渋谷凛「甘い時間と夢現」 (129)


一足早いのですが、渋谷凛さんと武内PのバレンタインSSです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1486037224


私の手にはプロデューサーに渡すためのチョコレートがある

私に、夢中になれることを教えてくれた感謝のきもちと、そして、それよりも大きな気持ちを込めて作ったチョコレートが

我ながら上手に出来た…とは思うけど

あとはこれをどう渡すかって事が問題なんだよね

ストレートに?それともちょっと違った感じで?

…ダメだ、答えが出ない

こうなったらもうぶっつけ本番の方が良い気がしてきた

その方が私の本音も出せる気がするし

よし、そうしよう


プロデューサーの仕事部屋の前に立つと、どくんどくんと鼓動が早くなっていくのを感じる

ぶっつけで本音なんて出せるんだろうか

でも、渡さないと

渡して、先に進まないと

「……よしっ」

覚悟を決めて、ドアを開ける



そこで私の目に飛び込んできたのは――...





武内P「ちょっと!急に私の部屋に来て何をしているんです!?」

とても動揺した様子の我らがプロデューサーと

モバP「ギブミーーーー!!ギブミープリーズチョコレートミスターーーー!!!」

何かを叫び散らしている他のところのプロデューサーと

今西部長「HAHAHAHAHAHA!」

床にベビーチョコをばらまいている今西部長と

マルメターノ「オーウマイノォー!」

外人らしいどこかの陽気そうなおじさん



凛「…何これ」


武内P「なにをしているんですか!?狂ったように床にチョコとガムとチョコとガムとばらまいて!それを拾って口に入れて!!おまけに部外者まで入ってきてる!!」

モバP「ガハハうまいのう!アメリカの飴はウマイのう!」

マルメターノ「ソージャァノォアン=チャン!」

今西「HAHAHAオーケーオーケー」バラバラ

武内P「ああもう言ったそばからばらまいて!いったい何なんですか!何が目的なんですか!?」

モバP「はだしのゲンごっこ」

武内P「余計わけがわかりませんよ!」


モバP「バレンタインっていったらやっぱりはだしのゲンごっこだろ!」

マルメターノ「ノビルノォあめりかノアメハコンナニノビルンジャノォ!」

武内P「訳がわかりませんよ!」

今西「私だって…好き好んでこんな事をしたくはないさ」

武内P「部長…いや部長も!何でこんな事を!」

今西「断れなかったんだッ…!彼に人質を取られてしまってッ…!」

武内P「な、なんてことを…」


今西「彼は人生の中で全くといっていいほどモテた例しがない…当然、バレンタインデーにチョコレートをもらったことなどただの一度も無い」

マルメターノ「ミテミィコンナニノビルンジャ」

今西「だがアイドルのプロデューサーになった今なら、今までとは少しは変わるのではないか、そう、『今年はバレンタインデーにチョコレートをもらえるんじゃあないか?』という思いが彼の中にあった」

マルメターノ「コノクロイノガあめりかノアメナンカノォ」

今西「しかし人間は続けてきた思考をそうすんなりと変えることが出来ない…今までの彼の中ではバレンタインデーとは憎むべき対象である…」

マルメターノ「クヤシイノウクヤシイノウ」

今西「去年までの彼と今年からの彼の思考の差異…それが彼の中でぶつかり合った結果…」

武内P「このような奇行に走った…というわけですか」

マルメターノ「アン=チャンコリャアホッペガオチソウジャ!」

武内P「部長…」







武内P「いや全く理解しきれないのですが」

今西「私だって自分で自分が何を言っているのか把握し切れてないんだ」

武内P「そんな…」

マルメターノ「アン=チャンワシノブンモオクレヨウ!」


武内P「あのすいません、マルメターノさん?ですよね、少し静かにしていただけませんか?」

マルメターノ「御意に」

武内P「!?」


モバP「麦じゃ!ワシは麦のように生きるんじゃ」ベロリベロリ

凛(床を這いながら散らばったチョコを一心不乱になめあげてる…)

今西「とりあえずは彼が満足するまでこれを続けるしかあるまい」

マルメターノ「私も微力ながら手伝いましょう」

武内P「…わかりました、私もやれる限りのことをします」

凛(何かこの世の闇を垣間見た気がする…)


今西「私とマルくんがここで彼の気を引こう、その間にチョコとガムの補充を頼む」

武内P「わかりました、ここはお願いしま…渋谷さん?いつからここに!?」

凛「!」

モバP「シブヤ…サン?」

凛「!?」

今西「まずい!今の彼に女性の名前を聞かせてはダメだ!!」

マルメターノ「怪人(フリークス)と化してしまうぞ!」

武内P「渋谷さん!私が守りながら避難させます!とにかくこちらへ!!」

凛「えっ!う、う「嬉しいなぁ…」

                      _   ≠=‐

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モバP「本当に本当に嬉しいなぁ…この日に女子と会うことが出来るなんて」

今西「くそっ!」バラバラ

マルメターノ「だめだ!こっちの中年男性が投げたチョコには見向きもしていない!」

モバP「その手にあるのってもしかして…チョコだよねえ????」

凛「ひっ…」

武内P「渋谷さん!早く!早く逃げましょう!!」

凛「こ、腰が…腰が抜けて…」

武内P「なら私が抱えて逃げます!」ヒョイ

凛「え!?えっえっ!?」

モバP「へぇお姫様だっこか…さすがイケメンはやることが違う…俺みたいな非モテじゃ出来ないことを平然とやってのける…その手のチョコもどうせ後で貰えるんだろうなぁ…」

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     V >'´   、  ∨_   !  /\ニニニニニニニニニ{
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  /レ'´ ´/ ̄`ー--、_ i-、

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i K´i   L__、,。' ノ , `、iハj
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モバP「でもさぁ…キミが貰えるって事はボクが貰ってもかまわないって事だよねぇ…?」

武内P「い、一体…」

マルメターノ「何を言っているんだこいつは!?」

モバP「どうせ食べたらなくなっちゃうんだし…なら誰が食べても変わらないよねぇ」

モバP「私が食べようと消えてしまうことにはかわりないよねぇ」

モバP「だったら俺が食べてもいいよねぇ!?」

モバP「さあ早くその手の中にあるチョコを」

千川ちひろ「サスマタァ!」ドゴォ!

モバP「ぐああああぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!!」

ちひろ「観念してください!」

今西「はぁ、はぁ…間に合った~…」

武内P「部長!千川さん!」


今西「彼に気づかれないように外へ出て…千川君に助けを求めたんだ」

ちひろ「まさかこんなところで早苗さんに貰ったさすまたが役に立つとは思いませんでしたよ」

マルメターノ「そ、そうだったのか…」

武内P「ありがとうございます、おかげで助かりました」

モバP「放せぇぇ!!チョコを!!俺はチョコを食べるんだぁぁぁぁーーー!!!」

ちひろ「まだ言いますか!!」グイッ

モバP「ぐああああああああああ!!オロッ、オロロロロロロロロロロ!!」ベチャベチャ

マルメターノ「戻しやがったぞこいつ!!」

今西「く、くさい!!」


ちひろ「汚ッ…しょうがないですねぇ、ここの掃除と事後処理は私がやっておくので…」

凛「」ポカーン

ちひろ「とりあえず凛ちゃんをお願いできますか?」

武内P「はい、わかりました」


休憩室―

武内P「…さて、大丈夫でしたか?」

凛「う、うん」

凛(結局ここまでずっとお姫様だっこで運ばれちゃった…)

武内P「…顔が赤いようですが」

凛「だ、大丈夫!気にしないで!」

武内P「そうですか…」


武内P「渋谷さん」ズイッ

凛「!な、何?」

武内P「いえ、今回は…大変な目に遭わせてしまって、ほんとうに申し訳ありませんでした」

凛「いや…プロデューサーの落ち度はゼロだと思うけど…」

武内P「ですが…」

凛「むしろプロデューサーの方が被害を被っている気がするんだけど...」



武内P「ですがこのままでは私の気が済みません」スルスル

凛「!な、なんで服を脱いで」

武内P「今この休憩室の近くには誰も居ません」

武内P「そして私が渋谷さんに出来ることも限られています」

武内P「なので、諸々を鑑みて…私は今回の件のお詫びを…体で払います」


凛「いやどうしてそうなるの!?」ガバッ

凛「・・・」ハー…ハー…

2月13日、午前2時―

凛「ゆ…夢?だったの?」

凛「だとしても…何であんな悪夢を…」

凛(それに最後の方は…)

凛「……もう一回寝よう…」

これまでのことは凛ちゃんの夢でした

これにて夢編は終わりです、これから現編にはいります




2月13日、午前8時45分―

事務所にて―

凛(あの後、ろくに眠れ無かったな…)

凛(それになんか、プロデューサーと顔を合わせづらいって言うか…)

未央「しぶりん!しぶりん!!大丈夫!?」バタバタ!

凛「未央?どうしたの?そんなに慌ててきて…それに『大丈夫?』って…」

未央「その様子だと知らないみたいだね…とにかくこっち来て!」

凛(この慌てよう…なにか、ただ事じゃない何かがあったのかもしれない)

凛「わかった、案内して」


会議室―

未央「でも、しぶりんが無事で良かった…」

凛「未央、何があったのか教えて…全く話が見えないから」

未央「ごめん気が動転しちゃってて…これをみて!」ピッ

凛(そう言うと未央は会議室に備え付けてあるテレビの電源をつけた)

凛(そのモニター映っていたのは…)

凛「これ…事務所の近くのコンビニ?」

未央「うん…実は今これが…」

TV『えーいま占拠されたこのコンビニに警察官が駆けつけました』



凛「占…拠…?」

未央「うん、占拠、事務所近くのこのコンビニが占拠されてるの」

凛(何これ?生放送なの?質の悪いドッキリとかじゃなくて?)

未央「しまむーとは連絡が取れて…今家で家族と居るって」

未央「でもしぶりんとは連絡が取れなくて…心配しちゃって…」

凛「…ごめん、気づかなかった」

凛(他のことを考えていたせいで…心配かけちゃったな)

凛「ごめんね、未央」

未央「ううん、無事ってわかったんだし、良かったよ」


凛「このコンビニは家とは逆方向だから気づけなかったみたい」

未央「そう…他の子は自宅や寮で待機するように言われてるの、私は今日たまたま早く来ちゃって事務所にいるんだけど」

凛(ん?だとしたら…?)

凛「プロデューサーは?事務所には居ないの?」


凛(プロデューサーはどんなときであれ、この時間には必ず事務所に来ているはずだし)

凛(姿が見えないのはおかしい)

凛(まさか…)

未央「……」

凛「未央?」

未央「わからない…」

未央「ちひろさんはいまいろんな人と連絡を取っててここには居ないんだけど…」

未央「プロデューサーが何で居ないのか、どこに居るのか…わからない」


凛「そんな…」

凛(いつもだったら珍しいこともあるんだなって感じで終わるけど)

凛(今日は事情が違う)

凛(この事務所の近くで大きな事件が発生している)

凛(もし仮にこの事件にプロデューサーが巻き込まれていたら?もし仮にプロデューサーが危険な目に遭っていたら?)

凛(ネガティブな連想が止まらなかった)

未央「しぶりん…いまちひろさんがどうにかしてくれようとしているから…」

未央「信じて待とう、ね?」

凛(未央にハンカチを差し出されて、初めて自分が涙を流していることに気づいた)

凛「…ごめん、ありがとう」


TV『あ、今犯人が初めて姿を見せました!あれは…人質です!犯人は人質を取っている模様です!!』

凛(テレビの向こうのニュースキャスターの言葉に反応して私たちはテレビ画面を見た)

凛「え…」

未央「これ…」

凛(同時に言葉を失った…だって)

凛(だって、そこには)





モバP「明日なんて来させねぇ!!俺が14日を壊してやる!!」

マルメターノ「」グッタリ

凛(気絶しているマルメターノおじさんを人質に取っている他のところのプロデューサーの姿があったから)


未央「これ…ウチの事務所の…」

凛「他の担当のプロデューサー…だね」

アナウンサー『犯人は今もなお、意味不明な言動を繰り返しています!』

モバP『明日におびえて生きるより!今を壊して前に進んでやる!!』

アナウンサー『犯人は現在水鉄砲のようなものを振り回し、周りを威嚇しています!』

モバP『あの赤色の陰謀を砕くのは俺だ!!』

アナウンサー『警察も人質が取られている以上、確保を強行できないようです』

未央「これ…どういうこと?」

凛「明日が…バレンタインデーだからじゃない?」

未央「えぇ…」


コンビニ前―

警察官A「あの水鉄砲の中身…化学薬品の可能性もありますよね?」

警察官B「ああ…十分に危険だ」

武内P「遅くなりました!」

早苗「状況は?」

警察官C「早苗さん…それにあなたは?」

武内P「彼の同僚です、説得に協力して欲しいと」

早苗「私が呼んだの」

警察官C「そうですか!ご協力、感謝します!」

警察官A「あのー…先輩、早苗さんって誰ですか?」

警察官B「ウチに元々つとめてた婦警さんだ…アイドルに転身したが、たまにこうやって事件に協力してくれている」

警察官A「アイドル!?へえー…道理で…」


武内P「片桐さん、まずは自分が説得を試みます」

早苗「ええ、まかせたわ、その間にこっちも出来る準備を済ませておくから」

早苗(彼が説得に成功すると良いけど…出来る手は打っておかないと)

C「拡声器です、犯人はかなり取り乱しているので気をつけてください」

武内P「ありがとうございます…さて」

武内P(私の言葉がどれだけ彼に届くのかわからない…が)

武内P(尽力せねば…!)

武内P『あーあー…聞こえますか?』

モバP「!…この声は…」


武内P『この声が聞こえているなら、表に出てきてください』

モバP「」ノソッ…

A「犯人が出てきました!」

B「だが…まだ人質と水鉄砲を放す気はさらさらないみたいだな…」

武内P『私のお話を聞いていただけませんか?』

モバP「これはこれは…超高校級の昆虫学者さんじゃあありませんか」

武内P『私を誰と間違えているんですか!?』


モバP「で?何であんたがここに居るんだ?」

武内P『あなたを説得するためです』

モバP「説得…ねぇ…」

武内P『なぜこんな事をしているんですか?どうしてあなたはこんな行為をしてしまったんですか!?』

モバP「なぜ…?どうして…?そんなの、イケメンイケボでモテモテエリートのおまえには一生わかんねえよ」

モバP「俺はな、バレンタインが憎い」

モバP「この上なく憎いんだ」

モバP「貰ったチョコレートの数でこれまでの人生を決定づけられ、優劣がつけられるバレンタインが憎いんだよ」


モバP「だから俺はバレンタインを壊すべくここに居るのさ」

武内P「そんな…そんなこと…!」

B(犯人馬鹿なんじゃねえの?)

C(意味わかんねえよ)
A「あいつ馬鹿っすね、非モテこじらせるとこんななっちゃうんすね」

モバP「アアァンゴラァ!?」

B「馬鹿!刺激すんな!」


武内P『ですが…ですがあなたは!これまで片桐さんと二人三脚でやってきたでしょう!?』

モバP「!!」

武内P『あなたが片桐さんと歩んできたこれまでの日々は…あなたにとって何よりも輝いているものではなかったのですか?』

モバP「……」

武内P『いつかあなたが語ってくれたことを私はまだ覚えています…あなたと片桐さんがつみあげてきたものを!語っているときのあなたの笑顔を!!』

武内P『片桐さんと居るときのあなたは…あなたと居るときの片桐さんは…!まるで夜空に輝く星のような、だれかを照らし、導いていくような、光あふれるほどの笑顔なんです!』

モバP「…」

A(これ…ちょっとポエミーだけど)

B(犯人は耳を傾けている…のか?)

武内P『今ならまだ、戻ることが出来ます、どうかぜひ考え直して

モバP「モテ男に説得されても響かねえんだよおぉぉぉぉーーーーー!!!」ブシャー!!

C「水鉄砲打ってきやがった!!」


事務所、会議室―

アナウンサー『犯人が!大男と警察官に向けて水鉄砲を撃っています!!』

凛「プロデューサー!!」

未央「ちょっとまって何を打ち出してるのこれ!?」

アナウンサー『ああ水鉄砲から白い!汚ッ!白いナニかが打ち出されてます!汚い!』

A『クッサ!なんだコレ!!』

モバP『葛』

C『いやこれなんか冷蔵庫で腐ったらっきょうみたいな臭いがするんだけど!!』

モバP『ブレンド』

B『クズだ、すごいクズだ』


武内P『ウゥッ…これは…!』

モバP『食らいやがいやこれ自分でも臭い!』

アナウンサー『説得を試みようとしていた大男がどんどんと白く汚されて行ってます!!』

凛(プロデューサーが、どんどん、白くてとろっとして臭いものに汚されて行ってる…)

凛「・・・・・・」

凛「///」ポー

未央「しぶりん!?何そのだらけきった顔!?」


アナウンサー『ですが犯人自身もまたダメージを受けている模様ですクッサ!!』

B『武内さん!早くこっちに!!』

武内P『は、はい!』

アナウンサー『大男が犯人の前から避難しています!』

凛(フェードアウトしちゃった…)ショボーン

未央「しぶりん?なんでちょっと悲しそうなの?」

モバP『俺もう限界…オロロロロロロロロロロロ!!』ベシャベシャベシャ

C『戻しやがったぞあいつ!!』

A『二重に臭い!!』

モバP『あーでも弾切れしそうだったしちょうど良いか』ビチョビチョ

A『アイツ自分のゲロすくって水鉄砲に注いでやがる!!』

C『人間のやる事じゃねえだろ!!』

未央「ウップ…ちょっとごめん、トイレに..」

凛「うん、わかった…白くて…」ポー

未央(妄想?もしかしてなんかの妄想してるの?この状況で!?)


地獄のコンビニ前―

B「こっちです早苗さん!」

早苗「臭い!何この臭い!!」

B「クズのにおいです!」

A「先輩俺もう近づきたく無いっすよ…」

C「俺もだよ…なんだアイツ人間としての尊厳とか無いのか…!」

モバP「さぁてと新しくなったにおいはどうだ…?」クンクン

モバP「」ベシャベシャベシャベシャベシャ!!

C「また吐きやがった!」

モバP「」ビチョチョチョチョ

A「ああまた水鉄砲に注いでやがる!!」

早苗「何ここ地獄?」


武内P「片桐さん...私には無理でした...ですが、彼の担当アイドルであるあなたの言葉なら...!」

早苗「ええ、わかったわ...あと何で上裸なの?」

武内P「いろいろありまして...」

すいません眠気がマックスなんで一旦ここまでにします

今夜には完結させます

>>1 です
再開します


モバP「食らいやがれ!!」ピュン!ピュン!

B「くっそあの野郎!これ見よがしにクズ汁を飛ばしてきやがる!!」

早苗「どうしてここまで壊れてしまったの…これが拡声器ね、よし…」

早苗『Pくーーーん!』

モバP「!…早苗さん?」

早苗『こんな事止めてさっさとこっちに来なさーーい!』

モバP「いくら早苗さんのお願いでも無理です!!」

早苗『こんな事をしてもバレンタインは無くならないわよ!!』

モバP「ええそうでしょうね!!ですが!!けして無駄だとわかっていても!!けして成し遂げることが出来ないとしても!!男にはやらねばならないことがあるんです!!!」

早苗『無理ってわかってるなら投降しなさいよ!!』

B(犯人の無差別攻撃がやんだ?)

C(早苗さんの説得が効いているのか?)

A「ただ女性に攻撃できないチキンってだけなんじゃないっすか?」

モバP「」ピチュンピチュン!

C「こっちに集中して撃ってきやがった!!」

A「この世のものとは思えないほど臭い!!」

B「オウェエエエエエエエエエエエ!!!!」


早苗『止めなさい!!』

モバP「嫌だ!俺が始めた戦争は俺が死ぬまで終わらせん!!」

C「いちいちかっこいい言葉を言おうとしてるの腹立つなぁ」

モバP「」ピチュン!

C「くっさ!」

早苗『止めないと…明日のために作ってたこのチョコレートあげないわよ!!』

モバP「!!??」


早苗『見える?この手にあるチョコレートが!Pくんに渡すために作ったチョコレートが!!』

モバP「…う…嘘だ…嘘だッ!!そんなの嘘に決まってる!!」

モバP「この世に生きとし生ける女性が俺のためにチョコレートを作ってくれるわけがない!!」

モバP「罠だッ!これは罠だッ!!」

モバP「きっと魔神ブウに食わせたやつと同じタイプのチョコレートだ!!」

B(こんな人間にだけは絶対になりたくねえなぁ…)

A「童貞こじらせすぎだろ」

早苗『嘘なんかじゃないわ!このチョコレートはあなたに渡すために作ったの!!それだけは絶対に嘘じゃないと誓える!!』


モバP「………」

モバP「本当に…本当に俺のために作ってくれたんですか…?」

早苗『ええ、その通りよ』

モバP「…ハハハッ、初めてだ、女の子にチョコレートを作ってもらえるなんて初めてだ…」

モバP「嬉しい…これまでの人生でここまで嬉しいことがあっただろうか…?」

モバP「…アレおかしいな?目からゲロがあふれてオロロロロロロロ!!」ビチャビチャ

A「泣きながらゲロ吐いてる…」

C「世界で一番汚い泣き顔だよアレ…」


早苗『私はね、こんな私をスカウトしてくれたP君に感謝しているのよ』

モバP「早苗さん…」

早苗『もういい歳なのに夢を見させてもらって…そしてその夢も叶えさせてもらって…』

早苗『本当に本当に、感謝しているんだから』

モバP「ウッ…ウウウウ…」

早苗『だからね?このチョコレートをもらって欲しい!』

モバP「ハイッ…ハイッッ…!!」

早苗『こんな大きなチョコ、片手じゃ受け取れないでしょ?その武器を置いて、両手できっちりと受け取って、ね?』

モバP「グスン…わかりました…!」


アナウンサー「い、今犯人が!武器を捨て人質から離れました!」

モバP「ありがとうございます…ありがとうございます早苗さん」ボソボソ

早苗「…」

アナウンサー「どんどんと彼女に近づいて行ってます!!」

モバP「本当に…本当に…『ありがとうございます』…それしか言う言葉が見つかりません…」ボソボソ

アナウンサー「何かボソボソ言っています!不気味!!」

モバP「早苗さん…」

早苗「P君…」ニッコリ
















早苗「確保ォォォォーーーーー!!」

C「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」ドゴォ!!

A「さすまたあああああああああああああああああああああ!!!」ドゴォ!!

モバP「謀りやがったなああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


アナウンサー「犯人が警官二人のさすまたに押さえつけられています!!」

B「人質、救出しました!ですが口に犯人の靴下のようなものが詰め込まれています!!めちゃくちゃ臭い!」

A「気絶してた理由それなんすか!?」

アナウンサー「人質もたった今救出された模様です!」

モバP「放せ!!放せコラこの!!ペッペッ!!」

C「うわゲロ混じりのつばを飛ばしてくる!!」

A「どこまで汚くなれば気が済むんだこの人は!!」


モバP「早苗さん!!嘘だったんですか!?俺をだましてたんですか!!?」

早苗「いや...P君のために作ったのも、普段から感謝していることも嘘じゃないよ…このチョコレートも貰って欲しかったし」

モバP「な、ならなんで!?」

早苗「別に『今』渡すとは言ってないでしょ」

モバP「そ…そんな…」


事務所、会議室―

アナウンサー『えー今犯人が拘束されてい』

モバP『撮ってんじゃねえ!』ペッペッ

B『だから唾を飛ばすな!!』

C『なんかもう赤いのが混じってるじゃないか!!』

A『血!?』

未央「うぅー…気分悪い…また戻しそう…」

凛「大丈夫?」

未央「うん…なんとか…」


未央「なんて言うかこの世の闇をみた気がする…」

凛「うん…」

凛(でもなんか…夜にみた夢とリンクする部分が多かったような…正夢?ってやつなの?)

凛(…こんな正夢なんか無かった方が良いのに…というか夢よりもひどかった気がするし)

凛「はぁー…」


武内P(上半身裸)「お二人とも!大丈夫でしたか!?」

凛「!?!?」

未央「プロデューサー!?大丈夫だったの!?」

武内P(上半身裸)「ええなんとか…その映像、みていたんですね…」

未央「そうそう!プロデューサーもかなりひどい目に遭ってたみたいだけど…」


武内P(上半身裸)「あのあと千川さんと連絡を取って、二人が事務所にいると聞き急いで駆けつけたのですが…」

未央「私たちには何もなかったよ!安心して!!」

武内P(上半身裸)「そうでしたか…何事もなく、一安心しました」

未央「…私たちの心配をするよりも先に服を着なよ」

武内P(上半身裸)「!!、す、すいません!すぐに着てきま…渋谷さん?」

凛「上裸…胸板…腹筋…」ブツブツ

武内P(上半身裸)「ど、どうしたんですか?何かつぶやいているようですが?」

未央「し、しぶりん?」

凛「…まあ正夢も、悪くないかな」バターン

未央「鼻血を吹いてぶっ倒れた!?」

武内P(上半身裸)「し、渋谷さん!!渋谷さん!!!」

もう一度夢の世界に入る凛であった

~完~

これでおしまいです、ありがとうございました

自分の力不足のせいで至らないところも多く、不快な気分になってしまった人も多く居るのではないのでしょうか

謹んでお詫び申し上げます。

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