最原「超高校級のラッキースケベ?」天海「そうっす」 ダンガンロンパV3 (968)


最囚学園、図書室……

最原「天海君、この推理小説すごく面白かったよ!」

天海「そうっすか!そう言ってもらえるとおすすめした甲斐がありましたね」

最原「僕の好みのど真ん中だったよ。凄い推察能力だね」

天海「いやいや、ただのまぐれっすよ」

最原「もしかしたら天海君の忘れてる才能って、超高校級の図書委員だったりして!」

天海「あはは、なるほど!それなら俺がこんなに図書室好きなのも納得っすね!」

最原(……天海君、楽しそうだな。最初の頃は何か隠してそうな雰囲気があったけど、僕の気のせいだったみたいだ)

最原(コロシアイ学園生活なんて言われた時は驚いたけど、あれから大分経つって言うのに誰も死んだりなんかしていない。みんな仲良く過ごしてるだけだ)

最原(きっとみんなもコロシアイなんて嫌なんだろうな………モノクマももう何も言ってこないし、このまま何事も無く過ごして行くのが一番かもな……)


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天海「……最原君、ちょっと良いっすか?」

最原「え……?な、なにかな?」

天海「実は、君に話したいことがあるっす」

最原「僕に……?一体何なの?」

天海「……俺、自分の才能を思い出したんすよ」

最原「!?」

最原「才能を思い出した!?それは良かったじゃないか!一人だけ才能が分からなくて不安がってたもんね?」

天海「ええ、それはそうなんすけど……」

最原「それで?天海君の超高校級の才能ってなんなの?」

天海「………っす」

最原「え?なに?良く聞こえなかったからもう一度……」

天海「……『超高校級のラッキースケベ』っす」

最原「」

最原「ちょ、超高校級のラッキースケベ……?」

天海「……信じられないっすよね、こんな才能……」

最原(ま、まずい!天海君が傷ついている!何とかしてフォローしないと!)

最原「そ、そんなこと無いよ!ちょっと驚いただけで、天海君を疑ってる訳じゃ無いさ!」

天海「……ホントっすか?」

最原「もちろんだよ!ほら、『超高校級の幸運』って才能もある訳だし、その亜種だと思えば納得できるさ!」

天海「……ありがとう最原君、こんな突拍子もない話を信じてくれて……」

最原(ふぅ……何とかフォローには成功したみたいだな……)

最原「それで、その才能って何ができるの?」

天海「それは……そっすね、その前に最原君に話しとかなきゃならない事があるっす」

最原「???」

天海「俺の才能……超高校級のラッキースケベは、俺自身には効果を発揮しないんすよ」

最原「え?そうなの?」

天海「ええ、この才能は俺が指定した男性に効果を発揮して、その男性の一日をラッキースケベまみれにする才能なんす」

最原(……カオスな才能だなぁ)

天海「俺はこの指定した男性のフォローに回って、その人が女性から嫌われなくするための行動をするっす。そのフォロー力が高い事から、この呼び名がつけられたんだと思うんすよね」

最原「な、なるほど……」

天海「それで物は相談なんすけど……最原君、ちょっと俺の才能の実験台になってくれないっすかね?」

最原「えっ!?」

天海「お願いしますよ、最原君以外にこんな事頼める人、俺には居ないんすから……」

最原「え、え~~っ……」

最原(……まぁ、良いか。ここで断ったら天海君が可哀そうだし、そもそも超高校級のラッキースケベなんてある訳が無いもんね)

最原「うん、良いよ。僕で良ければ付き合うよ」

天海「ありがとう最原君!これで俺も自分の才能に自信を持てるかもしれないっす!」

最原「ははは……ところで、その才能ってどうすれば発動するの?」

天海「ああ、その事なら……ちょっと手を貸してください」ギュッ!

最原「う、うん……」ギュッ!

天海「………」

最原(……気まずいなぁ)

天海(すいません、もう少々待ってもらえますか?)

最原(こいつ、直接脳内に……!?)

天海「……よし!出来たっす!これで最原君は今日一日ラッキースケベまみれになるっすよ!」

最原「……協力するって言っておいてなんだけど、本当にそうなるの?僕、特に変わった事は無いけど……?」

天海「ラッキースケベはやって来るものっす!座して待つんすよ!」

最原「はぁ……」

―――ガチャッ!

赤松「あれ?最原くんと天海くんじゃん!二人で読書?」

最原「あ、赤松さん!」

天海「おや、もしかしてこの間話したあれを?」

赤松「うん!音楽の歴史がぎっしり詰まった本があるんでしょ?読んでみたくなっちゃってさ!」

最原「赤松さんは本当にピアノと音楽が好きなんだね」

赤松「うん!」

天海「ああ……その本っすけど、ちょっと高い位置にあるんすよね。良ければ俺が取りますけど……」

赤松「大丈夫だよ!私が読む本だから、私が取るって!二人はそこで話してて!」

天海「そうっすか?それじゃ、そこの脚立を使って取って下さいね」

赤松「うん!ありがとう!……よいしょ、よいしょ……」

ガタガタ……ギシッ、ギシッ……

最原「……それでその、天海君、さっきの話の続きだけど……」

天海「そうっすねぇ、でも、赤松さんが居るこの場所ではちょっと話しにくいっすね」

最原「あぁ、確かに………ん?」

ギギ……ギシッ……!

最原(あの脚立……バランスが悪くないか?赤松さん、早く本が取りたくて適当に脚立を置いたのかも……?)

グラグラ……ギシッ……

最原(今にも倒れそうだ!急いで支えないと赤松さんが危ない!)ダッ!

天海「あっ、最原君!?」

赤松「えーと……これでもない、じゃあこれかな?……違うなぁ……」

最原「赤松さん!」ガシッ!

赤松「きゃっ!?……さ、最原君、どうかしたの?」

最原「この脚立、凄くバランスが悪いんだ!今にも倒れそうだよ!」

赤松「え……?ほ、本当だ!言われてみればグラついてるね」

最原「僕が抑えるから一度降りて来てよ。このままじゃ赤松さんが怪我しちゃう!」

赤松「あ、ありがとう……」

最原(ふぅ……良かった、最悪の事態は防げたみたいだぞ……!)

赤松「あ、あの……最原、君……?」

最原「ん?どうかしたの、赤松さん?」

赤松「え、えっとね、その……」

最原「???」

赤松「きゃ、脚立を支えてくれてるのはありがたいんだけど……あんまり上を見られると、その、スカートの中が……///」

最原「あ……っ!」

―――以下、最原の回想

 その時、僕は初めて気が付いた。先ほどまで必死だったせいか視界に入らなかったが、今の赤松さんはスカートを履いていて、僕の頭上に居る。

 つまり、僕は彼女のスカートの中をばっちりと見える状況にある訳で………最低な事とは知りながらも、僕の目線は赤松さんのスカートの中に吸い込まれてしまっていた。

 薄いピンク色の布地は、彼女の大き目なお尻のラインをはっきりと示していた。さほど遠くなく、ちょうど良い高さのお陰でばっちりと見る事の出来る赤松さんの下着は、僕を興奮させるには十分な威力を持っていた。

「ごっ、ごめんっ!」

 でも、相手はあの赤松さんだ。笑顔が素敵で、誰に対しても優しい彼女を傷つける様な真似は良くない。そう考えた僕は急いで視線を横に逸らした。

「い、良いんだよ!私こそ変な事言ってごめんね!」

 被害者だと言うのに赤松さんは真っ赤な顔で僕に謝罪してくれた。若干振り向いた状態で紅潮させた頬のままそう言う彼女には妙なエロスがあり、僕は彼女を直視できなくなってしまう。

「じゃ、じゃあ、降りるね……」

 赤松さんが足を震わせながら脚立から降りて来る。僕はいけない事だと分かりながらもそんな彼女にチラチラと目線をおくってしまっていた。

 ちょっとずつ近づく赤松さんのお尻、薄いピンクの下着もそれに伴ってさらにはっきりとした輪郭を見せて来る。

 見てはいけない、でも、正直に言って見たい………そんな葛藤を抱えていた僕だったが、次の瞬間、そんな葛藤が吹き飛ぶような出来事が起きてしまった。

「きゃっ!?」

「あっ!」

 震える脚で脚立を降りていた赤松さんが足を滑らせて落下して来たのだ。慌てて僕は彼女を受け止める体勢を取るも、落ちて来る赤松さんを支えきれずに一緒に床に倒れてしまった。

「あ、赤松さん……大丈夫……?」

 なんとか……本当になんとかだが、彼女を受け止める事が出来た。こんな僕でもクッションの代わりにはなるだろう。そう考えて僕の上に居る赤松さんに声をかけた時、僕の右手に柔らかい感触が走った。

「あっ……!」

 同時に聞こえる赤松さんの甘い声。それが喘ぎ声だと理解した瞬間、僕は体中の血液が沸騰した様な感覚に襲われた。

 赤松さんは背中側から落下して来た。僕はそれを抱きしめる様な形で受け止め、そのまま一緒に床に倒れ込んだ。と言う事は……

「んんっ……!」

 右手に覚える柔らかな感触。それが赤松さんの胸の柔らかさだと理解した僕は、すぐさまその手を放した。だが、問題点は他にもあって……

(う、うわっ……!)

 先ほどまで見ていた赤松さんの大きなお尻、それは、丁度僕の腰の辺りに当たっていた。

 柔らかくて、弾力があって、とても心地よくて……それが、さっきまで僕が見ていたあのピンク色の下着に包まれていると知った僕は体を跳ね起こそうとするも、逆にそれが赤松さんを刺激してしまったみたいだ。

「あんっ……!」

 跳ね上げてしまった腰が赤松さんのお尻を強く圧迫する。先ほどよりも強く感じるその柔らかさと彼女の喘ぎ声を聞いた僕は、とてもいけない気分になってしまい……

「……いや~、危なかったっすね。二人とも」

―――回想終了

天海「大丈夫っすか?お二人とも、怪我は?」

最原「あ、天海君……」

天海「さ、赤松さん、手を掴んでください」スッ…

赤松「あ、ありがと、天海君……」

天海「……その様子だと赤松さんには怪我は無いみたいっすね。最原君が身を挺して庇ったお陰っすね」

赤松「あ……!」

天海「赤松さんに迫る危機に気が付いて、いざと言う時に守ってあげられるなんて最原君はすごいっすね!俺も見習わないと……」

最原「い、いや、僕はそんなんじゃ……」

赤松「さ、最原君!」

最原「!?」

赤松「ゴメンね!私がちゃんと脚立を立てなかったばっかりに……痛い所無い?怪我は?」

最原「ぼ、僕は大丈夫だから!そんなに慌てないで!」

赤松「頭は平気!?くらくらしたり、気持ち悪くない?そうだ!私、最原君の部屋まで送ってあげるよ!」

最原「ほ、本当に大丈夫だってば!」

最原(い、今は不味い!立ち上がる訳にはいかないのに!)

天海「……大丈夫っすよ、赤松さん。そう言うのは男の仕事っす」

赤松「で、でも……」

天海「大丈夫、俺が責任もって最原君を送り届けますよ。だから気にしないで下さい」

最原「本当に僕は平気だから、赤松さんも気にしなくて良いよ」

赤松「………」

天海「さぁ、行きましょう最原君……肩を貸すっすよ」マエカガミー…

最原「あ、ありがとう……」マエカガミー…

スタスタスタ……

赤松「……最原君の、アレ……固くなってたよね?わ、私で、その……興奮してくれたのかな……///」

―――1F 玄関ホール

天海「……納まったっすか?」

最原「……うん、ありがとう、天海君」

天海「気にしないでください。もとはと言えば俺のせいなんすから」

最原「今のがその……超高校級のラッキースケベの能力って事?」

天海「恐らくは……最原君はスケベな事をしようと思ったわけじゃ無いんすよね?」

最原「と、当然でしょ!?」

天海「となると……あれは全部、偶然って事になるっすね」

最原「あれが、偶然……」

最原(……でもそうだ。赤松さんが脚立を適当に置いたのも、スカートの中に意識が行くように声をかけてしまったのも、そして足を踏み外してしまったことも、僕はまるで関与していない……全部、偶然だったんだ……)

天海「その偶然を引き起こすのが俺の才能ってことなんすね。フォローもしっかり入れたから、赤松さんは最原君に悪い感情を抱くことも無かったっすしね」

最原「……確かにすごい才能だ。でも……」

天海「でも?」

最原「……一回だけだったら本当にただの偶然って可能性もあるよ?本当に、一回限りのラッキースケベって事もあり得るんじゃないかな?」

天海「……言われてみればそうっすね。赤松さんの性格的に俺のフォローも必要無かったように思えますし、俺の才能は関係なかったのかもしれないっすね」

最原「う~ん……でも、天海君の才能が本物なら、今日一日はこんな感じの出来事が続くんだよね?」

天海「ええ、そうなるっすね……」

最原「だったら、その判断は今日が終わってからでも良いんじゃないかな?そこで結論を出そうよ!」

天海「……最原君、ありがとうございます。こんな俺の為に力を貸してくれて……」

最原「気にしないでよ!僕たち友達でしょ?」

天海「最原君……!」

夢野「んあー……なんじゃお主ら、見つめ合ってキモイのぉ……」

最原・天海「うわぁっ!?」

夢野「なんじゃ、こんなに可愛いうちを見て叫ぶだなんて罰当たりな奴らめ。そんなお主らにはうちのとっておきの魔法を喰らわせてやるぞ」

最原「ゆ、夢野さん!?一体何時から……?」

夢野「何時も何もちょうど今校舎内に入って来たばかりじゃ、外でマナの補給をしててだな……ふぁ~……」

最原「ゆ、夢野さん?どうかしたの?」

夢野「んあー……どうやらマナを摂取しすぎた様じゃ、体がだるくて眠くて仕方が無いわい」

天海(外で日向ぼっこしてたら眠くなってしまったって事で良いんすかね?)

最原(う、うん、多分だけど……)

夢野「んあー……もう限界じゃ、うちは寝るぞ」

最原「え、ええっ!?駄目だよ夢野さん、こんなところで寝たら危ないよ!寄宿舎の自分の部屋まで戻ろうよ!」

夢野「無理じゃ、もう一歩も動けん……んあー……」

最原(どうしよう?何が起きるか分からないし、こんな場所で夢野さんを眠らせる訳にはいかないよね……)

夢野「んあー……んあーーー……」ウツラウツラ……

最原「そうだ!夢野さん、僕がおぶってあげるよ!」

夢野「んあ?」

最原「ここじゃなくて夢野さんが眠っても危なくない場所までおぶってあげるから、僕の背中に乗って!」

夢野「そうか……では、頼むぞい……」ヒョイッ

最原(うわぁ……やっぱり軽いなぁ……)

夢野「最原よ、後は任せた、ぞ………くー……」

天海「……寝ちゃったみたいっすね。それで、どこに連れてくつもりっすか?」

最原「え?寄宿舎で良いんじゃないかな?」

天海「でも、夢野さんの部屋の鍵は閉まってるっすよね?この状態の夢野さんを鍵を開ける為だけに起こすのは忍びない気が……」

最原「あぁ、確かに……でも、僕たちの部屋に寝かせる訳にもいかないよね」

天海「茶柱さんにバレたらとんでもない事になりそうっすね。きっと……」

茶柱『ね、寝ている夢野さんを部屋に連れ込んで何をするつもりですか!?きっといかがわしい事ですね!これだから男死は!根性を叩きなおしてあげます!きえぇぇぇっ!』バキッ!

天海「……って感じっすかね」

最原「この想像、ばっちり当たりそうで怖いよね」

最原「仕方が無い。少し騒がしいかもしれないけど、食堂に連れて行こう。あそこなら椅子もたくさんあるし、東条さんに頼めば簡易的なベッド位作って貰えるよ」

天海「そっすね。それがベターっすね」

最原「それじゃあ、早速……っっ!?」

―――以下、最原の回想

 一歩目を踏み出した時、僕は唐突に気が付いた。自分の背中に当たる小さくとも柔らかみのある確かな感触に……!

 眠っている夢野さんが僕に全体重を預けているせいか、その柔らかさは余すことなく僕の背中に伝わってきている。小さく、とても柔らかいとは言えないその感触は、それだからこそ確かに感じられた。

 マニアックかもしれない。だが、考えて見て欲しい。気が付かなかったものに気が付いてしまった時にこそ、それに意識が行ってしまうのではないだろうか?

 僕が歩くたびに静かに形を変える夢野さんの微乳、その変化を背中で感じる僕は息を飲む。

 先ほどの赤松さんとは違う成熟しきっていない女の子の柔らかさを堪能していた僕だったが、また別の所でも夢野さんの素晴らしさを感じる事が出来ていた。

 それは僕の両手……夢野さんの太ももを掴む、僕の手だ。そこに肉は全くついておらず、ほっそりとしている。なのにとても柔らかくて………とても気持ち良い触り心地がした。

 これも良い。これも有りだ………そこまで考えたところで、僕は自分の最低さに気が付いた。

(ぼ、僕はなんてことを考えているんだ!?)

 赤松さんに続いて夢野さんにまでいやらしい事をしてしまった。不可抗力とはいえ、こんなことを考える僕は変態以外の何物でもない。

 もう止めなきゃ、こんなことをしちゃ駄目だ。そう考えれば考える程に、夢野さんのささやかな柔らかさを体が敏感に感じ取り、そして……

「着いたっすよ、最原君」

―――回想終了

最原「はっ!?」

天海「食堂に着いたっすよ。ドアを開けるんで、中に入って下さい」

最原「あ、ありがとう……」

最原(夢野さんの感触に夢中になってて気が付かなかった……僕は、一体どれだけ集中してたんだ?)

天海「……どうやら、何か楽しんでたみたいっすね?」

最原「!?」

天海「良いんすよ、俺には隠さないで……どうやら、俺の才能はちゃんと仕事をしてるみたいっすね」

最原「う、うん……」

天海「ふふふ……ま、今はその話は置いておいて食堂に入りましょうか。夢野さんを起こさない様に静かにっと……」

最原(……僕は最低だ……一緒に過ごす大切な仲間にこんな事……)

最原(……でも、なんでだろう?僕はなんだか、この状況を楽しんでいる様な……?)

―――食堂……

最原「……あ、東条さん!ちょっと頼みたい事があるんだけど、良いかな?」

東条「最原君……?なんだか不思議な事をしているわね」

天海「実は……かくかくしかじか……モノクマうぷぷ……ってことがあってっすね」

東条「なるほどね。じゃあ、私が簡易的なベッドを作ってあげましょう。倉庫にはクッションとシーツ代わりになる物もあったでしょうし、それを使えば簡単ね」

最原「ありがとう、東条さん」

東条「気にしないで良いのよ、皆に仕える事が私の喜びなんだから……さて、少しだけ待ってて頂戴ね」

ガチャ……バタン!

最原「良かった。東条さんに任せておけば安心だよ」

天海「そうっすね。……おや?」

獄原「う~……」カチャカチャ…

最原「ゴン太くん?何やってるの?」

獄原「あ、最原君!ゴン太はね、今、東条さんに教えて貰いながらテーブルマナーの特訓中なんだ!」

最原「テーブルマナー?」

獄原「紳士は食事の時も品を良くしなきゃいけないって教えて貰ったから、そう言う事に詳しそうな東条さんに教えて貰ってたんだよ!」

最原「そっか……じゃあ、僕たちその特訓の邪魔をしちゃったかな……」

東条「気にしなくて良いわよ、最原君。もう仕事は終わったから」

最原「うわ、早いなぁ……」

東条「……でも、そうね。もし私の手を煩わせたことを申し訳なく思うなら、ゴン太君の特訓に付き合って貰えないかしら?」

最原「え?僕は別にいいけど……

天海「ああ、夢野さんなら俺が見ておくっすよ。最原君はどうぞ二人に付き合ってください」

最原「ありがとう天海君。それじゃあ、ゴン太君の特訓に付き合わさせてもらうよ」

獄原「わー……ありがとう、最原君!ゴン太の為に時間を割いてくれて!」

最原「あはは、気にしないでよ。それで、僕はなにをすればいいのかな?」

東条「そうね……それじゃあ、ゴン太君の正面に座ってくれるかしら?」

最原「わかった……それで、次は?」

東条「そのまま楽にしていて頂戴、ゴン太君、よく見ててね……」

最原「え……?」

―――以下、最原の回想

「良い?ゴン太君、あなたは左利きだから、右手にフォークを、左手にナイフを持って頂戴」

 僕の後ろの回り込んだ東条さんが、僕の手にナイフとフォークを持たせた。そのまま僕の両手を操る様にして、後ろから僕を抱きしめる。

「……姿勢も大事よ。今回はあえて背もたれの無い椅子を使っているわ、自分の背筋が伸びている事を意識してね」

 耳元に東条さんの吐く息が触れる。こそばゆくも心地よいその感触を意識した僕の背中に、新たな感触が触れた。

 むにゅり……そんな擬音が脳内でつけられる。僕の背中に触れたのは、東条さんの柔らかな胸だった。

「そう、フォークで食べ物を軽く押さえて……ナイフで切る……」

 ゴン太君への指導に熱を入れる東条さんは、彼に手本を見せる為に僕の手を動かす。僕の腕が前後する度に、背中に当たっている彼女の胸が柔らかに動いていく。

(ま、また背中に胸が……っ!?)


 夢野さんとは違うやや大きめの胸、されど巨乳と言う者では無く、一言で言うのならば品のある美乳と言う奴なのだろう。ブラジャーできっちりと留められているおかげか、彼女の胸は型崩れすることなく僕の背中に当たっている。

(東条さんの胸も、すごい……!)

 赤松さん、夢野さんに続く三人目の女性の胸の感触。それは、前者二人とはまた違う感触を僕に与えてくれていた。

 とても大きく、柔らかい感触では無い。意識すると止まらなくなる中毒性のある敏感さがある訳でも無い。しかし……東条さんの胸は、慎ましやかに見えながらもはっきりとした主張をする存在感を僕に与えていた。

「もっと力を抜くのよ……そうすれば、綺麗にナイフで切れるわ」

 ゴン太君に掛けられた言葉通りに僕も力を抜く。すると、東条さんの胸は僕を包み込む様に柔らかく僕を受け入れてくれた。

 何と言う母性、なんという安らぎ……このまますべてを彼女に任せて、目を瞑りたくなる感覚に襲われる。その思いのままに目を瞑れば、柔らかな胸の感触はさらにはっきりと僕に伝わってきて……

「ああっ!!!」

―――回想終了

最原「うぶっ!?」ベシャッ!

獄原「さ、最原君、ごめん!」

天海「あはは、綺麗に肉が飛んで行ったっすね。最原君の顔面にクリーンヒットだ」

獄原「ごめん、最原君!ゴン太、力が入りすぎてたみたいだ……」

最原「き、気にしなくて良いよ。僕も油断してたし……」

獄原「うぅ……こんなんじゃ本当の紳士になんかなれないよ……ぐすっ」

東条「気にすることは無いわ。ゴン太君が頑張る限り、私は精一杯その後押しをするだけだもの」

天海「東条さんもこう言ってるし、練習を続けたらどうっすかね?」

最原「僕も付き合うよ。一緒に頑張ろう、ゴン太君!」

獄原「み、みんな……!ありがとう!ゴン太、一生懸命頑張って、立派な紳士になるよ!」

東条「立ち直ったみたいね。なら、もう一度……と言いたいところだけど、最原君、まずは顔を洗ってきたらどうかしら?」

最原「う……言われてみれば、肉汁とステーキのソースでべたべただ……」

天海「トイレにでも行って来ればいいんじゃないすかね?もしくはそこの水道で……」

入間「その必要はねーぜ!」ズイッ!

最原「う、うわっ!」

入間「ひゃーっはっは!この俺様の姿を見て驚いた様だな!ついでにおっ起っちまったか!?」

東条「入間さん……一体何時から居たのかしら?」

入間「ゴン太の奴が特訓を始めた時から見てたぜ!何時になったらメイドによる同定卒業レッスンが始まるのかとワクワクで見てたんだが……」

東条「………」ゴゴゴ…!

入間「ひいっ!?か、軽い冗談だよぉ……本気で怒んないでくれよぉぉ……」

獄原「……?どうていそつぎょう、って何?」

天海「ゴン太君は知らないで良い事っすよ」

最原「それで、入間さんは何の用があって声をかけて来たの?」

入間「ひゃーっはっは!クサイ原、それを聞くとは良い心がけじゃねえか!さては俺様のナイスボディに欲情して、居ても立っても居られなくなったな!?」

最原「………」シラーッ……

入間「な、なんて冷たい目線なのぉ……そんな目をされたら、心が冷え切っちゃうよぉ……」

天海「前々から分かってた事っすけど、入間さんって本当に救いようがないっすね」

入間「なんで私こんなぼろくそにいわれてるのぉ……?」

入間「なんだよぉ……せっかく役に立つ発明を持ってきてやったって言うのにぃ……」

最原「役に立つ発明?それって何?」

入間「ひゃーっはっは!そんなに知りたいかダサイ原!それじゃあ教えてやるよ!これだ!」ムクッ!

最原(しまった……調子に乗らせてしまったぞ……)

天海「なんすかこれ?デスマスクみたいに見えるっすけど……」

入間「こいつは顔面洗浄シャカリキマシーン、略して『ガンシャ君』だ!」

東条「酷いネーミングセンスね」

天海「発明者がひどい頭してますからね」

最原「……フォローの仕様がないな」

入間「ひぐぅ……」ビクンビクン……

獄原「ね、ねぇ!これってどうやって使うの!?」

入間「お、おう!仕方が無い、興味津々のゴン太の為に最原を使って実演してやるよ!」

最原「え?う、うわっ!?」スポッ!

入間「まずはこれを顔に多い被せる様にして嵌めて……専用のアームで側頭部から頭の頂点を抑えてから、水漏れしない様にしっかりとチェックしてと……」

最原「むぐー!むぐー!」

入間「それじゃあスイッチを入れるぞ!スイッチって言っても、バイブは関係無い……」

東条「………」ギロッ!

入間「ひいぃっ!普通にするから睨まないでよぉ……」ピッ!

最原「ごぼぼがぼぼ……」

天海「……何が起きてるんすか?」

入間「よーし!俺様が直々に解説してやるから、耳をかっぽじって聞けよクソ天海!今、マスクの中では水流が流れててな、最原の顔面を綺麗にしている所だぜ!」

獄原「す、すごい!」

入間「だろ~?流れた水は下に付けられている容器に回収されるから溺れる心配も無い。終わったら水を捨てて、新しい水を入れればすぐに使えるぜ!」

獄原「すごい!すごいよ入間さん!正に完璧な発明だよ!」

入間「ひゃーっはっは!もっと褒めろ!称えろ!完璧美人過ぎる俺様を崇めろーっ!ひゃーっはっは!ひゃーっはっはっは!」

天海「……これ、水が漏れない様に顔の側面で密封されてるんすよね?」

入間「あん?そうに決まってんだろうが!」

天海「って事は、当然空気穴みたいなものも無いんすよね?」

入間「何言ってんだよ、そんなもんがあったら水が漏れちまうじゃねぇか!漏らすのはお前の小便だけで十分……」

天海「だとすると……最原君は、どこから酸素を吸えば良いんすか?」

入間「……へ?」

東条「……マスクの中にある空気なんてたかが知れてるし、流石に持たないんじゃないかしら?」

入間「へ?へ?」

獄原「ゴン太なら息を止めていられるよ!でも、最原君はどうなのかな……?」

入間「は、はひ……?」

天海「下手するとこれ、最原君が窒息死するんじゃないっすかね?」

入間「ひ、ひえぇぇぇっ!?」

東条「その反応を見るに、空気に関しての問題は何も考えてなかったのね?」

入間「ひぐぅ……ここに閉じ込められてから現実逃避で適当に作った発明品なんだよぉ……機械か体を弄って無いと不安になるから、本当に行き当たりばったりで作ったんだって……」

天海「ってことは……最原君の命が本格的に危ないって事じゃないっすかね?」

東条「そうね……これで最原君が死んだら、当然クロは入間さんになるのよね?」

入間「ひ、ひぃぃっ!い、嫌だ!私、おしおきなんかされたくないよぉ!」

獄原「そんな事言って無いでマスクを引き剥がさなきゃ!最原君が死んじゃうよ!」

入間「よ、よし!俺様が最原を抑えるから、ゴン太はマスクを思いっきり引っ張れ!いっそ首をへし折っても……」

東条「馬鹿な事言って無いでさっさとやりなさい!」

入間「ひぎぃぃっ!」

―――以下、最原の回想

 僕は死にかけていた。本格的に命の危機だった。

 息が出来ない、水のせいもあってまともに呼吸も出来ないでいる。このままでは窒息死してしまう……

 ぼやけた思考でそんな事を考えていた時、強い力で顔が前後に引っ張られる感覚に襲われた。それと同時に後頭部に非常に柔らかいものが当たる。

 首筋から頭のてっぺんを抱える様にして抱きしめられている事と、僕の後頭部に当たっている物が入間さんの胸だと気が付いたのはほぼ同時だった。多分、入間さんともう一人が僕の顔からマスクを引き剥がしてくれようとしているのだろう。

 マスクを引っ張っているのは力の強さ的にもゴン太君だろう。とんでもない力で引っ張られると、それを押さえつけようとする入間さんの腕に力が入ってさらに僕の頭は彼女の胸へと押し付けられることになった。

(や、柔らかい……大きい……!)

 さすがは自分で言うだけある体だ、今までに感じたどの胸のサイズよりも大きく感じる。そして何より柔らかく、心地が良かった。

 その大きさを作り出す胸の脂肪の量が柔らかさの秘密だと推理しながら、僕の人生最後の推理はこんなものになってしまうのかと半ばあきらめかけたその時だった。

 すぽん、と音がして、僕の顔からマスクが剥がれた。僕を抱きしめる入間さんと一緒に後ろに倒れ込むと、僕は彼女の胸を枕にする様な体勢になってしまった。

「さ、最原ぁ……死んでないよね?俺様のおっぱいが気持ちよすぎて、ちょっと眠りこけてるだけだよね?」

 霞む目に映るのは泣きそうになっている入間さんの顔だ。彼女の言う事を否定しようと口を開いた僕だったが、それに反論する言葉が見つからず口を閉じる。

 入間さんの胸は本当に気持ちが良かった。人肌の温かさ、大きく柔らかい感触、高等部へのフィット感…………どれをとっても最高級品の枕と言えるだろう。

「ぐ……ふっ……」

「さ、さいはらぁっ!なんとかいってくれよぉ!おしおきなんていやだよぉぉっ!」

 入間さんが泣きじゃくりながら僕の頭を抱えてくれたおかげで、至高の感触はさらに強さを増して僕の後頭部へと訪れる。こんな枕でならば永眠するのも悪くない………そう思いながら、惜しい事に僕の意識はブラックアウトしたのであった……

―――回想終了

むしろ他のヤツらにもラッキースケベさせて反応を見たい
ゴン太とか真宮寺とか面白そう。星もクールに対応してくれそう

>>42最初それ考えたんすよね。ゴン太百田真宮寺は楽しそうですからやってみたいと思ってるんですけど、カード集めてイベント見終わって、キャラクターを確認できるまで少々お待ちください。

―――しばらく後、寄宿舎・天海の私室

最原「う、う~ん……?」

天海「あ!最原君、目が覚めたんすね!」

最原「こ、ここは……?」

天海「寄宿舎の俺の部屋っす。自分に何があったか、覚えてるっすか?」

最原「……たしか、入間さんの発明品を試したことは覚えてるけど……」

天海「まぁ、なんやかんやで気絶した最原君をゴン太君が俺の部屋まで運んでくれたっす。東条さんは入間さんをおしおきしてる最中っすよ」

最原「そ、そっか……」

天海「にしても……俺の才能は十分に発揮されたみたいっすね」

最原「たしかにね……赤松さん、夢野さん、東条さんに入間さん。ここに居る女子の内、半分とラッキースケベが起きたんだから疑いようもないよね」

天海「これで俺の知りたい事は分かったっす。これ以上何かあっても危険っすし、最原君は自分の部屋でのんびりしてればいいんじゃないっすかね?」

最原「そうだね。さっきみたいに死にかけるのも嫌だし、今日はもう部屋で休もうかな」

天海「それが良いっすよ。それじゃあ、部屋までお送りするっす」ガチャ…

最原「はは、同じ寄宿舎の中なんだから送るってほどでもないのに。でも、ありがとう」

天海「気にしないでください、もとはと言えば俺の頼みから始まった事ですし……」

茶柱「あっ!居たっ!」ダダダッ!

最原「え?茶柱さん……?うわっ!?」

茶柱「ちょっと付き合って貰いますよ!」グイッ!

最原「えっ!?な、なにっ!?なんなのっ!?」ズルズル……

天海「最原君!?茶柱さん、待ってくださいっす!」ダダダッ!

―――茶柱の研究室……

茶柱「着きました!&ソイヤっ!」ポーイ!

最原「わー!?……いてて、一体何でこんなことをするの……?」

茶柱「身に覚えが無いと言うのですか!?これだから男死は!」

最原「???」

天海「ふぅ、やっと追いついたっす!それで?一体全体茶柱さんは最原君に何の用があるんっすか?」

茶柱「転子は最原さんの腐りきった心を叩きなおす為にここに連れて来たんです!」

最原「ぼ、僕の心を叩きなおす……?」

天海「まさか、俺の才能の事がバレて……!?」

茶柱「夢野さんをおんぶするだなんて……!うらやま、じゃなくってハレンチです!きっと背中全体で夢野さんの体の感触を楽しみまくったんでしょう!この男死!」

天海「……あぁ、そういうことっすか」

茶柱「転子だって夢野さんをおんぶした事なんか無いのに……最原さんはズルい!じゃなくって卑怯です!鬼畜です!変態です!」

最原「……それ、ただのやっかみじゃないの?」

茶柱「何を言いますか!気安く女子に触れる最原さんの様な男死は極刑にかけられるべきなんです!転子のネオ合気道で全身の関節と言う関節を外しまくってぐにゃぐにゃにしてやりますとも!」

最原「無茶苦茶だよ!?そんな事されたら死んじゃうって!」

茶柱「死なない程度には手加減します!ゲームで言うとHPが1だけ残ってる状態ですね!」

天海「そんなの死んだ方がましっすね」

茶柱「いざ、決闘です!最原さんが負けたらここで死んでもらいます!」

最原「嫌だよ!」

茶柱「無論、転子が負けたらペナルティを負いましょう!そうですねぇ……ネオ合気道の神髄を見せる為に、最原さんに技をかけまくるとかどうでしょう?」

最原「どっちみち僕に不利益しかないじゃないか!」

天海「せめて最原君の言う事を何でも聞くとかじゃないと割に合わないっすよね」

最原「それでも合わないよ!負ける確率がほぼ100%な上に、負けたら殺されるんだよ!?」

茶柱「じゃあそれで行きましょう。最原さんが負けたら最原さんが死ぬ、転子が負けたら最原さんの言う事を聞く、という事で」

最原「待って!僕はそんなそんな勝負をするつもりは……」

茶柱「転子は優しいからハンデを付けてあげましょう!最原さんが転子を一度でも床に倒せたら勝ちで良いですよ!転子は最原さんが泣き叫んでも勝負を続けますけどね!」

最原「ただの虐めじゃないか!」

茶柱「さぁ、試合開始です!最原さん、辞世の句を考えておいてくださいね!」ダッ!

最原「い、嫌だ!天海君、助けて!」

天海「いや~……俺もまだ死にたくないんで、遠慮させて頂きます」

最原「そんな!?」

茶柱「やはり男死は薄情ですね!転子は友達を見捨てる事なんかしませんよ!」

最原「い、嫌だ!死にたくない!」ダダダッ!

最原(に、逃げるんだ!どうにかして道場内を逃げ回って時間を稼ごう!茶柱さんに隙が出来たら、急いで外へ逃げ出すんだ!)

茶柱「……なーんてこと、考えてるんじゃないですよね?」ガシッ!

最原「つ、掴まれた……!?」

茶柱「最原さん程度の男死を捉えるなんて転子にとってはお茶の子さいさいです!さぁ、覚悟してください最原さん!ここからネオ合気道・地獄のフルコースの始まりですよ!」

最原「い、いやだー!離して―っ!」ジタバタ!

茶柱「無駄ですよ、無駄ぁっ!さぁ、大人しく技に掛けられて……」

夢野「こらーっ!何をやっておるかーっ!」

最原「え?」

茶柱「ゆ、夢野さん……!?あっ!?」

最原「わわっ!?」

―――以下、最原の回想

「痛たたた……」

 茶柱さんの痛がる声が聞こえる。夢野さんの登場に驚き、気を抜いた彼女を僕が押し倒す様な格好になった為、茶柱さんは後頭部を畳の床に強かにぶつけた様だ。それは痛いだろう。

 対して僕はほとんど痛みを感じる事は無かった。なぜなら、僕の顔を包み込むようにクッションがあったからだ。

「あ……!」

 茶柱さんが自分の置かれている状況に気が付き、声を上げる。僕が彼女の上に覆いかぶさっている事や、自分の胸に僕の顔が埋もれている事に気が付いた茶柱さんはみるみる顔を真っ赤にしていった。

「あ……あ……あ……っ!」

 怒りと恥ずかしさで何も出来ないでいる茶柱さん。僕も驚きのあまり行動を起こせないでいた。

 両頬に当たるのは柔らかい茶柱さんの双房、男勝りで男子が嫌いな彼女もやはり女の子なのだと思わせてしまう魅力の果実。比較的薄着な茶柱さんの恰好のお陰で胸の谷間に顔を突っ込む形になっている僕は、その柔らかさを十分に堪能できていた。

 いつもアクティブ茶柱さんが動くたびに揺れていた彼女の胸……十分な大きさと魅力が詰まったこの胸の感触を、僕は顔面と言う敏感な部分で感じ取っている。

 赤松さん以来のはっきりとした柔らかさを感じられるこの瞬間を知らず知らずのうちに楽しんでいた僕だったが、突如体が浮き上がり、大きく後ろに吹き飛ばされてしまった。

―――回想終了

最原「う、うわっ!?」

茶柱「さ、最原さん……どうやらあなたはここで転子に殺されたいようですね?」ゴゴゴ…

最原「ま、待ってよ!今のは事故で……!」

茶柱「問答無用!きえぇぇぇぇっっ!」

夢野「待たんか転子!最原に手を上げることは、うちが許さんぞ!」

茶柱「ゆ、夢野さん!?なじぇ男死を庇うんですか!?」ピタッ!

夢野「最原には先ほど親切にしてもらったからのぉ、その恩返しじゃ!」

茶柱「でもでも!最原さんは転子にハレンチな事を……」

夢野「それは試合の結果じゃろう、それもお主から仕掛けた試合のな」

茶柱「ぬぐぅっ……!」

天海「あの~……一ついいっすかね?」

茶柱「なんですか!?転子は今、夢野さんと話す事で忙しいので手短に……」

天海「今、茶柱さんは最原君に押し倒されたっすよね?ってことは、この試合は最原君の勝ちってことっすか?」

最原「え……?」

茶柱「そ、そんな!あれはちょっと油断しただけですから、やり直しを……」

天海「おや?まさか超高校級の合気道家ともあろう茶柱さんが、試合中に油断したなんて言い訳をするつもりじゃないっすよね?」

茶柱「ううっ……」

天海「そもそも、試合中は油断なんかしないのが常識なんじゃないっすか?声をかけられた位で気を抜いてたら、勝負なんか出来ないっすよね?」

茶柱「う、うぅぅぅぅ……」

夢野「……転子、お主の負けじゃ。潔く認めるが良い」

茶柱「ゆ、夢野さんまで……分かりました、転子の負けです……最原さんの勝ちで良いですよぉ……ぐすん」

最原「え?ぼ、僕の勝ちなの?」

夢野「やったの最原!まぁ、これもうちが強化魔法をお主にかけてやったからじゃがな!」

最原「あ、ありがとう……」

夢野「んあー!感謝が足りんぞい!もっと称えんか!」

最原(……まぁ、何とか無事に事が終わりそうだし、もう何でも良いか……)

天海「……って事は……当然、茶柱さんは最原君の言う事をなんでも聞くんすよね?」

最原・茶柱「え……?」

夢野「なんじゃ?そんな事まで約束しておったのか?」

天海「ええ、自分が負けたら最原君の言う事を何でも聞くと言ってたっすよ」

茶柱「そ、それは!つい勢いと言うか何と言うか……」

夢野「じゃが約束はしたんじゃろう?なら、ちゃんと守らんとな。ウチはママからそう教わったぞ」

茶柱「そ、そんな……」

最原「い、いや、僕はそんなこと別に……」

茶柱「こ、来ないでくださいっ!」ズザァッ!

最原「えっ!?」

茶柱「だ、男死が何を考えてるかなんて手に取る様に分かります!転子にいやらしい事をさせるつもりでしょう!?えっちな本みたいに!」

最原「いや、僕は……」

天海「そうっすねぇ……今日一日、全裸で最原君に付き従うとかどうでしょう?」

茶柱「はぁぁぁぁぁぁっ!?」

夢野「おお!それは名案じゃのぉ!負け犬感がすごく出ているぞい!」

茶柱「夢野さん!?そんな事言わないで下さいよ!」

夢野「自分の得意な勝負に無理やり引きずり込んでおいて負けたんじゃから、その位せんと割に合わんじゃろう?」

茶柱「そそそそ、そんなぁ~~~~っ……」

天海「ついでの暴力禁止もつけないといけませんね。最原君を気絶させたら大変だ」

夢野「王馬辺りにも罰ゲームを考えさせるか、あいつならえげつないのを思いつきそうだしのぉ」

茶柱「あう、あう、あうぅ……」

天海「一生奴隷、とか言ったらどうなるんすかね?」

夢野「おお!それはそれでえげつないのぉ!」

茶柱「………」プルプル…

最原「ちょ、ちょっと!僕はそんな事するつもりは……」

茶柱「……わかりました」

三人「へ?」

茶柱「て、転子も女です!一度言った言葉を無かったことにはしません!その覚悟を見せてあげますよ!」

最原「ちゃ、茶柱さん落ち着いて……!わっ!?」

―――以下、再び最原の回想

「ま、まずは裸になればいいんですね……?」

 僕の静止の声も聞かず、茶柱さんは着ている制服の上着に手をかけた。そのまま学ランを脱ぎ捨て、その下に着ていたシャツの裾を掴むと、それも一気に脱ぎ捨てる。

「ど、どうですか!?次はスカートもいきますよ!」

 無造作に投げ捨てられる茶柱さんの上着、しかし、そんなものよりも目を引くものが僕たちの前にはあった。

 それは色気の無いスポーツブラだった。しかし、花柄の可愛らしい模様が散りばめられており、茶柱さんの可愛らしさが見て取れる。それに隠されている彼女の胸は、実際にこの目で見ると大分大きく思えた。

「ま、待って!もう止めて!」

「い、いきますよ……っ!」

 茶柱さんには僕の声が聞こえていない様だった。顔を真っ赤にしながらスカートを脱ぎ棄てた彼女に対して、僕たちの視線が突き刺さる。

 ブラと同じ模様のスポーツショーツ、健康的な茶柱さんにぴったりの一品が、彼女の魅力的な肢体を彩っている。

 すらりと伸びる脚、引き締まった体、それらに反して豊かに育っている胸……恥じらいながらも下着姿を見せつける茶柱さんの姿は、何とも言えない美しさに満ちていた。

「……そ、それで?転子は次にどちらを脱げば良いんですか?」

「え……?」

「ぶ、ブラジャーとショーツ、どちらを先に脱ぐかを聞いているんですよ!」

 きっとヤケクソなのだろう。怒鳴る様に叫んだり、しょんぼりと恥ずかしそうに呟いたり、茶柱さんの心は騒めき立って平静でないのだ。

 でも、男の僕としては目の前の下着姿の魅力的な女子が居たら、少なからず反応はしてしまう訳で……そんな風にちらちらと彼女の体を見ていた僕に対して、茶柱さんはニヤついた笑みを見せると挑発的に言った。

「さ、最原さんもやっぱり男死ですね!転子の体をじろじろ見て……おかげで、どっちが見たいのか分かっちゃいましたよ!」

「あ……」

 茶柱さんが僕の見ていた方の下着を掴む。顔は赤く、恥じらっていると言うのに挑発的な態度は崩さないままだ。

「……こっちが見たいんですよね?ほら、見せてあげますよ……!」

 そう言いながら手に力を籠める。彼女の体を守る最終防衛ラインを自ら脱ぎ捨てようとする茶柱さんを見ていられなくなった僕は駆け出すと、その手を掴んで……

―――回想終了

最原「もうやめてよ茶柱さん!僕、こんな事望んでないよ!」

茶柱「ひ、ひひひ……男死の癖に据え膳を喰わないつもりですか?流石男死、女々しいですねぇ……!」

最原「もう良いから!服を着てよ!」

茶柱「あは、ひひ、ふひーーっ!」

最原(……駄目だ、色々ありすぎて混乱してるみたいだ)

天海「……すいません最原君、まさかこんなことになるなんて……」

夢野「ちょっと転子を懲らしめようとしただけじゃったんじゃが、ここまで壊れるとはの……」

最原「純粋な子をからかっちゃいけないって事が良く分かったね……」

天海「流石にやりすぎたっすね……」

夢野「最原、天海よ。ここはウチに任せて行くが良い。転子が正気になったら、お主らの命は無いぞ」

最原「確かにその通りだよね……」

天海「こんな痴態を見られたと知ったら、茶柱さんが本気で怒りそうっす」

夢野「ウチが宥めておくから、お主らはどこぞにでも消えるが良い。こちらには近づくでないぞ」

最原「わかった、ありがとう。夢野さん」

夢野「褒め称えるのじゃぞ!ウチはすごいと感謝するのだぞ!」

天海「……さ、行くっすかね」スタスタ…

夢野「んあー!天海の奴め、ウチの扱いが適当すぎるでのではないかー!?」

―――中庭

最原「……ふぅ、なんだかどっと疲れたよ」トボトボ…

天海「茶柱さんは何から何まで一直線っすからね……」トボトボ…

夜長「やっはー!終一、嵐太郎、どしたのー?なんだか元気ないねー?」

最原「あ、アンジーさん、ちょっとね……」

夜長「んー、何か嫌な事があったんだねー!でも大丈夫、そんな時は神様にお祈りを捧げれば幸せな気持ちになれるよー!」

天海「いや、遠慮しとくっす」

夜長「なんでー!?嵐太郎は神様を信じてないのー!?そんな事言うとばちがあたるよー!」

最原「いや、そう言うんじゃなくってさ……」

夜長「神様を信じると良い事あるよー!今ならポイント10倍サービス中だよー!」

天海「ポイント溜めたいとは思わないっすからね」

夜長「きっとお金が沢山手に入るよー!がっぽがっぽでウハウハだよー!」

最原「ここでお金が手に入っても使い道が無いし……」

夜長「じゃあじゃあ、美味しい物がお腹いっぱい食べられるよー!太っちゃわないか心配だね!」

天海「東条さんの作ってくれるご飯があれば神様は要らないっすね」

夜長「むー……二人とも手ごわいなー、なんて言えば神様の凄さが分かって貰える………お?」

最原「……どうかしたの、アンジーさん?」

夜長「……主は言いました。二人ともあっちを見ていれば良い事があると……」

天海「あっち、って……カジノの方っすね」

最原「でも、見ていればってどういう事?」

天海「カジノに行けば、なら大勝ちできるとか何でしょうけど……」

夜長「んじゃ、失礼するよー!」

最原・天海「えっ!?」


―――以下、最原の回想

 僕と天海君は同時に声を上げた。いつの間にか僕たちの正面に立っていたアンジーさんが、自分のスカートをたくし上げたからだ。

 上に着ている水着と同じ白のビキニが露わになり、アンジーさんの褐色の肌とのコントラストで魅せる。未知な子供の様に屈託のない笑顔を浮かべながら卑猥な行動をするアンジーさんもまた、ゾクリとする様な異様な魅力に溢れていた。

「おー!二人とも正直だねー!正直者にはご褒美を上げないとねー!」

 くるりと反転したアンジーさんが、今度はお尻を僕たちに見せつける。下に着ているのは水着であってパンツでは無い。なのに、どうしてこんなにも興奮するのだろうか?

 多分、女の子が自分でスカートをたくし上げると言う行為のせいだろう。背徳的なその行動を無邪気に行うアンジーさんのアンバランスな雰囲気が僕たちの劣情を誘うのだ。

「……二人ともお尻が好きなんだねー、ほら、もっと見やすくしてあげるよ」

 アンジーさんが腰を突き出す。褐色の小振りで可愛いお尻が僕たちの前へと突き出される。妙な色気と妖しさが満天のそのお尻の魅力に僕と天海君の視線は釘付けになっていた。 

「……終一、嵐太郎……神様を信じる気になったー?」

 小悪魔の様な、それでいて天使の様な口調でアンジーさんが僕たちに尋ねる。甘く囁くその声が、僕たちの心に染み込んでいく……

「信じるよねー?崇めるよねー?頷いてくれるよねー?……そうしたらさ……」

 アンジーさんの綺麗で細い指が彼女のお尻を這い回る。やがてゆっくりと水着の側面で結ばれている紐を摘んだその指が動きを止めると同時に、首だけを振り返らせて僕たちを見ているアンジーさんが言った。

「もっと良いもの……見せてア・ゲ・ル……よ?」

 ゆっくりと、彼女の水着を留める紐をつまむ指が動く。徐々に解かれて行くその紐を見ながら僕は思う。

 あどけない雰囲気のアンジーさん、何を考えているか分からない彼女が、こんなにも大胆に男を誘う様な真似をしている……

 彼女の行動の一つ一つから目が離せない。まるで神様が本当に居て、僕たちにアンジーさんを見る事を強制しているかのようだ。

 突き出されたアンジーさんのお尻が、彼女の挙動が、この状況が………僕から冷静な思考を奪って行く……!

「頷こうよ……!見たいでしょ?とっても素敵なものだよ……」

 あとほんの少しだけ力を籠めれば、彼女の水着の紐は解ける……たった一度のおふざけみたいな行動で、彼女の一番大事な部分が白日の下に晒されてしまうのだ。

「終一、嵐太郎……良いんだよ……その望みに従っちゃおうよ……信じる者は救われるんだよ……!」

 ふりふりと目の前で振られるアンジーさんのお尻、そこから目を離せないままでいる僕たちの顔が少しだけ上を向いた。

 自分の意思とは関係無く勝手に動いている様な感覚……でも、これは僕自身の望みなのだろう。見たいと願っているのだろう。

 ゆっくりと頷く様にして動きだした僕たちの顔を見たアンジーさんは、とっても残酷で、可愛くて、嬉しそうな笑みを浮かべた後で……水着の紐を解いた。

―――回想終了

最原「駄目だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」クワッ!

天海「うわぁぁっ!?」ビクゥ!

夜長「にょわわっ!?」ビクッ!

最原「駄目だ!こんなの駄目だ!僕は神様なんか信じないし、アンジーさんの破廉恥な姿も見ないぞぉぉぉッ!」ブンブン!

天海「さ、最原君!少し落ち着くっす!」

最原「うわぁぁっ!負けないっ!パンツじゃないから嬉しくないもんっ!」

天海「駄目っす……完全に正気を失っているっす……」

夜長「にゃはは!やっぱり終一はおもしろいねー!そう言う所好きだよー!」

最原「アンジーさん!僕らは君の誘いには乗らないからねぇぇぇぇっ!」クワッ!

夜長「……うん、わかったよー。まだ終一は神様を信じられないんだよねー。それはしょうがないよ、分かって貰える日が早く来ると良いねー!」

最原「はぁ……はぁ……ほ、本当に納得した?」

夜長「もっちもちー!……でも、惜しい事したね、終一……」ピラッ


夜長「んー?アンジーの履いてた水着だよー。今アンジーはノーパンなのだー!」

最原「ぶふぉぉっ!!!」

夜長「……終一、もう少しだけ声を出すのを我慢してたら、アンジーの恥ずかしい所全部見れたのにねー……残念だねー、惜しい事したねー」

最原「ぼ、僕はそんなこと思ってなんか……」

夜長「……分かるんだよ。終一はそう言う事を望んでるんだよ。望んで望んで止まないんだよ……」

最原「ぼ、僕は、僕はそんな人間じゃ……」

夜長「どんなに否定してもそれが終一の本質なんだよー……!でももし、そんな自分を否定したかったら……神様を信じるといいねー」

最原「え……?」

夜長「神様を信じれば、アンジーが終一の望む事を全部してあげるよ……そうすれば、見境なく女の子に手を出さなくてすむねー!神様のお陰だよー!」

最原「あう……あうぅ……」

夜長「ほら、終一……アンジーのお胸に抱かれてごらん?怖い事も不安な事も、全部全部どこかに消えていくからさ……!」スッ……!

最原「あう、あう、あぁ……」

天海「だ、駄目っす!良く分からないけどここは逃げるっす!」ダダダッ!

最原「あ……あ……」ズルズル……

夜長「……逃がしちゃったかー、でも、終一は絶対にアンジーの所に来るよー。なにせ神様が言ってるんだからねー……」

夜長「……終一、神様の言う事に間違いはないんだよ……怖くなったら、何時でもアンジーの所に来てね……!」

やっちまった……蘭の字は脳内変換で変えておいてください……すいません

―――数分後、寄宿舎の最原の部屋

最原「うぅ……うぅぅ……」

最原(もう駄目だ……僕はとんでもない変態なんだ……きっと、超高校級の探偵の才能を活かして女の子にストーキングとかしてたクズ野郎なんだ……)

最原「死のう……僕みたいな社会のクズは死んだ方が良いんだ……」

―――ピンポーン!ピンポピンポ・ピンポーン!

百田「よう終一!鍵が開いてたから勝手に入って……うおっ!?」

最原「………」ズーン……

百田「終一!?一体何があった!?何だその負のオーラは!?」

最原「……百田君、僕はクズ野郎なんだ。王馬くんにも負けず劣らずのクズ野郎なんだよ……」

百田「おいどうした!?何でそんな事言うんだよ!?」

最原「………」

百田「……終一、何か悩んでんだろ?俺に相談してみろよ」

最原「うぅ……でも、僕は……」

百田「じゃーかしい!お前は俺の助手だろうが!助手の悩みを解決すんのも親分の役目なんだよ!」

最原「百田君……!」

百田「俺に相談しにくい事だったらハルマキの所にでも行くか?て言うか、あいつも一緒に聞いた方が良いか……」

最原「いや、あの、それは……」

百田「よぅし!そうと決まれば早速行くぜ!終一の悩みを解決するぞ!」

最原「わっ!?ちょ、ちょっとまっ……わ~~っ……!」ズルズル……

―――春川の研究室前

百田「ふぅ、ハルマキの事だからきっとここに居るだろ。食堂にもあいつの部屋にもいなかったしな」

最原「うぅ……なんて強引なんだ……」

百田「……終一、色々言いてぇことはあるが、一人で悩みを抱えんのは良くねぇ。ってか駄目だ!」

最原「え?」

百田「お前が悩んでたら俺が手を貸す!そんかわし、俺が悩んでたら手を貸せ!それがダチってもんだぜ!」

最原「も、百田君……!」

百田「ま、俺だけで解決できない事だったら、ハルマキとか他の奴の手を借りれば良いんだよ。お前は一人で考えすぎんのがわりぃとこなんだよな」

最原「……ありがとう。百田君」

百田「あ?……へっ、礼なんかいらねぇよ。俺は親分として当然のことをしたまでなんだからな!」

最原(……強引だけど、百田君には救われるなぁ。百田君と友達で良かった……!)

百田「ま、ここで立ち話でも何だし、ハルマキの研究室に入ろうぜ」

最原「そうだね。いつまでも廊下に居ても……」

春川「きゃあっ!?」

最原・百田「!?」

百田「い、今のってハルマキの声だよな!?」

最原「超高校級の暗殺者である春川さんが悲鳴を……?」

百田「な、中で何かあったのか!?」

最原「まさか誰かに襲われたとか……!」

百田「なんだって!?こうしちゃいられねぇ、終一、中に踏み込むぞ!」

最原「う、うん!」

最原(僕たちは慌てて春川さんの研究室へと続くドアを開くと二人で一気に突入した。緊張と不安に包まれる中、僕たちはそこで目を覆いたくなる様な光景を目にした……)

―――以下、最原の回想

「も、百田……?最原……?」

 僕たちが見たもの、それは、ペットボトルを片手に僕たちを見る春川さんの姿だった。いきなり部屋の中に入って来た僕たちに驚きの視線を向ける彼女に怪我が無い事を見て取った僕たちは安堵したが、次の瞬間ある事実に気が付いて凍り付いた。

 春川さんは若干汗ばんでおり、何時も着ている赤色のセーラー服を脱いでいた。今はワイシャツ一枚の姿になっており、非常に薄着だ。

 そしてそのワイシャツは水に濡れて透けていた。恐らくは手に持っているペットボトルの中身が零れたのだろう。さっきの悲鳴はその時に上げられたものなのだと理解した僕は、何処か冷静になっていた。

 問題は彼女の透けたワイシャツの下に見える物だ。普通ならそこにはブラジャーがあるはずだ。しかし……春川さんのシャツの下から見える色は、肌色だった。

 ぴったりと張り付いたシャツ、その下から見える肌色……慎ましやかながらも、確かにそこに存在する彼女の膨らみを現すそのラインに僕と百田君が息を飲みこむ。

「……なに固まってんの?」

 そんな僕たちの様子を訝し気に見ていた春川さんは、僕たちに向かって歩いて来た。彼女が近づくたびに彼女の胸の形がはっきりと見えて来て、春川さんも女の子だと言う事を主張してくる。そして僕は……僕たちは、見てしまった。彼女の胸の中心、そこにある桜色の突起を……

 再び自己嫌悪が強くなる。ちょっとずつ心を開いてくれてきていた春川さんの事をいやらしい目で見てしまった自分の事がとても醜い存在だと思えてきてしまう。

 やがて、普段話している位の距離に近づいた彼女は、僕たちの視線が自分の胸に注がれている事に気が付いて妙に納得した素振りを見せた後で、思いっきり右腕を振りかぶった。

―――回想終了

最原「へぶっ!?」パーン!

百田「しゅ、終一!?ぼへっ!?」パーン!

春川「……殺されたいの?」

最原「ご、ご、ご、ごめんっ!わざとじゃ無いんだ!」

百田「悪かった!お前の悲鳴が聞こえてきて、何かあったんじゃないかと思ったからつい……」

春川「……冗談だよ。そんなに怖がらないでよ」

最原・百田「へ?」

春川「……今のビンタは、あんたらが後々自己嫌悪に陥らない様にお見舞いしただけ……別に、怒ってなんかいないよ」

最原「で、で、でも……僕たちは……」

百田「そ、そうだ!とりあえずこれ着とけ!」

春川「……アンタの学ラン?なんか汚そうだから要らないんだけど」

百田「良いから着ろって!俺たちがお前を見れねぇんだよ!」

春川「……分かったよ。これで良い?」

最原「う、うん……それで、何でこんな状況に?」

春川「……軽い運動がてら、ここで武器の演習をしてたんだよ。邪魔だから上着を脱いで、一息入れようと思って食堂から持ってきた水を飲もうとしたら……」

百田「したら?」

春川「爆発した」

百田「はぁ?」

春川「ふたを開けたら一気に水が噴き出してきて、驚いて声を上げたらこの有様ってわけ……まったく、何でこうなったんだか」

最原「……これ、炭酸水だよ。しかもよく振られてる奴」

百田「あぁ……王馬辺りがいたずらでミネラルウォーターのある場所に紛れ込ませてたんだろ。ったく、あいつって奴は……」

春川「……ま、そう言う事。にしても、あんたたちがそんなスケベな奴らだったなんて驚きだね」

百田「えっ!?」

春川「……あんなにじっと私の胸を見ちゃってさ……スケベ以外の何だって言う訳?」

最原「ご、ごめん……つい……」

百田「そ、そうだ!お前、ブラジャーつけてねぇのかよ!?」

最原「も、百田君!?」

春川「……殺されたいの?」

百田「う、うおっ!?」

春川「……だから冗談だって、運動の邪魔になるからつけてないよ。私、大きくないしね」 

百田「あぁ、なるほど……」

春川「……なに納得してんの?殺されたいの?」

最原(あ、これは本気だ)

最原「で、でも……僕たちが言うのもなんだけど、ちょっと無防備すぎるよ」

百田「……そうだな。お前は女なんだから、そういうとこはしっかりした方が良いと思うぜ」

春川「……なんでスケベ野郎どもに説教されてんだろ、ま、いいや……それで?何の用?」

百田「あ~……それなんだが、ちょっと話があってだな……」

最原「でも、その前に春川さんは着替えて来た方が良いと思うよ。そのままじゃ風をひいちゃうかもしれないし」

春川「……それもそうか、それじゃ、一度寄宿舎に戻って着替えて来るよ」

百田「俺も付いて行くぜ、学ランを返してもらわなきゃいけないしな!」

春川「そう……じゃあ、教室から出てって、先に片付けだけしちゃうからさ」

最原「う、うん……分かったよ」

ガチャ……バタン!

春川「……女の子扱いされた……それに、百田の学ラン……!」

春川(なんだろ、この感じ……なんか、ムズムズする……)

―――廊下

百田「……ハルマキには悪い事しちまったな」

最原「うん……もう一度しっかり謝らないとね」

百田「そうだな……あん?」

最原「ん?どうしたの、百田君?」

百田「終一、お前の制服の上着の個々の部分、破れてるぞ」

最原「えっ!?……本当だ、何時破れたんだろう?今日は心当たりがありすぎて逆に分からないな……」

百田「そうだ!この上には白銀の研究教室があったよな?そこで修理を頼んできたらどうだ?」

最原「えっ?でも、そんなの白銀さんにわるいんじゃないかな?」

百田「まぁ、聞くだけ聞いてみろよ!ハルマキには俺が言っておいてやるから、ちょっと行ってこいって!」

最原「うん……それじゃあ、そうさせてもらうよ」スタスタ……

―――白銀の研究教室

最原「白銀さん、ちょっと良いかな?」

白銀「その声は最原君?良いよ、丁度暇だから入ってきなよ!」

最原「ありがとう、お言葉に甘えて……」ガチャ

白銀「どうしたの?私に何か用?」

最原「実は、制服のここの部分が破れちゃってさ」

白銀「ああ、これは結構大きいね。もし良ければ私が直そうか?」

最原「本当!?実はそのお願いに来たんだけど……」

白銀「料理はそんなに得意じゃないけど、裁縫ならばおちゃのこさいさいだからね!東条さんにばかり雑用を押し付けられないし、私もやるときはやるんだよ!」

最原「ありがとう……それじゃあ、お願いするね」

白銀「任せてよ!……でも、その代わりにお願いがあるんだけどさ……」

最原「え……?」

―――数分後

最原(ちょっと待っててって言われてここで待ってるけど、一体僕へのお願いって何なんだろう?)

白銀「ごめんごめん、待たせちゃったね!」

最原「いや、別に待ってなんか……え?」

最原(な、何だ?白銀さん、だよね……?なんだか魔法少女みたいな恰好をしてるけど……)

白銀「ごめんね、驚かせちゃったよね?これ、実はここで作った衣装なんだ!ニチアサでやってる女の子ヒーローの衣装なんだけど……」

最原「そ、そうなんだ。確かに驚いたけど、こうやって見てみるとすごく可愛いね」

白銀「そう言って貰えると作った甲斐があるってものだよ!褒めてくれてありがとうね、最原君!」

最原(……良かった。朝のヒーローものの衣装のお陰か、露出は少な目だぞ。これなら目のやり場に困る事はないな)

白銀「そうそう!それで、最原君へのお願いなんだけどね……」スッ…

最原「……これは、カメラ?」

白銀「それで私を撮って欲しいんだ!撮影会のカメラマンをお願いしたいんだよ!」

最原「えっ!?ぼ、僕が!?」

白銀「駄目かな?出来たら、最原君にお願いしたいんだけど……」

最原「う~ん……」

最原(どうしよう?やっぱりラッキースケベが起きそうな雰囲気があるけど、制服を直してもらう以上、断りにくいよな……)

最原「……わかった。僕で良ければカメラマンをやらせてもらうよ」

白銀「ありがとう!そんなに難しく考えないでよ、ただ写真を撮ってくれればいいからさ!……あ!でも、ローアングルは止めてよね!」

最原「あはは、わかってるよ」

―――それからさらに数分後

最原「……じゃあ、撮影を始めるね」

白銀「はーい!よろしくお願いねー!」

最原「にしても凄いね、研究室に撮影に最適な環境が揃ってるなんてね……」パシャパシャ…

白銀「このセットもそうだよね。背景をボタン一つで切り替えられるなんて便利だよね~」

最原「でも、倉庫からカメラを持ってきてるなんて、白銀さんは大分やるきだったんだね」パシャパシャ…

白銀「そりゃそうだよ!せっかく作った衣装なんだから、誰かに見て欲しいと思うもん!」

最原「それもそうか……でも、凄い完成度だね。そのアニメを見た事が無い僕でも、白銀さんの作った衣装が凄いって事は分かるよ」

白銀「ありがとう!実は、このコスプレのキャラクターは数少ない高校生の魔法少女でさぁ……しかも、眼鏡キャラなんだよ!私とここまで被るだなんて、これは運命感じちゃうよね!」ハァハァ…

最原「わっ!?お、落ち着いてよ白銀さん!」

白銀「私はあそこまでクールじゃないけどさ、でも違いがあるからこそその差を埋めるための演技が楽しいって言うか……全く同じよりも少し違うキャラクターを演じた方がコスプレは楽しいと思うんだよね!」

最原「ど、どうどう!とにかく落ち着いて!」

白銀「あっ……!ご、ごめんね!つい熱が入りすぎちゃってさ……」

最原「いや、僕も白銀さんの話を聞けて楽しかったよ。謝る事なんて無いさ」

白銀「……最原君は優しいね。そう言うとこ、結構好きかな」

最原「えっ!?」

白銀「そろそろフィルムも切れそうなんじゃない?最後に決めポーズを取るから、そこを撮影して貰ったら終わりにしようか」

最原「あ、う、うん!分かったよ!」

白銀「それじゃあ行くよ!……くるっとまわって、ポーズ!」

……ブチッ!

最原「……痛っ!?」

―――以下、最原の回想

 額に何かが当たった痛みを受けた僕は、とっさに後ろにのけ反ってしまった。何とかカメラのシャッターは切れたものの、手振れしてないかが心配だ。

「だ、大丈夫、最原君!?」

「あ、うん、問題無いよ……何かがおでこにあたって……!?」

 心配して近寄ってくれた白銀さんに手を振る。顔を上げて笑顔を見せようとした僕だったが、その表情は彼女を見た瞬間に凍り付いてしまった。

 魔法少女のコスプレをしている白銀さん。その胸元がぽっくりと開き、純白の下着が丸見えになっているのだ。

 自分の事を地味だと言っている白銀さん。しかし、彼女のスタイルは地味に良い……なんて言ったら、彼女に失礼だろう。ハッキリ言ってしまえば、白銀さんは自分を過小評価しているのだ。

 隠れ巨乳と言っても過言ではないバスト、それがキャラクターの雰囲気に合わせた下着に包まれて僕の目の前に曝け出されている。普通の男なら、これだけで十分に眼福だろう。

 加えて、白銀さんは非常に優しい。そして、オタクならではの大胆さもある。額を抑えて痛がった僕の事を心配して、目と鼻の距離にまで近づく位に、男性に対しての警戒心は薄いのだ。

「本当に平気!?おでこ、見せてみて……」

 僕の顔を掴んだ白銀さんがおでこを見る。自分に見やすくするために僕の顔を少しだけ下に向ければ、当然僕の視線の先には地味に大きい彼女の胸が映る訳で……

(う、わぁ……!)

 シミ一つないきれいな肌、コスプレ衣装に合った下着、そして大きな胸とその谷間……僕の目は、すぐ目の前にある白銀さんの胸に釘付けになって……

―――回想終了

白銀「……あぁ、ちょっと赤くなってるね。何がぶつかっ……っ!?」

最原「あっ……!?」

最原「ま、まずい!白銀さんが自分の服装に気付いた!」

白銀「あ、あぁっ!」

最原「ご、ごめ……」

白銀「ご、ごめんね最原君!変な物見せちゃった!」

最原「えっ……!?」

白銀「あぁ、私駄目だなぁ……衣装のサイズは間違えてボタンを飛ばすわ、最原君に逆セクハラをするわ……地味に傷つくよ……」

最原「ぼ、僕こそごめん!つい固まっちゃって……!」

白銀「ううん、最原君は気にしなくていいよ。それよりごめんね。おでこ痛くない?」

最原「う、うん、大丈夫……って、そうじゃなくって!」

白銀「……あぁ、もしかしてこの姿の事?もっと露出の激しいコスプレをしたこともあるし、ブラも手作りの見せて構わない奴だから大丈夫……って、そう言う事じゃないよね」

最原「そ、そうだよ!急いで何か着て!」

白銀「ごめんね。ホント、色々迷惑かけちゃったね。私は着替えるから、最原君ももう行って良いよ。制服は直しておくね」

最原「う、うん……それじゃあ、ごめんね!」スタスタ…

白銀「こっちこそごめんねー!それじゃ、またねー!」

最原(……ゆ、油断しちゃったな……まさかこんなことになるなんて……あ!)

最原(しまった。カメラを持ってきちゃったぞ、これ、さっきのシーンを撮影してたはずだから……!)

最原「こ、今度返そう!それで良いよね!急いで食堂に行かなきゃ!」


ーーー夜、最原の私室

最原(……今日一日、天海君の才能のお陰でいろんな目に遭ったな……まぁ、今日で実験も終わりだし、こんな一日も悪くないよね)

天海「最原君、実験に付き合ってくれてありがとうございました。明日になれば俺の才能は消えて、普通の一日を送れるっすよ」

最原「僕も天海君の役に立てて良かったよ。でも、この才能の事は言わない方が良いかもね」

天海「そうっすね……王馬くんに悪用されるのも嫌ですし、茶柱さんとは口きけなくなりそうっすからね……」

最原「このことは僕たちだけの秘密にして、二度と発動しなければいいんじゃないかな?」

天海「それがベストっすね。そうしますか」

モノクマ「……どっこい、それはできないんだな~!」

最原・天海「!?」

最原「も、モノクマ……!?一体、何の用だ!?」

モノクマ「なに、最原君と天海君が面白い事をしてるな~と思ってね。一日覗いてたんだよ!」

天海「ほ、本当っすか!?」

モノクマ「ボクは嘘は言いません!……でね、ちょっと面白い事を思いついたんだ」

最原「な、なんだ……?何を思いついたんだ……!?」

モノクマ「……コロシアイは一度中止しようと思ってね。代わりに、二人に頑張って貰いたいんだよ」

天海「……は?」

モノクマ「ダンガンロンパV3は『皆のコロシアイ新学期』から、『ちょっとHな学園ラブコメ』へと方向転換しま~す!主役の最原くんと親友ポジの天海君は、協力して女の子とラッキースケベを起こしまくってくださ~い!」

最原「な、なんだって!?」

モノクマ「アンケート結果でもこっちが良いって話になったからね!やっぱマンネリも続いてたし、コロシアイはV4に任せれば良いかな~って思ってさ!良かったね!これで誰も死ななくて済むよ!」

天海「な、何を言ってるんすか!?訳が分からないっすよ!?」

モノクマ「良いの良いの、気にしないで頂戴!コロシアイ学園生活よりもよっぽど平和的で楽しそうでしょ?特に最原君なんてうっはうはのポジションじゃない!」

最原「は、はぁ……?」

モノクマ「さてと……そう決まったからには準備をしないとね。僕も二人に協力するから、この才囚学園をバラ色、いや、パンツ色に染め上げようじゃない!」

天海「じ、事態は好転してるんすか?それとも、よりひどくなったんすか!?」

モノクマ「うぷぷ……それじゃあまず、最原君には女の子たちと仲良くなってもらわないとね!」

最原「ど、どういう意味だ!?」

モノクマ「うぷぷ、天海君の才能『超高校級のラッキースケベ』はね、対象になった人物が女の事仲良くなれば仲良くなるほど、その内容が過激になるんだよ!」

天海「そ、そうなんすか!?」

モノクマ「そうなんです!今回の出来事はスケベレベル1にしか過ぎないのです!これから先、もっともっと過激になるのです!」

最原・天海「………」ゴクリ……!

モノクマ「……最原君、明日から女の子と仲良くしてね。もっともっと過激なラッキースケベの為にさ……うぷぷぷぷ!」

最原「だ、誰がお前の言う通りになんか……!」

天海「待つっす最原君!ここはモノクマの言う事に従った方が得策っす!」

最原「えっ!?」

天海「……考えてみるっす。俺たちが我慢するだけで皆がコロシアイの起きない日々が送れる様になるんすよ?そうなれば、皆で協力して脱出方法を見つけられるかもしれないっす!」

最原「た、確かにそうだけど……」

天海「無理に反発せずにこの機会を利用するっす。俺達二人でこの罪を被れば良いんすから……!」

最原「………」

モノクマ「……あ、話は決まった?それじゃあ、明日からよろしくね!」ピューン!

天海「最原君……俺も一生懸命サポートするっす。だから……」

最原「……分かったよ。とにかく一生懸命頑張ろう……この馬鹿げた学園生活を終わらせるために!」

―――???

モノクマ「うぷぷ……と言う訳で皆さん、ダンガンロンパV3は方向を転換してドッキドキの学園ラブコメディのゲームになりました!急な変更でごめんなさ~い!」

モノクマ「代わりと言っては何ですか、ちょっとしたアンケートを取ろうと思いま~す!実は、天海君の才能は女子にも使えるのです!その場合、その女の子が一日中ラッキースケベの犠牲になってしまうのですが……」

モノクマ「ここでアンケートです!最原君が皆と絆を深めている間、男子全員のラッキースケベの被害に遭う女子は誰がいいでしょ~か?ここから10個下までのレスを対象にアンケートを取るよ!連投はした奴はおしおきだかんね!」

モノクマ「……と言う訳で、また次回お会いしましょう!オマエラの意見、待ってるよ!うっぷぷぷ~~っ」

アカマツさんがエロに決まりました。近いうちにオシオキを開始します。

満場一致過ぎて草ですねwww

質問に答えて下さりありがとうございました。これまで通りという方が多数で会った事と、自分自身がこのスレではR18的な性描写を書くつもりが無い事を考えて、このまま進まさせて頂こうと思います。

もっと過激な物が見たいと言う方も一定数いる事もわかりました。完全に見ていですが、このSSが終わった後で続きになる様な物を書けたらRの方で書こうと思いますので、少々お待ちください。

また、自分で判断が付かないと言う点で申し訳ないのですが、これは過激すぎるだろ……と思う様な事があったらご報告ください。ご意見を受けて、マイルドにするなりの対応をしていこうと思います。

質問と報告ばかりですいません。よろしければこれからもご協力をお願いいたします。

モノクマ「やぁ、オマエら!この間はアンケートに協力してくれてありがとうね!厳正なる調査の結果、天海君の才能を使われる女の子は赤松楓さんに決まりました~!」

モノクマ「満場一致の結果にちょっと驚いてるよ。でも、あのムチムチボディは堪らないよね!僕も思春期の子供たちを持つ身だから、たぶらかされないか心配だよ!」

モノクマ「……と言う訳で、そんなドスケベボディな赤松さんにはオシオキを受けて貰いましょ~!張り切って、スタート!」

『アカマツさんがエロに決まりました。オシオキを開始します』

オシオキ名―――「超高校級ピアニスト 赤松楓の散々な一日」

―――地下 ゲームルーム

赤松(……モノクマがコロシアイの中止を宣言してから一週間かぁ……なんだかんだ、脱出は出来ないけど命の危険が無い事が分かってから皆普通に過ごしてるなぁ)

赤松(モノクマの目的も分からないし、何時またコロシアイが再開されるかもわからないから油断はできないけど……まぁ、少しは楽しんでも良いよね)

天海「赤松さん、ネイルの手入れ終わったっすよ」

赤松「あ、ありがとう!天海君ってこういうの得意だよね!」

天海「自慢できるほどじゃないっすよ。それより、唐突に爪を弄らせてもらって申し訳なかったっすね」

赤松「全然!天海君センス良いし、こっちこそありがたい話だったよ!」

天海「ははは……さて、俺は片付けてからここを出るんで、赤松さんは先に戻って良いっすよ」

赤松「うん!それじゃ、ありがとね!」スタスタ……

天海「……すいません、赤松さん。でも、こうするほか無かったっす……許してください……」

―――地下 廊下

赤松(爪も綺麗になったし、他の女の子たちに見せてこようかな?白銀さんとか興味あるみたいだったし……それとも、男の子にでも……あ)

赤松(……そう言えば最近、最原君と過ごして無いなぁ……他の女の子とばっかり過ごしてるし、なんだか避けられてる様な気もするし……)

赤松(やっぱりこの間の図書室での出来事を気にしてるのかな?ちょっと気まずい感じはあるけど、気にしなくていいのに……)

赤松「……でも、他の女の子とこれ見よがしに仲良くする必要だってないじゃん。最原君の馬鹿……!」

百田「終一がどうかしたのか?」

赤松「んひっ!?」

百田「うおっ!?な、なんだよ、そんなに驚くなって……」

赤松「も、百田君!?それに星君も!ご、ごめんね!急に声かけられたから驚いちゃって……」

星「おいおい……俺も百田も、お前の正面から歩いて来たんだぜ?視界に映らない程考え事でもしてたのか?」

赤松「あ、あはは……そんな感じかな……?」

百田「……なぁ、赤松。お前、終一と喧嘩でもしたのか?」

赤松「えっ!?」

百田「最近、終一の様子がおかしいんだよな……お前とも絡まないし、なんだか焦ってるような、慌ててるような……」

赤松「確かに、最原君最近おかしいよね……」

星「……余計なお世話かもしれねぇが、これ以上関係性がこじれる前に手を打っておいた方が良いと思うぜ。そうすりゃ、お前さんもそんな上の空にはなんねぇだろうよ」

赤松「……うん、そうだね。出来るだけ早く話を聞いてみるよ」

百田「おう!それが良いぜ!んじゃ、終一の事は赤松に任せるからな!」

赤松「うん!それじゃあ、私、行くね!」スタスタ……

百田「ああ、終一の事をよろし……うおっ!?」

赤松「……?」

星「……あぁ、こりゃ相当重症だな」

赤松「百田君?星君?どうかしたの?」

百田「赤松、その、なんだ……お前の、その、あれがだな……」

赤松「え……?」

星「……スカートの尻の部分、捲れ上がってるぞ」

赤松「へ……?きゃっ!?」

赤松(ほ、本当だ……!全部ぺろりと捲れちゃってた……!)

星「ったく……年頃の娘が下着を丸出しって、どうすりゃそうなるんだよ?」

赤松「うわ、ごめん……」

百田「あ、あんまり気にすんなよ!むしろここで俺たちに指摘されてラッキーだったじゃねぇか!王馬とか入間みたいな面倒な奴にみられたら厄介な事になってたぞ」

赤松「あはは……それもそうだね。そう考えておくよ。それじゃ、今度こそ行くね……」スタスタ……

赤松(うぅ……いきなり恥ずかしい事になっちゃったな……この間の事と言い、私ってどっか抜けてるのかなぁ……?)スタスタ…

百田「……ピンク色か……」

星「おい、百田……」

百田「わ、わかってるって!でも、ちょっとぐらい余韻に浸っても良いだろ?」

星「はぁ……まぁ、俺たち位の歳の男にとっちゃ、それが普通の反応か……」

百田「だろ?でもラッキーだったよな!あの赤松のパンツを見られるなんて……」

春川「……へぇ、そんなに良い事があったんだ?」

百田「」

百田「は、ハルマキ!?お前、いつの間にここに……?」

春川「そんな事よりも是非それだけテンションが上がった出来事について聞きたいんだけどさぁ……こっち、来てくれるよね?」

百田「ま、待てハルマキ!話せば分か……いででででっ!しゃ、シャレになら……あだだだだっ!?」

星「……はぁ、どこもかしこも騒がしいもんだぜ。口は災いの元って奴だな」

百田「ストップ!ハルマキ、スト……あぎゃぁぁぁぁっ!!!」ボキッ!

―――1F 食堂前廊下

赤松「とりあえず食堂でお茶でも飲んで落ち着こう……もしかしたら、最原君もいるかもしれないしね」

???「う~ん……」

赤松「……あれ?今の声って……?」

???「どうしようかなぁ……?」

赤松「購買部の方から聞こえてきてる……ちょっと覗いてみよう」ガチャ!

獄原「う~ん……」

赤松「ゴン太君?どうしたの?そんなに悩んで」

獄原「あ、赤松さん!ゴン太はね、パンツが買いたいんだよ!」

赤松「ぱ、パンツ!?」

獄原「うん!王馬くんに教えて貰ったんだけど、購買部で新しい商品が色々売り出されたんだって!それで、パンツを買おうと思ったんだけど……」

赤松「た、確かに商品が増えてるみたいだけど……どうしてパンツ?」

獄原「それはね、こう言う事なんだ!」ズルッ!

赤松「えっ!?きゃぁぁっ!!!」

獄原「あ、赤松さん?どうかしたの?」

赤松「だ、だって、ゴン太君がいきなりズボンを脱ぐから……」

獄原「え……?ご、ごめん!ゴン太、赤松さんを驚かせちゃったんだね……」

赤松「……良いよ。あんまり気にしてないから……それで、その……パンツが欲しい理由って?」

獄原「うん……ゴン太、実はパンツを持ってないんだ。代わりに腰巻をしてるんだけど……」

赤松「あ、本当だ。よく見たら腰巻なんだね……///」

獄原「それで、この間東条さんに言われたんだ!『紳士は、見えないところのお洒落にこそこだわる』ものだって……ゴン太はちゃんとしたパンツを履かないと、本当の紳士にはなれないんだよ!」

赤松(……女性の前でズボンを脱ぐ男の人は紳士とは程遠いと思うけど、言うのは野暮だよね)

獄原「それで買い物に来たんだけど……ここに売ってるパンツじゃ、ゴン太のサイズに合わなくって困ってたんだよ……」

赤松「……確かに、ここにあるパンツは普通の成人男性用だから、ゴン太君のサイズには合わないね」

獄原「うぅ……このままじゃゴン太、紳士になれないよ……」

赤松「う~ん……大き目のサイズは置いて無いのかな?店員さんが居れば聞けるんだけど……」

モノスケ「あ~い、呼んだか~?」

赤松「わっ!?あ、あなた、モノクマーズの……!」

モノスケ「おう!リニューアルオープンした購買部の店員を任されたモノスケや!うちはえらい勉強しまっせ~!」

赤松「店員?あなたが……?」

モノスケ「そや!むしろワイ以外に誰がやるっちゅーねん!商人言うたら大阪人やろ!」

獄原「……君、クマだよね?」

赤松「いや、そもそも生き物ですらないからね?」

モノスケ「そない細かい事はどうでもええっちゅうねん!なんかワイに用なんやろ?」

赤松「ああ、パンツを探してるんだけど、大きめのサイズって無い?」

モノスケ「なんやそないなことか……店頭表示しとるんは平均的なサイズやけど、在庫にはオーダーメイドの大き目サイズもあるで!」

獄原「本当!?ゴン太が履ける大きさのパンツもある!?」

モノスケ「当たり前やがな!えっと、ここのボタンを押すと……」ポチッ!

ゴゴゴゴゴ……!

赤松「わっ!?棚が出て来た!」

獄原「うわぁ……!パンツがいっぱいだー!」

モノスケ「ブリーフにボクサーパンツ、トランクスからふんどしまで、様々な種類の様々なサイズが目白押しや!メダルと交換で持ってけるで!」

獄原「わぁい!ありがとう、モノスケ君!」

モノスケ「店員として当然のことをしたまでや、感謝すんなら仰山買うてってや!」

赤松「ふふふ……よかったね、ゴン太君!」

獄原「うん!」

モノスケ「さてと……次はそっちのねぇちゃんやな」ポチッ!

赤松「え……?私は、べつに……」

ゴゴゴゴゴ……

獄原「ま、また棚が出て来た!」

赤松「っっ……!?こ、これって!?」

モノスケ「見たか!?これがお父ちゃんが選びに選んだ最上級の女物下着、最強の勝負パンツたちや!」デデーン!

獄原「勝負パンツ……?何かと戦うの?」

モノスケ「見てみぃ!色、艶、素材、デザイン……どれを取っても超一流や!こん中の一つでも履いてってみ、愛しの彼はあっちゅーまにK,Oやで!」

赤松「み、見てみろって言われたって……///」

赤松(ぜ、全部すごいデザイン……すごく派手で、とんでもない物ばっかりだよ……///)

赤松(あ、あの赤いの、派手な上にレースまで着いてる……!その横のはTバック?あんなの履いたらお尻が丸出しだよ……!)

赤松(あの黒いのは一見かっちりしてる様に見えるけど、スケスケで全部見えちゃうし……あのピンク色のに至っては大事なとこをが丸出しだよ!///)

獄原「凄いね!ゴン太が知らないだけで、こんなパンツもあるんだ!」

モノスケ「どや、姉ちゃん?一着買ってくか?今ならサービスするで~!」

赤松「い、いりません!私はこんな派手なのじゃなくて、普通のパンツを……」

モノスケ「なんや普通のが欲しかったんか?なら、こっちやな!」ポチッ!

ガコンッ!

赤松「ああっ!もう勝手に……まぁ、今度のは普通のパンツだし、照れる様な物はないけれど……」

赤松(それでも、色とりどりのパンツが大量に並んでる光景って思ったより迫力があるね……)

獄原「う、うぅ……///」

赤松「あれ?ゴン太君……?」

獄原「こ、こんなにたくさんのパンツが並んでたら、目が開けられないよ……///」

赤松「あ、さっきのよりも平凡なデザインだから、ゴン太君にとってはこっちの方が恥ずかしいのかな?」

モノスケ「なんや驚くほどのピュアボーイやな……別に見たってええやろ、こんなん誰かが履いてる訳でもあらへんし」

獄原「で、でも……」

モノスケ「そんなん言うてたら、晴れた日に住宅街を散歩することもできへんで!みんなお外にパンツを干しとるんやからな!」

獄原「う、うぅ……」

モノスケ「ま、なんや……この姉ちゃんが履いとるパンツ、見てしもうたならその反応もわかるんやけどな」

赤松「え……?」

獄原「あ、赤松さんが……?」

モノスケ「そや、考えてみ?この姉ちゃん、良い太ももしとるやろ?尻もむっちりしとってエロい感じやがな!」

赤松「ちょ、ちょっと!止めてよ!」

モノスケ「想像してみぃ……!丸くてデカい姉ちゃんの尻を……!それを包む薄い神秘の布を……!」

獄原「う、う、うわぁぁぁぁ……っ!」ダダダッ…!

赤松「ご、ゴン太くーん!!!」

モノスケ「何や、大分ピュアやなぁ……こんな話で逃げ出してまうなんてな」

赤松「ちょっと、何やってるの!色々とセクハラだよ!」

モノスケ「ええやないか、純情な青年に性の手ほどきをしただけや。アンタもええことしたなぁ!」

赤松「どこが!?」

モノスケ「……きっとあの坊主は頭ん中でアンタの下着姿を想像したはずや……ここに並んでるパンツや、さっきのきわどい奴を履いたあんたの姿をなぁ……!」

赤松「えっ……!?」

モノスケ「えらい罪な女やで、男をあんな風にしてまうんやからなぁ……!ホンマ、エロい娘やな」

赤松「か、勝手な事を言わないでよ!」

モノスケ「あはは!すまんすまん、堪忍や!お詫びにガチャガチャ一回無料で回してええから、許したってや~!」ピョイン!

赤松「に、逃げるな~っ!……くぅ、好き勝手言ってくれちゃって……!」

赤松「……でも、そうなのかな?ゴン太君、私の下着姿を想像して……?」

赤松(もしかして、最原君もそうなのかな……?あの時、私のパンツを見て、体を触って……興奮、したのかな……?)

赤松(……なんか、変な気分になってきた……胸が、ドキドキする……)

赤松「……はっ!?わ、私、何考えてるの!?お、落ち着かないと……!」

赤松(うぅ……///さっきからパンツのことで災難ばっかりだよ……おまけに変な気分になっちゃうし……///)

赤松「……が、ガチャガチャ引いて出よう。食堂でお茶でも飲めば、気分も落ち着くよね……!」

赤松「……ふぅ、ちょっと落ち着いたよ。さて、今度こそ食堂に行こうかな」ガチャ

真宮寺「おや、赤松さん。購買部で買い物かい?」

赤松「真宮寺君!いや~、ちょっと違うかな……」

真宮寺「そうかい……まぁ、品ぞろえが増えたから見るだけでも楽しいと言う気持ちはわかるけどネ」

赤松「ははは……あ、そうだ!これあげるよ!」

真宮寺「これは……猿の手じゃないか!?素晴らしいヨ!」

赤松「さっきガチャマシーンで当てたんだけど、私には必要無い物だからさ。真宮寺君ならこう言うもの喜びそうだし、そっちの方が物も嬉しいんじゃないかな」

真宮寺「ありがとう……僕はとても嬉しいヨ」

赤松「ふふふ……良かった!」

真宮寺「……そうだ、良ければ僕の研究教室に来ないかい?お礼も兼ねて、ちょっと面白い話をさせてもらうヨ」

赤松「え?本当!?」

真宮寺「まぁ、僕の話が退屈じゃ無ければの話だけどネ……」

赤松「そんなこと無いよ!真宮寺君の話、面白いしためになるもん!」

真宮寺「ククク……そんなに褒めても何も出ないヨ……でも、ありがとうネ」

赤松「本当の事を言ったまでだよ!それじゃ、真宮寺君の研究教室に行こっか!」

―――4F 真宮寺の研究教室

真宮寺「……お茶やお菓子が出せずにごめんネ。ここは貴重な品物が多いから、汚す事はしたく無いんだ」

赤松「大丈夫、気にしないよ」

真宮寺「……まぁ、立ち話をさせたくは無いから、ちょっと前に購買で買って来た椅子に座りなヨ。座り心地はまぁまぁだからサ」

赤松「ありがとう……それで、今日はどんな話を聞かせてくれるの?」

真宮寺「そうだネ……ちょっと下世話だけど、今の状況にぴったりの話があるからそれにしようかな?」

赤松「下世話……?」

真宮寺「……赤松さん、浮気が起きない為にはどうすれば良いと思う?」

赤松「えっ!?な、なんでそんな事を聞くの?」

真宮寺「まぁ、あまり深い意味は無いから気楽に答えてみてヨ」

赤松「う~ん……やっぱり、恋人同士がしっかりとお互いを尊重し合うのが大事なんじゃないかな?」

真宮寺「なるほど……赤松さんらしい、優しい意見だネ。貴重な意見として、記憶にとどめておくヨ」

赤松「それで?浮気がどうかしたの?」

真宮寺「あぁ……昔から、男女関係において横恋慕は無くてはならない問題サ……言い方を綺麗にしてるけど、要はどろどろとした浮気や二股の事だネ」

赤松「確かに小説や少女漫画でも取り扱ってるものも多いし、音楽にもそう言うものがあったりするよね」

真宮寺「ククク……いけないと分かっていながらも愛の炎に身を焦がしてしまうのが人間という生き物……その煌きに包まれてその身を滅ぼす様は、ある意味では究極の美とも言えるよネ」

赤松「う~ん……私は、誰かを裏切ったりするのは嫌だからそう言うお話は見ないんだよね……」

真宮寺「まぁ、好き嫌いが別れるよネ。でも、個人の感情を除けば、浮気や不倫はいけないこととして世の中で通っている。江戸時代では女性の浮気は重罪で、見つかったら即切り捨てだったらしいヨ」

赤松「へぇ~、そうなんだぁ……」

真宮寺「男性は身分によっては側室が持てたり、吉原の様な遊郭を利用出来たりするのになんとも不平等な話だよネ……」

赤松「う~ん、そう言われると確かにそうかもね……」

真宮寺「……ここまで厳しい法があると知ったら、普通は浮気なんか考えないよネ?でも、実際はそうならなかった。浮気や不倫はこの時代にも数多くあったんだヨ」

赤松「あ、確かに悲恋もののお話って江戸時代が舞台な事が多いかも……!」

真宮寺「ククク……物知りだネ、赤松さん。きっと命懸けの密会というスリルが男女を燃え上がらせたんだろうネ、僕は知らないけれどもサ」

赤松「まぁ、江戸時代に行けるわけが無いしね」

真宮寺「さて、歴史や法律のお勉強はここまでにして、民俗学の話をしようか……今の話で分かったと思うけれど、法律じゃあ人の心は縛れない。男女の不貞は無くならないんだヨ」

赤松「………」

真宮寺「そして人の愛情にも限りがある。感情が不確かな様に、一時の迷いで一線を越えてしまう男女は存在するんだよネ……でも、もしも浮気が無くせる方法があるとしたら?」

赤松「そんな方法があるの?」

真宮寺「ああ、実はネ……僕は、一切の不貞が起きない部族を見た事があるんだヨ」

赤松「え……?」

真宮寺「彼らは見た所普通の人間で、山奥にひっそりと住んでいる以外は特に変な所は無かった……けど、その部族には一つの掟があったんだ。どんなものだと思う?」

赤松「え?う~ん……」

赤松(すっごく厳しい罰とか?いや、それでも浮気が0になるとは思えないし……)

真宮寺「ククク……ちょっと意地悪な質問だったかな?きっと想像もつかない話だし、赤松さんには分からないかもネ」

赤松「う~ん……ごめん、降参!一体その掟って何なの?」

真宮寺「……それはね、結婚相手を部族の長たちが話し合って決めると言う事なんだヨ」

赤松「えっ!?それって、結婚相手を自由に決められないって事!?」

真宮寺「その通りだネ。僕の聞いた話だとその集落に住む夫婦は全員掟によって結婚相手を決められた人たちだったんだヨ」

赤松「でも、それって逆に浮気とかが起きそうじゃない?こんな人は嫌だ~、とかさ?」

真宮寺「ククク……そう思うよネ?でも、そうはならないんだ。なぜなら、彼らには恋愛感情と言うものがないからサ」

赤松「恋愛感情が、無い?」

真宮寺「……結婚とは、周囲の勧めによって行われるもの……そう考えている彼らにとって、他者を好きになると言う考え自体が湧かないんだヨ。時が来たら自分の結婚相手を紹介されて、それでお終いな訳だしネ」

赤松「……それで本当に良いのかな?」

真宮寺「さぁ?僕は調べるだけだからネ……でも、僕の意見を言わせてもらえば、この掟には賛成できないかな」

赤松「真宮寺君もやっぱりそう思う?」

真宮寺「確かに不貞や男女交際の裏切りが無いと言う事は素晴らしい事だと思うヨ?でも、そこに愛情が無ければ、どんなに円満な夫婦生活でも幸せとは言えないんじゃないかな?」

赤松「結婚って、やっぱり好きになった人とするものだもんね」

真宮寺「ククク……愛というのは人の欲望そのものサ、複雑に絡み合う愛欲の美しさは人間の魅せる至上のエンターテイメントだヨ。それを放棄してしまうなんて、可哀想だとしか言いようがないネ」

赤松「う~ん……まぁ、恋愛は素晴らしい物だって言いたい事は分かったよ!」

真宮寺「ククク……赤松さんらしい解釈の仕方だネ。さて、こうなると次に気になるのはどうやってその夫婦を決めるかだよネ?」

赤松「やっぱり、性格の相性とかで決めてるの?」

真宮寺「いいや……彼らが結婚相手を決める基準、それは『その人物が持つ才能』サ」

赤松「才能……?」

真宮寺「……体の丈夫な男女の遺伝子をかけ合わせれば、より体が丈夫な子供が生まれる……長たちは、部族の個人個人の才能を把握して、より優れた子供を産ませる為の組み合わせを探しているんだヨ」

赤松「な、何それ!?子供を実験みたいに産ませてるってこと!?」

真宮寺「そうなるネ……倫理観はさておき、そうして生まれた親よりも優れた遺伝子を持つ子供たちが、同じようにして生まれた子供たちと共に成長し、また子供を作る……彼らの考えでは、自分たちの未来は明るい物だと信じ切っているようだったヨ」

赤松「………」

真宮寺「……いい気分はしないよネ?確かに彼らは優れた遺伝子と才能を持ち、円満な家庭で育ったのかもしれないけど……でも、倫理観が無い彼らに繁栄があるかどうかと言われたら、返事に困ってしまうネ」

赤松「……私、上手くは言えないけど、その部族の人たちとは分かり合えない気がするな。それがその人たちの当たり前で、疑うものじゃないって事は分かってるけど……」

真宮寺「良いんだヨ、その考えの違いこそが人間である証明なんだからネ……でも、赤松さんも彼らと同じ運命をたどる事になるかもしれないヨ?」

赤松「えっ……!?」

真宮寺「……人の少ない未明の場所、集められたのは超高校級の才能を持つ若い男女たち……これ、なんだか今の話と似てないかな?」

赤松「……誰かが、私たちの才能を掛け合わせようとしているって事?」

真宮寺「可能性の話だけどネ。最初にコロシアイなんて言葉で恐怖を煽って、命の危険を感じさせる……すると、人は生存本能から自分の遺伝子を残そうとするんだヨ」

赤松「え……?」

真宮寺「ククク……つまり、子供を残そうとするって事さ。その後、本当にコロシアイが起きてしまったら才能が消失してしまうから、コロシアイの中止を告げた後でこの場所を快適に過ごせる様に変えていく……まるでここで一生生きて行っても良いと思えるくらいにネ……!」

赤松「く、黒幕は、私たちをここに居つかせようとしてるって事?」

真宮寺「もしかしたら……あまりにも快適になりすぎた才囚学園の中で、僕たちはいつしかここから出たくないと考える様になるかもしれないネ……人の考えなんて、移ろいゆくものだからネ」

赤松「そ、そんなことって……」

真宮寺「……僕たちがそう考え始めた頃を見計らって、黒幕は言うのサ。『ここから出て行きたくなければ、子供を作れ』と……!」

赤松「………」ビクッ!

真宮寺「超高校級の才能同士を掛け合わせた子供たち……黒幕の真の目的は、それだったりするのかもネ。……その場合、僕たちをここに閉じ込めた相手は、相当規模が大きい相手だという事になるかな?」

赤松「……そ、そんなの、あり得ないよ……!」

真宮寺「ククク……分からないヨ?あらゆる可能性を考えても、この考えを否定できる材料は無いんだからネ。キーボ君を男とカウントすると、丁度8人ずつ男女が居る訳だしサ」

赤松「………」

赤松(黒幕の狙いは、私たちに子供を作らせること……?そんなことって、本当にあり得るの?でも、もしそうだとしたら……)

真宮寺「そうだとしたら……赤松さんは誰が良い?」

赤松「えっ!?」ドキッ!

真宮寺「もしここに居る誰かの子供を産まなければならなくなったとしたら、赤松さんは誰を選ぶんだい?それ位の自由は欲しいよネ?」

赤松「わ、私は……!」

真宮寺「……最原君なんかどうかな?」

赤松「!!!」ドキッ!

真宮寺「君のピアニストとしての感性は、探偵である最原君にとって新たな発見をもたらす才能だよ。そして最原君の優れた頭脳は、どんな才能と掛け合わせても不備は無い」

赤松「わ、わた、私、は……私が……?」

真宮寺「何より君たちはとても仲が良い、傍から見れば恋人同士に見える位サ。きっと最原君も悪い気はしないんじゃないかな?」

赤松「………」

赤松(あり得ない、あり得ないよ……そんなこと、あり得るはずが無い。無い、けど……)

赤松(もし本当にそうなってしまったら?誰かの子供を産むことを強制されて、最原君にそれを求められたら?)

真宮寺「……ククク」

赤松(……優しくしてくれるかな?どんな風に触れるのかな?幸せ、なのかな……?)

赤松「……さい、はら……くん……///」

真宮寺「……なんてネ。ちょっとからかいが過ぎたネ」

赤松「……えっ!?」

真宮寺「話が飛躍しすぎたよネ?赤松さんが付いていけなくったって仕方がないサ。ごめんネ」

赤松「え、あ、もしかして、今の話、冗談……?」

真宮寺「限りなく可能性が低い話を、ちょっと脅す感じで話しただけサ……退屈はしなかったでしョ?」

赤松「も、もう!真宮寺君の話が本格的だったから、本気にしちゃったじゃん!」

真宮寺「ごめん、ごめん……ちょっとやりすぎちゃったかな?」

赤松「……でも、楽しかったから良っか!真宮寺君、面白い話をありがとう!」

真宮寺「ククク……そう言って貰えると話した甲斐があったヨ」

赤松「それじゃあ、私は行くね。ばいば~い!」ガチャ……バタン!

真宮寺「……ククク、『本気にしちゃった』かぁ……素敵だよ赤松さん、君の羞恥と恍惚に染まった表情は、とても美しいものだったヨ……!」

真宮寺「それに……赤松さんの座っていた椅子、少しだけ……湿っているネ。ククク……今頃彼女は、急いで下着を替えに行っている所かな?」

真宮寺「僕は幸運だヨ!幸せだヨ!赤松さんの欲望に染まった一面を見られたんだからネ!君は本当に、素晴らしい女性サ!あははははは!」

待たせたな!(CV星)

塩の感想は褒められてるんですよね……?うん、そう受け取ろう

―――食堂前 廊下……

赤松(……さっきは凄い事を想像しちゃったけど、なんとか落ち着いたかな。さて、今度こそ食堂でお茶でも飲もうっと!)ガチャ!

夜長「んー? お~、楓~!やっはー!」

赤松「こんにちはアンジーさん!なんだかテンションが高いね。何かいいことがあった?」

夜長「もっちもちー!アンジーはね~、つい先ほど終一と二人で神様とお祈りを捧げてたんだよ~!」

赤松「えっ……!?」

夜長「終一と二人で沢山お話しできてとっても楽しかったんだ~!これも全部神様のお陰だよね!」

赤松「あ、そ、そうなんだ……」

赤松(……最原君、また別の女の子と過ごしてる……なんか、嫌な感じだな……)

夜長「……あれれ~?楓、どうかしたの?」

赤松「え……?な、何でもないよ!」

夜長「嘘だ~!なんか悩んでるんでしょ~?アンジーにはすぐわかっちゃうんだよ!神様が教えてくれるからね~!」

赤松「あ、あはは……」

夜長「……終一の事でしょ?」

赤松「!?」

夜長「終一がアンジーと一緒に居るから、やきもち妬いてるんでしょ?神様もそう言ってるよ~!」

赤松「そ、そんなこと無いよ!最原君とはただの友達だし……」

夜長「……じゃあ、終一はアンジーが貰っちゃっても良いんだね?」

赤松「……!?」ドキッ!

夜長「アンジーはね~、ここから出ていくとか出て行かないとかはもうどうでも良いのだ~!毎日楽しく過ごせればそれで良いんだよ~!にゃはははは~!」

赤松「え、えっと……アンジーさん?」

夜長「……だからね。ここで終一と一生を過ごすのも良いかなって思ってるんだよ。終一の赤ちゃんをたくさん産んで、ここで家族みんなで仲良く過ごすのも楽しいかな~って……!」

赤松「なっ……!?」

夜長「楓が一番のライバルだと思ってたから今の話を聞いて安心しちゃったな~……だって、アンジーの邪魔をする人はもういないわけだしね~!にゃはは、神ってる!」

赤松「………」

夜長「……それじゃあ、アンジーは終一を探しに行こうかな~?もう十分休憩も出来たし……」

赤松「……い、……よ」

夜長「……ん~?楓、何か言った~?」

赤松「……最原君が、アンジーさんを好きになるかどうかは分からないよ?」

夜長「……ふ~ん、そっか、楓はそんな事を言うんだね~……!」

赤松「でも事実でしょ?最原君がアンジーさんと一緒に居たいかなんて、まだわからないよ!」

夜長「……そだね~、確かにそうかもね~……でも、関係無いんだよ」

赤松「……どういう意味?」

夜長「終一はアンジーの事が好きになるって意味だよ~!神様もそう言ってるもん!」

赤松「そ、そんなの無茶苦茶だよ!大体神様の言う事なんて……」

夜長「……なるよ。絶対にね」

赤松「えっ……」ビクッ!

夜長「そうなるんだよ。終一はアンジーの事だけを考えて、アンジー以外の事なんてどうでもよくなって、アンジーだけを見る様になるんだよ……!アンジーと神様が、そうしてみせるんだよ……!」ギラッ…

赤松「そ……そんな事させない!絶対にさせないよ!」

夜長「にゃはは~!やっぱり楓はライバルだったか~!楓が相手だと厳しいね~!……でも、諦める気は無いからね?」

赤松「………!」

夜長「それにね~……終一はアンジーの事が好きだと思うよ?アンジーの魅力にメロメロなのだ~!」

赤松「な、何を根拠にそんな事……っ!?」

夜長「え、だって終一ってお尻好きだもん」

赤松「」

夜長「終一はお尻が大好きなんだよ~!楓ったらそんな事も知らなかったの~?」

赤松「さ、最原君が尻フェチ?そ、そんな馬鹿なこと……はっ!」

赤松(そう言えば最原君、図書室での一軒の時も私のお尻を見てたよね……!それに、私のお尻の感触であ、アソコを固く……///)

夜長「だって終一、アンジーのお尻をじっくり見てたもん!」

赤松「は……?」カチン

夜長「ちょっとした拍子にお尻を見せたら、終一ったらもうガン見だよ~!にゃはは~!流石アンジーのお尻、神ってる!」

赤松「はぁ……?」カチン!

夜長「まぁ、確かに楓のお尻は大きくてむっちりしてて素敵だけど~……美兎みたいに下品だよね~!」

赤松「あぁ……!?」カチンカチン!

夜長「にゃはは~!と言う訳で楓とアンジーのお尻対決は、小振りでキュートなアンジーの小麦色ヒップの勝ちという事に……」

赤松「ちょっと!勝手に決めないでよ!なにより、私のお尻と入間さんを一緒にしないで!」

夜長「お~?なになに~?楓ったら不満なのかな~?」

赤松「不満だよ!そもそも最原君のお尻の好みが分からない以上、アンジーさんの勝ちとは言えないよ!」ロンパ!

夜長「でもでも~、終一はアンジーのお尻をじっくりと……」

赤松「……最原君は色白のお尻が好きなんだよ」ギショウ!

夜長「……お~?」

赤松「この前、最原君にスカートの中を見られたけど……最原君ってば私のお尻をじっくりと見てたよ?」

夜長「………」

赤松「確かにアンジーさんのお尻も魅力的だけど、運動もしてないアンジーさんのお尻は健康的とは言えないよね?水泳少女とか、新体操をやってる女の子なら健康的って思えるのかもしれないけどさ」

夜長「ほ~……!」

赤松「大体、思春期の男の子って大きめのお尻が好きなんだよ!貧乳派よりも巨乳派が多いし、小尻派よりも巨尻派の方が多いって!ちょっと大きめの安産型のお尻が、健康的だって言えるんだよ!」

夜長「……つまりあれかな~?楓は~、アンジーに喧嘩を売ってるんだよね~?」

赤松「私は客観的な意見を言っているだけだよ!」

夜長「でもでも~、その客観的な意見に終一が含まれてるかは分からないよね~?意外とニッチな趣味を持ってるかもよ~?」

赤松「確固たる証拠がない以上、多数派に最原君が含まれている可能性の方が高いじゃん!」

???「あ、あの~……」

夜長「終一はアンジーのお尻が好きなんだよ~、神様もそう言ってるもん!」

赤松「そんなのあてにならないよ!最原君はちょっとむちっとしてるお尻が好きなんだよ!」

???「あの、お二人とも、僕の話を……」

赤松「うるさい!ちょっと黙ってて!」

キーボ「ひぃぃっ!ひ、酷いですよ赤松さん!」

赤松「あ……き、キーボ君!?何時からここに居たの!?」

キーボ「お二人の言い争う声が聞こえたので、つい先ほど食堂に入って来たのですが……まさかこんなに辛辣な言葉をかけられるなんて思ってもみませんでしたよ」

夜長「キーボ、何の様かな~?今、アンジーは楓と負けられない勝負の最中なんだよ?それの邪魔をすると、神様が怒ってばちを与えちゃうよ~?」

キーボ「い、いや、僕は、その……」

夜長「早く用件を言いなよ~、さもないと、全身のパーツが美兎の作った下品なものに変えられちゃう呪いをかけるよ~!」

キーボ「お二人の言い争いに決着をつける方法があります!」

赤松「……え?どういう事?」

キーボ「詳しい事は分かりませんが、お二人は自分たちのお尻の魅力について言い争っているご様子……なら、ついさっき入間さんに付けてもらった僕の新機能が役立つはずです!」

夜長「にゃはは~!美兎が付けたって時点でろくでも無いものの様な気がしてならないよ~!」

赤松(……どうしよう。完全に同意しか出来ないや……)

キーボ「そう言わないで聞いてくださいよ!名付けて、女性の魅力測定機能!ね?なんだかすごそうでしょう?」

赤松「ろくでもない物の様な気がする」

夜長「同じくだね~!」

キーボ「信用度0ですか!?」

キーボ「うぅ……確かに妙な感じはしますけど、女性の外見をスキャンして、全体でも一部分でもより美しくなう方法を教えられる凄い機能何ですよ……?」

赤松「へぇ……そう聞くとすごい機能だね!世の中の女の人たちが喜ぶんじゃないかな?」

キーボ「でしょう!?ですから、この機能でお二人の臀部をスキャンすれば、どちらがより魅力的か分かるのではないかと思いまして!」

赤松「……え?」

夜長「にゃはは~!それは良いねぇ~!それじゃあ、それを使って楓と勝負してみようかな!」

赤松「え、え、え……?」

キーボ「スキャンは数十秒で終わります。肌を直接見せずとも形が分かれば良いので下着越しでも構いませんよ!」

夜長「お~!なかなかサービスがいいね~!」

赤松「えっ!?ええっ!?」

赤松「ちょっと待ってよ!それってキーボ君にパンツを見られるって事でしょ!?」

キーボ「性格には下着越しの臀部です。パンツだけでは無いのでご了承ください」

赤松「なお問題があるよ!そんなの恥ずかしいって……///」

夜長「……楓は逃げるんだね~、それじゃあ、この勝負はアンジーの勝ちかな~?」

赤松「むっ……!」

夜長「まぁ、楓の事は置いておいてアンジーのお尻のチェックをお願いしようかな~!キーボ、頼んだよ~!」

キーボ「お任せください!測定モード、起動!」キュピーン!

夜長「それじゃあ……ほいっと!」ピラッ!

赤松「!!!???」

夜長「キーボ、良かったね~!アンジーのお尻が見られるなんてキーボは幸せ者だよ~!」

キーボ「静かにしてください、データを取るのに邪魔になります」ジーッ…

赤松(あ、あんなに近くでじっくり見られるなんて……しかも、スカートを自分で捲ってるから余計にエッチに見えるよ……///)

夜長「……楓はどうするの?このままアンジーの勝ちで良い?」

赤松「えっ……!?」

赤松(そ、それは……なんか、ヤダ。意地になってる部分があるのかもしれないけど、負けたくない!)

赤松(でもどうしよう?あんな恥ずかしい事、私には無理だよ……)

赤松「……そ、そうだ!」ピンポーン!

夜長「およ?何か思いついたみたいだね~、楓ったら食堂の外に行っちゃったよ~!」

キーボ「動かないでください、あともう少しで測定が終了しますから……」

……ドタドタドタ、バタン!

赤松「あったーっ!これ、これだよ!」

夜長「およよ?楓が持ってるのって……」

赤松「スパッツ!パンツを見せずにお尻のラインを確認できる物、スパーッツ!」

キーボ(……なんだか今日の赤松さんは妙な感じがしますね……これが感情という物なのでしょうか?)

赤松「これさえ履けば少しは恥ずかしさも軽減されるはず……!」モゾモゾ…

夜長「おーっ、生着替えだね~!」

赤松「……よし、出来る限りの事はした!さぁ、かかって来いキーボ君!」

キーボ(なんだかこの赤松さんは面倒くさいです……)


キーボ「では、測定を開始しますのでお尻を見せてください」

赤松「よ、よし……来るなら来い………っ!」

夜長「楓~がんばれ~っ!」

赤松「じゃ、じゃあ……行くよ……!」ピラッ

キーボ「はい。ではそのまま動かないで下さい……」ジーッ…

赤松「うぅ……///」

赤松(や、やっぱ恥ずかしいよ。こんな至近距離で、自分からスカートを捲ってお尻を見せるなんて……///)

キーボ「動かないでください、あと少しですから……」ピピピ…

赤松「はうぅ……///」

キーボ「……よし!データの採取に成功しました!あとは結果を採点するだけなので、先に収集が終わったアンジーさんのデータから発表しますね」

夜長「やっはー!アンジーのお尻が何点か楽しみだね~!」

赤松(……やっぱ恥ずかしかったなぁ……それに、自分のお尻の得点を聞くって言うのもやっぱり恥ずかし……)

キーボ(入間ボイス)「ひゃっはー!待たせたなメス豚ども!超絶美人すぎる俺様がお前らの汚いケツを採点してやるよ!」

赤松「」

キーボ(入間ボイス)「まずは夜長のケツだが……まぁ、褐色肌って言うのはそそるもんだからな。本当は日焼け跡があるのがコントラスト的に良いんだけどよ、それさえあれば同定どもは『ピー!』をおっ立たせて『ピー』でだな……」

赤松「え……?なにこれ?入間さん……?」

キーボ(入間ボイス)「小型でぷりっとしてんのも悪くねぇんじゃねぇのか?ま、そんなもんだな……ついでに今来た赤松のケツも採点するとだな……」

赤松「え、ちょっと待って、これって入間さんが採点してるの!?」

キーボ「いえ、入間さんがすでに入力してあるデータに基づいて採点しています。声は雰囲気だそうです」

赤松「あ、そう……」

キーボ(入間ボイス)「なんだこのムチ尻はぁ!?童貞を[ピーーー]為のケツだな!ひっぱたいて良し、乗っかって良しのエロ尻じゃねぇか!ひゃ~っはっはっは!」

赤松「………///」プルプル

キーボ(入間ボイス)「と言う訳でお前らのケツの得点だけどな……」

夜長「やっと発表するんだね~、美兎は前置きが長いんだよ~」

キーボ(入間ボイス)「……どっちも0点に決まってんだろ!ひゃっはー!」

赤松「……え?」

夜長「……は?」

キーボ(入間ボイス)「まぁ、この超絶美人過ぎる俺様の肉体と比べればどんな女でも0点になるに決まって……ぎゃぁっ!?」

夜長「……キーボ、どういう事かな~?アンジーたちのお尻を見ておいて、こんなくだらない落ちを付けるつもりじゃないよね~?」

キーボ「い、いえ!僕は何もわからないんです!この情報は全部事前に入間さんがインプットしてあるもので……」

夜長「……じゃあ、悪いのは美兎って事で良いのかな~?」

キーボ「え、あ、はい。そうなりますね……」

夜長「そっかそっか~……じゃあ、アンジーは行くね~!」

赤松「……ちなみに聞くけど、どこに行くの?」

夜長「当然、美兎の所だよ~!今から神様による呪いを直にかけにいくのじゃ~!」

キーボ「の、呪いですか!?」

夜長「神様は慈悲深いからね~、好きな呪いを決めさせてくれるらしいよ~!砲丸が頭に当たる呪いか~、ピラニアに食いつくされる呪いか~、首に鎌を突き刺される呪いか~、プレス機にペっちゃんこにされる呪いの内、一つ選ぶだけで良いんだよ!やったね!」

キーボ「全部確実に死にますよ!」

夜長「じゃあゴン太にトイレットペーパーで首を絞められる呪いにしようかな~!それなら安心だね!」

キーボ「ひぃぃ!あ、赤松さん、一緒にアンジーさんを止めてください!」

赤松「……ごめん、私も被害者だから怒る気持ちもわかるし、無理」

キーボ「そんなぁ……!このままじゃ入間さんが呪いで殺されちゃいますよ!」

赤松「大丈夫でしょ……呪いなんてありえないし、ゴン太君はそんなことしないし、万が一そんな事があっても、トイレットペーパーじゃあ絞殺なんか出来ないよ」

キーボ「ひぃぃ!何時になく赤松さんが冷たい!これはかなり怒っていらっしゃる!」

夜長「待っててね美兎~!今アンジーが行くからね~!」トテトテ…

キーボ「あぁ!待ってくださ~い!思い直して下さ~い!」ダダダ…

赤松「……はぁ、何か大事な物を失った気がする……思い返せば、何であんなにムキになっちゃったんだろう……?」

王馬「やぁ、赤松ちゃん!」ヒョコッ!

赤松「きゃぁぁっ!?」

王馬「そ、そんなに驚かないでよ……ただ話しかけただけなのに……ひ、酷いや、酷いやぁぁぁっ!」

赤松「お、王馬くん!?一体何時からそこに……?」

王馬「そんな事はどうでも良いんだよ。それより、今日は大分面白い事をしてるね、赤松ちゃん!」

赤松「!?」

王馬「パンツ丸出しで廊下を歩いたり、ゴン太と一緒に勝負パンツを見たり、真宮寺ちゃんと長い間二人っきりで過ごしたり、キーボにお尻を見せたり……さ」

赤松「ぜ、全部見てたの……?」

王馬「……これ、なーんだ?」

赤松「それって……デジカメ?」

王馬「今日一日の出来事は全部この中に記録されてるよ。動画でも、写真でもね……!」

赤松「そ、それをどうするつもり……?」

王馬「沢山面白い絵が撮れたからさぁ、面白く編集しちゃおうかな~って!」

赤松「へ、編集……?」

王馬「ちょっと順番を入れ替えたりして、面白い映像に仕立て上げちゃおうって事だよ!赤松ちゃんは主役だよ、やったね!」

赤松「ふ、ふざけないでよ!」

王馬「……例えば、こんなのはどうかな?」ギロッ!

赤松「………!」

王馬「……購買でパンツを買った後、真宮寺ちゃんと合流した赤松ちゃんは購入したてのパンツを丸出しにしたまま一緒に研究室に向かうんだ。そこでスカートを捲り上げて中身を見せつけて……長い間一緒に居た後、顔を赤らめて研究室からでてくる。なんてストーリー、どう?」

赤松「な、なに、それ……?」

王馬「……何も知らない人が見たら誤解されちゃうね?まるで赤松ちゃんと真宮寺ちゃんがそういう仲みたいにさ……!」

赤松「そ、そんなの……上手く行くわけないよ……」

王馬「忘れちゃったの赤松ちゃん?俺、嘘は得意なんだよ?人を騙すくらい簡単だって!」

赤松「や、やめてよ……」

王馬「編集した映像は誰に見せよっかな~?やっぱ最原ちゃんが一番面白そうだよね!超高校級の探偵を騙せたら俺の嘘も超一流って事になるしね!」

赤松「やめて……か、カメラを……」ビクビク…

王馬「きっと最原ちゃんもびっくりするだろうな~!びっくりしすぎて、この映像を信じちゃうかも!そしたら大ショックだよね!」

赤松「やめて、やめてよぉ……!」ガタガタ…

王馬「ショックを受けた最原ちゃんは、夜長ちゃんに泣きついちゃうかも!でも大丈夫!夜長ちゃんならきっと上手く慰めてくれるよ!そう、上手にね……!」

赤松「止めてって言ってるでしょ!」バンッ!

王馬「………」

赤松「……どうすれば」

王馬「ん?なぁに?赤松ちゃん!」

赤松「どうすればそのカメラを渡してくれるの……?」

王馬「にしし……話が早くて助かるよ。赤松ちゃんは賢いね!」

赤松「良いから、早く条件を……」

王馬「なに、簡単だよ……ちょっと俺の悪戯に協力してくれれば良いだけだからさ。簡単でしょ?」

赤松「………」

赤松(……絶対ただの悪戯じゃない。王馬くんのすることだもん、碌なことじゃないよ……でも……)

王馬「……従うしかないよね?赤松ちゃん……!」

赤松「……うん」

王馬「わ~い!これで赤松ちゃんの協力も取り付けたし、面白い事ができるぞ!嬉しいな~!」

赤松「………」

王馬「……それじゃ、始めようか。段取りはね……!」

―――2F 赤松の研究教室

最原「どうしたの赤松さん、僕に頼み事なんて?」

赤松「う、うん……ちょっと探して欲しい物があるんだよね……」

最原「なんだ、そんな事か。良いよ、僕で良ければいくらでも手伝うから!」

赤松「……ありがとう」

王馬「にしし……」←物陰からこっそり見てる

赤松(……ごめんね最原君、こんなことに巻き込んじゃって……)

最原「探し物は探偵の基本みたいなものだからね。伯父さんの所でも良くやってたんだ」

赤松「そ、そっか……そうなんだ……」

最原「よし、それじゃあ捜索を始めようか!それで、何を探せばいいの?」

赤松「え、えっと……多分、この教室の中にあると思うんだけど……」

最原「え、あ、うん……えっと、探す物を教えてくれると助かるんだけど……」

赤松「……つ」

最原「え?何?良く聞こえなかったからもう一度……」

赤松「……パンツ。私の……パンツを探して欲しいの……///」

最原「」

王馬「ぷくくく……」バンバン!

最原(あれ?なんかこの間も似たようなことがあった気が……デジャヴ?……いや、それよりも今の赤松さんの台詞は僕の聞き間違いかな?そうに決まってるよ。だってあの赤松さんがパンツを探して欲しいなんていうはずが……)

赤松「探して欲しいのはパンツなんだ……ごめんね、変な事を頼んでさ……///」

最原「畜生、空耳じゃ無かった!」ガンッ!

最原「え……?あ!もしかしてズボンのパンツってこと!?」

赤松「……ううん、下着のパンツの事です」

最原「か、買ったばかりの下着を落としちゃったとか!?」

赤松「私が何度も履いたことのある奴です……」

最原「ぼ、僕が知らない音楽用語でパンツって言葉が……」

赤松「この間図書室で最原君にバッチリ見られた、あのピンク色の下着の事です!///」

最原「」

王馬「あはははははは!」←必死に声を抑えている

赤松「……ごめん、何度も聞き返さないでくれる……これでも恥ずかしいんだから……///」

最原「ご、ごめん!デリカシーが足りなかったよ……」

赤松「……ううん、そもそも変な頼みをしちゃった私が悪いんだもん。最原君が気にする必要なんて無いよ」

赤松(ホントごめんね、最原君……)

最原「……あぁ、うん。分かった。赤松さんのパンツを探すよ……でも、一応確認しておきたいんだけど……」

赤松「……な、なにかな……?」

最原「な、なんで赤松さんは、ここでパンツを脱いだの……?」

赤松(そうだよねー!聞くよねーっ!)

最原「こ、答えにくいなら良いんだよ。僕はやっぱりデリカシーのない男だなぁ……は、ははは……」

赤松「………」

最原「さ、探そうか!僕も見た事があるから形とかは分かってるし……あ、ご、ごめん!別に変な意味じゃなくって、いや、見たことあるのは確かなんだけどわざとじゃ無くて……」アタフタ…

赤松「……長い間閉じ込められててさ、ちょっと変になっちゃったんだろうね」

最原「え……?」

赤松「ぞ、俗に言う……ムラムラしちゃってさ……なんか、変な気分になっちゃったんだよ……///」カァァ…

最原「!?」

赤松「も、もちろん抑えようとしたんだよ?ピアノを弾いて集中すれば、そんな気分も消えるんじゃないかって思って、ここで演奏してたんだけど……」

最原「………」ゴクリ…

赤松「……どうしても我慢できなくなっちゃって……それで、気が付いたらその……しちゃってたんだ……///」カァァ…

最原「っっ……///」

赤松「……長い間我慢してたせいか、夢中になっちゃってたみたいで……気が付いたら、脱いだパ、パンツが……どこにも見当たらなくって……///」

最原「そ、それで僕に相談を?」

赤松「……最原君なら信用できるし、言いふらしたりしないだろうからさ……だから、お願いしたんだ……///」

最原「あ、う、うん……///」

赤松(……私、なんてことしてるんだろう……?嘘とは言え、最原君にひ、一人……モニョモニョをしたって言うだなんて……///)

最原「ご、ごめん、デリカシーの無い質問をして……///」

赤松(絶対に嫌われた……変態だって思われたよ……もう二度と口をきいてくれなくなるんじゃないかな……?)

最原「あ、安心して!僕、絶対にこの事は誰にも言わないから!」

赤松(こんな……こんな事言う女の子、最原君は嫌いだよね……ううん、最原君だけじゃない、普通の男の子なら嫌悪感を持って当然だよ……)

最原「だ、だから安心して!僕、探偵として守秘義務は守るし、口も堅いから……」

赤松「うぅ……ひっく……」ジワァ…

最原「!!!???」

赤松「ごっ、ごめん、ね……さいはらっ、くん……こんな、こんな子、気持ち悪いよね……ぐすっ」

最原「あ、赤松さん!?」

赤松「へ、変態だって思われても仕方がないよ……わ、私、馬鹿だなぁ……ひっく……!」

最原「あ、赤松さん、泣かないで!僕は全然……!」

赤松「な、慰めなくったっていいよ……自分がどれだけ変な事してるかなんて、良く分かってるからさ……!」

赤松(きっと明日から避けられる……私の事、今までとは違う目で見る様になるよ……!)

赤松「だから、もう良いよ……私の事なんて忘れて、他の人と……きゃっ!?」

最原「ぼ、僕は……赤松さんの事、嫌いになんかならないよ!」ギュッ!

赤松「え……!?」

赤松(わ、私、最原君に抱きしめられてるの?な、なんで……どうして!?)

最原「そ、そういう気分になるのは人として当然のことだし……別に恥じる事じゃ無いんだよ!」

赤松「で、でも……」

最原「それに……ちょっと変態だったとしても僕は赤松さんの事が好きだし、離れたりなんかしない!絶対だよ!」

赤松「!!!???」

最原「………///」カァァ…

赤松(え?あ?い、今のって、もしかして、こ、告白……?い、いや、もしかしたら友人として好きって意味かもしれないし……!?)

最原「………///」

赤松(な、何か言わなきゃ……あぁ、心臓うるさい!ドキドキするし考えも纏まらないよ!で、でも、何か言わなきゃ……)ドキドキ…

赤松「さ、最原君……///」

最原「っ……!?な、何?」

赤松(何か言わなきゃ何か言わなきゃ何か言わなきゃ何か言わなきゃ……!)ドキドキ…

赤松「最原君も、あの、その……」

最原「………///」ゴクッ…

赤松「……一人でそう言う事、するの?」

最原「」

赤松(何を言っとんのじゃ私はーーーっ!?)

最原「え、えっと……そう言う事って、その……」

赤松「……そう言う事、です……///」

赤松(私のあんぽんたん!馬鹿ッ!)

最原「……す、するよ……あ、赤松さんと同じだね……!」

赤松(……さ、最原君……私を気遣ってこんな嘘を……!その優しさが痛い、苦しい!もうこの会話を止めないと……!)

赤松「……じゃ、じゃあ、その時はどんなことを考えてるの……?」

最原「ふえぇっ!?」

赤松(いっそ死んでくれ私っ!いや、誰かコロシてーっ!)

赤松(違うそうじゃない最原君の嗜好とか聞きたいわけじゃ無くていや興味が無い訳じゃ無いけどそうじゃなくってむしろここで他の女の子の名前が出てきたら心折れるっていうかでも私の名前を出されてもそれはそれで対応に困ると言うか……)

最原「……ぼ、僕は……っ!」ギュッ!

赤松「うひゃいっ!?」ドキッ!

最原「僕が、考えてるのは……!」ドキドキ…

赤松「か、考えてるのは……?///」ドキドキ…

最原「あ、あ……あかま……王馬「も、もう無理!笑い死ぬ!」ドターンッ!

赤松・最原「!?!?!?」

王馬「さ、最原ちゃんも赤松ちゃんも面白すぎ!お、俺、笑い殺されるかと思ったよ!二人に完全犯罪をやられるところだったって!」

最原「お、王馬くん!?なんでここに……!?」

王馬「なんであの流れからオカズの発表になるのさ!?面白すぎるでしょ!」バタバタ

最原「あ……!もしかして、これって君の悪戯!?」

王馬「うん、そうだよ。赤松ちゃんの言った事は全部嘘でした!」ケロッ!

最原「」

赤松「ご、ごめんね最原君!本当にごめん!」

王馬「俺からも謝るから赤松ちゃんを許してあげて!これもあげるから!」

最原「いや、別に赤松さんが謝る理由は……って、なにこれ?デジカメ……?」

赤松「!?」

赤松(あ、あのデジカメって、私の今日一日の映像が記録された奴じゃ……!?)

最原「何か撮ってあるの?」ピッ、ピッ……

赤松「あっ、だ、だめっ!」

最原「……?何も記録されてないけど、なにこれ?」

赤松「え……?」

王馬「なにって、見ての通り新品のデジタルカメラだよ。何にも記録されてない、データがまっさらな奴!」

赤松「あ……あ……!?」

最原「……なんで僕にこれを渡すの?」

王馬「なーに、ちょっとしたネタばらしだよ……にしし!」

赤松(や、やられた……元から私の恥ずかしい映像なんて撮って無かったんだ!私、王馬くんの口車に乗せられてただけだったんだ……!)

王馬「……ね?言ったでしょ赤松ちゃん、人を騙すなんて簡単だってさ」

赤松「くぅぅ……///」プルプル…

王馬「それじゃ二人とも、俺はこの辺で消えるね!あとはごゆっくり~!」ピューッ!

赤松「あ、ま、待てーっ!……くぅぅ……逃げられたぁ……!」

最原「あ、あはは……なんだか大変だったみたいだね」

赤松「うぅ……ごめんね最原君、こんなことに巻き込んじゃってさ……」

最原「い、いいよ。僕は気にしてないし、むしろ赤松さんとこうやって話せて楽しかったからさ」

赤松「!?」

最原「……最近ちゃんと話せてなかったし、ある意味では良い機会になったよ。ちょっと恥ずかしかったけどね……///」

赤松「……そっか、それなら良かったよ///」

最原「そ、それじゃあ、僕は行くね。また今度……」

赤松「あ、待って最原君!これを……」スッ…

最原「え……?これって、ガチャガチャのカプセル?」

赤松「王馬くんからのお詫びのモノクマメダルだって、悪戯が始まる前に渡されたんだ」

最原「あはは……それじゃあ、依頼料としてもらっておくよ」

赤松「うん……迷惑かけてごめんね」

最原「気にしてないったら!それじゃあまたね、赤松さん!」バタン!

赤松「……はぁ、恥ずかしかったぁ……でも、そうだね……久しぶりに最原君とお話しできて良かったなぁ……えへへ……///」

―――夜、寄宿舎の赤松の部屋

赤松(……今日は色々あったけど、大きな問題にならなくて良かったぁ……最原君とも話せたし、まぁ良い一日だったよね!)

赤松「……もしかしたら王馬くん、私と最原君を話させる為にあんなことをしたのかな?……ううん、考えすぎだよね」

赤松「さてと……寝る前にあれを……って、あれ!?」

赤松(無い、無い!?なんで、どうして!?確かにこの中に……あっ!?)

赤松「ま、まさか……あのカプセルの中身は……!?さ、最原君!ちょっと待ってーっ!」ダダダ!

―――最原の部屋

赤松「最原君!ストーップ!」ドーン!

最原「う、うわぁぁっ!?」ビクゥ!

赤松「さ、さっきのカプセル、私に貸し……あ!」

最原「ちが、違うんだよ赤松さん!これは盗んだとかじゃなくって……」

―――以下、赤松の回想

 最原君の部屋に無理やり押し入った私は、彼の手に握られている物をばっちりと見てしまった。ついでに、床に落ちていた紙に書かれていた文字も目に映る。そこにはこう書かれていた。

『最原ちゃんへ、さっきはごめんね!これ、俺の心からのお詫びの品だよ!赤松ちゃんの部屋に入って盗ってきた物で、洗濯籠に入ってたから脱ぎたてほやほやだよ!』

『PS……なんかやらしい匂いもするから、嗅いでみたらどうかな?変態的だよね~、にしし!』

 最原君が握っているもの……彼の両手に掴まれ、その形をありありと彼の目の前であらわしているピンク色の布切れは、まごうこと無く私のパンツだった。

 昼間、真宮寺君と話した時に汚してしまい、部屋で着替えて脱いで来たパンツ……王馬くんは、それを盗んできたのだろう。彼がピッキングを出来ることを忘れていた。

 もうあの布切れに温もりなんて無いのだろう。でも、朝から履いていたパンツが、男の子の手の中にあると言うのは非常に恥ずかしいものがある。というより、恥ずかしく無い訳が無いではないか!

「だ、大丈夫!まだ見てただけだから!別にやましい事はなにも……いや!まだってそう言う意味じゃ無くて、何かしようとしたわけでも無くて!」

 最原君が弁明の為に腕をブンブンと振りながら私に捲し立てる。そうすると彼の手に握られた私のパンツも旗のように揺れる訳で……

「……最原君、もう良いから黙ってて!」

「は、はいっ!……あ」

 私の声でぴたりと動きを止めた最原君、顔の横で動いていた手も止まり、当然その手の中のパンツも動きが止まる。

 自分の頬に当たる布切れの感触に気が付いたのか、最原君はその感触の正体を目で確認した後で……鼻血を噴き出して後ろに倒れ込んだ。

「あぁ、もう……もう!」

 もう何から処理して良いか分からない。どうすれば良いのかもわからない。でも、とりあえず叫ぶ事くらいは許されるだろう。

 そう考えた私は大きく息を吸い込むと、今日一日の感想を大声で叫んだ。

「まったく、なんて日だーーーっ!!!」

―――回想終了

モノクマ「……はい、と言う訳で第一回のこぼれ話『赤松さんの散々な一日』でした!楽しんで貰えたかな?」

モノクマ「と言う訳で第一回のお話はここまで、次回はスケベレベル2の最原君のラッキースケベをお届けするよ!楽しみにしててね~~っ!」

モノクマ「……あ、またオマエラにアンケートを取る事もあるかもしれないから、その時は協力よろしくね!退屈させない展開にはするから、これからもダンガンロンパV3をよっろしく~~っ!」

モノクマ「ではまた次回お会いしましょう!バイバ~イ!」

第二章『湯けむり温泉ドスケベ事件』

―――寄宿舎 最原の私室

最原「………」

天海「………」

モノクマ「うぷぷ……さぁ、皆お待ちかねの第二回ラッキースケベの日がやってきましたよ!」

天海「来てしまったっすか……」

最原「もう、覚悟を決めるしかないよね……」

モノクマ「そんなに気負わないでよ!ただ普通に一日を過ごせば良いんだからさ!」

最原「………」

モノクマ「……ま、導入部分はこんなんで良いでしょ。天海君、早速頼むよ」

天海「……じゃあ、いくっすよ」

最原「うん、よろしく……」

―――テロリロレーン!

モノクマ「うぷぷ……さて、天海君の才能も発動したところで、これを渡しておこうかな!」つ黄金のスコップ

最原「これは……スコップ?」

天海「また隠された道を探す為のアイテムっすか?」

モノクマ「そう言う事!これを使ってわっくわくの学園生活を送ってね~!それじゃ、バーイ!」ピューン!

最原「……行ったか、気が進まないけど、これを使う場所を探そうか」

天海「そうっすね。じゃあ、手分けして探しましょう」

最原「僕は校内を探すから、天海君は外をお願いするよ」

天海「わかりました。じゃあ、何か見つけたら合流という事で!」スタスタ…

最原「……僕も行こうかな」スタスタ…

―――校内 食堂

最原(……特に目的も無く食堂に来ちゃったけど、どうしようかな?)

百田「おう、終一!お前も飯か?」

最原「百田君!丁度良かった!」

百田「お?どうかしたのか?」

最原「じつは……」

―――事情説明中……

百田「なるほど、モノクマがまた謎のアイテムを……」

最原「使う場所を探してるんだけど、良ければ手伝ってもらえないかな?」

百田「良いぜ!……でも、俺はこういう細かいのが苦手だからなぁ……そうだ!ハルマキにも手伝わせようぜ!三人寄ればなんとやらだ!」

最原「あはは……そうだね。手伝ってくれる人が多いのは心強いよ」

百田「よっしゃ!それじゃあ、あいつの研究教室に行こうぜ!」

―――春川の研究教室前

百田「よーっし!早速ハルマキの部屋に……あ」

最原「……?どうしたの、百田君?」

百田「いや、この間あんなことがあっただろ?また同じような事があったらマズいと思ってよ……」

最原「あ……!」

最原(そうだった……この前、僕たちは春川さんの透けたシャツの上から胸を……!)

百田「ま、まぁ、そうそうあんなことはねぇと思うけど、念のために声をかけてから入るか!」

最原「そ、そうだね!ノックしてから入ろうか!」

百田「よし、それじゃあ……ハルマキー!いるかー!?」

春川「……居るよ。なんか用?」

最原「中に入っても良いかな?」

春川「……良いよ。中に入りなよ」

百田「おう!それじゃあ遠慮なく……」ガチャ!

最原「ごめんね春川さん!ちょっとお願いが……っ!?」

百田「うおぉっ!?」

―――以下、最原の回想

 部屋の中に入った時、僕と百田君は驚愕した。なぜなら、そこには上半身下着姿の春川さんが居たからだ。

 真っ赤で派手なブラジャーを着けた彼女を見ながら、『あぁ、前回の僕らからの忠告を受け入れてくれたんだ』などと思い浮かべたが、そんな事は一瞬で頭の中から消え失せた。

 平然とした表情で固まる僕らの事を見る春川さん、でも、彼女は派手なブラジャーを僕らにじっくりと見せつけている。

 慎ましやかな彼女の胸は、可愛らしい下着を身に着けている事によってその魅力をさらに増していた。前回のシャツ越しに見た胸の事を思い返し、その下着の下の光景を思い浮かべる。

 あんまりにも堂々と立っていた彼女に対して何のツッコミも出来ない僕たちだったが、そんな僕らを放っておいてシャツを着た春川さんは何事も無かったかの様に僕らと会話を始めたのであった。

―――回想終了

春川「……あんた達、なに固まってんの?」

最原「は、春川さんこそどういうつもりなの!?そ、そんな姿で平然としていられるなんて……!」

百田「………」ブクブク…

最原「ああっ!百田君がショックのあまり泡を吹いている!しっかりして!」

春川「………」

百田「……はっ!俺は今まで何を……?」

最原「良かった!気が付いたんだね!」

百田「お、俺は確か……そうだハルマキ!お前、何やってんだよ!?」

春川「なにって、なにが?」

百田「おま、おまえ……お、俺たちにぶ、ぶ、ぶ……ええい!終一、お前が言ってやれ!」

最原「何でそこで僕に振るのさ!?」

百田「お前、親分が困ってたら助けろよ!?子分ってそういうもんだろ!?」

最原「横暴だ!めちゃくちゃだ!」

春川「………」

百田「……とにかくだ。ハルマキは無防備すぎんだよ!お前はもうちょっと女としての慎みを……」

春川「……私が無防備?何、殺されたいの?」ゴゴゴ…

百田「うおっ!?」ゾクッ!

最原「そ、そうじゃなくって!春川さんはもう少し女の子としての自覚を持とうって事だよ!」

百田「そ、そうだそうだ!」

春川「………」

百田「だ、だいたい、女が下着姿をほいほいと見せつけるもんじゃねぇ!入間みたいな奴ならともかくだな……」

春川「……悪かったよ。本当に気が回らなかったんだ」

最原「え……?」

春川「あんたらを待たせるのも悪いと思ったし、別段見られて困るものでも無いと判断したから招き入れたんだけど……やっぱ私、どっかズレてるんだね」

百田「は、ハルマキ……」

最原「………」

百田「ま、まぁなんだ!ハルマキもそれだけ俺たちの事を信用できるようになったってことだろ?もしかしたらそのうち裸の付き合いも……」

春川「……殺されたいの?」

百田「じょ、冗談だっつーの!」

春川「……私も冗談だってば」

最原「………」

百田「良し!これでこの話は終わりだ!それで話の本題なんだけどよ……」

天海「すいません!ここに最原君はいるっすか!?」バタン!

百田「うおっ!?……な、なんだ天海か、どうかしたのか?」

天海「皆さんお揃いで丁度良かったっす!実は、例のスコップを使えそうな場所を見つけたんすよ!」

百田「本当か!?終一、早速行ってみようぜ!」

最原「……うん、でもその前に春川さんに用があるんだ」

春川「私に……?」

百田「あ?急ぎの用なのか?」

最原「うん、出来れば早めに話しておきたくてさ……百田君は天海君と一緒に先に行ってよ」

百田「そうか……まぁ、あんま遅くならないようにしろよ!」

天海「場所はプールの横っす!来ればすぐ分かるはずっすよ!」

―――ガチャ……バタン!

春川「……それで?私に用って何?」

最原「……ごめん。実はその話は嘘なんだ」

春川「はぁ……?」

最原「……どうしても確かめておきたい事があって、二人になりたかったんだ。そうしなきゃいけないから……」

春川「……で?確かめたい事って?」

最原「春川さん……君は、もしかして僕たちにわざと恥ずかしい姿を見せてるんじゃないの?」

春川「………」

春川「……なに?最原は私が露出狂だって言いたい訳?流石に傷つくよ」

最原「でも、君の行動におかしい点があるのも事実だ。その理由を問い質さないといけないと僕は思ったから、こうして二人になったんだ」

春川「……だから悪かったって言ってるじゃん。確かに私に不用意な点があったのは事実だよ。でも、ちょっとズレてただけなんだからさ」

春川「孤児院では男女ごちゃ混ぜで着替える事も多かったし、その考え方が染みついちゃってたんだよ。この間、あんた達には似た様な姿を見られたし、別に良いかなって思っちゃってさ……それが悪いことだってことは理解したから、今度から気を付けるよ」

最原「……それがおかしいんだよ」

春川「え……?」

最原「確かに春川さんは『超高校級の暗殺者』として生きて来たから、すこし世間とズレている所があるのかもしれない。孤児院暮らしも長かったから、普通の男女の関わりが分かりにくいと考えられてもおかしくない。でも、超高校級の暗殺者である君が、着替え中なんて隙だらけの姿を見せる事はありえないんだよ」

春川「………!」

最原「僕と百田君を信用してたとしても、死と隣り合わせの生き方をしてきた春川さんがそう簡単に隙を晒す様な真似をするはずが無い……だって、一度失敗したら次は無いかもしれないって君が言ってたんじゃないか」

春川「……っ!」

最原「それに賢い君が『僕たち以外の人間が居る可能性』を考えなかったわけが無い。第三の人物がいると考えたら、僕たちを信用していたから下着姿を見せても構わないと思ったって言う理由は弱く感じられるんだ」

春川「………」

最原「……もちろん、僕にも確固たる証拠は無い。言いがかりだって言われたらそれまでさ。だから……もし君が僕の言う事を否定するのなら、ここで誓ってくれないか?僕と百田君との友情に誓って、決してそんな馬鹿な真似をしてないって事を……!」

春川「………」

最原「春川さん!僕は……!」

春川「……馬鹿な真似、か……そうだね、その通りだね……」

最原「!」

春川「……あんたの言う通りだ……こんな馬鹿な真似、しちゃいけないよね……」

最原「……認めるの?君が、その……」

春川「……『わざと下着姿を見せた事』をかい?……そうだよ、私はわざとあんな真似をしたんだ」


春川「……嬉しかったんだよ」

最原「え……?」

春川「嬉しかったんだ。この間、ここで私のシャツが透けた事があったでしょ?その時の私の姿を見て、あんたと百田が顔を赤くして、私の事を女の子扱いしてくれたことが嬉しかったんだよ……」

最原「春川、さん……?」

春川「……施設では女の子というよりもお姉ちゃんだった。組織では人どころか道具扱いだったからね……あんな風に自分を女の子だって思わせて貰える様な事、初めてだったんだよ」

春川「私の事を見て顔を赤くするあんたたちを見てたら、何か変な気分になっちゃったんだ……恥ずかしい姿を見られてるはずなのに嬉しくって、もっと見て欲しいって思って……それから、またあんな事をどうやったらおこせるだろうか?って考え続けてたんだ……」

最原「それで、こんな行動を?」

春川「……今、アンタに言われて気が付いたよ。私はなんて馬鹿な事をしたんだってさ……最原の言う通り、あんたと百田以外の人間がいるんじゃないかって考えなかったわけじゃ無かったんだ。もし王馬や真宮寺みたいな信用できない奴がいたらどうしようって、考えなかったわけじゃ無いんだ……」

最原「……なんで、そのリスクを踏まえてもこんなことをしたの?」

春川「……それでも良い。って思っちゃったんだよ……」

最原「!?」

春川「王馬や真宮寺に私のこの趣味がバレて、弱みを握られて玩具にされるのも……それも面白そうだって、思っちゃったんだ……そう思って、卑猥な命令をされる事を考えたら頭がぼーっとして……気が付いたらあんたたちを部屋の中に招き入れてたんだ……っ」

最原「………」

最原(……これは重症だ……あの春川さんがここまでの破滅願望を抱くだなんて……!)

最原(いや、もしかしたら彼女だからかもしれない……暗殺者として心に蓋をしていた春川さんは、同時に自分の中の罪悪感にも蓋をしていた。その蓋を自らの中の女の子としての願望が生まれた時に知らず知らずのうちに外してしまったのかも……)

最原(今、春川さんの中では自分を女の子として見て欲しい感情と今までの自分の罪を裁いて欲しいと言う破滅的な願望の二つが入り混じっているんだ。今すぐ何とかしないと取り返しのつかない事になる!)

春川「……これ、壊れたってことなのかな?この異常な状況の中で、とうとう私はイカれちゃったってわけ……?」

最原「……大丈夫だよ」

春川「え……?」

最原「春川さんはまだ、自分のしたことを反省できる思考を持っている。僕たちに対する罪悪感も持っている。春川さんは壊れてなんかいないよ」

春川「最原……!」

最原「……もし、春川さんが自分の事を女の子として見て欲しいって言うなら、僕が何百回でも君の事は可愛いって言うよ。春川さんの事を女の子として見てるって証明するからさ……」

最原「だからお願いだ。もう二度と露出行為なんかしないで……この事を百田君が知ったら、きっとショックを受けるよ……」

春川「っっ……!」

最原「春川さん、僕たちとの友情に誓って、もう二度とこんなことはしないと約束してくれ!」

春川「……わかった、約束するよ。もう二度とこんな馬鹿気た真似はしない、もう二度とこんなことを思ったりしない……誓う神様なんかいないけど、あんたと約束するよ。最原……」

最原「……ありがとう。春川さん」

春川「……お礼を言うのはこっちの方だよ。アンタに感づかれた時、もうお終いだって思ったもの。これから先、最原に脅されて言いなりになる人生が待ってるんだってさ……」

最原「ええっ!?ぼ、僕、そんな人間に見えるの!?」

春川「……ふふ、冗談だよ。まったく、アンタも百田と同じで冗談が通じないね」

最原「え、あ、あぁ……」ホッ…

春川「……さ、百田たちが待ってるよ。早く外に出よう」ガチャ

最原「そうだね、急ごうか!」

最原(……何とか春川さんを破滅の道から救い出せたぞ!良かった、友達を助ける事が出来て……!)

春川「………」

―――校舎外 プール横

最原「百田君、天海君、お待たせ!」

百田「おう、遅かったじゃねぇか!何を話してたんだ?」

春川「え、っと……」

最原「……実は、僕の恋愛相談に乗って貰ってたんだよ」

百田・春川「!?」

最原「こういうのは女の子の意見が大事だからね。春川さんの意見はとても参考になったよ」

春川「最原、あんた……!」

百田「そ、そうか……そりゃあ俺には質問できないわな!そっかそっか、終一が恋愛かぁ……!」

最原(……良かった。百田君の疑いを晴らせたみたいだぞ!これで春川さんの問題は一件落着だよね!)

天海「ゴホン……!最原君、今はその話よりもスコップっす。この穴を見てください」

最原「ああ、ごめんごめん……何だろうこの穴?昨日までは無かったよね?」

天海「最原君、このくぼみの部分に例のスコップが嵌りそうじゃないっすか?」

最原「本当だ……よし、早速突き刺してみよう!」

ガッ……!

最原「……なにも起きないね」

百田「なんだ?間違いなのか?」

天海「う~ん……でも、こんなに怪しいんだから無関係ってわけじゃあ無さそうなんすけどね……」

―――ゴゴゴ……

春川「……待って、何か聞こえる……!」

最原「……本当だ、なんだろうこの音?」

天海「これは……下から聞こえてくるっす!」

―――ゴゴゴゴゴゴゴ!

百田「どんどん近づいて来るぞ!」

最原「皆!ここから離れてっ!」バッ!

―――ゴゴゴゴゴ………ブシャァァァァァ!!

天海「う、うわあっ!?」

百田「ち、地下から何かが噴き出して来たっ!?」

最原「こ、これって……もしかして、温泉!?」

モノクマ「はーい!その通りでーす!」ヒュゥゥ…

春川「今度は何か落ちて来るよ!」

ヒュウゥゥゥゥ……ズドーン!

百田「うわぁぁぁっ!?なんだなんだっ!?何が起きてやがんだっ!?」

モノクマ「いらっしゃいませー!温泉『クマの湯』、本日開店でーす!」

4人「……はぁ?」

―――数十分後 食堂

赤松「温泉が出来たぁ?」

最原「うん……なんか、そうみたいなんだ……」

白銀「温泉、って……あの温泉のこと?」

最原「そうみたいです……」

天海「モノクマが言うには、入場・入浴料は無料。卓球やレトロゲームみたいな娯楽品からマッサージチェア、湯上りに飲む数多くの種類の牛乳が売られている自動販売機まで完備されてるらしいっす」

百田「温泉も源泉かけ流しで、大浴場と露天風呂に分かれてるらしいぜ。混浴は無いってよ」

茶柱「それは素晴らしいですね!男死と一緒の風呂に入るだなんて汚らわしいですしね!」

星「ふん……何を考えてるか分からねぇが、ご苦労なこったな……」

春川「あと、温泉がオープンしたのを機に購買部にも品物を追加したってさ。お風呂セットとか、浴衣とかの気分を満喫できる物を売る様にしたらしいよ」

王馬「へぇ~……なかなか気が利いてるじゃん!」

最原「一応、僕たちも中を調べてみたけど、危険は無さそうだったよ」

真宮寺「ククク……それは良いネ。温泉に浸かって極楽気分でいたら、そのまま本当に天国にご招待されてただなんて笑えない話だからネ……!」

東条「……入るか入らないかは個人の意思しだいってことね。皆はどうするつもりかしら?」

獄原「ゴン太は皆と一緒にお風呂入りたいよ!大きいお風呂で皆と背中の流しっこをするのが夢だったんだ!」

百田「よーし!それじゃあ早速風呂に入るとするか!」

王馬「にしし……それじゃあ俺は一番風呂を頂く為に先に行くよ!じゃあね~!」ピューン!

百田「あっ!待てっ!一番風呂はこの俺だーっ!」ダダダッ!

獄原「皆とお風呂、楽しみだなっ!」ルンルン!

最原「……百田君たちは温泉に入る気満々みたいだね。他の皆はどうするの?」

真宮寺「ククク……僕は遠慮するヨ。あんまり騒がしいのは好きじゃなくてネ……」

星「同感だ。俺も適当に時間を見計らって入るとするぜ」

天海「俺も騒がしいのは苦手っすけど……せっかくの機会ですし、ご一緒するとしますか!」

最原「そっか……あとはキーボ君だけど……」

キーボ「……せっかくのお誘いですが、僕はご一緒する事は出来なさそうです……」ショボン

最原「え?なんで?」

キーボ「温泉の成分的に何が入ってるか分かりませんし、漏電の危険性も無くは無いです……皆さんと親睦を深めたい気持ちはあるのですが、現状ではなんとも……」

入間「ひゃっはー!なんだよお前、そんな事で悩んでんのかよ!?」

最原「そっか……でも、無理強いは良くないよね」

キーボ「はい、せっかくのお誘いを断ってしまってすいません」

入間「ひぐぅ……無視されたぁ……私って皆の目に映らないのぉ?」

真宮寺「どちらかと言えば、映したく無いが正しいと思うヨ?」

入間「ひぅぅ……悪意ある放置プレイ……でも、なんか良いかも……っ!」

最原「……それで、入間さんは何の用なの?」

入間「み、見えてたのぉ?だったら最初から反応してよぉ……!」

キーボ「早く用件を言ってくださいよ」

入間「うひぃぃ……き、機械に乱暴に弄られてるぅ……!弄るのは私の方なのにぃ……」ビクビク…

天海「救いようが無いっすね」

入間「な、なんだよぉ……せっかくキーボをメンテして、一緒に温泉に入れるようにしてやろうと思ったのにぃ……」

キーボ「それは本当ですか!?」グイッ!

入間「ほ、本当だよぉ……ちょっと調べれば簡単に出来るから、安心して私に体を預けてぇ……!」

キーボ「……不安ですが、皆さんと一緒の入浴が出来るチャンスを捨てる気にもなりません。入間さんにお願いしましょう」

入間「よっしゃあ!それじゃあ俺様の研究教室に来いよ!すぐに体を弄りまくってやるからさぁ……!」

キーボ「や、優しくして下さいよ……///」

最原(……なんだか怪しい雰囲気を放ちながら二人は行ってしまった。ちょっと不安だな……)

最原(どうしようかな?いつの間にかみんないなくなってるし、入間さんたちの様子を探りに行こうかな……ん?)

夢野「んあ~~……」

最原(夢野さん?何か悩んでるみたいだけど……)

夢野「……良し、決めたぞ!早速行動じゃ!」

最原「あっ、行っちゃった……どうしよう?夢野さんも気になるし、どっちの様子を先に見に行こうかな……?」

―――どうやら最原君は今後の行動に迷っている様子ですね。ここは皆さんの出番です。皆さんの声で最原君の行動を……

 ……おっと失礼。その前にとっても重要な話がある事を忘れていました。本当に重要な話ですので、良く聞いて下さい。

 実はこのSS、結末が16パターン用意してあります。今回お話しするのは、その結末の決定方法なのです。

 結末は各女の子8人×2パターン……『純愛エンド』と『狂気エンド』の二種類をご用意してあります。順当に進めた場合、女の子の好感度はマックスになるはずですので誰のエンディングになるかは皆様のアンケート次第であります。

 では、純愛と狂気、二つのエンディングはどうしたら切り替えられるかというお話ですが……これは、各章の合間にあるサブイベントが関係しています。

 各章の合間には、最低一つのサブイベントをご用意いたしました。この中で起きたイベントにより、女の子たちの最原君への感情が大きく変わるのです。

 そしてこの愛情と狂気は、各章で最原君が受けるラッキースケベにも影響があります。どんな事が起きるのか?相手の反応はどうなるのか?そう言った事が全て変わる訳ですね。

……少しわかりやすく例を出して説明いたしましょう。第一章のサブイベントで指定された赤松さんは、最原君の真摯な対応に胸を打たれて彼に「愛情」を抱きました。このまま行けば彼女は純愛エンドまっしぐらです。

 では、他の女の子はどうかと言われると………皆さん、『中立』状態であります。

 特に何も感じないニュートラルな状態がこれです。まず無い事と存じますがこの中立状態の感情を持った女の子がいて、その状態で最後までお話が進んだ場合、最後の選択の際にその女の子の名前は出て来ません。エンディングが無くなると言う訳ですね。

 一度中立状態から離れた女の子は二度と中立にはなりません。純愛か狂気のどちらかに属すことになります。サブイベントの結果によってはそれが切り替わっていくわけですね。

 そして最後になりますが、私はこれ以降、女の子が最原君に抱いている感情を明言いたしません。彼女たちの行動や反応を見て、その子がどちらの感情に属しているか判断してください。

 ……今の話を纏めるとこう言う事になります。

 1、結末は16パターン 各女の子につき2『純愛』と『狂気』エンドがある

 2、純愛と狂気の切り替えは章の間で起きるサブイベントで切り替え可能。通常イベントでは切り替わらないが、感情によってラッキースケベの反応が変わる

 3、『中立』状態の女の子はエンディングが出ない。その子のエンディングが見たければ純愛か狂気のどちらかにしなければならない

 4、女の子が純愛か狂気のどちらの感情を抱いているかは確認する方法は無い。彼女たちの反応で判断するしかない

 5、ホモエンドは無い。ノンケ以外は帰ってくれないか?

 ……以上でございます。皆さま良くご相談の上、アンケートに投票ください。

 さて、お待たせいたしました。特に展開に関係の無いアンケートを取らせていただきます。

 入間さんと夢野さん、どちらの様子を先に見に行きますか?この下から10個までを対象とさせていただきます。

夢野ちゃん5 入間さん4 無効票1 で夢野ちゃんを優先します。

もう既にある程度書き溜めてあるので、書き終わったらエンディング全部を書くことも視野に入れてますよ!

―――購買部

最原「……夢野さんはこの中に入って行ったな。良し、僕も入ろう」ガチャ

モノスケ「いらっしゃ~い!」

最原「うわっ!?モノクマーズ!?」

モノスケ「ズやない!今日はワイだけや!モノクマーズfromモノスケやな!」

最原「……ものすごくどうでも良いや」

夢野「なんじゃ、最原では無いか。おぬしも買い物か?」

最原「夢野さん!そう言う夢野さんは何を買いに来たの?」

夢野「ウチか?ウチはのぉ……おぉ!丁度良い!最原よ、ウチの買い物を手伝ってくれんか?」

最原「え……?買い物を手伝う?僕、お金は貸せないよ?」

夢野「んあ~!違うわい!お金の貸し借りはしちゃいけませんってママに言われて育ったから、そんな事はせんわい!」

最原「じゃあ、僕は何を手伝えばいいの?」

夢野「簡単じゃ、お主の意見を聞かせてくれれば良い」

最原「意見……?って、なんの?」

夢野「パンツじゃ!」

最原「はぁっ!?」

最原「ぱ、パンツ!?またっ!?」

夢野「またとは何じゃ、ウチがお主にパンツの話をするのはこれが初めてじゃぞ」

最原「あ、いや、その……って、あっ!」

最原(い、今気が付いたけど、購買部の中はパンツの棚でぎっしりだ!どうしてこんなことになってるんだ?)

モノスケ「なんや兄ちゃん、この娘のパンツを選んだげるんか?そやったらじっくり見てきぃや!」

最原「え?いや、僕はそんな……そ、それより、夢野さんはパンツを買いに来たの?」

夢野「そうじゃ、ウチは大人のパンツを買いに来たのじゃ!」

最原「大人のパンツ……?」

夢野「……この間、転子と一緒にプールに入る為に着替えた時、転子にウチの履いていたパンツを見られてのぉ……よりにもよって、あやつ、ウチのパンツを笑ったんじゃ!」プンプン!

最原「えぇ……?」

夢野「……『子供らしくて可愛い下着ですね!夢野さんにぴったりですよ!』じゃと!?ウチが子供じゃと言いたいのか!?ウチは立派な大人のレディじゃというのに、転子の奴は!」

最原(……言葉は悪いけど、茶柱さんは間違った事言って無いよなぁ……)

夢野「……だからウチは決めたんじゃ!今日は大人っぽいパンツを履いて、転子を驚かせてやろうとな!」デーン!


最原「いや、それは分かったけど何で僕に選ばせるのさ?」

夢野「こういうのは男の方がいやらしい物を選ぶと相場が決まっておる!やらしい下着=大人の下着じゃしの!」

最原「えぇ……?」

夢野「それにの……男に下着を選ばせる事は大人っぽいとは思わんか!?これでウチの大人の魅力は急上昇じゃ!」ンアー!

最原「えぇぇぇぇぇ……?」

夢野「最原よ、理解したらさっさとウチの為の大人パンツを選ぶのじゃ、もたもたしておると『鼻の下が際限なく伸び続ける魔法』をお主にかけるぞい!」

最原「えぇぇぇぇぇぇぇ………?」

最原(……困ったな。下着を選んであげないとここから帰して貰えなさそうな雰囲気だぞ。でも、僕に女の子と下着を選ぶなんて出来っこないし……)

モノスケ「なに固まっとんねん、なっさけ無いのぉ!ここはビシッと男らしいところを見せたらんかい!」

最原「うわっ!?いきなりなんだよ!?」

モノスケ「まぁ、童貞チェリーボーイ君の為にワイも一肌脱いだるか……さて、これなんかどうや?」

最原「う、うわ……///」

モノスケ「色は定番の黒!大人の雰囲気をムンムンに放つスケスケランジェリーや!」

夢野「おお!これは大人っぽいのぉ!散りばめられた蝶々の模様もグッドじゃ!」

最原(た、確かに大人っぽいけど……これは刺激的すぎるよ!)

モノスケ「お次はこいつや!小悪魔系のピンク、デザインはフリル付きのTバックや!」

夢野「こいつを履けばウチの可愛いお尻が強調されるのぉ!フリフリも可愛いのじゃ!」

最原(Tバックだよ!?強調どころか、丸見えだって!)

モノスケ「最後は……白色の清純そうな見た目に反して、作りは激ヤバのエロモンスターや!こんなん飼ってたら周りの女どもは一目置くで!」

夢野「か~っかっか!確かにその通りじゃの!これを履いてるウチを見た時の転子の顔が楽しみじゃ!」

最原(紐!これ、基本は紐じゃないか!大事な部分をレースで申し訳程度に隠してるだけで、全方向丸見えだよっ!)

モノスケ「……で?どうなんや兄ちゃん?」

最原「は……?」

モノスケ「お前的にはどの下着が良いっちゅうねん?お前が決めんと話が進まないやないか」

夢野「そうじゃぞ最原!お主の言葉一つでウチの下着が決まるのじゃ、よ~く考えんか!」

最原「ど、どれって言われても……」

モノスケ「……簡単やないか、想像してみぃ、この嬢ちゃんがここにあるエロ下着を着けた姿を……!」

最原「そ、想像……!?」

モノスケ「得意やろ?頭ん中で着せ替えっこや、さぁ、やってみんかい……!」

最原「う……」

―――以下 最原の回想

 モノスケにそう言われた僕は、すぐさま頭の中で目の前に置かれたパンツを履いた夢野さんの姿を想像した。

 一つ目の黒い下着……軽く透け、肌が見える様になっているそれを身に纏った夢野さんは、恥ずかしそうに僕の事を見ていた。

 布面積は大きいはずなのに、薄く透けてしまっているせいでほぼ裸と変わり無く肌を晒してしまっている夢野さんがはにかむ姿を想像した僕は、くらりとしためまいを覚える。そして、次の下着の想像を始めた。

 二つ目はピンクのTバック……大事な部分だけをぎりぎり隠すそれは、夢野さんの小さなお尻の谷間を沿って布を伸ばしている。

 自分も言うほどの可愛らしい夢野さんのお尻が突き出され、僕の目の前に差し出される。白桃の様に柔らかくて瑞々しいそれを見て僕は、喉を鳴らして唾を飲み込んだ。

 そして最後の下着、白の紐ショーツと言っても過言ではないそれを身に纏った夢野さんのお尻を見た時、僕に電撃が走った。今まで何とか隠れていた彼女の最も大切な部分が、僕の目の前に曝け出されたからだ。

 純白のベールの様なレースは、夢野さんの幼い体つきと相まってまるで彼女が天使の様に思える様な幻想的な雰囲気を醸し出していた。同時に、そんな夢野さんが卑猥な恰好をしている事に相反した劣情を抱いてしまう。

 分かっている。これは全部空想だ。夢野さんの下着姿も、小さくて可愛いヒップも、直に見ている訳では無い。

 全部僕の妄想……そう分かっているはずなのに、いや、分かっているからこそもっと過激な姿が見たくなる。

 妄想の中で意味深に笑う夢野さんが下着に手をかける。純情な彼女がこんな表情を見せる訳が無い。そう思いながらも僕の妄想は止まらない。

 笑みを浮かべたままの夢野さんは、体を隠すと言う目的をほぼ果たしていない下着をしっかりと掴むと……一気にそれを脱ぎ捨てた。

―――回想終了

夢野「……はら、最原!」トントン!

最原「う、うわっ!?」

夢野「ひぃっ!?きゅ、急に大声を出すでは無い!ちょっと漏らすところだったでは無いか!」

最原「あ……ご、ごめん……!」

最原(……も、妄想、だよね?今、僕が見てたのは全部、頭の中で繰り広げられてた妄想……)

モノスケ「くくく……!」

夢野「それで?ウチに似合う下着はどれだと思うんじゃ?言ってみるが良い!」

最原「え、えっと……じゃあ、この白いのが良いかな?」

モノスケ「ほほぉ……ちなみに、選考基準はなんだったんや?」

最原「男の人に見せるのは危ないけど、茶柱さんに見せるんだったらこれが一番可愛く思えたんだ。白色で天使みたいだなー、と思ってさ……」

夢野「天使、天使か……///なんだか照れるのぉ……!」

モノスケ「よっしゃ、そんならこれとセットのブラジャーもオマケで付けとくで!合計150モノクマメダルの所を、100にまけたらぁっ!」

夢野「おお!なんとお得なんじゃ!買ったぞい!」

モノスケ「まいどありぃ!……ほな、ちょっと試着室にきぃや。そこでサイズのあった奴を売るさかいな」

夢野「わかったわい!……最原よ、協力感謝するぞ!転子の反応は後できっちり教えるからの!」テクテク…

最原「……夢野さんとモノスケは試着に行っちゃったな。僕もそろそろ入間さんの研究教室の様子を見に行かないとな」

ガチャ……バタン!

―――中庭 入間の研究教室前

最原「……と言う訳で、入間さんの研究室まで来てみたんだけど……」

王馬「にしししし……!」

最原「……どうしよう。ドアの前に王馬くんが居るよ。こっそり中を覗いてるみたいだけど……」

王馬「……あ、最原ちゃん!遅かったね!」

最原「王馬くん、どうしてここに?君は一番風呂を浴びに行ったんじゃないの?」

王馬「まぁまぁ、細かい事は気にしないの!それよりも中を見てごらんよ!面白い事になってるからさ!」

最原「面白い事……?」

王馬「元々、様子を探るつもりだったんでしょ?ならいいじゃない!」

最原「……覗き見は趣味が悪いけど、まぁ、少しくらいなら良いか」

王馬「そうこなくっちゃ!それじゃ、こっそりだよ……!」

最原「……一体、中では何が行われているんだ?」コッソリ…

―――以下 最原の回想

「ぐへへへへ……観念して俺様の言いなりになりな……!」

「は、放して下さい!誰か助けてーっ!」

 僕がドアの隙間から見た光景は、一言で言えば頭が痛くなるものであった。薄い扉を一枚隔てた向こう側では、何とも馬鹿らしいやり取りが繰り広げられていたのである。

 大きな手術台の様なテーブル、そこにはキーボ君が磔にされた状態で拘束されていた。必死になってもがいている様だが、あそこまでがっちりと拘束されていては脱出は不可能だろう。

 そしてそんなキーボ君に迫る入間さんはと言うと……何故か、下着姿なのであった。

 上下とも黒のセクシーな下着。先ほど夢野さんと一緒に見た物よりかは一般的なデザインだが、十分に派手な部類に入る一品だろう。スタイル抜群の入間さんが身に着けているとなれば尚更だ。

 だが、しかし……今現在の入間さんの姿を見るに、とても興奮する気にはなれないのである。

「キーボぉ、諦めて俺様に身を委ねろよぉ……大丈夫、気持ちよくなれるからさぁ……!」

 手をワキワキさせながらキーボ君に迫る入間さん、その姿はまるでセクハラおやじの様だった。完全に立場が逆であると思いながらも、一応僕は入間さんをじっと見つめる様な野暮な真似はしまいとする。

 先ほども言った通り、入間さんはスタイルが良い。胸も尻も間違いなく女子たちの中ではNo1だろう。

 そんな彼女が下着姿で居たら、目を惹かれないわけが無い。もろに露出された入間さんの体が、これでもかと言うほどに僕にアピールしてくる。

 春川さんや夢野さんには無い育った胸や尻……ゆさゆさと揺れるそれに目を奪われきれなかったのは、すぐ近くに王馬くんが居るからだ。彼の前で入間さんの下着姿に見とれでもしたら、それをネタに骨の髄までしゃぶられ続けるに違いない。

 結局、僕は横目でちらちらと入間さんの体を見る事くらいしか出来ないまま、時間が過ぎて行ったのであった。

―――回想終了

王馬「……ね、面白かったでしょ?」

最原「いや……なにから突っ込めば良いのか良く分からない光景だったよ」

王馬「にしし……そっか、最原ちゃんは最初から見て無いもんね。なら分からなくても仕方が無いか!」

最原「そんな事より、キーボ君の身が危険だよ。急いで助けに行かないと……」

春川「……あんたたち、そこでなにしてんの?」

最原「!?」  

王馬「あー、春川ちゃんじゃん!気配も無く俺たちに近づくなんて、流石は超高校級の暗殺者だね!」

春川「……最原、あんた何やってんの?」

王馬「ちぇー、俺は無視かよ~……」

最原「なにって、その、それは……」

キーボ「た、助けてくださーい!」

最原・春川「!?」

王馬「い、今のはキー坊の声だ!大切な仲間のピンチ、今行くよーっ!」ダダッ!

最原「あ、王馬くん!?ちょっと待って!」

ガタガタ バタンっ!

王馬「そこまでだ!淫乱肉豚便器女入間美兎!」

入間「ひぃっ!?出会い頭に情け容赦の無い悪口ぃ!?」

最原「ちょっと待ってったら王馬くん!状況がまるで飲み込めないんだけど」


春川「……入間、あんたなんで下着姿なの?」

入間「へ?い、いや、それは……」

王馬「そんなの決まってんじゃん!そこの年中発情雌奴隷入間美兎はキー坊を襲ってイケナイ事をしようとしてたんだよ!」

最原「え、ええっ!?」

キーボ「た、助けてください!王馬くんには期待してないので、最原君と春川さん、なんとかして下さーい!」

春川「……入間、今の王馬の話は本当なの?」

入間「え、ええっと……ま、まぁ、俺様としてもこの閉塞状態で溜まる物もあるって言うか……そのお相手として、キーボを選んだと言うか……」

王馬「きっと『キーボならロボットだからいざとなったら玩具による一人遊びでしたって言って誤魔化せる!』とか考えてたに違いないよ!」

入間「ひいぃっ……!な、なんで私の考えが読めるのぉ……?」

春川「……呆れた。アンタがそこまで節操無しだったなんてね……」

入間「ひぐぅ……冷たい言葉が心に突き刺さるぅ……女王様ぁ……!」

春川「気持ち悪い呼び方をするんじゃない」ゴゴゴ…

入間「ひぐぅっ!」

最原「……キーボ君、大丈夫?」

キーボ「ありがとうございます最原君、おかげで助かりました。あのままだと、何か大事な物を失っていたような気がします」

入間「馬鹿野郎!処女は大事だが、童貞は早く捨てるに越したことは……」

春川「………」ギロッ!

入間「ひいぃっ!無言の圧が怖いぃっ!?」

春川「……はぁ、最原、キーボを頼める?私は入間のオシオキと、王馬から事情を聞いておくからさ」

入間「オシオキっ!?やっぱり女王様じゃないかよ!」

王馬「いやいや入間ちゃん、意外と春川ちゃんみたいなのがドMだったりするんだよ!」

春川「……二人纏めてドギツイの行こうか?」

最原「あはははは……キーボ君、巻き込まれない内に行こうか?」スタスタ…

キーボ「はい、後は野となれ山となれ、ですね」スタスタ…

―――ギャー!イタッ、デ、デモソレガイィ……ウギャーッ!

最原(振り向くな……振り向いたらきっと大切な何かを失うぞ……!)

―――数分後、食堂

最原「……キーボ君を寄宿舎に送り届けて来たけど、一気に疲れが出て来たな。そろそろ百田君たちも上がったろうし、僕も温泉に行ってみようかな?」

最原「そうと決めたらまずは購買を覗いてみよう。さっきは見忘れちゃったけど、色々と温泉気分を満喫できるアイテムが揃ってるみたいだしね!」

―――購買部

最原「……なんだか今日はよくここに来るなぁ……あ!」

赤松「へぇ~、アヒルの玩具まで売ってるんだぁ!」ニコニコ

最原「赤松さん!もしかして赤松さんも買い物?」

赤松「あ、最原君じゃん!品ぞろえに興味があって来てみたんだけど、浴衣とか玩具とかいろいろ売ってて面白いよ!」

最原「へぇ~、そうなんだ。僕も興味があって見に来たから楽しみだよ」

赤松「じゃあ、一緒にお買い物しよっか!それで、終わったら一緒に温泉に入ってみない?」

最原「えっ……!?」

最原(い、一緒に温泉って……その、そんなの過激的と言うか、そう言う事はもっとお互いを分かり合ってからで……///)

赤松「……別に一緒に入る訳じゃ無いよ?分かってると思うけどさ」

最原「えっ!?あ、そ、そうだよね!分かってる。分かってるよ!」

赤松「何その慌て様?……まさか、ほんとは一緒にお風呂に入るところを想像したとか~?最原君って、意外とエッチなんだね」

最原「そ、そ、そ、それは違うよっ!」

赤松「あはは!冗談だよ冗談!なんだか王馬くんが最原君をからかう理由が分かった気がするなぁ。芦原君の反応、面白いんだもん!」

最原「うぅ……あんまりからかわないでよ……」

赤松「えへへ、ごめんごめん!そんなにいじけないでよ!」

最原「……ま、まぁ、冗談はともかく、買い物が終わったら一緒に温泉まで行こうか。お風呂上りに牛乳を飲んだりして、色々話そうよ!」

赤松「それ、良いね!私、イチゴ牛乳好きなんだ!」

最原「きっと売ってるよ。あそこ、無駄にサービス良かったからさ」

赤松「えへへ……楽しみだね、最原君!」

最原「うん、そうだね!」

モノタロウ「……おはっくま~!ようこそ購買部へ~!」

最原・赤松「!?」

モノタロウ「あれ?どうしたの?買い物しに来たんじゃないの?」

最原「い、いや、そうなんだけど、店員役ってモノスケじゃあなかったっけ?」

赤松「それに、出てくるのが遅い気がするんだけど……」

モノタロウ「ああ、モノスケなら休憩時間だよ。その間はオイラが店員さんさ!……居眠りしてて赤松さんが入って来るのを見逃してた事は秘密だよ!」

最原「あぁ……なるほどね……」

モノタロウ「そんな事より売り子だよ!新規入荷したお風呂セットを売ってお金を稼がなきゃ!」

赤松「あ、丁度良かった!私たち、温泉で使う物を買いに来たんだ!色々見せて頂戴!」

モノタロウ「わかったよ!よ~し、それじゃあ早速品物を……」ポチッ!

―――ゴウンゴウンゴウン……

最原「わっ、棚がせり出て来た!」

赤松「あれ?でもこれ、飲み物の棚だよ?温泉で使う物じゃないよね?」

モノタロウ「あれ~?ボタンを間違えちゃったかな?こっちのボタンだったっけ?」ポチッ!

―――ゴウンゴウンゴウン……!

最原「……今度は飾り物の棚だ。これも違うんじゃないかな?」

モノタロウ「あー、もう!じゃあこっちのボタンだ!」ポチポチ!

―――ゴゴゴゴゴ……!

最原「え……?わっ!?」ドタッ!

最原(あ、足元が揺れて棚が出て来た!これ、どんどんスペースが狭くなってきてないか!?)

赤松「最原君、大丈夫!?思いっきり転んだけど……?」

最原「大したこと無いよ、でも、このままじゃ部屋の中が棚だらけになっちゃう!」

モノタロウ「これじゃない、あれじゃない、これでもない……」ポチポチ…

赤松「モ、モノタロウくん!一度棚を全部しまって!私たちが立つスペースが無くなってきて……」

モノタロウ「え?何か言った?」ポチッ!

赤松「あ……!きゃぁぁっ!?」ズルッ!

最原「あ、赤松さ……うわぁっ!?」ドンッ!

―――以下 最原の回想

「むぎゅっ!?」

 転倒し、後頭部を強かに床に打ち付けた僕の顔に何かがのしかかって来た。顔全体を押し潰す様に乗りかかるそれは、とても柔らかく大きい。

「う~!うう~~!」

 鼻と口を塞がれ、上手く呼吸が出来ない。視界も真っ暗になっている為何が起きているかも分からない。混乱しじたばたともがいていた僕だったが、次の瞬間、体が凍り付く様な出来事が起きた。

「あんっ……///」

 ガタガタと言う機械音が響く部屋の中で僕の耳に届いた女の人の声……それが赤松さんの物だと気が付くのに、時間は要らなかった。

 艶の乗った、どこか色っぽい声……同時に僕の顔にのしかかる物体がかすかに震えた事に気が付いた時、僕は自分の身に何が起きているのかに気が付いた。 

 僕の顔の上にのっているもの……それは、赤松さんの臀部だ。バランスを崩した彼女は、先に倒れていた僕の顔面に尻もちをついたのだ。

 視界が真っ暗なのはスカートの中に顔が突っ込まれている為だ。その事に気が付いた瞬間から、僕の顔の感覚が最大限に敏感になった。

 肌を擦る布の感触も、その奥から感じられる大きく柔らかい感触も、すべてを欠片も感じ逃さないぞと言うかの様に鋭敏に僕の体が感じ取っていた。

「んっ……!」

 息苦しさが限界になった僕は多少の心苦しさと共に息を吸い込む。何とも言えない良い香りと熱く火照った様な匂いを嗅覚が、そして赤松さんの押し殺した喘ぎ声を聴覚が拾い上げ、僕の事を興奮させる。

 息苦しく、体も動かせず、胸が締め付けられる様な心の痛みを感じる。でも、僕は幸せだった。とんでもない事をしていると言うのに、もっとこうしていたいと願ってしまった。

「……ご、ごめんね、最原くん!すぐに退くからね……!」

 でも、そんな幸せな時間にも終わりが来る。慌てた様子の赤松さんの声が聞こえ、顔から柔らかい感触が離れて行ってしまった。

 視界に映り始めるピンク色の布と、形の良い赤松さんの大きなお尻……それをこの目で見ながら僕ははっきりと思った。

(もっと、触れていたいな……)

 赤松さんの柔らかさを、重みを、温もりを……その全てをもっと感じていたい。僕はそう思った。そう願った。そして……その願いは叶えられた。

「きゃっ!?」

 短い悲鳴、崩れるバランス……数十センチ離れた位置にあった赤松さんのお尻が、もう一度僕の顔に向かって落ちて来る。

 一度目と違って勢いが付いていなかった。僕も心構えを決めていた。だから、二度目のヒッププレスは痛みよりも赤松さんの柔らかさの方が大きく感じられた。

「ああっ!ごめん!、ごめんね最原くんっ!」

 大声で謝る赤松さん。でも、彼女が謝る必要なんて無い。大きなお尻の柔らかさと温もりと感じながら僕は思う。

 これが天海くんの才能のお陰だとしたら、僕は彼に感謝しなければならないだろう……いや、実際そうで、僕は感謝すべきなのだ。

 羞恥と罪悪感で小刻みに震える赤松さんのお尻、その感触と、彼女に触れられることへの喜びを噛みしめながら僕は思った。

(僕は、なんて幸運なんだろう……!!!)

―――回想終了

赤松√愛情編

最原「………」

赤松「………」

最原(……あの後、モノスケが戻ってきてくれたおかげで何とか窮地を脱することが出来て、お詫びの品としてお風呂セットもただでもらえたけれど……)

赤松「……あ、あはは、なんか大変な目に遭っちゃったね……」

最原(……僕は最低だ……あんな、あんな邪な考えを浮かべてしまうなんて……!)

赤松「さ、さて!それじゃあ気を取り直して温泉に行こうか!」

最原「……ごめん、赤松さん」

赤松「え……?」

最原「ぼ、僕は……僕は、最低だ……!」

赤松「さ、最原君!?どうしちゃったの!?」

最原「………」

赤松「な、何も気にしなくて良いんだよ!?悪いのはモノスケだし、謝るとしたら何回もヒップドロップしちゃった私なんだからさ!……あ」

最原「ち、違うんだ……僕は、僕は……っ!」

赤松「ストップ!最原くん、そのまま動かないで!」  

最原「えっ!?」

赤松「……鼻血、出ちゃってるよ?」

最原「あ……本当だ……!」

赤松「とりあえず食堂に行こう?椅子に座って、ちょっと休もうよ」

最原「う、うん……」

―――食堂

赤松「……はい、ポケットティッシュ。たくさんあるから遠慮なく使ってね」

最原「……ありがとう」

赤松「……どう?落ち着いた?」

最原「………」コクン

赤松「そっか……なら良かった!あんまりウジウジしてると良い事が逃げてっちゃうからね!」

最原「………」

最原(……赤松さんは本当に優しいな……笑顔が素敵で、いつも誰かの事を思いやっていて……そんな彼女に、僕はなんてことを……っ!)

赤松「……駄目だよ、最原くん」ムニッ!

最原「ほえっ!?」

赤松「もっと口角上げてー、笑顔笑顔!ほら、ねっ!?」

最原「あ、あひゃまふひゃん!?ふぁにを……?」

赤松「……ふふ、ごめんね。でも、最原くんにそんな顔して欲しく無いんだ」

最原「………」

赤松「……これは私の我儘なんだろうけど、それでも最原くんには笑っててほしいんだ。自分のせいでなんて言わないで、今の自分に胸を張れる最原くんでいて欲しいんだ……」

最原「あか、まつさ……」

赤松「……ちょっとごめんね」スッ…

最原「え……?」

―――以下 最原の回想

 赤松さんの細い腕が僕の背中に回る。綺麗な手が僕に触れる。まるで子供があやされるかのように、僕は赤松さんに抱きしめられていた。

「……大丈夫だよ。私は最原くんの味方だから……嫌いになんかならないからね……!」

 彼女の言葉は温かかった。彼女の胸の中が温かかった。彼女の優しさはそれに輪をかけて温かかった。

 甘美で、心地良くて、何物にも代えがたい幸せな時間……下心から出た幸せを感じられた先ほどの出来事すらも生ぬるいと感じてしまう様な本当の幸福がここにはあった。

 こうして赤松さんに抱かれていると、僕を包み込む彼女の深い愛情が感じられる様な気がしてきた。誰にだって優しい彼女だから、きっと僕だけが特別では無いのだろう。

 でも、少しは自惚れても良いだろうか?赤松さんがこうやって抱きしめてくれるのは僕だけなのだと、思ってしまっても良いだろうか?

「あっ……!?」

 突然、赤松さんが驚きの声を上げた。赤くなっていく彼女の顔を見ながら僕は気が付く。先ほどの出来事で興奮し、大きくなってしまった自分のモノが彼女に当たってしまったと言う事に……!


 何か言わなきゃ、赤松さんに幻滅されるその前に……。そんな焦りを浮かべながらただ口をパクパクしているだけの僕に対し、赤松さんが俯いたまま呟く。

「……私のせい、だよね?」

「え……?」

「私のせいで最原君が、その……こんな風になっちゃったんだよね?だ、だったらさ……」

 顔を真っ赤にしながら、何か意を決した様な表情で僕の事を見つめる赤松さん。その瞳を見つめ返しながら僕は彼女の言葉を待つ。

 潤んだ瞳で僕を見る赤松さんの唇がかすかに震える。お互いに何も言い出せないまま暫し見つめ合う。

 もしも赤松さんが言おうとしている事が僕の考えと同じだった時、僕は自分を抑えられるだろうか?

 きっと……到底無理だろう。そう思いながら、僕たちは同じタイミングで喉から声を絞り出した。

―――回想終了

百田「あーっ!良い湯だった!」バーン!

獄原「背中の流しっこ、楽しかったね!」ババーン!

最原・赤松「うひゃいっ!?(裏声)」

百田「お……?終一!?お前どうしたんだ、鼻にティッシュなんて詰めて!?」

獄原「は、鼻血?どこかぶつけたの?」

百田「いや、鼻血を出してるんだから鼻をぶつけたんだろうがよ!一体何があったんだよ?」

最原「え、えっと……う、上から物が降ってきてさ……!」アタフタ

赤松「そ、そう!乗っかっちゃ……じゃ、無くって、落ちて来ちゃってさ!もう大変だったんだよ!」

最原「そ、それで、赤松さんに手当して貰ってたんだ!」

獄原「最原くん、大変だったんだね……そんな時にゴン太はのんきにお風呂に入ってたなんて……うぅ、自分が許せないよ……!」

赤松「ご、ゴン太くんは何も悪くないよ!悪いのはわた……じゃ、無くって、運なんだからさ!」

最原「そ、そうそう!誰も悪くないし、誰のせいでも無いんだよ!だから大丈夫、大丈夫!」

百田「そうか……おっし、じゃあ、赤松、終一の面倒は俺が見るから、お前は温泉に行って来いよ!」

赤松「え!?」

百田「お前が持ってるの、どっからどう見ても温泉用の道具じゃねぇか!風呂に行く途中だったんだろ?後の事は俺に任せろよ!」

赤松「あ、う、うん……じゃあ百田くん、最原くんをお願いね」

百田「おう!任されたぜ!」

最原(……行っちゃったか、でも、これで良かったんだ……あのまま二人で居たら、どうなるか分からなかったんだから……)

百田「終一、血は止まったか?」

最原「うん……僕も落ち着いたら温泉に行って来るよ」

百田「お……?おぉ、お前も風呂に行くところだったのか!なんだよ、赤松と目的地は同じ……はっ!?」

百田(赤松と終一は同じ荷物を持って同じ場所に行こうとしていた……も、もしかして、温泉デートって奴か!?)

百田(思い出してみりゃあ、終一はハルマキに恋の相談をしていたって言ってたじゃねぇか!もしかして、終一は赤松のことを……!?)

百田(じゃ、じゃあ……俺は、二人を引き裂いて終一の邪魔をしちまったってことじゃねぇか!なんてこった!)

百田「お、おぉ、俺は、俺って奴は……」ガクッ!

最原「も、百田くん!?」

獄原「わっ!今度は百田くんが大変そうだよ!何があったの!?」

百田「……ゴン太、お前虫を探してたんだよな……?どうやら、ここにデカい奴が一匹見つかったようだぜ……!」

獄原「えっ!?どこどこ?どんな虫さん?」

百田「あぁ……俺と言う名の……『お邪魔虫』がここに、な……」ガクッ!

最原「も、百田くんっ!?なに!?今の一言はなんなの!?」

獄原「お邪魔虫?初めて聞く虫さんだよ!百田くん、どこにお邪魔虫さんはいるの!?教えて!」

百田「燃え尽きた……燃え尽きたぜ……隕石の様にな……!」ガクッ

最原「百田く~~ん!?」

―――一時間後 温泉

最原(なんとか落ち着いたから温泉に来てみたけど……流石にもう、赤松さんは居ないよね……) 

最原「……できたらもう少し話したかったんだけどなぁ」

夢野「なんじゃ?誰と話したかったんじゃ?」

最原「えっ!?あ!夢野さん!」

夢野「なんじゃ、ウチと話したかったのか!殊勝な心がけじゃのう、褒めてやるぞい!」

最原「あ、あはは……夢野さん、温泉に入って来たの?」

夢野「そうじゃ、転子と白銀と一緒に温泉タイムじゃ!楽しいひと時だったのぉ……」ポヤーン…

最原「へぇ、良かったね!……あれ、じゃあその二人は何処にいるの?」

夢野「うむ、白銀は一足先にウチらの分の牛乳を買いに行ってくれておるぞい!ウチはコーヒー牛乳をリクエストしたんじゃ!」

最原「えっと、じゃあ茶柱さんは?」

夢野「転子か?転子は今、着替えてる最中……って、そうじゃ!お主にはちゃんと言わなければならんのぉ!」

最原「……あ!もしかして下着の事……?」

夢野「その通りじゃ!転子の奴がウチの大人パンツを見た時の反応と言ったら面白かったんじゃぞ!」

最原「え、えぇ……?」

夢野「最初に見た時は二度見どころか五度見位はしておったな!それで、信じられないと言った表情をした後で、あ、これはこれでありかも!みたいな顔になりおったんじゃ!」

最原(どうしよう、すごく簡単に想像できる……)

夢野「でもやっぱり破廉恥なのが許せなかったんじゃろうな、気難しい顔と蕩けた顔を猛スピードで入れ替えて行った結果……最終的には、顔半分ずつ二つの顔をしておったわい」

最原「なにそのあしゅら男爵みたいなやつ!?」

夢野「か~っかっか!お主のお陰で大笑いできたわい!それもこれも最原がウチのパンツを選んでくれたおかげ……」

茶柱「……それは一体どういう事ですか?」

最原・夢野「!?」

茶柱「最原さんが夢野さんの下着を選んだ……?つまり、あのとてつもなく破廉恥な下着を夢野さんに渡したのは最原さん……?」

夢野「あわ、あわ、あわわわわ……!」

最原「ちゃ、茶柱さん、落ち着いて僕たちの話を……」

茶柱「……いえ、その必要はありません。なぜなら、男死は死すべきと決まっているからです」

最原「………」ダッ!

茶柱「待ちなさい最原終一!ここで大人しく転子の裁きを受けなさい!」ダッ!

夢野「に、逃げるんじゃ最原!転子が落ち着くまで逃げまくるんじゃーっ!」

最原「言われなくてもそうするよーっ!」ダダダ…

茶柱「待てーっ!最原終一ーっ!大人しく処刑されなさーい!」ポイッ!ポイッ!

最原「うわわ!?茶柱さん、物を投げつけるのは止めてよ!」

茶柱「くぅぅ……浴衣でなければもっと早く動けたと言うのに……転子、一生の不覚です!」ブン!ブン!

最原「待って!椅子とか木彫りの置物とか、当たったらシャレならない物を投げるのは止めてったら!」ダダダッ!

最原(だ、駄目だ!何とか外まで逃げださないと茶柱さんにやられる!次の角を曲がったら全力疾走で寄宿舎まで逃げかえるんだ!)


茶柱「まてーっ!変態ドグサレ男死、待てーっ!」ドドド…!

最原「よ、良し!全力ダッシュだっ!……え!?」

白銀「いや~、やっぱりお風呂上りは普通の牛乳を一気に限るよね~!」グビグビ…

最原「し、白銀さん!?お、お願いだからそこを退いてーっ!」

白銀「え?最原く……きゃぁっ!」ドンッ!

最原「うわぁっ!」ドサッ!

茶柱「なんとぉっ!?」ドドサッ!

―――以下 最原の回想

「あいたたた……何?どうなってるの?」

「う、う~ん……」

 廊下を全力疾走していた僕は白銀さんにぶつかり、押し倒す様な格好で転んでしまった。そんな僕たちに躓いた茶柱さんもまた、僕の上にのしかかる様にして倒れている。

「う~……地味に重いから、二人とも早く退いてくれないかな?」

 完全に巻き込まれる事になった白銀さんの責める様な声が聞こえる。勿論僕もすぐにそうしてあげたいのだが、それ以上に大きな問題があった。

「む~……むうぅ~~~っ!」

「ひゃあぁっ!?」

 僕が口を開きくぐもった声を出した瞬間、白銀さんが大きな声で叫んだ。驚きと羞恥に染まったその声を聞きながら、僕は再び彼女に申し訳なく思う。

 僕の顔はそれはもう綺麗にすっぽりと白銀さんの胸の谷間に押し付けられていた。制服では無く浴衣を着ている彼女の胸元ははだけており、素肌に直接顔を突っ込む形になってしまった僕は大いに赤面する。

「さ、最原くん、早く退いてよ~!地味に恥ずかしいんだからさ~!」

 勿論そうしてあげたい。でも、それは不可能なのだ。なぜなら、僕も上に乗っかっている人のせいで身動きが取れないのだから。

「う、う~ん……」

 僕の背中側にのしかかる茶柱さんは身動き一つせずに呻いている。転倒の衝撃は一番少ないはずなのに、何故だろうか?

 でも、その答えよりも重大な問題が僕にはあった。それは僕の後頭部に当たる茶柱さんの胸だ。

 白銀さんと同じく浴衣である為か、直接見て確認は出来ないものの後頭部からの感触で考えると大分肌が露出されているらしい。おかげで僕の頭は柔らかいクッションに包まれているかの様に固定されていた。

「お、重い……恥ずかしい……こんな死に方はやだよぉ~……」

「う~~ん……うう~~ん……」

 顔面を抑えるのは地味に大きな白銀さんのおっぱい。シミの無い綺麗な肌が目に映り、適度な柔らかさが僕の顔を包む。

 後頭部に押し付けられるのは茶柱さんの豊かなおっぱい。はだけた浴衣の間から見える彼女の肌が頭を包み、僕を柔らかく僕を固定している。

 白銀さんと茶柱さんの二人の胸にサンドイッチにされた僕の頭部は、むにゅむにゅと形を変えるその胸の柔らかさに翻弄され続けていた。

「さ、最原くん……もしかして動けるけど、私の胸に顔を突っ込んでいたくてわざと動かないわけじゃ無いよね?」

「む、むうぅぅぅ~~~っ!」

「ひゃぁんっ!か、顔を動かさないでよぉっ!」

 白銀さんの言葉を否定する為に大きく首を振る僕、しかし、そのせいで揺れ動いた白銀さんの胸により顔を埋もれさせる形になってしまった。

 茶柱さんも完全に気を失っているのか体重を僕に預けて来る。後頭部と顔面にさらに強く押し付けられる二人の胸を前にして、僕の理性は蒸発寸前だった。

「あぁ、最原くん……おっぱいサンドだなんてとんでもないto loveる!だね……リト君も真っ青だよ……」

「うむ……う、うぅ……」

「あはは……もしかして窒息寸前なの?もはや笑うしかないよね……」

 呆れた様な、運命を受け入れたかの様な白銀さんの乾いた笑い声を耳にしながら、僕は命の危険と必死に戦っていた。白銀さんの言う通り、息が出来なくて窒息寸前だったのである。

「おっぱいで窒息だなんて幸せな死に方だね……最原くん、私の地味な胸で昇天させてごめんね……」

 どうやら白銀さんの中では僕が死ぬことは確定事項らしい。そんな事になってたまるかと歯を食いしばった僕が必死に腕立ての要領でのしかかる茶柱さんの体をどかそうとした時、突如として僕の体にかかっていた重力が消えたのであった。

―――回想終了

夢野「んあーっ!転子、最原、白銀、大丈夫か!?」

最原「げほっ、ごほっ……ゆ、夢野さん、助かったよ……!」

茶柱「う~ん……ぐへへ、駄目ですよ夢野さん、そこは女の子同士でももっと分かり合ってからじゃないと……」ニマニマ

白銀「これはひどい、早く(頭の)病院に連れて行かないと駄目だね」

夢野「流石のウチでもドン引きじゃのぉ」

最原「あはははは……」

白銀「……それにしても、どうして茶柱さんは気絶しちゃったんだろうね?一番上だったって言うのにさ」

夢野「……ん?なんじゃこれ?」ヒョイッ

最原「それ、牛乳の空き瓶だね。どうしてここにこんなものが?」

白銀「あ!それ、私がさっきまで飲んでたやつだよ!ぶつかった時に放り投げちゃったけど、割れなくてよかったぁ~!」

最原「……そうか、分かったぞ!茶柱さんは白銀さんが投げたこの空き瓶を頭に受けて気絶したんだ!」

夢野「おお!流石は超高校級の探偵じゃ!これで事件は解決じゃな!」

白銀「……いや、私がセクハラを受けた事実は消えないからね?」

最原「ぐっ……ご、ごめん……わざとじゃ無かったんだけど……」

白銀「それは分かってるけど、こんな場所を走り回るなんて危険だよ!地味に危ないんだからね!」

最原「はい……反省してます……」

夢野「白銀よ、気持ちはわかるがあまり最原を責めるでない。最原も命の危機じゃったんじゃからな」

白銀「……はぁ~、まぁ、そこまで気にはしてないから良いけどさ……でも、次回からは気を付けてね」

最原「ご、ごめん……分かったよ……」

夢野「……では、今度こそ一件落着じゃな。ウチらは転子を部屋まで運ぶから、最原は温泉を楽しんでくるが良いぞ!」

白銀「え……?ウチ『ら』って事は地味に私も入ってるんだよね?私、肉体労働は苦手なんだけどな……」

最原「え、えっと……ファイト!」

白銀「やる気の無い励ましは無用だよ……」ズルズル…

夢野「んあ~……重いぞ転子!少しはダイエットせい!」ズルズル…

茶柱「ふひひ……夢野さん、夢野さ~ん……」ジュルリ…

最原「……ふぅ、危ない所だったけど何とか一命をとりとめたぞ。さてと、今度こそ温泉に入るとするか!」

そういや女子達から最原に対する好感度って今どのくらいあるんだろ?

>>317

絆のかけらの数は2個ずつ。個人的な感情としては

赤松 気になる男子 ほぼほぼ好き

春川 信用できる人間 それ以上でもそれ以下でもない

東条 同上 信用はしている

入間 頼りにはしている。でも特別視はしていない

夢野 良い友人 好感度的には高め

茶柱 男死 ちょっとは信用してもいいレベル

白銀 ゲームを面白くしてくれるキャラ 個人的な感情は特に無い

夜長 お持ち帰り希望 神ってる

くらいの感じでご覧ください。あくまで現状ですので、これから先に変化はあるでしょうけどね

―――温泉 脱衣所

最原「……脱衣所の中も普通なんだな。あのモノクマが作ったものなんだから、何か仕掛けがあると思ってたんだけど……」

モノクマ「失敬な!ボクはそんなことはしません!」ピューン!

最原「う、うわっ!?」

モノクマ「まったく、ボクは善良なクマだよ?危ない仕掛けなんか作るわけないじゃないか!」

最原「言っててまったく説得力のないせりふだって自覚はある?」

モノクマ「……まぁ、失礼な最原くんの言葉はスルーしてと……ボクがここにきたのは、新しい校則の説明を君にするためなんだよ」

最原「新しい校則だって……?」

モノクマ「うん。2つあって、どっちも温泉に関わる事だから、今まさに温泉に入ろうとしている最原くんに教えに来たってわけ」

最原「……それで?その内容ってなんなのさ?」

モノクマ「簡単だよ。『温泉内での着衣の禁止』と『湯船の中では全裸』ってだけ。温泉の中で服を着るなんておかしいし、タオルを湯船につけるのはマナー違反だからね!」

最原「……二つともおかしいことじゃあないか」

モノクマ「でしょ?これを守って、最原くんも楽しい温泉ライフを送ってね~!」ピューン!

最原「……まぁ、そんなに気にすることでも無いか。さて、僕も温泉に入ろうっと」ガラガラ…

―――以下 最原の回想

 温泉に続くドアを開け、足を踏み出した僕。固いタイルの感触を足の裏で感じながら浴室の中に入ると、湯煙の中に人の影が見えることに気がついた。

 背の高さから百田くんか天海くんだろうと考えた僕はその人影に近づいていく、軽く挨拶をして一緒に温泉を楽しもうと考えていた僕だったが、ふとした拍子にその足が止まった。

「最原くん……?」

 そこに居たのは、この男湯に居るはずの無い人物だった。彼女もまた僕のことを信じられないと言った様子で見ている。

 細く綺麗な体を一枚のバスタオルで隠した姿でこちらを見る彼女はとても美しかった。完成された美術品だといっても過言では無い位だ。

 すらりと伸びた脚、細く綺麗なうなじ、そしてバスタオルに包まれ直接見る事は叶わない体も、うっすらとラインが見て取れる。

 超高校級のメイド 東条斬美さんの姿は、僕にとって眩く、見とれてしまうものであった。

 下品すぎず、かといって幼すぎず……その丁度の部分を切り取ったような東条さんの姿を見ると自然と唾を飲み込んでしまう。

 お互いに驚いた様子で見つめ合っていた僕たちは、数秒の間そうしたまま立ちつくしていたのであった。

―――回想終了

東条「……最原くん、どうしてここに?入り口の立て看板を見なかったの?」

最原「た、立て看板?」

東条「清掃のため立ち入り禁止と書いておいたはずなんだけど……その様子だと知らないみたいね」

最原「ぼ、僕、そんなもの見てな……あ!?」

最原(もしかして茶柱さんに追い掛け回された時に倒れちゃったとか!?下手すると茶柱さんが薙ぎ倒した可能性もあるぞ……!)

東条「……最原くんに限ってわざとということは無いでしょうけど、あまり見られて気分の良い物ではないわ。出て行ってくれると嬉しいのだけれど」

最原「あ、ご、ごめん!すぐに出て行くよ!」ダッ!

東条「……なんだか最近、こんなことが増えている様な……?いえ、きっと気のせいね。ただの考えすぎでしょう」パッパッ

―――寄宿舎

最原「……結局、温泉には入れなかったな。でも、今日だけってわけでもないし、明日入ればいいか」

最原(これで今日のラッキースケベは終わりだよね?もう、女の子たち全員と会ったわけだし……)ガチャ…

夜長「やっはー!お帰りしゅうい……」

最原「」バタン!

最原(……落ち着け最原終一、どうやら僕は異次元のドアを開けてしまったようだ。まさか僕の部屋の入り口が、夜長さんの部屋の中につながっているなんてな……)

最原「大丈夫、もう一度開けば誰も居ない僕の部屋の中に入れるはずさ!さぁ、ワンモア……」ガチャッ

夜長「どした~終一?帰って来たんじゃないの~?」

最原「」バタン!

最原(ど、どういうことだ?何で僕の部屋の中に夜長さんが?ここは間違いなく僕の部屋なのに……!)

最原(い、いや、それよりも不味いのは僕が彼女と二人っきりになろうとしていることだ!このまま捕まったら間違いなくとんでもないことになる!)

最原「に、逃げないと……誰かの所へ行かないと!」

夜長「……駄目だよ。終一……!」ガシッ!

最原「よ、夜長さ……うわっ!?」グイッ!

夜長「やっはー!終一確保~っ!う~ん、神ってるね~!」

最原「よ、夜長さん!?どうやって僕の部屋に……?」

夜長「ん~?小吉にピッキングしてもらったんだよ~!小吉は良い子だね~、きっと神様も褒めてくれるよ~!」ズルズル

最原「お、王馬くんが……?うわっ!?」ポーン!

夜長「よしよし!ベッドの上にナイッシューだね~!さてと……終一、始めよっか?」

最原「は、始める……?始めるって、何を……?」

夜長「……そんなの決まってるじゃん。とっても楽しい事だよ……!」ニタァ…!

夜長「だいじょぶだよ終一……な~んにも怖がることはないんだよ~……!」ガバッ!

最原「ど、どいて!離れてよ夜長さんっ!」ジタバタ

最原(な、なんでだ!?どんなに暴れてもびくともしない!すごい力だ!)

最原「だ、誰かっ!助けてーっ!」

夜長「……無駄だよ終一、今、ここには終一とアンジーしかいないんだよ……!どんなに声を上げたって、だーれもここにはこないんだよー……!」

最原「そ、そんなっ!?」

夜長「……終一、なんでそんなにアンジーから逃げようとするの?アンジーが怖い?」

最原「う、うぅ……」ビクビク

夜長「だいじょぶだよ~!アンジーは終一のこととっても大事にするよ~!神様もそうしなさいって言ってるしね~!」

最原「そ、それなら僕を放してよ!」

夜長「……それは出来ないよ。残念だけど、それはしちゃいけないんだよ~!」

最原「な、何でさ!?」

夜長「ん~……そんなこと聞いてどうするのかな~?」

最原「えっ……!?」

夜長「理由を聞いたところで終一の運命は変わらないよ?だったら、そんなこと聞くだけ無駄だよね~?」

最原「そ、そんな……でも、僕はっ!」

夜長「……終一はアンジーが嫌いなの?」

最原「え……?」

夜長「アンジーは終一が好きだよ。大、大、大好きなのだ~!……だから、一緒に楽しいことしたいって思うんだよ」

最原「あ、アンジーさん……?」

夜長「……終一はアンジーが嫌い?楽しいこと、一緒にしたくないの?」

最原「ぼ、僕は……僕は……」

夜長「………」クスリ…!

最原「……僕は、アンジーさんの事、嫌いじゃないよ」

夜長「わ~い!アンジーたちは両思いだね~!それじゃあ、もうなにも問題は……」

最原「でも、こんな事はしたくないよ……!」

夜長「……ん~?」

最原「こ、こういうことって、もっとお互いを良く知って、絆を深め合ってからすることだよ!僕は、アンジーさんのことは嫌いじゃないけど、こういうことをしたいと思うほど好きでもないんだ!」

夜長「………」

最原(……い、言ってしまった。下手に刺激しないほうが正しいってわかってたけど、はっきり言わないとなんだかんだで丸め込まれるに決まってる!もう、これしかなかったんだ!)

最原「あ、アンジーさん……?」

夜長「……そっか、なら仕方が無いね~」

最原「あ……!」

夜長「終一はアンジーのこと、そこまで好きじゃないのか~。なら、仕方が無いよ~」

最原「よ、良かった!わかってくれたんだね!」

夜長「うん、仕方が無いから無理やり話を進めるね~!」

最原「えっ……!?」

―――以下 最原の回想

 わかってくれたと思っていた。でも、アンジーさんは僕の考えのスケールに収まる人なんかじゃなかったみたいだ。

 唐突に……本当に唐突に、唇に何か柔らかいものが触れた。それがアンジーさんの唇だと理解するまでに、たっぷり10秒ほどかかってしまった。

(キ……ス……?)

 甘くて、ほろ苦くて、どこか熱い感じがする……それが、高校生まで生きてきた僕のファーストキスの感想だった。じっくりと唇を触れ合わせた後、唇を離した夜長さんは無邪気な笑顔を見せた。

「……終一の初めて、もらっちゃった~!」

 嬉しそうに笑い、再び僕に顔を近づけてくる。二度目のキスに際して、彼女は自分の体を僕にもたれ掛からせてきた。

 唇と体全体から伝わる夜長さんの熱、鼓動、柔らかさ……一度目とは違い、自分の身に何が起きているか理解できている僕は、そのすべてを余すことなく体感していた。

「……さぁ、次は終一の番だよ?」

 艶かしく動く夜長さんの手が、僕の右手を取る。それを自分の頬に触れさせると、またあの無邪気な笑顔を浮かべながら言った。

「今度は、終一がアンジーにキスする番だよ?」

 手の甲から感じるアンジーさんの小さな手の感触、手の平から感じるアンジーさんの頬の柔らかさと温もり……それが、僕から正常な思考を奪っていった。

「アンジーのこと、好きになってくれたよね?あとは、終一が素直になるだけだよ~……!」

 じりじりと近づくアンジーさんの顔。アンジーさんが僕に向けて唇を近づけているのか、それとも僕がアンジーさんを引き寄せているのか、僕には判断がつかなかった。

「……終一が素直になったら、楽しいことを一緒にしようね~!……終一のハジメテ、アンジーが全部もらっちゃうからね~……!」

 優しい様で怖いアンジーさんの声、暖かい様で心が冷えるほど冷たく感じるアンジーさんの体、そして、無邪気に輝くのに、深い闇の様に引き込まれそうになるアンジーさんの瞳……そのすべてが、僕にとっては毒の様だった。

(……良いんじゃ、ない、かな……?)

 この、天使のような小悪魔を好きに出来ると言うのなら

 神様の様な不思議な包容力を持つ少女にすべてを受け入れて貰えるのなら

 張りのある褐色の肌と、あどけない雰囲気とは裏腹に良く育った体を弄べるのなら

 夜長アンジーという少女を手に入れられるなら、ここで唇を交わす事なんて、途方も無く小さなことに思えた。

「……それで良いんだよ、終一。アンジーと一緒に、楽しいこと一杯にしようね~……!」

 その言葉を聞くと、この行動が正しく思えてきた。あぁ、これで良いのかと不思議な安心感が生まれる。

 確かに生まれた熱と欲望に身を焦がしながら、僕はアンジーさんのくれる安らぎにすべてを委ねようとした……

―――回想終了

百田「おーい!終一、いるか~!?」ドンドン!

夜長「!?」ビクッ!

最原「も、百田くん……!?」ビクッ!

夜長「あっ……!」

最原「も、百田くん!い、いるよ!僕は中にいるよーっ!」ガバッ!

夜長「……あ~あ、駄目だったか~……」

百田「おう、やっぱ部屋に居たのか!……あれ、アンジーも居たのか?」

最原「あ、い、いや、これはその……」

夜長「うんとね~、アンジーは今、丁度終一の部屋に遊びに来たんだよ~!」ニコニコ

最原「え……?」

百田「なんだ先客かよ。せっかく二人で夜風呂でもと思って誘いに来たのによ~……」

夜長「ううん、アンジーのことは良いから、解斗は終一を誘うといいと思うな!」

最原「えっ!?」

百田「おーい!終一、いるか~!?」ドンドン!

夜長「!?」ビクッ!

最原「も、百田くん……!?」ビクッ!

夜長「あっ……!」

最原「も、百田くん!い、いるよ!僕は中にいるよーっ!」ガバッ!

夜長「……あ~あ、駄目だったか~……」

百田「おう、やっぱ部屋に居たのか!……あれ、アンジーも居たのか?」

最原「あ、い、いや、これはその……」

夜長「うんとね~、アンジーは今、丁度終一の部屋に遊びに来たんだよ~!」ニコニコ

最原「え……?」

百田「なんだ先客かよ。せっかく二人で夜風呂でもと思って誘いに来たのによ~……」

夜長「ううん、アンジーのことは良いから、解斗は終一を誘うといいと思うな!」

最原「えっ!?」

百田「お?良いのか?終一に用事があるんじゃねぇの?」

夜長「主は言いました……今はその時では無いと。だから、アンジーの用事はまた今度にするよ~!」

百田「そうか!なんだかよくわからねぇけど、遠慮なく終一を誘えるって事だな!」

最原「………」

夜長「じゃあアンジーは帰るけど……終一、忘れないでね?終一は、必ずアンジーのことを好きになるってことをさ……!」

最原「う、うぅ……!」ビクッ!

夜長「……というわけでまた明日!ぐっばいなら~!」ピューン!

百田「はは、やっぱ夜長の奴はよくわからねぇなぁ……終一?」

最原「え、あ、ああ、どうしたの?」

百田「どうした?なんかあったのか?顔色が……」

最原「な、なんでもないよ!それよりお風呂だったよね!一緒に行くから、少し待っててよ!」

百田「お、おう。なら寄宿舎の入り口で待ってるぜ!」バタン!

最原(……忘れよう。出来るだけ早く、忘れるんだ……何も無かったって、そう思わなきゃ……!)

―――数分後 温泉 露天風呂

……カポーン コーン

百田「……満天の星空の下、男二人で裸の付き合い。友情を深める男の儀式を……って思ってたのによぉ!」

王馬「にしし~!良いお湯だよね~、心が癒されるよ~!」

獄原「王馬くんもそう思う!?やっぱりお風呂って良いよね!」

キーボ「これが温泉……記録に留めておきます!」

星「ったく……お前ら、風呂くらい静かに入れないのか?」

真宮寺「クク……無理な相談だろうネ。僕はもう、諦めたヨ」

百田「なんでお前らが居るんだよ!?」

天海「あはは、ものの見事に全員集合っすね!」

王馬「良いじゃん良いじゃん!男子全員の親睦を深めるって事でさ!」

百田「お前に言われても納得できねぇよ!」

最原「ま、まぁまぁ、王馬くんの言う通り、ここは仲良く温泉を楽しもうよ」

王馬「さっすが最原ちゃん、わかってるぅ!お風呂を出たらみんなで牛乳は鉄板だよねー!」

最原「あ、あはははは……」

百田「……ちっ、まぁ、別に構いはしねぇか……でも、こうやって男が集まったならするべき事はひとつだな!」

天海「おや?百田君はなにをするつもりなんすか?」

百田「決まってんだろ!男のプライドをかけた勝負、自分のロケット比べだ!」

最原「!?」

王馬「にゃはは~!百田ちゃんってばお下劣なんだから~!……でも、そういうの嫌いじゃないよ!」

真宮寺「……たまには観察される側になってみるのも悪くないかもしれないネ」

獄原「ロケット……?なんだかよくわからないけど、ゴン太も頑張るよ!」

星「おいおい……まさか本気でそんなくだらない事をするつもりじゃねぇだろうな?」

百田「下らないとは何だ!?これは男の誇りをかけた一世一代の勝負だ!……さては星、お前、自信がねぇんだな?」

星「ふっ……そんな安い挑発に乗るかよ。俺は降りるぜ」

王馬「まぁまぁ、待ってよ星ちゃん!なら、俺の案はどう?」

星「あぁ……?」

王馬「……みんな、耳を澄ませてみてよ」

最原「え、ええっと……?」

百田「ん……?こ、これは!?」

―――キャー!赤松さん大きいです! そ、そんなにまじまじ見ないでよ……///

―――でかさなら俺様だって……ぶべらっ!? あ、ごめん、見えなかった。

―――魔翌力に割いてるせいじゃ、そうなんじゃ…… 夢野さん、背中流そうか?

―――やっはー!大きいお風呂だね~! アンジーさん、泳いでは駄目よ

最原「女子たちの声……?隣から聞こえてくるぞ……」

百田「……王馬、てめぇ、まさか!?」

王馬「そのまさかだよ……俺は、男子全員による女子風呂覗きを提案するよ!」

星「……どの道くだらねぇじゃねぇか」

獄原「えっ!?で、でも、覗きは悪い事なんじゃ……?」

王馬「ゴン太!男同士の友情よりも、つまらないルールを取るつもりか!?」

獄原「え、ええっ!?」

王馬「ゴン太が友達よりもルールを取るやつだったなんて、俺はすごく残念だよ……」

獄原「ご、ごめん!ゴン太がどうかしてたよ!友達のほうがずっと大事だよね!」

最原「い、いやいや!覗きは犯罪だよ!?止めるほうが正しいんだって!」

百田「そうだぜ王馬!お前も男の勝負に勝てる自信が無いからって逃げんじゃねぇ!」

王馬「にしし……自信が無いわけじゃないよ。どちらかと言えば、みんながショックを受けないようにするための提案なんだけどな~!」

百田「うるせぇ!やるなら男同士の勝負だ!」

王馬「覗きのほうがロマンがあるよね~?」

最原(困ったな……完全にどっちかをやることは確定みたいだぞ)

百田「勝負だ!」

王馬「覗きだよ!」

最原(……あ、決着がついたみたいだぞ。結局やることになったのは……)

―――勝ったのはどっち?下三つまでの多数決で決定

百田「覗きなんて男らしくないこと出来るか!ここは男の戦いで決まりだ!」

天海「覗きが女子たちにバレたら、半殺しどころか死体発見アナウンスが入る可能性ありますからね」

キーボ「覗きなんてやめておくに限りますね」

王馬「そうだぞゴン太!犯罪なんて駄目に決まってるじゃないか!」

極原「ええっ!ご、ごめん!」

最原「いや、ゴン太くんが謝る必要はないからね?」

星「まぁ、犯罪をしないことに決まって良かったとは思うが……こういうのは、言いだしっぺから始めるというのが決まりだよな?」

百田「俺か!?良いぜ、もともとそのつもりだったからな!」

真宮寺「ククク……やる気だネ、百田くん……」

百田「あたぼーよ!よっしゃ、よく目に焼き付けろよ!これが宇宙に轟く、百田解人さまのロケットだーっ!」ザパァッ!

獄原「お、おおっ!」

キーボ「……ほうほう、これが男性の……」ジーッ

百田「どうだ!?よく見てみると良いぜ!だーっはっはっは……」

王馬「……言うほどたいしたモノでもないね」

百田「な、なぬっ!?」ガビーンッ!

真宮寺「ククク……大きさ的には平均以上だけど……確かに決して人並み外れたサイズではないネ」

獄原「あのね!ゴン太の方が大きいよ!」

百田「な、なに~~っ!?」

王馬「あーあ、言いだしっぺのトップバッターがこれじゃ、先が思いやられるな~!」

百田「ぬぐぅっ……そ、そこまで言うなら王馬!次はお前が見せてみろよ!」

王馬「うん、良いよ~!それ~っ!」ザパッ!

キーボ「……これは、どうなのでしょうか?」

天海「体格に合っていると言うか、それ相応というか……」

百田「お、お前だって大した事無いじゃねぇか!俺よりちっせぇし!」

王馬「……わかってないなぁ、百田ちゃんは……大事なのは大きさよりも、テクニックだよ」

百田「て、テク……!?」

王馬「乱暴に突っ込むだけじゃなくて、女の子が満足できるようにしてあげないとね!そこにサイズは関係ないんだよ!」

百田「お、おおぉ……!?」

真宮寺「……何でだろうネ?彼がそう言うと百戦錬磨の強者に思えるヨ」

百田「ぐぬぅ……なんだかしらねぇが、負けた気分だぜ……」

王馬「大体、俺みたいな顔して下半身に化け物飼ってる奴なんてそうそう居ないって!フィクションじゃあるまいし!」

百田「……それなら星!次はお前だ!」

星「……あぁ?」

百田「この中で一番小さいお前のロケットがどれだけのモノか……確かめさせてもらうぜ!」

最原「ちょ、ちょっと百田くん!星くんは嫌がってたし、無理やりそんな事しなくても……」

星「……構わねぇぜ」

最原「えっ!?」

星「まぁ、人様のモノを見といて自分は逃げるってのもシャクだしな……ほらよ」ザバァンッ!

全員「!?」

星「クックック……どうした?揃って固まりやがって」

百田「こ、こここ、これは……!?」

獄原「すごい……!ゴン太が昔見つけた巨大ミミズさんより大きいよ!」

キーボ「あの身長でこんな大きなモノを持っているなんて……!?」

真宮寺「まさに圧倒的な王者の風格だネ」

王馬「う、うわぁぁん!すごい敗北感だよーーーっ!」

星「……ふっ、せいぜい自信を無くさないこったな」

百田「ぐっ、おぉ……こ、これは予想外だったぜ……!」

キーボ「まさかの伏兵の登場ですね」

真宮寺「クク……次が行き辛くなってしまったネ……」

最原「確かに、あの馬並みのモノを見せられた後だときついよね……」

天海「……あ、じゃあ俺が行きますよ」

百田「な、なにっ!?その余裕綽々の表情、お前もモンスターサイズなのか!?」

天海「まさか、普通っすよ、普通」ザパッ

最原「あ、本当だ」

真宮寺「並だネ、並」

キーボ「天海くんは平均サイズと記録っと……」

天海「……さすがにそこまで普通と言われると傷つくっすね」

王馬「でも、平均サイズの天海ちゃんのおかげで流れが普通になったね!ナイスだよ、普通ちゃん!」

最原「もう追い討ちはそこまでにしてあげなよ……」

獄原「よ~し!次はゴン太が行くよ!」ザッパァン!

全員「………」

獄原「どうどう?みんなはどう思う?」ワクワク

百田「……予想はしていたさ、あぁ、していたよ」

星「ふっ……流石にあの体格には勝てねぇか」

獄原「紳士だからね!」

キーボ「あ、あれが、王馬くんと同じモノなのですか……!?まるで別物じゃないですか!」

王馬「おいキー坊!比較対象に俺を選ぶなよ!この鉄くず!」

天海「た、確かに、獄原くんのモノは規格外っすね……」

真宮寺「良いものを見させてもらったヨ……人間って、良いよネ……!」

最原「こ、子供の腕くらいはあるんじゃないかな……?」

獄原「紳士だからね!」

王馬「……まったく、せっかく普通サイズちゃんが空気を戻してくれたのに、ゴン太のせいで全部台無しだよ!」

獄原「えっ……そ、そうなの!?」

天海「……人をサイズで呼ぶのやめて貰えませんかね?短小くん」

王馬「あん……?」

天海「なんすか……?」

最原「ふ、二人とも落ち着いてよ!」

真宮寺「ククク……なら、そろそろ僕が行こうかな?」

百田「真宮寺、お前!この空気で行くつもりか!?」

真宮寺「大トリは嫌だからネ。まぁ、見てもあんまり面白いモノではないと思うけど……」ザパァ…

キーボ「これは……やや変則的な形ですね」

星「大きいというよりかは長いな」

王馬「うわ、蛇みたい!気持ち悪い!」

真宮寺「……あんまり馬鹿にするようだと、神経を抜き取るヨ?」

王馬「じょ、ジョークだって、怒らないでよ真宮寺ちゃん……」

真宮寺「……ククク、まぁ良いヨ。でも、つまらないモノを見せただけじゃ申し訳ないし……ひとつ話をさせて貰うとしようかな」

天海「この状況で話が出来るなんて、真宮寺くんもある意味ではすごいっすよね」

真宮寺「……せっかく裸を見せ合ってるんだし、今回のテーマは『裸』にしようかな。そこから民俗学を語っていくヨ」

百田「裸から民俗学を語るなんて出来るのか?」

真宮寺「超高校級の民俗学者をなめてもらっちゃ困るネ……どんな所にも人が生きる以上違いは違いが生まれるもの……そのルーツを紐解くのも僕たち民俗学者の役目だヨ」

王馬「面白そう!聞かせて聞かせて!」

真宮寺「クク……では、僕の体験談なんだけどネ。たくさんの民族を見てきた僕だけど、その中には裸を見られる事に抵抗感がない部族もあったりしたんだヨ。理由は大きく分けて3つに分けられるんだけど……みんなには、それがわかるかな?」

百田「裸を見られる事に抵抗がない部族……?全員が露出狂なのか!?」

王馬「そんなわけないでしょ?百田ちゃんは馬鹿だね~」

百田「んなっ!?じゃ、じゃあ、お前にはわかんのかよ!?」

王馬「当然じゃん!正解は……『服を着る習慣が無い人たち』だよね?」

真宮寺「正解だヨ。一番多いパターンがこれだネ。習慣的に服を着るということが無い人たちにとって、裸なんて隠す必要が無いものなのさ」

天海「なるほど、そういうことっすか」

真宮寺「そういう部族は青年期になると体がすごく丈夫になるけど、そこまで育つ子供の間の死亡率がとても高いんだよネ。加えて体が弱る老年期では簡単に体調を崩すから、寿命も長く無いんだヨ」

最原「そうなると言い伝えとか歴史を語る人が居なくなるから、そういったものが残されなくなる可能性が高いね」

真宮寺「素晴らしい考察だヨ、最原くん。君の言うとおり、そういった部族には語り継がれるものは多くないんだ。その代わり、それでも語り継がれているものが非常に影響力が強い物だって分かるんだヨ」

百田「へぇ……確かに、裸一つって言うキーワードだけでそこまで分かるんだな!」

真宮寺「正確にはそれを基にした調査があってのことだけどネ……さて、後二つだけど、分かるかな?」

キーボ「う~ん、そうですねぇ……」

獄原「ゴン太はよく分からないよ……」

真宮寺「ククク……ちょっと難しかったかな?でも、ヒントは君たちの目の前にあるんだけどネ」

天海「ヒントは目の前……っすか?」

最原(目の前……?僕たちの目の前に居るのって……あ!)

最原「もしかして、『裸よりも隠したい物』がある人たちって事?」

真宮寺「素晴らしいヨ最原くん、大正解サ!」

百田「は、裸よりも隠したい物ってなんだよ?」

真宮寺「これは考え方が根本的に違うんだよ。その人たちにとって、裸は見られてもかまわないけど素顔を見られることは何よりも恥だと考えられている……とかネ」

星「……なるほどな。どっかの国では未婚の女性は顔を隠すものって言われてて、実際にそうしてる所もあるわけだ。その延長線と言ったところか?」

真宮寺「そう考えて貰えると分かりやすいかもしれないネ。君たちの目の前に居る僕が温泉でもマスクを外さないように、裸の姿よりも見られたくないものがある人だっているってことサ」

キーボ「なるほど……話をしている真宮寺くんこそがヒントだったというわけですね!」

真宮寺「そういうことサ。最原くんの素晴らしい考察には感動を禁じえないヨ。……さて、最後のひとつだけど、これは相当特殊だから言ってしまおうか。と言っても、実は最初のほうにそれに近しい答えが出てたんだけどネ」

百田「……もしかして、俺の言った全員が露出狂ってやつか!?」

真宮寺「そうそう、それなんだヨ。王馬くんはありえないって言ったけど、決してそういうわけでもないのサ」

キーボ「では、その人たちは常に裸と言うわけですか?」

真宮寺「いや、そういうことでも無いヨ。……その部族には、定期的に若い男女が数名選ばれて一日裸で過ごすと言うルールがあるんだ。普通はそんなルール嫌がるものだよネ?でも、選ばれた人たちは大喜びするのサ」

百田「げぇっ!根っからの露出狂ってことかよ!?気持ち悪いな……」

真宮寺「いやいや、彼らは露出に喜びを見出しているわけではないヨ。彼らが喜ぶ理由……それは、裸を見られることで美しくなれると信じているからなんだヨ」

獄原「ど、どういうこと?」

真宮寺「見られる事で女は美しくなる……って、聞いたこと無いかな?モデルさんたちが美しいのは、その効果のお陰だって言ってる人も居るんだよネ」

キーボ「そんなの非科学的ですよ!モデルさんたちが美しいのは、彼女たちが努力してるからです!」

真宮寺「確かにそうかもしれないネ……でも、実際に実験結果で、人前に長く出続ける女性のほうが若々しい状態を持続できたって言うことも証明されているんだヨ。一概にすべてをありえないって言ってしまうのは良くないと、僕は思うネ」

天海「……花を普通に育てるよりも、話しかけながら育てた方が綺麗に育つって言う話を聞いたことがあります。俺たちが考えているより、思い込みの力って大事なのかもしれないっすね」

王馬「つまり第三の考え方は『裸を見られる事で何らかの益があるから、喜んで裸を見せる人たち』ってことだね!」

星「なるほどな。全員が露出狂って答えも少なからず当てはまるってわけか」

百田「自分で言っててなんだが、あんま理解できる考え方じゃねぇな」

真宮寺「だからこそだヨ!人が何を考え、何を思うのか?それを解明することが楽しいんじゃないか!」

王馬「あはは!確かに俺たちじゃあ真宮寺ちゃんの考え方は理解できないね!」

真宮寺「それが人間のままならない所で、美しい所だからネ……さて、そろそろ大トリに行ってみようか?」

最原「え……?ま、まだキーボくんも残ってるよね?」

キーボ「僕にそういった部分に該当するパーツはつけられておりません。故に、最原くんが最後と言うことになりますね」

最原「えっ!?」

真宮寺「……というわけだよ最原くん。君としたことが、少し考えが足りなかったんじゃないかな?」

最原「し、しまったーーっ!」

王馬「最原ちゃ~ん、ここまできてお預けは無しだよ~!」

百田「男らしく行っちまえよ!」

最原「ちょ、ちょっと待って!心の準備が……」

夜長「あんまり待たせちゃ駄目だよ~!終一は悪い子だね~!」

白銀「最原くんのアレ……私、気になります!」

入間「もう我慢できねぇ!ゴン太、最原を押さえつけろ!」

獄原「わかったよ!」ガシッ!

最原「う、うわぁっ!?」ザパァン!

百田「こ、これは……っ!?」

星「ほほぉ……!なかなかやるじゃねぇか!」

天海「お、俺と同じくらいだと思っていたのに……!」

真宮寺「素晴らしい観察対象だヨ!」

キーボ「記録しなくては……!」

王馬「にしし!虫も殺さない様な顔をしといて、最原ちゃんってばとんでもないものを隠し持ってたんだね!」

入間「あ~!そっち向きだと俺様たちにはゴン太の尻しかみえねぇじゃねぇか!向きを変えろ、ゴン太!」

獄原「分かったよ入間さ……ん?」

赤松「あぁ、もう!みんなの馬鹿っ!」

最原「そ、その声……赤松さん?な、なにやってるの?」

赤松「え!?い、いや~、そ、それは……」

夜長「男風呂から面白そうなことをしてる声が聞こえたからね~!アンジーたちは、覗いてみちゃったのだ!」

白銀「……でも、流石に調子に乗りすぎた感はあるよね」

王馬「とんでもないむっつりスケベだな!この変態覗き魔女の入間美兎は!」

入間「ひぎぃっ!?なんで私だけピンポイントで攻撃されてるのぉ……?」

獄原「え……?もしかしてゴン太のお尻、皆に見られてるの?は、恥ずかしいよ!」ブンッ!

最原「えっ!?わぁぁぁぁっ……」

百田「ぎゃ、逆に覗かれるなんて考えてもみなかったぜ!」

天海「あはは、確かにそうっすね」

真宮寺「……ねぇ」

星「まったく……ガキなのは男も女も一緒ってわけか」

王馬「にしし!これから4人はむっつり4、略してM4だね!」

真宮寺「ねぇったら」

キーボ「これは厳重に抗議する案件です!最原くん、君も何か……あれ?」

百田「……終一の奴、どこに行ったんだ?」

真宮寺「……文字通り、飛んで行ったヨ」

全員「……は?」

真宮寺「獄原くんがお尻を隠すときに勢い余ったんだろうネ。すごい勢いで空中に投げ出されて行ったヨ」

赤松「え……ええ~~~っ!?」

百田「しゅ、終一!?どこだ!?どこに落ちた!?」

獄原「ご、ゴン太のせいだ……最原くん!最原くーん!」

天海「真宮寺くん!最原くんはどの方向に投げ飛ばされたんすか!?」

真宮寺「……あぁ、そのことだけどネ。僕の予想が正しければおそらく……」

最原「うわぁぁぁぁぁっ!」ザッパーン!

―――以下 最原の回想

 長い浮翌遊感の後、僕が感じたのは熱いお湯の感触だった。どうやら元の場所に戻ってこれたらしい、少し体は痛むが、温泉に落下したお陰でそこまで甚大なダメージは負っていない様だ。

 僕はそう考え、安心したが、一番の問題はそこでは無かった様で……

「……最原さん。なぜあなたがここにいるのですか?」

「えっ!?」

 聞こえた女性の声に顔を上げれば、少し離れた所で茶柱さんが顔を真っ赤にしながら構えを取っているのが見えた。僕としては胸を隠すとかそういうことをしてほしかったのだが、彼女はそこまで頭が回らない様だ。

「……最原、あんた、殺されたいの?」

 ゆらりと茶柱さんの隣から出てきたのは春川さんだ。お風呂に入っている為、当然全裸の彼女もまた、戦いの構えを取っているせいで体を隠していない。

「……これは見過ごせない状況ね」

「んあ~!最原よ、まさかお主、ワープの魔法が使えるのか?!」

 右と左、両隣からは東条さんと夢野さんの声が聞こえた。二人は体を隠してはいるが、全裸であることは変わりない。

「な、なんで……?どうして……?」

「それはこっちのせりふです!正々堂々とした態度は認めますが、正々堂々と覗きなんて言語道断です!」


 どうやら僕は女風呂に落下してしまった様だ。にじり寄ってくる女子たちを前に、僕は絶体絶命のピンチを迎えようとしている。

 しかし、そんなときにも救いは現れるものだ。次の瞬間に聞こえてきた声に、僕は命を救われることになった。

「ま、待って!最原くんは悪くないんだよ!」

「あ、赤松さ……んっ!?」

 赤松さんの救いの声に気がつき、笑顔でそちらの方向……先ほどまで僕が居たはずの男風呂の方向へと顔を向ける。

 そして……その行動が、僕を更なる危機へと陥れることになった。僕は見てしまったのだ、そう、見てしまった……

「やっはー!終一、アンジーのところに遊びに来たんだね~!一緒にスイミングする~?」

 褐色の肌に包まれた、アンジーさんの小振りなお尻を……

「ひいぃっ!あ、あんまり見るんじゃねぇよ!見ないでよぉぉっ!」

 胸にも負けないグラマラスさを誇る、入間さんのお尻を……

「……あぁ、やっぱりこうなるんだね……ほんと、リトくんもびっくりだよ……」

 高い身長と長い脚の間にある、スタイル抜群の白銀さんの白いお尻を……

「あ、あぁ……あぁぁ……///」

 そして……赤松さんのむっちりとした安産型の大きなお尻も僕はしっかりと見てしまった。

「……辞世の句は聞きますよ?」

「事故なんだ、これは事故だよ、事故なんだ!」

「綺麗に5・7・5じゃのぉ!」

「では、それが最後の言葉と言うわけで」

 怖い顔をした茶柱さん、春川さん、東条さんの三人が迫る。夢野さんはなむなむと言いながら僕に手を合わせていた。

「ぎ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっっっ!」

 この日、僕は生き地獄と言う言葉の意味をたっぷり理解した後、意識を失ったのであった。

第二章 『湯煙温泉ドスケベ事件』 完 生き残り人数(当然ながら)16名

―――一時間後 寄宿舎 最原の私室

モノクマ「はい、治療終わり!まったく、コロシアイは中止したってのに、なんでこんな怪我をするんだか……?」

最原「うぅ……痛いよぉ……」

モノクマ「……さてと、これで二回目のラッキースケベは終わったわけなんだけど……続いて二回目のお遊び、行っちゃうよーっ!」デンッ!

最原「う、うぅ……これは……?」

モノクマ「これはね、『トラウマ呼び起こしライト』だよ。寝ている人間にこれを使うと、夢の中で今までの人生で受けたトラウマをひとつ思い出すんだ」

最原「な、なんだよそのはた迷惑な道具は!?」

モノクマ「最原くん、君にはこのライトを三人の女子に使って貰うよ。きっかり三人、トラウマを呼び起こして貰うんだ!」

最原「そ、そんなこと……」

モノクマ「やらないっていうなら全員に使うだけだよ。最原くんがやれば8人の犠牲が3人で済むんだからお得だよね!」

最原「くっ……!」

モノクマ「……でも気をつけてね。8人の内、7人が思い出すのは笑って済ませられるトラウマだけど、1人だけは爆弾級のトラウマを思い出すからさ……!」

最原「えっ!?」

モノクマ「それにね……組み合わせによっては女の子たちが傷ついたり苦しんだりするから、そのことも考えてライトを使ってね!じゃあ、ばっはばーい!」ピューン!

最原「あっ、ま、待って……!くそっ、行っちゃったか……!」

最原「……3人、誰にライトを使えばいいんだ……?」

―――最原くんは誰にライトを使った?下三名の早いもの順でアンケート 連投は止めてね

―――翌朝 食堂

最原「………」

最原(結局、モノクマの脅しに負けてライトを使ってしまった……三人が爆弾持ちじゃないことを祈るしかないか……)

最原「……それにしても皆遅いな。東条さんまで来てないなんて何かあったんだろうか?」

―――ガチャッ!

春川「……おはよ」

最原「あ、春川さん……!」

春川「………」

最原(……春川さんは昨日ライトを使った女の子の一人だ。様子を見る限り普通だけど、彼女の場合はわかりにくいところがあるからなぁ……)

春川「……何?私の顔に何かついてる?」

最原「え……?あ、あぁ、その、なんと言うか……浮かない顔をしてるな、と思ってさ……」

春川「………」

最原「な、なにか嫌な事でもあった?変な夢を見たとかさ……」ビクビク…

春川「……女湯に突貫してきた馬鹿な男の顔を見て苛立ってるだけだよ」

最原「うっ……!ご、ごめん……」

春川「……冗談だよ。昨日のことは元はといえばこっちが悪い訳だしね。私はあんまり気にしてないから安心して」

最原「そ、そっか……ありがとう……」

春川「それにしても……流石探偵だね、観察眼は伊達じゃないってこと?」

最原「え……?」

春川「さっき聞いたでしょ?嫌な夢を見たのかって……実はその通りでね、前に話した暗殺の失敗談覚えてる?」

最原「ああ、春川さんが刀を使わなくなったっていう、あの……?」

春川「……その時の夢を見てね、最悪な目覚めだったってわけ。……まぁ、前にあんたと百田に話してたお陰であんまりダメージは無かったけど、思い出していい気分のする話じゃないね」

最原「そ、そっか……災難だったね」

春川「……そういう事、一応心配してくれたことには礼を言うよ。ありがとね」

最原「え、あ、あぁ、別に当然のことをしたまでだし、お礼を言われるのも気が引けるなぁ……」

春川「ふふ……変な奴。朝食がまだなら、私は少し散歩でもしてくるよ。それじゃ、また後で……」スタスタ…

最原「……良かった。春川さんは爆弾持ちじゃなかったみたいだな……でも、何か気になるぞ」

最原(……春川さんって、あんなに喋る人だったっけ?心配されてたとは言え、自分の弱みをあんなに簡単に話すかな?)

最原(もしかしてだけど……何か隠したいことがあって、話を切り上げる為にああしたのかも……?)

最原「……考えすぎだよね。今は他の女の子のことに集中しよう!」

――ガチャッ

入間「うう~……なんだよぉ、朝飯はまだなのかよぉ……」ドヨーン…

最原「うわっ!い、入間さん!?なにその暗い雰囲気!?」

入間「さ、最原か……?じ、実は嫌な夢をみてさぁ……」

最原「い、嫌な夢……?」

入間「こ、ここに閉じ込められた時の夢を見たんだよぉ……それを見てたら、もう二度とここから出られないんじゃないかって思って……ふ、不安なんだよぉ……」

最原「い、入間さん、落ち着いて……!」

入間「うぅ……美人過ぎる天才発明家の俺様がこんなところで一生を終えるなんて、世界にとって致命的な損失だぞ……!外に出たいよぉ……こ、こんなところで死にたくないよぉ……っ!ぐすっ」

最原「だ、大丈夫だよ!きっとここから出られる日は来るって!」

入間「……ほ、本当……?」

最原「本当だよ!ここには超高校級の才能を持った人たちがたくさん居るんだもの、皆で協力すれば何とかなるって!」

入間「そ、そうかなぁ……?」

最原「それに……入間さんだっているじゃないか!入間さんなら、この状況をどうにかできる発明を作り出せるはずだよ!」

入間「わ、私が……!?」

最原「皆、入間さんのことを頼りにしてるって!だから元気を出してよ、入間さん!」

入間「……そ、そうか……なんだかんだ言って、やっぱり愚民どもは俺様が頼りってわけか!」

最原「あ、そこまでは言ってないかな」

入間「えぇぇぇっ!?上げて落とすのぉぉっ……!?」

最原「あはは、でも、元気が出たみたいだね。良かった」

入間「ま、まぁな!考えてみれば、美人過ぎる天才科学者である俺様が閉じ込められて世界が騒がないはずがねぇ、きっと今頃大慌てで居場所を探してるはずだぜ!(自主規制)中に親が入って来た男子くらい慌ててな!」

最原「そうだよ、きっと外部からの助けも来る。だから諦めないで皆で頑張ろう!」

入間「けっ、愚民どもの協力はいらねぇが……俺様の為に働くことを特別に許可してやらなくもないぜ!ひゃっはー!」

最原(……良かった。入間さんも爆弾ではなかったみたいだ。安心だな……)

入間「……さ、最原……」

最原「ん?何?」

入間「……し……心配してくれて、ありがとう……最原って、優しいんだな……」

最原「え……!?」

入間「そ、それだけ!じゃ、じゃあな!」ダッ!

最原「……不覚にもドキッとしてしまった……不意打ちはずるいよ」

―――バタン!

茶柱「キエェェェェェェッ!」

最原「えっ!?茶柱さん!?」

茶柱「きえええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」ダダダッ!

最原「う、うわっ!?」

茶柱「[ピーーー]!男死!」ブゥンッ!

最原「わ、わぁぁぁぁぁぁっ!?」ポーン!

―――ドンガラガッシャーーン!

最原「う、うぅ……いきなり酷いよ。いったい僕が何をしたって言うのさ?」

茶柱「転子は……転子は今!無性に男死を投げ飛ばしたくて仕方がないんです!」

最原「え、えぇぇぇぇぇっ!?」

茶柱「……昨夜、転子はとても嫌な夢を見ました……男死から受けた借りをすべて思い出させるという拷問ビデオのようなものです!」

最原「借り……?それって、どんなの?」

茶柱「落とした消しゴムを拾って貰ったり、道に迷った時に交番を教えて貰ったり……そんな感じのやつです!」

最原「それくらい良いじゃないか!ていうかそこは感謝すべきところだよね!?」

茶柱「何を言いますか!?男死に助けられるなど、転子にとっては一生の不覚……あぁ、思い出しただけでも頭にくる!最原さん、黙って転子に投げ飛ばされてください!」

最原「い、嫌だよ!大体、そんな理不尽なことをするのは間違っているよ!」

茶柱「むむっ!?」

最原「八つ当たりの為に他人を傷つけるなんて、それこそ茶柱さんが嫌う男死そのものじゃないか!」

茶柱「……確かにその通りですね……転子は苛立ちのあまり、大切なことを忘れていたようですね」

最原「ほっ……分かってくれたんだね?」

茶柱「しかし……やはり苛立ちます!まさか男死である最原さんにこんなお説教をされるなんて!」

最原「え、ええっ!?」

茶柱「やはり観念して投げられなさい、最原終一!地獄の底まで追いかけますよ~っ!」

最原「い、嫌だっ!誰か助けて~っ!」ダダダ…

―――夜時間 最原の私室

モノクマ「……爆弾は爆発せず、特に問題も起きず、か……ちっ、つまんない結果だなぁ」

最原「うるさい!結果はどうであろうと課題は達成したからな!」

モノクマ「ま、そうだね……特に問題無く今日を過ごした三人は、心配してくれた最原くんに感謝しただろうね……つまんねぇの」

最原「いちいちつまらないとか言うんじゃない!」

モノクマ「……んじゃ、お遊び第二弾に行ってみようか!こっちは間違いなく楽しいことになるよ!」

最原「えっ!?だ、第二弾!?まだあるの!?」

モノクマ「そうだよ。でも安心して、今度は最原くんも楽しめるものだからさ!」

最原「……お前に何を言われても安心なんかできないよ」

モノクマ「心外だなぁ、僕はこれでも良心的なクマなんだよ?その証拠に……ほら、これを上げるよ」つチケット

最原「このチケットは……?」

モノクマ「うぷぷ……何を隠そう、それは新規開店するモノモノプールの先行入場チケットなのでーす!」

最原「も、モノモノプール?」

モノクマ「学校にあるプールじゃあリゾート感が足りないと思って、地下に新しくプールを作らせたんだよ!あ、地下って言っても雰囲気はライトや装飾で開放感や雰囲気はバッチリ!むしろ上のプールよりも大きいと思うよ!」

最原「……今度はここで過ごせって事か?」

モノクマ「うぷぷ……そういう事!本当は温泉と一緒に開放する予定だったんだけど、モノキッドの奴がサボったお陰で工事が遅れてさぁ……ま、キッチリおしおきはしといたんだけどね!」

最原「……何をされたのかは聞かないでおこう」

モノクマ「それでね。今回は趣向を変えて、一人の女の子と半日プールで過ごしてもらおうと思うんだ!水着姿の女の子と二人きりだなんて、最原くんはラッキーだねぇ!」

最原「……天海くんの才能を使って、何か企んでいる癖に……!」

モノクマ「そう言わないでよ。最原くんはこっちが選んだ女の子と二人で、楽しくスケベな一日を過ごせば良いんだから楽なもんでしょ?」

最原「………」

モノクマ「それじゃ、明日の昼過ぎにプール前で集合ね!水着はこっちで用意しとくから、手ぶらで構わないよ!……あ、手ブラってそういう意味じゃないからね!」

最原「分かってるよ!もうさっさと帰ってくれ!」

モノクマ「うぷぷ……わかったからそんなに怒らないでよね。楽しみだね最原くん、明日来るのは、気になるあの子かな?それともあんまり関わりの無いあの子が来るのかな?今からワックワクのドッキドキだよね~!」ピューン!

最原「……くそっ、半日もの間、水着姿の女の子と一緒だなんて……明日はどうなってしまうんだ?」

―――???

モノクマ「……うぷぷ、もう分かってると思うけど、アンケートの時間だよ!8人の女の子のうち、最原くんと一緒に過ごす女の子を1人決めてね!」

モノクマ「ついでにもう一つおまけで、選ばれた女の子以外の7人の中からもう1人選んで、その女の子の攻略に役立つ情報を差し上げちゃうよ!」

モノクマ「プールで一緒に過ごす女の子を選ぶのは、ここから下10個までの皆の声!攻略情報を提供する女の子は、そこからさらに下5個までの声だよ!」

モノクマ「ではまた次回お会いしましょう!ばーいくま!」

圧倒的……!圧倒的赤松……っ!

と言うわけでプールは赤松さんにします。続いて攻略情報を教えて欲しい女の子を赤松さん以外からお選びください

投票の結果 春川さんが3 東条さんが2 て春川さんの攻略情報を記載します。東条さんファンのみなさんごめんネ

みなさんの予想通り、先のイベントでダメージを負ったのは春川さんです。プールイベントで誘うとフォロー可能だったのですが、その機会を逃してしまいました。

なら次のイベントで挽回すれば良いじゃん!とお考えの皆様、取り敢えず謝ります。ごめんなさい。

春川さんの愛情狂気切り替えスイッチですが、基本的に放っておくと狂気に染まりやすいとお考えください、現状では一応愛情ルートに入っていますが、ふとした拍子に狂気に切り替わります。

半面、一人を好む彼女は他人からの影響で最原への感情が変わることはまずありません。適度に様子を見てあげれば、彼女の攻略には支障は出ないでしょう。

大事なのは春川さんが何を望んでいるのか理解してあげることです。会話の選択には気を付けましょう。

それにさえ気をつければ引っかけもなく、また反応も分かりやすい部類にはいる初心者キャラです。
頑張って春川さんとらーぶらーぶしましょうね!

終わった事なので言ってしまいますが、今回の爆弾は夢野ちゃんでした。彼女を選んでいた場合、転子ちゃんと揃って狂気行きです。

また、白銀さんを選んでいた場合と赤松さんを選んでアンジーさんを選ばなかった場合はイベントがありました。

皆様が選んだのは何事も起きない平和なルートだったわけです。やったネ!


―――翌日 プール前

最原「……時間だな。モノクマは一体誰を呼んだんだろう?……おや?誰か来るぞ。あれは……」

赤松「最原くん!もしかして最原くんもモノクマに言われてここに来たの?」

最原「うん。言う事は赤松さんも?」

赤松「そうなんだよ!いきなりプールとか言われて驚いたけど、楽しめるのなら楽しんだ方が良いよね!」

最原「そっか……赤松さんは前向きだね」

赤松「……本当はちょっと不安だったんだけどね。でも、最原くんが一緒なら怖いものなしだよ!それに、思いっきり楽しめそうだしね!」

最原「そ、そうかな……///」

モノダム「……イラッシャイ、ダヨ」

二人「!?」

最原「も、モノダム……?モノクマじゃないの?」

モノダム「オトオチャンハ、モノキッドのオシオキで急ガシインダヨ。代わりにオラがキタンダ」

赤松「そ、そっか……」

モノダム「中ニ入リナヨ。オラハ案内ハスルケド、中では基本的ニハ二人っきりダト思ッテネ」

赤松「えっ!?」

最原「二人っきり……って、それは、その……」

モノダム「心配シナイデ、質問がアレバ呼ンデくれれば良イカラ。ソレ以外は二人で仲良クシテネ」

赤松「へ、へぇ……!」

最原(……プールの中で、水着姿の赤松さんと二人っきり……これって、まるで……)

赤松「……デートみたい、だね……///」

最原「う、うん……///」

モノダム「……仲が良サソウで良カッタヨ。サァ、マズハ水着を選ボウカ?」

最原「あ、そ、そうだね!」

モノダム「最原クンの水着は、オトオチャンから預カッテルヨ。ほら、コレ……」つ白と黒の海パン

最原「あ、ありがとう……」

モノダム「赤松サンの水着ハ幾ツカ預カッテルンダ。オトオチャンは、「最原くんに選んで貰え」ってさ……」

赤松「え……?なんか嫌な予感が……!」

モノダム「トリアエズ見せるカラ、最原クンがその中から選ンデヨ。大丈夫、赤松サンニ強要ハシナイカラサ……」

最原「わ、わかったよ……えっと、それじゃあ……」

モノダム「ドノ水着を選ブ?」

1、ピンクのビキニ

2、白のスクール水着

3、マイクロビキニ

先着一名のアンケート。ただし、着て貰えない可能性もあります。

最原「いやいや、こんなの普通の水着一択でしょ!」

赤松「あはは……まったく、モノクマったらなに考えてるんだろうね?」

モノダム「水着が決まったら着替エテキナヨ。ソコカラは自由行動ダカラネ」

最原「わかった。それじゃ赤松さん、また後でね」

赤松「うん!」

モノダム「……ばーいくま」ピューン!

―――数分後……

最原「よし、着替え終わったぞ。赤松さんはと……?」

赤松「お、お待たせ……!」

最原「!!!」

赤松「え、えへへ……///どうかな……?」

最原(……可愛い!ピンク色のビキニがよく似合ってて、眩しいくらいだ!)

最原「いやいや、こんなの普通の水着一択でしょ!」

赤松「あはは……まったく、モノクマったらなに考えてるんだろうね?」

モノダム「水着が決まったら着替エテキナヨ。ソコカラは自由行動ダカラネ」

最原「わかった。それじゃ赤松さん、また後でね」

赤松「うん!」

モノダム「……ばーいくま」ピューン!

―――数分後……

最原「よし、着替え終わったぞ。赤松さんはと……?」

赤松「お、お待たせ……!」

最原「!!!」

赤松「え、えへへ……///どうかな……?」

最原(……可愛い!ピンク色のビキニがよく似合ってて、眩しいくらいだ!)

赤松「うぅ……でも、やっぱり恥ずかしいね……///」

最原「え……?」

赤松「私、茶柱さんとか東条さんみたいにスタイルよくないし……ぽっちゃりしてるから恥ずかしいよ……///」

最原「そ、それはちがうよ!」

赤松「!?」

最原「た、確かに赤松さんは茶柱さんたちほど細くはないけれど、ちょっとふくよかな方が魅力があると僕は思うよ!」

赤松「さ、最原くん!?」

最原「それに、赤松さんは自分をスタイルが良くないって言ってるけど、そんなこと全然無いって!胸も大きいし、お尻だって……」

赤松「あー!もう、ストーップ!」

最原「あ……っ!」

最原(し、しまった。暴走しすぎた……)

最原「あ、あの、その……今のは……」

赤松「……最原くんのスケベっ///」

最原「うぐっ!」

赤松「もう、他に誰も居ないから良かったものの……あんな事言ってたら、ただの変態だよ?」

最原「ご、ごめん……」

赤松「まったく……最原くんも男の子なんだね。他の女の子の事、エッチな目で見たら駄目だからね?」

最原「うぅ……はい、気をつけます……ん?」

赤松「……どうしたの?」

最原「あ、いや……他の女の子、って事は、赤松さんのことはそういう目で見ても大丈夫だってことなのかな~、って……」

赤松「……さ~い~は~ら~く~ん!」

最原「い、いや!今のは言葉のあやで……!」アセアセ

赤松「……そういう事は色々察して、口には出さない様にして下さい!」

最原「は、はいっ!」

赤松「まったくもう……まぁ、私も人のことは言えないけどさ……」←先日の男子風呂覗き実行犯の一人

最原(……結局、赤松さんは否定しなかったな。それって……彼女の言うとおり察すると、そう言うことなのかな?)

最原「ま、まさかね……これ以上怒られない様に黙っておこうっと!」

赤松「……///」

最原「さてと……それじゃあ、早速遊ぼうか?」

赤松「そうだね!色々アトラクションもあるみたいだし、一緒に見て回ろうか!」

最原「そうと決まれば……うん、あそこに行こう!ウォータースライダーと飛び込み台が一緒に建設された高台だね!」

赤松「OK!……でも、飛び込みは怖いから、どの位高いのか見るだけにしようね」

最原「あはは……実は僕も同じことを思ってたんだ……」

―――高台 飛び込み台の階段

最原「ふぅ……結構高さがあるね」

赤松「本当だね。思ってたよりも高いよ」

最原「スポーツが得意な人たちなら難なく飛び込めるんだろうけど……僕たちには荷が重いかな?」

赤松「な、なんと言うか、くらくらする眺めだね……!」ゴクリ…

最原「そ、そうだね……そろそろ行こうか?ここに居ても何にもすることは無いし……」

赤松「そ、そうだね!それじゃあ、降りてウォータースライダーの方に……あっ!?」ツルッ!

最原「あ!赤松さん!危ないっ!」

―――以下 最原の回想

 足元が滑って転びそうになった赤松さんに慌てて手を伸ばす僕。すんでの所で僕の左手は彼女の手を掴み、そのままこちら側に引き寄せる。

 僕自身もバランスを崩しながらも赤松さんを抱きしめる様にしてその体を支える。危うい所を乗り切った僕だったが、次の危機はすぐにやってきた。

「「あ……っ!」」

 僕と赤松さんが同時に呟く。それは、お互いの顔が思ったよりも近くにあることに気がついたからだ。

 赤松さんと目を合わせ、同時に顔を赤くする。彼女の漏らす吐息が僕の頬に当たるむず痒さに心臓の鼓動が早まる。

 緊張しているのは赤松さんも同じの様で、僕の右手が触れる赤松さんの背中からは、大きく脈打つ心臓の音が伝わっていた。

 バクバクと鳴る心臓。僕と赤松さんの鼓動が一つになり、お互いの心までもが一つになった感覚に襲われる。

「さいはら……くん……」

 綺麗な声で僕の名を呼ぶ赤松さん。可愛く動く彼女の唇になんとも言えない感情を抱いてしまった僕は、左手を彼女の手から離すと人差し指でそこに触れた。

「あっ……!」

 指から感じる赤松さんの唇の柔らかさに感動を覚える。少しだけ力をこめて指を押し込めば、張りのある弾力が伝わってきた。

 先ほどのモノダムの言葉を思い出す。今、僕たちは二人っきりだ。なら、ここで僕が何をしようと他の人に知られることは無い。

(………)

 唇に触れていた手を彼女の顎に添える。そのまま上に傾けさせ、角度を固定する。

 徐々に近づく僕と赤松さんの距離、あと数センチという所まで近づいた時、僕は動きを止めて彼女の瞳を覗き込んだ。

 潤んだ赤松さんの瞳……それを見つめていた僕に理性が戻ってくる。後一歩の勇気を出せないまま、僕は彼女との距離を広げ始めたのであった。

―――回想終了

最原「………」

赤松「………」

最原(危なかった……あと少しでとんでもないことをしてしまうところだった……!)

赤松「……さ、最原くん!」

最原「あ!な、何!?」

赤松「最原くんも悪戯好きだよね!ほ、本当にキスされるかと思っちゃったよ!」

最原「あ、あはは!ごめんごめん!この間の覗きのお返しのつもりだったんだけど、やりすぎちゃったかな?」

最原(良かった……赤松さんは今のを悪戯だと思ってくれてるみたいだ)

赤松「う~、それを言われると何も言い返せないなぁ……でも、あんまりそういう悪戯はしちゃ駄目だからね!」

最原「わ、わかってるって!赤松さんだからしたんだもの!」

赤松「えっ……!?」

最原「あ……えと、お返しってことだからね?」

赤松「あ、そ、そっか!そうだよね!ごめんごめん、変な意味で捉えちゃったよ!」

最原「ははは……!さ、さて、そろそろ別の場所に行こうか!」スタスタ…

赤松「……最原くんのいくじなし……!」

―――ウォータースライダー 入り口

最原「……ウォータースライダーの入り口に着いたけど、ここも結構高いね」

赤松「そうだね。でも、これ位距離がある方が面白いよ!」

最原(……スライダーは二つか、赤松さんと別々に乗るのが良いかな?)

赤松「……ねぇ、最原くん」

最原「ん?何、赤松さん?」

赤松「あのさ……最原くんさえ良ければなんだけど、一緒に滑らない?」

最原「えっ……!?」

赤松「せっかく二人きりなんだし、バラバラに滑るのも味気ないと思ってさ……良ければ、一緒のスライダーで滑ろうよ!」

最原「え?でも、それって危なく無いかな?」

赤松「最原くんが私をしっかり抱きしめてくれれば問題ないって!……不安だったら、私が最原くんをだっこするよ?」

最原「え、えっと……そうだなぁ……」

最原(どうしようかな?赤松さんと一緒に滑ろうか、それともばらばらに滑ろうかな……?)

1、赤松を抱きしめて滑る

2、赤松に抱きしめて貰って滑る

3、バラバラに滑る

 下4つまでのアンケートで決定

最原「赤松さんがそこまで言うなら、一緒に滑ろうかな?」

赤松「やった!それじゃあ、どっちが前になる?」

最原「赤松さんが前で良いよ。僕が後ろから支えるからさ」

赤松「OK!……最原君、私のこと、ちゃんと掴んでてね?」

最原「分かってるよ。赤松さんの事を放したりしないって!」

赤松「……えへへ、なら良いよ!じゃあ、さっそく滑ろっか!」

最原「うん!」

―――以下 最原の回想

「……良し、準備OKだよ!」

「それじゃあ、ちょっと失礼……」

 スライダーの入り口に座る赤松さんを後ろから抱きしめる様にして腕を回す。おのずと体が密着してしまうことにドキドキしながら、僕はどこまで強く赤松さんを抱きしめれば良いのか分からず、困惑していた。

「あ、あはは……!自分で提案しておいてなんだけど、これかなり恥ずかしいね……!」

 照れた赤松さんの声を聞いた僕は、やっぱりそこまで強く抱きしめないほうが良いのかな?なんて考えていた。あんまり強く抱きしめると赤松さんも恥ずかしいだろう。

 ゆるく、本当にゆる~く、腕を回して赤松さんを後ろから抱きしめる。二人の体に多少の間が空く位が丁度良いかと考えていた僕が準備を終えたとき、赤松さんが言った。

「あのさ……その……もっと、ぎゅっ、ってして、欲しい、かな……」

「ええっ!?」

 顔を赤くした赤松さんのちょっとした上目遣いでのおねだり……それは、女の子と接しなれていない僕には効果抜群だった。

「ほ、ほら!途中で離れちゃうと危ないし、ね?」

「そ、そうだね!安全のためだよね!」

 お互いにそう言い訳しながら体を密着させる。赤松さんの背中が僕の体に当たり、温かい彼女の体温が伝わってくる。

「それじゃ、その……遠慮なく……!」

 自分でも余裕が無い口調だなと苦笑しながら緩めていた腕を徐々に締め付けていく。赤松さんのお腹の辺りを触れていた僕の腕だったが、それを赤松さんの綺麗な手が掴んだ。

「ご、ごめんね最原くん!あの、その……お腹はお肉が気になるので、出来たらもっと上のほうでお願いしたいなと思って……」

「わ、分かった!」

 ゆっくりと赤松さんを抱きしめる腕を上にずらす。そんなに気にしなくても良いのにと思いながら柔らかな彼女の腹部から腕を動かした僕は、赤松さんに確認をとりながら腕を上に動かしていく。

「もっと上……もう少し……うん、そこでお願い」

「う、うん……っ!」

 赤松さんの指示通り、僕の腕は彼女の胸の下辺りで固定された。きつく赤松さんを抱きしめながら、僕は顔を赤く染める。

 僕の両腕に当たる感触……それは、赤松さんのたわわに実った二つの果実の重みであった。

 水着に抑えられている為、すべての重みが僕の腕にかかっている訳ではない。でも、赤松さんの胸の下部分が僕の腕にあたっていることは確かだ。

(い、意識しないようにしなきゃ……!)

 こんな密着した状態で興奮したら言い訳できなくなってしまう。必死になってその柔らかさを頭から追い出そうとした僕に対し、赤松さんが体をもたれかからせてきた。

「……あの、さ……もう少し、強く抱きしめて貰っても、良い?」

「え……?」

「その……もし今の位置で抱きしめにくいって言うならさ……もう少し、腕の位置を上げても良いよ……?」

 恥じらいながらも言い切った赤松さんの言葉に意識を引っ張られる。彼女だって、自分の胸に僕の腕が当たっていることに気が付いていない訳が無いだろう。

 それでもそう言ってしまうということは……そういうことなのだろうか?

(い、いやいや!変なこと考えちゃ駄目だ!)

 邪な考えを頭から振り切りながら、僕は赤松さんに言われた通り腕の位置を少しだけ上げる。当然、腕が赤松さんの胸を持ち上げて、感じる柔らかさも強くなる。

 僕も恥ずかしいが、きっと赤松さんも同じくらい恥ずかしいのだろう。この場に他に誰も居ない事が幸い……いや、他に誰も居ないからこそこんなことが出来るのかと思いながら強く彼女を抱きしめた。

「それじゃあ、行くよ?」 

 心臓の鼓動とか震えとか、そう言ったものを二人で共有ながらスライダーを滑り始める。そこから先は一瞬だった。

―――数時間後 休憩スペース

最原「ふぅ……流石に疲れたね……」

赤松「何回連続でスライダーに乗ったんだろうね?他にも色々あって面白かったね!」

最原「流れるプールとかウォーターブリッツとかのスペースもあったし、今度は皆で来てみたいな」

赤松「ふふふ……きっと楽しい日になるよ!」

最原「そうだね!……こうやって皆と一緒に思い出を作って、ここから出るときに笑いながら話せると良いな……!」

赤松「……きっと大丈夫だよ。誰一人欠ける事無く、皆でここから脱出できるって!」

最原「……不思議だな。赤松さんがそう言うと、本当に出来そうな気がしてくるよ。皆一緒にここから出て、友達になれる気がしてくる」

赤松「えへへ……そう思ってくれたなら嬉しいな!……さて、もう少しで閉館時間みたいだけど、それまで何してよっか?」

最原「う~ん……遊ぶには中途半端な時間だし、ここでのんびり話でもしない?」

赤松「そうだね!それじゃあ休憩がてらお話でも……あ~……!」

最原「???」

赤松「さ、最原くん、疲れてるんだよね?」

最原「え、あ、うん。少し……」

赤松「そっか、そっか……のんびり休んでたいんだよね?」

最原「え?ま、まぁ、動き回るよりかは……」

赤松「え~っと、なら、その……」ポンポン

最原「……?どうしたの赤松さん?自分の膝を叩いたりして……?」

赤松「……最原くん、探偵なのに鈍いね……」

最原「えっ!?」

赤松「……横になっても良いよって言ってるんだけどな」

最原「えっ!?だ、だって、そんなことしたら、その……」

赤松「あ~、もう!はっきり言わなきゃわかんないのかな!?膝枕してあげるって言ってるの!」

最原「う、うえぇぇぇぇっ!?」


赤松「……最原くんが嫌なら良いよ。うん、軽い思い付きだったわけだし……」

最原「そ、そそそ、それは違うよ!むしろ大歓迎と言うか、して欲しいと言うか……!」

赤松「……そっか。それじゃあ……はい」ポンポン

最原「えっと……し、失礼します……!」

―――以下 最原の回想

 赤松さんの誘いに乗り、僕は彼女の脚に頭を下ろす。少し湿った彼女の肌と、火照った体温を感じた。

(うわぁ……!)

 本当に……色々衝撃的だった。

 柔らかすぎる腿の感触だとか、視界の端に移る可愛いおへそだとか、真上に見える大きな胸の形だとか、あとは……

「……えへへ~!」

 僕の頭を撫でる赤松さんの手の温もりと、その笑顔もだ。今、この瞬間に感じられる赤松さんの全てが嬉しくて、心に残る気がする。

「ねぇ、最原くん。また機会があったら、こうやって二人で遊んでくれる?」

「……うん、もちろんだよ。また一緒にこうして過ごせたら良いなって、僕は思うよ」

「そっかぁ……!うん、私も同じ気持ちだよ!」

 そう言って赤松さんは嬉しそうに笑った。その笑顔を見ていると、僕も嬉しくなってくる。

「その時には……最原くんが良ければ、またこうしてあげるからさ……約束だよ?」

 優しく僕の頭を撫でる赤松さんの手と温かな彼女の言葉にまどろみながら僕は目を閉じる。

 温かくて、幸せで、何物にも変えがたい一時を過ごしながら……僕の一日は終わりを迎えたのであった。

―――回想終了

モノダム「……閉館時間ナンダケド、ナ」

モノダム「……アア、オラの時計が壊レテタ。マダ閉館時間マデハ、時間がアルネ」

モノダム「……二人デ、仲良クシテネ」

 赤松さんと仲良くなりました! 彼女の心に一歩踏み込みました

―――夜時間 ???の研究室

???「……うぅ、うぅぅ……」

???「どうすれば良いの?どうしたら、私は……」

???「ゴメン、最原……。私、アンタとの約束、守れなかったよ……」

―――?の研究室

?「にゃはは~!そっか~、終一は他の女の子と過ごしてるんだね~!良い度胸してるよ~!」

?「……もしも次にお誘いが来なかったら……終一を問い詰めなきゃいけないね~!」

?「終一、神様を怒らせると怖いんだよ。ばちが当たるんだよ。そうなりたくないなら、自分が誰の所に行くべきか、ちゃ~んと考えないと駄目なんだよ……!」

―――???

モノクマ「は~い!と言うわけでレベル2のお話もコレでおしまい!今回も楽しかったよね?」

モノクマ「……え?なんか不穏な空気を感じるだって?大丈夫、大丈夫!それも楽しみの一つだと思えば良いんだよ!」

モノクマ「ま、どうしても気になるなら次のレベル3で挽回すれば良いんじゃない?……出来ればの話だけどさ」

モノクマ「愛情を深めた子も居れば、そうじゃない子だっている。世の中の真理だよね!仕方が無いことなのさ!だから皆が気に病む必要は無いよ、不幸をおっかむるのも、幸せになるのも最原くんなんだからさ!」

モノクマ「……無責任に楽しめば良いんだよ、オマエラは。これはフィクションなんだからね!」

モノクマ「それじゃあまた次回で会おうね!ばっははーい!」

モノクマ「やあ、最原くん!唐突に始まる第三回目のラッキースケベだよ!」

最原「……もう慣れたよ。今日もあれが始まるんだろう?」

モノクマ「うぷぷ……そうなんだけど、そうじゃないんだなぁ。今日はちょっと趣向を変えて、面白いことをしようと思ってさ!」

最原「嫌な予感しかしないな……」

モノクマ「……最原くん、少年漫画で盛り上がる状況ってどんな時だと思う?」

最原「いきなりなんなんだ?少年漫画が盛り上がる状況?」

モノクマ「うぷぷぷぷ……それはね、ピンチだよ。主人公がピンチに陥って、そこから逆転する時は最大級に盛り上がるシーンだって言えるよね!」

最原「???」

モノクマ「だからね……今日、最原君にはピンチになって貰おうと思うんだ。絶体絶命、最強最悪のピンチから、見事に復活して欲しいんだよ!」

最原「ピンチだって……!?お前、僕に何をするつもりだ!?」

モノクマ「僕は何もしないよ。最原くんをピンチにするのは……ほら、来た!」

―――ガチャッ バーン!

茶柱「見つけましたよ男死!これであなたの悪事も年貢の納め時です!」

最原「ちゃ、茶柱さん!?一体なんのつもり……え?」

夢野「んあー……最原よ、ウチはお主のことを少しは信用しておったのじゃが……残念じゃ」

東条「……皆の快適な毎日を約束するのが私の務め。そのために、不穏分子は排除させて貰うわ!」

白銀「地味に傷つくな、あの最原くんがそんな人だったなんて……」

最原「え?え?え?」

入間「ひゃ~っはっは!これでダサイ原もおしまいだな!イカ臭いお前にはお似合いの末路だぜ!」

夜長「終一~、アンジーと神様の言うことを聞かないからこうなるんだよ~!」

春川「………」

赤松「最原くん……流石に私も庇いきれないよ……」

最原「み、みんな……?これは一体どういうことなのさ!?」

モノクマ「いや~!大ピンチだね最原くん!これは盛り上がってきましたな~!」

最原「も、モノクマ!?お前、皆に何かしたのか!?」

茶柱「何かをしたのはあなたでしょうが!最原さん、ここで出会ったが百年目!さぁ、覚悟なさい!」

最原「な、なんなんだ……?なにがどうなっているんだ……!?」

モノクマ「うぷぷ……それじゃあ、第三章前編、行ってみましょ~!」

 第三章「大逆転学級裁判 (カプコン製のあの作品とは関係ありません)」

―――学級裁判場

百田「お、おい!これは一体なんだってんだよ!?」

真宮寺「モノクマから呼び出しを受けて来てみたら、こんな裁判場に連れて来られるなんてネ……」

星「……なにか嫌な予感がするな」

モノクマ「そんなに身構えないでよ、皆には学級裁判をしてもらうだけだからさ!」

キーボ「学級裁判ですって!?ま、まさか、殺人が起きてしまったんですか!?」

天海「いや、それは無いっすよキーボ君。死体が発見された報告も無く、調査も行われていない。この状況で殺人が起きたなんて考えられないっす」

獄原「じゃあ、ゴン太たちは何を話し合えば良いの?」

モノクマ「うぷぷ……それはねぇ……!」

茶柱「そんな説明はどうでも良いです!」バーン!

百田「うおっ!?い、いきなりなんだよ茶柱、びっくりしただろうが!」

茶柱「話し合いなど必要ありません!転子たち女子は、最原さんへのおしおきを要求します!」

最原「!?」

天海「最原くんへのおしおき……?一体、どういうことっすか?」

茶柱「だから説明の必要無しと言っているんです!もはや投票タイムに行っても問題無し!裁判は終了でかまいません!」

最原(だ、駄目だ。僕もいきなりの急展開についていけないけど、このままじゃ僕がおしおきを受けることになってしまう……どうにかして女子から話を聞きださないと……!)

 ノンストップ議論 開始!

茶柱「最原さんは即刻処罰すべきです!それが女子の総意なんです!」

白銀「残念だけどこれ、学級裁判なのよね……」

夢野「んあ~……本当に残念じゃのぉ」

春川「………」

赤松「最原くん……ごめんね……」

獄原「ちょ、ちょっと待ってよ!ゴン太には何がなんだかわからないよ!」

獄原「お願いだから、『ちゃんと説明してよ』!」

最原「その意見に賛成だ!」同意!

最原「……ちょっと待ってよ。いきなり連れて来られて訳が分からないのにおしおきだなんてあんまりだよ。僕が何をしてしまったのか、説明してくれたって良いじゃないか」

百田「そうだぜ!終一がなんかしちまったにしても、この扱いはあんまりだろーがよ!」

真宮寺「何も分からないまま話を終えられたら、僕たちがここに集められた意味が無くなってしまうからネ。説明を要求するヨ」

茶柱「むむむむむ……男死どもが、徒党を組みよってぇ……!」

モノクマ「あーもう、話を勝手に進めないでよね!ちゃんと説明しますって!」

天海「……お願いしますよモノクマ。なんで俺たちがここに集められたのか、きちんと説明を頼むっす」

モノクマ「はいはい、それでは皆さんに話し合って貰う内容ですが……実は、最原くんにはとある容疑がかけられているのです!」

男子「!?」

モノクマ「その容疑とは……女子の皆にわいせつな行為をした。というものなので~す!」

キーボ「わ、わいせつ行為ですって!?」

星「もし本当だとしたら、許しちゃおけねぇな」

最原「ちょ、ちょっと待ってよ!ぼ、僕はそんなこと……」

東条「してない……と、言い張るつもりかしら?」

最原「!?」

東条「既に調査は終わっているわ。最原くん、ここに居る女子全員が、あなたになにかしらのわいせつ行為を受けているのよ!」

最原「!!!」

真宮寺「ククク……お盛んだねぇ、最原くん。これは驚きだヨ」

星「おいおい……こんな閉塞空間で溜まるものがあることは分かるが、やりすぎだろ」

キーボ「溜まるもの、とはなんでしょうか?」

獄原「う~ん……ゴン太にも分からないよ……」

白銀「は~い、二人は知らなくて良いことだから黙ってようね~!」

東条「……最原くん。8人の女子全員があなたからなんらかの被害を受けている……この証拠を前にして、まだ何か言い訳をするつもりかしら!?」バンッ!

最原「う、うわぁぁぁっ!」ドーン!

 ノンストップ議論 開始!

東条「私はこの間、温泉の掃除中に最原くんと遭遇したわ。バスタオル一枚の状況でね」エエッ!?

茶柱「転子は白銀さんと一緒に体を触られまくりました!ね?白銀さん!」

白銀「それに加えて、私は地味にブラジャーも見られてるんだよね……」サイハラ、オマエッテヤツハ…

夢野「ウチは眠っている所をおんぶされたの!」ソレッテワイセツナノカ…?

赤松「私もパンツを見られたね……」アカマツサンニマデ…!ユルセマセン!

春川「……下着姿を見られた」

入間「お、俺様は……あれ?なんだっけ?」オモイダセネェノカヨ!?

夜長「アンジーもパンツを見られたねー!」アンジーサンノハミズギジャナイノ?

東条「以上が女子の被害報告よ。これ全てが偶然だと言うつもり?」

東条「『最原くん一人』にこんな偶然が起き続けるわけがないでしょう!?」

天海「ちょっと待つっす!」論破!

天海「……確かに、それだけの被害が最原くん一人の手によって生み出されたのなら、間違いなく偶然ではないでしょうね」

東条「わかってくれたみたいね。では、さっそく投票に……」

天海「では、もしそれに他の男子も関わっていたとしたら?」

東条「……どういう意味かしら、天海くん?」

天海「アンジーさん、思い出して欲しいっす。アンジーさんが最原くんにパンツを見せた時、傍には俺もいなかったっすか?」

夜長「ん~?あ~、そうだね~!蘭太郎も一緒に、アンジーのパンツを見てたね~!」

茶柱「なんですか!?自分の罪の告白ですか!?男死としては潔いですが、それが何の意味を……」

百田「待て待て!それだったら俺もそうだ!俺も終一と一緒にハルマキの着替えを見ちまったぞ!」

東条「………!」

百田「それに……星もそうだ!赤松のパンツを見ちまったことがある!」

星「……不本意だが、認めざるを得ねぇな」

茶柱「だから!懺悔大会だったら後でやってください!今、意味のない話をする必要性は……」

真宮寺「ククク……茶柱さんはここまで話してもわからないのかい?」

茶柱「な、なんですかその言い方は!?そのマスクの下でどんないやらしい笑みを浮かべているんですか!?」

夢野「転子よ、落ち着け。真宮寺のマスクの下のいやらしい笑みなど、それこそ関係の無い話じゃ」

入間「ひゃ~っはっは!まぁ、ああいう根暗は大体妄想もエグイ事をしてるんだろうさ!」

真宮寺「……入間さん、後で覚えておいてネ」

入間「お、おしおきされるの私だけなのぉ!?」

天海「話がそれてしまいましたが、東条さんは俺が何を言いたいかわかったんじゃないっすか?」

東条「……女子のあられの無い姿を見たのは、最原くんだけじゃ無いってことね?」

天海「その通りっす」

茶柱「……いや、それが何なんですか?おしおきの対象が増えただけじゃ……?」

赤松「あ……そっか、そういうことか!」

獄原「えっ!?赤松さんは何に気がついたの?!ゴン太はまるで意味がわからないよ!」

星「……まだわかって無い奴の為に説明してやるとだな。最原の起こした事件全てが、偶然である可能性が跳ね上がったってことだよ」

茶柱「えっ!?」

天海「最原くん、百田くん、星くん、そして俺……男子のうち、4名が女子とそう言ったハプニングを起こしているっす。つまり、最原くんだけが女子とHなハプニングを起こしているから怪しい。という意見は、これで通じなくなったっすよ」

茶柱「で、でも!それでも最原さんが怪しいことには変わりないじゃないですか!」

天海「でも、その一方でこんな考え方もできるっす」

茶柱「へ……?」

天海「……皆と積極的に交流を深めようとしている最原くんは、偶然にも皆と変なハプニングを起こしてしまった。ただ、それはあくまで偶然……たまたまのラッキースケベだったんすよ」

真宮寺「ありえない話じゃ無いネ。ここに閉じ込められて結構な時間が経ってる、妙なことがおきてしまっても不思議は無いヨ」

茶柱「な、なんとっ!?」ガビーン!

天海「完全なる偶然の産物でおきた事件を、女子の皆さんが騒ぎ立てて大きくしてしまった……これが、この事件の真相なんっすよ!」バーン!

茶柱「ぬ、ぬわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」ガーン!

最原(あ、天海くん……!)

天海(……俺の才能のせいで最原くんをクロにするわけにはいかないっす!なんとしても無罪判決をもぎ取りましょう!)

最原(あ、ありがとう……!)

百田「よ~し!これで終一の容疑も晴れたな!女子たちも文句ねぇだろ?」

東条「……いいえ、残念ながらまだあるわ」

最原「!?」

東条「最原くんはあくまで偶然女子たちと事件を起こすことになってしまった。そこに下心は一切無い……天海くんの意見を纏めるとこういうことになるわよね?」

天海「そ、そうっすね……」

東条「では、私たちはそれに反論しうる証拠を提出するわ!最原くんが悪意をもって女子の下着姿を見たと言う決定的な証言をね!」

天海「!?」

百田「終一が女の下着姿を覗いただって……?んなこと、あるわけがねぇ!」ガタッ!

東条「それがありえるのよ……ねぇ、春川さん?」

春川「……あぁ、その通りだよ。私は、最原が入間の下着姿を覗いている所を見たんだよ」

最原「な、なんだって!?」

百田「は、ハルマキ……?何かの見間違いじゃねぇのか?もしくは、勘違いとか……」

春川「百田、アンタが最原を信じたいのはわかるけど、もう一人証人が居るんだ」

茶柱「それも男死のですよ!」

天海「え……?」

最原(そ、そうだ……もし春川さんがあの時のことを言っているとしたら、彼は証人に成りうる!)

最原(そもそも、この学級裁判で彼が発言をしないことがおかしかったんだ!いつもの彼なら、もっとこの場を引っ掻き回すだろうに!)

百田「だ、誰なんだよ?その証人ってのは……!?」

王馬「……俺だよ、百田ちゃん」

百田「お、王馬……!?」

最原(やはり……彼か!)

王馬「俺、最原ちゃんとは大の仲良しだけどさ……でも、そんな最原ちゃんが真人間としての道を歩める様になるためだったら、心を鬼にして告発するよ!最原ちゃんも許してくれるよね?」

茶柱「信用度は低いですが……貴重な証言です!さぁ、王馬さん!あなたが何を見たのか、はっきり証言してください!」

王馬「おっけー!……皆は、温泉が出来た時のことを覚えてる?あの時、入間ちゃんがキーボを改造するために自分の研究室に連れてったんだけど……実は、入間ちゃんにはもう一つ目的があったので~す!」

キーボ「あ、あの時のことですか!」

入間「ひぃぃ……い、言わないで欲しいけど、しょうがないんだよね……?」

王馬「実はあの時、入間ちゃんはキーボを襲おうとしてたんだよ!あ、性的な意味でね!」

星「はぁ……くだらねぇな」

真宮寺「ロボットにまで欲情するなんて、本当に入間さんは僕の姉さんの友達に相応しくないネ」

天海「あきれてものも言えないっす」

百田「馬鹿だとは思ってたけど、まさかここまでとはなぁ……」

獄原「ゴン太はよく分からないけど、入間さんが悪いってことだけは何となく分かるよ!」

キーボ「……ここを出たらしかるべき所に訴えますので、覚悟しておいてくださいね!」

入間「ふ、フルコンボだどん……!でも、なんか気持ち良いかも……///」

王馬「まぁ、変態ドグサレビッチの入間ちゃんは放っておいて、最原ちゃんの話をしようよ!実はね……俺と最原ちゃんは、入間ちゃんがキーボを襲おうとして下着姿になったところをバッチリ覗き見ていたのだ~!」

百田「な、なにぃぃぃっっっ!?」

王馬「黒の下着……豊かに育った入間ちゃんの体……その全てを見ながら、俺と最原ちゃんは語り合ったものだよ……!」

入間「ひぐぅ……み、見られてる……私の恥ずかしい姿、見られてるぅ……っ!」ビクビク!

王馬「『入間ちゃん、良い尻してるよね……!』『いや、やっぱりおっぱいに目が吸い寄せられるよ……!』とかね!」

入間「ああぁっ……め、目覚める!何かにめざめちゃうぅぅ……っ!」ビクンビクン!

夢野「入間の奴は排除しておいた方が良いんじゃないかのぉ?」

茶柱「転子も同意です!」

赤松「あ、私もそうおもっちゃったかも……」

入間「うぅ……誰かロンパしてよぉ……!」

王馬「とまぁ、こんな風に固い友情で結ばれた俺たちは、覗きのことを黙っていようって約束してたんだけど……まさか、春川ちゃんに見られてるなんてねぇ。しょうがないから、素直に白状して、俺は最原ちゃんの更正に一役買うことにしたよ!」

白銀「……いや、今の話を聞く限り、王馬くんも地味に同罪だからね?」

茶柱「これが終わったらあなたもおしおきです!ネオ合気道の餌食にしてやりますよ!」

王馬「え……?そ、そんなの嫌だよぉぉぉっ!誰か助けてよーーーーっ!」ビェェン!

東条「……とにかく、これで分かってくれたわね?最原くんは、下心を持って入間さんの研究室を覗いた。この証拠があることに!」

天海「う、うおぉぉぉぉっ!?」

赤松「私もにわかには信じられなかったんだけど、春川さんと王馬くんの話を聞いて、それで……」グスッ

茶柱「ああ、赤松さん!……おのれ男死!赤松さんの心を傷つけた代償は高くつきますよ!最原さん、素直に罪を認めて、罰を受け入れて下さい!」

百田「ぐ、おぉ……一体、どうすれば……!?」

最原「………」

最原(……王馬くんは何がしたいんだ?あんなの、僕が聞いたらすぐに嘘だってわかるじゃないか)

最原(それを証言してくれる人だって居る……とにかく、王馬くんの悪ふざけに付き合って、クロにされるわけにはいかない!反論だ!)

最原「待ってよ!僕は確かに入間さんの研究教室を覗いたけど、それはわざとじゃないんだよ!」

赤松「え……?そ、そうなの!?」

最原「そもそも、僕は最初から入間さんの行動を見る事は不可能なんだよ!僕はその時、購買部に居たんだから……ね、夢野さん?」

夢野「お、おお!そうじゃ!その通りじゃ!温泉の説明を受けたあと、最原はウチと一緒に買い物をしておったぞい!」

茶柱「えっ!?」

最原「入間さんがキーボ君を連れて行ったのもその時だよね?なら、僕は二人の様子を最初から見れるわけが無いんだよ!」

東条「そんな……!?じゃ、じゃあ、王馬くんと春川さんが見た最原くんは一体……?」

赤松「あ……!」

茶柱「あ、赤松さん、どうしたんですか?」

赤松「そ、そうだよ……なんでこんな簡単な事に気がつかなかったんだろう……?」

夢野「赤松……?」

赤松「あの王馬くんが、本当の事を言ってるだなんて限らないよ!むしろ事件を面白おかしくするためなら、嘘だって平気でつくって!」

東条「う、うそ……?今の証言が、王馬くんの嘘だって言うこと?」

夜長「確かにありえない話じゃないね~!小吉は嘘つきだもんね~?」

王馬「ひ、酷いよ赤松ちゃん。俺だけならともかく、春川ちゃんまで嘘つき呼ばわりするなんて……!」

赤松「えっ……!?」

王馬「だってそうでしょ?証言したのは俺だけじゃなくて春川ちゃんもなんだよ?俺の証言を否定するって事は、春川ちゃんの言葉も否定するって事だよね?」

赤松「そ、それは……」

最原「……王馬くん、もう悪ふざけはやめようよ。君だって分かってるんだろう?」

王馬「………」

最原「春川さん、君は本当に僕と王馬くんが入間さんの研究教室を覗いている所を見たの?」

春川「………」

茶柱「は、春川さんを嘘つき呼ばわりするつもりですか!?これだから男死は!」

最原「君が見たのは、僕と王馬くんが研究教室前で話している姿なんじゃないの?」

春川「……っ!」

白銀「は、春川さん……?」

王馬「……ちぇ~、もう少し楽しめると思ったんだけどな~。……そうだよ、最原ちゃんが入間ちゃんの下着姿を覗いたって言うのは、俺のついた嘘だよ!」

東条「なっ!?」

王馬「にしし!なんでもっと早く気がつかないのかな~?俺が本当の事を言ってるだなんて信じきっちゃうなんて、女子の皆はおばかさんだね!」

百田「ふざけんな!お前のせいで終一は変態に仕立て上げられるところだったんだぞ!」

獄原「そうだよ!王馬くん、嘘は良くないよ!」

王馬「……仕方が無かったんだよ」

最原「え……?」

王馬「お、俺も、こんな大事になるだなんて思ってもみなかったんだよ!ただちょっと最原ちゃんが叱られて、そこでネタバラシすればいいや~って思ってたんだよ!」

王馬「でも……俺が話をした途端、女子の皆が騒ぎ始めて……いつの間にか、こんな大騒ぎになっちゃったんだよ~~~っ!」

茶柱「うぅ……その時丁度、さ、最原さんが女子たちに破廉恥な真似をしてるんじゃないかって話になってて……」

白銀「王馬くんの話を聞いて、これはもう間違いない!って皆が思っちゃったんだよね……」

赤松「も、もしかして……私たちが先走りすぎてたってこと?」

東条「……いいえ、そうとも言い切れないわ!」

天海「まだ反論を続けるつもりっすか!?もう結論は出てるんじゃ……」

東条「確かに偶然の連鎖という可能性も十分にありえる。でも、最原くんの周りで不可解な出来事が続いていることも事実よ!この不自然さを解決しない限り、最原くんの容疑が晴れることは無いわ!」

百田「くっ!完璧主義者もいい加減にしろよ!終一に対する言いがかりにしかきこえねぇぞ!」

茶柱「ですが、東条さんの言うことにも一理あります!きっと最原さんは裏で何かあくどいことをしているに違いありません!」

白銀「それは言い過ぎかもしれないけど、最原くんが地味に怪しいのは確かだよ!」

茶柱「何か人為的なものを使って事件を起こしているに違いありません!こんなの不自然すぎます!」

最原(……困ったな。まだ納得してくれない女子たちが居るぞ。もう、これ以上の説得材料はどこにも……)

キーボ「……僕もその意見に賛成します。こんな事、偶然にしては出来すぎだと思うんです」

最原「!!!」

茶柱「キーボさん!あなたも転子の考えに賛同してくれるんですね!」

百田「おいキーボ!お前まさか、終一が汚い真似をしてると思ってんのかよ!?」

キーボ「いいえ、違います。僕は最原くんがそんなことをしているとは思っていません」

茶柱「えっ!?」

東条「……話が見えないわね。キーボくん、あなたは私たちに味方してくれるんじゃないの?」

キーボ「……実は、僕はある決定的な証拠を持っているのです。それがあれば、最原くんの容疑を晴らすことが出来ます」

茶柱「な、なんですとぉぉぉぉっっ!?!?!?」

星「決定的な証拠……?一体、なんなんだそれは?」

キーボ「……確かに最原くんの周りでは不可解なことが立て続けに起き続けている。しかし、最原くんはそんなことをする人じゃない!僕はそう信じています!」

キーボ「なら、悪いのは誰なのか?その答えは……これです!」

ガシュン!キュイィィィィン……

百田「……キーボ?お前、なにやって……?」

最原?『……なんでこんなことをしたの?』

百田「え?終一の声?どういうことだ?」

入間「お前、それ……録音機能か?」

キーボ「はい。実は数日前、僕はとある人と最原くんの会話を聞いていたのです。今皆さんが聞いているのは、そのときの記録です」

最原『なんでこんな真似を……!?』

最原(こ、この会話内容は……!?まさか、この会話の相手って……!)

???『……アンタの言うとおりだ……こんな馬鹿な真似、しちゃいけないよね……』

赤松「こ、この声って……!」

茶柱「ま、まさか……!」

春川『……わざと下着姿を見せた事をかい?……そうだよ、私はわざとあんなことをしたんだ……』

百田「ハル……マキ……?」

春川「あ……ぐっ……!」

獄原「ど、どういうこと?わざと下着姿を見せたって、春川さんは言ってたよね?」

白銀「つ、つまり……春川さんは、露出狂ってこと?」

春川「あう……うあぁ……」

茶柱「あ、ありえません……捏造です!こんなもの、インチキに決まって……!」

入間「……ちげえよ」

茶柱「へ……?」

入間「キーボには録音機能はあるけど、その音声を編集する機能は無い……つまり、あれは純粋混じり気無い、春川の声ってことだ。天才の俺様が断言してやるよ」

茶柱「そ、そんな……そんな……!」

王馬「そもそも、春川ちゃんの反応を見ればすぐに分かることだと思うけどね!」

春川「あ、あぁ……うあぁ……あぁぁぁぁぁぁぁっっっ!」ガンッ!

キーボ「……もう分かったでしょう?最原くんの周りで起きていた不可解な出来事、そのうちのいくつかは春川さんによって引き起こされていたんです!」ビシッ!

東条「も、問題があったのは、女子側だったと言うの……!?」

キーボ「今の録音音声を元に、僕は新たな可能性として『女子逆セクハラ』の問題性を提唱します!この事件、真の被害者は女子ではなく……最原くんだったのです!」

全員「な、なんだって~~~~~っ!?」

 学級裁判 中断!

 学級裁判 再開!

赤松「真の被害者は私たちじゃなくて、最原くん……?」

白銀「そ、そんなこと、ありえるの……?」

キーボ「では逆にお聞きしますが、春川さんの一件についてはどちらが悪いとお考えでしょうか?」

白銀「そ、それは……」

星「……間違いなく春川だな」

真宮寺「僕たちは詳しい状況を知らないけど、春川さんが自分から犯行を認めている以上、その事実は覆らないよネ」

王馬「にしし!まさか春川ちゃんが露出狂のド変態女だったなんてね!よかったね入間ちゃん!仲間が増えたよ!」

入間「は、春川、俺様は理解があるから気にすんなよ。これを機に、仲良くしようぜ……!」

春川「ち、違う!わ、わた、私は、そんなんじゃない!そんなんじゃないっ!」バンッ!

入間「ひぃぃぃっ!な、なんだよぉ……そんなに嫌がる必要ないじゃないかよぉ……」

春川「私は露出狂なんかじゃない!変態じゃない!違うんだ……違うんだよっ!」

王馬「……へぇ、それじゃあ春川ちゃんは、自分のことを何だと思ってるの?」

春川「え……!?」

王馬「キーボの録音は捏造じゃない。って事は、春川ちゃんは間違いなく最原ちゃんに下着姿を見せ付けたわけだよね?それを露出狂の変態と言わず、なんて呼ぶのさ?」

春川「あ、あぁ……あうぅ……」

王馬「いい加減認めなよ。君は、暗殺者で!露出狂で!ド変態女で!その事実が明るみになることを恐れて、友達である最原ちゃんを陥れようとした最低最悪の人間だってね!」ドーン!

春川「い、いや……いやぁぁぁぁぁぁぁっ!」

最原「……ちょっと待ってよ王馬くん。みんなも、勘違いをしているよ」

春川「え……?」

赤松「勘違い?最原くん、それって何のこと?」

最原「春川さんが僕に下着姿を見せ付けたのは、そんな重い理由じゃなくってもっと軽い……悪戯みたいなものだったんだよ」

春川「!?」

百田「悪戯……?は、ハルマキが?」

最原「そうだよ。彼女のイメージとかけ離れていたからわかりにくかったかもしれないけど、よく思い出してみて。春川さんの下着姿を見たのは、僕と百田くんだったよね?」

百田「あ、あぁ、そうだな……」

最原「僕と百田くん、二人に共通していることは、春川さんと仲が良いってことさ。多少の悪戯をしかけても笑って済ませられる位にはね……」

天海「……つまりこういうことっすか?春川さんは仲が良い二人にちょっとした悪戯心を抱いて、下着姿を見せると言う行動に出た、と……?」

最原「誰かが傷つく訳でもない。むしろ、僕と百田くんからしてみたらラッキーと思える悪戯だから、彼女は問題が無いと思ったんだよ。実際、春川さんの中では笑って冗談で済ませる予定だったんだろうね」

東条「では、なぜ春川さんはすぐにネタバラシしなかったのかしら?」

最原「それは、僕と百田くんのせいなんだよ」

茶柱「お二人のせい……?まさか、裏で卑劣な脅しを!?」

最原「そうじゃなくて、僕たちが事態を深刻な雰囲気にしてしまったんだよ。可愛い悪戯で終わるはずだった春川さんの行動を、露出狂レベルにまで押し上げてしまうほどにね」

星「……どういうことだ?」

最原「……キーボ君の録音にある通り、僕は彼女の行動に不信感を抱いて春川さんに詰め寄ったんだ。そこでああいう会話になったわけだけど……僕の聞き方が、深刻すぎたんだよ」

赤松「最原くんの聞き方が……?」

最原「まるで犯人に尋問するみたいだったでしょ?僕は、春川さんが悪戯をしているだなんて思わなかったから、本気で彼女に詰め寄ってしまったんだ。その結果、あんな風に深刻な雰囲気の会話になってしまった……」

夜長「確かにこれがアンジーだったら、終一はもっと慌てるなり、大声を出すなりの可愛い反応をしてくれるよね~!」

夢野「んあ~……確かに、春川が悪戯をするとは思えんし、最原が深刻な聞き方をしてしまうのも無理はないのぉ」

最原「……そのせいで、春川さんは自分のやった事を犯罪行為だと思い込んでしまった……僕のせいで、軽い悪戯から露出行為へと脳内で変換されてしまったんだよ!」

春川「さ、最原……!」

白銀「笑って終わるはずだった悪戯が、犯罪行為だと知った春川さんはそのことを言い出しにくくなってしまった……だから、今まで黙っていたって事?」

最原「僕のせいなんだ……僕が、もっと春川さんの気持ちを理解できていれば、こんなことにはならなかったんだよ……!」

赤松「さ、最原くん……」

百田「……顔を上げろよ、終一。悪いのはお前じゃねぇ」

キーボ「そうです!悪いのは全て春川さ……」

百田「悪いのは……この、俺だぁっ!!!」

春川「えっ!?」ガーン!

キーボ「な、何を言っているんです百田くん!?君が悪いことを何時したって言うんですか!?」

百田「……温泉の時だ」

キーボ「は、はぁ?」

真宮寺「クク……なるほどねぇ、言われてみれば、確かに百田くんはずいぶんと残酷なことをしていたねぇ」

獄原「ええっ!?百田くんが!?百田くんはゴン太たちとお風呂に入っていただけだよ!」

天海「……そういうことっすか」

茶柱「な、何を納得しているんでしょうか?転子にはさっぱり……?」

夢野「う、ウチもじゃ……誰か、わかるように説明せんか!」

真宮寺「……二人は、男風呂で僕が話していたことを覚えているかい?」

茶柱「確か……裸を見られても気にしない部族の話でしたっけ?」

夢野「それがどうかしたのか?」

真宮寺「その時、百田君は言ってしまったのサ……『露出狂は気持ち悪い、理解できない』ってネ……!」

百田「………」

真宮寺「その言葉を聞いた春川さんは、自分がやってしまった行為がそこまで嫌悪感を催すものだと初めて知ったんだヨ。そして、更に怯えてしまった……自分がわざと下着姿を見せただなんて知られたら、周りの皆は自分を軽蔑するってネ。そうなんでしョ?」

春川「う、うぅ……」

百田「俺が!俺があんなこと言わなければ!ハルマキはビクビクしないで済んだんだ!情けねぇ……終一もハルマキも悩んでたってのに、俺は何一つとして気がついてやれなかった!それどころかダチを追い詰めることまで言っちまって……俺は、一体二人の何を見ていたんだ!」

春川「最原、百田、もう止めてよ!悪いのは私なんだよ……浅はかな考えで妙なことをしてしまった、私が悪いんだよ!」

最原「違う、違うんだよ……悪いのは全て、この僕なんだ……!」

最原(……分かっていたんだ、春川さんの様子がおかしいことは……。あのトラウマライトを使ったときに感じた違和感の招待はこれだったんだ)

最原(なのに僕は……傷ついていた春川さんを放置してしまった!どこかで彼女の心をケアして、フォローしていればこんな事にはならなかったはずなのに……!)

最原(今の僕にできることは、せめて皆の春川さんへの印象を和らげるだけ……露出狂から、不幸な入れ違いで起こってしまった事故の加害者へと、皆の印象を入れ替えること位なんだ……!)

東条「……もう、この話は止しましょう。事実として、最原くんに春川さんが故意に下着姿を見せ付けた、と言う事がわかれば良いわ」

星「そうだな。それが分かればもう追求の必要はねぇ。三人とも、自分を責めるのは後にしな」

春川「うっ、うぅぅ……」

百田「すまねぇ、終一……悪かった、ハルマキ……」

茶柱「……しかし、転子は納得できません!やはり、最原さんはいやらしい男死だとしか思えません!」

天海「まだ納得できないんですか?」

茶柱「当然です!女子にも問題があることは理解しましたが、最原さんだってそれを見て、いやらしい気持ちを持っていたことはあるはずです!」

星「……それの何が悪いんだ?」

茶柱「え……?」

星「……下着姿の女を見た。柔らかい女の肌を触った。だから欲情した……当然の流れじゃねぇか」

茶柱「なっ、なっ……!?」

星「性欲は人間の三大欲求の一つだ、感じないと言われた方がおかしいくらいだぜ」

茶柱「し、しかし、男死はケダモノで……」

真宮寺「僕も星くんの意見に同意するヨ。加えて、最原くんはとても紳士的な人間だと思うネ」

茶柱「えっ?な、なぜ……?」

真宮寺「君が言ったんじゃないか、最原くんは女子たちとのふれあいの中でいやらしい気持ちを抱いていたってサ……でも、最原くんはその感情に従い、欲望のまま動くことは無かった。理性的に動いていたんだヨ?」

茶柱「あっ……!」

真宮寺「閉塞空間の中、日々の生活の中で溜まっていく発散できない性欲を抑えていた最原くんは、女子たちのスキンシップを経てもその欲求を抑え続けた。腕力の無い夢野さんや赤松さんならば簡単に襲えると言うのに、我慢し続けたんだヨ?これを理性的な行動と言わず、なんと言えば良いのサ?」

茶柱「ぬ……ぬあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」ガーン!

獄原「ゴン太も……最原くんは悪い人じゃないと思う。だって最原くんは、ゴン太の特訓に付き合ってくれたんだよ!こんなに優しい最原くんを変態呼ばわりだなんて、女子の皆は酷すぎるよ!」

白銀「ご、ゴン太くん……!」

王馬「俺も嘘をついちゃったお詫びとして最原ちゃんの肩を持つよ!まぁ、元々最原ちゃんがそんなことをする奴じゃないってのはわかってたんだけどね!」

百田「俺もだ……これ以上、何の罪も無い終一を傷つけさせるわけにはいかねぇ……。俺が!全力で!終一を守るっ!」

キーボ「僕も皆さんと同じ意見です。問題があったのは女子のほうであると意見します!」

天海「……これが男子の総意です。女子の皆さん、何か反論はありますか?」

茶柱「う、うぅ……ぬがぁぁぁぁぁっ!!!」

白銀「……悪いのは、私たちなのかな……?」

茶柱「し、白銀さん!?なにを……?」

入間「……お、俺様は最原を責めるつもりはなかったんだ……元々、俺様が美人過ぎることが悪いとは思ってたしな……」

春川「……私にはもう、何も言う資格は無いよ」

茶柱「お、お二人まで!いけません、これこそが男死の巧妙な洗脳で……」

東条「……ここまでよ、茶柱さん」

夢野「お主もわかっておるんじゃろう?」

夜長「んとね~、終一は悪く無いって、神様も言ってるよ~!」

茶柱「う、うぅ……」

赤松「……男子の皆……お願いがあるんだ……」

最原「!?」

赤松「もうほとんど答えは出掛かってるけど、ちゃんと突きつけて欲しいんだよ。私たちの意見のどこが間違ってるのかをさ……だから、お願いね、皆……」

最原「……分かった。それじゃあ、始めようか」

モノクマ「はいは~い!変形裁判場、開廷!」ポチッ!

 議論スクラム 開始! 議題 最原終一は変態か否か?

白銀「最原くんは、私たちのことを『いやらしい目』で見てたの?」





最原「皆可愛い女の子だとは思うけど、『いやらしい目』で見たことなんて無いよ!」 Break!

夢野「『最原だけ』がこんな目に遭うなんて、おかしいと思うがのぉ」





星「不可解な目に遭ったのは『最原だけ』じゃねぇ、俺や天海、百田もだ」Break!


夜長「こんなに連続で『偶然』って起きるものなのかな~?」





天海「『偶然』じゃなくて必然だった……キーボくんの録音を聞けば、そう判断できるはずっす!」Break!

入間「俺様の下着姿を覗いてたっていう『証言』があるぜ!」





王馬「だからその『証言』は俺の嘘なんだって!」Break!


東条「最原くんには何も『問題』は無かった……そういうことかしら?」





キーボ「むしろ『問題』があったのは女子であると定義します!」Break!

春川「………自分の『罪』は認めるよ」






百田「……終一はその『罪』のことを黙っててくれた。それが、終一の優しさを表してるよな?」Break!


茶柱「男死は皆『ケダモノ』で、変態です!」






真宮寺「『ケダモノ』であるはずの最原くんは誰も襲っていない……これ、明らかに君の意見と矛盾してるよネ?」Break!

赤松「最原くん……君の事、『信じて』も良いの?」





獄原「最原くんは良い人だよ!『信じて』あげようよ!」Break!


 結論 最原終一は変態ではない!

男子「これが僕(俺)たちの結論だ!」

 ALL Break!

天海「……決着、っすね」

百田「もう、反論は無いはずだぜ」

王馬「とても悲しくてつらい事件だったね……とでも言っておこうか!」

キーボ「王馬くんはもう少し場の空気を読んで下さい!」

真宮寺「君に言われちゃおしまいだと思うけどネ……」

茶柱「……まだ、です」

獄原「えっ!?ま、まだやるの!?」

星「おいおい……流石にそれは悪手だろう?」

茶柱「だとしても!転子は女子の皆さんをクロにするわけにはいかないのです!最原さん!お覚悟を!」

最原「くっ……!」

最原(きっとこれが最後だ、茶柱さんを説得できればこの裁判は終わる!僕に味方してくれた男子の皆のためにも、負けるわけにはいかないんだ!)

 理論武装 開始!

茶柱「覗き、ボディタッチ、パンチラ……最原さんに怪しい点が多々あるのは間違いありません!」

茶柱「これは、男死が徒党を組んで、女子に罪をなすりつけようとしているのです!」

茶柱「転子は負けません!女子の皆さんのためにも!」

最原「女子の皆に問題があったことは確かだよ!それを捏造した覚えは、僕たち男子には無い!」Break!

茶柱「ぬぅぅぅぅぅっ……!」

茶柱「だとしても!下着姿や半裸の姿を見られた上で加害者になるなんて到底納得できません!」

茶柱「最原さんは得をして、転子たちは損をしているじゃないですか!」

茶柱「やっぱり加害者は男死の最原さんです!女子は被害者なんですよ!」

最原「なら、僕だって見ようと思ったわけじゃないものを見たり、触ろうと思ったわけじゃないものを触っただけで加害者になるだなんて納得できないよ!それはどっちも同じでしょ!?」Break!

茶柱「うぐ……っ、こ、こしゃくなぁ……!」

茶柱「なら、最原さんは何が悪かったと言うつもりですか!?」

茶柱「男子も女子も悪気は無かった!犯人なんて居ないとでも仰るつもりですか!?」

茶柱「そんなの学級裁判の意味がありません!クロを見つけださなければならないんです!」

茶柱「中途半端は転子が許しません!きぇぇぇぇぇぇっ!」

最原「……なら、証明するよ。何が悪かったのかを……!」

茶柱「そこまで言うのならお答えください!この事件が起きた原因、それは何なんですか!?」

 △の □女子 ○自覚 ×無

     ↓

   女子の無自覚

最原「これが僕の答えだ!」『女子の無自覚!』

茶柱「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!???」

 Break!

最原「……無自覚すぎるんだよ。女子の皆は……自分たちが魅力的な女の子だって事に自覚が無さ過ぎるんだよ!」

入間「俺様は自覚があるぜ!なんてったって美人過ぎる天才発明家……」

白銀「入間さん、今、そういう話をする空気じゃないから」

王馬「変態糞女は空気も読めないんだね。これならキーボのほうがましだよ」

入間「うぅ……鉄くず以下って言われたぁ……」

キーボ「今の発言もきっちり記録してますからね!」

百田「終一、ここらできっちりトドメと行こうぜ!」

天海「最原くん、君の手で自分にかけられた容疑を晴らすっす!」

最原「うん……分かったよ!」

 クライマックス推理!

最原「……僕の周りで起きた出来事は、確かに僕が怪しく見えるものばかりだった。でも、それが起きたことにはちゃんと理由があったんだ」

最原「それは、犯人の皆が無自覚すぎたこと……自分たちの魅力に気づかず、僕たちを振り回し続けていたんだ!」

最原「積極的にボディタッチをする者、下着姿を見せ付けてくる者、部屋に侵入してくる者……閉塞空間の中で可愛い女の子たちにこんなことをされて、意識しない男なんて居ないよ!」

最原「でも、皆は自分のやっていることがどれだけ危険か気がつかなかった……自分の口から別の誰かに告げて判断して貰うことで、初めてそれが危ない事だって気がついたんだ!」

最原「確かに僕も悪い点があるのかもしれない……けど、男風呂を嬉々として覗く人たちに、問題が無いとは言えないよね!?」

最原「この事件の真の犯人……それは、あまりにも自覚が無さ過ぎた女子たち全員なんだよ!」

           FINISH! 

赤松「問題があったのは、最原くんじゃなくて私たち女子の方だったんだね……」

天海「……思い当たる点が無い訳では無いっすよね?」

夢野「う、ウチは……ウチは、なんて事をしてしまったんじゃ……!」

茶柱「ゆ、夢野さん……」

夢野「最原は、玄関のど真ん中で眠ろうとしていたウチを安全な場所まで運んでくれた!あのままだったら、誰かに踏みつけられて怪我をしていたかもしれないし、もしかしたら連れ去られて監禁され……いや、殺されていた可能性だってあったんじゃ!」

夢野「ウチの買い物にだって付き合ってくれた!パンツだなんて恥ずかしいものを選ぶときも、親切に答えてくれたんじゃ!」

夢野「なのに……なのにウチは、そんな最原を疑ってしまった……ウチに優しくしてくれた最原を信じてやれなかった!ウチは自分が恥ずかしい!」

白銀「……私もそうだよ……コスプレの写真は自分から撮って欲しいって頼んだのに、それを忘れて騒ぐしさ……そもそも、ハプニングの原因だって私のミスなのに……」

白銀「温泉での一件もそうだよ。あんな剣幕の茶柱さんに追いかけられたら全力で逃げるよね……。最原くんは悪くないよ……地味にじゃ無くて、徹底的に悪いのは、私たちだったんだよ!」

東条「……騒ぎのせいで倒れた看板に気がつかずに男風呂に入った最原くんを私は疑ってしまった……。事情もちゃんと聞かず、確認もしないまま一方的に決め付けてしまった。これじゃあ、メイド失格ね……」
 

入間「お、俺様は自分の魅力に気がついていたぜ……!で、でも、ちょっと注意が足りなかったのは認めるかな……」

春川「私は、私は……最原を責めることなんて出来る立場じゃ無かったんだよ!でも、自分のしたことがバレる事が怖くて、それで……っ!」

夜長「アンジーも自分から終一と仲良くしてたしね~!神様もちょっと反省しなきゃ駄目だって言ってるよ~!」

茶柱「違います!悪いのは転子です!み、皆さんの話も聞かずに先走って、最原さんだけでなくこの場に居る全員に迷惑をかけてしまいました!悪いのは全部、転子なんですよぉぉっ!」

赤松「……誰が悪いわけじゃないよ。私たち皆が不注意過ぎて、それで……最原くんのことを信じられなかったことが問題だったんだよ……だから、皆で罰を受けよう?ね?」

最原「あ、赤松さん……」

赤松「……ごめんね、最原くん。君に酷い事言っちゃって……君のこと、信じてあげられなくって、ごめんね……っ!」ポロポロ…

モノクマ「あ?そろそろ結論は出た?それじゃあ、行ってみましょう!ドッキドキの投票ターイム!」

最原(……その後、僕たちは話し合って投票相手を決めた。女子たちは自分に1票、男子はそれぞれ相手を決めて1票ずつ投票し、女子たち全員が2票で並ぶ様に投票したのだ)

最原(結果……この学級裁判のクロは、女子たち全員と言う結果に決まったのであった……)

モノクマ「うぷぷ……投票の結果、この裁判のクロは女子たち全員となりました~!意気揚々と最原くんを訴えに来たのにこんな結末を迎えるなんてね~!今どんな気持ち?ねぇねぇ、今どんな気持ち!?」

茶柱「くっ……!」プルプル…

最原「止めろモノクマ!そんなことを言う必要なんてないだろ!」

モノクマ「はいはい……最原くんは良い子ちゃんだね~……」ブーブー…

王馬「……ねぇ、モノクマ。学級裁判でクロになったって事は、女子の皆にはおしおきが待ってるってことだよね?もしかして……皆、殺されちゃうの?」

女子「!?」

最原「そ、そんなの駄目だ……!絶対に、そんなことは許さないぞ!」

獄原「最原くんの言う通りだよ!紳士は女の子を守るもの……!たとえ負けると分かっていたって、ゴン太は皆を守るために戦う!」グッ!

百田「俺もだぜ!せっかくここまで生き抜いたんだ、誰一人として死なせるもんかよ!」

夢野「む、無茶じゃ!エグイサルに勝てるわけが無い!皆、殺されてしまうぞ!」

茶柱「お願いですモノクマ!おしおきは転子だけにして下さい!元はと言えばこの騒ぎは転子が原因です!どうか転子一人の命でこの場を収めてください!」

東条「いいえ、私には皆の命を守る義務があるわ。おしおきをするなら私にしなさい!」

モノクマ「……あのさぁ、何か勘違いしてない?ボクは誰も処刑する気はないんだけど?」

全員「え……?」

モノクマ「こ~んなくだらないことで8人も死なせたりなんかしたらとんでもないクレームの嵐が来るに決まってるじゃん!!おしおきはするけど、命には関わらないものにします!」

赤松「そ、それ……本、当……?」

モノクマ「嘘はつきません!むしろここで女子の皆を死なせたら残るのはむさい男8人だけだよ?そんなの一部の人しか望んでないって!」

最原「よ、よかったぁ……」

モノクマ「ま、今日の所は部屋に帰りなよ。おしおきの内容は後で教えるからさ……うぷぷぷぷ……!」

―――夜時間 寄宿舎 最原の私室

最原「……今日は色々あったけど、とりあえず無事に終わって良かった。気になるのはおしおきの内容だけど、こればっかりはどうしようもないよな……」

最原「夜も遅いし、寝ようかな?学級裁判もあって、疲れてるし……」

―――ピンポンパンポーン!

最原「……アナウンス?夜時間の放送は終わったはずだぞ?」

モノクマ『やっほー!皆、起きてるかーい?』

最原「も、モノクマ!?」

モノクマ『夜遅くに悪いけど、女子のみんなに行うおしおきを発表するよ!……と言っても、女子の皆は既に感づいているんじゃないかな?』

モノクマ『おしおきの詳しい内容はモノパッドにメールで送っておくから、男子の皆も目を通しておいてね!女子の皆は、ルールを破らないように!違反したら……分かってるよね?』ギロッ!

モノクマ『それじゃあ気になるおしおきの発表に行きましょう!今回は超高校級の才能を持つ女子の皆さんの為に、スペシャルなおしおきを用意しました!』

モノクマ『張り切っていってみましょう!おしおきターーイム!』ピコッ!

 超高校級の皆さんがクロに決まりました。本日よりおしおきを開始します。

 おしおき名 『ノーパン・ノーブラ地獄』

モノクマ「……明日からの毎日が刺激的になるね!うぷぷ……うぷぷぷぷぷぷ!」

 ノーパン・ノーブラ地獄のルール

 1、これより所定の期間、女子たちはブラジャーやパンツと言った肌着の着用を禁ずる

 2、この間、男子女子問わず服の交換は禁止とする

 3、このおしおきが終了するまで、女子たちは普段どおりの格好をすること(ズボンの着用や今まで履いていたスカートを長くする等の行為の禁止)

 4、この期間中、女子たちのパンツとブラジャーはモノクマが預かる事にし、購買での購入も禁止する

 5、あくまで着用を禁じるのは下着であり、通常のスカートやシャツはもちろんのこと、帽子や手袋などは着用してもよい

 6、上記のルールを違反した生徒が居た場合、即刻おしおきを「強制全裸生活(一生)」に変更し、今後才囚学園内での女子全体の衣服の着用を無期限で禁止することとする

―――翌日 食堂

百田「……これ、マジなのかよ?」

天海「大マジでしょうね……」

星「モノクマの奴、ずいぶんと悪趣味な真似をしてくれるじゃねぇか」

キーボ「しかし、命の危険がない上に大怪我をする可能性も低いと言う点では良かったのでは無いでしょうか?」

真宮寺「そう簡単に結論は出せないけどネ。でも、キーボ君の意見にも頷けるヨ」

王馬「にしし……!早く女子の皆が来ないかな~?期間中はスカートめくりやパイタッチを積極的にするぞ~!」

獄原「王馬くん!そんなの駄目だよ!女子たちが可哀想だよ!」

最原「これ、なんだかんだで僕たちも気を使うおしおきだよね……」

―――キィィ……

赤松「あはは……お、おはよう……!」

最原「あ……!」ゴクリ!

入間「あうぅ……見るんじゃねぇ!見ないでくれよぉぉ……っ」モジモジ

茶柱「め、目線がいやらしいですよ、男死!」プルプル

白銀「こ、これ、地味に恥ずかしいよ……!」カァァ…

春川「………」

最原(じょ、女子の皆……いつも通りの服装だけど、でも、あの下は……!)ゴクッ!

夢野「おはよう最原、昨日は悪いことをしたの」

最原「夢野さん、そのえっと……」

東条「……気持ちはわかるけど落ち着いて、私と夢野さんは比較的安全な格好だから、見られても問題ないわ」

キーボ「確かにその通りですね。お二人は長めのスカートを履き、上もきっちりと着込んだ服装でしたから、あまり問題はなさそうですね」

夢野「じゃが、ウチら以外の女子は大変じゃのぉ……」

白銀「うぅぅ……なんで私、上をシャツだけにしてたのかなぁ?もう一枚着ておけばよかったよ……」

王馬「……白銀ちゃん。胸の天辺に可愛いぽっちが浮き出てるよ」

白銀「え……?ええっ!?」

王馬「あはは!嘘だよ!そんなに慌てちゃって、白銀ちゃんってば可愛いんだから!」

白銀「王馬くん、本気でやめてよ!心臓が止まるかと思ったじゃない!」

入間「お、お前は良いじゃねぇかよ……一応、胸元もちゃんと隠せて、下も安心なんだからよ……」

茶柱「て、転子たちは、転子たちはぁぁっ!」

赤松「うぅ……す、スカートの中がいつも以上にスースーするよぉ……」

王馬「そっかぁ……みんなノーパンだから、ちょっとでも風が吹いたら大事な所が丸見えになっちゃうんだね!」

赤松「う、うん……」

王馬「……本当にスカートの下に何も履いてないの?ちょっと見せてみてよ、春川ちゃん!」

春川「……はぁ?」

王馬「露出狂の春川ちゃんなら大喜びで見せてくれるでしょう?むしろおしおきじゃなくてご褒美……ぐえっ!?」ダンッ!

春川「……殺されたいの?」ギロッ!

王馬「う……ぐ……じょ、ジョークだよ……ごめんって……!」

夢野「王馬よ、みんな羞恥心で余裕が無いんじゃ、あんまりからかうでない」

東条「まったく……何時までこのおしおきは続くのかしら?」

天海「……ところで皆さん、気がついていますか?」

百田「あ?気がつくって何にだよ?」

天海「……どうあがいたって絶望的な人が居るってことにっすよ」

百田「はぁ……?」

最原「アンジーさんのことだね?」

天海「……その通りっす」

百田「アンジーのこと……?……あ、確かにやばい!」

星「普段通りの薄着で、単純に下着が無しだとすると……」

真宮寺「……もうほとんど痴女だネ」

獄原「まだ来てないけど、もしかしたらアンジーさん、恥ずかしくってここに来られないのかも……?」

夜長「おっは~!みんな早いね~!」バーン!

全員「!?」

天海「あ、アンジーさん……?」

百田「お前、その格好……!?」

茶柱「な、何を考えているんですか?」

夜長「え~?何か問題あるの~?」

茶柱「ありますよ!急いで着替えて下さい!」

夜長「にゃはははは~!転子は慌てんぼさんだね~、もう少しゆっくりした方が良いよ~!」

茶柱「ゆっくりなんてしていられません!だって……その格好をモノクマが見たら!」

最原「アンジーさん!いつも通りの服装をしていたら、ルール違反で皆巻き添えになっちゃうんだよ!?なんでそんな格好で来たのさ!?」

赤松「も、もしかして、おしおきのルールを見てないの?」

夜長「うんにゃ、ちゃ~んと見たよ~」

入間「なら早く下着を脱げよぉ!お前のせいで全員全裸に剥かれちまうだろぉっ!」

夜長「え?問題ないよ。アンジーはルール違反なんかしてないよ?」

最原「え……?」

夜長「確かに下着は着ちゃいけないって書いてあったけど、水着を着ちゃいけないとはどこにも書かれてなかったのね~?だから、アンジーのこの格好は問題ないのだ~!」

最原「え、ええっ!?」

夜長「その証拠に水着なら購買で売ってくれたよ~!う~ん、神ったとんちだね~!」

赤松「み、水着ならOK……?そんなのありなの?」

モノクマ「ありなわけないでしょ!無しです、なーし!」ピョイン!

入間「で、でたぁっ!」ビクゥ!

モノクマ「まさか初日の朝から違反者が出るなんてねぇ……!これは、もう情け無用かな?」ギロッ!

入間「ひぃぃっ!やだ、全裸生活はやだよぉ!常に羞恥プレイだなんて露出の意味が無いじゃねぇか!」

茶柱「アンジーさん!急いで水着を脱いでください!」

夜長「え~!でも、アンジーはルール違反はしてないよ?悪いのは、ルールに水着のことを書き忘れたモノクマだよね~?」

白銀「アンジーさんはもう黙ってよ!露出多めのコスプレは我慢できても、全裸は無理だって!」

モノクマ「……ふむ、ちょっと待てよ……!」

赤松「……あ、あれ?」

モノクマ「確かにボクのミスっちゃミスだし……ここをこうすればもっと面白く……」

星「……なんだかいやな予感がするな」

キーボ「僕も同意します」

モノクマ「よし、決めた!アンジーさんの言葉通り、水着の着用は可とします!」

女子「えっ?え~~~っ!?」

百田「や、やったじゃねえか!これで心配が無くなったぞ!」

夜長「良かったね~!みんなアンジーと神様のおかげだよ~!」

真宮寺「……安心するのはまだ早いんじゃないかな?」

東条「そうよ……。こんなに上手い話があるわけがないわ」

モノクマ「うぷぷ……その通り、世の中そう上手くはできていませーん!なので、ボクは水着に関する新ルールを追加しまーす!」

モノクマ「7、水着を着用する場合は、靴以外の衣類を着用することを禁じる……これでどうだい?」

入間「ぐふっ!や、やっぱこうなんのかよぉ!?」

星「……なるほど、大部分を隠して一番大事な部分を手薄にするか?はたまた大事な部分を隠して他の防御を諦めるか?ってことか」

天海「ある意味では究極の選択っすね」

モノクマ「そういうこと!……というわけでアンジーさん、水着を着る以上はスカートと上着を脱いでね!」

夜長「ほいほ~い!わかったよ~!」ポイポーイ!

白銀「ちゅ、躊躇無く……!」

キーボ「……アンジーさんのほうが、春川さんよりも露出狂なのではないでしょうか?」

春川「……キーボ、あんたスクラップにされたいの?」

キーボ「ひぃぃ!なぜか僕だけのバリエーションが生まれてるっ!?」

東条「それよりも、これは困った問題ね」

夢野「ウチや東条はともかく、他の皆がどっちを選ぶかは悩み所じゃのぉ」

モノクマ「ま、しっかり悩んでよ!とりあえずボクは君たちに伝えなきゃならないことを伝えるだけだしさ」

最原「伝えなきゃならないこと……?」

モノクマ「今日から女子の皆さんには一日一人代表を選んでいただき、その人にお仕事をやってもらうよ!その際、最低一人の男子を手伝いにつけてね!」

モノクマ「8人全員がお仕事を終えたらおしおきはお終い!下着を着ても良い生活に戻れるよ!」

夢野「なにっ!?それは本当か!?」

赤松「ということは、最短で8日でパンツが履ける様になるんだね!」

白銀「それでも一週間以上はノーパンノーブラなんだけどね……」

夜長「……じゃあじゃあ、最初はアンジーがお仕事するよ~!皆は水着を着るか、制服を着るかを悩めば良いんじゃないかな~?」

春川「……そうだね。アンジーは結論が出てるみたいだし、トップバッターを任せても良いんじゃない?」

夜長「決まりだね~!それじゃあ終一、お手伝いよろしくね~!」

最原「え、ええっ!?ぼ、僕っ!?」

夜長「にゃははは~!終一は変なこと言うね~!ここには終一以外にしゅういちって名前の人は居ないよ~?」

最原「そ、それはそうだけどさ……」

モノクマ「良し良し、それじゃあ初日のお仕事は最原くんとアンジーさんに任せようかな!あ、お仕事が終わった際にはささやかながらご褒美を用意してあるから期待してね!」

夜長「お~!太っ腹だね~!楽しみにしておくよ!」

最原(うぅ……アンジーさんとかぁ……この間の一件から、どうしても苦手意識があるんだよなぁ……)

モノクマ「……それじゃあ早速発表しましょう!お二人にやってもらうお仕事は……!」

―――数時間後 温泉

最原「……ふふふふふ。ははははは!」

最原(やった!天は僕に味方したぞ!まさか仕事内容が温泉の掃除だなんて!)

最原(男風呂と女風呂に分かれて掃除したから、実質アンジーさんとはばらばらで仕事をこなせた!掃除も終わって、特に問題も起きていない!やった!考えてみれば、今日は天海くんの才能を使って貰ってなかったから当然じゃないか!)

最原「あ~、良かった!しかも仕事のご褒美で掃除が終わった後の一番風呂を独占できるなんて、モノクマも粋なことをするなぁ!」

夜長「ほんとだね~!良いお湯だよ~!」

最原「そうそう、これで掃除の疲れも吹き飛ぶ……って、ええっ!?」

夜長「やっはー!終一、きちゃった!」テヘペロ!

最原「あ、あ、あ、アンジーさん!?こ、ここ、男風呂だよ!?」

夜長「知ってるよ~!終一とお風呂に入るために来たんだもん!」

最原「あばーーっ!?」

最原(ま、まずい!アンジーさんの行動力をなめていた!お互いに裸で、二人っきりで、逃げ場もないこの状況は、非常にまずい!)

夜長「……ふふふ、終一、どうしたのかな~?」ピトッ…

最原「うあっ……!?」

―――以下 最原の回想

「終一、顔が真っ赤だね~。のぼせちゃったかな?」

 僕の真後ろから聞こえるアンジーさんの声。小悪魔の様な可愛い囁きを聞きながら、僕は体を強張らせていた。

 ぴったりと僕に張り付き、背中に自分の胸を押し当てるアンジーさん。そんなことをすれば当然、僕の背中には柔らかい感触が与えられるわけで……

「……んふふ♡ どうしたのかな~?終一~?」

 楽しそうなアンジーさんの声を聞いて僕は確信する。彼女はわざとこれをやっているのだと……

 僕を抱きしめて放さない両腕の力は段々と強くなっていくばかりだ。そうなると、何一つ隔てる物の無い僕たちの距離は更に縮まっていく。

 背中に感じるのは素のアンジーさんの柔らかさとその頂点にあるほんの少しの硬さ……それがなんであるかを想像した僕の心臓は一気に鼓動の速さを増していった。

「……ねぇ終一、一つクイズをしようよ」

 唐突にアンジーさんがそう言って来た。彼女の胸の柔らかさを頭の中から追い出しながら、僕はその言葉を聞き続ける。

「問題です……アンジーの胸のサイズは、いくつだ?」

「ぶっ!?」

「んふふ~♡ もし正解したら、とっても素敵なものをプレゼントしちゃうよ~!」

 僕の肩に頭を乗せながらニコニコと笑うアンジーさん。その表情には悪意や不純さはまるで無く、本当に楽しそうに見える。

 こんな事をするから逆セクハラだと言われるのに彼女はまるでわかっていない。頭を抱えたくなりそうだ。

「……ここで終一にヒントです!アンジーは、おっぱいのサイズを72cmって言ってるよ~!」

「えっ!?そ、それって、答えじゃないの?」

 いきなり答えを告げてきたアンジーさんに面食らって叫んでしまった。これじゃあ、クイズの意味が無いではないか。

 でも、アンジーさんはそんなことには目もくれず僕の耳元に唇を寄せてきた。可愛い口が少しだけ開き、僕の耳たぶを挟む。

「はむっ……♡」

「あっ……!」

 ふにゅふにゅと動くアンジーさんの唇、胸の柔らかさと同時に感じるその感触に、僕の興奮も高まっていく。

 やがてアンジーさんは十分に楽しんだのか、僕の耳たぶを口から放す。その際、甘く可愛い声で小さく囁いてきた。 

「……終一。本当にアンジーのおっぱいはそれだけの大きさしかないと思う?」

「えっ……?ぅぁっ……!?」

 その言葉と同時にアンジーさんが胸を思いっきり背中に押し付けてきた。グリグリと押し付けられる彼女の柔らかい部分に意識を持っていかれそうになる。

「終一、アンジーのお胸はそんなに小さいのかな~?終一は、どう思うのかな~?」

 クスクスと楽しそうに笑うアンジーさんと比べ、僕は顔を真っ赤にして耐えることでいっぱいいっぱいだった。でも、同時にこんなことも考えてしまう。

(そんなに小さいとは思えないな……)

 これまでに何度か女の子の胸に触れる機会はあった。皆のバストサイズを知っているわけでは無いが、アンジーさんの胸がそれより小さいとは思えない。

 少なくとも白銀さんとか東条さんと同じくらいの大きさはありそうだ……そう考えた僕のことなんてお見通しだと言う様に、アンジーさんは囁き続ける。

「ねぇ、終一。もしもアンジーがお胸のサイズを嘘ついてたりしたら……それって、イケナイことだよね~?」

「終一は探偵さんなんだから、嘘は許しちゃいけないよね~?だったらさ……ちゃ~んと、アンジーのおっぱいを調べなきゃいけないよね?」

 ゆっくりと、アンジーさんの体が僕の背中から離れる。さっきより距離は離れたはずなのに、アンジーさんの声は先ほどよりも大きな声で僕の耳に届いた。

「……こっち見て、終一。アンジーのお胸を見て、触って、しっかり調べてみようよ……!アンジーの嘘、許しちゃいけないよね?」

 とても甘くて、淫らで、恍惚としたその声……僕には、その声がとてつもなく恐ろしく聞こえた。

 振り返ったら最後、もう二度と逃げられない気がする……蝶が蜘蛛の巣に絡まってしまう様に、どうしようも無い状況に追い込まれてしまう気がする。

 でも、それ以上に恐いのは、そのことがわかっていながら振り返りたくなってしまうことだった。

「遠慮しないで、終一。アンジーは他の女の子みたいに、終一に見るな、とか触るな、なんて言わないよ?」

「見てよ、触ってよ……!終一は何にも悪く無いし、悪いと思わなくても良いんだよ?ねぇ、終一、アンジーのこと、ちゃんと見て……?」

 耳にじゃない。頭にでもない。心の奥底に響いてくるようなアンジーさんの声に必死に抗い続ける。

 この日、貸切の時間が終わるまで必死に耐えた僕が我に返った時、アンジーさんはすでに男風呂から消えていたのであった。

―――回想終了

―――翌朝 食堂

最原「き、昨日は危なかった……!アンジーさんには気をつけないと……!」

王馬「おっはよ~、最原ちゃん!なんか疲れてるね~?」

最原「ああ、おはよう王馬くん……あれ、何持ってるの?」

王馬「これ?倉庫から取ってきたデジカメだよ!新しい玩具が欲しいから、入間ちゃんに改造して貰おうと思ってさ!」

最原「はぁ……?」

王馬「そんなことより最原ちゃん!実は昨日、最原ちゃんが居ない間に男子で話し合いをしてね。これから女子との作業は最原ちゃんに任せようってことになったんだ!」

最原「え、ええっ!?な、なんでっ!?」

王馬「まあ、女子の皆も最原ちゃんに言いたいことがあるだろうし、それなら全員最原ちゃんに任せちゃおうってことになってね!女子の皆も同意したし、問題はなにもないって!」

最原「そ、そんなぁ……」

王馬「んじゃ、そういうことで頑張ってね!バイバ~イ!」スタタ…

最原「くっ……ここからがラッキースケベの本番ってことか……!女子たち全員とほぼ一日一緒だなんて絶望的すぎる……」

白銀「あ、いたいた!うぉ~い、最原く~ん!」

最原「し、白銀さん!?もしかして、今日のお相手は……?」

白銀「想像通り私だよ!というわけでよろしくね!」

最原「あ、うん……」

最原(ま、まぁ、白銀さんは比較的常識人だし、安心して良い部類の人に入るでしょ……)

白銀「最原くん、地味に安心して良いよ!何を隠そう、今日の私には秘密兵器があるんだからね!」

最原「秘密兵器?なんのこと?」

白銀「ふっふっふ……これだよ!」バサッ!

最原「えっと……スクール水着?」

白銀「その通りだよ!これなら体の大部分を隠せるし、防御力も地味に高いもん!」

最原「いや、防御力はどうだろう……?」

白銀「これを見つけた自分を褒めて上げたいね!ほかの皆も買ってたし、最原くんはこれから毎日スク水天国を見れるね!」

最原「いや、別に嬉しくないんだけど……」

白銀「さて、ドヤ顔Wピースはここまでにしてお仕事を始めようか?今日はプールの掃除みたいだよ」

最原「プール掃除か……地味に大変だけど、頑張ろう!」

白銀「あっ……わ、私の決め台詞が……!」ショボン…

―――プール

最原「……遅いな、白銀さん。僕も水着に着替えてから来たけど、もう大分待ってるぞ?」

最原(何かあったのかな?更衣室に様子を見に行っても良いけど、それはそれで何か起きそうだし……)

白銀「さ、最原く~ん……」

最原「あ、白銀さん!良かった、何かあったのかと……ん!?」

白銀「はうぅ……」

最原「し、白銀さん?なんか、水着が小さくない?」

白銀「や、やられたよ最原くん……この水着、ワンサイズ小さいものだったんだよ……!」

最原「え、えぇぇ……!?」

白銀「うぅ……サイズはぴったりだって言われたのに……試着をしないで購入したことが仇になったよ……!」

最原「う、うわぁ……!」

最原(さ、サイズが小さいせいで白銀さんの色んな所がギリギリだ!胸の谷間も見えてるし、お尻も少しはみ出してる……っ!)

最原「と、とにかく、一度制服に着替えてきたら?今の格好を見るに、そっちの方が安心できそうだし……」

白銀「うぅ……そうしたいところなんだけど、更衣室に鍵をかけられちゃってさ……中に入れないんだよ……」

最原「ええっ!?つ、つまり、その格好で掃除を終えるまで着替えられないってこと?」

白銀「そ、そうなるね……」

最原「………」

白銀「………」

最原「……掃除、始めようか?」

白銀「うん……私、デッキブラシ持って来るね」

最原「うん、よろしくね……」

白銀「……早く終わらせようね」

―――以下 最原の回想

 デッキブラシでシャカシャカとプールの底を擦る僕と白銀さん。そうやって真面目に仕事をしていても、やっぱり気になることはあるもので……

(うっわぁ……)

 前かがみになって掃除をする白銀さんの胸の谷間に視線が吸い寄せられる。もともと大きな彼女の胸は、サイズの小さい水着を着ていることも相まって更に主張を激しくしていた。

 パツパツの紺色の布地、そこから見える形の良く大きな胸の谷間に息を飲み込む。顔を赤くして固まっている僕は、白銀さんからの抗議する様な視線に気がつかなかった。

「最原く~ん……何を見てるのかな~?」

「えっ!?あっ!?」

「もう、結構恥ずかしいんだからあんまり見ないでよね!」

 頬をぷくっと膨らませて僕に注意をした後、白銀さんは胸を隠すためなのか反転して僕に背中を向けて掃除を再開した。

 そんな彼女の言葉を受けた僕は今度こそ真面目に掃除を……するわけもなく、今度は白銀さんのお尻に注目し始めてしまっていた。

 すらりと伸びた脚、その付け根に位置する部分にある丸い部分は水着に完全に隠されてはおらず、側面から軽くはみ出してしまっていた。

 デッキブラシで掃除をしているため前屈みの姿勢になっている白銀さんは、僕に向けてお尻を突き出す様な格好になっており、それがまた彼女のプロポーションを引き出すことに一役買っていた。

「んしょ……よいしょ……っと」

 腕に力を込めて動かす度に、一歩、また一歩と足を前に進める度に、白銀さんの綺麗なお尻がぷるりと揺れる。地味に大きい彼女の臀部が、その柔らかさをありありと主張している……

「わわっ!?」

 ぼーっ、と白銀さんのお尻を見つめていた僕だったが、突如響いた彼女の叫び声に我に返る。目の前では足を滑らせた白銀さんがプールの底にしりもちをついていた。

「あいたたた……お尻、思いっきりぶつけちゃったよ~……」

「だ、大丈夫!?」

「うぅ……地味に痛いなぁ。最原くん、私のお尻赤くなってない?」

 白銀さんがお尻を擦りながら僕の方を振り向き、腰を軽く突き出す。僕は、その光景に一瞬ドキッとしてしまった。

 ほんの少し赤くなったお尻、水着からはみ出している尻肉と、水に濡れて締め付けが強まった水着に圧迫されて形がありありと浮き上がる臀部。そこにやや涙目の白銀さんの表情が加われば、威力は絶大だった。

 もう、はっきり言ってしまおう。エロい。水着姿の可愛い女の子が自分から腰を突き出している姿に興奮しない男がどこに居るだろうか?

 アンジーさんの積極的なものとは違う受動的なエロス、白銀さんの雰囲気とマッチするそれに軽く酔いしれる。

(い、いけない……落ち着かなきゃ……!)

 努めて冷静に振舞おうとする僕は視線を横に逸らすと軽く咳払いをする。そして、顔を赤くしながら白銀さんに言った。

「……そう言うところが無自覚だって言ってるんだけどな」

「えっ……?あっ、ご、ごめんね!」
 
 やっと自分がしている行動が危ないと気がついた白銀さんが僕に向けて頭を下げる。そうすると、少しだけ胸の谷間が見えてしまって興奮がぶり返してきた。

「ちょ、ちょっと休んでて良いよ!その間は僕が頑張るからさ!」

「え……?で、でも……」

「良いから!座ってて、ね?」

「う、うん……最原くんがそこまで言うなら……」

 訝しげな白銀さんをプールサイドに座らせて休ませた僕は、興奮してしまったことを彼女に隠すために必死になって前屈みになりながらプール掃除を続けたのであった。

―――回想終了

―――またまた翌日 食堂

最原「………」ゲッソリ…

王馬「うわ~!最原ちゃん顔が疲れ切ってるね!なんかあったの?」

最原「気にしないでよ……。それより王馬くん、入間さんにカメラの改造はしてもらったの?」

王馬「うん!これだよ!これで新しい玩具が手に入るね!」

最原「あはは、そうだね……ん?」

王馬「あ、そうだ!モノクマが今日のお仕事は裏庭の小屋で行うって言ってたよ!最原ちゃん、ガンバ!」ピュー!

最原「あ!ちょっと……!行っちゃった。仕方がない、僕も裏庭に行くか……」スタスタ…

―――裏庭 小屋の中

春川「……おはよ、最原」

最原「今日は春川さんと一緒か、春川さんは普通の制服なんだね」

春川「下着はつけてないけどね。……改めて、この間は悪かったよ。あと、庇ってくれてありがとう」

最原「あ、いや。そんなに気にしなくて良いよ。僕も疑われる様なことをしたのが悪かったわけだし……」

最原(……そうだ。あの裁判の結果、春川さんに露出の気があることが皆にバレてしまったんだ……何とかフォローはしたけど、疑いの目は向けられたままだな……)

春川「……百田とか茶柱みたいな単純な奴はともかく、王馬や東条は私のことを疑っているのは間違いないよ」

最原「……あの、さ……春川さんは、その……」

春川「……もう、しないから」

最原「……!」

春川「アンタが私に何回もチャンスをくれたことはわかってる……もう、これが最後のチャンスだと思うから、二度とあんな馬鹿な真似はしないって誓うから……!」

最原「春川さん……!」

春川「……って、ノーパンの奴に言われても説得力無いよね?まったく、とんでもない罰ゲームだよ」

最原「あはは!確かにね!」

春川「笑わないでよ……殺されたいの?」

最原「あ、今のは冗談だって分かったよ!」

春川「結構、あんたも冗談が分かる様になってきたね」

最原「あはははは!」

最原(よかった……!あまり思いつめてはいないみたいだ、これなら安心しても構わないだろう)

―――ガチャ バタン!

百田「おーす、ハルマキ!言われた通り全員集めて来たぜ!」

最原「百田くん!それに、男子の皆!?ど、どうしてここに?」

キーボ「百田くんに集められてきたんです。ここでの仕事を手伝って欲しいと言われて……」

春川「……最原、あんた一人で8日間ぶっ続けで仕事をするつもり?」

最原「えっ?で、でも、そう決まったわけだし……」

春川「あんた、少しは自分の体のことを考えなよ。途中で倒れられたりなんかしたら、皆困るじゃん」

最原「うっ……」

百田「まぁまぁ、そうキツイ言い方すんなよ。終一、ハルマキはお前の事が心配みたいだぜ」

最原「えっ……!?」

百田「『今日は最原を休ませてあげたいから、他の男子も集めて仕事を手伝ってくれ』ってハルマキに頼まれてな。全員集めて来たぜ!」

真宮寺「まあ、確かに最原くんだけに負担をかけすぎたからネ。僕たちも少しは手伝わないとと思ってサ」

天海「百田くんの声に応えたってわけっすよ」

王馬「にしし!俺も色々準備を終えて暇だったし、丁度良い暇つぶしにはなるかな~と思ってさ!」

星「ふん、俺もヤキが回ったもんだぜ。こんな面倒なことに手を貸すなんてな……」

獄原「はい、最原くん。シートとクッションだよ!今日はここでゆっくりしててね!」

最原「みんな……!」

春川「……そう言うわけだから、今日はのんびり休んでなよ。これだけの頭数が揃えば、仕事もすぐに終わるだろうからさ」

百田「モノクマから言われたのは、マンホールの下の通路の掃除だったよな?」

キーボ「瓦礫が多くて大変そうですが……皆さんで力を合わせれば簡単ですよ!」

王馬「キー坊、鉄屑の癖に良いこと言うねぇ!」

キーボ「ロボット差別はやめて下さい!しかるべき所に訴えますからね!」

真宮寺「力のあるゴン太もいるんだし、そう手間はかからないでしョ?」

獄原「うん!ゴン太、頑張るよ!」

星「……立ち話もなんだ。さっさと仕事に取り掛かって、早く終わらせちまおう」

天海「そうっすね。それじゃあ最原くん、なんだったら今日は帰ってしまっても問題無いっすよ」

最原「ありがとう天海くん。それじゃあ、そうさせて貰おうかな」

春川「……じゃ、行くよ。ぼやぼやしてないでね」スタスタ…

百田「あっ、待てよハルマキ!」タタタ…

最原「……春川さん、皆……本当にありがとう……!」

―――数時間後

春川「……ふぅ、こんなもんで良いでしょ」

百田「結構時間がかかっちまったな」

キーボ「力持ちのゴン太くんが居ても手間取りましたね……」

王馬「よぼよぼおじいちゃんと同じパワーしか無いキー坊が足を引っ張ったからね!」

真宮寺「僕はもう疲れたヨ……心と体が引き裂かれそうだヨ……」マッシロー

星「おいおい、いくらなんでも大袈裟だろ?」

獄原「でも、皆で力を合わせたから早く終わったよね!」

天海「そうっすね。今日はもう上に戻って、解散にするっすよ」

春川「そうだね。これ以上ここに居る必要も無いし、さっさと上に……」

王馬「……あ、あれ?」グッ、グッ…

獄原「ん?どうしたの王馬くん?」

王馬「あ、足が瓦礫に挟まって抜けない……!」

獄原「え、ええっ!?」

王馬「ぬ、抜けない!抜けないよぉぉぉっ!このままじゃ上に戻れないよぉぉぉっ!」ビエーン!

獄原「た、大変だっ!ゴン太が引っ張って……」グイッ!

王馬「あいたたた!足がちぎれるぅっ!」

獄原「ご、ごめんっ!」パッ!

王馬「お、俺……このままここで死ぬのかな?一生ここから動けないなんて嫌だよぉぉっ!」ビエーン!

獄原「だ、大丈夫だよ!皆で協力すれば必ず……」

天海「はぁ……ゴン太くん、王馬くんの言うことを信じちゃ駄目っすよ」

星「どうせまた嘘なんだろ?」

キーボ「ええ、間違いなく嘘ですね」

王馬「うん、嘘だよ!」スポッ!

獄原「ええっ!?」ガーン!

百田「まったく、お前ってやつは……」

王馬「にしし!ちょっとしたサプライズだよ!さて、今度こそ上にもど……あれ?」

王馬「ぬ、抜けない!抜けないよぉぉぉっ!このままじゃ上に戻れないよぉぉぉっ!」ビエーン!

獄原「た、大変だっ!ゴン太が引っ張って……」グイッ!

王馬「あいたたた!足がちぎれるぅっ!」

獄原「ご、ごめんっ!」パッ!

王馬「お、俺……このままここで死ぬのかな?一生ここから動けないなんて嫌だよぉぉっ!」ビエーン!

獄原「だ、大丈夫だよ!皆で協力すれば必ず……」

天海「はぁ……ゴン太くん、王馬くんの言うことを信じちゃ駄目っすよ」

星「どうせまた嘘なんだろ?」

キーボ「ええ、間違いなく嘘ですね」

王馬「うん、嘘だよ!」スポッ!

獄原「ええっ!?」ガーン!

百田「まったく、お前ってやつは……」

王馬「にしし!ちょっとしたサプライズだよ!さて、今度こそ上にもど……あれ?」

王馬「ぬ、抜けない!抜けないよぉぉぉっ!このままじゃ上に戻れないよぉぉぉっ!」ビエーン!

獄原「た、大変だっ!ゴン太が引っ張って……」グイッ!

王馬「あいたたた!足がちぎれるぅっ!」

獄原「ご、ごめんっ!」パッ!

王馬「お、俺……このままここで死ぬのかな?一生ここから動けないなんて嫌だよぉぉっ!」ビエーン!

獄原「だ、大丈夫だよ!皆で協力すれば必ず……」

天海「はぁ……ゴン太くん、王馬くんの言うことを信じちゃ駄目っすよ」

星「どうせまた嘘なんだろ?」

キーボ「ええ、間違いなく嘘ですね」

王馬「うん、嘘だよ!」スポッ!

獄原「ええっ!?」ガーン!

百田「まったく、お前ってやつは……」

王馬「にしし!ちょっとしたサプライズだよ!さて、今度こそ上にもど……あれ?」

百田「おい、今度はどうしたんだよ?」

王馬「ひ、左足が抜けない……!」グイッ!

獄原「ええっ!?それは大変だ!」

キーボ「ゴン太くん、学習して下さい!どうせまた嘘に決まって……」

天海「……いえ、今回は本当らしいっす。見事に瓦礫に埋まってますよ」

キーボ「え?えぇぇぇぇっ!?」

王馬「ひどいぞキーボ!この鉄屑!俺はともかく、ゴン太の優しい心を踏みにじるなんて!」

春川「まったく……あんたは一体なにしてるのさ?」

獄原「とにかく足の周りの瓦礫をどかしてあげようよ!」

王馬「ま、待ってゴン太!結構トゲトゲしてて足に食い込んでるから、丁寧にどかしてくれよ!」

獄原「うん、わかったよ!」ガラガラ、ポイッ!

王馬「ぜんぜん分かってねーっ!あいたたたっ!」

百田「……ったく、しょうがねーな。俺も手伝ってやるか」

春川「はぁ、アンタって本当お人よしだよね」

百田「ま、そう言う性格なんだよ。ハルマキは先に戻ってて良いぜ」

春川「言われなくても王馬のために働きたくなんか無いしね。上に戻らせて貰うよ」カンッ…

王馬「……にししっ」

―――カンッ、カンッ……!

春川(……?なんか、急に静かになった気が……さっきまで大騒ぎしてたのに……)

―――カンッ、カンッ……!

春川(いや、少しは声が聞こえるんだけど……私がはしごを上り始めた途端、静かになったと言うか……え?)

春川(は、はしご?私は、みんなの頭上に居て、スカートを履いていて……その下は、ノーパンで……)

春川「み、見られて、る……?」ゾクッ…

―――以下 春川の回想

 自分で発した呟きを耳にした途端、私の体に異常な震えが走った。だが、それは嫌悪感や恐怖から来るものではないと言うことはなんとなく分かった。

 ここは地下だ、明かりも無いからとても暗い。だから、私のスカートの中身が見えている可能性は非常に低い。

 それに、そもそも私が覗かれているかどうかを確かめたわけでは無い。ただ単純に距離が離れたから声が小さくなったのかもしれないし、皆で落ち着いて話しているのかもしれない。

 そもそも、その事に気がついたなら一度はしごを降りれば良い。王馬の救出に加わって、その後で男子を先に上がらせれば良いのだ。

 しかし……私は、それをする気にならなかった。

 何故か、足ははしごを上り続けた。降りるなんて選択肢は無い様に上がり続ける。

 何故か、はしごを上がり速度は遅くなった。一歩一歩を踏みしめる様に、ゆっくりと歩み続ける。

 そして何故か……体は火照り、震えが走っていた。心臓の鼓動が煩く鳴り響き、吐く息も荒くなる。

 ドキドキする。ふわふわする。ゾクゾクする……見られているかもしれないという思いが期待に変わり、次いで快感に変わっていく。

 マンホールの出口が近づいてきた。もっと遠くにあって良い、もっと長くはしごを登っていたい。そう、思ってしまう。

 頬は紅潮し、口元には自然と笑みが浮かんだ。瞳も潤んでいる様に感じられる。

 きっと今、私はいやらしい表情をしているのだろう。鏡を見なくても分かる。

 こんな顔、誰にも見せられない。露出行為に悦びを見出している、蕩けきったこんな表情など、誰にも……

「……え?」

 私がそこまで考え、そして凍りついた。先ほどまで火照って熱くなっていた体の温度が急激に冷めて行く。

 視線の先に、彼は居た。信じられないものを見る目で、私のことを見つめていた。

「………」

 もう二度と妙な真似はしないとつい先ほど誓ったばかりの彼が、自分の性癖を黙っていてくれた優しい彼が、他の誰よりもこんな事をしている姿を見られたく無いと思っている彼が……最原終一が、そこにいた。

「あ……あぁ……っ!」

 罪悪感で胸が一杯になる。恐怖と共に自分のしでかした愚かな行為が脳裏に焼き付く。

 腕と足は震え、手に力が込められなくなってきた。はしごを掴んでいた私の手が離れる寸前、最原の手がそれを掴む。

「……大丈夫、春川さん?」

 大丈夫だと答えたかった。もう駄目だと答えなければならなかった。

 最原に支えられながら相反する感情を抱いていた私の体からは、先ほどまで感じていた熱は完全に逃げ去ってしまっていたのであった。  

―――回想終了

―――夜時間 春川の研究教室

春川「………」

春川(……また裏切った。私を信じてくれた最原を、私を庇ってくれた最原を……!)

春川(罪悪感で胸が苦しい。痛い、辛い、はず、なのに……普通なら、ここでもう止めなきゃいけないはずなのに……)

春川(なんで止められないの?なんで体が熱くなってるの?なんで胸が高鳴ってるの?)

春川「なんで……なんで私、今もこんな事をしているの……?」

―――以下 春川の回想

 もう止められなかった。止めようが無かった。

 自分の研究教室で自分の行為を責める私。だけど、そんなものがただの口だけのものだなんてすぐに分かる。

 今、私は裸だった。制服も下着も、下着に代わる様な物も、靴も靴下も手袋もマスクも身を隠すものなど何一つとして身に着けていない、全裸だった。

 最原と交わした約束を破る罪悪感に身を焼かれる様な痛みを感じる。だが、今の私はそれすらも快感として享受してしまっていた。

「ごめん……ごめんなさい、最原……!」

 口だけの謝罪を繰り返す私のことをどこか遠くで見ている様な感覚に襲われる。そう、本当に口だけの謝罪だ。なぜなら、こんなことをするのは今日が初めてじゃないからだ。

 最原に自ら下着姿を見せた事を暴かれたあの日、もう二度とこんなことはしないと約束したその日の夜から、私は早速約束を破っていた。この教室の中で、下着姿になっていたのだ。

 これで終わりにする為の儀式、誰にも迷惑をかけずに踏ん切りをつけよう……そう思いながら行った行為が、そこで終わることは無かった。それどころか、徐々にエスカレートしてったのだ。

 下着姿から裸になってみよう。大丈夫、ここには誰も居ないのだから、迷惑をかけることも無いだろう。

 この教室の中を動きまわってみよう。大丈夫、ここは私のパーソナルスペースだ、誰も文句を言うはずが無い。

 ほんの少しだけ廊下に出てみよう。大丈夫、ほんの少しだけなのだから

 研究教室のある3Fを歩き回ってみよう。大丈夫、夜時間には皆は寝静まっているはずだ、バレるわけが無い。

 そんな風に考えながら、私は露出行為を続けていった。徐々に大胆になる行動に心をときめかせながら愚かな真似を続ける。

 裸で皆の過ごす校舎内を歩くと言う背徳感、最原との約束を破ると言う罪悪感、もしかしたら誰かに見られるかもしれないと言うスリル……その全てを快感へと変貌してしまう私に、この行為を止める強い意志は無かった。

 私は知ってしまったのだ。快感と言う名の、甘く蕩ける蜜の味を……

 どんな痛みにも耐えられると思っていた私の心は、未知の快感によっていとも容易く瓦解した。そう、いつの間にか私は露出快感の虜になっていたのだ。

「はぁ……はぁ……っ♡」

 荒く甘い息を吐きながらドアノブを掴む。今日はどこまで行ってみようかと考える。

(3Fの階段を下りて2Fまで行ってみようかな……?ゴン太の研究室の所まで行って、戻ってこよう……)

 今の私の中にあるものは、たった2つだけだ。一つは快感を得たいと言う欲求。もう一つは、破滅を恐れる恐怖心だ。

 行為が終わった後、いつも私は後悔し、恐怖する。こんな事をしていたらいつか私は破滅すると分かっているのにこの行為を止められない。

 麻薬中毒者の考え方はきっとこう言う感じなのだろうな。そう考えながらドアを開く、ひやりとした空気が私の肌を突き、そして……

「今日は教室の外に出ない方が良いよ」

「……え?」

 私の耳に覚えのある声が聞こえた。次いでフラッシュの音と、カメラのシャッター音が聞こえる。

「……やっぱり、こう言うことをしてたんだね」

「あ……!」

 私の目の前には人が居た。ポラロイドカメラを手に、今撮ったばかりの写真を現像した彼はそれを私に見せ付ける。

 裸で立ち尽くし、快感に顔を蕩けさせた愚かな女の姿がそこには写っていた。逃れようも無い証拠を突きつけられた私はがっくりとその場に崩れ落ちる。

「ごめん……ごめんなさい、ごめんなさい……ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……!」

 また口だけの謝罪か、そう自分の心の声がした。いつかこんな結末がやってくることなんて分かっていたはずじゃないかとも言っていた。

 泣きじゃくり、ただただ謝り続ける私だったが、そっと肩を目の前の彼……最原に掴まれて顔を上げる。最原は私の目をまっすぐに見ながら、優しく言った。

「教室の中に入って、春川さん。そして服を着るんだ。話はそれからだよ」

「……うん」

 その言葉を受けた私は弱々しく立ち上がると教室の中に入ってドアを閉め、そしてもう一度崩れ落ちた。

 なぜこんな愚かな真似をしてしまったのだろう。最原を何度も裏切り、傷つけてしまった。

 なぜこんな事になるまで止められなかったのだろう。その結果、最悪の結末を迎えてしまった。

 じわじわと自分に対する嫌悪感が沸き上がってくる。どす黒い何かが心に溢れ、止めようが無くなる。

 でも、なのに、それ以上に……

(なんでこんなに……気持ち良いの……?)

 全てがバレた。証拠も握られた。破滅だ。終わりだ。絶望だ……それなのに、心臓は煩いくらいに高鳴り、体がぐんぐんと熱くなっている。

 絶望感が気持ち良い。これから先の暗い人生に思いを馳せると気持ち良い。最原が私のことをどう蔑んでいるかを考えると気持ち良い……!

 吐き気と笑顔が同時に湧き上がる。心は絶望に満ち溢れているのに、体が期待に染まっている。

 むちゃくちゃな自分自身を遠くから見つめている感覚に陥るのも、自分が壊れている証拠なのだろう。やがて、私は唐突に理解した。

(あぁ、そうだったんだ……私、本当に『壊れて』たんだなぁ……) 

 異常だと、妙だと、変だと思っていた。頭の中で理解していたつもりだった。でも、こうして壊れきった自分を見つめた私は、ようやく真の意味で理解した。

 私、春川魔姫はとっくに壊れて、粉々に砕け散っていた。この日、ようやく自分自身でその事に気がついた私は、声を上げて泣きながら笑い続けた。その声すらも壊れたように聞こえたのは、きっと私の気のせいでは無いだろうと思いながら……

―――回想終了

最原「……正直に答えてね。こう言うことをするのは初めて?」

春川「……いいえ」

最原「……何時からこういうことをしてたの?」

春川「……あんたと、初めて約束をした日からずっと……」

最原「……止めることはできなかったの?」

春川「……ごめん」ポロポロ…

最原「……そっか、わかったよ」

春川「うぅ……うぅぅ……」ポロポロ…

最原「……春川さん、僕は今から君にとても残酷なことを言うよ」

春川「な、なに……?」

最原「……僕は明日、このことを皆に言うつもりだ」

春川「!?」

春川「ま、待って最原!そ、それだけは……それだけは止めて!」

最原「無理だよ……感づいてる人もいる、どの道すぐにこのことは分かってしまうんだ。なら、いっそ先にバラしてしまったほうが傷は少ないはずだ。だから……」

春川「お願い!お願いだから!そんなことされる位なら死んだほうがましだよ……!お願いします。どうか、黙っていてください……っ!」

最原「………」

春川「黙っていてくれるなら最原の言うことを何でも聞くから……どんな命令にも従うから、だから……!」

最原「……無理だよ。今の言葉を聞いて、僕は更にその思いを強くしたよ……!」

春川「そ、そんな……なんで!?」

最原「……もう、王馬くんは気がついているんだ。あとは、証拠を得るだけで春川さんを脅せる位までの確信を得ているんだよ!」

春川「!?」

最原「王馬くんは入間さんにデジカメを改造して貰って、この階のどこかに仕掛けてあるはずさ……もしも今日、僕がここに来なければ、王馬くんを相手にして春川さんが今の言葉を言っていたはずさ」

春川「そんな……そんな……」

最原「もう分かったでしょ?春川さんにはどうしようもないんだよ。だから、もう、いっそ……」

春川「……お願い、します……!」

最原「春川さん、気持ちは分かるけどもう……!」

春川「……初めてなんだよ」

最原「え……?」

春川「初めてなんだ……私のこと、暗殺者だって知っても受け入れてくれた人は、友達になってくれた人は、皆が初めてなんだよ……!」

最原「………」

春川「超高校級の保育士だって嘘がバレた時、もうおしまいだと思った……でも、あんたや百田、赤松のおかげで皆に受け入れて貰えた……友達だって言って貰えて、嬉しかったんだよ……っ!でも……」

春川「でも、もし私にこんな趣味があるってバレたら……今度こそ皆、私の事を受け入れてくれなくなる!せっかくできた友達なのに、また私は一人ぼっちになる!そんなの……そんなの嫌だよ……」

最原「はるかわ、さん……!」

春川「虫のいいお願いだってことも、友達であるあんたを裏切った私が言って良いことじゃないことも分かってる……でも、お願いだよ最原……今度こそ心を入れ替えるから、二度とこんな事をしないから、だから……皆には言わないで……!」

最原「くっ……」

春川「お願いします……これが最後で良いから、だから……!」

―――どうする? 1、皆に言う 2、皆に言わない

 下10までのアンケートで決定

言うが4票 言わないが6票で皆に言わないルートで決定するヨ
因みに言うルートは当初春川さんのbadendを考えてた選択肢で、あんまりにも鬱だから取り止めたけど暗い雰囲気まっしぐらのルートだったんだヨ

続きは後で書きにくるネ

<<658 ご心配ありがとうネ 僕も1000では終わらないと思うから、折を見て次スレに行かせてもらうヨ。内容はほぼほぼ書き溜めてあるから、モチベーション的には問題ないヨ。ホントに心配してくれてありがとうネ

<<653 素晴らしいヨ……!その洞察力と情報をもとに考えを導き出す思考力、敬服に値するネ!ぜひ一緒にフィールドワークに行きたいネ。ところで君が女性ならば、姉さんの友達になって欲しいんだけど、どうかな?

<<652 もともと想定していたBADENDだと、春川さんは自[ピーーー]るネ。もっともやりすぎだと思ったから幾分かマイルドにしたけど、結構陰鬱だヨ

2、言わない

最原「……わかったよ春川さん、このことは僕たちだけの秘密にしておこう」

春川「ほ、本当に!?」

最原「うん。でも、条件を飲んで貰うよ。それでかまわないね?」

春川「じょ、条件……?何をするの……?」

最原「まずは……これにサインして」つ紙

春川「これは?」

最原「誓約書だよ。内容に目を通して、空欄に自分の名前を書いてね」

春川「う、うん……」

春川(書かれている内容は……『私、□□は最原終一の玩具であり、絶対的な服従を誓うことをここに記す』……!?これってつまり、最原の奴隷になるってこと!?)

春川「あ、あうぅ……」

最原「……どうしたの?サインできないの?それなら……」

春川「待って!書く!書くから!」ササッ!

最原「良し、書けたら見せてね。………うん、綺麗な字だね。ちゃんと読めるよ」

春川「うぅ……っ」ビクビク…

最原「これで準備はOKだ。さて、次は……春川さん、バンザイして」

春川「えっ!?あ、こ、こう?」ヒョイ

最原「そのままだよ。動かないでね……」グイッ

春川「わぷっ……!あっ……!?」

最原「次は両手を頭の後ろで組んで。足は肩幅に広げて。そのまま止まってて」

春川「う、うぅぅ……」

最原「……返事は?」

春川「は、はい……」

―――以下 最原の回想

 羞恥心に染まった春川さんの顔を見つめながら、僕は彼女の着ているワイシャツのボタンに手をかける。一つ、二つ……淡々と作業を続けた僕は、春川さんの前部を隠していたシャツを前開きにした。

「あっ……!」

 驚きで震えている春川さんの声が聞こえた。僕はそんな彼女のことなど意にも介さず、シャツの間隔を広げて彼女の胸部を解放した。

「くっ……うぅ……///」

 さほど大きく無い、されど形の整った春川さんの胸。その頂点にある桃色の突起までもが、僕の目の前にさらけ出されている。

 百田くんの時が一回目、温泉での出来事で二回目、そしてこれが三回目だ。せっかくの機会なのでしっかりと観察する事にした僕の事を、春川さんは恨む様な、それでいて恍惚とした眼差しで見つめていた。

「とっても可愛いね、春川さん……」

「は、うぅ……っっ!」

 羞恥心ゆえか俯き、小刻みに震える春川さんの顔に右手を添える。ぴくっとした震えと、頬の柔らかさを感じながらそれを持ち上げて顔を上げさせると、僕は彼女の口元に先ほどの誓約書を当てた。

「……はむっ」

 賢い春川さんはそれだけで僕が何を望んでいるか理解した様だ、すぐさまそれを可愛らしい唇で咥え、前を見る。

 ぷっくりと膨れた唇が誓約書を挟む光景を見ながら僕はその角度と高さを調節し、紙が丁度春川さんの胸の突起を隠す様にした。

「……じゃ、いくよ」

 もって来ていたポラロイドカメラで今の春川さんの写真を撮る。僕の言いなりになり、恥ずかしい格好をした状態で玩具に成り下がった証拠を咥える春川さんの姿を何度もシャッターに納めていく。

「……目を閉じちゃ駄目だよ。ちゃんとこっちを見るんだ」

「……ん」

 悔しさと恥ずかしさに染まった表情をしながらも命令通りにカメラ目線を続ける春川さんの姿を、僕は何度も写真に収めて言ったのであった。

―――回想終了

―――翌日朝食後 最原の研究教室

最原「………」ニコニコ!

王馬「ふ~ん、へ~え、ほ~お……なるほどねぇ!」ニコニコ!

最原「わかってくれた、王馬くん?」

王馬「もちろんだよ!あ~あ、でも惜しいことしたなぁ!」

最原「ふふふ……でもしょうがないよ。僕のほうが知ったのは先なんだからさ」

王馬「だよねぇ……でも、本当に惜しいなぁ。まさか既に最原ちゃんが春川ちゃんを玩具にしてるなんて想像がつかなかったよ!」

春川「………」ガタガタガタ…

王馬「くっそー、楽しかったんだろうなぁ……!ねぇねぇ、どんな感じだったの?」

最原「そうだね……王馬くんの言う通り、すごく楽しかったよ!脅して、心をへし折って、言いなりにして……あぁ、あの時の春川さんの顔、録画しておけば良かったなぁ……!」

王馬「まったくだよ!なんでそうしてくれなかったのさ!?最原ちゃんの意地悪!」

春川「………」ビクビク…

王馬「ふぅ……でもしょうが無いか。春川ちゃん、ちょっと良い?」

春川「!!!」

王馬「……ねぇ、君は何なの?どういう人間なの?」

春川「わた、わたし、私は……っ」

王馬「ほら、ちゃ~んと言ってよ。俺は、君の口から聞きたいなぁ……!」

春川「……私は、醜い欲望を持った愚かな女、です……約束一つ守れない、駄目な人間です……」

王馬「うんうん!じゃあさ、そんな愚かで駄目で露出狂な女の子の春川ちゃんは、これからどうするのかな?」

春川「こ、これから……これから私は、最原の玩具になります……心も体も、尊厳も欲望も、才能も命も、全部全部最原に預けて、全てを委ねます……」

王馬「……くくくくく……あはははは……!」

春川「私にはもうそれしかないから……最原に遊んで貰って、慰めて貰う以外の生き方なんてできないから……私の全部を使って、最原に楽しんで貰うために生きます……!」

最原「……はい、良く言えました」

王馬「あはははは!最高、最高だよ!春川ちゃんも、春川ちゃんをこんな風にしちゃった最原ちゃんも本当に最高だよ!」

最原「王馬くん、そう思うなら今の宣言を録画した機械は僕に渡してね。僕の玩具で好き勝手されるの、嫌なんだよ」

王馬「にしし!流石最原ちゃん、目ざといねぇ!俺の好敵手はそうでなくっちゃ!」ポイッ!

春川「あっ……!」パシッ!

王馬「超高校級の暗殺者を玩具にするだけの頭脳と度胸を持った探偵……それでこそ超高校級の総統である俺のライバルに相応しいよ!最原ちゃんに出会えた俺は、とんでもない幸せ者だよ!」

最原「あはは、僕もライバルである君にそう言って貰えて嬉しいよ!」

王馬「にしし!じゃあ俺は約束通り春川ちゃんには手を出さないよ!大好きな最原ちゃんの玩具を奪ったり壊すような真似はしないから安心してね!」

春川「あう……あぁ……」

王馬「……それじゃあ、俺は行くね。最原ちゃんはその玩具でこれからたくさん楽しめば良いと思うな!」ニコニコ

最原「ありがとう、王馬くん!あ、でもさ……」

王馬「ん?なぁに?」

最原「……この玩具での遊び方、君に相談するかもしれないから、その時は良い知恵を貸してね?」ニコッ

春川「~~~っっ!?」ゾクッ…

王馬「……くっくっく、任せてよ!最原ちゃんが満足できる様な過激で、邪悪で、外道な遊びを教えてあげるからさ!」

春川「あ、い、いや……」ブルブル…

最原「ありがとう王馬くん!楽しみだなぁ……春川さんはどんな目に遭うんだろうね?」

春川「いや……お願い、やめて……」

王馬「あれ~?何か聞こえるなぁ?玩具ちゃんは俺たちに遊ばれるのが嫌なの?」

最原「ははは!面白い事を言うね、王馬くんは!そんなわけ無いでしょ、だって……」

最原「……玩具に、自我があるわけ無いんだからさ……!」

春川「あ、あぁ……あぁぁ……」カクン…

王馬「……良い声だったよ。心がへし折れて、魂が抜け出ていく、そんな声……君もそんな風になれるんだね」

春川「………」ガタガタガタ…

王馬「それじゃあ、俺は行くよ……バイバイ、最原ちゃん!」

―――キィィ……バタン!

最原「ふぅ……」カタ…キィ…

春川「………」ガタガタガタ…

最原「……春川さん、もう良いよ」

春川「……上手く行ったの?」

最原「さぁ?王馬くんのことを完全に理解することは僕には出来ないよ。でも、これで形式上では彼は春川さんに手を出さない事を承知した。それで十分さ」

春川「……もし、お得意の嘘だったとしたら?」

最原「それは大丈夫だよ。彼は遊びと言う点に関しては非常に律儀さ、だから、自分からルールを破ることはしないよ。少なくとも、僕との間ではね」

春川「そっか……アンタがそう言うなら、私はアンタを信じるよ」

最原「ありがとう、春川さん……」

春川「でも、驚いたよ。昨日いきなりあんな写真を撮影し始めたから、本格的に奴隷人生の幕開けだと思ったもの」

最原「あはは、ごめんね。でも、王馬くんを騙す為にはあれくらいしないと駄目だと思ったからさ……」

春川「……確かに、事前に計画を聞いてたらあんな恥じらいとか恐怖が滲み出る写真は撮れなかっただろうし、仕方が無いか。でもあんな小細工までして、一緒に演技の練習もするなんて本気にもほどがあるよ」

最原「でも、そのおかげで良い怯えっぷりだったよ。本気で恐がっている様に見えたしさ」

春川「あんたこそたいした外道っぷりだったよ。実は黒幕でした、なんて言われても疑わない位にね」

最原「ははは!それは言いすぎじゃないかな?でも、これで目的の半分は達せたね。もう半分はこれからだ」

春川「……本気なの?昨日の話……」

最原「……ああ、本気だよ。僕は君の露出行為の協力者になる」

最原「春川さんがもう自分で自分の欲求を止められないと言うのなら、僕がその受け皿になるよ。皆にバレない計画を立てて、その為に協力する。だから春川さん、自分の欲望をコントロール出来るようになろう?」

春川「……でも、もしもバレたらアンタまで巻き込まれる。変態呼ばわりされるんだよ?それでも良いの?」

最原「……僕たち、友達でしょ?その友達を見捨てるような真似、出来ないよ」

春川「……最、原……」

最原「だから頑張ろう?共犯者が居るってわかれば心も落ち着くし、余裕も出来る。一生懸命頑張ってどうしようも無くっても、二人でこれからを考えられるよ!」

春川「……うん、そうだね。ありがとう最原、私、アンタと友達で良かったよ」

最原「……僕もだよ。君と友達で居た事を後悔なんてしないから、安心してね」

春川「……ね、ねぇ、一つお願いがあるんだけど……」

最原「ん?」

春川「……目、瞑って。私が良いって言うまで」

最原「え?あ、分かったよ……」ギュッ…

春川「……んっ♡」チュッ…

最原「!?」

春川「んっ……ぷはぁ……目、開けて良いよ」

最原「は、は、は、春川さ、い、い、今のって……!?」

春川「……嫌かもしれないし、気持ち悪いかもしれないけど……私からの、お礼」

最原「は、はわわわわ……」

春川「……ありがとう最原。私の一番醜くて汚い所を知っても離れないでくれて……私を受け入れてくれて、ありがとう……今のキスは、その印だから……♡」

最原「は、春川さん……!」

春川「あと……これ」つ紙

最原「え?これって昨日の誓約書?あれ、名前の所にキスマークが……」

春川「……王馬を騙す時に使うかと思って、持って来てた。倉庫で口紅見つけて、それで……///」

最原「……もしかして春川さん、玩具扱いに結構乗り気?」

春川「なっ!?ば、馬鹿じゃないの!?そんなわけ無いでしょ!殺されたいのっ!?」

最原「わーわー、落ち着いてって!……でも、なんで僕にこれを?」

春川「っっ~~~……から……!」

最原「え?何?」

春川「わ、私の……ご、ご主人さまの証として持っていて欲しかったから!///」

最原「……ぷ、くく……!」

春川「わ、笑わないでよ……っ!」

最原「や、やっぱり玩具扱いに乗り気じゃないか!あはははは!」

春川「~~~っ……もう、それで良いよ。否定出来ないし……」

最原「わ、分かったよ!とりあえずこれは僕が大事に保管しておくね!」

春川「うん……///」

最原(確かガシャマシーンで手に入れた丈夫な金庫があったよな。それに入れておけば安心でしょ)

春川「……これからよろしくね。ご主人様……♡」ボソッ…

 春川の奴隷誓約書を手に入れました!これさえあれば春川さんのステータスをいつでも確認できます!

 春川さんの協力者になりました! 春川さんの心に大きく踏み込みました!

―――夕方 食堂

最原(……今日の仕事は東条さんと一緒に皆の夕食作りだ。流石は超高校級のメイド、仕事が丁寧で素早いなぁ)

東条「……良し、これで仕込みは終わりね」

最原「えっ!?も、もう?僕、ほとんどなにもやってないんだけど……」

東条「元々、皆の食事の準備は私がしていたから慣れてるし、今日は最原くんが手伝ってくれたのだもの、早くもなるわ」

最原「そっか……じゃあ、少し休憩しようか」

東条「そうね……最原くん、後は私がやっておくから、このまま部屋に帰ってもらっても構わないのよ?」

最原「……もしかして僕、邪魔だった?」

東条「いいえ!そうじゃないわ!……ここ数日間働き詰めだし、あなたに少しでも休んで欲しかったのよ。まだあと4日間もあるわけだしね」

最原「そっか、そう言う意味なら安心したよ」

東条「ええ、だからあなたさえ良ければ……」

最原「ううん、僕は平気だよ。そんなこと言ったら、東条さんだって毎日働いてるじゃないか」

東条「でも、それは私が皆に仕えることを幸せに思っているからであって……」

最原「僕も同じだよ。東条さんの役に立てて嬉しいんだ」

東条「私の……?」

最原「うん!たいしたことはできないけど、いつも僕たちのために頑張ってくれてる東条さんの役に立ててると言うなら、僕は嬉しいな」

東条「最原くん……」

最原「だから一緒に頑張ろうよ。微力だけど、僕も手伝うからさ!」

東条「………」

最原「ん?どうかしたの、東条さん?」

東条「……ごめんなさい最原くん、一分間だけ私に時間を頂戴」ギュッ

最原「わっ……!?」

―――以下 最原の回想

 突如動きだした東条さんによって抱きしめられる僕。細い彼女の腕が僕に絡まり、背中に手を置かれる。

 あまり力は強くないが、それでもしっかりとホールドされているこのハグはまるでお手本の様だななんて考えながら、僕は東条さんの声を耳にしていた。

「……なんで疑っちゃったのかしらね。あなたみたいな優しい人を……」

「そ、そんなに気にしなくて良いよ!僕にも悪い所はあったし……」

「いいえ……あなたの優しさは良く知っていたはずなのに、それすらも疑ってしまった自分を許せないのよ。本当にごめんなさい、最原くん……」

 僕の事を抱きしめる東条さんが今、どんな顔をしているかはわからない。でも、小刻みに震える体の事を考えると罪悪感に苦しんでいるみたいだ。

 柄じゃないなと思いながらも……僕は、東条さんの頭に手を置いて優しく撫で始めた。もう片方の手を彼女の背中に置き、抱きしめ返す形を取る。

「最原くん……?」

「……ごめん。キャラじゃないことはわかってるんだけど、その、少しでも気が楽になればと思って……」

「……ふふふ、超高校級のメイドが気を遣われるようになったらお終いね。でも……やっぱりあなたは優しいのね」

 その言葉と共に、ほんの少しだけだが東条さんの体重が僕に傾くのを感じた。そっと自分の弱さを預ける様にした東条さんの体を僕は優しく支える。

「……あと30秒だけは、あなたのその優しさに甘えさせて貰おうかしら。ほんの一時の休憩だから……」

 圧倒的な母性と包容力を持つ東条さん。そんな彼女が、僕に甘えてくれると言うことは素直に嬉しかった。こんな僕でも、誰かの支えになれると言うのなら喜ばしいものだ。

 でもまぁ、この状況にも問題が無いわけでは無い。東条さんは忘れているかもしれないが、彼女は今、ノーブラなのだ。

 僕の体に押し付けられる東条さんの胸は、僕にその形が分かるくらいに存在を主張していた。大きくて柔らかい彼女の胸が、ふわりと僕に押し付けられて形を変えていく所を僕は体で感じ取る。

(た、耐えるんだ……あと15秒だから!)

 あそこまで格好つけといて興奮していることがバレたら格好悪いなんてもんじゃない。僕は必死になって理性を保つための努力をする。

 でも、なんと言う生殺しだろうか?柔らかい東条さんの体の感触を感じながら、それに耐えなければならないなんて拷問に等しいだろう。

 真宮寺くんの言う、発散しようもない性欲がまた溜まってしまうんだろうな。とか考えながら、僕はたった一分間のはずなのにすごく長く感じた抱擁を終わらせたのであった。

―――回想終了

―――夜時間 最原の私室

最原(……まずい。非常にまずい……こんな事があと4日間もあるのか?た、耐え切れる気がしないよ……!)

最原「きゅ、休憩が欲しい!切実に、気を休ませる時間が欲しい!」

モノクマ「あ、そろそろそんな頃だと思ってました!」ピョーン!

最原「うわあっ!?も、モノクマ!?」

モノクマ「やぁ、最原くん!もうそろそろ性欲的に限界なんじゃないかと思ってたよ!僕としては欲望のままにはっちゃける学園生活も悪くないとは思うけど、これは全年齢版だから無理だよね!」

最原「は?な、何を言ってるんだ?」

モノクマ「気にしないでよ!とにかく休憩が欲しいんだよね?それじゃあ丁度良かった!明日はお仕事無しで良いよ!」

最原「えっ!?」

モノクマ「女子の皆からお願いされてね。明日は仕事を無しにして、最原くんを休ませて欲しいんだってさ!下着をつけられない日が伸びるって言うのに、皆友達思いだよね~!」

最原「そ、そっか……良かったぁ……皆には悪いけど、おかげで休む事ができるよ」

モノクマ「うぷぷ……まぁ、休めるかどうかは知らないけどね」

最原「え……?」

モノクマ「さて!その話は置いておいて、今日はこんなものを用意してみましたー!」デンッ!

最原「な、何それ!?」

モノクマ「ん?女の子たちと仲良くなることに悩む最原くんに助言を与えるスイッチだよ。好きなボタンを2つ押してくれれば、ヒントもとい、助言をあげるからさ」

最原「ひ、ヒント……?」

モノクマ「ま、押してみればわかるよ!そんじゃ、まったね~!」ピューン!

最原「あっ、モノクマっ!……行っちゃった。こ、これ、どうしよう?」

最原「ん?なんか文字が……『GO SM H!』!?なんだこれ!?どういう意味だ!?」

最原「……あ!これ、アルファベットががボタンになってるんだ!合計6つのボタンか……2つ押すとしたらどれを押そうかな?」

―――どのボタンを押す?アルファベットと!マークの中から一つずつ選んでね! 先着2名の意見で決定

!とMで了承しました。また夜にやってくるヨ。

その時にほかのアンケートもするからよろしくネ


 M姫ちゃんのステータスを貼っておきます。今後は声をかけて貰えれば切りの良い所でステータスを表示させてもらいます。

 春川魔姫のステータス(第三章現在時点)

 愛情度 2 狂気度 1

 運動能力S 知力A 交渉力C

 関わりの深い女子 特に居ない

 最原への感情 大切なご主人様であり、自分の醜い部分を知っても受け入れてくれた優しい人

 不安  ご主人様である最原と良い関係を築けるかどうか?

     最原が自分にちゃんと向き合ってくれるか?


 備考  露出趣味が最原に露見したことによってある意味吹っ切れた様子。玩具扱い及び奴隷扱いにも結構乗り気

     当然ながら自分の趣味はバラされたくないので、皆に最原と深く関わっているとは思われたくない。(既に露出癖がバレている王馬は別、彼に関してはアピールの意味もあるので見せ付けたい気持ちもある)

     上記の通り普段はストイックだが、二人きりになった途端彼女は従順な奴隷と化す。この状態ならばどんな命令にでも嬉々として応じるだろう。

     仲の良い女子が居ないため、誰にも影響を与えず、影響を与えられない。彼女に関しては、しっかりと向き合ってあげて、彼女を受け止めてあげれば何も心配することはない。

     例え最原が他の女子を選んだところで嫉妬せず、自分を選んだ事によって生まれた他の女子の悪感情は自分で始末する。奴隷はご主人様に迷惑をかけてはいけないのである。

     総じて非常に扱いやすく、御しやすい女の子。他の女の子を攻略する時の遊びにしても良し、本格的に可愛がっても良しの初心者キャラである。

     「これからよろしくね、ご主人様……♡」

最原「……と、とりあえず押してみるか。ただのアドバイスをしてくれる機械みたいだし、心配しなくて良いでしょ」

最原「えっと……それじゃあまず、気になる『!』から押してみようかな」ポチッ!

―――ピンポーン!

最原「うわっ!?……びっくりした、お客さんか。はいはい、今あけま~す!」ガチャ…

キーボ「こんばんわ最原くん!お呼びと聞いて参上しました!」

最原「えっ、キーボくん!?僕、別にキーボくんを呼んだ覚えは……」

キーボ「モノクマから聞きました。女の子と仲良くなる為のヒントが欲しいそうですね?なら、きっと僕が力になれるはずです」

最原「えっ……?」

最原(……あ!あの機械につけられてたアルファベット、考えてみたら男子の頭文字じゃないか!ってことは、あのボタンを押すと男子がこの部屋にアドバイスしにきてくれるのか!)

キーボ「では、さっそく行きましょう……計算モード、起動!」シュピーン!

最原「うわぁっ!?な、何をしてるの、キーボくん?」

キーボ「お静かに!……これは女子の皆さんが最原くんにどんな感情を抱いているか計算するためのモードです!このモードで導き出された答えはほぼ100%当たります!」

最原「そ、それ、本当なの?」

キーボ「ええ!内なる声も後押ししてくれるので、ほぼ間違いないと思いますよ!」

最原(……信用ならないな)

キーボ「……良し、答えが出ました!では、早速発表しましょう!」

最原「あ、うん。よろしく……」

キーボ「では……女子8人のうち、4名は最原くんに無関心ですね。ただの友達以上の関心は持っていません」

最原「ほ、ほう?」

キーボ「白銀さんの言い方を借りるなら、地味に仲が良い。ということでしょうか?この人たちとはラブロマンスは期待できませんね」

最原「あ、そうなんだ……」

キーボ「で、でも、安心してください!これから頑張ればまだ挽回はできます!この人たちと仲良くしたいなら、もっと積極的に声をかけてみてはいかがでしょうか?」

最原「……わかった。覚えておくよ」

キーボ「はい!……それで、残った4人なのですが……喜んで良いですよ最原くん、うち2名は最原くんの事を男性として好意的に見ています!」

最原「ほ、本当!?」

キーボ「ええ!しかし、まだ完全に好意を寄せているわけでは無いみたいです。しかし、そうなるのも時間の問題でしょう。誰がそうなのか、最原くんには予想できますか?」

最原「う~ん……どうだろう?断定はできないかな」

キーボ「そうですか。しかし、ここまでくれば彼女たちの反応もあからさまになっているでしょう。それで判断がつくかと思いますよ」

最原「そっか……ありがとう!……あれ?でも、まだ残っている人が居るよね?その人たちはなんなの?」

キーボ「えっ!?あ、あぁ、それは……」

最原「……?」

キーボ「……嫌われているわけでは無いのですが、なんだか上手く表現出来ない感情なんです。好きだけど嫌い、だけどやっぱりものすごく好き……みたいな」

最原「えっ!?な、なにそれ!?」

キーボ「残っている二人の感情はそんな感じなんです。最原くん、これもある意味では愛されていると思いますが、理由がない限り女の子にこんな感情を抱かせるのはよくないと僕は思いますよ」

最原「う~ん……誰なんだろうなぁ……?」

キーボ「あ……!でも、二人のうち一人は、この感情で固定されているみたいですね……」

最原「ええっ!?」

キーボ「しかもこれは、途中からこうなったわけでは無い……?最初からずっと、最原くんをこう言う目で見ていた……?」

最原「え、えええええぇっ!?」

キーボ「……どうやら、この人と本当の意味で仲良くなるには遅すぎたみたいですね。というより、この人と仲良くなるにはこの人の意識改革が必要みたいです」

最原「意識改革……?」

キーボ「ええ、ありえないことだとは思いますがいっそ全ての記憶を失うとか、そんなレベルの事が無いと駄目なんだと思います」

最原「えぇ……?一体だれなんだろう……?」

キーボ「……僕が出来ることはここまでです。あとは最原くんの行動しだいで全てが決まります。どうか僕の意見を役立てて、皆さんと仲良くなってくださいね!」

最原「うん、ありがとう!」

キーボ「では、失礼します!」バタン!

最原「……キーボくんから皆の好感度と僕に抱いている感情を教えて貰った。でも、これを信用しても良いんだろうか?」

―――数分後

最原「……良し、もう一度ボタンを押してみよう。今度はMのボタンだな」ポチッ

最原「僕の考えが正しければ、ここに来てくれるのは……」

百田「おう、終一!女のことで俺に相談があるんだってな!」ガチャッ!

最原「百田くん!やっぱり君が来てくれたんだね!」

百田「変なこと言うなぁ、お前が俺を呼んだんだろ?……まぁ良い、早速お前に言いたい事があるんだ」

最原「え?なになに?」

百田「前々から思ってたんだが、終一、お前……良い人止まりになりそうなんだよな」

最原「ええっ?」

百田「凄く仲が良い友達なんだけど、それ以上はちょっと……みたいな関係性になりそうで心配なんだよ、俺は」

最原「ぼ、僕、そんな風に見えるの?」

百田「おう、お前はなまじ女子と仲が良いから、相手も終一に友達としか思われて無いと思っちまうんだと思うぜ」

最原「が、ガーン……」

百田「……俺が言えんのはな、狙ってる女に特別扱いをしてやれってことだ」

最原「特別扱い?」

百田「二人で出かける、プレゼントを渡す……なんだって良い、要はそいつに『他の女とは違う扱いをされてる』って思わせれば良いんだよ。そうすりゃ、そいつは終一のことを意識するに違いねぇぜ!」

最原「なるほど……ためになるよ!」

百田「だろ?なんてったって宇宙に轟く百田解斗のアドバイスだからな!役に立たないわけがねぇ!……あ、でも、気をつけなきゃならねぇこともあるな」

最原「え……?」

百田「……女子たちも馬鹿じゃねぇ、終一に特別扱いされる奴が居たらみんな気がつく。そん時に、嫉妬されない様に気をつけるんだぜ」

最原「ど、どういうこと?」

百田「あ~……ほら、簡単に言っちまうと、お前と赤松が仲良くなったとするだろ?そん時、お前の事が好きで、赤松の事をよく思わない奴が居たとしたら、そいつはどう思う?」

最原「……赤松さんに嫉妬するってこと?」

百田「おうよ。加えて終一にも『なんで自分を選んでくれないんだ?』って思うかもしれねぇよな?そうなるとその女子は、終一に変な感情を抱くかもしれねぇってこった」

最原「な、なるほど……」

百田「あとはそうだな……当たり前だけど、浮気は駄目だな。あいつにも、こいつにも……って、特別扱いをしてたら、もちろん女子だって良い気分はしねぇだろ?」

最原「誘うのは一人だけにしておけってこと?」

百田「う~ん……でも、難しいよな?別段付き合ってるわけでも無いから束縛されたくは無いし、女子たちは皆可愛いから目移りする気持ちもわかる。それに、向こうからアタックされる可能性だってあるわけだ」

最原「じゃあ、一体どうすれば良いの?」

百田「方法は2つ、1つはさっき終一が言った様に一人だけを選び続けること。そうすりゃあ、他の女が嫉妬する理由は基本的には無ぇな!」

最原「もう1つは?」

百田「女子の嫉妬の境界線を見切ることだ。ここまでは大丈夫だけど、これ以上やると嫉妬する……そう言う境界線を見つけて、その範囲内で他の女子と接すれば問題ねぇな」

最原「な、なるほど……」

百田「……自分で言っといてなんだが、これ結構難しいぜ?女子によっては、仲良くなって度量が深まったから他の女子との接触が気にならない奴も居れば、仲良くなったからこそ他の女子とべたべたして欲しくないって考える奴もいるからな」

最原「う~ん……」

百田「……ぶっちゃけると、一番良いのは秘密裏に女子と接触することだな。限界はあるけど、バレなきゃ浮気じゃねぇしな!」

最原「………」

百田「……俺の話を纏めるとだな。1、気になる女子は特別扱いしろ!2、その時に他の女子に嫉妬されない方法を考えろ!3、どんなことをしても、バレなきゃ問題ねぇ!ってことだ!」

最原「わかった。ありがとう百田くん!」

百田「気にすんなよ、俺と終一の仲だろ?……でも俺は、女子同士の仲なんてわかんねぇからなぁ……人間観察の得意な真宮寺辺りがそう言うの把握してそうだけど、どうなんだろうな?」

最原「う~ん……機会があったら聞いてみるよ!」

百田「おう、そうしておけよ!んじゃ、俺は帰るぜ!じゃあな!」バタン!

最原「……百田くんから女子との接し方について注意を受けた。ためになるけど、僕は上手く出来るかな?」

―――翌日 昼過ぎ 最原の私室

最原(……今日は一日休みだけど、モノクマの指示で天海くんの才能を発動されてるんだよなぁ……不安だし、一日部屋に引きこもろうっと!)

―――ピンポーン!

最原「あれ、お客さんかな?はいはーい!」ガチャ!

獄原「こんにちは最原くん!ちょっと良いかな?」

最原「ゴン太くん!どうかしたの?」

獄原「ゴン太はね、最原くんにプレゼントをしにきたんだ!」

最原「プレゼント?」

獄原「うん!最原くんはいつもゴン太にプレゼントをくれるし、この間も特訓に付き合ってくれたから、そのお礼がしたいんだ!はい、これあげるよ!」

最原「わぁ、ありがとう!……ところで、これはなに?」

獄原「それは、購買部にあるスペシャルガチャのチケットだよ!普通のガチャガチャをまわしてたらでたんだ!」

最原「スペシャルガチャ?初めて聞くね」

獄原「最近できたらしいよ。普通のガチャには入ってない豪華商品が手に入るってモノスケくんも言ってたよ!」

最原「そっか……じゃあ、ありがたくつかわせてもらうね!」

獄原「うん!最原くんが喜んでくれてゴン太も嬉しいよ!それじゃあね!」

最原「……引きこもる予定だったけど、ゴン太くんの為にもスペシャルガチャをまわしてこようかな?」

―――購買部

最原「あった、これだ。確かにスペシャルな感じが出てるな」

最原「ここにチケットを入れてっと……良し、まわすぞ~!」

―――ガコガコ……ガコン!

最原「あ、商品が出てきた!えっと、これは……」

 ガチャから出てきたのは?

1、モノクマーズツイスターゲーム

2、ギンギラギンな手錠

3、ラッキー手袋

4、メイドツール一式

 ここから下5つまでのアンケートで決定

もう一回アンケート取ろうかと思いましたがその後に来たのが1だったので1番のツイスターズゲームにします。続きは明日だけど、各プレゼントの詳細だけ書いておくヨ

モノクマーズツイスターゲーム
モノクマーズの顔が書かれたツイスターゲーム。別段変わったところは無いが、付属されている罰ゲーム表には到底不可能なものだけが書かれている。モノダム専用罰ゲームと書かれているあたり、モノクマーズの遊び道具なのだろう。
持っていると良いことがあるかも……?

ギンギラギンな手錠
とあるアニメの小道具として登場した手錠、鍵とセットの商品。見てくれからして刺々しく、派手で目に刺激が強い。こんなもので拘束された日には犯罪者も真っ青である。
もっていると良いことがあるかも……?

ラッキー手袋
黒色の女物の手袋、中はなぜかネットリしている。身につけてから一時間の間、殺人トリックに利用できるほどの幸運が身につくらしい。一時間が過ぎるとただの中がネットリしているだけの手袋となる。
持っていると良いことがあるかも……?

メイドツール一式
これからメイドになりたい人に捧げるメイドツール。まずは形からはいるのも悪くないだろう。なぜかスク水とメイド服が合体したスク水メイド服も入っている。これは服なのか水着なのか意見が別れるところだろう。なお、一番大事なご主人様は付属していないため自分で見つけて欲しい。
持っていると良いことがあるかも……?

あ、それと良いことに気がついた人がいるネ。今回のサブイベントが一対一のものだとは、誰も言ってないヨ?

岩塩で撲殺された後、伯方の塩で除霊。お供え物に塩大福と塩昆布ってことかい?ずいぶん準備が良いネ

冗談はともかく更新行くヨ!

最原「これは……ツイスターゲーム?別段変わった所は無いみたいだけれど、こんなものを持っててもなぁ……」

ガチャ……バタン!

夜長「やっはー!終一、どうもね~!」

赤松「最原くん、何してるの?」

最原「あ!赤松さんにアンジーさん!いや、ちょっとね……」

夜長「ん?あ~!終一、面白そうなもの持ってる~!見せて見せて!」

最原「えっ?わっ!?」

赤松「ツイスターゲーム……?最原くん、これ一体どうしたの?」

最原「今、ガチャマシーンから手に入れたんだけれど……でも、こんなものもらっても困るよね」

夜長「え?何で?遊べば良いよ~!」

最原「あはは、でもアンジーさん、これをやるには最低でも3人は居ないと……」

夜長「いるじゃん、3人」

最原・赤松「!?」

夜長「アンジーに~終一に~楓で~、ちょうど3人だね!にゃはは、神ってる!」

最原「い、いやちょっと!これは男女でやるには少し問題が……」

夜長「大丈夫、大丈夫!アンジーは気にしないから一緒にやろ~よ~!」

最原「いや、僕が気にするんだって!」

赤松「そうだよアンジーさん!最原くんも困ってるし、止めなよ!」

夜長「え~?終一はアンジーと遊びたくないの~?アンジーのこと、嫌い?」ウルウル…

最原「え?き、嫌いでは無いけど……」

夜長「なら何も問題ないね~!遊ぼ、遊ぼ!」

赤松「………」ジトー…

最原「あ、いや……その……」

夜長「遊ぼ~よ~!きっとすごく楽しいよ~!」

赤松「もう、アンジーさん!この間そう言うことが問題だって話になったばかりじゃない!止めなってば!」

夜長「……何が問題があるの?アンジーは終一と仲良くなりたいだけだよ?楓にそれを邪魔する権利はあるの?」

赤松「……!?」

夜長「はっきり言いなよ……楓が気に入らないんでしょ?終一とアンジーが仲良くすることがさぁ……!」

赤松「ぐっ……!」

最原「あ、あの、二人とも、何か空気が不穏な感じに……!?」

赤松「……そっか、アンジーさんは最原くんと仲良くなりたいんだね!それなら仕方がないか!」

夜長「およ?納得してくれたの?にゃはは~!楓は良い子だね~!神様も褒めて……」

赤松「……でも、私もアンジーさんと仲良くなりたいんだよね」

夜長「……ん?」

赤松「だからさ、このゲームは私とアンジーさんで遊ばない?それで、もっと仲良くなろうよ!」

夜長「……ふ~ん、そっかぁ……でもなぁ~」

赤松「……勝った方がその後最原くんと遊べる。これでどう?」

夜長「……!」

赤松「負けたほうは審判兼進行役として二人を見守るってことでどうかな?」

夜長「にゃはは~!良いね~!神ってるよ~!」

赤松「決まりだね!……ツイスターゲームで勝った方が最原くんと仲良くなれて……」ゴゴゴゴ…

夜長「負けた方はそれを傍で見る事になるってことだね……!」ゴゴゴゴ…

最原「あ、あの……僕の意見は……?」

二人「最原くん(終一)はちょっと黙ってよっか?」ゴゴゴゴ…×2

最原「は、はいっ!」ビシッ!

―――地下 ゲームコーナー

最原(……ど、どうしてこうなったんだ……?)

赤松「ふふふふふ……!」←ピンクのビキニ着用

夜長「にゃはは~……!」←いつもの水着一丁

最原(二人とも笑顔なのに恐い!恐すぎるよ!)

夜長「嬉しいな~!今日は楓とも終一とも仲良くなれるね!」

赤松「アンジーさん、まだ勝った気になるのは早いんじゃないかな?」

夜長「にゃはは~!大丈夫だよ~!だって、楓は体が重いからすぐにバランスを崩すって神様が言ってたもん!」

赤松「ほぉ……!?」カチン!

夜長「だからこの勝負はアンジーの勝ちに決まってるよ!だってアンジーはスリムで身軽だもんね~!」

赤松「……確かにそうだね。アンジーさんの方が小柄で私よりも色々貧相だもんね!」

夜長「……ん~?」カチン…!

赤松「腕も足も細いから体を支えられるか心配だね!あ、でも、大丈夫か!支えるほどのものを持ってないもんね!」

夜長「……楓は神様に喧嘩を売ってるのかな~?」ニコニコ

赤松「そんなこと無いよ!アンジーさんに売ってるんだよ!」ニコニコ

夜長「にゃはは~!楓は面白いね~!それ、買うよ!」ニコニコ!

赤松「うん!正々堂々勝負しようね!終わった後はきっと仲良くなれてるよ!」ニコニコ!

二人「あははははははははは……!」ゴゴゴゴゴ…!

最原(誰か!誰か助けて~っっ!!!)

夜長「……それじゃあ終一、始めようか?」

赤松「進行役お願いね!」

最原「は、はいっ!」

最原(今日は厄日だ……!)グスン…

―――以下 最原の回想

「……ほら!と、届いたよ!」

「ぬ~……楓もしぶといね~……」

 そこから数分後、水着姿の美女二人の熱戦は続いていた。なかなかに厳しいポーズを取りながらも笑顔の二人だが、まったく目が笑ってはいない。

「ん……終一、アンジーの手は届いてるよね~?」

「あ、うん。大丈夫だよ……」

「にゃはは~!まだまだイケルよ~!」

 僕の方に右手を伸ばしてマークに触れたアンジーさんが笑顔を見せる。水着姿の女の子たちがつんぐほぐれつに絡み合う姿なんてまともに見れるものじゃないのに、二人の格好がそれに輪をかけて僕の興奮を煽っていた。

 今、僕の方を向いているアンジーさんは四つん這いに近いポーズを取っている。つまり、僕の目前には彼女の褐色胸の谷間が強調された状態で見せ付けられているわけで……意識すまいとすればするほど、僕の視線はそこに吸い寄せられてしまっていた。

「んっ……んんっ……!」

 そしてもう一人の女子、赤松さんは僕に背を向けた状態で足を動かしていた。なんとも扇情的な喘ぎ声にドキッとしてしまうも、彼女の責めは聴覚だけには留まらない。

 アンジーさん同様に四つん這いに近い格好をしている彼女が足を動かすたびに、ピンク色の水着に包まれたお尻がふりふりと揺れるのだ。ただ耐えようとするだけでも微妙な振動を受けて小刻みに震える大きなお尻には、赤松さんの魅力がたっぷりつまっていた。

「良し、届いたよ最原くん!確認お願い!」

「それじゃあ次はアンジーの番だね~!終一、ちゃ~んとアンジーのこと見てるんだよ?」

「う、うん……!」

 審判と言う役割を担っている以上、二人は僕に確認を取るために自分たちを見る事を要求する。ゲームのためとは言え、水着姿の女の子たちに自分を見てくれと言われたら男なら興奮するものだろう。しかも……

「……終一、アンジー、ちゃんと出来てるよね?見て……!」

「さい、はらっくん……あんまり余裕無いから、ちゃんと見て……!」 

「はぁっ……んっ……!しゅう、いち……こっち、見て?」

「~~~~っっ!もう、限界……。最原くん、はやくぅ……っ!」

 荒い息混じりに上擦った声でこんな台詞を言われたら、なんだかイケナイことをしているみたいでは無いか。ツイスターゲームが健全な遊びとは言い切れないだろうが、少なくとも僕たちはゲームをしているだけのはずだ。

 でも……

「さい……はら、くん……!」

「しゅう、いちぃ……!」

 水着に包まれた二人の身体。豊満で女性の持つ魅力の豊かさに富んだ赤松さんの白い肌と、小ぶりだか出るところは出ており、男の目を釘付けにする小悪魔の様なアンジーさんの褐色の肌。

 その二人が惜しげもなく肌を晒し、それを僕に見せ付けてくるのだ。カラフルで可愛い水着に包まれた体の部分を想像した僕は、その生々しい想像にゴクリと唾を飲み込んだ。

「あっ……!」

 そんな悩ましい時間は突如として打ち切られた。アンジーさんの短い悲鳴を聞いて我に返った僕が見たのは、マットの上に崩れ落ちるアンジーさんの姿だった。

「ん~……ドジっちゃったよ~……!」

「……アンジーさんが倒れた、ってことは……!」

「あ、赤松さんの勝ちだね……」

 ぺしゃりと床に身を伏せるアンジーさんの胸が圧迫されていることを目の端で見つつ、その部分から視線をそらした僕は赤松さんの勝利を宣言した。それを聞いた赤松さんは嬉しそうに笑うと、そのままの姿勢から飛び上がる。

「やった~~~っ!!!勝った~~~っ!」

 僕は赤松さんに対してこの勝利がそんなにも嬉しいのかと内心で苦笑した。まぁ、確かに負けられない勝負ではあったみたいだし、内容も白熱していたから仕方が……

「はっ……!」

 そう考えていた時、世界がスローモーションになった。同時に僕の視線はとある一点に集中する。

 赤松さんの大きな胸を隠すピンク色の水着……きっと無茶な体勢の連続で留める為の紐が緩んでいたのだろう、それが何の前触れも無くはらりと床に落ちてしまったのだ。

 その事に気がついたのは僕だけでは無い。嬉しそうに飛び跳ねていた赤松さんも、床でブーたれていたアンジーさんも、全員が水着の取れた赤松さんの胸に注目していた。

「……あ」

 動きを止めた赤松さんがまるでロボットのように首を動かして自分の胸を見る。隠すものが何も無い、大きくて白い胸があらわになっていることを見て取った後、僕に視線を向けていく。

「あ……あ……!」

 赤松さんの顔がみるみるうちに真っ赤になっていく瞬間、その全てを見ながら固まっていた僕だったが、その空気をぶち壊したのはアンジーさんだった。

「お~!楓のおっぱいおっきいね!触っても良い?」

「あ、あ、あ……いやぁぁぁぁぁぁっっ!」

 その言葉がトドメになったようで、赤松さんは顔を真っ赤にすると叫びながらとなりのAVルームに走り出して中に閉じこもってしまった。床に落ちている水着を取り忘れている所から察するに相当慌てていたのだろう。そう考える冷静な僕に反して、脳の大半は今見た映像をなんどもリピートしてしまっていた。

(み、見てしまった……あ、赤松さんのおっぱ……!)

 大きかったな。白かったな。柔らかそうだったな……!下種な事をと言われればそれまでだ。だが、青少年の思考を一緒国染め上げるほどの威力がそこにはあるのだ。

「ねーねー終一、ちょっと良い?」

 そんな事を考えていたらアンジーさんに肩を叩かれた。慌てて僕は気を落ち着かせて彼女の方を見る。ここでまた変態疑惑が出てきても困るわけだし……

「ん、これで楓と同じだね~!」

 だが、僕の冷静な思考はそこで停止した。一体なぜか?答えは簡単だ。そこに上の水着を取ったアンジーさんの姿があったからだ。

 絶対にこれは72cmって大きさじゃない……先ほどの赤松さんのものと比べてもそう確信できるサイズのおっぱいが目に映る。褐色で、開放感のある胸が、まさに僕の目の前で解放されているのだ。

「にゃはは~!終一はどっちのおっぱいが好きかな~?きっとアンジーのだよね!」

 最後にそれだけ言い残すと、アンジーさんは赤松さんの残した水着を手に取りAVルームへと続くドアを開けて中に入ってしまった。残された僕はポケットからティッシュを取り出し、ツイスターゲームを見て心に決める。

(もう二度とこのゲームはやらないぞ……!危険にもほどがある品物だ……!)

 この日、部屋に帰った僕はこれを部屋の金庫にしまうと、硬く封印を施したのであった。

―――回想終了

―――翌日 中庭

最原(き、昨日は結局色々あって気の休まる暇なんか無かった……。せめて今日、少しでも楽な相手をと思ってたんだけど……)

茶柱「さぁ、最原さん!今日は転子と一緒ですよ!変な事を考えたらぶん投げますからね!」

最原(物理的に厳しい人が来たなぁ……)

茶柱「今回のことは転子が悪かったとはいえ、最原さんも気合を入れていればスケベな心を持たずにすんだわけですよ!」

最原「ソ、ソウダネー」メソラシー…

茶柱「やはり精神的な修行が足りないんです!もっと自分を鍛え上げてください!」

最原「ウン、ソウスルヨー」メソラシー…

茶柱「……最原さん!ふざけているんですか!?転子のまじめな話を聞き流して、適当に返事するなど言語道断ですっ!」ビシッ!

最原「……いや、仕方が無いじゃないか」

茶柱「仕方が無いとは何ですか!人と話すときは目を見て話せって習わなかったんですか!?」

最原「む、無理だって……!」

茶柱「どれだけシャイなんですか!これだから男死は……!」

最原「そうじゃなくって!ふんどしとサラシしか身に着けてない茶柱さんの事をジロジロ見れるわけないでしょ!」

茶柱「なんですか!?この格好に問題があると言うおつもりですか!?」

最原「大ありだよ!それ、水着と言うよりかは下着に近いからね!むしろ江戸時代だったら完璧に下着だからね!」

茶柱「て、て、て、転子の事をいやらしい目で見ないでください!このエロ男死!」

最原「理不尽だ!横暴だ!」

最原(百歩譲って胸のサラシは良いよ?普通の水着より面積多いし、ポロリの心配も無いからさ!でも、でも……ふんどしは不味いでしょうが!)

茶柱「ちなみに最原さん、転子の後ろに回り込んだら問答無用で投げ飛ばしますのであしからず!」

最原「ゴルゴ13!?ちょっと待ってよ!茶柱さんもその格好に問題があるってわかってるんでしょう!?」

茶柱「黙ってください!転子には……転子には、引けない時だってあるんですよ!」

最原「……それ、丸見えのお尻を引き換えにしなきゃいけない位に大事なことなの?」

茶柱「セクハラですか!?このスケベ男死!」

最原「完全に濡れ衣だよね!?」

茶柱「うぅ……本当に転子以外にもこんなものを買った人はいるんでしょうか?モノスケはふんどしは一つ売れたって言ってましたけど……」

最原(……多分、春川さんだな。室内で合法的に露出できるから……って、考えるのは失礼だろうか?)

茶柱「とにかく!今日は必ず転子の前を歩いてください!もしも転子の後ろ姿を見たら……極めます!」

最原「恐いよ!もう今からでも良いから着替えて来てよ!」

モノクマ「やっほー!そうはさせないよ!さぁ、今日のお仕事に行ってみようか!」

最原「うげぇっ!?なんでこのタイミングでくるんだよ!?」

モノクマ「僕は視聴者の声を代理しているに過ぎないよ。このままお尻丸見えの茶柱さんの事を見たいって思ってる人が大多数だろうから、そのままでいさせるために出てきたのさ!」

最原「え?何、どういう意味だ?」

モノクマ「まぁまぁ、あまり気にしないでよ!それにしても二人ともラッキーだね!今日のお仕事はあっという間に終わるよ!」

最原「えっ!?そ、そうなの?」

モノクマ「そうです!今日は本当に数分あれば終わるお仕事なのです!」

茶柱「や、やった……!はやくそのお仕事を終わらせましょう!この服装で外を歩くなんて拷問です!」

最原(……本当になんでその格好で来たんだろう?)

モノクマ「……あ!もしかしてここに来る途中で見かけた気絶してる人たちは茶柱さんがやったの?」

茶柱「そうですとも!すれ違いざまに転子のお尻を見てやろうと言ういやらしい心がみえみえだったので、王馬さんと百田さんと真宮寺さんと入間さんは投げ飛ばして気絶させておきました!」

最原(なんてはた迷惑な……と言うよりも、一人女子が混じってないか?)

モノクマ「ふ~ん、まぁいっか!それじゃあ、早速仕事場に行くよ~!」スタスタ

茶柱「誰か来たらすれ違いざまに投げる……!誰か来たらすれ違いざまに極める……!」ブツブツ…

最原「もう完全に通り魔だよね……?」スタスタ…


―――地下プール ウォータースライダー入り口

モノクマ「いやぁ、悪いねぇ!ウォータースライダーに新コースを増設したから、その感想を聞きたいんだよ」

最原「……安全なんだろうな?」

モノクマ「もちろん安全だよ!……多分」

最原「今、多分って言わなかったか!?」

モノクマ「……チッ、うるせえ奴だなぁ……はいはい、安全性に問題はありませんよ。おそらくね」

最原「やっぱり危険なんじゃないか!」

モノクマ「大丈夫だって!ちょっとスピードが出すぎるって問題はあるけど十分予測の範囲内だし、怪我をすることは無いはずだよ」

最原「……どの道やらなきゃいけないんだろうからやるけど、何かあったら恨むからな……!」

茶柱「………」ゴクリ…

最原「それじゃあ茶柱さんはそっちのコースをお願いね。僕はこっちから滑るから」

茶柱「えっ!?あ、は、はい!わかりました!」

最原「それじゃあ、先に行くね。……それっ!」ピュー…

茶柱「………」クルッ

茶柱「………」ソローリ…

モノクマ「……茶柱さん、なに逃げようとしてんのさ?」

茶柱「!?」ビクッ!

モノクマ「ほら、君も行くんだよ。さもないと終わらないよ?」

茶柱「え、えっと……ちょっと、心の準備をさせていただけません……」

モノクマ「問答無用!れっつ、ごー!」ドンッ!

茶柱「ひっ!うにゃぁぁぁぁぁぁっ……!」ズザーッ!

モノクマ「ふ~、いい仕事したなぁ……!さ、かーえろ!」スタスタ…

―――以下 最原の回想

「うにゃぁぁぁぁぁっっ!!!」

 茶柱さんのことを心配して彼女が滑ってくるはずのレーンを覗きこんだ僕の耳に謎の叫び声が聞こえてくる。その声を聞いて固まっていた僕の目に、肌色の物体が猛スピードで接近してくる様子が映った。

「ぶっ!?」

「ふぎぃぃっ!?」

 本当にとんでもない速度だった。僕はとっさに避ける事も叶わずに固まったままそれを顔面に受ける。

 ものすごく痛いが、触れた途端に柔らかく張りがある事がわかったそれの正体が茶柱さんのお尻だと言うことに気がついたとき、僕はプールの底に沈んでいた。

 なんと言う強烈なヒップアタックだろう。痛みと共にお尻の感触がまだ顔全体に残っている。というより、どうやったらあんな姿勢でスライダーを滑ってくるのだろうか?そんな事を考えた僕だったが、このまま水の中にいては窒息してしまうため、大急ぎで水面から顔を出して息を深く吸った。

「あ……!」

 気がつけば鼻血を出していた。これはあくまで顔面に強い衝撃を受けたからであって、不埒な妄想をしたからではない。確かに茶柱さんのお尻を顔面で受けたがこれはその時の衝撃で出たものであって、決して柔らかさとか感触とかを思い出して噴出した鼻血では無いのだ。

「だすっ、助けてください~~っ!だ、だれか~~っ!」

 そんな風に誰に対してかわからない言い訳を繰り返していた僕だったが、後ろの方で水面をもがく音と助けを呼ぶ声がする事に気がついて振り向いた。すると、そこには半泣きでじたばたと暴れまわる茶柱さんがいるではないか。

「だ、大丈夫!?足でもつったの?」

「あ、ああ!最原さん!たずけでくだざ~い!」

「わっ!?ちょ、ちょっと!?」

 心配して駆け寄った僕に対して、半泣きの茶柱さんは一心不乱にしがみついてきた。思いっきり抱きしめられているせいか、大きな彼女の胸も思いっきり僕の体に押し付けられており、その感触をたっぷりと味わう事になってしまう。

「じ、実は、転子は泳げないんです!さ、最原さんに放されたら溺れ死んでしまいます!どうか!どうか情けを!」

「ちょっと!お願いだから落ち着いて……うわっ!?」

 大声で喚き散らす茶柱さんは腕どころか脚も使って僕に絡み付いてきた。腰と腰が密着する感触に顔を赤くしながら、僕は必死に茶柱さんを宥めようとする。

「おち、落ち着いて茶柱さん!ここ、足付くから!」

「……え?」

 僕のその一言に我に返った茶柱さんは、そっとプールの底に足を付いた。そのままゆっくりと僕の顔を見て、次いで僕に抱きついている自分の姿を見る。

「……あ、あ……!」

 一目でわかった、これは不味い。現状、僕に抱き付いて密着している茶柱さんと、鼻から血を垂らしている僕。なにかこう、壮大な勘違いをされることは間違いない組み合わせだろう。

「この……破廉恥男死ーーーっ!」

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 その予想通り、顔を真っ赤にした茶柱さんによって僕はプールサイドまで投げ飛ばされた。最後の最後まで彼女に対する理不尽さを感じながら、この場所で気を失った僕の一日は唐突に終わりを迎えたのであった。

―――回想終了

―――これまた翌日 4Fコンピュータルーム

入間「ひゃっはー!今日は俺様と一緒だぜ!ダサイ原ごときが俺様と一日を過ごせる事に感謝しな!」

最原「……もうやだ、なんでこんなに問題がある人が連続で来るんだよ……?」

入間「まぁ、安心しろよクサイ原!今日はゲーム空間に入ってのお仕事だ!美人過ぎる俺様に欲情しなくて済むぜ!」

最原「………」

入間「ゲームのアバターだとしても俺様は美人だから、溢れるエロスでおっ起っちまってもしかたがないけどな!ひゃ~っはっは!」

最原「……はぁ」

入間「うぅ……。反応してよぉ……!寂しいじゃんかよぉ……!

―――数時間後

最原「……仕事は何事も無く終わったぞ。逆に意外だな……」

入間「それも有能な俺様のおかげだからな!感謝して敬って崇め奉れ!ひゃ~っはっはっは!」

最原「あ、うん。今回は素直に認めるよ」

入間「ひぃぃ!まともに褒められた……!間違いなくこの後ヤバイことが起きるぅ……」

最原「じゃあどうしろって言うのさ……?まぁ、いいや。さっさとログアウトしよう」

入間「そ、そうだな!それじゃあ電話の所へ行って……入間美兎っと」シューン!

最原「……僕も行こう。最原終一……」シューン!

最原「……ん。現実世界に戻ってきたみたいだな。おや?」

王馬「あはははは!ほら、こっちだよ~!」

入間「返せっ!返してくれよ~っ!」

最原「王馬くん?なにやってるの?」

王馬「あ、やっと最原ちゃんが起きた!にしし!ちょっとこれ見てよ!」

最原「……これはあのデジカメ?中に一体何が……?」

―――以下 最原の回想

 王馬くんから差し出されたデジカメの記録を見る僕、そこには驚きの内容が映し出されていた。

 大きく胸をはだけさせている入間さんの写真や足を組んで際どい所で中身が見えない様になっている写真など、かなりぎりぎりのエロスを醸し出している写真がずらりと記録されていたのだ。

「にしし!二人がゲーム世界に行っている間にこっそりとね!せっかくのカメラだもん、使わなきゃもったいないよね!」

 悪びれずそう言う王馬くんに呆れながらも、よくもまぁこんなに色々な構図を思いつくものだと感心してしまう。ボタンを操作していけば、まだまだ別の写真が映し出されて行った。

「や、やめろよぉ!見んなよぉ……!」

「とか何とか言っちゃっても、ほんとは見られて嬉しいんでしょ?入間ちゃんはドスケベだからなぁ!」

「ひぐぅ……そ、そんなには嬉しく無いもん……!」

「じゃあちょっとは嬉しいんだね?最原ちゃん、了承も取ったし、思う存分見てやってよ!」

「ああっ!そんなぁ……///」

 コントみたいな二人のやり取りを聞きながら、僕の指はボタンを押し続けていた。次々に映し出される入間さんの胸の谷間、太めの太もも、ぎりぎり見えないスカートの中身を写真越しに見つめていく。

「も、もう、本当に止めろって!」

「あっ……!」

 流石に我慢の限界だったのか、僕の手からデジカメを叩き落した入間さんが赤い顔をしたままそれを拾い上げようとする。その時、僕は見てしまった。

 ひらりとはためいたスカートの中身、背中側から広がったそれの下にある柔らかな曲線、桃の様な形のそれを……

「もう消す!このカメラも没収するからな!」

 大慌てでデジカメ内のメモリーを消去する入間さん、でも、もう遅い。

 今の一瞬の光景は、すでに僕の脳内に焼きついて離れなくなってしまったのだから……

―――回想終了

王馬「……にしし、俺のおかげで良い物が見れたでしょ?感謝してよね、最原ちゃん!」

最原「お、王馬くん……!」

王馬「春川ちゃんはスレンダーだからね。たまには多少下品でも肉感のある女の子も見てみたいでしょ?」

最原「え、えっと……」

王馬「……でもま、ああいう女の子を自分好みに開発していくのって燃えるよね!俺、春川ちゃんはいい素質を持ってると思うんだよな~!」

最原「………」

王馬「にしし!それじゃあ俺は帰るね!また遊ぼうね、最原ちゃん!」

最原「……僕も帰るか、明日に備えよう……」

―――翌日 2-A教室

最原(……今日は夢野さんと一緒に空き教室の掃除を言いつけられたんだけど……)

夢野「んあ~……」zzz…

最原「寝ちゃってるよ……。まぁ、仕事もほぼ終わりだし、後は僕一人でやっておくか……」サッサッ…

夢野「んあ~……んあ~……んあ?」

黒光りする何か「」コソコソコソ…

夢野「んあ~っ!?」ガバッ!

最原「うわぁっ!?ゆ、夢野さん!?」

夢野「ごごごご、ごきっ、ごきっ、ごきいぃぃっ!?」

最原「えっ……!?あぁ、安心してよ。ほら、ただのごみだって」

夢野「んあ?本当か?」

最原「ははは、よく見てみなよ。きっと寝ぼけてたから見間違えたんだよ」

夢野「なんじゃ、人騒がせなゴミめ。危うくこの教室ごとウチの魔法で消し飛ばしてしまうところじゃったぞ」

最原「それにしては慌ててたみたいだけど?今も僕に抱きついて離れようとしないしさ」

夢野「んあ~!ウチを馬鹿にするでない!そんなこと言うとおぬしを……っっ!?」ビクッ!

最原「……?夢野さん、どうか……」

夢野「さ、最原よ。一生の頼みがある……!」

最原「え……?」

夢野「う、ウチを、このままとある場所に連れて行って欲しいのじゃ……」

最原「このままって……抱きかかえたままってこと?なんでそんなこと……?」

夢野「……なんじゃ」

最原「え?」

夢野「お、おしっこが、漏れそうなんじゃぁっ!」

―――以下 最原の回想

「た、頼む最原……もっと、ゆっくり……!」

「ご、ごめん……」

 僕は何で謝っているんだろうと思いながらそっと足を前に進ませる。お姫様だっこされた状態で身を強張らせる夢野さんは顔を青くしながら必死に尿意に耐えているようだ。

「す、すまん……出来ればゆっくり急いでくれ……!」

「い、いや、そんなの無理に決まって……」

「んあ~!揺らすでないっ!んひっ!お、大声も出させるでない……!」

 ぶるぶると震えながら必死に耐える夢野さんを見ながら僕もあせり始めていた。もしもこんなところで夢野さんに恥をかかせることになったら、僕の明日は無い。間違いなく茶柱さんに消されてしまうだろう。

 幸いな事に女子トイレまでの距離はそう遠くない。ただ一つの難関を除いてはなんとかなりそうな雰囲気ではあった。

「……夢野さん、覚悟は良い?」

「う、うむ……!」

 眼前に広がる下りの階段を見ながら、僕と夢野さんは同時に息を飲み込んだ。ここを降りればトイレまではすぐそこだ、そう、降りることが出来れば……

「う、ウチは覚悟を決めたぞ……!最原よ、頼む……」

「じゃあ、行くよ……!」

 そっと下りの一歩目を踏み出す。ただ歩くよりも落差が出来た分、大きな振動が夢野さんに伝わる。

「ひぃ……んっ……!」

 目を硬く閉じ振動に耐える夢野さんの口からは、喘ぎ声にも似た悲鳴が漏れ出ていた。幼い雰囲気の夢野さんの口からそんな声が出ると言う事に不覚にもドキッとしてしまう。

「あ、あぁ……最原ぁ……!ウチ、お腹が痺れてぇ……っ!」

「が、頑張って!あともう少しだから!」

「ひっく……あぁっ、や、さしく、たのむ……」

 声だけを聞くとなんだか危ない感じがする僕たちの会話。それでも、僕と夢野さんの表情は真剣そのものだ。

「ほら、もう少しだから!もうちょっと我慢して!」

「最、原ぁ……!っく、も、もうっ……!」

 我慢の限界を伝える夢野さんの表情はとても愛くるしかった。羞恥に染まった頬、潤んだ瞳、濡れたと息を吐き出す口……いつもの可愛い表情とはまた違う、嗜虐心をそそられるその表情に心臓が高鳴る。 
 

 もしここで僕が足を止めたらどうなるだろうか……?不意に湧き上がった欲望が悪魔のように僕に囁く。

 僕の腕の中で子供のように大声で泣き喚きながらお漏らしをしてしまう夢野さんの姿を想像した瞬間、足が止まりかけたのは事実だ。でも、それ以上に夢野さんの事を大切に思う僕の気持ちが勝った。

「ついたよ夢野さん。そっと降ろすからね……」

「あ、あぁ……ありがとう、最原……!」

 僕の腕から降ろされ地面に足をついた夢野さんは、生まれたての小鹿のような震える足で女子トイレの中に消えて行った。

 その背中を見送ったあと、僕はそっとその横の壁にもたれかかって自分の最悪の考えを恥じる。だが、同時にこうも考えてしまった。

(もし、あのまま欲求のままに動いていたら、今頃あの妄想は現実になって……)

 背徳感に背筋が震える。なんて恐ろしい事を考えるんだと自分を責める。

 それでも……湧き上がってしまった自分の嗜虐心を抑えきることは、僕に出来そうに無かった。

―――回想終了

―――翌日 作業最終日 図書室

赤松「………」

最原(……今日で作業の最終日。これが終われば女子の皆のおしおきは終わって、いつも通りの日々に戻れる……けど、なんだか赤松さんの様子が変だぞ?)

赤松「………」

最原(ずっと黙ったままで、何も話してくれない……僕、何かしちゃったかな?)

赤松「……ねぇ、最原くん」

最原「あ!な、なに?」

赤松「……その……君の事、疑っちゃって本当にごめんね……っ!」ポロポロ…

最原「!?」

赤松「いつも君には助けられてばっかりで、良い人だってわかってたはずなのに……それなのに私、最原くんにあんなにひどい事を……!」

最原「な、泣かないでよ赤松さん!僕、全然気にして無いから!」

赤松「……ううん、そんなこと言わなくて良いよ。私が最原くんだったら、私のこと絶対に許さないと思うもん」

最原「そんなこと無いって!」

赤松「私、酷い奴だもん……あんなに優しくしてくれた最原くんを変態扱いして、モノクマにおしおきさせようだなんて……一歩間違ったら、何の罪も無い最原くんが酷い目にあってたって言うのに、それなのに、私は……!」

最原「ああ、もうっ!」ギュッ!

赤松「きゃっ!?……さ、最原くん……?何してるの?」

最原「……僕、本当に気にして無いから……赤松さんのこと、嫌いになんかなって無いから……!」

赤松「え……?」

最原「ぼ、僕だって、皆に誤解される様なことをしてたのが悪いんだよ……!悪いのは、女子の皆だけじゃないから、だから、赤松さんがそんなに気にすることは無いんだよ!」

赤松「最、原くん……!」

最原「だからそんな悲しい顔しないでよ……。赤松さんがそんな顔してるの見ると、僕も悲しくなるんだ……だから、だから……っ!」

赤松「……ありがとう、最原くん……!」ギュッ…

最原「あ……っ!」

―――以下 最原の回想

 赤松さんの腕が僕の背中に回る。背中に触れる温かい手の感触に僕の口から自然と吐息が漏れた。

「私、本当に馬鹿だね……こんな風に最原くんを困らせてばっかりでさ……」

「そんなこと無いよ。僕は赤松さんの優しさに何度も救われてるんだからさ……」

「あっ……!」

 ぎゅっと、彼女を慰めるように腕の力を強める。僕に抱き寄せられた赤松さんの口から熱い吐息が漏れ、僕の首筋に触れた。

「……最原くんって、意外と女の子の扱いに慣れてるんだね。こんな風に抱きしめて慰めるなんてさ……」

「えっ?あっ!こ、これはその……」

「……ふふ、やっぱり違うか」

 そっと顔を上げた赤松さんが僕の瞳を見つめる。ほんの数センチしか離れていない彼女が優しく微笑み、口を開く。

「『こんなことするのは、君だけにだよ』……そう言って、優しくキスの一つでもすれば、女の子なんて簡単に落ちちゃうんだから……!」

「~~~~~っっっ!!!???」

「……あ~あ、もう、頑張ったんだけどなぁ……」

 ぷくっと頬を膨らませた赤い顔の赤松さんが不満げに呟いた。その表情がいつもの明るい彼女のものであることに気がついた僕は安堵するが、同時に不安も覚える。

 彼女に恥をかかせてしまったのではないか……あそこまで言ってくれたのに、何も出来なかった僕は男としてどうなのだろうか?そんな情けない事を考えてしまう。

「ねぇ、最原くん。一つだけ覚えておいてね」

 そんな僕の不安げな表情を見て取ったのか、少し悪戯っぽい笑みを浮かべた赤松さんは、それでも真面目な口調でこういってくれた。

「……女の子が抱きしめられて、何の抵抗もしなかったら……それは、あなたの好きにしてって事なんだよ?」

「え……!?」

「……そう言うことだから、覚えておいてね?最原くん……!」

 それだけ言い残すと、赤松さんは手早く仕事に取り掛かって行った。取り残された僕は更に顔を赤くして今の言葉の意味を考える。

 ……いや、考えるまでもないのだろう。そういう事なのだ。赤松さんは、後は僕の勇気だけだと言っているのだ。

 そっと自分の左胸に手を当てる。やっと落ち着いてきた心臓の音を聞きながら深く息を吐く。

(次、こそは……!)

 まだ今は行く勇気が持てない。そんな臆病な自分の事を情けなく思いながら、僕は次のチャンスこそはモノにするぞと家宅決心したのであった。

―――回想終了

―――その日の夜 食堂

最原「ふぅ、一時はどうなるかと思ったけど……」

百田「これでおしおきは終了だな!」

白銀「良かったよ~、これで安心して熟睡できるね!」

王馬「ちぇ~、もう少し派手にスカート捲りとかやっときゃ良かったな~!」

入間「ふ、ふざけんな!そんな馬鹿な真似したらぶっ飛ばすからな!」

赤松「まあまあ、もうこれで終わりなんだし、そんなに興奮しなくても……」

モノクマ「と、思った~?残念!まだもう少し続くのです!」

全員「!?」

茶柱「ま、まだおしおきが続くですって……!?もう、全員仕事をこなしたじゃないですか!?」

夢野「最初の約束と違うではないか!?ウチらを騙したのか!?」

星「……落ち着け、きっと何か追加があるってことだろ」

真宮寺「ククク……まぁ、そんなところだろうネ。ここは話を聞こうじゃないか」

モノクマ「うぷぷ、そんなに構えないでよ。このおしおきは自由意志だからさ!」

春川「自由意志のおしおき?話が見えないんだけど」

モノクマ「このおしおきを受けるのはたった一人!やるかやらないかも君たちの手に委ねられているよ!」

百田「はぁ?そんなのやらねぇに決まってるじゃないかよ」

東条「そんなのおかしいわ、きっとやらないととんでもない罰を与えるとか言うつもりよ」

モノクマ「信用がないなぁ……ボク、ちょっと悲しくなって来たよ、グスン」

キーボ「白々しい……泣き真似なんかしても意味はありませんよ!」

モノクマ「本当にやるかやらないかは自由なんだって、それを決めるのはボクじゃなくって……最原くんだからさ」

最原「ぼ、僕が!?」

王馬「ふ~ん……なんか面白そうじゃん。モノクマ、詳しく教えてよ!」

モノクマ「はいさ!ではでは、まず最原くんにはこれを渡しておきます!」つ首輪

最原「これは……首輪?」

モノクマ「それは『言いなり首輪』って言ってね、つけた人を文字通り言いなりにしちゃう秘密のアイテムなのだ~!」

全員「!?」

モノクマ「期間は装着してから一日間!その間、つけられた人は最原くんの思うがままになっちゃうすごい道具なんだよ!夢が広がりまくるよね~!」

茶柱「な、なんですかそれ……?そんなの、まるで奴隷じゃないですか!」

モノクマ「うん、奴隷だよ」

茶柱「え……?」

モノクマ「女子たちへの最後のおしおきはね、最原くんから行われるものなんだよ。君たちが犯人だと騒ぎ立てて心を傷つけた最原くんに、ボクは復讐のチャンスをあげようって言うんだよ!」

最原「ふ、ふざけるな!僕はそんなこと望んじゃいない!」

モノクマ「……あ、そう?それならそれで良いんだよ。そのまま持ってて、使わなきゃ良いだけなんだ」

最原「え……?」

モノクマ「首輪はこの学園内に居る限りは何時でも使えるからね!気が向いたら使えば良いし、気が乗らなかったら使わなくて良いんだよ!言ったでしょ?君たちの自由意志に任せるってさ!」

赤松「ほ、本気なの?最原くんが望まなければ、その首輪は使わなくて良いの?」

モノクマ「うん、最初からそう言ってるでしょ?じゃあ、ボクは伝えることは伝えたから帰るね。ばいなら~!」ピューン!

キーボ「……行ってしまいましたね」

百田「な、なんだよ……まだおしおきが続くって言うから身構えちまったけど、そういうことなら安心だな!」

赤松「そうだよ!最原くんがそんなひどいことするわけがないしね!」

王馬「……ねぇ、最原ちゃん。一応その首輪の説明書を読んでみたら?」

最原「え……?」

王馬「一応だよ!見てみるのはただなんだから良いでしょ?」

最原「う、うん……じゃあ、見てみるよ……」ペラ…

 言いなり首輪 説明書

 この首輪は装着者の脳に干渉し、指定された人物の命令に逆らうと言う選択肢を消滅させる電波を放射するものです。

 効果は最長で一日間、使用しない限りはほぼ一生効力が失われることはなく、何時でも使用出来ます。

 装着の際にはモノクマが立会い、全裸になった装着される人物に直接首輪を取り付けます。これは、首輪の電波を妨害するジャミング装置を装着者が持って居ない事を証明するための措置です。

 装着してから24時間経った時点で首輪の効力は失われます。以後、装着者にはなんの後遺症も残りません。

 また、何も命令しないで一日が経つという萎えることを避けるために、使用した時点でモノクマがノルマとなる命令を幾つか使用者にお教えします。必ず、その命令は実行してください。

 以上のことを確認して、楽しいご主人様ライフをお過ごしください。

最原「……だってさ」

茶柱「装着の際に全裸になれ!?なんて破廉恥な首輪ですか!?」

白銀「いや、人に首輪の時点でだいぶ破廉恥だからね?」

夜長「でもでも~、終一が使わなければなんの問題もないよね~?」

百田「そうだぜ!終一がこんなばかげた物を使うわけがねぇ!な、終一?」

最原「あ、ああ、もちろんだよ!」

王馬「……本当に使わないの?」

最原「えっ……!?」

王馬「俺はすぐに使ったほうが良いと思うよ。出来れば今すぐにでもね……!」

獄原「な、なに言ってるの王馬くん!?ゴン太、最原くんにそんな酷い事させたくないよ!」

茶柱「きえぇぇっ!まさに卑猥な男死ですね!最原さんからおこぼれをもらって、女子にえっちなことをするつもりでしょう!?」

赤松「王馬くん!冗談にしても酷過ぎるよ!」

王馬「冗談?俺は大まじめに話してるけど?」

入間「ふ、ふざけんな!お前の魂胆はわかってるんだぞ!どうせ俺様のセクシーボディを好きにしようってんだろ!?エロ同人みたいに!」

東条「待って入間さん!……王馬くん、教えて頂戴。あなたがそこまで言う理由はなんなの?」

王馬「え~、そんなの簡単だよ!……人が死なないようにするためだよ……!」

最原「ひ、人が死ぬ?」

百田「どういう意味だよ!?」

王馬「皆、一緒に考えてみようよ。もし明日、再びコロシアイが再開されたとして……最原ちゃんの持つそれが効力を失うと思う?」

夢野「ど、どういう意味じゃ?」

王馬「……女の子一人を好きに出来る首輪。それを使って最原ちゃんが殺人を犯さないなんて確信が、いったいどこにあるのさ?」

全員「!?」

王馬「春川ちゃんでも茶柱ちゃんでも良い……自分以外の14人を殺せ、って命令したら、もうほとんど最原ちゃんの勝ち抜けは確定だよ?」

入間「あ……あぁ……っ!」

王馬「もし殺害計画が失敗したとして、最原ちゃんは困ることは無いよね?だって、犯人が分かってるんだからさ!学級裁判も楽勝だよ!」

最原「ぼ、僕はそんなこと絶対に……!」

王馬「うん、しないよね。俺はそう信じてるよ。でも、だからこそ言ってるんだよ」

最原「は……?」

王馬「……皆は信じられる?これからさき、どんなことがあっても最原ちゃんを信じてあげられる?人をノーリスクで殺せる凶器を持った最原ちゃんの事を、絶対に信じてあげられる?」

王馬「……出来ないよね?だとしたらさ、一番確実に安全を確保する方法って、最原ちゃんを排除することだと思わない?」

最原「!?」

赤松「だ、誰かが最原くんを殺そうとするってこと!?」

王馬「そうだよ。そして、その誰かには赤松ちゃんがなってしまう可能性だってあるんだよ?」

赤松「っっ……!」

王馬「……でも、俺が今言った可能性はすぐにその首輪を使うことで消えてなくなる。もちろん女子のうち誰かは苦しむ事になるだろうけど……それでも、死ぬことよりはましだよね?」

夢野「それは、そうじゃが……」

王馬「でも、だれよりも危険なのは最原ちゃんだよ?どうしてもその首輪を使うなって言っている人は、最原ちゃんに[ピーーー]って言ってるって事に気がついてる?」

百田「………」

王馬「……ねぇ、皆はどっちが良い?ああ、あんなことあったねって後で笑い話としてこの首輪の事を話すか、冷たくなった最原ちゃんの死体を見つけて、誰がクロなんだろうねって学級裁判で話すの、どっちがましだと思う?」

全員「………」

王馬「……でも、それを決めるのは最原ちゃんさ。一応、俺は忠告はしたよ?最原ちゃんは何が一番正しい道なのか良く考えて行動してね」

最原「………」

―――寄宿舎 最原の私室

最原「どうすればいいんだ……?」

最原(この首輪がとてつもなく危険なものだってことはわかってる。出来る限り早く使ってしまった方が良いってこともだ。でも、そんなことしたら女子の誰かが苦しむ事になる!)

最原(そんなこと出来ない……!でも、そうしなきゃ皆の不和の元になる。もしもこれのせいでコロシアイが起きたら、僕は一生後悔することになる!)

最原「僕は一体どうすれば……?ん?」

最原「ドアの所になにか……?これは、手紙?何通かあるぞ」

最原「……全部で2通か、中身を読んでみよう」

『最原くんへ、あの首輪のことで話があります。もし良ければ、私の部屋に来てください。赤松楓より』

最原「……赤松さんからか、文面からして、きっと自分に首輪を使えって言ってくるんだろうな……もう一通は?」

『最原へ、もう手紙を出した理由はわかってるよね?あんたの力になりたいんだ。良ければ、私の部屋に来て 春川』

最原「春川さん……彼女も僕の事を気遣ってくれてるのか……」

最原(……どうする?手紙をくれた二人はきっと自分に首輪を使えって言うつもりだ。それを承知で相談しに行くか?それとも、もう少し一人で考えてみるか?)

 ……どうする?(ここで行かなかった所で、この後首輪を使用するときに選択できなくなるわけではありません)

1、赤松の部屋に行く

2、春川の部屋に行く

3、もう少し一人で考える

ここから10こ下までの回答で決定

―――春川の部屋

最原「………」

春川「来たね。とりあえず入りなよ」

最原「……うん」

春川「……手紙を読んできたんだよね?なら、私が何を言おうとしてるかも察しがついてるはずさ」

最原「……本当に良いの?」

春川「じゃなきゃあんな手紙渡さないよ。……遠慮すること無いんだよ。私は、あんたの玩具なんだし」

最原「……僕はそう思えないよ。確かにこの間そういう話になったけど、心の底から春川さんを玩具だとは思えない。僕にとって、春川さんは大切な友達なんだ……」

春川「………」

最原「だから、そんな春川さんを利用するような真似はしたくない……そんな事したら、本当に君を玩具として扱っているようで、僕は……」

春川「……ごめん、最原。私もちゃんと話すべきだった」

最原「え……?」

春川「私も……あんたの事、大切な友達だって思ってる。ご主人様だとも思ってるけど、それより前に友達だってちゃんと思ってる。ここにいる皆の事だって、大切に思ってるんだ」

春川「だからこそ、私にその首輪を使って欲しいんだ。その首輪が原因で誰かが死ぬ事を避けるためにも、それは使ってしまった方が良い。なら、誰に使うべきだと思う?……使って欲しいって思う奴じゃないの?」

最原「………」

春川「皆を守りたい、誰にも死んで欲しくない、だから首輪を使って貰おう……そういう自己犠牲の考え方じゃ、必ず心に傷は残るよ。そして、ここにいる皆はそういう考え方をする奴ばかりさ……でも、私は違う。わかってるよね?」

春川「奴隷扱いされたい、あんたの言いなりになりたい……そんな願望を持つ私なら、奴隷扱いも楽しめる。こんな変態を利用しなくてどうするってのさ?」

最原「……本当に良いの?」

春川「良いって言ってるでしょ?むしろ、こっちからお願いしたいくらいなんだからさ」

最原「……分かった。僕、決めたよ。春川さん……君に、この首輪を使わせてもらうね」

―――以下 最原の回想

「……はい、怪しいものを身に着けていないことは確認しました。ではでは!最原くん、やっちゃってください!」

 モノクマの言葉に覚悟を決めながら首輪を広げる。そして、目の前に立つ春川さんを見つめた。

 首輪の説明書にあったとおりに素裸になってボディチェックを受けた春川さんは、その体を隠すことなくその場に立っていた。表情に多少の羞恥は見受けられるが、それも楽しんでいるようだ。

(……前にも思ったけど、綺麗な体だよな……)

 不謹慎ながら、そんな事を考えてしまった。起伏の乏しい身体ではあるが、バランスの整った春川さんの体はシミも怪我もない真っ白な肌と相まって非常に綺麗に見える。

 そして、そんな中にも感じられる女性としての部分を見たとき、僕の顔は真っ赤に染まってしまったのであった。

「……ごめんね。見てて楽しい裸じゃないでしょ?」

「あ、いや!そんなことないよ!」

「ふふふ……♡それじゃあ、私の体を見て興奮したんだ?」

「う、その……」

「冗談だよ。そんなに固くならないで……すべき事は分かってるよね?」

 僕の緊張を解きほぐそうとしてくれたのか、はたまた自分の快感のためなのかは分からないが、春川さんはそう言って微笑んだ。その笑みを見ながら僕も覚悟を決める。

「それじゃあ……行くよ?」

「はい。お願いします、ご主人様……♡」

 首輪を持った手を彼女の首へと伸ばす。白くて細い首にそれを巻きつけた後、僕は首輪の止め具をきつく締めた。

「……はい、これで春川さんは24時間最原くんに逆らうことができなくなりました。あと、これがノルマの命令ね!ちゃ~んと言う事を聞かせるんだよ!」

 見つめ合う僕と春川さんに一枚の紙を残して、モノクマは部屋から去って行った。沈黙と共に残された僕たちはそのまま見つめあい、やがて口を開く。

「……なっちゃった。正真正銘、最原の奴隷に……!でも、なんでだろうね?恥ずかしくも苦しくも無いよ。ただただ、嬉しくて……気持ち良いんだ……♡」

 そう言うと、春川さんは今まで見せた事の無い表情をして笑った。とても綺麗で、淫らで、純粋な笑み……その笑顔に胸を高鳴らせながら、僕は彼女に巻きついた首輪を指でなぞる。

「……今日一日よろしくね、魔姫……!」

「はい、ご主人様……♡」

 奴隷にされたとは思えないほど幸せそうな声色で、彼女はそう言った。

―――回想終了

春川「……あ、そうだ。あんた、私以外にも首輪を使う様に誰かに言われた?」

最原「え……?あ、うん。一応……」

春川「そっか、じゃあ、後で女子の皆にはきっちりフォロー入れておくから」

最原「そんなことまで任せても良いの?」

春川「ふふふ……まだまだ未熟な奴隷だけど、ご主人様に迷惑はかけないよ。……大丈夫、皆があんたに悪感情を抱くことの無い様にしておくからさ」

最原「……ありがとう、春川さん」

春川「礼には及ばないよ。当然の事をするまでだからさ……それじゃあ今日は解散して……」

最原「……そうはいかないんだよね」

春川「え……?」

最原「……もう少しだけ待って貰って良いかな?今日中にクリアしておきたい命令があるんだ。皆が寝静まったら、外に行くよ」

春川「……うん♡」

―――以下 最原の回想

「はぁ……♡はぁ……っ♡」

 足元で聞こえる春川さんの荒い息遣いに体が熱くなる。僕はそれを無理やり封じ込めて、左手を握る力を強めた。

 寄宿舎を出て左へ……まっすぐ学園の入り口に向かう僕の手には、赤い手綱が握られていた。

「あはっ、まさかこんなに早く望みが叶う日が来るなんて……♡」

 赤い紐の先にあるのは先ほど僕が春川さんに取り付けたあの首輪、そして、それに繋がれながら春川さんが恍惚の表情を浮かべる。

 ぺたぺたと地面を四つん這いで歩きながら進む彼女に対して視線を送った後、僕はモノクマが残した命令の一文に視線を戻した。

『30分間、首輪にリードをつけて一緒にお散歩すること』……3つある命令のうちの一つを今のうちに終わらせておこうと思ったのは、皆の目がある間にこれをやれば間違いなく変な感情を持たれると思ったからだ。この判断は正しかったと思うが、誰も制する者がいないという事が春川さんの欲望のストッパーを外してしまったらしい。

 誰も命じていないのに犬の様に四つん這いになって散歩を始めたのだ。間違いなく自分の趣味であるその行動を止めようと思った僕だったが、すんでのところでそれを取りやめた。

 自分の願望があるとはいえ、僕のために春川さんが協力してくれているのは間違いない。そして、僕はこの前彼女の協力者になると言ったばかりだ。

 誰にも見られる心配は無い。見られたところで、モノクマの命令だと言えば納得してくれるだろう。このある意味安全な状況で、彼女の欲望に歯止めを利かせる理由がどこにあるというのだ? 

 春川さんへのお礼の意味と自分の言葉に責任を取る意味も含めて、僕はこのまま彼女の好きにさせるようにした。僕と春川さんは共犯者、蔑まれるなら二人一緒だ。

 そんな事を思い浮かべながら校舎に続く扉を開ける。屋内に入った事で興奮が少し収まったのか、春川さんはちらりと僕を見て時間の確認をしてきた。

「最原、今何分経った?」

「まだ三分も経ってないよ。まだまだだね……」

「そっかぁ……まだまだかぁ……♡」

 その声色に残念そうな感情は込められていなかった。むしろまだ時間が多く残っている事に悦びを見出している様に聞こえる。

 ぺたぺたと音を立てながら進む春川さん。玄関近くにあるベンチの所まで来た時、彼女は体を反転させて僕に向き直った。

「ねぇ、最原……一つ、お願いがあるんだけど……」

「……何?」

「……服、脱がせて貰っても良い?」

 ドクン、と心臓が音を立てた。ちょっとそこの物取って貰って良い?……そんな気軽さで自分を裸にしてくれと頼んできた春川さんを見ると、少しだけめまいがする。

 でも、それでも……僕は彼女の願いを叶えてあげたかった。だから、声には出さず、その願いに対して小さく頷く。

「……あは♡じゃあ、よろしくね……!」

 とても嬉しそうに笑った後、春川さんはころりと仰向けにひっくり返った。犬が自分を可愛がって貰うときの格好をしたまま、荒い呼吸を繰り返す。

 ああそうか、彼女は犬だから立てないのか……そんな事を漠然と考えながら僕は春川さんに手を伸ばす。セーラー服を脱がせ、ワイシャツのボタンを丁寧に外す。思ったより、緊張はしなかった。

「あ……!」

 明かりの無い校舎の中では彼女の体はよく見えない。でも、その声で春川さんのシャツのボタンがすべて外れたと言うことだけはなんとなく理解できた。

 僕はもう一度彼女を四つん這いにさせてワイシャツを彼女から剥ぎ取ると、今度はスカートのホックを外した。そして、そのままファスナーを下に下ろしていく。

 ……それは一瞬のことだった。雲の切れ間から顔を出した月が校舎の中を照らし、僕たちの周囲を明るく光らせる。それと同時に、春川さんの腰からスカートが滑り落ちた。

 ほんの一瞬……それでも、その光景は僕の目に焼きついた。僕が見えたのは、小刻みに震える春川さんの小さな背中と、元々の肌の色である白と興奮によって生まれた赤の色が入り混じり、ピンク色に染まった彼女の小さくて可愛いお尻だった。

 それを見た瞬間、僕の中で覚悟が決まった。そっと彼女の背中に手を伸ばし、優しく撫でる。

「……可愛いよ魔姫、とっても可愛い……!」

「んっ……はぁ……♡」

 手に触れる春川さんの肌の感触と聞こえてくる喘ぎ声にゾクゾクとした痺れを感じながら僕は思う。今日、この夜だけは彼女と同じ所まで墜ちてしまおうと……

 僕の望みのためにその身を差し出してくれた彼女のために、僕も同じ倒錯者として振る舞って彼女の望みを叶えようと……!

「……服はこのベンチに置いて行くよ。わかったね?」

「う、うん……」

「……魔姫、お返事は?」

「え……?」

 ポカンとした表情の彼女の顔に触れ、そっと目線を合わせてやる。何かを言い聞かせる様にして彼女の瞳を見つめていると、魔姫は何かに気がついた表情をした。

 魔姫の頬が染まる。瞳は潤み、表情には期待が満ちていく。僕が彼女に促す様な目をすると、魔姫は震える声できちんと返事をした。

「わ、わん……」

「……良く出来たね、魔姫は賢いなぁ」

 そっと彼女を抱き締めて、その頭をくしゃくしゃと撫でてあげる。まるで芸を覚えた犬を褒める様なその行動に対し、魔姫が嬉しそうに息を吐くのが分かる。

 人を犬として扱う事への背徳感と征服感を感じながら、僕は彼女の体を手放す。そして、手綱を手に立ち上がると再び歩き始めた。

「……まずは倉庫に行くよ。わかった?」

「わん……!」

「僕はそこで探し物をするけど、魔姫は静かに待っていられるかな?」

「わん、わん!」

「よしよし、良い子だね……!そこでカメラを見つけたら、今日は写真をいっぱい撮ろうか。魔姫は写真を撮られるのが大好きだもんね」

「わんっ!わんわんっ!」

「あはは!そんなにはしゃがないの!」

 もう一度腰を下ろして、彼女の頭を優しく撫でる。心底嬉しそうな魔姫の顔を見つめた後、僕は笑顔で言った。

「今日はたくさん可愛がってあげるからね、魔姫……!」

「……わふっ、わんっ♡」

 お互いの意思を確認しあった後で再び歩き出す。静かな校舎の中で、僕たちの足音だけが響き続ける。

 この日、僕たちは校舎中を歩き回り、30分どころか夜が明ける寸前まで楽しみ続けたのであった。

―――回想終了

最原(……翌日、僕が春川さんに首輪を使った事は僕が食堂に行った時には知れ渡っていた。恐る恐る皆の反応を伺うと……)

赤松「あ、最原くん!私以外にも首輪を使う様に言ってきた人がいたんだね!……事情は春川さんから聞いたよ。大丈夫、私は気にしてないから!」

夜長「ん~、ちょっと残念だけど行動を起こした魔姫が上手だったかな~!アンジーは素直に認めるよ~!」

白銀「春川さんかぁ……まぁ、ベターな所だよね!何がベストって聞かれても困るんだけどね……」

夢野「春川と最原は仲が良いからのぉ、頼る気持ちも分かるわい」

茶柱「男死にしては良い判断だと言えるでしょう!でも、あまり不埒な真似はしないように!」

東条「皆を守ると言う観点ならば私でも良かったわけだけど……自分で志願しなかったのだから、それは口先だけのものよね。春川さんの勇気に敬意を表するわ」

入間「俺様は俺様以外の女がどうなろうとしったこっちゃねー!」

最原(……と言う感じだった。男子も同じようなもので、どうやら僕に悪感情を抱いた人はいないみたいだ。春川さんが上手くやってくれたのだろう)

最原「……ありがとう春川さん。助かったよ」

春川「ふふ……言ったでしょ?ご主人様に迷惑はかけないって……。さ、次の命令を頂戴。どんなものでも喜んで受け入れるからさ……♡」


―――購買部

モノスケ「……おう、よう来たなぁ!お父ちゃんから話は聞いてるで!」

春川「購買?何か買うの?」

モノスケ「なにか買うも何も、アンタのもんを買うんやで?」

春川「え……?」

最原「二つ目の指令はね、君の下着を買うことなんだ。それを試着した姿も見せろってさ」

春川「……そっか、そうなんだ。ふふ、上等じゃん」

モノスケ「へっへっへ……そんで兄ちゃん、どんなドスケベ下着をこの嬢ちゃんに履かせるつもりや?今回はスペシャルアドバイザーも用意してやったで!」

春川「スペシャルアドバイザー?」

モノキッド「ヘルイェー!俺様を呼んだか!?」

モノスケ「スペシャルアドバイザーのモノキッドや!今回はオマエラの為に、勝負下着を越えた地獄下着をセレクトして貰ったで!」

モノキッド「ビンビンに来たものだけを選んでやったぜ!もはやノーパンのほうが健全だと思うくらいの激ヤバな代物をプレゼントするぜーっ!」

春川「………!」ドキドキ…

モノキッド「さぁ、早速お披露目といこうぜ!スイッチ、オーーー……」

最原「あ、それ要らないから」

春川・モノスケ「えっ!?」

モノキッド「」

モノキッド「い、要らない……?俺様のセレクションに費やした時間をパーにするつもりか、おい!?」

最原「あ、うん。そうなるね」

モノキッド「」

最原「……モノスケ、普通のパンツを見せて。特に何の変哲もない奴をお願い」

モノスケ「えぇ……?別にかまへんけど、なんや調子狂うなぁ……」

モノキッド「お、俺のセレクションの何が気にくわねぇってんだよ……!?」

最原「……うわ、改めて見ると女の子の下着って色々あるんだね。ブリーフとトランクス、ボクサーパンツ位しかない男物とは大違いだ」

春川「う、うん……」

最原「えっと、これが普通の奴なのかな?春川さんは何色が好き?」

春川「え……?特に好きな色は無いけど……」

最原「じゃあ僕が勝手に決めちゃうね。えっと、後はどんなのがあるかなぁ?」

モノスケ「……あの坊主、何を考えとるんや?」

最原「ちょっと大人びた奴はこっちか、あっちは少し変わった奴が多いな」

春川「………」

最原「指令は『下着を選んで購入し、試着する姿を確認しろ』としか書かれてないよ。どこにも一枚だけとは書かれてないじゃないか」

モノスケ「は、はぁ?ちゅーことはなにか?お前は何枚もパンツを持ってくつもりなんか?」

最原「そうだよ。でも、そんなにたくさんは要らないよ。あんまり大量にあっても意味ないしさ。精々、7、8枚じゃないかな?」

モノスケ「そんだけあったら一週間のローテーションが組めるやないか!」

最原「うん、そのつもりだけど」

モノスケ「!?」

最原「……春川さん、後で君の持ってる下着は全部処分させてもらうよ。これからは、僕が選んだ下着を履いて生活してね」

春川「えっ!?」

最原「ああ、安心して、もし欲しいデザインの下着があったら僕に言ってくれれば良いから。そうしたら、僕が買って渡してあげるよ。……ご主人様に黙って勝手に購入したりなんかしたら、駄目だからね?」

春川「っっ~~~~~!?」ゾクッ!

モノスケ「ちょ、待てや!たかがパンツと言えど、そんなに持ってかれてたまるか!こっちは客商売やぞ!そんなことしたら商売あがったりや!」

モノキッド「……良いじゃねぇか」

モノスケ「ファッ!?」

モノキッド「最原よぉ……俺はさっき、お前のことを気にいらねぇと言ったがあれは撤回だ。俺様は、お前みたいなルールの裏をついて何かする面白い奴も、メスを自分好みに変えちまおうとするあくどい奴も大好きだぜ!ヘルイェー!」

モノスケ「お、おまっ!?この店で赤字を出してお父ちゃんに怒られるのはワイなんやで!?」

モノキッド「うるせーっ!頭でっかちは黙ってろ!このボケが!」ポカポカ!

モノスケ「こらっ、殴るな!ギターはやめぇ!」

モノキッド「つーわけだ最原!好きなものを好きなだけ持ってけ!俺様が許可する!」

最原「……じゃ、許可が出たところで遠慮なく……今回は普通に可愛い奴を中心に選ぼうかな。あと、子供が履く様なプリントパンツも一枚選んじゃお」

春川「………」ドキドキ…

最原「楽しみだな。普通の女の子みたいな格好をする春川さんは、きっとすごく可愛いんだろうな」

春川「……から」

最原「ん?」

春川「……あんたが望むなら、私はどんな女にでもなるから……だから、好きにして……好きな様に私を……作り変えて……っ!」

最原「ふふふ……。今の魔姫、すごく可愛い顔をしてるよ?見せてあげたいくらいだ」

春川「っ……♡」

最原「……最後の指令は夜にこなすから、皆が寝たらAVルームに来てね。わかった?」

春川「……わん♡」

―――深夜 AVルーム 以下 春川の回想

 皆が寝静まった深夜、私は最原に呼び出されて最後の指令をこなしていた。それは『抱きしめられたまま5分間過ごせ』と言うものであり、別段難しいものではなかった。

 だが、もうとっくに5分など過ぎていると言うのにまだ私は最原に後ろから抱きしめられたまま身動き一つ出来ていない。それは、彼から命じられたもう一つの命令のせいだった。

『……魔姫は賢いねぇ、それじゃあ次は……伏せ!』

『わおんっ♡』

 今、私は彼の膝の上である映像を見せ付けられている。

 昨日の深夜、最原と共に行った散歩の映像……そこには、全裸で犬のように振舞う私の姿がしっかりと収められていた。 

 最原に芸を仕込まれ、それを嬉々とした表情で行う私。リードを引っ張られ、笑顔で最原に従って四つん這いで歩く私。自分の恥ずかしい部分をカメラに見せ付けるようにして止まる私……

 今まで見たことの無い顔をした自分の姿がそこにはあった。改めて、自分がこんな変態だったのかと認識させられる。

 本来、服を着て過ごすはずの校舎内でこんなにおかしな真似をしている……そんな自分の姿を見せられ、私は体が熱くなっていく事を認識していた。

「……春川さん、正直に答えてね。……君は、こんな映像を見てもまだ露出行為を止められない?」

 後ろから最原の声がする。映像をしっかり見ろと言われている私はその声に反応して振り向くことすら出来ない。彼がどんな表情をしてこの質問をしているのか、それを確認することも出来ないのだ。

(最原は全部わかってるんだ……私がこの映像を見せられて、どんな反応をしているのかを……)

 彼は知っているはずだ。私の頬が期待で赤く染まり、体が火照り、呼吸が荒くなっていることを……

 それでも……私は言わなければならない。彼の質問に正直に答えるべく、私は口を開いた。

「……ごめん。止められそうに無いよ……っ!」

 その声は思ったより震えていた。信じられないことに涙交じりの声であった。もっと恍惚とした、救いようの無い熱を帯びた声が発せられると思っていた私はその事に驚き……そして、理解した。

 私は恐いのだ。見捨てられることが恐いのだ。もしかしたらこの映像は最原からの最終通告なのかもしれない、自分がこんなに愚かな事をしていると私に教えて、露出行為を止めさせようとする最原からの最後のメッセージだったのかもしれないのだ。

 それでも止められないと言った時……今度こそ、最原は私の説得を諦めて皆に私の趣味を言うかもしれない。救いようが無い女だと見放して、私を置いてきぼりにするかもしれない……私は、それが恐かったのだ。

(ごめんなさい……ごめんなさい……!)

 知らず知らずのうちに涙が溢れていた。恐怖と、寂しさと、申し訳なさと……様々な感情が入り混じった涙を流す私の頭に、なにか温かいものが触れた。

「……泣かないで、大丈夫だよ」

「最、原……?」

 よしよしと子供をあやす時の様に私の頭を撫でる最原。その手の温もりが、私の心を解きほぐしていく。

「大丈夫だから……春川さんを見放したりなんかしないよ。それが君の望みなら、僕は一生懸命受け止めるから……」

「それに……こんな映像を撮ってる時点で僕も同罪だよ。春川さんと同じ、真の意味での共犯者ってわけ。だから、寂しくなんか無いよ。僕が君の傍に居るからさ……!」

 じんわりと胸の中に広がっていく温もり。ぐちゃぐちゃになっていた心が、その言葉を受けて素直になっていく事が分かる。

 私はずっとこの言葉を待っていた。誰かにそう言って欲しかった。

 暗殺者としてではなく、子供たちの面倒を見るお姉ちゃんとしてでもない。ただの女の子、『春川魔姫』として、私の全てを誰かに受け入れて欲しかったのだ。

「う、うぅ……うわぁぁぁぁん!」

「……よしよし、大丈夫だからね……」

 もう、首輪の効力は消えていた。私は振り返ると、自分に与えられた居場所……最原の胸の中で大声で泣き続ける。

 今まで出来なかった誰かに甘えると言うことが、彼の前でならば出来る気がした。

「さい、はらぁ……さいはらぁぁっ!」

「……大丈夫だよ。春川さんは一人じゃない。僕が傍に居るからね……」

 優しく最原に抱きしめられながら私は泣いた。涙が枯れるまで泣き続けた。

 そうやって泣き続けたながら、私はようやく自分のことを好きになれる様な気がしていた。 

―――回想終了

「……ねぇ、最原。この首輪、もらっても良い?今日の記念にとっておきたいんだ」

「……ううん、やっぱり訂正。またあんたと遊ぶとき、これをつけてたいからさ……駄目かな?」

「……ありがとう。大事にするね。……じゃあ、代わりにこれをあげるよ。今、私があんたにあげられる物なんて、これしかないからさ」

「……最原、私、あんたのこと……ううん、なんでもない」

「……また遊ぼうね、ご主人様……♡」

 第三章 大逆転学級裁判 完 生き残り人数(もちろん)16名

 春川魔姫のパンツを手に入れました! 彼女の心に安らぎを与えました!

 春川魔姫のパンツ 

 春川を受け入れた証、赤色の動きやすさを重視したもの。その場で脱いだものを直接受け取った為、少し温かい。既に彼女の持つ他のパンツはモノクマに処分して貰ったため、これが元々春川に支給された最後のパンツである。

―――寄宿舎 最原の私室

最原「……今回も色々あったな。でも、なんとか乗り越えられて良かった」

―――コンコン……

最原「あれ?お客さんかな?はーい……」ガチャ…

夜長「………」

最原「アンジーさん……?どうかしたの?」

夜長「……終一、なんでアンジーと遊んでくれないの?」

最原「えっ?」

夜長「他の女の子とは一緒に遊んだりしてるよね?何でアンジーを選んでくれないの?」

最原「あ、アンジーさん……?」

夜長「なんで……?どうして……?何で何で何で何で何で何で?どうしてどうしてどうしてどうして?」

最原「うぅっ!?」ビクッ!

夜長「……終一、次はアンジーを選んでくれるよね?絶対に、何があってもさ……!」

 どう答える?

1、はい

2、いいえ 

最原「わ、わかった!わかったから!僕が悪かったから、落ち着いてよアンジーさん!」

夜長「……約束する?次はアンジーと一緒に過ごすってさ……!」

最原「わかった、約束するから!だから……」

夜長「……おっけ~、なら良いよ~!今回は許してあげる~!」

最原「ほっ……」

夜長「でもさ~、んふふ~……そっか~!」

最原「???」

夜長「……悪かったって思うってことは、アンジーの事を放置してた自覚があるんだよね?理由も無く、他の女の子と一緒に過ごしてたって自覚がさ……!」

最原「ひっ……!」ゾクッ

夜長「終一……許すのは今回だけだよ?次に神様を怒らせたらばちがあたるよ?……わかったね?」

最原「う、うん……!」

夜長「……じゃあ、アンジーは帰るから……ばいばい」ガチャ…

最原(……何とかアンジーさんを納得させられた。でも、これが本当に正しい道だったんだろうか……?)

―――それから暫くして……

最原「ふぅ……疲れたな。今日は眠ろうかな……?」

―――コンコン……

最原「あれ、またお客さん?……はい、どちらさまですか?」

春川「……私だけど」

最原「春川さん?こんな遅くにどうかしたの?」

春川「……ちょっと時間もらえる?話がしたいんだ。出来たら、ここじゃない場所でさ……」

最原(表情から察するになにか真剣な話みたいだな……付き合ってあげよう)

最原「わかった。なら、僕の研究教室に行こうか」

春川「……うん」

―――最原の研究教室

最原「それで?話したい事って何かな?」

春川「えっと……その……」

最原「……落ち着いてね。春川さんの準備が整うまで待つから、ゆっくりでも構わないよ」

春川「……うん、ありがとう。……あの、さ」

最原「なぁに?」

春川「……自分なりに考えてみたんだ。なんでこんな風になっちゃったんだろうって……始めは、初めて女の子として見られるのが嬉しくて、それで調子に乗っちゃったところがあるんだろうけど……その、最近、それだけじゃなくなって来たって言うか……」

最原「???」

春川「その……え、M気質って言うか……犬みたいになったりとか、奴隷って言われて喜んだりとか……そ、そう言う部分も出てきて、なんかおかしくなって来たって言うか、その……」

最原「……うん、それで?」

春川「……元々、私ってMなのかなぁって思って、考えてみたんだけど……きっと、それも今までの人生が関係してるんだと思うんだ」

最原「どういう意味かな?」

春川「……暗殺者として育てらた私だけど、実際に人を殺すときにためらわなかったわけじゃない。でも、やらなきゃいけないって思って必死に仕事をこなしてきた。そんな時、私はいつも同じ事を考えてたんだ」

春川「これは私の意志じゃない。誰かに命じられて、仕方なくやってるんだ……ってさ。こうしなきゃ私も、施設の皆も困る。仕方が無い事だから、命じられた事だから、そう思って必死に人を殺めてきた……その反動が来ちゃったんだよ」

最原「………」

春川「道具として命じられて、そうやって生きてきた私だから……それを正当化して来た私だから、誰かに命じられる事で安心感を得ちゃうんだ。例えそれがどんなものであってもさ……」

春川「それが今までふたをしてきた罪悪感とかそう言うものと重なって、自分を罰して欲しいって思わせてるんだと思う。だから、自分が蔑まれる立場になる事に快感を覚えて、悦んじゃうんだよ」

最原「……それで?何が言いたいの?」

春川「きっと……きっと私は、そのうちあんたがついていけなくなる様な事を望む様になるよ。もっと深くて醜い、ドロドロした感情のままに動き出す……そんな姿、あんたに見せたくないんだ……!」

春川「だから最原……もう私に付き合わなくって良いよ。これ以上、あんたを私の我侭に付き合わせたく無い。破滅するなら私一人でするから……だから、もう……!」

最原「………」

春川「ごめん……こんな馬鹿げた事に今まで付き合わせといて何だけど、もう、これ以上は……」

最原「知ってたよ」

春川「え?」

最原「春川さんとあの約束をしたときから、もう君が自分の欲望に歯止めが効かなくなる日が来る事ぐらい、分かってたんだよ」

春川「えっ……!?」

最原「僕はそれを承知で君に付き合うって言ったんだ。君の協力者になって、君と同じ罪を背負うって決めたんだよ?」

春川「な、なんで……?どうして、そんなこと……?」

最原「……僕も同じだから」

春川「え……?」

最原「僕も昔、嫌な事があって、ここに来たときには心を閉ざしてたんだ。でも、皆と会って変われた……過去に負けないで、もう一度前を向こうって思える様になったんだ」

最原「だから、今度は僕が誰かを助けられるようになりたい。僕が助けられたように、大切な友達が苦しんでいるのなら、それを助けてあげたいんだ」

春川「………」

最原「もう一度言うね。君が自分の欲求を止められないというのなら、僕が受け皿になる。友達を見捨てる様な真似は、僕には出来ないよ」

春川「……ひっく、ぐすっ……!」

最原「……君は一人じゃない。僕が傍にいるから……だから恐がらないでこっちにおいで、魔姫」

春川「う、うん……うんっ……!」ギュッ…

最原「……一人じゃないって思うと安心するでしょ?一人ぼっちの心細さは僕もよく知ってるから……だから、魔姫が嫌がっても君を一人ぼっちにはさせないからね」

春川「ありっ、がとう……!ありがとう、最原っ……!」

最原「……お礼を言われる筋合いは無いよ。僕は君のご主人様なんだから、当然の事をしたまでさ」

春川「……ふふっ、そっかぁ……私、本当に良い主人に恵まれたんだね……!」

最原「そう思ってくれるなら嬉しいよ。僕も素敵な奴隷に恵まれたと思ってるからさ」

春川「……でもさ、それでどうするの?ずっと一緒にいてくれるのは嬉しいけど、このままだと私、破滅まっしぐらだよ?」

最原「ああ、その事なら安心して!もう対策は考えてあるから」

春川「ほ、本当?」

最原「うん。対象を変えちゃえば良いんだよ」

春川「対象を、変える……?どういう意味?」

最原「魔姫は今、自分の過去に押し潰されようとしている。つまり、『罪の意識の奴隷』になりかかってるんだ。それを、『僕だけの奴隷』に変えちゃおうってわけ」

春川「!?」

最原「……自分の事を傷つけたいのは、自分の罪を裁いて欲しいからじゃなくって僕に苛められたいから。奴隷扱いが嬉しいのは、暗殺者という過去のせいじゃなくて僕に命じられる事が幸せだから……そういう風に魔姫の考え方を書き換えて、罪の意識を軽くしてあげるよ」

春川「は、はぁっ!?」

最原「分かりやすく言っちゃうとね……魔姫はこれから『罪の意識に苛まれる奴隷』から、『ちょっとえっちでドMな女の子』に生まれ変わるってことだよ」

春川「……ふ、ふふ!なにそれ!?本当めちゃくちゃだよ!……でも……!」

最原「嬉しいんでしょ?」

春川「……分かっちゃうんだ?」

最原「当然!僕は君のご主人様だからね」

春川「ははっ……!うん、その計画乗ったよ。あんたの手で作り変えられるのも悪くないかな」

最原「契約成立だね!それじゃあ改めて……これからよろしくね、魔姫」

春川「こちらこそよろしくね、ご主人様!」

最原(……魔姫と心が通じ合った事が分かる。僕は、彼女にとって大切な存在になったみたいだ)

 春川さんと心を通じ合わせました! 春川さんと大切な約束をしました!

最原「さてと……それじゃあ、皆も寝静まってる頃だし……このまま『お散歩』に行こうか?」

春川「……本気?」

最原「僕は本気だよ。魔姫は嫌なの?」

春川「……そんなわけ無いじゃん。私はあんた……ううん、終一の望む事なら何でもするからさ……♡」

最原「ふふ……!決まりだね。それじゃあ、首輪をつけようか」

春川「うん……でも、その前に……」

最原「……そっか、首輪を付けちゃうと脱がせにくいもんね」

春川「うん。だから、お願い……」

最原「分かったよ。……これからも僕だけに見せてね、君の本当の姿をさ……!」

春川「……うん。だから好きにして、私の心と体はあなたのものだから……♡」

という感じのところで第一スレは終了させて貰うヨ。今晩中に第二スレを立てられると良いな。

ここまでお付き合いいただきありがとうネ。また、色々アドバイスをくれた方や、アンケートに協力してくれた人たちにもお礼を言わせてもらうヨ。

次に始まる第三章と四章の間のサブイベントでは、今まで以上に皆さんの協力が必要だからその部分でもお世話になると思うし、進みも遅くなっちゃうかもしれないけど、許してネ

では、また次のスレで会おうネ……!

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