エレン「覚えてろよ、巨人……この借りはいつか……」(22)

――847―――……

コニー「なあ、見たことあるのか?超大型巨人」

エレン「ああ」

コニー「おおお!聞いたかみんな!?」

トーマス「どのくらいでかいんだ!」

エレン「壁を跨ぐぐらいでかかったよ」

ナック「やっぱりか!俺の村で聞いた通りだ!」

エレン「で?」

ナック「……えっ?」

エレン「その後は何て聞かされたんだよ?」

ナック「そりゃ、壁を壊したらすぐに消えたって聞いたが……」

コニー「え?俺の村では、そのまま壁の中に侵入してきたって聞いたぞ!」

ミリウス「俺もだ!」

マルコ「そもそも……僕は超大型巨人が壁から首を出すぐらいの大きさだって聞いたけど……」

ナック「何だかもうしっちゃかめっちゃかだぞ……」

トーマス「実際はどうなんだエレン?」

エレン「……あのさぁ、お前らはもし俺が超大型巨人なんて実はいませんでしたなんて言ったら信じるのか?」

トーマス「は……?信じる訳ないだろ、何だよいきなり?」

エレン「だろ?普通は信じないよな」

トーマス「あ、ああ」

エレン「お前らがそうやって巨人の話で盛り上がってくれるのは一向に構わないけどさ」

エレン「そうやって、ころころと人の言うこと信じるのやめた方がいいぞ」

ナック「……おう」

エレン「そもそも、俺さっきからすごい嘔吐を催してんだよね」

ミリウス「え……?」

エレン「うっ……やべぇ……吐きそう」

コニー「す、すまん!嫌な事思い出させちまって……!」

マルコ「みんな、もうこの話はよそう!」

ミリウス「そ、そうだな……悪い」

エレン「ああ、そうしてくれ。これで吐気が治まる」

ジャン「なあ、あんた」

エレン「はい?」

ジャン「そこまで巨人を嫌ってんなら、何でここに来たんだよ?」

エレン「あーそこを聞いちゃうか」

ジャン「やっぱ、お前も憲兵団目当てなのか?」

エレン「……」

ジャン「おっと、別にお前を貶してる訳じゃないぞ。俺も勿論、憲兵目当てだ」

マルコ「お、おい……」

ジャン「まあ、そりゃそうだよな。あんたはこいつらと違って巨人を実際に見てんだ」

ジャン「憲兵志望なのも無理は――」

エレン「なあ」

ジャン「……ん?」

エレン「お前、勘違いしてないか?」

ジャン「勘違い……?」

エレン「俺、一言もはいだなんて言ってないよな」

ジャン「何……?」

エレン「一人で勝手に話を進めちゃうとか論外だぞ、お前?」

ジャン「ハッ……ならあれか?自分は巨人に復讐を果たす為に来た勇者ですってか?」

エレン「勇者ねえ……果たして、俺が勇者なんかになっていいのか……」

ジャン「は?」

エレン「あ、こっちの話だから気にすんな。とりあえず俺もう寝るわ」

ジャン「お、おい………」

エレン「悪い、また明日でいいか? 眠くてしょうがないんだ」

マルコ「で、でも、まだ晩飯終了の鐘は鳴ってないけど……」

エレン「あーどうでもいいよ。俺そういう規律とか気にしないから」

マルコ「……行っちゃったね」

コニー「お前、何がしたかったんだよ……後で謝っとけって」

ジャン「お、おう……」

――翌日

キース「まずは適性を見る!これができん奴は囮にも使えん」

エレン「面倒臭いな」

キース「エレン・イェーガー! 今、何と言った……?」

エレン「楽しみだなと言いました」

キース「ほう、気合が入っているではないか……」

エレン「はい」

キース「よろしい、ならば特別に一番最初にやらせてやる!」

エレン「御意」

ざわ…… ざわ……

キース「静かにしろ!」

ミカサ「……」

キース「上げろ」

トーマス「はっ!」

キリキリキリ


カチャッ

エレン「……」

一同「おおお!」

キース「ほう……ブレが全くない」

エレン「では、適性判断は合格ですね」

キース「……ああ、合格だ。修練に励め」

コニー「すげぇなあいつ……」

ジャン「……」

――その夜

エレン「今日は疲れたなあ」

ミカサ「お疲れ様」

エレン「ああ、ミカサか。お疲れさん」

ミカサ「今日のエレンはすごかった。全くブレがないなんて、立体起動の素質があるに違いない」

エレン「なに言ってんだよ。お前も俺と似たようなもんだったじゃねぇか」

ミカサ「そう、私とエレンの評価は同じ……私は早くあなたを越さなければいけない」

エレン「あれか、俺を守る為にってか」

ミカサ「……」

エレン「なーんてな、ただの妄言だよ」

ミカサ「……そう」

エレン「ほら、早く食堂行こうぜ」

――食堂

エレン「席が全く空いてねぇな」

コニー「おい、ジャン。お前の隣にエレン入れてやれよ!」

ジャン「はぁ?何で俺が……」

マルコ「昨日の謝罪もまだ済んでないだろ」

ジャン「……チッ」

エレン「おいミカサ、あそこに一人分空いてるから行って来いよ」

ミカサ「でも、それじゃあエレンが……」

ジャン「おい、あんた!」

エレン「……」

ジャン「無視すんな、あんただよ!」

エレン「あ、俺?」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom