身のこと……?」

ダイヤ「一体なにかは分かりませんが、何故花丸さんがわたくし自身のことを知っているのでしょうか?」

ーーーーーー



『ダイヤさんはいんたーねっとって知ってるずら?』



ーーーーーー



ダイヤ「はあ……」

ダイヤ「この現代社会においては、知ってて当たり前のことでしょう」

ダイヤ「勿論、便利な一方で、注意して使わなくてはならない代物ではありますが……」

ダイヤ「……はて、花丸さんはなぜこんな質問を……?」



ーーーーーー



『いんたーねっと、っていうのは、世界中のありとあらゆる情報が集まってるところなんだ』

『まるで、知識の海!』

『本を読むのが好きなまるからしたら、いつどんなときでも色んなことがわかって』



『未来ずら~~♪』



ーーーーーー



ダイヤ「……なるほど」

ダイヤ「フフッ、そういえば花丸さんは機械に疎かったですからね」

ダイヤ「きっと、インターネットで怖い話でも見つけてしまったのでしょう」

ダイヤ「それを誰かに伝えたかった」

ダイヤ「そんなところでしょうね」



ダイヤ「フフッ」

ダイヤ「仕方がありませんわ。わたくしが聞きましょう」

ダイヤ「可愛い後輩からの投書ですからね」



ダイヤ「ん?」

ダイヤ「そういえば、わたくし自身のこと……ってーー」


ーーーーーー



『まるが知ってしまった恐ろしいこと』

『善子ちゃんの家でいんたーねっとを見てて判明したこと』

『それはーー』





『善子ちゃんがダイヤさんの妹』

『黒澤サファイアだということずらっ!!』




ーーーーーー


ダイヤ「…………」

ダイヤ「は、はい?」



ーーーーーー



『そう』

『時は15年前に遡るずら』

『黒澤家で起きた御家騒動。それに巻き込まないように、生まれたばかりの赤ん坊が分家に預けられたんだって』

『その娘は、抗争に巻き込まれないように、そして、もしもの時の為に本家の血を絶やさないように、黒澤とは関係のない一般人として育てられているらしくて』

『……ここまで言えば、分かるよね』



『そう』

『その娘の名前は、黒澤サファイア』

『今の名前は、津島善子』



『それが真実ずら』



ーーーーーー



ダイヤ「…………頭が痛くなってきましたわ」

ダイヤ「よくこんな出鱈目を信じましたね……」

ダイヤ「証拠もないのに……」



ーーーーーー



『きっと、ダイヤさんのことだから、証拠もないのに、っていうと思うんだ』

『だから、証拠の写真も入れておいたずら』



ーーーーーー



ダイヤ「え?」

ダイヤ「…………」ゴクリ

ダイヤ「いや、いやいや……まさか!」

ダイヤ「…………」ガサゴソ



ダイヤ「っ!」バッ

ーーーーーー




『雑コラ画像』

『ね?』




ーーーーーー




ダイヤ「はっ!!」バシィィィン




ダイヤ「ちょっとドキドキして損しましたわっ!!」

ダイヤ「完全に雑コラではありませんか!」

ダイヤ「これに比べたら、かよちんの武器コラ画像の方が何倍もましですわ!」

ダイヤ「やっつけ仕事にもほどがあります!」

ダイヤ「あぁぁぁぁ、まったくもうっ!!」



ダイヤ「……はぁ、はぁ……」ゼェゼェ



ーーーーーー



『分かってもらえたかな……』

『うん。動揺するのは分かるずら』

『まるもはじめて知ったときは、ビックリして、七時間しか寝れなかったから』

『ダイヤさんの気持ちは分かるよ』

『だからーー』



ーーーーーー



ダイヤ「…………」スッ

ーーーーーー



『情報の授業をしっかり聞いてください』

『メディアリテラシーを身に付けましょう』



『黒澤ダイヤ』



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CASE5'



『恐ろしいことを知ってしまったずら』

『今度はほんとだよ!』




『実はルビィちゃんが梨子ちゃんの妹』

『桜内林檎だってことずら!!』




ーーーーーー




ダイヤ「あぁぁぁぁ、もうっ!!」

ダイヤ「まったくもうっ!!」




ーーーーーー

ーーーーーー



翌日。
Aqoursメンバー国木田花丸は、黒澤ダイヤからの特別講義を受けた。

しかしながら、国木田花丸のメディアリテラシーは向上しなかったため、その後も続々と偽の情報を信じ込んでいたようである。

また、今回のCASEを経て、津島善子の黒澤ダイヤへの態度並びに黒澤ルビィの桜内梨子への態度に若干変化があったようであるが、その件に関しては後に追記することとする。



こうして、また一件。
生徒の悩みを解決した仕事人、黒澤ダイヤ。

彼女の仕事は終わらない。
彼女の服用する胃薬の量も増える一方である。



続く。



ーーーーーー

ーーーーーー



ルビィ「えへへ、おねぇちゃぁ♪」

「フフッ、かわいいわね」

ルビィ「おねぇちゃぁのおひざ、きもちぃ」

「……ねぇ、ルビィちゃん?」

ルビィ「ぅゅ……なぁに?」




「お姉ちゃんのこと、好き?」

ルビィ「うん♪」




「そう」




メノ^ノ。^リ「フフフフ……」




ーーーーーー



次回。
『梨子、襲来』



ーーーーーー

今日はここまで。
レス感謝と更新遅くて申し訳ないです。
次の更新で最終回を予定してます。
もう少しだけお付き合いください。

本日更新予定です。

CASE6




梨子「お願いです、ダイヤさん!」

梨子「私を助けてください……」




ダイヤ「梨子、さん……?」


ーーーーーー



ここで紹介する最後の依頼。
それは、黒澤ダイヤと同じAqoursメンバーから持ち込まれたものだった。

目を涙で潤ませながら、生徒会室へ駆け込んできた彼女。
その姿を見て、我らが生徒会長ーー黒澤ダイヤは、二つ返事で頷いた。



「勿論ですわ」



と。

その内容が如何なるものであろうと構わない。
浦の星の生徒、まして、同じグループの仲間の涙を見過ごすことなど、彼女には出来なかった。


そう。
彼女の意気込みが、あんな悲劇を招くとは、この時誰も想像すらしていなかった。



ーーーーーー

ーーーーーー



ダイヤ「……記憶がなくなっている、ですか?」



梨子「……はい」

ダイヤ「詳しく、教えてもらえますか?」

梨子「…………えぇと」


梨子「なぜか私、記憶がないときがあるんです」

梨子「……大体1週間に一回くらいなんですけど……」

梨子「どこにいたのか、何をしてたのか、全然覚えてなくて」


ダイヤ「……ふむ」

ダイヤ「ここ最近だと、いつあったんです?」


梨子「……最近だと、えっと……1週間くらい前かな」

梨子「その日、ルビィちゃんとお出掛けの約束をしてたんです」


ダイヤ「ルビィと?」


梨子「はい。えっと、前から約束してたんですけど、朝から沼津の方まで出て、お洋服とか、ルビィちゃんが好きなお菓子屋さんとか色々回ったんです」


ダイヤ「あぁ、あの日ですか。珍しくルビィが向こうまで出てくると、朝から出掛けた日ですわね」


梨子「……うん。ルビィちゃんもすごく楽しんでくれて……」



梨子「でも、その日の夕方から次の日の朝までの記憶」

梨子「そこだけが抜け落ちてるんです」



ダイヤ「…………」


ダイヤ「…………ルビィには?」

梨子「勿論、聞いてみました。でも……」

ダイヤ「でも?」



梨子「……ルビィちゃん、微笑むだけで教えてくれなくて……」




ダイヤ「…………ルビィが?」

ダイヤ「……………………」

ダイヤ「……………………」



ダイヤ「…………あっ」



ダイヤ「…………あー」

梨子「ダイヤさん?」

ダイヤ「……えぇと、ですね……。梨子さん」

梨子「? なんですか?」

ダイヤ「少し参考までにお訊ねしたいのですがーー」



ダイヤ「ーーその時、記憶がなくなっていると気付いた場所はどこですか?」

梨子「っ///」




ダイヤ「…………」

梨子「……あ、そのっ/// えっとっ!!」

ダイヤ「教えてください」

梨子「そ、の……っ」




梨子「……そういう……ホテル、です……///」




ダイヤ「はい。だと思いましたわ」


ダイヤ「……梨子さん、貴女がなぜ記憶がなくなっているのか大体察しがつきましたわ」

梨子「え……?」

ダイヤ「大丈夫。貴女は正常ですわ」

ダイヤ「…………むしろ、異常なのはルビィの体力の方ですから……」ボソッ

梨子「そ、それって、一体……?」

ダイヤ「……いえ」



ダイヤ「とにかく、梨子さんは記憶喪失でも、まして病気でもありませんわ」



梨子「!」

ダイヤ「一時的なショックで、その前後の記憶が飛んでしまうという類いのものでしょう」

梨子「ショック……?」

ダイヤ「……ショック、というか……快感というか……」

ダイヤ「はぁぁ……原因を今、呼びますわ」ポチポチ

ーーーーーー



『今すぐ生徒会室に来なさい』

『大至急ですわ!』



『黒澤ダイヤ』



ーーーーーー


ダイヤ「……これで、よしと」

梨子「えっと、ダイヤさん……その私の記憶は結局なんでなくなってたんでしょうか?」

ダイヤ「…………」

ダイヤ「……そうとうハードなことをされたんでしょうね」ボソッ

梨子「……え?」

ダイヤ「い、いえ! なんでもありませんわ! ルビィを問い質せば分かりますから、あまり焦らないでください」

梨子「で、でも!」



ダイヤ「り、梨子さん!」アセアセ

梨子「は、はい!」ビクッ

ダイヤ「そういえば、そのホテルというのは、もしかして鞠莉さんのところのものですか……?」

梨子「あっ、は、はい……///」

ダイヤ「そ、そうですか」


ダイヤ「……ルビィ、鞠莉さんまで落としているですか……はぁぁ」


梨子「あの……ダイヤさん?」

ダイヤ「……えぇと、少し待っていてくださいな。もうすぐ来るはずですから」

梨子「は、はい!」

ダイヤ「そうですわ! お茶、飲みます? 少し待っていてくだされば、御淹れしますわよ」

梨子「い、いえ! 相談に乗ってもらってお茶まで淹れてもらったら、申し訳ないですよ!!



梨子「そうだ! むしろ、私、淹れてきますね!」パタパタ



ダイヤ「あっ!」

ダイヤ「……行ってしまいましたね」

ダイヤ「御言葉に、甘えてしまいましょうか」

ダイヤ「仕事の方も溜まっていましたしね」

ダイヤ「……さて、ルビィが来るまでに少しでも片付けてしまいましょう」ガサゴソ




ーー パラッ ーー




ダイヤ「あら?」

ダイヤ「…………この封筒は? 前に善子さんが出してきたものと同じもののようですけれど」

ダイヤ「……中身は?」

ーーーーーー



『友達に黒魔法をかけたら、実現しちゃったの!?』

『お願い!』

『助けて、ダイヤさんっ!!』



ーーーーーー


ダイヤ「え?」

ダイヤ「この間と同じ……いえ、若干違いますわ」

ダイヤ「……と、いうことは……善子さんはルビィ以外にも……?」




ーー バタンッ ーー




ダイヤ「っ」ビクッ

ダイヤ「だ、だれですの!?」バッ



ルビィ「おねぇちゃぁ……えへへ♪」



ダイヤ「ル、ルビィっ!!」

ルビィ「なぁに? だいしきゅうって」

ルビィ「もしかしてーー」




ルビィ「ーーシていいのぉ……?」エヘヘ




ダイヤ「っ、しくじりましたわっ、今はわたくし1人……このままではっ!!」

ルビィ「おねぇちゃぁ♪」

ダイヤ「くっ!?」




ーー コトッ ーー



梨子「お待たせしました、ダイヤさん」

梨子「……ルビィちゃんも」



ダイヤ「梨子さんっ!!」

ルビィ「ぅゅ?」

ダイヤ「助かりましたわ! 梨子さん、手伝ってください!」

梨子「……? 手伝う、ですか?」

ダイヤ「えぇ! 今のルビィは正気を失っていますわ。善子さんがかけたというまじないのせいで」

梨子「…………へぇ」

ダイヤ「恐らくですが、梨子さんの記憶の欠落の原因も、この状態のルビィのせいでしょう!」

梨子「…………」

ダイヤ「ですから、まずは二人でルビィを押さえつけましょう!!」

梨子「…………」

ダイヤ「って、梨子さんっ!! 聞いてますか!?」




梨子「…………」

梨子「ねぇ、ルビィちゃんはどうしたいの?」




ダイヤ「…………え?」

ルビィ「ぅゅ……ルビィは、『おねぇちゃぁ』の言うとおりにすゅよ///」

梨子「…………そう」

ーーーーーー




メノ^ノ。^リ「フフ……いい娘ね」




ーーーーーー




ダイヤ「っ!?」ゾワッ



ルビィ「ぇへへ」ガシッ

ダイヤ「っ、ルビィ!?」

ルビィ「ごめんね、おねぇちゃぁ? ルビィ、『おねぇちゃぁ』におねがいされたの」



ルビィ「おねぇちゃぁをトリコリコにしよ、って♪」



ダイヤ「ーーーーっ!?」




ーーーーーー



『なぜか私、記憶がないときがあるんです』

『……大体1週間に一回くらいなんですけど……』


『友達に黒魔法をかけたら、実現しちゃったの!?』


『……善子さんはルビィ以外にも……?』


『お待たせしました、ダイヤさん』

『……ルビィちゃんも』


『ぅゅ……ルビィは、『おねぇちゃぁ』の言うとおりにすゅよ///』


『フフ……いい娘ね』



ーーーーーー




ダイヤ「そういうこと、ですか」

ダイヤ「繋がった……脳細胞がトップギア、ですわ」



ダイヤ「梨子さん……貴女は、善子さんにまじないをかけられていた」

ダイヤ「そう。ルビィと同様に」

ダイヤ「そして、それは1週間に一回、発症するようになっていたのですわ!」

ダイヤ「……前回からちょうど1週間。それが今日……」



ダイヤ「つまり、ここに入ってきたときから、既に発症していたのですね!!」




メノ^ノ。^リ「流石、ダイヤさん。その通りですよ」

ダイヤ「くっ、ルビィは……!」

メノ^ノ。^リ「大丈夫ですよ。この間、私が襲われて、返り討ちにしただけですから」

ダイヤ「っ」

メノ^ノ。^リ「目的を果たしたら、皆解放します。勿論、ダイヤさんも」ニッコリ




ダイヤ「くっ、身体を弄ばれようとも、この心までは決して屈しませんわ!!」キッ








「らめぇぇ、ですわぁぁぁぁっっ」





ーーーーーー

ーーーーーー



浦の星女学院生徒会長。
黒澤ダイヤ。



成績優秀。
容姿端麗。
絵に描いたような優等生であり、その上、地元内浦の名士の家の長女でもある。

完璧超人。
彼女を一言で表すならば、それが相応しいだろう。


当然のことながら。
彼女は、生徒会長の職務も完璧にこなす。
そんな彼女の仕事のひとつに、生徒の悩みの解決がある。



浦の星女学院生徒会が設置した目安箱。
通称「片付けてね☆BOX」。



日々、生徒からの要望で満たされるその箱は、校内に1ヶ所と、生徒会室内にもう1ヶ所設置されている。
その内容は、非常に多岐に渡る。
蛍光灯の交換から生徒間のトラブルに至るまで、彼女は回答していくのである。

しかし、生徒会長と言えど、一生徒。
彼女には、荷が重い依頼も中には存在する。

だが、黒澤ダイヤは挫けない。

どんな無理難題であろうと、彼女は解決するのである。
砕けないその心をもって。
その名、金剛石のごとく。

彼女の活躍によって、今日も浦の星女学院は平和である。
身を粉にし、秩序と安寧を守る彼女の姿。



『必殺仕事人』



そう呼ぶに相応しいだろう。

これは、そんな彼女の記録である。
彼女の学院への奉仕のほんの一部でも留めておけたらと思う。
この記録が後世に伝えられることを願って。



ーーーーーー


文責
国木田花ーー

ーーーーーー




「え?」

「な、なにずら!?」

「みんな、なんで、まるを囲んでるの……?」

「だ、ダイヤさんまで!?」

「えっ!? ちょ、そ、そんなの、ムリだよぉぉ///」

「ま、まって、まってっ///」

「ずーー」






「ずらぁぁぁ~~っ///」






ーーーーーー fin ーーーーーー

以上で
『ダイヤ「必殺仕事人」』完結になります。

レスをくださった方
読んでくださった方
稚拙な文章・表現にお付き合いいただき、ありがとうございました。

以下、過去作です。
よろしければどうぞ。


果南「異世界に飛ばされた。百合の楽園だった」
https://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1482147488
※944にまとめあり
ほのかんさつ日記
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1447502133

次はソルゲジャー的なものか、百合ものかになると思います。
またお付き合いいただけると嬉しいです。
では、また。

http://i.imgur.com/zqI2Qlo.jpg
先原直樹・ゴンベッサ

都道府県SSの痛いコピペ「で、無視...と。」の作者。

2013年、人気ss「涼宮ハルヒの微笑」の作者を詐称し、
売名を目論むも炎上。そのあまりに身勝手なナルシズムに
パー速、2chにヲチを立てられるにいたる。

以来、ヲチに逆恨みを起こし、2017年現在に至るまでヲチスレを毎日監視。
バレバレの自演に明け暮れ、それが原因で騒動の鎮火を遅らせる。

しかし、自分はヲチスレで自演などしていない、別人の仕業だ、
などと、3年以上にわたって稚拙な芝居でスレに降臨し続けてきたが、
とうとう先日ヲチに顔写真を押さえられ、言い訳ができなくなった。

2011年に女子大生を手錠で監禁する事件を起こし、
警察に逮捕されていたことが判明している。

先原直樹・ゴンベッサ まとめwiki
http://www64.atwiki.jp/ranzers/

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