提督「風呂!」 (49)

友提督「なぁ、やっぱりさ提督って大変じゃね?」

提督「あー、まぁな。やりがいはあるけどさ」

友提督「敵さんの襲撃がいつ来るかなんてわかんねーからさほぼ無休みたいなもんだし」

提督「そうだなぁ」

友提督「さらにはそこに艦娘たちのコンディションの調整も必要じゃん?」

提督「まぁな、彼女たちも人な訳だからな」

友提督「皆いい子なんだけどさぁ、個性が強くてさぁ」

提督「あー......うん」

友提督「特に駆逐艦の子!いや子供なのは分かる!分かるけどさぁ」

提督「手がかかるよな......」

友提督「そうそう!そうなのよ!はぁ......皆元気なのはいいけどさ、イタズラされたりさ辛いよなぁ」

提督「分かるなぁ......あ、駆逐艦と言えばあれが大変じゃね?」

友提督「あれ?」

提督「ほら、お風呂」

友提督「風呂?あー、もしかして入るの嫌がるの?うちはないなぁ」

提督「いやいや、そうじゃなくてさ」

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提督「駆逐艦の子って一緒にお風呂入らなきゃじゃん?」

友提督「は?」



.

友提督「......え?なに?お前、駆逐艦と一緒にお風呂入ってるの?」

提督「え?お、おぉ」

友提督「うわぁ......」

提督「え、えぇ!?なんだよ!?お、お前だって入ってるだろ!?」

友提督「いやしてないけど......」

提督「え?」

友提督「というかふつうしないし」

提督「え?え?」

友提督「下手したらお前......捕まるぞ?」

提督「ええええ!?」

提督「その後色々調べた結果......」

提督「子供でも普通異性の親とお風呂に入るのはほぼなくやっても小学校低学年までらしい......」

提督「し、知らなかった......」

提督「お、俺は今までとんでもないことをしていたんじゃ」ガタガタ

提督「よくよく考えたら駆逐艦でも成長している子もいたし......」ガタガタ

憲兵「おや、提督殿。どうかなされましたか?」ヌッ

提督「ひっ!?な、何でもありませんであります!」

憲兵「そ、そうですか?」

提督「は、はひっ!」

憲兵「......なら、いいのですが」スタスタ

提督「......」

提督「まずい......ば、バレたら本当に俺逮捕されたりなんて......」

提督「......」

提督「よし、やめよう!」

提督「今日からは皆一人で入ってもらうように......」

ガチャ!!

提督「ん?」

夕立「ぽーい!!」ピョーン

提督「うおっ!?ゆ、夕立か。ビックリした......いきなり抱きついてくるなよ」

夕立「提督さん提督さん!夕立、頑張ってきたっぽい!」

提督「ん?」

夕立「ほらこれ!みてみて!」

提督「んー?......おお、出撃の報告書か」

夕立「夕立がMVPぽいっ!!」ムフー

提督「おおー、凄いな。よく頑張ったなー」ヨシヨシ

夕立「えへへ......それでね、提督さん」

提督「ん?」

夕立「夕立、いっぱい汗かいちゃったっぽい」

提督「まー、そうだろうな」

夕立「だからね、提督さん!夕立お風呂に入りたいっぽい!」ウキウキ

提督「そっか、それじゃあいってらっしゃい」

夕立「......ぽい?」

夕立「提督さん、夕立お風呂に行きたいって言ったっぽい」ユサユサ

提督「お、おお。そうだな」

夕立「提督さんは行かないっぽい?」ジー

提督「あー......そのなんだ?夕立」

夕立「ぽい?」

提督「今日から一人で、入ってくれないかな?」

夕立「ぽい!?ど、どうして?」

提督「い、いやさ、知らなかったんだけど色々調べたら男の人が一緒にお風呂に入るのはおかしいみたいでさ」

夕立「夕立は気にしないっぽい!」

提督「でも、夕立以外の人が気にするんだよ......というか女の子なんだから気にしなさい」

夕立「むー......でも夕立、一人じゃ髪の毛洗えないっぽい」

提督「お、それなら対策があるぞ......ほら!」スッ

夕立「?それなぁに?」

提督「これはな、シャンプーハットだ!」

夕立「......ふーん」

提督「いやー、昔は俺もこれに助けられたんだよなぁ......ほら夕立、これかしてやるから試しに一人で」

夕立「ぽーい!!」ビュン!

提督「なに窓の外に投げ捨ててんの!?」

夕立「フリスビーじゃなかったっぽい?」

提督「俺シャンプーハットって言ったよね!?」

夕立「夕立聞こえなかったぽい!」

提督「えぇえ......」

夕立「ほら提督さん!やっぱり夕立、一人じゃお風呂に入れないっぽい!」ユサユサ

提督「い、いやしかしなぁ」

夕立「......ダメっぽい?」ウルウル

提督「ぐ!?......うぐぐ」

提督(そ、そんな捨てられた子犬みたいな目で俺を見ないでくれぇ......)

夕立 ショボーン

提督「......だけ」

夕立「ぽい?」ピクッ

提督「......今日、だけ。特別に、今日、だけだ!」

夕立「......!」キラキラ

提督「た、ただし!ちゃんと一人で洗えるように練習するんだぞ!!」

夕立「ぽーい!!おっふろーおっふろー♪」ウキウキ

提督「はぁ......」

提督「いやー、夕立はまだまだ子供だなぁ」

提督「身体は改装して成長してるのにな!」

提督「はっはっはっは!!」

提督「はっは......は、はは......」

提督「......ああぁああぁぁぁああぁああぁぁぁああぁああぁぁぁああぁああぁぁぁ!!!」

提督(入っちゃったよ!!結局一緒に入っちゃったよ!!)

提督「い、いやでも仕方ない......髪の毛を一人で洗えないんだ」

提督「そ、そうだ!夕立は仕方ないんだ!俺は悪くない!」

提督「髪の毛を一人で洗えない夕立が悪いんだ!!」

提督「......」

提督「......うん、今日こそは一人で入ってもらおう」

コンコン

提督「ん?はーい、どうぞー」

ガチャ

秋月「司令、秋月です!」

提督「ん、どうした?」

秋月「はい、そろそろお風呂に入ろうかと思いまして!」

提督「おお、そうか」

秋月「はい!」

提督「......」

秋月「......?」

秋月「あの、司令?」

提督「なにかな?」

秋月「お風呂の準備は?」

提督「いや、入らないぞ?」

秋月「え」

提督「入りません」

秋月「」ガーン

提督「そ、そんなに落ち込むことじゃないだろ?」

秋月「し、しかし......秋月と一緒にお風呂に入るのが嫌と言うこと、ですよね?」グスッ

提督「あ!?い、いや!そうじゃなくてな!」

秋月「そ、それなら何故......」

提督「いやね、ほら。やっぱり男と一緒にお風呂ってダメじゃん?」

秋月「え、秋月は気にしませんよ?」キョトン

提督「お前もかぁ......」

秋月「ですから大丈夫です!司令、お風呂に入りましょう♪」

提督「いやいや、ダメなの。入りません」

秋月「ど、どうしてもですか?」

提督「どうしてもです」

秋月「......分かりました。しかし、司令。これだけは言わせてください」

提督「ん?」

秋月「それはあまりに勿体無いです!」

提督「へ?も、勿体無い?」

秋月「はい!司令、今ここでお風呂に入らなかったらいつお風呂に入られるおつもりで?」

提督「え?えーと......大分後かな」

秋月「そうなったらまたお湯をはることになりますよね?」

提督「まぁ、そうだな」

秋月「そんなのもったいないじゃないですか!今、秋月と一緒に入ればそんな必要は無くなるんですよ?」

提督「......うん、そうだけどさぁ」

秋月「使わなくていい資源を使うなど言語道断です!」

提督「ま、まぁでもこのくらいなんてこと」

秋月「司令!そんなことをいいながら大規模な作戦時いつも資源が足りないと嘆いているではありませんか!」

提督 ハッ

秋月「確かにお風呂のお湯など小さなことかもしれません!しかし、このような小さな贅沢を我慢することが大切です!」

提督「な、なるほど......」

秋月「ですから司令!善は急げです!お風呂に参りましょう!」グッ

提督「おう!」

提督「......あれ?」

提督「おかしい、何で俺は二日続けて駆逐艦とお風呂に入っているんだ?」

提督「もうしないと誓ったはずなのに......」

提督「......」チラッ

憲兵 スタスタ

提督「......」

提督「捕まりたくないよな、俺?オーケー、分かった」

提督「今日こそ、今日こそは一人で入ってもらうぞ!!」

コンコン

提督「来たかな......どうぞ」

雷「司令官!お風呂の時間よ!」

提督「い、雷か」

雷「ほら、早く準備していきましょ!」

提督「いやその......」

雷「どうしたの?聞いてる?」

提督「あ、あのさ」

雷「?」

提督「今日のお風呂は一人で入るから!」

雷「え?ダメよそんなの!」

提督「いやでも」

雷「司令官、一人で入ったらちゃんと髪の毛を洗わないでしょ?」

提督「い、いやそんなことは」

雷「お風呂だってちゃーんと肩まで浸からないし」

提督「でも」

雷「司令官!恥ずかしがらなくたっていいのよ!」

提督「ちが」

雷「大丈夫!私に任せて!今日もちゃーんと100まで数えてあげるわ!」キラキラ

提督(......あれ、これ今さらだけどいろんな意味で不味くないね俺?)

提督「い、雷!」

雷「え?」

提督「いや、そのな?やっぱり男と一緒にお風呂に入るのはおかしいと思うんだ」

雷「い、いきなりどうしたの?」

提督「いやまぁ、そうなんだけど......でもやっぱりこのままじゃダメだとおもうんだ!」

雷「......」

提督「お互いにその、裸というのは流石に不味いだろ?な?分かるだろ?」

雷「......そう、分かったわ!」

提督「分かってくれたか!......良かった、じゃあ今日は」

雷「水着を持ってくれば問題ないわね!」

提督「え」

雷「え、違うの?」

提督「い、いやだから一緒にお風呂に入るのが不味いわけで」

雷「水着を着てるのに?」

提督「いやだから、水着を着てても......あれ?でも水着着てたら裸じゃないし......んん?問題、ないのか?」

雷「そうそう!だからいいでしょ?」

提督「あれでも......んん?水着とはいえ......んー?」

雷「司令官は考えすぎよ!問題ないわ!」

提督「......そうかな?」

雷「それに水着がダメなら普段から水着の潜水艦の人たちもダメになっちゃうじゃない!」

提督「た、確かに......」

雷「ほら、なにも問題ないでしょ?」

提督「......うん、そうだな!なにも問題ないな!お風呂に行こうか!」

雷「はーい!」

提督「いやーまさか雷の水着がビキニとはなぁー意外だったなー」

提督「しかもまさか途中でほどけて脱げちゃうとはなーあははははは」

提督「......」

提督「やっぱり問題あるじゃねーか......というより問題しかねぇ......」ガタガタ

提督「ど、どうする?このままじゃ俺、本当に......」

提督「......い、いや今日から!今日から頑張ろう!」

提督「まだ間に合う!うん、大丈夫!大丈夫だ!」

コンコン

提督「いよぉしこい!」

霞「何してるのよクズ司令!早くお風呂に行くわよ!」

提督「......か、霞か」

霞「ほら!早くしてよ!」

提督「い、いや、ちょ、ちょっと待って」

霞「あーもう!私がどうしてクズ司令と一緒にお風呂に......」

提督「......ん?」

霞「なにぼさっとしてるのよ!早く」

提督「か、霞。も、もしかして俺とお風呂に入るのが嫌なのか?」オソルオソル

霞「えっ!?あ、それは......あ、当たり前でしょ!」

提督「そ、そっか......」

霞「あっ、ちが......で、でも仕方ないから!仕方なく一緒に入って」

提督「そうだよな!うん、イヤだよな!」

霞「へ」

提督「いやー、そうだよなぁ。普通そうだよなぁ!」ウンウン

霞「ちょ、ちょっと」

提督「霞!今日から一人でお風呂に入っていいぞ!」

霞「......」

提督「いやぁ、良かった良かった......ってあれ?霞?どうかしたのか?」

霞「......何でもないわよ!」

提督「そ、そう?」

霞「分かったわよ!一人で入ってくるから!」チラッ

提督「お、おう?いってらっしゃい」

霞「......ふんっ!」

バタンッ

提督「な、何で怒ってるんだ?」

提督「......まぁでもこれで霞は一人で大丈夫だな!」

提督「流石は霞だよなぁ!駆逐艦なのにしっかりしてるしな!」

提督「......でも、駆逐艦なんだよな。まだ子供なんだよな」

提督「......」

提督「ひ、一人で平気だよな?霞のことだから問題ないと思うけど......」

提督 ソワソワ

提督「す、少しだけ様子を見に行こうかな......」

提督「うん、見るだけ......様子を見るだけなら」

ガチャ

霞「あ」

提督「え」

提督「......霞?何でまだ扉の前に?」

霞「え、あっ......こ、これから!これから行くところ!」

提督「え?でもさっき部屋を出てから大分時間が」

霞「だ、だからなによ?別に問題ないでしょ!」

提督「まぁ......」

霞「ふんっ!それじゃあ私は行くから!」チラッ

提督「......」

霞「......」チラチラ

提督「......なあ」

霞「な、なによ」

提督「やっぱり俺も一緒にお風呂に入るのはダメか?」

霞「......!な、なによ。そんなに私と入りたいの?」

提督「は、はは、ソウナンダヨーカスミトイッショニハイリタイナー」ボウヨミ

霞「なっ、ば、バカみたい!......まぁでも仕方ないわね!一緒に入ってあげるわよ!」

提督「は、ははは、ありがと......」

提督「......自首しようかな」

提督「もうダメだよ俺......ついに自分からお願いしちゃったよ......」

提督「で、でもあれは仕方ないよな?霞が悪いよな?」

提督「......うん、そうだよ!俺は悪くねぇ!」

提督「つまり無罪!問題なし!」

提督「......」

提督「きょ、今日こそは、大丈夫、だよな?」

提督「ちゃんと駆逐艦の皆に集会で言ったし......流石にもう平気だよな?」

コンコン

提督「ん?誰だ?」

加賀「提督、失礼します」

提督「加賀か。どうした?」

加賀「いえ、少々編成のことでお話が」

提督「ふむ、聞こう」

加賀「......なので、ここの編成は五航戦の子を入れるのがよろしいかと」

提督「ほう?瑞鶴をか?」

加賀「なにか?」

提督「いや、まさかお前が瑞鶴を推薦するとは思ってなくてな......認めてたのか」

加賀「そうね、彼女は私たちのなかでもかなりの力を持っているわ」

提督「ふぅん、ならなんでいつもあいつのことを」

加賀「あの子は褒めたら調子に乗るわ。あの程度の扱いがちょうどいいのよ」

提督「あー......なるほどな」

加賀「それではお話はおしまいね。それでは提督」

提督「ん?なんだ?」




加賀「お風呂に参りましょうか」

提督「よしちょっと待て」

加賀「なにか?」クビカシゲ

提督「なにその顔、何でこっちがおかしな反応をしたみたいな反応してるの?」

加賀「えぇ、そうね。おかしな反応をしたわ」

提督「いやいやいや......前から思ってたけど流石におかしいわ。お前と風呂なんて」

加賀「そう?でも私一人では髪の毛を洗えないのだけど」

提督「うんその時点でおかしいんだわ......」

加賀「馬鹿な。そんなはずはありません」

提督「どこからそんな自信が出てくるのよ......とにかく一人で入ってく加賀「お断りします」

提督「......」

加賀「......」

提督「......ならせめて赤城と入ってくれよ」

加賀「あら、提督は赤城さんと三人でお風呂に入りたいの?別にいいけれど」

提督「よくねぇよ!なんで俺入ること前提なんだよ!しかもさらっとお前も入ってるし!」

加賀「......なら私の髪は誰が洗ってくれるの?」

提督「シャンプーハット貸すから自分で洗ってくれ」

加賀「そんな子供が付けるようなもの、恥ずかしくて付けられません」

提督「一人で頭を洗えない時点で子供以下だよ......」

加賀「......頭にきました。そこまで言うのなら一人で見事洗って見せます」

提督「いやそれが普通だから......」

加賀「では」

バタン

提督「......はぁ、まあなんとかなって良かったか」

提督「......」

提督「何でだろう、霞以上にあいつが心配な気がする」

提督「......」

提督「ま、まぁ、流石にあいつも空母だし一人で」

ガチャ

加賀「......めにじみまじた」グスッ

提督「......うん、素直にシャンプーハット使おっか?」

加賀「......はい」

提督「ふぅ......なんだかんだあったけど皆一人で入ってくれるようになったなぁ」

提督「......うん、いいことなはずなんだけどいざ終わってみると少し寂しい気がするな」

提督「これが父親の気持ちなんだろうか」

提督「......」

提督「......まぁ、いいか。うん、せっかく皆がお風呂に入れるようになったんだ」

提督「今日は久しぶりに一人でゆっくり風呂にはいるかぁ!!」

提督「おっふろーおっふろー♪」

提督「ふんふー......あれ?」

提督「えーと......んん?」

提督「......この鎮守府」




提督「男湯なくね?」



提督「風呂!」
おしまい

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