神谷奈緒「もっと近くに」 (17)

アイドルマスターシンデレラガールズ 神谷奈緒のSSです

アイドルそれぞれに担当Pがいる設定

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今日はあいにくの雨降り

あたしは担当プロデューサーが来るのを、駅の改札口で待っていた


奈緒「あ、いたいた……おーい! Pさーん」

P「奈緒!ごめん、待ったか?」

奈緒「大丈夫だよ。着く時間分かってたし」

P「そうか、安心した。毎回ごめんな。アイドルにこんな事させて」

奈緒「あ、謝らなくていいよ! もう慣れたしな」

P「慣れちゃったか……」


Pさんは申し訳なさそうに言う

慣れたと言うのはあたしの照れ隠し

まさか、Pさんと帰るのが好きだからなんて絶対言えない


奈緒「ま、そんな事はいいからさ! 事務所に帰ろうよ」

P「ん、そうだな」

駅から出ると、外はもちろん雨降り

パーカーのフードを被り、駆け出す青年

鞄を濡らさないようにと、抱きかかえながら走るサラリーマン

そして……彼氏の迎えに来たのか、傘をもう1本持っている若い女性

……あたしも、あんな風に見えたのかな?


P「奈緒、行こうか」

奈緒「うん」


Pさんはあたしが持ってきた大きな傘を開く

あたしが持ってきたのは、その傘1本だけ

そうなると、あたしたち2人は当然相合傘になる


P「わぁー、こりゃもっと酷くなりそうだなー」

奈緒「ほんとだ。向こうは真っ暗だ」

P「早めに帰らないとな」



Pさんと相合傘で帰るのが当たり前になったのはいつからだろう

初めは、加蓮と凛に無理やり行かされたんだっけ

その時はまだ、傘を2本持って行ってた

Pさんがふざけてあたしの傘に入ってきて、それから相合傘になってしまったんだ


奈緒「……」

P「奈緒? 今日はやけに静かだな」

奈緒「……! あぁいや、ちょっと考え事。なんでもないから」

P「そっか。最近どうだ? トライアドの活動もようやく波に乗ってきたけど」

奈緒「うん、頑張ってるよ。ていうか、いつも見てるだろ」

P「んん? そうだったか?」

奈緒「あたし達がレッスンしてる端っこで、凛と加蓮のプロデューサー達と3人揃ってずっと見てるじゃんか。
    特にPさんと加蓮のプロデューサーはニヤニヤしてさ」

P「あー、あれはだな。担当アイドルの成長を確かめようとしているだけだ。ニヤニヤしてはいない……はず」

奈緒「いーや! 絶対ニヤニヤしてた! 加蓮のプロデューサーなんてデレデレだったぞ!」

P「あぁ、彼は北条さんにべた惚れだから……」

奈緒「……まったく……プロデューサーなんだからしっかりして欲しいよな」

P「やっぱりさ、自分がスカウトした子だから一層かわいく見えるんだろうな」

奈緒「…………ふぅ~ん……そうなんだ」

あたしは、どう? とは聞けなかった

聞くのが怖かった


P「…………奈緒もかわいいよ」

奈緒「は……はぁ!? い、いきなりそんなこと言うなよ! ビックリするだろぉ!? ばかぁ!」

P「言ってほしそうな顔してたけどな」ニヤニヤ


不意討ちだ……

恥ずかしくて顔が赤くなるのが自分でも分かるくらい

それでも、Pさんからかわいいって言われるのは凄く……うれしい


奈緒「そ、そんな顔してない!! してないから!」

P「してたよ。顔が近いからよく見える」

奈緒「うぅ~~! 見るな~!もう離れろぉ!ばか!ばか!」

P「無理無理、相合傘なんだし…………ほら、濡れちゃうからこっちに寄りな」

奈緒「ったく! からかうなよな!……ん? Pさん、また肩濡れてる」

P「え? あぁ、いつも言ってるだろ? 気にしなくていいって」

奈緒「……うん」


相合傘の度に、Pさんの片方の肩は濡れてしまう

あたしが濡れないようにと傘を向けてくれるからだ

あぁ、守られているんだ……って安心できる

……あたしは甘えてばかり。優しいPさんにお礼の1つも言えない自分が腹立たしい

___


P「ふぅ……なんとか酷くなる前に着いたな。奈緒が来なかったら今頃どうなってたか」

奈緒「別に、そこまで大げさな事じゃないって」

加蓮「奈緒ー!」


事務所に帰ると、ちょうど加蓮と彼女のプロデューサーに出くわした

うーわ……手つないでるよ……恥ずかしい


奈緒「加蓮……なんで手をつないでるんだ?」

加蓮「ふふ~♪ 今からプロデューサーさんとデート♪」

奈緒「おいアイドル」

加蓮「なぁに? アイドル♪」

奈緒「はぁ……あんまりはしゃぎ過ぎるなよ。明日もレッスンあるんだから」

加蓮「安心して、ちょっと買い物に行くだけだしね。……奈緒はまたお迎えデート?」ニヤニヤ

奈緒「ただの迎えだ! まったく……」

加蓮「ふふっ、それじゃあまたね」

奈緒「……」

P「あの2人はほんと仲が良いよなー」

奈緒「というより、良すぎな感じがする……アイドルとプロデューサーだぞ?」

P「まぁ、良いんじゃないか? 俺は気にしないけどね」

奈緒「プロデューサーの発言じゃないなそりゃ……さすが不真面目Pさん」

P「不真面目か? 奈緒に対しては真剣だけどな」ニヤニヤ

奈緒「んなっ!? へ、変な事いうな!ばか!」

P「ハハハ! 奈緒は反応がかわいいよなぁ」

奈緒「……ばか」

P「さーて、少し休んだら来週のラジオ番組の打ち合わせだ。仕事万歳! かわいい奈緒のために頑張りますか!」

奈緒「かわいいは余計だって!」

___


P「到着いたしました、お嬢様。足元にお気を付け下さい」

奈緒「なんのマネだよ……」

P「さぁ、俺にもサッパリ分からないな。やって後悔した」

奈緒「ハハッ! ばーか」

P「アハハッ! ……それじゃあ明日も頑張ろう。お疲れ様」

奈緒「ん、Pさんも。また明日な」

P「あっと……奈緒! あとで明日のスケジュール送るから」

奈緒「うん。じゃあね。Pさん」


家に入ると毎度恒例、お母さんのからかいが始まる

だからあたしとPさんはそういう関係じゃない!

……否定する度にあたしの心が痛んだ

部屋着に着替え、ベッドに寝転がる

何もない天井

ぼんやり浮かぶのはあの人


奈緒「Pさん……」

Pさんにスカウトされてアイドルになれた。それからたくさんレッスンして、かわいい衣装を着て、ライブに出て……

ファンもいっぱい出来た。ライブの度にいっぱい応援してくれる優しい人たち

アイドルの仲間やライバルもたくさん出来た。お互い刺激し合って、アイドルとしての高みを目指していける

こんな経験が出来るのは、全部……Pさんが居てくれたから

感謝してもしきれない。ただの女の子だったあたしに魔法をかけてくれた人

あたしだけの魔法使い


奈緒「好き……」


いつの間にか芽生えた恋心

その芽は日に日に大きくなっている

いつか……花開くのかな


奈緒「……」


体を起こし、机を見るとたくさんの小物

全部Pさんがプレゼントしてくれたものだ

これは初ライブの時

これはあたしの誕生日の時

これはアイドルになって1周年の時

……どれも掛け替えのない思い出のモノ

あたしは貰ってばかりで、何もPさんには返していない

奈緒「素直じゃないよなぁ……あたし」


好意の1つも言えないなんて……

もっと素直になりたい

もっと積極的になりたい

もっとPさんに近づきたい

……


奈緒「……うぅ……くっ……うぅぅ~~」


あぁダメだ

涙が、出てきた

Pさん…………

好きになるって、こんなに苦しいんだね……

___


奈緒「…………あ……明日の予定……」


どれくらい泣いただろうか

頭は割と平静を取り戻していた

明日は昼からレッスンがある。切り替えろあたし。午前中は……なんだっけ

涙を拭いてスマホを取り出す

奈緒「午前は…………あ」


メールを確認するとPさんからの通知

明日のスケジュール表と……1つのメッセージ


奈緒「……アッハハ! Pさん、ありがとね」


《 奈緒~! 明日も一緒に頑張ろう! 超かわいい奈緒を担当する超かっこいいPより 》


奈緒「……泣いてる場合じゃないよな、Pさん。元気、貰ったよ。……またPさんから貰っちゃったね」


涙の雨はもう止んだみたい

さっきまでの曇った気持ちがウソのようだ

心はすっかり晴れ模様

___


【 翌日・事務所 】


奈緒「おはよ、Pさん」

P「おはよう、奈緒」

奈緒「……」

P「……」

奈緒「って、何か言えよ!」

P「いや、奈緒が話したそうな顔してたから」

奈緒「な、なんで分かるんだよ……」

P「長い付き合いってやつかな? 話してみな」

奈緒「……ふぅ~……」


よし、言うぞ

少しだけ素直になるんだ。がんばれ! あたし!

奈緒「Pさん!」

P「……」

奈緒「い、いつも……っ、いつもあたしと一緒にいてくれて……その、あ、ありがと」

P「うん」

奈緒「えと、あたし、素直じゃないけどさ……Pさんには本当に感謝してるから! だから……こ、これからも、ずっと一緒に……いて……?」

P「もちろん。一緒にいるよ、安心してくれ」

奈緒「わ、わかってんのか!? ずっとだぞ! ずっとなんだからな!」

P「ずっと一緒だよ。俺のアイドルは奈緒だけなんだから」

奈緒「はぁ…………まぁ、それで……いいか」

P「……もっとストレートに言った方が良かったか? でも奈緒の血圧が高くなって倒れそうだからなぁ」ニヤニヤ

奈緒「…………ばか」

P「ハハハッ! ……っと、そろそろ行くか。今日はレコード会社に営業だ」

奈緒「ん、分かった。行こう、Pさん」


少し、気が楽になったな

うやむやにされた気もするけど、多分Pさんに思いは届いているよね?

___


奈緒「なんだこの雨は……さっきまで晴れてたのに……」

P「ただのにわか雨だな。すぐ止むよ。さぁ出発だ」

奈緒「って、車じゃないのか?」

P「今日は歩きたい気分なんだ。雨降りでもね」


少し前を歩くPさんは傘を差してあたしを待っている


奈緒「……相合傘?」

P「そう、相合傘。いつもしてるだろ?」

奈緒「……じゃあ、お邪魔……します」

P「なんだよ改まって。さっきので意識した?」ニヤニヤ

奈緒「う、うるさいな! そうだよ! だって……だってさ、素直になったから……恥ずかしくて……不安で」

P「大丈夫。奈緒の本当の気持ちは伝わってるよ」

奈緒「!!」

P「さっきははぐらかしちゃったけど、ちゃんと奈緒の事は見てる。素直で優しい女の子だって事もね」

奈緒「わ、わかったから! もう恥ずかしいからやめろって~!」

P「アハハッ! 奈緒はかわいいなぁ~」

奈緒「ばか! ばかPさん!…………Pさん……」


振り絞った勇気

あたしはPさんの肩にピッタリくっ付く


P「おっ……? 奈緒、どうした?」

奈緒「……な、なんだよ。くっ付いちゃダメなのかよ」

P「……いや、いいよ」

奈緒「こ、こうすりゃ距離が近くなって、Pさんの肩が濡れないだろ? ……あ、あたしなりの、気配り……」

P「優しいね、奈緒は。ありがとう」

奈緒「……Pさんも、ありがとな。いつも魔法をかけてくれて」

P「……俺は奈緒の魔法使いだからな。これからも魔法をかけてあげるよ」

奈緒「うん!」


いつか……魔法が切れても、傘が無くても、こうしてPさんとくっ付いて歩きたいな

今はまだ……だけど、いつか、いつかね


奈緒「なぁ、Pさん」

P「ん?」

奈緒「これからは、あたしらしく攻めていくからな! 覚悟しろよな! へへっ♪」

終わりです

奈緒かわいい


依頼出してきます

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